説明

発光装置及びその駆動方法並びにフィールドシーケンシャル液晶表示装置

【課題】発光効率の良い有機EL素子をバックライトとしたフィールドシーケンシャル液晶表示装置を提供する。
【解決手段】フィールドシーケンシャル液晶表示装置はバックライト13と、バックライトの発光に同期して特定領域を選択的に透光可能とする液晶パネルとを備える。バックライトは発光色の異なる3つの有機発光部27〜29と、4つの電極30〜33とが交互に積層され、1つの有機発光部と該有機発光部を挟む1組の電極とからなる発光ユニットが複数構成されている。隣り合う発光ユニットのダイオード特性は同じ向きであり、各発光ユニット23〜25の電極間には、スイッチング素子S1〜S3が有機発光部に対して並列に接続されている。バックライトは、各スイッチング素子を直列に接続する電源を備えており、制御装置35により、各スイッチング素子が1つずつ順次開状態に切り替え制御され、かつ残りのスイッチング素子が閉状態に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその駆動方法並びにフィールドシーケンシャル液晶表示装置に係り、詳しくは有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)を光源とする発光装置及びその駆動方法並びにフィールドシーケンシャル液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶カラー表示装置のバックライトとして白色発光の有機EL素子を使用することが提案されている。有機EL素子で白色発光を行わせるには、RGBの3原色を発光させる方法と、例えば、青色と黄色などの補色関係の色を発光させる方法とがある。
【0003】
RGBの3原色からなる白色発光を行う有機EL素子として、一対の電極間に赤色(R)の発光層、緑色(G)の発光層及び青色(B)の発光層を積層した発光層を設けたものや、一対の電極間に赤色(R)の発光層、緑色(G)の発光層及び青色(B)の発光層が塗り分けられた構成の発光層を設けたものがある。
【0004】
また、複数の有機発光デバイスが積層されたスタック型有機発光デバイスも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このデバイスは、図7に示すように、透明な基板60上に陽極層61、正孔輸送層62h、電子輸送層としても働く有機EL層62e、電極層63、正孔輸送層64h、電子輸送層としても働く有機EL層64e、電極層65、絶縁層66、電極層67、正孔輸送層68h、電子輸送層としても働く有機EL層68e、電極層69が順に積層されている。有機EL層62eは青色に発光し、有機EL層64eは緑色に発光し、有機EL層68eは赤色に発光する。電極層63,65,67はアースに接続されている。陽極層61、電極層63,65,67,69は電源70,71,72にそれぞれ接続されている。このスタック型有機発光デバイスは、陽極層61と有機EL層62eと電極層63とから構成される発光ユニットと、電極層63と有機EL層64eと電極層65とから構成される発光ユニットと、電極層67と有機EL層68eと電極層69とから構成される発光ユニットとを備えており、隣り合う発光ユニットのダイオード特性が同じ向きになっている。また、特許文献1には、隣り合う発光ユニットのダイオード特性が逆向きになるように、各有機EL層及び各電極層が積層されたスタック型有機発光デバイスも提案されている。
【0005】
また、対向する陽極と陰極の間に、発光ユニットを複数個有する有機EL素子において、各発光ユニットが中間層によって仕切られており、中間層が取り出し電極を有し、取り出し電極が任意の中間層の取り出し電極、陽極及び陰極に選択的に接続できるスイッチング回路を有するものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この有機EL素子は、複数の発光ユニットの一部に不具合が発生した場合、その発光ユニットを回避して電流が流れるようにスイッチング回路のスイッチが接続された状態で有機EL素子が使用される。
【0006】
また、フィールドシーケンシャル液晶表示装置として、バックライトに赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色を選択的に発光する有機EL発光パネルを用いるものが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3の有機EL発光パネルは、基板上に形成された第1電極層と、該第1電極層上に互いに区分されて形成された赤、緑、青の3原色を発する3種類の有機EL発光層と、該有機EL発光層上に形成された第2電極層とを備えている。そして、有機EL発光パネルからの3原色の選択発光及び液晶シャッタ表示パネルの表示パターンを順次、高速で切り換えて、赤、緑、青のそれぞれの表示パターンを時分割方式で連続的に表示することにより、カラー表示を行う。
【特許文献1】特表2001−511296号公報
【特許文献2】特開2005−294058号公報
【特許文献3】特開2000−241811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のスタック型有機発光デバイスは、赤色、緑色、青色に発光する有機EL層毎に電源が設けられており、赤色、緑色、青色の原色を単独で必要とする場合以外は複数の有機EL層が同時に発光するようになっている。従って、電源の数が多くなり、その分小型化が難しくなる。また、このスタック型有機発光デバイスは、フィールドシーケンシャル液晶表示装置のバックライトとしての利用に関してはなんら配慮がなされていない。
【0008】
特許文献2の有機EL素子は、複数の発光ユニットを備えているが、各発光ユニットは同じ構成で、同じ色を発光する。また、各発光ユニットに対応してスイッチが設けられているが、スイッチは、不具合が生じた発光ユニットに電流を供給するのを停止するためのものであり、複数の発光ユニットのうちの任意の発光ユニットを発光させるという思想はなんら開示されていない。また、特許文献1のスタック型有機発光デバイスと同様に、フィールドシーケンシャル液晶表示装置のバックライトとしての利用に関してもなんら配慮がなされていない。
【0009】
