発光装置
所定の領域の波長の光を発する少なくとも一つの発光素子と、銅とアルカリ土金属物質とを含み、希土類により活性化される無機物混性結晶を含み、前記発光素子の周りに配置されて前記発光素子から発せられた光の一部を吸収して吸収光とは異なる波長の光を発する蛍光物質と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に係り、特に、少なくとも一つの発光素子と、銅を含有し、且つ、発光素子から発せられる光の波長を変換するような蛍光物質とを含む波長変換発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に汎用されていた発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が自動車及び照明用の製品に発光素子として応用される傾向にある。LEDは、電気的及び機構的な特性に極めて優れていることから、今後、それに対する需要がなお一層増大すると見込まれている。この点、蛍光灯または白熱灯に代わりうる白色LEDへの関心が集中している。
【0003】
LEDの技術分野において白色の実現方式は種々提案されている。通常の白色LEDの実現技術は、発光素子の周りに蛍光物質を配置し、発光素子の1次発光の一部と蛍光物質により波長変換された2次発光との混色により白色を実現する方式である。例えば、WO98/05078号及びWO98/12757号には、450nm〜490nmの青色発光素子と、青色発光素子の発光を吸収してほとんどが黄色の蛍光光線に変換するYAG系蛍光物質を含む白色LEDが開示されている。
【0004】
しかしながら、従来の白色LEDは、色温度が6、000〜8、000°Kとその範囲が狭く、演色性も60〜75と低くて冷たい青色−白色光のみを与えていた。このため、所望の色座標または色温度を与える白色LEDを提案することが困難であるという問題があり、特に、自然光に近い光を実現するのに限界がある。
そして、湿気に敏感な蛍光物質を用いる従来の白色LEDは、水、水蒸気または極性溶媒によりその発光特性が不安定である。これは、白色LEDの発光特性を変化させる要因となっている。
【0005】
LEDを用いる照明用の光源装置は、所定の工程を通じてパッケージングされた多数の白色LEDと、白色LEDが実装されるプリント回路基板と、プリント回路基板の上に形成されて白色LED同士を接続する回路パターンにより接続された白色LEDと接続された保護回路及び/または交流/直流変換器と、を備えている。
【0006】
しかしながら、多数の白色LEDを製造するためには、それぞれのLEDに金属配線工程を行うことを余儀なくされるため、工数が増大して複雑になるという問題が発生する。これにより、不良の発生率が高くなり、量産に難点があり、所定の衝撃により金属配線が短絡されて白色LEDの動作が終了することがある。なお、パッケージングされた白色LEDを配列することにより嵩が大きくなってしまい、これは照明用の光源の肥大化につながるという短所がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、2,000°K〜8,000°Kまたは10,000°K程度と広い範囲の色温度を提供することができ、しかも、90以上の演色性(CRI)を有する波長変換発光装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、所望の色座標または色温度を容易に実現可能な波長変換発光装置を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、発光特性を高めるだけではなく、水、湿気、及び極性溶媒に強い耐環境性に優れた発光装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、家電製品、オーディオ、及び通信製品などの電子機器だけではなく、各種のディスプレイ、自動車、医療用の機器、測定機器、照明用の製品などに応用可能な発光装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ウェーハのレベルで多数の発光セルを直列/並列接続して家庭用の交流電源において白色光を発する照明用の発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、所定の領域の波長の光を発する少なくとも一つの発光素子と、ホストラチス要素(host lattice component)として銅−アルカリ土金属無機混性結晶を含み、希土類により活性化される化合物を含み、前記発光素子の周りに配置されて前記発光素子から発せられた光の一部を吸収して吸収光とは異なる波長の光を発する蛍光物質と、を備えることを特徴とする発光装置を提供する。
【0010】
ここで、前記化合物は下記の一般式1で表わされ、
[式1]
a(M’O)b(M’’O)c(M’’’X)d(M’’’2O)e(M’’’’2O3)f(M’’’’’oOp)g(SiO2)h(M’’’’’’xOy)
【0011】
式中、M’はCuであり、
M’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn、2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag、1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はB、Al、Ga、Inよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はGe、V、Nb、Ta、W、Mo、Ti、Zr、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Sb、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
【0012】
ここで、
0<a≦2
0<b≦8
0≦c≦4
0≦d≦2
0≦e≦2
0≦f≦2
0≦g≦10
0<h≦5
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
で表わされる銅−アルカリ−土類が優勢なシリケート化合物を含むことを特徴とする。
【0013】
そして、前記化合物は下記の一般式2で表わされ、
[式2]
a(M’O)b(M’’2O)c(M’’X)d(GeO2)e(M’’’O)f(M’’’’2O3)g(M’’’’’oOp)h(M’’’’’’xOy)
【0014】
式中、M’はCuであり、
M’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag、1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn、2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はSc、Y、B、Al、Ga、In、La、3価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はSi、Ti、Zr、Mn、V、Nd、Nb、Ta、W、Mo、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Tbよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
【0015】
ここで、
0<a≦2
0≦b≦2
0≦c≦10
0<d≦10
0≦e≦14
0≦f≦14
0≦g≦10
0≦h≦2
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
で表わされる銅−アルカリ−土類が優勢なゲルマネート及び/またはゲルマネート−シリケート化合物を含むことを特徴とする。
【0016】
このとき、前記銅−アルカリ−土類が優勢な化合物のストロンチウム濃度が好ましくは0.4モル/モル蛍光体未満であることを特徴とする。
【0017】
上述した化合物は1種またはそれ以上の300−400nm範囲内の紫外線光及び/または380−500nm範囲内の青色光により演色性90以上の可視光領域内の光に波長変換することを特徴とする。前記化合物は演色性90以上の白色光を発するために単一蛍光体及び/または他の蛍光体と混合されることを特徴とする。上記の蛍光物質は前記発光素子の側面、上面、及び下部面のうち少なくともいずれかの面に配置されるか、あるいは、接着剤またはモールド材に混合されていることを特徴とする。
【0018】
上述した発光素子及び前記蛍光物質がパッケージ内に組み込まれていることを特徴とする。このとき、前記パッケージはリフレクタ付き基板の上部に前記少なくとも一つの発光素子が実装され、前記発光素子の周りに前記蛍光物質が配置されていることを特徴とする。そして、前記基板上において前記発光素子及び前記蛍光物質を封止するモールド部を備えることを特徴とする。もちろん、前記モールド部に前記蛍光物質が一様に分布されていることを特徴とする。
【0019】
上記のパッケージは前記少なくとも一つの発光素子から発せられる熱を放熱するヒートシンクを備え、前記発光素子の周りに前記蛍光物質が配置されている高出力用のものであることを特徴とする。
【0020】
前記発光素子は垂直型、水平型及びフリップチップ構造の発光素子であることを特徴とする。そして、前記発光素子は多数の発光セルが単一基板内において直列または並列接続されることを特徴とする。このとき、前記発光セルは水平型、垂直型及びフリップチップ型の発光セルであることを特徴とする。また、前記直列接続された発光セルに整流電源を印加するための整流ブリッジ部をさらに備えることを特徴とする。そして、直列接続された多数の発光セルが複数のブロックを形成し、これらのブロックが逆並列接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明による蛍光物質は、発光特性を向上することができ、しかも、水、湿気、極性溶媒に強い耐環境性を高めることができる。
また、発光装置内の蛍光物質に他の蛍光体を混合したとき、約2000°Kから8000°Kまたは10000°Kまでの高い色温度と90以上の演色性を有することができる。
さらに、本発明は所望の色座標または色温度を容易に実現することができる。
さらにまた、本発明の発光装置は、発光の強度、色温度及びカラー再現率が高く、しかも、ユーザー目的の色座標値の発光を容易に実現することができることから、携帯電話やノート型パソコン、さらには、各種の電子製品、オーディオ、及び通信製品などの電子機器だけではなく、各種のディスプレイのキーパッド用やバックライト用に種々に採用することができ、自動車、医療用の機器、測定機器及び照明用などにも応用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。しかし、本発明は後述する実施の形態に限定されるものではなく、相異なる形で実現可能であり、これらの実施の形態は、単に本発明の開示を完全たるものにし、且つ、この技術分野における通常の知識を持った者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。図中、同じ符号は同じ要素を示す。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施例による発光装置の断面図であって、少なくとも一つの発光素子及び蛍光物質が組み合わされたチップ型パッケージが示してある。
図1に示すように、チップ型発光装置40は、プリント回路基板1の両端部にそれぞれ電極パターン5が設けられており、一方の電極パターン5の上に1次光を発する発光素子6が実装されており、発光素子6は伝導性接着剤9を介して電極パターン5に実装され、発光素子6の電極と他方の電極パターンとは導電性ワイヤ2により接続されている。
【0024】
発光素子6は、紫外線光領域から可視光領域の光を発する発光素子の中から選択可能である。ここで、紫外線発光素子及び/または青色発光素子を採用することが好ましい。なお、発光素子6の詳細については後述する。
【0025】
発光素子6の上面及び側面には蛍光物質3が配置されている。蛍光物質3は発光素子から発せられる1次光を可視光線スペクトル領域内の2次光に波長変換する。この蛍光物質3は、硬化性樹脂、例えば、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂に混合された形で各発光素子6に塗布可能である。また、蛍光物質3は、伝導性接着剤9に混合された形で各発光素子6の下部面にも配置することができる。
【0026】
ここで、発光素子6の実装されたプリント回路基板1の上部は硬化性樹脂によりモールドされており、蛍光物質3が発光素子6の上面及び側面に一定の厚さに点在されているが、モールド部10に全体に亘って一様に分布されるように製作可能であることは言うまでもない。このような製造方法は先願の米国出願6,482,664号に開示されている。
【0027】
一方、蛍光物質3は銅を含有する化合物を含んでなる。化合物及びこれを含んでなる蛍光物質の詳細については後述する。このような蛍光物質は希土類成分を含むことが好ましく、単一の化合物または複数の単一化合物が選択的に混合された形で構成される。例えば、その発光ピークが400nm〜500nm、500nm〜590nm、及び580nm〜700nmのうち少なくともいずれかの範囲を有する化合物を用いることができ、上記の発光ピークを有する多数の化合物を混合して構成してもよい。
【0028】
上記の本発明の第1の実施例によるチップ型発光装置40においては、発光素子6に電極パターン5を介して外部電源が供給される。これにより、発光素子6から1次光が発せられ、蛍光物質3は1次光により励起されながら、1次光の波長を変換して長波長の2次光を発する。これにより、発光素子6から発せられる1次光と、蛍光物質により波長変換された2次光が混色されて、当該可視光線スペクトル領域の色が実現される。ここで、この発光装置には異なるピーク波長を有する2以上の発光素子を実装してもよいことは言うまでもない。また、蛍光物質の配合比を適切に調節すると、ユーザ目的の色座標の色を容易に実現することができる。
【0029】
このように、発光素子及び蛍光物質を構成する化合物を適切に調節すると、ユーザ目的の色温度または特定の色座標の光を実現することができ、特に、2、000°K〜8,000°Kまたは10,000°Kと広い範囲の色温度及び90以上の演色性を与えることができる。このため、本発明による発光装置は、家電製品、オーディオ、及び通信製品などの電子機器だけでなく、屋内外の各種のディスプレイにも容易に応用することができ、特に、自然光に近い色温度及び演色性を与えることが可能になることから、自動車及び照明用の製品に代えうるものとなる。
【0030】
図2は、本発明の第2の実施例による塔型パッケージ発光装置の断面図である。
図2に示すように、塔型パッケージ発光装置50は、上述したチップ型パッケージ発光装置(図1における40を参照)とほとんど同じ構造を有し、プリント回路基板1の上にリフレクタ31をさらに備える。リフレクタ31は発光素子6から発せられる発光を所望の方向に反射する役割を果たす。
【0031】
この実施例における蛍光物質3は銅−アルカリ土金属無機混性結晶物質を含み、希土類成分により活性化される化合物を含む。なお、蛍光物質の詳細について後述する。
【0032】
この種の塔型パッケージ50にも異なるピーク波長を有する2以上の発光素子を実装することができる。そして、異なる発光ピークを有する複数の化合物を選択的にあるいはその配合比を異ならせて混合した蛍光物質を提供することが可能である。このような蛍光物質はリフレクタ31内において発光素子6の上に塗布されるか、あるいは、モールド部10に一様に分布される。
【0033】
一方、図1及び図2に示す発光装置は熱伝導性に優れた金属性材料のプリント回路基板1を用いることができる。上述した構造は発光素子の作動時に発生する熱を容易に放熱することができ、結果として、高出力発光装置を製造することができる。ここで、別途の放熱板(図示せず)をさらに取り付けると、発光素子からの熱をなお一層効率よく放熱することができる。
【0034】
図3は、本発明の第3の実施例によるランプ型パッケージ発光装置の断面図である。
図3に示すように、ランプ型パッケージ発光装置60は、1対のリード電極51、52を備え、一方のリード電極51の上端部に素子ホルダ53が形成されている。素子ホルダ53はカップ状を有し、その内部に少なくとも一つの発光素子6が実装されていてもよい。複数の発光素子が実装される場合、各発光素子は異なるピーク波長を有してもよい。実装された発光素子の電極は他方の電極リード52と伝導性ワイヤ2により接続可能である。
【0035】
カップ状の素子ホルダ53の内部には一定量の蛍光物質3入りの樹脂が塗布されている。蛍光物質3は希土類成分により活性化され、銅−アルカリ土金属物質を含む。なお、蛍光物質3の詳細については後述する。
そして、発光素子6と蛍光物質3とが組み合わされた素子ホルダ53の外部は硬化性樹脂、例えば、エポキシまたはシリコンなどによりモールドされている。
このランプ型パッケージ発光装置60においては1対のリード電極を備える実施例について説明したが、1対以上のリード電極を備えてもよいことは言うまでもない。
【0036】
