説明

発光装置及びその駆動制御方法並びに電子機器

【課題】初期特性と同等の表示を行うことができる発光装置及びその駆動制御方法並びに電子機器を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置1は、表示パネル2と、セレクトドライバ3と、電源ドライバ4と、データドライバ5と、システムコントローラ6と、電流計7と、カソード回路8とを有し、表示パネル2は、表示画素20と画素駆動回路を有するダミー画素21とを備え、これらを制御して、ダミー画素21により画素駆動回路の電流経路の抵抗値を検出し、これに基づいて表示画素20の発光素子の特性変化量を検出し、特性変化量に基づいて表示パネル2の表示画素20を初期特性時の輝度と同等の輝度で発光させるように電圧データを補正することで、初期特性時と同等の表示がされるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその駆動制御方法並びに電子機器に関し、特に、画素に画像データに応じて発光する発光素子を備える発光装置及びその駆動制御方法、並びに、該発光装置を実装した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子、無機EL素子又はLED等の発光素子がマトリクス(行列)状に配列されて、各発光素子が発光することによって表示を行う発光素子型ディスプレイ(発光装置)が知られている。
【0003】
発光素子型ディスプレイは、高輝度、高コントラスト、高精細、低電力等の点で、優位性を有しており、特に、有機EL素子が注目されている。
【0004】
有機EL素子を画素に有する発光装置として、有機EL素子に印加する電圧を制御することにより、所望の発光輝度を得るようにした有機EL表示装置がある。
【0005】
ここで、有機EL素子は、経時劣化により高抵抗化するとともに発光効率が低下することが知られている。このため、同一の電圧を印加した場合には、有機EL素子を流れる電流が時間の経過と共に減少し、発光輝度が低下する。このため、有機EL表示装置を使い続けると、発光輝度が次第に低下して画像が徐々に暗くなり、表示品位が徐々に低下してしまう。
【0006】
この問題に関し、有機EL素子を流れる電流の変動を補償する補償回路が、特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−244654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の補償回路は、経時劣化が生じても初期特性での発光輝度が得られるようにするために、発光素子に定電流を流し、そのときの、発光素子の端子間電圧を検定し、検定電圧に基づいて、発光素子に印加する電圧を補正する。
特許文献1に記載の手法は、高い効果はあるもの、データラインに定電流を流す必要があり、回路構成及び制御が複雑である。また、検定された端子間電圧に基づいて、印加電圧を補正しても、所望の電流が画素に流れるとは限らない。
また、表示装置の画素を構成するトランジスタも、経時劣化により特性が変化することがあるため、所望の電流を画素に流して初期特性の輝度により近い表示をする表示装置を実現するためには、画素を構成するトランジスタの特性も計測して、それに基づく補正を行う必要があるが、特許文献1に記載の手法ではこれについては全く考慮されていなかった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、初期特性と同等の表示を行うことができる発光装置及びその駆動制御方法、並びに、該発光装置を実装した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点に係る発光装置は、
少なくとも一つの第1の選択ラインと、
少なくとも一つの第2の選択ラインと、
少なくとも一つのデータラインと、
前記第1の選択ライン及び前記データラインに接続される画素駆動回路と、一端側が前記画素駆動回路に接続される発光素子と、を備える少なくとも一つの発光画素と、
前記第2の選択ライン及び前記データラインに接続される、前記画素駆動回路を備える、少なくとも一つのダミー画素と、
前記第1の選択ライン及び前記第2の選択ラインに、前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とする走査信号を印加するセレクトドライバと、
前記データラインに、選定された電圧値の電圧を印加するデータドライバと、
前記発光画素の前記画素駆動回路及び前記ダミー画素の前記画素駆動回路の電源端子に駆動電圧を供給する電源ドライバと、
前記発光素子の他端側及び前記ダミー画素の前記画素駆動回路に一端が接続される電流計と、
前記電流計の他端の電位を設定する電位設定回路と、
を備え、
前記電源ドライバ及び前記電位設定回路により前記駆動電圧の電位と前記電流計の他端の電位とを設定して、前記駆動電圧と前記電流計の他端との電位差が、前記画素駆動回路の前記電源端子と前記発光素子の前記他端との間に電流が流れない値に設定され、前記ダミー画素が前記選択状態とされたとき、前記電流計は、前記データドライバから、前記データラインと、前記ダミー画素の前記画素駆動回路と、を介して流れる第1の電流の電流値を測定し、
前記電源ドライバ及び前記電位設定回路により前記駆動電圧と前記電流計の他端との電位差が、前記画素駆動回路の前記電源端子と前記発光素子の前記他端との間に電流が流れない値に設定され、前記表示画素が前記選択状態とされたとき、前記電流計は、前記データドライバから、前記データラインと、前記選択状態とされた前記発光画素の前記画素駆動回路と、前記発光素子と、を介して流れる第2の電流の電流値を測定することを特徴とする。
【0011】
前記第1の電流の電流値に基づいて、前記画素駆動回路の前記第1の電流が流れる経路の抵抗成分の抵抗値を取得し、
前記第2の電流の電流値と前記抵抗値とに基づいて、前記第2の電流の電流値を測定したときの、前記発光素子に印加されている印加電圧の電圧値を取得し、
前記印加電圧の電圧値と前記第2の電流の電流値とに基づいて前記発光素子の発光輝度の該発光素子が初期特性を有しているときの初期の発光輝度に対する比率を示す、発光効率を取得する発光効率取得部を備えてもよい。
【0012】
前記データドライバは、
前記発光効率取得部と、
前記発光効率取得部が取得した前記発光効率に基づいて、外部から供給される画像データに応じた電圧データを補正した補正電圧データを生成する補正演算部と、
を備えてもよい。
【0013】
前記発光画素を複数有し、
前記電位設定回路は、前記発光効率の取得を行う際に前記電流計の他端を第1の電位に設定し、
前記データドライバは、
前記発光効率の取得を行う際に、前記複数の画素における前記発光効率を取得する前記画素に接続される前記データラインに、前記第1の電位に対して、前記発光素子に対して順方向バイアスとなる所定の電位差を有する第1の電圧を印加し、前記発光効率を取得しない前記画素に接続される前記データラインに、前記第1の電位と同電位の第2の電圧を印加し、
前記抵抗値を取得する際に、前記ダミー画素に接続される前記データラインに前記第1の電圧を印加してもよい。
【0014】
前記複数の発光画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配設され、前記選択ラインは前記複数の行に沿って複数配設され、前記データラインは前記複数の列に沿って複数配設され、
前記セレクトドライバは、前記発光効率の取得を行う際に、前記複数の選択ラインのうちの一つの特定の選択ラインに接続された前記画素のみを前記選択状態とし、
前記データドライバは、前記発光効率の取得を行う際に、前記複数のデータラインのうちの一つの特定のデータラインに前記第1の電圧を印加し、前記特定のデータラインを除く他の前記データラインに前記第2の電圧を印加し、
前記発光効率の取得は、前記複数の画素のうちの一つの画素に対して行われてもよい。
【0015】
前記複数の発光画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配設され、前記選択ラインは前記複数の行に沿って複数配設され、前記データラインは前記複数の列に沿って複数配設され、
前記ダミー画素を複数有し、前記各ダミー画素は、前記行方向に沿って配設されて前記各データラインに接続され、
前記抵抗値の取得は、前記複数のダミー画素に電流を同時に流し、前記電流計は、前記複数のダミー画素の各々に流れる電流の総計となる総電流を測定し、前記総電流の電流値の一つの前記ダミー画素当たりの平均値を前記第1の電流の電流値として取得し、取得した前記平均値に基づいて前記抵抗値を取得してもよい。
【0016】
