説明

発泡樹脂成形品成形用の金型構造

【課題】発泡樹脂成形品の強度低下を抑制しつつスキン層の一部を剥離して発泡層を露出させた発泡樹脂成形品を成形することができる発泡樹脂成形品成形用の金型構造を提供する。
【解決手段】発泡樹脂成形品成形用の金型10は、発泡樹脂成形品の本体部を成形するための本体部成形部10cと、本体部の表面に立設されるリブ部を成形するためのリブ部成形部10bとを有し、該リブ部成形部10bは、リブ部の立設方向に対してアンダーカット状に形成されるリブ部を成形するように形成され、金型10は、発泡樹脂成形品を成形した後に取り出す際に、リブ部成形部10bにリブ部を保持した状態でリブ部の立設方向にリブ部と本体部とを離間させることにより、リブ部に連続する本体部のスキン層を剥離して本体部の発泡層を露出させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発泡樹脂成形品を成形するための金型構造に関し、特に、溶融状態の発泡性樹脂をキャビティに充填した後にキャビティの容積を拡大することにより表面層であるスキン層と該スキン層の内側に設けられる発泡層とを有する発泡樹脂成形品を成形し、その後にスキン層の一部を剥離して発泡層を露出させるようにした発泡樹脂成形品成形用の金型構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車用部品などの種々の工業用部品の分野において、軽量性、断熱性及び防音性等の優れた特性を有する発泡樹脂成形品が幅広く採用されている。かかる発泡樹脂成形品は、使用される目的及び用途などに応じて、好適な使用材料を選定し、また、成形品内部の気泡の形態や発泡倍率などの諸条件を好適に設定して成形されている。
【0003】
このような発泡樹脂成形品の成形方法として、樹脂に発泡剤を含有させた発泡性樹脂を固定型と可動型とでなる金型内に充填した後に可動型を型開き方向に移動させてキャビティの容積を拡大することにより発泡性樹脂の発泡を促進させるようにした成形方法(所謂コアバック法)が知られている。
【0004】
かかる成形方法によって成形された発泡樹脂成形品は、金型内に充填した発泡性樹脂が金型によって表面から冷却されることにより、発泡樹脂成形品の表面に表面層である非発泡のスキン層が形成されるとともに該スキン層の内側に発泡性樹脂の発泡が促進された発泡層が形成されることとなる。
【0005】
このようにして成形される発泡樹脂成形品を断熱材や防音材として使用する場合、発泡樹脂成形品の表面に形成されるスキン層によって断熱効果や防音効果が低下することとなるので、断熱効果や防音効果を効果的に得るためには表面に形成されるスキン層を取り除くことが望まれる。
【0006】
断熱効果や防音効果が低下することを抑制するためにスキン層を取り除くものではないが、例えば特許文献1には、発泡体の表面に接着性シートを積層した後に、接着性シートと反対側の発泡体面に形成されたスキン層全体をスライス刃によりスライス除去するようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−344459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載されるように、表面に形成されるスキン層全体をスライス除去することにより、発泡層を露出させて発泡樹脂成形品において断熱効果や防音効果を効果的に得ることができるものの、スキン層全体を除去すると発泡樹脂成形品の強度が大きく低下することが問題となる。
【0009】
これに対し、発泡樹脂成形品を成形した後に表面に形成されるスキン層の一部を剥離して発泡層を露出させることにより、発泡樹脂成形品の強度が低下することを抑制しつつ断熱効果や防音効果を効果的に得ることができるものと考えられる。
【0010】
このように表面に形成されるスキン層の一部を剥離して発泡層を露出させる方法として、発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを一体的に形成した後に、このリブ部を折除することによってリブ部に連続する本体部のスキン層を剥離して発泡層を露出させることが考えられる。
【0011】
図10は、発泡樹脂成形品においてスキン層の一部を剥離して発泡層を露出させる方法を説明するための説明図であり、図10(a)は、発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを一体的に形成した状態を示し、図10(b)は、リブ部を折除して発泡樹脂成形品の本体部の発泡層を露出させた状態を示している。
【0012】
図10(a)に示すように、表面に形成された非発泡のスキン層102と該スキン層102の内側に設けられた発泡層103とを有する本体部101と、該本体部101の表面のスキン層に立設された非発泡のリブ部105とが一体的に形成された発泡樹脂成形品100を成形した後に、前記リブ部105に外部から所定の倒し込み力F1を作用させることにより、図10(b)に示すように、該リブ部105とともに該リブ部105に連続する本体部101のスキン層102を剥離して、スキン層102に開口部102aを形成して発泡層103を露出させることが考えられる。
【0013】
図11は、発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを一体的に形成する方法を説明するための説明図であり、図11(a)は、固定型と可動型とでなる金型においてキャビティに発泡性樹脂を充填した状態を示し、図11(b)は、キャビティに発泡性樹脂を充填した後に可動型を型開き方向に移動した状態を示している。
【0014】
