説明

発光装置及びその製造方法

【課題】表示パネルの狭額縁化が可能なパネル構造を有する発光装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】画素アレイ基板10は、表示領域12に複数の表示画素PIXが配列され、該表示画素PIXの各々に接続された複数の信号線(走査ラインLs、電源電圧ラインLa、データラインLd)が配設されている。対向基板20は、一面側に上記各信号線の端部に対応するように画素アレイ接続パッド22s、22a、22dが配列され、他面側に引き回し配線23s、23a、23dにより、各画素アレイ接続パッド22s、22a、22dに接続されたICチップ26が搭載されている。画素アレイ基板10と対向基板20は、シール材BNDにより、対向して接合されるとともに、各信号線の端部と各画素アレイ接続パッド22s、22a、22dが電気的に個別に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその製造方法に関し、特に、自発光素子を有する複数の表示画素が、基板上に配列された表示パネルを備える発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶発光装置(LCD)に続く次世代の表示デバイスとして、自発光素子を有する複数の表示画素を2次元配列した発光素子型の表示パネルを備えた発光装置が普及してきている。例えば、携帯電話や携帯音楽プレーヤ等の電子機器の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)を2次元配列した表示パネル(有機EL表示パネル)が知られている。
【0003】
有機EL素子は、周知のように、例えばガラス基板等の一面側に、アノード(陽極)電極と、有機EL層(発光機能層)と、カソード(陰極)電極と、を順次積層した素子構造を有している。そして、有機EL層に発光しきい値を越えるようにアノード電極及びカソード電極に電圧を印加することにより、有機EL層内で注入されたホールと電子が再結合する際に生じるエネルギーに基づいて光(励起光)が放射される。有機EL層は、概略、正孔輸送層や電子輸送層等の担体輸送層、発光層を順次積層した構成を有している。
【0004】
ここで、有機EL表示パネルにおいては、水分によって有機EL層が劣化することを防ぐために、例えば特許文献1には、有機EL素子が形成された素子基板に対向するように、ガラス基板等からなる封止基板を、接着剤を用いて封着して外気を遮断した封止構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−068048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような有機EL表示パネルにおいては、一般に、基板上に有機EL素子を配列して表示領域を形成し、該基板上の表示領域を囲む周辺領域に、有機EL素子を発光駆動させるための信号や電源電圧を供給する各種の配線が配設されている。そのため、表示領域外に配線のためのスペースを設けなければならず、表示パネルの周辺領域の寸法が大きくなり、商品デザインやサイズが制約されるという問題を有していた。また、表示パネルの周辺領域(額縁)の寸法が大きい場合には、表示パネルの製造時に、1枚のマザーガラスから切り出されるパネル基板の数が減少するため、製品コストの上昇を招くという問題も有していた。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、表示パネルの狭額縁化が可能なパネル構造を有する発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係る発光装置は、一面側に、複数の表示画素が配列された表示領域と、前記表示画素の各々に接続された複数の信号線の端部が露出する周縁部と、を有する第1の基板と、一面側に、前記信号線の端部に対応するように配列された複数の接続パッドと、他面側に設けられ、前記信号線に前記表示画素を駆動させるための制御信号を供給する制御回路と、前記複数の接続パッドと前記制御回路とを個別に接続する複数の接続配線と、を有する第2の基板と、前記第1の基板の前記一面側と、前記第2の基板の前記一面側とを接合するとともに、前記複数の信号線の端部と前記複数の接続パッドとを電気的に個別に接続する接合部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発光装置において、前記第1の基板と前記第2の基板との離間距離は、前記第2の基板における前記複数の接続パッド相互の離間距離よりも小さく設定されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発光装置において、前記第1の基板と前記第2の基板との離間距離は、前記制御回路の高さより小さく設定されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発光装置において、前記制御回路は、前記第2の基板における、前記第1の基板が接合される領域に対応する領域の内側に配置されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発光装置において、前記第1の基板と前記第2の基板は、同一の外形形状及び外形寸法を有し、かつ、前記第1の基板と前記第2の基板の全周の端部が相互に整合するように接合されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発光装置において、前記複数の信号線は、少なくとも、前記表示画素を選択状態に設定するための選択信号が印加される複数の走査ラインと、前記表示画素を所定の表示状態で駆動するための表示データが供給される複数のデータラインと、からなることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発光装置において、前記第2の基板は、前記他面側に、前記第2の基板の外部と電気的に接続するための複数の外部接続パッドと、前記複数の外部接続パッドと前記制御回路とを個別に接続する複数の外部接続配線と、を有していることを特徴とする。
【0010】
請求項8記載の発明に係る発光装置の製造方法は、表示領域に複数の表示画素が配列され且つ該表示領域の外周に前記表示画素の各々に接続された複数の信号線の端部が露出する第1の基板に対向するための第2の基板の一面側に、前記複数の信号線の端部に対応するように配列された複数の接続パッドを形成する工程と、前記第2の基板の前記一面側から他面側に貫通する複数のスルーホールを形成する工程と、前記第2の基板の前記他面側に、前記複数のスルーホールを介して、一端側が前記複数の接続パッドの各々に接続された複数の接続配線を形成する工程と、前記複数の接続配線の他端側に制御回路を接続する工程と、接合部材を用いて、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するとともに、前記複数の信号線の端部と前記複数の接続パッドとを電気的に個別に接続する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発光装置の製造方法において、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合する際の、前記第1の基板と前記第2の基板の離間距離は、前記第2の基板における前記複数の接続パッド相互の離間距離よりも小さく設定されていることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項8又は9記載の発光装置の製造方法において、前記第1の基板と前記第2の基板との離間距離は、前記制御回路の高さより小さく設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る発光装置及びその製造方法によれば、表示パネルの周辺領域の面積を抑えることができるので、表示パネルの商品デザインやサイズの自由度を向上させることができるとともに、製品コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る発光装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る発光装置に適用される画素アレイ基板の一例を示す概略平面図である。
【図3】本実施形態に係る発光装置に適用される対向基板の一例を示す概略構成図である。
【図4】本実施形態に係る表示パネルに2次元配列される表示画素の回路構成例を示す等価回路図である。
【図5】比較対象に係る発光装置の概略構成図である。
【図6】比較対象に係る発光装置に適用される画素アレイ基板の一例を示す概略平面図である。
【図7】本発明に係る発光装置の第2の実施形態に適用される対向基板の概略構成図である。
【図8】本発明に係る発光装置の第3の実施形態に適用される対向基板の概略構成図である。
【図9】本発明に係る発光装置の第4の実施形態を示す概略構成図である。
【図10】本発明に係る発光装置の第5の実施形態を示す概略構成図である。
【図11】本実施形態に係る発光装置に適用される画素アレイ基板の一例を示す概略平面図である。
【図12】本実施形態に係る発光装置に適用される対向基板の一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る発光装置及びその製造方法について、実施形態を示して詳しく説明する。
<第1の実施形態>
(発光装置)
まず、本発明に係る発光装置に適用されるパネル構造について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る発光装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。図1(a)は、本実施形態に係る発光装置を背面側(反視野側)から見た概略平面図であり、図1(b)は、本実施形態に係る発光装置の概略側断面図である。