前記画素駆動回路は、一端に前記駆動電圧が印加され、他端が前記発光素子の前記一端側に接続される第1の電流路と、前記選択ラインに接続される第1の制御端子と、を有する第1のトランジスタと、一端が前記データラインに接続され、他端が前記第1のトランジスタの前記第1の電流路の他端に接続される第2の電流路と、前記選択ラインに接続される第2の制御端子と、を有する第2のトランジスタと、を有し、
前記ダミー画素においては、前記データドライバより前記データラインに前記第1の電圧が印加されたとき、前記データドライバから、前記データラインと、前記選択状態とされた前記画素の前記画素駆動回路の前記第2のトランジスタの前記第2の電流路と、を介して前記電流計に前記第1の電流が流れ、
前記発光画素においては、前記データドライバより前記データラインに前記第1の電圧が印加されたとき、前記データドライバから、前記データラインと、前記選択状態とされた前記画素の前記画素駆動回路の前記第2のトランジスタの前記第2の電流路と、前記発光素子と、を介して前記電流計に前記第2の電流が流れてもよい。
【0017】
本発明の第2の観点に係る発光装置の駆動制御方法は、
少なくとも一つの第1の選択ラインと、少なくとも一つの第2の選択ラインと、少なくとも一つのデータラインと、前記第1の選択ライン及び前記データラインに接続される画素駆動回路と、一端側が前記画素駆動回路に接続される発光素子と、を備える少なくとも一つの発光画素と、前記第2の選択ライン及び前記データラインに接続される、前記画素駆動回路を備える、少なくとも一つのダミー画素と、前記第1の選択ライン及び前記第2の選択ラインに、前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とする走査信号を印加するセレクトドライバと、前記データラインに、選定された電圧値の電圧を印加するデータドライバと、前記発光画素の前記画素駆動回路及び前記ダミー画素の前記画素駆動回路の電源端子に駆動電圧を供給する電源ドライバと、前記発光素子の他端側及び前記ダミー画素の前記画素駆動回路に一端が接続される電流計と、を備える前記発光装置を準備するステップと、
前記電源ドライバから供給する前記駆動電圧の電位と前記電流計の他端の電位とを設定して、前記駆動電圧と前記電流計の他端との電位差を、前記画素駆動回路の前記電源端子と前記発光素子の前記他端との間に電流が流れない値に設定する電位設定ステップと、
前記セレクトドライバにより前記ダミー画素を前記選択状態とするダミー画素選択ステップと、
前記電位設定ステップにより前記駆動電圧と前記電流計の他端との電位を設定した状態で、前記データドライバから、前記データラインと、前記ダミー画素選択ステップにより前記選択状態とされた前記ダミー画素の前記画素駆動回路と、を介して流れる第1の電流の電流値を前記電流計により測定する第1電流測定ステップと、
前記セレクトドライバにより前記発光画素を前記選択状態とする発光画素選択ステップと、
前記電位設定ステップにより前記駆動電圧と前記電流計の他端とを第1の電位に設定した状態で、前記データドライバから、前記データラインと、前記発光画素選択ステップにより前記選択状態とされた前記発光画素の前記画素駆動回路と、前記発光素子と、を介して流れる第2の電流の電流値を前記電流計により測定する第2電流測定ステップと、
を含んでもよい。
【0018】
前記第1電流測定ステップは、前記第1の電流の電流値に基づいて、前記画素駆動回路の前記第1の電流が流れる経路の抵抗成分の抵抗値を取得する抵抗値取得ステップを含み、
前記第2電流測定ステップは、前記第2の電流の電流値と前記抵抗値とに基づいて、前記第2の電流の電流値を測定したときの、前記発光素子に印加されている印加電圧の電圧値を取得する印加電圧取得ステップと、前記印加電圧の電圧値と前記第2の電流の電流値とに基づいて前記発光素子の発光輝度の該発光素子が初期特性を有しているときの初期の発光輝度に対する比率を示す、発光効率を取得する発光効率取得ステップと、を含んでもよい。
【0019】
前記発光装置は前記画素を複数有し、
前記電位設定ステップは、前記電流計の他端を第1の電位に設定し、
前記発光効率取得ステップは、前記複数の画素における前記発光効率を取得する前記画素に接続される前記データラインに、前記第1の電位に対して、前記発光素子に対して順方向バイアスとなる所定の電位差を有する第1の電圧を印加し、前記発光効率を取得しない前記画素に接続される前記データラインに前記第1の電位と同電位の第2の電圧を印加する第1電圧印加ステップを含み、
前記抵抗値取得ステップは、前記ダミー画素に接続される前記データラインに前記第1の電圧を印加する第2電圧印加ステップを含んでもよい。
【0020】
前記発光装置において、前記複数の画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配設され、前記選択ラインは前記複数の行に沿って複数配設され、前記データラインは前記複数の列に沿って複数配設されており、
前記発光画素選択ステップは、前記発光効率取得ステップを実行する際に、前記複数の選択ラインのうちの一つの特定の選択ラインに接続された前記発光画素のみを前記選択状態とし、
前記第1電圧印加ステップは、前記発光効率取得ステップを実行する際に、前記データドライバより、前記複数のデータラインのうちの一つの特定のデータラインに前記第1の電圧を印加し、前記特定のデータラインを除く他の前記データラインに前記第2の電圧を印加し、
前記発光効率取得ステップにおける前記発光効率の取得は、前記複数の画素のうちの一つの画素に対して行われてもよい。
【0021】
前記発光装置は前記ダミー画素を複数有し、前記複数の画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配設され、前記選択ラインは前記複数の行に沿って複数配設され、前記データラインは前記複数の列に沿って複数配設されており、前記複数の発光画素は複数の行と複数の列に沿って配列され、前記各ダミー画素は前記行方向に沿って配列され、
前記抵抗値取得ステップは、前記複数のダミー画素に電流を同時に流し、前記電流計により、前記複数のダミー画素の各々に流れる電流の総計となる総電流を測定する総電流測定ステップと、前記総電流の電流値の一つの前記ダミー画素当たりの平均値を前記第1の電流の電流値として取得する平均値取得ステップと、前記平均値に基づいて前記抵抗値を取得する平均抵抗値取得ステップと、を含んでもよい。
【0022】
本発明の第3の観点に係る電子機器は、
前記発光装置のいずれかが実装されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、初期特性と同等の表示を行うことができる発光装置及びその駆動制御方法並びに電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の有機EL表示装置の構成の一例を示す図である。
【図2】セレクトラインに順次出力される走査信号と電源ラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図3】本発明のデータドライバの構成の一例を示す図である。
【図4】(a)は、検出電流の変化率−発光効率の関係の一例を示す図であり、(b)は、検出電流の変化率−発光効率の関係の一例を示す表であり、(c)は、有機EL素子の電圧−電流の関係の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態におけるトランジスタ抵抗工程取得動作の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態の発光効率取得動作における走査信号とデータラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態における発光効率取得動作の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態における発光効率取得動作の一例を示す図である。
【図9】(a)は、本発明の表示動作時における画素駆動回路の各部の電圧または電流の一例を示す図であり、(b)は、本発明の発光効率抽出動作時における画素駆動回路の各部の電圧または電流の一例を示す図であり、(c)は、本発明の画素駆動回路を駆動させるための電源構成の一例を示す図である。
【図10】(a)は、本発明に係る有機EL表示装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す正面斜視図であり、(b)は、本発明に係る有機EL表示装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す背面斜視図である。
