説明

発光装置および照明装置

【課題】光の均一性と眩しさの低減を実現することが可能な発光装置および照明装置を提供する。
【解決手段】発光装置10は、固体発光素子11、光変換部材14、光透過部材15を具備する。光変換部材14は、固体発光素子に配設される。光透過部材15は、光変換部材の外表面側に固体発光素子と対向するように配設される酸化アルミニウム製の基材15aを有し、固体発光素子と対向する面である裏面側から基材の外方に面する表面側に向けて貫通する貫通孔15bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光ダイオード等の固体発光素子を光源とする発光装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固体発光素子、特に、発光ダイオード(以下「LED」と称す)を用いた発光装置は、LEDランプ、ダウンライトやスポットライト等の各種照明装置の光源として、また、薄型テレビ、液晶ディスプレイ、携帯電話、各種情報端末のバックライト、さらには屋内外の看板広告等の照明装置の光源など、多方面への展開が進んでいる。また、その長寿命、低消費電力、耐衝撃性、高速応答性、高純度表示色、軽薄短小化等を実現できることから、一般照明用のみならず、各種産業分野での応用が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−258228号公報
【特許文献2】特開2006−049410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらLEDを光源とする発光装置は、一般的にLEDチップを複数個並べたもので、照射面での光量の均一照射と眩しさを低減する必要があり、LEDチップの前面に光拡散板等を設けることが行われている。しかし光の均一性、眩しさの低減は不十分であり、これら要求を如何にして実現するかが重要な課題となっている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、光の均一性と眩しさの低減を実現することが可能な発光装置および照明装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態における発光装置は、固体発光素子、光変換部材、光透過部材を具備する。光変換部材は、固体発光素子に配設される。光透過部材は、光変換部材の外表面側に固体発光素子と対向するように配設される酸化アルミニウム製の基材を有し、固体発光素子と対向する面である裏面側から基材の外方に面する表面側に向けて貫通する貫通孔を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、光の均一性と眩しさの低減を実現することが可能な発光装置および照明装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態である発光装置を模式的に示した図で、(a)は本(b)図のa−a線に沿う断面図、(b)は上面図。
【図2】同じく発光装置の作用を模式的に示した図で、(a)は図1(a)の光透過部材を拡大して示す断面図、(b)(c)(d)(e)は光透過部材に入射した光と、光透過部材から放射される光の放射方向を側方から見たイメージ図で、(b)は各種の異なる方向から光透過部材に入射した光と、光透過部材から放射される光の放射方向を示す図、(c)は下方から光透過部材に入射した光と、光透過部材から放射される光の放射方向を示す図、(d)は斜め下方から光透過部材に入射した光と、光透過部材から放射される光の放射方向を示す図、(e)はより斜め下方から光透過部材に入射した光と、光透過部材から放射される光の放射方向を示す図。
【図3】同じく発光装置の光透過部材のSEM(走査型電子顕微鏡)による観察結果を線図で示した図で、(a)は光透過部材の貫通孔を上方から見た図、(b)は貫通孔の断面を示す図。
【図4】同じく発光装置の変形例を模式的に示した図で、(a)は本(b)図のa−a線に沿う断面図、(b)は上面図。
【図5】同じく発光装置を装着したダウンライト式の照明装置を示し、(a)は天井に設置した状態を示す断面図、(b)は照明装置を下方から見た下面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る発光装置および照明装置の実施形態について説明する。
