説明

発光制御方法および発光体

【課題】光色を可変可能な発光装置において、面発光することができ、かつ任意な領域に任意な発光色を提供すること。
【解決手段】発光を制御される発光体1は、複数の発光部2が等間隔で格子状に配列されている。それら複数の発光部2は、フィルタにより複数の発色光を放射することができ、かつ、任意の発光部2の輝度を任意に制御することができる。このため、発光体1は面発光でき、かつ、発光色および発光の領域を自由に制御できる発光体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の発光色を放射できる発光制御方法および発光体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明においては、発光色を可変できる発光装置およびその制御方法が数多く提案されている。例えば、特許文献1のように複数の異なる発光色の光源を用い、それぞれ調光する方法や、光源表面に設置したカラーフィルタを切り替える手法が挙げられる。また、照明の形状に関しては一般的な照明はLEDに見られるような点発光体や、蛍光灯などの線発光体が主流であり、更に特許文献2に示したようなLEDを複数配列した擬似面発光体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3927130号公報
【特許文献2】特開2002−278481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、複数のLEDをモジュール化し、それぞれのLEDの発光を制御することで発光色を可変させているため、モジュールのサイズがLEDのサイズに依存し、小型化が困難であるとともに、LEDから発生する熱により、モジュールが高温になり易い。また、特許文献2では、複数のLEDを同一面に任意の間隔を設けて配置して用いるため、特許文献1と同様に大きさに制約があるとともに、LEDの未設置部分とLED設置部分とにおいて輝度差が大きいことから、輝度ムラが発生するおそれがある。本発明は、発光色を可変可能な発光装置において、面発光することができ、かつ任意な領域に任意な発光色を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、同一面上に複数の発光部と、複数の前記発光部それぞれに隣接して設けられて、複数の前記発光部から放出された光が透過することにより特定の発色光を出力する複数のフィルタと、を含む発光体に対して、それぞれの前記発光部の輝度を独立して調整することを特徴とする、発光制御方法である。
【0006】
この発光制御方法は、複数の発光部を有する発光体それぞれを独立して発光制御、すなわち、それぞれの発光部に独立して電圧を印加するものである。具体的には、それぞれの発光部は発光時間で輝度を調整し、発光領域によって発光色が決定する。それぞれの発光部は、フィルタを有し、このフィルタを光が透過することで、所望の発光色を得ることができる。前記フィルタは予め着色された透明または光学的透過率に優れたものや、単一波長光、すなわち励起光を波長変換し、青、緑、赤などを発色する蛍光体などを用いることができる。この発光制御方法は、特許文献1、特許文献2などの方法と比較して、発光部の大きさを任意のサイズにすることができ、かつ、面として光を得ることができる。更に、任意の領域に任意の発光色を発光させることができることから、簡易的な表示装置として使用することもできる。
【0007】
本発明において、前記フィルタは、少なくとも、前記発光部からの放出光に対して青、緑、赤それぞれの色を出力し、かつ、それぞれの前記フィルタと前記発光部とは規則的に配列されることが好ましい。すなわち、本発明は、面発光体を提供することを目的としていることから、それぞれの発光部が均等な距離で配置されることにより、発光領域内における輝度ばらつきが殆ど発生せず、その結果、発光体全体での輝度ムラを抑制することができる。
【0008】
本発明において、複数の発光部はそれぞれがフィルタを有する。フィルタの種類は特に限定されないが、透明な基材に着色されたカラーフィルタまたはその類似品や単一波長光を波長変換し、青、緑、赤などを発光する蛍光体が望ましい。特に蛍光体はカラーフィルタとは異なり、単一波長光の光エネルギーから変換されるため、効率が高いことから、より好ましい。
【0009】
本発明において、複数の発光部はそれぞれが独立して発光制御されるが、これらの発光制御には、X−Yの二次元座標系制御方法として、XYアドレス制御方法を用いることが好ましい。具体的には、単純マトリックス駆動方式やアクティブマトリックス駆動方式が挙げられる。更に、アクティブマトリックス駆動方式においては駆動素子としてMIM(Metal Insulator Metal)やTFT(Thin Film Transistor)が用いられる。これらの制御方法や駆動素子は適宜使用することができるが、応答速度の速さを考慮するとアクティブマトリックス駆動方式、かつ、TFTの組み合わせが好ましい。
【0010】
このような発光制御を行うことで、複数の発光部を有する発光体は、それぞれが独立して制御され、任意の領域において発光色や輝度を可変することができる。すなわち発光面上の任意な領域それぞれに任意の発光色を表示することや、輝度を調整することが可能になる。また、それぞれの発光部に印加される電圧は、0から最大値の間で周期的に変化する。Asを発光部における発光閾電圧値とすると、Asは0から最大値の間に含まれ、印加される電圧がAs以下である場合、発光部は消灯状態となる。このため、発光体をこの発光制御方法により発光させると、常時発光部を発光させる制御方法と比較して、消費電力を抑制し、発光体の長寿命化に寄与することができる。
