説明

発泡成形用の金型及び発泡成形方法

【課題】ガス通路に生じたバリを切断分離する切断装置を備えており、脱型後の該バリの切断分離作業を不要とすることができる発泡成形用の金型及びその成形方法を提供する。
【解決手段】金型1は、ガス通路8内に生じたバリBをキャビティ4内の成形品から切断分離するための刃11を有した切断装置10を備えている。ウレタンが十分に発泡してキャビティ4内が発泡ウレタンで満たされ、キャビティ4内のガスの全量が金型1外に排出されると、ウレタンの一部がガス通路8内に入り込み、バリBとなる。その後、切断装置10のエアシリンダ装置12を突出作動させ、刃11をガス通路8内に突出させてバリBを成形品から切断分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォーム等の樹脂発泡成形品を製造するための金型に係り、特にキャビティからのガス排出用のガス通路を有する発泡成形用の金型に関する。また、本発明は、この金型を用いた発泡成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車シート用の軟質ポリウレタンフォームや、自動車のドアトリムに取り付けられた、側面衝突(側突)時の衝撃エネルギー吸収(Energy Absorption:EA)のための硬質ポリウレタンフォームよりなるEA材などの発泡成形は、金型内でウレタン原液を発泡させて成形される。この金型は、上型及び下型を備えており、該下型内にウレタン原液を供給し、型締めして発泡させ、硬化(キュア)後に型開きして脱型を行う。
【0003】
このウレタン等の発泡成形に際しては、キャビティ内の空気や、反応時に発生する炭酸ガス等の気体(以下これらをガスという。)をガス通路を介して金型外に排出する。
【0004】
特開2003−19718号には、キャビティ内のガスを金型合わせ面PLに設けた溝部を介して排気することにより、その他の合わせ面PLにおいて薄いバリが発生することを防止する成形方法及び装置が記載されている。
【特許文献1】特開2003−19718号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特開2003−19718号の金型によって発泡成形を行うと、上記の溝部(ガス通路)に比較的厚いバリが生じることになる。このバリは、脱型後に除去する必要がある。
【0006】
本発明は、このようなガス通路に生じたバリを切断分離する切断装置を備えており、脱型後の該バリの切断分離作業を不要とすることができる発泡成形用の金型及びその成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発泡成形用の金型は、型締めされる少なくとも第1の型と第2の型とを有する、樹脂成形品の発泡成形用の金型であって、キャビティ内のガスを金型外に流出させるガス通路を有しており、該ガス通路の少なくとも一部は、前記第1の型と第2の型との合わせ面に沿って設けられている発泡成形用の金型において、該ガス通路内で生じたバリをキャビティ内の成形品から切断分離する刃を有する切断装置を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の発泡成形用の金型は、請求項1において、該第1の型は上型であり、第2の型は下型であり、前記刃は該上型に設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の発泡成形用の金型は、請求項2において、前記ガス通路は、前記上型又は下型の合わせ面に設けられた溝よりなり、前記刃は、該溝内に突出した状態と上型内に後退した状態とをとりうるように進退可能であり、前記切断装置は、該刃を進退させる駆動装置を備えてなることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4の発泡成形用の金型は、請求項3において、前記刃に対峙して刃受けが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5の発泡成形用の金型は、請求項4において、前記上型及び下型は軽合金製であり、刃受けは鉄又は鉄基合金製であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の発泡成形方法は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発泡成形用の金型を用いた発泡成形方法であって、型開き前に前記刃によってガス通路内のバリをキャビティ内の成形品と切断分離することを特徴とするものである。
【0013】