図10(a)に示す発泡樹脂成形品100は、図11(a)に示すように、固定型111と可動型121とによってキャビティ110aが形成されるとともに固定型111のキャビティ成形面111aに凹状に形成されたリブ部成形部111bが設けられた金型110を用い、該金型110のキャビティ110aに注入経路116を通じて溶融状態の発泡性樹脂131を充填した後に、図11(b)に示すように、キャビティ110aの容積が拡大するように可動型121を型開き方向(矢印X1で示す方向)に移動させて発泡性樹脂131の発泡を促進させることにより成形することができる。
【0015】
図12は、発泡樹脂成形品のリブ部を折除した状態を説明するための説明図である。図11に示すようにして成形された発泡樹脂成形品100においてリブ部105を折除するために、図12(a)に示すように、リブ部105に該リブ部105の立設方向と略直交する方向に外部から所定の倒し込み力F1を作用させると、図12(b)に示すように、リブ部105が倒し込み力F1の作用方向に傾いた後に、図12(c)に示すように、リブ部105が折除され、本体部101のスキン層102の一部を剥離して発泡層103を露出させることができる。
【0016】
しかしながら、このようにしてスキン層102の一部を剥離して発泡層103を露出させる場合、図12(b)及び図12(c)に示すように、リブ部105の倒し込み力作用面部107と反対側の面部108によって発泡層103の一部が窪むように圧潰され、発泡樹脂成形品100の強度が低下する畏れがある。
【0017】
また、図13は、発泡樹脂成形品のリブ部を折除した別の状態を説明するための説明図である。図12(a)に示すように、発泡樹脂成形品100のリブ部105に外部から所定の倒し込み力F1を作用させると、図13に示すように、リブ部105の倒し込み力作用面部107と反対側の面部108に倒し込み力F1の作用方向に連続する本体部101のスキン層102がリブ部105とともに大きく剥離して発泡樹脂成形品100の強度が低下する畏れがある。
【0018】
そこで、本発明は、発泡樹脂成形品の強度低下を抑制しつつスキン層の一部を剥離して発泡層を露出させた発泡樹脂成形品を成形することができる発泡樹脂成形品成形用の金型構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このため、本願の請求項1に係る発明は、発泡樹脂成形品を成形するためのキャビティを有するとともに該キャビティの容積が拡大可能に構成された金型を備え、溶融状態の発泡性樹脂を該キャビティに充填した後に該キャビティの容積を拡大することにより表面層であるスキン層と該スキン層の内側に設けられる発泡層とを有する発泡樹脂成形品を成形し、その後に前記スキン層の一部を剥離して前記発泡層を露出させるようにした発泡樹脂成形品成形用の金型構造であって、前記金型は、発泡樹脂成形品の本体部を成形するための本体部成形部と、前記本体部の表面に立設されるリブ部を成形するためのリブ部成形部とを有し、該リブ部成形部は、前記リブ部の立設方向に対してアンダーカット状に形成される前記リブ部を成形するように形成され、前記金型は、前記本体部と前記リブ部とを有する発泡樹脂成形品を成形した後に該発泡樹脂成形品を取り出す際に、前記リブ部成形部に前記リブ部を保持した状態で前記リブ部の立設方向に前記リブ部と前記本体部とを離間させることにより、前記リブ部に連続する前記本体部のスキン層を剥離して前記本体部の発泡層を露出させるように構成されている、ことを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記金型は、前記本体部成形部から前記発泡樹脂成形品の本体部を突出させる突出部材を備え、前記発泡樹脂成形品を取り出す際に、前記リブ部成形部に前記リブ部を保持した状態で前記突出部材によって前記本体部成形部から前記本体部を突出させて前記リブ部と前記本体部とを離間させるように構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本願の請求項1に係る発明によれば、金型は、発泡樹脂成形品の本体部を成形するための本体部成形部と、本体部の表面に立設されるリブ部を成形するためのリブ部成形部とを有し、リブ部成形部は、リブ部の立設方向に対してアンダーカット状に形成されるリブ部を成形するように形成され、金型は、本体部とリブ部とを有する発泡樹脂成形品を成形した後に取り出す際に、リブ部成形部にリブ部を保持した状態でリブ部の立設方向にリブ部と本体部とを離間させることにより、リブ部に連続する本体部のスキン層を剥離して本体部の発泡層を露出させるように構成されている。これにより、比較的簡単な構成を有する金型を用い、発泡樹脂成形品のスキン層の一部を剥離して発泡層を露出させることができ、発泡樹脂成形品の強度低下を抑制しつつスキン層の一部を剥離して発泡層を露出させた発泡樹脂成形品を成形することができる。
【0022】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、金型は、本体部成形部から発泡樹脂成形品の本体部を突出させる突出部材を備え、発泡樹脂成形品を取り出す際に、リブ部成形部にリブ部を保持した状態で突出部材によって本体部成形部から本体部を突出させてリブ部と本体部とを離間させるように構成されている。これにより、発泡樹脂成形品を取り出す際にリブ部と本体部とを離間させることができるので、発泡樹脂成形品を成形するための成形サイクルタイムを延長化させることなく、前記効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る金型を備えた成形装置を示す概略説明図である。
【図2】図1に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを形成する方法を説明するための断面説明図である。