【0016】
また、図2は、本実施形態に係る発光装置に適用される画素アレイ基板の一例を示す概略平面図である。ここで、図2は、本実施形態に係る発光装置に適用される画素アレイ基板を、対向基板との接合面側から見た(すなわち、図1(b)に示したIIA−IIA線に沿って矢視した)概略平面図である。なお、本明細書においては図1中に示したローマ数字の「2」に対応する記号として便宜的に「II」を用いる。また、図2に示す平面図においては、説明の都合上、絶縁性基板上に配設される各配線層と表示領域、周縁部との関係のみを示し、各表示画素に設けられる発光素子(有機EL素子)、及び、該発光素子を発光駆動するための画素駆動回路(後述する図4参照)の表示を省略した。
【0017】
また、図3は、本実施形態に係る発光装置に適用される対向基板の一例を示す概略構成図である。ここで、図3(a)は、本実施形態に係る発光装置に適用される対向基板の概略断面図(すなわち、図1(a)に示したIIIB−IIIB線に沿った断面を示す概略断面図)であり、図3(b)は、本実施形態に係る発光装置に適用される対向基板を、画素アレイ基板との接合面側から見た(すなわち、図1(b)に示したIIIC−IIIC線に沿って矢視した)概略平面図である。なお、本明細書においては図1中に示したローマ数字の「3」に対応する記号として便宜的に「III」を用いる。また、図2、図3(b)においては、画素アレイ基板及び対向基板を接合するための接着剤が設けられる領域を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。
【0018】
本実施形態に係る発光装置は、図1(a)〜(c)に示すように、画素アレイ基板(第1の基板)10と、対向基板(第2の基板)20と、を有している。画素アレイ基板10と対向基板20とは、異方導電性接着剤(又は、異方性導電コネクタ付シール材;接合部材)等のシール材BNDを介して対向するように接合されていることによって相互に電気的に接続されているとともに対向面同士が所定の間隔で離間している。ここで、図1(a)、(b)に示すように、画素アレイ基板10及び対向基板20は、各々、矩形状の平面形状を有する平行平板であって、画素アレイ基板10よりも対向基板20の方が大きくなるように設定されている。特に、本実施形態においては、図1(a)に示すように、画素アレイ基板10及び対向基板20の、図面左辺及び上下辺の3辺の端面の位置が整合し、対向基板20の図面右辺の端面が、画素アレイ基板10の図面右辺の端面の位置から突出しており、画素アレイ基板10は、その各辺の周縁部において対向基板20と接合されている。
【0019】
画素アレイ基板10は、図1(b)、図2に示すように、ガラス等の絶縁性基板11からなり、対向基板20との接合面(以下、便宜的に「一面」と記す)に囲まれた領域に表示領域12が設けられている。また、表示領域12の外周には、シール材BNDが設けられる周縁部が設定されている。表示領域12には、例えば有機EL素子等の発光素子を備えた複数の表示画素PIXがマトリックス状に2次元配列され、各表示画素PIXの発光素子を発光駆動するための制御信号や表示データ、電源電圧等を供給するための信号線が、表示画素PIXの配列に対応して、表示領域12の行方向及び列方向に配列されている。なお、図1(b)において、後述する画素駆動回路DC、走査ラインLs及び電源電圧ラインLaの記載を省略している。
【0020】
具体的には、図2の上下方向(行方向)に、走査ラインLs及び電源電圧ラインLaが配設され、図面左右方向(列方向)に、データラインLdが配設されている。走査ラインLs(或いは電源電圧ラインLa)と、データラインLdとの各交点には、有機EL素子等の発光素子を備えた表示画素PIXが設けられている。走査ラインLsには、後述するように、各行の表示画素PIXを選択状態に設定するための選択信号が印加される。また、電源電圧ラインLaには、後述するように、各行の表示画素PIXの発光素子を発光動作させるための電源電圧(例えばアノード電圧)Vddが印加される。データラインLdには、後述するように、各列の表示画素PIXの発光素子を所望の輝度で発光動作させるための表示データ(例えば階調電圧)が印加される。なお、表示画素PIXの詳細、及び、表示画素PIXと各信号線の関係については、詳しく後述する。
【0021】
一方、表示領域12の外周に設定された周縁部には、上述した各信号線(走査ラインLs及び電源電圧ラインLa、データラインLd)の一端側の端部が露出され、シール材BNDと部分的に重なることによってシール材BNDを介して対向基板20側と電気的に接続される。
【0022】
具体的には、図2に示すように、絶縁性基板11の上方の周縁部には、各行の走査ラインLsの端部が延在して設けられている。また、絶縁性基板11の下方の周縁部には、各行の電源電圧ラインLaの端部が延在して設けられている。また、絶縁性基板11の左方の周縁部には、各列のデータラインLdの端部が延在して設けられている。ここで、各走査ラインLs相互及び各電源電圧ラインLa相互、各データラインLd相互は、所定のピッチを有して配列されている。なお、各信号線の端部は、各信号線の幅より幅広な接続パッドが設けられているものであってもよい。この場合、接続パッドは、隣接する接続パッド同士が短絡しないように偶数行(或いは偶数列)、奇数行(或いは奇数列)で千鳥配列になっていることが好ましい。
【0023】
また、画素アレイ基板10の周縁部と対向基板20との間に介在するシール材BNDは、基板相互を接着固定して封着するためのバインダー(接着溶剤)中に、各信号線(走査ラインLs及び電源電圧ラインLa、データラインLd)の端部と、後述する対向基板20側の接続パッドとを電気的に接続するための導電フィラー(導電性粒子)CFLが均一に分散された、市販の接着剤を適用することができる。ここで、シール材BNDは、絶縁性基板11上に印刷可能なペーストタイプや塗布可能な液状タイプ、薄膜状のフィルムタイプ等の態様や、熱及び圧力によりバインダーを固化させるタイプや紫外線等を照射して固化させるタイプ等の固化方法から、製造プロセス等に応じて適切なものを選択することができる。具体的には、シール材BNDとして、ニッケルまたは金メッキされたニッケル等の微粒子、もしくは金メッキされたアクリル系またはポリスチレン系等樹脂等の微粒子が、エポキシ系または合成ゴム系樹脂等のバインダー中に分散された異方性導電性ペーストを用いることができる。例えば藤倉化成株式会社の「ドータイト」シリーズや株式会社スリーボンドの「ThreeBond3373」等を良好に適用することができる。
【0024】
対向基板20は、図1(a)、図3(a)、(b)に示すように、ガラス基板や樹脂基板等の絶縁性基板21からなり、画素アレイ基板10との接合面側(以下、便宜的に「一面側」と記す)に、画素アレイ接続パッド22s、22a、22dが設けられている。また、対向基板20の他面側(接合面の反対面側;発光装置の背面側に相当する)に、引き回し配線(接続配線)23s、23a、23dと、引き回し配線(外部接続配線)25と、外部回路接続パッド(外部接続パッド)24と、ICチップ(制御回路、集積回路)26と、が設けられている。また、絶縁性基板21には、一面側から他面側に貫通し、各画素アレイ接続パッド22s、22a、22dと各引き回し配線23s、23a、23dを個別に接続するための複数のスルーホール27が設けられている。
【0025】
引き回し配線23s、23a、23d、25は、例えば薄膜配線から構成されている。引き回し配線23s、23a、23dはそれぞれ、図1(a)、図3(a)、(b)に示すように、一端側が、絶縁性基板21の周縁部において、絶縁性基板21を貫通して設けられた各スルーホール27を介して、絶縁性基板21の一面側に設けられた画素アレイ接続パッド22s、22a、22dに接続され、他端側が、絶縁性基板21の他面(絶縁性基板21の一面と反対の面)側に搭載されたICチップ26の接続端子に接続されている。つまり、引き回し配線23sの端部のピッチPt1と、画素アレイ接続パッド22sのピッチPsとが同一又は略同一の長さに設定され、引き回し配線23aの端部のピッチPt2と、画素アレイ接続パッド22aのピッチPaとが同一又は略同一の長さに設定され、引き回し配線23dの端部のピッチPt3と、画素アレイ接続パッド22dのピッチPdとが同一又は略同一の長さに設定されている。また、引き回し配線25は、一端側が、ICチップ26の接続端子に接続され、他端側が、外部回路接続パッド24に接続されている。
【0026】
画素アレイ接続パッド22s、22a、22dは、図3(b)に示すように、対向基板20を構成する絶縁性基板21において、上記の画素アレイ基板10の絶縁性基板11が接合される領域(以下「接合領域」と記す)であって、画素アレイ基板10との接合の際にシール材BNDが介在する領域に配列される。
【0027】
また、画素アレイ接続パッド22s、22a、22dはそれぞれ、上記の画素アレイ基板10の周縁部に延在して配列された走査ラインLs及び電源電圧ラインLa、データラインLdの各端部との間で、シール材BND中の導電フィラーCFLを介して電気的に個別に接続されるように、所定のピッチを有し、かつ、相互に対応する位置に配列されている。すなわち、対向基板20に配列される画素アレイ接続パッド22sのピッチPsと、画素アレイ基板10の周縁部に配列される走査ラインLsのピッチは、同一又は略同一の長さに設定され、画素アレイ接続パッド22aのピッチPaと、画素アレイ基板10の周縁部に配列される電源電圧ラインLaのピッチは、同一又は略同一の長さに設定され、画素アレイ接続パッド22dのピッチPdと、画素アレイ基板10の周縁部に配列されるデータラインLdのピッチは、同一又は略同一の長さに設定されている。より好ましくはさらに、ピッチPs、ピッチPa、ピッチPdが同一又は略同一の長さに設定されている。また、画素アレイ接続パッド22s、22a、22dとICチップ26とを接続する引き回し配線23s、23a、23dは、図1(a)、図3(a)に示すように、対向基板20を構成する絶縁性基板21の他面側であって、画素アレイ基板10(絶縁性基板11)との接合領域に対応する領域の内部に配設されている。