【0011】
本発明において、前記発光部に印加される電圧の周波数は、100Hz以上1MHz以下であることが好ましい。このようにすれば、発光体から放射される発光のちらつきを低減できるとともに、消費電力および発熱の増加も抑制できる。
【0012】
本発明において、前記発光部に設けられるフィルタは少なくとも3種類以上であることが好ましい。フィルタを透過する光が白色光である場合、少なくとも青、緑、赤それぞれのカラーフィルタを設けることで、青色光、緑色光、赤色光それぞれ任意の組み合わせによって、大よその種類の発光色が得られる。また、フィルタを透過する光が紫外線の場合、紫外線を励起光として用いて、蛍光体から青色光、緑色光、赤色光を得ることで、前記カラーフィルタの効果と同様に、任意の発光色が得られる。カラーフィルタおよび蛍光体は市販の製品、材料を利用することができ、特定の製品、材料に限定されないが、特に蛍光体に関しては、ユーロピウム系、テルビウム系、タングステン系、サイアロン系、ガーネット系、アルカリ土類金属アルミン酸塩、ハロリン酸塩、酸窒化物、金属酸化物などの材料に依存する蛍光材料や、CdSe、CdTe、GaAs、InPなどの半導体を用いて、それぞれの材料の粒子サイズを厳密に制御し、粒度分布を極めて狭くすることで、所望の発光色を得る技術を活用することができる。これらの材料、手法を用いて作製された前記フィルタが設けられた、それぞれの前記発光部は等間隔に配置されていることが好ましい。等間隔に配置されていることでそれぞれ各発光色が強調または低減することなく、発光が均一となり、所望の発色を得ることができる。
【0013】
本発明は、前記発光制御方法を実現することを特徴とする発光制御装置である。このため、この発光制御装置は、常時発光部を発光させる駆動方法と比較して、消費電力が抑制されるとともに、発光部の長寿命化に寄与することができる。
【0014】
本発明は、面状支持体の面に対して垂直方向に複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にフィルタ、第1の電極、第1の半導体層、第2の半導体層、第2の電極、スイッチング素子の順で積層された積層体が格納された構造を有し、前記積層体内で発生した光が前記フィルタを透過して外部に放射される構造を有することを特徴とする発光体である。この発光体は、個々の前記積層体の電気的絶縁および形状保持のため、支持体が隣接する。フィルタにおいて、第1の電極との接合面とは逆の面に、透明導電層、電極、光学拡散層、プリズム層、レンズ層などの機能層を設けることができ、または透明基材などを接合することもできる。前記第1の電極は透明導電材料で構成され、面状構造であっても良い。また、前記第1の半導体層は第1の電極と同様に連続した面状構造を有しても良い。更に、前記第1の電極と前記第1の半導体層の間に機能層、易接層、拡散防止層などを設けることができる。前記第1の半導体層における前記第1の電極と接合している面とは逆の面は、前記第2の半導体層と接合されている。第1の半導体層と第2の半導体層の接合により、ダイオードが形成され、この接合面において、光が放射される。更に前記第2の半導体層は、第2の電極と接合し、更に前記第2の電極は、スイッチング素子に接合される。前記第2の電極は金属材料または酸化物系導電材料で構成されることが好ましく、より好ましくは金、白金、パラジウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、ニオブ、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、などが挙げられる。また、前記第2の電極と第2の半導体層との間に機能層、易接層、拡散防止層などを設けることができる。
【0015】
このように、同一面上に前記基本構造を有する複数の前記発光体が設けられた構造体において、光学的散乱を目的に連続した層または面状構造体を設けることにより、複数の前記発光体で発生した光を散乱させることができる。その結果、この発光装置は、面発光した場合の輝度ムラを更に効果的に低減することができる。また、前記複数の発光体が等間隔で配置されることにより、発光面内における部分的な光の強弱の発生を抑制できる。また、発光体の発光は、独立して制御できるため、点灯位置や消灯位置を制御することで、面内において明るさの補間がなされ、より輝度ムラを低減することができる。また、前記複数の発光体間に輝度センサーを設け、それぞれの輝度センサーが測定した測光結果を発光制御回路に反映させることで、自動的に輝度センサー周辺の輝度を制御することもできる。輝度の制御方法は、それぞれの前記発光体に印加する電圧の周期を変えることや、または電圧の印加を単純にON、OFFすることで対応できる。