【図3】図1に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを離間させる方法を説明するための断面説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る金型を示す断面説明図である。
【図5】図4に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを形成する方法を説明するための断面説明図である。
【図6】図4に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを離間させる方法を説明するための断面説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る金型を示す断面説明図である。
【図8】図7に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを形成する方法を説明するための断面説明図である。
【図9】図7に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを離間させる方法を説明するための断面説明図である。
【図10】発泡樹脂成形品においてスキン層の一部を剥離して発泡層を露出させる方法を説明するための説明図である。
【図11】発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを一体的に形成する方法を説明するための説明図である。
【図12】発泡樹脂成形品のリブ部を折除した状態を説明するための説明図である。
【図13】発泡樹脂成形品のリブ部を折除した別の状態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る金型を備えた成形装置を示す概略説明図である。図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る金型を備えた成形装置Mは、発泡樹脂成形品を成形するためのものであり、開閉可能な金型10と、金型10内に溶融状態の発泡性樹脂を注入する射出装置30とを備えている。
【0025】
金型10は、固定型11と可動型21とによって構成され、固定型11と可動型21とを型閉めすることにより金型10内に発泡樹脂成形品を成形するためのキャビティ10aが形成されるようになっている。固定型11は、キャビティ成形面11aを有するとともに、射出装置30からキャビティ10aに発泡性樹脂を注入するための注入経路16を有している。
【0026】
一方、可動型21は、キャビティ成形面22aを有するとともに固定型11と組み合わせられる本体部22を備え、該本体部22には、金型10の開閉方向(矢印X2で示す方向)において断面略矩形状に形成される開口部22bが設けられるとともに金型10の開閉方向において断面略円形状に形成される孔部22cが設けられている。
【0027】
本体部22の開口部22bには、断面略矩形状に形成されるコア部23が金型10の開閉方向に移動可能に挿入され、本体部22の孔部22cには、断面略円形状に形成される突出部材としてのピン部24が金型10の開閉方向に移動可能に挿入されている。また、ピン部24はそれぞれ、ピン部保持プレート25に結合され、少なくともコア部23の近傍に設けられている。
【0028】
可動型21のコア部23及びピン部24はそれぞれ、キャビティ成形面23a及び24aを有し、コア部23のキャビティ成形面23aには、図1に示すように、断面略L字状に窪んで形成される溝部23bが設けられている。コア部23の溝部23bは、金型10の開閉方向と略直交する方向に延びる縦壁部23cと、該縦壁部23cから金型10の開閉方向に延びるとともに縦壁部23cと鋭角をなす横壁部23dとによって形成されている。
【0029】
本実施形態では、発泡樹脂成形品は、製品形状となる本体部と該本体部の表面に立設されるリブ部とが一体的に形成された後に発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを離間させるので、コア部23の溝部23bと金型10の開閉方向に延びる本体部22の開口部22bとによって発泡樹脂成形品のリブ部を成形するためのリブ部成形部10bが形成され、該リブ部成形部10bは、前記リブ部の立設方向に対してアンダーカット状に形成される前記リブ部を成形するように形成されている。ここで、アンダーカット状とは、発泡樹脂成形品を取り出す際に、前記リブ部の立設方向に離型できない形状をいうものである。
【0030】
一方、発泡樹脂成形品の本体部を成形するための本体部成形部10cは、本体部22のキャビティ成形面22a、コア部23のキャビティ成形面23a及びピン部24のキャビティ成形面24aからなる可動側の本体部成形部と、固定型11のキャビティ成形面11aからなる固定側の本体部成形部とによって形成されている。なお、本体部成形部10cを構成するキャビティ成形面22aは、その周縁部に断面L字状に窪む段差部22dを備え、本体部成形部10cは、発泡樹脂成形品の本体部の周縁部に縦壁部を形成することができるように構成されている。
【0031】
金型10はまた、固定型11に対して可動型21の本体部22、コア部23及びピン部24が一体的に金型10の開閉方向に移動可能に構成され、固定型11と可動型21とを型閉めした後に可動型21を金型10の型開き方向に移動させることによりキャビティ10aの容積が拡大可能に構成されている。また、可動型21のコア部23及びピン部24はそれぞれ、本体部22に対して金型10の開閉方向に移動可能に構成されている。
【0032】
一方、射出装置30は、溶融状態の発泡性樹脂31を金型10のキャビティ10aに注入するものであり、樹脂32を混練溶融させるシリンダ33を備え、シリンダ33の内部にはスクリュー34が備えられている。また、スクリュー34の後端には、スクリュー駆動機構及び射出機構(共に不図示)が連結されている。
【0033】