【0028】
また、外部回路接続パッド24は、図1(a)に示すように、対向基板20を構成する絶縁性基板21の他面側であって、画素アレイ基板10(絶縁性基板11)との接合領域に対応する領域以外の領域であり、かつ、上記の画素アレイ接続パッド22s、22a、22dが配列されていない辺の周縁部に配列されている。ここで、外部回路接続パッド24は、発光装置の外部に設けられる制御回路や電源回路等(いずれも図示を省略)と電気的に個別に接続されるように、所定のピッチを有して配列されている。外部回路接続パッド24は、図示しない外部回路に接続されたフレキシブル配線基板の各配線に接続されている。
【0029】
また、ICチップ26は、既存かつ市販されている、汎用のICチップの形態を有する集積回路であって、図1(a)、図3(a)、(b)に示すように、対向基板20を構成する絶縁性基板21の他面側であって、画素アレイ基板10の接合領域に対応する領域の内部に配置されている。ICチップ26は、例えば、上記の外部回路接続パッド24及び引き回し配線25を介して外部回路から印加される制御信号や電源電圧等に基づいて、各種信号や駆動電圧等を生成し、引き回し配線23s、23a、23d、スルーホール27内の引き回し配線23s、23a、23d及び画素アレイ接続パッド22s、22a、22d、シール材BNDを介して、画素アレイ基板10に配設された走査ラインLs及び電源電圧ラインLa、データラインLdに印加するドライバ回路の機能を有している。
【0030】
そして、本実施形態に係る発光装置においては、画素アレイ基板10と対向基板20とを接合する際の離間距離(基板間ギャップ)Gが、画素アレイ接続パッド22s、22a、22dにおける隣接するパッド相互の離間距離(端子間スペース)Sよりも小さくなるように設定されている。具体的には、画素アレイ基板10と対向基板20の基板間ギャップGは、例えば5μm以下に設定され、一方、隣接する各画素アレイ接続パッド22s、22a、22d相互の端子間スペースSは、例えば120μm以下に設定される。
【0031】
これによれば、上記基板間ギャップGよりも大きく、かつ、上記端子間スペースSよりも小さい粒径を有する導電フィラーCFLを含むシール材BNDを用いて、画素アレイ基板10と対向基板20を良好に接合することができる。すなわち、このような条件を満たす導電フィラーCFLを含むシール材BNDを用いることにより、各画素アレイ接続パッド22s、22a、22d相互の短絡を防止しつつ、画素アレイ基板10と対向基板20間の電気的な接続と、所望の基板間ギャップGを良好に実現することができる。また、画素アレイ基板10と対向基板20とを接合する際の離間距離(基板間ギャップ)Gは、対向基板20の他面側に設けられるICチップ26の高さより短く設定されている。このため、ICチップ26として、比較的厚みの大きい市販品(汎用品)を良好に適用することができ、またICチップ26以外の発光装置を薄型にすることができ、全体的に装置を小型化できる。
【0032】
(表示画素)
次に、本実施形態に係る発光装置に適用可能な表示画素の具体例について説明する。
図4は、本実施形態に係る表示パネルに2次元配列される表示画素の回路構成例を示す等価回路図である。図4(a)は、2個のトランジスタと1個のキャパシタからなる画素駆動回路を有する表示画素の回路構成例であり、図4(b)は、3個のトランジスタと1個のキャパシタからなる画素駆動回路を有する表示画素の回路構成例である。
【0033】
図4(a)、(b)に示すように、表示画素PIXは、画素駆動回路DCと有機EL素子(発光素子)OELとを備えている。画素駆動回路DCは、複数のトランジスタ(例えばアモルファスシリコン薄膜トランジスタTFT等)を備えた回路構成を有している。また、有機EL素子OELは、画素駆動回路DCにより制御される発光駆動電流がアノード端子に供給されることにより発光動作する。
【0034】
(構成例1)
図4(a)に示す画素駆動回路DCは、具体的には、トランジスタTr11、Tr12と、キャパシタCsとを備えている。トランジスタTr11は、ゲート端子が表示領域12の行方向(図2においては図面上下方向に相当する)に配設された走査ラインLsに接続され、また、ドレイン端子が表示領域12の列方向(図2においては図面左右方向に相当する)に配設されたデータラインLdに接続され、また、ソース端子が接点N11に接続されている。トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続され、ドレイン端子が行方向(図2においては図面上下方向に相当する)に配設された電源電圧ラインLaに接続され、ソース端子が接点N12に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)及びソース端子(接点N12)間に接続されている。
【0035】
また、有機EL素子OELは、アノード端子(アノード電極)が上記画素駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード端子(カソード電極)が例えば所定の低電位電源(基準電圧Vss;例えば接地電位Vgnd)に直接又は間接的に接続されている。
【0036】
走査ラインLs及びデータラインLdは、図2に示したように、各々の一方の端部が絶縁性基板11の周縁部にまで延在するように形成されている。そして、図1に示したように、当該周縁部において、シール材BND、対向基板20側に設けられた画素アレイ接続パッド22s、22d、スルーホール27内の引き回し配線23s、23d、及び、絶縁性基板21の他面上の引き回し配線23s、23dを介して、ICチップ26に接続されている。
【0037】
ここで、本構成例におけるICチップ26は、例えば走査ドライバの機能を有し、所定のタイミングで各行の走査ラインLsに対して選択信号(選択電圧)Vselを印加する。これにより、画素アレイ基板10に配列された各行の表示画素PIXが、順次選択状態に設定される。また、ICチップ26は、例えばデータドライバとしての機能も有し、所定のタイミングで各列のデータラインLdに対して表示データに応じた階調信号(階調電圧)Vdataを印加する。これにより、各行の表示画素PIXの選択状態に同期するタイミングで、表示データが書き込まれる。
【0038】
また、電源電圧ラインLaも、走査ラインLsやデータラインLdと同様に、図2に示したように、一方の端部が絶縁性基板11の周縁部にまで延在するように形成されている。そして、図1に示したように、当該周縁部において、シール材BND、対向基板20側に設けられた画素アレイ接続パッド22a、スルーホール27内の引き回し配線23a、及び、絶縁性基板21の他面上の引き回し配線23aを介して、上記ICチップ26を経由して、又は、直接外部回路接続パッド24に接続されている。電源電圧ラインLaが接続された外部回路接続パッド24は、例えば所定の高電位電源に直接又は間接的に接続されている。なお、電源電圧ラインLaは、ICチップ26を介することなしに、シール材BND、対向基板20側に設けられた画素アレイ接続パッド22a、スルーホール27内の引き回し配線、スルーホール27と外部回路接続パッド24とを直接接続する引き回し配線を介して外部回路接続パッド24と接続してもよい。
【0039】
ここで、電源電圧ラインLaには、各表示画素PIXに設けられる有機EL素子OELのアノード端子(アノード電極)に、上記の表示データに応じた発光駆動電流を流すための所定の電圧が印加される。この電圧は、有機EL素子OELのカソード端子(カソード電極に印加される基準電圧Vss(例えば接地電位Vgnd)より電位の高い、一定の高電圧(電源電圧Vdd)に設定されている。
【0040】
(表示画素の駆動制御)
そして、図4(a)に示したような回路構成を有する表示画素PIXにおける駆動制御動作は、まず、所定の選択期間において、一部の外部回路接続パッド24からICチップ26に供給されるクロック信号、スタート信号等の制御信号に基づいて動作されるICチップ26の走査ドライバ機能を用い、絶縁性基板21の他面上の引き回し配線23s、スルーホール27内の引き回し配線23s、画素アレイ接続パッド22s及びシール材BNDを介して、走査ラインLsに対して、選択レベル(オンレベル;例えばハイレベル)の選択電圧Vselを印加する。これにより、トランジスタTr11がオン動作して表示画素PIXが選択状態に設定される。
【0041】
このタイミングに同期して、一部の外部回路接続パッド24からICチップ26に供給されるデジタル階調の表示データ、クロック信号等の制御信号に基づいて動作されるICチップ26のデータドライバ機能を用い、絶縁性基板21の他面上の引き回し配線23d、スルーホール27内の引き回し配線23d、画素アレイ接続パッド22d及びシール材BNDを介して、データラインLdに対して、表示データに応じた電圧値を有する階調電圧Vdataを印加する。これにより、トランジスタTr11を介して、階調電圧Vdataに応じた電位が接点N11(すなわち、トランジスタTr12のゲート端子)に印加されるので、トランジスタTr12がその電位に応じた導通状態でオン動作する。
【0042】
