説明

発光素子及び該発光素子を用いたバックライト装置

【課題】発光層からの第1の波長の光を吸収して、第2の波長の光を放射する蛍光体を含む蛍光体層を備えた発光素子において、発光素子の発光効率を向上させる。
【解決手段】複数の波長の光が出射される発光素子100において、基板101上に設けられ、第1の波長の光を放射する発光層103aを含む第1の半導体層103Aと、第1の半導体層103A上に設けられ、発光層103aからの第1の波長の光を吸収して第2の波長の光を放射する第1の蛍光体を含む第1の蛍光体層108aとを有する第1の発光素子部100Gaを備え、第1の半導体層103Aと第1の蛍光体層108aとの間に、第1反射膜107aが設けられ、第1反射膜107aは、第1の波長の光を透過する一方、第2の波長の光を反射するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の波長の光が出射される発光素子に関し、特に、バックライト光源用の発光素子、該発光素子を用いたバックライト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、照明器具、又は液晶表示装置のバックライト光源等の低消費電力化のために、半導体を用いた発光ダイオード(LED)が盛んに研究されている。その中でも特に、例えば窒化物半導体等のワイドバンドギャップ半導体を用いた発光ダイオードは、紫外光を放射する、又は青色光を放射することができるため、白色光を出射する白色発光素子の光源として盛んに開発されている。紫外光を放射する発光ダイオード(以下、「紫外発光ダイオード」と称す)、又は青色光を放射する発光ダイオード(以下、「青色発光ダイオード」と称す)等を用いて、白色発光素子の光源を実現する構成としては、主に、以下に示す(1)〜(3)の構成が挙げられる。
(1)青色発光ダイオードと黄色蛍光体とを組み合わせた構成
(2)紫外発光ダイオードと青色、緑色、及び赤色蛍光体とを組み合わせた構成
(3)青色、緑色、及び赤色発光ダイオードを組み合わせた構成
上記(1)〜(3)の構成において、(1)の構成では演色性が悪いという問題があるものの、(2)の構成では発光効率が低い、(3)の構成ではコストが高いという問題があるため、現在のところ(1)の構成が主流となっている。
【0003】
(1)の構成を有する白色発光素子として、以下に示す従来の発光素子が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
従来の発光素子では、青色発光ダイオードが、凹部を有する樹脂成型体の凹部底面に配置され、黄色蛍光体として例えばYAG蛍光体を含む透明樹脂が、青色発光ダイオードを覆うように塗布・硬化されている。青色発光ダイオードから放射される青色光と、YAG蛍光体から放射される黄色光とが混ざりあった光、即ち、白色光が、発光素子から出射される。
【0005】
しかしながら、従来の発光素子では、透明樹脂中の蛍光体の均一性、蛍光体を含む透明樹脂の塗布量、青色発光ダイオード上に塗布・硬化された透明樹脂の分布等を制御することが難しく、各発光素子毎に色調が異なる等の問題がある。
【0006】
このような問題に対して、以下に示す従来技術の発光素子が提案されている(例えば特許文献2,3参照)。
【0007】
従来技術の発光素子では、塗布、蒸着、スパッタリング等の半導体技術を用いて、蛍光体を主に含む蛍光体膜(又は蛍光体からなる蛍光体膜)が、発光ダイオード上に形成されている。このように、従来技術では、従来のように蛍光体を含む透明樹脂ではなく、蛍光体を主に含む蛍光体膜(又は蛍光体からなる蛍光体膜)を実現することで、各発光素子毎に色調が異なることを防止する。
【0008】
以下に、従来技術の発光素子の製造方法について、図16を参照しながら説明する。図16は、従来技術の発光素子の製造方法について示す断面図である。
【0009】
まず、図16に示すように、エピタキシャル成長により、基板601上に、複数の半導体層が積層されたエピタキシャル層602を形成する。その後、エピタキシャル層602のうち不要な部分を除去して、エピタキシャル層602に凹部Cを形成する。これにより、凹部内に、エピタキシャル層602を構成する複数の半導体層のうち下側に位置する半導体層(以下、「下側半導体層」と称す)の上面を露出させる。
【0010】
次に、塗布、蒸着、又はスパッタリング等の半導体技術を用いて、基板601の下面(即ち、エピタキシャル層602の形成面と反対側の面)に蛍光体を主に含む蛍光体膜(又は蛍光体からなる蛍光体膜)603aを形成する。
【0011】
次に、塗布、蒸着、又はスパッタリング等の半導体技術を用いて、エピタキシャル層602上に、凹部C内を埋め込むように、蛍光体を主に含む蛍光体膜(又は蛍光体からなる蛍光体膜)603bを形成する。その後、蛍光体層603bのうち不要な部分を除去して、蛍光体層603bに第1凹部Ca及び第2凹部Cbを形成する。これにより、第1凹部Ca内に、エピタキシャル層602の上面を露出させる。一方、第2凹部Cb内に、下側半導体層の上面を露出させる。
【0012】
次に、スパッタリング、又は蒸着により、第1凹部Ca内に露出するエピタキシャル層602の上面に、第1電極604を形成すると共に、第2凹部Cb内に露出する下側半導体層の上面に、第2電極605を形成する。
【0013】
次に、複数のLEDチップ(発光素子)が組み合わされて構成されたLEDウェハ600を、切断面606において切断することで、各LEDチップに個片化する。
【0014】
このようにして、従来技術の発光素子を製造する。
【0015】
このように、従来技術の発光素子では、各発光素子毎に色調が異なることを防止するために、半導体技術を用いて、蛍光体を主に含む蛍光体膜(又は蛍光体からなる蛍光体膜)603a,603bを形成する。
【特許文献1】特開2002−118293号公報
【特許文献2】特開2005−332857号公報
【特許文献3】特開2005−332858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来技術の発光素子では、以下に示す問題がある。
【0017】
半導体技術を用いて形成された蛍光体膜は、膜厚が薄い。そのため、エピタキシャル層に含まれる発光層から放射された光が、蛍光体膜内を通過する距離が短いため、蛍光体膜中の蛍光体に吸収されて変換される光量が少ない。このように、従来技術では、蛍光体膜における光の変換効率が低いため、蛍光体膜から放射される蛍光の光量が少なく、発光素子の発光効率が低いという問題がある。この問題を解決するために、蛍光体膜を厚くすることが考えられるが、半導体技術を用いる限り、蛍光体膜の厚膜化には限界がある。
【0018】
前記に鑑み、本発明の目的は、発光層からの第1の波長の光を吸収して、第2の波長の光を放射する蛍光体を含む蛍光体層を備えた発光素子において、発光素子の発光効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の目的を達成するため、本発明に係る発光素子は、複数の波長の光が出射される発光素子において、基板上に設けられ、第1の波長の光を放射する発光層を含む第1の半導体層と、第1の半導体層上に設けられ、発光層からの第1の波長の光を吸収して第2の波長の光を放射する第1の蛍光体を含む第1の蛍光体層とを有する第1の発光素子部を備え、第1の半導体層と第1の蛍光体層との間に、第1反射膜が設けられ、第1反射膜は、第1の波長の光を透過し、第2の波長の光を反射するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る発光素子によると、第1の蛍光体層中の第1の蛍光体から放射された第2の波長の光のうち、上方に放射された第2の波長の光を、発光素子の外部に出射させるだけでなく、下方に放射された第2の波長の光を、第1反射膜で反射させて、発光素子の外部に出射させることができる。即ち、下方に放射された第2の波長の光を、第1の半導体層に吸収させることなく、発光素子の外部に出射させることができる。従って、第1の蛍光体から放射された第2の波長の光を、発光素子の外部に効率良く出射させて、発光素子の発光効率を向上させることができる。
【0021】
本発明に係る発光素子において、第1の発光素子部は、第1の蛍光体層上に設けられた第2反射膜をさらに備え、第1の蛍光体層は、第1反射膜と第2反射膜との間に挟み込まれ、第2反射膜は、第1の波長の光を反射し、第2の波長の光を透過するように構成されていることが好ましく、さらに、第1の半導体層と第1反射膜との間に、透明電極が設けられ、透明電極上に、第1電極が設けられ、基板の下面に、第2電極が設けられ、第2電極は、第1の波長の光を反射するように構成されていることが好ましい。
【0022】
このようにすると、発光層から放射された第1の波長の光を、第2電極と第2反射膜間で多重反射させることができる。そのため、第1の蛍光体層において、第1の波長の光を第2の波長の光に効率良く変換させる(即ち、第1の蛍光体層における光の変換効率を高める)ことができる。従って、発光素子の発光効率をさらに向上させることができる。
【0023】
本発明に係る発光素子において、第1の発光素子部は、第1の蛍光体層上に設けられた第2反射膜と、基板と第1の半導体層との間に設けられた第3反射膜とをさらに備え、第1の蛍光体層は、第1反射膜と第2反射膜との間に挟み込まれ、第2反射膜は、第1の波長の光を反射し、第2の波長の光を透過するように構成され、第3反射膜は、第1の波長の光を反射するように構成されていることが好ましい。
【0024】
このようにすると、発光層から放射された第1の波長の光を、第3反射膜と第2反射膜間で多重反射させることができる。そのため、第1の蛍光体層において、第1の波長の光を第2の波長の光に効率良く変換させる(即ち、第1の蛍光体層における光の変換効率を高める)ことができる。従って、発光素子の発光効率をさらに向上させることができる。
【0025】
本発明に係る発光素子において、第1の半導体層と第1反射膜との間に、透明電極が設けられ、透明電極上に、第1電極が設けられ、第1の半導体層における第1半導体層上に、第2電極が設けられていることが好ましい。
【0026】
本発明に係る発光素子において、基板は、絶縁性の基板であることが好ましい。
【0027】
本発明に係る発光素子において、第1反射膜は、第1誘電体膜と第2誘電体膜とが交互に繰り返し積層されていることが好ましい。
【0028】
本発明に係る発光素子において、第1の波長の光の波長は、430nm以上であって且つ500nm以下であり、第1反射膜は、500nm以下の光を透過し、500nm以上の光を反射するように構成され、第1誘電体膜は、TiO2からなり、第2誘電体膜は、SiO2からなることが好ましい。
