発熱体ユニット及び加熱装置
【課題】本発明は、被加熱体を所望の配熱分布で、且つ高温度に加熱することができる効率の高い熱源としての発熱体ユニット及び加熱装置を、安全性及び信頼性が高く、容易に製造することができる構成とすることを目的とする。
【解決手段】発熱体ユニットは、炭素系物質を含む材料によりフィルムシート素材で形成され、2次元的等方向性の熱伝導を有する帯状の発熱体2を容器1内に封入し、発熱体2の両端に掛止受部2cが形成して、電力供給部に設けられた掛止部が発熱体2の掛止受部2cと係合して、発熱体2が容器1内の所望位置に確実に張設されるよう構成されている。
【解決手段】発熱体ユニットは、炭素系物質を含む材料によりフィルムシート素材で形成され、2次元的等方向性の熱伝導を有する帯状の発熱体2を容器1内に封入し、発熱体2の両端に掛止受部2cが形成して、電力供給部に設けられた掛止部が発熱体2の掛止受部2cと係合して、発熱体2が容器1内の所望位置に確実に張設されるよう構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源として使用される発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置に関し、特に、炭素系物質を主成分としてシート状に形成された発熱体を有する発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置に関する。本発明に係る加熱装置としては、例えば複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子装置、及び電気暖房機器、調理機器、乾燥機等の電気機器等の熱源を必要とする各種機器が含まれる。
【背景技術】
【0002】
長尺形状の熱源となる従来の発熱体ユニットには、円筒状のガラス管内部に細長いコイル状のタングステン線、又は棒状若しくは板状の炭素系焼結体が発熱体として封入されて構成されたものがあった。最近、これらの発熱体に代わって、被加熱体をより均一に、且つ更に高温度に加熱することができる汎用性の高い発熱体ユニットとして、炭素繊維をシート状(帯状)に編み込んで形成した発熱体を用いたものが提供されている。
【0003】
発熱体ユニットにおいて、ガラス管内部に収納される発熱体の両端部分には、電源を供給するための部材(電力供給部材)が取り付けられており、この電力供給部材は発熱体に対して確実に装着されるとともに、効率高く電力供給できるように構成することが必要である。また、発熱体ユニットにおける発熱体と電力供給部材は、細く破損しやすいガラス管の内部の所定位置に配置され封入される構成であるため、発熱体ユニットの製造においては、発熱体と電力供給部材を容易に、且つ確実にガラス管内部に組み込むことができる、作業性の優れた構造を有することが必要である。更に、熱源として使用される発熱体ユニットにおいては、安全性が高く、長期間の使用に耐える信頼性の高い装置であることが絶対的な条件である。
【特許文献1】特開2004−193130号公報
【特許文献2】特開2006−040898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
炭素繊維をシート状(帯状)に編み込んで形成した発熱体を用いた従来の発熱体ユニットにおいては、発熱体の両端部分を貴金属で被覆し、その被覆部分を金属スリーブで覆い、金属スリーブと被覆部分とを金属ロウによりロウ付けしたものがあった(特許文献1参照。)。このような金属ロウにより発熱体と金属スリーブを溶着する方法は、発熱体が高温度(例えば、1100℃)となる発熱体ユニットにおいて、発熱体からの熱伝導によりロウ付け部分が溶融してしまい、場合によっては発熱体が外れるという安全性の点で大きな問題があった。
【0005】
また、従来の発熱体ユニットにおいては、細長いシート状の発熱体の両端部分に電力供給部材を圧着した構成ものがあった(特許文献2参照。)。このように構成された従来の発熱体ユニットにおいては、発熱体として複数の炭素繊維を樹脂によりシート状に添着して形成したものが用いられていた。このように形成された従来の発熱体ユニットにおけるシート状の発熱体は、その表面が滑らかであるため、電力供給部材が強い挟着力を有しない場合には、発熱体が電力供給部材から脱落するおそれがあり、信頼性に欠けるという問題があった。
【0006】
本発明者らは、従来用いられていた炭素繊維を編み込んだシート状の発熱体、及び編み込んだ炭素繊維に樹脂を添着して焼成した発熱体とは、材料及び製造方法において全く異なる新たなフィルムシート状の材料を発熱材料として発熱体に適用し、新たな熱源としての発熱体ユニットの開発に取り組んできた。そのような発熱体ユニットに用いる発熱体に適用しようとする新たなフィルムシート状の材料は、従来の発熱体の表面より更に滑らかな表面を有し、且つ柔軟性を持っているため、従来の発熱体ユニットに用いられていた電力供給部材では新しい発熱体を確実に保持することができず、従来の発熱体ユニットの構成をそのまま新しい発熱体ユニットに適用すると安全性及び信頼性の点で問題があった。
【0007】
本発明は、被加熱体を所望の配熱分布で加熱でき、且つ高温度に効率高く加熱することができる発熱体ユニット及び加熱装置を、安全性及び信頼性が高く、容易に製造することができる構成とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る第1の観点の発熱体ユニットは、
炭素系物質を含む材料によりフィルムシートで形成され、2次元的等方向性の熱伝導を有する帯状の発熱体、
前記発熱体の両端を挟む接触面を有して対向して配置された第1の保持部と第2の保持部を持つ導電性材料により形成された保持具と、前記保持具と電気的に接続された内部リード線部とを有し、前記発熱体における対向する両端に電力を供給する電力供給部、及び
前記発熱体と前記電力供給部の一部を内包する容器、を具備する発熱体ユニットであって、
前記発熱体の両端に形成された掛止受部が、前記電力供給部に形成された掛止部と係合するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第1の観点の発熱体ユニットは、被加熱体を所望の配熱分布で、且つ高温度で効率高く加熱することができ、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源となり、製造の容易な構成となる。
【0009】
本発明に係る第2の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1の観点の前記発熱体の掛止受部が貫通孔で構成され、前記発熱体の両端を挟む前記第1の保持部と前記第2の保持部における前記掛止受部と対応する位置に貫通孔が形成され、前記内部リード線部における発熱体側端部に形成された掛止部が前記発熱体の前記掛止受部、前記第1の保持部及び前記第2の保持部の各貫通孔を貫通して係合するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第2の観点の発熱体ユニットは、内部リード線部が発熱体を確実に保持することができ、安全性及び信頼性の高い熱源となる。
【0010】
本発明に係る第3の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1の観点の前記発熱体の掛止受部が貫通孔で構成され、前記発熱体の両端を挟む前記保持具の前記第1の保持部と前記第2の保持部の一方における前記掛止受部と対応する位置に貫通孔が形成され、前記保持具の他方における前記掛止受部と対応する位置に突起が形成されており、前記保持具における前記突起が前記保持具の貫通孔を前記発熱体の前記掛止受部とともに貫通して係合するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第3の観点の発熱体ユニットは、保持具が発熱体を確実に保持することができ、安全性及び信頼性が高く、且つ製造が容易な構成となる。
【0011】
本発明に係る第4の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第2の観点の前記内部リード線部の掛止部が発熱体側端部を屈曲して形成されており、前記第1の保持部に形成された貫通孔と前記第2の保持部に形成された貫通孔において、前記内部リード線部の前記掛止部の屈曲部分が配置される前記保持具における一方の貫通孔が、前記掛止部の先端部分が配置される他方の貫通孔より大きく形成されている。このように構成された本発明に係る第4の観点の発熱体ユニットは、内部リード線部を確実に保持具に装着することができ、製造が容易で信頼性及び安全性の高い構成となる。
【0012】
本発明に係る第5の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第2又は第4の観点の前記第1の保持部又は前記第2の保持部の一方において、前記電力供給部の掛止部と係合する貫通孔と異なる位置に保持孔が形成されており、前記保持孔を前記内部リード線部が貫通して、前記内部リード線部が前記保持具を保持するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第5の観点の発熱体ユニットは、内部リード線部を確実に、且つ容易に保持具に装着することができ、製造が容易で信頼性及び安全性の高い構成となる。
【0013】
本発明に係る第6の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第2、第4又は第5の観点の前記内部リード線部の掛止部が発熱体側端部を屈曲して形成されており、前記掛止部が前記保持具の貫通孔に挿入された状態において、前記掛止部の先端部分に脱落防止手段が施されている。このように構成された本発明に係る第6の観点の発熱体ユニットは、内部リード線部に脱落防止手段が施されているため、信頼性及び安全性の高い構成となる。
【0014】
本発明に係る第7の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1の観点の前記発熱体の両端に形成された掛止受部が、当該発熱体の幅方向の両端縁の少なくとも一方の端縁に切り欠きで形成され、前記電力供給部の掛止部が、前記保持具における前記掛止受部と対応する位置に前記発熱体と接触する面に直交して前記発熱体の長手方向に延設された側壁部で形成されている。このように構成された本発明に係る第7の観点の発熱体ユニットは、発熱体を電力供給部に確実に、且つ容易に装着することができ、製造が容易で信頼性及び安全性の高い構成となる。
【0015】
本発明に係る第8の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第7の観点の前記保持具の掛止部としての前記側壁部が前記第1の保持部又は前記第2の保持部の一方に形成され、当該側壁部の突出端部が他方の保持部を回り込んで握着するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第8の観点の発熱体ユニットは、発熱体を保持具に容易に、且つ確実に装着することができ、製造が容易で信頼性及び安全性の高い構成となる。
【0016】
本発明に係る第9の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1乃至第8の観点の前記第1の保持部と前記第2の保持部が1枚の材料を屈曲させて前記発熱体の端部を挟むよう構成されている。このように構成された本発明に係る第9の観点の発熱体ユニットは、発熱体を装着する保持具を容易に製造することができ、信頼性及び安全性が高く、製造コストの抑制された構成となる。
【0017】
本発明に係る第10の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1乃至第9の観点の前記発熱体は、炭素系物質を含む材料により形成された層間構造を有している。このように構成された本発明に係る第10の観点の発熱体ユニットは、被加熱体を均一に、且つ高温度に加熱することができ、効率の高い熱源となる。
【0018】
本発明に係る第11の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1乃至第10の観点の前記容器は、耐熱性を有するガラス管又はセラミックス管により形成され、不活性ガスが充填されて前記電力供給部において封止されている。このように構成された本発明に係る第11の観点の発熱体ユニットは、高温度に加熱することができる効率の高い熱源となる。
【0019】
本発明に係る第12の観点の加熱装置は、前記第1乃至第11の観点の発熱体ユニットを熱源として装備しており、被加熱体を均一に、且つ高温度に加熱することができ、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い加熱装置となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源となる発熱体ユニットを構成することができるとともに、作業効率が高く優れた生産性を有する発熱体ユニットを提供することができる。また、本発明によれば、上記の効果を有する発熱体ユニットが熱源として加熱装置に組み込まれているため、安全性及び信頼性が高く、効率の高い加熱装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置の好適な実施の形態について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施の形態1)
本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットについて図1乃至図6を用いて説明する。図1は実施の形態1の発熱体ユニットの構造を示す平面図である。図1において、当該発熱体ユニットが長尺形状であるため、その中間部分を破断して省略し、両端部分近傍を示している。図2は図1に示した発熱体ユニットの正面図である。
【0023】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、耐熱性を有する細長い容器1の内部にフィルムシート状で帯状の発熱体2が配置されている。帯状の発熱体2は容器1の長手方向に沿って延設されている。実施の形態1の発熱ユニットにおいては、容器1が透明な石英ガラス管により形成されており、石英ガラス管の両端部分が平板状に溶着されて容器1が構成されている。発熱体2を収容する容器内部には、不活性ガスとしてのアルゴンガスが封入されている。容器内部に封入可能な不活性ガスとしては、アルゴンガスに限定されるものではなくアルゴンガスの他に、窒素ガス、又はアルゴンガスと窒素ガス、アルゴンガスとキセノンガス、アルゴンガスとクリプトンガス等の混合ガス等を用いても実施の形態1の発熱体ユニットと同様の効果を奏し、封入すべき不活性ガスとしては目的に応じ適宜選択することが可能である。容器1の内部に不活性ガスを封入するのは、高温度で使用した際において、容器内部の炭素系物質である発熱体2の酸化を防止するためである。なお、容器1の材料としては、耐熱性、絶縁性及び熱透過性を有する材料であれば用いることができ、例えば石英ガラスの他に、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス等のガラス材、セラミック材等から適宜選択される。
【0024】
図1及び図2に示すように、実施の形態1の発熱体ユニットは、容器1と、熱輻射膜体としての細長い帯状の発熱体2と、この発熱体2を容器内の所定位置に保持するために発熱体2の長手方向の両端部分に設けられ、発熱体2に電力を供給するための第1及び第2の電力供給部10a,10bと、を備えている。
【0025】
発熱体2の両端に設けられた第1及び第2の電力供給部10a,10bは、発熱体2の両端に取り付けられた保持具3を含んでいる。保持具3において、一方の保持具3(図1においては左側の保持具3)には第1の内部リード線部11aが取り付けられており、他方の保持具3(図1においては右側の保持具3)には第2の内部リード線部11bが取り付けられている。第1の内部リード線部11a及び第2の内部リード線部11bのそれぞれは、容器1の両端部分の封着部分(溶着部分)に埋設されたモリブデン箔8を介して、容器1の両端から容器外部に導出する外部リード線9と電気的に接続されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、第1の電力供給部10aは、保持具3、第1の内部リード線部11a、モリブデン箔8、及び外部リード線9を有して構成されている。一方、第2の電力供給部10bは、保持具3、第2の内部リード線部11b、モリブデン箔8、及び外部リード線9を有して構成されている。
【0027】
第1の内部リード線部11aは、保持具3が装着された発熱体2の一端(図1における左端)に接続された固定部5と、螺旋状に形成され長手方向に弾性を有するスプリング部6と、モリブデン箔8に接続された内部リード線7とにより構成され、固定部5とスプリング部6と内部リード線7とは一本の線材、例えばモリブデン線、により一体的に形成されている。
【0028】
また、第2の内部リード線部11bは、保持具3が装着された発熱体2の他端(図1における右端)に接続された固定部5と、発熱体2を容器内の所定位置に保持するための位置規制部4と、モリブデン箔8に接続された内部リード線7とにより構成され、固定部5と位置規制部4と内部リード線7とは一本の線材、例えばモリブデン線、により一体的に形成されている。
実施の形態1における第1の内部リード線部11a及び第2の内部リード線部11bは、モリブデン線により形成された例で説明するが、タングステン、ニッケル、ステンレス等を材料とした弾性を有する金属線(丸棒形状、平板形状)を用いて形成してもよい。また、実施の形態1における第1の内部リード線部11a及び第2の内部リード線部11bは、それぞれが一体的な線材により構成した例で説明するが、それぞれを機能別に別部材で形成して、それぞれを接合して構成することも可能である。
【0029】
以上のように、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、保持具3、モリブデン箔8、外部リード線9及び第1の内部リード線部11aにより構成された第1の電力供給部10aと、保持具3、モリブデン箔8、外部リード線9及び第2の内部リード線部11bにより構成された第2の電力供給部10bにより、発熱体2が容器内に張設されている。
【0030】
なお、第1の内部リード線部11aにおけるスプリング部6は発熱体2に対して張力を与えるものであり、発熱体2が常に容器内の所望の位置で直線的に配置されるよう構成されている。実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、スプリング部6は発熱体2を容器内の所定の位置に配置するための位置規制部材としての機能も有する。スプリング部6の外周部分が容器1の内周面に近接した位置にあり、スプリング部6が配設されることにより、発熱体2は容器1に接触しない位置に確実に配置される。実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、発熱体2が容器1の長手方向に延びる略中心軸上に配置され、容器1に接触しないよう配置されている。また、内部リード線7と固定部5との間にスプリング部6を設けることにより、発熱体2における膨張収縮による変化を吸収することが可能となる。
【0031】
発熱体2における膨張収縮による変化に対し、発熱体2の材料自体が持つ伸縮率又は発熱体2の形状による伸縮率が大きい場合には、発熱体2の両側にあるそれぞれの内部リード線部11a,11bにはスプリング部6を設ける必要がない。
【0032】