【図11】本発明に係る有機EL表示装置を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る有機EL表示装置を適用した携帯電話機の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置(発光装置)1について説明する。有機EL表示装置1は、図1に示すように、表示パネル2と、セレクトドライバ3と、電源ドライバ4と、データドライバ5と、システムコントローラ6と、電流計7と、カソード回路8とを有している。
【0026】
表示パネル2は、n−1行m列のマトリクス状に配置された表示画素(発光画素)20(1,1)〜20(n−1,m)と、n行目に配置された1行m列のダミー画素21(21(n,1)〜21(n,m)と、行方向(図1の左右方向)に延び、列方向に配列されている複数のセレクトライン(選択ライン)Ls1〜Lsnおよび電源ラインLv1〜Lvnと、列方向(図1の上下方向)に延び、行方向に配列されている複数のデータラインLd1〜Ldmとを有している。
【0027】
表示画素20(i,j)(i=1〜n−1,j=1〜m)およびダミー画素21(i,j)(i=n,j=1〜m)は、セレクトラインLsiとデータラインLdjの交点の近傍に配置され、同一行のセレクトラインLsiと電源ラインLviと同一列のデータラインLdjに接続されている。表示画素20(i,j)(i=1〜n−1,j=1〜m)はセレクトラインLs1〜Lsn−1に接続され、ダミー画素21(i,j)(i=n,j=1〜m)はセレクトラインLsnに接続されている。ここで、セレクトラインLs1〜Lsn−1は、本発明の第1の選択ラインに対応し、セレクトラインLsnは、本発明の第2の選択ラインに対応する。
なお、本実施形態において、ダミー画素21は一つのセレクトラインLsnに接続されて設けられているものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、複数のセレクトラインに接続されるように設けられているものであってもよい。
【0028】
表示画素20(i,j)は、画素駆動回路20Dと有機EL素子OELとから構成されている。
【0029】
表示画素20(i,j)の画素駆動回路20Dは、トランジスタT21〜T23とコンデンサC1とを含む。
【0030】
トランジスタT21〜T23は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンを用いたnチャネル型TFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)である。
【0031】
トランジスタT21は、ゲートがセレクトラインLsiに接続され、ドレインがノードN22に接続され、ソースが電源ラインLviと発光駆動トランジスタT23のソースに接続されている。
トランジスタT22は、ゲートがセレクトラインLsiに接続され、ソースがデータラインLdjに接続され、ドレインがノードN21に接続されている。
トランジスタT23は、ゲートがノードN22に接続され、ドレインがノードN21に接続され、ソースが電源ラインLvjと第1入力トランジスタT21のソースに接続されている。ここで、電源ラインLvjに接続されるトランジスタT21のソース及びトランジスタT23ソースは、本発明の電源端子に対応する。
【0032】
また、コンデンサC1は、ノードN22とノードN21の間、すなわち、トランジスタT23のゲートとドレインの間に接続されている。
【0033】
有機EL素子OELは、アノード電極と、カソード電極と、これらの電極間に形成された電子注入層、発光層、正孔注入層、等を備える。有機EL素子OELのアノード電極は、ノードN21に接続され、カソード電極は、全ての画素に共通の電流計7の一端に接続されている。
【0034】
ダミー画素21は、画素駆動回路20Dのみから構成されており、発光画素20に対して有機EL素子OELがない構造となっている。すなわち、トランジスタT21〜T23とコンデンサC1のみから構成されている。
なお、表示画素20では、トランジスタT22のドレインおよびトランジスタT23のドレインが接続されているノードN21は有機EL素子OELのアノード電極に接続されているが、ダミー画素21では、トランジスタT22のドレインおよびトランジスタT23のドレインが接続されているノードN21は電流計7の一端に接続されている。
【0035】
セレクトドライバ3は、表示画素20またはダミー画素21の行(以下、画素行とする)を選択して、表示画素20、ダミー画素21を選択状態とするための回路であり、表示動作時(発光動作時)および後述する発光効率取得動作時に、図2(A)〜図2(D)に示すように、セレクトラインLs1〜Lsnに、対応する画素行の選択期間tsの間には、高電位のハイレベル電圧Vhigh(選択レベル)となり、それ以外の期間(非選択期間:発光期間)には低電位のロウレベル電圧Vlow(非選択レベル)となる走査信号を順次出力し、後述するトランジスタ抵抗取得動作時に、セレクトラインLsnに、高電位のハイレベル電圧Vhigh(選択レベル)となる走査信号を出力する。
【0036】
図1に示す電源ドライバ4は、表示動作時(発光動作時)には、図2(E)〜(H)に示すように、各選択期間tsにおいて、選択レベルの走査信号が印加されたセレクトラインLs1〜Lsnに対応する画素行に接続された電源ラインLv1〜Lvnに基準電圧Vss(例えば、接地電位GND=0V)を順次出力し、それ以外の期間、基準電圧Vssより高いレベルの電源電圧Vccを出力する。
【0037】
また、電源ドライバ4は、後述するトランジスタ抵抗取得動作時および発光効率取得動作時には、全ての電源ラインLv1〜Lvnに共通電圧Vcom(例えば、−10V)を印加する機能を備える。
【0038】
図1に示すデータドライバ5は、表示動作時に、デ−タラインLd1〜Ldmに、表示画像の各画素の表示階調に対応するアナログ表示信号を印加する。
【0039】
一方、データドライバ5は、後述する発光効率取得動作時およびトランジスタ抵抗取得動作時には、データラインLd1〜Ldmに設定電圧Vd(例えば、−3V)又は、共通電圧Vcom(例えば、−10V)の何れかの電圧を印加する。
【0040】
具体的に説明すると、データドライバ5は、図3に示すように、シフトレジスタ回路50と、データレジスタ回路51と、データラッチ回路52と、補正演算部53と、デジタル電圧/アナログ電圧変換回路(DAC)54と、出力回路55と、アナログ電圧/デジタル電圧変換回路(ADC)56と、発光効率取得部57と、メモリ58とを有している。
【0041】
シフトレジスタ回路50は、表示動作時には、サンプリングスタート信号STRをシフトクロック信号CLKに基づいて順次シフトして、シフト信号をデータレジスタ回路51に供給する。
【0042】
データレジスタ回路51は、シフトレジスタ回路50から供給されるシフト信号に応じたタイミングで、各画素の表示階調を指示する画像データD1〜Dmを順次取り込む。なお、画像データは8ビットのデジタル信号であるとする。この場合、有機EL素子OELの発光の階調は256階調である。
【0043】
データラッチ回路52は、データラッチ信号STBが供給されると、データレジスタ回路51に取り込まれている1画素行分の画像データD1〜Dmをラッチして、保持する。
【0044】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データに応じた発光輝度を得るためにデ−タラインLd1〜Ldmに印加すべき電圧値を示す電圧データに変換する。そして、補正演算部53は、現状の劣化した有機EL素子OELが、所望の輝度で発光できるように、メモリ58に格納されている発光効率ηとトランジスタT22のソース−ドレイン間の抵抗Rとを用いて電圧デ−タを補正して、補正電圧データを生成する。補正の内容については、後述する。
【0045】
DAC54は、補正演算部53が算出した電圧デ−タをアナログ電圧に変換する。
【0046】
出力回路55は、表示動作時には、DAC54から供給されたアナログ電圧を各データラインLd1〜Ldmに出力する。
【0047】
一方、出力回路55は、後述するトランジスタ抵抗取得動作時および発光効率取得動作時には、第1行のデータラインLd1〜Ldmに設定電圧Vd(例えば、−3V)又は共通電圧Vcom(例えば、−10V)の何れかの電圧を印加する。
【0048】
ADC56は、後述する発光効率取得動作時には、有機EL素子OELに所定の電圧が印加されたときに、電流計7が測定した電流をデジタル信号に変換して発光効率取得部57に供給し、後述するトランジスタ抵抗取得動作時には、ダミー画素21(n,1)〜21(n,m)に所定の電圧が印加されたときに、電流計7が測定した電流をデジタル信号に変換して発光効率取得部57に供給する。
【0049】
発光効率取得部57は、抵抗値テーブルと電圧値テーブルと発光効率テーブルとをルックアップテーブルとして有している。