特許文献3のフィールドシーケンシャル液晶表示装置は、バックライトとして赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色を選択的に発光する有機EL発光パネルを用いる。しかし、赤、緑、青の3原色を発する3種類の各有機EL発光層は、基板上に形成された第1の電極層上に互いに区分されて形成されている。つまり、液晶パネルの一画素の下には、互いに区分されて形成された赤、緑、青の3原色を発する有機EL発光層が設けられているのである。従って、高精細な画面表示を達成しようとすると、各色の有機EL発光層を微細に塗り分ける必要があるが、マスクなどの都合上、微細な塗り分けは困難である。また、互いに区分されて形成された赤、緑、青の3原色を発する有機EL発光層では、一画素において各色を発光する部分が実質的に1/3となり開口率が低くなってしまう。
【0010】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は異なる発光色で発光する各有機発光部を効率良く発光させることができる発光装置及びその駆動方法を提供することにある。また、別の目的は簡単な構成の有機EL素子をバックライトとしたフィールドシーケンシャル液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、発光色が異なる複数の有機発光部と、前記有機発光部と交互に積層されるとともに前記有機発光部の数より1つ多い複数の電極と、電源とを備える発光装置である。前記複数の有機発光部及び前記複数の電極は、1つの有機発光部と該有機発光部を挟む1組の電極とからなり、且つ、ダイオード特性を有する発光ユニットを複数構成しており、前記発光ユニットを構成する少なくとも一方の電極は他の発光ユニットの電極を兼ねている。また、隣り合う前記発光ユニットのダイオード特性は同じ向きであり、前記各発光ユニットの前記有機発光部を挟む1組の電極間には該有機発光部に対して並列に接続されたスイッチが設けられている。そして、前記各スイッチは前記電源に対して直列に接続されており、前記複数の発光ユニットのうち発光させたい一の発光ユニットの有機発光部に対して並列に接続された前記スイッチを開(オフ)状態に制御するとともに残りの発光ユニットの前記スイッチを閉(オン)状態に制御する制御手段を備えている。
【0012】
ここで、「有機発光部」は単層の有機層で構成されている場合に限らず、一般には、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、バッファー層等のうちの1層以上と発光層との組み合わせにより構成される。また、「ダイオード特性が同じ向きである」とは、有機発光部に電圧が印加された状態において有機発光部中を移動する正孔の移動方向が同じであることを意味する。
【0013】
この発明では、発光色が異なる複数の有機発光部と同じ数の発光ユニットが積層されるとともに、各発光ユニットの有機発光部と並列に接続されたスイッチが開(オフ)状態になるとその発光ユニットが発光する。複数の発光ユニットのうち1つの発光ユニットが選択的に発光するように、制御手段によって各スイッチの開閉(オン・オフ)制御が行われる。即ち、複数のスイッチは同時に開状態にならないように制御される。従って、複数の発光ユニットは電源に対して直列に接続された状態であるが、各発光ユニットが発光する際には、電源の電力は当該発光する発光ユニットにのみ供給される状態となる。従って、各発光ユニットの構成、材料、膜厚等を電源から供給される電力で最適に発光する値に設定することができ、各発光ユニットを最高の効率で発光させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記複数の発光ユニットが順次発光するように前記各スイッチを1つずつ順次開状態に切り替え制御し、且つ、前記各スイッチのオンデューティを制御することにより単位時間当たりに各発光ユニットの前記有機発光部に流れる電流量を変更する。ここで、「各スイッチのオンデューティ」とは、単位時間当たりにおいて、発光するように選択された一の発光ユニット以外の各発光ユニットのスイッチが閉(オン)状態となる時間の割合を示す。言い換えれば、これは、単位時間当たりにおいて、発光するように選択された一の発光ユニットのスイッチが開(オフ)状態となる時間の割合を示す。この発明では、各スイッチのオンデューティが、変更されることにより、発光装置から出射される光の発光色が変更される。例えば、発光ユニットの数を3個で発光色を赤、緑、青とするとともに、人間の眼(網膜)の残像持続時間内で各発光ユニットの発光状態を切り替え制御した場合、見かけ上フルカラーの発光色を発光させる発光装置が可能になる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記電源には電源スイッチが設けられ、前記制御手段は、前記電源スイッチのオンデューティを制御することにより単位時間当たりに前記複数の発光ユニット全体に流れる平均電流量を制御する。ここで、「電源スイッチのオンデューティ」とは、単位時間当たりにおいて、電源スイッチが閉(オン)状態となっており発光装置に電流を供給している時間の割合を示す。この発明では、輝度の変更が可能になる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、少なくとも赤、緑及び青の3原色を選択的に発光するバックライトと、前記バックライトの発光に同期して特定領域を選択的に透光可能として開口することにより前記バックライトからの出射光で所望の表示を行う液晶パネルとを備えるフィールドシーケンシャル液晶表示装置である。前記バックライトは、発光色が赤、緑及び青の3つの有機発光部を含む複数の有機発光部と、前記各有機発光部と交互に積層されるとともに前記有機発光部の数より1つ多い複数の電極と、電源とを備えている。前記複数の有機発光部及び前記複数の電極は1つの有機発光部と該有機発光部を挟む1組の電極とからなり、且つ、ダイオード特性を有する発光ユニットを複数構成しており、前記発光ユニットを構成する少なくとも一方の電極は他の発光ユニットの電極を兼ねている。隣り合う前記発光ユニットのダイオード特性は同じ向きであり、前記各発光ユニットの前記有機発光部を挟む1組の電極間には該有機発光部に対して並列に接続されたスイッチが設けられている。また、前記各スイッチは前記電源に対して直列に接続されており、前記複数の発光ユニットが順次発光するように前記各スイッチを1つずつ順次開状態に切り替え制御するとともに残りのスイッチを閉状態に制御する制御手段を備えている。
