発光装置
【課題】発光素子と蛍光体を用い、高い演色性を実現する発光装置を提供する。
【解決手段】実施の形態によれば、波長380nm〜470nmの光を発する発光素子と、この発光素子上に配置され、樹脂中に分散されたCASN系の第1の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、樹脂中に分散されたサイアロン系の第2の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、樹脂中に分散されたサイアロン系の緑色蛍光体と、を備える。
【解決手段】実施の形態によれば、波長380nm〜470nmの光を発する発光素子と、この発光素子上に配置され、樹脂中に分散されたCASN系の第1の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、樹脂中に分散されたサイアロン系の第2の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、樹脂中に分散されたサイアロン系の緑色蛍光体と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、青色の発光ダイオード(LED)にYAG:Ceなどの黄色蛍光体を組合せ、単一のチップで白色光を発する、いわゆる白色発光ダイオードに注目が集まっている。従来、LEDは赤色、緑色、青色と単色で発光するものであり、白色または中間色を発するためには、単色の波長を発する複数のLEDを用いてそれぞれ駆動しなければならなかった。しかし、現在では、発光ダイオードと、蛍光体とを組合せることにより、上述の煩わしさを排し、簡便な構造によって白色光を得ることができるようになっている。
【0003】
しかしながら、青色の発光ダイオードにYAG:Ce蛍光体を組み合わせた白色発光ダイオードは赤色成分の不足から、青白い発光となり、演色性に偏りがみられる。そのため、YAG:Ceなどで不足する赤色成分を別のピーク波長が約640nm〜660nmにある赤色蛍光体で補う白色発光ダイオードが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2006/093298号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、発光素子と蛍光体を用い、高い演色性を実現する発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の発光装置は、波長380nm〜470nmの光を発する発光素子と、この発光素子上に配置され、下記一般式(1)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第1の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、下記一般式(2)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第2の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、下記一般式(3)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された緑色蛍光体と、を備える。
【0007】
(Ca1−x1Eux1)a1AlSib1Oc1Nd1:Eu (1)
(上記一般式(1)中、x1、a1、b1、c1、d1は次の関係を満たす。0<x1<0.03、0.90<a1<1.1、0.90<b1<1.1、0.20<c1<0.45、
2.40<d1≦3.00)
【0008】
(Sr1−x2Eux2)a2Sib2AlOc2Nd2 (2)
(上記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x2<1、0.55<a2<0.95、2.0<b2<3.9、0<c2<0.6、4<d2<5.7)
【0009】
(Sr1−xEux)3−ySi13−zAl3+zO2+uN21−w (3)
(上記一般式(3)中、x、y、z、u、wは、次の関係を満たす。0<x<1、−0.1<y<0.3、−3<z≦1、−3<u−w≦1.5)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図2】第2の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図3】第3の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図4】第4の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図5】第5の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図6】第6の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図7】第7の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図8】第8の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図9】第9の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図10】実施例2の発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【図11】実施例17の赤色蛍光体のXRDプロファイルである。
【図12】実施例18の赤色蛍光体のXRDプロファイルである。
【図13】実施例3の緑色蛍光体のXRDプロファイルである。
【図14】実施例17の緑色蛍光体のXRDプロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて実施の形態を説明する。
【0012】
なお、本明細書中、演色性についてはJISZ8726の評価方法に基づく演色性を意味するものとする。
【0013】
また、実施の形態で得られる上記一般式(2)で表される赤色蛍光体の結晶構造は、斜方晶であり、CuKα特性X線(波長1.54056Å)を用いたX線回折において、図11、12に示すように、31.6−31.8°、30.9−31.1°、24.85−25.05°、35.25−35.45°、15.0−15.25°、56.4−56.65°、36.1−36.25°、33.0―33.20°、23.1―23.20°、29.3−29.6°、26.95−26.15°の回折角度(2θ)、11箇所のうち、少なくとも9箇所に同時に回折ピークを示す一成分を含有するものである。
【0014】
さらに、実施の形態で得られる上記一般式(3)で表される緑色蛍光体の結晶構造は、斜方晶であり、CuKα特性X線(波長1.54056Å)を用いたX線回折において、図13、14に示すように、30.5−30.9°、25.6−30.0°、31.8−32.2°、37.2−37.6°、37.0−37.4°、29.3−29.7°、34.0−34.4°、21.7―22.1°、48.9―49.3°、45.7−46.1°、62.8−63.2°、15.2−15.6°、61.3−61.7°、40.5−40.9°、55.8°−56.2°の回折角度(2θ)、15箇所のうち、少なくとも6箇所に同時に回折ピークを示す一成分を含有するものである。
【0015】
(第1の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、波長380nm〜470nmの光を発する発光素子と、この発光素子上に配置され、下記一般式(1)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第1の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、下記一般式(2)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第2の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、下記一般式(3)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された緑色蛍光体と、を備える。
【0016】
(Ca1−x1Eux1)a1AlSib1Oc1Nd1:Eu (1)
(上記一般式(1)中、x1、a1、b1、c1、d1は次の関係を満たす。0<x1<0.03、0.90<a1<1.1、0.90<b1<1.1、0.20<c1<0.45、
2.40<d1≦3.00)
【0017】
(Sr1−x2Eux2)a2Sib2AlOc2Nd2 (2)
(上記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x2<1、0.55<a2<0.95、2.0<b2<3.9、0<c2<0.6、4<d2<5.7)
【0018】
(Sr1−xEux)3−ySi13−zAl3+zO2+uN21−w (3)
(上記一般式(3)中、x、y、z、u、wは、次の関係を満たす。0<x<1、−0.1<y<0.3、−3<z≦1、−3<u−w≦1.5)
【0019】
本実施の形態の発光装置によれば、赤色蛍光体として、いわゆるCASN系とサイアロン系の2種の蛍光体を用いることで、高い演色性を有する発光装置が実現される。
【0020】
図1は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。凹部を有する基板10に実装された励起光源用青色LEDチップ12を発光素子として有している。青色LEDチップ12は、波長440nm〜470nmの青色光を発する。
【0021】
LEDチップ12は、例えば金のワイヤ14を介して図示しない配線に接続されている。そして、この配線を介して外部から駆動電流がLEDチップ12に供給されることにより、LEDチップ12が励起用の青色光を発する。
【0022】
LEDチップ12は、基板10の凹部に透明樹脂層16で封止されている。さらに、この透明樹脂層16を覆うように、半球形状の透明樹脂層18が設けられている。
【0023】
透明樹脂層18上には、LEDチップ12から発生された青色光を吸収して赤色光に変換する赤色蛍光体層20が配置されている。赤色蛍光体層20には、下記一般式(1)および(2)で表わされる組成を有する第1の赤色蛍光体と第2の赤色蛍光体が、混合して透明樹脂中に分散されている。
【0024】
(Ca1−x1Eux1)a1AlSib1Oc1Nd1:Eu (1)
(上記一般式(1)中、x1、a1、b1、c1、d1は次の関係を満たす。0<x1<0.03、0.90<a1<1.1、0.90<b1<1.1、0.20<c1<0.45、
2.40<d1≦3.00)
【0025】
(Sr1−x2Eux2)a2Sib2AlOc2Nd2 (2)
(上記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x2<1、0.55<a2<0.95、2.0<b2<3.9、0<c2<0.6、4<d2<5.7)
【0026】
第1の赤色蛍光体は、CASN系の蛍光体である。第1の赤色蛍光体は波長380nm〜470nmの青色光で励起した際に、例えば、波長640nm〜660nmにピークを有する赤色光を発する。
【0027】
第2の赤色蛍光体は、サイアロン系の蛍光体である。第2の赤色蛍光体は、波長380nm〜470nmの青色光で励起した際に、例えば、波長590nm〜640nmにピークを有する赤色光を発する。
【0028】
第2の赤色蛍光体については、より高い演色性を実現する観点から、一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、0.01<x2≦0.10、0.58≦a2≦0.70、2.1≦b2≦3.5、0.1≦c2≦0.5、4.1≦d2≦5.0の関係を満たすことが望ましい。
【0029】
赤色蛍光体層20を覆うように、LEDチップ12から発生される青色光を吸収して緑色光に変換する緑色蛍光体が透明な樹脂中に分散された緑色蛍光体層22が設けられている。緑色蛍光体層22には、下記一般式(3)で表わされる組成を有する緑色蛍光体が透明樹脂中に分散されている。
【0030】
(Sr1−xEux)3−ySi13−zAl3+zO2+uN21−w (3)
(上記一般式(3)中、x、y、z、u、wは、次の関係を満たす。0<x<1、−0.1<y<0.3、−3<z≦1、−3<u−w≦1.5)
【0031】
緑色蛍光体は、サイアロン系の蛍光体である。この緑色蛍光体は波長380nm〜470nmの青色光で励起した際に、例えば、波長510nm〜530nmにピークを有する緑色光を発する。
