説明

異物検知センサの固定構造及び異物検知装置

【課題】取付け面からの異物検知センサの高さを抑えることができる異物検知センサの固定構造を提供する。
【解決手段】車体に形成された後部開口部を開閉するドアパネル5における前記後部開口部の周縁部と対向する周縁部に設けられた取付け面5aには、樹脂製のブラケット12が取り付けられている。異物検知センサ31は、該異物検知センサ31の外周面から突出した支持部41が、異物検知センサ31の長手方向と直交する断面において取付け面5aに対して傾斜するようにブラケット12に差し込まれることで同ブラケット12に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物検知センサをブラケットに固定する異物検知センサの固定構造、該固定構造を備えた異物検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ等の駆動力により電動でドアパネルを移動させて車体に形成された開口部(乗降口、後部開口部等)を開閉する電動ドア開閉装置には、開口部の周縁部とドアパネルとの間への異物の挟み込みを防止するために、開口部の周縁部とドアパネルとの間に存在する異物を検知する異物検知装置を備えたものがある。例えば、特許文献1に記載された異物検知装置では、異物から加えられる外力によって弾性変形されることで当該異物を検知する異物検知センサを、ドアパネルの周縁部に取り付けられた金属製のブラケットに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−242535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両に搭載される部品の軽量化が望まれている。そして、異物検知装置において軽量化を図るためには、金属製のブラケットに代えて、樹脂製のブラケットを使用することが望ましい。
【0005】
また、車両において異物検知センサが配置される場所は、開口部を閉鎖したドアパネルと開口部の周縁部との間の狭いスペースである。そのため、樹脂製のブラケットが取り付けられる取付け面からの異物検知センサの高さが高い(突出量が大きい)と、車体やドアパネルの形状の制約を受けて異物検知センサの配置が困難となる虞がある。
【0006】
これらのことから、樹脂製のブラケットに対して、異物検知センサの高さを抑えつつ該異物検知センサをどのように固定するかということが問題となっていた。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、取付け面からの異物検知センサの高さを抑えることができる異物検知センサの固定構造及び異物検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、車体に形成された開口部の周縁部若しくは前記開口部を開閉する開閉体における前記開口部の周縁部と対向する周縁部に設けられた取付け面に取り付けられる樹脂製のブラケットに対して、異物から外力を受けて弾性変形されることにより前記異物を検知する長尺状の異物検知センサを固定する異物検知センサの固定構造であって、前記異物検知センサの外周面から突出した支持部が、前記異物検知センサの長手方向と直交する断面において前記取付け面に対して傾斜するように前記ブラケットに差し込まれることで前記異物検知センサが前記ブラケットに固定されていることをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、樹脂から形成されることにより軽量化されたブラケットに、異物検知センサの長手方向と直交する断面において取付け面に対して傾斜するように支持部を差し込むことで、例えば支持部を取付け面に対して直立するようにブラケットに差し込む場合に比べて、異物検知センサを取付け面に近づけて配置することができる。従って、取付け面からの異物検知センサの高さを抑えることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の異物検知センサの固定構造において、前記異物検知センサは、円筒状の外周面を有し、前記ブラケットは、前記異物検知センサの周方向に沿った前記支持部の両側に、前記異物検知センサの外周面と等しい曲率の円弧状をなし前記異物検知センサの外周面に当接するとともに前記異物検知センサを介して前記外力を受ける一対の受け面を有し、前記一対の受け面のうち前記取付け面に近い方の前記受け面は、前記取付け面から遠い方の前記受け面よりも前記異物検知センサの周方向に広く形成されていることをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、一対の受け面のうち取付け面に近い方の受け面は、取付け面から遠い方の受け面よりも、取付け面に対して平行に近い形状をなしている。従って、取付け面に近い方の受け面を、取付け面から遠い方の受け面よりも異物検知センサの周方向に広く形成することにより、異物検知センサに対して、取付け面に近い方の受け面と反対側から、取付け面と略直交する方向の力が異物から加えられた場合に、取付け面に近い方の受け面で異物検知センサを安定して支持できる。従って、異物検知センサは、取付け面に近い方の受け面と当該異物との間で良好に弾性変形できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の異物検知センサの固定構造において、前記ブラケットは、前記車体の後部に形成された前記開口部を開閉する前記開閉体としてのバックドアにおける前記開口部の周縁部と対向する周縁部に沿って設けられた前記取付け面に取り付けられることをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、バックドアにおける後部開口部の周縁部と対向する周縁部に、取付け面からの異物検知センサの高さを抑えて該異物検知センサを配置することができる。