【0017】
この発明では、バックライトとして請求項1の発光装置と基本的に同じ構成で、少なくとも赤、緑及び青の3原色を選択的に発光することができる発光装置が使用されている。従って、液晶表示装置の画面全体を1度走査するのに必要な時間、即ち1フレーム時間内で各発光ユニットを順次発光させるとともに、バックライトの発光に同期して液晶パネルの特定領域を選択的に透光可能に制御することで、フルカラー表示が行われる。また、この発明では、R,G,B各色の発光層が互いに区分されて形成された従来のバックライトに比較して構造が簡単になり、その製造が容易になる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、発光色が異なる複数の有機発光部と、前記有機発光部と交互に積層されるとともに前記有機発光部の数より1つ多い複数の電極と、電源とを備え、前記複数の有機発光部及び前記複数の電極は1つの有機発光部と該有機発光部を挟む1組の電極とからなり、且つ、ダイオード特性を有する発光ユニットを複数構成しており、前記発光ユニットを構成する少なくとも一方の電極は他の発光ユニットの電極を兼ねており、隣り合う前記発光ユニットのダイオード特性は同じ向きであり、前記各発光ユニットの前記有機発光部を挟む1組の電極間には該有機発光部に対して並列に接続されたスイッチが設けられており、前記各スイッチは前記電源に対して直列に接続されている発光装置の駆動方法である。そして、前記複数の発光ユニットのうち発光させたい一の発光ユニットの有機発光部に対して並列に接続された前記スイッチを開状態に制御するとともに残りのスイッチを閉状態に制御する。
【0019】
この発明では、異なる発光色で発光する各有機発光部を効率良く発光させることができる発光装置の出射光の色を適切に変更することができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜請求項5に記載の発明によれば、異なる発光色で発光する各有機発光部を効率良く発光させることができる。また、請求項4に記載の発明では、簡単な構成の有機EL素子をバックライトとしたフィールドシーケンシャル液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明をフィールドシーケンシャル液晶表示装置に具体化した第1の実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
【0022】
図1(a)に示すように、フィールドシーケンシャル液晶表示装置11は、透過型の液晶パネル12と、その背面(表示面と反対側の面で、図1(a)における下側の面)側に配置されるバックライト13とを備えている。
【0023】
液晶パネル12は、公知のフィールドシーケンシャル液晶表示装置の液晶パネルと基本的に同じ構成である。
図1(b)に示すように、液晶パネル12は、一対の透明な第1及び第2基板14,15を備え、両基板14,15は所定の間隔を保った状態で、図示しないシール材により貼り合わされている。基板14,15は例えばガラス製である。両基板14,15の間に液晶16が封止されている。液晶16は、例えば、応答速度が早く高速切り換え可能なOCB(Optically Compensated Bend)モードのネマチック液晶が使用される。
【0024】
バックライト13側に配置された第1基板14の、液晶16と対向する面には、多数の画素電極17と、それら画素電極17にそれぞれ接続された多数のTFT(薄膜トランジスタ)18とが形成されている。画素電極17はITO(インジウム錫酸化物)で形成されている。また、第1基板14の液晶16と反対側の面には、偏光板19が配設されている。第2基板15の液晶16と対向する面には全画素共通の透明電極20が形成されている。透明電極20もITOで形成されている。第2基板15の液晶16と反対側の面には偏光板21が配設されている。
【0025】
図2に示すように、バックライト13は、基板22上に発光色が赤、緑及び青の3つの発光ユニット23,24,25が積層された有機EL素子26を備えた発光装置で構成されている。有機EL素子26は、発光色が赤、緑及び青の3つの有機発光部27,28,29と、各有機発光部27,28,29と交互に積層されるとともに有機発光部の数より1つ多い電極30,31,32,33とが、各発光ユニット23〜25のダイオード特性が同じ向きになるように構成されている。即ち、有機EL素子26は、有機発光部の数(この実施形態では3個)と同じ数の発光ユニット23〜25で構成されている。3個の発光ユニット23,24,25は、青色に発光する発光ユニット25、緑色に発光する発光ユニット24及び赤色に発光する発光ユニット23の順に基板22上に積層されている。
【0026】
この実施形態では、基板22として透明なガラス基板が使用されている。また、基板22と対向する電極30は陽極を構成するとともに、公知の有機EL素子で透明電極として用いられるITO(インジウム錫酸化物)により形成されている。また、基板22と最も離れた位置に配置された電極33は陰極を構成し、有機EL素子の陰極に適した金属、例えばアルミニウムにより形成されるとともに光反射性を有している。有機発光部27,28及び有機発光部28,29に挟まれた状態で配置される電極31,32は電極30と同様に、ITOにより形成されるとともに、基板22側の面に、有機EL素子の陰極に適した金属層(図示せず)が光透過性を有する薄い膜厚で形成されている。金属層には、仕事関数の低い金属が使用され、例えば、アルミニウム、銀、マグネシウムあるいはその合金が使用される。有機EL素子26は、有機発光部27〜29から発せられた光が基板22側から取り出される(出射される)所謂ボトムエミッションタイプに構成されている。有機EL素子26は、有機発光部27,28,29が水分(水蒸気)及び酸素の悪影響を受けないように、保護膜34(図1(b)に図示)で被覆されている。保護膜34は、例えば、窒化ケイ素で形成されている。
【0027】
各発光ユニット23〜25の有機発光部27〜29を挟む1組の電極32,33、31,32、30,31を接続状態及び非接続状態に切り換えるスイッチとしてのスイッチング素子S1,S2,S3は、それぞれ、有機発光部27〜29に対して並列に接続されている。また、各スイッチング素子S1,S2,S3及び電源スイッチSEは、電源Eに対して直列に接続されている。制御手段としての制御装置35は、スイッチング素子S1,S2,S3及び電源スイッチSEの制御端子に接続されている。