射出装置30では、シリンダ33の周囲に設けられた加熱ヒータ(不図示)とスクリュー34とによって、シリンダ33に投入された樹脂32を順次加熱するとともに混練溶融させるように構成されている。そして、混練溶融された樹脂32に対し、二酸化炭素又は窒素等の不活性ガスを含むボンベ35から超臨界流体発生装置36を介して超臨界状態にされた前記不活性ガスが、超臨界流体注入装置37によって注入され、樹脂32に発泡剤を含有させた発泡性樹脂31が形成されるようになっている。
【0034】
このシリンダ33内の発泡性樹脂31は、スクリュー34が前記スクリュー駆動機構によって回転されるとともに前記射出機構によって射出されることによって金型10のキャビティ10aに注入される。
【0035】
本実施形態では、樹脂32としては、例えばポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。また、本実施形態では、発泡性樹脂31に含有される発泡剤に、物理発泡剤として超臨界状態にある流体を用いているが、その他の物理発泡剤を用いてもよい。あるいは、化学発泡剤を使用することも可能である。
【0036】
また、具体的には図示しなかったが、成形装置Mは、該成形装置Mを総合的に制御する制御ユニットを備えている。該制御ユニットは、例えばマイクロコンピュータを主要部として構成されており、金型10の作動制御、射出装置30の作動制御等の各種制御を行うように構成されている。
【0037】
次に、前記成形装置Mを用いた発泡樹脂成形品の成形について説明する。
図1に示すように金型10が型閉めされた状態で、金型10のキャビティ10aに樹脂32に発泡剤として超臨界状態の流体を含有させた発泡性樹脂31が射出装置30から注入され、溶融状態の発泡性樹脂31がキャビティ10aに充填された後に、キャビティ10aの容積を拡大させるように可動型21が型開き方向に移動される。
【0038】
図2は、図1に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを形成する方法を説明するための断面説明図であり、図2(a)は、キャビティ10aに発泡性樹脂31が充填された状態を示し、図2(b)は、キャビティ10aに発泡性樹脂31が充填された後に可動型21が型開き方向に移動された状態を示している。
【0039】
図2(a)に示すように、金型10のキャビティ10aに注入経路16を通じて発泡性樹脂31が充填された後に、図2(b)に示すように、キャビティ10aの容積を拡大するように可動型21を型開き方向(矢印X3で示す方向)に移動させて発泡性樹脂31の発泡を促進させる。
【0040】
可動型21が型開き方向に移動されると、製品形状となる本体部41と、該本体部41の表面に該表面と略直交する方向に略四角柱状に立設されるリブ部45とを有する発泡樹脂成形品40が成形され、リブ部45は、リブ部45の立設方向に対してアンダーカット状に形成されている。発泡樹脂成形品40の本体部41は本体部成形部10cによって成形され、発泡樹脂成形品40のリブ部45はリブ部成形部10bによって成形される。
【0041】
また、発泡樹脂成形品40では、本体部41は、その表面が表面層である非発泡のスキン層42によって形成されるとともに該スキン層42の内側に発泡性樹脂31の発泡が促進された発泡層43が形成され、リブ部45は、非発泡状態で形成されている。なお、発泡樹脂成形品40の本体部41には、その周縁部に縦壁部44が形成されており、該縦壁部44は、非発泡状態で形成されている。
【0042】
このようにして本体部41とリブ部45とを有する発泡樹脂成形品40を成形した後に発泡樹脂成形品40を取り出す際には、可動型21が型開き方向に移動されて金型10が型開きされ、その後に、リブ部成形部10bにリブ部45を保持した状態で、リブ部45の立設方向にリブ部45と本体部41とを離間させることにより、リブ部45に連続する本体部41のスキン層42を剥離して発泡層43を露出させる。
【0043】
図3は、図1に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを離間させる方法を説明するための断面説明図であり、図3(a)は、金型を型開きした状態を示し、図3(b)は、可動型の本体部に対してピン部を突出させた状態を示し、図3(c)は、可動型の本体部に対してコア部を移動させた状態を示している。
【0044】
図3(a)に示すように、発泡樹脂成形品40を成形した後に取り出す際には、本体部22、コア部23及びピン部24を一体として可動型21を型開き方向(矢印X3に示す方向)に移動ささせて金型10を型開きし、リブ部成形部10bにリブ部45を保持した状態で発泡樹脂成形品40全体を可動型21とともに移動させる。
【0045】
金型10が型開きされると次に、図3(b)に示すように、リブ部成形部10bにリブ部45を保持した状態で、可動型21の本体部22に対してピン部24をリブ部45の立設方向である金型10の型閉じ方向(矢印X4で示す方向)に突出させ、本体部成形部10c、具体的には可動側の本体部成形部を構成する本体部22のキャビティ成形面22a及びコア部23のキャビティ成形面23aからリブ部45の立設方向に発泡樹脂成形品40の本体部41を突出させる。
【0046】
発泡樹脂成形品40の本体部41が突出されるとき、発泡樹脂成形品40のリブ部45は該リブ部45の立設方向にアンダーカット状に形成されているのでリブ部成形部10bに保持された状態で、リブ部45に連続する本体部41のスキン層42がリブ部45とともに剥離され、本体部41のスキン層42に開口部42aが形成されて発泡層43が露出させられる。
【0047】
発泡樹脂成形品40の本体部41はまた、ピン部24によって突出させられて金型10から落下し、発泡樹脂成形品40が取り出されることとなるが、図示しない取出装置を用いて金型10から取り出すようにすることも可能である。このようにして、金型10を用いて、スキン層42の一部を剥離して発泡層43を露出させた発泡樹脂成形品40を製造することができる。