図4及び図5は、本発明の第4の実施例による高出力用発光装置の概略断面図である。
図4に示すように、高出力用発光装置70は、筐体73内にヒートシンク71が収められて部分的に外部に露出され、1対のリードフレーム74が外部に突出している。ヒートシンク71の上面には少なくとも一つの発光素子6が実装され、発光素子6とリードフレーム74とは伝導性ワイヤを介して接続される。蛍光物質3が発光素子6の上面及び側面に配置されている。
【0037】
また、図5に示すように、高出力用発光装置80は複数に仕切られたヒートシンク61、62にそれぞれ発光素子6、7が実装されており、発光素子6、7の上面及び側面に蛍光物質3が配置された筐体63を備える。外部電源が供給される複数のリードフレーム64が筐体63の外部に突出している。
【0038】
このように、図4及び図5の高出力用発光装置70、80においても、ヒートシンク61、62と各発光素子6、7との間の接着部分に蛍光物質3を介装することができる。そして、筐体63、73の上部にレンズを設けてもよい。
【0039】
このような高出力用発光装置70、80においても、単一または複数の発光素子6、7を選択的に用いることができ、発光素子に合わせて蛍光物質を調節することができる。一方、蛍光物質3として希土類成分を含み、且つ、銅を含有する化合物を用いることができる。なお、蛍光物質の詳細については後述する。
【0040】
一方、このような構成の高出力用パッケージ発光装置70、80においては、発光素子6、7が駆動されて発生する熱を効率よく放熱するために、ヒートシンク61、62とは別途に、あるいは、一体に放熱板(図示せず)を取り付けることが好ましい。放熱板はファンなどを用いた強制循環方式により冷却可能であることは言うまでもない。
【0041】
本発明の発光装置は上述した構造に限定されるものではなく、発光素子の特性、蛍光物質の特性、目標とする光の波長及び使用用途に応じて種々の構造に変更可能であり、新規な構造物をさらに追加してもよい。
【0042】
以下、上述した実施例における発光素子6について詳述する。
図6は、本発明の第1の変形例による水平型発光素子の断面図である。
図6に示すように、水平型発光素子は、基板110と、基板110の上に順次に積層されたバッファ層120と、N型半導体層130と、活性層140及びP型半導体層150を備え、前記P型半導体層150及び活性層140の一部が除去されて露出されたN型半導体層130の上に形成されたN型ボンドパッド180と、P型半導体層150の上に形成されたオーミック接続膜160と、その上部に形成されたP型ボンドパッド170と、を備える。
【0043】
上記の基板110はその上部に形成されるべき半導体層の物質特性に応じて、Al2O3、SiC、ZnO、Si、GaAs、GaP、LiAl2O3、BN、AlN及びGaNのうち少なくともいずれか1種のウェーハを用いることが好ましい。この実施例においては、サファイア基板を用いている。
【0044】
次に、バッファ層120は、結晶の成長時に基板110と後続層との間の格子不整合を低減するための層であって、半導体材料としてのGaNを含んでなる。このようなバッファ層120は基板110の材質に応じて絶縁層/半絶縁層/伝導層から構成することができる。N型半導体層130は電子が生成される層であって、N型化合物半導体層とN型クラッド層とから形成される。このとき、N型化合物半導体層はN型不純物がドープされているGaNを用いる。P型半導体層150は正孔が生成される層であって、P型クラッド層とP型化合物半導体層とから形成される。このとき、P型化合物半導体層はP型不純物がドープされているAlGaNを用いる。
【0045】
活性層140は所定のバンドギャップと量子井戸が生成されて電子及び正孔が再結合される領域であって、InGaNを含んでなる。また、活性層140を形成する物質の種類に応じて、電子及び正孔が結合して発生する発光波長が変化する。このため、目標とする波長に応じて活性層140に含まれる半導体材料を調節することが好ましい。
【0046】
N型ボンドパッド180とP型ボンドパッド170とは発光素子6を外部の導電性ワイヤ(図1における2を参照)と電気的に接続するためのパッドであって、金属性物質を用いるが、好ましくは、Ti/Auの積層構造を用いる。また、上述したオーミック接続膜160はP型ボンドパッド170を介して入力される電圧をP型半導体層150に均一に伝える役割を果たす。オーミック接続膜160として透明電極のITOを用いる。
【0047】
以下、このような水平型発光素子の製造方法について説明する。
基板110の上にバッファ層120、N型半導体層130、活性層140及びP型半導体層150を順次に結晶成長させる。P型半導体層150の上にオーミック接続膜160をさらに形成してもよい。それぞれの層は、上述した物質を蒸着するために、有機金属化学蒸着法(MOCVD;Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、分子線成長法(MBE;Molecular Beam Epitaxy)、水素化物気相成長法(HVPE;Hydride Vapor Phase Epitaxy)などを始めとする種々の蒸着及び成長方法により形成される。
【0048】
この後、マスクを用いたフォトエッチング工程を行い、N型半導体層130の一部を開放する。すなわち、前記マスクをエッチングマスクとするエッチング工程を通じてP型半導体層150、活性層140及びN型半導体層130の一部を除去してN型半導体層130を露出させる。
【0049】
前記マスクを除去した後、開放されたN型半導体層130の上にN型ボンドパッド180を形成し、P型半導体層150のオーミック接続膜160の上にP型ボンドパッド170を形成する。これにより、N型ボンドパッド180とP型ボンドパッド170とが水平面の上に設けられた水平型発光素子を製造する。
【0050】
以下、垂直型発光素子について説明する。なお、後述する説明のうち上述した説明と重なる説明は省略する。
図7は、本発明の第2の変形例による垂直型発光素子の断面図である。
図7に示すように、垂直型発光素子は、P型ボンドパッド170、オーミック接続膜160、P型半導体層150、活性層140、N型半導体層130及びN型ボンドパッド180が順次に積層されてなる。すなわち、垂直型発光素子は、上述した水平型発光素子に比べてP型ボンドパッド170とN型ボンドパッド180がそれぞれ発光素子の下側領域及び上側領域に設けられる。
【0051】
この種の垂直型発光素子の製造工程を説明すると、基板110の上にバッファ層120、N型半導体層130、活性層140、P型半導体層150、オーミック接続膜160及びP型ボンドパッド170を形成する。この後、前記P型ボンドパッド170の上に図示しないホスト基板を取り付けた後、N型半導体層130の下側の基板110及びバッファ層120を除去してN型半導体層130を露出させる。この後、露出されたN型半導体層130の上にN型ボンドパッド180を形成して垂直型発光素子を製造する。
【0052】
以下、フリップチップ構造の発光素子について説明する。なお、後述する説明のうち上述した説明と重なる説明は省略する。
図8は、本発明の第3の変形例によるフリップチップ構造の発光素子の断面図である。
図8に示すように、フリップチップ構造の発光素子は、第1及び第2の外部パッド210、220が設けられたサブマウント基板200と、サブマウント基板200の第1及び第2の外部パッド210、220のそれぞれに第1及び第2の金属バンプ190、195を介してオーミック接続膜160及びN型半導体層130が接続された水平型発光素子と、を備える。フリップチップ構造の発光素子は光の出射方向が水平型とは逆方向になるように形成され、サブマウント基板200として反射効率の高い物質を用いて基板に向かって発せられた光を全面に反射することができる。
【0053】
以下、上述した水平型、垂直型及びフリップチップ構造の多数の発光セルがウェーハのレベルで直列及び/または並列接続されて交流電源においても駆動可能な発光素子について説明する。まず、上記の水平型発光素子が単一の素子に切断されることなく、ウェーハのレベルでセル単位に接続されている交流駆動可能な水平型発光素子について説明する。なお、後述する説明のうち上述した説明と重なる説明は省略する。
【0054】
図9及び図10は、本発明の第4の変形例による交流駆動可能な水平型発光素子の断面図である。
図9及び図10に示すように、交流駆動可能な水平型発光素子は多数の水平型発光セル100−1〜100−nが直列接続されている。すなわち、発光素子は隣り合う水平型発光セル100−1〜100−nのN型半導体層130とP型半導体層150とが電気的に接続され、一端側の発光セル100−nのN型半導体層130の上にN型ボンドパッド180が形成され、他端側の発光セル100−1のP型半導体層150の上にP型ボンドパッド170が形成された多数の水平型発光セル100を備える。
【0055】
隣り合う水平型発光セル100−1〜100−nのN型半導体層130とP型半導体層150とは所定の金属配線101を用いて電気的に接続する。また、水平型発光セル100−1〜100−nを直列接続して交流駆動可能な電圧の数だけ形成することが有効である。この変形例においては単一の発光セル100を駆動するための電圧/電流と発光素子に印加される交流駆動電圧に応じて直列または並列接続される発光セル100の数が多様になる。好ましくは、10〜1000個のセルを直列接続する。より好ましくは、30〜70個のセルを直列接続することが有効である。例えば、220V交流駆動においては一定の駆動電流に3.3Vの単位発光セル100を66〜67個直列接続して発光素子を製作する。また、110V交流駆動においては一定の駆動電流に3.3Vの単位発光セル100を33〜34個直列接続して発光素子を製作する。
【0056】
図9及び図10に示すように、第1〜第nの発光セル100−1〜100−nが直列接続された発光素子において、第1の発光セル100−1のP型半導体層150の上にP型ボンドパッド170が形成され、第1の発光セル100−1のN型半導体層130と第2の発光セル100−2のP型半導体層150とが第1の配線101−1を介して接続される。また、第2の発光セル100−2のN型半導体層130と第3の発光セル(図示せず)のP型半導体層とが第2の配線101−2を介して接続される。そして、第n−2の発光セル(図示せず)のN型半導体層(図示せず)と第n−1の発光セル100−n−1のP型半導体層150とが第n−2の配線101−n−2を介して接続され、第n−1の発光セル100−n−1のN型半導体層130と第nの発光セル100−nのP型半導体層150とが第n−1の配線101−n−1を介して接続される。また、第nの発光セル100−nのN型半導体層130にN型ボンドパッド180が形成される。このとき、それぞれの半導体層の上には金属電極としてのパッドが形成されてこれらのパッド同士を配線により接続する。
【0057】
この変形例の基板110は多数の発光素子を製作可能な基板であってもよい。ここで、図9及び図10におけるA領域をこれらの多数の発光素子を個々に切断するための切断領域と言う。
また、上述した発光素子は外部交流電圧を整流するための整流用の第1〜第4のダイオード部(図示せず)が同じ基板内に形成可能である。第1〜第4のダイオード部は整流ブリッジ状に配列される。第1〜第4のダイオード部間の整流ノードが直列接続された発光セル100のN型ボンドパッド180とP型ボンドパッド170に接続可能である。前記第1〜第4のダイオードとして発光セルを用いることができる。
【0058】
以下、上述した多数の発光セルが直列接続された発光素子の製造方法を簡略的に説明する。
基板110の上にバッファ層120、N型半導体層130、活性層140及びP型半導体層150を順次に成長させる。P型半導体層150の上にオーミック接続膜160を形成する。
【0059】
所定のパターニング工程を通じてN型半導体層130の一部を開放し、且つ、それぞれの発光セル100に分離する。前記パターニング工程は発光素子の上に感光膜を塗布して、所定の領域が開放された感光膜マスク(図示せず)を形成する。所定の領域とは発光セル100同士の領域及び開放されるN型半導体層130領域をいい、感光膜マスクを用いてエッチング工程を行う。P型半導体層150、活性層140及びN型半導体層130の一部をエッチングしてN型半導体層130を開放し、エッチング工程を行い続けることにより発光セル100を個々に分離する。
【0060】
これらに加えて、多数回に亘ってパターニング工程を行い、N型半導体層130の一部を開放した後、それぞれの発光セルに分離することができる。すなわち、図9に示すように、P型半導体層150、活性層140及びN型半導体層130の一部をエッチングしてN型半導体層130の一部を露出させ、別途の工程を通じてP型半導体層150、活性層140、N型半導体層130及びバッファ層120をエッチングしてそれぞれの発光セル100に分離する。または、図10に示すように、バッファ層120が絶縁層よりなる場合、N型半導体層130までをエッチングして電気的に絶縁された発光セル100を形成してもよい。前記パターニング工程に際しては、ウェットエッチングまたはドライエッチングを行うことができ、この変形例においてはプラズマを用いたドライエッチングを行った方が有効である。
【0061】
上述した製造工程と同じ方法を用いて整流ブリッジ用のダイオードも一緒に形成することができる。もちろん、通常の半導体製造工程を適用して整流ブリッジ用のダイオードを形成してもよい。
【0062】
この後、ブリッジ工程またはステップカバーレッジ工程などを通じてそれぞれ隣り合う発光セル100−1〜100−nのN型半導体層130とP型半導体層150とを電気的に接続する導電性配線101−1〜101−n−1を形成する。導電性配線101−1〜101−n−1は導電性の物質を用いて形成し、金属または不純物によりドープされたシリコン化合物を用いて形成することができる。
【0063】
上述したブリッジ工程はエアブリッジ工程とも呼ばれ、互いに接続すべき発光セル間にフォト工程を用いて感光液を塗布し、それぞれの半導体層上の金属電極としてのパッドの少なくとも一部の領域だけが開放されるように感光膜パターンを現像し、その上に金属などの物質を真空蒸着などの方法により先に薄膜として形成し、さらにその上にめっきまたは金属蒸着などの方法により金を含有する導電性物質を一定の厚さに塗布する。この後、ソルベントなどの溶液により感光膜パターンを除去すると、図9及び図10に示すように、導電性物質の下部は完全に除去されてブリッジ状の導電性物質が形成される。
【0064】
また、ステップカバーレッジ工程は、互いに接続すべき発光セル間にフォト工程を用いて感光液を塗布し、それぞれの半導体層上の金属電極であるパッドの少なくとも一部の領域だけが開放されるように感光膜パターンを現像し、その上にめっきまたは金属蒸着などの方法により金を含有する導電性物質を一定の厚さに隣り合う発光セル間の電極が接続されるように塗布して発光セル同士を電気的に接続する役割を果たす。
上述した本発明の発光素子の製造は一実施例に過ぎず、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、種々の工程と製造方法が素子の特性及び工程の便宜により変更または追加可能である。
【0065】
以下、交流駆動可能な垂直型発光素子について説明する。なお、後述する説明のうち上述した説明と重なる説明は省略する。
図11〜図13は、本発明の第5の変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の断面図である。
【0066】
図11〜図13に示すように、交流駆動可能な垂直型発光素子は、多数の導電性接続膜320がパターニングされたマウント基板310と、導電性接続膜320の上にP型ボンドパッド170がそれぞれ接続された多数の垂直型発光セル300と、前記導電性接続膜と垂直型発光セルとの間を接続するための導電性配線301と、を備える。
【0067】
この変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の製造方法を図11に基づき説明すると、所定の導電性接続膜320が形成されたマウント基板310の導電性接続膜320の上に垂直型発光セル300のP型ボンドパッド170を貼り合わせる。
【0068】
マウント基板310の上に形成された導電性接続膜320は発光セル300を直列接続するための種々のアレイが採用可能である。もちろん、導電性接続膜320は目標とする発光セル300の数に見合う分だけ形成し、発光セル300のサイズよりも一方の方向に長く形成する。また、それぞれの導電性接続膜320は電気的に絶縁され、且つ、物理的に分離されている。
【0069】
このとき、この変形例においてはマウント基板310の上に導電性接続膜320が形成されているため、発光セル300のP型ボンドパッド170を形成することなく、基板201上の導電性接続膜320をP型ボンドパッド170として用いることができる。また、この変形例においてはP型ボンドパッド170がマウント基板310に貼り合わせられているが、N型ボンドパッド180がマウント基板310に貼り合わせられていてもよく、このとき、N型ボンドパッド180を形成しなくてもよい。
【0070】