【0029】
このように誘電体膜を多層に積層することにより、所望の反射特性を持つ第1反射膜を容易に実現できる。
【0030】
本発明に係る発光素子において、第1反射膜は、第1誘電体膜と第2誘電体膜とが交互に繰り返し積層された第1誘電体多層膜と、該第1誘電体多層膜上に形成され、第3誘電体膜と第4誘電体膜とが交互に繰り返し積層された第2誘電体多層膜とを含むことが好ましい。
【0031】
本発明に係る発光素子において、第1の波長の光の波長は、430nm以下であり、第1反射膜は、430nm以下の光を透過し、430nm以上の光を反射するように構成され、第1誘電体膜及び第3誘電体膜は、Ta25からなり、第2誘電体膜及び第4誘電体膜は、MgF2からなり、第1誘電体膜と第3誘電体膜とは、互いに異なる膜厚を有し、第2誘電体膜と第4誘電体膜とは、互いに異なる膜厚を有していることが好ましい。
【0032】
このように誘電体膜を多層に積層することにより、所望の反射特性を持つ第1反射膜を容易に実現できる。
【0033】
本発明に係る発光素子において、第2反射膜は、第1誘電体膜と第2誘電体膜とが交互に繰り返し積層されていることが好ましい。
【0034】
本発明に係る発光素子において、第1の蛍光体層は、第1の蛍光体と透明樹脂とからなることが好ましい。
【0035】
本発明に係る発光素子において、基板上に設けられ、第1の波長の光を放射する発光層を含む第2の半導体層と、第2の半導体層上に設けられ、発光層からの第1の波長の光を吸収して第3の波長の光を放射する第2の蛍光体を含む第2の蛍光体層とを有する第2の発光素子部をさらに備え、第1の蛍光体と第2の蛍光体とは、互いに異なる材料からなり、第2の半導体層と第2の蛍光体層との間には、第1反射膜が設けられ、第1反射膜は、第1の波長の光を透過し、第2の波長の光及び第3の波長の光を反射するように構成されていることが好ましい。
【0036】
このようにすると、第2の蛍光体層中の第2の蛍光体から放射された第3の波長の光のうち、上方に放射された第3の波長の光を、発光素子の外部に出射させるだけでなく、下方に放射された第3の波長の光を、第1反射膜で反射させて、発光素子の外部に出射させることができるため、第2の蛍光体から放射された第3の波長の光を、発光素子の外部に効率良く出射させることができる。
【0037】
従って、第1の発光素子部から発光素子の外部に効率良く出射された第2の波長の光と、第2の発光素子部から発光素子の外部に効率良く出射された第3の波長の光とを混ぜ合わせることができるため、発光素子の演色性を良くすることができる。
【0038】
本発明に係る発光素子において、第1の発光素子部と第2の発光素子部とが、互いに隣り合うように配置され、第1の発光素子部に含まれる発光層と、第2の発光素子部に含まれる発光層とは、隣り合う発光層間に設けられた分離溝により互いに分離され、第1の半導体層上に形成された透明電極上に、第1電極が設けられ、第2の半導体層上に形成された透明電極上に、第1電極が設けられていることが好ましい。
【0039】
本発明に係る発光素子において、基板上に設けられ、第1の波長の光を放射する発光層を含む第3の半導体層からなる第3の発光素子部をさらに備えていることが好ましい。
【0040】
このようにすると、第3の発光素子部から発光素子の外部に出射された第1の波長の光と、第1の発光素子部から発光素子の外部に効率良く出射された第2の波長の光とを混ぜ合わせることができるため、発光素子の演色性を良くすることができる。
【0041】
本発明に係る発光素子において、第1の発光素子部と第3の発光素子部とが、互いに隣り合うように配置され、第1の発光素子部に含まれる発光層と、第3の発光素子部に含まれる発光層とは、隣り合う発光層間に設けられた分離溝により互いに分離され、第1の半導体層上に形成された透明電極上に、第1電極が設けられ、第3の半導体層上に形成された透明電極上に、第1電極が設けられていることが好ましい。
【0042】
前記の目的を達成するために、本発明に係るバックライト装置は、本発明に係る発光素子と、発光素子用駆動電源を供給するドライバーとを備え、複数の発光素子のそれぞれが、同一の配線を介して、ドライバーと直列又は並列に接続していることを特徴とする。
【0043】
本発明に係るバックライト装置によると、発光効率を向上させた発光素子が搭載されているため、演色性の良いバックライト装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明に係る発光素子によると、第1の発光素子部において、第1の半導体層と第1の蛍光体層との間に、第1反射膜を設けることにより、第1反射膜の反射を利用して、第2の波長の光を発光素子の外部に効率良く出射させることができるため、発光素子の発光効率を向上させると共に、発光素子の演色性を良くすることができる。
【0045】
さらに、第1の発光素子部において、第2電極を第1の波長の光を反射させるように構成する(又は基板と第1の半導体層との間に第3反射膜を設ける)と共に、第1の蛍光体層上に第2反射膜を設けることにより、第2電極と第2反射膜間の多重反射(又は第3反射膜と第2反射膜間の多重反射)を利用して、第2の波長の光を発光素子の外部にさらに効率良く出射させることができるため、発光素子の発光効率をさらに向上させると共に、発光素子の演色性をさらに良くすることができる。
【0046】
本発明に係るバックライト装置によると、発光効率が向上し、且つ演色性の良い発光素子が搭載されているため、演色性の良いバックライト装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0048】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る発光素子について、図1(a) 〜(c) 、図2(a) 〜(b) 、図3、図4、図5、図6(a) 〜(d) 、及び図7(a) 〜(d) を参照しながら説明する。
【0049】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る発光素子の構成について、図1(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図1(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る発光素子の構成について示す図であり、具体的には、図1(a) は平面図であり、図1(b) は図1(a) 中に示すIb-Ib線における断面図であり、図1(c) は図1(a) 中に示すIc-Ic線における断面図である。
【0050】
本実施形態に係る発光素子100は、図1(a) に示すように、緑色光を出射する第1の発光素子部100Gaと、赤色光を出射する第2の発光素子部100Rと、青色光を出射する第3の発光素子部100Bと、緑色光を出射する第1の発光素子部100Gbとからなる。
【0051】
第1の発光素子部100Ga、及び第2の発光素子部100Rの構成について、図1(b) を参照しながら説明する。
【0052】
第1の発光素子部100Gaと第2の発光素子部100Rとは、図1(b) に示すように、それらの間に設けられた分離溝R12により、互いに分離されている。
【0053】
<第1の発光素子部>
第1の発光素子部100Gaは、図1(b) に示すように、基板101上に設けられ、青色光(第1の波長の光)を放射する発光層103aを含む第1の半導体層103Aと、第1の半導体層103A上に設けられ、発光層103aからの青色光を吸収して緑色光(第2の波長の光)を放射する緑色蛍光体(第1の蛍光体)を含む第1の蛍光体層108aとを有する。第1の半導体層103Aと第1の蛍光体層108aとの間には、第1反射膜107aが設けられている。なお、第1の半導体層103Aは、第1半導体層102aと、発光層103aと、第2半導体層104aとからなる。
【0054】
第1の半導体層103Aと第1反射膜107aとの間には、透明電極105aが設けられ、該透明電極105a上には、第1電極106aが設けられている。一方、基板101の下面(ここで、「下面」とは、第1の半導体層103Aの形成面と反対側の面をいう)には、第2電極111が設けられている。
【0055】
ここで、発光層103aは、注入されたキャリアを、例えばピーク波長が470nmで波長範囲が430nm〜500nmの青色光に変換し放射する。第1の蛍光体層108aは、発光層103aからの青色光を吸収して、例えば500nm〜600nmの緑色光を放射する。第1反射膜107aは、青色光を透過する一方、緑色光を反射するように構成されている。
【0056】
<第2の発光素子部>
第2の発光素子部100Rは、図1(b) に示すように、基板101上に設けられ、青色光を放射する発光層103bを含む第2の半導体層103Bと、第2の半導体層103B上に設けられ、発光層103bからの青色光(第1の波長の光)を吸収して赤色光(第3の波長の光)を放射する赤色蛍光体(第2の蛍光体)を含む第2の蛍光体層109bとを有する。第2の半導体層103Bと第2の蛍光体層109bとの間には、第1反射膜107bが設けられている。なお、第2の半導体層103Bは、第1半導体層102bと、発光層103bと、第2半導体層104bとからなる。
【0057】
第2の半導体層103Bと第1反射膜107bとの間には、透明電極105bが設けられ、該透明電極105b上には、第1電極106bが設けられている。一方、基板101の下面には、第2電極111が設けられている。
【0058】
ここで、第1の発光素子部100Gaと第2の発光素子部100Rとの相違点は、次に示す点である。第2の蛍光体層109bは、発光層103bからの青色光を吸収して例えば600nm〜700nmの赤色光を放射する点に対し、第1の蛍光体層108aは、発光層103aからの青色光を吸収して例えば500nm〜600nmの緑色光を放射する点である。なお、この点以外については、第1の発光素子部100Gaと第2の発光素子部100Rとは同一の構成である。
【0059】
第3の発光素子部100B、及び第1の発光素子部100Gbの構成について、図1(c) を参照しながら説明する。
【0060】
第3の発光素子部100Bと第1の発光素子部100Gbとは、図1(c) に示すように、それらの間に設けられた分離溝R31により、互いに分離されている。
【0061】
<第3の発光素子部>
第3の発光素子部100Bは、図1(c) に示すように、基板101上に設けられ、青色光を放射する発光層103cを含む第3の半導体層103Cからなる。なお、第3の半導体層103Cは、第1半導体層102cと、発光層103cと、第2半導体層104cとからなる。
