説明

発電ブラックマスクを有する装置およびそれを製造する方法

【課題】ブラックマスクが光を吸収し、電力を生成することができる電子装置を提供する。
【解決手段】複数の光学ディスプレイ素子を含む表示領域と、前記表示領域の前記光学ディスプレイ素子間の領域内に堆積され、基板と前記光学ディスプレイ素子との間に配置された光起電性ブラックマスクと、を備えている電子装置であって、前記光起電性ブラックマスクが、光を吸収するように構成された少なくとも1つの層、および電力を生成するように構成された少なくとも1つの層、を備えている電子装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、微小電気機械システム(MEMS)に関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)は、微小機械素子、アクチュエータ、および電子回路を含む。微小機械素子は、堆積、エッチング、および/または他のマイクロマシニングプロセスを使用して作製することができ、マイクロマシニングプロセスは、基板および/または堆積した材料層の一部分をエッチング除去し、または複数の層を加えて電気装置および電気機械装置を形成する。MEMS装置の1つのタイプは、分岐干渉変調器と呼ばれている。本明細書では、分岐干渉変調器または分岐干渉光変調器という用語は、光学干渉の原理を使用して、光を選択的に吸収および/または反射する装置を指す。実施形態によっては、分岐干渉変調器は一対の導電板を備えてもよく、その一方または両方が、全体的または部分的に透明および/または反射性であり、適切な電気信号を加えたとき相対的運動することが可能なものとすることができる。特定の実施形態では、一方の板は、基板上に堆積した固定層を備えてもよく、もう一方の板は、空隙によって固定層から分離された金属膜を備えてもよい。本明細書でより詳細に記述する通り、一方の板に対するもう一方の板の位置により、分岐干渉変調器に入射する光の光学干渉を変更することができる。このような装置には広範な用途があり、既存の製品を改良する際、およびまだ開発されていない新規の製品を生み出す際に、それらの特徴を利用することができるように、これらのタイプの装置の特性を利用および/または修正することは、当技術分野において有益になるはずである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態では、電子装置は、複数の光学ディスプレイ素子を含む表示領域と、この表示領域の各光学ディスプレイ素子間の領域内に堆積した光起電性ブラックマスクとを備え、この光起電性ブラックマスクは、光を吸収するように構成されている少なくとも1つの層、および電力を生成するように構成されている少なくとも1つの層を備える。
【0004】
他の実施形態では、光起電性ブラックマスクを作製する方法は、基板上に反射防止層を堆積するステップと、この反射防止層の上に第1の電極層を堆積するステップと、この第1の電極層の上に半導体層を堆積するステップと、この半導体層の上に第2の電極層を堆積するステップと、反射防止層、第1の電極層、半導体層、および第2の電極層の一部分にパターン形成するステップとを含む。
【0005】
他の実施形態では、電子装置は、複数の光学ディスプレイ素子を含む表示領域、光を吸収する手段、および電力を生成する手段を備え、この吸収手段および電力生成手段は、表示領域の各光学ディスプレイ素子間の領域内に堆積する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の分岐干渉変調器の可動反射層が弛緩位置にあり、第2の分岐干渉変調器の可動反射層が作動位置にある、分岐干渉変調器表示装置の一実施形態の一部分を示す等角図である。
【図2】3×3の分岐干渉変調器表示装置を組み込む電子装置の一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図3】図1の分岐干渉変調器の例示的な一実施形態における、印加される電圧に対する可動ミラーの位置の図である。
【図4】分岐干渉変調器表示装置を駆動するのに使用することができる、1組の行および列の電圧を示す図である。
