発光モジュール、および照明器具
【課題】発光面積を大きくでき、十分満足のいく光束を得ることができ、エネルギー効率を高めることができる発光モジュール、およびこの発光モジュールを備えた照明器具を提供することを課題とする。
【解決手段】実施形態に係る発光モジュールは、同じ発光特性を有する複数個の半導体発光素子を密集させて基板に実装し、これら密集した複数個の半導体発光素子をドーム状の封止部材でまとめて封止することで構成される。
【解決手段】実施形態に係る発光モジュールは、同じ発光特性を有する複数個の半導体発光素子を密集させて基板に実装し、これら密集した複数個の半導体発光素子をドーム状の封止部材でまとめて封止することで構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LED(発光ダイオード)などの複数個の半導体発光素子を基板上に実装して封止部材で封止した発光モジュール、およびこの発光モジュールを備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDを用いた照明器具として、複数個のLEDチップを基板上に実装したチップオンボード(COB)タイプの発光モジュールを備えた照明器具が知られている。LEDチップは、その種類に応じた固有の発光色を有する。このため、例えば、青色光を発光するLEDチップは、青色光で励起されて青色と補色の関係にある黄色光を発光する黄色蛍光体を含む封止部材で封止される。これにより、青色光と黄色光が混ざった白色光を発光する照明器具を提供できる。
【0003】
比較的小型の電球などでは、複数個のLEDチップを枠で囲ってまとめて封止部材で封止するが、比較的大型のベースライトなどでは、比較的長大な基板に実装した各LDEチップを個別に封止する。この場合、例えば、チクソ性の高い封止部材をディスペンサーを用いて各LEDチップ上に滴下し、封止部材を基板からドーム状に盛り上がった形状に塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−23138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数個のLEDチップをまとめて封止するタイプの発光モジュールでは、基板上に複数個のLEDチップを囲む枠を設けて、その枠内に比較的多くの封止部材を充填するため、大きな発光面積を得るためには材料コストが高価になる。また、LEDチップを個別に封止するタイプの発光モジュールでは、十分に満足のいく光束を得ることが難しい。
【0006】
よって、発光面積を大きくでき、十分満足のいく光束を得ることができ、エネルギー効率を高めることができる発光モジュール、およびこの発光モジュールを備えた照明器具の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る発光モジュールは、同じ発光特性を有する複数個の半導体発光素子を密集させて基板に実装し、これら密集した複数個の半導体発光素子をドーム状の封止部材でまとめて封止することで構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発光面積を大きくでき、十分満足のいく光束を得ることができ、エネルギー効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図2】図2は、図1の照明装置を光の取り出し側から見た平面図である。
【図3】図3は、図2のF3−F3線に沿う断面図である。
【図4】図4は、図1の照明装置に組み込まれた発光モジュールを光の取り出し側から見た平面図である。
【図5】図5は、図4の領域F5を部分的に拡大した部分拡大平面図である。
【図6】図6は、図5のF6−F6線に沿う断面図である。
【図7】図7は、図6の構成を矢印F7方向から見た平面図である。
【図8】図8は、図7のLEDチップの姿勢を変えた第1の変形例を示す概略図である。
【図9】図9は、第2の変形例を示す概略図である。
【図10】図10は、第2の実施形態に係る発光モジュールの要部を示す平面図である。
【図11】図11は、図10の発光モジュールの変形例を示す平面図である。
【図12】図12は、図10の発光モジュールの封止部材の形状を最適化するための方法を説明するための平面図(a)、および断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0011】
図1ないし図3は、全般照明用のベースライト1を示している。ベースライト1は、例えば屋内で使用する照明装置の一例であって、建物の天井面Cに直付けされている。
【0012】
ベースライト1は、装置本体2、一対のセード3、光源4、および点灯装置5を備えている。装置本体2は、シャーシ6、センターカバー7、第1のサイドカバー8a、および第2のサイドカバー8bで構成されている。
【0013】
シャーシ6は、例えば亜鉛めっき鋼板のような板金材で形成されており、天井面Cに沿って延びる細長い形状を有している。シャーシ6は、固定部10と一対の光源支持部11a、11bとを含んでいる。
【0014】
固定部10は、略フラットな板状であり、例えば建物の天井を構成する要素に複数のねじで固定されている。光源支持部11a、11bは、固定部10を間に挟んで互いに平行に配置されている。光源支持部11a、11bは、夫々平坦な支持面12を有している。支持面12は、固定部10よりも下方に張り出すとともに、シャーシ6の長手方向に真っ直ぐに延びている。
【0015】
センターカバー7は、シャーシ6の固定部10に支持されている。センターカバー7は、光源支持部11a、11bの間からシャーシの下方に向けてV形に突出されている。
【0016】
第1のサイドカバー8aは、シャーシ6の長手方向に沿う一端およびセンターカバー7の長手方向に沿う一端を連続して覆っている。第2のサイドカバー8bは、シャーシ6の長手方向に沿う他端およびセンターカバー7の長手方向に沿う他端を連続して覆っている。
【0017】
セード3は、例えばアクリル樹脂あるいはポリカーボネート樹脂のような透光性を有する樹脂材料で構成されている。セード3は、シャーシ6の長手方向に真っ直ぐに延びている。
【0018】
図3に示すように、セード3は、シャーシ6の光源支持部11a、11bに向けて開口された開口部13を有している。開口部13は、シャーシ6の長手方向に延びるスリット状である。一対の保持溝14a、14bが開口部13の縁に形成されている。保持溝14a、14bは、セード3の全長に亘って延びている。保持溝14a、14bの開口端は、シャーシ6の幅方向に互いに間隔を存して向かい合っている。
【0019】
さらに、セード3は、複数のブラケットを介してシャーシ6に取り付けられている。セード3をシャーシ6に取り付けた状態では、シャーシ6の光源支持部11a、11bが下方からセード3で覆われている。
【0020】
図2に示すように、光源4は、第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fを備えている。第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fは、光源支持部11a、11bの長手方向に延びる細長い形状を有している。
【0021】
本実施形態によると、第1ないし第3の発光モジュール20a、20b、20cは、一方のセード3の保持溝14a、14bに保持されて、一方の光源支持部11aの長手方向に沿うように一列に並んでいる。同様に、第4ないし第6の発光モジュール20d、20e、20fは、他方のセード3の保持溝14a、14bに保持されて、他方の光源支持部11bの長手方向に沿うように一列に並んでいる。
【0022】
したがって、第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fは、セード3と一体化されているとともに、セード3で覆われている。さらに、第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fは、電気的に直列に接続されている。
【0023】
点灯装置5は、第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fの点灯を制御するためのものであり、交流電源から出力される交流を直流に変換して第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fに供給する。点灯装置5は、シャーシ6の固定部10に支持されているとともに、センターカバー7で覆われている。
【0024】
第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fは、基本的に共通の構成を有している。このため、ここでは、第1の発光モジュール20aを代表して説明する。
【0025】
図4ないし図6に示すように、第1の発光モジュール20aは、基板21を備えている。基板21は、ベース22、金属層23、およびレジスト層24を有する三層構造である。最も肉厚のベース22は、例えばエポキシ樹脂あるいはガラスコンポジット基板のような合成樹脂製であり、シャーシ6の長手方向に延びる細長い形状を有している。
【0026】
金属層23は、例えば銅箔で構成されているとともに、ベース22の裏面22aに積層されている。レジスト層24は、例えば合成樹脂のような絶縁材料で構成されている。レジスト層24は、金属層23およびベース22の裏面22aの外周部に連続して積層されている。金属層23およびレジスト層24は、基板21の反りを防止するため、互いに協働して基板21を補強している。
【0027】