請求項7の発泡成形方法は、請求項6において、ポリウレタンフォームを発泡成形する方法であって、発泡終了後、硬化前にバリを切断分離することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の金型を用いて発泡成形を行う場合、キャビティ内のガスがガス通路を介して金型外に排出される。キャビティ内のガスの全量が排出された後は、キャビティ内の樹脂材料の一部もガス通路内に入り込み、バリとなる。本発明では、このバリを切断装置で切断分離するため、脱型時には、このバリが分離された成形品が得られる。
【0015】
なお、キャビティ内の樹脂がガス通路に入り込むことにより、ガス通路以外の部分の金型合わせ面への樹脂の侵入が防止され、ガス通路以外の箇所で薄いバリが発生することも防止される。
【0016】
請求項2の通り、この切断装置の刃を上型に設けることにより、下型から脱型を行う際に刃が脱型作業に影響しないものとなる。
【0017】
請求項3の通り、この刃を、上型に対し進退可能に設け、駆動装置によって進退させ、後退時には上型内に後退させるよう構成することにより、型締めや型開きなどの成形作業に刃が支障とならず、作業効率が向上する。
【0018】
請求項4の通り、刃受けを設けておくことにより、刃が当って刃受けが損耗しても、刃受けのみを交換することができる。
【0019】
なお、金型は、通常、アルミニウム、アルミニウム合金などの軽合金製とされるが、刃受けについては、請求項5の通り、硬度が高い鉄又は鉄基合金製とするのが好ましい。
【0020】
ポリウレタンフォームを発泡成形する場合は、バリを切断するタイミングとしては、請求項7の通り、発泡終了後、硬化前が好適である。このようにフォームが硬化する前であれば、刃によってバリを容易に切断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0022】
第1図(a)は、実施の形態に係る樹脂成形品発泡成形用金型の縦断面図(第1図(b)のA−A線に沿う断面図)、第1図(b)は第1図(a)のB−B線に沿う断面図、第2図(a)はこの金型の発泡成形時における断面図、第2図(b)はこの金型のバリ切断時における断面図、第3図はこの金型の脱型時における分解図(断面図)、第4図及び第5図は上型の下面側からの斜視図、第6図は下型の上面側からの斜視図、第7図及び第8図はこの金型のバリ切断装置付近の断面図、第9図(a)はこの切断装置の刃の側面図、第9図(b)はこの刃及び下型のガス通路付近のキャビティ側からの正面図である。
【0023】
なお、第2図(a),(b)はそれぞれ第1図(a)と同様部分の断面にて示されている。第4図は刃後退時を示し、第5図は刃突出時を示している。第7図はガス通路に発泡樹脂が侵入する前の状態を示し、第8図はガス通路に侵入した発泡樹脂を切断した状態を示している。
【0024】
この実施の形態では、金型により発泡成形される樹脂成形品はポリウレタンフォームであるが、本発明の金型及び発泡成形方法は、これ以外の樹脂成形品の発泡成形にも適用可能である。
【0025】
この実施の形態の金型1は、第1の型としての上型2と、第2の型としての下型3とからなり、該下型3内に凹所よりなるキャビティ4が設けられている。上型2の下面には、このキャビティ4の周縁部に沿って凸条5が周設され、キャビティ4の周縁部には、この凸条5が係合する凹段部6が周設されている。第3,6図のように、この凹段部6は、キャビティ4内に臨んでいる。
【0026】
この金型1においては、第1図(a),(b)のように、該合わせ面7に沿って、キャビティ4内のガスを金型1外に排出するためのガス通路8が設けられている。
【0027】
この実施の形態では、該ガス通路8は、第6図に示すように、下型3の凹段部6の底面6aに設けられた溝6bよりなる。この溝6bは、該底面6aを金型内外方向に横切って延設されており、一端側はキャビティ4内に臨み、他端側は凹段部6の側周面6cの下端に臨んでいる。第9図(b)に示すように、この溝6bの底面は、凹段部6の底面6aと略平行な平坦面となっている。上型2を下型3に型締めした状態においては、この溝6bに重なった上型2の凸条5の下端面5aと、この溝6bの両側面及び底面とによって囲まれた空間が前記ガス通路8となる。
【0028】
この実施の形態では、上型2及び下型3は、それぞれ、アルミニウム又はアルミニウム合金等の軽合金製となっている。
【0029】
この金型1は、該ガス通路8内に生じたバリBをキャビティ4内のポリウレタンフォーム(以下、フォームと略すことがある。)F即ち成形品から切断分離するための刃11を有した切断装置10を備えている。以下に、この切断装置10の構成について詳述する。
【0030】