抵抗値テーブルは、ダミー画素21のトランジスタT22のソース・ドレイン間に所定の測定電圧Vm(例えば7V)を印加したときに流れる測定電流Imと、トランジスタT22のソース−ドレイン間(抵抗成分)の抵抗値RT(すなわち、測定電圧Vm/Imを計算した値)の値との対応関係を記憶している。
電圧値テーブルは、抵抗値RTの値をパラメータとした、有機EL素子OELとトランジスタT22との直列回路に測定電圧Vmを印加したときに流れる検出電流Idと、有機EL素子OELに印加される印加電圧Vel(すなわち、測定電圧Vm−(トランジスタT22のソース−ドレイン間の電圧降下VT=RT×Id)を計算した値)の電圧値との対応関係を記憶している。
発光効率テーブルは、例えば図4(b)に示すような、有機EL素子OELに電圧VFが印加されたときに有機EL素子OELに流れる検出電流Idの電流値の変化率と発光効率ηとの関係を記憶している。検出電流Idの電流値の変化率は、図4(c)に示すような、初期状態の有機EL素子OELに電圧VFを印加したときに流れる電流を初期電流IFとしたときの、検出電流Idの初期電流IFに対する電流値の比率であって、検出電流Id/初期電流IFの計算値である。また、発光効率ηは、有機EL素子OELに一定の電流を流したときの有機EL素子OELの発光輝度の、初期状態の有機EL素子OELの発光輝度を1としたときの相対値であり、発光効率ηは上記の有機EL素子OELの高抵抗化による検出電流Idの電流値の減少に伴って、図4(a)に示すように低下する。したがって、初期状態と同等の発光輝度を得るためには、有機EL素子OELに流す電流の電流値を1/η倍に増加させる必要がある。そして、発光効率取得部57は、これらを参照して、トランジスタT22のソース−ドレイン間の抵抗RTや、発光効率η(1,1)〜η(n−1,m)を取得する。
【0050】
ここで、初期電流IFは、例えば、表示パネル2の製造後の工場出荷時に、有機EL素子OELに電圧を印加したときの有機EL素子OELに流れる電流の電流値を、印加する電圧を変えて測定して、図4(c)の初期特性に示すような特性曲線を記憶させておくものであってもよいし、表示パネル2の設計値に基づいて予め設定された、有機EL素子OELの印加電圧と有機EL素子OELに流れる電流との関係を記憶させておくものであってもよい。
【0051】
メモリ58は、トランジスタT22のソース−ドレイン間における抵抗Rや、発光効率取得部57が取得した発光効率η(1,1)〜η(n−1,m)やそれらの関係を記憶している。
【0052】
システムコントローラ6は、セレクトドライバ3,電源ドライバ4,データドライバ5,カソード回路8に制御信号を供給して、有機EL表示装置1全体の動作を制御する。
システムコントローラ6が実行する制御内容の詳細は後述する。
【0053】
電流計7は、一端(電流流入端)が、表示画素20(20(1,1)〜20(n−1,m))の有機EL素子OELのカソード電極とダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT22のドレインとに接続されたカソードラインLcに接続され、全画素に流れる電流を測定する。
【0054】
カソード回路8は、電流計7の他端(電流流出端)に接続され、スイッチ131を備え、スイッチ131の切り替えに従って、電流計7の他端に基準電圧Vss(例えば、接地電位GND=0V)又は共通電圧Vcom(例えば、−10V)を印加する。
【0055】
次に、上記構成を有する有機EL表示装置1の動作について説明する。
【0056】
この表示装置の動作は、トランジスタT22のソース−ドレイン間の電圧降下を求めるトランジスタ抵抗取得動作と、発光効率ηを求める発光効率取得動作と、求めた発光効率ηとトランジスタT22のソース−ドレイン間の電圧降下を用いて画像を表示する表示動作とを含み、例えば、電源立ち上げ時等の所定のタイミングで実行される。
【0057】
システムコントローラ6は、例えば、電源立ち上げ時のイニシャライズ処理等終了後、トランジスタ抵抗取得工程の動作を実行する。トランジスタ抵抗取得工程について図5を参照して説明する。
【0058】
トランジスタ抵抗取得工程は、現状の、画素駆動回路20DのトランジスタT22のソース−ドレイン間の電圧降下を求めるため、トランジスタT22のソース−ドレイン間の抵抗を取得するものである。画素駆動回路20DのトランジスタT22は、使用により経時劣化してソース−ドレイン間の電圧降下が変化することがあるため、画素駆動回路20DのトランジスタT22のソース−ドレイン間の電圧降下を正確に把握したうえで補正後の電圧データを求め、これにより表示動作をすることで、現状の劣化した有機EL素子OELを初期の輝度で発光させる必要がある。トランジスタ抵抗取得工程においては、ダミー画素21(n,1)〜(n,m)を駆動して、現状の、画素駆動回路20DのトランジスタT22のソース−ドレイン間の抵抗Rを求める。
【0059】
まず、システムコントローラ6は、セレクトドライバ3と、電源ドライバ4と、データドライバ5とカソード回路8とにトランジスタ抵抗取得工程を指示する。
【0060】
この制御に従って、セレクトドライバ3は、ダミー画素21(n,1)〜21(n,m)を選択するために、セレクトラインLsnに高電位のハイレベル電圧Vhighを印加し、他のセレクトラインLs1〜Lsn−1に低電位のロウレベル電圧Vlowを印加する。
【0061】
電源ドライバ4は、全ての電源ラインLv1〜Lvnに共通電圧Vcom(例えば、−10V)を印加する。
【0062】
データドライバ5は、全てのデータラインLd1〜Ldmに同一電位の設定電圧Vd(例えば、−3V)を印加する。
【0063】
カソード回路8は、スイッチ131を操作して、電流計7の他端に、共通電圧Vcom(例えば、−10V)を印加する。
【0064】
すると、第n行のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT22がオンし、データラインLd1〜Ldnに−3Vが印加され、カソード回路8に−10Vが印加されていることから、トランジスタT22のソース−ドレイン間に測定電圧Vmとして7Vの電圧が印加されて、電流が流れる。
【0065】
これに対して、第1行〜第n−1行の表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)に関しては、トランジスタT21,T22、T23が全てオフとなる。このため、第1行〜第n−1行の表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)に電流は流れない。
各ダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT21はオンするが、トランジスタT23は、ソースと電流計7の他端とが共に共通電圧Vcom(−10V)で同電位であるため、トランジスタT23のソース−ドレイン間には電流は流れない。
【0066】
すなわち、電流計7を流れる電流は、第n行のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT22のソース−ドレイン間に流れる電流だけである。なお、電源ラインLv1〜Lvnと電流計7の他端とに共通電圧Vcomが印加されて同電位に設定されるとしたが、同電位であることに限るものではない。要するに、トランジスタT23から有機EL素子OELを介して電流が流れなければよいので、電源ラインLv1〜Lvnと電流計7の他端との間の電位差が少なくとも有機EL素子OELに電流が流れ始める閾値電圧より小さければよい。
【0067】
電流計7は、全てのデータラインに設定電圧Vd(−3V)を印加したときに、第n行のm個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)の各々に流れる電流の総和となる総測定電流Imaを測定する。そして、発光効率取得部57は、m個のダミー画素21(n,1)〜21(n,m)のトランジスタT22のソース−ドレイン間の各々に流れる電流の電流値の平均値として、総測定電流Imaの電流値の1/mを、測定電流Imとして取得する。
【0068】
電流計7により測定された総測定電流Imaの測定値は、ADC56に供給される。
【0069】
ADC56は、総測定電流Imaの測定値をデジタルデータに変換し、発光効率取得部57に供給する。
【0070】
発光効率取得部57は、総測定電流Imaの電流値の1/mを、1個のダミー画素21に対する測定電流Imとして取得し、抵抗値テーブルを参照して、1個のダミー画素21のトランジスタT22のソース−ドレイン間における抵抗値RTを求める。
【0071】
すなわち、トランジスタT22のソース−ドレイン間における抵抗値RTは、トランジスタT22のソース−ドレイン間に印加される測定電圧をVmとすると、Vm/Imである。
【0072】
