発光素子駆動用半導体チップ、発光装置、及び照明装置
発光素子の温度を正確に検出し、発光素子の破壊や劣化を防止する発光装置を提供する。 本発明の発光装置は、電気信号端子を備えてこの電気信号端子に外部から与えられる電気信号によって駆動され発光する発光素子と、電気信号を出力して電気信号端子に印加する発光素子駆動用回路並びに周囲温度を検出する温度検出素子を半導体によって形成した発光素子駆動用半導体チップと、を備え、発光素子を発光素子駆動用半導体チップ面上に装着すると共に温度検出素子が検出した温度に連動して発光素子を駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子駆動用半導体チップ、発光装置、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やデジタルカメラ等の電子機器において、可視発光ダイオード(可視光LED)等の発光素子を駆動する発光装置、及びその発光装置を複数個用いた照明装置が利用される機会が増えている。電子機器の高集積化に伴い、実装面積の小さい発光装置が市場より要求されている。
【0003】
特開2003−8075号公報(特許文献1)に、保護素子の上に発光素子を実装し、1つの発光モジュールとすることで発光装置の実装面積を削減する技術が開示されている。図12及び図13を用いて、特許文献1に記載された従来例の発光装置について説明する。
【0004】
図12は、従来例の発光装置の構成を示す平面図である。図13は、図12の破線A−A’の断面図である。図12及び図13において、同じ構成要素については、同じ符号を用いている。従来例の発光装置は、基板1202上に基板配線1203(VCC配線及びGND配線を含む。)を形成し、基板配線1203上に発光モジュール1201と電源回路104とドライバIC1204とを実装している。発光モジュール1201、電源回路104、及びドライバIC1204の構成要素である各素子は、基板配線1203により、それぞれ電気的に接続されている。
【0005】
電源回路104は、VCC配線とGND配線との間に接続された入力コンデンサ143と、VCC配線を介して入力コンデンサ143に接続されたコイル141と、基板配線1203によりコイル141に接続されたショットキーダイオード142と、一端を基板配線1203を介してショットキーダイオード142と電圧帰還端子125とに接続されて他端をGND配線に接続された出力コンデンサ144を有する。
【0006】
発光モジュール1201において、リードフレーム114は、基板1202の上方に実装されている。ツェナダイオード1213は、リードフレーム114上に固定される。ツェナダイオード1213の上面は、パッド孔113を除いて絶縁膜131で覆われている。
【0007】
ツェナダイオード1213上の両端に近い部分を除くパッド孔113にはバンプ115が載せられ、バンプ115の上に発光素子111が実装されている。発光素子111は、可視発光ダイオード(LED)である。ツェナダイオード1213は、発光素子111を静電破壊及び高耐圧破壊から保護している。
【0008】
図12及び図13において2個のツェナダイオード1213の上に、それぞれ発光素子111が実装されている。従来例の発光装置は、発光素子111をツェナダイオード1213上に実装して一体化したモジュールとすることで、ツェナダイオード1213と発光素子111とを別々に実装する場合よりも、実装面積を小さくしている。
【0009】
ツェナダイオード1213上の両端に近い部分のパッド孔113には、2つのボンディングワイヤ116の一端がそれぞれ接続されている。一方のボンディングワイヤ116の他端は、アノード側端子1253に接続され、もう一方のボンディングワイヤ116の他端は、カソード側端子1254に接続される。
【0010】
ドライバIC1204において、リードフレーム114は、基板1202の上方に実装される。ドライバICチップ1212は、リードフレーム114上に固定されている。ドライバICチップ1212の上面は、パッド孔113を除いて絶縁膜131に覆われている。
【0011】
6つのパッド孔には6つのボンディングワイヤ116の一端がそれぞれ接続され、各ボンディングワイヤ116の他端はそれぞれ外部接続端子(制御端子123、電圧帰還端子125、スイッチング端子124、電流帰還端子126、VCC端子121、GND端子122)に接続されている。このように複数のボンディングワイヤ116を通して、ドライバICチップ1212は、外部接続端子に電気的に接続されている。
【0012】
VCC端子121は、VCC配線に接続されている。GND端子122は、GND配線に接続されている。制御端子123は、ドライバIC1204のON/OFFの切替を行うための信号を入力される端子である。
【0013】
スイッチング端子124は、基板配線1203によりショットキーダイオード142のアノード端子とコイル141とに接続している。電圧帰還端子125は、基板配線1203によって、ショットキーダイオード142のカソード端子、発光モジュール1201のアノード側端子1253、及び出力コンデンサ144と接続している。電流帰還端子126は、基板配線1203によって、発光モジュール1201のカソード側端子1254と接続している。
【特許文献1】特開2003−8075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発光素子は高輝度化の要望が高く、発光素子の消費電力は年々増加傾向にある。発光素子の光電変換効率は30%程度であるため、発光素子の消費電力の70%以上は熱となって消費され、発光素子の温度を上昇させる。特に動作保証温度範囲以上の高温条件下での発光素子の連続使用は、素子の破壊、劣化を招く。発光素子の動作保証温度範囲で発光素子を使用するためには、発光素子の温度を検出する温度検出素子を用いて、発光素子の動作を制御する必要がある。
【0015】
しかし、従来の発光装置の構成においては、発光モジュール1201内に温度検出素子を実装できないため、温度検出素子を省略して実装しないことが多かった(そのため、図12及び図13では温度検出素子の図示を省略している。)。また、従来の発光装置の構成において温度検出素子を実装する場合、温度検出素子はドライバIC1204上に実装される。即ち、温度検出素子は、従来の発光モジュール1201の外部に実装されるため、発光素子111の温度を正確に検出することはできない。そのため、従来の発光装置は、発光素子をその温度に基づいて動作制御することが困難であった。従来例の発光装置は、発光素子の発熱による温度上昇に伴い、発光素子の劣化や破壊が起こるおそれがあるという問題があった。
【0016】
本発明は、上記問題を解決するもので、従来よりも発光素子により近いところに温度検出素子を設けることにより、発光素子の温度を正確に検出する発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0017】
本発明は、発光素子の温度が上限を超えるとドライバICの動作を停止させることで、発光素子の発熱を停止させ、発光素子の破壊や劣化を防ぐ発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0018】
本発明は、発光素子の温度を正確に検出し、温度に応じて赤、緑、青の3原色のホワイトバランスを調整する発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0019】
本発明は、実装面積の小さい発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、本発明は下記の構成を有する。
本発明の1つの観点による発光装置は、電気信号端子を備えて、前記電気信号端子に外部から与えられる電気信号によって駆動され発光する発光素子と、前記電気信号を出力して前記電気信号端子に印加する発光素子駆動用回路並びに周囲温度を検出する温度検出素子を半導体によって形成した発光素子駆動用半導体チップと、を備え、前記発光素子を前記発光素子駆動用半導体チップ面上に装着すると共に前記温度検出素子が検出した温度に連動して前記発光素子を駆動する。
【0021】
この発明によれば、発光素子駆動用半導体チップ(ドライバICチップ)の上に発光素子を実装し、ドライバICチップ内に温度検出素子を内蔵することで、発光素子の温度を極めて近接した所で正確に検出する、実装面積の小さい発光装置を実現できる。この発明によれば、例えば高温時にはドライバICの動作を停止させることで、発光素子の発熱を停止させ、発光素子の破壊や劣化を防ぐ発光装置を実現できる。
【0022】
本発明の他の観点による上記の発光装置において、前記温度検出素子の少なくとも一部は、前記発光素子を含む最小の領域を前記発光素子駆動用半導体チップ上に投影した領域である発光素子配置領域内に配置する。
【0023】
この発明によれば、発光素子の温度を正確に検出する発光装置を実現できる。
【0024】
本発明の別の観点による上記の発光装置において、前記発光素子駆動用回路は、前記発光素子配置領域を除いた前記発光素子駆動用半導体チップ内に形成される。
【0025】
発光素子駆動用回路(ドライバ回路部)を発光素子配置領域内に配置すると、発光素子の発熱とドライバ回路部の発熱とが局部的に集中し、そこの温度が高くなるおそれがある。ドライバ回路部を発光素子配置領域を除いたドライバICチップ内の領域に形成することにより、発生する熱をドライバICチップ上で分散でき、局部的な温度のピークを抑えることができる。この発明によれば、温度上昇による発光素子及びドライバ回路部の劣化や誤動作を防ぐ発光装置を実現できる。
【0026】
本発明の更に別の観点による上記の発光装置において、前記発光素子は、異なる波長で発光する複数個の可視発光素子であって、前記発光素子駆動用半導体チップは、前記温度検出素子が検出した温度に基づいて前記複数個の発光素子のホワイトバランスを維持するように、前記発光素子を個々に駆動する。
【0027】
発光素子は、その種類に応じた固有の温度特性を有する。例えば赤色発光ダイオードは、青色発光ダイオードや緑色発光ダイオードと比較して温度が上昇した時の輝度低下が大きい。赤、緑、青の3原色でそれぞれ発光する複数の可視発光素子を有するカラー表示用発光装置において、使用温度範囲の全域でホワイトバランスを維持することが重要である。
【0028】
従来、発光素子の温度を正確に検出することが困難であった故に、温度に応じて赤、緑、青の3原色でそれぞれ発光する複数の可視発光素子の輝度調整をすることは困難であった。又、赤、緑、青の3原色でそれぞれ発光する複数の可視発光素子の取り付け位置が離れている場合には、それぞれの発光素子に温度検出素子を取り付ける必要があり、コストが高かった。
【0029】
この発明によれば、発光素子の温度を正確に検出できる故に、RGBのホワイトバランスを温度に応じて調整する安価な発光装置を実現できる。
【0030】
本発明の1つの観点による照明装置は、上記の発光装置を複数個有する。
【0031】
この発明によれば、上記の効果を奏する照明装置を実現できる。
【0032】
本発明の1つの観点による発光素子駆動用半導体チップは、電気信号端子を備えて、前記電気信号端子に外部から与えられる電気信号によって駆動され発光する発光素子を装着する発光素子駆動用半導体チップであって、前記電気信号を出力して前記電気信号端子に印加する発光素子駆動用回路と周囲温度を検出する温度検出素子とを備え、前記温度検出素子が検出した温度に連動して前記発光素子を駆動する。
【0033】
この発明によれば、発光素子駆動用半導体チップ(ドライバICチップ)の上に発光素子を実装し、ドライバICチップ内に温度検出素子を内蔵することで、発光素子の温度を極めて近接した所で正確に検出する、実装面積の小さい発光素子駆動用半導体チップを実現できる。この発明によれば、例えば高温時にはドライバICの動作を停止させることで、発光素子の発熱を停止させ、発光素子の破壊や劣化を防ぐ発光素子駆動用半導体チップを実現できる。
【0034】
本発明の他の観点による上記の発光素子駆動用半導体チップにおいて、前記温度検出素子の少なくとも一部は、前記発光素子を含む最小の領域を前記発光素子駆動用半導体チップ上に投影した領域である発光素子配置領域内に配置する。
【0035】
