説明

疎水変性されたカチオン性コポリマー

本発明は、少なくとも3つの異なる構造単位を有する疎水変性カチオン性コポリマーに関する。殊にアニオン性界面活性剤との組み合わせにおいて、高い塩負荷の場合ですら、水硬性結合剤、例えばセメントをベースとする水性建築材料系における保水性が著しく改善されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コポリマー、このコポリマーの製造法、該コポリマーの使用、ならびにポリマー混合物およびそれらの使用に関する。
【0002】
流動性でない建築材料系において、水和作用および加工性のために必要とされる水の不所望な蒸発、もしくは基体への水の流出を抑制もしくは防止するために、しばしば、多糖類の水溶性非イオン性誘導体、殊にセルロース−およびデンプン誘導体が、レオロジー改質剤および保水剤として使用される。下塗り、接着モルタル、充填材および目地材において、しかしまた、トンネル建設用のグナイトにおいてならびに水中コンクリートにおいて、そのような添加剤により保水性が制御される。それによって、この種の混和剤は、粘稠性(可塑性)、平滑性、材料分離性、粘着性、接着性(基体へのおよびツールへの)、安定度および滑り抵抗性ならびに接着引張強度および圧縮強度もしくは収縮に重大な影響も与える。
【0003】
US−B−6,187,887ならびにUS−A−2004/024154の中で、良好な水分保持特性を示す高分子量のスルホ基含有ポリマーが記載される。これらのポリマーに共通しているのは、これらが有効なアニオン電荷を有する高分子電解質である点である。
【0004】
しかしまた、タイル接着剤および下塗りにおける添加剤の重要な特性は、高められた塩濃度の存在下での増粘性である。US−A−2004/024154に記載の添加剤が、高められた塩濃度の存在下で比較的安定である一方で、US−B−6,187,887に記載のポリマーは、そのような条件下で増粘性が急激に減少する。
【0005】
高性能のタイル接着剤の場合においては、例えば、低い温度(約5℃)でも、敷設されたタイルの早い歩行可能性(約5時間)を保証するために、特に短い硬化時間を調節することが求められる。このことは、促進剤として作用する塩、例えばギ酸カルシウムの極端に高い供給量によって達成される。そのように高負荷の塩(重要なのは、殊に二価カチオンである)が使用される場合においては、US−A−2004/024154に記載のポリモーも、その効果の大部分を失う。
【0006】
その点では、そのような高性能のタイル接着剤を、保水剤としての、水溶性、非イオン性の多糖類の誘導体、殊にセルロースエーテルを用いて調製する、ある特定の必然性が存在する。これは、しかしながら、ユーザーにとって相当数の欠点があることを意味するが、その原因は、セルロースエーテルが低い熱凝結点を有するからであり、それによって最終的に、30℃より高い温度で保水力が急激により弱まる。加えてセルロースエーテルは、殊に比較的高い供給量において粘着性が高まる傾向にあり、不都合にも該粘着性は、さらに別の配合成分の添加によって弱められなければならない。
【0007】
前述のアニオン性ポリマー以外に、カチオン性コポリマーも使用されうる:
US5,601,725は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドと、ベンジルクロリドまたはセチルクロリドにより四級化されているジメチルアミノエチルアクリレートもしくはジメチルアミノエチルメタクリレートとの疎水変性コポリマーを記載する。従って疎水性基は、カチオン電荷を有する同じモノマー構成単位の中に含まれている。これは、US5,292,793の中で記載される疎水変性された水溶性カチオン性コポリマーの場合にも当てはまる。それは、アクリルアミドと、ハロゲン化アルキル(C〜C20)により四級化されたジメチルアミノエチルアクリレートもしくはジメチルアミノエチルメタクリレートから誘導されるカチオン性モノマーとからのコポリマーである。US5,071,934において、水および塩溶液のための効果的な増粘剤として作用する疎水変性コポリマーが記載される。それは、アクリルアミドと、ハロゲン化アルキル(C〜C23)により四級化されたジメチルアミノプロピルメタクリルアミドから誘導されるカチオン性モノマーとからのコポリマーである。
【0008】
引用した全てのカチオン性コポリマーに共通しているのは、これらは疎水性アルキル基に基づき、たしかに、水中および僅かに塩を含有する溶液中で増粘効果を示すが、高い塩負荷を伴う建築材料系においては、しかしながら、十分な増粘性を保証しない。同様にこれらは建築材料系において、塩負荷が高い場合にも、低い場合にも不十分な保水特性を示す。
【0009】
カチオン性高分子電解質が、反対電荷を有する界面活性剤と激しく相互作用することは公知である。例えば、US−A−2004/209780の中では、フラクチャリング液体への混和剤としてのカチオン変性された多糖類およびアニオン性界面活性剤が記載される。この場合、高分子電解質が静電引力を介して反対電荷を有する界面活性剤と強く相互作用するという効果が利用される。そのうえ、このようにしてポリマーに結合した界面活性剤の疎水性基によって会合性増粘効果が生じる。高分子電解質も、主鎖に共有結合した疎水性基を有する場合、相互作用はさらに複雑なものとなる。
【0010】
とは言っても、これらの疎水変性カチオン性コポリマーは、アニオン性界面活性剤との組み合わせにおいてすら、建築材料系において十分な増粘性を示さず、かつ完全に不十分な保水特性を示す。
【0011】
従って、本発明の基礎をなしている課題は、高い塩負荷の場合ですら上記の欠点を有さない、水性建築材料系のための保水剤およびレオロジー改質剤としてのコポリマーを提供することであった。
【0012】
該課題は、
i)構造単位a)5〜60モル%
ii)構造単位b)20〜80モル%および
iii)構造単位c)0.01〜3モル%
を有するコポリマーによって解決され、その際、構造単位a)は、以下の一般式(I)
【化1】

