説明

異常時モータ減速停止制御機能を有する制御装置

【課題】数値制御部およびモータ制御部の異常を検出する異常検出部を備え、前記数値制御部および前記モータ制御部のいずれにおいて異常が発生しても、前記異常検出部からの信号を受けて、減速停止専用モータ制御部に設けられたモータ減速停止制御部によりモータを減速停止させることが可能な異常時モータ減速停止制御機能を有する制御装置を提供すること。
【解決手段】機械50を制御する数値制御装置10は、移動指令を出力する数値制御部11と、数値制御部11からの移動指令に基づいてモータ40を駆動する指令を出力するモータ制御部12とを備え、アンプ20は、モータ制御部12からの指令に基づいてモータ40を駆動するモータ駆動用のアンプであって、異常検出部13は数値制御部11またはモータ制御部12の異常を検出し、モータ減速停止制御部15は異常検出部13からの異常検出信号を受けてモータ40を減速停止させる異常時モータ減速停止制御機能を備えた制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置に関し、異常時にモータ減速停止制御機能を有する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械を制御する数値制御装置は、該数値制御装置で制御される機械に設けられたモータを制御するモータ制御部と、機械へのDI/DO信号(入出力信号)を制御するプログラマブル・マシン・コントローラ部(以下、PMC(Programable Machine Control)部という。)と、該モータ制御部や該PMC部に指令したり、データのやり取りを行う数値制御部とで構成されている。
【0003】
特許文献1には、モータを制御するモータ制御部とモータ制御部に指令を出す数値制御部を有する数値制御装置において、数値制御部の異常を検出する異常検出部からの信号を受けて、モータ制御部に設けられたモータ減速停止制御部により、モータを減速停止させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4226632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術で説明した特許文献1に開示される技術では、数値制御部に異常が発生したとき、モータを短時間で停止させることは可能であるが、モータ制御部自体に異常が発生した場合にはモータを減速停止させることができない。
【0006】
そこで本発明の目的は、数値制御部およびモータ制御部の異常を検出する異常検出部を備え、前記数値制御部および前記モータ制御部のいずれにおいて異常が発生しても、前記異常検出部からの信号を受けて、モータの減速停止専用に設けられたモータ減速停止制御部によりモータを減速停止させることが可能な異常時モータ減速停止制御機能を有する制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明は、移動指令を出力する数値制御部と、該数値制御部からの移動指令に基づいてモータを駆動する指令を出力するモータ制御部と、該モータ制御部からの指令に基づいてモータを駆動するモータ駆動用アンプと、前記数値制御部または前記モータ制御部の異常を検出する異常検出部を備えた制御装置において、前記モータを減速停止させるモータ減速停止部を備え、前記モータ減速停止制御部は前記異常検出部からの異常検出信号を受けてモータを減速停止させることを特徴とする異常時モータ減速停止制御機能を備えた制御装置である。
請求項2に係る発明は、機械へのDI/DO信号を制御すると共に前記数値制御部とデータのやり取りを行うプログラマブル・マシン・コントローラ部を備え、前記モータはブレーキ装置を有し、前記プログラマブル・マシン・コントローラ部は、前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けて少なくとも前記ブレーキ装置に対するDO信号をオフすることにより該ブレーキ装置のブレーキを作動させる手段を有し、前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けて、前記モータ減速停止制御部によりモータを減速停止させると共に前記プログラマブル・マシン・コントローラ部により前記ブレーキ装置のブレーキを作動させることを特徴とする請求項1記載の異常時モータ減速停止制御機能を備えた制御装置である。