【0032】
緑色蛍光体層22を覆うように透明樹脂層24が設けられている。この透明樹脂層24の外表面は大気(空気)に接している。
【0033】
この透明樹脂層24は、LEDチップ12から発せられる青色光および赤色蛍光体層20からの赤色光、緑色蛍光体層22からの緑色光が、大気との界面となる上記外表面で全反射されることを抑制する機能を有する。
【0034】
透明樹脂層18、赤色蛍光体層20、緑色蛍光体層22、透明樹脂層24からなる4層構造の積層膜は半球形の形状をしている。
【0035】
本実施の形態によれば、特に、赤色蛍光体として、いわゆるCASN系とサイアロン系の2種の蛍光体を用いることで、白色(4200K)および電球色(2800K)について平均演色評価数Raが95以上の高い演色性が実現される。また、特に特殊演色評価数R9およびR15について高い演色性が実現される。
【0036】
なお、赤色蛍光体層20と、緑色蛍光体層22との間に、赤色蛍光体層20による緑色光の再吸収を抑制する透明樹脂層をさらに設けても構わない。
【0037】
また、より高い演色性を実現するために、赤色蛍光体層20と、緑色蛍光体層22との間に黄色蛍光体を樹脂に分散した黄色蛍光体層をさらに設けても構わない。
【0038】
各LEDチップ12上には、図1に示すような、透明樹脂層18、赤色蛍光体層20、緑色蛍光体層22、透明樹脂層24からなる4層構造の半球上の積層膜が配置される。このようにして、例えば、定格20mAで駆動される白色LED、もしくはさらに高出力型の定格350mAの電流で駆動される白色LEDで実現される。
【0039】
(第2の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、第1の赤色蛍光体が第1の赤色蛍光体層として発光素子上に配置され、第2の赤色蛍光体が第1の赤色蛍光体層上の第2の赤色蛍光体層として発光素子上に配置され、緑色蛍光体が第2の赤色蛍光体層上の緑色蛍光体層として、発光素子上に配置されること以外は第1の実施の形態と同様である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0040】
図2は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。半球状の透明樹脂層18上には、下記一般式(1)の組成で表わされるCASN系の赤色蛍光体が樹脂に分散された第1の赤色蛍光体層20aが形成されている。また、第1の赤色蛍光体層20a上には、下記一般式(2)の組成で表わされるサイアロン系の赤色蛍光体が樹脂に分散された第2の赤色蛍光体層20bが形成されている。
【0041】
(Ca1−x1Eux1)a1AlSib1Oc1Nd1:Eu (1)
(上記一般式(1)中、x1、a1、b1、c1、d1は次の関係を満たす。0<x1<0.03、0.90<a1<1.1、0.90<b1<1.1、0.20<c1<0.45、
2.40<d1≦3.00)
【0042】
(Sr1−x2Eux2)a2Sib2AlOc2Nd2 (2)
(上記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x2<1、0.55<a2<0.95、2.0<b2<3.9、0<c2<0.6、4<d2<5.7)
【0043】
本実施の形態によれば、赤色蛍光体層を2層に分けることにより、第2の赤色蛍光体が発する赤色光の、第1の赤色蛍光体による吸収を抑制することが可能となる。したがって、第1の実施の形態の効果に加え、さらに高い発光効率を実現することが可能となる。
【0044】
(第3の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、赤色蛍光体層と緑色蛍光体層との間に、さらに、透明樹脂層が設けられること以外は第1の実施の形態と同様である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0045】
図3は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。赤色蛍光体層20と緑色蛍光体層22との間に、さらに透明樹脂層30が設けられている。この透明樹脂層により、緑色蛍光体層から発せられる緑色光が、赤色蛍光体層20で再吸収されることを防止する。したがって、第1の実施の形態よりもさらに発光効率の向上した発光装置が実現される。
【0046】
(第4の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、第2の赤色蛍光体層と緑色蛍光体層との間に、さらに、透明樹脂層が設けられること以外は第2の実施の形態と同様である。したがって、第2の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0047】
図4は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。第2の赤色蛍光体層20bと緑色蛍光体層22との間に、さらに透明樹脂層30が設けられている。この透明樹脂層30により、緑色蛍光体層から発せられる緑色光が、第1および第2の赤色蛍光体層20a、20bで再吸収されることを防止する。したがって、第2の実施の形態よりもさらに発光効率の向上した発光装置が実現される。
【0048】
(第5の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、発光素子が波長380nm〜420nmの近紫外光を発するLEDであること、緑色蛍光体層を覆う透明樹脂層にかえて青色蛍光体層を有すること以外は、第3の実施の形態と同様である。したがって、第3の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0049】
図5は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。緑色蛍光体層22を覆うように、青色蛍光体層28が設けられている。そして、青色蛍光体層28を覆うように透明樹脂層24が形成されている。
【0050】
青色蛍光体層28中には、LEDチップ12から発生された紫外光を吸収して青色光に変換する青色蛍光体が透明な樹脂中に分散されている。青色蛍光体は、例えば、アパタイト系蛍光体やBAM:Eu等を用いることが可能である。
【0051】
本実施の形態によっても、第1ないし第4の実施の形態同様、高い演色性を実現することが可能である。
【0052】
(第6の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、発光素子が波長380nm〜420nmの近紫外光を発するLEDであること、緑色蛍光体層を覆う透明樹脂層にかえて青色蛍光体層を有すること以外は、第4の実施の形態と同様である。したがって、第4の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0053】
図6は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。緑色蛍光体層22を覆うように、青色蛍光体層28が設けられている。そして、青色蛍光体層28を覆うように透明樹脂層24が形成されている。
【0054】
青色蛍光体層28中には、LEDチップ12から発生された紫外光を吸収して青色光に変換する青色蛍光体が透明な樹脂中に分散されている。青色蛍光体は、例えば、アパタイト系蛍光体やBAM:Eu等を用いることが可能である。
【0055】
本実施の形態によっても、第1ないし第5の実施の形態同様、高い演色性を実現することが可能である。
【0056】
(第7の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層の形状が半球型ではなく、平板状になった以外は第4の実施の形態と同様である。したがって、第4の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0057】
図7は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。第2の赤色蛍光体層20bと緑色蛍光体層22との間に、さらに透明樹脂層30が設けられている。この透明樹脂層30により、緑色蛍光体層から発せられる緑色光が、第1および第2の赤色蛍光体層20a、20bで再吸収されることを防止する。
【0058】
本実施の形態によっても、第1ないし第6の実施の形態同様、高い演色性を実現することが可能である。また、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層が平板状であるため、比較的製造が容易になるという利点がある。
【0059】
(第8の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層の形状が半球型ではなく、平板状になった以外は第5の実施の形態と同様である。したがって、第5の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0060】
図8は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。緑色蛍光体層22を覆うように、青色蛍光体層28が設けられている。
【0061】
本実施の形態によっても、第1ないし第7の実施の形態同様、高い演色性を実現することが可能である。また、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層が平板状であるため、比較的製造が容易になるという利点がある。
【0062】
(第9の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層の形状が半球型ではなく、平板状になった以外は第6の実施の形態と同様である。したがって、第6の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0063】
図9は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。緑色蛍光体層22を覆うように、青色蛍光体層28が設けられている。
【0064】
本実施の形態によっても、第1ないし第8の実施の形態同様、高い演色性を実現することが可能である。また、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層が平板状であるため、比較的製造が容易になるという利点がある。
【0065】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、各実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもかまわない。
【0066】
例えば、封止樹脂等の基材となるバインダー樹脂は、発光素子(励起素子)のピーク波長近傍およびこれよりも長波長領域で実質的に透明であれば、その種類を問わず用いることができる。一般的なものとしては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、またはエポキシ基を有するポリジメチルシロキサン誘導体、またはオキセタン樹脂、またはアクリル樹脂、またはシクロオレフィン樹脂、またはユリア樹脂、またはフッ素樹脂、またはポリイミド樹脂などが考えられる。
【0067】
そして、実施の形態の説明においては、発光装置等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる発光装置に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0068】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての発光装置は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【実施例】
【0069】
(実施例1)
図4に示した第4の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子としては、InGaN系化合物半導体を活性層として用いた波長455nmの青色光を発する青色LEDを用いた。この際、表1の実施例1の欄に示した組成、ピーク波長を有するサイアロン系緑色蛍光体を適用した。第1の赤色蛍光体として、表3に示すCASN系赤色蛍光体を適用した。また、表2の実施例1の欄に示した組成、ピーク波長を有するサイアロン系赤色蛍光体を第2の赤色蛍光体に適用した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。
