説明

発光標識とこれを用いた発光標識表示体

【課題】光透過性蓄光板に埋設した蓄光粒子の蓄光効率と輝度を改善した発光標識とこれを用いた発光標識表示体を提供する。
【解決手段】多数の蓄光粒子1を埋設せる光透過性蓄光板2で形成された発光標識3において、該光透過性蓄光板2の裏面に光反射シート又は光反射板4を貼り合わせた発光標識3と、該発光標識3を表示体10の表面に設けた凹所9′内に嵌装し、上記光透過性蓄光板2を上記凹所9′内において上記光反射シート又は光反射板4でバックアップした発光標識表示体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄光材の発光機能を利用した発光標識と、該発光標識を付設した発光標識表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2は蓄光材を含有する光透過性蓄光板で標識を形成し、該標識を路面材の表面に設けた凹所内に嵌装し、これを歩行者を誘導する路面材、即ち発光標識表示体として用いる思想を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2004−197518号公報
【特許文献2】特許第3580653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記発光標識及び発光標識表示体の蓄光効率と輝度を改善し、表示効果を向上することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る発光標識は多数の蓄光粒子を埋設せる光透過性蓄光板で形成された発光標識において、該光透過性蓄光板の裏面に光反射シート又は光反射板を貼り合わせた構造を有する。
【0006】
又上記発光標識を付設した発光標識表示体は、発光標識を表示体の表面に設けた凹所内に嵌装し、上記光透過性蓄光板を上記凹所内において上記光反射シート又は光反射板でバックアップした構成を有する。
【発明の効果】
【0007】
上記発光標識及び発光標識表示体は、光透過性蓄光板を透過した光を光反射シート又は光反射板にて反射し、該反射光で蓄光粒子の蓄光を促す。
【0008】
又蓄光粒子の発光の一部が上記光反射シート又は光反射板で反射され、該反射光が光透過性蓄光板を透過し外部へ放射される。
【0009】
よって発光標識及び発光標識表示体の蓄光効率と輝度を改善し、表示効果を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図7に基づき説明する。
【0011】
本発明に用いられる蓄光材は蓄光剤を含有する蓄光細片(蓄光粒子)1として市販されている。図1A,Bや図2等に示すように、該蓄光粒子1を光透過性合成樹脂又は光透過性ガラス内に多数埋設し光透過性蓄光板2を形成する。
【0012】
上記光透過性蓄光板2内には上記蓄光粒子1のみを埋設する他、蓄光粒子1と一緒に多数のガラス粒子又はプラスチック粒子6を埋設し、層内に両者1,6を混在せしめる。これらガラス粒子又はプラスチック粒子6には着色を施した粒子を用いることができる。
【0013】
上記光透過性蓄光板2に標識として適合する各種形態を付与し発光標識3を形成する。ここに標識とは表示体10、即ち対象物の表面を装飾する目的のものを含む。
【0014】
上記発光標識3の裏面、即ち光透過性蓄光板2の裏面に光反射シート又は光反射板4を貼り合わせた構造にする。この貼り合わせは接着材を介しての貼り合わせ、又は光透過性蓄光板2の母材の接着性を利用した貼り合わせ構造の何れかを採る。
【0015】
上記光反射シート又は光反射板4は光反射効果を有する金属製又は合成樹脂製のシート又は同反射板であり、図7Aに示すように、単層構造の金属製又は合成樹脂製の光反射シート又は光反射板4を用いるか、図7Bに示すように、光反射シート又は光反射板4′の裏面に別材から成るシート又は板5を貼り合わせた構造のもの、シート又は板5の表面に光反射金属を蒸着又はコーティングし光反射膜4′を形成した複合シート又は複合板を用いる。
【0016】
光反射シート4の好ましい例示として、柔軟性を有する光反射フィルムを用いる。該光反射フィルムとしてはアルミ箔又はステンレス箔等の金属箔、又は合成樹脂フィルムを適用でき、特にアルミ箔が最適である。
【0017】
上記アルミ箔に代表される金属箔は、既述のように単層構造のものを用いるか、又は裏面に別材から成るシート5、適例として紙シート5を貼り合わせる等して複合シートにしたもの、又は紙シート又は合成樹脂フィルム等のシート5の表面にアルミ蒸着等の金属蒸着を施すかコーティングによって光反射膜4′を形成した複合シートから成る光反射シート4を用いる。
【0018】
上記アルミ箔に代表される単層構造の光反射シート4又は上記複合構造の光反射シート4は柔軟性を富有し、該光反射シート4を合成樹脂製の光透過性蓄光板2の裏面に貼り合わせた光透過性蓄光板2は可撓性を有する。
【0019】
図1乃至図6に示すように、上記光反射シート4はその柔軟性を利用し、光透過性蓄光板2の裏面と周囲側面を包囲するように貼り合わせ、該光反射シート4を貼り合わせていない表面を採光面7とし、光透過性蓄光板2の裏面と周囲側面を採光面7から採り入れられた光の反射面とする。
【0020】
次に上記光透過性蓄光板2の製造法の一例について説明し、構造について再述する。
【0021】
図2Aに示すように、発光標識3の外形を成形する凹所9を有する型8を用意し、該凹所9内面に光反射シート又は光反射板4、代表例として光反射シート4を設置する。即ち光反射シート4を凹所9の底面と周囲側面に馴染ませつつ箱形にし密接せしめる。
【0022】
次に図2Bに示すように、上記凹所9内に、即ち光反射シート4の上面に多数の蓄光粒子1とガラス粒子又はプラスチック粒子6を設置する。
【0023】