更に、意図的に発光面内において、輝度の高低を制御することも可能であることから、簡易的な表示媒体として、文字や図形、画像などを表示することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、光色を可変可能な発光装置において、面発光することができ、かつ任意な領域に任意な発光色を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本実施形態に係る発光体の平面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る発光体の断面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る発光体が有する発光部の配列を示す平面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る発光体が有する発光部の配列を示す平面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る発光体が有する発光部とスイッチング素子との回路構成例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態は、本発明を限定するものではない。また、下記の実施形態で開示された構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。まず、本実施形態に係る発光色可変装置の制御対象である発光体の構造を説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る発光体の平面図である。発光体1は、複数の発光部2を有する平板状の素子である。発光体1は、複数の独立した発光部2を同一の面内で発光(点発光)させることにより、擬似的に面発光する発光素子である。それぞれの発光部2は、発光ダイオード(LED)が基本的骨格をなしている。すなわち、発光体1は、複数のLEDを同一(共通)の基板に作製したものである。この点で、発光体1は、部品としてのLEDを、例えば、一つの基板に複数実装し取り付けた発光体とは異なる。また、発光部2はフィルタの違いにより2a、2b、2cと区別され、それぞれ固有の発光色を有する。フィルタは特に限定されないが、カラーフィルタまたは蛍光体などが挙げられる。
【0020】
図1に示す発光体1は、複数の発光部2が、X−Yの二次元座標系において、格子の交点に配列(格子状に配列)されている。複数の発光部2の配列間隔Pは、等間隔であることが好ましい。等間隔とすることにより、連続した層の面内での発光強度のバラツキを抑制できるので、結果として、発光体1の輝度ムラを抑制できるので好ましい。この例では、X方向に隣接する発光部2の配列間隔XpとY方向に隣接する発光部2の配列間隔Ypとが等しい、すなわち、Xp=Yp=Pである。このようにすれば、それぞれの発光部2を発光させて擬似的に面発光させた場合、発光体1の輝度ムラを低減できるので好ましい。このように、発光体1は、2方向(この例ではX方向およびY方向)において、複数の発光部2の配列間隔が等しければ、発光体1の輝度ムラ低減の効果を得ることができる。
【0021】
発光部2の配列は、格子状の配列に限定されるものではない。例えば、複数の発光部2は、X−Yの二次元座標系において千鳥配列されていてもよい。複数の発光部2が千鳥配列される場合でも、複数の発光部2の配列間隔は、等間隔であることが好ましい。等間隔とすることにより、連続した層の面内での散乱光の強度のバラツキを抑制できるので、結果として、発光体1の輝度ムラを抑制できるので好ましい。このようにすれば、それぞれの発光部2を発光させて擬似的に面発光させた場合、発光体1の輝度ムラを低減できるので好ましい。発光部2はフィルタの違いにより2a、2b、2c・・・のように区別される。2a、2b、2cはそれぞれ発光色が異なり、例示するならば、2aが青、2bが緑、2cが赤である。これら2a、2b、2cを同時点灯することにより、白色光が得られ、2a、2b、2cの発光と輝度を組み合わせることで、大よその色調を得ることができる。
【0022】
発光部2の直径D(発光部2の形状が円形でない場合には等価直径De=4×S/C、Sは柱状部分の断面積、Cは柱状部分の周長)は、10μm以上1cm以下が好ましい。発光部2の直径Dがこのような範囲であれば、発光部2としての抵抗値を抑えられ、かつ電流分布もある程度一定となるため、発光体1の輝度ムラを抑制できるので好ましい。
【0023】
図2は、本実施形態に係る発光体の断面図である。本実施形態において、発光体1は、表基材3の一方の面に対して、拡散層4、導電層15、フィルタ5、第1の電極6、第1の半導体層7、第2の半導体層8、第2の電極9、スイッチング素子10の順に積層された構造を有する。また、それぞれの発光部2の間には、支持体11が配置されている。発光部2において、第1の電極6と第1の半導体層7とは接合され、第1の半導体層7と第2の半導体層8とは接合され、第2の半導体層8と第2の電極9とは接合されている。第1の電極6は透明電極であり、第2の電極9は金属電極が好ましく用いられる。第1の半導体層7はn型半導体であり、第2の半導体層8はp型半導体であるか、または、第2の半導体層8はn型半導体材料であり、第1の半導体層7はp型半導体であってもよい。第1の半導体層7と第2の半導体層8は直接接合しているが、第1の半導体層7と第2の半導体層8との間に活性層などの中間層を設けても良い。更に、第1の電極6と第2の電極9との間に、第1の半導体層7と第2の半導体層8に代わって、複数のクラッド層、活性層、反射層などを適宜設けることができる。また、基材3と拡散層4との間または拡散層4とフィルタ5および支持体層11の混在層との間には機能層として、補助拡散層、プリズム層、レンズ層、バリア層、紫外線吸収層、反射防止層、輝度向上層などを配置することができる。更に、発光部2と支持体層11との界面に、反射層14、絶縁層13を適宜配置することができる。また、図2に図示はしないが、絶縁層13とフィルタ5および第1の電極6との界面に導電層としての電極を設け、導電層15と第1の電極6とが電気的に接続された状態であることが望ましい。更に、第1の電極を設けず、フィルタ5に第1の半導体層7が積層された状態において、絶縁層13とフィルタ5および第1の半導体層7との界面に導電層としての電極を設け、導電層15と第1の半導体層7とが電気的に接続された状態であっても良い。
