説明

発光表示装置

【課題】フルカラー表示可能な発光表示装置の優れたアイキャッチ効果を維持しつつ、製造コストのコストダウンを図った表示装置を提供する。
【解決手段】発光表示装置1は、発光表示部3に複数配置される発光ダイオード2の点灯により、少なくとも文字をドット表示するにあたり、発光表示部3の表示ドットをフルカラー表示が可能な発光ダイオード2で構成するとともに、フルカラー表示する文字を予め特定し、該特定文字領域内のみに複数の発光ダイオード2を配置し、これらの発光ダイオード2の点灯により、特定文字のフルカラー表示を行う構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示基板に複数配置される発光ダイオードの点灯により、少なくとも文字をドット表示する発光表示装置に関し、特に、店舗の店頭等に宣伝目的で設置される店舗用の発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示基板に複数配置される発光ダイオードの点灯により、文字等をドット表示する発光表示装置が知られている。特に、店舗の店頭等に宣伝目的で設置される店舗用の発光表示装置が広く普及している(例えば、特許文献1参照)。この種の発光表示装置は、一文字を表示するn×nドットのマトリクス発光表示パネルを一単位とし、これを縦方向及び/又は横方向に複数並設して表示基板を構成している。例えば、図3に示す発光表示装置100は、漢字表示に必要な最小ドット構成である12×12ドットを一単位として、これを縦方向に三段並べて表示基板101を構成し、三文字の発光表示が可能となっている。つまり、表示基板101には、縦36個×横12個=432個の発光ダイオード102がマトリクス状に配置され、これらの発光ダイオード102を選択的に点灯させることにより、任意の文字列、例えば「営業中」という文字列を発光表示することができるようになっている。因みに、表示基板101には、後述する制御部105からの駆動指令信号に応じて発光ダイオード102を発光駆動させるLED駆動部106が備えられている。
【0003】
また、発光表示装置は、複数の発光ダイオードを点灯制御するための制御基板103を備えている。例えば、図4に示す発光表示装置100の制御基板103は、表示制御プログラム、表示パターン、表示データ等を記憶する記憶部104(メモリ等)と、記憶部104に記憶された表示制御プログラム、表示パターン、表示データ等にもとづいて、発光ダイオード102の駆動指令信号をLED駆動部106に出力する制御部105(CPU、制御用IC等)とを備えて構成されている。因みに、図3において、107は電源用IC、108はコンデンサ、109は表示基板101側に配置されるコネクタ、110は制御基板103側に配置されるコネクタ、111は前記コネクタ109とコネクタ110とを電気的に繋ぐ配線である。
【特許文献1】特開2005−234076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、フルカラー表示が可能な店舗用の発光表示装置が増えてきている。この種のフルカラー発光表示装置では、単色発光表示装置、モノトーン発光表示装置(単色発光ダイオードを階調制御する発光表示装置)、多色発光表示装置等に比べ、優れたアイキャッチ効果が得られる反面、大幅なコスト高になるという問題がある。つまり、フルカラー発光ダイオードは、単色発光ダイオードや多色発光ダイオードに比して高価であるため、表示基板の表示ドット数に比例して部品コストが上昇してしまう。
【0005】
また、表示基板の一表示ドットを、フルカラー発光ダイオードで構成することなく、赤色発光ダイオード、青色発光ダイオード及び緑色発光ダイオードの組み合せで構成し、これらの階調制御によりフルカラー表示を行うことも可能である。この場合、一表示ドット当たりの輝度が高められるので、アイキャッチ効果が一層向上するという利点もあるが、発光ダイオードの必要個数が3倍になる上、青色発光ダイオードが未だ高価であることから、大幅なコスト高を回避することは困難である。さらに、表示基板には、発光ダイオードが縦横マトリクス状に配置され、残りのスペースにLED駆動部とコネクタとを配置しているが、これらの部材に加えて制御部、記憶部等の部材を配置するスペースを確保することは難しいため、制御基板を表示基板と別に設ける必要があり、これによっても、コスト高となっているといった問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作された本発明の発光表示装置は、請求項1に記載するように、表示基板に複数配置される発光ダイオードの点灯により、少なくとも文字をドット表示する発光表示装置において、表示する文字を予め特定し、表示基板の特定文字領域内のみに複数の発光ダイオードを配置し、これらの発光ダイオードの点灯により、特定文字の表示を行うと共に、表示基板の空き領域に、表示基板の表示を制御するための制御部を実装し、表示基板を制御基板に兼用したことを特徴とする。
