発光表示システム
【課題】表示部に複数のLEDランプ群を配置して複数の文字や絵記号を表示できるようにした発光表示システムにおいて、文字や絵記号を個々に表示制御するのはもとより、複数の文字や絵記号を一括りにした全体で1つの表示動作を行うことができるようにした発光表示システムを提供する。
【解決手段】表示部に配置したLEDランプを表すマークを、実際のLEDランプの配置形状および電気的接続順序に合わせてモニタ画面上に配置する。その際に、表示部で表示する文字や記号の1つ1つに対応する発光表示系統ごとにマークを登録する。発光表示系統には座標系が設定されて、発光表示系統に属する各マークに位置情報が付与され、この位置情報を基にして発光制御データが作成される。複数の発光表示系統に1つの座標系を設定してマークに位置情報を付与することにより、複数の文字や絵記号を1組の表示パターンとした表示動作を行う。
【解決手段】表示部に配置したLEDランプを表すマークを、実際のLEDランプの配置形状および電気的接続順序に合わせてモニタ画面上に配置する。その際に、表示部で表示する文字や記号の1つ1つに対応する発光表示系統ごとにマークを登録する。発光表示系統には座標系が設定されて、発光表示系統に属する各マークに位置情報が付与され、この位置情報を基にして発光制御データが作成される。複数の発光表示系統に1つの座標系を設定してマークに位置情報を付与することにより、複数の文字や絵記号を1組の表示パターンとした表示動作を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面等にLED等から成る発光体を複数取り付け、個々の発光体を所定の発光タイミングで点滅することでイルミネーション発光を行う発光表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の壁面や観覧車等に発光体をライン状に配列し、発光体ごとに点滅を制御することで、ライン全体を一斉に点滅させたり、あるいは部分的に点滅させたり、流れ星のように光を流動表示する発光装置が知られている。
【0003】
このような装置によりイルミネーションを行うための制御データを作成する装置や制御データ作成プログラムを記録した記憶媒体として、下記に示す特許文献1がある。この先行技術は、LED等のランプ群に発光表示する発光パターンの時系列的な変化をコンピュータのモニタ画面上で逐次確認しながら編集するものである。
【0004】
特許文献1では、まず、線状に配列された多数のLEDランプ群をコンピュータのモニタ画面に表示されたビットマップ形式の原画の1行に対応付け、そのランプ群による発光パターンの時系列的な変化を原画の列方向に展開して2次元画像を作成する。線状に配列したランプ群を2次元ビットマップ画像の1行に置き換え、時間の流れと共にランプ群の発光が変化していく様子をビットマップの列方向に並べて表現したものである。そして、このような原画データをコンピュータの編集画面上で編集を加えて1行毎に抽出し、その抽出するときの抽出ライン移動速度を任意に設定してイルミネーションの制御データを作成している。このようにして制御データを作成することにより、確かに、LEDランプ群を1本の直線形状に配置した場合には、ランプ群で表示する発光パターンの時系列的な変化を直感的に確認しながら編集することができた。しかし、LEDランプ群を文字や絵記号等を形づくるように2次元に配置する場合は、発光パターンの変化をビットマップ形式の原画に展開することができず、イルミネーション制御データを作成することができなかった。
【0005】
そこで、本出願人は下記特許文献2に示す発光表示システムを既に提案した。同提案によれば、表示部を構成するLEDランプ群が広告看板用のロゴマークや特別な書体文字といった形状に2次元配置されている場合にも、コンピュータ(編集装置)のモニタ画面上に文字や絵記号を実際の表示部のイメージで再現し、また、発光表示するイメージをモニタ画面上の模擬表示で確認しながら発光制御データを作成することが可能になる。
【特許文献1】特開2001−166738号
【特許文献2】特願2003−396565号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献2の提案において新たに問題点が発生した。シリアル接続した一連のLEDランプ群で1つの文字を構成し、その文字を複数並べて表示するような場合、複数文字全体で1つの表示動作を行うことができなかったのである。図17に示すパターンを例にすれば、「A」「B」「C」の3文字をそれぞれ別々にカーテン表示(左側から右側へ徐々に点灯させていく表示)することは出来た。しかし、「A」「B」「C」を1つのロゴマークとし、ABCの順でAの左端からCの右端へ徐々に点灯して最終的にABCの3文字を全点灯するというカーテン表示動作を行うことはできなかった。異なるLEDランプ群によって構成されたA、B、Cの各文字は、1文字を構成するLEDランプの位置情報を文字ごとに備えており、別の文字を構成しているLEDランプとの相対的な位置関係を表す情報を備えていないため、異なる文字の間で同期した発光表示動作を行うことができなかったのである。
【0007】
本発明はこの問題点を解決することを課題としており、表示部に複数のLEDランプ群を配置して複数の文字や絵記号を表示できるようにした発光表示システムにおいて、文字や絵記号を個々に表示制御するのはもとより、複数の文字や絵記号を一括りにした全体で1つの表示動作を行うことができるようにした発光表示システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、複数の発光体を任意の形状に沿って配置すると共に、複数の前記発光体のうち所定数の発光体をひとまとまりにシリアル接続して構成する発光表示系統を複数備える表示部と、表示部に配置した複数の発光体に関する発光制御データを作成する編集装置と、前記発光制御データを複数記憶すると共に、発光制御データに基づいて前記表示部へ表示信号を送出する表示制御部と、を備え、発光体を点滅することで装飾発光を行う発光表示システムにおいて、前記表示部に配置した発光体の配置数と配置形状とシリアル接続順に合わせて、発光体を表すマークを編集装置の編集メニュー画面上に配置する機能と、編集メニュー画面上にマークを配置して表した複数の前記発光表示系統の各々に対して個々に座標系を設定し、マークの位置情報を発光表示系統ごとに求める機能と、編集メニュー画面上の複数の発光表示系統のうち、任意の複数の発光表示系統に対して同一の座標系を設定し、異なる発光表示系統に属するマークの位置情報を同一の座標系に基づいて求める機能と、求めたマークの位置情報を発光制御データの作成に用いる基本データとして登録する機能と、を前記編集装置に備え、個々の発光表示系統ごとに得たマークの位置情報、あるいは複数の発光表示系統に同一の座標系を設定して得たマークの位置情報、のいずれの位置情報も前記基本データとして登録できるようにしたことを特徴とする発光表示システム。を提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の作用によれば、表示部に配置されているLEDランプに合わせて編集装置の編集メニュー画面上にマークを配置する。実際の表示部は、複数個のLEDランプを電気的に一続きにシリアル接続した発光表示系統によって1つの文字や1つの記号が構成されており、編集画面上にマークを配置する際にも、配置位置に関する情報や、電気的な接続順序に関する情報を合わせて発光表示系統ごとにデータとして登録していく。その結果、編集装置の編集画面上には、LEDランプの配置形状に合わせてマークが配置されると同時に、マークが属する発光表示系統に関する情報も表示される。編集画面上には複数の発光表示系統がプロットされ、それら発光表示系統に対して、その1つ1つに座標系を設定して各発光表示系統に属するマークの位置情報を求めることができ、また、複数の発光表示系統に1つの座標系を設定し、異なる発光表示系統に属するマークの位置情報を同じ座標に基づいて求めることもできる。そして、求めたマークの位置情報を基本データとして発光制御データを作成する。
【0010】
したがって、1組の文字や絵記号に相当する複数の発光表示系統に1つの座標系を設定することにより、1組の文字や絵記号全体を1つの表示動作で発光表示することができ、ロゴマークのように複数の文字や絵記号からなる1組の表示パターンを、違和感なくまた見栄え良く表示できるという効果が得られる。
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は本発明一実施例の全体構成を示す説明図である。本実施例に関わる発光表示システムは、表示部1とコントローラ2の二つの主要部によって構成されている。表示部1はさらに複数の発光表示系統(本実施例では1A、1Bおよび1C)によって構成されている。各表示系統の中に複数配列される11は発光体たるLEDランプで、ランプケース内にRGB各色のLEDを配置すると共に、LED駆動回路を内蔵している。このLEDランプ11は、コントローラ2からの表示制御信号を受けて点滅動作を行う最小の発光単位であり、ドットマトリクス方式の表示装置でいう1ドットに相当するものである。表示系統1Aは(表示系統1B、1Cも同様)、LEDランプ11の集まりによって構成されており、ひとつの表示系統あたり最大128個までLEDランプを接続することが可能で、複数個のLEDランプを直線や曲線を描くように並べることで表示部が形づくられる。12は信号ラインで、文字や飾りラインを描くように配列される複数個のLEDランプをシリアル(直列)接続し、その結果、全体として形成されるシリアル回路の一端を受信回路13に接続して、残る一端を終端処理している。14は電源ラインで、分配器15から供給される電力を各LEDランプ11に供給する。分配器15は、表示系統とコントローラ2との間に位置しており、コントローラ2から送出される表示制御信号をいったん受けて同信号を受信回路13に受け渡す機能と、商用電源から得た電力を直流に変換して電源ライン14に供給する機能とを備えている。1つの分配器には最大8つまでの表示系統を接続することが可能で、また、コントローラ2には最大4台までの分配器を接続することが可能である。