具体的には、データドライバ5に−3V、カソード回路8に−10Vが印加されている場合、トランジスタT22のソース−ドレイン間に印加される測定電圧Vmは7Vなので、トランジスタT22のソース−ドレイン間における抵抗値RTは、7/Imである。抵抗値テーブルには、この測定電流Imの電流値に対応する抵抗値RTの値が記憶されており、測定電流Imの電流値で抵抗値テーブルを引いて、抵抗値RTの値を取得する。
【0073】
取得された抵抗値RTは、メモリ58に格納され、トランジスタ抵抗取得工程を終了する。
【0074】
トランジスタ抵抗取得工程を終了すると、次に、発光効率取得工程を実行する。
この発光効率取得動工程は、有機EL素子OELの経時劣化による表示の劣化を補償するために使用される発光効率ηを求める動作である。発光効率取得工程について図6及び図7を参照して説明する。
【0075】
システムコントローラ6は、セレクトドライバ3と、電源ドライバ4と、データドライバ5とカソード回路8とに制御信号を供給し、発光効率取得動作の開始を指示する。
【0076】
この制御に従って、セレクトドライバ3は、図2(A)〜図2(D)と同様に、図6(A)〜図6(D)に示すように、セレクトラインLs1〜Lsnに、測定期間tmの間には高電位のハイレベル電圧Vhigh(選択レベル)となり、それ以外の期間には低電位のロウレベル電圧Vlow(非選択レベル)となる走査信号を順次出力する。ここで、測定期間tmは、1行分のm個の表示画素20(1,1)〜20(1,m)に対する、後述する電流計7による検出電流(検出電流)Idの測定に要する時間に設定される。
【0077】
また、電源ドライバ4は、トランジスタ抵抗取得工程時と同様に、全ての電源ラインLv1〜Lvnに共通圧Vcom(−10V)を印加する。
【0078】
データドライバ5は、図6(E)〜図6(H)に示すように、測定期間tmの間に、データラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間tdの間には、設定電圧Vd(−3V)となり、それ以外の、間隔期間tpを除く期間には共通電圧Vcom(−10V)となり、間隔期間tpには例えば基準電圧Vssとなる電圧を順次出力する。ここで、電圧印加期間tdは、1個の画素21に対する電流計7による検出電流(検出電流)Id(1,1)の測定に必要な時間に設定される。なお、間隔期間tpを有さない構成としてもよい。
【0079】
カソード回路8は、トランジスタ抵抗取得工程時と同様に、電流計7の他端に、共通電圧Vcom(−10V)を印加する。
【0080】
ここで、本実施形態における、表示画素20(1,1)の有機EL素子OELの発光効率η(1,1)を取得する発光効率取得動作について、図6及び図7を参照して説明する。図7は、第1行第1列の表示画素20(1,1)について検出電流Idを測定するときの状態を示したものである。このとき、セレクトドライバ3は、第1行のセレクトラインLs1にハイレベル電圧Vhighを印加し、他のセレクトラインLs2〜Lsnにロウレベル電圧Vlowを印加する。そして、データドライバ5は、第1列のデータラインLd1に設定電圧Vdとして例えば−3Vを印加し、他のデータラインLd2〜Ldmに共通電圧Vcomとして例えば−10Vを印加する。これにより、図7に示すように、第1行第1列の表示画素20(1,1)のトランジスタT22がオンし、第1列のデータラインLd1に−3Vが印加され、カソード回路8に−10Vが印加されるため、有機EL素子OELのアノード・カソード間に、測定電圧Vmとして、ほぼ7Vの電圧が印加され、トランジスタT22と有機EL素子OELの直列回路に検出電流Id(1,1)が流れる。
【0081】
一方、第1行の第2列から第m列の画素21については、トランジスタT22はオンするが、データ電圧が共通電圧Vcom(−10V)で、カソード回路8において電流計7の他端に印加されている共通電圧Vcomと同電位のため、電流は流れない。なお、データ電圧と電流計7の他端とが共通電圧Vcomに設定されて、同電位に設定されるとしたが、同電位であることに限るものではない。要するに、トランジスタT22から有機EL素子OELを介して電流が流れなければよいので、データ電圧と電流計7の他端との間の電位差が少なくとも有機EL素子OELに電流が流れ始める閾値電圧より小さければよい。
【0082】
また、各画素のトランジスタT21はオンするが、トランジスタT23は、ソースと電流計7の他端とが共に共通電圧Vcom(−10V)で同電位であるため、電流は流れない。なお、電源ラインLv1〜Lvnと電流計7の他端とに共通電圧Vcomが印加されて同電位に設定されるとしたが、同電位であることに限るものではない。要するに、トランジスタT23から有機EL素子OELを介して電流が流れなければよいので、電源ラインLv1〜Lvnと電流計7の他端との間の電位差が少なくとも有機EL素子OELに電流が流れ始める閾値電圧より小さければよい。
【0083】
さらに、第2行〜第n行の全画素に関しては、トランジスタT21,T22、T23が全てオフとなる。このため、有機EL素子OELに電流は流れない。
【0084】
すなわち、電流計7を流れる検出電流Id(1,1)は、第1行第1列の表示画素20(1,1)のトランジスタT22と有機EL素子OELの直列回路に流れる電流だけである。
【0085】
この検出電流Id(1,1)は電流計7により測定され、測定値がADC56に供給される。
【0086】
ADC56は、検出電流Id(1,1)をデジタルデータに変換し、発光効率取得部57に供給する。
【0087】
発光効率取得部57は、トランジスタ抵抗取得工程により取得された抵抗値RTおよび検出電流Id(1,1)から、電圧値テーブルを参照して、有機EL素子OELに印加されている印加電圧Velを取得する。
【0088】
すなわち、有機EL素子OELに印加されている電圧Velは以下の式となる。
Vel=Vm−RT×Id(1,1)
【0089】
電圧値テーブルには、抵抗値RTの値に対する検出電流Id(1,1)の電流値と印加電圧Velの電圧値との対応関係が記憶されており、検出電流Idの電流値と抵抗値RTの値から電圧値テーブルを引いて、印加電圧Velの電圧値を取得する。
【0090】
次いで、印加電圧Velに対する検出電流Id(1,1)と初期電流IFとから、検出電流Id(1,1)の初期電流IFに対する変化率(Id(1,1)/IF)を算出する。
そして、検出電流Id(1,1)の初期電流IFに対する変化率の値から発光効率テーブルを引いて、発光効率η(1,1)の値を取得する。
【0091】
取得された表示画素20(1,1)の有機EL素子OELの発光効率η(1,1)は、当該表示画素20(1,1)に対応してメモリ58に格納される。
【0092】
本実施形態の有機EL表示装置1は、1つの表示画素20(1,1)に対する以上の動作を表示パネル2の全ての表示画素20(i,j)(i=1〜n−1,j=1〜m)に対して実行して、全ての表示画素20(1,1)〜21(n−1,m)の有機EL素子OELについて発光効率η(1,1)〜η(n−1,m)を取得し、表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)に対応して発光効率η(1,1)〜η(n−1,m)がメモリ58に格納される。
【0093】
すなわち、まず、図6(A)に示すように、セレクトドライバ3が、第1行のセレクトラインLs1に高電圧Vhighを印加し、他のセレクトラインLs2〜Lsnに低電圧Vlowを印加した状態で、図6(E)〜図6(H)に示すように、データラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間td毎に、設定電圧Vd(−3V)を順次印加する。これにより、上記一つの表示画素20に対する発光効率取得動作と同様にして、第1行のm個の表示画素20(1,1)〜20(1,m)の有機EL素子OELについての発光効率η(1,1)〜η(1,m)を取得し、表示画素20(1,1)〜20(1,m)に対応して発光効率η(1,1)〜η(1,m)がメモリ58に格納される。
【0094】
次いで、図6(B)に示すように、セレクトドライバ3が、第2行のセレクトラインLs2に高電圧Vhighを印加し、他のセレクトラインLs1、Ls3〜Lsnに低電圧Vlowを印加した状態で、図6(E)〜図6(H)に示すように、データラインLd1〜Ldmに、電圧印加期間td毎に、設定電圧Vd(−3V)を順次印加する。これにより、第2行のm個の各表示画素20(2,1)〜20(2,m)の有機EL素子OELについての発光効率η(2,1)〜η(2,m)を取得し、各表示画素20(2,1)〜20(2,m)に対応して発光効率η(2,1)〜η(2,m)がメモリ58に格納される。
【0095】
