発光ダイオードの製造方法
【課題】製造容易であると共に、自動化に適した発光ダイオードの製造方法を実現する。
【解決手段】LEDチップ20を枠部材14で囲繞すると共に、該枠部材14の上端に不織布28を載置する工程と、蛍光体26を分散させた透明又は透光性を有する無機結合剤を、上記不織布28の上面に所定量滴下させることにより、無機結合剤を介して不織布28を構成する繊維30の表面に蛍光体26を被着・担持させると共に、無機結合剤を介して不織布28と枠部材14の段部24内壁とを接着させる工程を有する。
【解決手段】LEDチップ20を枠部材14で囲繞すると共に、該枠部材14の上端に不織布28を載置する工程と、蛍光体26を分散させた透明又は透光性を有する無機結合剤を、上記不織布28の上面に所定量滴下させることにより、無機結合剤を介して不織布28を構成する繊維30の表面に蛍光体26を被着・担持させると共に、無機結合剤を介して不織布28と枠部材14の段部24内壁とを接着させる工程を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外線等の光を発光するLEDチップと、蛍光物質を担持して成る繊維の集合体とを備えた発光ダイオード(LED)の製造方法に係り、特に、製造容易であると共に、自動化に適した発光ダイオードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の発光ダイオードとして、本出願人は、先に特開2006−60099号を提案した。
図9に示すように、この発光ダイオード60は、絶縁材料より成る基板62上に、LEDチップ64を接続・固定して成る。
また、上記基板62の表面から側面を経て裏面にまで延設された一対の外部電極66a,66bが相互に絶縁された状態で形成されている。
【0003】
上記LEDチップ64上面の一方の電極(図示せず)は、ボンディングワイヤ68を介して、一方の外部電極66aに接続されると共に、LEDチップ64上面の他方の電極(図示せず)は、ボンディングワイヤ68を介して、他方の外部電極66bに接続されている。
【0004】
上記LEDチップ64上には、蛍光体70を担持して成るシート状の繊維の集合体としての不織布72が配置されている。
不織布72は、図10及び図11に示すように、多数の繊維74が立体的に絡み合って形成されるものであり、繊維74間には多数の空隙76(図12参照)が形成されており、また、多数の繊維74が立体的に絡み合っているため、単位体積当たりの繊維74の表面積が極めて大きいものである。蛍光体70は、不織布72を構成する繊維74の表面に被着・担持されている。
【0005】
上記LEDチップ64は、基板62上に配置された所定高さを備えた枠部材78で囲繞されていると共に、該枠部材78内にエポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂等の透光性材料を充填して形成された透光性の蓋部材80によって封止されている。
【0006】
上記発光ダイオード60にあっては、一対の外部電極66a,66bを介してLEDチップ64に電圧が印加されると、LEDチップ64が発光して、上記蛍光体70を励起させる紫外線や可視光等の光が放射される。この光が、LEDチップ64上に配置されている不織布72に担持された蛍光体70に照射され、所定波長の可視光等の光に波長変換された後、透光性の蓋部材80を透過して外部へ放射されるのである。
【0007】
而して、上記発光ダイオード60にあっては、LEDチップ64上に不織布72を配置し、該不織布72を構成する繊維74の表面に蛍光体70を担持せしめたことから、蛍光体70で波長変換される光を、蛍光体70で反射された反射光として取り出すことができる。このため、光の取出し効率が向上し、高輝度化を図ることができる。
また、上記発光ダイオード60は、単位体積当たりの繊維74の表面積が極めて大きい不織布72を構成する繊維74の表面に蛍光体70を担持せしめたことから、蛍光体70の量及び表面積を飛躍的に増大させることができる。
【特許文献1】特開2006−60099号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記発光ダイオード60にあっては、蛍光体70を担持した不織布72をLEDチップ64上に配置する際、その位置決めが困難であると共に、作業の自動化に適さず、手作業で行う必要があった。
【0009】
この発明は、従来の上記問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、製造容易であると共に、自動化に適した発光ダイオードの製造方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明に係る発光ダイオードの製造方法は、蛍光物質を励起させる波長の光を放射するLEDチップと、蛍光物質を担持して成る繊維の集合体とを備えた発光ダイオードの製造方法であって、LEDチップを枠部材で囲繞すると共に、該枠部材の上端に繊維の集合体を載置する工程と、蛍光物質を分散させた透明又は透光性を有する結合剤を、上記繊維の集合体の上面に所定量滴下させることにより、結合剤を介して繊維の集合体を構成する繊維の表面に蛍光物質を担持させると共に、結合剤を介して繊維の集合体と枠部材上端とを接着させる工程を有することを特徴とする。
【0011】
上記枠部材の上端に段部を形成し、該段部上に、上記繊維の集合体を載置するようにしても良い。
【0012】
上記繊維の集合体としては、不織布が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の発光ダイオードの製造方法にあっては、繊維の集合体の上面に、蛍光物質を分散させた結合剤を滴下させることにより、繊維の集合体を構成する繊維表面への蛍光物質の担持と、繊維の集合体と枠部材との固定を同時に行うことができるので、極めて製造容易である。