従って、バックドアに配置される異物検知センサの配置位置が、車体における後部開口部の周縁部の形状の制約を受けることを抑制できる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、外力を受けて弾性変形される異物検知センサと、前記支持部により前記異物検知センサが固定されるブラケットと、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造とを有し、前記異物検知センサの弾性変形により前記異物検知センサに接触した異物を検知する異物検知装置としたことをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、異物検知センサは、取付け面からの高さが抑えられている。従って、異物検知センサの配置位置の自由度が増した異物検知装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、取付け面からの異物検知センサの高さを抑えることができる異物検知センサの固定構造及び異物検知装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)及び(b)は電動バックドア装置を搭載した車両の概略図。
【図2】電動バックドア装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】ブラケット及び該ブラケットに固定されたセンサ線の斜視図。
【図4】ブラケットの斜視図。
【図5】ブラケット及びセンサ線の長手方向と直交する断面図。
【図6】車両の後部開口部付近の断面図(図1(b)におけるA−A断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、車両1は電動バックドア装置2を搭載している。車両1は、導電性金属材料よりなる車体3を備えるとともに、該車体3の後部には、後部開口部4が形成されている。後部開口部4における上下方向の略中央部よりも下方の部位は、後部開口部4における上下方向の略中央部よりも上方の部位よりも左右方向の幅が狭く形成されている。そして、この後部開口部4は、導電性金属材料よりなり該後部開口部4に対応した形状をなすドアパネル5によって開閉される。
【0018】
ドアパネル5における上下方向の略中央部よりも下端側の部位(図1(a)においては上側の約半分の部位)は、ドアパネル5における上下方向の略中央部よりも上端側の部位(図1(a)においては下側の約半分の部位)よりも左右方向の幅が狭く形成されている。そのため、ドアパネル5の左右方向の両端は非直線状をなしている。このドアパネル5の上端部は、車体3の後部側面の上端部に回動可能に連結されている。そして、ドアパネル5は、車体3との連結部分を回動中心として、該ドアパネル5の下端部が上下方向に移動するように回動可能である。尚、ドアパネル5は、全閉位置と全開位置との間で移動される。全閉位置は、ドアパネル5が後部開口部4を完全に閉鎖する位置であり、全開位置は、ドアパネル5が後部開口部4を完全に開放する位置である。
【0019】
また、ドアパネル5には、アクチュエータ6(図2参照)を備え車体3側に配置された駆動機構(図示略)が接続されている。電動バックドア装置2では、このアクチュエータ6が駆動されると、ドアパネル5が上下方向に回動されて後部開口部4を開閉するようになっている。
【0020】
図2に示すように、前記アクチュエータ6は、モータ7と、該モータ7の回転を減速して出力する減速機構(図示略)とを備えている。また、アクチュエータ6内には、モータ7の回転を検出する位置検出装置8が配置されている。位置検出装置8は、例えば、モータ7の回転軸(図示略)若しくは前記減速機構を構成する減速ギヤ(図示略)と一体回転するように設けられた永久磁石と、該永久磁石に対向配置されたホールIC(図示略)とから構成されている。そして、ホールICは、位置検出信号として、永久磁石の回転による該永久磁石の磁界の変化に応じたパルス信号を出力する。
【0021】
また、電動バックドア装置2は、ドアパネル5の開閉を指示するための操作スイッチ9を備えている。図1(a)及び図2に示すように、この操作スイッチ9は、車両1の搭乗者等によって後部開口部4を開放するように操作されると、後部開口部4を開放するようにドアパネル5を回動させる旨の開信号を出力する。一方、操作スイッチ9は、搭乗者等によって後部開口部4を閉鎖するように操作されると、後部開口部4を閉鎖するようにドアパネル5を回動させる旨の閉信号を出力する。この操作スイッチ9は、車室内の所定箇所(ダッシュボード等)、ドアパネル5のドアレバー(図示略)、イグニッションキーと共に携行される携行品(図示略)等に設けられている。
【0022】
また、電動バックドア装置2は、ドアパネル5の周縁部と、後部開口部4におけるドアパネル5の周縁部と対向する周縁部との間に存在する異物X(図6参照)を検知するための異物検知装置11を備えている。図1乃至図3に示すように、異物検知装置11は、ドアパネル5の周縁部に固定されたブラケット12と、該ブラケット12に固定されたセンサ線13と、該センサ線13に電気的に接続された通電検知部14とを備えている。
【0023】
