説明

異常感知システム

【課題】在宅/外出の切替操作を行なうことなく、誤報を抑え、居住者の異常を確実に検知することのできる異常感知システムを提供する。
【解決手段】本発明の安否確認システムは、玄関扉の開閉を感知する第一のセンサと、玄関近傍における物体の動きを感知する第二のセンサと、屋内における物体の動きを感知する複数の第三のセンサと、これらセンサに接続された判定装置と、判定装置に接続された警告灯と、を有し、判定装置は、第一のセンサが前記玄関扉の閉まりを感知した後に第二のセンサが物体の動きを感知した場合は第一の状態であると判定し、第二のセンサが物体の動きを感知した後に第一のセンサが玄関扉の閉まりを感知した場合は第二の状態であると判定し、第二の状態であっても、第二のセンサ及び複数の第三のセンサの少なくともいずれかが物体の動きを感知した場合は第一の状態であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常感知システムに関し、例えば、一人暮らしの高齢者の屋内生活において異常があった場合にその異常を感知し、警告を発することのできる異常感知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、日本国民約4人に1人は65歳以上の高齢者であり、20年後には約3人に1人、更に40年後には約2.5人に1人が高齢者になると予測されている。すなわち日本は急速な速さで高齢化社会に突入している。そしてこの高齢者の割合の増加は、一人暮らしの高齢者の世帯数増加を意味する。
【0003】
一人暮らしの高齢者の場合、一人で屋内にいる場合に体の不調等の異常があったとき、他人に助けを求めることは容易でなく、最悪の場合、屋内で誰にも気付かれずに亡くなってしまうといった問題がある。
【0004】
この問題に対し、一人暮らしの高齢者の多い地域では、民生委員や近隣住民等が当該高齢者宅を定期的に訪問し、異常がないか確認するといった支援の取り組みが開始されつつある。
【0005】
しかしながら、民生委員や近隣住民の協力だけでは高齢者の生活を常時支援することは難しく、例えば民生委員が高齢者宅を訪問したが戸締りがなされて反応がない場合、勝手に立ち入ることはできず、単に不在であるため反応がないのか、異常があったことによって反応がないのか等の判断が容易でないといった問題もある。
【0006】
また上記の問題に対し、屋内に非常通報ボタンを設置し、異常があった場合に高齢者がこのボタンを押すことで外部に異常を通報する、といったシステムも用いられてきている。
【0007】
しかしながら、このような場合であっても、非常通報ボタンを押すことができない位置で異常が発生した場合や、非常通報ボタンを押すことを躊躇してしまった結果ボタンを押すタイミングを逸して倒れてしまい、外部に異常を通報できないといった問題がある。
【0008】
このような問題に対し、屋内に複数のセンサを設け、高齢者等の動きを検知させ、一定時間動きが検知されない場合、異常があったと判断して通報するといった技術が例えば下記特許文献1に開示されている。
【0009】
ところでこのような技術において、一定時間動きが検知されない場合として、居住者が外出している場合もあり、外出の場合であっても一律に異常があったと判断してしまうことはいわゆる誤報となってしまう。そのため、上記特許文献1では、外出スイッチ及び取消スイッチを備え、これらボタンを押すことで外出であるか在宅であるかを入力させ、誤報を抑えようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−127915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、高齢者自身に外出であるか在宅であるかについて状態設定を常に求めるものであり、スイッチの操作を忘れてしまった場合には誤報が発生することとなる。最悪の場合、外出の状態にしたまま屋内で生活し、異常が発生してしまった場合、この異常を感知することができないといった問題も生ずる。
【0012】