【0013】
次に、表示制御部たるコントローラ2について説明する。16は記憶部で、コントローラの制御動作に関する動作プログラムと、表示部1に配列する表示系統分のLEDランプの点滅態様を記憶する点滅情報と、この点滅情報をどのようなタイミングで表示部1に表示するかを指定するスケジュール情報と、発光表示システム全体に関する各種の設定データとを記憶している。17はCPUで、記憶部16で記憶するプログラムやデータに従いダイナミック表示方式による表示処理手順をこなす。18はVRAMで、表示部1に並べられたLEDランプ11の配列構成に対応したメモリ構成を持ち、記憶部16から読み出した点滅情報をビットデータとして展開可能な記憶領域を備えている。19はプログラマブルロジックデバイスで、ダイナミック駆動タイミングに基づいてVRAM18に展開したビットデータを読み出し、発光制御データとして送信回路20を介して前記分配器15に送出する。21はリアルタイムクロックICで、CPU17からの要求を受けて現在時刻と年・日付・曜日を出力する。22はメモリカードで、メモリカードインターフェース22aを介してコントローラ2に着脱され、外部の編集装置で作成した各種データを記憶部16に転送するための記憶媒体として用いられる。23は外部に設置された編集装置で、発光制御データ編集アプリケーションプログラムがインストールされたコンピュータによって構成される。
【0014】
次に、表示部の構成について詳細に説明する。まず、図2にLEDランプ11の外観を示す。3は樹脂材料からなるランプケースで、上面にRGB各色のLED4を備え、図示しないケース内側にはLED駆動回路が収められている。LED4はプリント基板に半田付けされた後、シフトレジスタ回路やラッチ回路等を搭載したICと共にランプケース3の内側に収められ、ケース内の隙間に上から流動性シリコンを充填してポッティング封止している。このポッティング処理により、ランプケース3の表面にはLEDの発光レンズ部分のみが現れ、LEDのリード端子を含む電装部品は完全にシールされる。3aは弾性を有する係合爪で、後述する取付ベースの係合部に弾性力を利用して着脱自在に取り付けられるようにしている。3bはネジ止め用の穴を備えたフランジで、このフランジとネジやボルトを利用することで建物の壁面等へ直接固定できるようにしている。5は柔軟性を備えた可撓性ケーブルで、図1に示した信号ライン12と電源ライン14がこのケーブル内に挿通されている。この可撓性ケーブル5は、ランプケース内において上記電装部品と共に流動性シリコンでポッティングされており、ランプケースからのケーブル引き出し部分にも防水性が与えられている。
【0015】
図3はLEDランプユニットと取付ベースとの関係を示す説明図である。LEDランプ11は、可撓性ケーブル5によって複数個がひとまとめにシリアル接続され、LEDランプユニット7を構成する。本実施例では4つのLEDランプ11を所定長さのケーブルで接続しており、両端に位置するLEDランプから延出するケーブルにはコネクタ6を備えている。8は金属材料からなる板状の取付ベースで、長方形板材の長辺両縁部を曲げ起こした断面略コ字状をなし、短辺方向の長さがLEDランプ11の幅とほぼ一致している。8aはランプ取付穴で、この細長形状の穴にLEDランプ11の係合爪3aを嵌め込み、係合爪3aの弾性力をもってLEDランプ11を着脱自在に固定できるようにしている。8bは取付ベース取付穴で、ネジやボルトを利用して建物の壁面等へ取付ベース8を固定することができる。8cは取付ベース8を取り付ける際の調整用の切り込みで、取付ベース8の短辺を切るように、一部を残してスリット状の切り込みを設けたものである。
【0016】
このように構成されるLEDランプユニット7は、コネクタ6によって別のLEDランプユニットと接続することが可能で、1つの表示系統で表示部1を構成した場合、壁面等の設置場所に合わせて連続的にLEDランプユニットを直列接続し、途中に電源を追加することで最大800台(LEDランプで3200個)まで接続することができる。
【0017】
次に、図4を基に表示部1を実際に設置した例について説明する。図4は設置例の一部を部分的に示したものであり、直線と曲線とを組み合わせた例である。まず、建物の壁面に複数個の取付ベース8を直線状に取り付けて2本の直線を形成する。次に、それら取付ベースに対してLEDランプを所望の配置間隔で固定しランプユニット7を連続的に接続していく。このとき、個々のLEDランプ11を配置する間隔は等間隔でも良いし、不等間隔でも良い。要は装飾効果や演出効果、あるいは形づくりたい文字や図柄を考慮して取付位置を決定すれば良い。このようにして形成した2本の直線は、自由な曲線でつなぐことができる。曲線を描く場合は、取付ベース8を用いずに、LEDランプ11のフランジ3bを利用してネジやボルトで壁面に直接固定する。取り付ける位置は自由に決定することができ、LEDランプを並べながら固定していく間隔等を考慮することで、滑らか(LEDランプを狭い間隔で多数配置した)な曲線や、小さな曲率半径から大きな曲率半径まで各種曲線にを描くことができる。
【0018】
このように、直線と曲線を組み合わせることにより、図5に示すようなロゴマークを描くことが可能になる。図示の例は3つの表示系統で構成しており、図1に示した表示系統1Aにより「A」の文字を描き、表示系統1B、1Cによりそれぞれ「B」「〜」を描いている。既に説明した様に、同じ表示系統に属するLEDランプはシリアル接続され、別の表示系統に属するLEDランプとは独立しているため、「A」「B」「〜」の3つを独立して発光制御することができる。
【0019】
次に、前記編集装置23による発光制御データ編集プログラムの動作について説明する。まず、編集装置23によって発光制御データを作成する全体の流れを図6(a)に基づいて説明する。最初に、編集装置23たるパーソナルコンピュータを起動し、発光制御データ編集プログラムを立ち上げる。次に、複数設置された発光表示システムを区別するために、顧客管理情報を設定する。次に、設定した顧客管理情報のもとで行う一連の発光表示動作(表示シーケンス)を作成し、作成したデータを保存して終了する。この流れの中で最初に設定する顧客管理情報は、顧客先に設置した発光表示システムの仕様を編集装置23上に再現するものであり、顧客ごとに物件対応した仕様に対応して発光制御データを作成するために必要な設定手順である。その顧客管理情報の設定手順の流れを図6(b)に示し、各手順においてコンピュータのモニタ画面に表示される編集画面を図7、図8、図9、図12、図13、図14に示す。
【0020】
編集装置23の発光制御データ編集プログラムを立ち上げると、図7に示す画面が表示される。画面に表示された顧客管理テーブルの左端縦列には連番が付されており、各番号が付された行ごとに顧客管理情報を登録することができる(30)。既に作成された顧客管理情報は「顧客名称」「作成日」「系統数」「メモ」の項目にそれぞれの登録内容が表示されており、何も登録されていない行は空欄となっている。既に作成済みの発光制御データを再編集する場合は、該当する顧客の行にマウスカーソルを合わせ、ダブルクリックすることで顧客管理情報と発光制御データの編集が可能となる。新規に作成する場合は、空欄の行にマウスカーソルを合わせてダブルクリックすることで、図8に示す登録ウィザードメニューが表示される。表示された画面の顧客名称入力枠31に顧客の名称を入力し、系統数指定窓32により表示系統数を指定する。ここで指定する表示系統の数は、実際に壁面等に設置してある表示部の系統数を指定するものであり、本実施例では前述の通り1A、1B、1Cという3つの表示系統で構成しているため、系統数3を指定する。表示系統数を指定すると、指定した数に応じてタブ33が表示され、3つの表示系統それぞれについての詳細な設定が行えるようになる。設定可能な項目は、系統についてのコメント、系統のタイプ、LEDランプ数である。表示系統についてのコメント枠には自由に文字を入力することができるため、系統に関するタイトルやイニシャル等を入力すればよい。系統のタイプとは、表示系統を構成するLEDランプ11が直線で配置されるのか、あるいは文字や図柄のように自由な曲線で配置されるのかを指定する項目であり、ラジオボタン34により、直線配置の場合は「ライン等」を指定し、自由曲線配置の場合は「チャネル文字等」を指定すればよい。LEDランプ数とは、各表示系統に配置するLEDランプの数を表すもので、配置可能な最大数がデフォルト表示される。配置可能な最大数は系統数指定窓32で指定する系統数により変化し、例えば、系統数が1の場合は4096個、系統数が2の場合は2048個、系統数が3の場合は1024個といったように配置可能最大数がデフォルト表示されるので、表示された数よりも少ない数で、かつ表示部に実際に配置したLEDランプ数に合わせて指定する。ラジオボタン34で「ライン等」を指定した場合は、LEDランプ数を指定した時点で顧客管理情報に関する入力項目は全て終了する。一方、ラジオボタン34で「チャネル文字等」を指定した場合は、配置変更ボタン41を押してLEDランプの配置を指定する。