【0028】
制御装置35はマイクロコンピュータ(図示せず)を備え、複数の発光ユニット23,24,25のうち発光させたい一の発光ユニットの有機発光部に対して並列に接続された1つのスイッチング素子(例えば、スイッチング素子S1)を開状態に、残りの発光ユニットのスイッチング素子(例えば、スイッチング素子S2,S3)を閉状態に制御する。また、制御装置35は、電源スイッチSEのオンデューティを制御することにより、単位時間当たりに発光ユニット23,24,25全体に流れる平均電流量を制御する。
【0029】
図1(b)に示すように、各有機発光部27〜29は、それぞれ各有機発光部27〜29を挟む1組の電極のうち基板22に近い電極側から順に、正孔注入層36、正孔輸送層37、発光層38、電子輸送層39及び電子注入層40が積層されて形成されている。
【0030】
赤色発光を行う有機発光部27は、正孔注入層36として膜厚20nmのCuPc(銅フタロシアニン)層、正孔輸送層37として膜厚50nmのTPD(トリフェニルアミンの2量体)層がそれぞれ使用されている。発光層38はTPDをホストとし、DCJTをドーパントとして膜厚30nmに形成されるとともに、DCJTはTPDに対して1wt%になるように含有されている。電子輸送層39として膜厚20nmのAlq3(トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム)層、電子注入層40に膜厚1nmのLiF(フッ化リチウム)層がそれぞれ使用されている。
【0031】
緑色発光を行う有機発光部28は、正孔注入層36として膜厚20nmのCuPc層、正孔輸送層37として膜厚50nmのTPD層がそれぞれ使用されている。発光層38はAlq3をホストとし、キナクリドンをドーパントとして膜厚30nmに形成されるとともに、キナクリドンはAlq3に対して2wt%になるように含有されている。電子輸送層39として膜厚20nmのAlq3層、電子注入層40に膜厚1nmのLiF層がそれぞれ使用されている。
【0032】
青色発光を行う有機発光部29は、正孔注入層36として膜厚20nmのCuPc層、正孔輸送層37として膜厚50nmのTPD層がそれぞれ使用されている。発光層38はDPVBiをホストとし、BCzVBiをドーパントとして膜厚30nmに形成されるとともに、BCzVBiはDPVBiに対して4wt%になるように含有されている。電子輸送層39として膜厚20nmのAlq3層、電子注入層40に膜厚1nmのLiF層がそれぞれ使用されている。
【0033】
図3に示すように、液晶パネル12及びバックライト13で構成される表示部41の外側には、TFT18のゲート電極を駆動するゲートドライバ42と、TFT18のソース電極(データ電極)を駆動するソースドライバ43とが設けられている。各ドライバ42,43は制御装置35からの制御信号により駆動制御される。即ち、制御装置35は液晶パネル12及びバックライト13を制御する。なお、図3では、各スイッチング素子S1,S2,S3及び電源スイッチSEをまとめてブロック44として表している。
【0034】
制御装置35は、順次駆動で各スイッチング素子S1〜S3のオン・オフを制御する。制御装置35は、例えば、液晶パネル12の画面全体を一度走査する時間、即ち1フレーム時間の1/3ずつ各発光ユニット23〜25を点灯させるように各スイッチング素子S1,S2,S3を制御する。
【0035】
1フレーム時間は任意に設定可能であり、動画を表示する場合において、例えば、1フレーム時間を1/60秒とすると、制御装置35は、各スイッチング素子S1,S2,S3を1/60秒の1/3である1/180秒ずつ順次オフにするように制御する。
【0036】
制御装置35は、バックライト13の発光に同期して液晶パネル12の特定領域を選択的に透光可能として開口することにより、バックライト13から一定時間間隔で出射される赤、緑、青の光の透過量を調整するように、ゲートドライバ42及びソースドライバ43を制御する。
【0037】
次に上記のように構成された有機EL素子26の製造方法を説明する。有機EL素子26を製造する際は、先ず基板22の上に電極30を構成するITO膜を形成する。ITO膜はスパッタリング法、真空蒸着法、イオン化蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成される。次に、このITO膜の上に、有機発光部29を形成する。有機発光部29は、有機発光部29を構成する正孔注入層36、正孔輸送層37、発光層38、電子輸送層39及び電子注入層40が、例えば、蒸着法により順次積層されることで形成される。
【0038】
次に、有機発光部29上に電極31の一部を構成する金属(例えば、アルミニウム)薄膜を蒸着により形成した後、前記金属薄膜上に電極31の一部を構成するITO膜を蒸着により形成する。この電極31において、ITO膜の一面側に設けられるアルミニウム薄膜は、光が透過する程度に薄く形成される。
【0039】
次に電極31のITO膜上に、有機発光部28を形成する。有機発光部28は、有機発光部28を構成する正孔注入層36、正孔輸送層37、発光層38、電子輸送層39及び電子注入層40が、例えば、蒸着法により順次積層されることで形成される。次に有機発光部28上に電極32の一部を構成する金属(例えば、アルミニウム)薄膜を蒸着により形成した後、前記金属薄膜上に電極32の一部を構成するITO膜を蒸着により形成する。
【0040】
次に電極32のITO膜上に、有機発光部27を形成する。有機発光部27は、有機発光部27を構成する正孔注入層36、正孔輸送層37、発光層38、電子輸送層39及び電子注入層40が、例えば、蒸着法により順次積層されることで形成される。次に有機発光部27上に電極33を構成するアルミニウム膜を蒸着により形成した後、最後に保護膜34を形成する。保護膜34として窒化ケイ素等のセラミック膜を形成する場合、セラミック膜は、例えば、プラズマCVD法で形成される。
【0041】
次に前記のように構成されたフィールドシーケンシャル液晶表示装置11の作用を説明する。