ここで、発光セル300のP型ボンドパッド170とマウント基板310の導電性接続膜320とを貼り合わせるために導電性のペーストを用いる。もちろん、この以外の種々の方法を用いて貼り合わせることもできる。このとき、図11に示すように、導電性接続膜320の一方に発光セル300を整列して他方に導電性接続膜320を露出させる。
【0071】
この後、一方の発光セル300のP型ボンドパッド170と接続された導電性接続膜320は隣り合う他方の発光セル300のN型ボンドパッド180と導電性配線301を介して電気的に接続される。これにより、一方の発光セル300のP型ボンドパッド170は導電性接続膜320と導電性配線301を介して隣り合う他方の発光セル300のN型ボンドパッド180と接続されて多数の発光セル300が直列接続される。
【0072】
以下、図12に基づき、この変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の製造方法を説明する。
まず、マウント基板310の上にN型半導体層130、活性層、P型半導体層150及びN型半導体層130とP型半導体層150の各上部にボンドパッド180、170が形成された多数の垂直型発光セル300を貼り合わせる。
【0073】
マウント基板310として、Al2O3、SiC、ZnO、Si、GaAs、GaP、LiAl2O3、BN、AlN及びGaNのうち少なくともいずれか一種の基板を用いることができ、樹脂、プラスチックなどの絶縁性の基板を用いることができ、熱伝導性に優れた基板を用いることもできる。もし、伝導性の基板を用いる場合には、絶縁のためにその上部表面に絶縁層が形成された基板を用いる。
【0074】
前記発光セル300はマウント基板310の上に所定のペースト(図示せず)により貼り付けられる。このとき、発光セル300のP型ボンドパッド170がマウント基板310の上に貼り付けられる。もちろん、これら以外の種々の方法を用いて貼り付けることができる。すなわち、この変形例においてはP型パッド170がマウント基板310に貼り合わせられているが、N型ボンドパッド180がマウント基板310に貼り合わせられていてもよい。
【0075】
次に、所定のエッチング工程を通じてN型ボンドパッド180、N型半導体層130、活性層140及びP型半導体層150の一部をエッチングして下部のP型ボンドパッド170の一部を露出させる。これにより、図12に示すように、発光セル300のP型ボンドパッド170一部が露出された形状となる。所定の配線形成工程を通じて隣り合う発光セル300間の電極同士を接続する。すなわち、一方の発光セル300の露出されたP型ボンドパッド170と、これと隣り合う他方の発光セル300のN型ボンドパッド180とを導電性配線301により接続する。このとき、ブリッジ工程またはステップカバーレッジ工程を通じてそれぞれ隣り合う発光セル300のN型ボンドパッド180とP型ボンドパッド170との間を電気的に接続する導電性配線301を形成する。
【0076】
この変形例の発光素子の一端部に位置している発光セル300のP型ボンドパッド170と他端部に位置している発光セル300のN型ボンドパッド180のそれぞれに別途の外部端子電極(図示せず)を形成して外部より所定の電源を入力可能にする。
【0077】
以下、図13に基づき、交流駆動可能な垂直型発光素子の製造方法を説明する。
上述したように、垂直型発光セル300をマウント基板310の上に貼り合わせた後、所定のエッチング工程を通じてP型ボンドパッド170の一部を露出させる。
【0078】
次に、露出されたP型ボンドパッド170と隣り合う発光セル300との間のマウント基板310の上に後続する配線とのショートを防ぐための所定の絶縁膜302を形成する。この後、所定の金属配線工程を用いて隣り合う発光セル300間の電極同士を導電性配線301により接続する。このような絶縁膜302及び導電性配線301はプリント工程を通じて形成することができ、所定の蒸着、パターニング及びエッチング工程を通じて形成することもできる。
【0079】
発光素子の製造方法は上述した工程に限定されるものではなく、発光セルのエッチングを行うことなく、発光セルよりも広幅の電極パターンを基板の上に形成した後、その上部に発光セルを貼り合わせることができる。上述した変形例においては、P型パッドが基板に貼り合わせられているが、N型パッドが基板に貼り合わせられていてもよい。
【0080】
上述した変形例はそれぞれの変形例に限定されるものではなく、それぞれの変形例間の変換が可能である。すなわち、半導体層の形成に際しても、多数の半導体膜がさらに形成されてもよく、隣り合う発光セル同士を接続するために別途の絶縁膜を形成して隣り合うセル同士を電気的に絶縁させた後、それぞれの電極を露出させてこれらを所定の配線により接続してもよい。
【0081】
以下、交流駆動可能なフリップチップ構造の発光素子について説明する。なお、後述する説明のうち上述した説明と重なる説明は省略する。
図14及び図15は、本発明の第6の変形例による交流駆動可能なフリップチップ構造の発光素子の断面図である。
【0082】
図14及び図15に示すように、交流駆動可能なフリップチップ構造の発光素子は基板110の上に多数の水平型発光セルがアレイ状に配置されている。このとき、水平型発光セルのオーミック接続膜160の上に第1の金属バンプ190を形成し、N型半導体層130の上には第2の金属バンプ195が形成されている。
【0083】
前記水平型発光セルがアレイ状に配置された基板110は下部サブマウント基板400に実装される。
上記のサブマウント基板400の表面には誘電体膜410が設けられ、その上部には多数の導電性配線430が形成され、両周縁部には第1のボンド配線440と第2のボンド配線450が設けられる。
【0084】
上記のサブマウント基板400としては、電気伝導性及び熱伝導性を有する種々の膜質を用いる。すなわち、SiC、Si、Ge、SiGe、AlN、金属などを用いることができる。誘電体膜410としては、電流が1μm以下のあらゆる誘電物質を用いることができる。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、電流が全く流れない絶縁物質を用いてもよい。また、誘電体膜410は多層に形成することもできる。この実施例においては、誘電体膜410としてSiO2、MgO及びSiNのうち少なくともいずれか一種を用いている。
【0085】
以下、上述した構成を有するフリップチップ構造の発光素子用のサブマウント基板の製作方法を説明する。
まず、サブマウント基板400をパターニングして、図14に示すように、凹凸状にする。凹凸表面の上に誘電体膜410を形成する。このとき、サブマウント基板400として導電性物質を用いない場合には、誘電体膜410を形成しなくてもよい。この実施例においては、熱伝導率の向上のために電気伝導性に優れた金属性物質を用いる。このため、誘電体膜410を形成して十分に絶縁の役割を果たすようにする。
【0086】
次に、誘電体膜410の上に隣り合う発光セルの第1及び第2の金属バンプ190、195を接続する導電性配線430をパターニングする。これは、スクリーン印刷方法により導電性配線430を形成するか、あるいは、所定のマスクパターンを用いた蒸着工程を通じて導電性配線430を形成する。この後、発光セルをサブマウント基板400に貼り合わせて発光素子を製作する。
【0087】
もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、図15に示すように、サブマウント基板400に凹凸を形成することなく、その上部に導電性配線430を形成した後、発光セルをサブマウント基板400に貼り合わせて発光素子を製作することもできる。
上述した交流駆動可能な発光素子は、上述したように、基板内において直列及び/または並列接続可能であり、その内部に整流回路を備えてもよい。
【0088】
以下、添付図面に基づき、この交流駆動可能な発光素子内部の発光セルの電気的な接続関係を説明する。
図16〜図19は、交流駆動可能な発光素子の内部における発光セルの電気的な接続関係を説明するための概念図である。
【0089】
図16に示すように、発光素子6は、多数の発光セル100、300が直列接続され、これらの両端部には第1及び第2の外部接続パッド510、520が設けられる。このように、上述した水平型、垂直型及びフリップチップ構造の発光セル100は基板の上において直列接続可能である。このとき、約60Hzの交流電圧が印加される場合、正(+)の電圧が印加されるときには直列接続された発光セル100、300が発光し、負(−)の電圧が印加される場合には発光しなくなる。しかしながら、一定のHz以上において電圧が正(+)の電圧から負(−)の電圧に変化するため、視認する場合には常に発光したかのように感じる。
【0090】
図17に示すように、直列接続された多数の発光セル100、300を含む2つの発光セルブロック1000a、1000bが第1及び第2の外部接続パッド510、520間において逆並列接続される。上記の発光セルブロックは2以上であってもよい。そして、発光素子6の明るさの変化を極力抑えるために、第1及び第2の発光セルブロック1000a、1000b内の発光セル100、300の数が同数であることが好ましい。
【0091】
上述した構成の発光素子の動作を説明すると、もし、第1の外部接続パッド510に正(+)の電圧が印加され、第2の外部接続パッド520に負(−)の電圧が印加される場合、第2の発光セルブロック1000bが発光する。一方、第1の外部接続パッド510に負(−)の電圧が印加され、且つ、第2の外部接続パッド520に正(+)の電圧が印加される場合、第1の発光セルブロック1000aが発光する。すなわち、外部の交流電源が発光素子に印加されるとしても、第1及び第2の発光セルブロック1000a、1000bが交互に発光するため、交流電源においても十分に使用可能である。
【0092】
加えて、所定の整流動作をする別途のブリッジ部付き発光素子を製作することができる。
すなわち、図18及び図19に示すように、別途のブリッジ部付き発光素子は、直列接続された多数の発光セル100、300と、発光セル100、300に所定の整流電源を印加するための整流ブリッジ部530と、整流ブリッジ部530と接続された第1及び第2の外部接続パッド510、520と、を備える。
【0093】
この場合、直列接続された多数の発光セル100、300が外部の電源と集積接続されることなく、第1及び第2の外部接続パッド510、520に接続された整流ブリッジ部530を介して外部の電源に電気的に接続される。上記の整流ブリッジ部530は、ブリッジ接続された第1〜第4のダイオード部D1、D2、D3、D4を備える。このため、整流ブリッジ部530は正(+)の電圧の印加時に順方向に整列された第1及び第3のダイオード部D1及びD3により電流が直列接続された発光セル100、300に印加され、負(−)の電圧の印加時に逆方向に整列された第2の及び第4のダイオード部D2及びD4により電流が直列接続された発光セル100、300に印加される。これにより、交流電源によらずに発光され続くことになる。
【0094】
このとき、図18に示すように、整流ブリッジ部530が直列接続された多数の発光セル100、300の外側に設けられるか、あるいは、図19に示すように、整流ブリッジ部530の内側に直列接続された多数の発光セル100、300が設けられる。
また、上述した説明に限定されるものではなく、その機能によって種々の回路素子が追加可能である。例えば、リップル防止のためのRCフィルターが発光素子に追加されていてもよい。
【0095】
次に、上述した実施例において、発光素子の上に塗布された蛍光物質について詳述する。
上記の蛍光物質は紫外線光または可視光励起用の蛍光物質であって、シリケートまたはゲルマネートのアルカリ族である銅アルカリ土混性結晶を含有する。
【0096】
一般に、活性剤または補助活性剤として働く銅により活性化されたスルフィド蛍光体が陰極線管に商用されているということは周知である。緑色発光ZnS:Cu、Al(ここで、Cuは活性剤として用いられ、Alは補助活性剤として用いられる。)はCRT応用製品に極めて重要に使用されている。
【0097】
亜鉛スルフィド蛍光体においては、発光物質を活性剤と補助活性剤との濃度比によって5種類に分類することができる(van Gool, W., Philips Res. Rept. Suppl., 3, 1, 1962)。ここで、発光中心はディープドナーやディープアクセプター、または隣り合うこれら相互間の結合により形成される(Phosphor Handbook,edited under the Auspice of Phosphor Research Society,CRC Press New York,1988,S.238)。
【0098】
銅により活性化されたオルトフォスファート(Wanmaker,W.L.,and Spier,H.L.,JECS 109(1962),109)及びピロフォスファート、アルモシリケート、シリケート、トリポリフォスファートなどはペンシルバニア州立大学の出版物に開示されている(Keith H. Butler,The Pennsylvania State University Press,1980,S. 281)。しかしながら、このような蛍光体は単に短波長UV励起用としてのみ使用可能であり、化学的な特性及び温度条件に対する不安定性のために、これらの蛍光体は蛍光ランプには採用できなくなっている。
【0099】
一方、希土類イオン、例えば、Eu2+、Ce3+、及びその他の成分により活性化された酸素が優勢な化合物において、銅をホストラチス要素として用いることにより得られる効果については未だ説明されていない。銅をホストラチス要素として混合する場合、発光強度の向上だけではなく、発光ピーク、色座標、及び発光スペクトルの好適な方向への変化、そして、ラチスの安定化など良好な発光特性が得られるという肯定的な効果が期待される。
【0100】
ホストラチス要素として含まれる銅イオンは360nmよりも長波長励起用であって、発光特性を向上させるという効果を奏する。このような波長領域において、このイオンはこれらの電子構造のエネルギーレベルに起因して、自体的な発光特性の変化は見られず、よって、励起発光特性の低下は全く懸念されない。
【0101】
銅を含有する発光物質は、ホストラチスに銅成分を含有しない発光物質と比べて発光強度に優れている。このような銅を含有する発光物質のさらに好ましい効果は、発光波長の変化を高くまたは低く調節することができるということである。これらのイオンは銅を含有する化合物に悪影響を及ぼす活性剤として働くことはないが、場合によっては、クリスタル構造の予期しない分裂または結合を引き起こすことはある。
銅を含有する物質の提案は、これらのイオンの酸化可能性により環境に悪影響を及ぼしうるため、極めて複雑な問題である。このため、銅を含有する化合物は特別な製造工程を要する。
【0102】
クリスタルフィールドにおいては、一般に、銅がどのようなイオンを代替するかによってその発光特性に相違点がある。銅がEuにより活性化されたアルミネート及び/またはシリケートのSrまたはBaを代替する場合には、Cuのイオン半径がBa及びSrのイオン半径よりも小さなため、最大の発光波長が長波長側にシフトされる。これは、活性剤イオンを取り囲む強力なクリスタルフィールドを示す。
【0103】
電荷数及びイオン半径などの要因により相対的に大き目のアルカリ土イオンに比べて容易にイオン化可能な銅は、隣り合う酸素イオンとの結合力がアルカリ土イオンよりも強い。このため、発光スペクトルの形状にさらに大きく影響してピーク波長を長波長に変形すると共に、その発光帯域内の発光スペクトル曲線をさらに広げる効果を奏する。加えて、銅イオンを代替することにより、発光強度を増大させることができる。発光ピークを長波長または短波長にシフト可能であるということは、LED発光技術の分野に肯定的な影響を及ぼすことが予想される。というのは、光学装置においてはその明るさの向上や所望の色座標を有する特定の波長を得るためには、細かい微調整が必要となるためである。このような微調整は正イオン銅を適切に用いて行うことができる。
【0104】
一方、ほとんどの発光物質及び蛍光体が水、湿気、水蒸気または極性溶媒により不安定になるということは周知である。例えば、スピネル構造のアルミネート及び四方晶系あるいはアカーマナイト構造のシリケートはその高い塩基度のために、水、湿気、水蒸気、または極性溶媒にやや敏感な性質を示す。しかしながら、銅は結合力が高く、且つ、塩基度が低いため、高い塩基度を有する正イオンを代替する場合、ホストラチス内に混合されて水、水蒸気、極性溶媒に強い発光物質の特性を示す。
【0105】
蛍光物質は、一般式1で表わされるシリケート、一般式2で表わされるゲルマネートまたはゲルマネート−シリケートの混合物により構成される。
[式1]
a(M’O)b(M’’O)c(M’’’X)d(M’’’2O)e(Me’’’’2O3)f(M’’’’’oOp)g(SiO2)h(M’’’’’’xOy)
[式2]
a(M’O)b(M’’2O)c(M’’X)d(GeO2)e(M’’’O)f(M’’’’2O3)g(M’’’’’oOp)h(M’’’’’’xOy)
【0106】
