説明

異常監視装置

【課題】 トイレ内で人体を検知して異常を監視する装置は、設置条件などの不整備が原因で誤報が多い欠点があった。 設置環境が悪くてもその影響を受けにくく誤動作しない異常監視装置を提供する。
【解決手段】 人体の生体振動が水洗トイレの水面に微振動を与え、その微振動を超音波センサーの反射波で検知する手段と、超音波反射波強度を時系列データとして人体と人体以外の振動の相違を処理装置が分析・処理する手段と、人体を検出してから異常監視装置が監視タイマーを起動して便座に居る時間が一定時間以上になった場合、及び入退出を検出するセンサーによって一定時間以上退出を検知出来なかった場合、異常と判断して管理者などに異常を報知する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 病院や介護施設やシルバーマンションなどで使用されるトイレの異常監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ内で人体を検知して異常を監視する装置は、多くの装置が提案されているが、設置条件などの不整備が原因で誤報が多い欠点があった。 例えば、赤外線センサーであれば、トイレットペーパーや清掃用具を置かれた為に光線が遮断され正常に動作しなかったり、床の加重を検知するマットセンサーでは、物を置かれて誤作動するなどである。 その他に、猫や昆虫の小動物による誤動作、床が水で塗れて反射のために誤動作、カーテンの揺れによる誤動作、トイレスペースが狭い為にセンサーが検知できない誤動作など多くの要因が挙げられる。 その中で赤外線を利用した監視装置として特許文献1の提案がある。(特許文献1を参照)
【特許文献1】特許公開2004−267558
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、設置環境が悪くてもその影響を受けにくく誤動作しない異常監視装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
人体の生体振動が水洗トイレの水面に微振動を与え、その微振動を超音波センサーの反射波で検知する手段と、超音波反射波強度を時系列データとして人体と人体以外の振動の相違を処理装置が分析・処理する手段と、人体を検出してから異常監視装置が監視タイマーを起動して便座に居る時間が一定時間以上になった時、異常と判断して管理者などに異常を報知する手段を備える。
【0005】
処理装置によって人体が検知された後、便座に居る時間が一定時間以上になる前に人体反応が無くなり、入退出を検出するセンサー(赤外線センサー、ドアロック信号、床マットセンサーのいずれか)が一定時間以上退出を検知出来なかった場合、異常監視装置が異常と判断して管理者などに異常を報知する手段を備える。
【0006】
入退出を検出するセンサー(赤外線センサー、ドアロック信号、床マットセンサーのいずれか)がトイレの入室を検知してから一定時間以上、処理装置による人体の検出または入退出を検出するセンサーによる退出の検出が行われない場合、異常監視装置が異常と判断して管理者などに異常を報知する手段を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、設置環境に影響されにくい水洗トイレの水面の微振動を利用して人体を検出するため、
誤報を無くすことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、異常監視装置の構成を示す。
図2は、異常監視装置に於いて異常監視部の動作タイムチャートを示す。
【0009】
図1に於いて、超音波センサー(15)の超音波発生器(3)で超音波を発生させ、送波器(1)から水洗トイレの水面に放射する。 水面に反射して戻ってきた超音波を受波器(2)で受け、反射信号は増幅器(4) 、受波信号送信部(5)を経て処理装置(16)に送られる。
【0010】
処理装置(16)は、超音波センサー(15)からの反射信号をインタフェース部(6)で受け、
AD変換部(7)でアナログ信号をデジタル信号に変換してから信号処理部(8)へ送り、信号処理部(8)では反射信号のピーク値を時系列にプロットし、最大・最小の振幅比を算出する。
時系列に得られた振幅比の形態が人体による水面の振動とその他による振動の相違から、人体を検出する。 信号処理部には、事前に人体による振動の複数パターンを記憶してあり、そのパターンと比較することで入力された反射信号が人体による振動か判断する。 信号処理部(8)は人体を検出すると、人体検知信号をインタフェース部(9)を経由して異常監視部(17)へ出力する。
【0011】
異常監視部(17)では、人体検知信号の他に、ドアロックセンサー(12)または、赤外線センサー(13)または、床マットセンサー(14)の信号をインタフェース部(11)で受けて、監視処理部(10)にてトイレ室内の人体異常を監視する。 異常が検知されると、監視処理部(10)は外部の異常警報表示装置などへ部屋番号、ベッド番号、トイレ番号と共に異常の内容を送信する。
【0012】
トイレ室内の人体異常を監視する一例を図2にて、説明する。
図2は、トイレの入退出を赤外線センサーによって得る場合を示すが、ドアロックセンサーや床マットセンサーでも基本的には同等である。 赤外線センサーの場合は、トイレの室内ドア近辺に取り付けられた赤外線発光部、受光部の間を人が横切ると赤外線が遮断されることで入退出を検知する。 赤外線センサーを水平方向に複数本設置すれば、遮断される時間差によって入室か退室か判断できる。
【0013】
図2に於いて、人がトイレに入室すると、異常監視部(17)に赤外線遮断信号(20)が入力される。 赤外線遮断信号(20)によって入室と判断されると、監視タイマー1(22)が起動する。 監視タイマー1、2、3は、全て監視処理部(10)の処理上のソフトタイマーである。
【0014】
監視タイマー1(22)は、人体検知信号(23)が来れば停止するが、一定時間以上経過しても
人体検知信号(23)が来なければ、監視処理部(10)は異常と判断して外部へ異常警報を出力する。 この場合の異常は、入室者が長時間トイレ内にいる異常である。
【0015】
監視タイマー2(24)は、人体検知信号(23)が来ると起動し、人体検知が無くなると停止する。 監視タイマー2(24)は、一定時間以上経過すると異常と判断される。 この場合の異常は、入室者が長時間便座に居る異常である。
【0016】
人体検知信号(23)が無くなると、 監視タイマー3(25)が起動され、 赤外線遮断信号(21)によって停止する。 監視タイマー3(25)は、一定時間以上経過すると異常と判断される。 この場合の異常は、トイレの使用を終了した入室者が長時間退室しない異常である。
【0017】
赤外線遮断信号(20)が得られずにいきなり人体検知信号(23)がある場合は、監視タイマー1(22)の機能は無視される。 この場合、赤外線センサーの信用度が低い為、監視タイマー3(25)がタイムアップしたら警報ではなく注意報を出力する。
【0018】
誤動作の防止として、赤外線が長時間遮断された場合は、遮蔽物が置かれた可能性があるため、外部へ注意報を出力する。 また、通常と異なる水面の検知が長時間継続した場合も外部へ注意報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】異常監視装置の構成
【図2】異常監視部の動作タイムチャート
【符号の説明】
【0020】
1.
送波器
2.
受波器
3.
超音波発生器
4.
増幅器
5.
受波信号送信部
6.
インタフェース部
7.
アナログ・デジタル変換部
8.
信号処理部
9.
インタフェース部
10.
監視処理部
11.
インタフェース部
12.
ドアロックセンサー
13.
赤外線センサー
14.
床マットセンサー
15.
超音波センサー
16.
処理装置
17.
異常監視部
20.
赤外線遮断信号(入室)
21.
赤外線遮断信号(退室)
22.
監視タイマー1
23.
人体検知信号
24.
監視タイマー2
25.
監視タイマー3

