【0021】
図示の状態で配置変更ボタン41を押すと、図9に示すLEDランプ配置メニュー画面が表示される。このメニューでは、LEDランプ11が表示部に配置された状態を、実際のLEDランプに代わるマークで表示系統ごとに登録することができる。図9は、表示系統1Aによって描く「A」の文字を表示系統1Aのレイヤに登録する例である。モニタ画面に表示された縦横方向のグリッド線60を目安にしながら、表示部のLEDランプ配置と同じくなるようにマーク42を配置する。グリッド線同士の間隔は、複数段階に切り替え可能であり、グリッド表示設定ボタン45をクリック操作することによりグリッド表示設定メニュー61が立ち上がり、グリッド線の表示間隔を横方向と縦方向にそれぞれ独立してテンキーで指定することができるようになる。62は横方向に表示するグリッド線の表示間隔を指定する入力窓であり、63は縦方向に表示するグリッド線の表示間隔を指定する入力窓である。また、64はグリッド線の表示有無を指定するチェックボックスである。このチェックボックスのチェックを外すことにより、グリッド線を表示させないようにすることもできる。画面には、グリッド線の他に任意の画像データを下絵として表示し、その画像データ上にマーク42を重ねて配置することもできる。読み込み可能な画像データの種類としては、BMP、JPEG等各種形式の画像データに対応している。下絵として読み込む手順は、画面上方に位置する下絵オープンボタン43をクリック操作し、下絵に設定したい画像が保存されている場所を指定して「開く」の操作を行えばよい。表示部のLED配置図面やロゴマーク画像などを下絵に設定することにより、マーク42の配置作業が容易になり作業効率が格段に向上する。画像データを読み込んで下絵としていったん設定した後にも、下絵有無ボタン44をクリック操作するたびに下絵の表示有無を切り替えることが可能である。また、表示系統1B、1Cのそれぞれのレイヤに既にマークが登録されている場合にも、画面上へ他のレイヤのマークを重ねて表示するようにしている。図9は表示系統1Aのレイヤに関する編集画面であるが、別の表示系統である「B」「〜」も表示されており、これは表示系統1B、1Cに既にマークが登録されている状態を表している。他の表示系統の配置マークとの位置関係や大きさの関係が確認できることにより、文字「A」に関するマークの配置作業を容易に行うことができる。もちろんこの場合、マーク配置作業が可能な表示系統は1Aのみであり、表示系統1B、1Cは表示されるだけで、編集や配置作業を行うことはできない。
【0022】
マーク42はマウスカーソルの動きに合わせて移動させることができ、所定の位置にマーク42を合わせたところでクリック操作することによりマークの位置を固定する。マーク42の固定操作は連続して行うことが可能で、表示部に配置されたLEDランプの配置形状、ランプ数、電気的接続順に合わせてマーク42の位置を固定していく。このとき、マーク位置を固定していくと同時に順番に番号が付与され、LEDランプの電気的接続順と一致してマーク42に番号情報が与えられる。本実施例では、表示系統1Aで「A」の文字を描いているため、マーク42を「A」の形に配置したらOKボタン46をクリックして登録し、このメニュー画面を終了する。OKボタン46を操作することによって画面は図8に戻り、タブ33にある「系統02」において「B」の文字について設定し、「系統03」において「〜」の文字について設定を行うことができる。
【0023】
上記操作をくり返し、図8の画面で系統01、系統02、系統03の登録設定が終了したら顧客管理情報に関する入力項目が全て終了する。
【0024】
ここで、図9のLEDランプ配置メニュー画面で表示するグリッド線について、図10図11を基に更に詳しく説明する。
図10に示すように、モニタ画面に表示されたグリッド上には、座標系が重ね合わせて設定される。この座標系はモニタ画面上には表示されず、編集装置の内部で行われる内部処理で設定され、モニタ画面上のグリッド線の表示間隔と同じ目盛間隔の座標軸を備えている。図10はその座標系を示したもので、座標軸の目盛間隔でx軸およびy軸にそれぞれ平行線を引いて形成した方眼のセルに座標(x,y)を割り当てている。原点を左下隅におき、図示のように、x軸方向とy軸方向へグリッド線の表示幅ごとに座標値を割り当て、グリッド線で形成されるひとつひとつのセルが直交座標で特定されるようにしている。したがって、図のように配置したマーク42は、マークの中心点がどのセルに位置するかにより、その配置位置を特定することができる。既に説明した通り、表示部のLEDランプに合わせてマークを配置していく段階で、各マークにはLEDランプの電気的接続順と一致した番号情報(図中の○付き数字)が与えられるため、各マークは、番号情報と上記座標位置情報(位置情報)により個々の位置を特定することが可能になる。図では、「A」の形に配置された11個のマークには図10(b)に示すような番号情報と座標位置情報(位置情報)が付与される。これら、マークの位置に関する情報は、発光制御データを作成する上で基本データとなるものであり、これらを基にして発光動作コマンドが実行される。例えば、図10(c)に示すように、LEDランプによる「A」の文字を動作コマンド「カーテン表示」で表示する場合、左側から右側へ徐々にランプが点灯していく動きは、x座標に基づいて行われる(上下方向の動きはy座標に基づいて行われる)。まず、x座標に0を持つランプが点灯し、次にx座標に1をもつランプが点灯し、次にx座標に2をもつランプが点灯し、以降、順にx座標3、4のランプが点灯する。これにより、「A」の文字がx座標方向へLEDランプほぼ2個分ずつ点灯していくのである。
【0025】
次に、図8に示す画面の右側にある表示動作ボタン37を押して発光表示動作作成メニューに移行する。表示動作ボタン37の操作に伴い図11に示す画面が表示される。この画面ではまず最初に、表示系統数と表示シーンを表示項目として持つテーブル53が表示される。テーブルの左側縦(列)方向にある表示項目47には、図8で説明した顧客管理情報メニューで設定した登録内容に基づいて表示系統数の項目が順番に設けられる。本実施例では表示系統数を3に指定しているため、系統01、系統02、系統03が表示されている。また、テーブルの上側横(行)方向にある表示項目48には、表示シーン設定枠の項目が順番に設けられる。この図11では表示シーン設定枠として、シーン1、シーン2、シーン3が表示されているが、図8に示す画面の表示動作ボタン37を押して発光表示動作作成メニューに移行した直後のデフォルト状態では、シーン1のみが表示される。表示シーンとは、3つの表示系統01〜03において、それぞれ独立して同時に1つの表示動作コマンドを実行するタイミングを指定するもので、3つの表示系統に対して、一続きの表示動作をもった動作コマンドをシーン1の箇所に割り当てることで、一斉同時にそれぞれ表示動作を実行させることができる。このような作用を持つ表示シーンを各表示系統に割り当てるため、テーブルの列方向に各表示系統ごとに動作コマンド用グリッド52を形成するのが表示シーン設定枠である。このような作用を持つ表示シーン設定枠の増減は、表示画面の上方にあるボタン49、50、51によって行うことができる。49はシーン追加ボタンで、このボタンをクリックすると、現在表示されている最後尾にある表示シーン設定枠の後ろに新たに表示シーン設定枠を追加することができる。50はシーン挿入ボタンで、このボタンをクリックすると、任意の表示シーン設定枠と表示シーン設定枠との間に新たな表示シーン設定枠を挿入することができる。51はシーン削除ボタンで、このボタンをクリックすると、任意の表示シーン設定枠を削除することができる。
【0026】
54は動作コマンドを表すアイコンで、アイコンに割り当てられた動作コマンド名称がアイコン上に表記されている。系統01、系統02、系統03のシーン1にあるアイコンは「点滅」であり、このアイコンにより表示系統1A、1B、1Cで表示部に描く「A」「B」「〜」が所定回数点滅動作を行う。また、系統01、系統02のシーン2にあるアイコンは「色切り替え」であり、このアイコンにより表示部の「A」「B」が複数色で色変わりする。系統03のシーン2にある「階調スクロール」アイコンでは、表示部に描いた「〜」の発光色が左端から右端に向かって階調変化を伴いながら別の発光色へ変わっていく。このように各種の発光動作コマンドを持つアイコンは、画面左側にあるパレットにツリー構造で用意されており、所望の動作コマンド名にマウスカーソルを合わせてドラッグ操作を行い、所望のグリッド上でドラッグアンドドロップ操作を行うことにより貼り付けをすることができる。この操作により、各表示系統の各表示シーンに動作コマンドを設定することができる。各動作コマンドの詳細な動きを調整するパラメータ設定を行う場合は、テーブルのグリッドにアイコン貼り付けた状態でマウスカーソルを合わせダブルクリックすればよい。このダブルクリック操作により図12のパラメータ設定メニューが表示され、「回数」「速度」「切り替え色数」等を調整することができる。これら調整項目は各コマンドにほぼ共通している。「回数」は各コマンドを実行する際に一連の動きを何回繰り返すかを指定するもので、「点滅」であれば何回点滅するかを指定し、「スクロール」であれば端から端まで移動しながら行う変化において端から端までの動きを何回くり返すかを指定する。「速度」とは、各動作コマンドの動きの速さを指定するものであり、「切り替え色数」とは、色変化を伴う動きのコマンドにおいて色を何色用いるかを指定するものである。図12の画面の上方右側にある56は表示シーン内の最優先コマンドを指定するチェックボックスで、マウスカーソルを合わせてこのボックスをチェックすることにより、図11に示すテーブル53において、同じ表示シーンに属する各表示系統のアイコンのうち、どのアイコンを優先するかを指定することができる。チェックボックス56をチェックしたアイコンには、図11に示すように優先マーク57が表示される。
