説明

発電システム

【課題】腐食の発生を抑えつつ、再生可能燃料を高効率に利用でき、COの排出量を削減することができる発電システムを提供することを目的とする。
【解決手段】第2ボイラ7で再生可能燃料を燃焼して蒸気を得、この蒸気を利用して、給水加熱器6で水を加熱することによって加熱水を得る。そして、給水加熱器6から第1ボイラ2に供給した加熱水を第1ボイラ2で更に加熱して蒸気とし、この蒸気をタービン3に供給して発電機4で発電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能燃料を利用した発電システムに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、発電プラント等で用いられる発電システムとして、以下の非特許文献1に記載の発電システムが知られている。この発電システムは、ボイラ、高圧タービン、中圧タービン、低圧タービン、復水器、低圧給水加熱器、脱気器及び高圧給水加熱器を備え、この発電システムでは、給水加熱器で加熱された給水がボイラに供給され、微粉炭等を燃焼して得られた熱で更に加熱されて蒸気となり、この蒸気が高圧タービン、中圧タービン、低圧タービンの順に通過し、これらのタービンが回転されて発電が行われる。蒸気が各タービンを通過する際には、蒸気の一部が、給水加熱器に抽気され、抽気されずに低圧タービンを通過した蒸気は、復水器を経て水となり、この水が低圧給水加熱器、脱気器、高圧給水加熱器の順に通過する。そして、水がこれらを通過する際、水は前述の抽気された蒸気によって加熱され、高圧給水加熱器を通過した水は、再びボイラに供給される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「蒸気動力」、コロナ社、1989年1月10日、P102
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、COの排出量を削減するために、微粉炭等を含む従来の化石燃料に代えて、バイオマスや廃棄物等の再生可能燃料が燃料として用いられている。この再生可能燃料を上記のような発電システムで利用する場合、再生可能燃料を微粉炭等と共にボイラで混焼させる方法がある。しかし、ボイラが微粉炭ボイラである場合、再生可能燃料を微粉炭とサイズを揃えるべく同サイズとなるように微粉にすることは困難であり、この方法で再生可能燃料を利用できるのは、発電システムで発電されるエネルギーのうち2〜3%程度に留まる。また、ボイラが循環型や気泡型の流動床ボイラである場合、得られる蒸気の温度が低温であれば再生可能燃料を100%使用することも可能であるが、発電システムを高効率に稼動するには、ボイラからタービンに供給する蒸気を500℃以上の高温にする必要があり、このような高温の蒸気がボイラ内の伝熱管を流れると、廃棄物中のビニールに含まれる塩素、食品系バイオマスに含まれるカリウムやナトリウム等のアルカリ系金属、廃タイヤに含まれる重金属などが燃焼されて生じた溶融塩等の有害物質が、伝熱管の表面に付着して当該伝熱管を腐食させるおそれがある。従って、このような有害物質の発生を抑制するには燃料に含まれる再生可能燃料の割合を少なくする必要があり、その結果、この場合も、再生可能燃料を高効率に使用することができない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、腐食の発生を抑えつつ、再生可能燃料を高効率に利用でき、COの排出量を削減することができる発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発電システムは、水を加熱して加熱水を得る給水加熱器と、給水加熱器から供給された加熱水を加熱して蒸気を得るボイラと、ボイラから供給された蒸気を用いる発電用の蒸気タービンとを備える発電システムであって、再生可能燃料を燃焼して蒸気を得る燃焼装置を備え、給水加熱器は、燃焼装置から供給された蒸気を利用して水を加熱し加熱水を得ることを特徴とする。
【0007】