【0062】
第3の半導体層103C上には透明電極105cが設けられ、該透明電極105c上には第1電極106cが設けられている。一方、基板101の下面には、第2電極111が設けられている。
【0063】
ここで、第1の発光素子部100Gaと第3の発光素子部100Bとの相違点は、次に示す点である。第1の発光素子部100Gaは、第3の発光素子部100Bと同一の構成要素に加えて、さらに、第1反射膜107aと、第1の蛍光体層108aとを備えている点である。なお、この点以外については、第1の発光素子部100Gaと第3の発光素子部100Bとは同一の構成である。
【0064】
<第1の発光素子部>
第1の発光素子部100Gbは、第1の発光素子部100Gaと同一の構成である。
【0065】
即ち、第1の発光素子部100Gbは、図1(c) に示すように、基板101上に設けられ、青色光を放射する発光層103dを含む第1の半導体層103Dと、第1の半導体層103D上に設けられ、発光層103dからの青色光を吸収して緑色光を放射する緑色蛍光体を含む第1の蛍光体層108dとを有する。第1の半導体層103Dと第1の蛍光体層108dとの間には、第1反射膜107dが設けられている。第1の半導体層103Dと第1反射膜107dとの間には、透明電極105dが設けられ、該透明電極105d上には、第1電極106dが設けられている。一方、基板101の下面には、第2電極111が設けられている。なお、第1の半導体層103Dは、第1半導体層102dと、発光層103dと、第2半導体層104dとからなる。
【0066】
発光素子100を構成する各構成要素について、以下に説明する。
【0067】
−第1,第2の蛍光体層−
第1の蛍光体層108a,108dは、透明樹脂中に緑色蛍光体を含む層である。ここで、緑色蛍光体の具体例としては、例えばEuを付加したβサイアロン結晶の粒子が挙げられる。
【0068】
一方、第2の蛍光体層109bは、透明樹脂中に赤色蛍光体を含む層である。ここで、赤色蛍光体の具体例としては、例えばEuを付加したCaAlSiN3の粒子が挙げられる。
【0069】
−第1反射膜−
第1反射膜107a,107b,107dとしては、特定の波長範囲の光を透過し、それ以外の特定の波長範囲の光を反射する波長フィルターが用いられることが好ましく、さらに、例えば500nm以下の光を透過し、500nm以上の光を反射する波長フィルターが用いられることが好ましい。このような波長フィルターの構成としては、例えばTiO2からなる第1誘電体膜と、例えばSiO2からなる第2誘電体膜とが、交互に繰り返し積層された構成が挙げられる(後述の図2(a) 参照)。
【0070】
−基板−
基板101は、例えば炭化シリコン(SiC)で構成される。
【0071】
−第1半導体層,発光層,第2半導体層−
第1半導体層102a〜102d、及び第2半導体層104a〜104dは、例えばAlGaInN系材料で構成される。発光層103a〜103dは、例えばInxGa1-xNからなる井戸層とGaNからなる障壁層とが交互に繰り返し積層された多重量子井戸構造である。
【0072】
以上のように、第1〜第3の発光素子部のうち第3の発光素子部100Bを除く第1,第2,第1の発光素子部100Ga,100R,100Gbが、第1反射膜107a,107b,107dと、第1,第2,第1の蛍光体層108a,109b,108dとをさらに備えている。第1の発光素子部100Ga,100Gbと第2の発光素子部100Rとにおいて、第1反射膜107a,107dと第1反射膜107bとは、互いに同じ構成である一方、第1の蛍光体層108a,108dと第2の蛍光体層109bとは、互いに異なる構成である。
【0073】
以下に、本発明の特徴部である第1反射膜107aの構成について、図2(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図2(a) は、第1反射膜の構成について示す拡大断面図である。図2(b) は、第1反射膜の透過スペクトル、及び反射スペクトルを示すグラフである。なお、以下の説明では、第1反射膜107aを具体例に挙げて説明するが、第1反射膜107b,107dについても、第1反射膜107aと同様である。
【0074】
図2(a) に示すように、第1反射膜107aは、例えばTiO2からなる膜厚が60nmの第1誘電体膜107a1と、例えばSiO2からなる膜厚が100nmの第2誘電体膜107a2とが交互に繰り返し積層されている。
【0075】
ここで、第1反射膜107aを構成する第1,第2誘電体膜107a1,107a2の材料、屈折率、及び膜厚について、以下に示す[表1]に記す。
【0076】
【表1】

【0077】
図2(b) に示すように、波長が約500nmにおいて、透過率の強度と反射率の強度とが反転し、第1反射膜107aは、300nm〜500nmの光を透過し、500nm〜700nmの光を反射することが判る。このように、誘電体膜を多層に積層することにより、所望の反射特性を持つ第1反射膜107aを容易に実現できる。
【0078】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る発光素子100の外部に各光が出射されるメカニズムについて、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る発光素子の外部に各光が出射されるメカニズムを模式的に示す図である。なお、図3に示す断面図は、図1(c) に示す断面図と同一の断面図である。
【0079】
第3の発光素子部100Bから青色光が出射されるメカニズムについて、以下に説明する。
【0080】
<第3の発光素子部>
まず、第1電極106c及び第2電極111に所定の電力を加えることにより、透明電極105cを介して、発光層103cにキャリアが注入され、発光層103cから青色の発光光が放射される。発光層103cから放射された青色の発光光150は、透明電極105cを透過し、発光素子100の外部に青色光として出射される。
【0081】
第1の発光素子部100Gbから緑色光が出射されるメカニズムについて、以下に説明する。
【0082】
<第1の発光素子部>
まず、第1電極106d及び第2電極111に所定の電力を加えることにより、透明電極105dを介して、発光層103dにキャリアが注入され、発光層103dから青色の発光光が放射される。発光層103dから放射された青色の発光光160は、透明電極105d及び第1反射膜107dを透過し、第1の蛍光体層108dに入射する。
【0083】
第1の蛍光体層108dに入射された青色の発光光160は、第1の蛍光体層108d中の緑色蛍光体に吸収され、緑色の蛍光に変換されて、緑色の蛍光が上方及び下方に放射される。即ち、第1の蛍光体層108d中の緑色蛍光体が、発光層103dからの青色の発光光を吸収して、緑色の蛍光を発光する。
【0084】
上方に放射された緑色の蛍光161aは、発光素子100の外部に緑色光として出射される。一方、下方に放射された緑色の蛍光161bは、第1反射膜107dで反射されて、発光素子100の外部に緑色光として出射される。
【0085】
このように、第1の蛍光体層108d中の緑色蛍光体から放射された緑色の蛍光161a,161bのうち、上方に放射された緑色の蛍光161aを、発光素子100の外部に緑色光として出射させるだけでなく、下方に放射された緑色の蛍光161bを、第1反射膜107dで反射させて、発光素子100の外部に緑色光として出射させることができる、即ち、緑色の蛍光161bを、第1の半導体層103Dに吸収させることなく、発光素子100の外部に出射させることができる。従って、緑色光を、発光素子100の外部に効率良く出射させることができる。
【0086】
なお、第1の発光素子部(図1(b):100Ga参照)は、既述の通り、第1の発光素子部100Gbと同一の構成であるため、第1の発光素子部100Gbと同一の効果、即ち、緑色光を、発光素子100の外部に効率良く出射させることができる。
【0087】
一方、第2の発光素子部(図1(b):100R参照)は、既述の通り、第1の蛍光体層108dと第2の蛍光体層(図1(b):109b参照)との構成が異なる点以外は、第1の発光素子部100Gbと同一の構成であるため、第1の発光素子部100Gbと同様の効果、即ち、赤色光を、発光素子100の外部に効率良く出射させることができる。
【0088】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る発光素子100の発光スペクトルについて、図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る発光素子の発光スペクトルを示すグラフである。
【0089】
図4に示すように、第3の発光素子部100Bから青色光Bが出射され、第1の発光素子部100Ga,100Gbから緑色光Gが出射され、第2の発光素子部100Rから赤色光Rが出射される。これにより、青色光Bと、緑色光Gと、赤色光Rとが混ざり合った光、即ち、白色光が、発光素子100から出射される。
【0090】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る発光素子100が実装されるパッケージの構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る発光素子が実装されるパッケージの構成について示す平面図であり、具体的には、発光素子側から見た平面図である。
【0091】
図5に示すように、パッケージ180は、リード線190a〜190dと、グランド線190eとを有する。パッケージ180の中央部には、発光素子100が固定されている。
【0092】
第1電極106a〜106dのそれぞれは、各ワイヤを介して、リード線190a〜190dのそれぞれと電気的に接続している。このように各リード線190a〜190dを互いに独立して設けることにより、各リード線190a〜190dから各第1電極106a〜106dに電力を注入することができるため、各発光層103a〜103dに供給される電流量を、互いに独立に制御することができる。
【0093】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る発光素子の製造方法について、図6(a) 〜(d) 及び図7(a) 〜(d) を参照しながら説明する。図6(a) 〜図7(d) は、本発明の第1の実施形態に係る発光素子の製造方法について示す要部工程断面図である。なお、第1の発光素子部100Gaの作製方法と第1の発光素子部100Gbの作製方法とは、互いに同一であるため、以下の説明では、第1の発光素子部100Gaを除いた第3の発光素子部100B、第1の発光素子部100Gb、及び第2の発光素子部100Rの作製方法について説明する。なお、図7(d) に示す断面図は、図1(a) 中に示すVIId-VIId線における断面図である。