【0027】
ある表示シーンの中で最優先の順位を与えられると、最優先のアイコンの動作コマンド実行時間を基準にして他のアイコンの動作コマンドが実行される。同じ動作コマンドでパラメータの設定も同じアイコンで表示シーンが構成されていれば、コマンドによる発光表示動作に要する時間が全く同じになるため問題ないのであるが、同じ表示シーンに異なるコマンドのアイコンが設定された場合、動作コマンドごとに発光表示動作に要する実行時間が異なるため、何れかのアイコンに実行時間の基準をおく必要がある。例えば、同じ表示シーンに、表示動作に4秒を要する動作コマンドAと、表示動作に5秒を要する動作コマンドBとがあったとする。この場合、動作コマンドAを最優先にすると、動作コマンドAの動きが終了した時点で、動作コマンドBは1秒分の動きを残して途中で発光動作を終了する。逆に、動作コマンドBを最優先にすると、コマンドBの発光動作が終了するまで動作コマンドAは表示動作を終了した最後の発光状態を維持して1秒間待機する。本実施例では、優先順位の高いアイコンに合わせて他のアイコンの表示動作を途中で終了処理する場合、LEDランプを瞬間的に消灯して突然表示動作を終了するのではなく、所定時間をかけながら徐々に消灯することもできる。この場合、最優先順位のアイコン動作が終了した時点から徐々に消灯してもよいし、また、前記コントローラ2において、表示動作に要する実行時間を予め計算しながら表示制御することにより、最優先順位のアイコン動作が終了すると同時に、他のアイコンの動作が徐々に終了し終えるようにすることもできる。
【0028】
以上のようにして、図11に示すテーブル53に必要なだけ表示シーン設定枠を設け、その結果形成される動作コマンド用グリッドにアイコン54を貼り付けたら、作成した発光表示動作を画面上で確認することができる。表示画面の上方にある模擬表示ボタン58をクリックすることで、図13に示す模擬表示画面が表示され、図9に示すLEDランプ配置メニューで作成したマークの配置に基づき、実際の表示部のイメージで表示の動きを動画で確認することができる。図13の画面には、図11のテーブルにしたがって、「A」「B」「〜」がそれぞれ一斉同時に同じ動きで点滅し(シーン1)、次に「A」「B」の色が切り替わり、同時にそれと平行して「〜」が階調スクロールで表示される(シーン2)。
【0029】
模擬表示動作を確認し、表示動作に異常な表示動作や問題がなければ、図11に示す画面の右側にある保存ボタン38をクリックして、これまで作成した発光制御データを保存する。保存ボタン38を操作すると保存先を指定することができ(図示しない)、前記メモリカード22やコンピュータの任意の場所に保存し、終了ボタン39をクリックして発光制御データ編集プログラムを終了する。
【0030】
<発光表示系統のグループ化機能>
次に発光表示系統のグループ化について説明する。ここまでの説明では、図10に示すように発光表示系統ごとに座標系を設定し、発光表示系統ごとにマーク42に座標位置情報と番号情報とを付与していた。そして、発光表示系統ごとにその表示シーンに動作コマンドを設定していた。したがって、表示部1の「A」「B」「〜」はそれぞれ単独で別々の表示動作を行っていた。これに対して、発光表示系統1A、1B、1Cを1つの同じ系統として設定するのがグループ化である。グループ化の設定手順について図14を基に説明する。まず、図8に示す表示動作ボタン37を操作して発光表示動作作成メニューに移行する。同メニューで表示されるテーブル53において、系統01、系統02、系統03を1つの同じ系統として表示動作を与えたい表示シーン設定枠で、デフォルト表示されている3つのグリッドをマウスカーソルでまとめて範囲指定する(図ではシーン1)。範囲指定することで、それまで3つ表示されていたグリッドが1つの連結したグリッドとして表示されるので、それを確認したところで、次にグループ化設定ボタン70をクリックする。この操作により範囲指定したグリッドの表示シーンで系統01、系統02、系統03をグループ化することができる。グループ化を解除するときは、グループ化したグリッド上にマウスカーソルを置いて1回クリックして(グループ化した)グリッドを選択し、グループ化解除ボタン71をクリックすればよい。なお、このグループ化は表示シーン単位で設定することができ、グループ化した表示シーンとそうでない表示シーンとを混在させることができる。その場合は当然グループ化した表示シーンでのみ発光表示系統1A、1B、1Cを1つの表示系統として扱って表示する。このとき、グループ化していないシーンでは各発光表示系統ごとに単独で付与された座標位置情報と番号情報に基づいて表示制御が行われ、グループ化したシーンではグループ化に伴って追加する形で付与された(後述する)座標位置情報と番号情報に基づいて表示制御が行われる。
【0031】
こうしてグループ化したグリッドには、表示動作を指定するアイコンを1種類貼り付けることができる。図14のシーン1では「カーテン表示」アイコンを設定しており、その具体的な手順は、前述の通りマウスカーソルを操作して画面左側にあるパレットよりアイコンを選択し、ドラッグアンドドロップ操作でグリッドに貼り付ければよい。
【0032】
発光表示系統1A、1B、1Cをグループ化すると、図15に示すように同じレイヤに発光表示系統1A、1B、1CのLEDランプ配置を表すマークが表示され、座標系が設定される。異なる発光表示系統に1つの座標系を設定すると共に座標位置情報と番号情報を新たに計算し直し、グループ化する前の座標位置情報および番号情報とは別に新たに付与される。そのとき、LEDランプの電気的接続順序を表す番号情報は、座標上において最も左側に位置する発光表示系統である1Cより1A、1Bの順番で、グループ化する前の番号情報の付与順にしたがって連続番号で付与し直すようにしている。
【0033】
図16は、系統01、系統02、系統03のシーン1をグループ化してカーテン表示コマンドを設定した場合の表示動作を表している。図示の通り、異なる表示系統の「A」「B」「〜」がグループ化され、1つの表示系統であるかのように左端から右端へ徐々に点灯していく表示動作が実行される。
【0034】
本発明は以上のように構成されるものであるが、上記実施例に限定されることなく特許請求の範囲内で種々の実施形態が考えられる。例えば、発光表示系統の数は実施例では3系統であるが、他の系統数でも実施することができる。また、表示系統のグループ化は任意の系統を選択して行うこともできる。その場合は、グループ化したい系統の表示シーン設定枠のグリッド上にマウスカーソルを合わせ、パソコンのキーボードでCtrlキーを押下しながらクリックすることで選択したいグリッドのみを指定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】発光表示システムの全体構成を示す説明図である。
【図2】LEDランプの外観を示す説明図である。
【図3】発光ユニットと取付ベースとの関係を示す説明図である。
【図4】表示部を実際に設置した例を示す説明図である。
【図5】表示部の一例を示す説明図である。
【図6】発光制御データを作成する流れを示す説明図である。
【図7】顧客管理テーブルを示す説明図である。
【図8】顧客管理情報の登録ウィザードメニュー画面を示す説明図である。
【図9】LEDランプ配置メニュー画面を示す説明図である。
【図10】LEDランプ配置メニュー画面で表示するグリッド線と座標系の関係を説明する図である。
【図11】テーブル編集画面を示す説明図である。
【図12】パラメータ設定メニュー画面を示す説明図である。
【図13】模擬表示画面を示す説明図である。
【図14】テーブル編集画面を示す説明図である。
【図15】グループ化した表示系統と座標系との関係を示す説明図である。
【図16】グループ化した表示系統の発光表示動作を表す説明図である。
【図17】LEDランプを配置した例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 表示部
1A,1B,1C 発光表示系統
2 コントローラ
3 ランプケース
4 LED
5 可撓性ケーブル
7 発光ユニット
8 取付ベース
11 発光体たるLEDランプ
42 マーク
48 表示シーン設定枠
52 動作コマンド用グリッド
53 テーブル
54 アイコン
60 表示グリッド
70 グループ化設定ボタン
71 グループ化解除ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面等にLED等から成る発光体を複数取り付け、個々の発光体を所定の発光タイミングで点滅することでイルミネーション発光を行う発光表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の壁面や観覧車等に発光体をライン状に配列し、発光体ごとに点滅を制御することで、ライン全体を一斉に点滅させたり、あるいは部分的に点滅させたり、流れ星のように光を流動表示する発光装置が知られている。
【0003】
このような装置によりイルミネーションを行うための制御データを作成する装置や制御データ作成プログラムを記録した記憶媒体として、下記に示す特許文献1がある。この先行技術は、LED等のランプ群に発光表示する発光パターンの時系列的な変化をコンピュータのモニタ画面上で逐次確認しながら編集するものである。
【0004】