また、本発明に係る発光ダイオード製造方法は、LEDチップを囲繞する枠部材の上端に繊維の集合体を載置する工程、蛍光物質を分散させた透明又は透光性を有する結合剤を、繊維の集合体の上面に滴下させる工程が、何れも公知の自動装置等を用いて行うことができるので、製造方法の自動化に適している。
【0014】
上記枠部材の上端に段部を形成し、該段部上に、上記繊維の集合体を載置するようにした場合には、繊維の集合体を載置する際の位置決めが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明に係る発光ダイオードの実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る発光ダイオード10を模式的に示す概略断面図であり、該発光ダイオード10は、樹脂やセラミック等の絶縁材料より成り、略漏斗形状の孔12が形成された略リング状の枠部材14と、第1のリードフレーム16及び第2のリードフレーム18を有している。
【0016】
第1のリードフレーム16は、上記枠部材14の底面14aの略全面を覆う略円板状の先端部16a(図2参照)と、枠部材14を貫通して外方へ向かって水平方向に取り出される後端部16bを有している。第1のリードフレーム16の先端部16aの一部は上記孔12内に露出しており、該孔12内に露出した第1のリードフレーム16の先端部16aに、LEDチップ20をダイボンドすることにより、第1のリードフレーム16とLEDチップ20底面の一方の電極(図示せず)とを電気的に接続している。
枠部材14の孔12内に露出した第1のリードフレーム16の先端部16aに、LEDチップ20を配置したことにより、LEDチップ20は、該LEDチップ20より高さが高い枠部材14によって囲繞されることとなる。
上記LEDチップ20は、窒化ガリウム系半導体結晶等で構成されており、後述する蛍光体を励起させる波長の紫外線や青色可視光等の光を発光するものである。
【0017】
また、第2のリードフレーム18は、上記枠部材14を貫通して孔12内に露出する先端部18aと、枠部材14の外方へ向かって水平方向に取り出されている後端部18bを有しており、第2のリードフレーム18の先端部18aと、上記LEDチップ20上面の他方の電極(図示せず)とをボンディングワイヤ22を介して電気的に接続して成る。
【0018】
上記第1のリードフレーム16の先端部16aと、第2のリードフレーム18の先端部18aは、上下方向に所定の間隙を設けて対向配置されることにより、相互に絶縁されている。
而して、本発明にあっては、第1のリードフレーム16の先端部16aと、第2のリードフレーム18の先端部18aを同一平面上に配置せず、上下方向に所定の間隙を設けて対向配置したことにより、第1のリードフレーム16の先端部16aで枠部材14の底面14aの略全面を覆っても、第1のリードフレーム16と第2のリードフレーム18間の絶縁性を確保できるのである。
また、本発明のLED10にあっては、LEDチップ20の発熱を、第1のリードフレーム16を介してLED10外部へと放熱できるようになっており、しかも、LEDチップ20が配置された第1のリードフレーム16の先端部16aが、枠部材底面14aの略全面を覆う形状と成されているので、放熱面積を大きく確保することができ、放熱効果が高い。上記第1のリードフレーム16は、熱伝導性が良好な導電材料である銅合金で構成することができる。
【0019】
上記枠部材14の上端には、枠部材14上端の内壁を薄くして形成した段部24が形成されており、該段部24上に、蛍光物質としての蛍光体26を担持して成る略円盤状の繊維の集合体としての不織布28が載置されている。この結果、上記LEDチップ16の上方に、蛍光体26が担持された不織布28が配置され、また、枠部材14の孔12は、上記円盤状の不織布22によって閉塞される。
不織布28は、図3及び図4に示すように、多数の繊維30が立体的に絡み合って形成されるものであり、繊維30間には多数の空隙32(図5参照)が形成されており、また、多数の繊維30が立体的に絡み合っているため、単位体積当たりの繊維30の表面積が極めて大きいものである。
図6に示すように、蛍光体26は、不織布28を構成する繊維30の表面に被着・担持されているものである。蛍光体26は不織布28を構成する繊維30の表面に隙間なく緻密に被着される場合の他、繊維30表面の蛍光体26の粒子間に微小な隙間が生じる状態で粗く被着・担持される場合もある。
尚、不織布28を構成する繊維30の繊維密度や、不織布28の厚さ、目付等を適宜調整することにより、不織布28を構成する繊維30の総表面積を任意に増減可能である。
【0020】
上記繊維30は、無機材料であるガラス繊維で構成されており、例えば、直径が5〜20μm、長さが0.5〜20mm程度の短繊維、或いは、長さが50〜100mm程度の長繊維より成る。
ガラス等の無機材料は、合成樹脂等の有機材料とは異なり、紫外線等のエネルギーの大きい短波長光を殆ど吸収することがなく、また、短波長光を吸収した場合でも分子結合力が強いため劣化することが殆どない。
【0021】
上記蛍光体26は、紫外線や青色可視光等の光の照射を受けると、この光を所定波長の可視光等の光に波長変換するものであり、例えば以下の組成のものを用いることができる。
紫外線や青色可視光等の光を赤色可視光に変換する赤色発光用の蛍光体26として、M2O2S:Eu(Mは、La、Gd、Yの何れか1種)、0.5MgF2・3.5MgO・GeO2:Mn、2MgO・2LiO2・Sb2O3:Mn、Y(P,V)O4:Eu、YVO4:Eu、(SrMg)3(PO4):Sn、Y2O3:Eu、CaSiO3:Pb,Mn等がある。