【図5A】図2の3×3の分岐干渉変調器表示装置での、表示データの例示的な1フレームを示す図である。
【図5B】図5Aのフレームを書き込むのに使用することができる、行および列の信号についての1つの例示的なタイミング図である。
【図6A】複数の分岐干渉変調器を備える画像表示装置の一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図6B】複数の分岐干渉変調器を備える画像表示装置の一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図7A】図1の装置の断面図である。
【図7B】分岐干渉変調器の一代替実施形態の断面図である。
【図7C】分岐干渉変調器の他の代替実施形態の断面図である。
【図7D】分岐干渉変調器のさらに他の代替実施形態の断面図である。
【図7E】分岐干渉変調器のさらなる代替実施形態の断面図である。
【図8A】複数の光学ディスプレイ素子内に含まれる構造体を含む非作動領域を示す、分岐干渉変調器アレイの一部分の上面図である。
【図8B】複数の光学ディスプレイ素子内に含まれる構造体を含む非作動領域を示す、分岐干渉変調器アレイの一部分の上部正面図である。
【図9】一実施形態によるマスクまたは光吸収領域を有するMEMSデバイスの断面図である。
【図10】一実施形態による発電ブラックマスキングを示す図である。
【図11A】一実施形態による発電ブラックマスクを製造する方法を示す図である。
【図11B】一実施形態による発電ブラックマスクを製造する方法を示す図である。
【図11C】一実施形態による発電ブラックマスクを製造する方法を示す図である。
【図11D】一実施形態による発電ブラックマスクを製造する方法を示す図である。
【図11E】一実施形態による発電ブラックマスクを製造する方法を示す図である。
【図11F】一実施形態による発電ブラックマスクを製造する方法を示す図である。
【図11G】一実施形態による発電ブラックマスクを製造する方法を示す図である。
【図12A】他の実施形態による発電ブラックマスクを示す図である。
【図12B】他の実施形態による発電ブラックマスクを示す図である。
【図13】他の実施形態による、直列に接続された発電ブラックマスクを示す図である。
【図14A】発電ブラックマスクの一実施形態によって反射および吸収される光の量を示すグラフである。
【図14B】発電ブラックマスクの一実施形態の各層の材料および厚さを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明は、ある特定の実施形態を対象とする。しかし、他の実施形態を使用してもよく、要素によっては多数の異なる方法で実施することができる。この説明では各図面について述べるが、これらの図面においては、全体を通して同じ部品は同じ数字で表される。以下の説明から明らかとなるように、各実施形態は、動いていようと(たとえばビデオ)静止していようと(たとえば静止画像)、また文字であろうと絵であろうと、画像を表示するように構成されたどんな装置で実施されてもよい。より具体的には、各実施形態は、たとえば以下の装置だがそれらに限定されない様々な電子装置において実施してもよく、またはそれら電子装置に関連してもよいことが企図されている。すなわち、携帯電話、無線装置、携帯型情報端末(PDA)、ハンドヘルドコンピュータまたはポータブルコンピュータ、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤ、カムコーダ、ゲーム機、腕時計、時計、計算器、テレビジョンモニタ、フラットパネル表示装置、コンピュータモニタ、自動車表示装置(たとえば、オドメータ表示装置など)、コックピットの制御装置および/または表示装置、カメラビューの表示装置(たとえば車両内の後方確認用カメラの表示装置)、電子写真、電子広告板または電子サイン、プロジェクタ、建築物、パッケージング、ならびに美的な構造物(たとえば、一片の宝石上の画像の表示装置)などの装置である。本明細書に記載の装置と同様の構造のMEMS装置は、電子スイッチング装置などの非表示用途で使用することもできる。
【0008】