なお、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、発熱体2の両端に異なる構成の第1の内部リード線部11a及び第2の内部リード線部11bを設けた例で説明するが、本発明の発熱体ユニットでは発熱体2の両端に第1の内部リード線部11aと同様、若しくは第2の内部リード線部11bと同様の構成部材を配設してもよく、その発熱体ユニットが用いられる加熱装置の製品仕様及び用途等に応じて適宜変更される。発熱体2のいずれか一端側にスプリング部6を有する第1の内部リード線部11aを配設する構成とすれば、発熱体2の位置規制及び膨張収縮による変化の吸収は可能であるが、発熱体2の両側に第1の内部リード線部11aを配設する構成とすれば発熱体2の両端側において位置規制及び変化吸収を行うことができる構成となり、さらなる効果が期待できる。
【0033】
実施の形態1の発熱体ユニットの長手方向が鉛直方向となるように加熱装置に当該発熱体ユニットが組み込まれた場合、スプリング部6が発熱体2より上側に配置されると発熱体2の温度でスプリング部6が伸張されて加熱され、弾性限度を超えて熱膨張を吸収できなくなるおそれがある。このため、スプリング部6を発熱体2の下側に配置して圧縮された状態で使用する方が好ましい。
【0034】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、第1の内部リード線部11aの固定部5、スプリング部6及び内部リード線7、並びに第2の内部リード線部11bの固定部5、位置規制部4及び内部リード線7を一体的に構成した例で説明したが、各々を別部材で構成してそれぞれが電気的に接合されていれば同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0035】
図3から図5は実施の形態1の発熱体ユニットにおける発熱体2の両端部分に装着される保持具3及び固定部5等を示す図である。図3は保持具3等の平面図であり、図4は保持具3等の正面図であり、図5は図3のV−V線による断面図である。
図6は、折り曲げられて作製された保持具3を展開した図を、その中央に示しており、その展開した保持具3の他に、その保持具3に装着される発熱体2(図6の保持具3の上側)と、発熱体2を掛け止めされる第1の内部リード線部11aの固定部5(図6の保持具3の下側)とを示している。
【0036】
実施の形態1の発熱体ユニットに用いられている保持具3は導電性を有する金属材料、例えばモリブデンで形成された平板な板材を折り曲げて構成されたものである。図3から図6に示すように、発熱体2の端部である発熱体保持部2a(図6参照)は折り曲げられた保持具3の間に挟まれるように配置されており、発熱体2の発熱体保持部2aは固定部5のL字形状に屈曲した突出端部である掛止部5aと係合するよう構成されている。また、保持具3は固定部5とスポット溶接されて固定されている。実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、発熱体2の長手方向と平行な中心軸上の2箇所でスポット溶接されている。
【0037】
以下、図6の中央部分に示した展開された保持具3の図を用いて、保持具3の構成について詳細に説明する。保持具3は、展開された保持具3おける破線A(図6参照)の位置で略180度に折り曲げられる。また、展開された保持具3の破線B(図6参照)の2箇所の位置で、破線Aの位置で折り曲げられた方向と同じ方向にその端部側が略90度に折り曲げられる。この結果、保持具3には、発熱体2の端部である発熱体保持部2aを挟持するための第1の保持部3a(図4に示す保持具3における下側平坦部分)と、第2の保持部3b(図4に示す保持具3における上側平坦部分)と、第1の保持部3aにおける発熱体2の長手方向に平行な対向する辺(図3に示した保持具3においては、第1の保持部3aの上下位置)から立ち上がる2つの側壁部3c,3cが形成される。
【0038】
図6に示した展開された保持具3における破線Aの略180度の屈曲位置は、保持具3の金属材料であるモリブデン板を圧延したときの圧延方向(いわゆるロール目方向)と直交する方向に設定されている。このように設定することにより、保持具3を形成するため破線Aの位置で略180度屈曲させても、亀裂や破断等の事故の発生を防止することができる。
【0039】
また、図6に示す展開された保持具3において、第1の保持部3aと第2の保持部3bにおける発熱体2が導出する側にある破線Cの位置で端部側の対向面が互いに離れる方向に湾曲されて、導出部3f,3fが形成されている。このように湾曲した導出部3f,3fを形成することにより、保持具3に装着された発熱体2の導出端部が保持具3との接触により損傷されることが防止される。また、保持具3の導出部3f,3fを湾曲させることにより、発熱体2における振動、熱伸縮サイクル、熱ストレスに耐えるように、保持具3の強度を高めることが可能となる。なお、実施の形態1においては、導出部3f,3fを湾曲した曲面で構成した例で説明したが、斜面で構成してもよく、保持具3における発熱体2を導出する端部が広がり、発熱体2と接触しない形状であればよい。このような導出部3f,3fの斜面形状は、プレス加工時等において発生するバリを広がる方向となるよう加工して用いることも可能であり、若しくは研削加工により形成してもよい。
【0040】
図6に示すように、保持具3において、第1の保持部3aには貫通孔である第1の係合孔3dが形成されており、第2の保持部3bにも貫通孔である第2の係合孔3eが形成されている。また、図6に示す展開された保持具3の略中央部分において破線Aで示す折り曲げ部分には略円弧状の切り欠き3gが形成されている。この切り欠き3gの形成により、第1の保持部3aから延設された半円状の舌部3hが形成されている。上記のように折り曲げられて構成された保持具3において、第1の保持部3aに形成された第1の係合孔3dと、第2の保持部3bに形成された第2の係合孔3eは、対応する位置となり、保持具3はその略中央部分に貫通孔を有する構造となる。
【0041】
発熱体2の端部である発熱体保持部2aは、上記のように構成された保持具3の第1の保持部3aと第2の保持部3bとにより挟まれており、保持具3の貫通孔と対応する位置に貫通孔である掛止受部2cが形成されている。この結果、発熱体保持部2aを挟んだ状態の保持具3においては、その略中央部分に貫通孔が形成された状態となる。このような状態において、発熱体2の両端にある発熱体保持部2aに形成された貫通孔である掛止受部2cが固定部5の端部である掛止部5aと掛け止めされて、発熱体2は容器内の所定位置に張設される。
【0042】
図6に示すように、発熱体2は、保持具3により保持される発熱体保持部2aと、長手方向に直交する複数の溝を有する溝パターンが形成されて蛇行した電流径路が形成され発熱する発熱部2bと、発熱体保持部2aと発熱部2bとの間の領域である放熱部2fと、を有する。前述のように、発熱体保持部2aに形成された貫通孔である掛止部2cは、発熱体保持部2aが第1の保持部3aと第2の保持部3bにより挟まれた状態において第1の保持部3aの第1の係合孔3d及び第2の保持部3bの第2の係合孔3eと対応した位置に配置される。この結果、発熱体2を挟んだ状態の保持具3の略中央部分には貫通孔が形成されるが、この貫通孔を構成する第1の係合孔3d、第2の係合孔3e及び掛止受部2cの各直径は次の関係を有する。
第1の係合孔3dの直径は第2の係合孔3eの直径より大きく、発熱体2の掛止受部2cの直径は第2の係合孔3eの直径と同等か若しくは小さく形成されている(第1の係合孔3dの直径>第2の係合孔3eの直径≧発熱体2の掛止受部2cの直径)。
【0043】
図4及び図5に示すように、内部リード線7と一体的に線材で形成された固定部5の端部である掛止部5aは、内部リード線7から固定部5に繋がる延設方向(発熱体2の長手方向)に対して略直交する方向に屈曲して形成されている、そのため、固定部5はその先端が屈曲したL字形状を有している。固定部5の掛止部5aは、その直径が前述の保持具3に形成されている第1の係合孔3d及び第2の係合孔3eの直径より小さく形成されており、且つ発熱体2の掛止受部2cの直径より多少小さく形成されている。このため、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、固定部5の掛止部5aが、発熱体2を挟んだ保持具3を貫通して、発熱体保持部2aの掛止受部2cと係合する構成となる(第1の係合孔3dの直径>第2の係合孔3eの直径≧発熱体2の掛止受部2cの直径>固定部5の掛止部5aの直径)。
【0044】
なお、固定部5の掛止部5aの突出長さ(図5において符号L5で示す長さ)は、少なくとも保持具3における第1の保持部3aと第2の保持部3bの厚み、及び発熱体2の厚みを加算した長さより長く設定されており、掛止部5aが第1の保持部3aと第2の保持部3bとの間にある発熱体保持部2aの掛止受部2cと確実に係合する長さに設定されている。
【0045】
上記のように、屈曲した固定部5の掛止部5aが発熱体2の掛止受部2cと係合した状態において、第1の係合孔3dの直径が第2の係合孔3eの直径より大きく形成されているため、掛止部5aにおける基端側の屈曲部分(いわゆるアール部分)の一部が第1の係合孔3dの内部に配置された状態となる。この結果、固定部5の掛止部5aは、短い突出長さ(L5)で第1の保持部3aの第1の係合孔3dと、発熱体2の掛止受部2cと、第2の保持部3bの第2の係合孔3eとを確実に貫通するとともに、固定部5と第1の保持部3aがぐらつくことがない確実な接触状態となる。
【0046】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいて、上記のように固定部5の掛止部5aと発熱体2は、掛け止めした係合状態であり、掛止部5aと保持具3の第1の係合孔3dと第2の係合孔3eとはそれぞれを貫通した係止状態である。保持具3の第1の保持部3aと第2の保持部3bは発熱体2の発熱体保持部2aと面接触しており、発熱体2と保持具3は抵抗の少ない電気的接続状態である。さらに、保持具3と固定部5との電気的接続状態及び機械的接続状態を確実なものとするために、保持具3の舌部3hと固定部5とは少なくとも1箇所のスポット溶接により固着されている。図3から図5において、符号Xにて示す位置がスポット溶接位置である。スポット溶接位置は、発熱体2と掛止部5aとの係合位置と同じように発熱体2の長手方向と平行な中心軸上にある。このように、固定部5は保持具3に固定され、固定部5が保持具3に対して遊動することなく確実に接触した状態となる。また、このように保持具3と固定部5が固定されているため、保持具3の回転、ねじれ、及び歪みが防止されている。
【0047】
なお、上記の説明においては、発熱体2の一方の端部と第1の電力供給部10aとの固定方法について説明したが、実施の形態1の発熱体ユニットにおいて発熱体2の他方の端部と第2の電力供給部10bとの固定方法は同じ方法により固定されている。このため、発熱体2の他方の端部と第2の電力供給部10bとの固定方法についての説明は省略する。
【0048】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいて、保持具3の平面部分が発熱体2の発熱体保持部2aを挟持した構成で説明したが、保持具3の平面部分を曲面又は凹凸面に形成し挟着力を高めて発熱体保持部2aを挟持する構成としてもよい。
また、実施の形態1の発熱体ユニットにおける保持具3は、第1の保持部3aと第2の保持部3bを1枚の板材で形成した例で説明したが、第1の保持部3aと第2の保持部3bは別部材で形成してそれぞれを接合する構成としてもよく、発熱体2の発熱体保持部2aを両側から挟み、電気的接続状態が確保される構造であればよい。
【0049】
本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットにおいて用いた発熱体2は、炭素系物質を主成分とし厚み方向において各層が互いに空隙をなすように一部が固着された積層構造で、優れた二次元的等方向性の熱伝導を有しており、熱伝導率が200W/m・K以上を有するフィルムシート状の材料で形成されている。したがって、帯状の発熱体2は温度ムラがなく均一に発熱する熱源となる。
【0050】
発熱体2の材料であるフィルムシート素材は、高分子フィルム又はフィラーを添加した高分子フィルムを高温度、例えば2400℃以上の雰囲気中にて熱処理し、焼成してグラファイト化した耐熱性を有する高配向性のグラファイトフィルムシートであり、面方向の熱伝導率が200W/m・K以上であり、600から950W/m・Kの特性を有する。このように、実施の形態1において用いた発熱体2は、面方向の熱伝導率が600から950W/m・Kという優れた二次元的等方向性の熱伝導を有する。
【0051】
ここで、二次元的等方向性の熱伝導とは、直交するX軸とY軸で設定される面における、あらゆる方向の熱伝導率が略同じであることを示すものである。したがって、本発明において二次元的等方向性とは、例えば炭素繊維が同じ方向に並設して形成された発熱体における炭素繊維方向である1方向(X軸方向)、又は炭素繊維をクロスに編んで形成された発熱体における炭素繊維方向である2方向(X軸方向とY軸方向)だけを指すものではなく、フィルムシート状の発熱体2における面方向において同じ性質を持つことを言う。
【0052】
本発明において用いられる発熱体2の材料であるフィルムシート素材は、積層構造を有し、面方向の層表面が平坦な面、凹凸面或いは波うつ面等の各種の面形状を有しており、対向する各層の間には空隙が形成されている。このフィルムシート素材の積層構造において、各層間に形成される空隙の形成状態のイメージは、複数回(例えば、何十回、何百回)と重ね合わせるように折り曲げてパイ生地を作り、そのパイ生地を焼いて得た、パイの断面形状と類似している。即ち、発熱体2は、炭素系物質を含む材料により形成された複数の膜体が積層されて、積層方向が一部固着された層間構造を有しており、厚み方向に柔軟性を有するフィルムシート素材である。したがって、本発明における発熱体2の材料であるフィルムシート素材は、前述のように、面方向の熱伝導率が略同じである優れた二次元的等方向性の熱伝導を有する材料である。
【0053】
前述のように製造されたフィルムシート素材として用いられる高分子フィルムとしては、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリピロメリットイミド(ピロメリットイミド)、ポリフェニレンイソフタルアミド(フェニレンイソフタルアミド)、ポリフェニレンベンゾイミタゾール(フェニレンベンゾイミタゾール)、ポリフェニレンベンゾビスイミタゾール(フェニレンベンゾビスイミタゾール)、ポリチアゾール、ポリパラフェニレンビニレンのうちから選ばれた少なくとも一種類の高分子フィルムを挙げることができる。また、高分子フィルムに添加されるフィラーとしては、リン酸エステル系、リン酸カルシウム系、ポリエステル系、エポキシ系、ステアリン酸系、トリメリット酸系、酸化金属系、有機錫系、鉛系、アゾ系、ニトロソ系およびスルホニルヒドラジド系の各化合物を挙げることができる。より具体的には、リン酸エステル系化合物として、リン酸トリクレジル、リン酸(トリスイソプロピルフェニル)、トリブチルホスフェ−ト、トリエチルホスフェ−ト、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスブトキシエチルフォスフェート等を挙げることができる。リン酸カルシウム系化合物としては、リン酸二水素カルシウム、リン水素カルシウム、リン酸三カルシウム、等を挙げることができる。また、ポリエステル系化合物としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸などと、グリコール、グリセリン類との反応により得られるポリマー等を挙げることができる。また、ステアリン酸系化合物としては、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル等を挙げることができる。酸化金属系化合物としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛等を挙げることができる。トリメリット酸系化合物としては、ジブチルフマレート、ジエチルフタレート等を挙げることができる。鉛系化合物としては、ステアリン酸鉛、ケイ酸鉛等を挙げることができる。アゾ系化合物としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。ニトロソ系化合物としては、ニトロソペンタメチレンテトラミン等を挙げることができる。スルホニルヒドラジド系化合物としては、p−トルエンスルホニルヒドラジド等を挙げることができる。
【0054】
前記フィルムシート素材を積層し、不活性ガス中において2400℃以上で処理し、グラファイト化の過程で発生するガス処理雰囲気の圧力を調整することにより制御してフィルムシート状の発熱体が製造される。更に、必要に応じて、前記のように製造されたフィルムシート状の発熱体を圧延処理することにより、さらに良質のフィルムシート状の発熱体を得ることができる。このように製造されたフィルムシート状の発熱体を本発明の発熱体ユニットにおける発熱体2として用いる。
【0055】
なお、前記フィラーの添加量は、0.2〜20.0重量%の範囲が適当であり、より好ましくは1.0〜10.0重量%の範囲である。その最適添加量は、高分子の厚さによって異なり、高分子の厚さが薄い場合には添加量が多い方がよく、厚い場合には添加量は少なくてよい。フィラーの役割は熱処理後のフィルムを均一発泡の状態にすることにある。即ち、添加されたフィラーは、加熱中にガスを発生し、このガスの発生した後の空洞が通り道となってフィルム内部からの分解ガスの穏やかな通過を助けるものである。フィラーはこのように均一発泡状態を作り出すのに役立つ。
【0056】
上記のように製造されたフィルムシート素材は、例えばトムソン型やピナクル型の抜き型、ロータリーダイカッタ等の鋭利な刃物、若しくはレーザー加工等により所望の形状に加工される。
【0057】
実施の形態1における発熱体2は、厚み(t)が100μmであり、発熱部2bの幅(W1)が6.0mm(図6参照)であり、発熱体保持部2aの幅(W2)が約5.0mm(図6参照)であり、発熱部2bの長さ(L)が300mm(図1参照)である。なお、発熱体2の長さ、幅及び厚みについては、入力電圧及び発熱温度等により決定されるものであり、当該発熱体ユニットが用いられる熱源としての製品仕様及び用途に応じて適宜変更が可能である。
【0058】
図6に示すように、実施の形態1における発熱体2の発熱部2bには、複数の溝が発熱体2の長手方向に直交する方向に延設された溝パターンが形成されている。発熱部2bに形成されている複数の溝は、発熱部2bにおける電流の流れ方向を規制し、抵抗値を調整するものである。発熱部2bに形成される溝形状としては、その発熱体ユニットが用いられる製品仕様及び用途等に応じて貫通した溝(スリット)や、有底の溝(凹部溝)等がある。また、凹部溝においては、その厚み方向の深さを変更することにより発熱部2bの抵抗値を調整することが可能である。
【0059】
実施の形態1の発熱体2の発熱部2bには、図6に示す溝パターンが繰り返して形成されている。即ち、発熱体2の発熱部2bには、その長手方向と平行な両側縁部分の対向する位置から長手方向と直交して中心側へ延びる端溝2dと、長手方向と直交して発熱部2bの中央部分に形成された中央溝2eと、が形成されている。発熱部2bにおいて対向する端溝2d,2dの中央側の対向端部は、第1の所定距離(図6においてL1で示す距離)を有しており、発熱部2bの中央部分に通電径路を形成している。また、中央溝2eの両端部である縁側端部は、発熱部2bの幅方向の縁部分からそれぞれ同じ第2の所定距離(図6においてL2で示す距離)を有しており、発熱部2bの両側縁部分近傍に通電径路を形成している。さらに、発熱体2の発熱部2bにおいて、端溝2dと中央溝2eとの長手方向の間隔が第3の所定距離(図6においてL3で示す距離)を有しており、端溝2dと中央溝2eとの間に発熱体2の長手方向と直交する方向に流れる電流経路を形成している。
【0060】
