説明

異常行動防止薬及びこれを含むインフルエンザ治療薬

【課題】オセルタミビルなどのインフルエンザ治療薬の服用後における異常行動を防止する。
【解決手段】本発明による異常行動防止薬は、アセタゾラミド、ベンゾジアゼピン系化合物、バルプロ酸、フェントラミン及びフルオキセチンからなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物を有効成分として含有する。本発明によれば、ハロペリドールとクロニジンの併用によって発現し、インフルエンザ治療薬によって増強される異常行動を効果的に抑制することが可能となる。したがって、インフルエンザ患者にハロペリドール及びクロニジンが既に投与されているか否かにかかわらず、また、ハロペリドール及びクロニジンを今後投与する予定があるか否かにかかわらず、オセルタミビルなどのインフルエンザ治療薬を安心して投与することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異常行動防止薬に関し、特に、オセルタミビル等のインフルエンザ治療薬によって増強される異常行動を防止する異常行動防止薬に関する。また、本発明は、このような異常行動防止薬を含有するインフルエンザ治療薬に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザ治療薬としてオセルタミビルが広く使用されているが、特に若年層において服用後に異常行動を起こす現象が報告されている。異常行動としては「ジャンピング行動」と呼ばれる高所からの飛び降り行動が最も顕著である(非特許文献1,2参照)。
【非特許文献1】Acta Psychiatry Scand. 78(2), 176-181 (1988)
【非特許文献2】Respiratory Research 6, 135 (2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
異常行動の原因がオセルタミビル自体に起因するものであるのか、原疾患に起因するものであるのか、学術的に未だ解明されていない。しかしながら、異常行動による死者が発生していることは紛れもない事実である。また、オセルタミビルだけでなく、ザナミビル水和物や塩酸アマンタジンなど、他のインフルエンザ治療薬の服用後においても異常行動が見られることがあった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、オセルタミビルなどのインフルエンザ治療薬の服用後における異常行動を防止することが可能な異常行動防止薬を提供することである。
【0005】
また、本発明の他の目的は、服用後における異常行動を防止することが可能なインフルエンザ治療薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、オセルタミビルなどのインフルエンザ治療薬の服用後における異常行動の原因について鋭意研究及び実験を重ねた結果、異常行動の原因がインフルエンザ治療薬自体にあるのではなく、他の要因によって発現した異常行動がインフルエンザ治療薬、特にオセルタミビルによって増強されることを見いだした。
【0007】
つまり、本発明者は、ハロペリドールとクロニジンの併用が異常行動を発現させる要因の一つである点に着目した。ハロペリドール、クロニジン又はインフルエンザ治療薬をそれぞれ単独で服用しても異常行動の発現は見られないが、ハロペリドールとクロニジンを併用すると少数ながら異常行動の発現が見られ、発現した異常行動がオセルタミビルなどのインフルエンザ治療薬によって有意に増強されることを見いだしたのである。すなわち、ハロペリドール、クロニジン及びインフルエンザ治療薬(特にオセルタミビル)の3剤を併用すると、異常行動が強く発現することが明らかとなった。
【0008】
しかしながら、本発明者によるさらなる研究及び実験によれば、上記の3剤を併用した状態であっても、アセタゾラミド、ベンゾジアゼピン系化合物、バルプロ酸、フェントラミン及びフルオキセチンをさらに併用すると、異常行動が著しく抑制されることが判明した。
【0009】