【0010】
先ず、発光装置の構成につき説明する。本実施形態の発光装置は、ダウンライト式の照明装置の光源として用いられるものである。図1、図2に示すように、発光装置10は、固体発光素子11と、固体発光素子に配設される光変換部材14と、光変換部材の外表面側に固体発光素子と対向するように配設される酸化アルミニウム製の基材15aを有し、固体発光素子と対向する面である裏面側から基材の外方に面する表面側に向けて貫通する貫通孔15bを有する光透過部材15で構成する。
【0011】
固体発光素子11は、本実施形態では青色あるいは近紫外線を発光する1個または複数個の発光ダイオード(以下「LEDチップ」と称す)で構成する。本実施形態のLEDチップ11は、高輝度、高出力の1個の青色LEDチップで構成した。その構成は、透光性のサファイア素子基板に発光層が積層され、発光層はn型窒化物半導体層とInGaN発光層とp型窒化物半導体層とが順次積層されて略直方体をなすように形成され、基板12に実装されている。
【0012】
基板12は、電気絶縁性を有し、熱伝導性の良好な酸化アルミニウム(アルミナ)や窒化アルミニウム等からなるセラミックスで構成され、厚さ約0.5mmの薄い平板で四隅をカットした略正方形をなすように構成する。そして、基板12の一面側(表面側)には、図1(a)の模式的な断面図で示すように、略正方形をなす枠体13が設けられる。枠体13は、耐熱性および電気絶縁性を有する合成樹脂、本実施例では、白色の薄いPBT(ポリブチレンテレフタレート)により、横断面が円形の「すり鉢状」をなす凹部13aを形成し、その底部の開口13bの中心に、上述したLEDチップ11が位置し、凹部13aがLEDチップ11を囲むようにして配設される。
【0013】
枠体13はLEDチップ11からの光を外方へ放射するための円形の開口13cが形成され、「すり鉢状」の凹部13aの内面にアルミニウム等を蒸着して鏡面加工を施した反射面13dが形成される。凹部13aは、反射面13dによって光源であるLEDチップ11から外周方向に放射される光を開口13cに向けて反射させ、放射される光を全体としてLEDチップ11を中心とした回転対称となる配光、すなわち、後述する円形をなす光透過部材15の裏面側に向けて放射されるように構成される。
【0014】
上記に構成された枠体13は、凹部13aの中心にLEDチップ11が配置されるように位置決めされ、枠体13の底部が基板12の表面にシリコーン樹脂やエポキシ樹脂からなる耐熱性および電気絶縁性を有する接着剤で固定される。
【0015】
上記に構成された枠体13の内部、すなわち、LEDチップ11を収容した「すり鉢状」の凹部13aの内部には、光の波長を可視光に変換する光変換部材14、本実施形態では蛍光体層が配設される。この蛍光体層14は蛍光体含有樹脂、本実施形態では、透明なシリコーン樹脂に黄色蛍光体を分散・混合した封止部材で形成され、凹部13a内に塗布または充填される。
【0016】
蛍光体層14は、上述した青色LEDチップ11から放射される青色光を透過させると共に、青色光によって黄色蛍光体を励起して黄色光に変換し、透過した青色光と黄色光が混光して白色の光を放射する。
【0017】
さらに、蛍光体層14は、LEDチップ11および充電部の配線パターン等を含めて埋め込むように枠体13の底部が面する基板12の表面にわたり塗布または充填する。これにより、蛍光体層14で覆われた枠体13の内部、すなわち、LEDチップ11を収容した凹部13aは気密になった状態に構成され、LEDチップ11および電極ワイヤやリードフレーム等の充電部が電気的に絶縁されると共に汚れや塵埃・湿気などから保護される。上記のように、本実施形態の発光装置10は、固体発光素子11および基板12によって、光軸をxとしたSMD(Surface Mount Device)タイプの発光モジュールとして構成される。
【0018】
上記に構成された発光モジュールは、蛍光体層14の外表面側(光を放射する側)に固体発光素子であるLEDチップ11と対向するように光透過部材15が配設される。光透過部材15は、酸化アルミニウム製の円板からなる基材15aを有して構成され、基材15aのLEDチップ11と対向する面である裏面側(光が入射する面)から、基材15aの外方に面する表面側(光を放射する面)に向けて貫通する多数の細孔からなる貫通孔15bを有して構成される。