一方、銅を含有する混性結晶は発光装置内に実装された一つまたはそれ以上の300−400nm範囲内の長波長紫外線及び/または380−500nm範囲内の青色光により演色性90以上の可視光領域内の光に波長変換する変換材として用いられる。また、銅を含有する混性結晶は演色性90以上の白色光を発するために、単一蛍光体及び/または他の蛍光体と混合されて発光素子(LED)に用いられることを特徴とする。
【0107】
実施例1:
銅アルカリ土シリケート混性結晶の一般式
a(M’O)b(M’’O)c(M’’’X)d(M’’’2O)e(Me’’’’2O3)f(Me’’’’’oOp)g(SiO2)h(M’’’’’’xOy)において、
式中、M’はCuであり、
M’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はB、Al、Ga、Inよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はGe、V、Nb、Ta、W、Mo、Ti、Zr、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Sb、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
【0108】
ここで、
0<a≦2
0<b≦8
0≦c≦4
0≦d≦2
0≦e≦2
0≦f≦2
0≦g≦10
0<h≦5
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
【0109】
混合例:
下記の一般式を有する蛍光物質の製造:
Cu0.05Sr1.7Ca0.25SiO4:Eu
初期物質:CuO、SrCO3、CaCO3、SiO2、Eu2O3及び/またはこれらの混合物質
高純粋酸化物と炭酸塩の形の初期物質は少量の融剤(NH4Cl)と共に化学量論的な割合にて混合される。第1の段階において、混合物は不活性ガス(N2、H2、Arまたは希ガス)の雰囲気下において1200℃のアルミナ坩堝において2−4時間加熱される。予備加熱後、物質はさらに粉砕過程を経る。第2の段階において、混合物は弱い還元雰囲気下において1200℃のアルミナ坩堝において2時間さらに加熱される。この後、物質は粉砕、洗浄、乾燥、篩分けされる。蛍光物質は592nmにおいて最大の発光波長を有する。
【0110】
表1:Eu2+により活性化されるCu−Sr−Caが混合されたシリケートと、Eu2+により活性化されるSr−Ca−シリケートの450nm励起波長における比較
【0111】
【表1】
【0112】
下記の一般式を有する蛍光物質の製造:
3Cu0.2Ba2Zn0.2Mg0.6Si2O7:Eu
初期物質:CuO、BaCO3、ZnO、MgO、SiO2、Eu2O3及び/またはこれらの混合物質
高純粋酸化物と炭酸塩の形の初期物質は少量の融剤(NH4Cl)と共に化学量論的な割合で混合される。第1の段階において、混合物は不活性ガスの雰囲気下において1100℃のアルミナ坩堝において1−2時間加熱される。予備加熱後、物質はさらに粉砕過程を経る。第2の段階において、混合物は還元雰囲気下において1235℃のアルミナ坩堝において2時間加熱される。この後、物質は粉砕、洗浄、乾燥、篩分けされる。蛍光物質は467nmにおいて最大の発光波長を有する。
【0113】
表2:Eu2+により活性化される銅を含有するシリケートと、銅を含有しないEu2+により活性化されるシリケートとの400nm励起波長における比較
【0114】
【表2】
【0115】
希土類により活性化される銅を含有するシリケート混性結晶に対する結果は、表3に示す通りである。
【0116】
表3:長波長紫外線及び/または可視光により励起可能な銅アルカリ土シリケート混性結晶の光学特性及び400nmの励起波長における%表示での光密度
【0117】
【表3】
【0118】
実施例2:
銅を含有するアルカリ土類混性結晶ゲルマネート及び/またはゲルマネート−シリケートの一般式
a(M’O)b(M’’2O)c(M’’X)d(GeO2)e(M’’’O)f(M’’’’2O3)g(M’’’’’oOp)h(M’’’’’’xOy)において、
式中、M’はCuであり、
M’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag、1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn、2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はSc、Y、B、Al、La、Ga、In、3価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はSi、Ti、Zr、Mn、V、Nb、Nd、Ta、W、Mo、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Tbよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
【0119】
ここで、
0<a≦2
0≦b≦2
0≦c≦10
0<d≦10
0≦e≦14
0≦f≦14
0≦g≦10
0≦h≦2
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
【0120】
下記の一般式を有する蛍光物質を用意するために、
Cu0.46Sr0.54Ge0.6Si0.4O3:Mn
初期物質は:
CuO、SrCO3、GeO2、SiO2、MnCO3及び/またはこれらの混合物質
酸化物及び炭酸塩の形の初期物質は少量の融剤(NH4Cl)と共に化学量論的な割合で混合される。混合された物質は、1段階工程において、酸素雰囲気下において1100℃のアルミナ坩堝において2時間加熱される。予備加熱された物質はさらに粉砕過程を経る。混合された物質は、2段階工程において、酸素雰囲気下において1180℃のアルミナ坩堝において4時間加熱される。これらの工程を経た物質は粉砕、洗浄、乾燥及び篩分けされる。これらの工程を経て製造された蛍光物質は658nmにおいて最大の発光波長を有する。
【0121】
表4:Mnにより活性化されるCu−Srが混合されたゲルマネート−シリケートと、銅を含有せず、且つ、Mnにより活性化されるゲルマネート−シリケートとの400nm励起波長における比較
【0122】
【表4】
【0123】
銅を含有するアルカリ土類混性結晶ゲルマネートまたはゲルマネート−シリケート群から得られた結果は、下記表5に示す通りである。
【0124】
表5:長波長紫外線及び/または可視光により励起可能な銅を含有するアルカリ土類混性結晶ゲルマネート/ゲルマネート−シリケート光学的な特性及び400nmの励起波長における%表示での光密度
【0125】
【表5】
【0126】
銅を導入する場合を考慮した上で、混合物の特性変化について下記の如き物理化学的な変化がなされうる。
【0127】
表6:格子定数の変化−xレイ回折結果
【0128】
【表6】
表6に示すように、銅を含有する蛍光体の場合、格子定数が僅かに変化しており、これにより、放出スペクトルが微細に変化する。すなわち、このようなスペクトルは波長が0.5〜1nm程度短波長側に移動する。
【0129】
表7:銅を含有しない蛍光体と、異なる濃度の銅を含有する蛍光体とのゼータポテンシャル及び移動度の変化の比較
【0130】
【表7】
【0131】
このような変化の結果は、水に対する感度変化を意味する。銅を含有する混合物の水に対する安定性が銅を含有しない混合物の水に対する安定性よりも遥かに高い(表8)。
【0132】
表8:85℃の温度及び100%湿度下における銅を含有する混合物と銅を含有しない混合物との経時相対強度
【0133】
【表8】
【0134】
前記表7及び表8に示すように、銅を含有する蛍光体の場合、溶解工程においてアルカリ土類イオンの移動度が下がる。これは、溶解された正イオンの数及び割合が小さくなることを意味し、この結果、加水分解が低減して水に対する安定性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の第1の実施例によるチップ型発光装置の断面図。
【図2】本発明の第2の実施例による塔型パッケージ発光装置の断面図。
【図3】本発明の第3の実施例によるランプ型パッケージ発光装置の断面図。
【図4】本発明の第4の実施例による高出力用の発光装置の概略断面図。
【図5】本発明の第4の実施例による高出力用の発光装置の概略断面図。
【図6】本発明の第1の変形例による水平型発光素子の断面図。
【図7】本発明の第2の変形例による垂直型発光素子の断面図。
【図8】本発明の第3の変形例によるフリップチップ構造の発光素子の断面図。
【図9】本発明の第4の変形例による交流駆動可能な水平型発光素子の断面図。
【図10】本発明の第4の変形例による交流駆動可能な水平型発光素子の断面図。
【図11】本発明の第5の変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の断面図。
【図12】本発明の第5の変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の断面図。
【図13】本発明の第5の変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の断面図。
【図14】本発明の第6の変形例による交流駆動可能なフリップチップ構造の発光素子の断面図。
【図15】本発明の第6の変形例による交流駆動可能なフリップチップ構造の発光素子の断面図。
【図16】交流駆動可能な発光素子の内部における発光セルの電気的な接続関係を説明するための概念図。
【図17】交流駆動可能な発光素子の内部における発光セルの電気的な接続関係を説明するための概念図。
【図18】交流駆動可能な発光素子の内部における発光セルの電気的な接続関係を説明するための概念図。
【図19】交流駆動可能な発光素子の内部における発光セルの電気的な接続関係を説明するための概念図。
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に係り、特に、少なくとも一つの発光素子と、銅を含有し、且つ、発光素子から発せられる光の波長を変換するような蛍光物質とを含む波長変換発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に汎用されていた発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が自動車及び照明用の製品に発光素子として応用される傾向にある。LEDは、電気的及び機構的な特性に極めて優れていることから、今後、それに対する需要がなお一層増大すると見込まれている。この点、蛍光灯または白熱灯に代わりうる白色LEDへの関心が集中している。
【0003】
LEDの技術分野において白色の実現方式は種々提案されている。通常の白色LEDの実現技術は、発光素子の周りに蛍光物質を配置し、発光素子の1次発光の一部と蛍光物質により波長変換された2次発光との混色により白色を実現する方式である。例えば、WO98/05078号及びWO98/12757号には、450nm〜490nmの青色発光素子と、青色発光素子の発光を吸収してほとんどが黄色の蛍光光線に変換するYAG系蛍光物質を含む白色LEDが開示されている。
【0004】
しかしながら、従来の白色LEDは、色温度が6、000〜8、000°Kとその範囲が狭く、演色性も60〜75と低くて冷たい青色−白色光のみを与えていた。このため、所望の色座標または色温度を与える白色LEDを提案することが困難であるという問題があり、特に、自然光に近い光を実現するのに限界がある。
そして、湿気に敏感な蛍光物質を用いる従来の白色LEDは、水、水蒸気または極性溶媒によりその発光特性が不安定である。これは、白色LEDの発光特性を変化させる要因となっている。
【0005】
LEDを用いる照明用の光源装置は、所定の工程を通じてパッケージングされた多数の白色LEDと、白色LEDが実装されるプリント回路基板と、プリント回路基板の上に形成されて白色LED同士を接続する回路パターンにより接続された白色LEDと接続された保護回路及び/または交流/直流変換器と、を備えている。
【0006】
しかしながら、多数の白色LEDを製造するためには、それぞれのLEDに金属配線工程を行うことを余儀なくされるため、工数が増大して複雑になるという問題が発生する。これにより、不良の発生率が高くなり、量産に難点があり、所定の衝撃により金属配線が短絡されて白色LEDの動作が終了することがある。なお、パッケージングされた白色LEDを配列することにより嵩が大きくなってしまい、これは照明用の光源の肥大化につながるという短所がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、2,000°K〜8,000°Kまたは10,000°K程度と広い範囲の色温度を提供することができ、しかも、90以上の演色性(CRI)を有する波長変換発光装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、所望の色座標または色温度を容易に実現可能な波長変換発光装置を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、発光特性を高めるだけではなく、水、湿気、及び極性溶媒に強い耐環境性に優れた発光装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、家電製品、オーディオ、及び通信製品などの電子機器だけではなく、各種のディスプレイ、自動車、医療用の機器、測定機器、照明用の製品などに応用可能な発光装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ウェーハのレベルで多数の発光セルを直列/並列接続して家庭用の交流電源において白色光を発する照明用の発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、所定の領域の波長の光を発する少なくとも一つの発光素子と、ホストラチス要素(host lattice component)として銅−アルカリ土金属無機混性結晶を含み、希土類により活性化される化合物を含み、前記発光素子の周りに配置されて前記発光素子から発せられた光の一部を吸収して吸収光とは異なる波長の光を発する蛍光物質と、を備えることを特徴とする発光装置を提供する。
【0010】
ここで、前記化合物は下記の一般式1で表わされ、
[式1]
a(M’O)b(M’’O)c(M’’’X)d(M’’’2O)e(M’’’’2O3)f(M’’’’’oOp)g(SiO2)h(M’’’’’’xOy)
【0011】
式中、M’はCuであり、
M’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn、2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag、1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はB、Al、Ga、Inよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はGe、V、Nb、Ta、W、Mo、Ti、Zr、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Sb、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
【0012】
ここで、
0<a≦2
0<b≦8
0≦c≦4
0≦d≦2
0≦e≦2
0≦f≦2
0≦g≦10
0<h≦5
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
で表わされる銅−アルカリ−土類が優勢なシリケート化合物を含むことを特徴とする。
【0013】
そして、前記化合物は下記の一般式2で表わされ、
[式2]
a(M’O)b(M’’2O)c(M’’X)d(GeO2)e(M’’’O)f(M’’’’2O3)g(M’’’’’oOp)h(M’’’’’’xOy)
【0014】
式中、M’はCuであり、
M’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag、1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn、2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はSc、Y、B、Al、Ga、In、La、3価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はSi、Ti、Zr、Mn、V、Nd、Nb、Ta、W、Mo、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Tbよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
【0015】
ここで、
0<a≦2
0≦b≦2
0≦c≦10
0<d≦10
0≦e≦14
0≦f≦14
0≦g≦10
0≦h≦2
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
で表わされる銅−アルカリ−土類が優勢なゲルマネート及び/またはゲルマネート−シリケート化合物を含むことを特徴とする。