【0048】
発泡樹脂成形品40を製造した後には、図3(c)に示すように、コア部23を金型10の型閉じ方向(矢印X4で示す方向)に移動することにより、リブ部成形部10bに保持されたリブ部45が金型10から落下して取り除かれることとなるが、リブ部成形部10bにエアー(空気)を吹き付けることによってリブ部45を確実に落下させるようにすることも可能である。
【0049】
なお、本実施形態では、発泡樹脂成形品40のリブ部45が略四角柱状に形成されるとともにリブ部45の立設方向に対してアンダーカット状に形成されているが、リブ部が略円柱状に形成されるとともにリブ部の立設方向に対してアンダーカット状に形成されるなど、リブ部がリブ部の立設方向に対してアンダーカット状に形成されるその他の形状に形成することも可能である。
【0050】
このように、本実施形態に係る発泡樹脂成形品成形用の金型構造は、発泡樹脂成形品40を成形するためのキャビティ10aを有するとともにキャビティ10aの容積が拡大可能に構成された金型10を備え、溶融状態の発泡性樹脂31をキャビティ10aに充填した後にキャビティ10aの容積を拡大することにより表面層であるスキン層42とスキン層42の内側に設けられる発泡層43とを有する発泡樹脂成形品40を成形し、その後にスキン層42の一部を剥離して発泡層43を露出させるように構成されている。
【0051】
特に、金型10は、発泡樹脂成形品40の本体部41を成形するための本体部成形部10cと、本体部41の表面に立設されるリブ部45を成形するためのリブ部成形部10bとを有し、リブ部成形部10bは、リブ部45の立設方向に対してアンダーカット状に形成されるリブ部45を成形するように形成され、金型10は、本体部41とリブ部45とを有する発泡樹脂成形品40を成形した後に発泡樹脂成形品40を取り出す際に、リブ部成形部10bにリブ部45を保持した状態でリブ部45の立設方向にリブ部45と本体部41とを離間させることにより、リブ部45に連続する本体部41のスキン層42を剥離して本体部41の発泡層43を露出させるように構成されている。
【0052】
これにより、比較的簡単な構成を有する金型10を用い、発泡樹脂成形品40のスキン層42の一部を剥離して発泡層43を露出させることができ、発泡樹脂成形品40の強度低下を抑制しつつスキン層42の一部を剥離して発泡層43を露出させた発泡樹脂成形品40を成形することができる。
【0053】
また、金型10は、本体部成形部10cから発泡樹脂成形品40の本体部41を突出させる突出部材24を備え、発泡樹脂成形品40を取り出す際に、リブ部成形部10bにリブ部45を保持した状態で突出部材24によって本体部成形部10cから本体部41を突出させてリブ部45と本体部41とを離間させるように構成されている。
【0054】
これにより、発泡樹脂成形品40を取り出す際にリブ部45と本体部41とを離間させることができるので、発泡樹脂成形品40を成形するための成形サイクルタイムを延長化させることなく、前記効果を得ることができる。
【0055】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る金型を示す断面説明図である。本発明の第2の実施形態に係る金型は、本発明の第1の実施形態に係る金型10において、固定型にリブ部成形部が設けられるとともに該固定型に固定型取付プレートが備えられ、且つ可動型にコア部が備えられていないものであり、本発明の第1の実施形態に係る金型10と同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
図4に示すように、本発明の第2の実施形態に係る金型50は、固定型51と可動型61に加えて固定型51に重ね合わせられる固定型取付プレート52をさらに備え、固定型51、可動型61及び固定型取付プレート52をともに型閉めすることにより金型50内に発泡樹脂成形品を成形するためのキャビティ50aが形成されるようになっている。
【0057】
固定型51は、キャビティ成形面51aを有しており、該キャビティ成形面51aに、金型50の開閉方向(矢印X2で示す方向)において断面略矩形状に窪んで形成される複数の溝部51bが設けられ、該溝部51bは、固定型51の端面51cまで開口するように形成されている。
【0058】
固定型51の溝部51bは、金型50の開閉方向に延びる上壁部51dと、金型50の開閉方向に延びるとともに固定型取付プレート52側に向かうにつれて下方に傾斜する下壁部51eとを備えるとともに、該上壁部51d及び下壁部51eの図面の表面及び裏面に図示しない側壁部を備えている。
【0059】
金型50では、固定型51の溝部51bと固定型取付プレート52の端面52aとによって発泡樹脂成形品のリブ部を成形するためのリブ部成形部50bが形成され、該リブ部成形部50bは、前記リブ部の立設方向に対してアンダーカット状に形成されるリブ部を成形するように形成されている。
【0060】
本実施形態ではまた、固定型取付プレート52に対して固定型51が金型50の開閉方向に移動可能に構成されている。なお、固定型51及び固定型取付プレート52にはそれぞれ、射出装置30からキャビティ50aに発泡性樹脂を注入するための注入経路16が設けられている。
【0061】
一方、可動型61は、キャビティ成形面22aを有するとともに固定型51と組み合わせられる本体部22を備え、該本体部22には、金型50の開閉方向において断面略円形状に形成される孔部22cが設けられ、該孔部22cに、断面略円形状に形成される突出部材としてのピン部24が金型50の開閉方向に移動可能に挿入されている。
【0062】