【0019】
そして、円板からなる基材15aは、その直径が凹部13aの円形の開口13cの直径と、換言すれば、露出する蛍光体層14の外表面側の直径と略同一寸法に形成される。そして、光透過部材15は、蛍光体層14の外表面側を略全て覆うように位置させ、透光性を有する接着剤16によって蛍光体層14の外表面に接合される。接着剤16は、透光性を有し耐熱性を有するシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等で構成された接着剤が好適である。
【0020】
これにより、図1(a)に示すように、光透過部材15は、その多数の貫通孔15bが、基材15aのLEDチップ11と対向する面である裏面側から、基材15aの外方に面する表面側に向けて貫通するように蛍光体層14の外表面側に配設される。本実施形態において、光透過部材15は、貫通孔15bの直径rが約200nmで、基材15aの厚さdは約60μm、d/rのアスペクト比が約300で、表面に対する孔面積比が約50%の酸化アルミニウムで構成し、シリコーン樹脂からなる接着剤16で蛍光体層14の外表面に接合した。
【0021】
また、図1に示すように、基板12の側縁部には、入力端子部を構成する一対の給電端子12aが設けられ、一方が+側の給電端子、他方が−側の給電端子を構成する。なお、基板12には、各給電端子12aに接続されたコネクタ12bが設けられ、コネクタが別途に構成した点灯装置E(図5(a))に接続され発光装置10が構成される。
【0022】
次に、上記に構成された発光装置10の作用につき説明する。先ず、点灯装置からコネクタ12bおよび給電端子12aを介してLEDチップ11に電源が供給されることによって、青色LEDチップ11から青色光が放射される。この青色光は、図2(a)に模式的に示すように、光軸x方向に沿う光aと、外周方向に放射される光bおよび凹部13aの反射面13dによって反射された光cが蛍光体層14内に放射される。
【0023】
蛍光体層14に放射された各光a、b、cは、蛍光体層14を直接透過する青色光と、青色光によって黄色蛍光体が励起された黄色光とが混光して、白色の光を光透過部材15の裏面側に向けて放射する。
【0024】
そして、光透過部材15の裏面側に向けて放射された光軸x方向に沿う光aは、光透過部材15の貫通孔15bを直進して外部に向かって放射される。また、外周方向に放射される光bおよび反射面13dによって反射された光cは、光透過部材15の裏面に対して斜め方向に向かい、貫通孔15bおよび貫通孔間に形成される基材部分15cの裏面側に放射される。
【0025】
そして、貫通孔15b内に入射した光dは、光学的には、入射角度によらずに貫通孔15bの開口15b1方向に光の角度を変えて集光拡散光を照射するため、光を均一にし、かつ眩しさを低減するとともに光量が増加する。換言すれば、柱状をなす貫通孔15b内の多重反射による正面方向照射によって、光を均一にし、かつ眩しさを低減するとともに光量がアップする。
【0026】
また、貫通孔間に形成される基材部分15cの裏面に照射された光eは、透光性を有する酸化アルミニウム内を多重反射し、その表面において、部分的に表面拡散放射e´されるため、結果として、光を均一にし、かつ眩しさを低減するとともに光の取り出し効率を改善することができる。換言すれば、酸化アルミニウムの内表面による外部光拡散によって、光を均一にし、かつ眩しさを低減するとともに光の取り出し効率がアップする。因みに、貫通孔間に形成される基材部分15cが透光性を有する酸化アルミニウムで構成されていない場合、光b、cは基材部分15cの裏面で反射(図中点線矢印f)されて、蛍光体層14内に戻されることから光の取り出し効率が低下する。これに対し、本実施形態によれば、貫通孔15bによる光の多重反射と、貫通孔15bを形成する周壁である酸化アルミニウムでは作用が異なることを利用して光の拡散および光の取り出し効率を向上させることができる。
【0027】
また、酸化アルミニウムは、熱伝導率が高く、熱放射率が高く、多孔性アルミナ表面における単位面積当たりの表面積が広いために熱放射能力が高く、LEDチップ11の温度を低減することができ発光効率を改善することができる。すなわち、点灯時にLEDチップ11で発生する熱は、熱伝導性の良好なセラミックスからなる基板12に伝達され外部に放熱されるとともに、蛍光体層14を介して光透過部材15にも伝達され放熱される。この際、光透過部材15は、熱伝導性の良好な酸化アルミニウムで構成され、さらに多数の貫通孔15bが形成されており、表面積の広い多孔性アルミナ表面による熱放射で放熱効果を向上させることができる。