本発明は、このような技術的知見に基づきなされたものであって、本発明による異常行動防止薬は、アセタゾラミド、ベンゾジアゼピン系化合物、バルプロ酸、フェントラミン及びフルオキセチンからなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物を有効成分として含有することを特徴とする。また、本発明によるインフルエンザ治療薬は、オセルタミビルと、アセタゾラミド、ベンゾジアゼピン系化合物、バルプロ酸、フェントラミン及びフルオキセチンからなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物とを有効成分として含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ハロペリドールとクロニジンの併用によって発現し、オセルタミビルなどのインフルエンザ治療薬によって増強される異常行動を効果的に抑制することが可能となる。したがって、インフルエンザ患者にハロペリドール及びクロニジンが既に投与されているか否かにかかわらず、また、ハロペリドール及びクロニジンを今後投与する予定があるか否かにかかわらず、オセルタミビルなどのインフルエンザ治療薬を安心して投与することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、本発明の好ましい実施形態による異常行動防止薬について説明する。
【0012】
本発明の好ましい第1の実施形態による異常行動防止薬は、アセタゾラミドを有効成分として含有する。投与方法としては経口投与及び腹腔内投与が可能であるが、人体に投与する場合には経口投与が好ましい。用法としては、インフルエンザ治療薬であるオセルタミビルの投与の2時間前から投与の30分後までの期間に投与することが好ましい。これは、アセタゾラミドの投与がオセルタミビルの投与の2時間以上前であると、分解により体内におけるアセタゾラミドの濃度が低下するからであり、アセタゾラミドの投与がオセルタミビルの投与から30分以上後であると、薬効が異常行動の発現に間に合わないおそれがあるからである。さらに、アセタゾラミドは、オセルタミビルの投与の30分前からオセルタミビルの投与までの期間に投与することがより好ましい。これは、この期間にアセタゾラミドを投与すれば、オセルタミビルが投与される時点において体内にアセタゾラミドが十分な濃度で存在する状態となるからである。この点を考慮すると、アセタゾラミドはオセルタミビルの投与の10分前程度のタイミングで投与することが最も好ましい。用量としては、体重1kg当たり20mg以上であることが好ましく、体重1kg当たり150mg以上であることがより好ましい。
【0013】
本発明の好ましい第2の実施形態による異常行動防止薬は、ベンゾジアゼピン系化合物を有効成分として含有する。好ましい投与方法及び用法は、上述した第1の実施形態と同様である。用量としては、体重1kg当たり0.5mg以上であることが好ましい。ベンゾジアゼピン系化合物としては、ジアゼパムを選択することが好ましい。
【0014】
本発明の好ましい第3の実施形態による異常行動防止薬は、バルプロ酸を有効成分として含有する。好ましい投与方法及び用法は、上述した第1の実施形態と同様である。用量としては、体重1kg当たり20mg以上であることが好ましく、体重1kg当たり40mg以上であることがより好ましい。
【0015】
本発明の好ましい第4の実施形態による異常行動防止薬は、フェントラミンを有効成分として含有する。好ましい投与方法及び用法は、上述した第1の実施形態と同様である。用量としては、体重1kg当たり10mg以上であることが好ましい。
【0016】
本発明の好ましい第5の実施形態による異常行動防止薬は、フルオキセチンを有効成分として含有する。好ましい投与方法及び用法は、上述した第1の実施形態と同様である。用量としては、体重1kg当たり5mg以上であることが好ましい。
【0017】
上述した第1〜第5の実施形態による異常行動防止薬は、ハロペリドールとクロニジンの併用によって発現し、インフルエンザ治療薬によって増強される異常行動を効果的に抑制することが可能である。抑制しうる異常行動としては、ハロペリドールとクロニジンの併用によって発現し、インフルエンザ治療薬によって増強される異常行動であれば制限されないが、「ジャンピング行動」と呼ばれる高所からの飛び降り行動を最も効果的に抑制することが可能となる。異常行動を増強するインフルエンザ治療薬としては、オセルタミビル、ザナミビル水和物及び塩酸アマンタジンが挙げられるが、中でもオセルタミビルが最も増強作用が顕著である。したがって、本実施形態による異常行動防止薬は、オセルタミビルとの併用が最も効果的である。
【0018】