[式中、
は、同じかまたは異なっており(すなわち、Rは、コポリマー中で変化してもよい)、かつ水素および/またはメチル基によって表され、
およびRは、それぞれ同じかまたは異なっており、かつ互いに無関係に、それぞれ水素、C原子1〜20個を有する脂肪族炭化水素基(分岐または非分岐、有利にはメチル基、エチル基)、C原子5〜8個を有する脂環式炭化水素基(殊にシクロヘキシル基)および/またはC原子6〜14個を有するアリール基(殊にフェニル基)によって表され、
は、同じかまたは異なっており、かつRまたはRと同一の置換基、−(CH−SO
【化2】

によって表され、
Mは、同じかまたは異なっており、かつ一価または二価の金属カチオン、アンモニウムカチオン(NH)および/または第四級アンモニウムカチオン(NRによって表され、
kは、同じかまたは異なっており、かつ1/2および/または1によって表され、
Yは、同じかまたは異なっており、かつ酸素、−NHおよび/または−NRによって表され、
Vは、同じかまたは異なっており、かつ−(CH−、
【化3】

によって表され、
xは、同じかまたは異なっており、かつ1〜6の整数(有利には1または2)によって表され、
Xは、同じかまたは異なっており、かつハロゲン原子(有利にはClまたはBr)、C〜C−アルキルサルフェート(有利にはメチルサルフェート)および/またはC〜C−アルキルスルホネート(有利にはメチルスルホネート)によって表される]によって表され:
構造単位b)は、以下の一般式(IIa)および/または(IIb)
【化4】

[式中、
Qは、同じかまたは異なっており、かつ水素および/または−CHRによって表され、
、RおよびRは、それぞれ前述の意味を有するが、ただしQが水素ではない場合、一般式(IIb)におけるRおよびRは、一緒になって−CH−(CH−メチレン基を形成してよく、その結果、以下の構造に従う一般式(IIb)が存在する:
【化5】

は、同じかまたは異なっており、ならびに、水素原子、C〜C−アルキル基、カルボン酸基および/またはカルボキシレート基−COOMによって表され、その際、yは、同じかまたは異なっており、かつ1〜4の整数(有利には1または2)によって表され、ならびにMおよびkは、それぞれ前述の意味を有する]によって表され:
構造単位c)は、一般式(III)
【化6】

[式中、
Uは、同じかまたは異なっており、かつ−COO(C2mO)−R、および/または−(CH−O(C2mO)−Rによって表され、
mは、同じかまたは異なっており、かつ2から4までの整数(有利には1または2)によって表され、
nは、同じかまたは異なっており、かつ1から200までの整数(有利には1〜20)によって表され、
pは、同じかまたは異なっており、かつ0から20までの整数(有利には1〜5)によって表され、
は、同じかまたは異なっており、かつ
【化7】

(z=3の場合:有利にはパラ位およびオルト位における芳香族化合物上の(R)によって表され、
は、同じかまたは異なっており、かつ水素、C〜C−アルキル基(非分岐または分岐、有利にはメチル基またはエチル基)、および/またはC〜C12−アルキル基(非分岐または分岐、有利にはメチル基、エチル基)ならびにC〜C14−アリール基(有利にはスチリル基)を有するアリールアルキル基によって表され、
zは、同じかまたは異なっており、かつ1から3までの整数(有利には3)によって表され(zは、何個のRがフェニル基に結合されているのかを示す)、かつ
は、前述の意味を有する]によって表される。
【0013】
これらの本発明によるコポリマーによって、高い塩負荷の場合にも、水硬性結合剤、例えばセメント、石灰、石膏、硬石膏等をベースとする水性建築材料系における保水性を著しく改善することができる。そのうえレオロジー改質化、水分保持力、粘着性および加工プロフィールが、コポリマーの組成に応じて、そのつどの適用のために最適な形で調節されうる。
【0014】
水性建築材料適用における本発明によるコポリマーの適用に必要とされる水への良好な溶解性は、殊にカチオン性構造単位a)によって保証される。中性構造単位b)は、主として主鎖の合成および適した鎖長を得るのに必要とされ、その際、疎水性構造単位c)によって、求められる生成物特性にとって好ましい会合性増粘が可能となる。
【0015】
有利には、構造単位a)は、1つまたは複数のモノマー種の[2−(アクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルアミノ)−エチル]−トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムメトサルフェート、[2−(メタクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムクロリドもしくは[2−(メタクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムメトサルフェート、[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリロイルアミノ)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド、N−(3−スルホプロピル)−N−メタクリルオキシエチル−N'−N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−メタクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインおよび/または1−(3−スルホプロピル)−2−ビニルピリジニウムベタインの重合から生じる。
【0016】
構造単位a)の約15モル%までを、N,N−ジメチルジアリルアンモニウムクロリドおよびN,N−ジエチルジアリルアンモニウムクロリドから誘導される、さらに別のカチオン性構造単位で置き換えることが原則的に実施可能である。
【0017】
一般に、構造単位b)は、1つまたは複数のモノマー種のアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−三級ブチルアクリルアミド等の重合から生じる。構造(IIb)のためのベースとしてのモノマーの例は、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムおよび/またはN−ビニルピロリドン−5−カルボン酸である。
【0018】
たいていの場合、構造単位c)は、1つまたは複数のモノマー種のトリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−アクリレート、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−モノビニルエーテル、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−ビニルオキシ−ブチルエーテルおよび/またはトリスチリルフェノール−ポリエチレングルコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテルの重合から生じる。
【0019】
本発明の有利な一実施態様において、構造単位a)が15〜50モル%で、b)が30〜75モル%で、かつc)が0.03〜1モル%でコポリマー中に含有されている。
【0020】
たいていの場合、前述のコポリマーはなお、一般式(IV)
【化8】