【0070】
このようにして得られた、実施例1の発光装置を20mAで駆動した時の演色性について、平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9およびR15についてJISZ8726の評価方法に基づき評価した。また、発光装置の発光効率についても評価した。発光効率は積分球を用いて評価した。結果を表4に示す。なお、ピーク波長の評価は蛍光体単体に青色LEDによる励起光を照射し、発光する光の波長を測定した。
【0071】
なお、表1には、サイアロン系緑色蛍光体である上記一般式(3)におけるx、y、z、u、wの値を示した。また、表2には、サイアロン系赤色蛍光体である上記一般式(2)におけるx2、a2、b2、c2およびd2の値を示した。表3には、CASN系赤色蛍光体である上記一般式(1)におけるx1、a1、b1、c1およびd1の値を示した。
【0072】
(実施例2)
緑色蛍光体として、表1の実施例2の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、第1の赤色蛍光体として、表3の実施例2の欄に示すCASN系赤色蛍光体を適用し、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例1の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用する以外は、実施例1と同様に発光装置を製造し評価した。結果を表4に示す。
【0073】
(実施例3)
図1に示した第1の実施の形態の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の実施例3の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、第1の赤色蛍光体として、表3の実施例3の欄に示すCASN系赤色蛍光体を適用し、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例3の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例1と同様に発光装置を製造し評価した。結果を表4に示す。
【0074】
(実施例4)
図2に示した第2の実施の形態の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の実施例4の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、第1の赤色蛍光体として、表3の実施例4の欄に示すCASN系赤色蛍光体を適用し、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例4の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例1と同様に発光装置を製造し評価した。結果を表4に示す。
【0075】
(実施例5)
図3に示した第3の実施の形態の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の実施例5の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、第1の赤色蛍光体として、表3の実施例5の欄に示すCASN系赤色蛍光体を適用し、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例5の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例1と同様に発光装置を製造し評価した。結果を表4に示す。
【0076】
(実施例6)
図3に示した第3の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色の455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例6の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例6の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を重量比で1:6.8の割合で混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例6の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、さらにその上の最外周に透明樹脂層24を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0077】
(実施例7)
図7に示した第7の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例7の欄に示すCASN系赤色蛍光体を10重量%分散させた平板状の透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例7の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20bを層状に塗布し重ね、さらに、この上に透明樹脂30を平板状の層で覆い、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例7の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂22を層状に塗布、積層し、さらにその上の最外周に透明樹脂層24を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0078】
(実施例8)
図7に示した第7の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例8の欄に示すCASN系赤色蛍光体を10重量%分散させた平板状の透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例8の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20bを層状に塗布し重ね、さらに、この上に透明樹脂30を平板状の層で覆い、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例8の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂22を層状に塗布、積層し、さらにその上の最外周に透明樹脂層24を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0079】
(実施例9)
図5に示した第5の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例9の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例9の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を重量比で1:7.6の割合で混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例9の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、その上に、ピーク波長445nmの(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0080】
(実施例10)
図6に示した第6の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例10の欄に示すCASN系赤色蛍光体を10重量%分散させた透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例10の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20bを層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例10の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、その上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0081】
(実施例11)
図5に示した第5の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例11の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例11の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を重量比で1:7.6の割合で混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例11の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、その上に、ピーク波長445nmの(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0082】
(実施例12)
図6に示した第6の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例12の欄に示すCASN系赤色蛍光体を10重量%分散させた透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例12の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20bを層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例12の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、その上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0083】
(実施例13)
図9に示した第9の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂16で封止し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例13の欄に示すCASN系赤色蛍光体を、10重量%分散させた平板状の透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例13の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂20bを層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30を平板状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例13の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0084】
(実施例14)
図8に示した第8の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上に透明樹脂16で封止し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例14の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例14の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を重量比で1:4.9の割合で混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30を平板に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例14の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0085】
(実施例15)