第4,5図及び第7,8図の通り、上型2の凸条5の下端面5aには、該下端面5aから上方へ凹陥した凹穴よりなる刃収容部5bが設けられている。この刃収容部5bは、上型2を下型3に型締めした状態においては、前記溝6bに臨んでいる。前記刃11は、該溝6b内に突出した状態とこの刃収容部5b内に後退した状態とをとりうるように、この刃収容部5b内に上下方向進退可能に設置されている。
【0031】
なお、この実施の形態では、該刃11は鋼製である。
【0032】
この刃11の金型内外方向と交叉方向の幅は、第9図(b)に示すように、溝6bの幅Wと略同等かそれよりも若干小さい幅(刃11が溝6b内に進退可能であり、且つ刃11が溝6b内に突出した状態において、実質的に該刃11の側面と溝6bの側面との間をウレタン原液が通過し得ない程度の幅)となっている。また、この刃11の下端辺(刃先)は、溝6bの底面と略平行となっている。即ち、刃11が溝6b内に突出すると、この刃11の刃先が溝6bの略全幅にわたって該溝6bの底面に当接するようになっている。
【0033】
この実施の形態では、第7,8図に示すように、該刃11のキャビティ4側の面(以下、前面という。)と、これと反対側の面(以下、後面という。)とがそれぞれ溝6bの底面と略直交する略鉛直面となっており、下面は、該前面側から後面側へ上り勾配となっている。即ち、この刃11の前面の下縁がこの刃11の刃先となっている。
【0034】
この刃11の金型内外方向の厚みT(第9図(a))は5〜0.1mm、特に2〜1mmであることが好ましく、この刃11の前面と下面との交叉角θ(第9図(a))は10〜80°、特に35〜55°であることが好ましい。例えばこの実施の形態では、刃11は、その金型内外方向の厚みTが1.0mmとされ、後面の上下方向の幅Hが5mmとされ、前面と下面との交叉角θが45°とされている。
【0035】
この刃11を収容した刃収容部5bの奥行き(即ち上型2の凸条5の下端面5aから該刃収容部5bの天井面までの鉛直方向の距離)は、この刃11の前面の上下方向の幅と同等かそれよりも大きなものとなっており、刃11が該刃収容部5b内に後退した状態にあっては、この刃11の刃先が凸条5の下端面5aから突出しないようになっている。
【0036】
本発明においては、刃11が溝6b内に突出したときに、この刃11の刃先が該溝6bの底面とキャビティ4の内面との交叉角縁に当接することが最も好ましいが、第7,8図のように、それよりも若干、ガス通路8の奥側において刃先が溝6bの底面に当接するように構成されていてもよい。
【0037】
切断装置10は、この刃11を溝6b内に進退させる駆動装置としてのエアシリンダ装置12を備えている。このエアシリンダ装置12は、コンプレッサ(図示略)からのガス圧により、プッシュロッド13を進退させるものである。第7,8図の符号12a,12bは、それぞれ、このエアシリンダ装置12に接続された給気用及び排気用のホースを示している。
【0038】
第7,8図に示すように、この実施の形態では、該エアシリンダ装置12は上型2の上面に設置されており、この上型2の上面から前記刃収容部5bの天井面にまで貫通したプッシュロッド挿通孔2aを通ってプッシュロッド13が該刃収容部5b内に上下方向進退可能に挿入されている。このプッシュロッド13の下端に、刃11がビス14によって着脱可能に取り付けられている。即ち、この実施の形態では、該刃11は交換可能となっている。
【0039】
なお、この実施の形態では、第7,8図の通り、刃11の下面にはビス14の頭部を収容する凹部11aが形成されており、刃11の上面には、プッシュロッド13の下端部が係合する凹部(符号略)が設けられている。この刃11の下面側の凹部11aの天井面には、該刃11の上面側の凹部の底面にまで貫通するビス挿通孔(符号略)が設けられている。また、プッシュロッド13の下端面には雌ねじ孔(符号略)が設けられている。
【0040】
刃11をプッシュロッド13に取り付ける場合には、刃11を刃収容部5bに挿入し、プッシュロッド13の下端部を該刃11の上面側の凹部に係合させる。そして、該刃11の下面側の凹部11a及びビス挿通孔を介して該刃11の下面側からプッシュロッド13の雌ねじ孔にビス14を締め込み、刃11を固定する。第7,8図の通り、このビス14の頭部は刃11の下面側の凹部11a内に収容されるため、刃11の下面から下方へ突出しないものとなる。
【0041】
刃11を交換する場合には、このビス14を緩めて古い刃11をプッシュロッド13から取り外し、上記の手順で新しい刃11をプッシュロッド13にビス14留めする。
【0042】
なお、刃11のプッシュロッド13への取付方法はこれに限定されない。
【0043】
この実施の形態では、下型3の溝6bの底面に、この刃11に対峙して刃受け15が設けられている。この刃受け15は、鉄又は鉄基合金製である。即ち、この実施の形態では、下型3の大部分は加工が容易な軽合金製となっており、刃11に対峙する刃受け15は硬度の高い鉄又は鉄基合金製となっている。