金型50ではまた、発泡樹脂成形品の本体部を成形するための本体部成形部50cは、本体部22のキャビティ成形面22a及びピン部24のキャビティ成形面24aからなる可動側の本体部成形部と、固定型51のキャビティ成形面51aからなる固定側の本体部成形部とによって形成されている。なお、本体部成形部50cを構成するキャビティ成形面22aは、その周縁部に断面L字状に窪む段差部22dを備え、本体部成形部50cは、発泡樹脂成形品の本体部の周縁部に縦壁部を形成することができるように構成されている。
【0063】
金型50においても、固定型51に対して可動型61の本体部22及びピン部24が一体的に金型50の開閉方向に移動可能に構成され、固定型51と可動型61とを型閉めした後に可動型61を金型50の型開き方向に移動させることによりキャビティ50aの容積が拡大可能に構成されている。また、可動型61のピン部24は、本体部22に対して金型50の開閉方向に移動可能に構成されている。
【0064】
このようにして構成される金型50を用いる場合においても、図4に示すように金型50が型閉めされた状態で、キャビティ50aに発泡性樹脂31が射出装置30から注入され、溶融状態の発泡性樹脂31がキャビティ50aに充填された後に、キャビティ50aの容積を拡大させるように可動型61が型開き方向に移動される。
【0065】
図5は、図4に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを形成する方法を説明するための断面説明図である。図5に示すように、キャビティ50aに発泡性樹脂31が充填された後に可動型61が型開き方向(矢印X3で示す方向)に移動されると、製品形状となる本体部71と、該本体部71の表面に該表面と略直交する方向に略四角柱状に立設されるリブ部75とを有する発泡樹脂成形品70が成形され、リブ部75は、リブ部75の立設方向に対してアンダーカット状に形成されている。発泡樹脂成形品70の本体部71は本体部成形部50cによって成形され、発泡樹脂成形品70のリブ部75はリブ部成形部50bによって成形される。
【0066】
また、発泡樹脂成形品70では、本体部71は、その表面が表面層である非発泡のスキン層72によって形成されるとともに該スキン層72の内側に発泡性樹脂31の発泡が促進された発泡層73が形成され、リブ部75は、非発泡状態で形成されている。なお、発泡樹脂成形品70の本体部71には、その周縁部に縦壁部74が形成されており、該縦壁部74は、非発泡状態で形成されている。
【0067】
このようにして本体部71とリブ部75とを有する発泡樹脂成形品70を成形した後に発泡樹脂成形品70を取り出す際には、可動型61が型開き方向に移動されて金型50が型開きされ、リブ部成形部50bにリブ部75を保持した状態で、リブ部75の立設方向にリブ部75と本体部71とを離間させることにより、リブ部75に連続する本体部71のスキン層72を剥離して発泡層73を露出させる。
【0068】
図6は、図4に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを離間させる方法を説明するための断面説明図であり、図6(a)は、金型を型開きした状態を示し、図6(b)は、可動型の本体部に対してピン部を突出させた状態を示し、図6(c)は、固定型取付プレートに対して固定型を移動させた状態を示している。
【0069】
図6(a)に示すように、発泡樹脂成形品70を成形した後に取り出す際には、本体部22及びピン部24を一体として可動型61を型開き方向(矢印X3に示す方向)に移動させて金型50を型開きし、リブ部成形部50bにリブ部75を保持した状態で、発泡樹脂成形品70の本体部71を可動型61とともに移動させる。なお、本体部71は、その周縁部に縦壁部74を備え、可動型61を移動させる際に可動型61に保持されるように形成されている。
【0070】
発泡樹脂成形品70の本体部71が可動型61とともに移動されるとき、リブ部75は該リブ部75の立設方向にアンダーカット状に形成されているのでリブ部成形部50bに保持された状態で、リブ部75に連続する本体部71のスキン層72がリブ部75とともに本体部71から剥離され、本体部71のスキン層72に開口部72aが形成されて発泡層73が露出させられる。
【0071】
金型50が型開きされると次に、図6(b)に示すように、可動型61の本体部22に対してピン部24を金型50の型閉じ方向(矢印X4で示す方向)に突出させ、本体部成形部50c、具体的には可動側の本体部成形部を構成する本体部22のキャビティ成形面22aから金型50の開閉方向に発泡樹脂成形品70の本体部71を突出させ、これにより、発泡樹脂成形品70の本体部71が金型50から落下し、発泡樹脂成形品70が取り出されることとなる。このようにして、金型50を用いて、スキン層72の一部を剥離して発泡層73を露出させた発泡樹脂成形品70を製造することができる。
【0072】
発泡樹脂成形品70を製造した後には、図6(c)に示すように、固定型51を可動型61側(矢印X5で示す方向)に移動させ、その後に、リブ部成形部50bに保持されたリブ部75に対して図示しないエアー供給装置からエアーを吹き付けることによりリブ部75が金型50から落下して取り除かれる。
【0073】
このように、本発明の第2の実施形態に係る金型を用いる場合においても、金型50は、発泡樹脂成形品70の本体部71を成形するための本体部成形部50cと、本体部71の表面に立設されるリブ部75を成形するためのリブ部成形部50bとを有し、リブ部成形部50bは、リブ部75の立設方向に対してアンダーカット状に形成されるリブ部75を成形するように形成され、金型50は、本体部71とリブ部75とを有する発泡樹脂成形品70を成形した後に発泡樹脂成形品70を取り出す際に、リブ部成形部50bにリブ部75を保持した状態でリブ部75の立設方向にリブ部75と本体部71とを離間させることにより、リブ部75に連続する本体部71のスキン層72を剥離して本体部71の発泡層73を露出させるように構成されている。