図9に示した第9の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂16で封止し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例15の欄に示すCASN系赤色蛍光体を、10重量%分散させた平板状の透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例15の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂20bを層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30を平板状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例15の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0086】
(実施例16)
図8に示した第8の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上に透明樹脂16で封止し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例16の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例16の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を重量比で1:4.9の割合で混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30を平板に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例16の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0087】
(実施例17〜20)
緑色蛍光体として、表5の各実施例の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、第1
の赤色蛍光体として、表3の実施例10の欄に示すCASN系赤色蛍光体を適用し、第2の赤色蛍光体として、表6の各実施例の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用する以外は、実施例1と同様に発光装置を製造し評価した。結果を表7に示す。
【0088】
(実施例21〜24)
図3に示した第3の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色の455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例6の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表6の実施例の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適当な重量比にて混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例6の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、さらにその上の最外周に透明樹脂層24を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表7に示す。
【0089】
(比較例1)
図3に示した第3の実施の形態に類似の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の比較例1の欄に示すシリケート系緑色蛍光体を適用し、赤色蛍光体として、表2の比較例1の欄に示すシリケート系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例5と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0090】
(比較例2)
図1に示した第1の実施の形態に類似の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の比較例2の欄に示すシリケート系緑色蛍光体を適用し、赤色蛍光体として、表2の比較例2の欄に示すシリケート系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例3と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0091】
(比較例3)
図3に示した第3の実施の形態に類似の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の比較例3の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、赤色蛍光体として、表3の比較例3の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例5と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0092】
(比較例4)
緑色蛍光体として、表1の比較例4の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体と、赤色蛍光体として、表3の比較例4の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を作成した。緑色蛍光体は一般式(3)の組成範囲外であり、赤色蛍光体は一般式(2)の組成範囲外である。いずれも発光効率が低く、発光装置を製造するには不十分な特性であった。
【0093】
(比較例5)
緑色蛍光体として、表1の比較例5の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体と、赤色蛍光体として、表3の比較例5の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を作成した。緑色蛍光体は一般式(3)の組成範囲外であり、赤色蛍光体は一般式(2)の組成範囲外である。いずれも発光効率が低く、発光装置を製造するには不十分な特性であった。
【0094】
(比較例6)
緑色蛍光体として、表1の比較例6の欄に示すシリケート系緑色蛍光体と、赤色蛍光体として、表3の比較例5の欄に示す窒化物系赤色蛍光体を作成した。いずれも発光効率が低く、発光装置を製造するには不十分な特性であった。
【0095】
(比較例7)
図3に示した第3の実施の形態に類似の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色の455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に赤色蛍光体として、表2の比較例7の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の比較例7の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂24を層状に塗布し、発光装置を製造した。色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0096】
(比較例8)
図3に示した第3の実施の形態に類似の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色の455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に赤色蛍光体として、表2の比較例8の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の比較例8の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、さらにその上の最外周に透明樹脂層24を層状に塗布し、発光装置を製造した。色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0097】
(比較例9)
図5に示した第5の実施の形態に類似の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に赤色蛍光体として、表2の比較例9の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に表1の比較例9の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0098】
(比較例10)
図5に示した第5の実施の形態に類似の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に赤色蛍光体として、表2の比較例10の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に表1の比較例10の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0099】
実施例の発光装置では、比較例の発光装置に比べ、高い平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9およびR15が得られた。また、実施例において、塗布構造に蛍光体間での再吸収を抑える構造を有する発光装置は有しない発光装置に比べて発光効率(光束効率)の高いものが得られた。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
【表5】
【0105】
【表6】
【0106】
【表7】
【符号の説明】
【0107】
10 基板
12 LEDチップ
14 ワイヤ
16 透明樹脂層
18 透明樹脂層
20 赤色蛍光体層
20a 第1の赤色蛍光体層
20b 第2の赤色蛍光体層
22 緑色蛍光体層
24 透明樹脂層
28 青色蛍光体層
30 透明樹脂層
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、青色の発光ダイオード(LED)にYAG:Ceなどの黄色蛍光体を組合せ、単一のチップで白色光を発する、いわゆる白色発光ダイオードに注目が集まっている。従来、LEDは赤色、緑色、青色と単色で発光するものであり、白色または中間色を発するためには、単色の波長を発する複数のLEDを用いてそれぞれ駆動しなければならなかった。しかし、現在では、発光ダイオードと、蛍光体とを組合せることにより、上述の煩わしさを排し、簡便な構造によって白色光を得ることができるようになっている。
【0003】
しかしながら、青色の発光ダイオードにYAG:Ce蛍光体を組み合わせた白色発光ダイオードは赤色成分の不足から、青白い発光となり、演色性に偏りがみられる。そのため、YAG:Ceなどで不足する赤色成分を別のピーク波長が約640nm〜660nmにある赤色蛍光体で補う白色発光ダイオードが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2006/093298号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、発光素子と蛍光体を用い、高い演色性を実現する発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の発光装置は、波長380nm〜470nmの光を発する発光素子と、この発光素子上に配置され、下記一般式(1)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第1の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、下記一般式(2)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第2の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、下記一般式(3)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された緑色蛍光体と、を備える。
【0007】
(Ca1−x1Eux1)a1AlSib1Oc1Nd1:Eu (1)
(上記一般式(1)中、x1、a1、b1、c1、d1は次の関係を満たす。0<x1<0.03、0.90<a1<1.1、0.90<b1<1.1、0.20<c1<0.45、
2.40<d1≦3.00)
【0008】
(Sr1−x2Eux2)a2Sib2AlOc2Nd2 (2)
(上記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x2<1、0.55<a2<0.95、2.0<b2<3.9、0<c2<0.6、4<d2<5.7)
【0009】
