説明

発信機の操作構造

【課題】発信機の操作部の組付け及び復旧を容易にする。
【解決手段】発信機の操作構造は、筐体に開口した取付穴76の背後に配置した押し釦スイッチを、取付穴76に配置した枠部材72に保持された保護板74の押し込みでオン操作する。枠部材72は、内側に操作穴78を開口したリング状の枠本体と、操作穴78の裏側開口から内側に張り出して複数個所に分割配置されたストッパ部80と、ストッパ部80に相対した前方の操作穴内周部分に突出して複数個所に分割配置した抜止め部82とを備えたゴム部材であり、ストッパ部80と抜止め部82の間に保護板74を保持し、保護板74が所定の力を超える押し込み力を受けた際にストッパ部80の変形により枠部材72から外れて押し釦スイッチをオン操作させる構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火栓装置などに設けられる発信機の操作構造に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、発信機が取り付けられる例えば高速道路のトンネルに設置される消火栓装置は、開放自在な消火栓扉を備えた筐体内に、ノズル付きホースとバルブ類を収納し、また、開閉自在な消火器扉を備えた消火器収納部に例えば2本の消火器を収納し、更に、通報装置扉が設けられ、ここに赤色表示灯、発信機、及び応答ランプを設けている。
【0003】
通報装置扉の赤色表示灯は常時点灯し、消火栓装置の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機を押して押し釦スイッチをオン操作すると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプを点灯するようにしている。
【0004】
図11はトンネル消火栓装置に使用される発信機であり、カバー100の背後に防水ゴムで覆われた押し釦スイッチ102を配置し、カバー100の前面には枠部材104により透明な有機ガラス板などを使用した保護板106が配置されている。
【0005】
図12(A)は従来の発信機の内部構造を示した断面図である。筐体側となる通報装置扉108に開口した取付穴110の背後には押し釦スイッチ102が配置され、スイッチノブ110を前方に配置している。
【0006】
取付穴110には枠部材104が配置され、枠部材104に保護板106を保持している。枠部材104は、外周側の複数箇所に裏面に向けて嵌合爪114を形成し、カバー100の嵌合穴116に嵌合している。枠部材104の内周側の複数個所には裏面に向けて係止爪118を形成し、保護板106を保持している。
【0007】
保護板106を保持する枠部材104は通常有機ガラスで作られており、枠部材104の係止爪118により保護板106を保持している。
【0008】
ここで発信機を操作するための規格としては、例えば保護板104の正面から直径20mmの棒で20ニュートンの力を加えても枠部材104から保護板106が外れず、80ニュートン以上の力を加えると図12(B)に示すように枠部材104から保護板106が外れ、押し釦スイッチ102をオンさせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−154282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の発信機の操作構造にあっては、図12(B)のように保護板106を押し込んで押し釦スイッチ102をオンした場合、復旧の際には図13に示すように、枠部材104をカバーから取り外し、内部に脱落している保護板106を取り出し、枠部材104の係止爪118に装着してから通報装置扉108に取り付ける必要があり、押し釦スイッチ102を操作した後の復旧作業が煩雑になる。また枠部材104をカバーとの着脱動作を繰り返すと嵌合爪114が破損する恐れがあった。
【0011】
また枠部材104のプラスチックで作られた係止爪118に保護板106を嵌め込む作業を何度も行うと、係止爪118が破損する恐れもあった。
【0012】
本発明は、発信機の操作部の組付け及び復旧を容易にする発信機の操作構造を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、開口した取付穴の背後に配置した押し釦スイッチを、取付穴に配置した枠部材に保持された保護板の押し込みでオン操作する発信機の操作構造に於いて、
枠部材は、