この発明によれば、発光素子の温度を正確に検出する発光素子駆動用半導体チップを実現できる。
【0036】
本発明の別の観点による上記の発光素子駆動用半導体チップにおいて、前記発光素子駆動用回路は、前記発光素子配置領域を除く領域に形成される。
【0037】
発光素子駆動用回路(ドライバ回路部)を発光素子配置領域内に配置すると、発光素子の発熱とドライバ回路部の発熱とが局部的に集中し、そこの温度が高くなるおそれがある。ドライバ回路部を発光素子配置領域を除くドライバICチップ上に形成することにより、発生する熱をドライバICチップ上で分散でき、局部的な温度のピークを抑えることができる。この発明によれば、温度上昇による発光素子及びドライバ回路部の劣化や誤動作を防ぐ発光素子駆動用半導体チップを実現できる。
【0038】
本発明の更に別の観点による上記の発光素子駆動用半導体チップにおいて、前記発光素子は異なる波長で発光する複数個の可視発光素子であって、発光素子駆動用半導体チップは、前記温度検出素子が検出した温度に基づいて前記複数個の発光素子のホワイトバランスを維持するように、前記発光素子を個々に駆動する。
【0039】
この発明によれば、発光素子の温度を正確に検出できる故に、RGBのホワイトバランスを温度に応じて調整する安価な発光素子駆動用半導体チップを実現できる。
【0040】
発明の新規な特徴は添付の請求の範囲に特に記載したものであるが、構成及び内容の双方に関して本発明は、他の目的や特徴と共に、図面と共同して理解されるところの以下の詳細な説明から、より良く理解され評価されるであろう。
【0041】
図面の一部又は全部は、図示を目的とした概要的表現により描かれており、必ずしもそこに示された要素の実際の相対的大きさや位置を忠実に描写しているとは限らないことは考慮願いたい。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、発光素子の温度を正確に検出する発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を実現できるという有利な効果が得られる。
本発明によれば、発光素子の温度が上限を超えるとドライバICの動作を停止させることで、発光素子の発熱を停止させ、発光素子の破壊や劣化を防ぐ、発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を実現できるという有利な効果が得られる。
本発明によれば、温度上昇によるドライバ回路部の劣化や誤動作を防ぐ発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を実現できる。
本発明によれば、温度に応じて赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色のホワイトバランスを調整する、発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を実現できるという有利な効果が得られる。
本発明によれば、実装面積の小さい発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の発光装置の構成を示す平面図である。
【図2】図2は図1の破線A−A’間で切断した断面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の温度検出素子の位置を示す拡大正面断面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1の温度検出素子の位置を示す平面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1の発光装置の回路図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1のドライバ回路部の位置を示す正面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1のドライバ回路部の位置を示す平面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態2の発光装置の構成を示す平面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態2の発光装置の回路図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態3の温度検出素子の回路図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態4の温度検出素子の位置を示す図である。
【図12】図12は従来例の発光装置の構成を示す平面図である。
【図13】図13は図12の破線A−A’間で切断した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下本発明の実施をするための最良の形態を具体的に示した実施の形態について、図面とともに記載する。
【0045】
《実施の形態1》
図1〜7を用いて、本発明の実施の形態1の発光装置について説明する。図1は本発明の実施の形態1における発光装置の平面図である。図2は、図1中の破線A−A’で切断した断面図である。図1及び図2において、同じ構成要素については同じ符号を用いている。図1及び図2において、従来例の図12及び図13と同じ構成要素については同じ符号を用いている。
【0046】
本発明の実施の形態1の発光装置は、基板102上に基板配線103(VCC配線及びGND配線を含む。)を形成し、基板配線103上に電源回路104と発光モジュール101とを実装する。発光モジュール101の各素子と電源回路104の各素子は、基板配線103により、それぞれ電気的に接続される。VCC配線は外部電源に接続され、GND配線は接地電位に接続される。
【0047】
電源回路104は、VCC配線とGND配線との間に接続された入力コンデンサ143と、VCC配線を介して入力コンデンサ143に接続されたコイル141と、基板配線103によりコイル141に接続されたショットキーダイオード142と、一端を基板配線103を介してショットキーダイオード142に接続されて他端をGND配線に接続された出力コンデンサ144を有する。
【0048】
発光モジュール101の構成要素について説明する。発光モジュール101は、基板配線103により電源回路104に接続される外部接続端子(VCC端子121、GND端子122、制御端子123、スイッチング端子124、電圧帰還端子125)を有する。
【0049】
VCC端子121は、VCC配線に接続されている。GND端子122は、GND配線に接続されている。制御端子123は、通常、マイクロコンピュータ等の制御回路の出力に接続され、発光装置のON/OFFの切替を行うための信号を入力される。
【0050】
スイッチング端子124は、基板配線103により、ショットキーダイオード142のアノード端子とコイル141とに接続している。電圧帰還端子125は、基板配線103により、ショットキーダイオード142のカソード端子と出力コンデンサ144とに接続している。
【0051】
本発明の実施の形態1の発光装置は、電流帰還端子126を有しない。従来例の発光装置の電流帰還端子126は従来の発光モジュール1201と接続されていたが、実施の形態1においては、発光素子111とドライバICチップ112とが発光モジュール101内で接続されるため、電流帰還端子126は必要がない。
【0052】
本発明の実施の形態1の発光モジュール101において、リードフレーム114が基板102の上方に実装され、リードフレーム114上にドライバICチップ(発光素子駆動用半導体チップ)112が固定されている。ドライバICチップ112の上面は、パッド孔113を除いて、絶縁膜131で覆われている。パッド孔113は、ドライバICチップ112上において、絶縁膜131が存在しない部分である。パッド孔113は、バンプ115を載せるためと、ボンディングワイヤ116を接続するために設けられる。
【0053】
両端に近い部分を除くパッド孔113にバンプ115が設けられ、発光素子111a、111bはバンプ115の上に実装される。両端に近い部分の5つのパッド孔113には、ボンディングワイヤ116が接続される。ドライバICチップ112は、ボンディングワイヤ116により、内部回路と外部接続端子(VCC端子121、GND端子122、制御端子123、スイッチング端子124、電圧帰還端子125)とを電気的に接続される。
【0054】
本発明の発光装置が従来例の発光装置と異なる特徴点は、発光モジュール101内にドライバICチップ112が内蔵されており、発光素子111a、111bがドライバICチップ112上に実装されていることである。そのため、本発明の基板102のサイズは、従来例の基板1202よりも小さい。本発明の発光装置は、発光素子111a、111bをドライバICチップ112上に実装するため、発光装置の実装面積を小さくすることができる。
【0055】
発光素子111a、111b(両者を図5に示すようにまとめて発光素子111と表示する。)は、それぞれ別個のチップで構成される。本発明の実施の形態1において、複数個の発光素子がドライバICチップ112上に実装される。図1〜7においては、2個の発光素子111a、111bが実装されている。
【0056】
発光素子111a、111bは、可視発光ダイオード(LED)である。発光素子の発光色は所望のものを用いうる。実施の形態1においては、発光素子111a、111bは青色発光ダイオードであって、表面に白色の蛍光物質を塗布した透過型集光レンズ(凸レンズ)119を通して白色光を外部に放射する。本発明において、複数の発光素子がそれぞれ異なる波長で発光しても良い。発光素子111の上部に配置された凸レンズ119は、発光素子111の光を集光し、光の指向性を強くし、基板102に垂直な方向の輝度を高める。
【0057】
光透過性樹脂モールド117は、発光素子111、ドライバICチップ112、リードフレーム114、凸レンズ119を含む全体を覆い、固定し保護している。光透過性樹脂モールド117は、発光素子111の光を集光し、輝度や光の指向性を調整する役割を果たしている。光透過性樹脂モールド117の上半分は、パラボラ形状であって、光を実効的に全反射して集光し、基板102に垂直な方向の輝度を高める反射面を形成している。
【0058】
実施の形態1において、光透過性樹脂モールド117及び凸レンズ119は、同一材質で一体に形成されている。複数の発光素子111a、111bが、発光装置に一体で形成された半球形の1個の表面に白色の蛍光物質を塗布した透過型集光レンズ119及び1個の反射面117の焦点近傍に配置される。
【0059】
図3は、ドライバICチップ内部の概略的な正面拡大断面図である。図2のドライバICチップ112は、図3のP型シリコン基板132の上を絶縁膜131で覆って形成される。P型シリコン基板132内の上部にN型ウェル312が形成され、その内部にP型拡散抵抗311が形成される。P型拡散抵抗311は、抵抗の正の温度特性を利用した温度検出素子である。
【0060】
P型拡散抵抗311の上面は、絶縁膜131で覆われている。実施の形態1において、絶縁膜131は酸化膜(SiO2)である。なお、絶縁膜131の材質は、酸化膜(SiO2)に限定されず、窒化膜(SiN)、高分子化合物(ポリイミド等)、樹脂(エポキシ等)等であっても良い。
【0061】
図4は、ドライバICチップの概略的な平面図である。図3及び図4は、ドライバICチップ112に内蔵されるP型拡散抵抗(温度検出素子)311の位置を示している。P型拡散抵抗(温度検出素子)311は、発光素子配置領域300内に配置される。ここで「発光素子配置領域」とは、「全ての発光素子を含む最小の長方形の領域をドライバICチップ上に投影した領域」である。
【0062】
発光素子配置領域300内の温度は、発光素子111の温度に最も近くなる。温度検出素子311を発光素子配置領域300内に置くことで、正確な温度検出を行うことができる。
【0063】
図5は、本発明の実施の形態1の発光装置の回路図である。図5において、図1〜4と同じ構成要素については同じ符号を用いている。図5に示すように、本発明の実施の形態1の発光装置は、外部電源140の出力する電圧を昇圧する電源回路104と、外部接続端子(VCC端子121、スイッチング端子124、電圧帰還端子125)を介して電源回路104に接続される発光モジュール101とで構成されている。