基板21は、図3に示すように、長手方向に延びる一対の側縁21a、21bを有している。基板21の側縁21a、21bは、セード3の長手方向に沿う一端からセード3の保持溝14a、14bに差し込まれている。この差し込みにより、基板21がセード3に保持されているとともに、基板21のレジスト層24が光源支持部11aの支持面12に接している。
【0028】
図5ないし図7に示すように、複数の導体パターン26および絶縁層27がベース22の表面22b(実装面)の上に積層されている。導体パターン26は、基板21の幅方向に間隔を存して二列に並べられているとともに、各列毎に基板21の長手方向に互いに離れている。
【0029】
各導体パターン26は、実装パッド28、第1の給電パッド29、および第2の給電パッド30を有している。実装パッド28は、例えば第1ないし第3の金属層C、N、Sを重ねた三層構造を採用している。
【0030】
具体的には、第1の金属層Cは、ベース22の表面22bに積層された銅箔にエッチングを施すことにより形成されている。第2の金属層Nは、第1の金属層Cの上に積層されている。第2の金属層Nは、第1の金属層Cにニッケルめっきを施すことにより形成されている。第3の金属層Sは、第2の金属層Nの上に積層されている。第3の金属層Sは、第2の金属層Nに銀めっきを施すことにより形成されている。第3の金属層Sは、実装パッド28の表層を構成している。
【0031】
このため、実装パッド28の表面は、銀製の光反射面31となっている。光反射面31の全光線反射率は、例えば90%以上とすることが望ましい。実装パッド28は、光反射層として機能する。
【0032】
図7に示すように、本実施形態の実装パッド28は、略楕円形であって、導体パターン26が配列された方向に延びる長軸L1を有している。実装パッド28は、円弧状に湾曲された外周縁33と、一対の凹部34a、34bとを含んでいる。凹部34a、34bは、実装パッド28の外周縁33を前記長軸L1が通る実装パッド28の中心O1に向けて円弧状に切り欠いたような形状を有し、実装パッド28の長軸L1と直交する方向に沿って並んでいる。
【0033】
言い換えると、凹部34a、34bは、実装パッド28の中心O1を間に挟んで互いに向かい合っている。このため、実装パッド28は、その中心O1を含む中央部28aが括れている。
【0034】
第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28よりも遥かに小さな楕円形であって、互いに同じ大きさを有している。第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28と同様に第1ないし第3の金属層C、N、Sを有する三層構造であり、夫々の表層が銀により形成されている。
【0035】
第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28の凹部34a、34bに入り込むようにベース22の表面22bに形成されている。すなわち、第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28の中心O1に対し実装パッド28の長軸L1と直交する方向に振り分けられており、長軸L1を基準として互いに対称に配置されている。
【0036】
さらに、第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28の凹部34a、34bから離れており、実装パッド28に対し電気的に絶縁された状態に保たれている。したがって、実装パッド28の凹部34a、34bは、第1および第2の給電パッド29、30を避けるように切り欠かれているということができる。
【0037】
図6に示すように、絶縁層27は、ベース22の表面22bに積層されている。絶縁層27は、ベース22の表面22bのうち実装パッド28、第1の給電パッド29、および第2の給電パッド30を外れた領域を覆っている。したがって、実装パッド28の表層、第1の給電パッド29の表層、および第2の給電パッド30の表層は、夫々絶縁層27で覆われることなく基板21の外に露出されている。
【0038】
絶縁層27の一部は、実装パッド28の凹部34a、34bに充填されて、実装パッド28と第1の給電パッド29との間、および実装パッド28と第2の給電パッド30との間に介在されている。さらに、絶縁層27は、実装パッド28の表層、第1の給電パッド29の表層、および第2の給電パッド30の表層よりも基板21の厚さ方向に張り出している。
【0039】
本実施形態によると、絶縁層27は、例えば電気絶縁性を有する白色の樹脂材料で構成されている。そのため、絶縁層27は、光反射層としての機能を兼ね備えている。
【0040】
図7に示すように、第1ないし第3の発光ダイオード(LED)36a、36b、36cが実装パッド28の光反射面31の上に実装されている。第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cは、夫々半導体発光素子の一例であって、例えば青色の光を発する共通のベアチップで構成されている。これらLEDチップ36a、36b、36cは、平面的に見た時の形状が長方形であり、例えば長辺の長さが600〜650μm、短辺の長さが200〜250μmである。
【0041】
さらに、各LEDチップ36a、36b、36cは、アノードとしての第1の電極37と、カソードとしての第2の電極38とを有している。第1および第2の電極37、38は、LEDチップ36a、36b、36cの基板21から離間した側の面で長手方向に間隔を存して並んでいる。
【0042】
第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cは、夫々透光性を有するダイボンド材39を用いて光反射面31に接着されている。本実施形態によると、第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cは、実装パット28の中央部28aで実装パッド28の長軸L1の方向に間隔を存して並んでいるとともに、長軸L1に対し千鳥状に配列されている。
【0043】
具体的には、第1の発光ダイオード36aおよび第3の発光ダイオード36cは、長軸L1よりも第1の給電パッド29の方向にずれている。第2の発光ダイオード36bは、長軸L1よりも第2の給電パッド30の方向にずれている。
【0044】
したがって、図7に二点鎖線で示すように、第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cは、丁度正三角形の三つの角に対応するような位置に環状に配列されて、実装パッド28の中央部28aで実装パッド28の中心O1を取り囲んで密集している。より具体的には、各LEDチップ36a、36b、36cの中心が正三角形の角に位置するレイアウトで配置される。
【0045】
第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cの第1の電極37は、個々に第1のボンディングワイヤー41を介して第1の給電パッド29に電気的に接続されている。同様に、第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cの第2の電極38は、個々に第2のボンディングワイヤー42を介して第2の給電パッド30に電気的に接続されている。
【0046】
この結果、各実装パッド28に接着された第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cは、互いに並列に接続されたダイオード群43を構成している。実装パッド28上のダイオード群43は、導体パターン26の配列方向に沿って直列に接続されて、基板21の上に導体パターン26に対応する二列のダイオード列を構成している。
【0047】
さらに、本実施形態によると、ダイオード群43は、装置本体2のシャーシ6を介して接地されている。
【0048】
図4ないし図7に示すように、複数の封止部材45が基板21に形成されている。封止部材45は、導体パターン26に対応するように基板21の幅方向に間隔を存して二列に並べられているとともに、各列毎に基板21の長手方向に互いに離れている。
【0049】
封止部材45は、実装パッド28に接着されたダイオード群43、ダイオード群43に対応する第1および第2のボンディングワイヤー41、42を基板21の上に封止する。封止部材45は、樹脂を主成分とするとともに、樹脂の中に混ぜられた所定量の蛍光体粒子および所定量のフィラーを含んでいる。
【0050】
封止部材45に含まれる樹脂として、例えば、透光性を有するレジン系シリコーン樹脂又はハイブリット系シリコーン樹脂を用いることが好ましい。レジン系シリコーン樹脂およびハイブリット系シリコーン樹脂は、三次元的に架橋された組織を有するので、透光性のシリコーンゴムよりも硬い。
【0051】
さらに、レジン系シリコーン樹脂は、シリコーンオイルやシリコーンゴムと比較して酸素や水蒸気のようなガスが透過する性能が低い。本実施形態の場合、封止部材45の酸素透過率が1200cm3(m2・day・atm)以下であり、水蒸気透過率が35g/m2以下である。
【0052】
この種の樹脂を選択することで、大気中のガスが封止部材45を透過することを要因とする実装パッド28の劣化を防止することができ、光反射面31の光反射性能を良好に維持できる。
【0053】
封止部材45に含まれる蛍光体粒子は、その径Dが1μm以上であるとともに、樹脂の中に略均等に分散されている。蛍光体粒子としては、LEDチップが発する青色の光により励起されて黄色の光を発する黄色蛍光体粒子を用いている。黄色は青色の補色であり、青色と混ざって白色を呈する。
【0054】