以下、第n−1行まで同様の動作を繰り返すことにより、全ての表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)の有機EL素子OELについての発光効率ηを取得して、各表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)に対応して発光効率η(1,1)〜η(n−1,m)がメモリ58に格納される。メモリ58に全ての表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)の発光効率η(1,1)〜η(n−1,m)が格納されると、システムコントローラ6は、発光効率取得工程を終了する。
【0096】
次いで、取得した発光効率η(1,1)〜η(n−1,m)を用いた補正を行って画像を表示する表示動作について説明する。
【0097】
システムコントローラ6は、表示動作を行う際、カソード回路8のスイッチ131を切り替えて、電流計7の他端に基準電圧Vssを印加する。
【0098】
続いて、システムコントローラ6は、図示せぬ垂直同期信号に応答して、セレクトドライバ3に、図2(A)〜(D)に示すように、走査信号を出力させ、電源ドライバ4に図2(E)〜(H)に示すように、電圧信号を出力させる。
【0099】
また、システムコントローラ6は、データドライバ5に表示動作を実行させるための制御信号を出力する。
【0100】
この制御信号に応答して、シフトレジスタ回路50は、シフト信号をデータレジスタ回路51に供給する。
【0101】
データレジスタ回路51は、シフトレジスタ回路50から供給されるシフト信号に応答して、画像データD1〜Dmを順次取り込んでシフトし、1行分のデータが格納されると、データラッチ回路52が、これをラッチして保持する。
【0102】
補正演算部53は、データラッチ回路52に保持されている画像データD1〜Dmを読み出して、画像データに対応した電圧データを、画像データに応じた発光輝度を得るためにデ−タラインLd1〜Ldmに印加すべき電圧値を有する補正電圧データに補正する。電圧データは、基本的に、有機EL素子の初期特性に基づいて定められている。
【0103】
補正演算部53は、現状の劣化した有機EL素子OELが初期状態時と同等の輝度で発光できるように、各電圧データに、例えば、メモリ58に格納されている各表示画素20に対応した発光効率ηの逆数(1/η)を乗算し、電圧デ−タを補正する。
【0104】
より詳細に説明すると、発光効率ηは、経時劣化などの原因により、一定の電流値の電流を有機EL素子OELに流したときの、有機EL素子OELの発光輝度の初期状態に対する低下率を示している。したがって、初期状態時と同等の発光輝度を得るためには、有機EL素子OELに流す電流の電流値を初期状態での電流値の1/η倍にすればよい。このために、表示画素20に対する印加電圧を(1/η)倍すれば、有機EL素子OELを流れる電流を(1/η)倍することができる。
【0105】
補正演算部53は、メモリ58から発光効率η(1,j)(j=1〜m)を読み出し、電圧データに1/η(1,j)(j=1〜m)を乗算して、電圧データを補正した補正電圧データを生成して出力する。
【0106】
DAC54は、例えば、補正演算部53が出力した補正電圧デ−タをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧を各データラインLd1〜Ldmに出力して、表示画素20(1,1)〜20(1,m)に印加する。
【0107】
これにより、表示画素20(1,1)〜20(1,m)に、補正しない場合と比較して、それぞれ対応した発光効率η(1,1)〜η(1,m)の逆数である1/η(1,j)(j=1〜m)を乗算した補正電圧データが印加され、この補正電圧データに対応する電圧がコンデンサC1に保持される。これにより、表示画素20(1,1)〜20(1,m)の有機EL素子OELに、それぞれ対応してほぼ1/η(1,j)(j=1〜m)倍の電流が流れ、表示画素20(1,1)〜20(1,m)について初期状態時と同等の発光輝度での表示がなされる。
【0108】
次に、セレクトドライバ3が、第2行のセレクトラインLs2を選択し、データレジスタ回路51は画像データD1〜Dmを順次取り込んでシフトし、1行分のデータが格納されると、データラッチ回路52が、これをラッチして保持する。続いて、補正演算部53は、メモリ58に格納されている表示画素20(2,1)〜20(2,m)に対応した発光効率η(2,1)〜η(2,m)の逆数である1/η(2,j)(j=1〜m)を乗算して、電圧デ−タを補正する。DAC54は、例えば、補正演算部53が出力した補正電圧デ−タをアナログ電圧に変換し、出力回路55は、アナログ電圧を各データラインLd1〜Ldmに出力して、表示画素20(2,1)〜21(2,m)に印加する。これにより、表示画素20(2,1)〜20(2,m)について初期状態時と同等の発光輝度での表示がなされる。
以下、第n−1行まで同様の動作を繰り返すことにより、全ての行で補正電圧デ−タに対応する電圧を各データラインLd1〜Ldmに出力し、よって、全ての表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)について初期状態時と同等の発光輝度での表示がなされる。
【0109】
以上説明したように、本実施の形態によれば、発光効率η(i,j)(i=1〜n−1,j=1〜m)を求めておき、表示動作時に、電圧データに1/η(i,j)(i=1〜n−1,j=1〜m)を乗算して補正し、補正後の補正電圧データに対応する電圧を表示画素20(1,1)〜20(n−1,m)に印加することにより、経時劣化が起こったとしても、同一の画像データに対して、有機EL素子に、経時劣化が発生した後でも初期状態とほぼ同一の電流が流れる。従って、同一の画像データに対して、経時劣化に関わらず、初期状態時と同等の表示(発光)を行うことができる。
なお、上記において、トランジスタ抵抗取得工程では抵抗値テーブルを参照して抵抗値RTの値を取得し、発光効率取得工程において電圧値テーブルを参照して有機EL素子OELに印加されている印加電圧Velの電圧値を取得する構成としたが、これに限るものではなく、このようなルックアップテーブルを用いず、その都度、計算処理を行って抵抗値RTの値や印加電圧Velの電圧値を演算によって取得する構成であってもよい。しかしながら、通常、ルックアップテーブルを用いた方がそれぞれの値の取得に要する時間が短縮されるので、ルックアップテーブルを用いる方が好ましい。
【0110】
(変形例)
その他、図8に示すように、各行のm個の表示画素20(1,1)〜20(1,m)を選択し、全データラインLd1〜Ldmに設定電圧Vdを印加して、各行のm個の表示画素20(1,1)〜20(1,m)の有機EL素子OELに電流を流し、その総検出電流Idaの電流値を測定して、測定した電流値をmで除算することで、各有機EL素子OELに流れる検出電流Idの平均値を計算し、この各有機EL素子OELに流れる検出電流Idの平均値に基づいて発光効率ηを求めるようにしても良い。この場合、発光効率取得工程に要する時間を短縮することができる。
【0111】
(変形例)
上記実施の形態で示した、各種電圧は、例示であり、表示動作時には、選択された画素への書き込み動作と非選択行の画素の発光動作を適切に行うことができ、発光効率取得動作時には、有機EL素子流れる電流を測定できるならば、その電圧関係は任意である。
【0112】
例えば、表示動作時には、(1)選択対象の行の表示画素20のトランジスタT21とT22をオンさせ、非選択行の表示画素20のトランジスタT21とT22をオフさせるようなハイレベル電圧Vhighとロウレベル電圧VlowをセレクトラインLsに印加し、(2)選択対象の行の表示画素20のトランジスタT23をオンさせ、非選択行の表示画素20のトランジスタT23をオフさせるような電圧VccとVssを電源ラインLvに印加し、(3)カソード回路8のスイッチ131を操作して所定の電圧を印加し、(4)各データラインLdに印加する電圧を、所定電圧以上の階調に対応する電圧とし、
発光効率取得動作時に、(1)電流を流す予定の単数又は複数の画素が位置する行の表示画素20のトランジスタT22をオンさせ、他の行の画素のトランジスタT22をオフさせ、(2)全ての画素のトランジスタT21のトランジスタT23に電流が流れず(例えば、電源ラインLvの電圧とスイッチ131を介して電流計7の他端に印加される電圧が等しく)、(3)電流を流す予定の単数又は複数の画素が位置する列のデータラインLdに印加する電圧が電流計7の他端に印加される電圧よりも高く、他の列のデータラインLdに印加する電圧と電流計7の他端に印加される電圧と等しい、
という条件が成立するならば、その電圧関係は任意である。
【0113】
例えば、図9(a)(b)に示すように、回路内の電圧を正電圧で構成することも可能である。
図示するように、
(通常表示動作時)
i)セレクトラインLsに印加するVhigh=15V、Vlow=0V(GND)、