【0028】
因みに、LEDを光源とする発光装置は、LEDチップを複数個並べたものであり、照射面での光色、光量の均一照射と眩しさを低減する必要があり、一般的には、光拡散材を添加したポリカーボネートカバーなどが使用されている。しかしながら、光の均一性、眩しさの低減が不十分であり、また、カバーによって光量が低下する問題が生じている。
【0029】
これに対し、本実施形態の発光装置10によれば、図2(b)(c)(d)(e)に光透過部材15に入射した光と、光透過部材15から放射される光の放射方向を側方から見たイメージ図で示すように、(c)図のように下方から光透過部材15に入射した光aは、光透過部材15から主として上方に向けて放射される。また、(d)図に示すように斜めから光透過部材15に入射した光bは、光透過部材15から主として斜めに向けて放射される。さらに、(e)図に示すように、より斜めから光透過部材15に入射した光cは、光透過部材15から主として、より斜めに向けて放射される。そして、(b)図に示すように、各種の異なる方向から光透過部材に入射した光a、b、cは、光透過部材で合成され広く拡散されて放射される(各イメージ図における配光曲線の斜線部分参照)。これにより、光量を増加し、かつ光の取り出し効率を向上させて大光量化を図ることが可能になる。
【0030】
同時に、貫通孔15bによる集光拡散光によって、光を均一にし、かつ眩しさを低減するとともに、基材部分15cにおいて、光が酸化アルミニウム内を多重反射し、その表面から拡散放射されることによって、さらに光を均一にし、かつ眩しさを低減することが可能になる。さらに、貫通孔間に形成される基材部分15cによって光の取り出し効率を改善させることができ、高効率化を図ることが可能になる。
【0031】
さらに、表面積の広い多孔性アルミナ表面による熱放射で、LEDチップの温度上昇を抑制して、さらなる発光効率の向上を図ることが可能になる。同時にLEDチップの長寿命化も図ることが可能になる。
【0032】
上記に構成された発光装置10において、光透過部材15は、次のようにして構成した。すなわち、光透過部材15は、本実施形態では、酸化アルミニウムで基材15aを構成した。酸化アルミニウムは、光透過率がよい素材であり、光透過、光拡散性を考慮してできるだけ高純度(99〜99.99%)の酸化アルミニウム原料を用いて円形の基材15aを成形し焼成して構成した。
【0033】
また、基材15aの貫通孔15bは、次のようにして形成した。先ず、基体にアルミニウム膜を形成して積層体を構成し、積層体のアルミニウム膜に対して陽極酸化処理を施してナノホールからなるポーラスなアルミニウム陽極酸化膜に転換し、さらにナノホールの底部をエッチングによって除去し、基材15aを貫通する多数の細孔からなる貫通孔15bを形成した。図3にSEM(走査型電子顕微鏡)による貫通孔15bの断面の観察結果を示すように、貫通孔15bは、開口15b1が略ハニカム状に略規則的に配列され、裏面から表面に向けて柱状をなし、略垂直方向で略等間隔に貫通する多数の細孔15b2が形成されている。なお、図3は、貫通孔15bの直径rが約200nm、基材15a厚さdが約60μmで、d/rのアスペクト比が約300で、表面積に対する孔面積の比率が約50%になるように構成した本実施形態の光透過部材15における断面をSEMで観察した結果を線図で示したものである。なお、非円形をなす貫通孔15bの直径rは、同一の面積に置き換えた円の直径である。
【0034】
また、光透過部材15は、その貫通孔15bの直径rが20〜300nmで、基材15aの厚さdに対しd/rが200〜5000であり、表面積に対する孔面積の比率が20〜50%であることが望ましい。貫通孔15bの直径rは、20nm未満であると貫通孔15bを通過する光量が減少する。300nmを越えると貫通孔間に形成される基材部分15cが減少し、光の取り出し効率が低下するとともに強度が低下し、放熱性も低下する。これら条件を十分に満足する範囲は、約200nm前後の範囲であることが好ましい。