(Sr1−xEux)3−ySi13−zAl3+zO2+uN21−w (3)
(上記一般式(3)中、x、y、z、u、wは、次の関係を満たす。0<x<1、−0.1<y<0.3、−3<z≦1、−3<u−w≦1.5)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図2】第2の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図3】第3の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図4】第4の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図5】第5の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図6】第6の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図7】第7の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図8】第8の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図9】第9の実施の形態の発光装置の模式断面図である。
【図10】実施例2の発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【図11】実施例17の赤色蛍光体のXRDプロファイルである。
【図12】実施例18の赤色蛍光体のXRDプロファイルである。
【図13】実施例3の緑色蛍光体のXRDプロファイルである。
【図14】実施例17の緑色蛍光体のXRDプロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて実施の形態を説明する。
【0012】
なお、本明細書中、演色性についてはJISZ8726の評価方法に基づく演色性を意味するものとする。
【0013】
また、実施の形態で得られる上記一般式(2)で表される赤色蛍光体の結晶構造は、斜方晶であり、CuKα特性X線(波長1.54056Å)を用いたX線回折において、図11、12に示すように、31.6−31.8°、30.9−31.1°、24.85−25.05°、35.25−35.45°、15.0−15.25°、56.4−56.65°、36.1−36.25°、33.0―33.20°、23.1―23.20°、29.3−29.6°、26.95−26.15°の回折角度(2θ)、11箇所のうち、少なくとも9箇所に同時に回折ピークを示す一成分を含有するものである。
【0014】
さらに、実施の形態で得られる上記一般式(3)で表される緑色蛍光体の結晶構造は、斜方晶であり、CuKα特性X線(波長1.54056Å)を用いたX線回折において、図13、14に示すように、30.5−30.9°、25.6−30.0°、31.8−32.2°、37.2−37.6°、37.0−37.4°、29.3−29.7°、34.0−34.4°、21.7―22.1°、48.9―49.3°、45.7−46.1°、62.8−63.2°、15.2−15.6°、61.3−61.7°、40.5−40.9°、55.8°−56.2°の回折角度(2θ)、15箇所のうち、少なくとも6箇所に同時に回折ピークを示す一成分を含有するものである。
【0015】
(第1の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、波長380nm〜470nmの光を発する発光素子と、この発光素子上に配置され、下記一般式(1)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第1の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、下記一般式(2)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第2の赤色蛍光体と、この発光素子上に配置され、下記一般式(3)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された緑色蛍光体と、を備える。
【0016】
(Ca1−x1Eux1)a1AlSib1Oc1Nd1:Eu (1)
(上記一般式(1)中、x1、a1、b1、c1、d1は次の関係を満たす。0<x1<0.03、0.90<a1<1.1、0.90<b1<1.1、0.20<c1<0.45、
2.40<d1≦3.00)
【0017】
(Sr1−x2Eux2)a2Sib2AlOc2Nd2 (2)
(上記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x2<1、0.55<a2<0.95、2.0<b2<3.9、0<c2<0.6、4<d2<5.7)
【0018】
(Sr1−xEux)3−ySi13−zAl3+zO2+uN21−w (3)
(上記一般式(3)中、x、y、z、u、wは、次の関係を満たす。0<x<1、−0.1<y<0.3、−3<z≦1、−3<u−w≦1.5)
【0019】
本実施の形態の発光装置によれば、赤色蛍光体として、いわゆるCASN系とサイアロン系の2種の蛍光体を用いることで、高い演色性を有する発光装置が実現される。
【0020】
図1は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。凹部を有する基板10に実装された励起光源用青色LEDチップ12を発光素子として有している。青色LEDチップ12は、波長440nm〜470nmの青色光を発する。
【0021】
LEDチップ12は、例えば金のワイヤ14を介して図示しない配線に接続されている。そして、この配線を介して外部から駆動電流がLEDチップ12に供給されることにより、LEDチップ12が励起用の青色光を発する。
【0022】
LEDチップ12は、基板10の凹部に透明樹脂層16で封止されている。さらに、この透明樹脂層16を覆うように、半球形状の透明樹脂層18が設けられている。
【0023】
透明樹脂層18上には、LEDチップ12から発生された青色光を吸収して赤色光に変換する赤色蛍光体層20が配置されている。赤色蛍光体層20には、下記一般式(1)および(2)で表わされる組成を有する第1の赤色蛍光体と第2の赤色蛍光体が、混合して透明樹脂中に分散されている。
【0024】
(Ca1−x1Eux1)a1AlSib1Oc1Nd1:Eu (1)
(上記一般式(1)中、x1、a1、b1、c1、d1は次の関係を満たす。0<x1<0.03、0.90<a1<1.1、0.90<b1<1.1、0.20<c1<0.45、
2.40<d1≦3.00)
【0025】
(Sr1−x2Eux2)a2Sib2AlOc2Nd2 (2)
(上記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x2<1、0.55<a2<0.95、2.0<b2<3.9、0<c2<0.6、4<d2<5.7)
【0026】
第1の赤色蛍光体は、CASN系の蛍光体である。第1の赤色蛍光体は波長380nm〜470nmの青色光で励起した際に、例えば、波長640nm〜660nmにピークを有する赤色光を発する。
【0027】
第2の赤色蛍光体は、サイアロン系の蛍光体である。第2の赤色蛍光体は、波長380nm〜470nmの青色光で励起した際に、例えば、波長590nm〜640nmにピークを有する赤色光を発する。
【0028】
第2の赤色蛍光体については、より高い演色性を実現する観点から、一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、0.01<x2≦0.10、0.58≦a2≦0.70、2.1≦b2≦3.5、0.1≦c2≦0.5、4.1≦d2≦5.0の関係を満たすことが望ましい。
【0029】
赤色蛍光体層20を覆うように、LEDチップ12から発生される青色光を吸収して緑色光に変換する緑色蛍光体が透明な樹脂中に分散された緑色蛍光体層22が設けられている。緑色蛍光体層22には、下記一般式(3)で表わされる組成を有する緑色蛍光体が透明樹脂中に分散されている。
【0030】
(Sr1−xEux)3−ySi13−zAl3+zO2+uN21−w (3)
(上記一般式(3)中、x、y、z、u、wは、次の関係を満たす。0<x<1、−0.1<y<0.3、−3<z≦1、−3<u−w≦1.5)
【0031】
緑色蛍光体は、サイアロン系の蛍光体である。この緑色蛍光体は波長380nm〜470nmの青色光で励起した際に、例えば、波長510nm〜530nmにピークを有する緑色光を発する。
【0032】
緑色蛍光体層22を覆うように透明樹脂層24が設けられている。この透明樹脂層24の外表面は大気(空気)に接している。
【0033】
この透明樹脂層24は、LEDチップ12から発せられる青色光および赤色蛍光体層20からの赤色光、緑色蛍光体層22からの緑色光が、大気との界面となる上記外表面で全反射されることを抑制する機能を有する。
【0034】
透明樹脂層18、赤色蛍光体層20、緑色蛍光体層22、透明樹脂層24からなる4層構造の積層膜は半球形の形状をしている。
【0035】
本実施の形態によれば、特に、赤色蛍光体として、いわゆるCASN系とサイアロン系の2種の蛍光体を用いることで、白色(4200K)および電球色(2800K)について平均演色評価数Raが95以上の高い演色性が実現される。また、特に特殊演色評価数R9およびR15について高い演色性が実現される。
【0036】
なお、赤色蛍光体層20と、緑色蛍光体層22との間に、赤色蛍光体層20による緑色光の再吸収を抑制する透明樹脂層をさらに設けても構わない。
【0037】
また、より高い演色性を実現するために、赤色蛍光体層20と、緑色蛍光体層22との間に黄色蛍光体を樹脂に分散した黄色蛍光体層をさらに設けても構わない。
【0038】
各LEDチップ12上には、図1に示すような、透明樹脂層18、赤色蛍光体層20、緑色蛍光体層22、透明樹脂層24からなる4層構造の半球上の積層膜が配置される。このようにして、例えば、定格20mAで駆動される白色LED、もしくはさらに高出力型の定格350mAの電流で駆動される白色LEDで実現される。
【0039】
(第2の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、第1の赤色蛍光体が第1の赤色蛍光体層として発光素子上に配置され、第2の赤色蛍光体が第1の赤色蛍光体層上の第2の赤色蛍光体層として発光素子上に配置され、緑色蛍光体が第2の赤色蛍光体層上の緑色蛍光体層として、発光素子上に配置されること以外は第1の実施の形態と同様である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0040】
図2は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。半球状の透明樹脂層18上には、下記一般式(1)の組成で表わされるCASN系の赤色蛍光体が樹脂に分散された第1の赤色蛍光体層20aが形成されている。また、第1の赤色蛍光体層20a上には、下記一般式(2)の組成で表わされるサイアロン系の赤色蛍光体が樹脂に分散された第2の赤色蛍光体層20bが形成されている。
【0041】
(Ca1−x1Eux1)a1AlSib1Oc1Nd1:Eu (1)
(上記一般式(1)中、x1、a1、b1、c1、d1は次の関係を満たす。0<x1<0.03、0.90<a1<1.1、0.90<b1<1.1、0.20<c1<0.45、
2.40<d1≦3.00)
【0042】
(Sr1−x2Eux2)a2Sib2AlOc2Nd2 (2)
(上記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x2<1、0.55<a2<0.95、2.0<b2<3.9、0<c2<0.6、4<d2<5.7)
【0043】
本実施の形態によれば、赤色蛍光体層を2層に分けることにより、第2の赤色蛍光体が発する赤色光の、第1の赤色蛍光体による吸収を抑制することが可能となる。したがって、第1の実施の形態の効果に加え、さらに高い発光効率を実現することが可能となる。
【0044】
(第3の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、赤色蛍光体層と緑色蛍光体層との間に、さらに、透明樹脂層が設けられること以外は第1の実施の形態と同様である。したがって、第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0045】