しかし、封止部材45に混ぜる蛍光体粒子は、黄色蛍光体粒子に限らない。例えば、LEDチップが発する光の演色性を改善するために、青色の光で励起されて赤色の光を発する赤色蛍光体粒子あるいは緑色の光を発する緑色蛍光体粒子を樹脂に添加するようにしてもよい。
【0055】
封止部材45は、実装パッド28、実装パッド28に対応する第1および第2の給電パッド29、30、実装パッド28の上のダイオード群43、ダイオード群43と第1および第2の給電パッド29、30との間に跨る第1および第2のボンディングワイヤー41、42を一体的に包み込むように基板21の絶縁層27から盛り上がっている。
【0056】
封止部材45は、樹脂が硬化する前の液状の状態で実装パッド28に向けて滴下される。封止部材45を滴下する際には、ディスペンサーを用いることが望ましい。実装パッド28に向けて滴下された封止部材45は、例えば150℃の温度で60分加熱することによりドーム状の形態に硬化される。
【0057】
本実施形態の封止部材45によると、その主成分となる樹脂は、実装パッド28に向けて滴下された直後の未硬化の状態でも予め決められた形状を維持し得るような物性を有している。ここで言う樹脂の物性とは、チクソ性や粘性などのことを指している。
【0058】
すなわち、図6に示すように、封止部材45は、実装パッド28に滴下された直後の未硬化の段階でも、実装パッド28、第1および第2の給電パッド29、30、ダイオード群43、第1および第2のボンディングワイヤー41、42を連続して覆うようなドーム形状を維持するようになっている。
【0059】
図5および図7に平面的に示すように、ドーム状の封止部材45は、実装パッド28の長軸L1を共有する略楕円形であって、基板21の長手方向に間隔を存して並んでいる。封止部材45の形状は、楕円形に限らず、円形でも良い。
【0060】
このようなベースライト1では、ベースライト1の電源スイッチがONされると、直流電圧が点灯装置5から第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fの導体パターン26に印加される。これにより、複数の実装パッド28に実装されたダイオード群43が一斉に発光する。
【0061】
ダイオード群43のベアチップが発する青色の光は、封止部材45に入射される。封止部材45に入射された青色の光の一部は、蛍光体粒子に吸収される。残りの青色の光は、蛍光体粒子に吸収されることなく封止部材45を透過する。
【0062】
青色の光を吸収した蛍光体粒子は、励起されて補色の関係にある黄色の光を発する。黄色の光は、封止部材45を透過する。これにより、黄色の光および青色の光が封止部材45の内部で互いに混じり合って白色光となる。白色光は、封止部材45およびセード3を透過してベースライト1の外に放射され、天井面Cから室内を照明する用途に供される。
【0063】
本実施形態では、青色の光を発光するLEDチップを用いた場合について説明したが、例えば、紫外光を発光するLEDチップを用いても良い。この場合、ダイオード群43に白色光を発光させるためには、紫外光を吸収して、青色、赤色、緑色の3波長のピークを有する光を励起発光する蛍光体を封止部材45に混入すれば良い。
【0064】
さらに、第1の実施形態によると、実装パッド28は、実装パッド28の中心O1に向けて円弧状に切り欠かれた凹部34a、34bを有するので、実装パッド28の中央部28aが括れた形状となっている。これに対し、第1および第2のボンディングワイヤー41、42が接続された第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28よりも遥かに小さな形状であり、第1および第2の給電パッド29、30の表面積が少なく抑えられている。
【0065】
この構成によれば、光反射層31を表面に有する実装パッド28の面積を大きくした上で、第1および第2の給電パッド29、30の表面積を必要最小限にでき、第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fの接地部分と、第1および第2の給電パッド29、30との間に余分な電荷が蓄積するのを防止できる。
【0066】
この結果、ベースライト1の電源スイッチがOFFされて第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fが消灯された際に、浮遊容量を要因とする微小電流が第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fのダイオード群43に流れ難くなる。
【0067】
したがって、ダイオード群43がうっすらと発光するベースライト1の暗点灯を殆ど無くすことができる。
【0068】
特に、本実施形態によると、図7に示すように、第1および第2の給電パッド29、30を必要最小面積にしたため、ボンディングワイヤー41、42が各給電パッド29、30に向けて収束するように配線されている。これにより、ボンディングワイヤー41、42を短くでき、熱応力に起因する断線による寿命を延ばすことができる。
【0069】
以上のように、本実施形態によると、複数個(本実施形態では3個)のLEDチップ36a、36b、36cを密集させた状態で基板21上に実装し、これら複数個のLEDチップ36a、36b、36cをまとめてドーム状の封止部材45で封止するようにしたため、封止部材の樹脂材料を流し込むためのバンク(枠)を設ける必要がなく、その分、発光モジュール20aの製造コストを低減することができる。また、バンクを設けないため、複数個のLEDチップ36a、36b、36cから発光された光がバンクに遮られることがなく、外観の良い発光モジュール20aを提供できる。
【0070】
また、本実施形態によると、複数個のLEDチップ36a、36b、36cを1つの封止部材45で封止したため、ダイオード群43としての発光強度を高めることができ、発光モジュール20aの光束を増やすことができ、ベースライト1の発光強度を高めることができる。つまり、1つのLEDチップを1つの封止部材で封止した従来のものと比較して、ダイオード群43から発光される光束を略3倍に増やすこともでき、その分、発光強度を高めることができる。その結果、発光モジュール20aの数を減らすことができ、さらには、ベースライト1(照明器具)の台数をも減らすことができ、省エネにつながる。
【0071】
また、複数個のLEDチップ36a、36b、36cを1つの封止部材45で封止することで、発光モジュール20aの発光効率も高めることができる。例えば、1つのLEDチップに100mAの電流を流したときに100lmの光を発光する発光素子で、半分の50mAの電流を流した場合、発光時に熱に変換される電流の割合が小さくなる特性を有することから、50lmを超える、例えば55lmの光を発光する。このため、ダイオード群43として考えた場合、1つのLEDチップに流す電流を小さくすることで、エネルギーの変換効率を高めることができ、発光モジュール20a全体としての発光効率を高めることができる。
【0072】
また、本実施形態によると、複数個のLEDチップ36a、36b、36cを1つの封止部材45で封止したことで、LEDチップ毎の発光特性のバラつきを低減することができる。つまり、1つのLEDチップを1つの封止部材で封止した場合、LEDチップ毎の発光特性のバラつきは、そのまま封止した発光素子の発光特性のバラつきとなる。しかし、本実施形態のように、複数個のLEDチップ36a、36b、36cをまとめて1つの封止部材45で封止すると、各チップの発光特性のバラつきを相殺でき、発光モジュール全体としての発光特性のバラつきを低減できる。
【0073】
なお、上述した第1の実施形態では、3個のLEDチップ36a、36b、36cを1つの封止部材45で封止した構造を例に説明したが、封止部材45でまとめて封止するLEDチップの個数は複数個であれば良く、少なくとも2個以上であれば上述した効果を奏することができる。言い換えると、LEDチップの個数は、少なくとも2個以上、例えば4個以上であっても良い。
【0074】
反面、1つの封止部材45で封止するLEDチップの個数が増えると、必然的に封止部材の必要量が多くなり、封止領域の面積も大きくなる。このため、封止部材45のドーム形状を保持するのが難しくなるとともに発光特性にも影響が出ることが予想される。つまり、ドーム形状を保持することのできる最大径の封止部材45中により多くのLEDチップを封止すると、LEDチップと封止部材45の表面との間の距離が段々と短くなる。つまり、この場合、LEDチップから発光された光が封止部材45の表面から出るまでの光路長が短くなり、蛍光体粒子に吸収されずにそのまま放出される青色光の割合が多くなり、色ムラを生じてしまう。
【0075】
このため、本実施形態では、上述した色ムラを防止するため、複数個のLEDチップ36a、36b、36cを互いに密集させた状態で封止部材45で封止するようにした。色ムラの生じない密集度を測定するため、封止部材45による封止領域の径に対するLEDチップの実装領域の径の割合を種々変えて、色ムラを生じることのない実装領域の適正範囲を調べた。その結果、本実施形態のように正多角形の頂点にLEDチップを配置したレイアウトの発光モジュール20aでは、封止部材45の封止領域の径に対してLEDチップの実装領域の径を1/2以下にした場合に色ムラの無い良好な発光特性を得ることがわかった。
【0076】
なお、上述した第1の実施形態では、正三角形の角にそれぞれLEDチップ36a、36b、36cを配置したレイアウトを採用したが、例えば、正方形の角にそれぞれLEDチップを配置したレイアウトを採用した場合でも、封止領域の1/2以下の径の実装領域内に全てのLEDチップを配置すれば、同様の効果を奏することができることが分かっている。
【0077】