実施の形態1の発熱体2において、端溝2dと中央溝2eとの長手方向の間隔である第3の所定距離L3は第2の所定距離L2と同じ距離に設定されており、第1の所定距離L1は第2の所定距離L2及び第3の所定距離L3の2倍に設定されている。このように溝パターンが形成された発熱体2の発熱部2bにおいては、蛇行した電流径路が形成されており、電流の流れに対して直交する断面積が略同じとなり、抵抗値の計算が容易となり、均一した温度分布を形成することができる。なお、発熱体2の面方向の熱伝導率が、例えば600W/m・K以上の特性を有する材料であれば、第2の所定距離L2が第1の所定距離L1の1/2でなくても均一な温度分布(配熱分布)に大きな影響を与えることはない。好ましくは、第2の所定距離L2を第1の所定距離L1の1/2以上に設定することにより、発熱体ユニットに加わる衝撃に対する発熱体2の機械的強度を高めることができる。
【0061】
また、発熱部2bに形成される溝形状のスリットや凹部溝は、当該発熱体ユニットが用いられる製品仕様や用途に応じて適宜選択することにより、発熱部2bの温度分布(配熱パターン)を所望のパターンとすることが可能である。
【0062】
さらに、発熱部2bにおいて、端溝2dと中央溝2eとの長手方向における間隔L3は、発熱体2の長手方向の端部、即ち発熱体保持部2aに近づくほど徐々に広くすることにより、発熱部2bにおける電流径路の抵抗率を徐々に変化させて、発熱部2bの温度分布(配熱パターン)を中央部分が高熱となるように変更することが可能となる。勿論、当該発熱体ユニットが用いられる製品仕様や用途に応じて上記間隔L1、L2及びL3を適宜変更することにより、所望の配熱パターンを有する熱源とすることが可能である。
【0063】
実施の形態1における発熱体2は、発熱体保持部2aの幅(W2)が発熱部2bの幅(W1)より狭く形成されている。そして、発熱体保持部2aから発熱部2bへ繋がる領域が徐々に広くなるよう形成され、この領域に放熱機能を有する放熱部2fが形成されている。この放熱部2fには前述のような溝は形成されておらず、広い電流径路が形成されている。この結果、放熱部2fにおいては、発熱部2bから伝導した熱が放熱されて、発熱体2における熱ストレスの低減及び長寿命化が図られている。なお、発熱体保持部2aから発熱部2bへ繋がる放熱部2fの縁形状は、集中荷重が加わり破損を防止するために曲面形状で構成することが好ましい。
また、製品仕様により発熱部2bの温度が高い場合、発熱部2bから発熱体保持部2aへの放熱部2fにおける幅を徐々に狭くすることにより、放熱部2fに温度勾配を設けて発熱体保持部2aへの熱ストレスを低減することが可能となる。
さらに、発熱体2において、第1の所定距離L1及び第2の所定距離L2の長さを両側の発熱体保持部2aに近づくに従い徐々に長くすることにより、発熱部2bに温度勾配を設けることができるとともに、耐衝撃性及び耐振動性を有する機械的強度の強い構造となる。
【0064】
上記のように構成された発熱体2において、電流の流れを阻害する複数の溝を有する溝パターンが発熱部2bに形成されているため、発熱部2bの全体形状に規制されずに所望の電流径路を設定できる。この結果、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、製品仕様及び用途に応じて所望の発熱分布を設定することが可能であり、多方面の熱源として利用できる。
【0065】
なお、実施の形態1の発熱体ユニットにおける発熱体2は、プレス加工により帯状に形成して、溝加工したが、レーザーを用いて所望の形状に加工することも可能である。例えば、レーザー加工の一例として、発熱体2の面方向の熱伝導率が200W/m・K以上となるとCO2レーザー(波長10600nm)等の熱加工作用を主体としたレーザー加工を用いた場合には、発熱体2に熱を奪われてしまい、加工できないという問題がある。しかしながら、非熱加工作用を主体とした波長1064から380nmのレーザー加工、例えば、呼称1064nmの短波長レーザー加工を用いることにより所望の形状を精度高く加工することが可能となる。
【0066】
特に、実施の形態1における発熱体2を形成する場合には、呼称532nmの第二高調波レーザー加工を用いることにより、高精度に加工できることを発明者らは確認した。実施の形態1における発熱体2の材料は、フィルムシート素材であり、高分子フィルム又はフィラーを添加した高分子フィルムを高温度、例えば2400℃以上の雰囲気中にて熱処理し、焼成してグラファイト化した耐熱性を有する高配向性のグラファイトフィルムシートを材料としている。そして、発熱体2は、面方向の熱伝導率が600から950W/m・Kの特性を有する材料で形成されている。このような材料から、例えば、厚み(t)が100μm、幅(W1)が6.0mm、長さ(L)が300mmの発熱体を加工する場合、又は前述のように発熱部2bに溝(スリット)等の複雑な形状に加工する場合には、呼称532nmの第二高調波レーザー加工を用いることが望ましい。
【0067】
なお、好ましいレーザー加工方法は、発熱体2の材料、即ち面方向の熱伝導率及び形状によって、前述の非熱加工作用を主体としたレーザー加工波長(1064から380nm)を持つ加工方法から適宜選択し得ることは言うまでもない。さらに、上記説明した発熱体2を加工するためのレーザー加工方法は後述の他の実施の形態における発熱体ユニットの発熱体の加工においても採用できることは言うまでもない。
【0068】
以上のように、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、帯状の発熱体2の両端部分が簡単な構成の電力供給部10a,10bにより確実に係合保持されて、発熱体2が容器内の所定位置で電気的接続状態が保持されている。このように、実施の形態1の発熱体ユニットは、発熱体2が電力供給部10a,10bにより容器内の所定位置に確実に保持されているため、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源を構成することができる。また、実施の形態1の発熱体ユニットは、簡単な構成であるため、作業効率が高く優れた生産性を有する熱源を提供することができる。
【0069】
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2の発熱体ユニットについて図7乃至図10を用いて説明する。実施の形態2の発熱体ユニットにおいて、前述の実施の形態1の発熱体ユニットと異なる点は、発熱体2の両端に取り付けられる保持具23の構成である。実施の形態2の発熱体ユニットにおける保持具以外の構成は実施の形態1の発熱体ユニットと同じであるため、以下、実施の形態2における保持具23の構成について詳細に説明する。なお、実施の形態2の発熱体ユニットにおいて、実施の形態1の発熱体ユニットと同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付して、その説明は実施の形態1の説明を適用する。
【0070】
図7は、実施の形態2の発熱体ユニットにおける発熱体2と、その発熱体2の端部である発熱体保持部2aに掛け止めされた固定部5の掛止部5aと、発熱体保持部2aを挟むように取り付けられた保持具23等を示す平面図である。図8は図7に示した保持具23のVIII−VIII線による断面図である。図9は実施の形態2における保持具23の展開図である。
【0071】
実施の形態2の発熱体ユニットに用いられている保持具23は、実施の形態1の保持具3と同様に導電性を有する金属材料、例えばモリブデンで形成された平板な板材を折り曲げて形成されたものである。図7及び図8に示すように、発熱体2の端部である発熱体保持部2aは保持具23の第1の保持部23a及び第2の保持部23bの間に挟まれるように配置される。
なお、実施の形態2の発熱体ユニットにおける保持具23は、第1の保持部23aと第2の保持部23bを1枚の板材で形成した例で説明するが、第1の保持部23aと第2の保持部23bは別部材で形成して、それぞれを接合する構成でもよい。
【0072】
実施の形態2の発熱体ユニットにおいて、実施の形態1の発熱体ユニットと同様に、第1の保持部23aと第2の保持部23bに挟まれた発熱体2の発熱体保持部2aには、固定部5のL字形状に屈曲された突出端部である掛止部5aと係合するよう貫通孔である掛止受部2cが形成されている。
実施の形態2における保持具23には、固定部5を支持するための保持孔23iが形成されている。実施の形態2においては、保持孔23iと固定部5が係合して保持具23が固定部5に支持される構成である。この係合位置は、発熱体2の長手方向に平行な中心軸上に配置されている。
【0073】
以下、図9に示した保持具23の展開図を用いて、保持具23の構成について詳細に説明する。図9に示す展開された保持具23は、破線Aの位置で略180度折り曲げられる。また、図9に示す展開された保持具23の破線Bの位置で、破線Aの位置で折り曲げた方向と反対の方向に略90度折り曲げられる。この結果、保持具23には、発熱体2の発熱体保持部2a(図6参照)を挟持するための第1の保持部23a(図9における保持具23の右側平坦部分)と、第2の保持部23b(図9における保持具23の左側平坦部分)と、略90度に折れ曲がった舌部23h(図8参照)が形成される。第1の保持部23aには第1の係合孔23dが形成され、第2の保持部23bには第2の係合孔23eが形成され、そして舌部23hには保持孔23iが形成されている。第1の係合孔23dと第2の係合孔23eは、前述の実施の形態1における第1の係合孔3dと第2の係合孔3eと同様に、固定部5の掛止部5aが貫通して、掛止部5aが発熱体2の掛止受部2cと係合できるように、対応する位置に形成されている。舌部23hにある保持孔23iは、後述するように固定部5が貫通して固定部5を支持するための保持孔である。
【0074】
なお、図9に示した展開された保持具23における破線Aの屈曲位置は、保持具23の金属材料であるモリブデンを圧延したときの圧延方向(いわゆるロール目方向)と直交する方向に設定されている。このように設定することにより、保持具23は破線Aの位置で亀裂や破断等の事故の発生を防止して、略180度の屈曲が可能である。
【0075】
また、実施の形態2における保持具23には、実施の形態1と同様の目的で、第1の保持部23aと第2の保持部23bにおける破線Cの位置で屈曲して、その端部側の対向面を互いに離れる方向に湾曲させた導出部23f,23fが形成されている。なお、導出部23f,23fは、斜面で構成してもよく、保持具23における発熱体2を導出する端部が広がり、発熱体2と接触しない形状であればよい。
【0076】
図9に示すように、展開された保持具23において、第1の保持部23aには第1の係合孔23dが形成され、第2の保持部23bには第2の係合孔23eが形成され、そして舌部23hには保持孔23iが形成されており、第1の係合孔23d、第2の保持部23b及び保持孔23iは同一直線上に形成されている。図9に示す展開された保持具3において、その略中央部分の破線Aで示す折り曲げ部分には略円弧状に開口した開口部23gが形成されている。この開口部23gの形成により、第1の保持部23aから延設された半円状の舌部23hが形成されている。前述のように、舌部23hには貫通孔である保持孔23iが形成されており、破線Cの位置で略90度に折り曲げられて、保持具23が形成されている。上記のように折り曲げられて形成された保持具23においては、第1の保持部23aに形成された第1の係合孔23dと、第2の保持部23bに形成された第2の係合孔23eが対応する位置となり、保持具23はその略中央部分に貫通孔を有する構造となる。保持具23の貫通孔の位置に発熱体2の発熱体保持部2aの貫通孔である掛止受部2cが配置されて保持具23に挟まれ、発熱体2の掛止受部2cは内部リード線部11aの固定部5の掛止部5aと確実に係合する。
【0077】
実施の形態2における発熱体2は実施の形態1の発熱体2と同じ構成を有しており、発熱体2の材料であるフィルムシート素材が、積層構造を有し、面方向の層表面が平坦な面、凹凸面あるいは波うつ面等の各種の面形状を有しており、対向する各層の間には空隙が形成されている。したがって、実施の形態2における発熱体2においても、面方向の熱伝導率が略同じである優れた二次元的等方向性の熱伝導を有する。
【0078】
実施の形態2における発熱体2においても実施の形態1の発熱体2と同じように、発熱体2の両端にある発熱体保持部2a(図6参照)が保持具23により挟まれる構成である。また、発熱体2における発熱部2bには複数の溝を有する溝パターンが形成されている。発熱体2の発熱体保持部2aには貫通孔である掛止受部2cが形成されており、この掛止受部2cは固定部5の掛止部5aが挿入されて係合状態となるとともに、発熱体保持部2aが保持具23により挟まれて互いに電気的接続状態となる。なお、第1の係合孔23dの直径は、第2の係合孔23eの直径より大きく形成されており、第2の係合孔23eの直径は、発熱体2の掛止受部2cの直径と同等か若しくは大きく形成されている(第1の係合孔3dの直径>第2の係合孔3eの直径≧発熱体2の掛止受部2cの直径)。
【0079】
上記のように保持具23に両端が挟まれた発熱体2に対して第1の内部リード線部11aの固定部5が掛け止めされて係合した状態である。図7及び図8に示したように、内部リード線7と一体的に線材で形成された固定部5の掛止部5aは、その直径が保持具23に形成されている第1の係合孔23d及び第2の係合孔23eの直径より小さく形成されている。このため、固定部5の掛止部5aは、発熱体2の発熱体保持部2aを挟んだ保持具23の第1の係合孔23d及び第2の係合孔23eを貫通して、発熱体2の掛止受部2cと確実に係合している(第1の係合孔23dの直径>第2の係合孔23eの直径≧発熱体の掛止受部2cの直径>掛止部5aの直径)。
【0080】
なお、固定部5の掛止部5aの突出長さ(図8において符号L4で示す長さ)は、少なくとも保持具23の第1の保持部23aと第2の保持部23bの厚み、及び発熱体2の厚みを加算した長さより長く形成されており、掛止部5aが第2の保持部23bの第1の係合孔23dを貫通して、発熱体2の掛止受部2cと確実に係合する長さに設定されている。
【0081】
上記のように、屈曲した固定部5の掛止部5aが発熱体2の掛止受部2cと係合した状態において、第1の係合孔23dの直径が第2の係合孔23eの直径より大きく形成されているため、固定部5の掛止部5aにおける基部である屈曲部分(いわゆるアール部分)の一部が大きな第1の係合孔23dの内部に配置された状態となる。この結果、固定部5は保持具23に対してぐらつくことなく確実に接触し、固定部5の掛止部5aの突出端部が、第2の保持部23bの第2の係合孔23eから突出して、発熱体2の掛止受部2cと掛止部5aは確実な係合状態となる。
【0082】
実施の形態2の発熱体ユニットにおいて、上記のように固定部5はその端部である掛止部5aが発熱体2の掛止受部2cと係合し、且つ保持具23とも係合状態である。固定部5が保持具23を確実に支持し、且つ固定部5が保持具3に対して移動しないように、固定部5は保持具23の舌部23hに形成された保持孔23iを貫通して係合するよう構成されている。保持孔23iの直径は、固定部5の線材の直径より多少大きく形成されているが、固定部5が保持孔23i内で遊動しない大きさである。上記のように、固定部5は保持具23と2箇所において係合状態であるが、これらの係合位置は、発熱体2の長手方向と平行な中心軸上にある。このように、固定部5がその両端部分で保持具23に係合した状態(2点固定状態)であるため、固定部5は保持具23に対して移動することがなく確実に接触して固定された状態となる。このように保持具23と固定部5が固定されているため、保持具23の回転、ねじれ、及び歪みが防止されている。なお、固定部5と保持具23との間は少なくとも1箇所においてスポット溶接して固定してもよい。
なお、図9に示した保持具23においては、固定部5を保持孔23iで支持する構成であるが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、図10の保持具23の展開図に示すように第1の保持部23aから延設された突出端230iを形成して、この突出端230iにより固定部5を支持できる構成も本発明に含まれる。
【0083】
上記の説明においては、発熱体2の一方の端部に対する保持具23と第1の内部リード線部11aの固定部5との固定方法について説明したが、発熱体2の他方の端部に対する保持具23と第2の内部リード線部11bの固定部5との固定方法は同じ方法により固定されるため、ここでは省略する。
【0084】
図11は、実施の形態2の発熱体ユニットにおける発熱体に対する保持具と固定部との別の係合方法を示す断面図である。図11は、前述の図8の断面図に対応する位置における断面図であり、保持具23の構成は同じである。したがって、図11に示す発熱体ユニットにおいては、図7から図9に示した実施の形態2の発熱体ユニットと同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付しており、その説明は前述の説明を適用する。
【0085】
図11に示す構成の発熱体ユニットにおいては、保持具23の貫通孔(第1の係合孔23d及び第2の係合孔23e)及び発熱体2の掛止受部2cを貫通した固定部5の掛止部5aの突出端部に抜け落ち防止手段(脱落防止手段)が施されている。図11に示すように、固定部5の掛止部5aにおける第2の係合孔23eから突出した突出端部は、プレス加工等により塑性変形した状態である。即ち、掛止部5aにおける第2の係合孔23eからの突出端部は、第2の係合孔23eの直径より大きな形状に加工されており、抜け落ち防止手段が施されている。掛止部5aにおける突出端部の塑性変形の方法としては、プレス加工の他に、回転カシメ加工等の機械的な加工方法、若しくは熱、電流、プラズマ等による溶着方法等を用いることができる。また、別の抜け落ち防止手段としては、掛止部5aにおける突出端部を螺刻してナットによるネジ止め方法、又は突出端部に止め輪、例えばC型止め輪、E型止め輪等を装着する係止方法等がある。
なお、抜け落ち防止手段(脱落防止手段)は、前述の実施の形態1の構成における固定部5の端部である掛止部5aに対して施して、発熱体2と固定部5との係合状態をより確実なものとして、抜け止めを防止することもできる。
【0086】
以上のように、実施の形態2の発熱体ユニットにおいては、帯状の発熱体2の両端部分にある発熱体保持部2aが簡単な構成の電力供給部10a,10bに係合して容器内の所望の位置に確実に保持され、且つ電気的な接続状態が確保されている。したがって、本発明の実施の形態2の発熱体ユニットによれば、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源を構成することができるとともに、簡単な構成であるため作業効率が高く優れた生産性を有する発熱体ユニットを提供することができる。
【0087】
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3の発熱体ユニットについて図12乃至図15を用いて説明する。実施の形態3の発熱体ユニットにおいて、前述の実施の形態1の発熱体ユニットと異なる点は、発熱体2の両端に取り付けられる保持具33及び固定部35の構成である。実施の形態3の発熱体ユニットにおける保持具33及び固定部35以外の構成は実施の形態1の発熱体ユニットと同じであるため、以下、実施の形態3における保持具33及び固定部35の構成について詳細に説明する。なお、実施の形態3の説明において、実施の形態1と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0088】
図12は、実施の形態3の発熱体ユニットにおける発熱体2と、その端部である発熱体保持部2aに取り付けられた保持具33等を示す平面図である。図13は図12に示した発熱体2に取り付けられた保持具33等を示す正面図である。
【0089】
実施の形態3の発熱体ユニットに用いられている保持具33は、実施の形態1の保持具3と同様に導電性を有する金属材料、例えばモリブデンで形成された平板な板材を折り曲げて構成されたものである。図12及び図13に示すように、発熱体2の端部である発熱体保持部2aは保持具33の第1の保持部33a及び第2の保持部33bの間に挟まれるように配置されている。