【0094】
まず、図6(a) に示すように、エピタキシャル成長により、例えばSiCからなる基板101上に、例えばn型GaNからなる第1半導体層、例えばInxGa1-xNからなる井戸層とGaNからなる障壁層とが交互に繰り返し積層された多重量子井戸構造の発光層、及び例えばp型GaNからなる第2半導体層を順次形成する。
【0095】
続いて、例えばドライエッチング等により、第1半導体層、発光層、及び第2半導体層中に、第3の発光素子部領域100bと第1の発光素子部領域100gbとを区画するように分離溝R31を設けると共に、第1の発光素子部領域100gbと第2の発光素子部領域100rとを区画するように分離溝R12を設ける。このようにして、基板101上に、第3の半導体層103C、第1の半導体層103D、及び第2の半導体層103Bを形成する。
【0096】
続いて、フォトリソグラフィーにより、第3,第1,第2の半導体層103C,103D,103B上に、透明電極105c,105d,105bを形成する。続いて、フォトリソグラフィーにより、透明電極105c,105d,105b上に、第1電極106c,106d,106bを形成する。
【0097】
次に、図6(b) に示すように、例えばスパッタ又は蒸着により、基板101上に、例えばSiO2からなる第1誘電体膜と、例えばTiO2からなる第2誘電体膜とが交互に繰り返し積層されてなる誘電体多層膜107を形成する。
【0098】
次に、図6(c) に示すように、例えばフォトリソグラフィーにより、誘電体多層膜107の不要な部分を除去して、透明電極105d上に第1反射膜107dを形成すると共に、透明電極105b上に第1反射膜107bを形成する。
【0099】
次に、図6(d) に示すように、半導体技術として例えば塗布を用いて、基板101上に、例えばアクリル樹脂中に緑色蛍光体としてEuを付加したβサイアロン結晶の粒子を含む第1の蛍光体含有樹脂108を形成する。
【0100】
次に、図7(a) に示すように、例えばフォトリソグラフィーにより、第1の蛍光体含有樹脂108の不要な部分を除去した後、例えば加熱等により、残存する第1の蛍光体含有樹脂を硬化させて、第1反射膜107d上に第1の蛍光体層108dを形成する。
【0101】
次に、図7(b) に示すように、半導体技術として例えば塗布を用いて、基板101上に、例えばアクリル樹脂中に赤色蛍光体としてEuを付加したCaAlSiN3の粒子を含む第2の蛍光体含有樹脂109を塗布する。
【0102】
次に、図7(c) に示すように、例えばフォトリソグラフィーにより、第2の蛍光体含有樹脂109の不要な部分を除去した後、例えば加熱等により、残存する第2の蛍光体含有樹脂を硬化させて、第1反射膜107b上に第2の蛍光体層109bを形成する。
【0103】
次に、図7(d) に示すように、例えば蒸着等により、基板101の下面に、例えば金属からなる第2電極111を形成する。
【0104】
以上のようにして、本実施形態に係る発光素子100、即ち、第3の発光素子部100Bからの青色光と、第1の発光素子部100Ga,100Gbからの緑色光と、第2の発光素子部100Rからの赤色光とが混ざり合った光(即ち、白色光)を出射する発光素子100を製造することができる。このようにして製造された発光素子100は、例えばパッケージ(前述の図5:180参照)上に実装される。
【0105】
本実施形態によると、第1の発光素子部100Ga,100Gbにおいて、第1の半導体層103A,103Dと第1の蛍光体層108a,108dとの間に、第1反射膜107a,107dを設けることにより、第1反射膜107a,107dの反射を利用して、緑色光を発光素子100の外部に効率良く出射させることができる。
【0106】
第2の発光素子部100Rにおいて、第2の半導体層103Bと第2の蛍光体層109bとの間に、第1反射膜107bを設けることにより、第1反射膜107bの反射を利用して、赤色光を発光素子100の外部に効率良く出射させることができる。
【0107】
従って、第1の発光素子部100Ga,100Gbから効率良く出射された緑色光と、第2の発光素子部100Rから効率良く出射された赤色光と、第3の発光素子部100Bから出射された青色光とを組み合わせることができるので、発光素子100の演色性を良くすることができる。
【0108】
加えて、半導体技術を用いて、第1の蛍光体層(図6(d) 〜図7(a) 参照)、及び第2の蛍光体層(図7(b) 〜(c) 参照)を形成するため、第1,第2の蛍光体層を精度良く形成することができるので、発光素子100毎に色調が異なることを防止できる。
【0109】
さらに、各リード線190a〜190dを互いに独立して設けることにより、各リード190a〜190dから各第1電極106a〜106dに電力を注入することができるため、各発光層103a〜103dに供給される電流量を調整して、各発光層103a〜103dから放射される青色光量を制御することができる。そのため、第1の発光素子部100Ga,100Gbから出射される緑色光量、第2の発光素子部100Rから出射される赤色光量、及び第3の発光素子部100Bから出射される青色光量のそれぞれを、互いに独立に制御して、発光素子100の演色性をさらに良くすることができる。
【0110】
また、第1の蛍光体層108a,108d中の緑色蛍光体、及び第2の蛍光体層109b中の赤色蛍光体が経時的に劣化することがあっても、この経時的な劣化に基づいて、各リード190a〜190dから各第1電極106a〜106dに注入される電力量を調整することにより、緑色蛍光体の劣化、及び赤色蛍光体の劣化による演色性の悪化を容易に補正することができる。
【0111】
なお、本実施形態では、人間の視感度に合わせて、発光素子における緑色光が出射される領域を、赤色光が出射される領域、及び青色光が出射される領域よりも拡げることを目的に、図1(a) に示すように、平面形状の面積が互いに同じ第1の発光素子部100Ga,100Gb、第2の発光素子部100R、及び第3の発光素子部100Bを用いて、緑色光を出射する第1の発光素子部100Ga,100Gbの数を2とし、一方、赤色光を出射する第2の発光素子部100Rの数、及び青色光を出射する第3の発光素子部100Bの数を1とした場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0112】
例えば、緑色光を出射する発光素子部の平面形状の面積を、赤色光を出射する発光素子部の平面形状の面積(=青色光を出射する発光素子部の平面形状の面積)の2倍にすることで、発光素子における緑色光が出射される領域を、赤色光が出射される領域、及び青色光が出射される領域よりも拡げて、緑色光を出射する発光素子部の数を1としてもよい。
【0113】
また、本実施形態では、緑色光を出射する第1の発光素子部100Ga,100Gbと、赤色光を出射する第2の発光素子部100Rと、青色光を出射する第3の発光素子部100Bとを備えた発光素子100を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、黄色光を出射する発光素子部と、青色光を出射する発光素子部とを備えた発光素子でもよい。
【0114】
また、本実施形態では、青色光を透過させる一方緑色光を反射させる第1反射膜107a,107dと、青色光を透過させる一方赤色光を反射させる第1反射膜107bとが、互いに構成が同じ場合、即ち、第1反射膜107a,107dと、第1反射膜107bとが、互いに反射特性が同じ(言い換えれば、青色光を透過させる一方緑色光及び赤色光を反射させる)場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0115】
例えば、緑色光を反射させる第1反射膜において、緑色光の波長に応じて、第1,第2誘電体膜の膜厚を調整する一方、赤色光を反射させる第1反射膜において、赤色光の波長に応じて、第1,第2誘電体膜の膜厚を調整することで、緑色光を反射させる第1反射膜の反射特性と、赤色光を反射させる第1反射膜の反射特性とを、互いに異ならせてもよい。
【0116】
また、本実施形態では、基板101の材料としてSiCを用いたが、これに代えて、第1半導体層102a〜102dと格子定数が近い電気伝導性の材料、具体的には例えばSi等を用いてもよい。
【0117】
また、発光層103a〜103dの材料として、AlGaInN系の材料を用いたが、これに代えて、400nm〜500nmの光を放射可能な材料、具体的には例えばZnO等を用いてもよい。
【0118】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る発光素子について、図8(a) 〜(b) 、図9(a) 〜(b) 、及び図10を参照しながら説明する。図8(a) 〜(b) は、本発明の第2の実施形態に係る発光素子の構成について示す図であり、具体的には、図8(a) は、平面図であり、図8(b) は、図8(a) 中に示すVIIIb-VIIIb線における断面図である。なお、図8(a) 〜(b) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図1(a) 〜(c) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第1の実施形態との相違点について主に説明し、第1の実施形態との共通点については適宜省略して説明する。
【0119】
ここで、本実施形態と第1の実施形態との相違点は、以下に示す点である。
【0120】
第1に、本実施形態では、図8(a) に示すように、第1の実施形態と同一の構成要素に加えて、さらに、第1の蛍光体層(図1(a):108a,108d参照)上に形成された第2反射膜212a,212dと、第2の蛍光体層(図1(a):109b参照)上に形成された第2反射膜212bとをさらに備えている。即ち、第1の発光素子部200Gbにおいて、図8(b) に示すように、第1の蛍光体層108dは、第1反射膜107dと第2反射膜212dとの間に挟み込まれている(なお、同様に、第1の発光素子部200Gaにおいても、第1の蛍光体層(図示せず)は、第1反射膜(図示せず)と第2反射膜212aとの間に挟み込まれている)。第2の発光素子部200Rにおいて、図8(b) に示すように、第2の蛍光体層109bは、第1反射膜107bと第2反射膜212bとの間に挟み込まれている。
【0121】