次に図2Cに示すように、流動性を有する合成樹脂又は同ガラスを上記凹所9内に充填し上記粒子1,6を埋設すると共に、上記光反射シート又は光反射板4に密着(母材接着)せしめ、硬化を待って脱型する。
【0024】
斯くして蓄光粒子1とガラス粒子又はプラスチック粒子6を埋設し、裏面に光反射シート又は光反射板4を貼り合わせ、標識としての外形を付与した発光標識3、即ち光反射シート又は光反射板4でバックアップされた発光標識3を得る。
【0025】
図3に示すように、上記工程において凹所9内に流動性を有する合成樹脂又は同ガラスを充填した後、表面から上記蓄光粒子1とガラス粒子又はプラスチック粒子6を押し込んで埋設することができる。
【0026】
図4に示すように、上記発光標識3を各種表示体10の表面に設けた凹所9′内に嵌装し、上記光透過性蓄光板2を上記凹所9′内において上記光反射シート又は光反射板4でバックアップした構成にする。
【0027】
即ち発光標識3を凹所9′内に嵌め込み、光反射シート又は光反射板4を凹所9′の底面と周囲内側面に接着材を介して接着する。又は発光標識3を螺子やアンカーを用いて凹所9′内底面に取り付け固定する。よって発光標識3を形成する光透過性蓄光板2の裏面と周囲側面が、凹所9′内において光反射シート又は光反射板4でバックアップされた状態を形成する。
【0028】
上記表示体10は、例えば路面舗装板、擁壁ブロック、外壁材、内壁材、置物等であり用途を問わない。又何れもコンクリート又は合成樹脂又は金属又は木質材又は自然石等にて形成でき材質を問わない。
【0029】
図5に示すように、上記発光標識3及び発光標識表示体10は、光透過性蓄光板2を透過した光L1で蓄光粒子1の蓄光を促すと共に、光透過性蓄光板2を透過し光反射シート又は光反射板4にて反射した反射光L2で蓄光粒子1の蓄光を促す。
【0030】
又図6に示すように、夜間に蓄光した蓄光粒子1が発光し、光透過性蓄光板2を透過して外部へ放射すると共に、蓄光粒子1の発光の一部が上記光反射シート又は光反射板4で反射され、該反射光L3が光透過性蓄光板2を透過し外部へ放射される。
【0031】
よって発光標識3及び発光標識表示体10の蓄光効率と輝度を改善し、表示効果を向上することができる。
【0032】
図2は型8を用いて発光標識3を製造する例について説明したが、型8を用いずに、表示体10に設けた凹所9′内において発光標識3を製造することができる。この場合、図2A,B,Cの説明中、型8を表示体10に、又凹所9を凹所9′と読み換える。
【0033】
型8を用いる場合には光反射シート又は光反射板4を凹所9の内面に接着せずに置設したが、表示体10の凹所9′内において発光標識3を形成する場合には、図2Aの工程において光反射シート又は光反射板4を凹所9′の内面に接着し一体にする。
【0034】
上記光反射シート又は光反射板4の反射効果を向上する手段として、皺付き光反射シート4、例えば皺付き金属箔を用い、同様に表面を凹凸地肌にした光反射板又は光反射シート4を用い、光L2,L3の乱反射を活性的に生ずる構成とすることができる。
【0035】
更に本発明の他例として、金属又は合成樹脂等で標識(装飾目的のものを含む)の外形を有するある程度の剛性を有する箱形容器をプレス等で製造し、例えば図1に示す反射板4で箱形容器を形成し、該光反射箱形容器内に図2,図3の説明に従った、蓄光粒子1の入れ込みと、流動性を有する合成樹脂又は同ガラスの充填を行う方法により光透過性蓄光板2を形成することができる。
【0036】
上記金属又は合成樹脂等で標識(装飾目的のものを含む)の外形を有する光反射形容器は光反射板4から成る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】Aは発光標識を表面視する斜視図、Bは発光標識を裏面視し、一部切欠して示す斜視図。
【図2】A,B,Cは発光標識の製造工程、又は発光標識表示体の製造工程を示す断面図。
【図3】発光標識の他の製造例を示す断面図。
【図4】発光標識表示体の断面図。
【図5】発光標識及び発光標識表示体における蓄光粒子の蓄光状態を説明する断面図。
【図6】発光標識及び発光標識表示体における蓄光粒子の発光状態を説明する断面図。
【図7】Aは単層構造の光反射シート又は光反射板を示す断面図、Bは複合構造の光反射シート又は光反射板を示す断面図。
【符号の説明】
【0038】
1…蓄光粒子、2…光透過性蓄光板、3…発光標識、4…光反射シート又は光反射板、4′…光反射シート又は光反射板又は光反射膜、5…別材から成るシート又は板、6…ガラス粒子又はプラスチック粒子、7…採光面、8…型、9…凹所、9′…凹所、10…表示体、L1…光、L2,L3…反射光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の蓄光粒子を埋設せる光透過性蓄光板で形成された発光標識において、該光透過性蓄光板の裏面に光反射シート又は光反射板を貼り合わせたことを特徴とする発光標識。
【請求項2】
多数の蓄光粒子を埋設せる光透過性蓄光板で形成された発光標識において、該光透過性蓄光板の裏面に光反射シート又は光反射板を貼り合わせた発光標識を形成し、該発光標識を表示体の表面に設けた凹所内に嵌装し、上記光透過性蓄光板を上記凹所内において上記光反射シート又は光反射板でバックアップしたことを特徴とする発光標識表示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−127802(P2008−127802A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312067(P2006−312067)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(506386538)
【出願人】(500571756)
【Fターム(参考)】