また、本発明の発光表示装置は、請求項2に記載するように、前記表示基板は、複数枚からなり、これら複数枚のうちの一枚に制御部を実装し、該制御部が全ての表示基板の表示を制御することを特徴とする。
また、本発明の発光表示装置は、請求項3に記載するように、前記表示基板は、フルカラーの文字表示を行うことを特徴とする。
また、本発明の発光表示装置は、請求項4に記載するように、前記表示基板の一表示ドットは、赤色発光ダイオード、青色発光ダイオード及び緑色発光ダイオードを組み合せて構成されることを特徴とする。
また、本発明の発光表示装置は、請求項5に記載するように、前記制御部は、表示基板における特定文字の表示パターンを複数備え、これらの表示パターンを選択的に切換可能に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明とすることにより、発光ダイオードの必要個数を減らし、大幅なコストダウンが図れる。つまり、従来のマトリクス発光表示装置であっても、常に全ての発光ダイオードを点灯させる訳ではなく、特に、特定の文字を継続して発光表示する場合は、その文字の認識を容易にするために、文字領域部分のみの発光ダイオードを点灯した状態で使用される。例えば、図3に示すように、「営業中」という文字を12×12ドット用のフォントで表示する場合、点灯している発光ダイオードの個数は、164個であり、発光ダイオードの総数(432個)の約38パーセントに過ぎない。本発明は、この点に着目して創作されたものであり、フルカラー表示する文字を予め特定し、該特定文字領域内のみに複数の発光ダイオードを配置し、これらの発光ダイオードの点灯により、特定文字のフルカラー表示を行うことで、特定文字領域外の発光ダイオードを不要にし、フルカラー発光表示装置の飛躍的なコストダウンを可能にする。しかも、表示基板の空き領域に制御部を実装することにより、表示基板を制御基板に兼用したので、従来のように専用の制御基板を設ける必要が無くなり、これによっても発光表示装置のコストダウンが図れる。
請求項2の発明とすることにより、複数の表示基板にそれぞれ制御部を実装する場合に比べて、コストダウンを図ることができるだけでなく、表示基板を容易に増設することができる。
請求項3の発明とすることにより、フルカラーの文字表示を行うことができるので、アイキャッチ効果を高めることができる。
また、請求項4の発明とすることにより、一表示ドット当たりの輝度を高め、アイキャッチ効果を一層向上させることができる。この場合、発光ダイオードの必要個数は3倍となるが、本発明の発光表示装置によれば、特定文字領域内のみに発光ダイオードを配置しているので、発光ダイオードの増加を最小限に抑えることができる。
また、請求項5の発明とすることにより、アイキャッチ効果をさらに高めることができ、業種に合わせた表示パターンを選択することにより、さらに効果の高い表示とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1、2において、1は発光表示装置であって、該発光表示装置1は、複数の発光ダイオード2が配置される表示基板3を備えて構成されている。本実施形態の発光表示装置1は、主に店舗の店頭に宣伝目的で設置される店舗用に最適化されており、フルカラーによる3桁の漢字表示が可能となっている。
【0009】
また、表示基板3は、フルカラー表示する文字列を予め特定し、該特定文字領域内のみに複数の発光ダイオード2を配置し、これらの発光ダイオード2の点灯により、特定文字のフルカラー表示を行うようになっている。例えば、本実施形態の発光表示装置1は、「営業中」という特定の文字列をフルカラー表示することに特化されており、「営業中」という特定文字領域内のみに複数の発光ダイオード2を配置し、これらの発光ダイオード2を全灯させることにより、「営業中」という文字列のフルカラー表示を行う。
【0010】
このようにすると、フルカラー表示が可能な発光表示装置1でありながら、発光ダイオード2の必要個数を減らし、大幅なコストダウンが図れる。例えば、本実施形態のように、「営業中」という文字列を12×12ドット用のフォントで表示する場合、表示基板3の発光ダイオード2の必要個数は、164個であり、12×12ドットにマトリクス状に配置する場合に必要な必要個数(432個)の約38パーセントに削減することができる。特に、12×12ドット用のフォントを用いることにより、最小限の発光ダイオード数でフルカラーの漢字表示を行うことが可能になる。因みに、本実施の形態では、12×12ドット用のフォントで表示する場合について説明するが、フォントは、これに限定されるものでないことはもちろんであり、11×11ドット、16×16ドット等のフォントを用いることができる。