フィールドシーケンシャル液晶表示装置11の電源が投入され、液晶パネル12の表示画面に画像を表示させる際、バックライト13においては、制御装置35からの指令信号により、電源スイッチSEがオン状態に保持される。そして、その状態で制御装置35からの指令信号により、各スイッチング素子S1〜S3が順次駆動で、液晶パネル12の1フレーム時間の1/3ずつ各発光ユニット23〜25を点灯させるように制御される。例えば、動画を表示する場合において、各スイッチング素子S1,S2,S3は、1/180秒ずつ順次オフになるように制御される。
【0042】
例えば、スイッチング素子S1がオフ(開状態)のときは、他のスイッチング素子S2,S3はオン(閉状態)になる。その状態では、電源Eから供給される電流はスイッチング素子S3,S2を介して電極32、有機発光部27及び電極33へと流れ、有機発光部27が赤色に発光する。また、スイッチング素子S2がオフ(開状態)のときは、他のスイッチング素子S1,S3はオン(閉状態)になる。その状態では、電源Eから供給される電流はスイッチング素子S3を介して電極31、有機発光部28、電極32及びスイッチング素子S1へと流れ、有機発光部28が緑色に発光する。また、スイッチング素子S3がオフ(開状態)のときは、他のスイッチング素子S1,S2はオン(閉状態)になる。その状態では、電源Eから供給される電流は電極30、有機発光部29、電極31、スイッチング素子S2,S1へと流れ、有機発光部29が青色に発光する。
【0043】
一方、液晶パネル12においては、制御装置35からの指令信号により、ゲートドライバ42からアドレス信号が出力されて1列毎に各TFT18がオン状態になり、ソースドライバ43から出力されたデータ信号により各画素電極17にデータが書き込まれる。書き込まれたデータは当該画素電極17の図示しない蓄積キャパシタに充放電電荷として蓄積される。そして、次のデータ書き込みが行われるまで、その電荷に対応した大きさの電圧が当該画素電極17に印加される状態に保持される。各画素電極17への印加電圧が大きいほど、当該画素電極17に対向する液晶16の部分を透過する光量が増加するようになる。液晶パネル12は、バックライト13の発光に同期して特定領域が選択的に透光可能となるように開口される。
【0044】
図4はフィールドシーケンシャル法によるフルカラー表示原理を示す図であり、図において横軸は時間を示す。バックライト13は、図4に示すようにR(赤)、G(緑)、B(青)の順に一定時間ずつ点灯される。バックライトの点灯に同期して、画素電極17と対応する液晶16の配向状態が制御されることにより、バックライトから出射される光が当該液晶パネル12を透過する割合が調整される。そして、点灯周期のうち、赤の点灯時のみ透過(open)状態にすると当該画素は赤を表示し、緑の点灯時のみ透過状態にすると、当該画素は緑を表示し、青の点灯時のみ透過状態にすると、当該画素は青を表示する。
【0045】
点灯周期のうち、赤及び緑の点灯時を透過状態にすると当該画素は赤及び緑の中間色である黄色を表示し、緑及び青の点灯時を透過状態にすると、当該画素は緑及び青の中間色であるシアンを表示し、赤及び青の点灯時を透過状態にすると、当該画素は赤及び青の中間色であるマゼンタを表示する。また、点灯周期のうち全期間を透過状態にすると当該画素は白を表示し、全期間を非透過(close)状態にすると当該画素は黒を表示する。
【0046】
さらに、画素電極17と対応する液晶の配向状態を全開(完全なopen)状態と非透過(close)状態とに調整するのではなく、開状態として光の一部を透過する状態にして、1周期のうち、赤、緑、青の液晶を透過する光の透過量を調整すると、当該画素は任意の中間色を表示する。従って、カラーフィルタを用いることなく、1つの画素と対応する液晶(シャッタ)を1フレーム時間内において時分割で開閉制御することにより、フルカラーの表示が行われる。
【0047】
この実施形態では以下の効果を有する。
(1)フィールドシーケンシャル液晶表示装置11のバックライト13が、赤、緑及び青の3原色を選択的に発光する3つの発光ユニット23〜25が積層された有機EL素子26を備えている。そして、各発光ユニット23〜25が制御装置35により1つずつ順次一定時間間隔で点灯される。従って、カラーフィルタを用いるとともに赤、緑、青の3個のサブ画素1組で1画素が構成される従来のカラーフィルタ方式の液晶表示装置と異なり、カラーフィルタを通過する際の光の損失(ロス)がなくなり、カラーフィルタ方式と同じ透過光強度を得るためのバックライトの光量が少なくてすむ。また、1画素の下に発光領域が分割されることなく赤、緑、青の光源が配置されるため、カラーフィルタ方式に比較して1画素において各色を発光する領域が広がる。即ち、1画素の開口率を向上させることができ、バックライト13からの光を効率良く取り出すことができる。さらに、カラーフィルタ方式と同じ解像度に必要な画素数が1/3になるため、より高精細な表示装置を提供することができる。
【0048】
(2)各発光ユニット23〜25の有機発光部27〜29を挟む1組の電極32,33、31,32、30,31を接続状態及び非接続状態に切り換えるため、有機発光部27〜29に対応してそれぞれ並列に接続されたスイッチング素子S1〜S3が、1つずつ順次開状態に残りのスイッチング素子が閉状態に制御装置35により制御される。従って、バックライト13を1フレーム時間の1/3ずつ各発光ユニット23〜25を点灯させるように制御する構成が容易になる。また、複数の発光ユニット23〜25が電源Eに対して直列に接続されているが、各発光ユニット23〜25は、1つの発光ユニットのみに電源Eの電力が供給される状態で発光する。従って、電源Eが1つであっても、各発光ユニット23〜25の構成、材料、膜厚等を1つの電源Eから供給される電力で最適に発光する値に設定することにより、各発光ユニット23〜25は最高の効率で発光することができる。
【0049】
(3)有機発光部27,28及び有機発光部28,29の間に配置された電極31,32が、ITO膜の基板22と対応する側(基板22に近い側)の片面に有機EL素子の陰極に適した金属製で光透過性を有する薄膜層が形成された構成になっている。ITO膜の表面の仕事関数は正孔の注入に適した値のため陽極としては適しているが、陰極としては仕事関数の小さい金属の方が好ましい。電極31,32がITOのみで構成されていると、電極31,32が陰極として機能する状態においては、電極31,32の表面の仕事関数は電子の注入に適した値とはならない。しかし、電極31,32が、ITO膜の片面に前記金属薄膜層が形成されているため、電極31,32がスイッチング素子S1〜S3の開閉状態によって陽極として機能する状態に切り換えられた場合でも、陰極として機能する状態に切り換えられた場合でも適正な状態で機能することができる。