また、紫外線や青色可視光等の光を緑色可視光に変換する緑色発光用の蛍光体26として、BaMg2Al16O27:Eu,Mn、Zn2SiO4:Mn、(Ce,Tb,Mn)MgAl11O19、LaPO4:Ce,Tb、(Ce,Tb)MgAl11O19、Y2SiO5:Ce,Tb、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al、(Zn,Cd)S:Cu,Al、SrAl2O4:Eu、SrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy、Y3Al5O12:Tb、Y3(Al,Ga)5O12:Tb、Y3Al5O12:Ce、Y3(Al,Ga)5O12:Ce等がある。
更に、紫外線や青色可視光等の光を青色可視光に変換する青色発光用の蛍光体26として、(SrCaBa)5(PO4)3Cl:Eu、BaMg2Al16O27:Eu、(SrMg)2P2O7:Eu、Sr2P2O7:Eu、Sr2P2O7:Sn、Sr5(PO4)3Cl:Eu、BaMg2Al16O27:Eu、CaWO4、CaWO4:Pb青色蛍光体、ZnS:Ag,Cl、ZnS:Ag,Al、(Sr,Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu等がある。
上記赤色発光用の蛍光体26、緑色発光用の蛍光体26、青色発光用の蛍光体26を適宜選択・混合して用いることで、種々の色の発色が可能である。
尚、蛍光体26は、有機、無機の蛍光染料や、有機、無機の蛍光顔料を含むものである。
【0022】
而して、上記第1のリードフレーム16及び第2のリードフレーム18を介してLEDチップ20に電圧が印加されると、LEDチップ20が発光して、上記蛍光体26を励起させる紫外線や青色可視光等の光が放射される。この光が、LEDチップ20の上方に配置されている不織布28に担持された蛍光体26に照射され、所定波長の可視光等の光に波長変換された後、外部へ放射されるのである。
【0023】
本発明の発光ダイオード10にあっては、単位体積当たりの繊維30の表面積が極めて大きい不織布28を構成する繊維30の表面に蛍光体26を担持せしめたことから、蛍光体26の量及び表面積を飛躍的に増大させることができる。
また、本発明の発光ダイオード10は、不織布28を構成する繊維30を無機材料であるガラス繊維で構成したことから、LEDチップ20から発光された紫外線等のエネルギーの大きい短波長光を殆ど吸収することがなく、また、短波長光を吸収した場合でも分子結合力が強いため劣化することが殆どない。従って、エネルギーの大きい短波長光による不織布28の劣化・変色に起因する発光ダイオード10の光度減少や色調変化を生じることがない。
さらに、本発明の発光ダイオード10は、LEDチップ20の上方に不織布28を配置し、該不織布28を構成する繊維30の表面に蛍光体26を担持せしめたことから、蛍光体26で波長変換される光を、蛍光体26で反射された反射光として取り出すことができる。このため、光の取出し効率が高く、高輝度化を図ることができる。このように、本発明の発光ダイオード10は、蛍光体26で波長変換される光を反射光として取り出しているため、蛍光体26の量が増大しても、蛍光体による光の自己吸収に起因する輝度低下を生じることを防止できる。
【0024】
尚、蛍光体26で波長変換されが光が、不織布28によって遮られることがないように、上記繊維30は、透光性を備えたガラス繊維で構成するのが好ましく、透明なガラス繊維で構成するのが最も好ましい。
【0025】
以下において、本発明の発光ダイオード10の製造方法を図7及び図8に基づいて説明する。
先ず、枠部材14の底面14aの略全面を覆う第1のリードフレーム16の先端部16a上に、LEDチップ20をダイボンドすることにより、LEDチップ20を枠部材14で囲繞する(図示省略)。これは、公知の自動ダイボンダー装置等を用いて行うことができる。
次に、第2のリードフレーム18の先端部18aと、上記LEDチップ20上面の電極とをボンディングワイヤ22を介して接続する(図示省略)。これは、公知の自動ワイヤーボンダー装置等を用いて行うことができる。
【0026】
次に、自動カッター装置等を用いて、不織布28を、枠部材14の段部24に載置可能な寸法である円盤状にカットし、その後、該円盤状の不織布28を、真空吸着機能を備えたチップマウンター装置等を用いて、枠部材14の段部24上に載置する(図7)。
上記の通り、枠部材14には段部24が形成されているため、不織布28を載置する際の位置決めが容易である。
【0027】
次に、蛍光体26を分散させた液状の無機結合剤を、自動ディスペンサー装置等を用いて、上記不織布28の上面に所定量滴下させる(図8)。この結果、毛細管現象により、蛍光体26を分散させた無機結合剤は、不織布28内に均一に浸込み、該無機結合剤を介して繊維30の表面に蛍光体26が被着・担持される。
また、無機結合剤の一部が、不織布28から枠部材14の段部24内壁へと浸出することにより、無機結合剤を介して不織布28と段部24内壁とが接着して、不織布28と枠部材14との固定化が実現され、図1に示す本発明のLED10が完成する。
尚、上記無機結合剤は、透明なもの又は少なくとも透光性を備えたものが使用され、例えば、透明なゾルゲルガラス、水ガラス等を好適に使用できる。
ゾルゲルガラスは、金属アルコキシドや金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート等の金属有機化合物を出発物質とし、その加水分解、重合反応を利用してガラス化させて形成されるものであり、溶液状態から出発するため無機結合剤として利用可能である。具体的には、蛍光体26を分散させた溶液状態のゾルゲルガラス材料を、不織布28の上面に所定量滴下させた後、ゾルゲルガラス材料を加水分解、重合反応させてゾルゲルガラスと成せばよい。