従来の表示装置の表示品質を維持しながら、より電力効率のよいモバイル装置の表示装置を望むことは、発電能力を有する光学マスクによって容易に実現する。上記その他の理由により、表示装置内でのさらなる受動または非作動の光学的な内容物の量を最小限に抑えながら、装置が使用する電力量を低減させ、または十分な電力を生成してさらなる構成部品を充電することさえも望ましい。一実施形態では、多目的光学構成部品は、発電光学マスク、たとえば「ブラックマスク」として働いて、周辺光または迷光を吸収し、コントラスト比を増大させることにより表示装置の光応答を改善し、またブラックマスクを使用して装置用の電力をも生成する。発電ブラックマスクは、表示装置で使用してもよく、電力を生成して装置の総合的な消費電力を低減させてもよい。さらに、発電ブラックマスクは、十分な電力を生成して、装置の構成部品を充電することができる。用途によっては、ブラックマスクは、黒以外の色として見えるように、所定の波長の光を反射することができる。一実施形態では、MEMS表示装置、たとえば分岐干渉変調器のアレイは、動的な光学構成部品(たとえば、動的分岐干渉変調器)、および、動的光学構成部品から横方向にオフセットされた静的な光学構成部品(たとえば、静的分岐干渉変調器)を備える。静的な光学構成部品は、「ブラックマスク」の役割を果たして、表示装置の非作動領域内の周辺光または迷光を吸収して、動的な光学構成部品の光応答を改善し、また発電構成部品として働く。たとえば、非作動領域は、可動反射層に対応する領域以外のMEMS表示装置の1つまたは複数の領域を含むことができる。非作動領域はまた、表示装置上に表示される画像またはデータを表示するのに使用されない表示装置の領域を含むことができる。
【0009】
一実施形態を説明するのに、分岐干渉変調器を含むMEMSデバイスを使用することになるが、本開示の各部分は、一般に、光吸収するのに必要とされる非作動領域を有するが、分岐干渉変調器を含まない様々なイメージング表示装置や光電子デバイスなど他の光学装置に適用してもよいことを理解されたい(たとえば、LCD、LEDおよびプラズマディスプレイ)。以下の説明から明らかとなるように、本開示の各部分は、動いていようと(たとえばビデオ)静止していようと(たとえば静止画像)、また文字であろうと絵であろうと、画像を表示するように構成されたどんな装置で実施されてもよい。より具体的には、本開示は、たとえば以下の装置だがそれらに限定されない様々な電子装置に適用してもよい。すなわち、携帯電話、無線装置、携帯型情報端末(PDA)、ハンドヘルドコンピュータまたはポータブルコンピュータ、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤ、カムコーダ、ゲーム機、腕時計、時計、計算器、テレビジョンモニタ、フラットパネル表示装置、コンピュータモニタ、自動車表示装置(たとえば、オドメータ表示装置など)、コックピットの制御装置および/または表示装置、カメラビューの表示装置(たとえば車両内の後方確認用カメラの表示装置)、電子写真、電子広告板または電子サイン、プロジェクタ、建築物、パッケージング、ならびに美的な構造物(たとえば、一片の宝石上の画像の表示装置)などの装置である。本明細書に記載の装置と同様の構造のMEMS装置は、電子スイッチング装置などの非表示用途で使用することもできる。さらに、本開示は、決して表示装置での使用に限定されない。
【0010】
干渉MEMS表示素子を備える分岐干渉変調器表示装置の一実施形態が図1に示してある。これらの装置では、各画素は、明状態または暗状態のいずれかにある。明(「オン」または「オープン」)状態では、表示素子は、ユーザに向けて入射可視光の大部分を反射する。暗(「オフ」または「クローズド」)状態のときには、表示素子は、ユーザに向けて入射可視光をほとんど反射しない。実施形態に応じて、「オン」および「オフ」状態の光の反射特性が逆になってもよい。MEMS画素は、主に選択した色で反射するように構成することができ、白黒表示装置に加えてカラー表示装置も可能にする。
【0011】