【0050】
(4)電源Eに電源スイッチSEが直列に接続されているため、制御装置35により電源スイッチSEのオンデューティを制御して、単位時間当たりに、バックライト13、つまり、発光ユニット23〜25に流れる平均電流量を変更することにより、表示部41全体の輝度の調整が可能になる。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、本発明を照明装置に具体化した第2の実施形態を図5及び図6を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態は、発光ユニットの数及び発光色が異なる点が第1の実施形態のバックライト13と異なっており、その他の構成は第1の実施形態のバックライト13と基本的に同様であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0052】
図5に示すように、発光装置としての照明装置45は、基板22上に発光色が青及び黄の2つの発光ユニット25,46が積層された有機EL素子47を備えている。有機EL素子47は、発光色が青及び黄の2つの有機発光部29,48と、各有機発光部29,48と交互に積層されるとともに有機発光部の数より1つ多い電極30,31,33とを備えており、各発光ユニット25,46のダイオード特性が同じ向きになるように構成されている。即ち、有機EL素子47は、有機発光部の数(この実施形態では2個)と同じ数の発光ユニット25,46で構成されている。2個の発光ユニット25,46は、青色に発光する発光ユニット25、黄色に発光する発光ユニット46の順に基板22上に積層されている。
【0053】
各有機発光部29,48は、それぞれ各有機発光部29,48を挟む1組の電極のうち基板22に近い電極側から順に、正孔注入層36、正孔輸送層37、発光層38、電子輸送層39及び電子注入層40が積層されて形成されている。
【0054】
黄色発光を行う有機発光部48は、正孔注入層36として膜厚20nmのCuPc層、正孔輸送層37として膜厚50nmのTPD層がそれぞれ使用されている。発光層38はAlq3をホストとし、ルブレンをドーパントとして膜厚30nmに形成されるとともに、ルブレンはAlq3に対して4wt%になるように含有されている。電子輸送層39として膜厚20nmのAlq3層、電子注入層40に膜厚1nmのLiF層がそれぞれ使用されている。また、青色発光を行う有機発光部29は、第1の実施形態と同じ構成である。
【0055】
各発光ユニット25,46の有機発光部29,48を挟む1組の電極30,31、31,33を接続状態及び非接続状態に切り換えるスイッチとしてのスイッチング素子S3,S1は、それぞれ、有機発光部29,48に対して並列に接続されている。また、各スイッチング素子S3,S1及び電源スイッチSEは、電源Eに対して直列に接続されている。制御手段としての制御装置35は、スイッチング素子S1,S3及び電源スイッチSEの制御端子に接続されている。
【0056】
制御装置35は、複数の有機発光部29,48のうち発光させたい有機発光部に対して並列に接続された1つのスイッチング素子(例えば、スイッチング素子S1)を開状態に、残りのスイッチング素子(例えば、スイッチング素子S3)を閉状態に制御する。
【0057】
制御装置35は、照明装置45から青色の光を出射する際には、青色発光の発光ユニット25が駆動し、黄色の光を出射する際には、黄色発光の発光ユニット46が駆動するように、各スイッチング素子S1,S3のオン・オフを制御する。また、黄色と青色との混合割合を調整することにより得られる色の光を出射する際には、光が人の眼に残像として残る時間内における青色及び黄色の発光ユニット25,46の発光時間の割合を調整するようにスイッチング素子S1,S3のオン・オフを制御する。また、制御装置35は、電源スイッチSEのオンデューティを制御することにより、単位時間当たりに発光ユニット25,46全体に流れる平均電流量を制御する。
【0058】
制御装置35はマイクロコンピュータ(図示せず)を備え、照明装置45から出射される光の色と、各スイッチング素子S1,S3のオン・オフ時間の関係や、照明装置45の輝度と電源スイッチSEのオンデューティとの関係をマップや関係式として記憶している。制御装置35は入力装置(図示せず)を備えており、入力装置で入力(設定)された発光色及び輝度となるように各スイッチング素子S1,S3及び電源スイッチSEを制御するようになっている。
【0059】
次に前記のように構成された照明装置45の作用を説明する。
照明装置45の電源が投入され、入力装置により発光色が入力されると、制御装置35は入力装置で入力された色の発光色を出力するようにスイッチング素子S1,S3のオン・オフ状態を制御する。図6は照明装置45から出射される光の色と、制御装置35が青色に発光する発光ユニット25及び黄色に発光する発光ユニット46をオン状態又はオフ状態にする時間の関係を示す図である。
【0060】
制御装置35は、光が人の眼に残像として残る時間内の所定時間を1周期としてスイッチング素子S1,S3を1周期内で、同時にオン(閉)状態及びオフ(開)状態とならないようにオン・オフを制御する。図6に示すように、照明装置45から青色の出射光を出射させる場合は、1周期の全期間スイッチング素子S1をオン状態に、かつスイッチング素子S3をオフ状態に制御する。この場合、電源Eから供給される電流は電極30、有機発光部29、電極31、スイッチング素子S1へと流れ、有機発光部29が青色に発光する。また、照明装置45から黄色の出射光を出射させる場合は、1周期の全期間スイッチング素子S1をオフ状態に、かつスイッチング素子S3をオン状態に制御する。この場合、電源Eから供給される電流はスイッチング素子S3を介して電極31、有機発光部48及び電極33へと流れ、有機発光部48が黄色に発光する。
【0061】
1周期のうち、全期間の半分(例えば前半)をスイッチング素子S1のオフ状態、即ち黄色の発光状態にし、残りの分(例えば後半)をスイッチング素子S3のオフ状態、即ち青色の発光状態にすると、照明装置45は黄色と青色が等しい割合で混合されて見かけ上白色を出射する。また、1周期のうち、黄色の発光状態の期間と青の発光状態の期間とが等しくならないようにスイッチング素子S1,S3のオン・オフの期間を設定して制御すると、黄色と青色が混合された割合に対応した白色でない中間色の光が照明装置45から出射される。