【0064】
電源回路104において、外部電源140に入力コンデンサ143の一端が接続されている。入力コンデンサ143の他端は、接地電位に接続される。コイル141は、入力電源140とショットキーダイオード142のアノード端子とに接続される。ショットキーダイオード142のカソード端子は、出力コンデンサ144の一端に接続される。出力コンデンサの他端は接地電位に接続されている。
【0065】
発光モジュール101は、電圧帰還端子125を介して出力コンデンサ144の出力電圧を印加される発光素子111b及び発光素子111aと、温度検出回路501と、発光素子111aと温度検出回路501に接続されたドライバ回路部(発光素子駆動用回路)502とを有する。温度検出回路501とドライバ回路部502は、図1及び図2のドライバICチップ112に形成される回路である。
【0066】
温度検出回路501は、定電流源512、定電流源512と接地電位との間に接続された温度検出素子311、定電流源512と温度検出素子311との接続点を反転入力端子に入力された電圧比較器513、電圧比較器513の非反転入力端子と接地電位との間に接続された基準電圧514を有する。電圧比較器513の出力は、AND回路524に入力される。
【0067】
温度検出素子311は、図3に示すP型拡散抵抗である。P型拡散抵抗は温度が高くなると抵抗値を増す特性を持つため、温度検出素子311の端子電圧は温度上昇とともに高くなる。温度検出素子311の端子電圧が基準電圧514よりも高くなった時点で、電圧比較器513の出力はLowになる。
【0068】
ドライバ回路部502は、温度検出回路501と制御端子123を入力端子に接続されたAND回路524、発光素子111aのカソードとGND端子122との間に接続された電流検出抵抗523、電流検出抵抗523とAND回路524の出力端子とに接続された電圧検出回路522、及びAND回路524の出力端子と電圧検出回路522とに接続された駆動回路521を有する。
【0069】
AND回路524は、温度検出回路501の出力信号と、制御端子123に入力された制御信号とを入力し、両者がHighであればHighの信号を出力して、駆動回路521と電圧検出回路522とを駆動する。発光素子111は、連続発光する。AND回路524は、温度検出回路501の出力信号と、制御端子123から入力する制御信号との、どちらか一方でもLowであれば、駆動回路521と電圧検出回路522の動作を停止させ、ドライバICチップ112全体を停止させる。発光素子111の発光も停止する。制御端子123にパルス電圧を入力することで、発光素子111の点滅の動作を繰り返すこともできる。
【0070】
電圧検出回路522は、発光素子111aと電流検出抵抗523との接続点を反転入力端子に入力された誤差アンプ542、誤差アンプ542の非反転入力端子と接地電位との間に接続された比較電圧541、誤差アンプ542の出力端子を非反転入力端子に接続されたPWMコンパレータ544、PWMコンパレータ544の反転入力端子に接続された鋸波発振器543を有する。
【0071】
電圧検出回路522において、誤差アンプ542、発振器543、及びPWMコンパレータ544は、電流検出抵抗523の端子間電圧が誤差アンプ542の非反転入力端子に入力される比較電圧541と等しくなるように、負帰還の動作を行う。電圧検出回路522は、電流検出抵抗523に流れる電流が一定になるように制御して、発光素子111に流れる電流を一定にし、発光の明るさを一定に保っている。
【0072】
電圧検出回路522のPWMコンパレータ544の出力端子は、駆動回路521のAND回路531の一方の入力端子に接続される。AND回路531の他方の入力端子は、AND回路524の出力端子に接続されている。AND回路531の出力端子は、アンプを介して、Nチャネル型MOSトランジスタ532のゲートに接続される。
【0073】
NチャネルMOSトランジスタ532のドレインは、コイル141とショットキーダイオード142の接続点に接続され、NチャネルMOSトランジスタ532のソースは接地電位に接続されている。駆動回路521は、AND回路531の出力に基づいて、Nチャネル型MOSトランジスタ532のスイッチング動作を制御する。このスイッチング動作により、外部電源140からコイル141を含む回路に与えられた入力電圧は昇圧され、出力コンデンサ144には、入力電圧より高い電圧が出力される。
【0074】
出力コンデンサ144の電圧は、電圧帰還端子125を通して直列接続された発光素子111a及び111bの電気信号端子であるアノード−カソード間に印加され、発光素子111a及び111bは発光する。発光素子111a及び111bを流れる電流は、発光素子111aのカソードに直列接続された電流検出抵抗523によって電圧として検出される。
【0075】
上記のように構成された本発明の発光装置において、発光素子111a及び111bに定電流が供給される動作について説明する。発光素子111aと発光素子111bに流れる電流が増加すると、電流検出抵抗523の端子電圧は高くなる。電流検出抵抗523の端子電圧が比較電圧541よりも高くなり、電流検出抵抗523の端子電圧と比較電圧541との電圧差が大きくなると、電圧検出回路522の誤差アンプ542の出力信号は低くなる。
【0076】
誤差アンプ542の出力信号を非反転入力端子に入力され、発振器543の出力信号を反転入力端子に入力されるPWMコンパレータ544の出力信号は、誤差アンプ542の出力信号が低くなるにつれロー(Low)期間が長くなり、ハイ(High)期間が短くなる。PWMコンパレータ544の出力信号がハイの間、Nチャネル型MOSトランジスタ532はオンになる。オン時間が短くなるため、外部電源140から入力された電流をコイル141に蓄積する量が少なくなる。
【0077】
コイル141に蓄積される電流が少ないため、PWMコンパレータ544の出力信号がローになり、Nチャネル型MOSトランジスタ532がオフになったときに、出力コンデンサ144及び電圧帰還端子125に印加される電圧値は小さくなる。従って、電圧帰還端子125から発光素子111a及び発光素子111bに流れる電流は少なくなる。すると、電流検出抵抗523の端子電圧が下がり、電流検出抵抗523の端子電圧と比較電圧541との差が小さくなる。
【0078】
発光素子111a及び111bに流れる電流が少なくなったときの動作については、上記の動作と逆の動作を行う。このようにして、ドライバ回路部502は電流検出抵抗523の端子電圧が比較電圧541と等しくなるように、Nチャネル型MOSトランジスタ532のスイッチング動作を制御する。これにより、ドライバ回路部502は、電圧帰還端子125から直列に接続された発光素子111aと発光素子111bに、一定電流が流れるように制御する。
【0079】
また、Nチャネル型MOSトランジスタ532を制御するAND回路531には、温度検出回路501の出力信号と制御端子123に入力された制御信号とを入力するAND回路524の出力信号が入力されている。P型拡散抵抗は温度が高くなると抵抗値を増す特性を持つため、温度検出素子311の端子電圧は温度上昇とともに高くなる。温度検出素子311の端子電圧が基準電圧514よりも高くなった時点で、電圧比較器513の出力はLowになる。すると、AND回路524の出力信号及びAND回路531の出力信号がLowになり、Nチャネル型MOSトランジスタ532はスイッチング動作を停止する。
【0080】
上記のように、発光素子111の発熱によって発光素子111の温度が所定の上限値(基準電圧514)より上昇した場合、Nチャネル型MOSトランジスタ532のスイッチング動作を停止させて、発光素子111の発光を停止させる。このように本発明の発光装置は、発光素子111の温度上昇を止めるように働くため、発光素子111は高温使用による劣化や破壊から免れることができる。
【0081】
図5に示すドライバ回路部502は、図6及び図7に示す位置に配置される。図6及び図7は、ドライバICチップ112上での発光素子111とドライバ回路部502との位置関係を示したものである。図7はドライバICチップ112の平面図であって、図6は図7の破線A−A’で示す断面で切断した断面図である。図6及び図7に示すドライバ回路部502の枠線wは、ドライバ回路部の構造を示すものではなく、ドライバ回路部が配置される領域を示すものである。
【0082】
ドライバ回路部502は、ドライバICチップ112内の発光素子配置領域300を除く領域に配置する。ドライバ回路部502を発光素子配置領域300内に配置すると、発光素子111の発熱とドライバ回路部502の発熱とが局部的に集中し、領域内の温度が高くなるおそれがある。本実施例ではドライバ回路部502をドライバICチップ112上の発光素子配置領域300を除く領域に形成することにより、発生する熱をドライバICチップ112上で分散でき、局部的な温度のピークを抑えることができる。図6及び図7のようにドライバ回路部502を配置することで、ドライバICチップ112の誤動作を防ぐことができる。
【0083】
なお、上記の実施の形態1のドライバICチップ112は、定電流回路であって、入力電圧を昇圧し、発光素子111a、111bに所定の電流を流すよう構成されていた。その構成に代えて、ドライバICチップが定電圧回路であって、入力電圧を昇圧し、発光素子111a、111bに所定の電圧を印加するよう構成しても良い。また別構成としてドライバICチップが、入力電圧を一定電圧に昇圧する定電圧回路と、並列に接続された複数の発光素子のそれぞれに所定の電流を流す定電流回路とを有していても良い。ドライバICチップは、入力電圧を降圧し、発光素子111a、111bに所定の電流を流す定電流回路、又は発光素子111a、111bに所定の電圧を印加する定電圧回路であっても良い。
【0084】
なお、実施の形態1の図1から図7においては、2個の発光素子111が直列接続されているが、直列接続される発光素子の個数は2個に限定されるものではなく、複数個の直列接続も本発明に含まれる。また、発光素子と発光素子に直列接続された抵抗とを、複数個並列接続する発光装置も本発明に含まれる。もちろん、発光素子が1つであっても構わない。
【0085】
また、実施の形態1では、発光素子111の上部に配置される凸レンズ119は一つであったが、発光素子の数に合わせて複数の凸レンズを配置することも可能である。例えば、発光素子1つに対して凸レンズ1つの組合せであっても良い。
【0086】
《実施の形態2》
図8及び図9を用いて、本発明の実施の形態2の発光装置について説明する。図8は、本発明の実施の形態2における発光装置の平面図である。図8において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用いている。実施の形態2の発光装置が実施の形態1の発光装置と異なる点は、発光素子811を3個有することと、実施の形態1のドライバICチップ112に代えて実施の形態2のドライバICチップ812を有することである。実施の形態2において、その他の構成においては、実施の形態1と同一である。それ故重複する説明を省略する。実施の形態2の発光装置は、赤色発光素子811R、緑色発光素子811G、青色発光素子811BをドライバICチップ812上に実装している。
【0087】
図9は、本発明の実施の形態2の発光装置の回路図である。実施の形態2の図9において、実施の形態1の図5と同じ回路素子については同じ符号を用いている。本発明の実施の形態2の発光装置は、電源回路104と電源回路104に接続された発光モジュール101とを有する。電源回路104については、実施の形態1と同じである。
【0088】
実施の形態2の発光モジュール101は、温度検出回路とドライバ回路部とをドライバICチップ812に搭載する。
【0089】
温度検出回路は、定電流源512、定電流源512と接地電位との間に接続された温度検出素子311、定電流源512と温度検出素子311との接続点に非反転入力端子を接続された発光色R,G,Bの信号のための差動増幅器911、912、913、各差動増幅器911、912、913の反転入力端子と接地電位との間に接続された基準電圧源921、922、923、各差動増幅器911、912、913の出力端子を非反転入力端子に接続された差動増幅器931、932、933を有する。