したがって、高電位側の電源電圧Vddが印加される電源電圧ラインLaからトランジスタTr12及び有機EL素子OELを介して、低電位側の基準電圧Vss(接地電位Vgnd)に、表示データの階調に応じた電流値の発光駆動電流が流れるので、有機EL素子OELが階調電圧Vdata(すなわち表示データ)に応じた輝度階調で発光動作する。このとき、接点N11に印加された階調電圧Vdataに基づいて、トランジスタTr12のゲート−ソース間のキャパシタCsに電荷が蓄積(充電)される。ここで、表示画素PIXの有機EL素子OELから放出された光は、画素アレイ基板10を構成する絶縁性基板11を介して視野側(図1(b)の図面下方側)に出射される。すなわち、本実施形態に係る発光装置は、ボトムエミッション型の発光構造を有している。
【0043】
次いで、上記選択期間終了後の非選択期間において、ICチップ26から走査ラインLsに対して、非選択レベル(オフレベル;例えばローレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr11がオフ動作して表示画素PIXが非選択状態に設定される。これにより、データラインLdと画素駆動回路DCとが電気的に遮断される。このとき、上記キャパシタCsに蓄積された電荷が保持されることにより、トランジスタTr12のゲート端子に階調電圧Vdataに相当する電圧(すなわち、ゲート−ソース間の電位差)が維持された状態となる。
【0044】
したがって、上記選択状態における発光動作と同様に、電源電圧ラインLa(電源電圧Vdd)からトランジスタTr12を介して、有機EL素子OELに所定の発光駆動電流が流れて、所定の期間同じ輝度で発光し続ける。この発光動作状態は、次の階調電圧Vdataが印加される(書き込まれる)まで、例えば、1フレーム期間継続するように制御される。そして、このような駆動制御動作を、画素アレイ基板10に2次元配列された全ての表示画素PIXについて、例えば各行ごとに順次実行することにより、所望の画像情報を表示する画像表示動作を実行することができる。
【0045】
なお、図4(a)に示した表示画素PIXにおいては、ICチップ26により、表示データに応じて各表示画素PIXに書き込む階調電圧Vdataの電圧値を調整(指定)し、画素駆動回路DCにより、有機EL素子OELに流す発光駆動電流の電流値を制御して、所望の輝度階調で発光動作させる電圧指定型の階調制御方式の回路構成を示した。本発明は、これに限定されるものではなく、ICチップ26により、表示データに応じて各表示画素PIXに書き込む電流値を調整(指定)し、画素駆動回路DCにより、有機EL素子OELに流す発光駆動電流の電流値を制御して、所望の輝度階調で発光動作させる電流指定型の階調制御方式の回路構成を有するものであってもよい。以下の構成例2では、電流指定型の階調制御方式に対応した画素駆動回路DCを有する表示画素PIXについて説明する。
【0046】
(構成例2)
図4(b)に示す画素駆動回路DCは、具体的には、トランジスタTr21、Tr22、Tr23と、キャパシタCsとを備えている。トランジスタTr21は、ゲート端子が走査ラインLsに接続され、また、ドレイン端子が電源電圧ラインLaに接続され、また、ソース端子が接点N21に接続されている。トランジスタTr22は、ゲート端子が走査ラインLsに接続され、ソース端子がデータラインLdに接続され、ドレイン端子が接点N22に接続されている。トランジスタTr23は、ゲート端子が接点N21に接続され、ドレイン端子が電源電圧ラインLaに接続され、ソース端子が接点N22に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr23のゲート端子(接点N21)及びソース端子(接点N22)間に接続されている。
【0047】
また、有機EL素子OELは、アノード端子(アノード電極)が上記画素駆動回路DCの接点N22に接続され、カソード端子(カソード電極)が所定の低電位の基準電圧Vss(例えば接地電位Vgnd)に直接又は間接的に接続されている。
【0048】
走査ラインLs及びデータラインLd、電源電圧ラインLaはそれぞれ、上述した構成例1と同様に、各々の一方の端部が絶縁性基板11の周縁部にまで延在するように形成され、当該周縁部において、シール材BND、対向基板20側に設けられた画素アレイ接続パッド22s、22d、22a、スルーホール27内の引き回し配線23s、23d、23a、及び、絶縁性基板21の他面側の引き回し配線23s、23d、23aを介して、ICチップ26に接続されている。
【0049】
そして、ICチップ26により、所定のタイミングで、走査ラインLsに対して選択電圧Vselが印加され、また、データラインLdに対しては表示データに応じた階調信号(階調電圧Vdata又は階調電流Idata)が供給される。一方、電源電圧ラインLaは、対向基板20側に設けられたICチップ26を経由して、又は、直接外部回路接続パッド24に接続されている。電源電圧ラインLaには、後述するように、表示画素PIXの動作状態に応じて所定のローレベル又はハイレベルの電源電圧Vscが印加される。
【0050】
なお、有機EL素子OELのカソード端子(カソード電極)に印加される基準電圧Vssは定電圧(例えば接地電位Vgnd)であって、電源電圧ラインLaに印加される電源電圧Vscは、基準電圧Vssに基づいて設定される。すなわち、表示データに応じた階調電圧Vdata又は階調電流Idataが表示画素PIX(画素駆動回路DC)に供給される書込動作期間において、ローレベルに設定される電源電圧Vscは基準電圧Vss以下に設定され、かつ、有機EL素子(発光素子)OELに発光駆動電流が供給されて表示データに応じた輝度階調で発光動作する発光動作期間において、ハイレベルに設定される電源電圧Vscは基準電圧Vssより十分高電位に設定されている。
【0051】
(表示画素の駆動制御)
そして、図4(b)に示したような回路構成を有する表示画素PIXにおける駆動制御動作は、所定の1処理サイクル期間内に、表示データに応じた電圧成分を保持させる書込動作(書込動作期間)と、有機EL素子OELを表示データに応じた輝度階調で発光動作させる発光動作(発光動作期間)と、を実行するように設定されている。
【0052】
まず、表示画素PIXへの書込動作(書込動作期間)においては、ICチップ26の走査ドライバ機能を用い、一部の外部回路接続パッド24からICチップ26に供給されるクロック信号、スタート信号等の制御信号によってICチップ26が、絶縁性基板21の他面側の引き回し配線23s、スルーホール27内の引き回し配線23s、画素アレイ接続パッド22s及びシール材BNDを介して、走査ラインLsに対して、選択レベル(オンレベル;例えばハイレベル)の選択電圧Vselを印加する。また、この書込動作(書込動作期間)においては、例えばICチップ26の電源ドライバ機能を用い、一部の外部回路接続パッド24からICチップ26に供給されるクロック信号等の制御信号によってICチップ26が、絶縁性基板21の他面側の引き回し配線23s、スルーホール27内の引き回し配線23s、画素アレイ接続パッド22a及びシール材BNDを介して、電源電圧ラインLaに対して、ローレベルの電源電圧Vscを印加するか、あるいは、発光装置外部の電源回路(図示を省略)が、一部の外部回路接続パッド24、一部の外部回路接続パッド24とスルーホール27との間を直接接続する引き回し配線、画素アレイ接続パッド22a及びシール材BNDを介して、電源電圧ラインLaにローレベルの電源電圧Vscを印加する。そして、このタイミングに同期して、ICチップ26のデータドライバ機能を用い、一部の外部回路接続パッド24からICチップ26に供給されるデジタル階調の表示データ、クロック信号等の制御信号によってICチップ26が、絶縁性基板21の他面側の引き回し配線23d、スルーホール27内の引き回し配線23d、画素アレイ接続パッド22d及びシール材BNDを介して、データラインLdに対して、階調電圧Vdata又は階調電流Idataを供給し、表示データに応じた電流値の電流を流す。
【0053】
これにより、表示画素PIXが選択状態に設定され、トランジスタTr21及びTr22がオン動作して、ローレベルの電源電圧VscがトランジスタTr23のゲート端子(接点N21)に印加されるとともに、トランジスタTr23のソース端子(接点N22)がデータラインLdに電気的に接続される。
【0054】
ここで、データラインLdに供給される階調電圧Vdata又は階調電流Idataは、各表示画素PIXに書き込まれる表示データに含まれる輝度階調値に応じて、ローレベルの電源電圧Vscに対して相対的に負電位なので、電源電圧ラインLaから表示画素PIXを経由してデータラインLdに向けて階調電圧Vdata又は階調電流Idataに対応した書込電流Iaが引き抜かれるように流れる。これにより、ローレベルの電源電圧Vscよりもさらに低電位の電圧レベルがトランジスタTr23のソース端子(接点N22)に印加される。
【0055】
したがって、接点N21及びN22間(すなわち、トランジスタTr23のゲート−ソース間)に電位差が生じることによりトランジスタTr23がオン動作して、電源電圧ラインLaからトランジスタTr23、接点N22、トランジスタTr22、データラインLdを介してICチップ26方向に、階調電圧Vdata又は階調電流Idataに対応した書込電流Iaが流れる。
【0056】
このとき、キャパシタCsには、接点N21及びN22間に生じた電位差に対応する電荷が蓄積され、電圧成分として保持される。また、電源電圧ラインLaには、基準電圧Vss(接地電位Vgnd)以下の電圧レベルを有する電源電圧Vscが印加され、さらに、書込電流Iaが表示画素PIXからデータラインLd方向に流れるように制御されている。これにより、有機EL素子OELのアノード端子(接点N22)に印加される電位はカソード端子の電位(基準電圧Vss)よりも低くなるため、有機EL素子OELには電流が流れず発光動作は行われない(非発光動作)。