【0016】
このとき、前記銅−アルカリ−土類が優勢な化合物のストロンチウム濃度が好ましくは0.4モル/モル蛍光体未満であることを特徴とする。
【0017】
上述した化合物は1種またはそれ以上の300−400nm範囲内の紫外線光及び/または380−500nm範囲内の青色光により演色性90以上の可視光領域内の光に波長変換することを特徴とする。前記化合物は演色性90以上の白色光を発するために単一蛍光体及び/または他の蛍光体と混合されることを特徴とする。上記の蛍光物質は前記発光素子の側面、上面、及び下部面のうち少なくともいずれかの面に配置されるか、あるいは、接着剤またはモールド材に混合されていることを特徴とする。
【0018】
上述した発光素子及び前記蛍光物質がパッケージ内に組み込まれていることを特徴とする。このとき、前記パッケージはリフレクタ付き基板の上部に前記少なくとも一つの発光素子が実装され、前記発光素子の周りに前記蛍光物質が配置されていることを特徴とする。そして、前記基板上において前記発光素子及び前記蛍光物質を封止するモールド部を備えることを特徴とする。もちろん、前記モールド部に前記蛍光物質が一様に分布されていることを特徴とする。
【0019】
上記のパッケージは前記少なくとも一つの発光素子から発せられる熱を放熱するヒートシンクを備え、前記発光素子の周りに前記蛍光物質が配置されている高出力用のものであることを特徴とする。
【0020】
前記発光素子は垂直型、水平型及びフリップチップ構造の発光素子であることを特徴とする。そして、前記発光素子は多数の発光セルが単一基板内において直列または並列接続されることを特徴とする。このとき、前記発光セルは水平型、垂直型及びフリップチップ型の発光セルであることを特徴とする。また、前記直列接続された発光セルに整流電源を印加するための整流ブリッジ部をさらに備えることを特徴とする。そして、直列接続された多数の発光セルが複数のブロックを形成し、これらのブロックが逆並列接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明による蛍光物質は、発光特性を向上することができ、しかも、水、湿気、極性溶媒に強い耐環境性を高めることができる。
また、発光装置内の蛍光物質に他の蛍光体を混合したとき、約2000°Kから8000°Kまたは10000°Kまでの高い色温度と90以上の演色性を有することができる。
さらに、本発明は所望の色座標または色温度を容易に実現することができる。
さらにまた、本発明の発光装置は、発光の強度、色温度及びカラー再現率が高く、しかも、ユーザー目的の色座標値の発光を容易に実現することができることから、携帯電話やノート型パソコン、さらには、各種の電子製品、オーディオ、及び通信製品などの電子機器だけではなく、各種のディスプレイのキーパッド用やバックライト用に種々に採用することができ、自動車、医療用の機器、測定機器及び照明用などにも応用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。しかし、本発明は後述する実施の形態に限定されるものではなく、相異なる形で実現可能であり、これらの実施の形態は、単に本発明の開示を完全たるものにし、且つ、この技術分野における通常の知識を持った者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。図中、同じ符号は同じ要素を示す。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施例による発光装置の断面図であって、少なくとも一つの発光素子及び蛍光物質が組み合わされたチップ型パッケージが示してある。
図1に示すように、チップ型発光装置40は、プリント回路基板1の両端部にそれぞれ電極パターン5が設けられており、一方の電極パターン5の上に1次光を発する発光素子6が実装されており、発光素子6は伝導性接着剤9を介して電極パターン5に実装され、発光素子6の電極と他方の電極パターンとは導電性ワイヤ2により接続されている。
【0024】
発光素子6は、紫外線光領域から可視光領域の光を発する発光素子の中から選択可能である。ここで、紫外線発光素子及び/または青色発光素子を採用することが好ましい。なお、発光素子6の詳細については後述する。
【0025】
発光素子6の上面及び側面には蛍光物質3が配置されている。蛍光物質3は発光素子から発せられる1次光を可視光線スペクトル領域内の2次光に波長変換する。この蛍光物質3は、硬化性樹脂、例えば、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂に混合された形で各発光素子6に塗布可能である。また、蛍光物質3は、伝導性接着剤9に混合された形で各発光素子6の下部面にも配置することができる。
【0026】
ここで、発光素子6の実装されたプリント回路基板1の上部は硬化性樹脂によりモールドされており、蛍光物質3が発光素子6の上面及び側面に一定の厚さに点在されているが、モールド部10に全体に亘って一様に分布されるように製作可能であることは言うまでもない。このような製造方法は先願の米国出願6,482,664号に開示されている。
【0027】
一方、蛍光物質3は銅を含有する化合物を含んでなる。化合物及びこれを含んでなる蛍光物質の詳細については後述する。このような蛍光物質は希土類成分を含むことが好ましく、単一の化合物または複数の単一化合物が選択的に混合された形で構成される。例えば、その発光ピークが400nm〜500nm、500nm〜590nm、及び580nm〜700nmのうち少なくともいずれかの範囲を有する化合物を用いることができ、上記の発光ピークを有する多数の化合物を混合して構成してもよい。
【0028】
上記の本発明の第1の実施例によるチップ型発光装置40においては、発光素子6に電極パターン5を介して外部電源が供給される。これにより、発光素子6から1次光が発せられ、蛍光物質3は1次光により励起されながら、1次光の波長を変換して長波長の2次光を発する。これにより、発光素子6から発せられる1次光と、蛍光物質により波長変換された2次光が混色されて、当該可視光線スペクトル領域の色が実現される。ここで、この発光装置には異なるピーク波長を有する2以上の発光素子を実装してもよいことは言うまでもない。また、蛍光物質の配合比を適切に調節すると、ユーザ目的の色座標の色を容易に実現することができる。
【0029】
このように、発光素子及び蛍光物質を構成する化合物を適切に調節すると、ユーザ目的の色温度または特定の色座標の光を実現することができ、特に、2、000°K〜8,000°Kまたは10,000°Kと広い範囲の色温度及び90以上の演色性を与えることができる。このため、本発明による発光装置は、家電製品、オーディオ、及び通信製品などの電子機器だけでなく、屋内外の各種のディスプレイにも容易に応用することができ、特に、自然光に近い色温度及び演色性を与えることが可能になることから、自動車及び照明用の製品に代えうるものとなる。
【0030】
図2は、本発明の第2の実施例による塔型パッケージ発光装置の断面図である。
図2に示すように、塔型パッケージ発光装置50は、上述したチップ型パッケージ発光装置(図1における40を参照)とほとんど同じ構造を有し、プリント回路基板1の上にリフレクタ31をさらに備える。リフレクタ31は発光素子6から発せられる発光を所望の方向に反射する役割を果たす。
【0031】
この実施例における蛍光物質3は銅−アルカリ土金属無機混性結晶物質を含み、希土類成分により活性化される化合物を含む。なお、蛍光物質の詳細について後述する。
【0032】
この種の塔型パッケージ50にも異なるピーク波長を有する2以上の発光素子を実装することができる。そして、異なる発光ピークを有する複数の化合物を選択的にあるいはその配合比を異ならせて混合した蛍光物質を提供することが可能である。このような蛍光物質はリフレクタ31内において発光素子6の上に塗布されるか、あるいは、モールド部10に一様に分布される。
【0033】
一方、図1及び図2に示す発光装置は熱伝導性に優れた金属性材料のプリント回路基板1を用いることができる。上述した構造は発光素子の作動時に発生する熱を容易に放熱することができ、結果として、高出力発光装置を製造することができる。ここで、別途の放熱板(図示せず)をさらに取り付けると、発光素子からの熱をなお一層効率よく放熱することができる。
【0034】
図3は、本発明の第3の実施例によるランプ型パッケージ発光装置の断面図である。
図3に示すように、ランプ型パッケージ発光装置60は、1対のリード電極51、52を備え、一方のリード電極51の上端部に素子ホルダ53が形成されている。素子ホルダ53はカップ状を有し、その内部に少なくとも一つの発光素子6が実装されていてもよい。複数の発光素子が実装される場合、各発光素子は異なるピーク波長を有してもよい。実装された発光素子の電極は他方の電極リード52と伝導性ワイヤ2により接続可能である。
【0035】
カップ状の素子ホルダ53の内部には一定量の蛍光物質3入りの樹脂が塗布されている。蛍光物質3は希土類成分により活性化され、銅−アルカリ土金属物質を含む。なお、蛍光物質3の詳細については後述する。
そして、発光素子6と蛍光物質3とが組み合わされた素子ホルダ53の外部は硬化性樹脂、例えば、エポキシまたはシリコンなどによりモールドされている。
このランプ型パッケージ発光装置60においては1対のリード電極を備える実施例について説明したが、1対以上のリード電極を備えてもよいことは言うまでもない。
【0036】
図4及び図5は、本発明の第4の実施例による高出力用発光装置の概略断面図である。
図4に示すように、高出力用発光装置70は、筐体73内にヒートシンク71が収められて部分的に外部に露出され、1対のリードフレーム74が外部に突出している。ヒートシンク71の上面には少なくとも一つの発光素子6が実装され、発光素子6とリードフレーム74とは伝導性ワイヤを介して接続される。蛍光物質3が発光素子6の上面及び側面に配置されている。
【0037】
また、図5に示すように、高出力用発光装置80は複数に仕切られたヒートシンク61、62にそれぞれ発光素子6、7が実装されており、発光素子6、7の上面及び側面に蛍光物質3が配置された筐体63を備える。外部電源が供給される複数のリードフレーム64が筐体63の外部に突出している。
【0038】
このように、図4及び図5の高出力用発光装置70、80においても、ヒートシンク61、62と各発光素子6、7との間の接着部分に蛍光物質3を介装することができる。そして、筐体63、73の上部にレンズを設けてもよい。
【0039】
このような高出力用発光装置70、80においても、単一または複数の発光素子6、7を選択的に用いることができ、発光素子に合わせて蛍光物質を調節することができる。一方、蛍光物質3として希土類成分を含み、且つ、銅を含有する化合物を用いることができる。なお、蛍光物質の詳細については後述する。
【0040】
一方、このような構成の高出力用パッケージ発光装置70、80においては、発光素子6、7が駆動されて発生する熱を効率よく放熱するために、ヒートシンク61、62とは別途に、あるいは、一体に放熱板(図示せず)を取り付けることが好ましい。放熱板はファンなどを用いた強制循環方式により冷却可能であることは言うまでもない。
【0041】
本発明の発光装置は上述した構造に限定されるものではなく、発光素子の特性、蛍光物質の特性、目標とする光の波長及び使用用途に応じて種々の構造に変更可能であり、新規な構造物をさらに追加してもよい。
【0042】
以下、上述した実施例における発光素子6について詳述する。
図6は、本発明の第1の変形例による水平型発光素子の断面図である。
図6に示すように、水平型発光素子は、基板110と、基板110の上に順次に積層されたバッファ層120と、N型半導体層130と、活性層140及びP型半導体層150を備え、前記P型半導体層150及び活性層140の一部が除去されて露出されたN型半導体層130の上に形成されたN型ボンドパッド180と、P型半導体層150の上に形成されたオーミック接続膜160と、その上部に形成されたP型ボンドパッド170と、を備える。
【0043】
上記の基板110はその上部に形成されるべき半導体層の物質特性に応じて、Al2O3、SiC、ZnO、Si、GaAs、GaP、LiAl2O3、BN、AlN及びGaNのうち少なくともいずれか1種のウェーハを用いることが好ましい。この実施例においては、サファイア基板を用いている。
【0044】
次に、バッファ層120は、結晶の成長時に基板110と後続層との間の格子不整合を低減するための層であって、半導体材料としてのGaNを含んでなる。このようなバッファ層120は基板110の材質に応じて絶縁層/半絶縁層/伝導層から構成することができる。N型半導体層130は電子が生成される層であって、N型化合物半導体層とN型クラッド層とから形成される。このとき、N型化合物半導体層はN型不純物がドープされているGaNを用いる。P型半導体層150は正孔が生成される層であって、P型クラッド層とP型化合物半導体層とから形成される。このとき、P型化合物半導体層はP型不純物がドープされているAlGaNを用いる。
【0045】
活性層140は所定のバンドギャップと量子井戸が生成されて電子及び正孔が再結合される領域であって、InGaNを含んでなる。また、活性層140を形成する物質の種類に応じて、電子及び正孔が結合して発生する発光波長が変化する。このため、目標とする波長に応じて活性層140に含まれる半導体材料を調節することが好ましい。
【0046】
N型ボンドパッド180とP型ボンドパッド170とは発光素子6を外部の導電性ワイヤ(図1における2を参照)と電気的に接続するためのパッドであって、金属性物質を用いるが、好ましくは、Ti/Auの積層構造を用いる。また、上述したオーミック接続膜160はP型ボンドパッド170を介して入力される電圧をP型半導体層150に均一に伝える役割を果たす。オーミック接続膜160として透明電極のITOを用いる。
【0047】
以下、このような水平型発光素子の製造方法について説明する。
基板110の上にバッファ層120、N型半導体層130、活性層140及びP型半導体層150を順次に結晶成長させる。P型半導体層150の上にオーミック接続膜160をさらに形成してもよい。それぞれの層は、上述した物質を蒸着するために、有機金属化学蒸着法(MOCVD;Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、分子線成長法(MBE;Molecular Beam Epitaxy)、水素化物気相成長法(HVPE;Hydride Vapor Phase Epitaxy)などを始めとする種々の蒸着及び成長方法により形成される。
【0048】
この後、マスクを用いたフォトエッチング工程を行い、N型半導体層130の一部を開放する。すなわち、前記マスクをエッチングマスクとするエッチング工程を通じてP型半導体層150、活性層140及びN型半導体層130の一部を除去してN型半導体層130を露出させる。
【0049】
前記マスクを除去した後、開放されたN型半導体層130の上にN型ボンドパッド180を形成し、P型半導体層150のオーミック接続膜160の上にP型ボンドパッド170を形成する。これにより、N型ボンドパッド180とP型ボンドパッド170とが水平面の上に設けられた水平型発光素子を製造する。
【0050】
以下、垂直型発光素子について説明する。なお、後述する説明のうち上述した説明と重なる説明は省略する。
図7は、本発明の第2の変形例による垂直型発光素子の断面図である。
図7に示すように、垂直型発光素子は、P型ボンドパッド170、オーミック接続膜160、P型半導体層150、活性層140、N型半導体層130及びN型ボンドパッド180が順次に積層されてなる。すなわち、垂直型発光素子は、上述した水平型発光素子に比べてP型ボンドパッド170とN型ボンドパッド180がそれぞれ発光素子の下側領域及び上側領域に設けられる。
【0051】
この種の垂直型発光素子の製造工程を説明すると、基板110の上にバッファ層120、N型半導体層130、活性層140、P型半導体層150、オーミック接続膜160及びP型ボンドパッド170を形成する。この後、前記P型ボンドパッド170の上に図示しないホスト基板を取り付けた後、N型半導体層130の下側の基板110及びバッファ層120を除去してN型半導体層130を露出させる。この後、露出されたN型半導体層130の上にN型ボンドパッド180を形成して垂直型発光素子を製造する。
【0052】
以下、フリップチップ構造の発光素子について説明する。なお、後述する説明のうち上述した説明と重なる説明は省略する。
図8は、本発明の第3の変形例によるフリップチップ構造の発光素子の断面図である。
図8に示すように、フリップチップ構造の発光素子は、第1及び第2の外部パッド210、220が設けられたサブマウント基板200と、サブマウント基板200の第1及び第2の外部パッド210、220のそれぞれに第1及び第2の金属バンプ190、195を介してオーミック接続膜160及びN型半導体層130が接続された水平型発光素子と、を備える。フリップチップ構造の発光素子は光の出射方向が水平型とは逆方向になるように形成され、サブマウント基板200として反射効率の高い物質を用いて基板に向かって発せられた光を全面に反射することができる。