請求項3に係る発明は、機械へのDI/DO信号を制御すると共に前記数値制御部とデータのやり取りを行うプログラマブル・マシン・コントローラ部を備え、前記モータはブレーキ装置を有し、前記モータ減速停止制御部は、前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けてモータを減速停止させると共にフィードバックされてくるモータの実速度が設定速度以下になると、前記プログラマブル・マシン・コントローラ部にDO信号をオフする信号を送出する手段を有し、前記プログラマブル・マシン・コントローラ部は、DO信号をオフする信号を受けて少なくともブレーキ装置に対するDO信号をオフする手段を有し、前記ブレーキ装置に対するDO信号がオフになることによって該ブレーキ装置のブレーキを作動させることを特徴とする請求項1記載の異常時モータ減速停止制御機能を備えた制御装置である。
【0008】
請求項4に係る発明は、前記モータのブレーキ装置のブレーキを作動させるためのDO信号の制御を行うブレーキ信号制御部を備え、前記モータはブレーキ装置を有し、前記モータ減速停止制御部は、前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けてモータを減速停止させると共にフィードバックされてくるモータの実速度が設定速度以下になると、前記ブレーキ信号制御部にDO信号をオフする信号を送出する手段を有し、前記ブレーキ信号制御部は、DO信号をオフする信号を受けて少なくともブレーキ装置に対するDO信号がオフする手段を有し、前記ブレーキ装置に対するDO信号がオフになることによって該ブレーキ装置のブレーキを作動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の制御装置である。
請求項5に係る発明は、前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けてモータを減速停止させると共にモータの実速度が設定速度以下の条件に達するとモータを駆動するモータ駆動用アンプのモータ駆動出力を切断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の制御装置である。
請求項6に係る発明は、前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けてモータを減速停止させると共に設定時間後に前記モータ駆動用アンプの動力を切断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の制御装置である。
請求項7に係る発明は、前記異常検出部が前記プログラマブル・マシン・コントローラ部の異常も検出することを特徴とする請求項2または3のいずれか一つに記載の制御装置である。
請求項8に係る発明は、前記モータ減速停止制御部を前記モータ駆動用アンプに設け、前記異常検出部が、前記モータ制御部の異常、または、前記数値制御部の異常、または、モータ制御部と前記モータ駆動用アンプの接続の異常を検出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の制御装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、数値制御部およびモータ制御部の異常を検出する異常検出部を備え、前記数値制御部および前記モータ制御部のいずれにおいて異常が発生しても、前記異常検出部からの信号を受けて、モータの減速停止専用に設けられたモータ減速停止制御部によりモータを減速停止させることが可能な異常時モータ減速停止制御機能を有する制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態2を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態3を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態4を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態5を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態6を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態7を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態8を説明する図である。
【図9】本発明の実施形態9を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の実施形態1を説明する図である。実施形態1では制御装置は数値制御装置10、アンプ20を備える。数値制御装置10は、数値制御部11、モータ制御部12を備える。数値制御部11は、加工プログラムなどの制御プログラムを実行し、機械50の各軸のモータ40を駆動制御するモータ制御部12に移動指令を出力する。モータ制御部12は、この移動指令とモータ40等に取り付けられた図示しない位置・速度検出器からフィードバックされるフィードバック信号に基づいて、位置および速度のフィードバック制御を行い、さらには、電流のフィードバック制御を行って、駆動指令をアンプ20に出力する。アンプ20はPWM制御等を行い機械50に備わった各軸モータ40を駆動制御する。