そこで、本発明は、上記課題を鑑み、在宅/外出の切替操作を行なうことなく、誤報を抑え、居住者の異常を確実に検知することのできる異常感知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための第一の手段に係る安否確認システムは、玄関扉に設置され玄関扉の開閉を感知する第一のセンサと、玄関近傍の屋内に設置され、玄関近傍における物体の動きを感知する第二のセンサと、玄関近傍以外の屋内に設置され、屋内における物体の動きを感知する複数の第三のセンサと、第一のセンサ、第二のセンサ、複数の第三のセンサに接続された判定装置と、判定装置に接続された警告灯と、を有し、判定装置は、第一のセンサが玄関扉の閉まりを感知した後に第二のセンサが物体の動きを感知した場合は第一の状態であると判定し、第二のセンサが物体の動きを感知した後に第一のセンサが玄関扉の閉まりを感知した場合は第二の状態であると判定し、第二の状態であっても、第二のセンサ及び複数の第三のセンサの少なくともいずれかが物体の動きを感知した場合は第一の状態であると判定し、第一の状態の場合、第二のセンサ及び複数の第三のセンサのいずれもが第一の期間だけ物体の動きを感知しなかったときは、異常があったものと判定して警告灯を駆動して警告を発し、かつ、複数の第三のセンサのいずれかが第一の期間より長い第二の期間だけ物体の動きを感知しなかったときは、異常があったものと判定して警告灯を駆動して警告を発する。
【発明の効果】
【0014】
以上の構成により本発明は、在宅/外出の切替操作を行なうことなく、誤報を抑え、居住者の異常を確実に検知することのできる異常感知システムを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る安否確認システムの概要を示す図である。
【図2】実施形態に係る判定装置の概略を示す図である。
【図3】実施形態に係る判定装置の判定の概略を示す図である。
【図4】実施形態に係る判定装置の判定の概略を示す図である。
【図5】実施形態に係る判定装置の判定の概略を示す図である。
【図6】実施形態に係る判定装置の判定の概略を示す図である。
【図7】実施形態に係る判定装置の判定の概略を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書においては同一又は同様の機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す例示にのみ狭く限定されるものではない。
【0018】
図1は、本実施形態に係る安否確認システム(以下「本システム」という。)の概要を示す図である。本図で示すように、本システムは、玄関扉Eに設置され玄関扉Eの開閉を感知する第一のセンサ1と、玄関近傍の屋内に設置され、玄関近傍における物体の動きを感知する第二のセンサ2と、玄関近傍以外の屋内に設置され、屋内における物体の動きを感知する複数の第三のセンサ3と、第一のセンサ1、第二のセンサ2、及び、複数の第三のセンサ3に接続された判定装置4と、判定装置に接続された警告灯5と、を有する。
【0019】
本実施形態において、第一のセンサ1は、上記の通り、玄関扉Eの開閉を感知することのできるセンサであり、この機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、マグネットスイッチで構成されていることが好ましい。マグネットスイッチは、玄関扉Eの扉部分と枠部分それぞれに部品が設けられ、この部品間の距離の変動によって開閉の判定を行なうことができるため、後述のパッシブスイッチに比べ動作の判定をより確実に行なうことができるといった効果があるとともに、第二のセンサ2がパッシブスイッチである場合に、独立した判定方法を採用することができる。
【0020】
また本実施形態において、第二のセンサ2は、上記の通り、玄関近傍の屋内に設置され、玄関近傍における物体の動きを感知することができるものである。第二のセンサ2は、この限りにおいて限定されるわけではないが、いわゆる人感センサであることが好ましい。人感センサとは、人の動きを検知することのできるセンサであって、光、音、熱等を用いて人の動きを感知することのできるものである。なお、光を用いて人の動きを検知する人感センサの場合、赤外線や可視光を用いることができる。また、光を用いて人の動きを検知する人感センサの場合、パッシブ型であっても、アクティブ型であってもよい。アクティブ型の人感センサは光発信機と受信機とを備え、光発信機が発した光が屋内の壁などにより反射されて受信機に受信される際、受信した光の量や時間等に変化が生じた場合にセンサの近傍を物体が存在又は通過したことを判定することができるものである。またパッシブ型の人感センサは受光機のみを有しており、物体が発する光を受けることで、センサの近傍を物体が存在又は通過したことを判定することができるものである。人感センサとしては、人体から発せられる赤外線を受けてセンシングするパッシブ型のものであることが好ましい。なお本実施形態において、「玄関近傍の屋内」とは、玄関扉に近い屋内であり、玄関も含まれる。この範囲は、人感センサの性能にも依存するため限定されるわけではないが、玄関扉から概ね3m以内の位置に配置されていることが好ましい。玄関近傍とすることで、安否確認の対象となる者(以下「対象者」という。)が外に出ようとする場合の一連の動作を第一のセンサとともに判定することができるようになる。