図1(a)に示すように、ブラケット12は、ドアパネル5における後部開口部4の周縁部と対向する周縁部に固定されており、詳しくは、ドアパネル5の内側面(即ちドアパネル5の車室側の側面)における左右方向の両端部にそれぞれ固定されている。各ブラケット12は、ドアパネル5の左右方向の両端部に沿って同ドアパネル5の上端部から下端部まで延びる略帯状をなしている。そして、ブラケット12は、非直線状をなすドアパネル5の左右方向の両端部の形状に応じて、その長手方向(ドアパネル5の上下方向)の中央部が湾曲している。
【0024】
図4に示すように、各ブラケット12は、該ブラケット12の長手方向に延びる固定部21と、固定部21の幅方向の一端部に該固定部21と一体に形成された保持部22とを備えている。
【0025】
固定部21は、ドアパネル5におけるブラケット12が固定される部位の表面形状に対応した形状をなしており、本実施形態では、固定部21は、その長手方向と直交する断面の形状が略L字状をなす板状をなしている。尚、各ブラケット12において、厚さ方向(長手方向及び幅方向と直交する方向)の一方の側面は、ドアパネル5に固定されたときにドアパネル5側の取付け面5a(図6参照)に当接する当接面12aとなっている。本実施形態では、当接面12aは、断面L字状のブラケット12においてL字の外側となる側面である。また、図1(a)に示すように、取付け面5aは、ドアパネル5の内側面(即ちドアパネル5の車室側の側面)の左右方向の両端部である。そして、図6に示すように、この取付け面5aは、ドアパネル5の閉作動時にドアパネル5が全閉位置に配置される直前の該ドアパネル5の移動方向(図6において矢印α参照)と直交する面状の取付け部5bを有する。この取付け部5b上に前記センサ線13が配置される。
【0026】
図1及び図4に示すように、前記保持部22は、固定部21の幅方向の両端部のうち、ブラケット12がドアパネル5に固定されたときにドアパネル5の外側となる側の端部に沿って設けられている。また、保持部22は、固定部21の長手方向の一端から他端まで連続的に形成されている。更に、保持部22は、固定部21の長手方向に沿って延びるかまぼこ形状をなしており、固定部21よりも厚く形成されて前記当接面12aと反対側に突出している。
【0027】
図5に示すように、保持部22には、当接面12a側から凹設され当接面12aに開口部を有する保持凹部23が形成されている。保持凹部23の開口部は、当接面12aにおいて保持部22に該当する部分である保持側当接面12bに形成されている。そして、保持凹部23は、ブラケット12の長手方向に沿って連続的に形成されている。また、図4及び図5に示すように、保持凹部23の開口部には、ブラケット12の長手方向の複数箇所に、保持凹部23の開口部23aをブラケット12の幅方向に横切る橋絡部24が形成されている。各橋絡部24は、ブラケット12の幅方向に対向する保持凹部23の2つの内側面を連結している。
【0028】
また、図5に示すように、保持凹部23の底面には、保持側当接面12bに対して傾斜した平面状をなす押圧面25が形成されている。押圧面25は、ブラケット12の長手方向の一端部から他端部に亘って形成されている。この押圧面25は、ブラケット12の幅方向に沿って固定部21から遠ざかるに連れて保持側当接面12bとの間の距離が短くなるように同保持側当接面12bに対して傾斜している。
【0029】
また、保持部22には、保持凹部23の底部を貫通した貫通部としての貫通孔26が形成されている。貫通孔26は、前記押圧面25と直交するように保持部22における保持凹部23の底部となる部位を貫通している。従って、貫通孔26は、ブラケット12の幅方向に沿って固定部21から遠ざかるに連れて保持側当接面12bとの間の距離が長くなるように保持側当接面12bに対して傾斜している。また、貫通孔26の内側開口部26aは、前記押圧面25におけるブラケット12の幅方向の中央部に形成されている。そして、この貫通孔26は、図4に示すように、ブラケット12の長手方向の一端部から他端部まで同ブラケット12の長手方向に沿って延びており、スリット状をなしている。
【0030】
また、保持部22には、貫通孔26の外側開口部26bの幅方向の両側に、一対の受け面27a,27b(第1の受け面27a及び第2の受け面27b)が形成されている。図5に示すように、一対の受け面27a,27bは、ブラケット12の長手方向と直交する断面において保持側当接面12b側に凹む円弧状をなす曲面である。一対の受け面27a,27bは、貫通孔26の外側開口部26bの幅方向の両側で、それぞれ貫通孔26に沿ってブラケット12の長手方向に延びている。そして、一対の受け面27a,27bは、ブラケット12の長手方向の一端部から他端部に亘って形成されている。また、一対の受け面27a,27bは、その曲率が互いに等しく形成されるとともに、互いの曲率中心Oが一致している。更に、一対の受け面27a,27bの曲率中心Oは、ブラケット12の長手方向と直交する断面において、貫通孔26の幅方向の中央を通り貫通孔26の貫通方向に延びる貫通孔26の中心線L1上に位置している。
【0031】
図1、図4及び図6に示すように、上記のような各ブラケット12は、ドアパネル5の内側面における左右方向の両端部に、当接面12aが取付け面5aに当接するとともに、保持部22がドアパネル5の外周側に位置し且つ固定部21がドアパネル5の左右方向の中央側に位置するようにドアパネル5に対して配置されている。尚、保持側当接面12bは、取付け面5aの取付け部5bに当接する。そして、各ブラケット12は、固定部21の複数箇所を貫通するピン28によってドアパネル5に固定されている。