【0012】
実施形態1の数値制御装置10は更に、数値制御部11の異常を検出する数値制御部異常検出回路13aとモータ制御部12の異常を検出するモータ制御部異常検出回路13bを有する異常検出回路13、数値制御部異常検出回路13aからの出力信号とモータ制御部異常検出回路13bからの出力信号の論理和を行う論理和回路14、モータ減速停止制御部15、スイッチ部16を備える。
【0013】
数値制御部11あるいはモータ制御部12に発生する異常要因として例えば、CPUのハングアップ、メモリのパリティエラー、バスのサイクル監視回路が検出するタイムアウトエラーなど様々なものがある。数値制御部11の異常が数値制御部異常検出回路13aによって検出されるかもしくはモータ制御部12の異常がモータ制御部異常検出回路13bによって検出されると、異常検出部(13aまたは13b)から異常検出信号が論理和回路14を介してモータ減速停止制御部15とスイッチ部16に通知される。
【0014】
論理和回路14から出力される異常検出信号をモータ減速停止制御部15、および、スイッチ部16が受信すると、モータ減速停止制御部15が起動され、スイッチ部16は、モータ制御部12から出力されるモータ40の駆動指令からモータ減速停止制御部15からモータ40に出力される指令に切り換える。
【0015】
モータ減速停止制御部15は、モータ40等に取り付けられた図示しない位置・速度検出器からフィードバックされるフィードバック信号に基づいて、位置・速度のフィードバック制御を行い、例えば、速度指令「0」の速度のフィードバック制御をなす。モータ40及び該モータ40で駆動される機械50の可動部は速度指令が「0」となっても、直ちに停止することができず、移動する。その結果、速度偏差が増大し、モータ40にはそれまでの移動方向とは逆方向に移動させるトルクがかかり、モータ40及び可動部は急速に減速され停止することになる。このようにモータ40は減速制御されて急速に停止する。フィードバック制御としては、移動指令「0」の位置のフィードバック制御といった他の方法も考えられる。なお、モータ減速停止制御部15のフィードバック制御は、他の実施形態も同様に行われる。
【0016】
モータ減速停止制御部15は、内部的にはCPUのようなデバイスの場合、異常検出信号をNMI(ノンマスクインタラプト)等の割り込み端子に接続して割り込みで起動するプログラムで行っても、汎用DI(入力端子)に接続して異常検出信号をポーリングしてもよい。また、単純な制御であれば必ずしもソフトウェアで制御する必要はなく、ハードウェアロジックのみで構成してもよい。
【0017】
図2は、本発明の実施形態2を説明する図である。実施形態2では制御装置は、数値制御装置10、アンプ20、I/Oユニット30を備える。実施形態2では、実施形態1について説明した数値制御装置10が更にPMC部17を備えている。PMC部17は、機械50に対するDI/DO信号を、I/O制御部(以下、I/Oユニットという。)30を介して制御する。PMC部17は、I/Oユニット30を介してDI/DO信号を送受信し、機械50に設けられたセンサやアクチュエータ、周辺機器などを、I/Oユニット30を介してオン/オフ制御している。PMC部17には更に論理和回路14を介して異常検出信号が入力する。
【0018】
特に、機械50の可動軸が重力等の外力の影響を受けて移動するような場合、該可動軸を駆動するモータ40にブレーキ装置(図示せず)が設けられている。モータ40のブレーキ装置のオン/オフもこのPMC部17からのDO信号によってI/Oユニット30を介して制御されるようになっている。PMC部17は異常検出信号を受け取るとブレーキ信号をI/Oユニット30を介してモータ40のブレーキ装置にブレーキ信号を出力するシーケンスプログラムを有するが、このようなシーケンスプログラムを介さずに異常検出信号を受け取ると直接I/Oユニット30を介してモータ40のブレーキ装置にブレーキ信号を出力する経路も併せて設けるとより安全である。
【0019】
実施形態2では、論理和回路14から出力される異常検出信号をPMC部17も受信することで、PMC部17によりモータ40のブレーキ装置の制御を行う。モータ40のブレーキ装置は、PMC部17からブレーキ信号をI/Oユニット30を介して受け取ると、即時にモータ40のブレーキ装置のブレーキを作動させる。これによって、重力等の外力の影響を受けて可動軸が落下することを防止できる。
【0020】