内側に操作穴を開口したリング状の枠本体と、
操作穴の裏側開口から内側に張り出して配置されたストッパ部と、
ストッパ部に相対した前方の操作穴内周部分に突出して配置した抜止め部と、
を備えた弾性部材であり、
枠部材の操作穴に設けたストッパ部と抜け止め部の間に保護板を保持し、保護板が所定の力を超える押し込み力を受けた際にストッパ部の変形により枠部材から外れて押し釦スイッチをオン操作させる構造としたことを特徴とする。
【0014】
ここで、枠部材のストッパ部は少なくとも2箇所に分割配置され、ストッパ部の間に枠本体から外れた保護板を横にして開外部に取り出す隙間を形成する。
【0015】
ストッパ部の変形強度より抜け止め部の変形強度を小さくする構造とし、、前方から保護板を枠体の操作穴に、ストッパ部の変形強度を越えない力で抜け止め部を変形して押し込むことで、保護板を枠部材の操作穴に設けたストッパ部と抜け止め部の間に収納させる構造とする。
【0016】
また本発明は取付穴の背後に配置した押し釦スイッチをオン操作する発信機の操作構造に於いて、
取付穴の開口表側に、偏心軸により偏心回転自在に軸支され自重により取付穴を閉鎖する位置に保持される保護板を配置し、保護板を偏心回動して取付穴を開いて押し釦スイッチを操作する構造としたことを特徴とする。
【0017】
発信機の操作構造に用いる押し釦スイッチは、オン操作により点灯する照光スイッチとしても良い。

【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、開口部に弾性を有する枠部材を取り付ける構成としたことで、枠部材の着脱操作による枠部材を損傷することを防ぐことができる。また弾性部材の枠部材の内部に保護板を保持するようにしたことで、容易に保護板を枠部材に装着することができ、また保護板を押して内部のスイッチをオン操作する際に、枠部材が弾性変形することで枠部材を壊すことなく保護板を押し込むことができる。また発信機を操作するための規格を弾性部材の材質や寸法により容易に満たすことができる。
また枠部材の裏面開口にストッパ部材を配置したことで、押し釦操作で内部に押し込まれた保護板を、分割されたストッパ部の間に形成された隙間から外部に取り出すことができ、枠部材を取り外すことなく、保護板を簡単に外部へ取り出すことができる。
【0019】
また、取り外した保護板は枠部材の前面から装着ができるように、枠部材の手前の抜止め部の変形強度を、裏面開口側のストッパ部の変形強度より小さくすることにより、取り外した保護板を枠部材の前面から装着することができ、枠部材を外して保護板を装着する必要がなく、復旧作業を容易にして復旧時間を短縮することができる。
【0020】
また本発明の別の形態にあっては、操作穴に対し偏心位置に設けた保護板を横に回転させて操作穴を開き、操作穴に指をいれて押し釦スイッチを直接操作しており、保護板を介して押し釦スイッチを操作する場合に比べ、より適切なスイッチの操作感が得られる。またスイッチ操作後に指を離せば、保護版が自重により閉鎖位置に戻って復旧状態となり、復旧操作が極めて簡単となる。

【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるトンネル消火栓装置の実施形態を示した説明図
【図2】本発明による発信機操作構造の実施形態を示した説明図
【図3】図2の発信機操作構造の組立分解図
【図4】図3の枠部材を取り出して示した説明図
【図5】図4(A)のX−X断面を示した断面図
【図6】図2の発信機操作構造の断面図
【図7】保護板を押し込んでスイッチ操作した状態を示した断面図
【図8】復旧するために保護板を取り出した状態を示した説明図
【図9】本発明による発信機操作構造の他の実施形態を示した説明図
【図10】図9の実施形態における保護板の取付け構造を示した説明図
【図11】従来の発信機を取り出して示した説明図
【図12】従来の発信機操作構造を断面で示した説明図
【図13】従来の発信機操作構造につき枠部材を外して保護板を装着する復旧操作を示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の発信機操作構造が適用されるトンネルに設置される消火栓装置を示した正面図である。図1において、消火栓装置10は、消火栓側の筐体12−1と消火器側の筐体12−2に分割した構造であり、前面に化粧板14−1,14−2を装着しており、筐体12−1、12−2に対し必要な機器及び部材を組付けた後に連結固定部15で固定した状態とし、この状態でトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。