【0024】
上述したように、第1の半導体層7はn型半導体またはp型半導体からなり、第2の半導体層8はp型半導体またはn型半導体からなる。ここで用いられる半導体材料は特に限定されず、既知の半導体材料を適宜使うことができる。既知の半導体材料として、AlSb、GaSb、GaAs、GaN、GaP、InSb、InAs、InP、AlGaAs、InGaAs、InGaP、AlInAs、AlInSb、GaAsN、GaAsP、AlGaN、AlGaP、InGaN、InAsSb、InGaSb、AlGaInP、AlGaAsP、InGaAsP、AlInAsP、AlGaAsN、InGaAsN、InAlAsN、GaAsSbN、GaInNAsSb、GaInAsSbP、ZnCdSe、CdZnTe、ZnTeSe、GaP(ZnO)、GaAs(Si)、SnTe、ZnO、GaSe、などが知られている。従複数の発光部2は、円柱形状または多角柱形状等の柱状の形状となっている(本実施形態では円柱形状)。発光部2の柱状部分の厚み(拡散層4の表面と直交する方向における寸法)は、1μm以上10mm以下であることが好ましい。発光部2の厚みがこのような範囲であれば、発光部2から放出される光の減衰を抑えられ、かつ発光に要する電流量も抑制されるため好ましい。また、発光部2の厚みは発光部2を構成する各層の厚さの和に等しく、各層の厚さは、前記発光部2の厚さの範囲内であれば、特に限定されない。
【0025】
本実施形態では、第1の半導体層7および第2の半導体層8はスパッタ法、化学的蒸着法、物理的蒸着法、印刷法、塗布法など、あらゆる手法を用いて作成することができる。また、第1の半導体層7および第2の半導体層8は単結晶体、粒子などで構成され、好ましくは粒子で構成される。更に、第1の半導体層7および第2の半導体層8を構成するそれぞれの粒子サイズは5nm〜200nmが好ましい。その結果、発光部2から放射される光は散乱し、輝度ムラの抑制に効果がある。更に、光散乱の効率を考慮するとそれぞれの粒子サイズは20nm〜100nmがより好ましい。
【0026】
発光部2を構成する第1の半導体層7および第2の半導体層8以外の形成方法に関しても、前記と同様に、スパッタ法、化学的蒸着法、物理的蒸着法、印刷法、塗布法などあらゆる手法を活用でき、層の形態についても、単結晶体、粒子などで構成される。
【0027】
発光体1は、それぞれの発光部2に対応したスイッチング素子10を有する。スイッチング素子10はそれぞれの発光部2に対応した位置に設けられ、かつ各々が独立して駆動するよう基板に配線される。そして各スイッチング素子10の上部には第2の電極9が形成され、第2の電極9と第2の半導体層8とが接合される。スイッチング素子10は、例えば、TFTであるが、これに限定されるものではなく、MIM素子など、他のスイッチング素子を使用することができる。それぞれの発光部2はスイッチング素子10が配置され、かつ、単純マトリックス駆動方式やアクティブマトリックス駆動方式により、独立して発光を制御することが可能である。すなわち、個々の発光部2から放射される光量に差が生じても、その差を補正することが可能であり、また、複数の発光部2がそれぞれ異なる色調のフィルタを有する場合、それぞれの光量を制御することで、任意の発光色を放射することができる。
【0028】
発光体1は、同一面上に複数個の発光部2が規則的に配置されている、擬似的な面発光体である。また、発光体1は、各発光部2の間に、支持体11を有している。この支持体は個々の発光体2を支持するだけにとどまらず、前記発光体2から発生する熱を効率よく放熱する効果を有する。この放熱作用により、発光部2の熱的ダメージを抑制し、長寿命化が図られる。この支持体11は効率よく放熱を促すために、樹脂をマトリックスとした複合体が好ましく利用される。具体的には樹脂として、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂など、あらゆる樹脂、高分子化合物が適宜挙げられる。また、前記樹脂との複合体として使う無機物としては、ダイアモンド、グラファイト、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンなどの炭素同素体や、窒化アルミニウム、炭化珪素、アルミナなどが挙げられる。また、支持体の絶縁性が失われない範囲において、銅、銀、金、アルミニウム、シリコン、鉄、白金などの金属材料を利用することもできる。また、熱伝導率を高めるために、前記金属材料を多量に添加したために、支持体11に導電性が発現した場合は、発光部2と支持体11の絶縁を図るために、絶縁層13が設けてあり、更に導電層15と支持体11の間に別途絶縁層を設けることができる。前記絶縁層13や別途絶縁層を設けることで、熱伝導材を限定することなく利用することが可能になる。絶縁層13と支持体11の間には反射層14が設けられるが、この反射層14により発光体2で発生した光は減衰することなくフィルタ5を透過させられるため、効率よく発光させることができる。すなわち、消費電力が抑制されるとともに、昇温も抑制され、長寿命化が図られる。