【0090】
各差動増幅器911、912、913は、基準電圧源921、922、923の電圧を反転入力端子に入力し、温度検出素子311が検出した電圧を非反転入力端子に入力し、その差を増幅した電圧値を出力する。
【0091】
差動増幅器931、932、933は、電流検出抵抗941、942、943が検出した電圧を反転入力端子に入力し、差動増幅器911、912、913の出力電圧を非反転入力端子に入力し、その差を増幅した電圧値を出力する。
【0092】
差動増幅器931、932、933の出力端子には、それぞれ赤色発光素子811R、緑色発光素子811G、青色発光素子811Bのアノードが接続されている。赤色発光素子811R、緑色発光素子811G、青色発光素子811Bのカソードは、差動増幅器931、932、933の反転入力端子に接続されている。
【0093】
各差動増幅器911、912、913の利得は、RGBの温度による発光効率に合わせてそれぞれ異なる。一般的に、R、G、Bの発光素子は、温度が上昇すると輝度が下がる。特に、赤色の発光素子811Rは、高温で発光効率が急激に低下する。そこで後述のドライバ回路部は、温度が上昇すると、R、G、Bの発光素子に流す電流を各素子の温度特性に応じて変化させるように構成しておく。
【0094】
温度検出素子311は、P型拡散抵抗である。温度が上昇すると温度検出素子311の抵抗は大きくなる。発光装置は、温度検出素子311の端子電圧が高くなると、発光素子811R、811G、811Bに供給する電圧を上げ、発光素子の輝度を上げる。これにより、高温で発光効率が急激に低下することを補償し、RGBのホワイトバランスを調整する。
【0095】
赤色の発光素子811Rの差動増幅器911は、温度検出素子311の出力電圧の変化量を発光素子の電流にフィードバックする利得が、他の差動増幅器912、913と比較して高い。
【0096】
ドライバ回路部は、赤色発光素子811R、緑色発光素子811G、青色発光素子811BのカソードとGND端子122との間にそれぞれ接続された電流検出抵抗941、942、943、電圧帰還端子125と制御端子123とに接続された電圧検出回路522、電圧検出回路522とスイッチング端子124との間に接続された駆動回路521を有する。
【0097】
電圧検出回路522の誤差アンプ542の反転入力端子は、電圧帰還端子125に接続されている。電圧検出回路522のその他の構成は、実施の形態1と同一である。電圧検出回路522は、出力コンデンサ144の出力電圧が誤差アンプ542の非反転入力端子に入力される比較電圧541と等しくなるように、負帰還の動作を行う。
【0098】
駆動回路521の内部回路は、実施の形態1と同一であるため、重複する説明を省略する。
【0099】
実施の形態2の発光装置の構成に代えて、赤色発光素子811Rに流す電流を一定とし、温度が上昇するとホワイトバランスが維持されるように、緑色及び青色の発光素子811G、811Bに流す電流を減少させても良い。温度が上昇すると輝度は低下するが、ホワイトバランスが維持されることにより、使用者に違和感を与えることはほとんどない。
【0100】
本実施の形態のR、G、Bの発光素子は、温度が上昇すると輝度が下がるものであった。しかしこれに限られるものではなく、関係回路を変更することにより、温度が上昇すると輝度が上がるタイプの発光素子も用いることができる。
【0101】
本実施の形態において、凸レンズを発光素子811R、811G、811Bの数に合わせて、複数個配置しても良い。
【0102】
《実施の形態3》
図10を用いて、本発明の実施の形態3の発光装置について説明する。図10は、温度検出素子の内部回路を示す回路図である。実施の形態3の発光装置が実施の形態1と異なる点は、温度検出素子だけである。
【0103】
図10において、(a)は実施の形態2の温度検出素子、(b)は(a)の温度特性、(c)(d)(f)は実施の形態3の温度検出素子、(e)は(c)(d)の温度特性、(g)は(f)の温度特性を示す。図10(b)(e)(g)において、横軸は温度、縦軸は出力電圧を示す。
【0104】
図10(a)及び(b)は、P型拡散抵抗311及び定電流源512で構成した実施の形態2の温度検出素子とその温度特性を、それぞれ参考に示したものである。この温度検出素子は、P型拡散抵抗311の両端電圧V0を出力する。電圧V0は温度に依存し、温度が上昇すると電圧値も上昇する。
【0105】
図10(c)の温度検出素子は、カソードが接地されたダイオード1011と、ダイオード1011のアノードに接続された定電流源I0を用いて構成される。この温度検出素子は、ダイオード1011と定電流源I0の接続点から、アノード−カソード電圧V1を出力する。図10(e)に示すように、温度が上昇すると、電圧V1は下降する。
【0106】
図10(d)の温度検出素子は、定電流源I1と定電流源I2と、ベースを定電流源I1に接続されコレクタを定電流源I2に接続されエミッタを接地電位に接続されたバイポーラトランジスタ1012を用いて構成される。この温度検出素子は、定電流源I2とバイポーラトランジスタ1012との接続点から、ベース−エミッタ電圧V2を出力する。図10(e)に示すように、温度が上昇すると、電圧V2は下降する。
【0107】
図10(f)の温度検出素子は、一端を接地電位に接続されたP型拡散抵抗1013、P型拡散抵抗101の他端に接続された定電流源I1、ベースをP型拡散抵抗101と定電流源I1との接続点に接続され、エミッタを接地電位に接続されたバイポーラトランジスタ1014、バイポーラトランジスタ1014のコレクタに接続された定電流源I2を用いて構成される。この温度検出素子は、定電流源I2とバイポーラトランジスタ1014の接続点から、バイポーラトランジスタ1014のコレクタ電圧V3を出力する。バイポーラトランジスタ1014のベース電圧は、定電流源I1と抵抗1013の接続点の電圧V0により与えられる。図10(g)に示すように、温度が上昇すると、電圧V0は上昇し、電圧V3は下降する。
【0108】
図10(c)(d)(f)に示すように、実施の形態3の温度検出素子は、温度のパラメータに対して正特性であるか負特性であるかに応じて、温度をフィードバックする回路を構成する。
【0109】
フィードバックの極性及び利得を除いて、温度検出素子以外の実施の形態3の構成は、実施の形態1及び2と同一である。それ故、重複する説明を省略する。この実施の形態3においても要部の構成が同一である故、実施の形態1及び2と同一の効果を有する。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、発光素子と凸レンズの数の組合せは任意である。
【0110】
《実施の形態4》
図11を用いて、本発明の実施の形態4の発光装置について説明する。図11は、本発明の実施の形態4のドライバICチップ内部に内蔵された温度検出素子の位置を示した平面図である。実施の形態4の発光装置が実施の形態1と異なる点は、温度検出素子の位置だけである。
【0111】
図11(a)は、正方形の発光素子111を4個配置した場合の温度検出素子の配置領域を示す図である。図11(b)は、円形の発光素子111を3個配置した場合の温度検出素子の配置領域を示す図である。
【0112】
実施の形態1の温度検出素子311(図3及び図4)は全体が発光素子配置領域300内に配置されていたが、実施の形態4の温度検出素子(図11)の配置領域1111及び1112は、その領域の一部が発光素子配置領域300内にある。実施の形態4のように、温度検出素子の少なくとも一部が発光素子配置領域300内に配置されていれば、発光素子の正確な温度を検出することができ、発光素子の破壊や劣化を防止できる。
【0113】
図11では、各発光素子をドライバICチップ上に投影した領域と、温度検出素子の配置領域1111、1112とは重なっていない。複数の発光素子を有する発光装置においては、温度検出素子の配置領域1111、1112の一部を特定の発光素子の真下(発光素子をドライバICチップ上に投影した領域)に配置すると、温度検出素子がその特定の発光素子の発熱の影響を過大に受けるおそれがある。図11のように、各発光素子の真下に温度検出素子の配置領域1111、1112がないようにすることにより、温度検出素子は全ての発光素子の平均的な温度を正確に検知することができる。
【0114】
実施の形態4の発光装置において、温度検出素子の配置以外の構成は実施の形態1〜3と同一である。それ故、重複する説明を省略する。実施の形態4の発光装置においても要部の構成が同一である故、実施の形態1〜3と同一の効果を有する。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、発光素子と凸レンズの数の組合せは任意である。
【0115】
実施の形態1から実施の形態4のいずれかの発光装置を複数個並列に接続することにより、照明装置を作ることが出来る。
【0116】
発明をある程度の詳細さをもって好適な形態について説明したが、この好適形態の現開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、各要素の組合せや順序の変化は請求された発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、発光素子駆動用半導体チップ、発光装置、及び照明装置に利用可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子駆動用半導体チップ、発光装置、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やデジタルカメラ等の電子機器において、可視発光ダイオード(可視光LED)等の発光素子を駆動する発光装置、及びその発光装置を複数個用いた照明装置が利用される機会が増えている。電子機器の高集積化に伴い、実装面積の小さい発光装置が市場より要求されている。
【0003】
特開2003−8075号公報(特許文献1)に、保護素子の上に発光素子を実装し、1つの発光モジュールとすることで発光装置の実装面積を削減する技術が開示されている。図12及び図13を用いて、特許文献1に記載された従来例の発光装置について説明する。
【0004】
図12は、従来例の発光装置の構成を示す平面図である。図13は、図12の破線A−A’の断面図である。図12及び図13において、同じ構成要素については、同じ符号を用いている。従来例の発光装置は、基板1202上に基板配線1203(VCC配線及びGND配線を含む。)を形成し、基板配線1203上に発光モジュール1201と電源回路104とドライバIC1204とを実装している。発光モジュール1201、電源回路104、及びドライバIC1204の構成要素である各素子は、基板配線1203により、それぞれ電気的に接続されている。
【0005】
電源回路104は、VCC配線とGND配線との間に接続された入力コンデンサ143と、VCC配線を介して入力コンデンサ143に接続されたコイル141と、基板配線1203によりコイル141に接続されたショットキーダイオード142と、一端を基板配線1203を介してショットキーダイオード142と電圧帰還端子125とに接続されて他端をGND配線に接続された出力コンデンサ144を有する。
【0006】
発光モジュール1201において、リードフレーム114は、基板1202の上方に実装されている。ツェナダイオード1213は、リードフレーム114上に固定される。ツェナダイオード1213の上面は、パッド孔113を除いて絶縁膜131で覆われている。
【0007】
ツェナダイオード1213上の両端に近い部分を除くパッド孔113にはバンプ115が載せられ、バンプ115の上に発光素子111が実装されている。発光素子111は、可視発光ダイオード(LED)である。ツェナダイオード1213は、発光素子111を静電破壊及び高耐圧破壊から保護している。
【0008】
図12及び図13において2個のツェナダイオード1213の上に、それぞれ発光素子111が実装されている。従来例の発光装置は、発光素子111をツェナダイオード1213上に実装して一体化したモジュールとすることで、ツェナダイオード1213と発光素子111とを別々に実装する場合よりも、実装面積を小さくしている。
【0009】