【0053】
以下、上述した水平型、垂直型及びフリップチップ構造の多数の発光セルがウェーハのレベルで直列及び/または並列接続されて交流電源においても駆動可能な発光素子について説明する。まず、上記の水平型発光素子が単一の素子に切断されることなく、ウェーハのレベルでセル単位に接続されている交流駆動可能な水平型発光素子について説明する。なお、後述する説明のうち上述した説明と重なる説明は省略する。
【0054】
図9及び図10は、本発明の第4の変形例による交流駆動可能な水平型発光素子の断面図である。
図9及び図10に示すように、交流駆動可能な水平型発光素子は多数の水平型発光セル100−1〜100−nが直列接続されている。すなわち、発光素子は隣り合う水平型発光セル100−1〜100−nのN型半導体層130とP型半導体層150とが電気的に接続され、一端側の発光セル100−nのN型半導体層130の上にN型ボンドパッド180が形成され、他端側の発光セル100−1のP型半導体層150の上にP型ボンドパッド170が形成された多数の水平型発光セル100を備える。
【0055】
隣り合う水平型発光セル100−1〜100−nのN型半導体層130とP型半導体層150とは所定の金属配線101を用いて電気的に接続する。また、水平型発光セル100−1〜100−nを直列接続して交流駆動可能な電圧の数だけ形成することが有効である。この変形例においては単一の発光セル100を駆動するための電圧/電流と発光素子に印加される交流駆動電圧に応じて直列または並列接続される発光セル100の数が多様になる。好ましくは、10〜1000個のセルを直列接続する。より好ましくは、30〜70個のセルを直列接続することが有効である。例えば、220V交流駆動においては一定の駆動電流に3.3Vの単位発光セル100を66〜67個直列接続して発光素子を製作する。また、110V交流駆動においては一定の駆動電流に3.3Vの単位発光セル100を33〜34個直列接続して発光素子を製作する。
【0056】
図9及び図10に示すように、第1〜第nの発光セル100−1〜100−nが直列接続された発光素子において、第1の発光セル100−1のP型半導体層150の上にP型ボンドパッド170が形成され、第1の発光セル100−1のN型半導体層130と第2の発光セル100−2のP型半導体層150とが第1の配線101−1を介して接続される。また、第2の発光セル100−2のN型半導体層130と第3の発光セル(図示せず)のP型半導体層とが第2の配線101−2を介して接続される。そして、第n−2の発光セル(図示せず)のN型半導体層(図示せず)と第n−1の発光セル100−n−1のP型半導体層150とが第n−2の配線101−n−2を介して接続され、第n−1の発光セル100−n−1のN型半導体層130と第nの発光セル100−nのP型半導体層150とが第n−1の配線101−n−1を介して接続される。また、第nの発光セル100−nのN型半導体層130にN型ボンドパッド180が形成される。このとき、それぞれの半導体層の上には金属電極としてのパッドが形成されてこれらのパッド同士を配線により接続する。
【0057】
この変形例の基板110は多数の発光素子を製作可能な基板であってもよい。ここで、図9及び図10におけるA領域をこれらの多数の発光素子を個々に切断するための切断領域と言う。
また、上述した発光素子は外部交流電圧を整流するための整流用の第1〜第4のダイオード部(図示せず)が同じ基板内に形成可能である。第1〜第4のダイオード部は整流ブリッジ状に配列される。第1〜第4のダイオード部間の整流ノードが直列接続された発光セル100のN型ボンドパッド180とP型ボンドパッド170に接続可能である。前記第1〜第4のダイオードとして発光セルを用いることができる。
【0058】
以下、上述した多数の発光セルが直列接続された発光素子の製造方法を簡略的に説明する。
基板110の上にバッファ層120、N型半導体層130、活性層140及びP型半導体層150を順次に成長させる。P型半導体層150の上にオーミック接続膜160を形成する。
【0059】
所定のパターニング工程を通じてN型半導体層130の一部を開放し、且つ、それぞれの発光セル100に分離する。前記パターニング工程は発光素子の上に感光膜を塗布して、所定の領域が開放された感光膜マスク(図示せず)を形成する。所定の領域とは発光セル100同士の領域及び開放されるN型半導体層130領域をいい、感光膜マスクを用いてエッチング工程を行う。P型半導体層150、活性層140及びN型半導体層130の一部をエッチングしてN型半導体層130を開放し、エッチング工程を行い続けることにより発光セル100を個々に分離する。
【0060】
これらに加えて、多数回に亘ってパターニング工程を行い、N型半導体層130の一部を開放した後、それぞれの発光セルに分離することができる。すなわち、図9に示すように、P型半導体層150、活性層140及びN型半導体層130の一部をエッチングしてN型半導体層130の一部を露出させ、別途の工程を通じてP型半導体層150、活性層140、N型半導体層130及びバッファ層120をエッチングしてそれぞれの発光セル100に分離する。または、図10に示すように、バッファ層120が絶縁層よりなる場合、N型半導体層130までをエッチングして電気的に絶縁された発光セル100を形成してもよい。前記パターニング工程に際しては、ウェットエッチングまたはドライエッチングを行うことができ、この変形例においてはプラズマを用いたドライエッチングを行った方が有効である。
【0061】
上述した製造工程と同じ方法を用いて整流ブリッジ用のダイオードも一緒に形成することができる。もちろん、通常の半導体製造工程を適用して整流ブリッジ用のダイオードを形成してもよい。
【0062】
この後、ブリッジ工程またはステップカバーレッジ工程などを通じてそれぞれ隣り合う発光セル100−1〜100−nのN型半導体層130とP型半導体層150とを電気的に接続する導電性配線101−1〜101−n−1を形成する。導電性配線101−1〜101−n−1は導電性の物質を用いて形成し、金属または不純物によりドープされたシリコン化合物を用いて形成することができる。
【0063】
上述したブリッジ工程はエアブリッジ工程とも呼ばれ、互いに接続すべき発光セル間にフォト工程を用いて感光液を塗布し、それぞれの半導体層上の金属電極としてのパッドの少なくとも一部の領域だけが開放されるように感光膜パターンを現像し、その上に金属などの物質を真空蒸着などの方法により先に薄膜として形成し、さらにその上にめっきまたは金属蒸着などの方法により金を含有する導電性物質を一定の厚さに塗布する。この後、ソルベントなどの溶液により感光膜パターンを除去すると、図9及び図10に示すように、導電性物質の下部は完全に除去されてブリッジ状の導電性物質が形成される。
【0064】
また、ステップカバーレッジ工程は、互いに接続すべき発光セル間にフォト工程を用いて感光液を塗布し、それぞれの半導体層上の金属電極であるパッドの少なくとも一部の領域だけが開放されるように感光膜パターンを現像し、その上にめっきまたは金属蒸着などの方法により金を含有する導電性物質を一定の厚さに隣り合う発光セル間の電極が接続されるように塗布して発光セル同士を電気的に接続する役割を果たす。
上述した本発明の発光素子の製造は一実施例に過ぎず、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、種々の工程と製造方法が素子の特性及び工程の便宜により変更または追加可能である。
【0065】
以下、交流駆動可能な垂直型発光素子について説明する。なお、後述する説明のうち上述した説明と重なる説明は省略する。
図11〜図13は、本発明の第5の変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の断面図である。
【0066】
図11〜図13に示すように、交流駆動可能な垂直型発光素子は、多数の導電性接続膜320がパターニングされたマウント基板310と、導電性接続膜320の上にP型ボンドパッド170がそれぞれ接続された多数の垂直型発光セル300と、前記導電性接続膜と垂直型発光セルとの間を接続するための導電性配線301と、を備える。
【0067】
この変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の製造方法を図11に基づき説明すると、所定の導電性接続膜320が形成されたマウント基板310の導電性接続膜320の上に垂直型発光セル300のP型ボンドパッド170を貼り合わせる。
【0068】
マウント基板310の上に形成された導電性接続膜320は発光セル300を直列接続するための種々のアレイが採用可能である。もちろん、導電性接続膜320は目標とする発光セル300の数に見合う分だけ形成し、発光セル300のサイズよりも一方の方向に長く形成する。また、それぞれの導電性接続膜320は電気的に絶縁され、且つ、物理的に分離されている。
【0069】
このとき、この変形例においてはマウント基板310の上に導電性接続膜320が形成されているため、発光セル300のP型ボンドパッド170を形成することなく、基板201上の導電性接続膜320をP型ボンドパッド170として用いることができる。また、この変形例においてはP型ボンドパッド170がマウント基板310に貼り合わせられているが、N型ボンドパッド180がマウント基板310に貼り合わせられていてもよく、このとき、N型ボンドパッド180を形成しなくてもよい。
【0070】
ここで、発光セル300のP型ボンドパッド170とマウント基板310の導電性接続膜320とを貼り合わせるために導電性のペーストを用いる。もちろん、この以外の種々の方法を用いて貼り合わせることもできる。このとき、図11に示すように、導電性接続膜320の一方に発光セル300を整列して他方に導電性接続膜320を露出させる。
【0071】
この後、一方の発光セル300のP型ボンドパッド170と接続された導電性接続膜320は隣り合う他方の発光セル300のN型ボンドパッド180と導電性配線301を介して電気的に接続される。これにより、一方の発光セル300のP型ボンドパッド170は導電性接続膜320と導電性配線301を介して隣り合う他方の発光セル300のN型ボンドパッド180と接続されて多数の発光セル300が直列接続される。
【0072】
以下、図12に基づき、この変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の製造方法を説明する。
まず、マウント基板310の上にN型半導体層130、活性層、P型半導体層150及びN型半導体層130とP型半導体層150の各上部にボンドパッド180、170が形成された多数の垂直型発光セル300を貼り合わせる。
【0073】
マウント基板310として、Al2O3、SiC、ZnO、Si、GaAs、GaP、LiAl2O3、BN、AlN及びGaNのうち少なくともいずれか一種の基板を用いることができ、樹脂、プラスチックなどの絶縁性の基板を用いることができ、熱伝導性に優れた基板を用いることもできる。もし、伝導性の基板を用いる場合には、絶縁のためにその上部表面に絶縁層が形成された基板を用いる。
【0074】
前記発光セル300はマウント基板310の上に所定のペースト(図示せず)により貼り付けられる。このとき、発光セル300のP型ボンドパッド170がマウント基板310の上に貼り付けられる。もちろん、これら以外の種々の方法を用いて貼り付けることができる。すなわち、この変形例においてはP型パッド170がマウント基板310に貼り合わせられているが、N型ボンドパッド180がマウント基板310に貼り合わせられていてもよい。
【0075】
次に、所定のエッチング工程を通じてN型ボンドパッド180、N型半導体層130、活性層140及びP型半導体層150の一部をエッチングして下部のP型ボンドパッド170の一部を露出させる。これにより、図12に示すように、発光セル300のP型ボンドパッド170一部が露出された形状となる。所定の配線形成工程を通じて隣り合う発光セル300間の電極同士を接続する。すなわち、一方の発光セル300の露出されたP型ボンドパッド170と、これと隣り合う他方の発光セル300のN型ボンドパッド180とを導電性配線301により接続する。このとき、ブリッジ工程またはステップカバーレッジ工程を通じてそれぞれ隣り合う発光セル300のN型ボンドパッド180とP型ボンドパッド170との間を電気的に接続する導電性配線301を形成する。
【0076】
この変形例の発光素子の一端部に位置している発光セル300のP型ボンドパッド170と他端部に位置している発光セル300のN型ボンドパッド180のそれぞれに別途の外部端子電極(図示せず)を形成して外部より所定の電源を入力可能にする。
【0077】
以下、図13に基づき、交流駆動可能な垂直型発光素子の製造方法を説明する。
上述したように、垂直型発光セル300をマウント基板310の上に貼り合わせた後、所定のエッチング工程を通じてP型ボンドパッド170の一部を露出させる。
【0078】
次に、露出されたP型ボンドパッド170と隣り合う発光セル300との間のマウント基板310の上に後続する配線とのショートを防ぐための所定の絶縁膜302を形成する。この後、所定の金属配線工程を用いて隣り合う発光セル300間の電極同士を導電性配線301により接続する。このような絶縁膜302及び導電性配線301はプリント工程を通じて形成することができ、所定の蒸着、パターニング及びエッチング工程を通じて形成することもできる。
【0079】
発光素子の製造方法は上述した工程に限定されるものではなく、発光セルのエッチングを行うことなく、発光セルよりも広幅の電極パターンを基板の上に形成した後、その上部に発光セルを貼り合わせることができる。上述した変形例においては、P型パッドが基板に貼り合わせられているが、N型パッドが基板に貼り合わせられていてもよい。
【0080】
上述した変形例はそれぞれの変形例に限定されるものではなく、それぞれの変形例間の変換が可能である。すなわち、半導体層の形成に際しても、多数の半導体膜がさらに形成されてもよく、隣り合う発光セル同士を接続するために別途の絶縁膜を形成して隣り合うセル同士を電気的に絶縁させた後、それぞれの電極を露出させてこれらを所定の配線により接続してもよい。
【0081】
以下、交流駆動可能なフリップチップ構造の発光素子について説明する。なお、後述する説明のうち上述した説明と重なる説明は省略する。
図14及び図15は、本発明の第6の変形例による交流駆動可能なフリップチップ構造の発光素子の断面図である。
【0082】
図14及び図15に示すように、交流駆動可能なフリップチップ構造の発光素子は基板110の上に多数の水平型発光セルがアレイ状に配置されている。このとき、水平型発光セルのオーミック接続膜160の上に第1の金属バンプ190を形成し、N型半導体層130の上には第2の金属バンプ195が形成されている。
【0083】
前記水平型発光セルがアレイ状に配置された基板110は下部サブマウント基板400に実装される。
上記のサブマウント基板400の表面には誘電体膜410が設けられ、その上部には多数の導電性配線430が形成され、両周縁部には第1のボンド配線440と第2のボンド配線450が設けられる。
【0084】
上記のサブマウント基板400としては、電気伝導性及び熱伝導性を有する種々の膜質を用いる。すなわち、SiC、Si、Ge、SiGe、AlN、金属などを用いることができる。誘電体膜410としては、電流が1μm以下のあらゆる誘電物質を用いることができる。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、電流が全く流れない絶縁物質を用いてもよい。また、誘電体膜410は多層に形成することもできる。この実施例においては、誘電体膜410としてSiO2、MgO及びSiNのうち少なくともいずれか一種を用いている。
【0085】
以下、上述した構成を有するフリップチップ構造の発光素子用のサブマウント基板の製作方法を説明する。
まず、サブマウント基板400をパターニングして、図14に示すように、凹凸状にする。凹凸表面の上に誘電体膜410を形成する。このとき、サブマウント基板400として導電性物質を用いない場合には、誘電体膜410を形成しなくてもよい。この実施例においては、熱伝導率の向上のために電気伝導性に優れた金属性物質を用いる。このため、誘電体膜410を形成して十分に絶縁の役割を果たすようにする。
【0086】
次に、誘電体膜410の上に隣り合う発光セルの第1及び第2の金属バンプ190、195を接続する導電性配線430をパターニングする。これは、スクリーン印刷方法により導電性配線430を形成するか、あるいは、所定のマスクパターンを用いた蒸着工程を通じて導電性配線430を形成する。この後、発光セルをサブマウント基板400に貼り合わせて発光素子を製作する。
【0087】
もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、図15に示すように、サブマウント基板400に凹凸を形成することなく、その上部に導電性配線430を形成した後、発光セルをサブマウント基板400に貼り合わせて発光素子を製作することもできる。