【0044】
この刃受け15は下型3と別体に製造されている。この実施の形態では、下型3には、溝6bの底面とキャビティ4の内面との交叉角部を切り欠くようにして凹段状の刃受け取付座16が形成されている。刃受け15は、この刃受け取付座16に嵌め込まれ、ビス17により着脱可能に該刃受け取付座16に固定されている。即ち、この実施の形態では、該刃受け15も交換可能となっている。
【0045】
第7,8図の通り、この刃受け15の上面は溝6bの底面と略面一状となっている。また、この実施の形態では、刃受け取付座16はキャビティ4内に臨んでおり、刃受け15のキャビティ4側面もキャビティ4内に臨んでいる。この刃受け15のキャビティ4側面は、キャビティ4の内面と略面一となっている。即ち、この実施の形態では、刃受け15は、溝6bの底面とキャビティ4の内面との交叉角縁まで延在したものとなっている。
【0046】
なお、この実施の形態では、前記ビス17として皿ビスを用いている。このビス17は、刃受け15の上面からねじ込まれており、このビス17で刃受け15を刃受け取付座16に固定した状態においては、第7,8図の如く、このビス17の頭部の上面は刃受け15の上面と略面一か又はそれよりも若干低位となっている。
【0047】
このように構成された金型1によって成形を行う手順について以下に説明する。
【0048】
この実施の形態では、金型1を型開きするに際しては、予め、切断装置10のエアシリンダ装置12を後退作動させて刃11を刃収容部5b内に後退させておく。
【0049】
この金型1によって成形を行うには、型開き状態で上型2及び下型3のキャビティ4の内面並びにガス通路8の内面に離型剤を塗った後、キャビティ4内にウレタン原液を注入し、上型2を下型3に型締めし、金型1を加熱して該ウレタン原液を発泡させる。
【0050】
この際、キャビティ4内のガス(キャビティ4内の空気や、ウレタン反応時に発生する炭酸ガス等の気体)がガス通路8及び間隙9を通って金型1外に排出される。
【0051】
そして、ウレタンが十分に発泡してキャビティ4内が発泡ウレタンで満たされ、キャビティ4内のガスの全量が金型1外に排出されると、第2図(a)のように、ウレタンの一部がガス通路8内に入り込み、バリBとなる。
【0052】
なお、このようにキャビティ4内のウレタンがガス通路8に入り込むことにより、ガス通路8以外の部分の合わせ面7へのウレタンの侵入が防止され、ガス通路8以外の箇所で薄いバリが発生することが防止される。
【0053】
その後、切断装置10のエアシリンダ装置12を突出作動させ、第2図(b)及び第8図の如く刃11をガス通路8(溝6b)内に突出させてバリBをキャビティ4内のフォームFから切断分離する。なお、この実施の形態では、前述の通り、刃11の前面の下縁に沿ってこの刃11の刃先が形成されており、且つこの刃11の刃先は、溝6bの底面のうち、そのキャビティ4の内面との交叉角縁又はその近傍に当接するので、バリBをその根元又はごく根元に近い部分で切断することができる。
【0054】
このバリBを切断するタイミングとしては、キャビティ4内のフォームFの発泡終了後、硬化前が好適である。これよりも早いと、ガスの排出が不十分でガス通路8内にバリBが生じておらず、これよりも遅いと、バリBが硬くなりすぎて切断するのが困難になる。
【0055】
このようにフォームFが硬化する前であれば、刃11によってバリBを容易に切断することができる。
【0056】
キャビティ4内のフォームFが硬化した後、エアシリンダ装置12を後退作動させて刃11を刃収容部5b内に後退させる。その後、第3図のように、上型2と下型3とを型開きし、キャビティ4内からフォームFを取り出すと共に、ガス通路8内からバリBを取り出す。これにより、既にバリBが切断分離されたポリウレタンフォームF即ち成形品が得られる。従って、脱型後にこのポリウレタンフォームFからバリBを除去する作業が不要である。
【0057】
なお、この実施の形態では、切断装置10の刃11を上型2に配置しているので、下型3から脱型を行う際にこの刃11が脱型作業に影響しない。
【0058】
また、この実施の形態では、刃11を上型2の刃収容部5b内に後退させておくことができるので、型締めや型開き作業を行う際にこの刃11が支障とならず、作業効率が向上する。
【0059】
この実施の形態では、刃11及び刃受け15がそれぞれ交換可能となっているので、バリBの切断作業によりこれらが損耗しても、刃11及び刃受け15のみをそれぞれ交換することができる。
【0060】