また、LEDチップのサイズを小さくでき、且つドーム形状を維持できる封止部材45の封止領域の径を大きくできる場合には、複数個のLEDチップを2重、3重に環状に配置しても良い。この場合、各LEDチップから発光される光の角度色差を無くすことができ、より良好な発光特性を得ることができる。
【0078】
さらに、複数個のLEDチップを正多角形状に配置したレイアウトを採用した上で、各LEDチップ自体の実装姿勢を工夫することで、ダイオード群43としての色ムラの発生をより確実に防止することができる。つまり、例えば、図8または図9に例示した変形例のように、各LEDチップの長手軸が正多角形の各辺に沿う姿勢で全てのLEDチップを配置することで、封止領域45の中心に対して点対象なレイアウトとすることができ、各LEDチップの発光部から封止部材45のエッジまでの距離を略等しくでき、色ムラの発生を略無くすことができる。
【0079】
なお、図8および図9に例示した変形例の封止部材45の形状は、楕円形より円形であることが望ましい。また、この場合、図示を省略したが、各LEDチップに給電するための給電パッドは、各LED毎に個別に設ける必要があり、封止領域内で且つLEDチップの実装領域の外側に配置する必要がある。例えば、図9の変形例の場合、5つのLEDチップそれぞれに給電するための給電パッドは、10個用意する必要があり、実装領域の外側に環状に並べて配置される。
【0080】
つまり、上述した変形例によると、各給電パッドを小さく分割してより小さな面積にすることができ、上述した暗点灯の問題をより無くすことができる。
【0081】
図10には、第2の実施形態に係る発光モジュール50の要部平面図を示してある。本実施形態の発光モジュール50は、LEDチップ36a、36b、36cのレイアウトを変更した以外、上述した第1の実施形態の発光モジュール20aと略同じ構造を有する。よって、ここでは、第1の実施形態の発光モジュール20aと同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0082】
本実施形態に係る発光モジュール50のダイオード群52は、複数個(本実施形態では3個)のLEDチップ36a、36b、36cを互いに近接せしめて一列に並べて配置したチップレイアウトを有する。より具体的には、3個のLEDチップ36a、36b、36cの長手軸を互いに平行に並べて互いに近接させて密集させ、封止部材45の長軸L1と各LEDチップ36a、36b、36cの長手軸が略直交する姿勢にレイアウトした。
【0083】
本実施形態によると、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。その上、本実施形態によると、複数個のLEDチップを一列に並べて配置したため、上述した第1の実施形態と比較して、チップのレイアウトを容易にでき、且つワイヤーボンディングも容易にでき、発光モジュール50の製造を容易にでき、発光モジュール50の製造コストを低減できる。
【0084】
本実施形態においても、色ムラを生じることのない、LEDチップの実装領域の最適径を調べたところ、封止領域の径の2/3以下の径の範囲内に全てのLEDチップを実装した場合に、色ムラの無い良好な発光特性を得られることがわかった。
【0085】
一つの具体例を挙げると、LEDチップの長手軸に沿った長さが0.6mm、幅が0.2mmであり、封止部材45の径が6mmである場合、3個のLEDチップを並べて実装した領域の幅を4mm以下にすることで、上述した範囲に収まる。つまり、この場合、LEDチップの実装領域の径を封止部材45による封止領域の径の2/3以下にすることができ、色ムラを防止できる。
【0086】
なお、本実施形態では、3個のLEDチップ36a、36b、36cを一列に並べて実装した場合について説明したが、LEDチップの個数は複数個であれば良く、2個以上、例えば4個以上であっても良い。しかし、一列に並べるLEDチップの数が増えると、給電パッド29、30に接線するボンディングワイヤー41、42の接続が難しくなり、メカ的な限界が生じる。
【0087】
このため、図11に示す変形例のように、各LEDチップ36a、36b、36cに個別の給電パッド29a、29b、29c、30a、30b、30cを用意して、各LEDチップを給電パッドに個別に接続する方法が考えられる。
【0088】
この方法を採用すると、図示のように、各給電パッド29a、29b、29c、30a、30b、30cに接続するボンディングワイヤー41、42をパッドに向けて拡がる方向に延ばすこともでき、パッドに対するボンディングを容易にできる。また、この方法を採用すると、給電パッドを複数のより小さな部分に分割することができ、上述した暗点灯の問題を無くすことができる。
【0089】
また、この場合、上述した第2の実施形態と比較して、接続するボンディングワイヤー41、42の本数を容易に増やすことができるため、チップレイアウトの自由度を高めることができ、LEDチップの実装数も容易に増やすことができる。また、逆に、ワイヤーボンディングのメカ的な限界を考慮することなく、複数個のLEDチップを密集させて実装でき、封止領域の中央にチップを集め易い。
【0090】
しかし、本実施形態の場合、LEDチップの数が多くなると、封止部材45の形状も円形から細長い楕円形に変化し、上述した径の比較では最適な実装領域の範囲を規定し難くなる。このため、本実施形態の場合、実装領域の範囲を規定するのではなく、各LEDチップと封止部材45の表面との間の距離を適正化することで、色ムラを無くすようにした。
【0091】
図12には、3個のLEDチップ36a、36b、36cを一列に並べた場合の最適な封止部材45の形状を示してある。つまり、図12(a)に平面図を示すように、最適な封止部材45の周縁45aの形状は楕円形であり、各LEDチップ36a、36b、36cから周縁45aまでの距離Dは全て等しくなっている。また、図12(b)に断面図を示すように、各LEDチップ36a、36b、36cの図示上面から封止部材45の頂部45bまでの距離Dも等しくなっている。
【0092】
つまり、各LEDチップ36a、36b、36cから発光された光は封止部材45の蛍光体粒子で吸収されて黄色光を発光するが、各LEDチップ36a、36b、36cから発光されて封止部材45の表面を通過するまでの光路長に応じて、黄色光の量が決まる。反面、この光路長から透過する青色光の量も決まる。すなわち、各LEDチップLEDチップ36a、36b、36cから封止部材45の表面までの距離Dを全て等しくすることで、色ムラを防止できる。
【0093】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0094】
例えば、上述した実施形態では、照明装置として、天井に直付けするベースライトについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば街路灯や誘導灯のようなその他の形態の照明装置であっても同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…ベースライト、2…装置本体、3…セード、4…光源、5…点灯装置、6…シャーシ、7…センターカバー、8a、8b…サイドカバー、11a、11b…光源支持部、20a、20b、20c、20d、20e、20f…発光モジュール、21…基板、28…実装パッド、29、30…給電パッド、31…光反射面、36a、36b、36c…発光ダイオード(LEDチップ)、41、42…ボンディングワイヤー、43…ダイオード群、45…封止部材。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、LED(発光ダイオード)などの複数個の半導体発光素子を基板上に実装して封止部材で封止した発光モジュール、およびこの発光モジュールを備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDを用いた照明器具として、複数個のLEDチップを基板上に実装したチップオンボード(COB)タイプの発光モジュールを備えた照明器具が知られている。LEDチップは、その種類に応じた固有の発光色を有する。このため、例えば、青色光を発光するLEDチップは、青色光で励起されて青色と補色の関係にある黄色光を発光する黄色蛍光体を含む封止部材で封止される。これにより、青色光と黄色光が混ざった白色光を発光する照明器具を提供できる。
【0003】
比較的小型の電球などでは、複数個のLEDチップを枠で囲ってまとめて封止部材で封止するが、比較的大型のベースライトなどでは、比較的長大な基板に実装した各LDEチップを個別に封止する。この場合、例えば、チクソ性の高い封止部材をディスペンサーを用いて各LEDチップ上に滴下し、封止部材を基板からドーム状に盛り上がった形状に塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−23138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数個のLEDチップをまとめて封止するタイプの発光モジュールでは、基板上に複数個のLEDチップを囲む枠を設けて、その枠内に比較的多くの封止部材を充填するため、大きな発光面積を得るためには材料コストが高価になる。また、LEDチップを個別に封止するタイプの発光モジュールでは、十分に満足のいく光束を得ることが難しい。
【0006】