【0090】
なお、実施の形態3の発熱体ユニットにおける保持具33は、第1の保持部33aと第2の保持部33bを1枚の板材で形成した例で説明するが、第1の保持部33aと第2の保持部33bは別部材で形成してそれぞれを接合する構成としてもよい。
発熱体2の発熱体保持部2aを挟着保持する保持具33には、内部リード線7と一体的に線材で形成された固定部35がスポット溶接されている。実施の形態3においては、保持具33と固定部35は、固定部35の両端部近傍の2箇所において溶接されて固定されている。図12及び図13において符号Xで示す位置がスポット溶接位置である。
【0091】
内部リード線7と一体的に形成された直線状の固定部35は、保持具33の中心軸上に配設され固定されている。ここで、保持具33の中心軸とは、当該保持具33に保持される発熱体2の長手方向と平行であり、発熱体2と保持具33とを含む部材の重心を通る軸である。保持具33と固定部35とはスポット溶接されており、スポット溶接位置は保持具33の中心軸上である。
【0092】
実施の形態3における保持具33は、前述の実施の形態1及び実施の形態2の保持具2,23と同様に、平板な板材をその略中央部分で略180度に折り曲げて、第1の保持部33aと第2の保持部33bが形成されている。ただし、実施の形態3における保持具33においては、図12及び図13に示すように、第1の保持部33aの側面部分(第1の保持部33aにおける発熱体2の長手方向の中心軸と平行な側面部分)には短い幅で突出した側壁部33cが対向して形成されている。対向する側壁部33c,33cは、第1の保持部33aの側面部分から第2の保持部33bの方向(図13においては上方向)に略90度折り曲げられて、対向するよう形成されている。このとき、保持具33の側壁部33cは、第2の保持部33bの対応する側面部分に形成された切り欠き部33j内に入り込むよう構成されている。
【0093】
図14は、実施の形態3における保持具33の展開図と、その保持具33により挟持される発熱体2の端部を示している。図14に示すように、展開した保持具33においては、その中央部分にある破線Aの位置で略180度折り曲げられて、第1の保持部33a及び第2の保持部33bが形成される。そして、第1の保持部33aと第2の保持部33bの間に発熱体保持部2aが配置された状態において、第1の保持部33aの破線Bの2箇所の位置で、破線Aの位置で折り曲げられた方向と同じ方向にその端部側が略90度に折り曲げられて対向する側壁部33c,33cが形成される。
【0094】
図14に示すように、保持具33により保持される発熱体保持部2aには、その側面(発熱体2の長手方向に平行な対向する側面)に切り欠き部2g,2gが形成されている。このため、第1の保持部33aの側壁部33c,33cが折り曲げられるとき、側壁部33c,33cは、第2の保持部33bに形成された切り欠き部33j内に入り込むとともに、発熱体2の切り欠き部2gと係合して、保持具33は発熱体保持部2aを確実に係合保持する。このように、側壁部33cが切り欠き部33jに入り込むとき、側壁部33cは発熱体2の切り欠き部2gと係合するため、発熱体2が保持具33から抜けることがなく、発熱体2は確実に保持具33に固定された状態となる。
【0095】
なお、実施の形態3においても、前述の実施の形態1及び実施の形態2と同様に、展開された保持具33においては、第1の保持部33aと第2の保持部33bにおける発熱体2の導出側にある破線Cの位置で導出端部側の対向面が互いに離れる方向に湾曲されて、導出部33f,33fが形成される。
なお、実施の形態3における保持具33は前述の実施の形態1及び実施の形態2における保持具3,23と同じ材料により形成されている。
【0096】
上記のように、実施の形態3の発熱体ユニットにおいては、前述の実施の形態1及び実施の形態2と同様に、簡単な構成で、発熱体2の発熱体保持部2aを挟むための第1の保持部33a、第2の保持部33b、側壁部33c、そして舌部33h(図12参照)が形成されている。舌部33hは第1の保持部33aから内部リード線7の導出方向と同じ方向に延設されており、この舌部33hには内部リード線7に繋がる固定部35が配置され固定される。舌部33hと固定部35は、図12及び図13において符号Xで示す2箇所の位置でスポット溶接されて確実に固定されている。なお、スポット溶接位置は保持具33と固定部35の溶着部分が発熱体2を容器内に張設するための張力を維持できる強度を持つ構成であれば1箇所でも良い。
【0097】
図15は、実施の形態3の発熱体ユニットにおける発熱体2と保持具33との別の係合方法を示す平面図である。図15に示す構成においては、第1の保持部33aの側面部分の幅が短く、突出部分が長い側壁部33kが形成され、この側壁部33kが第2の保持部33bの側部を握持するよう折り曲げられる。このとき、保持具33の側壁部33kは、第2の保持部33bの側面部分に形成された切り欠き部33mと発熱体保持部2aの切り欠き部2g(図14参照)に入り込むよう構成されている。このように、側壁部33kが切り欠き部33mに入り込むとき、側壁部33kは発熱体保持部2aの切り欠き部2gに係合するため、発熱体2が保持具33から抜けることがなく、保持具33は発熱体2を電気的接続状態で確実に保持する。
【0098】
実施の形態3の発熱体ユニットにおいて、上記のように発熱体2は保持具33により確実に保持されており、保持具33と固定部35はスポット溶接されているため、発熱体2は固定部35に対して保持具33を介して確実に電気的に接続状態となる。この結果、実施の形態3の発熱体ユニットにおいては、帯状の発熱体2の両端部分が簡単な構成の保持具33により保持され、且つ保持具33が内部リード線部11a,11bの固定部35により確実に固定されているため、発熱体2と内部リード線部11a,11bの間は電気的接続状態が確保されている。このように、実施の形態3の発熱体ユニットは、発熱体2が保持具33を介して内部リード線部11a,11bに確実に接続固定され、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源となるとともに、簡単な構成であるため、作業効率が高く優れた生産性を有する発熱体ユニットを提供することができる。
【0099】
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4の発熱体ユニットについて図16を用いて説明する。実施の形態4の発熱体ユニットにおいて、前述の実施の形態1の発熱体ユニットと異なる点は、発熱体2の両端に取り付けられる保持具43及び固定部35の構成である。実施の形態4の発熱体ユニットにおける保持具43及び固定部35以外の構成は実施の形態1の発熱体ユニットと同じであるため、以下、実施の形態4における保持具43及び固定部35の構成について詳細に説明する。なお、実施の形態4の説明において、実施の形態1と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0100】
図16は、実施の形態4の発熱体ユニットにおける発熱体2の端部に取り付けられた保持具43及び固定部35等を示しており、発熱体2の長手方向と平行な中心軸における断面図である。
【0101】
実施の形態4の発熱体ユニットに用いられている保持具43は、実施の形態1の保持具3と同様に導電性を有する金属材料、例えばモリブデンで形成された平板な板材を折り曲げ加工とプレス加工により構成されたものである。図16に示すように、発熱体2は折り曲げられた保持具43の第1の保持部43aと第2の保持部43bとの間に挟まれ、かつ第1の保持部43aに形成された突起部43cにより発熱体2の貫通孔である掛止受部2c(図6参照)が貫通されて保持されている。
【0102】
実施の形態4の発熱体ユニットにおける保持具43は、前述の実施の形態1及び実施の形態2の保持具2,23と同様に、平板な板材により形成されているが、第1の保持部43aにはプレス加工等により突起部43cが形成されており、第2の保持部43bには前記の突起部43cに対応する位置に孔43dが形成されている。図16においては、孔43dが貫通孔で示したが、突起部43cが入り込む形状であれば有底孔(凹部孔)でもよい。展開された板材状態の保持具43においては、その略中央部分で略180度に折り曲げられて第1の保持部43aと第2の保持部43bが形成され、第1の保持部43aの突起部43cが発熱体2の係合孔2cを通過して第2の保持部43bの孔43dに入り込み、発熱体2を挟持する。
なお、実施の形態4の発熱体ユニットにおける保持具43は、第1の保持部43aと第2の保持部43bを1枚の板材で形成した例で説明するが、第1の保持部43aと第2の保持部43bは別部材で形成してそれぞれを接合する構成でもよい。
【0103】
実施の形態4の発熱体ユニットにおいては、上記のように保持具43が構成されているため、発熱体2は保持具43から抜けることがなく確実に保持される。また、第1の保持部43aから内部リード線7の導出方向と同じ方向に延設されている舌部43eには、内部リード線7に繋がる固定部35が配置され固定される。この舌部43eと固定部35は、図16において符号Xで示す2箇所の位置でスポット溶接され固定されている。スポット溶接位置は保持具43の中心軸上である。ここで、保持具43の中心軸とは、当該保持具43に保持される発熱体2の長手方向と平行であり、発熱体2と保持具43とを含む部材の重心を通る軸である。なお、スポット溶接位置は保持具43と固定部の溶着部分が発熱体2を容器内に張設するための張力を維持できる構成であれば1箇所でも良い。
実施の形態4の発熱体ユニットにおける保持具43においては、前述の実施の形態1の発熱体ユニットにおける保持具3の導出部3fと同じ目的で、第1の保持部43aと第2の保持部43bに導出部43f,43fがそれぞれ形成されている。
【0104】
実施の形態4の発熱体ユニットにおいて、上記のように発熱体2は保持具43により確実に保持されており、保持具43と固定部35はスポット溶接されているため(2点固定状態)、発熱体2は固定部35に対して保持具43を介して確実に電気的に接続状態となる。この結果、実施の形態4の発熱体ユニットにおいては、帯状の発熱体2の両端部分が簡単な構成の保持具43により保持され、保持具43が内部リード線部11a,11bの固定部35により確実に固定されて、発熱体2と内部リード線部11a,11bとの間の電気的接続状態が確保されている。このように、実施の形態4の発熱体ユニットは、発熱体2が保持具43を介して内部リード線部11a,11bに確実に接続固定され、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源となるとともに、作業効率が高く優れた生産性を有する発熱体ユニットを提供することができる。
【0105】
前述の実施の形態1から実施の形態4においては、保持具3,23,33,43の材料としてモリブデンを用いた例で説明したが、本発明においてはモリブデンに限定されるものではなく、モリブデン以外でも例えばタングステン、ニッケル、ステンレス等の耐熱性を有する材料を製品仕様に応じて適宜選択することができる。
【0106】
(実施の形態5)
本発明に係る実施の形態5における加熱装置ついて図17を用いて以下に説明する。
図17は、前述の実施の形態1から実施の形態4において説明した発熱体ユニットを装備した加熱装置の一例を示す斜視図である。
【0107】
図17において、加熱装置の一例である暖房用の加熱機器51である機器内部には、実施の形態1から実施の形態4で説明した本発明の発熱体ユニットが装備されている。なお、実施の形態5においては発熱体ユニットに符号52を付して説明する。実施の形態5の加熱機器51には、温度コントローラー53、反射板54、保護用のカバー55等の一般的な暖房用の加熱機器に用いられている構成部材が設けられている。
【0108】
このように構成された加熱機器51において、発熱体ユニット52に定格の電圧を印加することにより、所定の電流が発熱体ユニット52内の発熱体2に流れて発熱し、早い立ち上がりで温度が上昇する。実施の形態5の加熱機器51は、温度コントローラー53による温度制御により、ユーザの望む所定の温度に確実に保持される。また、発熱体ユニット52には、平面を有する帯状の発熱体2が熱源として用いられているため、その平面から輻射される熱は指向性を有している。実施の形態5の加熱機器51においては、発熱体ユニット52の発熱体2の平面部分が正面側と背面側に向くよう配設されている。このため、発熱体2の正面側から輻射された熱は、加熱機器51の正面側にある被加熱領域を加熱し、発熱体2の背面側から輻射された熱は反射板54により反射されて被加熱領域を加熱する。なお、発熱体2はフィルムシート素材で帯状に形成されているため、発熱体2の側面側から輻射される熱量は非常に少なく、正面側(背面側)から輻射される熱量に比べて無視できる程小さいものである。このため、実施の形態5の加熱機器51においては、高い指向性を有して、被加熱領域を効率高く加熱することができる。
【0109】
本発明の加熱装置に装備された発熱体ユニット52は、前述の実施の形態1から実施の形態4において説明した発熱体2を有しており、この発熱体2は、面方向の熱伝導率が略同じである優れた二次元的等方向性の熱伝導を有するフィルムシート素材で形成されており、熱容量が小さいため、立ち上がりが早く、且つ突入電流が少ない特性を有している。このため、本発明の発熱体ユニットを熱源として装備した加熱機器は、素早く加熱することが可能となる優れた応答性を有し、所定の領域を効率が高く加熱することができる優れた特徴を有する暖房機器となる。
【0110】
なお、本発明の発熱体ユニットは、暖房機器以外でも多種多様な電子/電気機器の熱源として用いることができ、例えば高温度の発熱体を装備している複写機、ファクシミリ、プリンタ等のOA機器、及び調理機器、乾燥機、加湿器等の電気機器等の熱源を必要とする各種機器に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源を構成することができるとともに、作業効率が高く優れた生産性を有する発熱体ユニット及び加熱装置を提供することができるため、熱源を必要とする電子/電気機器分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットの構造を示す平面図
【図2】図1に示した発熱体ユニットの正面図
【図3】実施の形態1の発熱体ユニットにおける発熱体2の端部に取り付けられた保持具3等を示す平面図
【図4】実施の形態1の発熱体ユニットにおける保持具3等の正面図
【図5】図3に示す保持具3等のV−V線による断面図
【図6】実施の形態1の発熱体ユニットにおける発熱体2、保持具3及び固定部を示す図
【図7】本発明に係る実施の形態2の発熱体ユニットにおける発熱体2の端部に取り付けられた保持具23等を示す平面図
【図8】図7に示す保持具23等のVIII−VIII線による断面図
【図9】実施の形態2の発熱体ユニットにおける保持具23の展開図
【図10】実施の形態2の発熱体ユニットにおける保持具23の別の構成を示す展開図
【図11】実施の形態2の発熱体ユニットにおける発熱体と固定部との別の係合方法を示す断面図
【図12】本発明に係る実施の形態3の発熱体ユニットにおける発熱体2の端部に取り付けられた保持具33等を示す平面図
【図13】図12に示す保持具33等を示す正面図
【図14】実施の形態3の発熱体ユニットにおける発熱体2及び保持具33を示す図
【図15】実施の形態3の発熱体ユニットにおける発熱体2と保持具33との別の係合方法を示す平面図
【図16】本発明に係る実施の形態4の発熱体ユニットにおける発熱体2の端部に取り付けられた保持具43等を示す断面図
【図17】本発明に係る実施の形態1から実施の形態4の発熱体ユニットを装備した実施の形態5の加熱装置の一例を示す斜視図
【符号の説明】
【0113】
1 容器
2 発熱体
2a 発熱体保持部
2b 発熱部
2c 掛止受部
3 保持具
3a 第1の保持部
3b 第2の保持部
3c 側壁部
3d 第1の係合孔
3e 第2の係合孔
3f 導出部
3g 切り欠き
3h 舌部
4 位置規制部
5 固定部
5a 掛止部
6 スプリング部
7 内部リード線
8 モリブデン箔
9 外部リード線
10a 第1の電力供給部
10b 第2の電力供給部
11a 第1の内部リード線部
11b 第2の内部リード線部
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源として使用される発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置に関し、特に、炭素系物質を主成分としてシート状に形成された発熱体を有する発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置に関する。本発明に係る加熱装置としては、例えば複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子装置、及び電気暖房機器、調理機器、乾燥機等の電気機器等の熱源を必要とする各種機器が含まれる。
【背景技術】
【0002】
長尺形状の熱源となる従来の発熱体ユニットには、円筒状のガラス管内部に細長いコイル状のタングステン線、又は棒状若しくは板状の炭素系焼結体が発熱体として封入されて構成されたものがあった。最近、これらの発熱体に代わって、被加熱体をより均一に、且つ更に高温度に加熱することができる汎用性の高い発熱体ユニットとして、炭素繊維をシート状(帯状)に編み込んで形成した発熱体を用いたものが提供されている。
【0003】
発熱体ユニットにおいて、ガラス管内部に収納される発熱体の両端部分には、電源を供給するための部材(電力供給部材)が取り付けられており、この電力供給部材は発熱体に対して確実に装着されるとともに、効率高く電力供給できるように構成することが必要である。また、発熱体ユニットにおける発熱体と電力供給部材は、細く破損しやすいガラス管の内部の所定位置に配置され封入される構成であるため、発熱体ユニットの製造においては、発熱体と電力供給部材を容易に、且つ確実にガラス管内部に組み込むことができる、作業性の優れた構造を有することが必要である。更に、熱源として使用される発熱体ユニットにおいては、安全性が高く、長期間の使用に耐える信頼性の高い装置であることが絶対的な条件である。
【特許文献1】特開2004−193130号公報
【特許文献2】特開2006−040898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
炭素繊維をシート状(帯状)に編み込んで形成した発熱体を用いた従来の発熱体ユニットにおいては、発熱体の両端部分を貴金属で被覆し、その被覆部分を金属スリーブで覆い、金属スリーブと被覆部分とを金属ロウによりロウ付けしたものがあった(特許文献1参照。)。このような金属ロウにより発熱体と金属スリーブを溶着する方法は、発熱体が高温度(例えば、1100℃)となる発熱体ユニットにおいて、発熱体からの熱伝導によりロウ付け部分が溶融してしまい、場合によっては発熱体が外れるという安全性の点で大きな問題があった。
【0005】
また、従来の発熱体ユニットにおいては、細長いシート状の発熱体の両端部分に電力供給部材を圧着した構成ものがあった(特許文献2参照。)。このように構成された従来の発熱体ユニットにおいては、発熱体として複数の炭素繊維を樹脂によりシート状に添着して形成したものが用いられていた。このように形成された従来の発熱体ユニットにおけるシート状の発熱体は、その表面が滑らかであるため、電力供給部材が強い挟着力を有しない場合には、発熱体が電力供給部材から脱落するおそれがあり、信頼性に欠けるという問題があった。
【0006】