【0074】
これにより、比較的簡単な構成を有する金型50を用い、発泡樹脂成形品70のスキン層72の一部を剥離して発泡層73を露出させることができ、発泡樹脂成形品70の強度低下を抑制しつつスキン層72の一部を剥離して発泡層73を露出させた発泡樹脂成形品70を成形することができる。
【0075】
なお、第2の実施形態に係る金型50において、可動型61に、第1の実施形態に係る金型10と同様のコア部23をさらに備えるようにすることも可能である。かかる金型を用いることで、発泡樹脂成形品の本体部の両側の表面において発泡層を露出させることができる。
【0076】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る金型を示す断面説明図である。本発明の第3の実施形態に係る金型は、本発明の第2の実施形態に係る金型50において、リブ部成形部の形状が異なるものであり、第2の実施形態に係る金型50と同様の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0077】
図7に示すように、本発明の第3の実施形態に係る金型80は、固定型81、可動型61及び固定型取付プレート52を備え、固定型81、可動型61及び固定型取付プレート52を型閉めすることにより金型80内に発泡樹脂成形品を成形するためのキャビティ80aが形成されるようになっている。
【0078】
固定型81は、キャビティ成形面81aを有し、該キャビティ成形面81aに、金型80の開閉方向(矢印X2で示す方向)において断面略矩形状に窪んで形成される複数の第1溝部81bが設けられている。固定型81ではまた、複数の第1溝部81bを連結するように固定型81の端面81cに、金型80の開閉方向と略直交する方向において断面略矩形状に窪んで形成される第2溝部81dが設けられている。
【0079】
金型80では、固定型81の第1溝部81b及び第2溝部81dと固定型取付プレート52の端面52aとによって発泡樹脂成形品のリブ部を成形するためのリブ部成形部80bが形成され、該リブ部成形部80bは、前記リブ部の立設方向に対してアンダーカット状に形成されるリブ部を成形するように形成されている。
【0080】
具体的には、リブ部成形部80bは、発泡樹脂成形品の本体部の表面と略直交する方向に延びる複数のリブ部本体部と、該リブ部本体部の立設方向と略直交する方向に延び複数のリブ部本体部の端部どうしを連結するリブ部連結部とを有するリブ部を成形するように形成され、前記リブ部、具体的には前記リブ部本体部の立設方向に対してアンダーカット状に形成されるリブ部を成形するように形成されている。
【0081】
一方、発泡樹脂成形品の本体部を成形するための本体部成形部80cは、本体部22のキャビティ成形面22a及びピン部24のキャビティ成形面24aからなる可動側の本体部成形部と、固定型81のキャビティ成形面81aからなる固定側の本体部成形部とによって形成されている。
【0082】
このようにして構成される金型80を用いる場合においても、図7に示すように金型80が型閉めされた状態で、キャビティ80aに発泡性樹脂31が射出装置30から注入され、溶融状態の発泡性樹脂31がキャビティ80aに充填された後に、キャビティ80aの容積を拡大させるように可動型61が型開き方向に移動される。
【0083】
図8は、図7に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを形成する方法を説明するための断面説明図である。図8に示すように、キャビティ80aに発泡性樹脂31が充填された後に可動型61が型開き方向(矢印X3で示す方向)に移動されると、本体部91と、該本体部91の表面に立設されるリブ部95とを有する発泡樹脂成形品90が成形され、リブ部95は、本体部91の表面と略直交する方向に延びる複数のリブ部本体部96と、該リブ部本体部96の立設方向と略直交する方向に延び複数のリブ部本体部96の端部どうしを連結するリブ部連結部97とを有し、リブ部95、具体的にはリブ部本体部96の立設方向に対してアンダーカット状に形成されている。発泡樹脂成形品90の本体部91は本体部成形部80cによって成形され、発泡樹脂成形品90のリブ部95はリブ部成形部80bによって成形される。
【0084】
また、発泡樹脂成形品90においても、本体部91は、その表面が表面層である非発泡のスキン層92によって形成されるとともに該スキン層92の内側に発泡性樹脂31の発泡が促進された発泡層93が形成され、リブ部95は、非発泡状態で形成されている。なお、発泡樹脂成形品90の本体部91には、その周縁部に縦壁部94が形成されており、該縦壁部94は、非発泡状態で形成されている。
【0085】
このようにして本体部91とリブ部95とを有する発泡樹脂成形品90を成形した後に発泡樹脂成形品90を取り出す際には、可動型61が型開き方向に移動されて金型80が型開きされ、リブ部成形部80bにリブ部95を保持した状態で、リブ部95の立設方向にリブ部95と本体部91とを離間させることにより、リブ部95に連続する本体部91のスキン層92を剥離して発泡層93を露出させる。
【0086】
図9は、図7に示す金型において発泡樹脂成形品の本体部とリブ部とを離間させる方法を説明するための断面説明図であり、図9(a)は、金型を型開きした状態を示し、図9(b)は、可動型の本体部に対してピン部を突出させた状態を示し、図9(c)は、固定型取付プレートに対して固定型を移動させた状態を示している。
【0087】