【0057】
次いで、書込動作終了後の発光動作(発光動作期間)においては、ICチップ26の走査ドライバ機能を用い、絶縁性基板21の他面側の引き回し配線23s、スルーホール27内の引き回し配線23s、画素アレイ接続パッド22s及びシール材BNDを介して、走査ラインLsに対して、非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselを印加する。そして、このタイミングに同期して、又は、所定のタイミングで、例えばICチップ26の電源ドライバ機能、あるいは、発光装置外部の電源回路(図示を省略)を用い、一部の外部回路接続パッド24からICチップ26に供給されるクロック信号等の制御信号によってICチップ26が、絶縁性基板21の他面側の引き回し配線23a、スルーホール27内の引き回し配線23a、画素アレイ接続パッド22a及びシール材BNDを介して、電源電圧ラインLaに対して、ハイレベルの電源電圧Vscを印加する。
【0058】
これにより、トランジスタTr21、Tr22がオフ動作して、トランジスタTr23のゲート端子(接点N21)への電源電圧Vscの印加が遮断されるとともに、トランジスタTr23のソース端子(接点N22)への階調電圧Vdata又は階調電流Idataの引き込み動作に起因する電圧レベルの印加が遮断される。このとき、キャパシタCsには、上述した書込動作において蓄積された電荷が保持されるので、トランジスタTr23はオン状態を維持する。また、電源電圧ラインLaには、基準電圧Vss(接地電位Vgnd)よりも高電位の電源電圧Vscが印加されるので、有機EL素子OELのアノード端子(接点N22)に印加される電位はカソード端子の電位(接地電位)よりも高くなる。
【0059】
したがって、電源電圧ラインLaからトランジスタTr23、接点N22を介して、有機EL素子OELに順バイアス方向に所定の発光駆動電流Ibが流れるので、有機EL素子OELが発光動作する。このとき、キャパシタCsにより保持される電圧成分は、トランジスタTr23において階調電圧Vdata又は階調電流Idataに対応する書込電流Iaを流す場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流Ibは、上記書込電流Iaと略同等の電流値(Ib≒Ia)を有している。これにより、有機EL素子OELは、表示データに応じた輝度階調で発光する。ここで、表示画素PIXの有機EL素子OELから放出された光は、画素アレイ基板10を構成する絶縁性基板11を介して視野側(図1(b)の図面下方側)に出射される。
【0060】
なお、上述した各構成例においては、画素駆動回路DCとして2個又は3個のトランジスタを備えた回路構成を示したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、2個以上のトランジスタを備えた他の回路構成を有するものであってもよい。また、画素駆動回路DCにより発光駆動される発光素子として有機EL素子OELを適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電流制御型の発光素子であれば、例えば、発光ダイオード等の他の発光素子であってもよい。
【0061】
(製造方法)
次に、上述した発光装置の製造方法について説明する。ここでは、上述したような画素駆動回路DC及び有機EL素子OELからなる表示画素PIXを有する発光装置について説明する。なお、以下の説明では適宜図1〜図3を参照する。
【0062】
上述した発光装置の製造方法は、まず、画素アレイ基板10と対向基板20を個別に製造する。画素アレイ基板10の製造方法は、図2に示すように、例えばガラスや石英、透明な樹脂等からなる絶縁性基板11の一面側(対向基板20との接合面側)に、上述した画素駆動回路DCを構成するトランジスタやキャパシタ、各種配線層及び層間絶縁膜、並びに、有機EL素子OELを備えた複数の表示画素PIXを2次元配列して、表示領域12に画素アレイを形成する。
【0063】
ここで、少なくとも画素アレイが形成された絶縁性基板11上には、例えば無機の絶縁膜が被覆形成されて、画素アレイ基板10の表示領域12の表面が保護されている。また、画素駆動回路DCや有機EL素子OELに選択信号Vselや階調信号Vdata、Idata、電源電圧Vdd、Vscを印加する各信号線(走査ラインLs及び電源電圧ラインLa、データラインLd)の端部は、図2に示したように、絶縁性基板11の周縁部の各辺に沿って所定のピッチを有して配列され、かつ、その上面が露出するように形成される。
【0064】
なお、この画素アレイ基板10を構成する画素アレイは、例えばマザーガラスの一面側に、複数箇所規則的に形成され、最終的に、各画素アレイ基板10ごとに切り離すことにより、複数枚の画素アレイ基板10が切り出される。
【0065】
一方、対向基板20の製造方法は、まず、図3に示すように、例えばガラスや石英、透明な樹脂等からなる絶縁性基板21の一面側(画素アレイ基板10との接合面側)に、上述した画素アレイ基板10の周縁部に配列された各信号線に対応するように、画素アレイ接続パッド22s、22a、22dを形成する。画素アレイ接続パッド22s、22a、22dは、例えば、絶縁性基板21上にスパッタリング法や蒸着法を用いて成膜された導電膜をパターニングすることにより一括して形成されるか、もしくはワイヤボンディングにて形成される。これにより、画素アレイ接続パッド22s、22a、22dは、絶縁性基板21における画素アレイ基板10の接合領域の周縁部に沿って、画素アレイ基板10側に形成される各信号線のピッチに対応するように配列される。
【0066】
次いで、図1(a)、図3に示すように、絶縁性基板21を他面側からエッチングして、画素アレイ接続パッド22s、22a、22dの配置位置にそれぞれ対応する位置にスルーホール27を形成する。ここで、スルーホール27は、絶縁性基板21の他面側から見て、各スルーホール27の内部に、上述した画素アレイ接続パッド22s、22a、22dが露出するように形成する。これにより、絶縁性基板21における画素アレイ基板10の接合領域の周縁部に沿って、スルーホール27が所定の間隔で規則的に配置される。
【0067】
次いで、絶縁性基板21の他面側に、例えばスパッタリング法や蒸着法を用いて導電膜を成膜する。このとき、上記スルーホール27内部にも導電膜が形成され、当該導電膜と、スルーホール27内に露出する画素アレイ接続パッド22s、22a、22dとが接続する。次いで、この導電膜をパターニングすることにより、図1(a)、図3(a)に示したように、絶縁性基板21の他面側に、複数の引き回し配線23s、23a、23d、25及び外部回路接続パッド24を一括して形成する。ここで、各引き回し配線23s、23a、23dは、絶縁性基板21の一面側に形成された各画素アレイ接続パッド22s、22a、22dにスルーホール27を介して接続され、かつ、後述するICチップ26の搭載位置まで延在する配線パターンを有するように形成される。また、複数の引き回し配線25及び外部回路接続パッド24は、絶縁性基板21の他面側の端部位置からICチップ26の搭載位置まで延在する配線パターンを有するように一体化して形成される。また、外部回路接続パッド24は、外部回路との接続に適した所定のピッチで配列される。
【0068】
次いで、絶縁性基板21の他面側であって、画素アレイ基板10の接合領域に対応する領域内の所定の位置に、ICチップ26を搭載する。ここで、ICチップ26は、上述した複数の引き回し配線23s、23a、23d、25の各端部に、図示を省略した接続端子が個別に接続されるように接合する。
【0069】
次いで、画素アレイ基板10と対向基板20を、シール材BNDを介して接合し、表示領域12に形成された画素アレイ(表示画素PIX)を封止する。具体的には、画素アレイ基板10側の絶縁性基板11の一面側の周縁部に、例えばペースト状の未硬化のシール材BNDを印刷し、該周縁部に配列された各信号線(走査ラインLs及び電源電圧ラインLa、データラインLd)の端部と、対向基板20側の絶縁性基板21の一面側に設けられた画素アレイ接続パッド22s、22a、22dの位置が整合するように、絶縁性基板11、21を相互に対向させて接合する。
【0070】
次いで、シール材BNDに例えば熱及び圧力を印加することにより、シール材BNDのバインダーを押し広げて、シール材BND内の導電フィラーCFLを画素アレイ基板10側の各信号線(走査ラインLs及び電源電圧ラインLa、データラインLd)の端部と対向基板20側の画素アレイ接続パッド22s、22a、22dの双方に接触させるとともに、バインダーを固化させて画素アレイ基板10と対向基板20を封着する。これにより、表示領域12の画素アレイが、画素アレイ基板10と対向基板20との間に封止されるとともに、画素アレイ基板10と対向基板20がシール材BNDを介して電気的に接続される。
【0071】
その後、複数の絶縁性基板11を構成するマザーガラスを個々の絶縁性基板11毎に切断し、複数の絶縁性基板21を構成するマザーガラスを個々の絶縁性基板11毎に切断して複数枚の発光パネルが得られる。そして、マザーガラスから切り出された画素アレイ基板10及び対向基板20について、例えばプローバ等の検査装置を用いて、所定の検査を行う。具体的には、絶縁性基板21上の複数の外部回路接続パッド24にプローブ針を接触させて所定の信号や電圧を印加することによりICチップ26から適宜信号を各表示画素PIXに出力してICチップ26や表示画素PIXの動作特性や制御機能等の検査が行われる。
【0072】
(作用効果の検証)
次に、本実施形態に係る発光装置及びその製造方法に特有の作用効果について詳しく説明する。