【0011】
表示基板3の一表示ドットは、フルカラー発光ダイオードで構成してもよいし、赤色発光ダイオード2R、青色発光ダイオード2B及び緑色発光ダイオード2Gの組み合せで構成し、これらの階調制御によりフルカラー表示を行うようにしてもよい。赤色発光ダイオード2R、青色発光ダイオード2B及び緑色発光ダイオード2Gで一表示ドットを構成する場合、一表示ドット当たりの輝度が高められるので、アイキャッチ効果が一層向上するという利点がある反面、発光ダイオード2の必要個数が3倍になるため、コストアップが懸念されるが、従来に比べて発光ダイオード2の必要個数を大幅に削減可能にした本発明の発光表示装置1においては、発光ダイオード2の必要個数が3倍になっても、フルカラー発光ダイオードをマトリクス状に配置した従来品よりも低コストでの提供は可能である。
【0012】
表示基板3においては、前記特定文字領域を除いた空領域に、表示制御プログラム及び表示パターンを記憶する記憶部5と、記憶部5に記憶された表示制御プログラム及び表示パターンにもとづいて発光ダイオード2の駆動指令信号を出力する制御部6と、制御部6からの駆動指令信号に応じて発光ダイオード2を発光駆動させるLED駆動部7とが実装されている。つまり、従来、表示基板3と別部材の制御基板に備えられていた部材を、表示基板3に備えることになって、表示基板3を前記制御基板に兼用することができる構成になっている。
【0013】
本実施の形態の記憶部5と制御部6とは、前記空領域のうち、特定文字領域にのみ発光ダイオード2を配置したことにより生じるスペース、つまり、従来の構成では発光ダイオード2を縦横マトリクス状に配置するため備えることができなかったスペースを利用して実装することが好ましい。このようにすると、表示基板3を大型化することなく、表示基板3を制御基板に兼用することができる。図面において、8は電源用IC、9はコンデンサであり、何れも表示基板3の空領域に備えられている。
【0014】
さらに、発光表示装置1は、複数の表示基板3からなっており、本実施の形態の表示基板3は、発光表示装置1の表側に配置される表側表示基板3aと、裏側に配置される裏側表示基板3bとを有している。そして記憶部5、制御部6、電源用IC8、コンデンサ9は、表側表示基板3aのみに実装されており、表側表示基板3aと裏側表示基板3bとの表示制御に兼用されるようになっている。つまり、裏側表示基板3bは、図面に示すようにコネクタ10、11、配線12を介して表側表示基板3aに電気的に繋がれることにより、表側表示基板3aに実装される制御部6によって表示制御されるようになっており、後述する表示パターンも、表側表示基板3aと裏側表示基板3bとで連動するように表示させることができる。
【0015】
本実施形態の発光表示装置1では、記憶部5に複数の表示パターンを記憶することができ、リモコン操作等により前記表示パターンから選択した表示パターンで前記の特定文字を表示させることができる。前記選択は、単一な選択に限られず、複数選択することもできる。前記表示パターンとしては、例えば、炎表示パターン、虹色表示パターン、床屋表示パターンが考えられ、炎表示パターンは、赤色を基本とし、その周りを黄色で配色した配色割合を変化させて炎のように表示するものであり、虹色表示パターンは、色彩をスクロール状に少しずつ変化させて虹色状に表示するものであり、床屋表示パターンは、赤色、白色、青色の順に斜めに配色し、これをスクロールさせて表示するものである。そして、これらのうち、一つを選択した場合、選択した表示パターンにより連続的に表示されるが、複数選択した場合は、選択した表示パターンを、所定時間経過する度に自動的に切換える設定や、所定時刻になると自動的に切換えられる設定等が考えられる。また、表示のスクロール速度、切換速度、表示の明るさ(輝度)は、適宜変更することができる。ところで、本実施の形態では、縦12×横12ドットを配置可能な表示基板を、縦に3枚配した構成になっており、前記表示基板に発光ダイオード2をフルドット配置した状態で表示可能な従来の表示パターンをそのまま使用することができるため、特定した文字列に対応した専用の表示パターンを作成する必要がない。