【0032】
図3に示すように、前記センサ線13は、長尺な紐状をなしている。センサ線13は、異物検知センサ31と、該異物検知センサ31をブラケット12に固定するための支持部41とを備えている。
【0033】
異物検知センサ31を構成する長尺状の中空絶縁体32は、絶縁性及び復元性を有する弾性変形可能な絶縁体(軟質の樹脂材料やゴム(エラストマを含む)等)により形成されている。そして、中空絶縁体32は、略円筒状をなすことにより中空状をなしている。また、中空絶縁体32の外周面32a(即ち異物検知センサ31の外周面)は円筒状をなしている。尚、図5に示すように、前記受け面27a,27bの曲率は、この中空絶縁体32の外周面32aの曲率と等しく形成されている。
【0034】
中空絶縁体32の内側には、該中空絶縁体32にて保持される4本の電極線33〜36が配置されている。各電極線33〜36は、導電性細線を撚り合わせて形成され可撓性を有する中心電極37と、導電性及び弾性を有し中心電極37の外周を被覆する円筒状の導電被覆層38とから構成されている。そして、各電極線33〜36は、中空絶縁体32の内側に、周方向に等角度間隔(本実施形態では90°間隔)に配置されるとともに、周方向に隣り合う電極線33〜36間の間隔を一定に維持したまま、中空絶縁体32の長手方向に螺旋状に延びている。更に、各電極線33〜36は、その一部が中空絶縁体32の内側で同中空絶縁体32に僅かに埋設されることにより、中空絶縁体32によって保持されている。
【0035】
図2に示すように、電極線33及び電極線35は、長手方向の一端(図2において左側の端)が互いに接続されて導通するとともに、電極線34及び電極線36も、長手方向の一端(図2において左側の端)が互いに接続されて導通している。また、電極線35及び電極線36の長手方向の他端は、抵抗39を介して電気的に接続されている。更に、電極線33の長手方向の他端は、通電検知部14に電気的に接続されるとともに、電極線34の他端は、グランドGNDに接続(即ち車体3に接地)されている。
【0036】
図5に示すように、前記支持部41は、異物検知センサ31の中空絶縁体32に一体に形成されるとともに、中空絶縁体32と同じ材料、即ち絶縁性及び復元性を有する弾性変形可能な絶縁体(軟質の樹脂材料やゴム(エラストマを含む)等)により形成されている。支持部41は、異物検知センサ31の中空絶縁体32の外周面32aから中空絶縁体32の径方向外側に突出している。そして、支持部41は、中空絶縁体32の長手方向の一端から他端に亘って連続的に形成されるとともに、その断面形状が中空絶縁体32の長手方向に一定に形成されている。この支持部41は、挿通部42と、該挿通部42と一体に形成された一対の押圧部43とから構成されている。
【0037】
挿通部42は、中空絶縁体32の外周面32aから同中空絶縁体32の径方向外側に突出した嵌合部42aと、該嵌合部42aの先端部から中空絶縁体32の径方向外側に延びる第1挿通部42bと、該第1挿通部42bの先端から中空絶縁体32の径方向外側に延びる第2挿通部42cとから構成されている。
【0038】
嵌合部42aは、中空絶縁体32の長手方向(軸方向)に沿って同中空絶縁体32の一端から他端に亘って連続的に形成されている。この嵌合部42aの高さ(嵌合部42aにおける中空絶縁体32の径方向に沿った方向の長さ)は、貫通孔26の貫通方向の長さよりも低く形成されている。また、嵌合部42aの幅(嵌合部42aにおける中空絶縁体32の周方向に沿った方向の長さ)は、貫通孔26の幅と等しく形成されている。
【0039】
前記第1挿通部42bは、嵌合部42aの長手方向(即ち中空絶縁体32の長手方向)の一端から他端まで嵌合部42aの先端部に連続的に形成されている。そして、第1挿通部42bの幅(第1挿通部42bにおける中空絶縁体32の周方向に沿った方向の長さ)は、貫通孔26の幅よりも狭く形成されている。
【0040】
前記第2挿通部42cは、第1挿通部42bの長手方向(即ち中空絶縁体32の長手方向)の一端から他端まで第1挿通部42bの先端部に連続的に形成されている。即ち、第2挿通部42cは、支持部41の先端部に設けられ、挿通部42の突出方向に第1挿通部42bと隣接している。そして、第2挿通部42cの幅(第2挿通部42cにおける中空絶縁体32の周方向に沿った方向の長さ)は、貫通孔26の幅よりも狭く(細く)、且つ第1挿通部42bの幅よりも広く形成されている。
【0041】
前記一対の押圧部43は、挿通部42の幅方向の両側に形成されている。一対の押圧部43は、挿通部42の幅方向の両側面における第1挿通部42bと第2挿通部42cとの境界部分からそれぞれ異物検知センサ31に向かって延設されている。各押圧部43は、挿通部42の長手方向(即ち中空絶縁体32の長手方向)の一端から他端まで連続的に形成されている。各押圧部43は、その基端から先端に向かうに連れて第2挿通部42cの先端面から遠ざかるように延びており、各押圧部43の先端は挿通部42の基端側を向いている。更に、各押圧部43は、その基端から先端に向かうに連れて、挿通部42の幅方向の中央部から離間するように形成されている。また、各押圧部43は、その先端部に、挿通部42の長手方向に沿って延びる円柱状の接触部43aを有する。接触部43aの直径は、押圧部43における接触部43aよりも基端側の部位の幅よりも若干大きく形成されている。
【0042】