この発電システムによれば、燃焼装置で再生可能燃料が燃焼されて蒸気が得られ、この蒸気を利用して給水加熱器で水が加熱され加熱水が得られ、給水加熱器からボイラに供給された加熱水がボイラで加熱されて蒸気となり、この蒸気が蒸気タービンに供給されて発電が行われる。ここで、給水加熱器で加熱水を得るために利用する蒸気は、ボイラからタービンに供給する高温の蒸気に比して低温で良い。このため、燃焼装置で再生可能燃料を燃焼して生じた有害物質が、燃焼装置内の伝熱管に付着しても、低温のため伝熱管での腐食の発生は抑制される。また、その結果、燃焼装置で燃焼する燃料は、100%再生可能燃料とすることができ、再生可能燃料を高効率に利用することが可能となる。また、給水加熱器で加熱水を得るために、従来の発電システムでは、ボイラで石炭を燃焼して得た蒸気の一部をタービンから抽気し、この蒸気のエネルギーを利用していたが、本発明に係る発電システムでは、燃焼装置で再生可能燃料を燃焼して得た蒸気のエネルギーを利用するため、従来の発電システムに比して、ボイラで燃焼する石炭の量を低減することができ、COの排出量を削減することができる。従って、腐食の発生を抑えつつ、再生可能燃料を高効率に利用でき、COの排出量を削減することができる。
【0008】
ここで、燃焼装置は、流動床炉であることが好ましい。こうすると、細片にされた再生可能燃料を良好に燃焼させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、腐食の発生を抑えつつ、再生可能燃料を高効率に利用でき、COの排出量を削減することができる発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る発電システムを示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の発電システムの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る発電システムを示す概略ブロック図である。
【0013】
発電システム1は、蒸気でタービンを回転させ、この回転を利用して発電を行うシステムであり、第1ボイラ(ボイラ)2、タービン(蒸気タービン)3、発電機4、復水器5、給水加熱器6及び第2ボイラ(燃焼装置)7を備えている。
【0014】
第1ボイラ2は、水を加熱して蒸気を得るためのものであり、ここでは、供給された石炭等の燃料を燃焼し、この燃焼により得られた熱を用いて、詳しくは後述する給水加熱器6から供給された加熱水を加熱して蒸気を得る。ここで、発電システム1を高効率に稼動させるため、第1ボイラ2で得る蒸気の温度は、500〜600℃程度とされている。なお、供給される燃料は石炭に限られず、重油やガス等の化石燃料であっても良い。そして、第1ボイラ2は、得られた蒸気をタービン3に供給する。
【0015】
タービン3は、第1ボイラ2から供給された蒸気を用いる発電用の蒸気タービンであり、第1ボイラ2から供給された蒸気を断熱膨張させ、これによりタービン翼を回転し、この回転を利用してタービン3に連結された発電機4で発電を行う。そして、タービン3は、発電に用いた蒸気を復水器5に供給する。なお、タービン3は、1段式のものであっても良いし、多段式のものであっても良い。
【0016】
復水器5は、タービン3から供給された蒸気を冷却し凝縮して水を得るためのものであり、得られた水を給水加熱器6に供給する。
【0017】
給水加熱器6は、水を加熱して加熱水を得るためのものであり、ここでは、詳しくは後述する第2ボイラ7から供給された蒸気を利用して、復水器5から供給された水を加熱し加熱水を得る。ここで、給水加熱器6で加熱水を得るために利用する蒸気の温度は、450℃前後とされている。そして、給水加熱器6は、得られた加熱水を第1ボイラ2に供給する。なお、水の加熱は、復水器5から供給された水と第2ボイラ7から供給された蒸気との間で熱交換を行っても良いし、これらを混合することで行っても良い。また、給水加熱器6は、1段式のものであっても良いし、多段式のものであっても良い。
【0018】
ここで、給水加熱器6及びタービン3は、配管Lを介して、開栓及び閉栓が自在に接続されている。タービン3及び給水加熱器6の間を開栓すると、断熱膨張前又は断熱膨張中の蒸気の一部がタービン3から給水加熱器6に抽気される。そして、給水加熱器6では、タービン3から抽気された蒸気を利用して、復水器5から供給された水を加熱し加熱水を得ることが可能となっている。なお、タービン3から抽気される蒸気の温度は、450℃前後とされている。
【0019】
第2ボイラ7は、供給された再生可能燃料を燃焼して蒸気を得るためのものであり、循環型又は気泡型の流動床炉である。この第2ボイラ7で得られる蒸気は、給水加熱器6で加熱水を得るために利用されるものであるため、その温度は、前述の通り、450℃前後である。