本発明者らは、従来用いられていた炭素繊維を編み込んだシート状の発熱体、及び編み込んだ炭素繊維に樹脂を添着して焼成した発熱体とは、材料及び製造方法において全く異なる新たなフィルムシート状の材料を発熱材料として発熱体に適用し、新たな熱源としての発熱体ユニットの開発に取り組んできた。そのような発熱体ユニットに用いる発熱体に適用しようとする新たなフィルムシート状の材料は、従来の発熱体の表面より更に滑らかな表面を有し、且つ柔軟性を持っているため、従来の発熱体ユニットに用いられていた電力供給部材では新しい発熱体を確実に保持することができず、従来の発熱体ユニットの構成をそのまま新しい発熱体ユニットに適用すると安全性及び信頼性の点で問題があった。
【0007】
本発明は、被加熱体を所望の配熱分布で加熱でき、且つ高温度に効率高く加熱することができる発熱体ユニット及び加熱装置を、安全性及び信頼性が高く、容易に製造することができる構成とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る第1の観点の発熱体ユニットは、
炭素系物質を含む材料によりフィルムシートで形成され、2次元的等方向性の熱伝導を有する帯状の発熱体、
前記発熱体の両端を挟む接触面を有して対向して配置された第1の保持部と第2の保持部を持つ導電性材料により形成された保持具と、前記保持具と電気的に接続された内部リード線部とを有し、前記発熱体における対向する両端に電力を供給する電力供給部、及び
前記発熱体と前記電力供給部の一部を内包する容器、を具備する発熱体ユニットであって、
前記発熱体の両端に形成された掛止受部が、前記電力供給部に形成された掛止部と係合するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第1の観点の発熱体ユニットは、被加熱体を所望の配熱分布で、且つ高温度で効率高く加熱することができ、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源となり、製造の容易な構成となる。
【0009】
本発明に係る第2の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1の観点の前記発熱体の掛止受部が貫通孔で構成され、前記発熱体の両端を挟む前記第1の保持部と前記第2の保持部における前記掛止受部と対応する位置に貫通孔が形成され、前記内部リード線部における発熱体側端部に形成された掛止部が前記発熱体の前記掛止受部、前記第1の保持部及び前記第2の保持部の各貫通孔を貫通して係合するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第2の観点の発熱体ユニットは、内部リード線部が発熱体を確実に保持することができ、安全性及び信頼性の高い熱源となる。
【0010】
本発明に係る第3の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1の観点の前記発熱体の掛止受部が貫通孔で構成され、前記発熱体の両端を挟む前記保持具の前記第1の保持部と前記第2の保持部の一方における前記掛止受部と対応する位置に貫通孔が形成され、前記保持具の他方における前記掛止受部と対応する位置に突起が形成されており、前記保持具における前記突起が前記保持具の貫通孔を前記発熱体の前記掛止受部とともに貫通して係合するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第3の観点の発熱体ユニットは、保持具が発熱体を確実に保持することができ、安全性及び信頼性が高く、且つ製造が容易な構成となる。
【0011】
本発明に係る第4の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第2の観点の前記内部リード線部の掛止部が発熱体側端部を屈曲して形成されており、前記第1の保持部に形成された貫通孔と前記第2の保持部に形成された貫通孔において、前記内部リード線部の前記掛止部の屈曲部分が配置される前記保持具における一方の貫通孔が、前記掛止部の先端部分が配置される他方の貫通孔より大きく形成されている。このように構成された本発明に係る第4の観点の発熱体ユニットは、内部リード線部を確実に保持具に装着することができ、製造が容易で信頼性及び安全性の高い構成となる。
【0012】
本発明に係る第5の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第2又は第4の観点の前記第1の保持部又は前記第2の保持部の一方において、前記電力供給部の掛止部と係合する貫通孔と異なる位置に保持孔が形成されており、前記保持孔を前記内部リード線部が貫通して、前記内部リード線部が前記保持具を保持するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第5の観点の発熱体ユニットは、内部リード線部を確実に、且つ容易に保持具に装着することができ、製造が容易で信頼性及び安全性の高い構成となる。
【0013】
本発明に係る第6の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第2、第4又は第5の観点の前記内部リード線部の掛止部が発熱体側端部を屈曲して形成されており、前記掛止部が前記保持具の貫通孔に挿入された状態において、前記掛止部の先端部分に脱落防止手段が施されている。このように構成された本発明に係る第6の観点の発熱体ユニットは、内部リード線部に脱落防止手段が施されているため、信頼性及び安全性の高い構成となる。
【0014】
本発明に係る第7の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1の観点の前記発熱体の両端に形成された掛止受部が、当該発熱体の幅方向の両端縁の少なくとも一方の端縁に切り欠きで形成され、前記電力供給部の掛止部が、前記保持具における前記掛止受部と対応する位置に前記発熱体と接触する面に直交して前記発熱体の長手方向に延設された側壁部で形成されている。このように構成された本発明に係る第7の観点の発熱体ユニットは、発熱体を電力供給部に確実に、且つ容易に装着することができ、製造が容易で信頼性及び安全性の高い構成となる。
【0015】
本発明に係る第8の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第7の観点の前記保持具の掛止部としての前記側壁部が前記第1の保持部又は前記第2の保持部の一方に形成され、当該側壁部の突出端部が他方の保持部を回り込んで握着するよう構成されている。このように構成された本発明に係る第8の観点の発熱体ユニットは、発熱体を保持具に容易に、且つ確実に装着することができ、製造が容易で信頼性及び安全性の高い構成となる。
【0016】
本発明に係る第9の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1乃至第8の観点の前記第1の保持部と前記第2の保持部が1枚の材料を屈曲させて前記発熱体の端部を挟むよう構成されている。このように構成された本発明に係る第9の観点の発熱体ユニットは、発熱体を装着する保持具を容易に製造することができ、信頼性及び安全性が高く、製造コストの抑制された構成となる。
【0017】
本発明に係る第10の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1乃至第9の観点の前記発熱体は、炭素系物質を含む材料により形成された層間構造を有している。このように構成された本発明に係る第10の観点の発熱体ユニットは、被加熱体を均一に、且つ高温度に加熱することができ、効率の高い熱源となる。
【0018】
本発明に係る第11の観点の発熱体ユニットにおいて、前記第1乃至第10の観点の前記容器は、耐熱性を有するガラス管又はセラミックス管により形成され、不活性ガスが充填されて前記電力供給部において封止されている。このように構成された本発明に係る第11の観点の発熱体ユニットは、高温度に加熱することができる効率の高い熱源となる。
【0019】
本発明に係る第12の観点の加熱装置は、前記第1乃至第11の観点の発熱体ユニットを熱源として装備しており、被加熱体を均一に、且つ高温度に加熱することができ、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い加熱装置となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源となる発熱体ユニットを構成することができるとともに、作業効率が高く優れた生産性を有する発熱体ユニットを提供することができる。また、本発明によれば、上記の効果を有する発熱体ユニットが熱源として加熱装置に組み込まれているため、安全性及び信頼性が高く、効率の高い加熱装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る発熱体ユニット及びその発熱体ユニットを用いた加熱装置の好適な実施の形態について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施の形態1)
本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットについて図1乃至図6を用いて説明する。図1は実施の形態1の発熱体ユニットの構造を示す平面図である。図1において、当該発熱体ユニットが長尺形状であるため、その中間部分を破断して省略し、両端部分近傍を示している。図2は図1に示した発熱体ユニットの正面図である。
【0023】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、耐熱性を有する細長い容器1の内部にフィルムシート状で帯状の発熱体2が配置されている。帯状の発熱体2は容器1の長手方向に沿って延設されている。実施の形態1の発熱ユニットにおいては、容器1が透明な石英ガラス管により形成されており、石英ガラス管の両端部分が平板状に溶着されて容器1が構成されている。発熱体2を収容する容器内部には、不活性ガスとしてのアルゴンガスが封入されている。容器内部に封入可能な不活性ガスとしては、アルゴンガスに限定されるものではなくアルゴンガスの他に、窒素ガス、又はアルゴンガスと窒素ガス、アルゴンガスとキセノンガス、アルゴンガスとクリプトンガス等の混合ガス等を用いても実施の形態1の発熱体ユニットと同様の効果を奏し、封入すべき不活性ガスとしては目的に応じ適宜選択することが可能である。容器1の内部に不活性ガスを封入するのは、高温度で使用した際において、容器内部の炭素系物質である発熱体2の酸化を防止するためである。なお、容器1の材料としては、耐熱性、絶縁性及び熱透過性を有する材料であれば用いることができ、例えば石英ガラスの他に、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス等のガラス材、セラミック材等から適宜選択される。
【0024】
図1及び図2に示すように、実施の形態1の発熱体ユニットは、容器1と、熱輻射膜体としての細長い帯状の発熱体2と、この発熱体2を容器内の所定位置に保持するために発熱体2の長手方向の両端部分に設けられ、発熱体2に電力を供給するための第1及び第2の電力供給部10a,10bと、を備えている。
【0025】
発熱体2の両端に設けられた第1及び第2の電力供給部10a,10bは、発熱体2の両端に取り付けられた保持具3を含んでいる。保持具3において、一方の保持具3(図1においては左側の保持具3)には第1の内部リード線部11aが取り付けられており、他方の保持具3(図1においては右側の保持具3)には第2の内部リード線部11bが取り付けられている。第1の内部リード線部11a及び第2の内部リード線部11bのそれぞれは、容器1の両端部分の封着部分(溶着部分)に埋設されたモリブデン箔8を介して、容器1の両端から容器外部に導出する外部リード線9と電気的に接続されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、第1の電力供給部10aは、保持具3、第1の内部リード線部11a、モリブデン箔8、及び外部リード線9を有して構成されている。一方、第2の電力供給部10bは、保持具3、第2の内部リード線部11b、モリブデン箔8、及び外部リード線9を有して構成されている。
【0027】
第1の内部リード線部11aは、保持具3が装着された発熱体2の一端(図1における左端)に接続された固定部5と、螺旋状に形成され長手方向に弾性を有するスプリング部6と、モリブデン箔8に接続された内部リード線7とにより構成され、固定部5とスプリング部6と内部リード線7とは一本の線材、例えばモリブデン線、により一体的に形成されている。
【0028】
また、第2の内部リード線部11bは、保持具3が装着された発熱体2の他端(図1における右端)に接続された固定部5と、発熱体2を容器内の所定位置に保持するための位置規制部4と、モリブデン箔8に接続された内部リード線7とにより構成され、固定部5と位置規制部4と内部リード線7とは一本の線材、例えばモリブデン線、により一体的に形成されている。
実施の形態1における第1の内部リード線部11a及び第2の内部リード線部11bは、モリブデン線により形成された例で説明するが、タングステン、ニッケル、ステンレス等を材料とした弾性を有する金属線(丸棒形状、平板形状)を用いて形成してもよい。また、実施の形態1における第1の内部リード線部11a及び第2の内部リード線部11bは、それぞれが一体的な線材により構成した例で説明するが、それぞれを機能別に別部材で形成して、それぞれを接合して構成することも可能である。
【0029】
以上のように、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、保持具3、モリブデン箔8、外部リード線9及び第1の内部リード線部11aにより構成された第1の電力供給部10aと、保持具3、モリブデン箔8、外部リード線9及び第2の内部リード線部11bにより構成された第2の電力供給部10bにより、発熱体2が容器内に張設されている。
【0030】
なお、第1の内部リード線部11aにおけるスプリング部6は発熱体2に対して張力を与えるものであり、発熱体2が常に容器内の所望の位置で直線的に配置されるよう構成されている。実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、スプリング部6は発熱体2を容器内の所定の位置に配置するための位置規制部材としての機能も有する。スプリング部6の外周部分が容器1の内周面に近接した位置にあり、スプリング部6が配設されることにより、発熱体2は容器1に接触しない位置に確実に配置される。実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、発熱体2が容器1の長手方向に延びる略中心軸上に配置され、容器1に接触しないよう配置されている。また、内部リード線7と固定部5との間にスプリング部6を設けることにより、発熱体2における膨張収縮による変化を吸収することが可能となる。
【0031】
発熱体2における膨張収縮による変化に対し、発熱体2の材料自体が持つ伸縮率又は発熱体2の形状による伸縮率が大きい場合には、発熱体2の両側にあるそれぞれの内部リード線部11a,11bにはスプリング部6を設ける必要がない。
【0032】
なお、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、発熱体2の両端に異なる構成の第1の内部リード線部11a及び第2の内部リード線部11bを設けた例で説明するが、本発明の発熱体ユニットでは発熱体2の両端に第1の内部リード線部11aと同様、若しくは第2の内部リード線部11bと同様の構成部材を配設してもよく、その発熱体ユニットが用いられる加熱装置の製品仕様及び用途等に応じて適宜変更される。発熱体2のいずれか一端側にスプリング部6を有する第1の内部リード線部11aを配設する構成とすれば、発熱体2の位置規制及び膨張収縮による変化の吸収は可能であるが、発熱体2の両側に第1の内部リード線部11aを配設する構成とすれば発熱体2の両端側において位置規制及び変化吸収を行うことができる構成となり、さらなる効果が期待できる。
【0033】
実施の形態1の発熱体ユニットの長手方向が鉛直方向となるように加熱装置に当該発熱体ユニットが組み込まれた場合、スプリング部6が発熱体2より上側に配置されると発熱体2の温度でスプリング部6が伸張されて加熱され、弾性限度を超えて熱膨張を吸収できなくなるおそれがある。このため、スプリング部6を発熱体2の下側に配置して圧縮された状態で使用する方が好ましい。
【0034】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、第1の内部リード線部11aの固定部5、スプリング部6及び内部リード線7、並びに第2の内部リード線部11bの固定部5、位置規制部4及び内部リード線7を一体的に構成した例で説明したが、各々を別部材で構成してそれぞれが電気的に接合されていれば同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0035】
図3から図5は実施の形態1の発熱体ユニットにおける発熱体2の両端部分に装着される保持具3及び固定部5等を示す図である。図3は保持具3等の平面図であり、図4は保持具3等の正面図であり、図5は図3のV−V線による断面図である。
図6は、折り曲げられて作製された保持具3を展開した図を、その中央に示しており、その展開した保持具3の他に、その保持具3に装着される発熱体2(図6の保持具3の上側)と、発熱体2を掛け止めされる第1の内部リード線部11aの固定部5(図6の保持具3の下側)とを示している。
【0036】
実施の形態1の発熱体ユニットに用いられている保持具3は導電性を有する金属材料、例えばモリブデンで形成された平板な板材を折り曲げて構成されたものである。図3から図6に示すように、発熱体2の端部である発熱体保持部2a(図6参照)は折り曲げられた保持具3の間に挟まれるように配置されており、発熱体2の発熱体保持部2aは固定部5のL字形状に屈曲した突出端部である掛止部5aと係合するよう構成されている。また、保持具3は固定部5とスポット溶接されて固定されている。実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、発熱体2の長手方向と平行な中心軸上の2箇所でスポット溶接されている。
【0037】
以下、図6の中央部分に示した展開された保持具3の図を用いて、保持具3の構成について詳細に説明する。保持具3は、展開された保持具3おける破線A(図6参照)の位置で略180度に折り曲げられる。また、展開された保持具3の破線B(図6参照)の2箇所の位置で、破線Aの位置で折り曲げられた方向と同じ方向にその端部側が略90度に折り曲げられる。この結果、保持具3には、発熱体2の端部である発熱体保持部2aを挟持するための第1の保持部3a(図4に示す保持具3における下側平坦部分)と、第2の保持部3b(図4に示す保持具3における上側平坦部分)と、第1の保持部3aにおける発熱体2の長手方向に平行な対向する辺(図3に示した保持具3においては、第1の保持部3aの上下位置)から立ち上がる2つの側壁部3c,3cが形成される。
【0038】
図6に示した展開された保持具3における破線Aの略180度の屈曲位置は、保持具3の金属材料であるモリブデン板を圧延したときの圧延方向(いわゆるロール目方向)と直交する方向に設定されている。このように設定することにより、保持具3を形成するため破線Aの位置で略180度屈曲させても、亀裂や破断等の事故の発生を防止することができる。
【0039】
また、図6に示す展開された保持具3において、第1の保持部3aと第2の保持部3bにおける発熱体2が導出する側にある破線Cの位置で端部側の対向面が互いに離れる方向に湾曲されて、導出部3f,3fが形成されている。このように湾曲した導出部3f,3fを形成することにより、保持具3に装着された発熱体2の導出端部が保持具3との接触により損傷されることが防止される。また、保持具3の導出部3f,3fを湾曲させることにより、発熱体2における振動、熱伸縮サイクル、熱ストレスに耐えるように、保持具3の強度を高めることが可能となる。なお、実施の形態1においては、導出部3f,3fを湾曲した曲面で構成した例で説明したが、斜面で構成してもよく、保持具3における発熱体2を導出する端部が広がり、発熱体2と接触しない形状であればよい。このような導出部3f,3fの斜面形状は、プレス加工時等において発生するバリを広がる方向となるよう加工して用いることも可能であり、若しくは研削加工により形成してもよい。