なお、この実施の形態では、刃受け15は、溝6b(ガス通路8)の底面とキャビティ4の内面との交叉角縁まで延在したものとなっているが、刃受け15の構成はこれに限定されない。即ち、本発明においては、第10図に示すように、刃受け15は、溝6bの底面とキャビティ4の内面との交叉角縁よりも若干、ガス通路8の奥側に後退している構成であってもよい。
【0061】
第10図は、刃受け15の別の構成例を示す、第7図と同様部分の断面図である。
【0062】
この第10図の実施の形態では、溝6bの底面のうち、キャビティ4の内面との交叉角縁よりもガス通路8の奥側に、凹穴状の刃受け取付座16Aが形成されている。そのため、この実施の形態では、この刃受け取付座16Aに嵌め込まれた刃受け15は、溝6bの底面とキャビティ4の内面との交叉角縁よりもガス通路8の奥側に配置され、そのキャビティ4側の辺縁は、該交叉角縁からガス通路8の奥側に離隔している。
【0063】
このように刃受け15が溝6bの底面とキャビティ4の内面との交叉角縁よりもガス通路8の奥側に配置される場合、刃受け15のキャビティ4側の面をキャビティ4の内面の形状に合わせて加工する必要がないため、刃受け15として汎用品を用いることができ、金型コストの低減を図ることができる。
【0064】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は上記以外の形態をもとりうる。
【0065】
例えば、成形品の形状は図示以外でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施の形態に係る樹脂成形品発泡成形用金型の縦断面図である。
【図2】図1の金型の発泡成形時及びバリ切断時の断面図である。
【図3】図1の金型の樹脂成形品脱型時の分解断面図である。
【図4】図1の金型の上型の下面側からの斜視図である。
【図5】図1の金型の上型の下面側からの斜視図である。
【図6】図1の金型の下型の上面側からの斜視図である。
【図7】図1の金型のバリ切断装置付近の断面図である。
【図8】図1の金型のバリ切断装置付近の断面図である。
【図9】図1の金型の切断装置の刃及びガス通路付近のキャビティ側からの正面図である。
【図10】刃受けの別の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 金型
2 上型
3 下型
4 キャビティ
5 凸条
5b 刃収容部
6 凹段部
6b 溝
7 合わせ面
8 ガス通路
10 切断装置
11 刃
12 エアシリンダ装置
13 プッシュロッド
15 刃受け
B バリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締めされる少なくとも第1の型と第2の型とを有する、樹脂成形品の発泡成形用の金型であって、
キャビティ内のガスを金型外に流出させるガス通路を有しており、該ガス通路の少なくとも一部は、前記第1の型と第2の型との合わせ面に沿って設けられている発泡成形用の金型において、
該ガス通路内で生じたバリをキャビティ内の成形品から切断分離する刃を有する切断装置を設けたことを特徴とする発泡成形用の金型。
【請求項2】
請求項1において、該第1の型は上型であり、第2の型は下型であり、前記刃は該上型に設けられていることを特徴とする発泡成形用の金型。
【請求項3】
請求項2において、前記ガス通路は、前記上型又は下型の合わせ面に設けられた溝よりなり、前記刃は、該溝内に突出した状態と上型内に後退した状態とをとりうるように進退可能であり、
前記切断装置は、該刃を進退させる駆動装置を備えてなることを特徴とする発泡成形用の金型。
【請求項4】
請求項3において、前記刃に対峙して刃受けが設けられていることを特徴とする発泡成形用の金型。
【請求項5】
請求項4において、前記上型及び下型は軽合金製であり、刃受けは鉄又は鉄基合金製であることを特徴とする発泡成形用の金型。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発泡成形用の金型を用いた発泡成形方法であって、
型開き前に前記刃によってガス通路内のバリをキャビティ内の成形品と切断分離することを特徴とする発泡成形方法。
【請求項7】
請求項6において、ポリウレタンフォームを発泡成形する方法であって、発泡終了後、硬化前にバリを切断分離することを特徴とする発泡成形方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−166321(P2009−166321A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5861(P2008−5861)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】