【0023】
化粧板14−1,14−2には扉開口部16,17が設けられている。筐体12−1の扉開口部16は上下に2分割され、下側扉開口部に消火栓扉18を配置し、上側扉開口部に保守扉22を配置しており、その内部がホース収納空間及びバルブ類収納空間となっている。
【0024】
消火栓扉18は、扉開口部16に対し下側の軸となるヒンジ21を中心に下向きに開閉自在に設けられており、マグネットと受け板を用いた下扉ロック機構70により閉止位置に閉じている。消火栓扉18は、ハンドル20を手前に引いて下扉ロック機構70の磁気吸着によるロックを外すことで前方に開閉することができる。
【0025】
消火栓扉18の上には上向きに開閉する保守扉22が設けられており、マグネットと受け板を用いた上扉ロック機構68により閉止位置に閉じられており、点検時に消火栓扉18を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。また、筐体12−1の上部両側には装置を吊り下げるための吊り輪25が取り付けられている。
【0026】
筐体12−2の扉開口部17の右側には通報装置扉24が設けられ、ここに赤色表示灯26、発信機28、及び応答ランプ30を設けている。なお、発信機28は後の説明で明らかにする本発明による発信機操作構造を備える。また通報装置扉24の内側には図2に示すように電話ジャック31を設けている。
【0027】
赤色表示灯26は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機28を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ30を点灯するようにしている。
【0028】
扉開口部17の左側には消火器扉32が設けられ、消火器扉32に対応した筐体12−2の内部を消火器収納空間とし、例えば2本の消火器37を収納している。消火器扉32にはハンドル34が設けられ、ハンドル34を手前に引くとラッチが外れ、消火器扉32は左側をヒンジとして前方に開くことができる。また、消火器扉34の下側には覗き窓35が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
【0029】
筐体12−1の内部には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口、消火時に弁開放して放水を行う消火栓弁などのバルブ類等を介して、ホースが巻かれて収納されるホース収納空間が形成されている。ホースの先端にはノズルが装着されている。
【0030】
保守扉22は、消火栓装置の保守以外には通常閉じられており、消火作業時も閉められたままで消火栓扉18のみ開放され、筐体12−1内に収納されたノズルを取り出し、消火栓弁を開放し、ホースを引き出すことで消火作業を行う。
【0031】
図2は図1の消火栓装置10における通報装置扉24に設けた発信機28の部分を取り出して本発明による発信機操作構造の実施形態を示した説明図である。図2において、通報装置扉24には発信機28が設けられており、発信機28は通報装置扉24に設けた取付穴に、ゴム部材で作られた枠部材72の中央の操作穴に保護板74を配置した発信機操作構造を設けている。保護板74の背後には、後の説明で明らかにするように押し釦スイッチが配置されている。
【0032】
図3は図2の発信機操作構造の組立分解図である。図3において、通報装置扉24には取付穴76が設けられ、この取付穴76に対しゴム部材で作られた枠部材72を嵌め込むようにしている。枠部材72は中央に操作穴78を形成したリング状の部材であり、操作穴78の背面側の内側に張り出して4箇所に分割したストッパ部80を形成し、ストッパ部80に対応した操作穴78の内周面の4箇所に抜止め部82を形成している。
【0033】
枠部材72に対しては有機ガラス板などの透明材料で作られた保護板74が装着される。保護板74は、通報装置扉24の取付穴76に嵌め入れた枠部材72の操作穴78に対し前方から押し込むことで、ストッパ部80と抜止め部82の間の位置に収納することができる。
【0034】
図4は図3の枠部材を取り出して示した説明図であり、図4(A)に正面、図4(B)に側面、図4(C)に背面を示している。
【0035】