[式中、
Zは、同じかまたは異なっており、かつ−COO(C2mO)−Rおよび/または−(CH−O(C2mO)−Rによって表され、
は、同じかまたは異なっており、かつ水素および/またはC〜C−アルキル(分岐または非分岐、有利にはメチル基、エチル基)によって表され、ならびに
、m、nおよびpは、それぞれ前述の意味を有する]
によって表される構造単位d)を5モル%まで、有利には0.05〜3モル%含有する。
【0021】
一般に、構造単位d)は、1つまたは複数の以下のモノマー種のアリルポリエチレングリコール−(350〜2000)、メチルポリエチレングリコール−(350〜3000)−モノビニルエーテル、ポリエチレングリコール−(500〜5000)−ビニルオキシ−ブチルエーテル、ポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコール−(500〜5000)−ビニルオキシ−ブチルエーテル、メチルポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテル、メチルポリエチレングリコール−750−メタクリレート、ポリエチレングリコール−500−メタクリレート、メチレンポリエチレングリコール−2000−モノビニルエーテルおよび/またはメチルポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテルの重合から生じる。
【0022】
構造単位d)を含有する本発明によるコポリマーは、加工装置にとって好ましい、さらに改善されたクリーミング性を建築材料に付与する。
【0023】
頻繁に、本発明によるコポリマーは、一般式(V)によって表される構造単位e)
【化9】

[式中、
Wは、同じかまたは異なっており、かつ−CO−O−(CH−および/または−CO−NR−(CH−によって表され、ならびに
、R、Rおよびxは、それぞれ前述の意味を有する]
を40モル%まで、有利には0.1〜30モル%含有する。
通常、構造単位e)は、1つまたは複数の以下のモノマー種の[3−(メタクリロイルアミノ)−プロピル]−ジメチルアミン、[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−ジメチルアミン、[2−(メタクリロイル−オキシ)−エチル]−ジメチルアミン、[2−(アクリロイル−オキシ)−エチル]−ジメチルアミン、[2−(メタクリロイル−オキシ)−エチル]−ジエチルアミンおよび/または[2−(アクリロイル−オキシ)−エチル]−ジエチルアミンの重合から生じる。
【0024】
構造単位e)の導入によって、得られたコポリマーの気泡安定性(Luftporenstabilitaet)が改善される。
【0025】
しばしば、本発明によるコポリマーはなお、一般式(VI)
【化10】