【0028】
尚、枠部材14に段部24が形成されていない場合には、枠部材14の上端上に不織布28を載置した後、蛍光体26を分散させた無機結合剤を上記不織布28の上面に所定量滴下させ、無機結合剤の一部を、不織布28から枠部材14の上端へと浸出させることにより、無機結合剤を介して不織布28と枠部材14上端とを接着すれば良い。
【0029】
本発明方法にあっては、不織布28の上面に、蛍光体26を分散させた無機結合剤を滴下させることにより、不織布28を構成する繊維30表面への蛍光体26の担持と、不織布28と枠部材14との固定を同時に行うことができるので、極めて製造容易である。
また、LEDチップ20を第1のリードフレーム16の先端部16aにダイボンドしてLEDチップ20を枠部材14で囲繞する工程、LEDチップ20と第2のリードフレーム18の先端部18aとをボンディングワイヤ22を介して接続する工程、不織布28を、枠部材14の段部24に載置可能な寸法にカットする工程、カットした不織布28を枠部材14の段部24に載置する工程、蛍光体26を分散させた無機結合剤を不織布28の上面に滴下させる工程が、何れも公知の自動装置等を用いて行うことができるので、製造方法の自動化に適している。
【0030】
上記においては、繊維30を無機材料であるガラス繊維で構成した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、無機材料であるセラミック繊維、アルミニウム等の金属繊維で上記繊維30を構成することもできる。
また、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂繊維、レーヨン等のセルロース系の化学繊維を用いて上記繊維30を構成しても良い。もっとも、上記の通り、エネルギーの大きい短波長光による不織布28の劣化・変色を防止する観点からは、樹脂等の有機材料ではなく、無機材料で繊維30を構成することが好ましい。
【0031】
上記無機結合剤に代えて、透明なもの又は少なくとも透光性を備えた合成樹脂等より成る有機結合剤を用いても良いが、エネルギーの大きい短波長光による劣化・変色を防止する観点から、上記の通り、無機結合剤を用いるのが望ましい。
【0032】
さらに、上記においては、繊維の集合体として、不織布28を用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、不織布28に代えて、多数の繊維を織り込んで形成した織布を用い、該織布を構成する繊維に蛍光体を担持させても良い。この織布も、不織布28には及ばないものの、単位体積当たりの繊維の表面積が大きいものである。
【0033】
蛍光物質としては、上記した蛍光体26だけでなく、蛍光ガラスや蛍光樹脂等、紫外線や青色可視光等の光の照射を受けた場合に、この光を所定波長の可視光等の光に波長変換する全ての物質を含むものである。
蛍光ガラスは、ガラス材料に蛍光材料を添加して形成される透明体であり、また、蛍光樹脂は、エポキシ樹脂等の樹脂材料に蛍光材料を添加して形成される透明体である。 これら蛍光ガラスや蛍光樹脂は、粒子状と成した上で、液状の結合剤中に分散させた後、不織布28の上面に所定量滴下させることにより、不織布28を構成する繊維30の表面に被着・担持される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る発光ダイオードを模式的に示す概略断面図である。
【図2】本発明に係る発光ダイオードの不織布を取り除いた状態における平面図である。
【図3】本発明に係る蛍光体を担持した不織布を模式的に示すに斜視図である。
【図4】本発明に係る蛍光体を担持した不織布を模式的に示す部分拡大図である。
【図5】本発明に係る不織布を構成する繊維を模式的に示す拡大図である。
【図6】本発明に係る不織布を構成する繊維を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明に係る発光ダイオードの製造方法を示す説明図である。
【図8】本発明に係る発光ダイオードの製造方法を示す説明図である。
【図9】従来の発光ダイオードを模式的に示す概略断面図である。
【図10】従来の蛍光体を担持した不織布を模式的に示すに斜視図である。
【図11】従来の蛍光体を担持した不織布を模式的に示す部分拡大図である。
【図12】従来の不織布を構成する繊維を模式的に示す拡大図である。
【符号の説明】
【0035】
10 発光ダイオード
12 孔
14 枠部材
16 第1のリードフレーム
18 第2のリードフレーム
20 LEDチップ
22 ボンディングワイヤ
24 枠部材の段部
26 蛍光体
28 不織布
30 繊維
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外線等の光を発光するLEDチップと、蛍光物質を担持して成る繊維の集合体とを備えた発光ダイオード(LED)の製造方法に係り、特に、製造容易であると共に、自動化に適した発光ダイオードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の発光ダイオードとして、本出願人は、先に特開2006−60099号を提案した。
図9に示すように、この発光ダイオード60は、絶縁材料より成る基板62上に、LEDチップ64を接続・固定して成る。
また、上記基板62の表面から側面を経て裏面にまで延設された一対の外部電極66a,66bが相互に絶縁された状態で形成されている。
【0003】
上記LEDチップ64上面の一方の電極(図示せず)は、ボンディングワイヤ68を介して、一方の外部電極66aに接続されると共に、LEDチップ64上面の他方の電極(図示せず)は、ボンディングワイヤ68を介して、他方の外部電極66bに接続されている。