図4において、枠部材72は中央に操作穴78を形成したリング状の部材であり、ゴム材料により作られている。枠部材72におけるリング状の枠本体71に形成した操作穴78の背後には、図4(B)及び図4(C)に示すように、4箇所に分割してストッパ部80が内周側に張り出した状態で配置している。このストッパ部80の内周の径d1は、図3に示した保護板74の径D1より小さい径として抜け落ちないようにしている。
【0036】
ストッパ部80の手前となる操作穴78の内周面の4箇所には抜止め部82が形成されている。背面側のストッパ部80は肉厚で内側に大きく張り出しているが、操作穴78の抜止め部82は、ストッパ部80に対し突出量が小さく、周方向も小さく形成されている。これによって、前方から図3のように保護板74を押し込んだときの変形強度が、裏面側のストッパ部80が大きく、手前側の操作穴78に形成した抜止め部82の変形強度が小さくなるようにしている。
【0037】
そのため、図3に示すように枠部材72に前方から保護板74を押し込むと、保護板74を押し込む力により抜止め部82が変形して内側に保護板74を押し込むが、その後ろに配置しているストッパ部80は変形強度が抜止め部82に対し十分大きいため、保護板74の押込みによる力では変形せず、押し込まれた保護板74をストッパ部80で受け止めることができる。その結果、枠部材72に対し前方から保護板74をワンタッチで押し込んで、ストッパ部80と抜止め部82の間に収納する可能となる。
【0038】
図5は図4(A)のX−X断面を示した断面図である。図5において、枠部材72は枠本体71の中央に操作穴78を形成しており、操作穴78の裏面側にストッパ部80を4箇所に分割して一体に形成している。枠本体71とストッパ部80の外周の間には取付溝84が形成され、取付溝84によって、図3に示した通報装置扉24の取付穴76に枠部材72を嵌込み固定することができる。
【0039】
裏面側に分割配置したストッパ部80に対応した操作穴78の内周面の4箇所には抜止め部82を突出形成している。抜止め部82の円周方向の幅及び中心側への突出量は、裏面側に配置したストッパ部80に比べて十分小さく、保護板を押し込んだときの変形強度をより小さくする構造としており、保護板を前方から押し込むことで、抜止め部82が変形してストッパ部80で止まる位置に保護板をワンタッチで押し込むことができる。
【0040】
図6は本実施形態の発信機操作構造を備えた発信機28を示した断面図である。図6において、通報装置扉24の取付穴にはゴム材料で作られた枠部材72が取付溝84の嵌込みで装着されている。枠部材72には前方から保護板74が押し込まれ、裏面側のストッパ部80と操作穴78の周面の抜止め部82の間に保持されている。
【0041】
通報装置扉24に設けた取付穴76の背後には取付部材85が溶接などにより固定され、取付部材85に対し押し釦スイッチ86をねじ込み固定している。押し釦スイッチ86は前方側にスイッチノブ88を突出しており、スイッチノブ88の前方を覆って防水キャップ90を装着している。また押し釦スイッチ86の後部には端子92が設けられ、ここに外部から信号線93を接続している。押し釦スイッチ86の後方については、防水カバー91が装着されている。
【0042】
図7は保護板を押し込んでスイッチを操作した状態を示した断面図である。図7において、矢印で示すように、枠部材72に装着している保護板74を強く押し込むと、図4に示したように保護板74の裏面側に分割して設けている4箇所のストッパ部80が変形し、枠部材72から保護板74が図7に示すように外れ、押し釦スイッチ86の防水キャップ90を押し込みながら内部のスイッチノブ88を押し込んで、押し釦スイッチ86をオン操作することになる。
【0043】
ここで本実施形態の発信機操作構造に発信機の規格を適用した場合には、図6に示すように、枠部材72に保護板74を装着した状態で外部から径20ミリメートルの棒で押し込む力が20ニュートンでは外れないが、80ニュートン以上となった場合には外れるように、ストッパ部80の厚さや形状により変形強度を設定している。枠部材72の材質は耐候性、耐熱性、耐寒性、耐水性、耐薬品性が優れたものが好ましく、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)やクロロプレンゴム(CR)やニトリルゴム(NBR)等が挙げられる。このような弾性部材を使用することにより、規格を満足するようにストッパ部の寸法を決めることで容易に実現することができる。
【0044】