ツェナダイオード1213上の両端に近い部分のパッド孔113には、2つのボンディングワイヤ116の一端がそれぞれ接続されている。一方のボンディングワイヤ116の他端は、アノード側端子1253に接続され、もう一方のボンディングワイヤ116の他端は、カソード側端子1254に接続される。
【0010】
ドライバIC1204において、リードフレーム114は、基板1202の上方に実装される。ドライバICチップ1212は、リードフレーム114上に固定されている。ドライバICチップ1212の上面は、パッド孔113を除いて絶縁膜131に覆われている。
【0011】
6つのパッド孔には6つのボンディングワイヤ116の一端がそれぞれ接続され、各ボンディングワイヤ116の他端はそれぞれ外部接続端子(制御端子123、電圧帰還端子125、スイッチング端子124、電流帰還端子126、VCC端子121、GND端子122)に接続されている。このように複数のボンディングワイヤ116を通して、ドライバICチップ1212は、外部接続端子に電気的に接続されている。
【0012】
VCC端子121は、VCC配線に接続されている。GND端子122は、GND配線に接続されている。制御端子123は、ドライバIC1204のON/OFFの切替を行うための信号を入力される端子である。
【0013】
スイッチング端子124は、基板配線1203によりショットキーダイオード142のアノード端子とコイル141とに接続している。電圧帰還端子125は、基板配線1203によって、ショットキーダイオード142のカソード端子、発光モジュール1201のアノード側端子1253、及び出力コンデンサ144と接続している。電流帰還端子126は、基板配線1203によって、発光モジュール1201のカソード側端子1254と接続している。
【特許文献1】特開2003−8075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発光素子は高輝度化の要望が高く、発光素子の消費電力は年々増加傾向にある。発光素子の光電変換効率は30%程度であるため、発光素子の消費電力の70%以上は熱となって消費され、発光素子の温度を上昇させる。特に動作保証温度範囲以上の高温条件下での発光素子の連続使用は、素子の破壊、劣化を招く。発光素子の動作保証温度範囲で発光素子を使用するためには、発光素子の温度を検出する温度検出素子を用いて、発光素子の動作を制御する必要がある。
【0015】
しかし、従来の発光装置の構成においては、発光モジュール1201内に温度検出素子を実装できないため、温度検出素子を省略して実装しないことが多かった(そのため、図12及び図13では温度検出素子の図示を省略している。)。また、従来の発光装置の構成において温度検出素子を実装する場合、温度検出素子はドライバIC1204上に実装される。即ち、温度検出素子は、従来の発光モジュール1201の外部に実装されるため、発光素子111の温度を正確に検出することはできない。そのため、従来の発光装置は、発光素子をその温度に基づいて動作制御することが困難であった。従来例の発光装置は、発光素子の発熱による温度上昇に伴い、発光素子の劣化や破壊が起こるおそれがあるという問題があった。
【0016】
本発明は、上記問題を解決するもので、従来よりも発光素子により近いところに温度検出素子を設けることにより、発光素子の温度を正確に検出する発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0017】
本発明は、発光素子の温度が上限を超えるとドライバICの動作を停止させることで、発光素子の発熱を停止させ、発光素子の破壊や劣化を防ぐ発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0018】
本発明は、発光素子の温度を正確に検出し、温度に応じて赤、緑、青の3原色のホワイトバランスを調整する発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0019】
本発明は、実装面積の小さい発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、本発明は下記の構成を有する。
本発明の1つの観点による発光装置は、電気信号端子を備えて、前記電気信号端子に外部から与えられる電気信号によって駆動され発光する発光素子と、前記電気信号を出力して前記電気信号端子に印加する発光素子駆動用回路並びに周囲温度を検出する温度検出素子を半導体によって形成した発光素子駆動用半導体チップと、を備え、前記発光素子を前記発光素子駆動用半導体チップ面上に装着すると共に前記温度検出素子が検出した温度に連動して前記発光素子を駆動する。
【0021】
この発明によれば、発光素子駆動用半導体チップ(ドライバICチップ)の上に発光素子を実装し、ドライバICチップ内に温度検出素子を内蔵することで、発光素子の温度を極めて近接した所で正確に検出する、実装面積の小さい発光装置を実現できる。この発明によれば、例えば高温時にはドライバICの動作を停止させることで、発光素子の発熱を停止させ、発光素子の破壊や劣化を防ぐ発光装置を実現できる。
【0022】
本発明の他の観点による上記の発光装置において、前記温度検出素子の少なくとも一部は、前記発光素子を含む最小の領域を前記発光素子駆動用半導体チップ上に投影した領域である発光素子配置領域内に配置する。
【0023】
この発明によれば、発光素子の温度を正確に検出する発光装置を実現できる。
【0024】
本発明の別の観点による上記の発光装置において、前記発光素子駆動用回路は、前記発光素子配置領域を除いた前記発光素子駆動用半導体チップ内に形成される。
【0025】
発光素子駆動用回路(ドライバ回路部)を発光素子配置領域内に配置すると、発光素子の発熱とドライバ回路部の発熱とが局部的に集中し、そこの温度が高くなるおそれがある。ドライバ回路部を発光素子配置領域を除いたドライバICチップ内の領域に形成することにより、発生する熱をドライバICチップ上で分散でき、局部的な温度のピークを抑えることができる。この発明によれば、温度上昇による発光素子及びドライバ回路部の劣化や誤動作を防ぐ発光装置を実現できる。
【0026】
本発明の更に別の観点による上記の発光装置において、前記発光素子は、異なる波長で発光する複数個の可視発光素子であって、前記発光素子駆動用半導体チップは、前記温度検出素子が検出した温度に基づいて前記複数個の発光素子のホワイトバランスを維持するように、前記発光素子を個々に駆動する。
【0027】
発光素子は、その種類に応じた固有の温度特性を有する。例えば赤色発光ダイオードは、青色発光ダイオードや緑色発光ダイオードと比較して温度が上昇した時の輝度低下が大きい。赤、緑、青の3原色でそれぞれ発光する複数の可視発光素子を有するカラー表示用発光装置において、使用温度範囲の全域でホワイトバランスを維持することが重要である。
【0028】
従来、発光素子の温度を正確に検出することが困難であった故に、温度に応じて赤、緑、青の3原色でそれぞれ発光する複数の可視発光素子の輝度調整をすることは困難であった。又、赤、緑、青の3原色でそれぞれ発光する複数の可視発光素子の取り付け位置が離れている場合には、それぞれの発光素子に温度検出素子を取り付ける必要があり、コストが高かった。
【0029】
この発明によれば、発光素子の温度を正確に検出できる故に、RGBのホワイトバランスを温度に応じて調整する安価な発光装置を実現できる。
【0030】
本発明の1つの観点による照明装置は、上記の発光装置を複数個有する。
【0031】
この発明によれば、上記の効果を奏する照明装置を実現できる。
【0032】
本発明の1つの観点による発光素子駆動用半導体チップは、電気信号端子を備えて、前記電気信号端子に外部から与えられる電気信号によって駆動され発光する発光素子を装着する発光素子駆動用半導体チップであって、前記電気信号を出力して前記電気信号端子に印加する発光素子駆動用回路と周囲温度を検出する温度検出素子とを備え、前記温度検出素子が検出した温度に連動して前記発光素子を駆動する。
【0033】
この発明によれば、発光素子駆動用半導体チップ(ドライバICチップ)の上に発光素子を実装し、ドライバICチップ内に温度検出素子を内蔵することで、発光素子の温度を極めて近接した所で正確に検出する、実装面積の小さい発光素子駆動用半導体チップを実現できる。この発明によれば、例えば高温時にはドライバICの動作を停止させることで、発光素子の発熱を停止させ、発光素子の破壊や劣化を防ぐ発光素子駆動用半導体チップを実現できる。
【0034】
本発明の他の観点による上記の発光素子駆動用半導体チップにおいて、前記温度検出素子の少なくとも一部は、前記発光素子を含む最小の領域を前記発光素子駆動用半導体チップ上に投影した領域である発光素子配置領域内に配置する。
【0035】
この発明によれば、発光素子の温度を正確に検出する発光素子駆動用半導体チップを実現できる。
【0036】
本発明の別の観点による上記の発光素子駆動用半導体チップにおいて、前記発光素子駆動用回路は、前記発光素子配置領域を除く領域に形成される。
【0037】
発光素子駆動用回路(ドライバ回路部)を発光素子配置領域内に配置すると、発光素子の発熱とドライバ回路部の発熱とが局部的に集中し、そこの温度が高くなるおそれがある。ドライバ回路部を発光素子配置領域を除くドライバICチップ上に形成することにより、発生する熱をドライバICチップ上で分散でき、局部的な温度のピークを抑えることができる。この発明によれば、温度上昇による発光素子及びドライバ回路部の劣化や誤動作を防ぐ発光素子駆動用半導体チップを実現できる。
【0038】
本発明の更に別の観点による上記の発光素子駆動用半導体チップにおいて、前記発光素子は異なる波長で発光する複数個の可視発光素子であって、発光素子駆動用半導体チップは、前記温度検出素子が検出した温度に基づいて前記複数個の発光素子のホワイトバランスを維持するように、前記発光素子を個々に駆動する。
【0039】
この発明によれば、発光素子の温度を正確に検出できる故に、RGBのホワイトバランスを温度に応じて調整する安価な発光素子駆動用半導体チップを実現できる。
【0040】
発明の新規な特徴は添付の請求の範囲に特に記載したものであるが、構成及び内容の双方に関して本発明は、他の目的や特徴と共に、図面と共同して理解されるところの以下の詳細な説明から、より良く理解され評価されるであろう。
【0041】
図面の一部又は全部は、図示を目的とした概要的表現により描かれており、必ずしもそこに示された要素の実際の相対的大きさや位置を忠実に描写しているとは限らないことは考慮願いたい。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、発光素子の温度を正確に検出する発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を実現できるという有利な効果が得られる。
本発明によれば、発光素子の温度が上限を超えるとドライバICの動作を停止させることで、発光素子の発熱を停止させ、発光素子の破壊や劣化を防ぐ、発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を実現できるという有利な効果が得られる。
本発明によれば、温度上昇によるドライバ回路部の劣化や誤動作を防ぐ発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を実現できる。
本発明によれば、温度に応じて赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色のホワイトバランスを調整する、発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を実現できるという有利な効果が得られる。
本発明によれば、実装面積の小さい発光素子駆動用半導体チップ、発光装置及びそれを用いた照明装置を実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の発光装置の構成を示す平面図である。