第2に、本実施形態では、第2電極211が、電極としての機能を果たすだけでなく、発光層103a〜103dから放射される青色光を反射させる反射膜としての機能を果たす点に対し、第1の実施形態では、第2電極111が、電極としての機能のみを果たす点である。
【0122】
本実施形態の特徴部である第2反射膜、及び第2電極について、以下に説明する。
【0123】
−第2反射膜−
第2反射膜212a,212b,212dとしては、特定の波長範囲の光を反射し、それ以外の波長範囲の光を透過する波長フィルターが用いられることが好ましく、さらに、例えば500nm以下の光を反射し、500nm以上の光を透過する波長フィルターが用いられることが好ましい。このような波長フィルターの構成としては、例えばTiO2からなる第1誘電体膜と、例えばSiO2からなる第2誘電体膜とが、交互に繰り返し積層された構成が挙げられる(後述の図9(a) 参照)。
【0124】
−第2電極−
第2電極211は、450nm〜500nmの光、即ち、青色光の反射率が高い金属、具体的には例えばAg又はAl等で構成されることが好ましい。
【0125】
以下に、本発明の特徴部である第2反射膜212aの構成について、図9(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図9(a) は、第2反射膜の構成について示す拡大断面図である。図9(b) は、第2反射膜の透過スペクトル、及び反射スペクトルを示すグラフである。なお、以下の説明では、第2反射膜212aを具体例に挙げて説明するが、第2反射膜212b,212dについても、第2反射膜212aと同様である。
【0126】
図9(a) に示すように、第2反射膜212aは、例えばTiO2からなる膜厚が40nmの第1誘電体膜212a1と、例えばSiO2からなる膜厚が66.66nmの第2誘電体膜212a2とが交互に繰り返し積層されている。
【0127】
ここで、第2反射膜212aを構成する第1,第2誘電体膜212a1,212a2の材料、屈折率、及び膜厚について、以下に示す[表2]に記す。
【0128】
【表2】

【0129】
図9(b) に示すように、波長が約500nmにおいて、透過率の強度と反射率の強度とが反転し、第2反射膜212aは、350nm〜500nmの光を反射し、500nm以上の光を透過することが判る。このように、誘電体膜を多層に積層することにより、所望の反射特性を持つ第2反射膜212aを容易に実現できる。
【0130】
以下に、本発明の第2の実施形態に係る発光素子200の外部に各光が出射されるメカニズムについて、図10を参照しながら説明する。図10は、本発明の第2の実施形態に係る発光素子の外部に各光が出射されるメカニズムを模式的に示す図である。なお、図10に示す断面図は、図8(b) に示す断面図と同一の断面図である。
【0131】
第3の発光素子部200Bから青色光が出射されるメカニズムについて、以下に説明する。
【0132】
<第3の発光素子部>
発光層103cから青色の発光光が上方及び下方に放射される。上方に放射された青色の発光光250aは、透明電極105cを透過し、発光素子200の外部に青色光として出射される。一方、下方に放射された青色の発光光250bは、第2電極211で反射され、透明電極105cを透過し、発光素子200の外部に青色光として出射される。
【0133】
このように、発光層103cから放射された青色の発光光250a,250bのうち、上方に放射された青色の発光光250aを、発光素子200の外部に青色光として出射させるだけでなく、下方に放射された青色の発光光250bを、第2電極211で反射させて、発光素子200の外部に青色光として出射させることができる。従って、本実施形態における第3の発光素子部200Bは、第1の実施形態における第3の発光素子部100Bに比べて、青色光を発光素子200の外部に効率良く出射させることができる。
【0134】
第1の発光素子部200Gbから緑色光が出射されるメカニズムについて、以下に説明する。
【0135】
<第1の発光素子部>
発光層103dから青色の発光光が上方及び下方に放射される。上方に放射された青色の発光光260aは、透明電極105d及び第1反射膜107dを透過し、第1の蛍光体層108dに入射する。一方、下方に放射された青色の発光光260bは、第2電極211で反射され、透明電極105d及び第1反射膜107dを透過し、第1の蛍光体層108dに入射する。
【0136】
青色の発光光260aは、以下の過程を経て、発光素子200の外部に緑色光として出射される。
【0137】
青色の発光光260aのうち第1の蛍光体層108d中の緑色蛍光体で吸収された青色の発光光は、緑色の蛍光に変換されて、緑色の蛍光が上方及び下方に放射される(即ち、緑色蛍光体から緑色の蛍光が発光する)。上方に放射された緑色の蛍光261aは、第2反射膜212dを透過し、発光素子200の外部に緑色光として出射される。一方、下方に放射された緑色の蛍光261bは、第1反射膜107dで反射され、第2反射膜212dを透過し、発光素子200の外部に緑色光として出射される。
【0138】
青色の発光光260aのうち第1の蛍光体層108d中の緑色蛍光体で吸収されなかった青色の発光光260a1は、第2反射膜212dで反射されて、第1の蛍光体層108d中を下方に向かって進行する。このとき、青色の発光光260a1のうち第1の蛍光体層108d中の緑色蛍光体で吸収された青色の発光光は、緑色の蛍光に変換されて、緑色の蛍光が上方及び下方に放射される。上方に放射された緑色の蛍光(図示せず)は、第2反射膜212dを透過し、発光素子200の外部に緑色光として出射される。一方、下方に放射された緑色の蛍光(図示せず)は、第1反射膜107dで反射され、第2反射膜212dを透過し、発光素子200の外部に緑色光として出射される。
【0139】
青色の発光光260a1のうち第1の蛍光体層108d中の緑色蛍光体で吸収されなかった青色の発光光260a2は、第1反射膜107d、及び透明電極105dを透過し、第2電極211で反射されて、透明電極105d、及び第1反射膜107dを透過し、第1の蛍光体層108dに入射する。青色の発光光260a2は、第1の蛍光体層108d中の緑色蛍光体で吸収され、緑色の蛍光に変換されて、緑色の蛍光が上方及び下方に放射される。上方に放射された緑色の蛍光261cは、第2反射膜212dを透過し、発光素子200の外部に緑色光として出射される。一方、下方に放射された緑色の蛍光(図示せず)は、第1反射膜107dで反射され、第2反射膜212dを透過し、発光素子200の外部に緑色光として出射される。
【0140】
以上の過程を経て、青色の発光光260aは、発光素子200の外部に緑色光として出射される。
【0141】
一方、青色の発光光260bについては、詳細は図示しないが、上述の青色の発光光260aと同様の過程を繰り返すことにより、発光素子200の外部に緑色光として出射される(但し、図中には緑色の蛍光261dのみを代表して図示する)。
【0142】
このように、発光層103dから放射された青色の発光光260a,260bを、第2反射膜212dと第2電極211間で多重反射させることができる。そのため、第1の蛍光体層108d内において、発光層103dからの青色の発光光を緑色の蛍光に効率良く変換させて(即ち、第1の蛍光体層108dにおける光の変換効率を高めて)、緑色光を発光素子200の外部に出射させることができる(緑色の蛍光261a〜261d参照)。従って、本実施形態における第1の発光素子部200Gbは、第1の実施形態における第1の発光素子部100Gbに比べて、緑色光を発光素子200の外部にさらに効率良く出射させることができる。
【0143】
<第2の発光素子部>
第2の発光素子部200Rは、既述の通り、第1の蛍光体層108dと第2の蛍光体層109bとの構成が異なる点以外は、第1の発光素子部100Gbと同一の構成であるため、第1の発光素子部100Gbと同様の効果を得ることができる。
【0144】
即ち、発光層103bから放射された青色の発光光270a,270bを、第2反射膜212bと第2電極211間で多重反射させることができる。そのため、第2の蛍光体層109b内において、発光層103bからの青色の発光光を赤色の蛍光に効率良く変換させて(即ち、第2の蛍光体層109bにおける光の変換効率を高めて)、赤色光を発光素子200の外部に出射させることができる(赤色の蛍光271a〜271d参照)。従って、本実施形態における第2の発光素子部200Rは、第1の実施形態における第2の発光素子部100Rに比べて、赤色光を発光素子200の外部にさらに効率良く出射させることができる。
【0145】
なお、第1の発光素子部(図8(a):200Ga参照)は、既述の通り、第1の発光素子部200Gbと同一の構成であるため、第1の発光素子部200Gbと同一の効果を得ることができる。即ち、本実施形態における第1の発光素子部200Gaは、第1の実施形態における第1の発光素子部100Gaに比べて、緑色光を発光素子200の外部にさらに効率良く出射させることができる。
【0146】
本実施形態によると、第1の発光素子部200Gbにおいて、第2電極211を青色光を反射させるように構成すると共に、第1の蛍光体層108d上に第2反射膜212dを設けることにより、第2電極211と第2反射膜212d間の多重反射を利用して、緑色光を発光素子200の外部にさらに効率良く出射させることができる(同様に、第1の発光素子部200Gaにおいて、緑色光を発光素子200の外部にさらに効率良く出射させることができる)。
【0147】
第2の発光素子部200Rにおいて、第2電極211を青色光を反射させるように構成すると共に、第2の蛍光体層109b上に第2反射膜212bを設けることにより、第2電極211と第2反射膜212b間の多重反射を利用して、赤色光を発光素子200の外部にさらに効率良く出射させることができる。
【0148】
第3の発光素子部200Bにおいて、第2電極211を青色光を反射させるように構成することにより、第2電極211の反射を利用して、青色光を発光素子200の外部に効率良く出射させることができる。
【0149】
従って、第3の発光素子部200Bから効率良く出射された青色光と、第1の発光素子部200Ga,200Gbからさらに効率良く出射された緑色光と、第2の発光素子部200Rからさらに効率良く出射された赤色光とを組み合わせることができるので、第1の実施形態に比べて、発光素子200の演色性をさらに良くすることができる。