また、前記第1挿通部42bの幅及び押圧部43の幅は、先端が異物検知センサ31側を向き第1挿通部42bに押し付けられるように折り畳まれた一対の押圧部43と、第1挿通部42bとが同時に貫通孔26を通過できる(貫通可能な)値に設定されている。更に、前記第2挿通部42cの幅及び押圧部43の幅は、先端が挿通部42の先端側を向き且つ第2挿通部42cに押し付けられるように折り畳まれた一対の押圧部43と、第2挿通部42cとが同時に貫通孔26を通過できない(貫通不能な)値に設定されている。
【0043】
そして、異物検知センサ31を支持部41によってブラケット12に固定するためには、支持部41の第2挿通部42cを、貫通孔26の外側開口部26bから貫通孔26の内部に挿入する。そして、支持部41が貫通孔26を貫通するまで、支持部41を貫通孔26内に差し込む。このとき、挿通部42が貫通孔26内に挿入されるに連れて、一対の押圧部43は、貫通孔26の内周面に押圧されて、先端が異物検知センサ31側を向き第1挿通部42bに押し付けられるように折り畳まれる。そして、このように折り畳まれた一対の押圧部43と第1挿通部42bとは、若干弾性変形しながら、貫通孔26を通り抜ける(貫通する)。すると、一対の押圧部43は、保持凹部23内で復元して第1挿通部42bから離間するとともに、一対の押圧部43の先端部の接触部43aが、貫通孔26の幅方向の両側の押圧面25にそれぞれ押圧接触する(即ち、図5に示す状態になる)。更に、一対の押圧部43が貫通孔26を通り抜けると、嵌合部42aが貫通孔26に嵌合されるとともに、嵌合部42aの幅方向の両側で中空絶縁体32の外周面32aが受け面27a,27bに当接する。その結果、押圧面25を押圧する一対の押圧部43と、異物検知センサ31の中空絶縁体32とによって、保持部22における受け面27a,27bと押圧面25との間の部位が、貫通孔26の貫通方向の両側から挟持される。これにより、異物検知センサ31は、支持部41によってブラケット12に対して固定される。即ち、センサ線13がブラケット12に固定される。
【0044】
このように、押圧面25を押圧する一対の押圧部43と、異物検知センサ31の中空絶縁体32とによって、ブラケット12を貫通孔26の貫通方向の両側から挟持することで、異物検知センサ31は、ブラケット12に対して安定して固定されている。そして、支持部41は、取付け面5aの取付け部5bに当接する保持側当接面12bに対して傾斜した貫通孔26に差し込まれることにより、取付け面5aの取付け部5bに対して傾斜するようにブラケット12に差し込まれている。詳しくは、支持部41は、異物検知センサ31の長手方向と直交する断面において、支持部41の先端から基端に向かうに連れて該支持部41の中心線L2(挿通部42の幅方向の中央を通り外周面32aからの支持部41の突出方向に延びる直線)が取付け部5bから遠ざかるように傾斜している。更に、支持部41は、その基端部が、その先端部に対してドアパネル5の外周側となるように傾斜している。従って、支持部41は、異物検知センサ31をドアパネル5の外周縁近づけるように取付け部5bに対して傾斜している。言い換えると、支持部41は、異物検知センサ31の長手方向と直交する断面において、異物検知センサ31をドアパネル5の外周縁に近づけるようにドアパネル5の閉作動時の移動方向に対して傾斜している。
【0045】
また、支持部41が貫通孔26に差し込まれることで異物検知センサ31が固定されたブラケット12においては、異物検知センサ31の周方向に沿った支持部41の両側に、前記一対の受け面27a,27bが存在する。そして、一対の受け面27a,27bのうち、取付け面5aの取付け部5bに近い方の第1の受け面27aは、取付け部5bから遠い方の第2の受け面27bよりも異物検知センサ31の周方向に広く形成されている。即ち、第1の受け面27aの周方向の幅W1は、第2の受け面27bの周方向の幅W2よりも広く形成されている。
【0046】
また、ブラケット12に固定された異物検知センサ31は、保持部22(受け面27a,27b)と反対側の約270°の範囲が外部に露出しており、この露出した範囲が、異物検知センサ31に接触した異物X(図6参照)の検知を可能な検知範囲となっている。そして、この検知範囲のうち、異物検知センサ31に加えられた外力が異物検知センサ31の径方向の中央を通って受け面27a若しくは受け面27bに向かう範囲では、当該外力を、異物検知センサ31を介して受け面27a若しくは受け面27bで受けることができる。そのため、異物検知センサ31は、異物Xと受け面27a若しくは受け面27bとに挟まれて変形し易い。
【0047】
図2に示すように、前記通電検知部14は、異物検知センサ31の長手方向の他端部(図2において右側の端部であって抵抗39が設けられた側の端部)に設けられるとともに、前記電極線33に電流を供給している。そして、図2及び図5に示すように、異物検知センサ31に押圧力等の外力が加えられていない通常の状態では、通電検知部14から電極線33に供給される電流は、電極線35を通り、抵抗39を介して電極線34,36に流れる。一方、図2及び図6に示すように、異物検知センサ31を直径方向に潰すような外力が加えられると、外力が加えられた部位の中空絶縁体32が弾性変形するとともに該中空絶縁体32の弾性変形に伴って電極線33〜36が湾曲し、電極線33,35の少なくとも一方の電極線と、電極線34,36の少なくとも一方の電極線とが接触して短絡される。すると、通電検知部14から電極線33に供給される電流は、抵抗39を介さずに電極線34,36に流れることになる。従って、例えば、一定の電圧で電極線33に電流を供給している場合には、電流値が変化するため、通電検知部14は、この時の電流値の変化を検知することにより、異物検知センサ31に接触した異物Xを検知する。そして、通電検知部14は、この電流値の変化を検知すると、即ち異物検知センサ31に接触した異物Xを検知すると、後述のドアECU51に異物検知信号を出力する。尚、異物検知センサ31に対する外力が取り除かれると、中空絶縁体32が復元し、電極線33〜36も復元して非導通状態となる。