図3は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。赤色蛍光体層20と緑色蛍光体層22との間に、さらに透明樹脂層30が設けられている。この透明樹脂層により、緑色蛍光体層から発せられる緑色光が、赤色蛍光体層20で再吸収されることを防止する。したがって、第1の実施の形態よりもさらに発光効率の向上した発光装置が実現される。
【0046】
(第4の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、第2の赤色蛍光体層と緑色蛍光体層との間に、さらに、透明樹脂層が設けられること以外は第2の実施の形態と同様である。したがって、第2の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0047】
図4は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。第2の赤色蛍光体層20bと緑色蛍光体層22との間に、さらに透明樹脂層30が設けられている。この透明樹脂層30により、緑色蛍光体層から発せられる緑色光が、第1および第2の赤色蛍光体層20a、20bで再吸収されることを防止する。したがって、第2の実施の形態よりもさらに発光効率の向上した発光装置が実現される。
【0048】
(第5の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、発光素子が波長380nm〜420nmの近紫外光を発するLEDであること、緑色蛍光体層を覆う透明樹脂層にかえて青色蛍光体層を有すること以外は、第3の実施の形態と同様である。したがって、第3の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0049】
図5は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。緑色蛍光体層22を覆うように、青色蛍光体層28が設けられている。そして、青色蛍光体層28を覆うように透明樹脂層24が形成されている。
【0050】
青色蛍光体層28中には、LEDチップ12から発生された紫外光を吸収して青色光に変換する青色蛍光体が透明な樹脂中に分散されている。青色蛍光体は、例えば、アパタイト系蛍光体やBAM:Eu等を用いることが可能である。
【0051】
本実施の形態によっても、第1ないし第4の実施の形態同様、高い演色性を実現することが可能である。
【0052】
(第6の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、発光素子が波長380nm〜420nmの近紫外光を発するLEDであること、緑色蛍光体層を覆う透明樹脂層にかえて青色蛍光体層を有すること以外は、第4の実施の形態と同様である。したがって、第4の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0053】
図6は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。緑色蛍光体層22を覆うように、青色蛍光体層28が設けられている。そして、青色蛍光体層28を覆うように透明樹脂層24が形成されている。
【0054】
青色蛍光体層28中には、LEDチップ12から発生された紫外光を吸収して青色光に変換する青色蛍光体が透明な樹脂中に分散されている。青色蛍光体は、例えば、アパタイト系蛍光体やBAM:Eu等を用いることが可能である。
【0055】
本実施の形態によっても、第1ないし第5の実施の形態同様、高い演色性を実現することが可能である。
【0056】
(第7の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層の形状が半球型ではなく、平板状になった以外は第4の実施の形態と同様である。したがって、第4の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0057】
図7は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。第2の赤色蛍光体層20bと緑色蛍光体層22との間に、さらに透明樹脂層30が設けられている。この透明樹脂層30により、緑色蛍光体層から発せられる緑色光が、第1および第2の赤色蛍光体層20a、20bで再吸収されることを防止する。
【0058】
本実施の形態によっても、第1ないし第6の実施の形態同様、高い演色性を実現することが可能である。また、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層が平板状であるため、比較的製造が容易になるという利点がある。
【0059】
(第8の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層の形状が半球型ではなく、平板状になった以外は第5の実施の形態と同様である。したがって、第5の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0060】
図8は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。緑色蛍光体層22を覆うように、青色蛍光体層28が設けられている。
【0061】
本実施の形態によっても、第1ないし第7の実施の形態同様、高い演色性を実現することが可能である。また、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層が平板状であるため、比較的製造が容易になるという利点がある。
【0062】
(第9の実施の形態)
本実施の形態の発光装置は、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層の形状が半球型ではなく、平板状になった以外は第6の実施の形態と同様である。したがって、第6の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
【0063】
図9は、本実施の形態の発光装置の模式断面図である。緑色蛍光体層22を覆うように、青色蛍光体層28が設けられている。
【0064】
本実施の形態によっても、第1ないし第8の実施の形態同様、高い演色性を実現することが可能である。また、蛍光体樹脂塗布層および透明樹脂層が平板状であるため、比較的製造が容易になるという利点がある。
【0065】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、各実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもかまわない。
【0066】
例えば、封止樹脂等の基材となるバインダー樹脂は、発光素子(励起素子)のピーク波長近傍およびこれよりも長波長領域で実質的に透明であれば、その種類を問わず用いることができる。一般的なものとしては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、またはエポキシ基を有するポリジメチルシロキサン誘導体、またはオキセタン樹脂、またはアクリル樹脂、またはシクロオレフィン樹脂、またはユリア樹脂、またはフッ素樹脂、またはポリイミド樹脂などが考えられる。
【0067】
そして、実施の形態の説明においては、発光装置等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる発光装置に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0068】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての発光装置は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【実施例】
【0069】
(実施例1)
図4に示した第4の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子としては、InGaN系化合物半導体を活性層として用いた波長455nmの青色光を発する青色LEDを用いた。この際、表1の実施例1の欄に示した組成、ピーク波長を有するサイアロン系緑色蛍光体を適用した。第1の赤色蛍光体として、表3に示すCASN系赤色蛍光体を適用した。また、表2の実施例1の欄に示した組成、ピーク波長を有するサイアロン系赤色蛍光体を第2の赤色蛍光体に適用した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。
【0070】
このようにして得られた、実施例1の発光装置を20mAで駆動した時の演色性について、平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9およびR15についてJISZ8726の評価方法に基づき評価した。また、発光装置の発光効率についても評価した。発光効率は積分球を用いて評価した。結果を表4に示す。なお、ピーク波長の評価は蛍光体単体に青色LEDによる励起光を照射し、発光する光の波長を測定した。
【0071】
なお、表1には、サイアロン系緑色蛍光体である上記一般式(3)におけるx、y、z、u、wの値を示した。また、表2には、サイアロン系赤色蛍光体である上記一般式(2)におけるx2、a2、b2、c2およびd2の値を示した。表3には、CASN系赤色蛍光体である上記一般式(1)におけるx1、a1、b1、c1およびd1の値を示した。
【0072】
(実施例2)
緑色蛍光体として、表1の実施例2の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、第1の赤色蛍光体として、表3の実施例2の欄に示すCASN系赤色蛍光体を適用し、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例1の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用する以外は、実施例1と同様に発光装置を製造し評価した。結果を表4に示す。
【0073】
(実施例3)
図1に示した第1の実施の形態の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の実施例3の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、第1の赤色蛍光体として、表3の実施例3の欄に示すCASN系赤色蛍光体を適用し、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例3の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例1と同様に発光装置を製造し評価した。結果を表4に示す。
【0074】
(実施例4)
図2に示した第2の実施の形態の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の実施例4の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、第1の赤色蛍光体として、表3の実施例4の欄に示すCASN系赤色蛍光体を適用し、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例4の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例1と同様に発光装置を製造し評価した。結果を表4に示す。
【0075】
(実施例5)
図3に示した第3の実施の形態の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の実施例5の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、第1の赤色蛍光体として、表3の実施例5の欄に示すCASN系赤色蛍光体を適用し、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例5の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例1と同様に発光装置を製造し評価した。結果を表4に示す。
【0076】
(実施例6)