【0004】
上記LEDチップ64上には、蛍光体70を担持して成るシート状の繊維の集合体としての不織布72が配置されている。
不織布72は、図10及び図11に示すように、多数の繊維74が立体的に絡み合って形成されるものであり、繊維74間には多数の空隙76(図12参照)が形成されており、また、多数の繊維74が立体的に絡み合っているため、単位体積当たりの繊維74の表面積が極めて大きいものである。蛍光体70は、不織布72を構成する繊維74の表面に被着・担持されている。
【0005】
上記LEDチップ64は、基板62上に配置された所定高さを備えた枠部材78で囲繞されていると共に、該枠部材78内にエポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂等の透光性材料を充填して形成された透光性の蓋部材80によって封止されている。
【0006】
上記発光ダイオード60にあっては、一対の外部電極66a,66bを介してLEDチップ64に電圧が印加されると、LEDチップ64が発光して、上記蛍光体70を励起させる紫外線や可視光等の光が放射される。この光が、LEDチップ64上に配置されている不織布72に担持された蛍光体70に照射され、所定波長の可視光等の光に波長変換された後、透光性の蓋部材80を透過して外部へ放射されるのである。
【0007】
而して、上記発光ダイオード60にあっては、LEDチップ64上に不織布72を配置し、該不織布72を構成する繊維74の表面に蛍光体70を担持せしめたことから、蛍光体70で波長変換される光を、蛍光体70で反射された反射光として取り出すことができる。このため、光の取出し効率が向上し、高輝度化を図ることができる。
また、上記発光ダイオード60は、単位体積当たりの繊維74の表面積が極めて大きい不織布72を構成する繊維74の表面に蛍光体70を担持せしめたことから、蛍光体70の量及び表面積を飛躍的に増大させることができる。
【特許文献1】特開2006−60099号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記発光ダイオード60にあっては、蛍光体70を担持した不織布72をLEDチップ64上に配置する際、その位置決めが困難であると共に、作業の自動化に適さず、手作業で行う必要があった。
【0009】
この発明は、従来の上記問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、製造容易であると共に、自動化に適した発光ダイオードの製造方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明に係る発光ダイオードの製造方法は、蛍光物質を励起させる波長の光を放射するLEDチップと、蛍光物質を担持して成る繊維の集合体とを備えた発光ダイオードの製造方法であって、LEDチップを枠部材で囲繞すると共に、該枠部材の上端に繊維の集合体を載置する工程と、蛍光物質を分散させた透明又は透光性を有する結合剤を、上記繊維の集合体の上面に所定量滴下させることにより、結合剤を介して繊維の集合体を構成する繊維の表面に蛍光物質を担持させると共に、結合剤を介して繊維の集合体と枠部材上端とを接着させる工程を有することを特徴とする。
【0011】
上記枠部材の上端に段部を形成し、該段部上に、上記繊維の集合体を載置するようにしても良い。
【0012】
上記繊維の集合体としては、不織布が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の発光ダイオードの製造方法にあっては、繊維の集合体の上面に、蛍光物質を分散させた結合剤を滴下させることにより、繊維の集合体を構成する繊維表面への蛍光物質の担持と、繊維の集合体と枠部材との固定を同時に行うことができるので、極めて製造容易である。
また、本発明に係る発光ダイオード製造方法は、LEDチップを囲繞する枠部材の上端に繊維の集合体を載置する工程、蛍光物質を分散させた透明又は透光性を有する結合剤を、繊維の集合体の上面に滴下させる工程が、何れも公知の自動装置等を用いて行うことができるので、製造方法の自動化に適している。
【0014】
上記枠部材の上端に段部を形成し、該段部上に、上記繊維の集合体を載置するようにした場合には、繊維の集合体を載置する際の位置決めが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明に係る発光ダイオードの実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る発光ダイオード10を模式的に示す概略断面図であり、該発光ダイオード10は、樹脂やセラミック等の絶縁材料より成り、略漏斗形状の孔12が形成された略リング状の枠部材14と、第1のリードフレーム16及び第2のリードフレーム18を有している。
【0016】
第1のリードフレーム16は、上記枠部材14の底面14aの略全面を覆う略円板状の先端部16a(図2参照)と、枠部材14を貫通して外方へ向かって水平方向に取り出される後端部16bを有している。第1のリードフレーム16の先端部16aの一部は上記孔12内に露出しており、該孔12内に露出した第1のリードフレーム16の先端部16aに、LEDチップ20をダイボンドすることにより、第1のリードフレーム16とLEDチップ20底面の一方の電極(図示せず)とを電気的に接続している。
枠部材14の孔12内に露出した第1のリードフレーム16の先端部16aに、LEDチップ20を配置したことにより、LEDチップ20は、該LEDチップ20より高さが高い枠部材14によって囲繞されることとなる。
上記LEDチップ20は、窒化ガリウム系半導体結晶等で構成されており、後述する蛍光体を励起させる波長の紫外線や青色可視光等の光を発光するものである。