[式中、
Sは、同じかまたは異なっており、かつ−COOMによって表され、ならびに
M、kおよびRは、それぞれ前述の意味を有する]
によって表される構造単位f)を20モル%まで、有利には0.1〜10モル%含有する。
【0026】
一般に、構造単位f)は、1つまたは複数の以下のモノマー種のアクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸および/またはメタクリル酸ナトリウムの重合から生じる。
【0027】
構造単位f)を含有するコポリマーは、特に少ない混合時間が不可避とされる建築材料系において利点を示す。
【0028】
本発明によるコポリマー中の繰り返し構造要素の数は制限されておらず、かつ、そのつどの適用分野に強く依存する。しかしながら、該構造単位の数を、コポリマーが50000〜20000000の数平均分子量を有するように調節することが好ましいと判明した。
【0029】
本発明によるコポリマーは、少量の架橋剤の導入によって、僅かに分岐した、かつ/または僅かに架橋した構造を得ることができる。そのような架橋剤成分の例は、トリアリルアミン、トリアリルメチルアンモニウムクロリド、テトラアリルアンモニウムクロリド、N,N'−メチレンビスアクリルアミド、トリエチレングリコールビスメタクリレート、トリエチレングリコールビスアクリレート、ポリエチレングリコール(400)−ビスメタクリレートおよびポリエチレングリコール(400)−ビスアクリレートである。これらの化合物は、依然として水溶性のコポリマーが得られるような量でのみ使用されるべきである。概して濃度が、構造単位a)〜f)の合計に対して0.1モル%を超えることはめったにない−当業者は、しかしながら、架橋剤成分の使用可能な最大量を簡単に決定することができる。
【0030】
本発明によるコポリマーの製造は、それ自体公知の仕方において、構造単位a)〜f)(d)〜f)はそれぞれ任意)を形成するモノマーのラジカル重合による結合によって行われる。本発明による生成物は水溶性コポリマーなので、水相中での重合、逆相乳化液中での重合もしくは逆相懸濁液中での重合が有利である。適切には、水相中でのゲル重合によって製造が行われる。
【0031】
有利なゲル重合のケースの場合において、低い反応温度で、かつ適した開始剤系を用いて重合される場合が好ましい。まず光化学的に低い温度で、引き続き、重合の発熱に基づき熱的に開始される2つの開始剤系(アゾ開始剤およびレドックス系)の組み合わせによって、≧99%の変換率が達成されうる。分子量調節剤のような、その他の助剤、例えばチオグリコール酸、メルカプトエタノール、ギ酸および次亜リン酸ナトリウムも同様に用いてよい。ゲル重合は、好ましくは−5〜50℃で行われ、その際、水溶液の濃度は、有利には25〜70質量%に調節される。重合の実施のために、適切には、本発明により使用されるべきモノマーは水溶液中で、緩衝剤、分子量調節剤および他の重合助剤と混合される。好ましくは4〜9である重合pH値の調節後、保護ガス、例えばヘリウムまたは窒素による混合物の洗浄が行われ、引き続き、相応する重合温度への加熱または冷却が行われる。無攪拌のゲル重合の形で方法が行われる場合、2〜20cm、殊に8〜10cmの有利な層厚において、断熱的な反応条件下で重合される。重合は、重合開始剤の添加によって、かつ低温(−5〜10℃)でのUV光照射によって開始される。ポリマーは、比較的大きい表面積によって乾燥を促進するために、モノマーの完全な反応後に離型剤(例えば、Goldschmidt GmbHのSitren(R)595)の使用下で粉砕される。可能な限り穏やかな反応条件および乾燥条件によって、架橋副反応が回避され得、その結果、僅かなゲル割合を有するポリマーが得られる。
【0032】
本発明によるコポリマーの有利な使用量は、使用方法に依存して、建築材料系の乾燥質量に対して0.005〜5質量%である。
【0033】
乾燥されたコポリマーは、粉末状で乾燥モルタル適用(例えばタイル接着剤)のためにその本発明による使用に供給される。その際、粒子の粒度分布は、平均粒径が100μmより小さく(DIN66162に従って測定)、かつ200μmより大きい粒径を有する粒子の割合が2質量%より小さく(DIN66162に従って測定)なるように、粉砕パラメーターの調整によって可能な限り選択されるべきである。有利なのは、その平均粒径が60μmより小さく、かつ120μmより大きい粒径を有する粒子の割合が2質量%より小さい粉末である。とりわけ有利なのは、その平均粒径が50μmより小さく、かつ100μmより大きい粒径を有する粒子の割合が2質量%より小さい粉末である。
【0034】
本発明によるコポリマーは、水硬性結合剤、殊にセメント、石灰、石膏または硬石膏を含有する水性建築材料系のための混和剤として使用される。
【0035】
有利には、水硬性結合剤は、乾燥モルタル組成物として、殊にタイル接着剤または石膏プラストとして存在する。
【0036】
上記の特性のさらなる改善は、本発明によるコポリマーがアニオン性界面活性剤と一緒に混合物として使用される場合に達成されうる。
【0037】
従って本発明は、それ以外に、
α)本発明によるコポリマーおよび
β)一般式
(VII)J−K
または
(VIII)T−B−K
[式中、JおよびTは、それぞれ界面活性剤の疎水性部分を表し、Kは、アニオン性官能基であり、Tは、界面活性剤の疎水性部分を表し、かつ、Bはスペーサー基であり、その際、
Jは、C原子8〜30個を有する脂肪族炭化水素基(分岐または非分岐、有利にはC原子8〜12個)、C原子5〜8個を有する脂環式炭化水素基(殊にシクロヘキシル)またはC原子6〜14個を有するアリール基(殊にフェニル)によって表され、
Kは、−SO、−OSO、−COOM、または−OP(O)(OH)OMによって表され、
Mおよびkは、それぞれ前述の意味を有し、
Tは、C原子8〜30個を有する脂肪族炭化水素基(分岐または非分岐、有利にはC原子8〜12個)、C原子5〜8個を有する脂環式炭化水素基(殊にシクロヘキシル)またはC原子6〜14個を有するアリール基(殊にフェニル)またはRによって表され、
Bは、−O(C2mO)−によって表され、ならびに
K、R、mおよびnは、それぞれ前述の意味を有する]
によって表されるアニオン性界面活性剤を含有するポリマー混合物を提供する。
【0038】
有利には、該ポリマー混合物は、本発明によるコポリマー80〜99質量%および上記のアニオン性界面活性剤1〜20質量%を有する。
【0039】
一般式(VII)によるアニオン性界面活性剤は、通常、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、α−オレフィンスルホネート、アルキルホスフェートとして、または脂肪酸塩として、かつ一般式(VIII)のアニオン性界面活性剤は、たいていの場合、アルキルエーテルサルフェートとして存在する。
【0040】
同様に、この列挙されたアニオン性界面活性剤の化合物群からの混合物も使用されうる。
【0041】
本発明によるポリマー混合物は、実際に本発明によるコポリマーと同じ適用プロファイルを有し、かつ有利には、水硬性結合剤を含有する水性建築材料系のための混和剤として使用される。
【0042】
本発明によるコポリマーおよびポリマー混合物は、それぞれ非イオン性の多糖誘導体、例えばメチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、ならびにウェランガム(Welan Gum)および/またはジウタンゴム(Diutan Gum)との組み合わせにおいても使用されうる。
【0043】
後続の実施例は、本発明をより詳細に説明する。
【0044】
コポリマー1(ゲル重合)
攪拌機および温度計を備えた2lの三口フラスコ中に水296gを装入した。引き続き、連続して[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド(水中で60質量%の溶液)(I)319g(0.92モル、26.8モル%)、アクリルアミド(水中で50質量%の溶液)(II)355g(2.5モル、73モル%)およびトリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート(水中で60質量%の溶液)(III)19g(0.0068モル、0.2モル%)を添加した。分子量調節剤としてギ酸50ppmを添加した。該溶液を、20%の水酸化ナトリウム溶液によりpH=7に調節し、窒素による30分の洗浄によって不活性化し、かつ約5℃に冷却した。該溶液を、(w・d・h)15cm・10cm・20cmの寸法を有するプラスチック容器中に充填し、引き続き、連続して2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリド150mg、1%のロンガリットC溶液1.0gおよび0.1%のt−ブチルヒドロペルオキシド溶液10gを添加した。重合をUV光照射(2つのPhilips管;Cleo Performance 40W)によって開始した。約2時間後、硬質のゲルをプラスチック容器から取り出し、かつハサミにより約5cm・5cm・5cmの大きさのゲル立方体に切断した。このゲル立方体を慣例のミートチョッパーによって粉砕する前に、それらに剥離剤Sitren 595(ポリジメチルシロキサン−エマルジョン;Goldschmidt社)を塗布した。剥離剤は、水で1:20に希釈したポリジメチルシロキサンエマルジョンである。
