説明

発光装置および電子機器

【課題】データ信号を伝送する信号線の寄生容量を低減する。
【解決手段】発光装置100は、複数の発光素子Pを含む有効領域Aと、各発光素子Pに供給されるデータ信号を伝送する複数の信号バス配線30と、信号バス配線30から分岐して各発光素子Pにデータ信号を供給するための信号供給線301と、各発光素子Pに電源電圧を供給するための電源配線20とを有する。信号バス配線30は有効領域Aの一辺と同じ方向に配設される。電源配線20は主電源配線20Aと副電源配線20Bとを有し、主電源配線20Aは信号供給線301を挟んで有効領域Aの反対側に配設される。これにより、信号供給線301と主電源配線20Aとは交差しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electroluminescence)などの発光素子を利用した発光装置および当該発光装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置として、例えば、特許文献1に記載の電気光学装置がある。その図2に示されるように、電気光学装置の基板上においては、有効領域に発光素子を含む複数の素子回路が配列され、その有効領域の外側に電源配線などの各種配線が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−272215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の電気光学装置では、その図2に示されるように、素子回路にデータ信号を伝送する配線52(信号供給線)が基板の下端部から有効領域に向かって配設されるとともに、各素子回路に電源電圧を供給する共通配線30、32、34(電源配線)が有効領域の上記基板下端部側の辺と同じ方向に配設されて、配線52と交差している。一般的に、各素子回路に対してデータ信号を所定の期間内に確実に供給するためには、信号供給線の寄生容量は極力軽減されることが望ましい。一方、電源配線は電圧降下による発光輝度のバラツキを抑制する目的で、その幅は信号供給線と比較して非常に広い配線となる。このため、信号供給線が電源配線と交差すると、その交差面積に比例して大きな寄生容量が発生し、信号供給線を流れるデータ信号が劣化する。その結果、所定の期間内に信号波が十分に立ち上がらず、発光素子が所期の階調で発光しない、といった場合が起こり得る。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、信号供給線の寄生容量を低減し、データ信号の劣化を防ぐことが可能な発光装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る発光装置は、有効領域に複数の発光素子が配列された基板と、前記有効領域の一辺と同じ方向に延在し、外部から供給されたデータ信号を伝送する信号バス配線と、前記信号バス配線から分岐し、前記データ信号を前記各発光素子に供給するための信号供給線と、前記各発光素子に電源電圧を供給するための電源配線と、を有し、前記電源配線は前記信号バス配線と同じ方向に延在する主電源配線と、前記主電源配線よりも細く、前記主電源配線から分岐した副電源配線と、前記副電源配線と前記各発光素子とを結ぶ給電線と、を有し、前記主電源配線は前記信号バス配線を挟んで前記有効領域と反対側に配設される。この発光装置においては、主電源配線は信号バス配線よりも基板の端部側に配設される。換言すれば、信号バス配線は、主電源配線よりも有効領域に近い位置に配設される。このため、信号バス配線から各発光素子に繋がる信号供給線が主電源配線と交差しない。よって、信号供給線の寄生容量が軽減される。その結果、データ信号の劣化を防ぐことが可能となり、各発光素子を所期の階調で発光させることが可能となる。また、仮に副電源配線が信号供給線と交差したとしても、副電源配線の線幅は主電源配線より細いので、信号供給線が主電源配線と交差した場合と比較すれば信号供給線の寄生容量は少なくなる。よって、データ信号の劣化が抑制され、ひいては、画質の劣化が抑制される。
【0006】
本発明の好適な態様において、上記発光装置は、前記信号供給線は、前記信号バス配線から分岐する第1信号供給線(例えば、図1における信号供給線301)と前記各発光素子に接続する第2信号供給線(例えば、図1におけるデータ線102)とを有し、前記第1信号供給線と前記第2信号供給線との間に設けられ、制御信号に応じてオン状態またはオフ状態の一方となることにより前記各発光素子に対して選択的に前記データ信号を供給するスイッチング素子(例えば、スイッチングトランジスタ)と、前記スイッチング素子よりも前記基板の端部側に配置され、前記制御信号を生成する制御回路(例えば、シフトレジスタ)と、を更に有し、前記副電源配線は第1副電源配線と第2副電源配線とを有し、前記第1副電源配線は複数本配設されて前記電源電圧を前記主電源配線から前記第2副電源配線に供給し、前記第2副電源配線は前記信号バス配線と同じ方向に延在し、前記給電線と接続され、前記第2副電源配線は前記スイッチング素子よりも前記有効領域側に配設される。