【0040】
図6に示すように、保持具3において、第1の保持部3aには貫通孔である第1の係合孔3dが形成されており、第2の保持部3bにも貫通孔である第2の係合孔3eが形成されている。また、図6に示す展開された保持具3の略中央部分において破線Aで示す折り曲げ部分には略円弧状の切り欠き3gが形成されている。この切り欠き3gの形成により、第1の保持部3aから延設された半円状の舌部3hが形成されている。上記のように折り曲げられて構成された保持具3において、第1の保持部3aに形成された第1の係合孔3dと、第2の保持部3bに形成された第2の係合孔3eは、対応する位置となり、保持具3はその略中央部分に貫通孔を有する構造となる。
【0041】
発熱体2の端部である発熱体保持部2aは、上記のように構成された保持具3の第1の保持部3aと第2の保持部3bとにより挟まれており、保持具3の貫通孔と対応する位置に貫通孔である掛止受部2cが形成されている。この結果、発熱体保持部2aを挟んだ状態の保持具3においては、その略中央部分に貫通孔が形成された状態となる。このような状態において、発熱体2の両端にある発熱体保持部2aに形成された貫通孔である掛止受部2cが固定部5の端部である掛止部5aと掛け止めされて、発熱体2は容器内の所定位置に張設される。
【0042】
図6に示すように、発熱体2は、保持具3により保持される発熱体保持部2aと、長手方向に直交する複数の溝を有する溝パターンが形成されて蛇行した電流径路が形成され発熱する発熱部2bと、発熱体保持部2aと発熱部2bとの間の領域である放熱部2fと、を有する。前述のように、発熱体保持部2aに形成された貫通孔である掛止部2cは、発熱体保持部2aが第1の保持部3aと第2の保持部3bにより挟まれた状態において第1の保持部3aの第1の係合孔3d及び第2の保持部3bの第2の係合孔3eと対応した位置に配置される。この結果、発熱体2を挟んだ状態の保持具3の略中央部分には貫通孔が形成されるが、この貫通孔を構成する第1の係合孔3d、第2の係合孔3e及び掛止受部2cの各直径は次の関係を有する。
第1の係合孔3dの直径は第2の係合孔3eの直径より大きく、発熱体2の掛止受部2cの直径は第2の係合孔3eの直径と同等か若しくは小さく形成されている(第1の係合孔3dの直径>第2の係合孔3eの直径≧発熱体2の掛止受部2cの直径)。
【0043】
図4及び図5に示すように、内部リード線7と一体的に線材で形成された固定部5の端部である掛止部5aは、内部リード線7から固定部5に繋がる延設方向(発熱体2の長手方向)に対して略直交する方向に屈曲して形成されている、そのため、固定部5はその先端が屈曲したL字形状を有している。固定部5の掛止部5aは、その直径が前述の保持具3に形成されている第1の係合孔3d及び第2の係合孔3eの直径より小さく形成されており、且つ発熱体2の掛止受部2cの直径より多少小さく形成されている。このため、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、固定部5の掛止部5aが、発熱体2を挟んだ保持具3を貫通して、発熱体保持部2aの掛止受部2cと係合する構成となる(第1の係合孔3dの直径>第2の係合孔3eの直径≧発熱体2の掛止受部2cの直径>固定部5の掛止部5aの直径)。
【0044】
なお、固定部5の掛止部5aの突出長さ(図5において符号L5で示す長さ)は、少なくとも保持具3における第1の保持部3aと第2の保持部3bの厚み、及び発熱体2の厚みを加算した長さより長く設定されており、掛止部5aが第1の保持部3aと第2の保持部3bとの間にある発熱体保持部2aの掛止受部2cと確実に係合する長さに設定されている。
【0045】
上記のように、屈曲した固定部5の掛止部5aが発熱体2の掛止受部2cと係合した状態において、第1の係合孔3dの直径が第2の係合孔3eの直径より大きく形成されているため、掛止部5aにおける基端側の屈曲部分(いわゆるアール部分)の一部が第1の係合孔3dの内部に配置された状態となる。この結果、固定部5の掛止部5aは、短い突出長さ(L5)で第1の保持部3aの第1の係合孔3dと、発熱体2の掛止受部2cと、第2の保持部3bの第2の係合孔3eとを確実に貫通するとともに、固定部5と第1の保持部3aがぐらつくことがない確実な接触状態となる。
【0046】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいて、上記のように固定部5の掛止部5aと発熱体2は、掛け止めした係合状態であり、掛止部5aと保持具3の第1の係合孔3dと第2の係合孔3eとはそれぞれを貫通した係止状態である。保持具3の第1の保持部3aと第2の保持部3bは発熱体2の発熱体保持部2aと面接触しており、発熱体2と保持具3は抵抗の少ない電気的接続状態である。さらに、保持具3と固定部5との電気的接続状態及び機械的接続状態を確実なものとするために、保持具3の舌部3hと固定部5とは少なくとも1箇所のスポット溶接により固着されている。図3から図5において、符号Xにて示す位置がスポット溶接位置である。スポット溶接位置は、発熱体2と掛止部5aとの係合位置と同じように発熱体2の長手方向と平行な中心軸上にある。このように、固定部5は保持具3に固定され、固定部5が保持具3に対して遊動することなく確実に接触した状態となる。また、このように保持具3と固定部5が固定されているため、保持具3の回転、ねじれ、及び歪みが防止されている。
【0047】
なお、上記の説明においては、発熱体2の一方の端部と第1の電力供給部10aとの固定方法について説明したが、実施の形態1の発熱体ユニットにおいて発熱体2の他方の端部と第2の電力供給部10bとの固定方法は同じ方法により固定されている。このため、発熱体2の他方の端部と第2の電力供給部10bとの固定方法についての説明は省略する。
【0048】
実施の形態1の発熱体ユニットにおいて、保持具3の平面部分が発熱体2の発熱体保持部2aを挟持した構成で説明したが、保持具3の平面部分を曲面又は凹凸面に形成し挟着力を高めて発熱体保持部2aを挟持する構成としてもよい。
また、実施の形態1の発熱体ユニットにおける保持具3は、第1の保持部3aと第2の保持部3bを1枚の板材で形成した例で説明したが、第1の保持部3aと第2の保持部3bは別部材で形成してそれぞれを接合する構成としてもよく、発熱体2の発熱体保持部2aを両側から挟み、電気的接続状態が確保される構造であればよい。
【0049】
本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットにおいて用いた発熱体2は、炭素系物質を主成分とし厚み方向において各層が互いに空隙をなすように一部が固着された積層構造で、優れた二次元的等方向性の熱伝導を有しており、熱伝導率が200W/m・K以上を有するフィルムシート状の材料で形成されている。したがって、帯状の発熱体2は温度ムラがなく均一に発熱する熱源となる。
【0050】
発熱体2の材料であるフィルムシート素材は、高分子フィルム又はフィラーを添加した高分子フィルムを高温度、例えば2400℃以上の雰囲気中にて熱処理し、焼成してグラファイト化した耐熱性を有する高配向性のグラファイトフィルムシートであり、面方向の熱伝導率が200W/m・K以上であり、600から950W/m・Kの特性を有する。このように、実施の形態1において用いた発熱体2は、面方向の熱伝導率が600から950W/m・Kという優れた二次元的等方向性の熱伝導を有する。
【0051】
ここで、二次元的等方向性の熱伝導とは、直交するX軸とY軸で設定される面における、あらゆる方向の熱伝導率が略同じであることを示すものである。したがって、本発明において二次元的等方向性とは、例えば炭素繊維が同じ方向に並設して形成された発熱体における炭素繊維方向である1方向(X軸方向)、又は炭素繊維をクロスに編んで形成された発熱体における炭素繊維方向である2方向(X軸方向とY軸方向)だけを指すものではなく、フィルムシート状の発熱体2における面方向において同じ性質を持つことを言う。
【0052】
本発明において用いられる発熱体2の材料であるフィルムシート素材は、積層構造を有し、面方向の層表面が平坦な面、凹凸面或いは波うつ面等の各種の面形状を有しており、対向する各層の間には空隙が形成されている。このフィルムシート素材の積層構造において、各層間に形成される空隙の形成状態のイメージは、複数回(例えば、何十回、何百回)と重ね合わせるように折り曲げてパイ生地を作り、そのパイ生地を焼いて得た、パイの断面形状と類似している。即ち、発熱体2は、炭素系物質を含む材料により形成された複数の膜体が積層されて、積層方向が一部固着された層間構造を有しており、厚み方向に柔軟性を有するフィルムシート素材である。したがって、本発明における発熱体2の材料であるフィルムシート素材は、前述のように、面方向の熱伝導率が略同じである優れた二次元的等方向性の熱伝導を有する材料である。
【0053】
前述のように製造されたフィルムシート素材として用いられる高分子フィルムとしては、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリピロメリットイミド(ピロメリットイミド)、ポリフェニレンイソフタルアミド(フェニレンイソフタルアミド)、ポリフェニレンベンゾイミタゾール(フェニレンベンゾイミタゾール)、ポリフェニレンベンゾビスイミタゾール(フェニレンベンゾビスイミタゾール)、ポリチアゾール、ポリパラフェニレンビニレンのうちから選ばれた少なくとも一種類の高分子フィルムを挙げることができる。また、高分子フィルムに添加されるフィラーとしては、リン酸エステル系、リン酸カルシウム系、ポリエステル系、エポキシ系、ステアリン酸系、トリメリット酸系、酸化金属系、有機錫系、鉛系、アゾ系、ニトロソ系およびスルホニルヒドラジド系の各化合物を挙げることができる。より具体的には、リン酸エステル系化合物として、リン酸トリクレジル、リン酸(トリスイソプロピルフェニル)、トリブチルホスフェ−ト、トリエチルホスフェ−ト、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスブトキシエチルフォスフェート等を挙げることができる。リン酸カルシウム系化合物としては、リン酸二水素カルシウム、リン水素カルシウム、リン酸三カルシウム、等を挙げることができる。また、ポリエステル系化合物としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸などと、グリコール、グリセリン類との反応により得られるポリマー等を挙げることができる。また、ステアリン酸系化合物としては、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル等を挙げることができる。酸化金属系化合物としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛等を挙げることができる。トリメリット酸系化合物としては、ジブチルフマレート、ジエチルフタレート等を挙げることができる。鉛系化合物としては、ステアリン酸鉛、ケイ酸鉛等を挙げることができる。アゾ系化合物としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。ニトロソ系化合物としては、ニトロソペンタメチレンテトラミン等を挙げることができる。スルホニルヒドラジド系化合物としては、p−トルエンスルホニルヒドラジド等を挙げることができる。
【0054】
前記フィルムシート素材を積層し、不活性ガス中において2400℃以上で処理し、グラファイト化の過程で発生するガス処理雰囲気の圧力を調整することにより制御してフィルムシート状の発熱体が製造される。更に、必要に応じて、前記のように製造されたフィルムシート状の発熱体を圧延処理することにより、さらに良質のフィルムシート状の発熱体を得ることができる。このように製造されたフィルムシート状の発熱体を本発明の発熱体ユニットにおける発熱体2として用いる。
【0055】
なお、前記フィラーの添加量は、0.2〜20.0重量%の範囲が適当であり、より好ましくは1.0〜10.0重量%の範囲である。その最適添加量は、高分子の厚さによって異なり、高分子の厚さが薄い場合には添加量が多い方がよく、厚い場合には添加量は少なくてよい。フィラーの役割は熱処理後のフィルムを均一発泡の状態にすることにある。即ち、添加されたフィラーは、加熱中にガスを発生し、このガスの発生した後の空洞が通り道となってフィルム内部からの分解ガスの穏やかな通過を助けるものである。フィラーはこのように均一発泡状態を作り出すのに役立つ。
【0056】
上記のように製造されたフィルムシート素材は、例えばトムソン型やピナクル型の抜き型、ロータリーダイカッタ等の鋭利な刃物、若しくはレーザー加工等により所望の形状に加工される。
【0057】
実施の形態1における発熱体2は、厚み(t)が100μmであり、発熱部2bの幅(W1)が6.0mm(図6参照)であり、発熱体保持部2aの幅(W2)が約5.0mm(図6参照)であり、発熱部2bの長さ(L)が300mm(図1参照)である。なお、発熱体2の長さ、幅及び厚みについては、入力電圧及び発熱温度等により決定されるものであり、当該発熱体ユニットが用いられる熱源としての製品仕様及び用途に応じて適宜変更が可能である。
【0058】
図6に示すように、実施の形態1における発熱体2の発熱部2bには、複数の溝が発熱体2の長手方向に直交する方向に延設された溝パターンが形成されている。発熱部2bに形成されている複数の溝は、発熱部2bにおける電流の流れ方向を規制し、抵抗値を調整するものである。発熱部2bに形成される溝形状としては、その発熱体ユニットが用いられる製品仕様及び用途等に応じて貫通した溝(スリット)や、有底の溝(凹部溝)等がある。また、凹部溝においては、その厚み方向の深さを変更することにより発熱部2bの抵抗値を調整することが可能である。
【0059】
実施の形態1の発熱体2の発熱部2bには、図6に示す溝パターンが繰り返して形成されている。即ち、発熱体2の発熱部2bには、その長手方向と平行な両側縁部分の対向する位置から長手方向と直交して中心側へ延びる端溝2dと、長手方向と直交して発熱部2bの中央部分に形成された中央溝2eと、が形成されている。発熱部2bにおいて対向する端溝2d,2dの中央側の対向端部は、第1の所定距離(図6においてL1で示す距離)を有しており、発熱部2bの中央部分に通電径路を形成している。また、中央溝2eの両端部である縁側端部は、発熱部2bの幅方向の縁部分からそれぞれ同じ第2の所定距離(図6においてL2で示す距離)を有しており、発熱部2bの両側縁部分近傍に通電径路を形成している。さらに、発熱体2の発熱部2bにおいて、端溝2dと中央溝2eとの長手方向の間隔が第3の所定距離(図6においてL3で示す距離)を有しており、端溝2dと中央溝2eとの間に発熱体2の長手方向と直交する方向に流れる電流経路を形成している。
【0060】
実施の形態1の発熱体2において、端溝2dと中央溝2eとの長手方向の間隔である第3の所定距離L3は第2の所定距離L2と同じ距離に設定されており、第1の所定距離L1は第2の所定距離L2及び第3の所定距離L3の2倍に設定されている。このように溝パターンが形成された発熱体2の発熱部2bにおいては、蛇行した電流径路が形成されており、電流の流れに対して直交する断面積が略同じとなり、抵抗値の計算が容易となり、均一した温度分布を形成することができる。なお、発熱体2の面方向の熱伝導率が、例えば600W/m・K以上の特性を有する材料であれば、第2の所定距離L2が第1の所定距離L1の1/2でなくても均一な温度分布(配熱分布)に大きな影響を与えることはない。好ましくは、第2の所定距離L2を第1の所定距離L1の1/2以上に設定することにより、発熱体ユニットに加わる衝撃に対する発熱体2の機械的強度を高めることができる。
【0061】
また、発熱部2bに形成される溝形状のスリットや凹部溝は、当該発熱体ユニットが用いられる製品仕様や用途に応じて適宜選択することにより、発熱部2bの温度分布(配熱パターン)を所望のパターンとすることが可能である。
【0062】
さらに、発熱部2bにおいて、端溝2dと中央溝2eとの長手方向における間隔L3は、発熱体2の長手方向の端部、即ち発熱体保持部2aに近づくほど徐々に広くすることにより、発熱部2bにおける電流径路の抵抗率を徐々に変化させて、発熱部2bの温度分布(配熱パターン)を中央部分が高熱となるように変更することが可能となる。勿論、当該発熱体ユニットが用いられる製品仕様や用途に応じて上記間隔L1、L2及びL3を適宜変更することにより、所望の配熱パターンを有する熱源とすることが可能である。
【0063】
実施の形態1における発熱体2は、発熱体保持部2aの幅(W2)が発熱部2bの幅(W1)より狭く形成されている。そして、発熱体保持部2aから発熱部2bへ繋がる領域が徐々に広くなるよう形成され、この領域に放熱機能を有する放熱部2fが形成されている。この放熱部2fには前述のような溝は形成されておらず、広い電流径路が形成されている。この結果、放熱部2fにおいては、発熱部2bから伝導した熱が放熱されて、発熱体2における熱ストレスの低減及び長寿命化が図られている。なお、発熱体保持部2aから発熱部2bへ繋がる放熱部2fの縁形状は、集中荷重が加わり破損を防止するために曲面形状で構成することが好ましい。
また、製品仕様により発熱部2bの温度が高い場合、発熱部2bから発熱体保持部2aへの放熱部2fにおける幅を徐々に狭くすることにより、放熱部2fに温度勾配を設けて発熱体保持部2aへの熱ストレスを低減することが可能となる。
さらに、発熱体2において、第1の所定距離L1及び第2の所定距離L2の長さを両側の発熱体保持部2aに近づくに従い徐々に長くすることにより、発熱部2bに温度勾配を設けることができるとともに、耐衝撃性及び耐振動性を有する機械的強度の強い構造となる。
【0064】
上記のように構成された発熱体2において、電流の流れを阻害する複数の溝を有する溝パターンが発熱部2bに形成されているため、発熱部2bの全体形状に規制されずに所望の電流径路を設定できる。この結果、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、製品仕様及び用途に応じて所望の発熱分布を設定することが可能であり、多方面の熱源として利用できる。
【0065】
なお、実施の形態1の発熱体ユニットにおける発熱体2は、プレス加工により帯状に形成して、溝加工したが、レーザーを用いて所望の形状に加工することも可能である。例えば、レーザー加工の一例として、発熱体2の面方向の熱伝導率が200W/m・K以上となるとCO2レーザー(波長10600nm)等の熱加工作用を主体としたレーザー加工を用いた場合には、発熱体2に熱を奪われてしまい、加工できないという問題がある。しかしながら、非熱加工作用を主体とした波長1064から380nmのレーザー加工、例えば、呼称1064nmの短波長レーザー加工を用いることにより所望の形状を精度高く加工することが可能となる。
【0066】
特に、実施の形態1における発熱体2を形成する場合には、呼称532nmの第二高調波レーザー加工を用いることにより、高精度に加工できることを発明者らは確認した。実施の形態1における発熱体2の材料は、フィルムシート素材であり、高分子フィルム又はフィラーを添加した高分子フィルムを高温度、例えば2400℃以上の雰囲気中にて熱処理し、焼成してグラファイト化した耐熱性を有する高配向性のグラファイトフィルムシートを材料としている。そして、発熱体2は、面方向の熱伝導率が600から950W/m・Kの特性を有する材料で形成されている。このような材料から、例えば、厚み(t)が100μm、幅(W1)が6.0mm、長さ(L)が300mmの発熱体を加工する場合、又は前述のように発熱部2bに溝(スリット)等の複雑な形状に加工する場合には、呼称532nmの第二高調波レーザー加工を用いることが望ましい。
【0067】