【0045】
得られたコポリマー1のゲル粒状物を乾燥格子に均等に配分し、かつ空気循環式乾燥キャビネット内で約90〜120℃にて真空中で恒量になるまで乾燥した。
【0046】
約375gの白色の、硬質の粒状物を獲得し、該粒状物を遠心粉砕機によって粉末の状態に変えた。コポリマー1のポリマー粉末の平均粒径は40μmであり、かつ100μmより大きい粒径を有する粒子の割合は1質量%より小さかった。
【0047】
コポリマー2
コポリマー1に相応して、コポリマー2を、[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド(I)48モル%、アクリルアミド(II)51.4モル%、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート(III)0.3モル%およびポリエチレングリコール−(2000)−ビニルオキシ−ブチルエーテル(IV)0.3モル%から製造した。分子量調節剤としてギ酸80ppmを添加した。
【0048】
コポリマー3
コポリマー1に相応して、コポリマー3を、[3−(メタクリロイルアミノ)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド(I)38モル%、アクリルアミド(II)61モル%、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート(III)0.3モル%およびメチルポリエチレングリコール−(3000)−モノビニルエーテル(IV)0.7モル%から製造した。分子量調節剤としてギ酸200ppmを添加した。
【0049】
コポリマー4
コポリマー1に相応して、コポリマー4を、[2−(メタクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムクロリド(I)26モル%、アクリルアミド(II))65モル%、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート(III)0.2モル%および[2−(メタクリロイル−オキシ)−エチル]−ジエチルアミン(V)8.8モル%から製造した。分子量調節剤としてギ酸80ppmを添加した。
【0050】
コポリマー5
コポリマー1に相応して、コポリマー5を、[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド(I)16モル%、アクリルアミド(II)56.8モル%、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート(III)0.2モル%および[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−ジメチルアミン(V)27モル%から製造した。分子量調節剤としてギ酸40ppmを添加した。
【0051】
コポリマー6
コポリマー1に相応して、コポリマー6を、[3−(メタクリロイルアミノ)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド(I)27モル%、アクリルアミド(II)55.6モル%、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート(III)0.2モル%、ポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコール−(1100)−ビニルオキシブチルエーテル(IV)0.2モル%および[3−(メタクリロイルアミノ)−プロピル]−ジメチルアミン(V)17モル%から製造した。分子量調節剤としてギ酸40ppmを添加した。
【0052】
コポリマー7
コポリマー1に相応して、コポリマー7を、[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド(I)45.4モル%、アクリルアミド(II)48モル%、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート(III)0.3モル%、ポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコール−(3000)−ビニルオキシ−ブチルエーテル(IV)0.3モル%およびアクリル酸(VI)6モル%から製造した。分子量調節剤としてギ酸70ppmを添加した。
【0053】
コポリマー8
コポリマー1に相応して、コポリマー8を、[2−(メタクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムクロリド(I)28モル%、N,N−ジメチルアクリルアミド(II)46.7モル%、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート(III)0.3モル%、[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−ジメチルアミン(V)21モル%およびアクリル酸(VI)4モル%から製造した。分子量調節剤としてギ酸30ppmを添加した。
【0054】
コポリマー9
コポリマー1に相応して、コポリマー9を、[2−(メタクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムクロリド(I)25モル%、アクリルアミド(II)57モル%、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート(III)0.2モル%、ポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコール−(2000)−ビニルオキシ−ブチルエーテル(IV)0.2モル%、[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−ジメチルアミン(V)12モル%およびアクリル酸(VI)5.6モル%から製造した。分子量調節剤としてギ酸30ppmを添加した。
【0055】
ポリマー混合物1
コポリマー3 95質量%およびC14/C16−α−オレフィンスルホネートナトリウム塩(VII)5質量%(SE Tylose GmbH & Co.KG社のHostapur OSB)から成る。
【0056】
ポリマー混合物2
コポリマー9 85質量%およびラウリル硫酸ナトリウム(VII)15質量%(F.B.Silbermann GmbH & Co.KG社の市販製品)から成る。
【0057】
比較ポリマー1/比較例1
US5,292,793に従って、比較ポリマー2を、[2−(メタクリロイルオキシ)−エチル]−ジメチルセチルアンモニウムブロミド20モル%およびアクリルアミド80モル%から製造した。
【0058】
比較ポリマー2/比較例2
US−A−2004/024154に従って、比較ポリマー3を、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸47.1モル%、アクリルアミド49.1モル%、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート0.7モル%および2−(メタクリルアミド)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド3.1モル%から製造した。
【0059】
使用例
本発明によるコポリマーおよびポリマー混合物の応用技術的な評価を、安定したタイル接着モルタルおよび石膏プラストの領域からの試験混合物を手がかりにして行った。
【0060】
−タイル接着モルタル:
このために実地に即して、本発明によるコポリマーもしくは比較ポリマーを固体の形で添加した、使用可能に調製した乾燥混合物の使用下で試験した。空練に続けて、ある一定の水量を添加し、かつG3ミキサーを備えた穿孔機によって強力に攪拌した(2・15秒の継続時間)。5分の熟成時間の後、タイル接着モルタルを最初の外観検査に供した。
【0061】
スランプの測定
スランプの測定を、熟成時間の後に行い、かつ攪拌(手動による短い攪拌)の30分後にDIN18555,第2部に従って2度目を行った。
【0062】
保水性の測定
保水性を、攪拌の約15分後にDIN18555,第7部に従って調べた。
【0063】
粘着性/易流動性(Leichtgaengigkeit)の測定
試験混合物の粘着性もしくは易流動性の測定を、適格な当業者によって行う。
【0064】
滑り性の測定
滑り性を、攪拌の約3分後にDIN EN1308に従って調べた。滑り性の積算距離をmmで記載する。
【0065】
形成時間の測定
形成時間を、Rilem−ミキサー(等級I)を用いた混合に際して、ストップウォッチを用いた当業者による目視判断によって測定した。
【0066】
タイルの濡れ性の測定
タイル接着剤調製物を、EN1323に従ったコンクリート板に施与し、かつ10分後にタイル(5×5cm)を載置し、これを30秒間2kgの重しにより荷重をかけた。さらに60分後、タイルを取り出し、かつ、いくらの割合でタイルの裏面が、依然として接着剤と一体になっていたかを調べた。
【0067】
タイル接着モルタルの組成は表1から読み取ることができる。
【0068】
【表1】