【0150】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る発光素子について、図11(a) 〜(c) 、及び図12(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図11(a) 〜(c) は、本発明の第3の実施形態に係る発光素子の構成について示す図であり、具体的には、図11(a) は、平面図であり、図11(b) は、図11(a) 中に示すXIb-XIb線における断面図であり、図11(c) は、図11(a) 中に示すXIc-XIc線における断面図である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と相違する点を主に説明し、第1の実施形態と共通する点については適宜省略して説明する。
【0151】
図11(b) 及び(c) に示すように、基板301上には、第1の半導体層303A、第2の半導体層303B、第3の半導体層303C、及び第1の半導体層303Dが設けられている。各半導体層303A〜303Dは、各第1半導体層302a〜302d、紫外光を放射する各発光層303a〜303d、及び各第2半導体層304a〜304dが順次積層された構成である。
【0152】
各第2半導体層304a〜304d上には、各透明電極305a〜305dが設けられている。各透明電極305a〜305d上には、各第1電極306a〜306dが設けられている一方、基板301の下面には、第2電極311が設けられている。
【0153】
第1の半導体層303A,303D、第2の半導体層303B、及び第3の半導体層303Cのそれぞれの上には、紫外光を透過する一方、緑色光、赤色光、及び青色光を反射する各第1反射膜307a〜307dが設けられている。ここで、本実施形態における第1反射膜307a〜307dとしては、特定の波長範囲の光を透過し、それ以外の特定の波長範囲の光を反射する波長フィルターが用いられることが好ましく、さらに、例えば430nm以下の光を透過し、430nm以上の光を反射する波長フィルターが用いられることが好ましい。
【0154】
第1の半導体層303A,303D上には、紫外光を吸収して緑色光を放射する緑色蛍光体を含む第1の蛍光体層308a,308dが設けられている。第2の半導体層303B上には、紫外光を吸収して赤色光を放射する赤色蛍光体を含む第2の蛍光体層309bが設けられている。第3の半導体層303C上には、紫外光を吸収して青色光を放射する青色蛍光体を含む第3の蛍光体層310cが設けられている。
【0155】
ここで、本実施形態と第1の実施形態との相違点は、以下に示す点である。
【0156】
第1に、本実施形態では、発光層303a〜303dから放射される光の波長は、例えば430nm以下の紫外光である。これに対し、第1の実施形態では、発光層103a〜103dから放射される光の波長は、例えば430nm以上であって且つ500nm以下の青色光である。
【0157】
第2に、本実施形態では、第3の発光素子部300Bは、透明電極305c上に形成された第1反射膜307cと、第1反射膜307c上に形成された第3の蛍光体層310cとをさらに含む。
【0158】
第3に、本実施形態では、第1の発光素子部300Ga,300Gbにおいて、第1の蛍光体層308a,308dは、紫外光を吸収して緑色光を放射する緑色蛍光体を含む。これに対し、第1の実施形態では、第1の発光素子部100Ga,100Gbにおいて、第1の蛍光体層108a,108dは、青色光を吸収して緑色光を放射する緑色蛍光体を含む。
【0159】
第4に、本実施形態では、第2の発光素子部300Rにおいて、第2の蛍光体層309bは、紫外光を吸収して赤色光を放射する赤色蛍光体を含む。これに対し、第1の実施形態では、第2の発光素子部100Rにおいて、第2の蛍光体層109bは、青色光を吸収して赤色光を放射する赤色蛍光体を含む。
【0160】
第5に、本実施形態では、第1反射膜307a〜307dは、紫外光を透過し、青色光、緑色光、及び赤色光を反射するように構成されている。これに対し、第1の実施形態では、第1反射膜107a,107b,107dは、青色光を透過し、緑色光、及び赤色光を反射するように構成されている。
【0161】
以下に、本発明の特徴部である第1反射膜307aの構成について、図12(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図12(a) は、第1反射膜の構成について示す拡大断面図である。図12(b) は、第1反射膜の透過スペクトル、及び反射スペクトルを示すグラフである。なお、以下の説明では、第1反射膜307aを具体例に挙げて説明するが、第1反射膜307b〜307dについても、第1反射膜307aと同様である。
【0162】
図12(a) に示すように、第1反射膜307aは、例えばTa25からなる第1誘電体膜307a1とMgF2からなる第2誘電体膜307a2とが、交互に繰り返し積層された第1誘電体多層膜307aaと、第1誘電体多層膜307aa上に形成され、例えばTa25からなる第3誘電体膜307a3とMgF2からなる第4誘電体膜307a4とが、交互に繰り返し積層された第2誘電体多層膜307abとを含む。このように、第1誘電体膜307a1の膜厚(下記[表3]参照)と第3誘電体膜307a3の膜厚(下記[表3]参照)とを、互いに異ならせると共に、第2誘電体膜307a2の膜厚(下記[表3]参照)と第4誘電体膜307a4の膜厚(下記[表3]参照)とを、互いに異ならせることにより、450nm〜700nmでの反射率を高めることができる。
【0163】
ここで、第1反射膜307aを構成する第1〜第4誘電体膜307a1〜307a4の材料、屈折率、及び膜厚について、以下に示す[表3]に記す。
【0164】
【表3】

【0165】
図12(b) に示すように、波長が約430nmにおいて、透過率の強度と反射率の強度とが反転し、第1反射膜307aは、430nm以下の紫外光を透過し、430nm〜700nmの可視光を反射することが判る。このように、誘電体膜を多層に積層することにより、所望の反射特性を持つ第1反射膜307aを容易に実現できる。
【0166】
本実施形態によると、第1の発光素子部300Ga,300Gbにおいて、第1反射膜307a,307dの反射を利用して、緑色光を発光素子300の外部に効率良く出射させることができる。
【0167】
第2の発光素子部300Rにおいて、第1反射膜307bの反射を利用して、赤色光を発光素子300の外部に効率良く出射させることができる。
【0168】
第3の発光素子部300Bにおいて、第1反射膜307cの反射を利用して、青色光を発光素子300の外部に効率良く出射させることができる。
【0169】
従って、第1の発光素子部300Ga,300Gbから効率良く出射された緑色光と、第2の発光素子部300Rから効率良く出射された赤色光と、第3の発光素子部300Bから効率良く出射された青色光とを組み合わせることができるので、発光素子300の演色性を良くすることができる。
【0170】
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態に係る発光素子について、図13(a) 〜(c) 及び図14を参照しながら説明する。
【0171】
以下に、本発明の第4の実施形態に係る発光素子の構成について、図13(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図13(a) 〜(c) は、本発明の第4の実施形態に係る発光素子の構成について示す図であり、図13(a) は、平面図であり、図13(b) は、図13(a) 中に示すXIIIb-XIIIb線における断面図であり、図13(c) は、図13(a) 中に示すXIIIc-XIIIc線における断面図である。なお、本実施形態では、第2の実施形態と相違する点について主に説明し、共通する点については適宜省略して説明する。
【0172】
図13(b) 及び(c) に示すように、基板401上には、青色光を反射する第3反射膜413を介して、第1の半導体層403A、第2の半導体層403B、第3の半導体層403C、及び第1の半導体層403Dが設けられている。各半導体層403A〜403Dは、各第1半導体層402a〜402d、青色光を放射する各発光層403a〜403d、及び各第2半導体層404a〜404dが順次積層された構成である。ここで、各第1半導体層402a〜402d、は、第3反射膜413の上面を露出する分離溝(図13(a):R12,図13(b):R31参照)により個別に分離されている。
【0173】
各第2半導体層404a〜404d上には、各透明電極405a〜405dが設けられている。各透明電極405a〜405d上には、各第1電極406a〜406dが設けられている一方、各第1半導体層402a〜402d上には、各第2電極411a〜411dが設けられている。
【0174】
ここで、第3反射膜413のうち各第1半導体層402a〜402dと接する側には、絶縁膜(図示せず)が設けられ、分離溝により個別化された各第1半導体層402a〜402dは、互いに電気的に分離されている。これにより、各第1半導体層402a〜402d上に設けられた各第2電極411a〜411dは、互いに電気的に分離されている。
【0175】
第1の半導体層403A,403D及び第2の半導体層403Bのそれぞれの上には、青色光を透過する一方、緑色光及び赤色光を反射する第1反射膜407a,407d,407bのそれぞれが設けられている。
【0176】
第1の半導体層403A,403D上には、青色光を吸収して緑色光を放射する緑色蛍光体を含む第1の蛍光体層408a,408dが設けられている。一方、第2の半導体層403B上には、青色光を吸収して赤色光を放射する赤色蛍光体を含む第2の蛍光体層409bが設けられている。
【0177】
第1の半導体層403A,403D及び第2の半導体層403Bのそれぞれの上には、青色光を反射する一方、緑色光及び赤色光を透過する第2反射膜412a,412d,412bのそれぞれが設けられている。
【0178】
ここで、本実施形態と第2の実施形態との相違点は、以下に示す点である。
【0179】
第1に、本実施形態では、例えば貼り合わせ技術により、基板401と第1半導体層402a〜402dとの間(言い換えれば、基板401の上面)に、青色光を反射する第3反射膜413が設けられている。これに対し、第2の実施形態では、基板101の下面(即ち、第1半導体層102a〜102dの形成面と反対側の面)に設けられた第2電極211が、青色光を反射するように構成されている。
【0180】
第2に、本実施形態では、第1半導体層402a〜402d上に、第2電極411a〜411dが設けられている。これに対し、第2の実施形態では、基板101の下面に、第2電極211が設けられている。そのため、本実施形態における基板401は、導電性を示さない材料で構成されていてもよい。これに対し、第2の実施形態における基板101は、導電性を示す材料で構成される必要がある。