【0062】
この第2の実施形態においては、次の効果を有する。
(5)各発光ユニット25,46の有機発光部29,48を挟む1組の電極30,31、31,33を接続状態及び非接続状態に切り換えるため、有機発光部29,48に対応してそれぞれ並列に接続されたスイッチング素子S3,S1が、1つずつ順次開状態に残りのスイッチが閉状態に制御装置35により制御される。従って、照明装置45を一定周期で各発光ユニット25,46を点灯させるように制御する構成が容易になる。また、複数の発光ユニット25,46が電源Eに対して直列に接続されているが、各発光ユニット25,46は、1つの発光ユニットのみに電源Eの電力が供給される状態で発光する。従って、電源Eが1つであっても、各発光ユニット25,46の構成、材料、膜厚等を1つの電源Eから供給される電力で最適に発光する値に設定することにより、各発光ユニット25,46は最高の効率で発光することができる。
【0063】
(6)有機発光部29及び有機発光部48の間に配置された電極31が、ITO膜の基板22と対応する側(基板22に近い側)の片面に有機EL素子の陰極に適した金属製で光透過性を有する薄膜層が形成された構成になっている。従って、電極31がS1,S3の開閉状態によって陽極として機能する状態に切り換えられた場合でも、陰極として機能する状態に切り換えられた場合でも適正な状態で機能することができる。
【0064】
(7)電源Eに電源スイッチSEが直列に接続されているため、制御装置35により電源スイッチSEのオンデューティを制御して、単位時間当たりに発光ユニット25,46全体に流れる平均電流量を変更することにより、照明装置45の輝度の調整が可能になる。
【0065】
(8)2組の発光ユニット25,46の発光状態を調整することで、照明装置45は白色の他に青色、黄色及び両色の中間色の光を出射することができる。従って、使用者は照明装置45の出射光の色を好みの色に変更させることができる。
【0066】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ フィールドシーケンシャル液晶表示装置11のバックライト13は、少なくとも赤、緑及び青の3原色を選択的に発光可能であればよく、赤、緑及び青の3原色を発光する発光ユニット23〜25に加えて、他の色を発光する発光ユニットを加えて4色以上の光を選択的に発光可能な構成としてもよい。他の色として、シアン、マゼンタ、イエローがある。これらの色の光を発光可能な発光ユニットを備えていると、赤、緑及び青の3原色を発光する3個の発光ユニット23〜25のみを備えた構成に比較して、色再現性を高めることができ、例えば、液晶カラーディスプレイの画質を、カラー印刷物の画質と同等にできる。
【0067】
○ 第2の実施形態において、照明装置45として第1の実施形態におけるバックライト13のように赤、緑及び青の3原色を発光する3組の発光ユニット23〜25を備えた構成や、赤、緑及び青の3原色に加えてシアン、マゼンタ、イエロー等の色を発光する発光ユニット備えた構成としてもよい。この場合、第2の実施形態の照明装置45に比較して照明装置45から出射される光の種類を多くすることができ、使用者の好みに合わせてより多くの出射光の色を選択することでできる。
【0068】
○ バックライト13及び照明装置45において、全てのスイッチング素子S1〜S3又はスイッチング素子S1,S3を開(open)状態にした際、有機EL素子26,47が光らない場合は、電源スイッチSEを省略してもよい。この場合、電源スイッチSEを設けなくても、全てのスイッチング素子S1〜S3又はスイッチング素子S1,S3を開(open)状態にすることで有機EL素子26,47の発光を停止、即ちバックライト13及び照明装置45を消灯させることができる。
【0069】
○ 電源スイッチSEのオンデューティを制御して、単位時間当たりに発光ユニット23〜25全体又は発光ユニット25,46全体に流れる平均電流量を変更することにより、バックライト13や照明装置45の輝度(発光量)を調整する構成に代えて、電源Eと直列に可変抵抗器を接続する。そして、可変抵抗器の抵抗値を変更(調整)することで、有機発光部27〜29全体に流れる平均電流量を変更(調整)する構成にしてもよい。
【0070】
○ 照明装置45としてスイッチング素子に代えて手動操作でオン・オフの切り換えが行われるスイッチを設けるとともに、スイッチを切り換えて出射光の色を選択する構成にしてもよい。
【0071】
○ 照明装置45において、複数の発光ユニットにおける発光色の中間色を調整する方法は、複数の発光ユニットの発光時間の割合、即ちスイッチング素子S1,S3のオンデューティを変更(調整)して中間色の色を変更する構成に限らない。例えば、各発光ユニットの発光時間は同じにするとともに、発光時における電流量を変更(調整)して、光が人の眼に残像として残る時間内の発光量の割合を変更することにより、中間色の色を変更する構成としてもよい。
【0072】
○ 基板22上に積層される発光ユニット23〜25,46等の積層順は、発光色が青の発光ユニット25から基板22上に積層する構成に限らず、任意の順でよい。
○ 有機発光部27〜29,48の構成は、正孔注入層36、正孔輸送層37、発光層38、電子輸送層39及び電子注入層40の構成に限らず、少なくとも発光層を含む構成であればよく、例えば、正孔輸送層37、発光層38及び電子輸送層39の3層構成や、発光層38を挟んで正孔注入輸送層と電子注入輸送層とを設けた3層構成としてもよい。また、有機発光部には、公知の有機EL層に採用され得るバッファー層や正孔ブロック層等を設けることも当然に可能である。発光層の材料によっては、有機発光部を発光層38のみから構成してもよい。
【0073】
○ 有機発光部に挟まれた電極31,32をITOと金属薄膜との積層構成とせずに、ITO単独で構成してもよい。その場合、有機発光部は、電子輸送層39及び電子注入層40を有する構成が好ましい。
【0074】
○ 基板14,15,22はガラスに限らず、透明な樹脂基板やフィルムであってもよい。