【0069】
タイル接着モルタルは、C2FTEタイル接着モルタル(DIN EN 12004による)と同じように、促進剤としてのギ酸カルシウム2.80質量%で調製している。本発明によるコポリマー、ポリマー混合物および比較例により得られた試験結果は表2の中で示している。
【0070】
【表2】

表2の中の試験結果が示すのは、本発明によるコポリマーが、タイル接着モルタルにおける加工に際して、比較例1および2に従うものより明らかに良好な保水値、少ない粘着性および明らかに減少した粘性を有することである。後者は、可溶性カルシウムイオンの濃度が高い場合に水分保持性における著しい減少を示す。それに対して、本発明によるコポリマーは、カルシウム含量が高い場合にも特に良好な水分保持性を示す。たしかに、比較として試験したセルロースエーテルは、カルシウム負荷が高い場合にタイル接着モルタルに良好な水分保持性を付与するが、しかしながら、加工装置にとって不都合である、不所望に高い粘着性を伴う。
【0071】
本発明によるコポリマーを有するタイルの濡れ性は、比較ポリマー1および2を有するものより優れる傾向にある。際立っているのは、タイル接着モルタルの加工に際しての易流動性および粘着性に関しての本発明によるコポリマー間の相違である。なかでもコポリマー7、8および9は、はっきりと少ない粘着性と、それに伴ってタイル接着モルタルの加工に際しての易流動性を示す。快適かつ簡単な加工性により、タイル接着モルタルの分散に際してのエネルギー消費が明らかに減少し、かつ個々の作業工程が単純化する。比較例1および2に従った種類は、セルロースエーテルと比べて明らかに少ない粘着性と改善された易流動性を示す−しかしながら、本発明によるコポリマーには劣っている。
【0072】
DIN EN1308に従う滑り性の評価に際して、本発明による全てのコポリマーと比較ポリマー2とは類似する高い水準にある。しかしながら、最適な安定度を示すのは、滑り性を完全に防止することのできるポリマー混合物である。その際、該ポリマー混合物を有するタイル接着モルタルも同様に特に良好な易流動性、少ない粘着性および非常に良い水分保持力を示す。
【0073】
全ての本発明によるコポリマーは、気泡安定性に関して高い水準を示す。その際、それぞれ構造単位e)を含有するコポリマー4、5、6、8および9は特に良好な気泡安定性によって際立つ。
【0074】
−手動で施与するための石膏プラスト
このために実地に即して、本発明によるコポリマーもしくは比較生成物を固体の形で混ぜた、使用可能に調製した乾燥混合物の使用下で試験した。乾燥均質化に続けて試験混合物を、定めた水量に15秒以内に添加し、コテにより注意深く攪拌し、引き続きRilem−ミキサー(等級I)で強力に後攪拌した(60秒の継続時間)。この後、該混合物を3分間熟成させ、かつ新たに上記の条件下で15秒間攪拌した。
【0075】
形成時間の測定
Rilem−ミキサー(等級I)による混合に際しての形成時間を、主観的に当業者によるストップウォッチを用いた目視判断によって測定した。
【0076】
保水性の測定
保水性を、熟成時間後にDIN18555,第7部に従って調べた。
【0077】
気泡安定性の測定
気泡安定性を、定性的に目視判断によって測定した。
【0078】
粘着性/易流動性の測定
試験混合物の粘着性もしくは易流動性の測定を、適格な当業者によって行った。
【0079】
安定度の測定
熟成時間後に新しく施与した20mmの厚さの下塗り層の安定性の測定を、適格な当業者によって行った。
【0080】
ノジュール負荷量(Knoetchenlast)の測定
ノジュール含有率の測定を、熟成時間の後に、適格な当業者による目視および手による観察によって行った。
【0081】
石膏プラストの組成は表3から読み取ることができる。
【0082】
【表3】