上述した交流駆動可能な発光素子は、上述したように、基板内において直列及び/または並列接続可能であり、その内部に整流回路を備えてもよい。
【0088】
以下、添付図面に基づき、この交流駆動可能な発光素子内部の発光セルの電気的な接続関係を説明する。
図16〜図19は、交流駆動可能な発光素子の内部における発光セルの電気的な接続関係を説明するための概念図である。
【0089】
図16に示すように、発光素子6は、多数の発光セル100、300が直列接続され、これらの両端部には第1及び第2の外部接続パッド510、520が設けられる。このように、上述した水平型、垂直型及びフリップチップ構造の発光セル100は基板の上において直列接続可能である。このとき、約60Hzの交流電圧が印加される場合、正(+)の電圧が印加されるときには直列接続された発光セル100、300が発光し、負(−)の電圧が印加される場合には発光しなくなる。しかしながら、一定のHz以上において電圧が正(+)の電圧から負(−)の電圧に変化するため、視認する場合には常に発光したかのように感じる。
【0090】
図17に示すように、直列接続された多数の発光セル100、300を含む2つの発光セルブロック1000a、1000bが第1及び第2の外部接続パッド510、520間において逆並列接続される。上記の発光セルブロックは2以上であってもよい。そして、発光素子6の明るさの変化を極力抑えるために、第1及び第2の発光セルブロック1000a、1000b内の発光セル100、300の数が同数であることが好ましい。
【0091】
上述した構成の発光素子の動作を説明すると、もし、第1の外部接続パッド510に正(+)の電圧が印加され、第2の外部接続パッド520に負(−)の電圧が印加される場合、第2の発光セルブロック1000bが発光する。一方、第1の外部接続パッド510に負(−)の電圧が印加され、且つ、第2の外部接続パッド520に正(+)の電圧が印加される場合、第1の発光セルブロック1000aが発光する。すなわち、外部の交流電源が発光素子に印加されるとしても、第1及び第2の発光セルブロック1000a、1000bが交互に発光するため、交流電源においても十分に使用可能である。
【0092】
加えて、所定の整流動作をする別途のブリッジ部付き発光素子を製作することができる。
すなわち、図18及び図19に示すように、別途のブリッジ部付き発光素子は、直列接続された多数の発光セル100、300と、発光セル100、300に所定の整流電源を印加するための整流ブリッジ部530と、整流ブリッジ部530と接続された第1及び第2の外部接続パッド510、520と、を備える。
【0093】
この場合、直列接続された多数の発光セル100、300が外部の電源と集積接続されることなく、第1及び第2の外部接続パッド510、520に接続された整流ブリッジ部530を介して外部の電源に電気的に接続される。上記の整流ブリッジ部530は、ブリッジ接続された第1〜第4のダイオード部D1、D2、D3、D4を備える。このため、整流ブリッジ部530は正(+)の電圧の印加時に順方向に整列された第1及び第3のダイオード部D1及びD3により電流が直列接続された発光セル100、300に印加され、負(−)の電圧の印加時に逆方向に整列された第2の及び第4のダイオード部D2及びD4により電流が直列接続された発光セル100、300に印加される。これにより、交流電源によらずに発光され続くことになる。
【0094】
このとき、図18に示すように、整流ブリッジ部530が直列接続された多数の発光セル100、300の外側に設けられるか、あるいは、図19に示すように、整流ブリッジ部530の内側に直列接続された多数の発光セル100、300が設けられる。
また、上述した説明に限定されるものではなく、その機能によって種々の回路素子が追加可能である。例えば、リップル防止のためのRCフィルターが発光素子に追加されていてもよい。
【0095】
次に、上述した実施例において、発光素子の上に塗布された蛍光物質について詳述する。
上記の蛍光物質は紫外線光または可視光励起用の蛍光物質であって、シリケートまたはゲルマネートのアルカリ族である銅アルカリ土混性結晶を含有する。
【0096】
一般に、活性剤または補助活性剤として働く銅により活性化されたスルフィド蛍光体が陰極線管に商用されているということは周知である。緑色発光ZnS:Cu、Al(ここで、Cuは活性剤として用いられ、Alは補助活性剤として用いられる。)はCRT応用製品に極めて重要に使用されている。
【0097】
亜鉛スルフィド蛍光体においては、発光物質を活性剤と補助活性剤との濃度比によって5種類に分類することができる(van Gool, W., Philips Res. Rept. Suppl., 3, 1, 1962)。ここで、発光中心はディープドナーやディープアクセプター、または隣り合うこれら相互間の結合により形成される(Phosphor Handbook,edited under the Auspice of Phosphor Research Society,CRC Press New York,1988,S.238)。
【0098】
銅により活性化されたオルトフォスファート(Wanmaker,W.L.,and Spier,H.L.,JECS 109(1962),109)及びピロフォスファート、アルモシリケート、シリケート、トリポリフォスファートなどはペンシルバニア州立大学の出版物に開示されている(Keith H. Butler,The Pennsylvania State University Press,1980,S. 281)。しかしながら、このような蛍光体は単に短波長UV励起用としてのみ使用可能であり、化学的な特性及び温度条件に対する不安定性のために、これらの蛍光体は蛍光ランプには採用できなくなっている。
【0099】
一方、希土類イオン、例えば、Eu2+、Ce3+、及びその他の成分により活性化された酸素が優勢な化合物において、銅をホストラチス要素として用いることにより得られる効果については未だ説明されていない。銅をホストラチス要素として混合する場合、発光強度の向上だけではなく、発光ピーク、色座標、及び発光スペクトルの好適な方向への変化、そして、ラチスの安定化など良好な発光特性が得られるという肯定的な効果が期待される。
【0100】
ホストラチス要素として含まれる銅イオンは360nmよりも長波長励起用であって、発光特性を向上させるという効果を奏する。このような波長領域において、このイオンはこれらの電子構造のエネルギーレベルに起因して、自体的な発光特性の変化は見られず、よって、励起発光特性の低下は全く懸念されない。
【0101】
銅を含有する発光物質は、ホストラチスに銅成分を含有しない発光物質と比べて発光強度に優れている。このような銅を含有する発光物質のさらに好ましい効果は、発光波長の変化を高くまたは低く調節することができるということである。これらのイオンは銅を含有する化合物に悪影響を及ぼす活性剤として働くことはないが、場合によっては、クリスタル構造の予期しない分裂または結合を引き起こすことはある。
銅を含有する物質の提案は、これらのイオンの酸化可能性により環境に悪影響を及ぼしうるため、極めて複雑な問題である。このため、銅を含有する化合物は特別な製造工程を要する。
【0102】
クリスタルフィールドにおいては、一般に、銅がどのようなイオンを代替するかによってその発光特性に相違点がある。銅がEuにより活性化されたアルミネート及び/またはシリケートのSrまたはBaを代替する場合には、Cuのイオン半径がBa及びSrのイオン半径よりも小さなため、最大の発光波長が長波長側にシフトされる。これは、活性剤イオンを取り囲む強力なクリスタルフィールドを示す。
【0103】
電荷数及びイオン半径などの要因により相対的に大き目のアルカリ土イオンに比べて容易にイオン化可能な銅は、隣り合う酸素イオンとの結合力がアルカリ土イオンよりも強い。このため、発光スペクトルの形状にさらに大きく影響してピーク波長を長波長に変形すると共に、その発光帯域内の発光スペクトル曲線をさらに広げる効果を奏する。加えて、銅イオンを代替することにより、発光強度を増大させることができる。発光ピークを長波長または短波長にシフト可能であるということは、LED発光技術の分野に肯定的な影響を及ぼすことが予想される。というのは、光学装置においてはその明るさの向上や所望の色座標を有する特定の波長を得るためには、細かい微調整が必要となるためである。このような微調整は正イオン銅を適切に用いて行うことができる。
【0104】
一方、ほとんどの発光物質及び蛍光体が水、湿気、水蒸気または極性溶媒により不安定になるということは周知である。例えば、スピネル構造のアルミネート及び四方晶系あるいはアカーマナイト構造のシリケートはその高い塩基度のために、水、湿気、水蒸気、または極性溶媒にやや敏感な性質を示す。しかしながら、銅は結合力が高く、且つ、塩基度が低いため、高い塩基度を有する正イオンを代替する場合、ホストラチス内に混合されて水、水蒸気、極性溶媒に強い発光物質の特性を示す。
【0105】
蛍光物質は、一般式1で表わされるシリケート、一般式2で表わされるゲルマネートまたはゲルマネート−シリケートの混合物により構成される。
[式1]
a(M’O)b(M’’O)c(M’’’X)d(M’’’2O)e(Me’’’’2O3)f(M’’’’’oOp)g(SiO2)h(M’’’’’’xOy)
[式2]
a(M’O)b(M’’2O)c(M’’X)d(GeO2)e(M’’’O)f(M’’’’2O3)g(M’’’’’oOp)h(M’’’’’’xOy)
【0106】
一方、銅を含有する混性結晶は発光装置内に実装された一つまたはそれ以上の300−400nm範囲内の長波長紫外線及び/または380−500nm範囲内の青色光により演色性90以上の可視光領域内の光に波長変換する変換材として用いられる。また、銅を含有する混性結晶は演色性90以上の白色光を発するために、単一蛍光体及び/または他の蛍光体と混合されて発光素子(LED)に用いられることを特徴とする。
【0107】
実施例1:
銅アルカリ土シリケート混性結晶の一般式
a(M’O)b(M’’O)c(M’’’X)d(M’’’2O)e(Me’’’’2O3)f(Me’’’’’oOp)g(SiO2)h(M’’’’’’xOy)において、
式中、M’はCuであり、
M’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はB、Al、Ga、Inよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はGe、V、Nb、Ta、W、Mo、Ti、Zr、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Sb、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
【0108】
ここで、
0<a≦2
0<b≦8
0≦c≦4
0≦d≦2
0≦e≦2
0≦f≦2
0≦g≦10
0<h≦5
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
【0109】
混合例:
下記の一般式を有する蛍光物質の製造:
Cu0.05Sr1.7Ca0.25SiO4:Eu
初期物質:CuO、SrCO3、CaCO3、SiO2、Eu2O3及び/またはこれらの混合物質
高純粋酸化物と炭酸塩の形の初期物質は少量の融剤(NH4Cl)と共に化学量論的な割合にて混合される。第1の段階において、混合物は不活性ガス(N2、H2、Arまたは希ガス)の雰囲気下において1200℃のアルミナ坩堝において2−4時間加熱される。予備加熱後、物質はさらに粉砕過程を経る。第2の段階において、混合物は弱い還元雰囲気下において1200℃のアルミナ坩堝において2時間さらに加熱される。この後、物質は粉砕、洗浄、乾燥、篩分けされる。蛍光物質は592nmにおいて最大の発光波長を有する。
【0110】
表1:Eu2+により活性化されるCu−Sr−Caが混合されたシリケートと、Eu2+により活性化されるSr−Ca−シリケートの450nm励起波長における比較
【0111】
【表1】
【0112】
下記の一般式を有する蛍光物質の製造:
3Cu0.2Ba2Zn0.2Mg0.6Si2O7:Eu
初期物質:CuO、BaCO3、ZnO、MgO、SiO2、Eu2O3及び/またはこれらの混合物質
高純粋酸化物と炭酸塩の形の初期物質は少量の融剤(NH4Cl)と共に化学量論的な割合で混合される。第1の段階において、混合物は不活性ガスの雰囲気下において1100℃のアルミナ坩堝において1−2時間加熱される。予備加熱後、物質はさらに粉砕過程を経る。第2の段階において、混合物は還元雰囲気下において1235℃のアルミナ坩堝において2時間加熱される。この後、物質は粉砕、洗浄、乾燥、篩分けされる。蛍光物質は467nmにおいて最大の発光波長を有する。
【0113】
表2:Eu2+により活性化される銅を含有するシリケートと、銅を含有しないEu2+により活性化されるシリケートとの400nm励起波長における比較
【0114】
【表2】
【0115】
希土類により活性化される銅を含有するシリケート混性結晶に対する結果は、表3に示す通りである。
【0116】
表3:長波長紫外線及び/または可視光により励起可能な銅アルカリ土シリケート混性結晶の光学特性及び400nmの励起波長における%表示での光密度
【0117】
【表3】
【0118】
実施例2:
銅を含有するアルカリ土類混性結晶ゲルマネート及び/またはゲルマネート−シリケートの一般式
a(M’O)b(M’’2O)c(M’’X)d(GeO2)e(M’’’O)f(M’’’’2O3)g(M’’’’’oOp)h(M’’’’’’xOy)において、
式中、M’はCuであり、
M’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag、1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn、2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はSc、Y、B、Al、La、Ga、In、3価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はSi、Ti、Zr、Mn、V、Nb、Nd、Ta、W、Mo、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Tbよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
【0119】
ここで、
0<a≦2
0≦b≦2
0≦c≦10
0<d≦10
0≦e≦14
0≦f≦14
0≦g≦10
0≦h≦2
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
【0120】
下記の一般式を有する蛍光物質を用意するために、
Cu0.46Sr0.54Ge0.6Si0.4O3:Mn
初期物質は:
CuO、SrCO3、GeO2、SiO2、MnCO3及び/またはこれらの混合物質
酸化物及び炭酸塩の形の初期物質は少量の融剤(NH4Cl)と共に化学量論的な割合で混合される。混合された物質は、1段階工程において、酸素雰囲気下において1100℃のアルミナ坩堝において2時間加熱される。予備加熱された物質はさらに粉砕過程を経る。混合された物質は、2段階工程において、酸素雰囲気下において1180℃のアルミナ坩堝において4時間加熱される。これらの工程を経た物質は粉砕、洗浄、乾燥及び篩分けされる。これらの工程を経て製造された蛍光物質は658nmにおいて最大の発光波長を有する。
【0121】
表4:Mnにより活性化されるCu−Srが混合されたゲルマネート−シリケートと、銅を含有せず、且つ、Mnにより活性化されるゲルマネート−シリケートとの400nm励起波長における比較
【0122】
【表4】
【0123】
銅を含有するアルカリ土類混性結晶ゲルマネートまたはゲルマネート−シリケート群から得られた結果は、下記表5に示す通りである。
【0124】
表5:長波長紫外線及び/または可視光により励起可能な銅を含有するアルカリ土類混性結晶ゲルマネート/ゲルマネート−シリケート光学的な特性及び400nmの励起波長における%表示での光密度
【0125】
【表5】
【0126】
銅を導入する場合を考慮した上で、混合物の特性変化について下記の如き物理化学的な変化がなされうる。
【0127】
表6:格子定数の変化−xレイ回折結果
【0128】
【表6】
表6に示すように、銅を含有する蛍光体の場合、格子定数が僅かに変化しており、これにより、放出スペクトルが微細に変化する。すなわち、このようなスペクトルは波長が0.5〜1nm程度短波長側に移動する。
【0129】
表7:銅を含有しない蛍光体と、異なる濃度の銅を含有する蛍光体とのゼータポテンシャル及び移動度の変化の比較
【0130】
【表7】
【0131】
このような変化の結果は、水に対する感度変化を意味する。銅を含有する混合物の水に対する安定性が銅を含有しない混合物の水に対する安定性よりも遥かに高い(表8)。
【0132】
表8:85℃の温度及び100%湿度下における銅を含有する混合物と銅を含有しない混合物との経時相対強度
【0133】
【表8】
【0134】