図3に示した第3の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色の455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例6の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例6の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を重量比で1:6.8の割合で混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例6の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、さらにその上の最外周に透明樹脂層24を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0077】
(実施例7)
図7に示した第7の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例7の欄に示すCASN系赤色蛍光体を10重量%分散させた平板状の透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例7の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20bを層状に塗布し重ね、さらに、この上に透明樹脂30を平板状の層で覆い、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例7の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂22を層状に塗布、積層し、さらにその上の最外周に透明樹脂層24を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0078】
(実施例8)
図7に示した第7の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例8の欄に示すCASN系赤色蛍光体を10重量%分散させた平板状の透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例8の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20bを層状に塗布し重ね、さらに、この上に透明樹脂30を平板状の層で覆い、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例8の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂22を層状に塗布、積層し、さらにその上の最外周に透明樹脂層24を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0079】
(実施例9)
図5に示した第5の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例9の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例9の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を重量比で1:7.6の割合で混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例9の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、その上に、ピーク波長445nmの(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0080】
(実施例10)
図6に示した第6の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例10の欄に示すCASN系赤色蛍光体を10重量%分散させた透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例10の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20bを層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例10の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、その上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0081】
(実施例11)
図5に示した第5の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例11の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例11の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を重量比で1:7.6の割合で混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例11の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、その上に、ピーク波長445nmの(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0082】
(実施例12)
図6に示した第6の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例12の欄に示すCASN系赤色蛍光体を10重量%分散させた透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例12の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20bを層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例12の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、その上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0083】
(実施例13)
図9に示した第9の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂16で封止し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例13の欄に示すCASN系赤色蛍光体を、10重量%分散させた平板状の透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例13の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂20bを層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30を平板状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例13の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0084】
(実施例14)
図8に示した第8の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上に透明樹脂16で封止し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例14の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例14の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を重量比で1:4.9の割合で混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30を平板に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例14の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0085】
(実施例15)
図9に示した第9の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂16で封止し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例15の欄に示すCASN系赤色蛍光体を、10重量%分散させた平板状の透明樹脂20aを層状に塗布し、その上に、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例15の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂20bを層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30を平板状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例15の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0086】
(実施例16)
図8に示した第8の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上に透明樹脂16で封止し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例16の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表2の実施例16の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を重量比で1:4.9の割合で混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた平板状の透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30を平板に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例16の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0087】
(実施例17〜20)
緑色蛍光体として、表5の各実施例の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、第1
の赤色蛍光体として、表3の実施例10の欄に示すCASN系赤色蛍光体を適用し、第2の赤色蛍光体として、表6の各実施例の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用する以外は、実施例1と同様に発光装置を製造し評価した。結果を表7に示す。
【0088】
(実施例21〜24)
図3に示した第3の実施の形態の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色の455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に第1の赤色蛍光体として、表3の実施例6の欄に示すCASN系赤色蛍光体と、第2の赤色蛍光体として、表6の実施例の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適当な重量比にて混合した混合赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の実施例6の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、さらにその上の最外周に透明樹脂層24を層状に塗布し、発光装置を製造した。第1の赤色蛍光体、第2の赤色蛍光体、緑色蛍光体の混合比等は、色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表7に示す。
【0089】
(比較例1)
図3に示した第3の実施の形態に類似の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の比較例1の欄に示すシリケート系緑色蛍光体を適用し、赤色蛍光体として、表2の比較例1の欄に示すシリケート系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例5と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0090】
(比較例2)