【0048】
図1(a)及び図2に示すように、電動バックドア装置2は、ドアパネル5の内部に、前記アクチュエータ6によるドアパネル5の開閉作動を制御するドアECU51を備えている。ドアECU51は、ROM(Read only Memory)、RAM(Random access Memory)等を備えマイクロコンピュータとしての機能を有するとともに、車両1のバッテリ(図示略)から電源の供給を受けている。また、ドアECU51は、該ドアECU51に電気的に接続された通電検知部14に電流を供給している。そして、ドアECU51は、操作スイッチ9、位置検出装置8及び通電検知部14等から入力される各種信号に基づいてアクチュエータ6を制御する。
【0049】
次に、上記のように構成された電動バックドア装置2の動作を、図1、図2及び図6を参照して統括的に説明する。
ドアECU51は、操作スイッチ9から開信号が入力されると、ドアパネル5を開作動させるべくアクチュエータ6を駆動する。尚、ドアECU51は、位置検出装置8から入力される位置検出信号に基づいてドアパネル5の回動位置を認識している。本実施形態では、ドアECU51は、位置検出信号のパルス数をカウントし、そのカウント値に基づいてドアパネル5の回動位置を認識している。そして、ドアパネル5が後部開口部4を完全に開放する全開位置に配置されると、ドアECU51はアクチュエータ6を停止する。
【0050】
一方、操作スイッチ9から閉信号が入力されると、ドアECU51は、ドアパネル5を閉作動させるべくアクチュエータ6を駆動する。そして、ドアパネル5が後部開口部4を完全に閉鎖する全閉位置に配置されると、ドアECU51はアクチュエータ6を停止する。尚、ドアパネル5の閉作動中に、異物検知センサ31に異物Xが接触して同異物検知センサ31に外力が加えられると、異物検知センサ31において中空絶縁体32が弾性変形されることにより電極線33,35の少なくとも一方の電極線と電極線34,36の少なくとも一方の電極線とが接触して短絡される。その結果、電極線33に供給する電流の電流値が変化されるため、通電検知部14がドアECU51に異物検知信号を出力する。ドアECU51は、異物検知信号が入力されると、アクチュエータ6を反転させてドアパネル5を所定量だけ開作動させた後に同アクチュエータ6を停止させる。
【0051】
次に、本実施形態の異物検知センサ31の固定構造の作用を説明する。
異物検知センサ31は、支持部41を異物検知センサ31の長手方向と直交する断面において取付け面5aの取付け部5bに対して傾斜するように貫通孔26に差し込むことでブラケット12に固定されている。従って、異物検知センサ31を取付け部5bに近づけて配置することができる。
【0052】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)樹脂から形成されることにより軽量化されたブラケット12に、異物検知センサ31の長手方向と直交する断面において取付け面5aの取付け部5bに対して傾斜するように支持部41を差し込むことで、例えば支持部41を取付け部5bに対して直立するようにブラケット12に差し込む場合に比べて、異物検知センサ31を取付け部5bに近づけて配置することができる。従って、取付け部5bからの異物検知センサ31の高さ(取付け部5bからの異物検知センサ31の突出量)を抑えることができる。
【0053】
(2)一対の受け面27a,27bのうち取付け面5aの取付け部5bに近い方の第1の受け面27aは、取付け部5bから遠い方の第2の受け面27bよりも、取付け部5bに対して平行に近い形状をなしている。従って、第1の受け面27aを、第2の受け面27bよりも異物検知センサ31の周方向に広く形成することにより、異物検知センサ31に対して、第1の受け面27aと反対側から、取付け部5bと略直交する方向の力(即ちドアパネル5の移動方向と略平行な方向の力)が異物Xから加えられた場合に、第1の受け面27aで異物検知センサ31を安定して支持できる。従って、異物検知センサ31は、第1の受け面27aと当該異物Xとの間で良好に弾性変形できる。
【0054】
また、例えば、第2の受け面27bの周方向の幅W2を、第1の受け面27aの周方向の幅W1と等しい値にすると、保持部22の高さ(保持部22における取付け部5bからの高さ)が高くなる虞がある。従って、本実施形態のように、第1の受け面27aを、第2の受け面27bよりも異物検知センサ31の周方向に広く形成することにより、保持部22の高さを抑えつつ、異物検知センサ31を支持することができる。また、ブラケット12が重くなることを抑制できる。
【0055】
(3)ドアパネル5における後部開口部4の周縁部と対向する周縁部に、取付け面5aの取付け部5bからの異物検知センサ31の高さを抑えて該異物検知センサ31を配置することができる。従って、ドアパネル5に配置される異物検知センサ31の配置位置が、車体3における後部開口部4の周縁部の形状の制約を受けることを抑制できる。
【0056】
(4)異物検知センサ31は、取付け面5aの取付け部5bからの高さが抑えられている。従って、異物検知センサ31の配置位置の自由度が増した異物検知装置11を得ることができる。