図3は、本発明の実施形態3を説明する図である。実施形態3では制御装置は、数値制御装置10、アンプ20、I/Oユニット30を備える。実施形態3は、実施形態2と同様にPMC部17によりモータ40のブレーキ装置の制御を行う。モータ減速停止制御部15はモータ40に取り付けられている位置・速度検出器からフィードバックされる実速度を監視している。モータ40の実速度が設定速度以下になると、モータ減速停止制御部15はPMC部17にオフ指令信号を送出し、PMC部17はモータ40にブレーキ信号を送り出しモータ40のブレーキ装置を作動させる。モータ40が回転中にブレーキ装置を作動させるとブレーキが損傷する可能性があるため、実施形態3はそのような状況を回避することができる。
【0021】
図4は、本発明の実施形態4を説明する図である。実施形態4では制御装置は、数値制御装置10、アンプ20を備える。実施形態4では、実施形態1について説明した数値制御装置10が更にブレーキ信号制御部18を備えている。実施形態4では、モータ減速停止制御部15はモータ40に取り付けられている位置・速度検出器からフィードバックされる実速度を監視している。モータ40の実速度が設定速度以下になると、モータ減速停止制御部15はブレーキ信号制御部18にオフ指令信号を送出し、ブレーキ信号制御部18はモータ40のブレーキ装置にブレーキ信号を送り出し、モータ40のブレーキ装置のブレーキを作動させる。
実施形態3と同様に、モータ40が回転中にブレーキ装置が作動させるとブレーキが損傷する可能性があるため、実施形態4はそのような状況を回避することができる。ブレーキ信号制御部18は必ずしも数値制御装置10内にある必要はなく、図9に示されるように、オフ指令信号をアンプ20に接続してアンプ20に設けてもよい。
【0022】
図5は、本発明の実施形態5を説明する図である。実施形態5では制御装置は、数値制御装置10、アンプ20を備える。実施形態5は、実施形態4においてアンプ20からモータ40に出力するモータ駆動用出力を切断する構成を付加したものである。数値制御装置10において、論理和回路14から出力される異常検出信号をモータ減速停止制御部15、および、スイッチ部16が受信する。そうすると、モータ減速停止制御部15が起動され、スイッチ部16は、モータ制御部12から出力されるモータ40の駆動指令よりモータ減速停止制御部15からモータ40に出力される指令に、アンプ20の駆動部22に送り出される指令を切り換える。アンプ20は駆動部22を備えている。駆動部22は数値制御装置10のモータ減速停止制御部15の動力切断信号を受信すると、モータ40への駆動電力の供給を停止する。このようにモータ40の動力を遮断することでより安全な状態に移行できる。
【0023】
図6は、本発明の実施形態6を説明する図である。実施形態6では制御装置は、数値制御装置10、アンプ20を備える。実施形態6は、実施形態4においてアンプ20からモータ40に出力するモータ駆動用出力を切断する構成を付加したものである。数値制御装置10において、論理和回路14から出力される異常検出信号をモータ減速停止制御部15、および、スイッチ部16が受信する。そうすると、モータ減速停止制御部15が起動され、スイッチ部16は、モータ制御部12から出力されるモータ40の駆動指令よりモータ減速停止制御部15からモータ40に出力される指令に、アンプ20の駆動部22に送り出される指令を切り換える。
【0024】
アンプ20はウェイト部21および駆動部22を備えている。ウェイト部21は、ウェイトタイマが設けられており、数値制御装置10の論理和回路14から異常検出信号を受信するとウェイトタイマをスタートさせ、予め設定された時間が経過すると動力切断信号を駆動部22に送り出す。駆動部22は動力切断信号を受信すると、モータ40への駆動電力の供給を停止する。このようにモータ40の動力を遮断することでより安全な状態に移行できる。動力切断信号がウェイト部21から駆動部22に送り出されるタイミングはモータ減速停止制御部15において監視されるモータ40の実速度が設定速度以下になる時期になるように予め設定しておく。
【0025】
図7は、本発明の実施形態7を説明する図である。実施形態7では制御装置は、数値制御装置10、アンプ20、I/Oユニット30を備える。実施形態7は、実施形態2においてPMC部17の異常検出を行う手段を付加した構成である。特に、機械50の可動軸が重力等の外力の影響を受けて移動するような場合、該可動軸を駆動するモータ40にブレーキ装置が設けられている。モータ40のブレーキ装置のオン/オフもこのPMC部17からのDO信号によってI/Oユニット30を介して制御されるようになっている。論理和回路14から出力される異常検出信号をPMC部17も受信することで、PMC部17によりモータ40のブレーキ装置の制御を行うとともに即時にモータ40のブレーキ装置のブレーキを作動させる。
【0026】