図5は、本実施形態に係る発光装置の作用効果を検証するために、従来技術に係る発光装置を本実施形態に対応させて模式的に示した概略構成図である(以下、図5に示す発光装置を「比較対象」と記す)。図5(a)は、比較対象に係る発光装置を視野側から見た概略平面図であり、図5(b)は、比較対象に係る発光装置の概略側面図である。
【0073】
また、図6は、比較対象に係る発光装置に適用される画素アレイ基板の一例を示す概略平面図である。ここで、図6は、比較対象に係る発光装置に適用される画素アレイ基板を、封止基板との接合面側から見た(すなわち、図5(b)に示したVID−VID線に沿って矢視した)概略平面図である。なお、本明細書においては図5中に示したローマ数字の「6」に対応する記号として便宜的に「VI」を用いる。また、図6に示す平面図においては、説明の都合上、絶縁性基板上に配設される各配線層と表示領域、周縁部との関係のみを示し、各表示画素に設けられる発光素子(有機EL素子)や画素駆動回路(上述した図4参照)の表示を省略した。また、図6においては、画素アレイ基板及び封止基板を接合するための接着剤が設けられる領域を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。
【0074】
図5(a)、(b)、図6に示すように、比較対象に係る発光装置は、画素アレイ基板110と、封止基板120と、を有している。画素アレイ基板110と封止基板120とは、絶縁性の接着剤130を介して対向するように接合されている。画素アレイ基板110は、図6に示すように、絶縁性基板111の一面側(封止基板120との接合面側)に、複数の表示画素PIXが2次元配列された表示領域112が設定されている。表示領域112には、2次元配列された複数の表示画素に対応して、走査ラインLs及び電源電圧ラインLaが図面上下方向(行方向)に配設され、また、データラインLdが図面左右方向(列方向)に配設されている。
【0075】
一方、表示領域112の外周の周辺領域には、複数のライン引き出しパッド122s、122a、122dと、複数の引き回し配線123s、123a、123d、125と、複数の外部回路接続パッド124と、ドライバ回路126と、が設けられている。ライン引き出しパッド122s、122a、122dは、表示領域112の外周に規則的に配列され、各々、走査ラインLs、電源電圧ラインLa、データラインLdの一端側の端部に接続されている。引き回し配線123s、123a、123dは、ライン引き出しパッド122s、122a、122dのさらに外周側に配設され、各ライン引き出しパッド122s、122a、122dとドライバ回路126を接続する。
【0076】
外部回路接続パッド124は、絶縁性基板111の表示領域112外であって、例えば絶縁性基板111の右辺の端部に配列されている。引き回し配線125は、外部回路接続パッド124とドライバ回路126を接続する。また、ドライバ回路126は、例えばICチップの形態を有し、絶縁性基板111の表示領域112外に配置されている。
【0077】
封止基板120は、ガラス等の絶縁性の平行平板であって、少なくとも画素アレイ基板110の表示領域112に対向するように接合される。図5、図6においては、封止基板120は、例えばライン引き出しパッド122s、122a、122dが配列された領域の外周において、絶縁性の接着剤130を介して画素アレイ基板110に接合されている。すなわち、画素アレイ基板110の表示領域112及びその外周のライン引き出しパッド122s、122a、122dが配列された領域を含む領域が、封止基板120により封止されている。
【0078】
このように、比較対象に係る(従来技術における)発光装置においては、画素アレイ基板110の表示領域112の外周に、走査ラインLs及び電源電圧ラインLa、データラインLdの各々に接続されたライン引き出しパッド122s、122a、122dが配列され、さらにその外周領域に配設された引き回し配線123s、123a、123dにより、ライン引き出しパッド122s、122a、122dとドライバ回路126が接続されている。つまり、画素アレイ基板110の表示領域112に、走査ラインLs、電源電圧ラインLa、データラインLdが配置されているので、画素アレイ基板110に引き回し配線123s、123a、123dを配置させるには、表示領域112の外周に配置させなければならなかった。
【0079】
そのため、画素アレイ基板110の表示領域112の周辺領域に引き回し配線123s、123a、123dを配設するための領域(スペース)を設けなければならず、表示パネルの額縁部分の寸法が大きくなり、商品デザインやサイズが制約されるという問題を有していた。また、表示領域112の周辺領域が大きくなることにより、画素アレイ基板110の外形サイズが大きくなるため、表示パネルの製造時に、1枚のマザーガラスから切り出される画素アレイ基板110の数が減少することになり、製品コストの上昇を招くという問題も有していた。さらに、表示領域112の周辺領域を極力狭くするために、引き回し配線123s、123a、123dの配線幅を短くして配線ピッチの微細化を行うことが考えられるが、この場合には、配線抵抗の増加に伴う電圧降下や配線長の不均一に伴う電圧ばらつきが顕著になり、表示特性の劣化や、製造プロセスの増加や複雑化、製造歩留まりの悪化を招くという問題も有していた。
【0080】
これに対して、本実施形態に係る発光装置及びその製造方法においては、画素アレイ基板10にシール材BNDを介して接合される対向基板20に、引き回し配線23s、23a、23d、25や、ドライバ回路であるICチップ26を設けた構成を有しているので、平面視して対向基板20の引き回し配線23s、23a、23d、25の少なくともいずれかが、画素アレイ基板10の表示領域12の走査ラインLs、電源電圧ラインLa、データラインLdの少なくともいずれかと重なっていてもよいので、画素アレイ基板10の表示領域12の外周に引き回し配線を配設するための領域を設ける必要がない。すなわち、画素アレイ基板10及び対向基板20のサイズを極力小型化することができる。
【0081】
したがって、本実施形態に係る発光装置及びその製造方法によれば、表示パネルの額縁部分の寸法を極力小さくすることができるので、商品デザインやサイズが制約されることなく自由度を向上させることができる。このため、比較対象に係る発光装置に比べ配線間ピッチを拡張できるので配線幅を広げて配線抵抗を低くすることが可能となる。したがって、周辺領域において引き回し配線を多層化したり、配線間ピッチを狭くしたりする必要がないので、製造プロセスを簡素化して製造歩留まりを改善することができる。特に、図4(a)、(b)に示したように、各表示画素PIXに画素駆動回路DCを設け、アクティブマトリクス型の駆動方式で画像表示を行う場合には、表示領域12に配設される信号線の種類や数が増加する。このような場合であっても、本実施形態によれば、引き回し配線23s、23a、23dを対向基板20側に配設することにより、配線パターンや配線間ピッチ、配線構造等に対する制約を大幅に緩和することができるので、製造プロセスの簡素化や製造歩留まりの改善に極めて有効である。また、画素アレイ基板10の外形サイズ、ひいては対向基板20の外形サイズを小さくすることができるので、表示パネルの製造時に、1枚のマザーガラスから切り出される画素アレイ基板10の数を増やすことができ、製品コストの削減を図ることができる。
【0082】
また、本実施形態においては、画素アレイ基板10に接合される対向基板20の他面側に、ドライバ回路であるICチップ26が搭載されているので、ICチップ本体の厚みに制約されることなく、安価かつ最適な汎用ICチップを選択することができ、製品コストの上昇を抑制することができる。
【0083】
加えて、本実施形態に係る発光装置及びその製造方法においては、引き回し配線23s、23a、23d及びドライバ回路となるICチップ26を、対向基板20における画素アレイ基板10の接合領域に対応する領域の内部に設けることにより、配線経路(配線パターン)の自由度を向上させることができるとともに、比較対象に係る発光装置に示した場合(図6参照)に比較して、配線長を実質的に短く、かつ、略均一化することができる。これにより、配線抵抗を低減して電圧降下を抑制することができるとともに、電圧のばらつきを抑制することができ、表示特性を改善することができる。特に、表示画素に設ける発光素子として有機EL素子を適用した場合、発光動作させるためには電流(発光駆動電流)が必要となる。そのため、本実施形態に示したように、電力配線である電源電圧ラインLaを低抵抗化することが、表示特性の向上や発光装置の省電力化に極めて有効である。
【0084】
また、本実施形態に係る発光装置及びその製造方法においては、画素アレイ基板10の表示領域12に配設される各信号線(走査ラインLs及び電源電圧ラインLa、データラインLd)相互の離間距離や、対向基板20に配列される各画素アレイ接続パッド22s、22a、22d相互の離間距離(端子間スペース)Sを、画素アレイ基板10と対向基板20を接合した際の離間距離(基板間ギャップ)Gに基づいて設定している。
【0085】
したがって、画素アレイ基板10及び対向基板20に対してプローブ検査を実施する際に、隣接する信号線間や接続パッド間の離間距離を比較的広く設定することができるので、高精度の接触精度や位置決め精度を有するプローバ(検査装置)を用いる必要がなく、簡易かつ安価な検査装置により、プローブ針と信号線又は接続パッドとを良好に接触させることができ、検査ミス等の発生を抑制することができる。
【0086】