【0017】
また、第2のリードフレーム18は、上記枠部材14を貫通して孔12内に露出する先端部18aと、枠部材14の外方へ向かって水平方向に取り出されている後端部18bを有しており、第2のリードフレーム18の先端部18aと、上記LEDチップ20上面の他方の電極(図示せず)とをボンディングワイヤ22を介して電気的に接続して成る。
【0018】
上記第1のリードフレーム16の先端部16aと、第2のリードフレーム18の先端部18aは、上下方向に所定の間隙を設けて対向配置されることにより、相互に絶縁されている。
而して、本発明にあっては、第1のリードフレーム16の先端部16aと、第2のリードフレーム18の先端部18aを同一平面上に配置せず、上下方向に所定の間隙を設けて対向配置したことにより、第1のリードフレーム16の先端部16aで枠部材14の底面14aの略全面を覆っても、第1のリードフレーム16と第2のリードフレーム18間の絶縁性を確保できるのである。
また、本発明のLED10にあっては、LEDチップ20の発熱を、第1のリードフレーム16を介してLED10外部へと放熱できるようになっており、しかも、LEDチップ20が配置された第1のリードフレーム16の先端部16aが、枠部材底面14aの略全面を覆う形状と成されているので、放熱面積を大きく確保することができ、放熱効果が高い。上記第1のリードフレーム16は、熱伝導性が良好な導電材料である銅合金で構成することができる。
【0019】
上記枠部材14の上端には、枠部材14上端の内壁を薄くして形成した段部24が形成されており、該段部24上に、蛍光物質としての蛍光体26を担持して成る略円盤状の繊維の集合体としての不織布28が載置されている。この結果、上記LEDチップ16の上方に、蛍光体26が担持された不織布28が配置され、また、枠部材14の孔12は、上記円盤状の不織布22によって閉塞される。
不織布28は、図3及び図4に示すように、多数の繊維30が立体的に絡み合って形成されるものであり、繊維30間には多数の空隙32(図5参照)が形成されており、また、多数の繊維30が立体的に絡み合っているため、単位体積当たりの繊維30の表面積が極めて大きいものである。
図6に示すように、蛍光体26は、不織布28を構成する繊維30の表面に被着・担持されているものである。蛍光体26は不織布28を構成する繊維30の表面に隙間なく緻密に被着される場合の他、繊維30表面の蛍光体26の粒子間に微小な隙間が生じる状態で粗く被着・担持される場合もある。
尚、不織布28を構成する繊維30の繊維密度や、不織布28の厚さ、目付等を適宜調整することにより、不織布28を構成する繊維30の総表面積を任意に増減可能である。
【0020】
上記繊維30は、無機材料であるガラス繊維で構成されており、例えば、直径が5〜20μm、長さが0.5〜20mm程度の短繊維、或いは、長さが50〜100mm程度の長繊維より成る。
ガラス等の無機材料は、合成樹脂等の有機材料とは異なり、紫外線等のエネルギーの大きい短波長光を殆ど吸収することがなく、また、短波長光を吸収した場合でも分子結合力が強いため劣化することが殆どない。
【0021】
上記蛍光体26は、紫外線や青色可視光等の光の照射を受けると、この光を所定波長の可視光等の光に波長変換するものであり、例えば以下の組成のものを用いることができる。
紫外線や青色可視光等の光を赤色可視光に変換する赤色発光用の蛍光体26として、M2O2S:Eu(Mは、La、Gd、Yの何れか1種)、0.5MgF2・3.5MgO・GeO2:Mn、2MgO・2LiO2・Sb2O3:Mn、Y(P,V)O4:Eu、YVO4:Eu、(SrMg)3(PO4):Sn、Y2O3:Eu、CaSiO3:Pb,Mn等がある。
また、紫外線や青色可視光等の光を緑色可視光に変換する緑色発光用の蛍光体26として、BaMg2Al16O27:Eu,Mn、Zn2SiO4:Mn、(Ce,Tb,Mn)MgAl11O19、LaPO4:Ce,Tb、(Ce,Tb)MgAl11O19、Y2SiO5:Ce,Tb、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al、(Zn,Cd)S:Cu,Al、SrAl2O4:Eu、SrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy、Y3Al5O12:Tb、Y3(Al,Ga)5O12:Tb、Y3Al5O12:Ce、Y3(Al,Ga)5O12:Ce等がある。
更に、紫外線や青色可視光等の光を青色可視光に変換する青色発光用の蛍光体26として、(SrCaBa)5(PO4)3Cl:Eu、BaMg2Al16O27:Eu、(SrMg)2P2O7:Eu、Sr2P2O7:Eu、Sr2P2O7:Sn、Sr5(PO4)3Cl:Eu、BaMg2Al16O27:Eu、CaWO4、CaWO4:Pb青色蛍光体、ZnS:Ag,Cl、ZnS:Ag,Al、(Sr,Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu等がある。
上記赤色発光用の蛍光体26、緑色発光用の蛍光体26、青色発光用の蛍光体26を適宜選択・混合して用いることで、種々の色の発色が可能である。
尚、蛍光体26は、有機、無機の蛍光染料や、有機、無機の蛍光顔料を含むものである。
【0022】
而して、上記第1のリードフレーム16及び第2のリードフレーム18を介してLEDチップ20に電圧が印加されると、LEDチップ20が発光して、上記蛍光体26を励起させる紫外線や青色可視光等の光が放射される。この光が、LEDチップ20の上方に配置されている不織布28に担持された蛍光体26に照射され、所定波長の可視光等の光に波長変換された後、外部へ放射されるのである。
【0023】