【図2】図2は図1の破線A−A’間で切断した断面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の温度検出素子の位置を示す拡大正面断面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1の温度検出素子の位置を示す平面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1の発光装置の回路図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1のドライバ回路部の位置を示す正面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1のドライバ回路部の位置を示す平面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態2の発光装置の構成を示す平面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態2の発光装置の回路図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態3の温度検出素子の回路図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態4の温度検出素子の位置を示す図である。
【図12】図12は従来例の発光装置の構成を示す平面図である。
【図13】図13は図12の破線A−A’間で切断した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下本発明の実施をするための最良の形態を具体的に示した実施の形態について、図面とともに記載する。
【0045】
《実施の形態1》
図1〜7を用いて、本発明の実施の形態1の発光装置について説明する。図1は本発明の実施の形態1における発光装置の平面図である。図2は、図1中の破線A−A’で切断した断面図である。図1及び図2において、同じ構成要素については同じ符号を用いている。図1及び図2において、従来例の図12及び図13と同じ構成要素については同じ符号を用いている。
【0046】
本発明の実施の形態1の発光装置は、基板102上に基板配線103(VCC配線及びGND配線を含む。)を形成し、基板配線103上に電源回路104と発光モジュール101とを実装する。発光モジュール101の各素子と電源回路104の各素子は、基板配線103により、それぞれ電気的に接続される。VCC配線は外部電源に接続され、GND配線は接地電位に接続される。
【0047】
電源回路104は、VCC配線とGND配線との間に接続された入力コンデンサ143と、VCC配線を介して入力コンデンサ143に接続されたコイル141と、基板配線103によりコイル141に接続されたショットキーダイオード142と、一端を基板配線103を介してショットキーダイオード142に接続されて他端をGND配線に接続された出力コンデンサ144を有する。
【0048】
発光モジュール101の構成要素について説明する。発光モジュール101は、基板配線103により電源回路104に接続される外部接続端子(VCC端子121、GND端子122、制御端子123、スイッチング端子124、電圧帰還端子125)を有する。
【0049】
VCC端子121は、VCC配線に接続されている。GND端子122は、GND配線に接続されている。制御端子123は、通常、マイクロコンピュータ等の制御回路の出力に接続され、発光装置のON/OFFの切替を行うための信号を入力される。
【0050】
スイッチング端子124は、基板配線103により、ショットキーダイオード142のアノード端子とコイル141とに接続している。電圧帰還端子125は、基板配線103により、ショットキーダイオード142のカソード端子と出力コンデンサ144とに接続している。
【0051】
本発明の実施の形態1の発光装置は、電流帰還端子126を有しない。従来例の発光装置の電流帰還端子126は従来の発光モジュール1201と接続されていたが、実施の形態1においては、発光素子111とドライバICチップ112とが発光モジュール101内で接続されるため、電流帰還端子126は必要がない。
【0052】
本発明の実施の形態1の発光モジュール101において、リードフレーム114が基板102の上方に実装され、リードフレーム114上にドライバICチップ(発光素子駆動用半導体チップ)112が固定されている。ドライバICチップ112の上面は、パッド孔113を除いて、絶縁膜131で覆われている。パッド孔113は、ドライバICチップ112上において、絶縁膜131が存在しない部分である。パッド孔113は、バンプ115を載せるためと、ボンディングワイヤ116を接続するために設けられる。
【0053】
両端に近い部分を除くパッド孔113にバンプ115が設けられ、発光素子111a、111bはバンプ115の上に実装される。両端に近い部分の5つのパッド孔113には、ボンディングワイヤ116が接続される。ドライバICチップ112は、ボンディングワイヤ116により、内部回路と外部接続端子(VCC端子121、GND端子122、制御端子123、スイッチング端子124、電圧帰還端子125)とを電気的に接続される。
【0054】
本発明の発光装置が従来例の発光装置と異なる特徴点は、発光モジュール101内にドライバICチップ112が内蔵されており、発光素子111a、111bがドライバICチップ112上に実装されていることである。そのため、本発明の基板102のサイズは、従来例の基板1202よりも小さい。本発明の発光装置は、発光素子111a、111bをドライバICチップ112上に実装するため、発光装置の実装面積を小さくすることができる。
【0055】
発光素子111a、111b(両者を図5に示すようにまとめて発光素子111と表示する。)は、それぞれ別個のチップで構成される。本発明の実施の形態1において、複数個の発光素子がドライバICチップ112上に実装される。図1〜7においては、2個の発光素子111a、111bが実装されている。
【0056】
発光素子111a、111bは、可視発光ダイオード(LED)である。発光素子の発光色は所望のものを用いうる。実施の形態1においては、発光素子111a、111bは青色発光ダイオードであって、表面に白色の蛍光物質を塗布した透過型集光レンズ(凸レンズ)119を通して白色光を外部に放射する。本発明において、複数の発光素子がそれぞれ異なる波長で発光しても良い。発光素子111の上部に配置された凸レンズ119は、発光素子111の光を集光し、光の指向性を強くし、基板102に垂直な方向の輝度を高める。
【0057】
光透過性樹脂モールド117は、発光素子111、ドライバICチップ112、リードフレーム114、凸レンズ119を含む全体を覆い、固定し保護している。光透過性樹脂モールド117は、発光素子111の光を集光し、輝度や光の指向性を調整する役割を果たしている。光透過性樹脂モールド117の上半分は、パラボラ形状であって、光を実効的に全反射して集光し、基板102に垂直な方向の輝度を高める反射面を形成している。
【0058】
実施の形態1において、光透過性樹脂モールド117及び凸レンズ119は、同一材質で一体に形成されている。複数の発光素子111a、111bが、発光装置に一体で形成された半球形の1個の表面に白色の蛍光物質を塗布した透過型集光レンズ119及び1個の反射面117の焦点近傍に配置される。
【0059】
図3は、ドライバICチップ内部の概略的な正面拡大断面図である。図2のドライバICチップ112は、図3のP型シリコン基板132の上を絶縁膜131で覆って形成される。P型シリコン基板132内の上部にN型ウェル312が形成され、その内部にP型拡散抵抗311が形成される。P型拡散抵抗311は、抵抗の正の温度特性を利用した温度検出素子である。
【0060】
P型拡散抵抗311の上面は、絶縁膜131で覆われている。実施の形態1において、絶縁膜131は酸化膜(SiO2)である。なお、絶縁膜131の材質は、酸化膜(SiO2)に限定されず、窒化膜(SiN)、高分子化合物(ポリイミド等)、樹脂(エポキシ等)等であっても良い。
【0061】
図4は、ドライバICチップの概略的な平面図である。図3及び図4は、ドライバICチップ112に内蔵されるP型拡散抵抗(温度検出素子)311の位置を示している。P型拡散抵抗(温度検出素子)311は、発光素子配置領域300内に配置される。ここで「発光素子配置領域」とは、「全ての発光素子を含む最小の長方形の領域をドライバICチップ上に投影した領域」である。
【0062】
発光素子配置領域300内の温度は、発光素子111の温度に最も近くなる。温度検出素子311を発光素子配置領域300内に置くことで、正確な温度検出を行うことができる。
【0063】
図5は、本発明の実施の形態1の発光装置の回路図である。図5において、図1〜4と同じ構成要素については同じ符号を用いている。図5に示すように、本発明の実施の形態1の発光装置は、外部電源140の出力する電圧を昇圧する電源回路104と、外部接続端子(VCC端子121、スイッチング端子124、電圧帰還端子125)を介して電源回路104に接続される発光モジュール101とで構成されている。
【0064】
電源回路104において、外部電源140に入力コンデンサ143の一端が接続されている。入力コンデンサ143の他端は、接地電位に接続される。コイル141は、入力電源140とショットキーダイオード142のアノード端子とに接続される。ショットキーダイオード142のカソード端子は、出力コンデンサ144の一端に接続される。出力コンデンサの他端は接地電位に接続されている。
【0065】
発光モジュール101は、電圧帰還端子125を介して出力コンデンサ144の出力電圧を印加される発光素子111b及び発光素子111aと、温度検出回路501と、発光素子111aと温度検出回路501に接続されたドライバ回路部(発光素子駆動用回路)502とを有する。温度検出回路501とドライバ回路部502は、図1及び図2のドライバICチップ112に形成される回路である。
【0066】
温度検出回路501は、定電流源512、定電流源512と接地電位との間に接続された温度検出素子311、定電流源512と温度検出素子311との接続点を反転入力端子に入力された電圧比較器513、電圧比較器513の非反転入力端子と接地電位との間に接続された基準電圧514を有する。電圧比較器513の出力は、AND回路524に入力される。
【0067】
温度検出素子311は、図3に示すP型拡散抵抗である。P型拡散抵抗は温度が高くなると抵抗値を増す特性を持つため、温度検出素子311の端子電圧は温度上昇とともに高くなる。温度検出素子311の端子電圧が基準電圧514よりも高くなった時点で、電圧比較器513の出力はLowになる。
【0068】
ドライバ回路部502は、温度検出回路501と制御端子123を入力端子に接続されたAND回路524、発光素子111aのカソードとGND端子122との間に接続された電流検出抵抗523、電流検出抵抗523とAND回路524の出力端子とに接続された電圧検出回路522、及びAND回路524の出力端子と電圧検出回路522とに接続された駆動回路521を有する。
【0069】
AND回路524は、温度検出回路501の出力信号と、制御端子123に入力された制御信号とを入力し、両者がHighであればHighの信号を出力して、駆動回路521と電圧検出回路522とを駆動する。発光素子111は、連続発光する。AND回路524は、温度検出回路501の出力信号と、制御端子123から入力する制御信号との、どちらか一方でもLowであれば、駆動回路521と電圧検出回路522の動作を停止させ、ドライバICチップ112全体を停止させる。発光素子111の発光も停止する。制御端子123にパルス電圧を入力することで、発光素子111の点滅の動作を繰り返すこともできる。
【0070】
電圧検出回路522は、発光素子111aと電流検出抵抗523との接続点を反転入力端子に入力された誤差アンプ542、誤差アンプ542の非反転入力端子と接地電位との間に接続された比較電圧541、誤差アンプ542の出力端子を非反転入力端子に接続されたPWMコンパレータ544、PWMコンパレータ544の反転入力端子に接続された鋸波発振器543を有する。
【0071】
電圧検出回路522において、誤差アンプ542、発振器543、及びPWMコンパレータ544は、電流検出抵抗523の端子間電圧が誤差アンプ542の非反転入力端子に入力される比較電圧541と等しくなるように、負帰還の動作を行う。電圧検出回路522は、電流検出抵抗523に流れる電流が一定になるように制御して、発光素子111に流れる電流を一定にし、発光の明るさを一定に保っている。