よって、発光面積を大きくでき、十分満足のいく光束を得ることができ、エネルギー効率を高めることができる発光モジュール、およびこの発光モジュールを備えた照明器具の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る発光モジュールは、同じ発光特性を有する複数個の半導体発光素子を密集させて基板に実装し、これら密集した複数個の半導体発光素子をドーム状の封止部材でまとめて封止することで構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発光面積を大きくでき、十分満足のいく光束を得ることができ、エネルギー効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【図2】図2は、図1の照明装置を光の取り出し側から見た平面図である。
【図3】図3は、図2のF3−F3線に沿う断面図である。
【図4】図4は、図1の照明装置に組み込まれた発光モジュールを光の取り出し側から見た平面図である。
【図5】図5は、図4の領域F5を部分的に拡大した部分拡大平面図である。
【図6】図6は、図5のF6−F6線に沿う断面図である。
【図7】図7は、図6の構成を矢印F7方向から見た平面図である。
【図8】図8は、図7のLEDチップの姿勢を変えた第1の変形例を示す概略図である。
【図9】図9は、第2の変形例を示す概略図である。
【図10】図10は、第2の実施形態に係る発光モジュールの要部を示す平面図である。
【図11】図11は、図10の発光モジュールの変形例を示す平面図である。
【図12】図12は、図10の発光モジュールの封止部材の形状を最適化するための方法を説明するための平面図(a)、および断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0011】
図1ないし図3は、全般照明用のベースライト1を示している。ベースライト1は、例えば屋内で使用する照明装置の一例であって、建物の天井面Cに直付けされている。
【0012】
ベースライト1は、装置本体2、一対のセード3、光源4、および点灯装置5を備えている。装置本体2は、シャーシ6、センターカバー7、第1のサイドカバー8a、および第2のサイドカバー8bで構成されている。
【0013】
シャーシ6は、例えば亜鉛めっき鋼板のような板金材で形成されており、天井面Cに沿って延びる細長い形状を有している。シャーシ6は、固定部10と一対の光源支持部11a、11bとを含んでいる。
【0014】
固定部10は、略フラットな板状であり、例えば建物の天井を構成する要素に複数のねじで固定されている。光源支持部11a、11bは、固定部10を間に挟んで互いに平行に配置されている。光源支持部11a、11bは、夫々平坦な支持面12を有している。支持面12は、固定部10よりも下方に張り出すとともに、シャーシ6の長手方向に真っ直ぐに延びている。
【0015】
センターカバー7は、シャーシ6の固定部10に支持されている。センターカバー7は、光源支持部11a、11bの間からシャーシの下方に向けてV形に突出されている。
【0016】
第1のサイドカバー8aは、シャーシ6の長手方向に沿う一端およびセンターカバー7の長手方向に沿う一端を連続して覆っている。第2のサイドカバー8bは、シャーシ6の長手方向に沿う他端およびセンターカバー7の長手方向に沿う他端を連続して覆っている。
【0017】
セード3は、例えばアクリル樹脂あるいはポリカーボネート樹脂のような透光性を有する樹脂材料で構成されている。セード3は、シャーシ6の長手方向に真っ直ぐに延びている。
【0018】
図3に示すように、セード3は、シャーシ6の光源支持部11a、11bに向けて開口された開口部13を有している。開口部13は、シャーシ6の長手方向に延びるスリット状である。一対の保持溝14a、14bが開口部13の縁に形成されている。保持溝14a、14bは、セード3の全長に亘って延びている。保持溝14a、14bの開口端は、シャーシ6の幅方向に互いに間隔を存して向かい合っている。
【0019】
さらに、セード3は、複数のブラケットを介してシャーシ6に取り付けられている。セード3をシャーシ6に取り付けた状態では、シャーシ6の光源支持部11a、11bが下方からセード3で覆われている。
【0020】
図2に示すように、光源4は、第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fを備えている。第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fは、光源支持部11a、11bの長手方向に延びる細長い形状を有している。
【0021】
本実施形態によると、第1ないし第3の発光モジュール20a、20b、20cは、一方のセード3の保持溝14a、14bに保持されて、一方の光源支持部11aの長手方向に沿うように一列に並んでいる。同様に、第4ないし第6の発光モジュール20d、20e、20fは、他方のセード3の保持溝14a、14bに保持されて、他方の光源支持部11bの長手方向に沿うように一列に並んでいる。
【0022】
したがって、第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fは、セード3と一体化されているとともに、セード3で覆われている。さらに、第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fは、電気的に直列に接続されている。
【0023】
点灯装置5は、第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fの点灯を制御するためのものであり、交流電源から出力される交流を直流に変換して第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fに供給する。点灯装置5は、シャーシ6の固定部10に支持されているとともに、センターカバー7で覆われている。
【0024】
第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fは、基本的に共通の構成を有している。このため、ここでは、第1の発光モジュール20aを代表して説明する。
【0025】
図4ないし図6に示すように、第1の発光モジュール20aは、基板21を備えている。基板21は、ベース22、金属層23、およびレジスト層24を有する三層構造である。最も肉厚のベース22は、例えばエポキシ樹脂あるいはガラスコンポジット基板のような合成樹脂製であり、シャーシ6の長手方向に延びる細長い形状を有している。
【0026】
金属層23は、例えば銅箔で構成されているとともに、ベース22の裏面22aに積層されている。レジスト層24は、例えば合成樹脂のような絶縁材料で構成されている。レジスト層24は、金属層23およびベース22の裏面22aの外周部に連続して積層されている。金属層23およびレジスト層24は、基板21の反りを防止するため、互いに協働して基板21を補強している。
【0027】
基板21は、図3に示すように、長手方向に延びる一対の側縁21a、21bを有している。基板21の側縁21a、21bは、セード3の長手方向に沿う一端からセード3の保持溝14a、14bに差し込まれている。この差し込みにより、基板21がセード3に保持されているとともに、基板21のレジスト層24が光源支持部11aの支持面12に接している。
【0028】
図5ないし図7に示すように、複数の導体パターン26および絶縁層27がベース22の表面22b(実装面)の上に積層されている。導体パターン26は、基板21の幅方向に間隔を存して二列に並べられているとともに、各列毎に基板21の長手方向に互いに離れている。
【0029】
各導体パターン26は、実装パッド28、第1の給電パッド29、および第2の給電パッド30を有している。実装パッド28は、例えば第1ないし第3の金属層C、N、Sを重ねた三層構造を採用している。
【0030】
具体的には、第1の金属層Cは、ベース22の表面22bに積層された銅箔にエッチングを施すことにより形成されている。第2の金属層Nは、第1の金属層Cの上に積層されている。第2の金属層Nは、第1の金属層Cにニッケルめっきを施すことにより形成されている。第3の金属層Sは、第2の金属層Nの上に積層されている。第3の金属層Sは、第2の金属層Nに銀めっきを施すことにより形成されている。第3の金属層Sは、実装パッド28の表層を構成している。
【0031】
このため、実装パッド28の表面は、銀製の光反射面31となっている。光反射面31の全光線反射率は、例えば90%以上とすることが望ましい。実装パッド28は、光反射層として機能する。
【0032】
図7に示すように、本実施形態の実装パッド28は、略楕円形であって、導体パターン26が配列された方向に延びる長軸L1を有している。実装パッド28は、円弧状に湾曲された外周縁33と、一対の凹部34a、34bとを含んでいる。凹部34a、34bは、実装パッド28の外周縁33を前記長軸L1が通る実装パッド28の中心O1に向けて円弧状に切り欠いたような形状を有し、実装パッド28の長軸L1と直交する方向に沿って並んでいる。
【0033】
言い換えると、凹部34a、34bは、実装パッド28の中心O1を間に挟んで互いに向かい合っている。このため、実装パッド28は、その中心O1を含む中央部28aが括れている。
【0034】
第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28よりも遥かに小さな楕円形であって、互いに同じ大きさを有している。第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28と同様に第1ないし第3の金属層C、N、Sを有する三層構造であり、夫々の表層が銀により形成されている。
【0035】