図9(a)に示すように、発泡樹脂成形品90を成形した後に取り出す際には、本体部22及びピン部24を一体として可動型61を型開き方向(矢印X3に示す方向)に移動させて金型80を型開きし、リブ部成形部80bにリブ部95を保持した状態で、発泡樹脂成形品90の本体部91を可動型61とともに移動させる。なお、本体部91は、その周縁部に縦壁部94を備え、可動型61を移動させる際に可動型61に保持されるように形成されている。
【0088】
発泡樹脂成形品90の本体部91が可動型61とともに移動されるとき、リブ部95はリブ部連結部97によってリブ部95の立設方向にアンダーカット状に形成されているのでリブ部成形部80bに保持された状態で、リブ部95に連続する本体部91のスキン層92がリブ部95とともに本体部91から剥離され、本体部91のスキン層92に開口部92aが形成されて発泡層93が露出させられる。
【0089】
金型80が型開きされると次に、図9(b)に示すように、可動型61の本体部22に対してピン部24を金型80の型閉じ方向(矢印X4で示す方向)に突出させ、本体部成形部80c、具体的には可動側の本体部成形部を構成する本体部22のキャビティ成形面22aから金型80の開閉方向に発泡樹脂成形品90の本体部91を突出させ、これにより、発泡樹脂成形品90の本体部91が金型80から落下し、発泡樹脂成形品90が取り出されることとなる。このようにして、金型80を用いて、スキン層92の一部を剥離して発泡層93を露出させた発泡樹脂成形品90を製造することができる。
【0090】
発泡樹脂成形品90を製造した後には、図9(c)に示すように、固定型81を可動型61側(矢印X5で示す方向)に移動させ、その後に、リブ部成形部80bに保持されたリブ部95に対して図示しないエアー供給装置からエアーを吹き付けることによりリブ部95が金型80から落下して取り除かれる。
【0091】
このように、本発明の第3の実施形態に係る金型を用いる場合においても、金型80は、発泡樹脂成形品90の本体部91を成形するための本体部成形部80cと、本体部91の表面に立設されるリブ部95を成形するためのリブ部成形部80bとを有し、リブ部成形部80bは、リブ部95の立設方向に対してアンダーカット状に形成されるリブ部95を成形するように形成され、金型80は、本体部91とリブ部95とを有する発泡樹脂成形品90を成形した後に発泡樹脂成形品90を取り出す際に、リブ部成形部80bにリブ部95を保持した状態でリブ部95の立設方向にリブ部95と本体部91とを離間させることにより、リブ部95に連続する本体部91のスキン層92を剥離して本体部91の発泡層93を露出させるように構成されている。
【0092】
これにより、比較的簡単な構成を有する金型80を用い、発泡樹脂成形品90のスキン層92の一部を剥離して発泡層93を露出させることができ、発泡樹脂成形品90の強度低下を抑制しつつスキン層92の一部を剥離して発泡層93を露出させた発泡樹脂成形品90を成形することができる。
【0093】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、本発明によれば、発泡樹脂成形品の強度低下を抑制しつつスキン層の一部を剥離して発泡層を露出させた発泡樹脂成形品を成形することができる発泡樹脂成形品成形用の金型構造を提供することが可能となるから、樹脂成形の技術分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0095】
10、50、80、110 金型
10a、50a、80a、110a キャビティ
10b、50b、80b リブ部成形部
10c、50c、80c 本体部成形部
31 発泡性樹脂
40、70、90、100 発泡樹脂成形品
41、71、91、101 本体部
42、72、92、102 スキン層
43、73、93、103 発泡層
45、75、95、105 リブ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂成形品を成形するためのキャビティを有するとともに該キャビティの容積が拡大可能に構成された金型を備え、溶融状態の発泡性樹脂を該キャビティに充填した後に該キャビティの容積を拡大することにより表面層であるスキン層と該スキン層の内側に設けられる発泡層とを有する発泡樹脂成形品を成形し、その後に前記スキン層の一部を剥離して前記発泡層を露出させるようにした発泡樹脂成形品成形用の金型構造であって、
前記金型は、発泡樹脂成形品の本体部を成形するための本体部成形部と、前記本体部の表面に立設されるリブ部を成形するためのリブ部成形部とを有し、該リブ部成形部は、前記リブ部の立設方向に対してアンダーカット状に形成される前記リブ部を成形するように形成され、
前記金型は、前記本体部と前記リブ部とを有する発泡樹脂成形品を成形した後に該発泡樹脂成形品を取り出す際に、前記リブ部成形部に前記リブ部を保持した状態で前記リブ部の立設方向に前記リブ部と前記本体部とを離間させることにより、前記リブ部に連続する前記本体部のスキン層を剥離して前記本体部の発泡層を露出させるように構成されている、
ことを特徴とする発泡樹脂成形品成形用の金型構造。
【請求項2】
前記金型は、前記本体部成形部から前記発泡樹脂成形品の本体部を突出させる突出部材を備え、前記発泡樹脂成形品を取り出す際に、前記リブ部成形部に前記リブ部を保持した状態で前記突出部材によって前記本体部成形部から前記本体部を突出させて前記リブ部と前記本体部とを離間させるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂成形品成形用の金型構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−18187(P2013−18187A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153028(P2011−153028)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】