前記表7及び表8に示すように、銅を含有する蛍光体の場合、溶解工程においてアルカリ土類イオンの移動度が下がる。これは、溶解された正イオンの数及び割合が小さくなることを意味し、この結果、加水分解が低減して水に対する安定性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の第1の実施例によるチップ型発光装置の断面図。
【図2】本発明の第2の実施例による塔型パッケージ発光装置の断面図。
【図3】本発明の第3の実施例によるランプ型パッケージ発光装置の断面図。
【図4】本発明の第4の実施例による高出力用の発光装置の概略断面図。
【図5】本発明の第4の実施例による高出力用の発光装置の概略断面図。
【図6】本発明の第1の変形例による水平型発光素子の断面図。
【図7】本発明の第2の変形例による垂直型発光素子の断面図。
【図8】本発明の第3の変形例によるフリップチップ構造の発光素子の断面図。
【図9】本発明の第4の変形例による交流駆動可能な水平型発光素子の断面図。
【図10】本発明の第4の変形例による交流駆動可能な水平型発光素子の断面図。
【図11】本発明の第5の変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の断面図。
【図12】本発明の第5の変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の断面図。
【図13】本発明の第5の変形例による交流駆動可能な垂直型発光素子の断面図。
【図14】本発明の第6の変形例による交流駆動可能なフリップチップ構造の発光素子の断面図。
【図15】本発明の第6の変形例による交流駆動可能なフリップチップ構造の発光素子の断面図。
【図16】交流駆動可能な発光素子の内部における発光セルの電気的な接続関係を説明するための概念図。
【図17】交流駆動可能な発光素子の内部における発光セルの電気的な接続関係を説明するための概念図。
【図18】交流駆動可能な発光素子の内部における発光セルの電気的な接続関係を説明するための概念図。
【図19】交流駆動可能な発光素子の内部における発光セルの電気的な接続関係を説明するための概念図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域の波長の光を発する少なくとも一つの発光素子と、
ホストラチス要素として銅とアルカリ土金属物質とを含み、希土類により活性化される化合物を含み、前記発光素子の周りに配置されて前記発光素子から発せられた光の一部を吸収して吸収光とは異なる波長の光を発する蛍光物質と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記化合物は下記の一般式1で表わされ、
[式1]
a(M’O)b(M’’O)c(M’’’X)d(M’’’2O)e(M’’’’2O3)f(M’’’’’oOp)g(SiO2)h(M’’’’’’xOy)
式中、M’はCuであり、
M’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn、2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag、1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はB、Al、Ga、Inよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はGe、V、Nb、Ta、W、Mo、Ti、Zr、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Sb、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
ここで、
0<a≦2
0<b≦8
0≦c≦4
0≦d≦2
0≦e≦2
0≦f≦2
0≦g≦10
0<h≦5
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
で表わされる銅−アルカリ−土類が優勢なシリケート化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記化合物は下記の一般式2で表わされ、
[式2]
a(M’O)b(M’’2O)c(M’’X)d(GeO2)e(M’’’O)f(M’’’’2O3)g(M’’’’’oOp)h(M’’’’’’xOy)
式中、M’はCuであり、
M’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag、1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn、2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はSc、Y、B、Al、Ga、In、La、3価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はSi、Ti、Zr、Mn、V、Nd、Nb、Ta、W、Mo、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Tbよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
ここで、
0<a≦2
0≦b≦2
0≦c≦10
0<d≦10
0≦e≦14
0≦f≦14
0≦g≦10
0≦h≦2
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
で表わされる銅−アルカリ−土類が優勢なゲルマネート及び/またはゲルマネート−シリケート化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記銅−アルカリ−土類が優勢な化合物のストロンチウム濃度が好ましくは0.4モル/モル蛍光体未満であることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記化合物は、1種またはそれ以上の300−400nm範囲内の紫外線光及び/または380−500nm範囲内の青色光により演色性90以上の可視光領域内の光に波長変換することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記化合物は、演色性90以上の白色光を発するために単一蛍光体及び/または他の蛍光体と混合されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項7】
前記蛍光物質は、前記発光素子の側面、上面、及び下部面のうち少なくともいずれかの面に配置されるか、あるいは、接着剤またはモールド材に混合されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子及び前記蛍光物質がパッケージ内に組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記パッケージはリフレクタ付き基板の上部に前記少なくとも一つの発光素子が実装され、前記発光素子の周りに前記蛍光物質が配置されていることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記基板上において前記発光素子及び前記蛍光物質を封止するモールド部を備えることを特徴とする請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記モールド部に前記蛍光物質が一様に分布されていることを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記パッケージは、前記少なくとも一つの発光素子から発せられる熱を放熱するヒートシンクを備え、前記発光素子の周りに前記蛍光物質が配置されている高出力用のものであることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項13】
前記発光素子は、垂直型、水平型及びフリップチップ構造の発光素子であることを特徴とする請求項1、請求項7から12のいずれかに記載の発光装置。
【請求項14】
前記発光素子は、多数の発光セルが単一基板内において直列または並列接続されることを特徴とする請求項1、請求項7から12のいずれかに記載の発光装置。
【請求項15】
前記発光セルは、水平型、垂直型及びフリップチップ型の発光セルであることを特徴とする請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記直列接続された発光セルに整流電源を印加するための整流ブリッジ部をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の発光装置。
【請求項17】
直列接続された多数の発光セルが複数のブロックを形成し、これらのブロックが逆並列接続されることを特徴とする請求項14に記載の発光装置。
【請求項1】
所定の領域の波長の光を発する少なくとも一つの発光素子と、
ホストラチス要素として銅とアルカリ土金属物質とを含み、希土類により活性化される化合物を含み、前記発光素子の周りに配置されて前記発光素子から発せられた光の一部を吸収して吸収光とは異なる波長の光を発する蛍光物質と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記化合物は下記の一般式1で表わされ、
[式1]
a(M’O)b(M’’O)c(M’’’X)d(M’’’2O)e(M’’’’2O3)f(M’’’’’oOp)g(SiO2)h(M’’’’’’xOy)
式中、M’はCuであり、
M’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn、2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag、1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はB、Al、Ga、Inよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はGe、V、Nb、Ta、W、Mo、Ti、Zr、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Sb、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
ここで、
0<a≦2
0<b≦8
0≦c≦4
0≦d≦2
0≦e≦2
0≦f≦2
0≦g≦10
0<h≦5
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
で表わされる銅−アルカリ−土類が優勢なシリケート化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記化合物は下記の一般式2で表わされ、
[式2]
a(M’O)b(M’’2O)c(M’’X)d(GeO2)e(M’’’O)f(M’’’’2O3)g(M’’’’’oOp)h(M’’’’’’xOy)
式中、M’はCuであり、
M’’はLi、Na、K、Rb、Cs、Au、Ag、1価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Mn、2価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’はSc、Y、B、Al、Ga、In、La、3価元素よりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’はSi、Ti、Zr、Mn、V、Nd、Nb、Ta、W、Mo、Hfよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
M’’’’’’はBi、Sn、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Tbよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
XはF、Cl、Br、Iよりなる群から選ばれた1種またはそれ以上の成分であり、
ここで、
0<a≦2
0≦b≦2
0≦c≦10
0<d≦10
0≦e≦14
0≦f≦14
0≦g≦10
0≦h≦2
1≦o≦2
1≦p≦5
1≦x≦2
1≦y≦5
で表わされる銅−アルカリ−土類が優勢なゲルマネート及び/またはゲルマネート−シリケート化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記銅−アルカリ−土類が優勢な化合物のストロンチウム濃度が好ましくは0.4モル/モル蛍光体未満であることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記化合物は、1種またはそれ以上の300−400nm範囲内の紫外線光及び/または380−500nm範囲内の青色光により演色性90以上の可視光領域内の光に波長変換することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記化合物は、演色性90以上の白色光を発するために単一蛍光体及び/または他の蛍光体と混合されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項7】
前記蛍光物質は、前記発光素子の側面、上面、及び下部面のうち少なくともいずれかの面に配置されるか、あるいは、接着剤またはモールド材に混合されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子及び前記蛍光物質がパッケージ内に組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記パッケージはリフレクタ付き基板の上部に前記少なくとも一つの発光素子が実装され、前記発光素子の周りに前記蛍光物質が配置されていることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記基板上において前記発光素子及び前記蛍光物質を封止するモールド部を備えることを特徴とする請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記モールド部に前記蛍光物質が一様に分布されていることを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記パッケージは、前記少なくとも一つの発光素子から発せられる熱を放熱するヒートシンクを備え、前記発光素子の周りに前記蛍光物質が配置されている高出力用のものであることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項13】
前記発光素子は、垂直型、水平型及びフリップチップ構造の発光素子であることを特徴とする請求項1、請求項7から12のいずれかに記載の発光装置。
【請求項14】
前記発光素子は、多数の発光セルが単一基板内において直列または並列接続されることを特徴とする請求項1、請求項7から12のいずれかに記載の発光装置。
【請求項15】
前記発光セルは、水平型、垂直型及びフリップチップ型の発光セルであることを特徴とする請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記直列接続された発光セルに整流電源を印加するための整流ブリッジ部をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の発光装置。
【請求項17】
直列接続された多数の発光セルが複数のブロックを形成し、これらのブロックが逆並列接続されることを特徴とする請求項14に記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2009−519606(P2009−519606A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545498(P2008−545498)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005500
【国際公開番号】WO2007/069869
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(507194969)ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド (66)
【住所又は居所原語表記】148−29,Gasan−dong,Geumcheon−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005500
【国際公開番号】WO2007/069869
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(507194969)ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド (66)
【住所又は居所原語表記】148−29,Gasan−dong,Geumcheon−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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