【0035】
また、基材15aの厚さdは、厚くすると全光透過率が低下する。薄くし過ぎると強度が低下するとともに、直線透過光の比率が高すぎ、光の拡散性が不足し、さらに放熱性も低下する。これら条件を十分に満足する範囲としては、約60μm前後の範囲が好ましい。また、d/rのアスペクト比は、約300程度が好ましい。
【0036】
以上、本実施形態において、発光装置10は、SMDタイプの発光モジュールとして構成したが、固体発光素子を基板の一面側にマトリックス状や千鳥状または放射状など、規則的に一定の順序をもって一部または全体が配列されて実装されたCOB(Chip on Board)タイプの発光モジュールとして構成してもよい。
【0037】
すなわち、図4(a)に模式的な断面図で示すように、基板12の一面側に内周面が略正方形をなす土手部12cを形成することにより、浅い略正方形の収容凹部12dを形成する。土手部は、白色の合成樹脂製で基板の一面側に塗布されることにより構成される。この収容凹部12dの底面に対し、銀、銀パラジウム、金、銅などの金属ペーストをスクリーン印刷して配線パターン(図示省略)を形成する。この配線パターンに対して、複数のLEDチップ11を略マトリックス状にボンディングして実装する。また、略マトリックス状に規則的に配置された各LED11aは、隣接する配線パターンとボンディングワイヤによって直列に接続される。
【0038】
上記に構成された基板12の収容凹部12dには、光変換手段である蛍光体層14が塗布または充填される。そして、上述した発光装置10と同様に、この蛍光体層14の外表面側に酸化アルミニウムからなる光透過部材15を、シリコーン樹脂からなる接着剤で接合して配設し、COBタイプの発光装置10を構成する。本構成においても、上述した発光装置10と同様に、LEDチップ11から放射される光を均一に、かつ眩しさを低減することができるとともに光量を増加することができる。さらに、LEDチップの温度を低減し、さらに光の取り出し効率を改善することが可能になる。
【0039】
また、光透過部材15の貫通孔15bは、柱状をなし開口15b1がハニカム形状をなしているものに限らず、柱状で開口が円形や楕円形、三角形や四角形、八角形等の多角形状をなしたものであってもよく、開口の形状は特定された形状には限定されない。
【0040】
また、上記のように、本実施形態の発光装置10は、光透過部材15によってLEDチップ11から放射される光が、光透過部材によって拡散されるとともに、略全て正面方向に向かって放射させることができ、光量を増加させることが可能になるとともに、光を均一に、かつ眩しさを低減することも可能になるため、特に、ダウンライトの光源として用いられることが好適であるが、LEDランプ等のランプ光源として、さらにはスポットライト等、各種照明装置の光源として用いられてもよい。
【0041】
次に、上記に構成された発光装置10を光源として用いたダウンライト式の照明装置の構成につき説明する。図5に示すように、20は店舗等の天井面Xに埋め込み設置されるダウンライト式の照明装置で、一端部側に開口部21aを有するアルミダイカスト製の円筒状の箱体をなす装置本体21と、装置本体の円筒底面に設けられた上述の複数個の発光装置10と、各発光装置10にそれぞれ対向し、光を出射方向に向けて反射するとともに配光角を規制する反射体22で構成されている。
【0042】
発光装置10は、本実施形態では、図4に示すCOBタイプの発光装置を6個用い、装置本体21の底面に基板12を密着させて放射方向に均等に分散されて配置されている(図5(b))。上記に構成されたダウンライト式の照明装置20は、図5(a)に示すように、被設置面である天井Xに設置され、予め商用電源に接続された別置きの点灯装置Eに接続される。
【0043】
そして、上記に設置されたダウンライト形の照明装置20を点灯すると、各発光装置10から出射された光が反射体22の回転放物面からなる反射面で反射すると共に、配光角が制御され周囲にわたり光度の変化が比較的少ない配光特性をもって、部屋の中心部が比較的明るく、周囲にわたって徐々に暗くなるダウンライトとしての配光特性をもった照明を行うことができる。
【0044】