【0072】
電圧検出回路522のPWMコンパレータ544の出力端子は、駆動回路521のAND回路531の一方の入力端子に接続される。AND回路531の他方の入力端子は、AND回路524の出力端子に接続されている。AND回路531の出力端子は、アンプを介して、Nチャネル型MOSトランジスタ532のゲートに接続される。
【0073】
NチャネルMOSトランジスタ532のドレインは、コイル141とショットキーダイオード142の接続点に接続され、NチャネルMOSトランジスタ532のソースは接地電位に接続されている。駆動回路521は、AND回路531の出力に基づいて、Nチャネル型MOSトランジスタ532のスイッチング動作を制御する。このスイッチング動作により、外部電源140からコイル141を含む回路に与えられた入力電圧は昇圧され、出力コンデンサ144には、入力電圧より高い電圧が出力される。
【0074】
出力コンデンサ144の電圧は、電圧帰還端子125を通して直列接続された発光素子111a及び111bの電気信号端子であるアノード−カソード間に印加され、発光素子111a及び111bは発光する。発光素子111a及び111bを流れる電流は、発光素子111aのカソードに直列接続された電流検出抵抗523によって電圧として検出される。
【0075】
上記のように構成された本発明の発光装置において、発光素子111a及び111bに定電流が供給される動作について説明する。発光素子111aと発光素子111bに流れる電流が増加すると、電流検出抵抗523の端子電圧は高くなる。電流検出抵抗523の端子電圧が比較電圧541よりも高くなり、電流検出抵抗523の端子電圧と比較電圧541との電圧差が大きくなると、電圧検出回路522の誤差アンプ542の出力信号は低くなる。
【0076】
誤差アンプ542の出力信号を非反転入力端子に入力され、発振器543の出力信号を反転入力端子に入力されるPWMコンパレータ544の出力信号は、誤差アンプ542の出力信号が低くなるにつれロー(Low)期間が長くなり、ハイ(High)期間が短くなる。PWMコンパレータ544の出力信号がハイの間、Nチャネル型MOSトランジスタ532はオンになる。オン時間が短くなるため、外部電源140から入力された電流をコイル141に蓄積する量が少なくなる。
【0077】
コイル141に蓄積される電流が少ないため、PWMコンパレータ544の出力信号がローになり、Nチャネル型MOSトランジスタ532がオフになったときに、出力コンデンサ144及び電圧帰還端子125に印加される電圧値は小さくなる。従って、電圧帰還端子125から発光素子111a及び発光素子111bに流れる電流は少なくなる。すると、電流検出抵抗523の端子電圧が下がり、電流検出抵抗523の端子電圧と比較電圧541との差が小さくなる。
【0078】
発光素子111a及び111bに流れる電流が少なくなったときの動作については、上記の動作と逆の動作を行う。このようにして、ドライバ回路部502は電流検出抵抗523の端子電圧が比較電圧541と等しくなるように、Nチャネル型MOSトランジスタ532のスイッチング動作を制御する。これにより、ドライバ回路部502は、電圧帰還端子125から直列に接続された発光素子111aと発光素子111bに、一定電流が流れるように制御する。
【0079】
また、Nチャネル型MOSトランジスタ532を制御するAND回路531には、温度検出回路501の出力信号と制御端子123に入力された制御信号とを入力するAND回路524の出力信号が入力されている。P型拡散抵抗は温度が高くなると抵抗値を増す特性を持つため、温度検出素子311の端子電圧は温度上昇とともに高くなる。温度検出素子311の端子電圧が基準電圧514よりも高くなった時点で、電圧比較器513の出力はLowになる。すると、AND回路524の出力信号及びAND回路531の出力信号がLowになり、Nチャネル型MOSトランジスタ532はスイッチング動作を停止する。
【0080】
上記のように、発光素子111の発熱によって発光素子111の温度が所定の上限値(基準電圧514)より上昇した場合、Nチャネル型MOSトランジスタ532のスイッチング動作を停止させて、発光素子111の発光を停止させる。このように本発明の発光装置は、発光素子111の温度上昇を止めるように働くため、発光素子111は高温使用による劣化や破壊から免れることができる。
【0081】
図5に示すドライバ回路部502は、図6及び図7に示す位置に配置される。図6及び図7は、ドライバICチップ112上での発光素子111とドライバ回路部502との位置関係を示したものである。図7はドライバICチップ112の平面図であって、図6は図7の破線A−A’で示す断面で切断した断面図である。図6及び図7に示すドライバ回路部502の枠線wは、ドライバ回路部の構造を示すものではなく、ドライバ回路部が配置される領域を示すものである。
【0082】
ドライバ回路部502は、ドライバICチップ112内の発光素子配置領域300を除く領域に配置する。ドライバ回路部502を発光素子配置領域300内に配置すると、発光素子111の発熱とドライバ回路部502の発熱とが局部的に集中し、領域内の温度が高くなるおそれがある。本実施例ではドライバ回路部502をドライバICチップ112上の発光素子配置領域300を除く領域に形成することにより、発生する熱をドライバICチップ112上で分散でき、局部的な温度のピークを抑えることができる。図6及び図7のようにドライバ回路部502を配置することで、ドライバICチップ112の誤動作を防ぐことができる。
【0083】
なお、上記の実施の形態1のドライバICチップ112は、定電流回路であって、入力電圧を昇圧し、発光素子111a、111bに所定の電流を流すよう構成されていた。その構成に代えて、ドライバICチップが定電圧回路であって、入力電圧を昇圧し、発光素子111a、111bに所定の電圧を印加するよう構成しても良い。また別構成としてドライバICチップが、入力電圧を一定電圧に昇圧する定電圧回路と、並列に接続された複数の発光素子のそれぞれに所定の電流を流す定電流回路とを有していても良い。ドライバICチップは、入力電圧を降圧し、発光素子111a、111bに所定の電流を流す定電流回路、又は発光素子111a、111bに所定の電圧を印加する定電圧回路であっても良い。
【0084】
なお、実施の形態1の図1から図7においては、2個の発光素子111が直列接続されているが、直列接続される発光素子の個数は2個に限定されるものではなく、複数個の直列接続も本発明に含まれる。また、発光素子と発光素子に直列接続された抵抗とを、複数個並列接続する発光装置も本発明に含まれる。もちろん、発光素子が1つであっても構わない。
【0085】
また、実施の形態1では、発光素子111の上部に配置される凸レンズ119は一つであったが、発光素子の数に合わせて複数の凸レンズを配置することも可能である。例えば、発光素子1つに対して凸レンズ1つの組合せであっても良い。
【0086】
《実施の形態2》
図8及び図9を用いて、本発明の実施の形態2の発光装置について説明する。図8は、本発明の実施の形態2における発光装置の平面図である。図8において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用いている。実施の形態2の発光装置が実施の形態1の発光装置と異なる点は、発光素子811を3個有することと、実施の形態1のドライバICチップ112に代えて実施の形態2のドライバICチップ812を有することである。実施の形態2において、その他の構成においては、実施の形態1と同一である。それ故重複する説明を省略する。実施の形態2の発光装置は、赤色発光素子811R、緑色発光素子811G、青色発光素子811BをドライバICチップ812上に実装している。
【0087】
図9は、本発明の実施の形態2の発光装置の回路図である。実施の形態2の図9において、実施の形態1の図5と同じ回路素子については同じ符号を用いている。本発明の実施の形態2の発光装置は、電源回路104と電源回路104に接続された発光モジュール101とを有する。電源回路104については、実施の形態1と同じである。
【0088】
実施の形態2の発光モジュール101は、温度検出回路とドライバ回路部とをドライバICチップ812に搭載する。
【0089】
温度検出回路は、定電流源512、定電流源512と接地電位との間に接続された温度検出素子311、定電流源512と温度検出素子311との接続点に非反転入力端子を接続された発光色R,G,Bの信号のための差動増幅器911、912、913、各差動増幅器911、912、913の反転入力端子と接地電位との間に接続された基準電圧源921、922、923、各差動増幅器911、912、913の出力端子を非反転入力端子に接続された差動増幅器931、932、933を有する。
【0090】
各差動増幅器911、912、913は、基準電圧源921、922、923の電圧を反転入力端子に入力し、温度検出素子311が検出した電圧を非反転入力端子に入力し、その差を増幅した電圧値を出力する。
【0091】
差動増幅器931、932、933は、電流検出抵抗941、942、943が検出した電圧を反転入力端子に入力し、差動増幅器911、912、913の出力電圧を非反転入力端子に入力し、その差を増幅した電圧値を出力する。
【0092】
差動増幅器931、932、933の出力端子には、それぞれ赤色発光素子811R、緑色発光素子811G、青色発光素子811Bのアノードが接続されている。赤色発光素子811R、緑色発光素子811G、青色発光素子811Bのカソードは、差動増幅器931、932、933の反転入力端子に接続されている。
【0093】
各差動増幅器911、912、913の利得は、RGBの温度による発光効率に合わせてそれぞれ異なる。一般的に、R、G、Bの発光素子は、温度が上昇すると輝度が下がる。特に、赤色の発光素子811Rは、高温で発光効率が急激に低下する。そこで後述のドライバ回路部は、温度が上昇すると、R、G、Bの発光素子に流す電流を各素子の温度特性に応じて変化させるように構成しておく。
【0094】
温度検出素子311は、P型拡散抵抗である。温度が上昇すると温度検出素子311の抵抗は大きくなる。発光装置は、温度検出素子311の端子電圧が高くなると、発光素子811R、811G、811Bに供給する電圧を上げ、発光素子の輝度を上げる。これにより、高温で発光効率が急激に低下することを補償し、RGBのホワイトバランスを調整する。
【0095】
赤色の発光素子811Rの差動増幅器911は、温度検出素子311の出力電圧の変化量を発光素子の電流にフィードバックする利得が、他の差動増幅器912、913と比較して高い。
【0096】
ドライバ回路部は、赤色発光素子811R、緑色発光素子811G、青色発光素子811BのカソードとGND端子122との間にそれぞれ接続された電流検出抵抗941、942、943、電圧帰還端子125と制御端子123とに接続された電圧検出回路522、電圧検出回路522とスイッチング端子124との間に接続された駆動回路521を有する。
【0097】
電圧検出回路522の誤差アンプ542の反転入力端子は、電圧帰還端子125に接続されている。電圧検出回路522のその他の構成は、実施の形態1と同一である。電圧検出回路522は、出力コンデンサ144の出力電圧が誤差アンプ542の非反転入力端子に入力される比較電圧541と等しくなるように、負帰還の動作を行う。
【0098】
駆動回路521の内部回路は、実施の形態1と同一であるため、重複する説明を省略する。
【0099】
実施の形態2の発光装置の構成に代えて、赤色発光素子811Rに流す電流を一定とし、温度が上昇するとホワイトバランスが維持されるように、緑色及び青色の発光素子811G、811Bに流す電流を減少させても良い。温度が上昇すると輝度は低下するが、ホワイトバランスが維持されることにより、使用者に違和感を与えることはほとんどない。
【0100】
本実施の形態のR、G、Bの発光素子は、温度が上昇すると輝度が下がるものであった。しかしこれに限られるものではなく、関係回路を変更することにより、温度が上昇すると輝度が上がるタイプの発光素子も用いることができる。
【0101】
本実施の形態において、凸レンズを発光素子811R、811G、811Bの数に合わせて、複数個配置しても良い。
【0102】