【0021】
また本実施形態において、第三のセンサ3は、上記の通り、玄関近傍以外の屋内に設置され、屋内における物体の動きを感知するものである。第二のセンサ2と第三のセンサ3は、配置される位置が異なる以外、ほぼ同様である。第三のセンサ3の構成については限定されず、例えば上記マグネットセンサ、人感センサのいずれでも良いが、例えばトイレ等の扉に取り付ける場合はマグネットセンサを、居間等の部屋の中に取り付けて対象者の移動を判定したい場合は人感センサを採用することが好ましい。第三のセンサを取り付けておくことで、対象者の屋内の動きを感知することができるようになる。
【0022】
また、本実施形態において、判定装置4は、上記第一のセンサ1、第二のセンサ2、複数の第三のセンサ3、警告灯5に接続されており、これらからの信号を受け付け、異常があるか否かの判定処理を行うための制御回路を有している。判定装置4の概略について図2に示しておく。なお、本判定装置4には、警告灯が接続されているが、必要に応じて、異常があった場合、電話回線等を通じて外部のネットワークに通報を行なうための自動通報装置に接続されていても良い。
【0023】
また本システムにおいて判定装置4は、第一のセンサ1が玄関扉Eの閉まりを感知した後に第二のセンサ2が物体の動きを感知した場合は第一の状態であると判定し、第二のセンサ2が物体の動きを感知した後に第一のセンサ1が玄関扉Eの閉まりを感知した場合は第二の状態であると判定する。ここで「第一の状態」とは、典型的には、対象者が玄関扉を開け、玄関内に入って帰宅した状態、いわゆる在宅状態をいう。一方、「第二の状態」とは、典型的には、対象者が玄関から玄関扉を開け、外に出た状態、いわゆる外出状態をいう。このように、二つのセンサを用いて時間差を図ることで、帰宅した状態となったか、外出した状態となったのかを判定することができる。図3に、対象者が帰宅した状態、外出した状態のセンサの判定をそれぞれ示しておく。
【0024】
また、本システムの判定装置4は、更に、第二の状態であっても、第二のセンサ2及び複数の第三のセンサ3の少なくともいずれかが物体の動きを感知した場合は第一の状態であると判定し、第一の状態の場合、第二のセンサ2及び複数の第三のセンサ3のいずれもが第一の期間だけ物体の動きを感知しなかったときは、異常があったものと判定して警告灯を駆動して警告を発し、かつ、複数の第三のセンサ3のいずれかが第一の期間より長い第二の期間だけ物体の動きを感知しなかったときは、異常があったものと判定して警告灯5を駆動して警告を発する。
【0025】
つまり本システムでは、第二の状態、すなわち外出状態であると判断した場合であっても、第三のセンサが反応した場合は、在宅状態と判定することを意味する。これは、対象者以外の者(例えば来客)があった場合、来客が屋内の外に出る場合であっても、第二のセンサ2が反応し、第一のセンサ1が反応することとなるため、外出状態となってしまう。しかしながら、このように外出状態と判定された場合であっても、対象者は依然として屋内に居住しているため、対象者に異常が生じた場合、この異常を検出することができなくなってしまう。そのため、本システムでは、第二の状態であったとしても、第三のセンサ3に反応があった場合は、第一の状態に戻す処理を行なう。この概略を図4に示しておく。
【0026】
そして、本システムでは、第一の状態において、第二のセンサ2及び複数の第三のセンサ3のいずれもが第一の期間だけ物体の動きを感知しなかったときは、異常があったものと判定して警告灯を駆動して警告を発する。すなわち、第一の状態において、第二のセンサ2及び第三のセンサ3のいずれもが一定期間だけ物体の動きを検知しなかった場合、対象者に動くことのできない異常が生じているおそれが強く、警告灯5を駆動して警告を発することができる。ここで「第一の期間」とは、適宜調整可能であるが、6時間以上18時間以内であることが好ましい。なお、この第一の期間の計算の始期は、複数の第三のセンサ3のうち、最も遅く反応した第三のセンサ3の反応が完了したときである。この場合のセンサの判定について、図5に概略を示しておく。
【0027】
また、本システムでは、第一の状態において、複数の第三のセンサ3のいずれかが第一の期間より長い第二の期間だけ物体の動きを感知しなかったときは、異常があったものと判定して警告灯5を駆動して警告を発する。すなわち、複数の第三のセンサ3のうちのいずれかが反応していたとしても、第三のセンサ3のいずれかが第二の期間だけ反応していない場合、異常が生じていると考える。例えば、第三のセンサ3を居間及びトイレに配置した場合、居間では反応があるものの、トイレでは第二の期間だけ反応がない場合、やはり異常があったとみなすこととしている。この具体的な例としては、例えばペットを飼っていて対象者が動けなくなってもペットが室内を動き回っていたり、寝室にセンサを配置したが、対象者は寝室から動くことができない場合等のような場合である。