ハロペリドールとクロニジンの併用によって異常行動が発現する理由、オセルタミビルなどのインフルエンザ治療薬によって異常行動が増強される理由、上記の異常行動防止薬によって異常行動が抑制される理由は、現時点ではいずれも明らかではない。しかしながら、異常行動の発現及び増強は、各種中枢神経伝達物質系の不均衡が関与しているものと考えられ、上記の異常行動防止薬による異常行動の抑制作用は、その是正によるものであると考えられる。
【0019】
次に、本発明の好ましい実施形態によるインフルエンザ治療薬について説明する。
【0020】
本発明の好ましい第1の実施形態によるインフルエンザ治療薬は、オセルタミビル及びアセタゾラミドを有効成分として含有する。これら有効成分のうち、アセタゾラミドは、オセルタミビルによって増強されうる異常行動の発現を抑制する役割を果たす。投与方法としては、オセルタミビルについては経口投与が好ましく、アセタゾラミドについては経口投与及び腹腔内投与が可能であるが、人体に投与する場合には経口投与が好ましい。用法及び用量は、第1の実施形態による異常行動防止薬において説明したとおりである。
【0021】
本発明の好ましい第2の実施形態によるインフルエンザ治療薬は、オセルタミビル及びベンゾジアゼピン系化合物を有効成分として含有する。これら有効成分のうち、ベンゾジアゼピン系化合物は、オセルタミビルによって増強されうる異常行動の発現を抑制する役割を果たす。投与方法としては、オセルタミビルについては経口投与が好ましく、ベンゾジアゼピン系化合物については経口投与及び腹腔内投与が可能であるが、人体に投与する場合には経口投与が好ましい。用法及び用量は、第2の実施形態による異常行動防止薬において説明したとおりである。また、ベンゾジアゼピン系化合物としては、ジアゼパムを選択することが好ましい。
【0022】
本発明の好ましい第3の実施形態によるインフルエンザ治療薬は、オセルタミビル及びバルプロ酸を有効成分として含有する。これら有効成分のうち、バルプロ酸は、オセルタミビルによって増強されうる異常行動の発現を抑制する役割を果たす。投与方法としては、オセルタミビルについては経口投与が好ましく、バルプロ酸については経口投与及び腹腔内投与が可能であるが、人体に投与する場合には経口投与が好ましい。用法及び用量は、第3の実施形態による異常行動防止薬において説明したとおりである。
【0023】
本発明の好ましい第4の実施形態によるインフルエンザ治療薬は、オセルタミビル及びフェントラミンを有効成分として含有する。これら有効成分のうち、フェントラミンは、オセルタミビルによって増強されうる異常行動の発現を抑制する役割を果たす。投与方法としては、オセルタミビルについては経口投与が好ましく、フェントラミンについては経口投与及び腹腔内投与が可能であるが、人体に投与する場合には経口投与が好ましい。用法及び用量は、第4の実施形態による異常行動防止薬において説明したとおりである。
【0024】
本発明の好ましい第5の実施形態によるインフルエンザ治療薬は、オセルタミビル及びフルオキセチンを有効成分として含有する。これら有効成分のうち、フルオキセチンは、オセルタミビルによって増強されうる異常行動の発現を抑制する役割を果たす。投与方法としては、オセルタミビルについては経口投与が好ましく、フルオキセチンについては経口投与及び腹腔内投与が可能であるが、人体に投与する場合には経口投与が好ましい。用法及び用量は、第5の実施形態による異常行動防止薬において説明したとおりである。
【0025】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0026】
例えば、第1〜第5の実施形態による異常行動防止薬は、それぞれアセタゾラミド、ベンゾジアゼピン系化合物、バルプロ酸、フェントラミン及びフルオキセチンを有効成分として含有しているが、本発明による異常行動防止薬は、これらのうち2以上の有効成分を含有していても構わない。同様に、第1〜第5の実施形態によるインフルエンザ治療薬は、それぞれアセタゾラミド、ベンゾジアゼピン系化合物、バルプロ酸、フェントラミン及びフルオキセチンを有効成分として含有しているが、本発明によるインフルエンザ治療薬は、これらのうち2以上の有効成分を含有していても構わない。
【0027】
また、本発明による異常行動防止薬及びインフルエンザ治療薬の投与方法については特に限定されるものではない。さらに、本発明によるインフルエンザ治療薬は、オセルタミビルを含有する部分と異常行動防止薬を含有する部分とが別個であっても構わないし、一体であっても構わない。これらが別個である場合、同時に服用しても構わないし、時間をおいて別々に服用しても構わない。
【実施例】