第2副電源配線が仮にスイッチング素子より基板の端部側に配設された場合、第2副電源配線は、制御回路からスイッチング素子に制御信号を伝送する制御信号用配線と交差する。しかしながら、本態様においては、第2副電源配線をスイッチング素子よりも有効領域側に配設することで、制御信号用配線と第2副電源配線とが交差しない構成とすることができる。よって、制御信号用配線と第2副電源配線とを同じ層で形成することが可能となり、製造が簡易となる。また、複数の第1副電源配線を介して第2副電源配線に電源電圧が供給されるので、第2副電源配線のインピーダンスを小さくすることが可能となる。
【0007】
好ましくは、前記信号バス配線の本数に応じた個数のスイッチング素子が、前記制御信号によって同時にオン状態またはオフ状態の一方となり、前記第1副電源配線は、前記信号バス配線本数の整数倍ごとに、隣り合う前記スイッチング素子の間隙を通るように配設されるのがよい。複数のスイッチング素子がひとつの制御信号によって同時にオン状態またはオフ状態の一方となる場合、制御信号用配線は複数のスイッチング素子に対して共通に接続される。この態様においては、この共通に接続された制御信号用配線を横切ることなく第1副電源配線が配設される。よって、本態様によれば、制御信号用配線と第1副電源配線とを同じ層で形成することが可能となり、製造が簡易となる。また、第1副電源配線は信号バス配線の本数に応じた個数のスイッチング素子おきに配設されるので、レイアウト面積を削減することが可能となる。
【0008】
さらに、好ましくは、前記制御回路は、前記主電源配線よりも前記基板の端部側に配置される。この態様によれば、制御回路に入力されるクロック信号やパルス開始信号用の各配線と電源配線とが交差しないので、これらの信号線と電源配線との間に交差容量が発生しない。よって、制御回路の動作不良を防ぐことが可能となる。
【0009】
さらに、本発明は、上記発光装置のいずれかを備える電子機器としても把握される。本発明によれば、上述した各態様に係る発光装置に係る効果の何れかと同様の効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す領域Bの詳細を示す平面図である。
【図3】比較例を示す平面図である。
【図4】発光装置を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図5】発光装置を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【図6】発光装置を適用した携帯情報端末の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
<A:実施形態>
図1に、本発明の実施形態に係る発光装置100の構成を示す。図1に示されるように、発光装置100の基板10の表面には、マトリクス状に配列された複数の発光素子Pを含む有効領域Aが形成される。有効領域Aには、X方向に沿ってm本の走査線101と、これらと直交するn本のデータ線102およびn本の給電線103とが形成される。発光素子P(より正確には、発光素子Pを含む素子回路)は、走査線101とデータ線102との交差に対応して配置される。本実施形態の発光素子Pは、有機EL(Electroluminescence)材料から形成された発光層を含む発光機能層とこの発光機能層を挟む陽極および陰極とを有する有機発光ダイオード(有機EL)素子であり、発光機能層に供給される電流に応じた輝度で発光する。各発光素子Pには、電源電圧VELが給電線103を介して供給される。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態の発光素子Pは、RGB各色で発光可能な3種類の発光素子Pがストライプ状に配列されている。RGB3色の3個の発光素子Pから成る発光素子群Gは、後述するシフトレジスタ15から与えられる制御信号Scに応じて、3個の発光素子Pが同時に発光するよう制御される。すなわち、本実施形態の発光装置100は、カラー有機ELパネルである。
【0013】
発光装置100は、さらに、有効領域Aの左右に配置された走査線駆動回路50A,50Bを有する。各走査線駆動回路50A,50Bは、外部から入力されたYクロック信号、Y転送開始パルス信号などの制御信号(図示略)に応じて、走査線101を順次選択する。このときデータ線102に供給されるデータ信号Dに応じた電流が発光素子Pに流れ、各発光素子Pはデータ信号Dに応じた階調で発光する。
【0014】
図1に示されるように、発光装置100は、さらに、基板10の下端部に沿う領域にX方向を長手として配置されたシフトレジスタ15と、このシフトレジスタ15より基板10の内側の領域にX方向に配設された電源配線20とを有する。電源配線20よりもさらに内側には、同じくX方向に延在する3本の信号バス配線30(30r、30g、30b)が配設され、信号バス配線30と有効領域Aの間隙には複数の選択部40が配置される。信号バス配線30は、各発光素子Pに供給されるデータ信号Dを伝送するための信号線である。信号バス配線30rはR色で発光する発光素子Pに与えられるデータ信号Drを伝送する信号線であり、信号バス配線30gはG色で発光する発光素子Pに与えられるデータ信号Dgを伝送する信号線であり、信号バス配線30bはB色で発光する発光素子Pに与えられるデータ信号Dbを伝送する信号線である。これらのデータ信号D(Dr,Dg,Db)は、基板10の下端部に設けられた端子を介して外部から入力される信号であり、外部の図示せぬ制御手段によって、画像データによって指定された階調に応じた電位に保持されている。各信号バス配線30は、各信号バス配線30から分岐する信号供給線301(301r,301g,301b)を介して選択部40に接続される。