図7のように保護板74を押し込んで押し釦スイッチ86をオン操作すると、押し釦スイッチ86のオン操作による信号が監視室などの受信機に送られ、受信機から応答信号が送り返され、図1に示した応答ランプ30を点灯することになる。
【0045】
次に図7のように保護板74を押し込んで押し釦スイッチ86を操作した後の復旧操作を説明する。保護板74を押し込むと、枠部材72の背後の取付部85の中に保護板74が脱落した状態で入っている。この状態で操作穴82から指を入れて保護板74を取り出すことになるが、このとき図4(A)に示したように、正面から見て枠部材72の操作穴80の裏面側に配置した4箇所のストッパ部80の間には隙間80aが形成されている。
【0046】
そこで内部に入っている保護板74を横にして、隙間80aに合わせて横にしたまま外部に取り出すことができる。このようにストッパ部80の間に形成した隙間80aに対し内部に脱落した保護板74を横にして引き出すことで、通報装置扉24の取付穴76から枠部材72を取り外す必要がなく、内部に落とし込んだ保護板74を簡単に取り出すことができる。
【0047】
保護板74を取り出すことができたならば、図8に示すように、取り出した保護板74を通報装置扉24に取り付けている枠部材72の操作穴78に対し前方から押し込むことで、抜止め部82を変形して、ストッパ部80に当たる位置にワンタッチで保護板74を嵌め入れて復旧することができる。
なお、本発明の枠部材72はゴム性の弾性部材であるから、弾性変形させることで容易に通報装置扉24への取付け、取り外しを行うことができる。弾性することで損傷することもない。したがって、上述においては保護板74を押し込んだ後は、保護板74をストッパ部80の間から取り出すようにしているが、これに限らず、先に枠部材72を取り外した後に保護板74を取付穴76から取り外すことも可能である。
【0048】
図9は本発明による発信機操作構造の他の実施形態を示した説明図である。図9において、本実施形態の発信機28の発信機操作構造は、通報装置扉24に設けた取付穴76の前面に、有機ガラス板などの透明材料で作られた保護板94を、中心に対し上部の偏心した位置に形成した軸穴96を通して軸部材95を通報装置扉24側に固定することで、保護板94を偏心回転自在に装着している。
【0049】
取付穴76の背後には、取付部材85により照光型押し釦スイッチ97が取り付けられている。照光型押し釦スイッチ97は前方にスイッチノブ88を突出しており、スイッチノブ88は透明もしくは半透明材料で形成されており、内部にLED98を収納している。
【0050】
またスイッチノブ88の外側には防水キャップ90が装着されるが、防水キャップ90もスイッチノブ88と同様、透明もしくは半透明な例えば赤色半透明に着色したシリコンゴムなどで作られている。照光型押し釦スイッチ97の後部の端子92には信号線93が接続され、後部に装着した防水カバー91が更に装着されている。
【0051】
図10は図9の実施形態における保護板の取付構造を正面から示した説明図である。図10において、通報装置扉24の取付穴76に対し保護板94が同軸に配置されるが、保護板94は上部の偏心位置を軸部材95の装着で偏心回転自在に取り付けられている。このため通常時にあっては、保護板94は自重により図示の取付穴76を閉鎖する位置に置かれている。
【0052】
発信機28を操作する際には、保護板94を例えば保護板94a,94bに示すように横に回すことで取付穴76を開き、取付穴76から指を入れて防水キャップ90を介して、図9に示す照光型押し釦スイッチ97のスイッチノブ88を直接押し込んでオン操作する。
【0053】
照光型押し釦スイッチ97がスイッチノブ88の押込みでオン操作すると、信号線93により外部に信号を送出すると同時に、内蔵したLED98が点灯又は点滅し、取付穴76を介して内側から防水キャップ90が照明されることで、オン操作が行われたことを目視で確認することができる。
【0054】
この図9及び図10に示した実施形態にあっては、保護板94を横にずらして取付穴76から指を入れることで直接照光型押し釦スイッチ97をオン操作しており、図2〜図8の実施形態における保護板74を介して押し釦スイッチ86を間接的にオン操作する場合に比べ、直接、指でスイッチノブ88を操作することから、より適切なスイッチの操作感覚が得られ、確実にオン操作することができる。また、復旧操作が不要もしくは簡単になる。
【0055】