【0029】
図3、図4は、本実施形態に係る発光体が有する発光部の配列を示す平面図である。図3の発光体1は、X−Yの二次元座標系において、複数の発光部2がX方向にn個、Y方向にm個、格子状に配列されている(n、mは整数)。この場合、それぞれの発光部2の位置は、X座標X、X、・・・Xn−1、XとY座標Y、Y、・・・Ym−1、Yとを用いて、(X、Y)、(X、Y)、・・・(Xn−1、Ym−1)、(X、Y)と表すことができる。図4の発光体1’は、X−Yの二次元座標系において、複数の発光部2がX方向にn個、Y方向にm個、千鳥配列されている。この場合、それぞれの発光部2の位置は、X座標X、X、・・・Xn−1、XとY座標Y、Y、・・・Ym−1、Yとを用いて、(X、Y)、(X、Y)、・・・(Xn−1、Ym−1)、(X、Y)と表すことができる点は、発光部2が格子状に配列された場合と同様である。千鳥配列において、発光部2は、Y方向に向かってジグザグに配列されるので、千鳥配列におけるX座標は、ジグザグに一列並んだ部分をそれぞれ座標X、X、・・・Xn−1、Xとする(二点鎖線で区画される部分)。以下においては、格子状に発光部2が配列された発光体1を例として説明する。本実施形態において、複数の発光部2は、それぞれが独立して発光制御される。この発光制御には、X−Yの二次元座標系制御方法として、例えば、XYアドレス制御方法を用いることができる。具体的には、単純マトリックス駆動方式またはアクティブマトリックス駆動方式により、複数の発光部2は、それぞれが独立して発光制御される。
【0030】
図5は、スイッチング素子を有する発光体の制御回路の一例を示す回路図である。発光体1は、制御装置20と、ゲート信号制御素子9Ga、9Gb、9Gc・・・と、ソース信号制御素子9Sa、9Sb、9Sc・・・と、電源21と、を有する。ゲート信号制御素子9Ga、9Gb、9Gc・・・およびソース信号制御素子9Sa、9Sb、9Sc・・・は、例えば、FET(FIELD EFFECT Transistor:電界効果型トランジスタ)、バイポーラトランジスタ等のスイッチング素子である。この例において、スイッチング素子10は、TFTである。TFTは、FETの一種である。
【0031】
発光体1が有する複数のスイッチング素子10は、例えば、図6に示すようなマトリックス回路により制御される。前記マトリックス回路は、複数のゲート信号ラインGa、Gb、Gc・・・と、複数のソース信号ラインSa、Sb、Sc・・・とを有している。複数のゲート信号ラインGa、Gb、Gc・・・は、それぞれ複数のスイッチング素子10のゲートに接続されている。複数のソース信号ラインSa、Sb、Sc・・・は、それぞれ複数のスイッチング素子10のソースに接続されている。それぞれのスイッチング素子10のドレインは、それぞれ第2の電極9を介して第2の半導体層8に接続されている。第2の半導体層8は、接合面Jを介して第1の半導体層7と接合している。第1の半導体層7は第1の電極6を介してグランド20に接続されている。電源21は、ゲート信号制御素子9Ga、9Gb、9Gcおよびソース信号制御素子9Sa、9Sb、9Scに正電圧を印加している。
【0032】
発光部2を点灯させる場合、制御装置22は、ゲート信号制御素子9Ga、9Gb、9Gc・・・の少なくとも一つをONにする。すると、ゲート信号制御素子9Ga、9Gb、9Gc・・・に接続されているスイッチング素子10のゲートに正電圧が印加されるので、ONになったゲート信号制御素子9Ga、9Gb、9Gc・・・に接続されているスイッチング素子10がONになる。この状態で、制御装置22は、ソース信号制御素子9Sa、9Sb、9Sc・・・の少なくとも一つをONにすると、ソース信号制御素子9Sa、9Sb、9Sc・・・に接続されているスイッチング素子10のソースとドレインとを介して、ドレインに接続されている第2の電極9に正電圧が印加される。すると、第2の電極9から第1の電極6に向かって電流が流れ、第2の半導体層8と第1の半導体層7の接合面Jが発光する。また、フィルタ5の種類が異なる発光部2a、2b、2c・・・はそれぞれ前述のような制御により発光が制御され、それぞれの発光部2a、2b、2c・・・が固有の発光色を呈する。
【0033】
例えば、制御装置22が、ゲート信号制御素子9Gbとソース信号制御素子9SaとをONにしたとする。すると、ゲート信号ラインGbに接続されている複数のスイッチング素子10がONになり、ソース信号ラインSaに接続されているスイッチング素子10のソースに正電圧が印加される。その結果、ゲート信号ラインGbとソース信号ラインSaとが交差する部分Aが発光する。制御装置22は、ゲート信号制御素子9Gbとソース信号制御素子9Saとの少なくとも一方をOFFにすることにより、ゲート信号ラインGbとソース信号ラインSaとが交差する部分の発光部を消灯させることができる。このような回路構造により、制御装置22は、発光体1が有する任意の発光部2a、2b、2c・・・を発光させることができる。すなわち、任意の発光色を任意の領域に表示させることができる。
【0034】