【0057】
(5)取付け部5bからの異物検知センサ31の高さを抑えるためには、支持部における異物検知センサ31の外周面からの突出方向の長さを短くして同支持部を取付け部5bに対して直立するようにブラケット12に差し込むことが考えられる。しかしながら、この場合には、異物検知センサ31をブラケット12に対して固定するための支持部が短くなるために、異物検知センサ31がブラケット12に対して安定して固定され難くなる虞がある。これに対し、本実施形態では、異物検知センサ31の長手方向と直交する断面において取付け面5aの取付け部5bに対して傾斜するように支持部41をブラケット12に差し込むことで、取付け部5bからの異物検知センサ31の高さを抑えている。従って、支持部41の長さを短くしなくてもよいため、異物検知センサ31をブラケット12に対して安定して固定することができる。
【0058】
(6)支持部41は、異物検知センサ31の長手方向と直交する断面において、異物検知センサ31をドアパネル5の外周縁に近づけるように傾斜している。従って、後部開口部4の周縁部と、ドアパネル5における後部開口部4の周縁部と対向する周縁部との間に存在する異物Xが、異物検知センサ31に接触しやすくなる。
【0059】
(7)異物検知センサ31の円筒状の外周面(即ち中空絶縁体32の外周面32a)と曲率の等しい円弧状をなす受け面27a,27bが異物検知センサ31の外周面に当接することにより、異物検知センサ31は、より安定してブラケット12に対して固定される。また、異物Xから加えられる外力によって異物検知センサ31がブラケット12に対して位置ずれすることが抑制される。更に、ブラケット12における貫通孔26付近の強度を、ブラケット12の厚さが厚くなることを抑制しつつ確保することができる。
【0060】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ブラケット12は、ドアパネル5における後部開口部4の周縁部と対向する周縁部に設けられた取付け面5aに取り付けられている。しかしながら、ブラケット12は、後部開口部4の周縁部におけるドアパネル5の周縁部と対向する部分設けられた取付け面5aに取り付けられてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、通電検知部14は、電極線33に一定の電圧で電流を供給し、電極線33〜36同士の接触に起因する電流値の変化を検知すると異物検知信号を出力する。しかしながら、通電検知部14は、電極線33〜36同士の接触に起因する電圧値の変化を検知すると異物検知信号を出力するように構成されてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、第1の受け面27aは、第2の受け面27bよりも異物検知センサ31の周方向に広く形成されている。しかしながら、第1の受け面27aと第2の受け面27bとは、異物検知センサ31の周方向に同じ幅に形成されてもよい。また、第1の受け面27aは、第2の受け面27bよりも異物検知センサ31の周方向に狭く形成されてもよい。また、上記実施形態では、一対の受け面27a,27bの曲率は、異物検知センサ31の外周面(即ち中空絶縁体32の外周面32a)の曲率と等しくなっている。しかしながら、一対の受け面27a,27bの曲率は、異物検知センサ31の外周面の曲率よりも小さくてもよい。また、ブラケット12は必ずしも受け面27a,27bを備えなくてもよい。
【0063】
・上記実施形態では、支持部41は、中空絶縁体32と同じ材料から形成されている。しかしながら、支持部41を、中空絶縁体32よりも硬質な材料(例えば、中空絶縁体32よりも硬質な樹脂材料、弾性変形可能な金属材料等)で形成し、中空絶縁体32に固定してもよい。
【0064】
・上記実施形態では、異物検知センサ31は、4本の電極線33〜36を備えている。しかしながら、電極線は、異物検知センサ31に少なくとも2本備えられればよく、例えば、6本備えられてもよい。
【0065】
・電極線33〜36は、軟銅よりなる単線であってもよい。
・上記実施形態では、異物検知センサ31は、円筒状の中空絶縁体32を備えることにより、円筒状の外周面を備えている。しかしながら、異物検知センサの外周面の形状は、円筒状に限らず、多角形状や楕円筒状等であってもよい。この場合、異物検知センサ31の外周面に当接する受け面27a,27bの形状は、異物検知センサ31の外周面に対応した形状であることが望ましい。
【0066】
・上記実施形態では、支持部41は、異物検知センサ31の長手方向に沿って連続的に形成されているが、異物検知センサ31の長手方向の複数箇所に形成されてもよい。この場合、貫通孔26は、上記実施形態のようなスリット状に限らず、ブラケット12の長手方向の複数箇所に形成されてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、支持部41を貫通孔26に差し込むことで、該支持部41は、取付け面5aの取付け部5bに対して傾斜されるとともに、異物検知センサ31がブラケット12に固定されている。しかしながら、支持部41の形状、及びブラケット12において支持部41が差し込まれる差し込み部(上記実施形態では貫通孔26)の形状は、上記実施形態のものに限らない。支持部41及び差し込み部は、異物検知センサ31の長手方向と直交する断面において取付け面5aの取付け部5bに対して支持部41が傾斜するように差し込み部内に差し込まれることで異物検知センサ31がブラケット12に固定されるように形成されればよい。例えば、ブラケット12に、該ブラケット12の長手方向に沿って延びる凹部状の差し込み部を形成してもよい。この凹部状の差し込み部は、差し込まれる支持部41が取付け部5bに対して傾斜するように、取付け部5bに対して傾斜した方向に凹設されている。そして、支持部41は、押圧部43を備えず、凹部状の差し込み部内に圧入されるものであってもよい。