【0015】
シフトレジスタ15には、基板10の下端部に設けられた端子を介してXクロック信号CKおよびX転送開始パルスSPが入力される。シフトレジスタ15は、このXクロック信号CKに基づいてX転送開始パルスSPを順次シフトして排他的に有効となる複数のシフトパルスを生成する。このシフトパルスは制御信号用配線10aを介して制御信号Scとして各選択部40に供給される。シフトレジスタ15は、上述した走査線駆動回路50A,50Bによって走査線101のいずれかが選択されている1走査期間内に、複数の選択部40のすべてを排他的に順次オン状態とする。
【0016】
図2は、基板10における領域Bの詳細な構成を示す平面図である。図2に示されるように、選択部40は、発光素子群GのRGB各色の3個の発光素子Pに対応する3個のスイッチングトランジスタ(スイッチング素子)Ts1,Ts2,Ts3を備える。換言すれば、選択部40は、信号バス配線30の本数(3本)に対応した個数のスイッチングトランジスタTsを備える。この例の各スイッチングトランジスタTs(Ts1,Ts2,Ts3)には各ゲート電極に共通して1個の制御信号Scが供給される。シフトレジスタ15から選択部40に対して制御信号Scが供給されることにより各スイッチングトランジスタTsがオン状態になると、各信号バス配線30からのデータ信号Dが信号供給線301を介して読み込まれて、各データ線102に供給される。よって、本実施形態の発光装置100は、各発光素子群Gがシフトレジスタ15からの制御信号Scによって順次駆動される点順次駆動型である。
【0017】
図2に示される各要素は、ハッチングで示されるゲート配線と、図示せぬ絶縁層を挟んでゲート配線の上層に位置するソース配線により形成される。図示されるように、シフトレジスタ15からの制御信号Scを各スイッチングトランジスタTsに供給する制御信号用配線10a、各信号バス配線30から分岐する各信号供給線301、および各スイッチングトランジスタTsのゲート電極はゲート配線により形成される。これに対し、各信号バス配線30と、各スイッチングトランジスタTsの各電極はソース配線により形成される。ゲート配線で形成された要素(例えば、信号供給線301)と、ソース配線で形成された要素(例えば、信号バス配線30)とは、コンタクトホールCHを介して導通される。
【0018】
図1および図2に示されるように、電源配線20は、シフトレジスタ15と3本の信号バス配線30との間にX方向に配設された主電源配線20Aと、この主電源配線20Aから分岐した副電源配線20Bとを有する。主電源配線20Aはソース配線で形成され、副電源配線20Bはゲート配線で形成される。副電源配線20Bは、隣り合う選択部40の間隙を通りY方向に配設された複数本の第1副電源配線20B1と、選択部40と有効領域Aの間隙においてX方向に延在する第2副電源配線20B2とを有する。第2副電源配線20B2は各給電線103と接続する。この構成において、基板10の下端部の端子を介して外部から入力された電源電圧VELは、主電源配線20A、コンタクトホールCH、第1副電源配線20B1、および第2副電源配線20B2を介して給電線103に供給される。
【0019】
ここで、電源配線20は、配線における電圧降下を防ぎ、発光素子Pの輝度のバラツキを防ぐという観点から、低抵抗であることが望ましい。このため、一般的に、電源配線20は幅広の配線で構成される。これに対し、上述したように、データ信号Dは信号バス配線30から信号供給線301を介して各発光素子Pに供給されるが、このデータ信号Dは、1走査期間内に、選択されたすべての発光素子Pに対して書き込まれなければならない。よって、制御信号Scによって選択部40がオン状態とされる期間は極めて短い期間であり、この期間内にデータ信号Dの信号波形が十分立ち上がっていることが望ましい。さもなくば、所期の階調で発光素子Pが発光せず、画質が劣化するといったことが起こり得る。したがって、信号バス配線30および信号供給線301を伝送される信号の劣化を防ぐ観点から、これらの信号線における寄生容量は可能な限り低減されることが望ましい。以上の点から、線幅の広い電源配線20と信号バス配線30または信号供給線301との交差により発生する交差容量はできる限り低減するように、両者を配置することが望ましい。
【0020】