特許文献1では、まず、線状に配列された多数のLEDランプ群をコンピュータのモニタ画面に表示されたビットマップ形式の原画の1行に対応付け、そのランプ群による発光パターンの時系列的な変化を原画の列方向に展開して2次元画像を作成する。線状に配列したランプ群を2次元ビットマップ画像の1行に置き換え、時間の流れと共にランプ群の発光が変化していく様子をビットマップの列方向に並べて表現したものである。そして、このような原画データをコンピュータの編集画面上で編集を加えて1行毎に抽出し、その抽出するときの抽出ライン移動速度を任意に設定してイルミネーションの制御データを作成している。このようにして制御データを作成することにより、確かに、LEDランプ群を1本の直線形状に配置した場合には、ランプ群で表示する発光パターンの時系列的な変化を直感的に確認しながら編集することができた。しかし、LEDランプ群を文字や絵記号等を形づくるように2次元に配置する場合は、発光パターンの変化をビットマップ形式の原画に展開することができず、イルミネーション制御データを作成することができなかった。
【0005】
そこで、本出願人は下記特許文献2に示す発光表示システムを既に提案した。同提案によれば、表示部を構成するLEDランプ群が広告看板用のロゴマークや特別な書体文字といった形状に2次元配置されている場合にも、コンピュータ(編集装置)のモニタ画面上に文字や絵記号を実際の表示部のイメージで再現し、また、発光表示するイメージをモニタ画面上の模擬表示で確認しながら発光制御データを作成することが可能になる。
【特許文献1】特開2001−166738号
【特許文献2】特願2003−396565号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献2の提案において新たに問題点が発生した。シリアル接続した一連のLEDランプ群で1つの文字を構成し、その文字を複数並べて表示するような場合、複数文字全体で1つの表示動作を行うことができなかったのである。図17に示すパターンを例にすれば、「A」「B」「C」の3文字をそれぞれ別々にカーテン表示(左側から右側へ徐々に点灯させていく表示)することは出来た。しかし、「A」「B」「C」を1つのロゴマークとし、ABCの順でAの左端からCの右端へ徐々に点灯して最終的にABCの3文字を全点灯するというカーテン表示動作を行うことはできなかった。異なるLEDランプ群によって構成されたA、B、Cの各文字は、1文字を構成するLEDランプの位置情報を文字ごとに備えており、別の文字を構成しているLEDランプとの相対的な位置関係を表す情報を備えていないため、異なる文字の間で同期した発光表示動作を行うことができなかったのである。
【0007】
本発明はこの問題点を解決することを課題としており、表示部に複数のLEDランプ群を配置して複数の文字や絵記号を表示できるようにした発光表示システムにおいて、文字や絵記号を個々に表示制御するのはもとより、複数の文字や絵記号を一括りにした全体で1つの表示動作を行うことができるようにした発光表示システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、複数の発光体を任意の形状に沿って配置すると共に、複数の前記発光体のうち所定数の発光体をひとまとまりにシリアル接続して構成する発光表示系統を複数備える表示部と、表示部に配置した複数の発光体に関する発光制御データを作成する編集装置と、前記発光制御データを複数記憶すると共に、発光制御データに基づいて前記表示部へ表示信号を送出する表示制御部と、を備え、発光体を点滅することで装飾発光を行う発光表示システムにおいて、前記表示部に配置した発光体の配置数と配置形状とシリアル接続順に合わせて、発光体を表すマークを編集装置の編集メニュー画面上に配置する機能と、編集メニュー画面上にマークを配置して表した複数の前記発光表示系統の各々に対して個々に座標系を設定し、マークの位置情報を発光表示系統ごとに求める機能と、編集メニュー画面上の複数の発光表示系統のうち、任意の複数の発光表示系統に対して同一の座標系を設定し、異なる発光表示系統に属するマークの位置情報を同一の座標系に基づいて求める機能と、求めたマークの位置情報を発光制御データの作成に用いる基本データとして登録する機能と、を前記編集装置に備え、個々の発光表示系統ごとに得たマークの位置情報、あるいは複数の発光表示系統に同一の座標系を設定して得たマークの位置情報、のいずれの位置情報も前記基本データとして登録できるようにしたことを特徴とする発光表示システム。を提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の作用によれば、表示部に配置されているLEDランプに合わせて編集装置の編集メニュー画面上にマークを配置する。実際の表示部は、複数個のLEDランプを電気的に一続きにシリアル接続した発光表示系統によって1つの文字や1つの記号が構成されており、編集画面上にマークを配置する際にも、配置位置に関する情報や、電気的な接続順序に関する情報を合わせて発光表示系統ごとにデータとして登録していく。その結果、編集装置の編集画面上には、LEDランプの配置形状に合わせてマークが配置されると同時に、マークが属する発光表示系統に関する情報も表示される。編集画面上には複数の発光表示系統がプロットされ、それら発光表示系統に対して、その1つ1つに座標系を設定して各発光表示系統に属するマークの位置情報を求めることができ、また、複数の発光表示系統に1つの座標系を設定し、異なる発光表示系統に属するマークの位置情報を同じ座標に基づいて求めることもできる。そして、求めたマークの位置情報を基本データとして発光制御データを作成する。
【0010】
したがって、1組の文字や絵記号に相当する複数の発光表示系統に1つの座標系を設定することにより、1組の文字や絵記号全体を1つの表示動作で発光表示することができ、ロゴマークのように複数の文字や絵記号からなる1組の表示パターンを、違和感なくまた見栄え良く表示できるという効果が得られる。
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は本発明一実施例の全体構成を示す説明図である。本実施例に関わる発光表示システムは、表示部1とコントローラ2の二つの主要部によって構成されている。表示部1はさらに複数の発光表示系統(本実施例では1A、1Bおよび1C)によって構成されている。各表示系統の中に複数配列される11は発光体たるLEDランプで、ランプケース内にRGB各色のLEDを配置すると共に、LED駆動回路を内蔵している。このLEDランプ11は、コントローラ2からの表示制御信号を受けて点滅動作を行う最小の発光単位であり、ドットマトリクス方式の表示装置でいう1ドットに相当するものである。表示系統1Aは(表示系統1B、1Cも同様)、LEDランプ11の集まりによって構成されており、ひとつの表示系統あたり最大128個までLEDランプを接続することが可能で、複数個のLEDランプを直線や曲線を描くように並べることで表示部が形づくられる。12は信号ラインで、文字や飾りラインを描くように配列される複数個のLEDランプをシリアル(直列)接続し、その結果、全体として形成されるシリアル回路の一端を受信回路13に接続して、残る一端を終端処理している。14は電源ラインで、分配器15から供給される電力を各LEDランプ11に供給する。分配器15は、表示系統とコントローラ2との間に位置しており、コントローラ2から送出される表示制御信号をいったん受けて同信号を受信回路13に受け渡す機能と、商用電源から得た電力を直流に変換して電源ライン14に供給する機能とを備えている。1つの分配器には最大8つまでの表示系統を接続することが可能で、また、コントローラ2には最大4台までの分配器を接続することが可能である。
【0013】
次に、表示制御部たるコントローラ2について説明する。16は記憶部で、コントローラの制御動作に関する動作プログラムと、表示部1に配列する表示系統分のLEDランプの点滅態様を記憶する点滅情報と、この点滅情報をどのようなタイミングで表示部1に表示するかを指定するスケジュール情報と、発光表示システム全体に関する各種の設定データとを記憶している。17はCPUで、記憶部16で記憶するプログラムやデータに従いダイナミック表示方式による表示処理手順をこなす。18はVRAMで、表示部1に並べられたLEDランプ11の配列構成に対応したメモリ構成を持ち、記憶部16から読み出した点滅情報をビットデータとして展開可能な記憶領域を備えている。19はプログラマブルロジックデバイスで、ダイナミック駆動タイミングに基づいてVRAM18に展開したビットデータを読み出し、発光制御データとして送信回路20を介して前記分配器15に送出する。21はリアルタイムクロックICで、CPU17からの要求を受けて現在時刻と年・日付・曜日を出力する。22はメモリカードで、メモリカードインターフェース22aを介してコントローラ2に着脱され、外部の編集装置で作成した各種データを記憶部16に転送するための記憶媒体として用いられる。23は外部に設置された編集装置で、発光制御データ編集アプリケーションプログラムがインストールされたコンピュータによって構成される。
【0014】