《実施の形態3》
図10を用いて、本発明の実施の形態3の発光装置について説明する。図10は、温度検出素子の内部回路を示す回路図である。実施の形態3の発光装置が実施の形態1と異なる点は、温度検出素子だけである。
【0103】
図10において、(a)は実施の形態2の温度検出素子、(b)は(a)の温度特性、(c)(d)(f)は実施の形態3の温度検出素子、(e)は(c)(d)の温度特性、(g)は(f)の温度特性を示す。図10(b)(e)(g)において、横軸は温度、縦軸は出力電圧を示す。
【0104】
図10(a)及び(b)は、P型拡散抵抗311及び定電流源512で構成した実施の形態2の温度検出素子とその温度特性を、それぞれ参考に示したものである。この温度検出素子は、P型拡散抵抗311の両端電圧V0を出力する。電圧V0は温度に依存し、温度が上昇すると電圧値も上昇する。
【0105】
図10(c)の温度検出素子は、カソードが接地されたダイオード1011と、ダイオード1011のアノードに接続された定電流源I0を用いて構成される。この温度検出素子は、ダイオード1011と定電流源I0の接続点から、アノード−カソード電圧V1を出力する。図10(e)に示すように、温度が上昇すると、電圧V1は下降する。
【0106】
図10(d)の温度検出素子は、定電流源I1と定電流源I2と、ベースを定電流源I1に接続されコレクタを定電流源I2に接続されエミッタを接地電位に接続されたバイポーラトランジスタ1012を用いて構成される。この温度検出素子は、定電流源I2とバイポーラトランジスタ1012との接続点から、ベース−エミッタ電圧V2を出力する。図10(e)に示すように、温度が上昇すると、電圧V2は下降する。
【0107】
図10(f)の温度検出素子は、一端を接地電位に接続されたP型拡散抵抗1013、P型拡散抵抗101の他端に接続された定電流源I1、ベースをP型拡散抵抗101と定電流源I1との接続点に接続され、エミッタを接地電位に接続されたバイポーラトランジスタ1014、バイポーラトランジスタ1014のコレクタに接続された定電流源I2を用いて構成される。この温度検出素子は、定電流源I2とバイポーラトランジスタ1014の接続点から、バイポーラトランジスタ1014のコレクタ電圧V3を出力する。バイポーラトランジスタ1014のベース電圧は、定電流源I1と抵抗1013の接続点の電圧V0により与えられる。図10(g)に示すように、温度が上昇すると、電圧V0は上昇し、電圧V3は下降する。
【0108】
図10(c)(d)(f)に示すように、実施の形態3の温度検出素子は、温度のパラメータに対して正特性であるか負特性であるかに応じて、温度をフィードバックする回路を構成する。
【0109】
フィードバックの極性及び利得を除いて、温度検出素子以外の実施の形態3の構成は、実施の形態1及び2と同一である。それ故、重複する説明を省略する。この実施の形態3においても要部の構成が同一である故、実施の形態1及び2と同一の効果を有する。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、発光素子と凸レンズの数の組合せは任意である。
【0110】
《実施の形態4》
図11を用いて、本発明の実施の形態4の発光装置について説明する。図11は、本発明の実施の形態4のドライバICチップ内部に内蔵された温度検出素子の位置を示した平面図である。実施の形態4の発光装置が実施の形態1と異なる点は、温度検出素子の位置だけである。
【0111】
図11(a)は、正方形の発光素子111を4個配置した場合の温度検出素子の配置領域を示す図である。図11(b)は、円形の発光素子111を3個配置した場合の温度検出素子の配置領域を示す図である。
【0112】
実施の形態1の温度検出素子311(図3及び図4)は全体が発光素子配置領域300内に配置されていたが、実施の形態4の温度検出素子(図11)の配置領域1111及び1112は、その領域の一部が発光素子配置領域300内にある。実施の形態4のように、温度検出素子の少なくとも一部が発光素子配置領域300内に配置されていれば、発光素子の正確な温度を検出することができ、発光素子の破壊や劣化を防止できる。
【0113】
図11では、各発光素子をドライバICチップ上に投影した領域と、温度検出素子の配置領域1111、1112とは重なっていない。複数の発光素子を有する発光装置においては、温度検出素子の配置領域1111、1112の一部を特定の発光素子の真下(発光素子をドライバICチップ上に投影した領域)に配置すると、温度検出素子がその特定の発光素子の発熱の影響を過大に受けるおそれがある。図11のように、各発光素子の真下に温度検出素子の配置領域1111、1112がないようにすることにより、温度検出素子は全ての発光素子の平均的な温度を正確に検知することができる。
【0114】
実施の形態4の発光装置において、温度検出素子の配置以外の構成は実施の形態1〜3と同一である。それ故、重複する説明を省略する。実施の形態4の発光装置においても要部の構成が同一である故、実施の形態1〜3と同一の効果を有する。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、発光素子と凸レンズの数の組合せは任意である。
【0115】
実施の形態1から実施の形態4のいずれかの発光装置を複数個並列に接続することにより、照明装置を作ることが出来る。
【0116】
発明をある程度の詳細さをもって好適な形態について説明したが、この好適形態の現開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、各要素の組合せや順序の変化は請求された発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、発光素子駆動用半導体チップ、発光装置、及び照明装置に利用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号端子を備えて、前記電気信号端子に外部から与えられる電気信号によって駆動され発光する発光素子と、
前記電気信号を出力して前記電気信号端子に印加する発光素子駆動用回路並びに周囲温度を検出する温度検出素子を半導体によって形成した発光素子駆動用半導体チップと、
を備え、
前記発光素子を前記発光素子駆動用半導体チップ面上に装着すると共に、前記温度検出素子が検出した温度に連動して前記発光素子を駆動することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記温度検出素子の少なくとも一部は、前記発光素子を含む最小の領域を前記発光素子駆動用半導体チップ上に投影した領域である発光素子配置領域内に配置することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子駆動用回路が、前記発光素子配置領域を除いた前記発光素子駆動用半導体チップ内に形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子が、異なる波長で発光する複数個の可視発光素子であって、
前記発光素子駆動用半導体チップは、前記温度検出素子が検出した温度に基づいて前記複数個の発光素子のホワイトバランスを維持するように、前記発光素子を個々に駆動することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
請求項1に記載の発光装置を複数個有することを特徴とする照明装置。
【請求項6】
電気信号端子を備えて、前記電気信号端子に外部から与えられる電気信号によって駆動され発光する発光素子を装着する発光素子駆動用半導体チップであって、
前記電気信号を出力して前記電気信号端子に印加する発光素子駆動用回路と周囲温度を検出する温度検出素子とを備え、
前記温度検出素子が検出した温度に連動して前記発光素子を駆動することを特徴とする発光素子駆動用半導体チップ。
【請求項7】
前記温度検出素子の少なくとも一部は、前記発光素子を含む最小の領域を前記発光素子駆動用半導体チップ上に投影した領域である発光素子配置領域内に配置することを特徴とする請求項6に記載の発光素子駆動用半導体チップ。
【請求項8】
前記発光素子駆動用回路が、前記発光素子配置領域を除いた領域に形成されることを特徴とする請求項6に記載の発光素子駆動用半導体チップ。
【請求項9】
前記発光素子が、異なる波長で発光する複数個の可視発光素子であって、
前記温度検出素子が検出した温度に基づいて前記複数個の発光素子のホワイトバランスを維持するように、前記発光素子を個々に駆動することを特徴とする請求項6に記載の発光素子駆動用半導体チップ。
【請求項1】
電気信号端子を備えて、前記電気信号端子に外部から与えられる電気信号によって駆動され発光する発光素子と、
前記電気信号を出力して前記電気信号端子に印加する発光素子駆動用回路並びに周囲温度を検出する温度検出素子を半導体によって形成した発光素子駆動用半導体チップと、
を備え、
前記発光素子を前記発光素子駆動用半導体チップ面上に装着すると共に、前記温度検出素子が検出した温度に連動して前記発光素子を駆動することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記温度検出素子の少なくとも一部は、前記発光素子を含む最小の領域を前記発光素子駆動用半導体チップ上に投影した領域である発光素子配置領域内に配置することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子駆動用回路が、前記発光素子配置領域を除いた前記発光素子駆動用半導体チップ内に形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子が、異なる波長で発光する複数個の可視発光素子であって、
前記発光素子駆動用半導体チップは、前記温度検出素子が検出した温度に基づいて前記複数個の発光素子のホワイトバランスを維持するように、前記発光素子を個々に駆動することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
請求項1に記載の発光装置を複数個有することを特徴とする照明装置。
【請求項6】
電気信号端子を備えて、前記電気信号端子に外部から与えられる電気信号によって駆動され発光する発光素子を装着する発光素子駆動用半導体チップであって、
前記電気信号を出力して前記電気信号端子に印加する発光素子駆動用回路と周囲温度を検出する温度検出素子とを備え、
前記温度検出素子が検出した温度に連動して前記発光素子を駆動することを特徴とする発光素子駆動用半導体チップ。
【請求項7】
前記温度検出素子の少なくとも一部は、前記発光素子を含む最小の領域を前記発光素子駆動用半導体チップ上に投影した領域である発光素子配置領域内に配置することを特徴とする請求項6に記載の発光素子駆動用半導体チップ。
【請求項8】
前記発光素子駆動用回路が、前記発光素子配置領域を除いた領域に形成されることを特徴とする請求項6に記載の発光素子駆動用半導体チップ。
【請求項9】
前記発光素子が、異なる波長で発光する複数個の可視発光素子であって、
前記温度検出素子が検出した温度に基づいて前記複数個の発光素子のホワイトバランスを維持するように、前記発光素子を個々に駆動することを特徴とする請求項6に記載の発光素子駆動用半導体チップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【国際公開番号】WO2005/104249
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【発行日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−512535(P2006−512535)
【国際出願番号】PCT/JP2005/007413
【国際出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【発行日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2005/007413
【国際出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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