【0181】
本実施形態によると、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0182】
即ち、第1の発光素子部400Ga,400Gbにおいて、基板401と第1半導体層402a,402dとの間に第3反射膜413を設けると共に、第1の蛍光体層408a,408d上に第2反射膜412a,412dを設けることにより、第3反射膜413と第2反射膜412a,412d間の多重反射を利用して、緑色光を発光素子400の外部にさらに効率良く出射させることができる。
【0183】
第2の発光素子部400Rにおいて、基板401と第1半導体層402bとの間に第3反射膜413を設けると共に、第2の蛍光体層409b上に第2反射膜412bを設けることにより、第3反射膜413と第2反射膜412b間の多重反射を利用して、赤色光を発光素子400の外部にさらに効率良く出射させることができる。
【0184】
第3の発光素子部400Bにおいて、基板401と第1半導体層402cとの間に第3反射膜413を設けることにより、第3反射膜413の反射を利用して、青色光を発光素子400の外部に効率良く出射させることができる。
【0185】
従って、第3の発光素子部400Bから効率良く出射された青色光と、第1の発光素子部400Ga,400Gbからさらに効率良く出射された緑色光と、第2の発光素子部400Rからさらに効率良く出射された赤色光とを組み合わせることができるので、第1の実施形態に比べて、発光素子400の演色性をさらに良くすることができる。
【0186】
以下に、本発明の第4の実施形態に係る発光素子が実装されるパッケージの構成について、図14を参照しながら説明する。図14は、本発明の第4の実施形態に係る発光素子が実装されるパッケージの構成について示す平面図であり、具体的には、発光素子側から見た平面図である。
【0187】
図14に示すように、パッケージ480は、第1リード線490a〜490dと、第2リード線491a〜491dとを有する。パッケージ480の中央部には、発光素子400が固定されている。
【0188】
第1電極406a〜406dのそれぞれは、各ワイヤを介して、第1リード線490a〜490dのそれぞれと電気的に接続している。第2電極411a〜411dのそれぞれは、各ワイヤを介して、第2リード線491a〜491dのそれぞれと電気的に接続している。
【0189】
本実施形態によると、各第1リード線490a〜490d、及び各第2リード線491a〜491dを互いに独立して設けることにより、各第1電極406a〜406dと各第2電極411a〜411dとにより、各発光素子部に独立に電力を注入することができ、その結果、各発光層403a〜403dに供給される電流量を、互いに独立に制御することができるので、発光素子400の演色性をさらに良くすることができる。
【0190】
さらに、第2の実施形態のように基板101の下面に第2電極211を設けるのではなく、各第2電極411a〜411dを各第1半導体層402a〜402d上に設けることにより、基板401を介在させることなく、発光層403a〜403dに電流を供給することができるため、基板401が絶縁性材料で構成されている場合においても、発光素子400を動作させることができる。
【0191】
なお、本実施形態では、第3反射膜413を、基板401と第1半導体層402a〜4302との間(即ち、基板の上面)に設ける場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第3反射膜を、基板の下面(即ち、第1半導体層402a〜402dの形成面と反対側の面)に設けてもよい。但し、この場合、基板401は、青色光を透過する絶縁性の基板、具体的には例えば、サファイア等からなる基板であることが好ましい。
【0192】
また、本実施形態では、各第2電極411a〜411dを互いに電気的に分離することを目的に、第3反射膜413のうち各第1半導体層402a〜402dと接する側に絶縁膜を設けて、分離溝により個別化された各第1半導体層402a〜402dを互いに電気的に分離する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各第1半導体層のうち第3反射膜と接する側を不純物濃度が低い絶縁型半導体層で構成し、分離溝により個別化された各第1半導体層を互いに電気的に分離することで、各第2電極を互いに電気的に分離してもよい。
【0193】
(第5の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る発光素子100を用いたバックライト装置について、図15を参照しながら説明する。図15は、本発明の第5の実施形態に係るバックライト装置の構成について示す概略図である。なお、本実施形態では、4個の発光素子が直列に接続されたバックライト装置を具体例に挙げて説明する。
【0194】
図15に示すように、縦方向に3個、横方向に4個の発光素子100が、マトリックス状に配置されている。縦方向に3個、横方向に2個のドライバー510が配置されている。縦方向に配置された3個のドライバー510のそれぞれは、縦方向に配置された3個の発光素子100のそれぞれと対応するように配置されている。横方向に配置された2個のドライバー510間に挟み込まれるように、横方向に配置された4個の発光素子100が配置されている。
【0195】
横方向に配置された4個の発光素子100において、緑色光を出射する第1の発光素子部100Ga,100Gb、赤色光を出射する第2の発光素子部100R、及び青色光を出射する第3の発光素子部100Bのそれぞれを個別に駆動するため、横方向に配置された2個のドライバー510間に設けられた配線Gを介して、第1の発光素子部100Ga,100Gbのそれぞれが、ドライバー510と接続している。横方向に配置された2個のドライバー510間に設けられた配線Rを介して、第2の発光素子部100Rのそれぞれが、ドライバー510と接続している。横方向に配置された2個のドライバー510間に設けられた配線Bを介して、第3の発光素子部100Bのそれぞれが、ドライバー510と接続している。即ち、第1の発光素子部100Ga,100Gbのそれぞれが、同一の配線Gを介して、ドライバー510と直列に接続し、第2の発光素子部100Rのそれぞれが、同一の配線Rを介して、ドライバー510と直列に接続し、第3の発光素子部100Bのそれぞれが、同一の配線Bを介して、ドライバー510と直列に接続している。
【0196】
このように、横方向に配置された4個の発光素子100は、横方向に配置された2個のドライバー510と直列に接続し、横方向に配置された2個のドライバー510から、横方向に配置された4個の発光素子100を駆動する駆動電源が供給される。
【0197】
一方、色相モニタ520は、発光素子100の周期よりも長い周期で配置される。具体的には例えば、図15に示すように、2個の発光素子100に対して、1個の色相モニタ520が配置されている。
【0198】
色相モニタ520は、シリコンフォトダイオードと、該シリコンフォトダイオード上に搭載された赤色の波長フィルタ、緑色の波長フィルタ、及び青色の波長フィルタとを備えている。詳細には、シリコンフォトダイオードは、3分割された受光部、即ち、R用受光部、G用受光部、及びB用受光部を有し、各R用,G用,B用受光部上に、各赤色,緑色,青色の波長フィルタが搭載されている。
【0199】
発光素子100から出射された白色光は、反射板(図示せず)、導波管(図示せず)、及び拡散板(図示せず)を通過した後、液晶パネル側に出射される。このとき、白色光の一部は、色相モニター520に入射し、赤色光、緑色光、又は青色光に変換され、ドライバー510にフィードバックされる。
【0200】
本実施形態によると、演色性の良い発光素子100が搭載されているため、演色性の良いバックライト装置を実現することができる。
【0201】
さらに、発光素子100に含まれる第1,第2の蛍光体層を、半導体技術を用いて形成することにより、第1,第2の蛍光体層を精度良く形成することができるため、バックライト装置の駆動時に、第1,第2の蛍光体層中の第1,第2の蛍光体が劣化し、発光素子の演色性が悪化することがあっても、各発光素子間において、演色性の悪化スピードに差異が生じることを抑制することができる。従って、本実施形態に係るバックライト装置では、バックライト装置に搭載された全ての発光素子の演色性を、一括して調整することができるため、多数の発光素子(具体的には例えば、10個〜100個の発光素子)を、バックライト装置に搭載することができる。
【0202】
これに対し、従来のバックライト装置に搭載された発光素子は、バックライト装置の駆動時に、各発光素子間において、演色性の悪化スピードに大きな差異が生じる。従って、従来のバックライト装置では、バックライト装置に搭載された全ての発光素子の演色性を、発光素子毎に調整することが必要とされ、バックライト装置に搭載される発光素子数が制限される。
【0203】
なお、本実施形態では、2個の発光素子100に対して、1個の色相モニタ520を配置する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明は、演色性の良い発光素子を実現することができるため、例えば、家庭用照明器具だけでなく、食料品を展示する展示用照明器具、又は表示映像の鮮明性が必要な大画面型液晶テレビのバックライト光源に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る発光素子の構成について示す図である。
【図2】(a) は、第1反射膜の構成について示す拡大断面図であり、(b) は、第1反射膜の透過スペクトル及び反射スペクトルを示すグラフである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る発光素子の外部に各光が出射されるメカニズムを模式的に示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る発光素子の発光スペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る発光素子が実装されるパッケージの構成について示す平面図である。
【図6】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る発光素子の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【図7】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る発光素子の製造方法を工程順に示す要部工程断面図である。