【0020】
この第2ボイラ7で燃焼する再生可能燃料には、バイオマス、廃棄物及び廃棄物由来燃料等が含まれる。バイオマスには、建設事業や森林事業等で発生する木質系バイオマス、種等の農業系バイオマス及び食品系バイオマス等が含まれる。また、廃棄物には、産業系廃棄物、汚泥、廃タイヤ及び廃プラスチック等が含まれる。また、廃棄物由来燃料とは、上記のような廃棄物をペレット状等にして燃料としたものである。そして、廃棄物中のビニール等には塩素が、食品系バイオマス等にはカリウムやナトリウム等のアルカリ系金属が、廃タイヤ等には重金属がそれぞれ含まれており、これらを燃焼すると溶融塩等の有害物質が発生する。
【0021】
このような発電システム1によれば、第2ボイラ7で再生可能燃料が燃焼されて蒸気が得られ、この蒸気を利用して給水加熱器6で水が加熱され加熱水が得られ、給水加熱器6から第1ボイラ2に供給された加熱水が第1ボイラ2で加熱されて蒸気となり、この蒸気がタービン3に供給されて発電が行われる。
【0022】
ここで、給水加熱器6で加熱水を得るために利用する蒸気は、第1ボイラ2からタービン3に供給する500〜600℃程度の高温の蒸気に比して、450℃前後と低温である。このため、第2ボイラ7で再生可能燃料を燃焼して生じた有害物質が、給水加熱器6で加熱水を得るための蒸気が流れる第2ボイラ7内の伝熱管に付着しても、450℃前後と低温のため当該伝熱管での腐食の発生は抑制される。また、その結果、第2ボイラ7で燃焼する燃料は、100%再生可能燃料とすることができ、再生可能燃料を高効率に利用できる。また、給水加熱器で加熱水を得るために、従来の発電システムでは、ボイラで石炭を燃焼して得た蒸気の一部をタービンから抽気し、この蒸気のエネルギーを利用していたが、この発電システム1では、第2ボイラ7で再生可能燃料を燃焼して得た蒸気のエネルギーを利用するため、従来の発電システムに比して、第1ボイラ2で燃焼する石炭の量を低減することができ、COの排出量を削減することができる。従って、腐食の発生を抑えつつ、再生可能燃料を高効率に利用でき、COの排出量を削減することができる。
【0023】
また、第2ボイラ7は、循環型又は気泡型の流動床炉であるため、細片にされた再生可能燃料を良好に燃焼させることができる。
【0024】
また、タービン3及び給水加熱器6は、配管Lを介して、開栓及び閉栓が自在に接続されているため、第2ボイラ7が停止した場合に、タービン3及び給水加熱器6の間を開栓することで、タービン3に供給された蒸気の一部が給水加熱器6に抽気され、この蒸気を利用して復水器5から供給された水が加熱され加熱水が得られる。従って、第2ボイラ7が停止した場合に、発電システム1の稼動を継続することが可能であり、発電システム1の信頼性を向上することができる。
【0025】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、第2ボイラ7は流動床炉であるが、ストーカ炉であっても良い。また、上記実施形態では、発電システム1は復水器5を備えた復水式のシステムであるが、復水器を備えない背圧式のシステムであっても良い。
【符号の説明】
【0026】
1…発電システム、2…第1ボイラ(ボイラ)、3…タービン(蒸気タービン)、6…給水加熱器、7…第2ボイラ(燃焼装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して加熱水を得る給水加熱器と、前記給水加熱器から供給された前記加熱水を加熱して蒸気を得るボイラと、前記ボイラから供給された前記蒸気を用いる発電用の蒸気タービンとを備える発電システムであって、
再生可能燃料を燃焼して蒸気を得る燃焼装置を備え、
前記給水加熱器は、前記燃焼装置から供給された前記蒸気を利用して前記水を加熱し前記加熱水を得ることを特徴とする発電システム。
【請求項2】
前記燃焼装置は、流動床炉であることを特徴とする請求項1に記載の発電システム。

【図1】
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【公開番号】特開2012−117680(P2012−117680A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264827(P2010−264827)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】