上記例において、発光体1が有するそれぞれの発光部2の印加電圧は単純にON/OFF以外に、人間の視覚応答速度以上、LEDの応答速度以下の周波数fとすることが好ましい。例えば、印加電圧の周波数fは、100Hz以上1MHz以下であることが好ましい。この範囲であれば、発光体1から放射される光のちらつきを低減できるとともに、消費電力および発熱の増加も抑制でき、その結果、発光体の長寿命化を図ることができる。なお、印加電圧の周波数fを変更することにより、単位時間あたりにおける点灯、消灯の回数が変化する。このため、この駆動方法による制御において、印加電圧の周波数fを変更することにより、それぞれの発光部2および発光体1の輝度を調整することもできる。次に、本実施形態に係る発光体の製造方法を説明する。
【0035】
(発光体の製造方法)
図1、図2に示す発光体1の製造方法を簡単に説明する。発光体1の裏基材12にスイッチング素子10および付随する配線を形成する。裏基材12はガラス、樹脂など、様々な種類の材料を用いることができる。また、スイッチング素子10や配線は真空成膜や印刷によって形成する。次に第2の電極9、第2の半導体層8、第1の半導体層7、第一の電極6、フィルタ5で構成された発光部2を収納するための貫通孔を支持体11に設ける。支持体11はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の一般的な樹脂に、絶縁性および放熱性に優れた無機物質(例えば、Al、MgO、AlN、BN等)が混合されたものを使用することができる。これらの複合材料をシート形状に形成することで、支持体11が得られる。また、支持体11を樹脂以外で形成する場合には、Al、MgO、AlN、BN等を真空成膜して形成することができる。これらの材料は、放熱性に優れ、かつ絶縁性を有するので、発光部2で発生した熱を発光体1の外部に効率よく伝えることができる。その結果、発光体1の昇温を抑制して、耐久性低下を抑制できるので好ましい。次に、前記貫通孔の内側面に反射層14、絶縁層13を順次形成する。絶縁層13の表面の一部には導電層15と第1の電極6とを通電させるための導電層が設けられる。フィルタ5から第2の電極は、それぞれの層がスパッタ法、蒸着法、液相成長法、印刷法、塗布法のいずれかにより作製される。
【0036】
まず、表基材3を準備する。表基材3は、ガラス、樹脂基板、フィルム等様々な種類を用いることができる。柔軟性が必要であれば、例えば、PET(POLYETHYLENE Terephthalate)、PEN(POLYETHYLENE Naphthalate)、PC(Poly Carbonate)、PES(Poly Ether Sulphone)、シロキサン系耐熱材等の樹脂のフィルムや高屈曲性ガラスシート等を用いる。柔軟性が必要なければ、ガラス、樹脂基板を用いる。次に、表基材3の表面に拡散層4、導電層15を成膜する。次に、フィルタ5を導電層15に積層する。フィルタ5の径は、支持体11の貫通孔に収納される大きさに揃える。この後、積層される各層の大きさは、フィルタ5の径と同一である。フィルタ5の製膜は印刷法、塗布法により形成される。
【0037】
次に、フィルタ5に第1の電極6から第2の電極9まで順次形成される。スパッタ法や蒸着法を利用する場合、予めフィルタ5を構成する材料を用いてシート基板を作製し、この基板上に第1の電極6、第1の半導体層7、第2の半導体層8、第2の電極9を順次製膜する。第1の電極6は光学透明性が要求されることから、インジウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体、亜鉛を含む酸化物半導体、チタンを含む酸化物半導体を適宜使用できる。透明導電体であれば特に限定されないが、ITO(インジウムスズ複合酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛複合酸化物)、AZO(アルミニウム亜鉛複合酸化物)、ATO(アンチモンスズ複合酸化物)、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)などが好適に用いられる。
【0038】
次に第1の半導体層7を積層する。第1の半導体層7の形成方法は第1の電極6と同様に、スパッタ法、化学的蒸着法、物理的蒸着法を用いることができる。第1の半導体層7に用いることのできる半導体材料は、特に限定されず、一般的に知られた半導体材料を適宜使用できる。一例として、AlSb、GaSb、GaAs、GaN、GaP、InSb、InAs、InP、AlGaAs、InGaAs、InGaP、AlInAs、AlInSb、GaAsN、GaAsP、AlGaN、AlGaP、InGaN、InAsSb、InGaSb、AlGaInP、AlGaAsP、InGaAsP、AlInAsP、AlGaAsN、InGaAsN、InAlAsN、GaAsSbN、GaInNAsSb、GaInAsSbP、ZnCdSe、CdZnTe、ZnTeSe、GaP(ZnO)、GaAs(Si)、SnTe、ZnO、GaSe、が挙げられる。
【0039】
次に第2半導体層8を積層する。第2の半導体層8の形成方法は前記第1の半導体層7と同様に、スパッタ法、化学的蒸着法、物理的蒸着法を用いることができる。第1の半導体層8に用いることのできる半導体材料は、特に限定されず、一般的に知られた半導体材料を適宜使用できる。一例として、AlSb、GaSb、GaAs、GaN、GaP、InSb、InAs、InP、AlGaAs、InGaAs、InGaP、AlInAs、AlInSb、GaAsN、GaAsP、AlGaN、AlGaP、InGaN、InAsSb、InGaSb、AlGaInP、AlGaAsP、InGaAsP、AlInAsP、AlGaAsN、InGaAsN、InAlAsN、GaAsSbN、GaInNAsSb、GaInAsSbP、ZnCdSe、CdZnTe、ZnTeSe、GaP(ZnO)、GaAs(Si)、SnTe、ZnO、GaSe、が挙げられる。