第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28の凹部34a、34bに入り込むようにベース22の表面22bに形成されている。すなわち、第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28の中心O1に対し実装パッド28の長軸L1と直交する方向に振り分けられており、長軸L1を基準として互いに対称に配置されている。
【0036】
さらに、第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28の凹部34a、34bから離れており、実装パッド28に対し電気的に絶縁された状態に保たれている。したがって、実装パッド28の凹部34a、34bは、第1および第2の給電パッド29、30を避けるように切り欠かれているということができる。
【0037】
図6に示すように、絶縁層27は、ベース22の表面22bに積層されている。絶縁層27は、ベース22の表面22bのうち実装パッド28、第1の給電パッド29、および第2の給電パッド30を外れた領域を覆っている。したがって、実装パッド28の表層、第1の給電パッド29の表層、および第2の給電パッド30の表層は、夫々絶縁層27で覆われることなく基板21の外に露出されている。
【0038】
絶縁層27の一部は、実装パッド28の凹部34a、34bに充填されて、実装パッド28と第1の給電パッド29との間、および実装パッド28と第2の給電パッド30との間に介在されている。さらに、絶縁層27は、実装パッド28の表層、第1の給電パッド29の表層、および第2の給電パッド30の表層よりも基板21の厚さ方向に張り出している。
【0039】
本実施形態によると、絶縁層27は、例えば電気絶縁性を有する白色の樹脂材料で構成されている。そのため、絶縁層27は、光反射層としての機能を兼ね備えている。
【0040】
図7に示すように、第1ないし第3の発光ダイオード(LED)36a、36b、36cが実装パッド28の光反射面31の上に実装されている。第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cは、夫々半導体発光素子の一例であって、例えば青色の光を発する共通のベアチップで構成されている。これらLEDチップ36a、36b、36cは、平面的に見た時の形状が長方形であり、例えば長辺の長さが600〜650μm、短辺の長さが200〜250μmである。
【0041】
さらに、各LEDチップ36a、36b、36cは、アノードとしての第1の電極37と、カソードとしての第2の電極38とを有している。第1および第2の電極37、38は、LEDチップ36a、36b、36cの基板21から離間した側の面で長手方向に間隔を存して並んでいる。
【0042】
第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cは、夫々透光性を有するダイボンド材39を用いて光反射面31に接着されている。本実施形態によると、第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cは、実装パット28の中央部28aで実装パッド28の長軸L1の方向に間隔を存して並んでいるとともに、長軸L1に対し千鳥状に配列されている。
【0043】
具体的には、第1の発光ダイオード36aおよび第3の発光ダイオード36cは、長軸L1よりも第1の給電パッド29の方向にずれている。第2の発光ダイオード36bは、長軸L1よりも第2の給電パッド30の方向にずれている。
【0044】
したがって、図7に二点鎖線で示すように、第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cは、丁度正三角形の三つの角に対応するような位置に環状に配列されて、実装パッド28の中央部28aで実装パッド28の中心O1を取り囲んで密集している。より具体的には、各LEDチップ36a、36b、36cの中心が正三角形の角に位置するレイアウトで配置される。
【0045】
第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cの第1の電極37は、個々に第1のボンディングワイヤー41を介して第1の給電パッド29に電気的に接続されている。同様に、第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cの第2の電極38は、個々に第2のボンディングワイヤー42を介して第2の給電パッド30に電気的に接続されている。
【0046】
この結果、各実装パッド28に接着された第1ないし第3の発光ダイオード36a、36b、36cは、互いに並列に接続されたダイオード群43を構成している。実装パッド28上のダイオード群43は、導体パターン26の配列方向に沿って直列に接続されて、基板21の上に導体パターン26に対応する二列のダイオード列を構成している。
【0047】
さらに、本実施形態によると、ダイオード群43は、装置本体2のシャーシ6を介して接地されている。
【0048】
図4ないし図7に示すように、複数の封止部材45が基板21に形成されている。封止部材45は、導体パターン26に対応するように基板21の幅方向に間隔を存して二列に並べられているとともに、各列毎に基板21の長手方向に互いに離れている。
【0049】
封止部材45は、実装パッド28に接着されたダイオード群43、ダイオード群43に対応する第1および第2のボンディングワイヤー41、42を基板21の上に封止する。封止部材45は、樹脂を主成分とするとともに、樹脂の中に混ぜられた所定量の蛍光体粒子および所定量のフィラーを含んでいる。
【0050】
封止部材45に含まれる樹脂として、例えば、透光性を有するレジン系シリコーン樹脂又はハイブリット系シリコーン樹脂を用いることが好ましい。レジン系シリコーン樹脂およびハイブリット系シリコーン樹脂は、三次元的に架橋された組織を有するので、透光性のシリコーンゴムよりも硬い。
【0051】
さらに、レジン系シリコーン樹脂は、シリコーンオイルやシリコーンゴムと比較して酸素や水蒸気のようなガスが透過する性能が低い。本実施形態の場合、封止部材45の酸素透過率が1200cm3(m2・day・atm)以下であり、水蒸気透過率が35g/m2以下である。
【0052】
この種の樹脂を選択することで、大気中のガスが封止部材45を透過することを要因とする実装パッド28の劣化を防止することができ、光反射面31の光反射性能を良好に維持できる。
【0053】
封止部材45に含まれる蛍光体粒子は、その径Dが1μm以上であるとともに、樹脂の中に略均等に分散されている。蛍光体粒子としては、LEDチップが発する青色の光により励起されて黄色の光を発する黄色蛍光体粒子を用いている。黄色は青色の補色であり、青色と混ざって白色を呈する。
【0054】
しかし、封止部材45に混ぜる蛍光体粒子は、黄色蛍光体粒子に限らない。例えば、LEDチップが発する光の演色性を改善するために、青色の光で励起されて赤色の光を発する赤色蛍光体粒子あるいは緑色の光を発する緑色蛍光体粒子を樹脂に添加するようにしてもよい。
【0055】
封止部材45は、実装パッド28、実装パッド28に対応する第1および第2の給電パッド29、30、実装パッド28の上のダイオード群43、ダイオード群43と第1および第2の給電パッド29、30との間に跨る第1および第2のボンディングワイヤー41、42を一体的に包み込むように基板21の絶縁層27から盛り上がっている。
【0056】
封止部材45は、樹脂が硬化する前の液状の状態で実装パッド28に向けて滴下される。封止部材45を滴下する際には、ディスペンサーを用いることが望ましい。実装パッド28に向けて滴下された封止部材45は、例えば150℃の温度で60分加熱することによりドーム状の形態に硬化される。
【0057】
本実施形態の封止部材45によると、その主成分となる樹脂は、実装パッド28に向けて滴下された直後の未硬化の状態でも予め決められた形状を維持し得るような物性を有している。ここで言う樹脂の物性とは、チクソ性や粘性などのことを指している。
【0058】
すなわち、図6に示すように、封止部材45は、実装パッド28に滴下された直後の未硬化の段階でも、実装パッド28、第1および第2の給電パッド29、30、ダイオード群43、第1および第2のボンディングワイヤー41、42を連続して覆うようなドーム形状を維持するようになっている。
【0059】
図5および図7に平面的に示すように、ドーム状の封止部材45は、実装パッド28の長軸L1を共有する略楕円形であって、基板21の長手方向に間隔を存して並んでいる。封止部材45の形状は、楕円形に限らず、円形でも良い。
【0060】
このようなベースライト1では、ベースライト1の電源スイッチがONされると、直流電圧が点灯装置5から第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fの導体パターン26に印加される。これにより、複数の実装パッド28に実装されたダイオード群43が一斉に発光する。
【0061】
ダイオード群43のベアチップが発する青色の光は、封止部材45に入射される。封止部材45に入射された青色の光の一部は、蛍光体粒子に吸収される。残りの青色の光は、蛍光体粒子に吸収されることなく封止部材45を透過する。
【0062】
青色の光を吸収した蛍光体粒子は、励起されて補色の関係にある黄色の光を発する。黄色の光は、封止部材45を透過する。これにより、黄色の光および青色の光が封止部材45の内部で互いに混じり合って白色光となる。白色光は、封止部材45およびセード3を透過してベースライト1の外に放射され、天井面Cから室内を照明する用途に供される。
【0063】