【図8】(a) 〜(b) は、本発明の第2の実施形態に係る発光素子の構成について示す図である。
【図9】(a) は、第2反射膜の構成について示す拡大断面図であり、(b) は、第2反射膜の透過スペクトル及び反射スペクトルを示すグラフである。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る発光素子の外部に各光が出射されるメカニズムを模式的に示す図である。
【図11】(a) 〜(c) は、本発明の第3の実施形態に係る発光素子の構成について示す図である。
【図12】(a) は、第1反射膜の構成について示す拡大断面図であり、(b) は、第1反射膜の透過スペクトル及び反射スペクトルを示すグラフである。
【図13】(a) 〜(c) は、本発明の第4の実施形態に係る発光素子の構成について示す図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る発光素子が実装されるパッケージの構成について示す平面図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係るバックライト装置の構成について示す概略図である。
【図16】従来技術の発光素子の製造方法について示す断面図である。
【符号の説明】
【0206】
100,200,300,400 発光素子
100Ga,200Ga,300Ga,400Ga 第1の発光素子部
100R,200R,300R,400R 第2の発光素子部
100B,200B,300B,400B 第3の発光素子部
100Gb,200Gb,300Gb,400Gb 第1の発光素子部
100gb 第1の発光素子部領域
100r 第2の発光素子部領域
100b 第3の発光素子部領域
101,301,401 基板
102a〜102d,302a〜302d,402a〜402d 第1半導体層
103a〜103d,303a〜303d,403a〜403d 発光層
104a〜104d,304a〜304d,404a〜404d 第2半導体層
103A,303A,403A 第1の半導体層
103B,303B,403B 第2の半導体層
103C,303C,403C 第3の半導体層
103D,303D,403D 第1の半導体層
105a〜105d,305a〜305d,405a〜405d 透明電極
106a〜106d,306a〜306d,406a〜406d 第1電極
107a〜107d,307a〜307d,407a〜407d 第1反射膜
107a1 第1誘電体膜
107a2 第2誘電体膜
307a1 第1誘電体膜
307a2 第2誘電体膜
307a3 第3誘電体膜
307a4 第4誘電体膜
307aa 第1誘電体多層膜
307ab 第2誘電体多層膜
108 第1の蛍光体含有樹脂
108a,308a,408a 第1の蛍光体層
108d,308d,408d 第1の蛍光体層
109 第2の蛍光体含有樹脂
109b,309b,409b 第2の蛍光体層
310c 第3の蛍光体層
111,211,311,411a〜411d 第2電極
212a〜212d,412a〜412d 第2反射膜
212a1 第1誘電体膜
212a2 第2誘電体膜
413 第3反射膜
150,250a,250b 発光光
160,260a,260a1,260a2,260b 発光光
161a〜161b,261a〜261d 蛍光
270a〜270b 発光光
271a〜271d 蛍光
180,480 パッケージ
190a〜190d リード線
190e グランド線
490a〜490d 第1リード線
491a〜491d 第2リード線
500 バックライト装置
510 ドライバー
520 色相モニタ
R12,R31 分離溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長の光が出射される発光素子において、
基板上に設けられ、第1の波長の光を放射する発光層を含む第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に設けられ、前記発光層からの前記第1の波長の光を吸収して第2の波長の光を放射する第1の蛍光体を含む第1の蛍光体層とを有する第1の発光素子部を備え、
前記第1の半導体層と前記第1の蛍光体層との間に、第1反射膜が設けられ、
前記第1反射膜は、前記第1の波長の光を透過し、前記第2の波長の光を反射するように構成されていることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記第1の発光素子部は、
前記第1の蛍光体層上に設けられた第2反射膜をさらに備え、
前記第1の蛍光体層は、前記第1反射膜と前記第2反射膜との間に挟み込まれ、
前記第2反射膜は、前記第1の波長の光を反射し、前記第2の波長の光を透過するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第1の半導体層と前記第1反射膜との間に、透明電極が設けられ、
前記透明電極上に、第1電極が設けられ、
前記基板の下面に、第2電極が設けられ、
前記第2電極は、前記第1の波長の光を反射するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1の発光素子部は、
前記第1の蛍光体層上に設けられた第2反射膜と、
前記基板と前記第1の半導体層との間に設けられた第3反射膜とをさらに備え、
前記第1の蛍光体層は、前記第1反射膜と前記第2反射膜との間に挟み込まれ、
前記第2反射膜は、前記第1の波長の光を反射し、前記第2の波長の光を透過するように構成され、
前記第3反射膜は、前記第1の波長の光を反射するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1の半導体層と前記第1反射膜との間に、透明電極が設けられ、
前記透明電極上に、第1電極が設けられ、
前記第1の半導体層における第1半導体層上に、第2電極が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記基板は、絶縁性の基板であることを特徴とする請求項5に記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1反射膜は、第1誘電体膜と第2誘電体膜とが交互に繰り返し積層されていることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1の波長の光の波長は、430nm以上であって且つ500nm以下であり、
前記第1反射膜は、500nm以下の光を透過し、500nm以上の光を反射するように構成され、
前記第1誘電体膜は、TiO2からなり、
前記第2誘電体膜は、SiO2からなることを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
【請求項9】
前記第1反射膜は、第1誘電体膜と第2誘電体膜とが交互に繰り返し積層された第1誘電体多層膜と、該第1誘電体多層膜上に形成され、第3誘電体膜と第4誘電体膜とが交互に繰り返し積層された第2誘電体多層膜とを含むことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項10】
前記第1の波長の光の波長は、430nm以下であり、
前記第1反射膜は、430nm以下の光を透過し、430nm以上の光を反射するように構成され、
前記第1誘電体膜及び前記第3誘電体膜は、Ta25からなり、
前記第2誘電体膜及び前記第4誘電体膜は、MgF2からなり、
前記第1誘電体膜と前記第3誘電体膜とは、互いに異なる膜厚を有し、
前記第2誘電体膜と前記第4誘電体膜とは、互いに異なる膜厚を有していることを特徴とする請求項9に記載の発光素子。
【請求項11】
前記第2反射膜は、第1誘電体膜と第2誘電体膜とが交互に繰り返し積層されていることを特徴とする請求項2又は4に記載の発光素子。
【請求項12】
前記第1の蛍光体層は、前記第1の蛍光体と透明樹脂とからなることを特徴とする請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項13】
前記基板上に設けられ、前記第1の波長の光を放射する発光層を含む第2の半導体層と、前記第2の半導体層上に設けられ、前記発光層からの前記第1の波長の光を吸収して第3の波長の光を放射する第2の蛍光体を含む第2の蛍光体層とを有する第2の発光素子部をさらに備え、
前記第1の蛍光体と前記第2の蛍光体とは、互いに異なる材料からなり、
前記第2の半導体層と前記第2の蛍光体層との間には、第1反射膜が設けられ、
前記第1反射膜は、前記第1の波長の光を透過し、前記第2の波長の光及び前記第3の波長の光を反射するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項14】
前記第1の発光素子部と前記第2の発光素子部とが、互いに隣り合うように配置され、
前記第1の発光素子部に含まれる前記発光層と、前記第2の発光素子部に含まれる前記発光層とは、隣り合う前記発光層間に設けられた分離溝により互いに分離され、
前記第1の半導体層上に形成された透明電極上に、第1電極が設けられ、
前記第2の半導体層上に形成された透明電極上に、第1電極が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の発光素子。
【請求項15】
前記基板上に設けられ、前記第1の波長の光を放射する発光層を含む第3の半導体層からなる第3の発光素子部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項16】
前記第1の発光素子部と前記第3の発光素子部とが、互いに隣り合うように配置され、
前記第1の発光素子部に含まれる前記発光層と、前記第3の発光素子部に含まれる前記発光層とは、隣り合う前記発光層間に設けられた分離溝により互いに分離され、
前記第1の半導体層上に形成された透明電極上に、第1電極が設けられ、
前記第3の半導体層上に形成された透明電極上に、第1電極が設けられていることを特徴とする請求項15に記載の発光素子。
【請求項17】
請求項1〜16のうちいずれか1項に記載の発光素子と、
発光素子用駆動電源を供給するドライバーとを備え、
複数の前記発光素子のそれぞれが、同一の配線を介して、前記ドライバーと直列又は並列に接続していることを特徴とするバックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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