【0040】
次に第2の電極9を積層する。第2の電極9の形成方法は前記第2の半導体層8と同様に、スパッタ法、化学的蒸着法、物理的蒸着法を用いることができる。第2の電極9に用いることのできる導電材料は、特に限定されず、一般的に知られた導電材料を適宜使用できる。一例として、金、白金、パラジウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、ニオブ、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、などの金属材料や、酸化物半導体が挙げられる。また、第2の電極9はスイッチング素子10と接合するが、そのスイッチング素子10と接合する面は凹凸構造であることが好ましい。凹凸構造であると、その結合面は確実に接合されるとともに、発光体1に応力が加わり変形が生じた場合においても、第2の電極9とスイッチング素子10の接合が剥離せず、確実に接合を保持できる。第2の電極9に形成される凹凸構造は特に限定されないが、好ましくはドット、半球などである。
【0041】
以上の方法によって形成されたシート形状の積層体を、レーザによる切断や金型による打ち抜きにより、支持体11に格納できる径に加工する。成型された発光部2は、予め、支持体11の貫通孔内部に設けられた導電部位と第1の電極6とが接触するように挿入され、更に、フィルタ5と導電層15とが接するように封止され、第2の電極9とスイッチング素子10とが接するように封止される。封止の際、接着剤を用いた封止が好ましく、市販の封止用接着剤を適宜試用できる。
【0042】
一方、第1の電極6から第2の電極9まで印刷法、塗布法によって形成する場合の手順を以下に示す。
【0043】
フィルタ5の表面にインクジェット法、スクリーン法などにより、第1の電極6を形成する。第1の電極6は透明導電体粒子の集合体である。溶剤に透明導電体粒子を分散し、この分散液を印刷に供する。ここで用いられる透明導電体粒子は、インジウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体、亜鉛を含む酸化物半導体、チタンを含む酸化物半導体を適宜使用できる。透明導電体であれば特に限定されないが、ITO(インジウムスズ複合酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛複合酸化物)、AZO(アルミニウム亜鉛複合酸化物)、ATO(アンチモンスズ複合酸化物)、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)などが好適に用いられる。また、前記透明導電体粒子の形状、大きさであるが、形状は球形、無定形が好ましく用いられる。また、粒子の大きさは10nmから50nmが好ましい。粒子サイズが10nm以下の場合、表面活性が上がり過ぎるため、導電性が劣化しやすく信頼性に欠ける。一方、50nm以上の場合、透明導電体粒子間に空隙が生じやすいため、第1の半導体層7との接合が形成しにくい欠点がある。粒子の大きさを10nmから50nmにすることで、第1の電極6と第1の半導体層7とを接合でき、信頼性を十分に確保することができる。
【0044】
次に、第1の電極6上に第1の半導体層7を形成する。この層においても前途のようにインクジェット法、スクリーン法により形成される。この第1の半導体層7に用いられる半導体材料は、前記スパッタ法と同様に、特に限定されず、一般的に知られた半導体材料を適宜使用できる。一例として、AlSb、GaSb、GaAs、GaN、GaP、InSb、InAs、InP、AlGaAs、InGaAs、InGaP、AlInAs、AlInSb、GaAsN、GaAsP、AlGaN、AlGaP、InGaN、InAsSb、InGaSb、AlGaInP、AlGaAsP、InGaAsP、AlInAsP、AlGaAsN、InGaAsN、InAlAsN、GaAsSbN、GaInNAsSb、GaInAsSbP、ZnCdSe、CdZnTe、ZnTeSe、GaP(ZnO)、GaAs(Si)、SnTe、ZnO、GaSe、が挙げられる。これらの半導体材料は、球状または無定形が好ましく、また、粒子サイズは10nmから50nmが好ましい。粒子サイズが10nm以下の場合、酸素の影響を受けやすくなり、半導体特性が劣化しやすくなる。一方、50nm以上の場合、透明導電体粒子間に空隙が生じやすいため、第1の電極6および後述する第2の半導体層8との接合が形成しにくい欠点がある。粒子サイズを10nmから50nmとすることにより、半導体特性の劣化を抑制しつつ、前記接合を確実に形成することができる。
【0045】
次に第2の半導体層8を形成する。この層は第1の半導体層7同一の方法で形成する。したがって、用いられる半導体材料やその材料の形態においても、同一である。なお、第1の半導体層7と第2の半導体層8の接合を強固なものとするため、圧縮や加熱などの処理を別途施すことができる。これらの処理により、第1の半導体層7と第2の半導体層8の界面において、pn接合がより確実に形成され、発光特性に好影響をもたらす。
【0046】