つまりここでは、第三のセンサ3を通常の生活において必ずといってよいほど使用する場所を選択して設置し、そのセンサーが一定時間反応が無ければ、他のセンサが反応していても強制的に警告を発することができるものである。このようにすることで、誤判定のおそれを除去、一箇所から動くことができない状態に陥った場合の異常等を感知するようになる。なお、第三のセンサを取り付ける位置は、上記のとおり、生活において必ずといってよいほど使用する場所であることが必要であり、トイレ、居間、台所等を例示することができるが限定されない。また本実施形態において、第二の期間は、上記第一の期間よりも長い必要がある。第二の期間については、限定されるわけではないが、例えば24時間以上72時間以下の範囲であることが好ましい。なお第二の期間の計算の始期は、第三のセンサ3の反応が最も早く完了したときである。図6に、このセンサの判定の概略について示しておく。
【0028】
また、本実施形態において、判定装置4は、必須ではないが、第二の状態であっても、第一のセンサが玄関扉のしまりを感知した後、第一の期間より長い第三の期間だけ物体の動きを感知しなかったときは、異常があったものと判定して警告灯を駆動して警告を発することが好ましい。対象者が長期の外出を行なう機会は頻繁ではなく、長期に不在の状態が継続されることは不自然な場合が多く、このような場合に何ら異常発生がないとすることは自然ではない。そのため、このような場合においても、警告を発するようにしておくことが好ましい。なお「第三の期間」とは、当然に第一の期間よりも長いことが好ましく、例えば36時間以上72時間以内であることが好ましい。この状態の概略を例えば図7に示しておく。
【0029】
以上の構成により本発明は、不要な操作を行なうことなく、誤報を抑え、居住者の異常を確実に検知することのできる異常感知システムとなる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、異常感知システムとして、産業上の利用可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関扉に設置され前記玄関扉の開閉を感知する第一のセンサと、
玄関近傍の屋内に設置され、前記玄関近傍における物体の動きを感知する第二のセンサと、
玄関近傍以外の屋内に設置され、前記屋内における物体の動きを感知する複数の第三のセンサと、
前記第一のセンサ、前記第二のセンサ、及び、前記複数の第三のセンサに接続された判定装置と、
前記判定装置に接続された警告灯と、を有する安否確認システムであって、
前記判定装置は、
前記第一のセンサが前記玄関扉の閉まりを感知した後に前記第二のセンサが物体の動きを感知した場合は第一の状態であると判定し、
前記第二のセンサが物体の動きを感知した後に前記第一のセンサが前記玄関扉の閉まりを感知した場合は第二の状態であると判定し、
前記第二の状態であっても、前記第二のセンサ及び前記複数の第三のセンサの少なくともいずれかが物体の動きを感知した場合は第一の状態であると判定し、
前記第一の状態の場合、前記第二のセンサ及び前記複数の第三のセンサのいずれもが第一の期間だけ物体の動きを感知しなかったときは、異常があったものと判定して警告灯を駆動して警告を発し、かつ、前記複数の第三のセンサのいずれかが第一の期間より長い第二の期間だけ物体の動きを感知しなかったときは、異常があったものと判定して警告灯を駆動して警告を発する安否確認システム。
【請求項2】
前記判定装置は、
前記第二の状態であっても、前記第一のセンサが前記玄関扉の閉まりを感知した後、前記第一の期間より長い第三の期間だけ物体の動きを感知しなかったときは、異常があったものと判定して警告灯を駆動して警告を発する請求項1記載の安否確認システム。
【請求項3】
前記第一の状態は在宅状態であり、前記第二の状態は外出状態である請求項1記載の安否確認システム。
【請求項4】
前記第三のセンサは、居間及びトイレに配置されている請求項1記載の安否確認システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−25334(P2013−25334A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156180(P2011−156180)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(510264659)株式会社 千葉通信システム (1)
【Fターム(参考)】