また照光型押し釦スイッチ97のスイッチノブ88をオン操作すると、LED98が点灯して押込み操作を行った防水キャップ90を内側から照明するため、スイッチ操作の結果がLED98の照明による操作表示として見ることができ、スイッチノブ88の直接操作による操作感と同時に、スイッチ操作を照明により確認することができ、極めて高い操作性を実現している。
【0056】
なお図9及び図10の実施形態にあっては、図2〜図8の実施形態と同様、通常の押し釦スイッチ86を設けても良い。また図2〜図8の実施形態について、図9〜図10に示した照光型押し釦スイッチ97を使用してもよい。
【0057】
また図9及び図10の照光型押し釦スイッチ97を持つ発信機操作構造にあっては、発信機のオン操作によるLEDを点灯して操作表示を行っているが、押し釦スイッチの操作で送信された発信信号に対し受信機側から送り返される確認応答信号を受信してLEDを点灯するようにしても良い。
【0058】
また、上記実施形態に於いては、枠部材72及び保護板74、94を消火栓装置の扉板に開口した取付穴76に設けられる構成としているが、これに限らず、ビル等の壁面に取り付けられ、押し釦スイッチを収納する筐体と前面保護カバーを備えた発信機において、前面保護カバーに開口した取付穴に上記枠部材と保護板を備えるようにしても良い。
【0059】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含む。また本発明は上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

【符号の説明】
【0060】
10:消火栓装置
24:通報装置扉
28:発信機
30:応答ランプ
71:枠本体
72:枠部材
74,94: 保護板
76:取付穴
78:操作穴
80:ストッパ部
80a:隙間
82: 抜止め部
84:取付溝
85:取付部材
86:押し釦スイッチ
88:スイッチノブ
90:防水キャップ
96:軸穴
97:照光型押し釦スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口した取付穴の背後に配置した押し釦スイッチを、前記取付穴に配置した枠部材に保持された保護板の押し込みでオン操作する発信機の操作構造に於いて、
前記枠部材は、
操作穴を開口したリング状の枠本体と、
前記操作穴の裏側開口から内側に張り出して配置されたストッパ部と、
前記ストッパ部に相対した前方の操作穴内周部分に突出して配置した抜止め部と、
を備えた弾性部材であり、
前記枠部材の操作穴に設けたストッパ部と抜け止め部の間に前記保護板を保持し、前記保護板が所定の力を超える押し込み力を受けた際に前記ストッパ部の変形により前記枠部材から外れて前記押し釦スイッチをオン操作させる構造としたことを特徴とする発信機の操作構造。

【請求項2】
請求項1記載の発信機の操作構造に於いて、前記ストッパ部は少なくとも2箇所に分割配置され、前記ストッパ部の間に前記枠本体から外れた保護板を横にして外部に取り出す隙間を形成したことを特徴とする発信機の操作構造。

【請求項3】
請求項1記載の発信機の操作構造に於いて、前記ストッパ部の変形強度より前記抜け止め部の変形強度を小さくする構造とし、前方から前記保護板を前記枠体の操作穴に前記ストッパ部の変形強度を越えない力で前記抜け止め部を変形して押し込むことで、前記保護板を前記枠部材の操作穴に設けたストッパ部と抜け止め部の間に収納させる構造としたことを特徴とする発信機の操作構造。

【請求項4】
開口した取付穴の背後に配置した押し釦スイッチをオン操作する発信機の操作構造に於いて、
前記取付穴の開口表側に、偏心軸により偏心回転自在に軸支され自重により前記取付穴を閉鎖する位置に保持される保護板を配置し、前記保護板の偏心回動により前記取付穴を開いて前記押し釦スイッチを操作する構造としたことを特徴とする発信機の操作構造。

【請求項5】
請求項1又は4記載の発信機の操作構造に於いて、前記押し釦スイッチは、オン操作により点灯する照光スイッチとしたことを特徴とする発信機の操作構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−60580(P2011−60580A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209090(P2009−209090)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】