○ バックライト13及び照明装置45を構成する有機EL素子26,47は、ボトムエミッションタイプに限らず、基板22と反対側から光を出射するトップエミッションタイプとしてもよい。トップエミッションタイプの有機EL素子は、基板22と反対側に配置される電極33が透明電極で構成され、基板22側に配置される電極30は透明電極で構成されても不透明な電極で構成されてもよい。また、基板22は透明基板に限らず、不透明な基板であってもよい。電極33を陰極とする場合は薄い金属層で形成するか、電極31,32のようにITO等の導電性透明材料の膜の片面に金属層を光透過性を有するように薄い膜厚で形成するのが好ましい。
【0075】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記有機発光部は赤、緑、青の発光色となる3つの層である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施形態を示し、(a)はフィールドシーケンシャル液晶表示装置の模式図、(b)は液晶パネルとバックライトの模式部分断面図。
【図2】バックライトの電気的構成を示す模式図。
【図3】駆動回路の概略構成図。
【図4】フィールドシーケンシャル法によるフルカラー表示原理を示す図。
【図5】第2の実施形態における発光装置の模式図。
【図6】照明装置の出射光の色と、各発光ユニットの発光時間との関係を示す図。
【図7】従来技術のスタック型有機発光デバイスの模式図。
【符号の説明】
【0077】
E…電源、SE…電源スイッチ、S1,S2,S3…スイッチとしてのスイッチング素子、11…フィールドシーケンシャル液晶表示装置、12…液晶パネル、13…バックライト、23,24,25,46…発光ユニット、27,28,29,48…有機発光部、30,31,32,33…電極、35…制御手段としての制御装置、45…発光装置としての照明装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光色が異なる複数の有機発光部と、
前記有機発光部と交互に積層されるとともに前記有機発光部の数より1つ多い複数の電極と、
電源とを備える発光装置であって、
前記複数の有機発光部及び前記複数の電極は、1つの有機発光部と該有機発光部を挟む1組の電極とからなり、且つ、ダイオード特性を有する発光ユニットを複数構成しており、
前記発光ユニットを構成する少なくとも一方の電極は他の発光ユニットの電極を兼ねており、
隣り合う前記発光ユニットのダイオード特性は同じ向きであり、
前記各発光ユニットの前記有機発光部を挟む1組の電極間には該有機発光部に対して
並列に接続されたスイッチが設けられており、
前記各スイッチは前記電源に対して直列に接続されており、
前記複数の発光ユニットのうち発光させたい一の発光ユニットの有機発光部に対して並列に接続された前記スイッチを開状態に制御するとともに残りの発光ユニットの前記スイッチを閉状態に制御する制御手段を備えている
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数の発光ユニットが順次発光するように前記各スイッチを1つずつ順次開状態に切り替え制御し、且つ、前記各スイッチのオンデューティを制御することにより単位時間当たりに各発光ユニットの前記有機発光部に流れる電流量を変更する請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記電源には電源スイッチが設けられ、前記制御手段は、前記電源スイッチのオンデューティを制御することにより単位時間当たりに前記複数の発光ユニット全体に流れる平均電流量を制御する請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
少なくとも赤、緑及び青の3原色を選択的に発光するバックライトと、前記バックライトの発光に同期して特定領域を選択的に透光可能として開口することにより前記バックライトからの出射光で所望の表示を行う液晶パネルとを備えるフィールドシーケンシャル液晶表示装置であって、
前記バックライトは、
発光色が赤、緑及び青の3つの有機発光部を含む複数の有機発光部と、
前記各有機発光部と交互に積層されるとともに前記有機発光部の数より1つ多い複数の電極と、電源とを備え、
前記複数の有機発光部及び前記複数の電極は1つの有機発光部と該有機発光部を挟む1組の電極とからなり、且つ、ダイオード特性を有する発光ユニットを複数構成しており、
前記発光ユニットを構成する少なくとも一方の電極は他の発光ユニットの電極を兼ねており、
隣り合う前記発光ユニットのダイオード特性は同じ向きであり、
前記発光ユニットの前記有機発光部を挟む1組の電極間には該有機発光部に対して並列に接続されたスイッチが設けられており、
前記各スイッチは前記電源に対して直列に接続されており、
前記複数の発光ユニットが順次発光するように前記各スイッチを1つずつ順次開状態に切り替え制御するとともに残りのスイッチを閉状態に制御する制御手段を備えていることを特徴とするフィールドシーケンシャル液晶表示装置。
【請求項5】
発光色が異なる複数の有機発光部と、
前記有機発光部と交互に積層されるとともに前記有機発光部の数より1つ多い複数の電極と、電源とを備え、
前記複数の有機発光部及び前記複数の電極は1つの有機発光部と該有機発光部を挟む1組の電極とからなり、且つ、ダイオード特性を有する発光ユニットを複数構成しており、
前記発光ユニットを構成する少なくとも一方の電極は他の発光ユニットの電極を兼ねており、
隣り合う前記発光ユニットのダイオード特性は同じ向きであり、
前記各発光ユニットの前記有機発光部を挟む1組の電極間には該有機発光部に対して並列に接続されたスイッチが設けられており、
前記各スイッチは前記電源に対して直列に接続されている発光装置の駆動方法であって、
前記複数の発光ユニットのうち発光させたい一の発光ユニットの有機発光部に対して並列に接続された前記スイッチを開状態に制御するとともに残りのスイッチを閉状態に制御することを特徴とする発光装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−172945(P2007−172945A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366977(P2005−366977)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】