次に、表示部の構成について詳細に説明する。まず、図2にLEDランプ11の外観を示す。3は樹脂材料からなるランプケースで、上面にRGB各色のLED4を備え、図示しないケース内側にはLED駆動回路が収められている。LED4はプリント基板に半田付けされた後、シフトレジスタ回路やラッチ回路等を搭載したICと共にランプケース3の内側に収められ、ケース内の隙間に上から流動性シリコンを充填してポッティング封止している。このポッティング処理により、ランプケース3の表面にはLEDの発光レンズ部分のみが現れ、LEDのリード端子を含む電装部品は完全にシールされる。3aは弾性を有する係合爪で、後述する取付ベースの係合部に弾性力を利用して着脱自在に取り付けられるようにしている。3bはネジ止め用の穴を備えたフランジで、このフランジとネジやボルトを利用することで建物の壁面等へ直接固定できるようにしている。5は柔軟性を備えた可撓性ケーブルで、図1に示した信号ライン12と電源ライン14がこのケーブル内に挿通されている。この可撓性ケーブル5は、ランプケース内において上記電装部品と共に流動性シリコンでポッティングされており、ランプケースからのケーブル引き出し部分にも防水性が与えられている。
【0015】
図3はLEDランプユニットと取付ベースとの関係を示す説明図である。LEDランプ11は、可撓性ケーブル5によって複数個がひとまとめにシリアル接続され、LEDランプユニット7を構成する。本実施例では4つのLEDランプ11を所定長さのケーブルで接続しており、両端に位置するLEDランプから延出するケーブルにはコネクタ6を備えている。8は金属材料からなる板状の取付ベースで、長方形板材の長辺両縁部を曲げ起こした断面略コ字状をなし、短辺方向の長さがLEDランプ11の幅とほぼ一致している。8aはランプ取付穴で、この細長形状の穴にLEDランプ11の係合爪3aを嵌め込み、係合爪3aの弾性力をもってLEDランプ11を着脱自在に固定できるようにしている。8bは取付ベース取付穴で、ネジやボルトを利用して建物の壁面等へ取付ベース8を固定することができる。8cは取付ベース8を取り付ける際の調整用の切り込みで、取付ベース8の短辺を切るように、一部を残してスリット状の切り込みを設けたものである。
【0016】
このように構成されるLEDランプユニット7は、コネクタ6によって別のLEDランプユニットと接続することが可能で、1つの表示系統で表示部1を構成した場合、壁面等の設置場所に合わせて連続的にLEDランプユニットを直列接続し、途中に電源を追加することで最大800台(LEDランプで3200個)まで接続することができる。
【0017】
次に、図4を基に表示部1を実際に設置した例について説明する。図4は設置例の一部を部分的に示したものであり、直線と曲線とを組み合わせた例である。まず、建物の壁面に複数個の取付ベース8を直線状に取り付けて2本の直線を形成する。次に、それら取付ベースに対してLEDランプを所望の配置間隔で固定しランプユニット7を連続的に接続していく。このとき、個々のLEDランプ11を配置する間隔は等間隔でも良いし、不等間隔でも良い。要は装飾効果や演出効果、あるいは形づくりたい文字や図柄を考慮して取付位置を決定すれば良い。このようにして形成した2本の直線は、自由な曲線でつなぐことができる。曲線を描く場合は、取付ベース8を用いずに、LEDランプ11のフランジ3bを利用してネジやボルトで壁面に直接固定する。取り付ける位置は自由に決定することができ、LEDランプを並べながら固定していく間隔等を考慮することで、滑らか(LEDランプを狭い間隔で多数配置した)な曲線や、小さな曲率半径から大きな曲率半径まで各種曲線にを描くことができる。
【0018】
このように、直線と曲線を組み合わせることにより、図5に示すようなロゴマークを描くことが可能になる。図示の例は3つの表示系統で構成しており、図1に示した表示系統1Aにより「A」の文字を描き、表示系統1B、1Cによりそれぞれ「B」「〜」を描いている。既に説明した様に、同じ表示系統に属するLEDランプはシリアル接続され、別の表示系統に属するLEDランプとは独立しているため、「A」「B」「〜」の3つを独立して発光制御することができる。
【0019】
次に、前記編集装置23による発光制御データ編集プログラムの動作について説明する。まず、編集装置23によって発光制御データを作成する全体の流れを図6(a)に基づいて説明する。最初に、編集装置23たるパーソナルコンピュータを起動し、発光制御データ編集プログラムを立ち上げる。次に、複数設置された発光表示システムを区別するために、顧客管理情報を設定する。次に、設定した顧客管理情報のもとで行う一連の発光表示動作(表示シーケンス)を作成し、作成したデータを保存して終了する。この流れの中で最初に設定する顧客管理情報は、顧客先に設置した発光表示システムの仕様を編集装置23上に再現するものであり、顧客ごとに物件対応した仕様に対応して発光制御データを作成するために必要な設定手順である。その顧客管理情報の設定手順の流れを図6(b)に示し、各手順においてコンピュータのモニタ画面に表示される編集画面を図7、図8、図9、図12、図13、図14に示す。
【0020】
編集装置23の発光制御データ編集プログラムを立ち上げると、図7に示す画面が表示される。画面に表示された顧客管理テーブルの左端縦列には連番が付されており、各番号が付された行ごとに顧客管理情報を登録することができる(30)。既に作成された顧客管理情報は「顧客名称」「作成日」「系統数」「メモ」の項目にそれぞれの登録内容が表示されており、何も登録されていない行は空欄となっている。既に作成済みの発光制御データを再編集する場合は、該当する顧客の行にマウスカーソルを合わせ、ダブルクリックすることで顧客管理情報と発光制御データの編集が可能となる。新規に作成する場合は、空欄の行にマウスカーソルを合わせてダブルクリックすることで、図8に示す登録ウィザードメニューが表示される。表示された画面の顧客名称入力枠31に顧客の名称を入力し、系統数指定窓32により表示系統数を指定する。ここで指定する表示系統の数は、実際に壁面等に設置してある表示部の系統数を指定するものであり、本実施例では前述の通り1A、1B、1Cという3つの表示系統で構成しているため、系統数3を指定する。表示系統数を指定すると、指定した数に応じてタブ33が表示され、3つの表示系統それぞれについての詳細な設定が行えるようになる。設定可能な項目は、系統についてのコメント、系統のタイプ、LEDランプ数である。表示系統についてのコメント枠には自由に文字を入力することができるため、系統に関するタイトルやイニシャル等を入力すればよい。系統のタイプとは、表示系統を構成するLEDランプ11が直線で配置されるのか、あるいは文字や図柄のように自由な曲線で配置されるのかを指定する項目であり、ラジオボタン34により、直線配置の場合は「ライン等」を指定し、自由曲線配置の場合は「チャネル文字等」を指定すればよい。LEDランプ数とは、各表示系統に配置するLEDランプの数を表すもので、配置可能な最大数がデフォルト表示される。配置可能な最大数は系統数指定窓32で指定する系統数により変化し、例えば、系統数が1の場合は4096個、系統数が2の場合は2048個、系統数が3の場合は1024個といったように配置可能最大数がデフォルト表示されるので、表示された数よりも少ない数で、かつ表示部に実際に配置したLEDランプ数に合わせて指定する。ラジオボタン34で「ライン等」を指定した場合は、LEDランプ数を指定した時点で顧客管理情報に関する入力項目は全て終了する。一方、ラジオボタン34で「チャネル文字等」を指定した場合は、配置変更ボタン41を押してLEDランプの配置を指定する。
【0021】
図示の状態で配置変更ボタン41を押すと、図9に示すLEDランプ配置メニュー画面が表示される。このメニューでは、LEDランプ11が表示部に配置された状態を、実際のLEDランプに代わるマークで表示系統ごとに登録することができる。図9は、表示系統1Aによって描く「A」の文字を表示系統1Aのレイヤに登録する例である。モニタ画面に表示された縦横方向のグリッド線60を目安にしながら、表示部のLEDランプ配置と同じくなるようにマーク42を配置する。グリッド線同士の間隔は、複数段階に切り替え可能であり、グリッド表示設定ボタン45をクリック操作することによりグリッド表示設定メニュー61が立ち上がり、グリッド線の表示間隔を横方向と縦方向にそれぞれ独立してテンキーで指定することができるようになる。62は横方向に表示するグリッド線の表示間隔を指定する入力窓であり、63は縦方向に表示するグリッド線の表示間隔を指定する入力窓である。また、64はグリッド線の表示有無を指定するチェックボックスである。このチェックボックスのチェックを外すことにより、グリッド線を表示させないようにすることもできる。画面には、グリッド線の他に任意の画像データを下絵として表示し、その画像データ上にマーク42を重ねて配置することもできる。読み込み可能な画像データの種類としては、BMP、JPEG等各種形式の画像データに対応している。下絵として読み込む手順は、画面上方に位置する下絵オープンボタン43をクリック操作し、下絵に設定したい画像が保存されている場所を指定して「開く」の操作を行えばよい。表示部のLED配置図面やロゴマーク画像などを下絵に設定することにより、マーク42の配置作業が容易になり作業効率が格段に向上する。画像データを読み込んで下絵としていったん設定した後にも、下絵有無ボタン44をクリック操作するたびに下絵の表示有無を切り替えることが可能である。また、表示系統1B、1Cのそれぞれのレイヤに既にマークが登録されている場合にも、画面上へ他のレイヤのマークを重ねて表示するようにしている。図9は表示系統1Aのレイヤに関する編集画面であるが、別の表示系統である「B」「〜」も表示されており、これは表示系統1B、1Cに既にマークが登録されている状態を表している。他の表示系統の配置マークとの位置関係や大きさの関係が確認できることにより、文字「A」に関するマークの配置作業を容易に行うことができる。もちろんこの場合、マーク配置作業が可能な表示系統は1Aのみであり、表示系統1B、1Cは表示されるだけで、編集や配置作業を行うことはできない。