ii)電源ラインLvに印加する電圧Vccを+15V,電圧Vssを+10V、
iii)データラインLdに印加する電圧を+10V〜接地電圧の間の階調に応じた電圧、
を印加し、
(発光効率取得動作時、トランジスタ抵抗取得動作時)
i)電流を流す予定の単数又は複数の画素が位置する行のセレクトラインLsに印加するVhigh=15V、他の行の画素21が位置する行のセレクトラインに印加するVlow=0V(GND)を印加し、
ii)全ての電源ラインLvに0V(接地電位)を印加し、
iii)カソード回路8のスイッチ131を操作して、電流計7の他端に印加する電圧を0Vとし、
iv)電流を流す予定の単数又は複数の画素が位置する列のデータラインLdに印加する電圧を0Vより大きい電圧、
を印加する。
【0114】
このような複数の電圧は、例えば、15VのDC電源と10VのDC電源を、図9(c)に示すように接続することにより、生成可能である。
【0115】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施形態に限られるものではない。
【0116】
例えば、上記実施形態では、発光素子を有機EL素子として説明した。しかし、発光素子は、有機EL素子に限られるものではなく、例えば、無機EL素子又はLEDであってもよい。
【0117】
<電子機器の適用例>
次に、上述した各実施形態に係る有機EL表示装置を適用した電子機器について図面を参照して説明する。
【0118】
上述した各実施形態に示した有機EL表示装置1は、例えばデジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯電話機等、種々の電子機器の表示デバイスとして良好に適用できるものである。
【0119】
図10は、本発明に係る有機EL表示装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図であり、図11は、本発明に係る有機EL表示装置を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図であり、図12は、本発明に係る有機EL表示装置を適用した携帯電話機の構成例を示す斜視図である。
【0120】
図10において、デジタルカメラ200は、図10(a)及び(b)に示すように、レンズ部201と操作部202と表示部203とファインダー204とを備える。この表示部203に上記各実施形態に示した有機EL表示装置1が適用される。これによれば、表示部203において、画像データに応じた適切な輝度で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。
【0121】
図11において、パーソナルコンピュータ210は、表示部211と操作部212とを備え、この表示部211に上記各実施形態に示した有機EL表示装置1が適用される。これによれば、表示部211において、画像データに応じた適切な輝度で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。
【0122】
図12に示す携帯電話機220は、表示部221と、操作部222と、受話部223と送話部224とを備え、この表示部221に発光装置10上記各実施形態に示した有機EL表示装置1が適用される。これによれば、表示部221において、画像データに応じた適切な輝度で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。
なお、上述した各実施形態においては、有機EL表示装置が、複数の画素が二次元配列された表示パネルを備えて構成される場合について詳しく説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る構成を、例えば発光素子を有する複数の画素が一方向に配列された発光素子アレイを備えて、感光体ドラムに画像データに応じて発光素子アレイから出射した光を照射して露光する露光装置に適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0123】
1…有機EL表示装置、2…表示パネル、3…セレクトドライバ、4…電源ドライバ、5…データドライバ、6…システムコントローラ、7…電流計、8…カソード回路、20…ダミー画素、21…表示画素、50…シフトレジスタ回路、51…データレジスタ回路、52…データラッチ回路、53…補正演算部、54…デジタル電圧/アナログ電圧変換回路(DAC)、55…出力回路、56…アナログ電圧/デジタル電圧変換回路(ADC)、57…発光効率取得部、58…メモリ、131…スイッチ、200…デジタルカメラ、201…レンズ部、202…操作部、203…表示部、204…ファインダー、210…パーソナルコンピュータ、211…表示部、212…操作部、220…携帯電話機、221…表示部、222…操作部、223…受話部、224…送話部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの第1の選択ラインと、
少なくとも一つの第2の選択ラインと、
少なくとも一つのデータラインと、
前記第1の選択ライン及び前記データラインに接続される画素駆動回路と、一端側が前記画素駆動回路に接続される発光素子と、を備える少なくとも一つの発光画素と、
前記第2の選択ライン及び前記データラインに接続される、前記画素駆動回路を備える、少なくとも一つのダミー画素と、
前記第1の選択ライン及び前記第2の選択ラインに、前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とする走査信号を印加するセレクトドライバと、
前記データラインに、選定された電圧値の電圧を印加するデータドライバと、
前記発光画素の前記画素駆動回路及び前記ダミー画素の前記画素駆動回路の電源端子に駆動電圧を供給する電源ドライバと、
前記発光素子の他端側及び前記ダミー画素の前記画素駆動回路に一端が接続される電流計と、
前記電流計の他端の電位を設定する電位設定回路と、
を備え、
前記電源ドライバ及び前記電位設定回路により前記駆動電圧の電位と前記電流計の他端の電位とを設定して、前記駆動電圧と前記電流計の他端との電位差が、前記画素駆動回路の前記電源端子と前記発光素子の前記他端との間に電流が流れない値に設定され、前記ダミー画素が前記選択状態とされたとき、前記電流計は、前記データドライバから、前記データラインと、前記ダミー画素の前記画素駆動回路と、を介して流れる第1の電流の電流値を測定し、
前記電源ドライバ及び前記電位設定回路により前記駆動電圧と前記電流計の他端との電位差が、前記画素駆動回路の前記電源端子と前記発光素子の前記他端との間に電流が流れない値に設定され、前記表示画素が前記選択状態とされたとき、前記電流計は、前記データドライバから、前記データラインと、前記選択状態とされた前記発光画素の前記画素駆動回路と、前記発光素子と、を介して流れる第2の電流の電流値を測定することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の電流の電流値に基づいて、前記画素駆動回路の前記第1の電流が流れる経路の抵抗成分の抵抗値を取得し、
前記第2の電流の電流値と前記抵抗値とに基づいて、前記第2の電流の電流値を測定したときの、前記発光素子に印加されている印加電圧の電圧値を取得し、
前記印加電圧の電圧値と前記第2の電流の電流値とに基づいて前記発光素子の発光輝度の該発光素子が初期特性を有しているときの初期の発光輝度に対する比率を示す、発光効率を取得する発光効率取得部を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記データドライバは、
前記発光効率取得部と、
前記発光効率取得部が取得した前記発光効率に基づいて、外部から供給される画像データに応じた電圧データを補正した補正電圧データを生成する補正演算部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光画素を複数有し、
前記電位設定回路は、前記発光効率の取得を行う際に前記電流計の他端を第1の電位に設定し、
前記データドライバは、
前記発光効率の取得を行う際に、前記複数の画素における前記発光効率を取得する前記画素に接続される前記データラインに、前記第1の電位に対して、前記発光素子に対して順方向バイアスとなる所定の電位差を有する第1の電圧を印加し、前記発光効率を取得しない前記画素に接続される前記データラインに、前記第1の電位と同電位の第2の電圧を印加し、
前記抵抗値を取得する際に、前記ダミー画素に接続される前記データラインに前記第1の電圧を印加することを特徴とする請求項2又は3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の発光画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配設され、前記選択ラインは前記複数の行に沿って複数配設され、前記データラインは前記複数の列に沿って複数配設され、