図1に示した第1の実施の形態に類似の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の比較例2の欄に示すシリケート系緑色蛍光体を適用し、赤色蛍光体として、表2の比較例2の欄に示すシリケート系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例3と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0091】
(比較例3)
図3に示した第3の実施の形態に類似の発光装置を製造した。緑色蛍光体として、表1の比較例3の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を適用し、赤色蛍光体として、表3の比較例3の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を適用した。上記以外は、実施例5と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0092】
(比較例4)
緑色蛍光体として、表1の比較例4の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体と、赤色蛍光体として、表3の比較例4の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を作成した。緑色蛍光体は一般式(3)の組成範囲外であり、赤色蛍光体は一般式(2)の組成範囲外である。いずれも発光効率が低く、発光装置を製造するには不十分な特性であった。
【0093】
(比較例5)
緑色蛍光体として、表1の比較例5の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体と、赤色蛍光体として、表3の比較例5の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を作成した。緑色蛍光体は一般式(3)の組成範囲外であり、赤色蛍光体は一般式(2)の組成範囲外である。いずれも発光効率が低く、発光装置を製造するには不十分な特性であった。
【0094】
(比較例6)
緑色蛍光体として、表1の比較例6の欄に示すシリケート系緑色蛍光体と、赤色蛍光体として、表3の比較例5の欄に示す窒化物系赤色蛍光体を作成した。いずれも発光効率が低く、発光装置を製造するには不十分な特性であった。
【0095】
(比較例7)
図3に示した第3の実施の形態に類似の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色の455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に赤色蛍光体として、表2の比較例7の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の比較例7の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂24を層状に塗布し、発光装置を製造した。色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0096】
(比較例8)
図3に示した第3の実施の形態に類似の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、青色の455nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に赤色蛍光体として、表2の比較例8の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に緑色蛍光体として、表1の比較例8の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布し、さらにその上の最外周に透明樹脂層24を層状に塗布し、発光装置を製造した。色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0097】
(比較例9)
図5に示した第5の実施の形態に類似の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に赤色蛍光体として、表2の比較例9の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に表1の比較例9の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。色温度が白色(4200K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0098】
(比較例10)
図5に示した第5の実施の形態に類似の発光装置を製造した。発光素子にInGaN系化合物半導体を活性層とし、近紫外の405nmに発光ピーク波長をもちいたLEDチップ12を用い、8mm角のAlNパッケージ10上に半田を用いて接合し、金ワイヤ14を介して電極に接続した。このLED上にドーム状に透明樹脂18を塗布し、その上に赤色蛍光体として、表2の比較例10の欄に示すサイアロン系赤色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂20を層状に塗布し、さらに、この上に透明樹脂30をドーム状に塗布し、その上に表1の比較例10の欄に示すサイアロン系緑色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂22を層状に塗布して、さらにその上に、(Sr,Ca)10(PO4)6Cl2:Eu2+という組成で表されるハロ燐酸塩系の青色蛍光体を30重量%分散させた透明樹脂28を層状に塗布した発光装置を製造した。色温度が電球色(2800K)近傍になるよう設計した。実施例1と同様に発光装置を評価した。結果を表4に示す。
【0099】
実施例の発光装置では、比較例の発光装置に比べ、高い平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9およびR15が得られた。また、実施例において、塗布構造に蛍光体間での再吸収を抑える構造を有する発光装置は有しない発光装置に比べて発光効率(光束効率)の高いものが得られた。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
【表5】
【0105】
【表6】
【0106】
【表7】
【符号の説明】
【0107】
10 基板
12 LEDチップ
14 ワイヤ
16 透明樹脂層
18 透明樹脂層
20 赤色蛍光体層
20a 第1の赤色蛍光体層
20b 第2の赤色蛍光体層
22 緑色蛍光体層
24 透明樹脂層
28 青色蛍光体層
30 透明樹脂層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長380nm〜470nmの光を発する発光素子と、
前記発光素子上に配置され、下記一般式(1)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第1の赤色蛍光体と、
前記発光素子上に配置され、下記一般式(2)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第2の赤色蛍光体と、
前記発光素子上に配置され、下記一般式(3)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された緑色蛍光体と、
を備えることを特徴とする発光装置。
(Ca1−x1Eux1)a1AlSib1Oc1Nd1:Eu (1)
(上記一般式(1)中、x1、a1、b1、c1、d1は次の関係を満たす。0<x1<0.03、0.90<a1<1.1、0.90<b1<1.1、0.20<c1<0.45、
2.40<d1≦3.00)
(Sr1−x2Eux2)a2Sib2AlOc2Nd2 (2)
(上記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x2<1、0.55<a2<0.95、2.0<b2<3.9、0<c2<0.6、4<d2<5.7)
(Sr1−xEux)3−ySi13−zAl3+zO2+uN21−w (3)
(上記一般式(3)中、x、y、z、u、wは、次の関係を満たす。0<x<1、−0.1<y<0.3、−3<z≦1、−3<u−w≦1.5)
【請求項2】
前記発光素子が波長440nm〜470nmの青色光を発することを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、0.01<x2≦0.10、0.58≦a2≦0.70、2.1≦b2≦3.5、0.1≦c2≦0.5、4.1≦d2≦5.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の赤色蛍光体と前記第2の赤色蛍光体とが、混合して樹脂中に分散された赤色蛍光体層として、前記発光素子上に配置され、
前記緑色蛍光体が、前記赤色蛍光体層上の緑色蛍光体層として、前記発光素子上に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1の赤色蛍光体が、第1の赤色蛍光体層として、前記発光素子上に配置され、
前記第2の赤色蛍光体が、前記第1の赤色蛍光体層上の第2の赤色蛍光体層として、前記発光素子上に配置され、
前記緑色蛍光体が、前記第2の赤色蛍光体層上の緑色蛍光体層として、前記発光素子上に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の発光装置。
【請求項1】
波長380nm〜470nmの光を発する発光素子と、
前記発光素子上に配置され、下記一般式(1)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第1の赤色蛍光体と、
前記発光素子上に配置され、下記一般式(2)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された第2の赤色蛍光体と、
前記発光素子上に配置され、下記一般式(3)で表わされる組成を有し、樹脂中に分散された緑色蛍光体と、
を備えることを特徴とする発光装置。
(Ca1−x1Eux1)a1AlSib1Oc1Nd1:Eu (1)
(上記一般式(1)中、x1、a1、b1、c1、d1は次の関係を満たす。0<x1<0.03、0.90<a1<1.1、0.90<b1<1.1、0.20<c1<0.45、
2.40<d1≦3.00)
(Sr1−x2Eux2)a2Sib2AlOc2Nd2 (2)
(上記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、次の関係を満たす。0<x2<1、0.55<a2<0.95、2.0<b2<3.9、0<c2<0.6、4<d2<5.7)
(Sr1−xEux)3−ySi13−zAl3+zO2+uN21−w (3)
(上記一般式(3)中、x、y、z、u、wは、次の関係を満たす。0<x<1、−0.1<y<0.3、−3<z≦1、−3<u−w≦1.5)
【請求項2】
前記発光素子が波長440nm〜470nmの青色光を発することを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記一般式(2)中、x2、a2、b2、c2、d2は、0.01<x2≦0.10、0.58≦a2≦0.70、2.1≦b2≦3.5、0.1≦c2≦0.5、4.1≦d2≦5.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の赤色蛍光体と前記第2の赤色蛍光体とが、混合して樹脂中に分散された赤色蛍光体層として、前記発光素子上に配置され、
前記緑色蛍光体が、前記赤色蛍光体層上の緑色蛍光体層として、前記発光素子上に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1の赤色蛍光体が、第1の赤色蛍光体層として、前記発光素子上に配置され、
前記第2の赤色蛍光体が、前記第1の赤色蛍光体層上の第2の赤色蛍光体層として、前記発光素子上に配置され、
前記緑色蛍光体が、前記第2の赤色蛍光体層上の緑色蛍光体層として、前記発光素子上に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−77289(P2012−77289A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177805(P2011−177805)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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