PMC部17に異常が発生したとき、PMC部17は数値制御部11、モータ制御部12、あるいは、PMC部17に異常が発生した場合、モータ40のブレーキ装置にブレーキ信号を送り出すことができなくなる。そうすると、機械の可動軸が重力などの外力の影響を受けて移動するような場合、このような可動軸を安全にロック状態にできなくなってしまう。実施形態7はPMC部17の異常を検出することによってこのような状況にすばやく対応できる。
【0027】
図8は、本発明の実施形態8を説明する図である。実施形態8では制御装置は、数値制御装置10、アンプ20を備える。実施形態8は、モータ減速停止制御部25をアンプ20に設けた構成である。モータ40の減速停止は通信断線や数値制御装置10で異常が検出された場合に行われる。数値制御装置10からの異常検出信号は通信のデータとして通知してもよいし、通信断線を発生させて通知してもよい。
【0028】
数値制御装置10は、数値制御部11、モータ制御部12、異常検出回路13、論理和回路14、通信部19を備えている。アンプ20は、通信部23、スイッチ部24、モータ減速停止制御部25、駆動部26を備えている。数値制御装置10とアンプ20とは、数値制御装置10に備わった通信部19とアンプ20に備わった通信部23を介して、通信線で接続されている。アンプ20は、通信部19と通信部23を介して数値制御装置10のアンプ20から送り出されるモータを駆動する指令を受ける。
【0029】
通信部23を介して数値制御装置10からの異常検出信号をスイッチ部24およびモータ減速停止制御部25が受信すると、モータ減速停止制御部25が起動され、スイッチ部24は、モータ駆動部26に出力される指令を、モータ制御部12より出力されるモータ40の駆動指令からモータ減速停止制御部25よりモータ40に出力される指令に切り換える。なお、数値制御装置10の異常検出信号は通信のデータとして通知してもよいし、通信断線を発生させて通知してもよい。
【0030】
モータ減速停止制御部25は、例えば、速度指令「0」の速度のフィードバック制御をなす。モータ40及び該モータ40で駆動される機械の可動部は速度指令が「0」となっても、直ちに停止することができず、移動する。その結果、速度偏差が増大し、モータ40にはそれまでの移動方向とは逆方向に移動させるトルクがかかり、モータ40及び可動部は急速に減速され停止することになる。このようにモータ40は減速制御されて急速に停止する。フィードバック制御としては、移動指令「0」の位置のフィードバック制御といった他の方法も考えられる。
【0031】
モータ減速停止制御部25は、内部的にはCPUのようなデバイスの場合、異常検出信号をNMI(ノンマスクインタラプト)等の割り込み端子に接続して割り込みで起動するプログラムで行っても、汎用DIに接続して異常検出信号をポーリングしてもよい。また、単純な制御であれば必ずしもソフトウェアで制御する必要はなく、ハードウェアロジックのみで構成してもよい。
【0032】
従来は、通信線の断線が発生すると、モータ制御部12による制御が不可能となり、アンプ20側で通信断線を検出してアンプ20の動力を即断する必要があるため、高速に動いている軸を安全に停止することも、動力軸の落下を防止することもできなかった。実施形態8によって、アンプ20に設けたモータ減速停止制御部25により減速停止することが可能であるため、高速に動いている軸を安全に停止し、重力軸の落下防止を実現できる。
【0033】
図9は、本発明の実施形態9を説明する図である。実施形態9では制御装置は、数値制御装置10、アンプ20を備える。実施形態9は実施形態8にブレーキ信号制御部27をアンプ20に設けた構成である。モータ減速停止制御部25はモータ40に取り付けられている位置・速度検出器からフィードバックされる実速度を監視している。モータ減速停止制御部25は異常検出信号を受け取り(あるいは通信断線を検出し)、モータ40の実速度が設定速度以下になると、モータ減速停止制御部25はブレーキ信号制御部27にオフ指令信号を送出し、モータ40のブレーキ装置のブレーキを作動させる。モータ40が回転中にブレーキ装置のブレーキを作動させるとブレーキが損傷する可能性があるため、実施形態9はそのような状況を回避することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 数値制御装置
11 数値制御部
12 モータ制御部
13 異常検出部
14 論理和回路
15 モータ減速停止制御部
16 スイッチ部
17 PMC部
18 ブレーキ信号制御部
19 通信部

20 アンプ
21 ウェイト部
22 駆動部
23 通信部
24 スイッチ部
25 モータ減速停止制御部
26 駆動部
27 ブレーキ信号制御部

30 I/Oユニット
40 モータ
50 機械