なお、好ましいレーザー加工方法は、発熱体2の材料、即ち面方向の熱伝導率及び形状によって、前述の非熱加工作用を主体としたレーザー加工波長(1064から380nm)を持つ加工方法から適宜選択し得ることは言うまでもない。さらに、上記説明した発熱体2を加工するためのレーザー加工方法は後述の他の実施の形態における発熱体ユニットの発熱体の加工においても採用できることは言うまでもない。
【0068】
以上のように、実施の形態1の発熱体ユニットにおいては、帯状の発熱体2の両端部分が簡単な構成の電力供給部10a,10bにより確実に係合保持されて、発熱体2が容器内の所定位置で電気的接続状態が保持されている。このように、実施の形態1の発熱体ユニットは、発熱体2が電力供給部10a,10bにより容器内の所定位置に確実に保持されているため、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源を構成することができる。また、実施の形態1の発熱体ユニットは、簡単な構成であるため、作業効率が高く優れた生産性を有する熱源を提供することができる。
【0069】
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2の発熱体ユニットについて図7乃至図10を用いて説明する。実施の形態2の発熱体ユニットにおいて、前述の実施の形態1の発熱体ユニットと異なる点は、発熱体2の両端に取り付けられる保持具23の構成である。実施の形態2の発熱体ユニットにおける保持具以外の構成は実施の形態1の発熱体ユニットと同じであるため、以下、実施の形態2における保持具23の構成について詳細に説明する。なお、実施の形態2の発熱体ユニットにおいて、実施の形態1の発熱体ユニットと同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付して、その説明は実施の形態1の説明を適用する。
【0070】
図7は、実施の形態2の発熱体ユニットにおける発熱体2と、その発熱体2の端部である発熱体保持部2aに掛け止めされた固定部5の掛止部5aと、発熱体保持部2aを挟むように取り付けられた保持具23等を示す平面図である。図8は図7に示した保持具23のVIII−VIII線による断面図である。図9は実施の形態2における保持具23の展開図である。
【0071】
実施の形態2の発熱体ユニットに用いられている保持具23は、実施の形態1の保持具3と同様に導電性を有する金属材料、例えばモリブデンで形成された平板な板材を折り曲げて形成されたものである。図7及び図8に示すように、発熱体2の端部である発熱体保持部2aは保持具23の第1の保持部23a及び第2の保持部23bの間に挟まれるように配置される。
なお、実施の形態2の発熱体ユニットにおける保持具23は、第1の保持部23aと第2の保持部23bを1枚の板材で形成した例で説明するが、第1の保持部23aと第2の保持部23bは別部材で形成して、それぞれを接合する構成でもよい。
【0072】
実施の形態2の発熱体ユニットにおいて、実施の形態1の発熱体ユニットと同様に、第1の保持部23aと第2の保持部23bに挟まれた発熱体2の発熱体保持部2aには、固定部5のL字形状に屈曲された突出端部である掛止部5aと係合するよう貫通孔である掛止受部2cが形成されている。
実施の形態2における保持具23には、固定部5を支持するための保持孔23iが形成されている。実施の形態2においては、保持孔23iと固定部5が係合して保持具23が固定部5に支持される構成である。この係合位置は、発熱体2の長手方向に平行な中心軸上に配置されている。
【0073】
以下、図9に示した保持具23の展開図を用いて、保持具23の構成について詳細に説明する。図9に示す展開された保持具23は、破線Aの位置で略180度折り曲げられる。また、図9に示す展開された保持具23の破線Bの位置で、破線Aの位置で折り曲げた方向と反対の方向に略90度折り曲げられる。この結果、保持具23には、発熱体2の発熱体保持部2a(図6参照)を挟持するための第1の保持部23a(図9における保持具23の右側平坦部分)と、第2の保持部23b(図9における保持具23の左側平坦部分)と、略90度に折れ曲がった舌部23h(図8参照)が形成される。第1の保持部23aには第1の係合孔23dが形成され、第2の保持部23bには第2の係合孔23eが形成され、そして舌部23hには保持孔23iが形成されている。第1の係合孔23dと第2の係合孔23eは、前述の実施の形態1における第1の係合孔3dと第2の係合孔3eと同様に、固定部5の掛止部5aが貫通して、掛止部5aが発熱体2の掛止受部2cと係合できるように、対応する位置に形成されている。舌部23hにある保持孔23iは、後述するように固定部5が貫通して固定部5を支持するための保持孔である。
【0074】
なお、図9に示した展開された保持具23における破線Aの屈曲位置は、保持具23の金属材料であるモリブデンを圧延したときの圧延方向(いわゆるロール目方向)と直交する方向に設定されている。このように設定することにより、保持具23は破線Aの位置で亀裂や破断等の事故の発生を防止して、略180度の屈曲が可能である。
【0075】
また、実施の形態2における保持具23には、実施の形態1と同様の目的で、第1の保持部23aと第2の保持部23bにおける破線Cの位置で屈曲して、その端部側の対向面を互いに離れる方向に湾曲させた導出部23f,23fが形成されている。なお、導出部23f,23fは、斜面で構成してもよく、保持具23における発熱体2を導出する端部が広がり、発熱体2と接触しない形状であればよい。
【0076】
図9に示すように、展開された保持具23において、第1の保持部23aには第1の係合孔23dが形成され、第2の保持部23bには第2の係合孔23eが形成され、そして舌部23hには保持孔23iが形成されており、第1の係合孔23d、第2の保持部23b及び保持孔23iは同一直線上に形成されている。図9に示す展開された保持具3において、その略中央部分の破線Aで示す折り曲げ部分には略円弧状に開口した開口部23gが形成されている。この開口部23gの形成により、第1の保持部23aから延設された半円状の舌部23hが形成されている。前述のように、舌部23hには貫通孔である保持孔23iが形成されており、破線Cの位置で略90度に折り曲げられて、保持具23が形成されている。上記のように折り曲げられて形成された保持具23においては、第1の保持部23aに形成された第1の係合孔23dと、第2の保持部23bに形成された第2の係合孔23eが対応する位置となり、保持具23はその略中央部分に貫通孔を有する構造となる。保持具23の貫通孔の位置に発熱体2の発熱体保持部2aの貫通孔である掛止受部2cが配置されて保持具23に挟まれ、発熱体2の掛止受部2cは内部リード線部11aの固定部5の掛止部5aと確実に係合する。
【0077】
実施の形態2における発熱体2は実施の形態1の発熱体2と同じ構成を有しており、発熱体2の材料であるフィルムシート素材が、積層構造を有し、面方向の層表面が平坦な面、凹凸面あるいは波うつ面等の各種の面形状を有しており、対向する各層の間には空隙が形成されている。したがって、実施の形態2における発熱体2においても、面方向の熱伝導率が略同じである優れた二次元的等方向性の熱伝導を有する。
【0078】
実施の形態2における発熱体2においても実施の形態1の発熱体2と同じように、発熱体2の両端にある発熱体保持部2a(図6参照)が保持具23により挟まれる構成である。また、発熱体2における発熱部2bには複数の溝を有する溝パターンが形成されている。発熱体2の発熱体保持部2aには貫通孔である掛止受部2cが形成されており、この掛止受部2cは固定部5の掛止部5aが挿入されて係合状態となるとともに、発熱体保持部2aが保持具23により挟まれて互いに電気的接続状態となる。なお、第1の係合孔23dの直径は、第2の係合孔23eの直径より大きく形成されており、第2の係合孔23eの直径は、発熱体2の掛止受部2cの直径と同等か若しくは大きく形成されている(第1の係合孔3dの直径>第2の係合孔3eの直径≧発熱体2の掛止受部2cの直径)。
【0079】
上記のように保持具23に両端が挟まれた発熱体2に対して第1の内部リード線部11aの固定部5が掛け止めされて係合した状態である。図7及び図8に示したように、内部リード線7と一体的に線材で形成された固定部5の掛止部5aは、その直径が保持具23に形成されている第1の係合孔23d及び第2の係合孔23eの直径より小さく形成されている。このため、固定部5の掛止部5aは、発熱体2の発熱体保持部2aを挟んだ保持具23の第1の係合孔23d及び第2の係合孔23eを貫通して、発熱体2の掛止受部2cと確実に係合している(第1の係合孔23dの直径>第2の係合孔23eの直径≧発熱体の掛止受部2cの直径>掛止部5aの直径)。
【0080】
なお、固定部5の掛止部5aの突出長さ(図8において符号L4で示す長さ)は、少なくとも保持具23の第1の保持部23aと第2の保持部23bの厚み、及び発熱体2の厚みを加算した長さより長く形成されており、掛止部5aが第2の保持部23bの第1の係合孔23dを貫通して、発熱体2の掛止受部2cと確実に係合する長さに設定されている。
【0081】
上記のように、屈曲した固定部5の掛止部5aが発熱体2の掛止受部2cと係合した状態において、第1の係合孔23dの直径が第2の係合孔23eの直径より大きく形成されているため、固定部5の掛止部5aにおける基部である屈曲部分(いわゆるアール部分)の一部が大きな第1の係合孔23dの内部に配置された状態となる。この結果、固定部5は保持具23に対してぐらつくことなく確実に接触し、固定部5の掛止部5aの突出端部が、第2の保持部23bの第2の係合孔23eから突出して、発熱体2の掛止受部2cと掛止部5aは確実な係合状態となる。
【0082】
実施の形態2の発熱体ユニットにおいて、上記のように固定部5はその端部である掛止部5aが発熱体2の掛止受部2cと係合し、且つ保持具23とも係合状態である。固定部5が保持具23を確実に支持し、且つ固定部5が保持具3に対して移動しないように、固定部5は保持具23の舌部23hに形成された保持孔23iを貫通して係合するよう構成されている。保持孔23iの直径は、固定部5の線材の直径より多少大きく形成されているが、固定部5が保持孔23i内で遊動しない大きさである。上記のように、固定部5は保持具23と2箇所において係合状態であるが、これらの係合位置は、発熱体2の長手方向と平行な中心軸上にある。このように、固定部5がその両端部分で保持具23に係合した状態(2点固定状態)であるため、固定部5は保持具23に対して移動することがなく確実に接触して固定された状態となる。このように保持具23と固定部5が固定されているため、保持具23の回転、ねじれ、及び歪みが防止されている。なお、固定部5と保持具23との間は少なくとも1箇所においてスポット溶接して固定してもよい。
なお、図9に示した保持具23においては、固定部5を保持孔23iで支持する構成であるが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、図10の保持具23の展開図に示すように第1の保持部23aから延設された突出端230iを形成して、この突出端230iにより固定部5を支持できる構成も本発明に含まれる。
【0083】
上記の説明においては、発熱体2の一方の端部に対する保持具23と第1の内部リード線部11aの固定部5との固定方法について説明したが、発熱体2の他方の端部に対する保持具23と第2の内部リード線部11bの固定部5との固定方法は同じ方法により固定されるため、ここでは省略する。
【0084】
図11は、実施の形態2の発熱体ユニットにおける発熱体に対する保持具と固定部との別の係合方法を示す断面図である。図11は、前述の図8の断面図に対応する位置における断面図であり、保持具23の構成は同じである。したがって、図11に示す発熱体ユニットにおいては、図7から図9に示した実施の形態2の発熱体ユニットと同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付しており、その説明は前述の説明を適用する。
【0085】
図11に示す構成の発熱体ユニットにおいては、保持具23の貫通孔(第1の係合孔23d及び第2の係合孔23e)及び発熱体2の掛止受部2cを貫通した固定部5の掛止部5aの突出端部に抜け落ち防止手段(脱落防止手段)が施されている。図11に示すように、固定部5の掛止部5aにおける第2の係合孔23eから突出した突出端部は、プレス加工等により塑性変形した状態である。即ち、掛止部5aにおける第2の係合孔23eからの突出端部は、第2の係合孔23eの直径より大きな形状に加工されており、抜け落ち防止手段が施されている。掛止部5aにおける突出端部の塑性変形の方法としては、プレス加工の他に、回転カシメ加工等の機械的な加工方法、若しくは熱、電流、プラズマ等による溶着方法等を用いることができる。また、別の抜け落ち防止手段としては、掛止部5aにおける突出端部を螺刻してナットによるネジ止め方法、又は突出端部に止め輪、例えばC型止め輪、E型止め輪等を装着する係止方法等がある。
なお、抜け落ち防止手段(脱落防止手段)は、前述の実施の形態1の構成における固定部5の端部である掛止部5aに対して施して、発熱体2と固定部5との係合状態をより確実なものとして、抜け止めを防止することもできる。
【0086】
以上のように、実施の形態2の発熱体ユニットにおいては、帯状の発熱体2の両端部分にある発熱体保持部2aが簡単な構成の電力供給部10a,10bに係合して容器内の所望の位置に確実に保持され、且つ電気的な接続状態が確保されている。したがって、本発明の実施の形態2の発熱体ユニットによれば、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源を構成することができるとともに、簡単な構成であるため作業効率が高く優れた生産性を有する発熱体ユニットを提供することができる。
【0087】
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3の発熱体ユニットについて図12乃至図15を用いて説明する。実施の形態3の発熱体ユニットにおいて、前述の実施の形態1の発熱体ユニットと異なる点は、発熱体2の両端に取り付けられる保持具33及び固定部35の構成である。実施の形態3の発熱体ユニットにおける保持具33及び固定部35以外の構成は実施の形態1の発熱体ユニットと同じであるため、以下、実施の形態3における保持具33及び固定部35の構成について詳細に説明する。なお、実施の形態3の説明において、実施の形態1と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0088】
図12は、実施の形態3の発熱体ユニットにおける発熱体2と、その端部である発熱体保持部2aに取り付けられた保持具33等を示す平面図である。図13は図12に示した発熱体2に取り付けられた保持具33等を示す正面図である。
【0089】
実施の形態3の発熱体ユニットに用いられている保持具33は、実施の形態1の保持具3と同様に導電性を有する金属材料、例えばモリブデンで形成された平板な板材を折り曲げて構成されたものである。図12及び図13に示すように、発熱体2の端部である発熱体保持部2aは保持具33の第1の保持部33a及び第2の保持部33bの間に挟まれるように配置されている。
【0090】
なお、実施の形態3の発熱体ユニットにおける保持具33は、第1の保持部33aと第2の保持部33bを1枚の板材で形成した例で説明するが、第1の保持部33aと第2の保持部33bは別部材で形成してそれぞれを接合する構成としてもよい。
発熱体2の発熱体保持部2aを挟着保持する保持具33には、内部リード線7と一体的に線材で形成された固定部35がスポット溶接されている。実施の形態3においては、保持具33と固定部35は、固定部35の両端部近傍の2箇所において溶接されて固定されている。図12及び図13において符号Xで示す位置がスポット溶接位置である。
【0091】
内部リード線7と一体的に形成された直線状の固定部35は、保持具33の中心軸上に配設され固定されている。ここで、保持具33の中心軸とは、当該保持具33に保持される発熱体2の長手方向と平行であり、発熱体2と保持具33とを含む部材の重心を通る軸である。保持具33と固定部35とはスポット溶接されており、スポット溶接位置は保持具33の中心軸上である。
【0092】
実施の形態3における保持具33は、前述の実施の形態1及び実施の形態2の保持具2,23と同様に、平板な板材をその略中央部分で略180度に折り曲げて、第1の保持部33aと第2の保持部33bが形成されている。ただし、実施の形態3における保持具33においては、図12及び図13に示すように、第1の保持部33aの側面部分(第1の保持部33aにおける発熱体2の長手方向の中心軸と平行な側面部分)には短い幅で突出した側壁部33cが対向して形成されている。対向する側壁部33c,33cは、第1の保持部33aの側面部分から第2の保持部33bの方向(図13においては上方向)に略90度折り曲げられて、対向するよう形成されている。このとき、保持具33の側壁部33cは、第2の保持部33bの対応する側面部分に形成された切り欠き部33j内に入り込むよう構成されている。
【0093】
図14は、実施の形態3における保持具33の展開図と、その保持具33により挟持される発熱体2の端部を示している。図14に示すように、展開した保持具33においては、その中央部分にある破線Aの位置で略180度折り曲げられて、第1の保持部33a及び第2の保持部33bが形成される。そして、第1の保持部33aと第2の保持部33bの間に発熱体保持部2aが配置された状態において、第1の保持部33aの破線Bの2箇所の位置で、破線Aの位置で折り曲げられた方向と同じ方向にその端部側が略90度に折り曲げられて対向する側壁部33c,33cが形成される。
【0094】
図14に示すように、保持具33により保持される発熱体保持部2aには、その側面(発熱体2の長手方向に平行な対向する側面)に切り欠き部2g,2gが形成されている。このため、第1の保持部33aの側壁部33c,33cが折り曲げられるとき、側壁部33c,33cは、第2の保持部33bに形成された切り欠き部33j内に入り込むとともに、発熱体2の切り欠き部2gと係合して、保持具33は発熱体保持部2aを確実に係合保持する。このように、側壁部33cが切り欠き部33jに入り込むとき、側壁部33cは発熱体2の切り欠き部2gと係合するため、発熱体2が保持具33から抜けることがなく、発熱体2は確実に保持具33に固定された状態となる。
【0095】
なお、実施の形態3においても、前述の実施の形態1及び実施の形態2と同様に、展開された保持具33においては、第1の保持部33aと第2の保持部33bにおける発熱体2の導出側にある破線Cの位置で導出端部側の対向面が互いに離れる方向に湾曲されて、導出部33f,33fが形成される。
なお、実施の形態3における保持具33は前述の実施の形態1及び実施の形態2における保持具3,23と同じ材料により形成されている。
【0096】
上記のように、実施の形態3の発熱体ユニットにおいては、前述の実施の形態1及び実施の形態2と同様に、簡単な構成で、発熱体2の発熱体保持部2aを挟むための第1の保持部33a、第2の保持部33b、側壁部33c、そして舌部33h(図12参照)が形成されている。舌部33hは第1の保持部33aから内部リード線7の導出方向と同じ方向に延設されており、この舌部33hには内部リード線7に繋がる固定部35が配置され固定される。舌部33hと固定部35は、図12及び図13において符号Xで示す2箇所の位置でスポット溶接されて確実に固定されている。なお、スポット溶接位置は保持具33と固定部35の溶着部分が発熱体2を容器内に張設するための張力を維持できる強度を持つ構成であれば1箇所でも良い。
【0097】