【0068】
・異物検知センサ31は、中空絶縁体32の外周を被覆する弾性変形可能な筒状の保護部材を備えた構成であってもよい。この場合、支持部41は、保護部材の外周面から突出するように形成される。
【0069】
・異物検知センサ31は、弾性変形することで異物検知センサ31に接触した異物Xを検知するだけでなく、近接する異物Xとの間の静電容量を検出できるように構成されてもよい。この場合、異物検知装置11では、異物検知センサ31を用いて検出された静電容量に基づいて、異物検知センサ31に近接する異物Xを検知する。
【0070】
・上記実施形態では、車体3の後部に形成された後部開口部4を開閉するドアパネル5を電動で開閉作動させる電動バックドア装置2に、異物検知装置11を備えた。しかしながら、異物検知装置11は、電動バックドア装置2以外に、車両1に設けられた開口部を開閉する開閉体を電動で開閉作動させる電動ドア開閉装置に備えられてもよい。例えば、異物検知装置11は、車両1の側方に設けられた開口部(乗降口)を開閉するドアパネル(開閉体)を電動でスライド移動させる電動スライドドア装置に備えられてもよい。また、異物検知装置11は、車両1の上面に設けられた開口部を開閉するルーフパネル(開閉体)を電動で開閉作動させるサンルーフ装置に備えられてもよい。そして、何れの場合においても、樹脂製のブラケット12は、車両1に設けられた開口部の周縁部、若しくは前記開口部を開閉する開閉体における前記開口部の周縁部と対向する周縁部に固定される。
【0071】
上記実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項3に記載の異物検知センサの固定構造において、前記支持部は、前記異物検知センサの長手方向と直交する断面において前記異物検知センサを前記バックドアの外周縁に近づけるように前記取付け面に対して傾斜していることを特徴とする異物検知センサの固定構造。同構成によれば、後部開口部の周縁部と、バックドアにおける後部開口部の周縁部と対向する周縁部との間に存在する異物が、異物検知センサに接触しやすくなる。
【符号の説明】
【0072】
3…車体、4…開口部としての後部開口部、5…開閉体及びバックドアとしてのドアパネル、5a…取付け面、11…異物検知装置、12…ブラケット、27a…受け面としての第1の受け面、27b…受け面としての第2の受け面、31…異物検知センサ、32a…異物検知センサの外周面としての中空絶縁体の外周面、41…支持部、X…異物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に形成された開口部の周縁部若しくは前記開口部を開閉する開閉体における前記開口部の周縁部と対向する周縁部に設けられた取付け面に取り付けられる樹脂製のブラケットに対して、異物から外力を受けて弾性変形されることにより前記異物を検知する長尺状の異物検知センサを固定する異物検知センサの固定構造であって、
前記異物検知センサの外周面から突出した支持部が、前記異物検知センサの長手方向と直交する断面において前記取付け面に対して傾斜するように前記ブラケットに差し込まれることで前記異物検知センサが前記ブラケットに固定されていることを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の異物検知センサの固定構造において、
前記異物検知センサは、円筒状の外周面を有し、
前記ブラケットは、前記異物検知センサの周方向に沿った前記支持部の両側に、前記異物検知センサの外周面と等しい曲率の円弧状をなし前記異物検知センサの外周面に当接するとともに前記異物検知センサを介して前記外力を受ける一対の受け面を有し、
前記一対の受け面のうち前記取付け面に近い方の前記受け面は、前記取付け面から遠い方の前記受け面よりも前記異物検知センサの周方向に広く形成されていることを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の異物検知センサの固定構造において、
前記ブラケットは、前記車体の後部に形成された前記開口部を開閉する前記開閉体としてのバックドアにおける前記開口部の周縁部と対向する周縁部に沿って設けられた前記取付け面に取り付けられることを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項4】
外力を受けて弾性変形される異物検知センサと、
前記支持部により前記異物検知センサが固定されるブラケットと、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造と
を有し、前記異物検知センサの弾性変形により前記異物検知センサに接触した異物を検知することを特徴とする異物検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−14883(P2013−14883A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146463(P2011−146463)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】