図3に、比較例として、信号バス配線30を電源配線20よりも基板10の端部側に配置した例を示す。図3に示されるように、この比較例においては、各信号バス配線30から分岐した信号供給線301は、主電源配線20Aと交差して選択部40に接続する。この交差部分C2には、主電源配線20Aの線幅W4と信号供給線301の線幅W2とに応じた交差容量(交差面積W2×W4に応じた容量)が発生する。これに対し、図2に示されるように、本実施形態の発光装置100においては、主電源配線20Aの内側に信号バス配線30を配設したので、信号供給線301と電源配線20は交差しない。代わりに、信号バス配線30と副電源配線20Bが交差し、交差部分C1において、信号バス配線30の線幅W1と第1副電源配線20B1の線幅W3に応じた交差容量(交差面積W1×W3に応じた容量)が発生する。本実施形態では、比較例よりもこの交差容量が少なくなるように、交差面積W1×W3<交差面積W2×W4となるように設定されている。特に、線幅W4は、装置全体に電源を供給する観点から、他の配線の幅と比較して非常に大きい。また、例えば、副電源配線20Bは、各発光素子Pに電源電圧を供給するから、線幅W3は線幅W4に次いで大きいことが望ましい。さらに、信号バス配線30は、信号供給線301と比較して配線長が長いので、W2<W1とすることが望ましい。よって、W2<W1<W3<W4であることが望ましい。このように、本実施形態によれば、主電源配線20Aを信号バス配線30よりも内側に配置することでデータ信号Dを伝送する配線(この場合、信号バス配線30または信号供給線301)と電源配線20との交差面積が低減され、データ信号Dの劣化を抑制することが可能となる。結果として、画質の劣化が抑制される。
【0021】
ところで、この態様においては主電源配線20Aを信号バス配線30よりも有効領域Aから離れた位置に配置する構成としたので、電源電圧VELを各発光素子Pに供給するための配線が必要となる。そこで、本実施形態の発光装置100においては、X方向に延在し、各給電線103に共通して接続する第2副電源配線20B2を、選択部40と有効領域Aとの間隙に配置する。第2副電源配線20B2に対しては、複数の第1副電源配線20B1を介して主電源配線20Aからの電源電圧VELを供給する。よって、第2副電源配線20B2におけるインピーダンスを主電源配線20と同程度に小さく保つことが可能となる。また、仮に、第2副電源配線20B2を選択部40よりも基板10の端部側に配置した場合には、第2副電源配線20B2と制御信号用配線10aが交差する。しかしながら、本実施形態においては、2副電源配線20B2を選択部40の有効領域A側に配置したので、第2副電源配線20B2と制御信号用配線10aが交差しない構成とすることができる。したがって、制御信号用配線10aと第2副電源配線20B2とを同じ層(ゲート配線)で形成することが可能となり、製造が簡易となる。
【0022】
さらに、上述したように、選択部40は3個のスイッチングトランジスタTsを備えており、ひとつの制御信号Scによって同時にオン状態またはオフ状態の一方とされる。このため、第1副電源配線20B1が仮に選択部40を横切るように配置された場合、制御信号用配線10aと第1副電源配線20B1が交差する。しかしながら、本実施形態では、第1副電源配線20B1が隣り合う選択部40の間隙を通る構成としているので、第1副電源配線20B1と制御信号用配線10aが交差しない。よって、両者を同じ層(ゲート配線)で形成することが可能となり、製造が簡易となる。また、第1副電源配線20B1を隣り合うスイッチングトランジスタTsの間隙すべてに配設する態様と比較して、基板10全体におけるレイアウト面積を削減することが可能となる。
なお、この例では、1個の選択部40に1本の第1副電源配線20B1を配設したが、複数の選択部40に対して、1本の第1副電源配線20B1を設けてもよい。換言すれば、信号バス配線30の整数倍ごとに、隣り合うスイッチングトランジスタTsの間を通るように第1副電源配線20B1を配設すればよい。
【0023】
加えて、上述したように、シフトレジスタ15には、外部からXクロック信号CKおよびXパルス開始信号SPが入力される。本実施形態では、シフトレジスタ15を主電源配線20Aより基板10の端部側に配置する構成としたので、Xクロック信号CKおよびXパルス開始信号SPをシフトレジスタ15に入力する配線が電源配線20と交差しない。よって、シフトレジスタ15の動作不良を防ぐことが可能となる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態の発光装置100によれば、電源配線20と信号バス配線30または信号供給線301とが交差することにより発生する交差容量が低減される。したがって、信号バス配線30および信号供給線301で伝送されるデータ信号Dの劣化が抑制され、結果として、高品位な画質が実現される。また、制御信号用信号線10aと副電源配線20Bとが交差しないように配設することにより、これらの配線を同じ層で形成することが可能となり、製造が簡易となる。また、第1副電源配線20B1を複数設けて第2副電源配線20B2に電源電圧VELを供給することで、第2副電源配線20B2をローインピーダンスに保つとともに、第1副電源配線20B1を複数のスイッチングトランジスタTsごとに設ける態様としたので、レイアウト面積を削減することが可能となる。このように、発光装置100によれば、信号の劣化を抑制しつつ、効率的に各配線を配置することが可能となる。
【0025】
<B:変形例>
上述した実施形態においては、RGB3色のいずれかで発光する3種類の発光素子Pが配列される構成としたが、白色で発光する発光素子を配列するとともに、発光素子からの出射光の進行方向にカラーフィルターを設ける態様としてもよい。また、上述した実施形態では点順次駆動方式を採用していたが、線順次駆動方式を採用してもよい。
また、上記発光装置100を画像形成装置の光ヘッドとして用いてもよい。その場合、選択部40の後段にラッチ回路を設けて、すべての発光素子Pを同時に発光させる態様とすればよい。