【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗トイレの水面変動を検出する超音波センサーと、前記超音波センサーの水面での反射波強度を分析・処理する処理装置とを備え、 前記処理装置の処理によって人体が便座に居ることを検出して、トイレ内に居る時間を監視することを特徴とする異常監視装置。
【請求項2】
水洗トイレの水面変動を検出する超音波センサーと、前記超音波センサーの水面での反射波強度を分析・処理する処理装置とを備え、人体の呼吸や脈動などの微振動を水面で捉え、前記処理装置の処理によって人体が便座に正常で居るか否かを監視することを特徴とする異常監視装置。
【請求項3】
トイレの入室者が一定時間以上便座に座ったままトイレ内に居た時に異常と判断して、警報を管理者や介護者などに報知することを特徴とする請求項1及び請求項2記載の異常監視装置。
【請求項4】
トイレドアのロック信号または、赤外線によるトイレ入退出信号またはトイレの床マット感圧信号と請求項1及び請求項2の人体検知を組み合わせ、トイレの入室者が便座から離れてからトイレ内に一定時間以上居た時に異常と判断して、警報を管理者や介護者などに報知することを特徴とする請求項1及び請求項2記載の異常監視装置。
【請求項5】
トイレドアのロック信号または、赤外線によるトイレ入退出信号またはトイレの床マット感圧信号と請求項1及び請求項2の人体検知を組み合わせ、トイレの入室者が入室してから便座に座らずにトイレ内に一定時間以上居た時に異常と判断して、警報を管理者や介護者などに報知することを特徴とする請求項1及び請求項2記載の異常監視装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−330952(P2006−330952A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151778(P2005−151778)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】