この際、各発光装置10は、上述したように、LEDチップ11から放射された光が、光透過部材によって拡散されるとともに、略全て正面方向に向かって放射させることができることから明るい照明を行うことができる。同時に、貫通孔15bおよび基材部分15cによって光を均一にし、かつ眩しさを低減することができるため、天井を見上げた場合にもグレアを感じ難い、ダインライトとして好適な照明を行うことが可能になる。
【0045】
また、各発光装置10のLEDチップ11から発生する熱は、発光装置10の基板12が密着して固定された装置本体21の底面に伝達され、さらに表面積の大きな本体側壁にも伝達され放熱フィン21bから外部に放熱される。同時に、発光装置10における蛍光体層14を介して熱伝導性の良好な酸化アルミニウムで構成された光透過部材15から、表面積の広い多孔性アルミナ表面による熱放射で効果的に放熱される。これら放熱作用が相まって、各LEDチップ11から発生する熱を効果的に放熱させることができ、発光効率の低下が抑制され長期にわたり所定の明るさを保持することができるとともに、寿命の長いダウンライト式の照明装置20を提供することが可能になる。
【0046】
以上、本実施形態において、発光装置10は、以下のように構成してもよい。固体発光素子11は、例えば、青色を発光する窒化ガリウム(GaN)系半導体からなるLEDチップで構成されることが好適であるが、半導体レーザ、有機ELなどを発光源とした固体発光素子が許容される。また、固体発光素子11は、上述したように、COBタイプやSMDタイプで構成されてもよく、SMDタイプの場合、固体発光素子11は1個で構成されたものでも、複数個で構成されたものでもよく、照明の用途に応じて必要な個数は選択され、例えば、4個程度の素子群を構成し、この群1個、若しくは複数の群をなすように構成してもよい。さらに、白色で発光するように構成することが好ましいが、照明装置の用途に応じ、赤色、青色、緑色等でも、さらには各種の色を組み合わせて構成してもよい。また、調光や調色が行われるように構成してもよい。
【0047】
また、発光装置10の基板12の形状は、点または面モジュールを構成するために板状の円形、四角形、六角形などの多角形状、さらには楕円形状等をなすものであってもよく、目的とする配光特性を得るための全ての形状が許容される。
【0048】
発光装置10を光源とする照明装置20は、上述したLEDランプ、ダウンライトやスポットライト等に限らず、住宅用など各種の小型の照明装置、さらに、天井等から全般照明を行うオフィス等、施設・業務用などの比較的大きな照明装置、さらに、高速道路や一般道路等の道路灯、公園等屋外の照明をなす防犯灯などの大型の照明装置などの光源としても、さらには、これら照明装置に限らず、薄型テレビ、液晶ディスプレイ、携帯電話、各種情報端末のバックライトさらには屋内外の看板広告用の光源等に適用することができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
10 発光装置
11 固体発光素子
14 光変換部材
15 光透過部材
15a 基材
15b 貫通孔
20 照明装置
21 装置本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体発光素子と;
固体発光素子に配設される光変換部材と;
光変換部材の外表面側に固体発光素子と対向するように配設される酸化アルミニウム製の基材を有し、固体発光素子と対向する面である裏面側から基材の外方に面する表面側に向けて貫通する貫通孔を有する光透過部材と;
を具備していることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記光透過部材は、貫通孔の直径rが20〜300nmで、基材の厚さdに対しd/rが200〜5000であり、表面積に対する孔面積の比率が20〜50%であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
装置本体と;
装置本体に装着される請求項1または2に記載の発光装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−195404(P2012−195404A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57629(P2011−57629)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】