なお、本実施形態においては、対向基板20の絶縁性基板21の他面側に1つのICチップ26のみを搭載した構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、絶縁性基板21の他面側に、上記のICチップ26に加え、チップコンデンサやインダクタ、抵抗等の回路素子を形成又は搭載した構成を有するものであってもよい。これによれば、規格化された汎用のICチップ26を本実施形態に適用した場合であっても、対向基板20側の回路素子によって信号や電圧特性の調整や制御を行うことができる。
【0087】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る発光装置の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態において、上述した第1の実施形態と同等の構成については、図1〜図4を適宜参照して、その説明を簡略化又は省略する。
【0088】
図7は、第2の実施形態に係る発光装置に適用される対向基板の概略構成図である。図7(a)は、本実施形態に係る発光装置を背面側(反視野側)から見た概略平面図であり、図7(b)は、本実施形態に係る発光装置の概略側面図であり、図7(c)は、本実施形態に係る発光装置に適用される対向基板の概略断面図(すなわち、図7(a)に示したVIIE−VIIE線に沿った断面を示す概略断面図)である。なお、本明細書においては図7中に示したローマ数字の「7」に対応する記号として便宜的に「VII」を用いる。
【0089】
上述した第1の実施形態においては、図1(a)、(b)に示したように、対向基板20の絶縁性基板21が画素アレイ基板10の絶縁性基板11よりも大きく、絶縁性基板21の右方の領域が絶縁性基板11の右方の端部よりも張り出した構成を示した。本実施形態においては、図7(a)、(b)に示すように、絶縁性基板21と絶縁性基板11の外形形状及び外形寸法が、同一又は略同一に設定され、かつ、絶縁性基板21と絶縁性基板11の四辺(すなわち全周の端部)が整合するように、接合された構成を有している。また、対向基板20側に設けられる外部回路接続パッド24が、絶縁性基板21の他面側の図面右辺の端部、又は、当該端部よりも基板内側(図面左方)に配列されている。すなわち、絶縁性基板21の一面側の三辺の周縁部に画素アレイ接続パッド22s、22a、22dが配列され、絶縁性基板21の他面側の一辺の周縁部又はその近傍に外部回路接続パッド24が配列されている。特に、外部回路接続パッド24が、画素アレイ接続パッド22s、22a、22dのうち最も絶縁性基板21の右辺に近接しているパッド(図7では画素アレイ接続パッド22a)と同じだけ内側に寄っているか或いは最も絶縁性基板21の右辺に近接しているパッドよりも内側に寄っていることが好ましい。
【0090】
このような構成を有することにより、画素アレイ基板10の絶縁性基板11、及び、対向基板20の絶縁性基板21のうち、表示領域12以外の領域の面積を最小限に抑えることができるので、表示パネルの額縁部分の寸法をさらに小さくすることができる。特に、本実施形態においては、表示パネルの四辺全ての額縁部分を小さくして、表示パネル(絶縁性基板11)の端部近傍にまで表示領域を形成することができるので、例えば、このような構造の複数の表示パネルを隣り合わせて2次元配列してより表示面積の大きいディスプレイを構成する場合等において、隣接する表示パネル相互の境界領域の額縁部分(すなわち、非表示部分)を極力目立たないようにすることができ、簡易かつ安価に、表示特性に優れた大画面の発光装置を実現することができる。
【0091】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る発光装置の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態において、上述した第1の実施形態と同等の構成については、図1〜図4を適宜参照して、その説明を簡略化又は省略する。
図8は、第3の実施形態に係る発光装置に適用される対向基板の概略構成図である。図8(a)は、本実施形態に係る発光装置を背面側(反視野側)から見た概略平面図であり、図8(b)は、本実施形態に係る発光装置に適用される対向基板の概略断面図(すなわち、図8(a)に示したVIIIF−VIIIF線に沿った断面を示す概略断面図)である。なお、本明細書においては図7中に示したローマ数字の「8」に対応する記号として便宜的に「VIII」を用いる。
【0092】
上述した第1の実施形態においては、図1(a)に示したように、対向基板20を構成する絶縁性基板21の他面側に、1個のICチップ26を搭載した構成を示した。本実施形態においては、図8(a)、(b)に示すように、絶縁性基板21の他面側に、複数のICチップ26、28が搭載されている。ここで、ICチップ26は、上述した第1の実施形態と同様に、画素アレイ基板10に配列された表示画素PIXを駆動制御するための各種のドライバ機能を有している。また、ICチップ28は、例えばメモリモジュールであって、ICチップ26により表示画素PIXを駆動制御する際に必要となる各種の制御データや、有機EL素子OELの輝度階調値を含む表示データを一時保存する。
【0093】
このような構成を有することにより、対向基板20を高機能化することができるので、発光装置の外部に設けられる制御回路やメモリ回路等を簡略化することができる。なお、本実施形態においては、ICチップ26がドライバ機能を有し、ICチップ28がメモリ機能を有する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、ICチップ26、28の双方が個別のドライバ機能を有し、例えばICチップ26が走査ドライバ及びデータドライバの機能を有し、ICチップ28が電源ドライバの機能を有するものであってもよいし、さらに他の形態を有するものであってもよい。また、対向基板20の絶縁性基板21を、第2の実施形態に示したように、画素アレイ基板10の絶縁性基板11と同一の外形形状及び外形寸法で形成し、四辺(全周の端部)が相互に整合するように接合した構成を有するものであってもよい。
【0094】
<第4の実施形態>
次に、本発明に係る発光装置の第4の実施形態について説明する。なお、本実施形態において、上述した第1の実施形態と同等の構成については、図1〜図4を適宜参照して、その説明を簡略化又は省略する。
図9は、第4の実施形態に係る発光装置を示す概略構成図である。図9(a)は、本実施形態に係る発光装置を背面側から見た概略平面図であり、図9(b)は、本実施形態に係る発光装置の概略側面図である。
【0095】
上述した第1乃至第3の実施形態においては、図1(a)、図7(a)、図8(a)に示したように、対向基板20を構成する絶縁性基板21における画素アレイ基板10の接合領域(すなわち、表示領域12を含む領域)に対応する領域の内部に、1又は複数のICチップ26、28を配置した構成を示した。本実施形態においては、図9(a)、(b)に示すように、対向基板20の絶縁性基板21における画素アレイ基板10の接合領域に対応する領域以外の領域に、ICチップ26が配置されている。すなわち、絶縁性基板21の一面側であって、画素アレイ基板10(絶縁性基板11)の接合領域の周縁部に配列された画素アレイ接続パッド22s、22a、22dと、絶縁性基板21の他面側であって、上記接合領域に対応する領域外に搭載されたICチップ26とが、上記接合領域に対応する領域内に配設された引き回し配線23s、23a、23dを介して接続されている。また、ICチップ26は、引き回し配線25を介して、絶縁性基板21の他面側であって、上記接合領域に対応する領域外の端部に配列された外部回路接続パッド24に接続されている。引き回し配線23s、23a、23dは、少なくとも表示領域12において、ITO等の透明導電膜で形成されており、表示領域12内で視認されないようになっている。
【0096】
このような構成を有することにより、画素アレイ基板10(絶縁性基板11)と対向基板20(絶縁性基板21)との接合領域に対応する領域にICチップ26が存在しない。すなわち、対向基板20(絶縁性基板21)において、画素アレイ基板10の表示領域12に対応する領域外にICチップ26が配置されているので、表示画素PIXの有機EL素子OELから放出された光が、対向基板20を構成する絶縁性基板21を介して出射されるトップエミッション型の発光構造を有する発光装置とすることができる。この場合には、図9(b)の図面上方側が視野側として設定される。
【0097】
<第5の実施形態>
次に、本発明に係る発光装置の第5の実施形態について説明する。なお、本実施形態において、上述した第1の実施形態と同等の構成については、図1〜図4を適宜参照して、その説明を簡略化又は省略する。
【0098】
図10は、第5の実施形態に係る発光装置を示す概略構成図である。図10(a)は、本実施形態に係る発光装置を背面側から見た概略平面図であり、図10(b)は、本実施形態に係る発光装置の概略側面図である。また、図11は、本実施形態に係る発光装置に適用される画素アレイ基板の一例を示す概略平面図である。ここで、図11は、本実施形態に係る発光装置に適用される画素アレイ基板を、対向基板との接合面側から見た(すなわち、図10(b)に示したXIG−XIG線に沿って矢視した)概略平面図である。なお、本明細書においては図10中に示したローマ数字の「11」に対応する記号として便宜的に「XI」を用いる。また、図12は、本実施形態に係る発光装置に適用される対向基板の一例を示す概略平面図である。ここで、図12は、本実施形態に係る発光装置に適用される対向基板を、画素アレイ基板との接合面側から見た(すなわち、図10(b)に示したXIIH−XIIH線に沿って矢視した)概略平面図である。なお、本明細書においては図10中に示したローマ数字の「12」に対応する記号として便宜的に「XII」を用いる。
【0099】