【0028】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0029】
まず、図1に示すジャンピング台10を用意し、水平な基準面20に固定した。基準面20は、ジャンピング行動に影響しないよう十分な面積を確保した。ジャンピング台10は、一端が基準面20に固定される支柱部12と、支柱部12の他端に固定されたプラットフォーム14とを有している。支柱部12の高さは35cmであり、プラットフォーム14の主面は直径32cmの正八角形である。
【0030】
次に、図2に示すスケジュールで各種薬剤をマウスに投与した後、当該マウスをジャンピング台10のプラットフォーム14に載置した。図2に示すように、薬剤の投与タイミングは4回である。
【0031】
1回目の投与タイミングである時刻t1は、異常行動防止薬又はその対照薬を投与するタイミングである。2回目の投与タイミングである時刻t2は、オセルタミビル又はその対照薬を投与するタイミングである。3回目の投与タイミングである時刻t3は、ハロペリドール又はその対照薬を投与するタイミングである。4回目の投与タイミングである時刻t4は、クロニジン又はその対照薬を投与するタイミングである。
【0032】
時刻t1から時刻t2までの期間T1は10分に設定した。これは、オセルタミビルを投与する時点で異常行動防止薬が体内に存在する状態とするためである。また、時刻t2から時刻t3までの期間T2は15分に設定した。これは、ハロペリドールを投与する時点でオセルタミビルが全身に行き渡っている状態とするためである。また、時刻t3から時刻t4までの期間T3は5分に設定した。期間T3はゼロ(すなわち、ハロペリドールとクロニジンを同時に投与)であっても構わないが、これらは混合しにくいことから、5分程度の期間を空けてこれらを投与した。期間T3を5分に設定したのは、マウスへの負荷を考慮したものである。
【0033】
各時刻t1〜t4にて投与した薬剤(又は対照薬)の組み合わせを図3に示す。
【0034】
図3に示すように、時刻t1においては、比較例1〜4では対照薬である生理食塩水(Sal)を腹腔内投与した。これに対し、実施例1〜8では各種異常行動防止薬を生理食塩水に溶かして腹腔内投与した。具体的には、実施例1,2ではアセタゾラミドを投与し、実施例3,4ではベンゾジアゼピン系化合物としてジアゼパムを投与し、実施例5,6ではバルプロ酸を投与し、実施例7ではフェントラミンを投与し、実施例8ではフルオキセチンを投与した。投与した異常行動防止薬の濃度は、図3に示すとおりである。
【0035】
時刻t2においては、比較例1,3では対照薬である濃度0.1%のカルボキシメチルセルロース(CMC)を経口投与した。これに対し、比較例2,4及び実施例1〜8ではオセルタミビルを濃度0.1%のカルボキシメチルセルロースに懸濁して経口投与した。投与したオセルタミビルの濃度は、図3に示すとおりである。
【0036】
時刻t3においては、比較例1,2では対照薬である生理食塩水(Sal)を腹腔内投与した。これに対し、比較例3,4及び実施例1〜8ではハロペリドール(Halo)を生理食塩水に溶かして腹腔内投与した。投与したハロペリドールの濃度は、体重1kg当たり0.5mgとした。
【0037】
時刻t4においては、比較例1,2では対照薬である生理食塩水(Sal)を腹腔内投与した。これに対し、比較例3,4及び実施例1〜8ではクロニジン(Clo)を生理食塩水に溶かして腹腔内投与した。投与したクロニジンの濃度は、投与したハロペリドールの濃度は、体重1kg当たり10mgとした。
【0038】
このようにしてマウスに各種薬剤(又は対照薬)を投与した後、図1に示したジャンピング台10のプラットフォーム14に当該マウスを載置し、ジャンピング行動の有無を期間T4に亘って観察した。期間T4は40分に設定した。ジャンピング行動は、マウスがプラットフォーム14から基準面20に飛び降りた場合に1回とカウントし、基準面20に飛び降りたマウスは再びプラットフォーム14に戻し、期間T4が経過するまでこれを繰り返した。尚、当該マウスは、この実験までプラットフォーム14に置かれたことはない。
【0039】
観察の結果を図4に示す。図4には、比較例及び実施例ごとに、実験に用いたマウスの数(A)と観察されたジャンピング行動の延べ回数(B)、並びに、1個体当たりの平均ジャンピング回数(B/A)を示している。
【0040】
図4に示すように、対照薬のみを投与した比較例1では、ジャンピング行動は1度も観察されなかった。また、薬剤がハロペリドールのみである比較例2、薬剤がクロニジンのみである比較例3、並びに、薬剤がオセルタミビルのみである比較例4においても、ジャンピング行動は1度も観察されなかった。