次は、第2の半導体層8に第2の電極9を形成する。第2の電極9においてもインクジェット法、スクリーン法などを利用することができる。前記第2の電極9に用いられる電極材料は特に限定されず、一般的に知られた導電材料を適宜使用できる。一例として、金、白金、パラジウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、ニオブ、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、などの金属材料や、酸化物半導体が挙げられる。また、第2の電極9はスイッチング素子10と接合するが、そのスイッチング素子10と接合する面は凹凸構造であることが好ましい。凹凸構造であると、その結合面は確実に接合されるとともに、発光体1に応力が加わり変形が生じた場合においても、第2の電極9とスイッチング素子10の接合が剥離せず、確実に接合を保持できる。第2の電極9に形成される凹凸構造は特に限定されないが好ましくはドット、半球などの構造である。また、金属材料において、50nm以下の微細粒子を用いることで、アニール処理により金属粒子が融着し、電極の低抵抗化および電極の強度向上に効果が期待できる。
【0047】
以上の方法によって形成されたシート形状の積層体をレーザ切断法や金型による打ち抜きにより、支持体11に格納できる径に加工する。成型された発光部2は、予め、支持体11の貫通孔内部に設けられた導電部位と第1の電極6とが接触するように挿入され、更に、フィルタ5と導電層15とが接するように封止され、第2の電極9とスイッチング素子10とが接するように封止される。封止は、接着剤を用いた封止が好ましく、市販の封止用接着剤を適宜使用できる。
【0048】
本実施形態に係る発光体の製造方法は、前記のように真空製膜による方法や印刷などの方法が示されているが、これらの製造方法に限定されるものではない。すなわち、いかなる方法によっても、同様の構造体を形成することができる。このように、本実施形態に係る発光体の製造方法は、同時に複数の発光部を同一面上に形成することができるので、比較的簡易なプロセス、かつ、比較的安価に発光体を製造することができる。また、本実施形態に係る発光体の製造方法は、半導体層等を形成する対象(基板)の形状または材質に対する自由度が大きい。例えば、柔軟性のあるフィルムに半導体層等を形成したり、曲面に半導体層を形成したりすることができる。その結果、本実施形態に係る発光体の製造方法は、様々な形状または仕様の、面発光する発光体を製造することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 発光体
2 発光部
2a 発光部
2b 発光部
2c 発光部
3 表基材
4 拡散層
5 フィルタ
6 第1の電極
7 第1の半導体層
8 第2の半導体層
9 第2の電極
10 スイッチング素子
11 支持体
12 裏基材
13 絶縁層
14 反射層
15 導電層
20 グラウンド
21 電源
22 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一面上に複数の発光部と、複数の前記発光部それぞれに隣接して設けられて、複数の前記発光部から放出された光が透過することにより特定の発色光を出力する複数のフィルタと、を含む発光体に対して、それぞれの前記発光部の輝度を独立して調整することを特徴とする、発光制御方法。
【請求項2】
前記フィルタは、少なくとも、前記発光部からの放出光に対して青、緑、赤それぞれの色を出力し、かつ、それぞれの前記フィルタは青、緑、赤が順次規則的かつ等間隔に配列されることを特徴とする請求項1に記載の発光制御方法。
【請求項3】
前記フィルタは蛍光体であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光制御方法。
【請求項4】
前記発光部はX−Yの二次元座標系制御方法によって、それぞれ独立して発光が制御されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の発光制御方法。
【請求項5】
前記発光部に印加される電圧の周波数は、100Hz以上1MHz以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の発光制御方法。
【請求項6】
面状支持体の面に対して垂直方向に複数の貫通孔を有し、前記貫通孔にフィルタ、第1の電極、第1の半導体層、第2の半導体層、第2の電極、スイッチング素子の順で積層された積層体が格納された構造を有し、前記積層体内で発生した光が前記フィルタを透過して外部に放射される構造を有することを特徴とする発光体。
【請求項7】
前記フィルタ側に導電層および拡散層を有する基材を配置し、かつ、前記スイッチング素子側に配線が施された基材を配置したことを特徴とする請求項6に記載の発光体。
【請求項8】
前記貫通孔の内面に反射層、絶縁層の順で層が形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の発光体。
【請求項9】
前記貫通孔に設けられた絶縁層とフィルタおよび第1の電極との間に導電層が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の発光体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−212739(P2012−212739A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76878(P2011−76878)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】