図15は、実施の形態3の発熱体ユニットにおける発熱体2と保持具33との別の係合方法を示す平面図である。図15に示す構成においては、第1の保持部33aの側面部分の幅が短く、突出部分が長い側壁部33kが形成され、この側壁部33kが第2の保持部33bの側部を握持するよう折り曲げられる。このとき、保持具33の側壁部33kは、第2の保持部33bの側面部分に形成された切り欠き部33mと発熱体保持部2aの切り欠き部2g(図14参照)に入り込むよう構成されている。このように、側壁部33kが切り欠き部33mに入り込むとき、側壁部33kは発熱体保持部2aの切り欠き部2gに係合するため、発熱体2が保持具33から抜けることがなく、保持具33は発熱体2を電気的接続状態で確実に保持する。
【0098】
実施の形態3の発熱体ユニットにおいて、上記のように発熱体2は保持具33により確実に保持されており、保持具33と固定部35はスポット溶接されているため、発熱体2は固定部35に対して保持具33を介して確実に電気的に接続状態となる。この結果、実施の形態3の発熱体ユニットにおいては、帯状の発熱体2の両端部分が簡単な構成の保持具33により保持され、且つ保持具33が内部リード線部11a,11bの固定部35により確実に固定されているため、発熱体2と内部リード線部11a,11bの間は電気的接続状態が確保されている。このように、実施の形態3の発熱体ユニットは、発熱体2が保持具33を介して内部リード線部11a,11bに確実に接続固定され、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源となるとともに、簡単な構成であるため、作業効率が高く優れた生産性を有する発熱体ユニットを提供することができる。
【0099】
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4の発熱体ユニットについて図16を用いて説明する。実施の形態4の発熱体ユニットにおいて、前述の実施の形態1の発熱体ユニットと異なる点は、発熱体2の両端に取り付けられる保持具43及び固定部35の構成である。実施の形態4の発熱体ユニットにおける保持具43及び固定部35以外の構成は実施の形態1の発熱体ユニットと同じであるため、以下、実施の形態4における保持具43及び固定部35の構成について詳細に説明する。なお、実施の形態4の説明において、実施の形態1と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0100】
図16は、実施の形態4の発熱体ユニットにおける発熱体2の端部に取り付けられた保持具43及び固定部35等を示しており、発熱体2の長手方向と平行な中心軸における断面図である。
【0101】
実施の形態4の発熱体ユニットに用いられている保持具43は、実施の形態1の保持具3と同様に導電性を有する金属材料、例えばモリブデンで形成された平板な板材を折り曲げ加工とプレス加工により構成されたものである。図16に示すように、発熱体2は折り曲げられた保持具43の第1の保持部43aと第2の保持部43bとの間に挟まれ、かつ第1の保持部43aに形成された突起部43cにより発熱体2の貫通孔である掛止受部2c(図6参照)が貫通されて保持されている。
【0102】
実施の形態4の発熱体ユニットにおける保持具43は、前述の実施の形態1及び実施の形態2の保持具2,23と同様に、平板な板材により形成されているが、第1の保持部43aにはプレス加工等により突起部43cが形成されており、第2の保持部43bには前記の突起部43cに対応する位置に孔43dが形成されている。図16においては、孔43dが貫通孔で示したが、突起部43cが入り込む形状であれば有底孔(凹部孔)でもよい。展開された板材状態の保持具43においては、その略中央部分で略180度に折り曲げられて第1の保持部43aと第2の保持部43bが形成され、第1の保持部43aの突起部43cが発熱体2の係合孔2cを通過して第2の保持部43bの孔43dに入り込み、発熱体2を挟持する。
なお、実施の形態4の発熱体ユニットにおける保持具43は、第1の保持部43aと第2の保持部43bを1枚の板材で形成した例で説明するが、第1の保持部43aと第2の保持部43bは別部材で形成してそれぞれを接合する構成でもよい。
【0103】
実施の形態4の発熱体ユニットにおいては、上記のように保持具43が構成されているため、発熱体2は保持具43から抜けることがなく確実に保持される。また、第1の保持部43aから内部リード線7の導出方向と同じ方向に延設されている舌部43eには、内部リード線7に繋がる固定部35が配置され固定される。この舌部43eと固定部35は、図16において符号Xで示す2箇所の位置でスポット溶接され固定されている。スポット溶接位置は保持具43の中心軸上である。ここで、保持具43の中心軸とは、当該保持具43に保持される発熱体2の長手方向と平行であり、発熱体2と保持具43とを含む部材の重心を通る軸である。なお、スポット溶接位置は保持具43と固定部の溶着部分が発熱体2を容器内に張設するための張力を維持できる構成であれば1箇所でも良い。
実施の形態4の発熱体ユニットにおける保持具43においては、前述の実施の形態1の発熱体ユニットにおける保持具3の導出部3fと同じ目的で、第1の保持部43aと第2の保持部43bに導出部43f,43fがそれぞれ形成されている。
【0104】
実施の形態4の発熱体ユニットにおいて、上記のように発熱体2は保持具43により確実に保持されており、保持具43と固定部35はスポット溶接されているため(2点固定状態)、発熱体2は固定部35に対して保持具43を介して確実に電気的に接続状態となる。この結果、実施の形態4の発熱体ユニットにおいては、帯状の発熱体2の両端部分が簡単な構成の保持具43により保持され、保持具43が内部リード線部11a,11bの固定部35により確実に固定されて、発熱体2と内部リード線部11a,11bとの間の電気的接続状態が確保されている。このように、実施の形態4の発熱体ユニットは、発熱体2が保持具43を介して内部リード線部11a,11bに確実に接続固定され、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源となるとともに、作業効率が高く優れた生産性を有する発熱体ユニットを提供することができる。
【0105】
前述の実施の形態1から実施の形態4においては、保持具3,23,33,43の材料としてモリブデンを用いた例で説明したが、本発明においてはモリブデンに限定されるものではなく、モリブデン以外でも例えばタングステン、ニッケル、ステンレス等の耐熱性を有する材料を製品仕様に応じて適宜選択することができる。
【0106】
(実施の形態5)
本発明に係る実施の形態5における加熱装置ついて図17を用いて以下に説明する。
図17は、前述の実施の形態1から実施の形態4において説明した発熱体ユニットを装備した加熱装置の一例を示す斜視図である。
【0107】
図17において、加熱装置の一例である暖房用の加熱機器51である機器内部には、実施の形態1から実施の形態4で説明した本発明の発熱体ユニットが装備されている。なお、実施の形態5においては発熱体ユニットに符号52を付して説明する。実施の形態5の加熱機器51には、温度コントローラー53、反射板54、保護用のカバー55等の一般的な暖房用の加熱機器に用いられている構成部材が設けられている。
【0108】
このように構成された加熱機器51において、発熱体ユニット52に定格の電圧を印加することにより、所定の電流が発熱体ユニット52内の発熱体2に流れて発熱し、早い立ち上がりで温度が上昇する。実施の形態5の加熱機器51は、温度コントローラー53による温度制御により、ユーザの望む所定の温度に確実に保持される。また、発熱体ユニット52には、平面を有する帯状の発熱体2が熱源として用いられているため、その平面から輻射される熱は指向性を有している。実施の形態5の加熱機器51においては、発熱体ユニット52の発熱体2の平面部分が正面側と背面側に向くよう配設されている。このため、発熱体2の正面側から輻射された熱は、加熱機器51の正面側にある被加熱領域を加熱し、発熱体2の背面側から輻射された熱は反射板54により反射されて被加熱領域を加熱する。なお、発熱体2はフィルムシート素材で帯状に形成されているため、発熱体2の側面側から輻射される熱量は非常に少なく、正面側(背面側)から輻射される熱量に比べて無視できる程小さいものである。このため、実施の形態5の加熱機器51においては、高い指向性を有して、被加熱領域を効率高く加熱することができる。
【0109】
本発明の加熱装置に装備された発熱体ユニット52は、前述の実施の形態1から実施の形態4において説明した発熱体2を有しており、この発熱体2は、面方向の熱伝導率が略同じである優れた二次元的等方向性の熱伝導を有するフィルムシート素材で形成されており、熱容量が小さいため、立ち上がりが早く、且つ突入電流が少ない特性を有している。このため、本発明の発熱体ユニットを熱源として装備した加熱機器は、素早く加熱することが可能となる優れた応答性を有し、所定の領域を効率が高く加熱することができる優れた特徴を有する暖房機器となる。
【0110】
なお、本発明の発熱体ユニットは、暖房機器以外でも多種多様な電子/電気機器の熱源として用いることができ、例えば高温度の発熱体を装備している複写機、ファクシミリ、プリンタ等のOA機器、及び調理機器、乾燥機、加湿器等の電気機器等の熱源を必要とする各種機器に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、安全性及び信頼性が高く、且つ効率の高い熱源を構成することができるとともに、作業効率が高く優れた生産性を有する発熱体ユニット及び加熱装置を提供することができるため、熱源を必要とする電子/電気機器分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る実施の形態1の発熱体ユニットの構造を示す平面図
【図2】図1に示した発熱体ユニットの正面図
【図3】実施の形態1の発熱体ユニットにおける発熱体2の端部に取り付けられた保持具3等を示す平面図
【図4】実施の形態1の発熱体ユニットにおける保持具3等の正面図
【図5】図3に示す保持具3等のV−V線による断面図
【図6】実施の形態1の発熱体ユニットにおける発熱体2、保持具3及び固定部を示す図
【図7】本発明に係る実施の形態2の発熱体ユニットにおける発熱体2の端部に取り付けられた保持具23等を示す平面図
【図8】図7に示す保持具23等のVIII−VIII線による断面図
【図9】実施の形態2の発熱体ユニットにおける保持具23の展開図
【図10】実施の形態2の発熱体ユニットにおける保持具23の別の構成を示す展開図
【図11】実施の形態2の発熱体ユニットにおける発熱体と固定部との別の係合方法を示す断面図
【図12】本発明に係る実施の形態3の発熱体ユニットにおける発熱体2の端部に取り付けられた保持具33等を示す平面図
【図13】図12に示す保持具33等を示す正面図
【図14】実施の形態3の発熱体ユニットにおける発熱体2及び保持具33を示す図
【図15】実施の形態3の発熱体ユニットにおける発熱体2と保持具33との別の係合方法を示す平面図
【図16】本発明に係る実施の形態4の発熱体ユニットにおける発熱体2の端部に取り付けられた保持具43等を示す断面図
【図17】本発明に係る実施の形態1から実施の形態4の発熱体ユニットを装備した実施の形態5の加熱装置の一例を示す斜視図
【符号の説明】
【0113】
1 容器
2 発熱体
2a 発熱体保持部
2b 発熱部
2c 掛止受部
3 保持具
3a 第1の保持部
3b 第2の保持部
3c 側壁部
3d 第1の係合孔
3e 第2の係合孔
3f 導出部
3g 切り欠き
3h 舌部
4 位置規制部
5 固定部
5a 掛止部
6 スプリング部
7 内部リード線
8 モリブデン箔
9 外部リード線
10a 第1の電力供給部
10b 第2の電力供給部
11a 第1の内部リード線部
11b 第2の内部リード線部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素系物質を含む材料によりフィルムシートで形成され、2次元的等方向性の熱伝導を有する帯状の発熱体、
前記発熱体の両端を挟む接触面を有して対向して配置された第1の保持部と第2の保持部を持つ導電性材料により形成された保持具と、前記保持具と電気的に接続された内部リード線部とを有し、前記発熱体における対向する両端に電力を供給する電力供給部、及び
前記発熱体と前記電力供給部の一部を内包する容器、を具備する発熱体ユニットであって、
前記発熱体の両端に形成された掛止受部が、前記電力供給部に形成された掛止部と係合するよう構成された発熱体ユニット。
【請求項2】
前記発熱体の掛止受部が貫通孔で構成され、前記発熱体の両端を挟む前記第1の保持部と前記第2の保持部における前記掛止受部と対応する位置に貫通孔が形成され、前記内部リード線部における発熱体側端部に形成された掛止部が前記発熱体の前記掛止受部、前記第1の保持部及び前記第2の保持部の各貫通孔を貫通して係合するよう構成された請求項1に記載の発熱体ユニット。
【請求項3】
前記発熱体の掛止受部が貫通孔で構成され、前記発熱体の両端を挟む前記保持具の前記第1の保持部と前記第2の保持部の一方における前記掛止受部と対応する位置に貫通孔が形成され、前記保持具の他方における前記掛止受部と対応する位置に突起が形成されており、前記保持具における前記突起が前記保持具の貫通孔を前記発熱体の前記掛止受部とともに貫通して係合するよう構成された請求項1に記載の発熱体ユニット。
【請求項4】
前記内部リード線部の掛止部が発熱体側端部を屈曲して形成されており、前記第1の保持部に形成された貫通孔と前記第2の保持部に形成された貫通孔において、前記内部リード線部の前記掛止部の屈曲部分が配置される前記保持具における一方の貫通孔が、前記掛止部の先端部分が配置される他方の貫通孔より大きく形成された請求項2に記載の発熱体ユニット。
【請求項5】
前記第1の保持部又は前記第2の保持部の一方において、前記電力供給部の掛止部と係合する貫通孔と異なる位置に保持孔が形成されており、前記保持孔を前記内部リード線部が貫通して、前記内部リード線部が前記保持具を保持するよう構成された請求項2又は4に記載の発熱体ユニット。
【請求項6】
前記内部リード線部の掛止部が発熱体側端部を屈曲して形成されており、前記掛止部が前記保持具の貫通孔に挿入された状態において、前記掛止部の先端部分に脱落防止手段が施された請求項2、4、又は5のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項7】
前記発熱体の両端に形成された掛止受部が、当該発熱体の幅方向の両端縁の少なくとも一方の端縁に切り欠きで形成され、前記電力供給部の掛止部が、前記保持具における前記掛止受部と対応する位置に前記発熱体と接触する面に直交して前記発熱体の長手方向に延設された側壁部で形成された請求項1に記載の発熱体ユニット。
【請求項8】
前記保持具の掛止部としての前記側壁部が前記第1の保持部又は前記第2の保持部の一方に形成され、当該側壁部の突出端部が他方の保持部を回り込んで握着するよう構成された請求項7に記載の発熱体ユニット。
【請求項9】
前記第1の保持部と前記第2の保持部が1枚の材料を屈曲させて前記発熱体の端部を挟むよう構成された請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項10】
前記発熱体は、炭素系物質を含む材料により形成された層間構造を有する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項11】
前記容器は、耐熱性を有するガラス管又はセラミックス管により形成され、不活性ガスが充填されて前記電力供給部において封止された請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発熱体ユニットを熱源として装備した加熱装置。
【請求項1】
炭素系物質を含む材料によりフィルムシートで形成され、2次元的等方向性の熱伝導を有する帯状の発熱体、
前記発熱体の両端を挟む接触面を有して対向して配置された第1の保持部と第2の保持部を持つ導電性材料により形成された保持具と、前記保持具と電気的に接続された内部リード線部とを有し、前記発熱体における対向する両端に電力を供給する電力供給部、及び
前記発熱体と前記電力供給部の一部を内包する容器、を具備する発熱体ユニットであって、
前記発熱体の両端に形成された掛止受部が、前記電力供給部に形成された掛止部と係合するよう構成された発熱体ユニット。
【請求項2】
前記発熱体の掛止受部が貫通孔で構成され、前記発熱体の両端を挟む前記第1の保持部と前記第2の保持部における前記掛止受部と対応する位置に貫通孔が形成され、前記内部リード線部における発熱体側端部に形成された掛止部が前記発熱体の前記掛止受部、前記第1の保持部及び前記第2の保持部の各貫通孔を貫通して係合するよう構成された請求項1に記載の発熱体ユニット。
【請求項3】
前記発熱体の掛止受部が貫通孔で構成され、前記発熱体の両端を挟む前記保持具の前記第1の保持部と前記第2の保持部の一方における前記掛止受部と対応する位置に貫通孔が形成され、前記保持具の他方における前記掛止受部と対応する位置に突起が形成されており、前記保持具における前記突起が前記保持具の貫通孔を前記発熱体の前記掛止受部とともに貫通して係合するよう構成された請求項1に記載の発熱体ユニット。
【請求項4】
前記内部リード線部の掛止部が発熱体側端部を屈曲して形成されており、前記第1の保持部に形成された貫通孔と前記第2の保持部に形成された貫通孔において、前記内部リード線部の前記掛止部の屈曲部分が配置される前記保持具における一方の貫通孔が、前記掛止部の先端部分が配置される他方の貫通孔より大きく形成された請求項2に記載の発熱体ユニット。
【請求項5】
前記第1の保持部又は前記第2の保持部の一方において、前記電力供給部の掛止部と係合する貫通孔と異なる位置に保持孔が形成されており、前記保持孔を前記内部リード線部が貫通して、前記内部リード線部が前記保持具を保持するよう構成された請求項2又は4に記載の発熱体ユニット。
【請求項6】
前記内部リード線部の掛止部が発熱体側端部を屈曲して形成されており、前記掛止部が前記保持具の貫通孔に挿入された状態において、前記掛止部の先端部分に脱落防止手段が施された請求項2、4、又は5のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項7】
前記発熱体の両端に形成された掛止受部が、当該発熱体の幅方向の両端縁の少なくとも一方の端縁に切り欠きで形成され、前記電力供給部の掛止部が、前記保持具における前記掛止受部と対応する位置に前記発熱体と接触する面に直交して前記発熱体の長手方向に延設された側壁部で形成された請求項1に記載の発熱体ユニット。
【請求項8】
前記保持具の掛止部としての前記側壁部が前記第1の保持部又は前記第2の保持部の一方に形成され、当該側壁部の突出端部が他方の保持部を回り込んで握着するよう構成された請求項7に記載の発熱体ユニット。
【請求項9】
前記第1の保持部と前記第2の保持部が1枚の材料を屈曲させて前記発熱体の端部を挟むよう構成された請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項10】
前記発熱体は、炭素系物質を含む材料により形成された層間構造を有する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項11】
前記容器は、耐熱性を有するガラス管又はセラミックス管により形成され、不活性ガスが充填されて前記電力供給部において封止された請求項1乃至10のいずれか一項に記載の発熱体ユニット。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の発熱体ユニットを熱源として装備した加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−272221(P2009−272221A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123390(P2008−123390)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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