本実施形態では、青色の光を発光するLEDチップを用いた場合について説明したが、例えば、紫外光を発光するLEDチップを用いても良い。この場合、ダイオード群43に白色光を発光させるためには、紫外光を吸収して、青色、赤色、緑色の3波長のピークを有する光を励起発光する蛍光体を封止部材45に混入すれば良い。
【0064】
さらに、第1の実施形態によると、実装パッド28は、実装パッド28の中心O1に向けて円弧状に切り欠かれた凹部34a、34bを有するので、実装パッド28の中央部28aが括れた形状となっている。これに対し、第1および第2のボンディングワイヤー41、42が接続された第1および第2の給電パッド29、30は、実装パッド28よりも遥かに小さな形状であり、第1および第2の給電パッド29、30の表面積が少なく抑えられている。
【0065】
この構成によれば、光反射層31を表面に有する実装パッド28の面積を大きくした上で、第1および第2の給電パッド29、30の表面積を必要最小限にでき、第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fの接地部分と、第1および第2の給電パッド29、30との間に余分な電荷が蓄積するのを防止できる。
【0066】
この結果、ベースライト1の電源スイッチがOFFされて第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fが消灯された際に、浮遊容量を要因とする微小電流が第1ないし第6の発光モジュール20a、20b、20c、20d、20e、20fのダイオード群43に流れ難くなる。
【0067】
したがって、ダイオード群43がうっすらと発光するベースライト1の暗点灯を殆ど無くすことができる。
【0068】
特に、本実施形態によると、図7に示すように、第1および第2の給電パッド29、30を必要最小面積にしたため、ボンディングワイヤー41、42が各給電パッド29、30に向けて収束するように配線されている。これにより、ボンディングワイヤー41、42を短くでき、熱応力に起因する断線による寿命を延ばすことができる。
【0069】
以上のように、本実施形態によると、複数個(本実施形態では3個)のLEDチップ36a、36b、36cを密集させた状態で基板21上に実装し、これら複数個のLEDチップ36a、36b、36cをまとめてドーム状の封止部材45で封止するようにしたため、封止部材の樹脂材料を流し込むためのバンク(枠)を設ける必要がなく、その分、発光モジュール20aの製造コストを低減することができる。また、バンクを設けないため、複数個のLEDチップ36a、36b、36cから発光された光がバンクに遮られることがなく、外観の良い発光モジュール20aを提供できる。
【0070】
また、本実施形態によると、複数個のLEDチップ36a、36b、36cを1つの封止部材45で封止したため、ダイオード群43としての発光強度を高めることができ、発光モジュール20aの光束を増やすことができ、ベースライト1の発光強度を高めることができる。つまり、1つのLEDチップを1つの封止部材で封止した従来のものと比較して、ダイオード群43から発光される光束を略3倍に増やすこともでき、その分、発光強度を高めることができる。その結果、発光モジュール20aの数を減らすことができ、さらには、ベースライト1(照明器具)の台数をも減らすことができ、省エネにつながる。
【0071】
また、複数個のLEDチップ36a、36b、36cを1つの封止部材45で封止することで、発光モジュール20aの発光効率も高めることができる。例えば、1つのLEDチップに100mAの電流を流したときに100lmの光を発光する発光素子で、半分の50mAの電流を流した場合、発光時に熱に変換される電流の割合が小さくなる特性を有することから、50lmを超える、例えば55lmの光を発光する。このため、ダイオード群43として考えた場合、1つのLEDチップに流す電流を小さくすることで、エネルギーの変換効率を高めることができ、発光モジュール20a全体としての発光効率を高めることができる。
【0072】
また、本実施形態によると、複数個のLEDチップ36a、36b、36cを1つの封止部材45で封止したことで、LEDチップ毎の発光特性のバラつきを低減することができる。つまり、1つのLEDチップを1つの封止部材で封止した場合、LEDチップ毎の発光特性のバラつきは、そのまま封止した発光素子の発光特性のバラつきとなる。しかし、本実施形態のように、複数個のLEDチップ36a、36b、36cをまとめて1つの封止部材45で封止すると、各チップの発光特性のバラつきを相殺でき、発光モジュール全体としての発光特性のバラつきを低減できる。
【0073】
なお、上述した第1の実施形態では、3個のLEDチップ36a、36b、36cを1つの封止部材45で封止した構造を例に説明したが、封止部材45でまとめて封止するLEDチップの個数は複数個であれば良く、少なくとも2個以上であれば上述した効果を奏することができる。言い換えると、LEDチップの個数は、少なくとも2個以上、例えば4個以上であっても良い。
【0074】
反面、1つの封止部材45で封止するLEDチップの個数が増えると、必然的に封止部材の必要量が多くなり、封止領域の面積も大きくなる。このため、封止部材45のドーム形状を保持するのが難しくなるとともに発光特性にも影響が出ることが予想される。つまり、ドーム形状を保持することのできる最大径の封止部材45中により多くのLEDチップを封止すると、LEDチップと封止部材45の表面との間の距離が段々と短くなる。つまり、この場合、LEDチップから発光された光が封止部材45の表面から出るまでの光路長が短くなり、蛍光体粒子に吸収されずにそのまま放出される青色光の割合が多くなり、色ムラを生じてしまう。
【0075】
このため、本実施形態では、上述した色ムラを防止するため、複数個のLEDチップ36a、36b、36cを互いに密集させた状態で封止部材45で封止するようにした。色ムラの生じない密集度を測定するため、封止部材45による封止領域の径に対するLEDチップの実装領域の径の割合を種々変えて、色ムラを生じることのない実装領域の適正範囲を調べた。その結果、本実施形態のように正多角形の頂点にLEDチップを配置したレイアウトの発光モジュール20aでは、封止部材45の封止領域の径に対してLEDチップの実装領域の径を1/2以下にした場合に色ムラの無い良好な発光特性を得ることがわかった。
【0076】
なお、上述した第1の実施形態では、正三角形の角にそれぞれLEDチップ36a、36b、36cを配置したレイアウトを採用したが、例えば、正方形の角にそれぞれLEDチップを配置したレイアウトを採用した場合でも、封止領域の1/2以下の径の実装領域内に全てのLEDチップを配置すれば、同様の効果を奏することができることが分かっている。
【0077】
また、LEDチップのサイズを小さくでき、且つドーム形状を維持できる封止部材45の封止領域の径を大きくできる場合には、複数個のLEDチップを2重、3重に環状に配置しても良い。この場合、各LEDチップから発光される光の角度色差を無くすことができ、より良好な発光特性を得ることができる。
【0078】
さらに、複数個のLEDチップを正多角形状に配置したレイアウトを採用した上で、各LEDチップ自体の実装姿勢を工夫することで、ダイオード群43としての色ムラの発生をより確実に防止することができる。つまり、例えば、図8または図9に例示した変形例のように、各LEDチップの長手軸が正多角形の各辺に沿う姿勢で全てのLEDチップを配置することで、封止領域45の中心に対して点対象なレイアウトとすることができ、各LEDチップの発光部から封止部材45のエッジまでの距離を略等しくでき、色ムラの発生を略無くすことができる。
【0079】
なお、図8および図9に例示した変形例の封止部材45の形状は、楕円形より円形であることが望ましい。また、この場合、図示を省略したが、各LEDチップに給電するための給電パッドは、各LED毎に個別に設ける必要があり、封止領域内で且つLEDチップの実装領域の外側に配置する必要がある。例えば、図9の変形例の場合、5つのLEDチップそれぞれに給電するための給電パッドは、10個用意する必要があり、実装領域の外側に環状に並べて配置される。
【0080】
つまり、上述した変形例によると、各給電パッドを小さく分割してより小さな面積にすることができ、上述した暗点灯の問題をより無くすことができる。
【0081】
図10には、第2の実施形態に係る発光モジュール50の要部平面図を示してある。本実施形態の発光モジュール50は、LEDチップ36a、36b、36cのレイアウトを変更した以外、上述した第1の実施形態の発光モジュール20aと略同じ構造を有する。よって、ここでは、第1の実施形態の発光モジュール20aと同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0082】
本実施形態に係る発光モジュール50のダイオード群52は、複数個(本実施形態では3個)のLEDチップ36a、36b、36cを互いに近接せしめて一列に並べて配置したチップレイアウトを有する。より具体的には、3個のLEDチップ36a、36b、36cの長手軸を互いに平行に並べて互いに近接させて密集させ、封止部材45の長軸L1と各LEDチップ36a、36b、36cの長手軸が略直交する姿勢にレイアウトした。
【0083】
本実施形態によると、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。その上、本実施形態によると、複数個のLEDチップを一列に並べて配置したため、上述した第1の実施形態と比較して、チップのレイアウトを容易にでき、且つワイヤーボンディングも容易にでき、発光モジュール50の製造を容易にでき、発光モジュール50の製造コストを低減できる。
【0084】