【0022】
マーク42はマウスカーソルの動きに合わせて移動させることができ、所定の位置にマーク42を合わせたところでクリック操作することによりマークの位置を固定する。マーク42の固定操作は連続して行うことが可能で、表示部に配置されたLEDランプの配置形状、ランプ数、電気的接続順に合わせてマーク42の位置を固定していく。このとき、マーク位置を固定していくと同時に順番に番号が付与され、LEDランプの電気的接続順と一致してマーク42に番号情報が与えられる。本実施例では、表示系統1Aで「A」の文字を描いているため、マーク42を「A」の形に配置したらOKボタン46をクリックして登録し、このメニュー画面を終了する。OKボタン46を操作することによって画面は図8に戻り、タブ33にある「系統02」において「B」の文字について設定し、「系統03」において「〜」の文字について設定を行うことができる。
【0023】
上記操作をくり返し、図8の画面で系統01、系統02、系統03の登録設定が終了したら顧客管理情報に関する入力項目が全て終了する。
【0024】
ここで、図9のLEDランプ配置メニュー画面で表示するグリッド線について、図10図11を基に更に詳しく説明する。
図10に示すように、モニタ画面に表示されたグリッド上には、座標系が重ね合わせて設定される。この座標系はモニタ画面上には表示されず、編集装置の内部で行われる内部処理で設定され、モニタ画面上のグリッド線の表示間隔と同じ目盛間隔の座標軸を備えている。図10はその座標系を示したもので、座標軸の目盛間隔でx軸およびy軸にそれぞれ平行線を引いて形成した方眼のセルに座標(x,y)を割り当てている。原点を左下隅におき、図示のように、x軸方向とy軸方向へグリッド線の表示幅ごとに座標値を割り当て、グリッド線で形成されるひとつひとつのセルが直交座標で特定されるようにしている。したがって、図のように配置したマーク42は、マークの中心点がどのセルに位置するかにより、その配置位置を特定することができる。既に説明した通り、表示部のLEDランプに合わせてマークを配置していく段階で、各マークにはLEDランプの電気的接続順と一致した番号情報(図中の○付き数字)が与えられるため、各マークは、番号情報と上記座標位置情報(位置情報)により個々の位置を特定することが可能になる。図では、「A」の形に配置された11個のマークには図10(b)に示すような番号情報と座標位置情報(位置情報)が付与される。これら、マークの位置に関する情報は、発光制御データを作成する上で基本データとなるものであり、これらを基にして発光動作コマンドが実行される。例えば、図10(c)に示すように、LEDランプによる「A」の文字を動作コマンド「カーテン表示」で表示する場合、左側から右側へ徐々にランプが点灯していく動きは、x座標に基づいて行われる(上下方向の動きはy座標に基づいて行われる)。まず、x座標に0を持つランプが点灯し、次にx座標に1をもつランプが点灯し、次にx座標に2をもつランプが点灯し、以降、順にx座標3、4のランプが点灯する。これにより、「A」の文字がx座標方向へLEDランプほぼ2個分ずつ点灯していくのである。
【0025】
次に、図8に示す画面の右側にある表示動作ボタン37を押して発光表示動作作成メニューに移行する。表示動作ボタン37の操作に伴い図11に示す画面が表示される。この画面ではまず最初に、表示系統数と表示シーンを表示項目として持つテーブル53が表示される。テーブルの左側縦(列)方向にある表示項目47には、図8で説明した顧客管理情報メニューで設定した登録内容に基づいて表示系統数の項目が順番に設けられる。本実施例では表示系統数を3に指定しているため、系統01、系統02、系統03が表示されている。また、テーブルの上側横(行)方向にある表示項目48には、表示シーン設定枠の項目が順番に設けられる。この図11では表示シーン設定枠として、シーン1、シーン2、シーン3が表示されているが、図8に示す画面の表示動作ボタン37を押して発光表示動作作成メニューに移行した直後のデフォルト状態では、シーン1のみが表示される。表示シーンとは、3つの表示系統01〜03において、それぞれ独立して同時に1つの表示動作コマンドを実行するタイミングを指定するもので、3つの表示系統に対して、一続きの表示動作をもった動作コマンドをシーン1の箇所に割り当てることで、一斉同時にそれぞれ表示動作を実行させることができる。このような作用を持つ表示シーンを各表示系統に割り当てるため、テーブルの列方向に各表示系統ごとに動作コマンド用グリッド52を形成するのが表示シーン設定枠である。このような作用を持つ表示シーン設定枠の増減は、表示画面の上方にあるボタン49、50、51によって行うことができる。49はシーン追加ボタンで、このボタンをクリックすると、現在表示されている最後尾にある表示シーン設定枠の後ろに新たに表示シーン設定枠を追加することができる。50はシーン挿入ボタンで、このボタンをクリックすると、任意の表示シーン設定枠と表示シーン設定枠との間に新たな表示シーン設定枠を挿入することができる。51はシーン削除ボタンで、このボタンをクリックすると、任意の表示シーン設定枠を削除することができる。
【0026】
54は動作コマンドを表すアイコンで、アイコンに割り当てられた動作コマンド名称がアイコン上に表記されている。系統01、系統02、系統03のシーン1にあるアイコンは「点滅」であり、このアイコンにより表示系統1A、1B、1Cで表示部に描く「A」「B」「〜」が所定回数点滅動作を行う。また、系統01、系統02のシーン2にあるアイコンは「色切り替え」であり、このアイコンにより表示部の「A」「B」が複数色で色変わりする。系統03のシーン2にある「階調スクロール」アイコンでは、表示部に描いた「〜」の発光色が左端から右端に向かって階調変化を伴いながら別の発光色へ変わっていく。このように各種の発光動作コマンドを持つアイコンは、画面左側にあるパレットにツリー構造で用意されており、所望の動作コマンド名にマウスカーソルを合わせてドラッグ操作を行い、所望のグリッド上でドラッグアンドドロップ操作を行うことにより貼り付けをすることができる。この操作により、各表示系統の各表示シーンに動作コマンドを設定することができる。各動作コマンドの詳細な動きを調整するパラメータ設定を行う場合は、テーブルのグリッドにアイコン貼り付けた状態でマウスカーソルを合わせダブルクリックすればよい。このダブルクリック操作により図12のパラメータ設定メニューが表示され、「回数」「速度」「切り替え色数」等を調整することができる。これら調整項目は各コマンドにほぼ共通している。「回数」は各コマンドを実行する際に一連の動きを何回繰り返すかを指定するもので、「点滅」であれば何回点滅するかを指定し、「スクロール」であれば端から端まで移動しながら行う変化において端から端までの動きを何回くり返すかを指定する。「速度」とは、各動作コマンドの動きの速さを指定するものであり、「切り替え色数」とは、色変化を伴う動きのコマンドにおいて色を何色用いるかを指定するものである。図12の画面の上方右側にある56は表示シーン内の最優先コマンドを指定するチェックボックスで、マウスカーソルを合わせてこのボックスをチェックすることにより、図11に示すテーブル53において、同じ表示シーンに属する各表示系統のアイコンのうち、どのアイコンを優先するかを指定することができる。チェックボックス56をチェックしたアイコンには、図11に示すように優先マーク57が表示される。
【0027】
ある表示シーンの中で最優先の順位を与えられると、最優先のアイコンの動作コマンド実行時間を基準にして他のアイコンの動作コマンドが実行される。同じ動作コマンドでパラメータの設定も同じアイコンで表示シーンが構成されていれば、コマンドによる発光表示動作に要する時間が全く同じになるため問題ないのであるが、同じ表示シーンに異なるコマンドのアイコンが設定された場合、動作コマンドごとに発光表示動作に要する実行時間が異なるため、何れかのアイコンに実行時間の基準をおく必要がある。例えば、同じ表示シーンに、表示動作に4秒を要する動作コマンドAと、表示動作に5秒を要する動作コマンドBとがあったとする。この場合、動作コマンドAを最優先にすると、動作コマンドAの動きが終了した時点で、動作コマンドBは1秒分の動きを残して途中で発光動作を終了する。逆に、動作コマンドBを最優先にすると、コマンドBの発光動作が終了するまで動作コマンドAは表示動作を終了した最後の発光状態を維持して1秒間待機する。本実施例では、優先順位の高いアイコンに合わせて他のアイコンの表示動作を途中で終了処理する場合、LEDランプを瞬間的に消灯して突然表示動作を終了するのではなく、所定時間をかけながら徐々に消灯することもできる。この場合、最優先順位のアイコン動作が終了した時点から徐々に消灯してもよいし、また、前記コントローラ2において、表示動作に要する実行時間を予め計算しながら表示制御することにより、最優先順位のアイコン動作が終了すると同時に、他のアイコンの動作が徐々に終了し終えるようにすることもできる。
【0028】
以上のようにして、図11に示すテーブル53に必要なだけ表示シーン設定枠を設け、その結果形成される動作コマンド用グリッドにアイコン54を貼り付けたら、作成した発光表示動作を画面上で確認することができる。表示画面の上方にある模擬表示ボタン58をクリックすることで、図13に示す模擬表示画面が表示され、図9に示すLEDランプ配置メニューで作成したマークの配置に基づき、実際の表示部のイメージで表示の動きを動画で確認することができる。図13の画面には、図11のテーブルにしたがって、「A」「B」「〜」がそれぞれ一斉同時に同じ動きで点滅し(シーン1)、次に「A」「B」の色が切り替わり、同時にそれと平行して「〜」が階調スクロールで表示される(シーン2)。