本発明の発光ダイオード10にあっては、単位体積当たりの繊維30の表面積が極めて大きい不織布28を構成する繊維30の表面に蛍光体26を担持せしめたことから、蛍光体26の量及び表面積を飛躍的に増大させることができる。
また、本発明の発光ダイオード10は、不織布28を構成する繊維30を無機材料であるガラス繊維で構成したことから、LEDチップ20から発光された紫外線等のエネルギーの大きい短波長光を殆ど吸収することがなく、また、短波長光を吸収した場合でも分子結合力が強いため劣化することが殆どない。従って、エネルギーの大きい短波長光による不織布28の劣化・変色に起因する発光ダイオード10の光度減少や色調変化を生じることがない。
さらに、本発明の発光ダイオード10は、LEDチップ20の上方に不織布28を配置し、該不織布28を構成する繊維30の表面に蛍光体26を担持せしめたことから、蛍光体26で波長変換される光を、蛍光体26で反射された反射光として取り出すことができる。このため、光の取出し効率が高く、高輝度化を図ることができる。このように、本発明の発光ダイオード10は、蛍光体26で波長変換される光を反射光として取り出しているため、蛍光体26の量が増大しても、蛍光体による光の自己吸収に起因する輝度低下を生じることを防止できる。
【0024】
尚、蛍光体26で波長変換されが光が、不織布28によって遮られることがないように、上記繊維30は、透光性を備えたガラス繊維で構成するのが好ましく、透明なガラス繊維で構成するのが最も好ましい。
【0025】
以下において、本発明の発光ダイオード10の製造方法を図7及び図8に基づいて説明する。
先ず、枠部材14の底面14aの略全面を覆う第1のリードフレーム16の先端部16a上に、LEDチップ20をダイボンドすることにより、LEDチップ20を枠部材14で囲繞する(図示省略)。これは、公知の自動ダイボンダー装置等を用いて行うことができる。
次に、第2のリードフレーム18の先端部18aと、上記LEDチップ20上面の電極とをボンディングワイヤ22を介して接続する(図示省略)。これは、公知の自動ワイヤーボンダー装置等を用いて行うことができる。
【0026】
次に、自動カッター装置等を用いて、不織布28を、枠部材14の段部24に載置可能な寸法である円盤状にカットし、その後、該円盤状の不織布28を、真空吸着機能を備えたチップマウンター装置等を用いて、枠部材14の段部24上に載置する(図7)。
上記の通り、枠部材14には段部24が形成されているため、不織布28を載置する際の位置決めが容易である。
【0027】
次に、蛍光体26を分散させた液状の無機結合剤を、自動ディスペンサー装置等を用いて、上記不織布28の上面に所定量滴下させる(図8)。この結果、毛細管現象により、蛍光体26を分散させた無機結合剤は、不織布28内に均一に浸込み、該無機結合剤を介して繊維30の表面に蛍光体26が被着・担持される。
また、無機結合剤の一部が、不織布28から枠部材14の段部24内壁へと浸出することにより、無機結合剤を介して不織布28と段部24内壁とが接着して、不織布28と枠部材14との固定化が実現され、図1に示す本発明のLED10が完成する。
尚、上記無機結合剤は、透明なもの又は少なくとも透光性を備えたものが使用され、例えば、透明なゾルゲルガラス、水ガラス等を好適に使用できる。
ゾルゲルガラスは、金属アルコキシドや金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート等の金属有機化合物を出発物質とし、その加水分解、重合反応を利用してガラス化させて形成されるものであり、溶液状態から出発するため無機結合剤として利用可能である。具体的には、蛍光体26を分散させた溶液状態のゾルゲルガラス材料を、不織布28の上面に所定量滴下させた後、ゾルゲルガラス材料を加水分解、重合反応させてゾルゲルガラスと成せばよい。
【0028】
尚、枠部材14に段部24が形成されていない場合には、枠部材14の上端上に不織布28を載置した後、蛍光体26を分散させた無機結合剤を上記不織布28の上面に所定量滴下させ、無機結合剤の一部を、不織布28から枠部材14の上端へと浸出させることにより、無機結合剤を介して不織布28と枠部材14上端とを接着すれば良い。
【0029】
本発明方法にあっては、不織布28の上面に、蛍光体26を分散させた無機結合剤を滴下させることにより、不織布28を構成する繊維30表面への蛍光体26の担持と、不織布28と枠部材14との固定を同時に行うことができるので、極めて製造容易である。
また、LEDチップ20を第1のリードフレーム16の先端部16aにダイボンドしてLEDチップ20を枠部材14で囲繞する工程、LEDチップ20と第2のリードフレーム18の先端部18aとをボンディングワイヤ22を介して接続する工程、不織布28を、枠部材14の段部24に載置可能な寸法にカットする工程、カットした不織布28を枠部材14の段部24に載置する工程、蛍光体26を分散させた無機結合剤を不織布28の上面に滴下させる工程が、何れも公知の自動装置等を用いて行うことができるので、製造方法の自動化に適している。
【0030】
上記においては、繊維30を無機材料であるガラス繊維で構成した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、無機材料であるセラミック繊維、アルミニウム等の金属繊維で上記繊維30を構成することもできる。
また、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂繊維、レーヨン等のセルロース系の化学繊維を用いて上記繊維30を構成しても良い。もっとも、上記の通り、エネルギーの大きい短波長光による不織布28の劣化・変色を防止する観点からは、樹脂等の有機材料ではなく、無機材料で繊維30を構成することが好ましい。