本実施形態においても、色ムラを生じることのない、LEDチップの実装領域の最適径を調べたところ、封止領域の径の2/3以下の径の範囲内に全てのLEDチップを実装した場合に、色ムラの無い良好な発光特性を得られることがわかった。
【0085】
一つの具体例を挙げると、LEDチップの長手軸に沿った長さが0.6mm、幅が0.2mmであり、封止部材45の径が6mmである場合、3個のLEDチップを並べて実装した領域の幅を4mm以下にすることで、上述した範囲に収まる。つまり、この場合、LEDチップの実装領域の径を封止部材45による封止領域の径の2/3以下にすることができ、色ムラを防止できる。
【0086】
なお、本実施形態では、3個のLEDチップ36a、36b、36cを一列に並べて実装した場合について説明したが、LEDチップの個数は複数個であれば良く、2個以上、例えば4個以上であっても良い。しかし、一列に並べるLEDチップの数が増えると、給電パッド29、30に接線するボンディングワイヤー41、42の接続が難しくなり、メカ的な限界が生じる。
【0087】
このため、図11に示す変形例のように、各LEDチップ36a、36b、36cに個別の給電パッド29a、29b、29c、30a、30b、30cを用意して、各LEDチップを給電パッドに個別に接続する方法が考えられる。
【0088】
この方法を採用すると、図示のように、各給電パッド29a、29b、29c、30a、30b、30cに接続するボンディングワイヤー41、42をパッドに向けて拡がる方向に延ばすこともでき、パッドに対するボンディングを容易にできる。また、この方法を採用すると、給電パッドを複数のより小さな部分に分割することができ、上述した暗点灯の問題を無くすことができる。
【0089】
また、この場合、上述した第2の実施形態と比較して、接続するボンディングワイヤー41、42の本数を容易に増やすことができるため、チップレイアウトの自由度を高めることができ、LEDチップの実装数も容易に増やすことができる。また、逆に、ワイヤーボンディングのメカ的な限界を考慮することなく、複数個のLEDチップを密集させて実装でき、封止領域の中央にチップを集め易い。
【0090】
しかし、本実施形態の場合、LEDチップの数が多くなると、封止部材45の形状も円形から細長い楕円形に変化し、上述した径の比較では最適な実装領域の範囲を規定し難くなる。このため、本実施形態の場合、実装領域の範囲を規定するのではなく、各LEDチップと封止部材45の表面との間の距離を適正化することで、色ムラを無くすようにした。
【0091】
図12には、3個のLEDチップ36a、36b、36cを一列に並べた場合の最適な封止部材45の形状を示してある。つまり、図12(a)に平面図を示すように、最適な封止部材45の周縁45aの形状は楕円形であり、各LEDチップ36a、36b、36cから周縁45aまでの距離Dは全て等しくなっている。また、図12(b)に断面図を示すように、各LEDチップ36a、36b、36cの図示上面から封止部材45の頂部45bまでの距離Dも等しくなっている。
【0092】
つまり、各LEDチップ36a、36b、36cから発光された光は封止部材45の蛍光体粒子で吸収されて黄色光を発光するが、各LEDチップ36a、36b、36cから発光されて封止部材45の表面を通過するまでの光路長に応じて、黄色光の量が決まる。反面、この光路長から透過する青色光の量も決まる。すなわち、各LEDチップLEDチップ36a、36b、36cから封止部材45の表面までの距離Dを全て等しくすることで、色ムラを防止できる。
【0093】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0094】
例えば、上述した実施形態では、照明装置として、天井に直付けするベースライトについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば街路灯や誘導灯のようなその他の形態の照明装置であっても同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…ベースライト、2…装置本体、3…セード、4…光源、5…点灯装置、6…シャーシ、7…センターカバー、8a、8b…サイドカバー、11a、11b…光源支持部、20a、20b、20c、20d、20e、20f…発光モジュール、21…基板、28…実装パッド、29、30…給電パッド、31…光反射面、36a、36b、36c…発光ダイオード(LEDチップ)、41、42…ボンディングワイヤー、43…ダイオード群、45…封止部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ発光特性を有する複数個の半導体発光素子と、
これら複数個の半導体発光素子を密集させて実装する基板と、
この基板に実装した上記複数個の半導体発光素子をまとめて封止するドーム状の封止部材と、
を具備することを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
上記ドーム状の封止部材で封止された上記複数個の半導体発光素子は、互いに近接して一列に並んで配置されていることを特徴とする請求項1の発光モジュール。
【請求項3】
上記一列に並んで配置された複数個の半導体発光素子は、上記ドーム状の封止部材の封止領域の径の2/3以下の径の実装領域内に配置されていることを特徴とする請求項2の発光モジュール。
【請求項4】
上記一列に並んで配置された複数個の半導体発光素子は、その並び方向に沿って長軸を有する楕円形状或いは長円形状の上記封止部材で封止されていることを特徴とする請求項2の発光モジュール。
【請求項5】
上記ドーム状の封止部材で封止された上記複数個の半導体発光素子は、環状に配置されていることを特徴とする請求項1の発光モジュール。
【請求項6】
上記環状に配置された複数個の半導体発光素子は、上記ドーム状の封止部材の封止領域の径の1/2以下の径の実装領域内に配置されていることを特徴とする請求項5の発光モジュール。
【請求項7】
上記基板の実装面に設けられた光反射層と、
この光反射層と別体で上記実装面に設けられた上記光反射層より面積の小さい給電パッドと、
をさらに有することを特徴とする請求項1の発光モジュール。
【請求項8】
上記各半導体発光素子と上記給電パッドを接続するボンディングワイヤーは、上記給電パッドに向けて収束することを特徴とする請求項7の発光モジュール。
【請求項9】
上記給電パッドは、上記ドーム状の封止部材で封止された上記複数個の半導体発光素子それぞれに個別に給電する複数の部分に分割されており、
上記各半導体発光素子と上記給電バッドの上記複数の部分を接続するボンディングワイヤーは、上記複数の部分に向けて拡がっていることを特徴とする請求項7の発光モジュール。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項の発光モジュールを備えたことを特徴とする照明器具。
【請求項1】
同じ発光特性を有する複数個の半導体発光素子と、
これら複数個の半導体発光素子を密集させて実装する基板と、
この基板に実装した上記複数個の半導体発光素子をまとめて封止するドーム状の封止部材と、
を具備することを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
上記ドーム状の封止部材で封止された上記複数個の半導体発光素子は、互いに近接して一列に並んで配置されていることを特徴とする請求項1の発光モジュール。
【請求項3】
上記一列に並んで配置された複数個の半導体発光素子は、上記ドーム状の封止部材の封止領域の径の2/3以下の径の実装領域内に配置されていることを特徴とする請求項2の発光モジュール。
【請求項4】
上記一列に並んで配置された複数個の半導体発光素子は、その並び方向に沿って長軸を有する楕円形状或いは長円形状の上記封止部材で封止されていることを特徴とする請求項2の発光モジュール。
【請求項5】
上記ドーム状の封止部材で封止された上記複数個の半導体発光素子は、環状に配置されていることを特徴とする請求項1の発光モジュール。
【請求項6】
上記環状に配置された複数個の半導体発光素子は、上記ドーム状の封止部材の封止領域の径の1/2以下の径の実装領域内に配置されていることを特徴とする請求項5の発光モジュール。
【請求項7】
上記基板の実装面に設けられた光反射層と、
この光反射層と別体で上記実装面に設けられた上記光反射層より面積の小さい給電パッドと、
をさらに有することを特徴とする請求項1の発光モジュール。
【請求項8】
上記各半導体発光素子と上記給電パッドを接続するボンディングワイヤーは、上記給電パッドに向けて収束することを特徴とする請求項7の発光モジュール。
【請求項9】
上記給電パッドは、上記ドーム状の封止部材で封止された上記複数個の半導体発光素子それぞれに個別に給電する複数の部分に分割されており、
上記各半導体発光素子と上記給電バッドの上記複数の部分を接続するボンディングワイヤーは、上記複数の部分に向けて拡がっていることを特徴とする請求項7の発光モジュール。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項の発光モジュールを備えたことを特徴とする照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−98416(P2013−98416A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241236(P2011−241236)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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