前記セレクトドライバは、前記発光効率の取得を行う際に、前記複数の選択ラインのうちの一つの特定の選択ラインに接続された前記画素のみを前記選択状態とし、
前記データドライバは、前記発光効率の取得を行う際に、前記複数のデータラインのうちの一つの特定のデータラインに前記第1の電圧を印加し、前記特定のデータラインを除く他の前記データラインに前記第2の電圧を印加し、
前記発光効率の取得は、前記複数の画素のうちの一つの画素に対して行われることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の発光画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配設され、前記選択ラインは前記複数の行に沿って複数配設され、前記データラインは前記複数の列に沿って複数配設され、
前記ダミー画素を複数有し、前記各ダミー画素は、前記行方向に沿って配設されて前記各データラインに接続され、
前記抵抗値の取得は、前記複数のダミー画素に電流を同時に流し、前記電流計は、前記複数のダミー画素の各々に流れる電流の総計となる総電流を測定し、前記総電流の電流値の一つの前記ダミー画素当たりの平均値を前記第1の電流の電流値として取得し、取得した前記平均値に基づいて前記抵抗値を取得することを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項7】
前記画素駆動回路は、一端に前記駆動電圧が印加され、他端が前記発光素子の前記一端側に接続される第1の電流路と、前記選択ラインに接続される第1の制御端子と、を有する第1のトランジスタと、一端が前記データラインに接続され、他端が前記第1のトランジスタの前記第1の電流路の他端に接続される第2の電流路と、前記選択ラインに接続される第2の制御端子と、を有する第2のトランジスタと、を有し、
前記ダミー画素においては、前記データドライバより前記データラインに前記第1の電圧が印加されたとき、前記データドライバから、前記データラインと、前記選択状態とされた前記画素の前記画素駆動回路の前記第2のトランジスタの前記第2の電流路と、を介して前記電流計に前記第1の電流が流れ、
前記発光画素においては、前記データドライバより前記データラインに前記第1の電圧が印加されたとき、前記データドライバから、前記データラインと、前記選択状態とされた前記画素の前記画素駆動回路の前記第2のトランジスタの前記第2の電流路と、前記発光素子と、を介して前記電流計に前記第2の電流が流れることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
発光装置の駆動制御方法であって、
少なくとも一つの第1の選択ラインと、少なくとも一つの第2の選択ラインと、少なくとも一つのデータラインと、前記第1の選択ライン及び前記データラインに接続される画素駆動回路と、一端側が前記画素駆動回路に接続される発光素子と、を備える少なくとも一つの発光画素と、前記第2の選択ライン及び前記データラインに接続される、前記画素駆動回路を備える、少なくとも一つのダミー画素と、前記第1の選択ライン及び前記第2の選択ラインに、前記表示画素及び前記ダミー画素を選択状態とする走査信号を印加するセレクトドライバと、前記データラインに、選定された電圧値の電圧を印加するデータドライバと、前記発光画素の前記画素駆動回路及び前記ダミー画素の前記画素駆動回路の電源端子に駆動電圧を供給する電源ドライバと、前記発光素子の他端側及び前記ダミー画素の前記画素駆動回路に一端が接続される電流計と、を備える前記発光装置を準備するステップと、
前記電源ドライバから供給する前記駆動電圧の電位と前記電流計の他端の電位とを設定して、前記駆動電圧と前記電流計の他端との電位差を、前記画素駆動回路の前記電源端子と前記発光素子の前記他端との間に電流が流れない値に設定する電位設定ステップと、
前記セレクトドライバにより前記ダミー画素を前記選択状態とするダミー画素選択ステップと、
前記電位設定ステップにより前記駆動電圧と前記電流計の他端との電位を設定した状態で、前記データドライバから、前記データラインと、前記ダミー画素選択ステップにより前記選択状態とされた前記ダミー画素の前記画素駆動回路と、を介して流れる第1の電流の電流値を前記電流計により測定する第1電流測定ステップと、
前記セレクトドライバにより前記発光画素を前記選択状態とする発光画素選択ステップと、
前記電位設定ステップにより前記駆動電圧と前記電流計の他端とを第1の電位に設定した状態で、前記データドライバから、前記データラインと、前記発光画素選択ステップにより前記選択状態とされた前記発光画素の前記画素駆動回路と、前記発光素子と、を介して流れる第2の電流の電流値を前記電流計により測定する第2電流測定ステップと、
を含むことを特徴とする発光装置の駆動制御方法。
【請求項9】
前記第1電流測定ステップは、前記第1の電流の電流値に基づいて、前記画素駆動回路の前記第1の電流が流れる経路の抵抗成分の抵抗値を取得する抵抗値取得ステップを含み、
前記第2電流測定ステップは、前記第2の電流の電流値と前記抵抗値とに基づいて、前記第2の電流の電流値を測定したときの、前記発光素子に印加されている印加電圧の電圧値を取得する印加電圧取得ステップと、前記印加電圧の電圧値と前記第2の電流の電流値とに基づいて前記発光素子の発光輝度の該発光素子が初期特性を有しているときの初期の発光輝度に対する比率を示す、発光効率を取得する発光効率取得ステップと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の発光装置の駆動制御方法。
【請求項10】
前記発光装置は前記画素を複数有し、
前記電位設定ステップは、前記電流計の他端を第1の電位に設定し、
前記発光効率取得ステップは、前記複数の画素における前記発光効率を取得する前記画素に接続される前記データラインに、前記第1の電位に対して、前記発光素子に対して順方向バイアスとなる所定の電位差を有する第1の電圧を印加し、前記発光効率を取得しない前記画素に接続される前記データラインに前記第1の電位と同電位の第2の電圧を印加する第1電圧印加ステップを含み、
前記抵抗値取得ステップは、前記ダミー画素に接続される前記データラインに前記第1の電圧を印加する第2電圧印加ステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の発光装置の駆動制御方法。
【請求項11】
前記発光装置において、前記複数の画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配設され、前記選択ラインは前記複数の行に沿って複数配設され、前記データラインは前記複数の列に沿って複数配設されており、
前記発光画素選択ステップは、前記発光効率取得ステップを実行する際に、前記複数の選択ラインのうちの一つの特定の選択ラインに接続された前記発光画素のみを前記選択状態とし、
前記第1電圧印加ステップは、前記発光効率取得ステップを実行する際に、前記データドライバより、前記複数のデータラインのうちの一つの特定のデータラインに前記第1の電圧を印加し、前記特定のデータラインを除く他の前記データラインに前記第2の電圧を印加し、
前記発光効率取得ステップにおける前記発光効率の取得は、前記複数の画素のうちの一つの画素に対して行われることを特徴とする請求項10に記載の発光装置の駆動制御方法。
【請求項12】
前記発光装置は前記ダミー画素を複数有し、前記複数の画素は複数の行及び複数の列に沿って2次元配設され、前記選択ラインは前記複数の行に沿って複数配設され、前記データラインは前記複数の列に沿って複数配設されており、前記複数の発光画素は複数の行と複数の列に沿って配列され、前記各ダミー画素は前記行方向に沿って配列され、
前記抵抗値取得ステップは、前記複数のダミー画素に電流を同時に流し、前記電流計により、前記複数のダミー画素の各々に流れる電流の総計となる総電流を測定する総電流測定ステップと、前記総電流の電流値の一つの前記ダミー画素当たりの平均値を前記第1の電流の電流値として取得する平均値取得ステップと、前記平均値に基づいて前記抵抗値を取得する平均抵抗値取得ステップと、を含むことを特徴とする請求項10に記載の発光装置の駆動制御方法。
【請求項13】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−73498(P2012−73498A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219359(P2010−219359)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】