【0031】
上記無機結合剤に代えて、透明なもの又は少なくとも透光性を備えた合成樹脂等より成る有機結合剤を用いても良いが、エネルギーの大きい短波長光による劣化・変色を防止する観点から、上記の通り、無機結合剤を用いるのが望ましい。
【0032】
さらに、上記においては、繊維の集合体として、不織布28を用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、不織布28に代えて、多数の繊維を織り込んで形成した織布を用い、該織布を構成する繊維に蛍光体を担持させても良い。この織布も、不織布28には及ばないものの、単位体積当たりの繊維の表面積が大きいものである。
【0033】
蛍光物質としては、上記した蛍光体26だけでなく、蛍光ガラスや蛍光樹脂等、紫外線や青色可視光等の光の照射を受けた場合に、この光を所定波長の可視光等の光に波長変換する全ての物質を含むものである。
蛍光ガラスは、ガラス材料に蛍光材料を添加して形成される透明体であり、また、蛍光樹脂は、エポキシ樹脂等の樹脂材料に蛍光材料を添加して形成される透明体である。 これら蛍光ガラスや蛍光樹脂は、粒子状と成した上で、液状の結合剤中に分散させた後、不織布28の上面に所定量滴下させることにより、不織布28を構成する繊維30の表面に被着・担持される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る発光ダイオードを模式的に示す概略断面図である。
【図2】本発明に係る発光ダイオードの不織布を取り除いた状態における平面図である。
【図3】本発明に係る蛍光体を担持した不織布を模式的に示すに斜視図である。
【図4】本発明に係る蛍光体を担持した不織布を模式的に示す部分拡大図である。
【図5】本発明に係る不織布を構成する繊維を模式的に示す拡大図である。
【図6】本発明に係る不織布を構成する繊維を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明に係る発光ダイオードの製造方法を示す説明図である。
【図8】本発明に係る発光ダイオードの製造方法を示す説明図である。
【図9】従来の発光ダイオードを模式的に示す概略断面図である。
【図10】従来の蛍光体を担持した不織布を模式的に示すに斜視図である。
【図11】従来の蛍光体を担持した不織布を模式的に示す部分拡大図である。
【図12】従来の不織布を構成する繊維を模式的に示す拡大図である。
【符号の説明】
【0035】
10 発光ダイオード
12 孔
14 枠部材
16 第1のリードフレーム
18 第2のリードフレーム
20 LEDチップ
22 ボンディングワイヤ
24 枠部材の段部
26 蛍光体
28 不織布
30 繊維
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光物質を励起させる波長の光を放射するLEDチップと、蛍光物質を担持して成る繊維の集合体とを備えた発光ダイオードの製造方法であって、LEDチップを枠部材で囲繞すると共に、該枠部材の上端に繊維の集合体を載置する工程と、蛍光物質を分散させた透明又は透光性を有する結合剤を、上記繊維の集合体の上面に所定量滴下させることにより、結合剤を介して繊維の集合体を構成する繊維の表面に蛍光物質を担持させると共に、結合剤を介して繊維の集合体と枠部材上端とを接着させる工程を有することを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
【請求項2】
上記枠部材の上端に段部を形成し、該段部上に、上記繊維の集合体を載置することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項3】
上記繊維の集合体が不織布であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項1】
蛍光物質を励起させる波長の光を放射するLEDチップと、蛍光物質を担持して成る繊維の集合体とを備えた発光ダイオードの製造方法であって、LEDチップを枠部材で囲繞すると共に、該枠部材の上端に繊維の集合体を載置する工程と、蛍光物質を分散させた透明又は透光性を有する結合剤を、上記繊維の集合体の上面に所定量滴下させることにより、結合剤を介して繊維の集合体を構成する繊維の表面に蛍光物質を担持させると共に、結合剤を介して繊維の集合体と枠部材上端とを接着させる工程を有することを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
【請求項2】
上記枠部材の上端に段部を形成し、該段部上に、上記繊維の集合体を載置することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの製造方法。
【請求項3】
上記繊維の集合体が不織布であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光ダイオードの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−3789(P2010−3789A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159918(P2008−159918)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000122690)岡谷電機産業株式会社 (135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000122690)岡谷電機産業株式会社 (135)
【Fターム(参考)】
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