【0029】
模擬表示動作を確認し、表示動作に異常な表示動作や問題がなければ、図11に示す画面の右側にある保存ボタン38をクリックして、これまで作成した発光制御データを保存する。保存ボタン38を操作すると保存先を指定することができ(図示しない)、前記メモリカード22やコンピュータの任意の場所に保存し、終了ボタン39をクリックして発光制御データ編集プログラムを終了する。
【0030】
<発光表示系統のグループ化機能>
次に発光表示系統のグループ化について説明する。ここまでの説明では、図10に示すように発光表示系統ごとに座標系を設定し、発光表示系統ごとにマーク42に座標位置情報と番号情報とを付与していた。そして、発光表示系統ごとにその表示シーンに動作コマンドを設定していた。したがって、表示部1の「A」「B」「〜」はそれぞれ単独で別々の表示動作を行っていた。これに対して、発光表示系統1A、1B、1Cを1つの同じ系統として設定するのがグループ化である。グループ化の設定手順について図14を基に説明する。まず、図8に示す表示動作ボタン37を操作して発光表示動作作成メニューに移行する。同メニューで表示されるテーブル53において、系統01、系統02、系統03を1つの同じ系統として表示動作を与えたい表示シーン設定枠で、デフォルト表示されている3つのグリッドをマウスカーソルでまとめて範囲指定する(図ではシーン1)。範囲指定することで、それまで3つ表示されていたグリッドが1つの連結したグリッドとして表示されるので、それを確認したところで、次にグループ化設定ボタン70をクリックする。この操作により範囲指定したグリッドの表示シーンで系統01、系統02、系統03をグループ化することができる。グループ化を解除するときは、グループ化したグリッド上にマウスカーソルを置いて1回クリックして(グループ化した)グリッドを選択し、グループ化解除ボタン71をクリックすればよい。なお、このグループ化は表示シーン単位で設定することができ、グループ化した表示シーンとそうでない表示シーンとを混在させることができる。その場合は当然グループ化した表示シーンでのみ発光表示系統1A、1B、1Cを1つの表示系統として扱って表示する。このとき、グループ化していないシーンでは各発光表示系統ごとに単独で付与された座標位置情報と番号情報に基づいて表示制御が行われ、グループ化したシーンではグループ化に伴って追加する形で付与された(後述する)座標位置情報と番号情報に基づいて表示制御が行われる。
【0031】
こうしてグループ化したグリッドには、表示動作を指定するアイコンを1種類貼り付けることができる。図14のシーン1では「カーテン表示」アイコンを設定しており、その具体的な手順は、前述の通りマウスカーソルを操作して画面左側にあるパレットよりアイコンを選択し、ドラッグアンドドロップ操作でグリッドに貼り付ければよい。
【0032】
発光表示系統1A、1B、1Cをグループ化すると、図15に示すように同じレイヤに発光表示系統1A、1B、1CのLEDランプ配置を表すマークが表示され、座標系が設定される。異なる発光表示系統に1つの座標系を設定すると共に座標位置情報と番号情報を新たに計算し直し、グループ化する前の座標位置情報および番号情報とは別に新たに付与される。そのとき、LEDランプの電気的接続順序を表す番号情報は、座標上において最も左側に位置する発光表示系統である1Cより1A、1Bの順番で、グループ化する前の番号情報の付与順にしたがって連続番号で付与し直すようにしている。
【0033】
図16は、系統01、系統02、系統03のシーン1をグループ化してカーテン表示コマンドを設定した場合の表示動作を表している。図示の通り、異なる表示系統の「A」「B」「〜」がグループ化され、1つの表示系統であるかのように左端から右端へ徐々に点灯していく表示動作が実行される。
【0034】
本発明は以上のように構成されるものであるが、上記実施例に限定されることなく特許請求の範囲内で種々の実施形態が考えられる。例えば、発光表示系統の数は実施例では3系統であるが、他の系統数でも実施することができる。また、表示系統のグループ化は任意の系統を選択して行うこともできる。その場合は、グループ化したい系統の表示シーン設定枠のグリッド上にマウスカーソルを合わせ、パソコンのキーボードでCtrlキーを押下しながらクリックすることで選択したいグリッドのみを指定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】発光表示システムの全体構成を示す説明図である。
【図2】LEDランプの外観を示す説明図である。
【図3】発光ユニットと取付ベースとの関係を示す説明図である。
【図4】表示部を実際に設置した例を示す説明図である。
【図5】表示部の一例を示す説明図である。
【図6】発光制御データを作成する流れを示す説明図である。
【図7】顧客管理テーブルを示す説明図である。
【図8】顧客管理情報の登録ウィザードメニュー画面を示す説明図である。
【図9】LEDランプ配置メニュー画面を示す説明図である。
【図10】LEDランプ配置メニュー画面で表示するグリッド線と座標系の関係を説明する図である。
【図11】テーブル編集画面を示す説明図である。
【図12】パラメータ設定メニュー画面を示す説明図である。
【図13】模擬表示画面を示す説明図である。
【図14】テーブル編集画面を示す説明図である。
【図15】グループ化した表示系統と座標系との関係を示す説明図である。
【図16】グループ化した表示系統の発光表示動作を表す説明図である。
【図17】LEDランプを配置した例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 表示部
1A,1B,1C 発光表示系統
2 コントローラ
3 ランプケース
4 LED
5 可撓性ケーブル
7 発光ユニット
8 取付ベース
11 発光体たるLEDランプ
42 マーク
48 表示シーン設定枠
52 動作コマンド用グリッド
53 テーブル
54 アイコン
60 表示グリッド
70 グループ化設定ボタン
71 グループ化解除ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光体を任意の形状に沿って配置すると共に、複数の前記発光体のうち所定数の発光体をひとまとまりにシリアル接続して構成する発光表示系統を複数備える表示部と、
表示部に配置した複数の発光体に関する発光制御データを作成する編集装置と、
前記発光制御データを複数記憶すると共に、発光制御データに基づいて前記表示部へ表示信号を送出する表示制御部と、を備え、発光体を点滅することで装飾発光を行う発光表示システムにおいて、
前記表示部に配置した発光体の配置数と配置形状とシリアル接続順に合わせて、発光体を表すマークを編集装置の編集メニュー画面上に配置する機能と、
編集メニュー画面上にマークを配置して表した複数の前記発光表示系統の各々に対して個々に座標系を設定し、マークの位置情報を発光表示系統ごとに求める機能と、
編集メニュー画面上の複数の発光表示系統のうち、任意の複数の発光表示系統に対して同一の座標系を設定し、異なる発光表示系統に属するマークの位置情報を同一の座標系に基づいて求める機能と、
求めたマークの位置情報を発光制御データの作成に用いる基本データとして登録する機能と、を前記編集装置に備え、
個々の発光表示系統ごとに得たマークの位置情報、あるいは複数の発光表示系統に同一の座標系を設定して得たマークの位置情報、のいずれの位置情報も前記基本データとして登録できるようにしたことを特徴とする発光表示システム。
【請求項1】
複数の発光体を任意の形状に沿って配置すると共に、複数の前記発光体のうち所定数の発光体をひとまとまりにシリアル接続して構成する発光表示系統を複数備える表示部と、
表示部に配置した複数の発光体に関する発光制御データを作成する編集装置と、
前記発光制御データを複数記憶すると共に、発光制御データに基づいて前記表示部へ表示信号を送出する表示制御部と、を備え、発光体を点滅することで装飾発光を行う発光表示システムにおいて、
前記表示部に配置した発光体の配置数と配置形状とシリアル接続順に合わせて、発光体を表すマークを編集装置の編集メニュー画面上に配置する機能と、
編集メニュー画面上にマークを配置して表した複数の前記発光表示系統の各々に対して個々に座標系を設定し、マークの位置情報を発光表示系統ごとに求める機能と、
編集メニュー画面上の複数の発光表示系統のうち、任意の複数の発光表示系統に対して同一の座標系を設定し、異なる発光表示系統に属するマークの位置情報を同一の座標系に基づいて求める機能と、
求めたマークの位置情報を発光制御データの作成に用いる基本データとして登録する機能と、を前記編集装置に備え、
個々の発光表示系統ごとに得たマークの位置情報、あるいは複数の発光表示系統に同一の座標系を設定して得たマークの位置情報、のいずれの位置情報も前記基本データとして登録できるようにしたことを特徴とする発光表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−119171(P2006−119171A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303839(P2004−303839)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
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