【0016】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、発光表示装置1は、表示基板3に複数配置される発光ダイオード2の点灯により、少なくとも文字をドット表示するにあたり、表示する文字を予め特定し、該特定文字領域内のみに複数の発光ダイオード2を配置し、これらの発光ダイオード2の点灯により、特定文字の表示を行うと共に、表示基板3を、該表示基板3の表示を制御するための制御基板に兼用したので、発光ダイオード2の必要個数を減らすことができる上、従来のように表示基板3の他に制御基板を設ける必要が無くなり、発光表示装置1の大幅なコストダウンが図れる。また、記憶部5、制御部6は、制御素子の処理能力を低いものとしたり、記憶素子を少量にすることができる。
【0017】
表示基板3は、複数枚からなり、これら複数枚のうちの一枚に備えられた制御部6が全ての表示基板3の表示を制御するので、表側表示基板3aと裏側表示基板3bとの表示を容易に表示することができる。さらに、このようにすることによって表示基板3を容易に増設することができる。
発光ダイオード2は、フルカラー表示を行うことができるので、アイキャッチ効果を高めることができる。
【0018】
また、本実施形態の発光表示装置1では、表示基板3の一表示ドットを、赤色発光ダイオード、青色発光ダイオード及び緑色発光ダイオードの組み合せで構成しているので、一表示ドット当たりの輝度を高め、アイキャッチ効果を一層向上させることができる。この場合、発光ダイオード2の必要個数は3倍となるが、本発明の発光表示装置1によれば、特定文字領域内のみに発光ダイオード2を配置しているので、発光ダイオード2の増加を最小限に抑えることができる。
【0019】
また、本実施形態の発光表示装置1では、制御部6は、表示基板3に表示パターンを、選択切換可能に表示するので、アイキャッチ効果をさらに高めることができ、例えば、床屋表示パターンのように、特定の業種に使用すると特に効果の高い表示とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る発光表示装置の表示基板を示す展開正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る発光表示装置の制御システムを示すブロック図である。
【図3】従来例に係る発光表示装置の表示基板を示す展開正面図である。
【図4】従来例に係る発光表示装置の制御システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0021】
1 発光表示装置
2 発光ダイオード
2R 赤色発光ダイオード
2B 青色発光ダイオード
2G 緑色発光ダイオード
3 表示基板
3a 表側表示基板
3b 裏側表示基板
5 記憶部
6 制御部
7 LED駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板に複数配置される発光ダイオードの点灯により、少なくとも文字をドット表示する発光表示装置において、
表示する文字を予め特定し、表示基板の特定文字領域内のみに複数の発光ダイオードを配置し、これらの発光ダイオードの点灯により、特定文字の表示を行うと共に、表示基板の空き領域に、表示基板の表示を制御するための制御部を実装し、表示基板を制御基板に兼用したことを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
前記表示基板は、複数枚からなり、これら複数枚のうちの一枚に制御部を実装し、該制御部が全ての表示基板の表示を制御することを特徴とする請求項1記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記表示基板は、フルカラーの文字表示を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記表示基板の一表示ドットは、赤色発光ダイオード、青色発光ダイオード及び緑色発光ダイオードを組み合せて構成されることを特徴とする請求項3記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、表示基板における特定文字の表示パターンを複数備え、これらの表示パターンを選択的に切換可能に表示することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−322802(P2007−322802A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153497(P2006−153497)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(591196496)株式会社ビットサイン (5)
【Fターム(参考)】