これらいずれの態様においても、上述した効果と同様の効果が達成される。
【0026】
<C:応用例>
次に、本発明に係る発光装置を利用した電子機器について説明する。図4ないし図6には、以上の何れかの形態に係る発光装置を表示装置として採用した電子機器の形態が図示されている。
【0027】
図4は、発光装置を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する発光装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。発光装置100は有機発光ダイオード素子を発光素子Eとして使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0028】
図5は、発光装置を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する発光装置100とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発光装置100に表示される画面がスクロールされる。
【0029】
図6は、発光装置を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する発光装置100とを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が発光装置100に表示される。
【0030】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図4から図6に示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する光ヘッド(書込ヘッド)が使用されるが、この種の光ヘッドとしても本発明の発光装置は利用される。
【符号の説明】
【0031】
10…基板、15…シフトレジスタ、20…電源配線、20A…主電源配線、20B…副電源配線、20B1…第1副電源配線、20B2…第2副電源配線、30…信号バス配線、301…信号供給線、40…選択部、50A,50B…走査線駆動回路、100…発光装置、101…走査線、102…データ線102…給電線、A…有効領域、Ts(Ts1,Ts2,Ts3)…スイッチングトランジスタ、P…発光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効領域に複数の発光素子が配列された基板と、
前記有効領域の一辺と同じ方向に延在し、外部から供給されたデータ信号を伝送する信号バス配線と、
前記信号バス配線から分岐し、前記データ信号を前記各発光素子に供給するための信号供給線と、
前記各発光素子に電源電圧を供給するための電源配線と、
を有し、
前記電源配線は、前記信号バス配線と同じ方向に延在する主電源配線と、前記主電源配線よりも細く、前記主電源配線から分岐した副電源配線と、前記副電源配線と前記各発光素子とを結ぶ給電線と、を有し、
前記主電源配線は前記信号バス配線を挟んで前記有効領域と反対側に配設される、
発光装置。
【請求項2】
前記信号供給線は、前記信号バス配線から分岐する第1信号供給線と前記各発光素子に接続する第2信号供給線とを有し、
前記第1信号供給線と前記第2信号供給線との間に設けられ、制御信号に応じてオン状態またはオフ状態の一方となることにより前記各発光素子に対して選択的に前記データ信号を供給するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子よりも前記基板の端部側に配置され、前記制御信号を生成する制御回路と、
を更に有し、
前記副電源配線は第1副電源配線と第2副電源配線とを有し、前記第1副電源配線は複数本配設されて前記電源電圧を前記主電源配線から前記第2副電源配線に供給し、前記第2副電源配線は前記信号バス配線と同じ方向に延在し、前記給電線と接続され、
前記第2副電源配線は前記スイッチング素子よりも前記有効領域側に配設される、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記信号バス配線の本数に応じた個数のスイッチング素子が、前記制御信号によって同時にオン状態またはオフ状態の一方となり、
前記第1副電源配線は、前記信号バス配線本数の整数倍ごとに、隣り合う前記スイッチング素子の間隙を通るように配設される、
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記主電源配線よりも前記基板の端部側に配置される、
請求項2または請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−118557(P2012−118557A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−8023(P2012−8023)
【出願日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【分割の表示】特願2006−331347(P2006−331347)の分割
【原出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】