【0041】
これに対し、ハロペリドールとクロニジンを併用した比較例5においては、ジャンピング行動が観察されたが、その頻度は僅かであった(B/A=0.63回)。しかしながら、オセルタミビルをさらに併用した比較例6ではジャンピング行動が有意に増強され、1個体当たりの平均ジャンピング回数(B/A)は22.6回に達した。
【0042】
実施例1〜8は、時刻t1において異常行動防止薬を投与した他は比較例6と同じ条件であるが、図4に示すように、ジャンピング行動が著しく抑制されていることが分かる。
【0043】
具体的に説明すると、異常行動防止薬としてアセタゾラミドを投与した場合、体重1kg当たりの濃度が20mgのケース(実施例1)においては1個体当たりの平均ジャンピング回数(B/A)は0.5回となり、体重1kg当たりの濃度が150mgのケース(実施例2)においてはジャンピング行動が全く観察されなかった。これにより、アセタゾラミドが異常行動防止薬として有効であることが確認されるとともに、その濃度を体重1kg当たり150mg以上とすれば、異常行動がほぼ防止されることが確認された。
【0044】
また、異常行動防止薬としてジアゼパムを投与した場合、体重1kg当たりの濃度が0.5mgのケース(実施例3)及び1mgのケース(実施例4)のいずれにおいても、ジャンピング行動が全く観察されなかった。これにより、ジアゼパムが異常行動防止薬として非常に有効であることが確認された。
【0045】
また、異常行動防止薬としてバルプロ酸を投与した場合、体重1kg当たりの濃度が20mgのケース(実施例5)においては1個体当たりの平均ジャンピング回数(B/A)は0.33回となり、体重1kg当たりの濃度が40mgのケース(実施例6)においてはジャンピング行動が全く観察されなかった。これにより、バルプロ酸が異常行動防止薬として有効であることが確認されるとともに、その濃度を体重1kg当たり40mg以上とすれば、異常行動がほぼ防止されることが確認された。
【0046】
また、異常行動防止薬としてフェントラミンを投与した場合、体重1kg当たりの濃度が10mgのケース(実施例7)において1個体当たりの平均ジャンピング回数(B/A)が2.25回となった。これにより、フェントラミンが異常行動防止薬として有効であることが確認された。
【0047】
また、異常行動防止薬としてフルオキセチンを投与した場合、体重1kg当たりの濃度が5mgのケース(実施例8)においてジャンピング行動が全く観察されなかった。これにより、フルオキセチンが異常行動防止薬として非常に有効であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ジャンピング行動の観察に用いたジャンピング台10の構造を示す略斜視図である。
【図2】投薬スケジュールを説明するための図である。
【図3】比較例1〜6及び実施例1〜8にて投与した薬剤(又は対照薬)の組み合わせを示す表である。
【図4】比較例1〜6及び実施例1〜8におけるジャンピング行動の観察結果を示す表である。
【符号の説明】
【0049】
10 ジャンピング台
12 支柱部
14 プラットフォーム
20 基準面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセタゾラミド、ベンゾジアゼピン系化合物、バルプロ酸、フェントラミン及びフルオキセチンからなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物を有効成分として含有する異常行動防止薬。
【請求項2】
オセルタミビルと、アセタゾラミド、ベンゾジアゼピン系化合物、バルプロ酸、フェントラミン及びフルオキセチンからなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物とを有効成分として含有するインフルエンザ治療薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−269856(P2009−269856A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121706(P2008−121706)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(504089688)
【Fターム(参考)】