【0083】
【表4】

【0084】
表4の中の試験結果が示すのは、本発明によるコポリマーが、なかでも判断基準の粘着性と、それに伴う易流動性について、比較例1および2に従った種類と比べて明らかな改善を達成しえたことである。さらに本発明によるコポリマーは良好な安定度をもたらす。極めて厚い下塗り層を塗布し、下塗り混合物を壁から崩れさせることなく、これらを易流動性に加工することが可能である。この利点は、なかでもポリマー混合物1および2により明確に示される。本発明によるコポリマーの保水特性も、比較例1および2に従った種類のものを超える。快適かつ簡単な加工性により、生石膏プラストの塗り付けおよび分散に際してエネルギーの消費が明らかに減少し、かつ個々の作業工程が単純化する。全てのコポリマーは、例外なく、気泡安定性に関して高い水準を示す。その中でもまた特に良好な気泡安定性ひいては下塗り混合物の改善された分散性を可能にするコポリマー4、5、6、8および9が特に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)構造単位a)5〜60モル%、
ii)構造単位b)20〜80モル%および
iii)構造単位c)0.01〜3モル%
を有するコポリマーであって、その際、構造単位a)は、以下の一般式(I)
【化1】

[式中、
は、同じかまたは異なっており、かつ水素および/またはメチル基によって表され、
およびRは、それぞれ同じかまたは異なっており、かつ互いに無関係に、それぞれ水素、C原子1〜20個を有する脂肪族炭化水素基、C原子5〜8個を有する脂環式炭化水素基および/またはC原子6〜14個を有するアリール基によって表され、
は、同じかまたは異なっており、かつRまたはRと同一の置換基、−(CH−SO
【化2】

によって表され、
Mは、同じかまたは異なっており、かつ一価または二価の金属カチオン、アンモニウムカチオンおよび/または第四級アンモニウムカチオン(NRによって表され、
kは、同じかまたは異なっており、かつ1/2および/または1によって表され、
Yは、同じかまたは異なっており、かつ酸素、−NHおよび/または−NRによって表され、
Vは、同じかまたは異なっており、かつ−(CH−、
【化3】

によって表され、
xは、同じかまたは異なっており、かつ1〜6の整数によって表され、
Xは、同じかまたは異なっており、かつハロゲン原子、C〜C−アルキルサルフェートおよび/またはC〜C−アルキルスルホネートによって表される]によって表され:
構造単位b)は、以下の一般式(IIa)および/または(IIb)
【化4】

[式中、
Qは、同じかまたは異なっており、かつ水素および/または−CHRによって表され、
、RおよびRは、それぞれ前記の意味を有するが、ただしQが水素ではない場合、一般式(IIb)におけるRおよびRは、一緒になって−CH−(CH−メチレン基を形成してよく、その結果、以下の構造
【化5】

に従う一般式(IIb)が存在する:
その際、
は、同じかまたは異なっており、ならびに、水素原子、C〜C−アルキル基、カルボン酸基および/またはカルボキシレート基−COOMによって表され、その際、yは、同じかまたは異なっており、かつ1〜4の整数によって表され、ならびにMおよびkは、それぞれ前記の意味を有する]によって表され:
構造単位c)は、一般式(III)
【化6】

[式中、
Uは、同じかまたは異なっており、かつ−COO(C2mO)−R、および/または−(CH−O(C2mO)−Rによって表され、
mは、同じかまたは異なっており、かつ2から4までの整数によって表され、
nは、同じかまたは異なっており、かつ1から200までの整数によって表され、
pは、同じかまたは異なっており、かつ0から20までの整数によって表され、
は、同じかまたは異なっており、かつ
【化7】

によって表され、
は、同じかまたは異なっており、かつ水素、C〜C−アルキル基、および/またはC〜C12−アルキル基ならびにC〜C14−アリール基を有するアリールアルキル基によって表され、
zは、同じかまたは異なっており、かつ1から3までの整数によって表され、かつ
は、前記の意味を有する]によって表されるコポリマー。
【請求項2】
構造単位a)が、1つまたは複数のモノマー種の[2−(アクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルアミノ)−エチル]−トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(アクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムメトサルフェート、[2−(メタクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムクロリドもしくは[2−(メタクリロイルオキシ)−エチル]−トリメチルアンモニウムメトサルフェート、[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリロイルアミノ)−プロピル]−トリメチルアンモニウムクロリド、N−(3−スルホプロピル)−N−メタクリルオキシエチル−N'−N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−メタクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインおよび/または1−(3−スルホプロピル)−2−ビニルピリジニウムベタインの重合から生じることを特徴とする、請求項1記載のコポリマー。
【請求項3】
構造単位b)が、1つまたは複数のモノマー種のアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−三級ブチルアクリルアミド等の重合から生じ、構造(IIb)のためのベースとしてのモノマーの例は、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムおよび/またはN−ビニルピロリドン−5−カルボン酸であることを特徴とする、請求項1または2記載のコポリマー。
【請求項4】
構造単位c)が、1つまたは複数のモノマー種のトリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−メタクリレート、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−アクリレート、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−モノビニルエーテル、トリスチリルフェノール−ポリエチレングリコール−1100−ビニルオキシ−ブチルエーテルおよび/またはトリスチリルフェノール−ポリエチレングルコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテルの重合から生じることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項5】
構造単位a)が15〜50モル%で、b)が30〜75モル%で、かつc)が0.03〜1モル%で含有されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項6】
一般式(IV):
【化8】