上述した第1乃至第4の実施形態においては、画素アレイ基板10に2次元配列される各表示画素PIXに画素駆動回路DCを設け、アクティブマトリクス型の駆動方式で画像表示を行う場合の発光装置の構成について説明した。本実施形態においては、パッシブマトリクス型の駆動方式で画像表示を行う場合に対応した発光装置の構成を有している。
【0100】
具体的には、図11に示すように、画素アレイ基板10の表示領域に2次元配列される複数の表示画素PIXに対応して、行方向(図面上下方向)に複数の走査ラインLsが配設され、列方向(図面左右方向)に複数のデータラインLdが配設されている。そして、例えば、走査ラインLsは、各表示画素PIXの有機EL素子のアノード電極となり、データラインLdは、有機EL素子のカソード電極となる。走査ラインLsとデータラインLdの各交点には、発光層となる有機EL層(図示を省略)が介在するように形成されている。
【0101】
走査ラインLsは、図11に示すように、例えば、表示領域12の図面左側の領域では、その一端側の端部が絶縁性基板11の図面上方の周縁部に延在するように配設され、表示領域12の図面右側の領域では、その一端側の端部が絶縁性基板11の図面下方の周縁部に延在するように配設されている。データラインLdは、図11に示すように、上述した各実施形態と同様に、例えば、その一端側の端部が絶縁性基板11の図面左方の周縁部に延在するように配設されている。これらの走査ラインLs及びデータラインLdは、図10〜図12に示すように、絶縁性基板11の周縁部に設けられるシール材BNDを介して、対向基板20の絶縁性基板21の一面側に設けられる各画素アレイ接続パッド22s、22dに電気的に接続される。対向基板20の絶縁性基板21の他面側には、図10(a)、図12に示すように、画素アレイ基板10の接合領域に対応する領域の内部にICチップ26が搭載されている。そして、上記画素アレイ接続パッド22s、22dは、各々、個別のスルーホール27及び引き回し配線23s、23dを介して、ICチップ26の接続端子(図示を省略)に接続されている。
【0102】
これにより、本実施形態においても、上述した第1乃至第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、パッシブマトリクス型の駆動方式に対応した発光装置の場合には、アクティブマトリクス型に比較して、表示領域12に配設する信号線の種類や数を少なくすることができる。したがって、対向基板20に配設される引き回し配線23s、23d、25の配線パターンや配線間ピッチ、配線構造等に対する自由度を向上することができるので、製造プロセスの簡素化や製造歩留まりの改善を図ることができる。
【0103】
なお、本実施形態においては、図11に示したように、表示領域12を左右の領域で分割して、絶縁性基板11の図面上方の周縁部に一端側の端部が延在する走査ラインLsのグループと、図面下方の周縁部に一端側の端部が延在する走査ラインLsのグループを設けた構成を示した。この場合、図面下方の周縁部のうち左方側の領域DLa、及び、図面上方の周縁部のうち右方の領域DLbには、配線層が形成されない。また、図12に示したように、これらの領域DLa、DLbに対向する対向基板20(絶縁性基板21)の周縁部にも画素アレイ接続パッド22sが形成されない領域DPa、DPbが発生する。このような画素アレイ基板10と対向基板20とを、シール材BNDを用いて接合した場合、走査ラインLsと画素アレイ接続パッド22sが導電フィラーCFLを介して接合された領域と、走査ラインLs及び画素アレイ接続パッド22sが形成されていない領域DLa、DLb及びDPa、DPbにおいて、基板相互の離間距離(基板間ギャップG)に差異や偏りが生じる可能性がある。そこで、例えば、画素アレイ基板10の絶縁性基板11において、走査ラインLsが形成されていない領域DLa、DLbに擬似的な(ダミーの)配線層を形成し、また、対向基板20の絶縁性基板21において、画素アレイ接続パッド22sが形成されていない領域DPa、DPbに擬似的な(ダミーの)接続パッドを形成するようにしてもよい。これにより、基板相互の離間距離(基板間ギャップ)を均一化することができるので、画素アレイ基板10と対向基板20とを均一に封着して、良好な封止状態を実現することができる。
【0104】
また、本実施形態においては、パッシブマトリクス型の駆動方式に対応した画素アレイ基板を、第1の実施形態に係る対向基板20に接合する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2乃至第4の実施形態に係る対向基板に接合するものであってもよい。
また、本実施形態における発光装置は表示パネルであったが、これに限らず、印刷装置の露光装置として適用してもよい。
【符号の説明】
【0105】
10 画素アレイ基板
11 絶縁性基板
12 表示領域
20 対向基板
21 絶縁性基板
22s、22a、22d 画素アレイ接続パッド
23s、23a、23d、25 引き回し配線
24 外部回路接続パッド
26、28 ICチップ
27 スルーホール
BND シール材
PIX 表示画素
Ls 走査ライン
La 電源電圧ライン
Ld データライン
DC 画素駆動回路
OEL 有機EL素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側に、複数の表示画素が配列された表示領域と、前記表示画素の各々に接続された複数の信号線の端部が露出する周縁部と、を有する第1の基板と、
一面側に、前記信号線の端部に対応するように配列された複数の接続パッドと、他面側に設けられ、前記信号線に前記表示画素を駆動させるための制御信号を供給する制御回路と、前記複数の接続パッドと前記制御回路とを個別に接続する複数の接続配線と、を有する第2の基板と、
前記第1の基板の前記一面側と、前記第2の基板の前記一面側とを接合するとともに、前記複数の信号線の端部と前記複数の接続パッドとを電気的に個別に接続する接合部材と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の基板と前記第2の基板との離間距離は、前記第2の基板における前記複数の接続パッド相互の離間距離よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1の基板と前記第2の基板との離間距離は、前記制御回路の高さより小さく設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の発光装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記第2の基板における、前記第1の基板が接合される領域に対応する領域の内側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1の基板と前記第2の基板は、同一の外形形状及び外形寸法を有し、かつ、前記第1の基板と前記第2の基板の全周の端部が相互に整合するように接合されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の信号線は、少なくとも、前記表示画素を選択状態に設定するための選択信号が印加される複数の走査ラインと、前記表示画素を所定の表示状態で駆動するための表示データが供給される複数のデータラインと、からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発光装置。
【請求項7】
前記第2の基板は、前記他面側に、前記第2の基板の外部と電気的に接続するための複数の外部接続パッドと、前記複数の外部接続パッドと前記制御回路とを個別に接続する複数の外部接続配線と、を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の発光装置。
【請求項8】
表示領域に複数の表示画素が配列され且つ該表示領域の外周に前記表示画素の各々に接続された複数の信号線の端部が露出する第1の基板に対向するための第2の基板の一面側に、前記複数の信号線の端部に対応するように配列された複数の接続パッドを形成する工程と、
前記第2の基板の前記一面側から他面側に貫通する複数のスルーホールを形成する工程と、
前記第2の基板の前記他面側に、前記複数のスルーホールを介して、一端側が前記複数の接続パッドの各々に接続された複数の接続配線を形成する工程と、
前記複数の接続配線の他端側に制御回路を接続する工程と、
接合部材を用いて、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するとともに、前記複数の信号線の端部と前記複数の接続パッドとを電気的に個別に接続する工程と、
を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の基板と前記第2の基板とを接合する際の、前記第1の基板と前記第2の基板の離間距離は、前記第2の基板における前記複数の接続パッド相互の離間距離よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項8記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1の基板と前記第2の基板との離間距離は、前記制御回路の高さより小さく設定されていることを特徴とする請求項8又は9記載の発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−232276(P2010−232276A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75999(P2009−75999)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】