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動指令を出力する数値制御部と、該数値制御部からの移動指令に基づいてモータを駆動する指令を出力するモータ制御部と、該モータ制御部からの指令に基づいてモータを駆動するモータ駆動用アンプと、前記数値制御部または前記モータ制御部の異常を検出する異常検出部を備えた制御装置において、
前記モータを減速停止させるモータ減速停止部を備え、
前記モータ減速停止制御部は前記異常検出部からの異常検出信号を受けてモータを減速停止させることを特徴とする異常時モータ減速停止制御機能を備えた制御装置。
【請求項2】
機械へのDI/DO信号を制御すると共に前記数値制御部とデータのやり取りを行うプログラマブル・マシン・コントローラ部を備え、
前記モータはブレーキ装置を有し、
前記プログラマブル・マシン・コントローラ部は、前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けて少なくとも前記ブレーキ装置に対するDO信号をオフすることにより該ブレーキ装置のブレーキを作動させる手段を有し、
前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けて、前記モータ減速停止制御部によりモータを減速停止させると共に前記プログラマブル・マシン・コントローラ部により前記ブレーキ装置のブレーキを作動させることを特徴とする請求項1記載の異常時モータ減速停止制御機能を備えた制御装置。
【請求項3】
機械へのDI/DO信号を制御すると共に前記数値制御部とデータのやり取りを行うプログラマブル・マシン・コントローラ部を備え、
前記モータはブレーキ装置を有し、
前記モータ減速停止制御部は、前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けてモータを減速停止させると共にフィードバックされてくるモータの実速度が設定速度以下になると、前記プログラマブル・マシン・コントローラ部にDO信号をオフする信号を送出する手段を有し、
前記プログラマブル・マシン・コントローラ部は、DO信号をオフする信号を受けて少なくともブレーキ装置に対するDO信号をオフする手段を有し、
前記ブレーキ装置に対するDO信号がオフになることによって該ブレーキ装置のブレーキを作動させることを特徴とする請求項1記載の異常時モータ減速停止制御機能を備えた制御装置。
【請求項4】
前記モータのブレーキ装置のブレーキを作動させるためのDO信号の制御を行うブレーキ信号制御部を備え、
前記モータはブレーキ装置を有し、
前記モータ減速停止制御部は、前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けてモータを減速停止させると共にフィードバックされてくるモータの実速度が設定速度以下になると、前記ブレーキ信号制御部にDO信号をオフする信号を送出する手段を有し、
前記ブレーキ信号制御部は、DO信号をオフする信号を受けて少なくともブレーキ装置に対するDO信号がオフする手段を有し、
前記ブレーキ装置に対するDO信号がオフになることによって該ブレーキ装置のブレーキを作動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項5】
前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けてモータを減速停止させると共にモータの実速度が設定速度以下の条件に達するとモータを駆動するモータ駆動用アンプのモータ駆動出力を切断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項6】
前記異常検出部からの前記異常検出信号を受けてモータを減速停止させると共に設定時間後に前記モータ駆動用アンプの動力を切断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項7】
前記異常検出部が前記プログラマブル・マシン・コントローラ部の異常も検出することを特徴とする請求項2または3のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項8】
前記モータ減速停止制御部を前記モータ駆動用アンプに設け、
前記異常検出部が、前記モータ制御部の異常、または、前記数値制御部の異常、または、モータ制御部と前記モータ駆動用アンプの接続の異常を検出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−221428(P2012−221428A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89513(P2011−89513)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】