[式中
Zは、同じかまたは異なっており、かつ−COO(C2mO)−Rおよび/または−(CH−O(C2mO)−Rによって表され、
は、同じかまたは異なっており、かつ水素および/またはC〜C−アルキルによって表され、ならびに
、m、nおよびpは、それぞれ前記の意味を有する]
によって表される構造単位d)を5モル%まで、有利には0.05〜3モル%含有する、請求項1から5までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項7】
構造単位d)が、1つまたは複数の以下のモノマー種のアリルポリエチレングリコール−(350〜2000)、メチルポリエチレングリコール−(350〜3000)−モノビニルエーテル、ポリエチレングリコール−(500〜5000)−ビニルオキシ−ブチルエーテル、ポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコール−(500〜5000)−ビニルオキシ−ブチルエーテル、メチルポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテル、メチルポリエチレングリコール−750−メタクリレート、ポリエチレングリコール−500−メタクリレート、メチレンポリエチレングリコール−2000−モノビニルエーテルおよび/またはメチルポリエチレングリコール−ブロック−プロピレングリコールアリルエーテルの重合から生じることを特徴とする、請求項6記載のコポリマー。
【請求項8】
一般式(V):
【化9】

[式中、
Wは、同じかまたは異なっており、かつ−CO−O−(CH−および/または−CO−NR−(CH−によって表され、ならびに
、R、Rおよびxは、それぞれ前記の意味を有する]
によって表される構造単位e)を40モル%まで、有利には0.1〜30モル%含有する、請求項1から7までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項9】
構造単位e)が、1つまたは複数の以下のモノマー種の[3−(メタクリロイルアミノ)−プロピル]−ジメチルアミン、[3−(アクリロイルアミノ)−プロピル]−ジメチルアミン、[2−(メタクリロイル−オキシ)−エチル]−ジメチルアミン、[2−(アクリロイル−オキシ)−エチル]−ジメチルアミン、[2−(メタクリロイル−オキシ)−エチル]−ジエチルアミンおよび/または[2−(アクリロイル−オキシ)−エチル]−ジエチルアミンの重合から生じることを特徴とする、請求項8記載のコポリマー。
【請求項10】
一般式(VI)
【化10】

[式中、
Sは、同じかまたは異なっており、かつ−COOMによって表され、ならびに
M、kおよびRは、それぞれ前記の意味を有する]
によって表される構造単位f)を20モル%まで、有利には0.1〜10モル%含有する、請求項1から9までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項11】
構造単位f)が、1つまたは複数の以下のモノマー種のアクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸および/またはメタクリル酸ナトリウムの重合から生じることを特徴とする、請求項10記載のコポリマー。
【請求項12】
50000〜20000000の数平均分子量を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項13】
分岐したおよび/または架橋した領域を有する、請求項1から12までのいずれか1項記載のコポリマー。
【請求項14】
水相中でのラジカル重合による、逆相乳化液中でのラジカル重合による、または逆相懸濁液中でのラジカル重合による、請求項1から13までのいずれか1項記載のコポリマーの製造法。
【請求項15】
ラジカル重合をゲル重合として水相中で行うことを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ラジカル重合を架橋剤の存在下で行うことを特徴とする、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
水硬性結合剤、殊にセメント、石灰、石膏または硬石膏を含有する水性建築材料系のための混和剤としての、請求項1から16までのいずれか1項記載のコポリマーの使用。
【請求項18】
水硬性結合剤が、乾燥モルタル組成物として、殊にタイル接着剤または石膏プラストとして存在することを特徴とする、請求項17記載の使用。
【請求項19】
非イオン性の多糖誘導体と組み合わせて使用する、請求項17または18記載の使用。
【請求項20】
α)請求項1から13までのいずれか1項記載のコポリマーおよび
β)一般式
(VII)J−K
または
(VIII)T−B−K
[式中、JおよびTは、それぞれ界面活性剤の疎水性部分を表し、Kは、アニオン性官能基であり、Tは、界面活性剤の疎水性部分を表し、かつBはスペーサー基であり、その際、
Jは、C原子8〜30個を有する脂肪族炭化水素基、C原子5〜8個を有する脂環式炭化水素基またはC原子6〜14個を有するアリール基によって表され、
Kは、−SO、−OSO、−COOM、または−OP(O)(OH)OMによって表され、
Mおよびkは、それぞれ前記の意味を有し、
Tは、C原子8〜30個を有する脂肪族炭化水素基、C原子5〜8個を有する脂環式炭化水素基またはC原子6〜14個を有するアリール基またはRによって表され、
Bは、−O(C2mO)−によって表され、ならびに
K、R、mおよびnは、それぞれ前記の意味を有する]
によって表されるアニオン性界面活性剤
を含有するポリマー混合物。
【請求項21】
コポリマー80〜99質量%およびアニオン性界面活性剤1〜20質量%を有する、請求項20記載のポリマー混合物。
【請求項22】
一般式(VII)によるアニオン性界面活性剤が、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、α−オレフィンスルホネート、アルキルホスフェートとして、または脂肪酸塩として、かつ一般式(VIII)のアニオン性界面活性剤が、アルキルエーテルサルフェートとして存在することを特徴とする、請求項20または21記載のポリマー混合物。
【請求項23】
水硬性結合剤を含有する水性建築材料系のための混和剤としての、請求項20から22までのいずれか1項記載のポリマー混合物の使用。
【請求項24】
非イオン性の多糖誘導体と組み合わせて使用する、請求項22記載の使用。

【公表番号】特表2010−507694(P2010−507694A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533708(P2009−533708)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009071
【国際公開番号】WO2008/049549
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】