図1は、表示装置での一連の画素における隣接する2つの画素を示す等角図であり、各画素はMEMS分岐干渉変調器を備える。実施形態によっては、分岐干渉変調器表示装置は、これら分岐干渉変調器の行/列アレイを備える。各分岐干渉変調器は、少なくとも1つの寸法を可変にして共振光学ギャップを形成するように、互いから可変で制御可能な距離をおいて配置された一対の反射層を備える。一実施形態では、反射層のうちの1つは、2つの位置の間で移動してもよい。本明細書において弛緩位置と称される第1の位置では、可動反射層は、固定された部分的に反射する層から相対的に長い距離を離して配置される。本明細書において作動位置と称される第2の位置では、可動反射層は、部分的に反射する層により近く隣接して配置される。2つの層から反射する入射光は、可動反射層の位置に応じて、強め合いまたは弱め合いながら干渉し、各画素に対して全体的に反射する状態または無反射の状態のいずれかを生成する。
【0012】
図1における画素アレイのうちの図示してある部分は、2つの隣接する分岐干渉変調器12aおよび12bを備える。左側の分岐干渉変調器12aでは、可動反射層14aが、光学スタック16aから所定の距離をおいた弛緩位置で示してあり、光学スタック16aは、部分的に反射する層を備えている。右側の分岐干渉変調器12bでは、可動反射層14bが、光学スタック16bに隣接した作動位置で示してある。
【0013】
光学スタック16aおよび16b(まとめて光学スタック16と呼ぶ)は、本明細書において述べられているように、通常はいくつかの融合層を備え、それらの層には、インジウムスズ酸化物(ITO)などの電極層、クロムなどの部分的に反射する層、および透明誘電体が含まれ得る。したがって、光学スタック16は、導電性であり、部分的に透明であり、部分的に反射し、また、たとえば上記各層のうちの1層または複数の層を透明な基板20上に堆積することによって製造してもよい。部分的に反射する層は、様々な金属、半導体、誘電体など、部分的に反射する様々な材料から形成することができる。部分的に反射する層は、1層または複数の層の材料から形成することができ、各層のそれぞれは、単一の材料または複数の材料の組合せから形成することができる。
【0014】
実施形態によっては、光学スタック16の各層は、パターン形成して平行ストリップになり、さらに以下で説明されるように、表示装置内で行電極を形成してもよい。可動反射層14a、14bは、堆積した金属層または支柱18の上端に堆積した(16a、16bの行電極に直交する)層の一連の平行ストリップ、および各支柱18の間に堆積した介在犠牲材料として形成されてもよい。犠牲材料がエッチング除去されると、可動反射層14a、14bは、確定したギャップ19だけ光学スタック16a、16bから分離される。アルミニウムなど高い導電性および反射特性をもつ材料を反射層14用に使用してもよく、これらのストリップは、表示装置内で列電極を形成してもよい。
【0015】
電圧を印加しないと、図1の画素12aによって示すように、ギャップ19は、可動反射層14aが機械的に弛緩した状態で、可動反射層14aと光学スタック16aの間にとどまる。しかし、選択された行および列に電位差が加わると、対応する画素での行電極と列電極の交差部分に形成されたコンデンサが充電され、静電気力により各電極がともに引っ張られる。電圧が十分に高いとき、可動反射層14は変形し、光学スタック16に押しつけられる。図1の右側の画素12bによって示すように、光学スタック16内の誘電体層(この図では図示せず)は、短絡を防止し、層14と16の間の分離距離を制御することができる。印加された電位差の極性がどうであれ、挙動は同じである。このようにして、反射か無反射かの画素状態を制御することができる行/列の作動は、従来のLCDおよび他の表示装置技術で使用される作動と多くの点で類似している。
【0016】
図2から5Bには、表示装置の用途において分岐干渉変調器のアレイを使用するための、例示的な1つのプロセスおよびシステムが示してある。
【0017】
図2は、本発明の各態様を組み込んでもよい電子装置の一実施形態を示すシステムブロック図である。例示的な実施形態では、電子装置はプロセッサ21を備える。プロセッサ21は、ARM、Pentium(登録商標)、Pentium(登録商標)II、Pentium(登録商標)III、Pentium(登録商標)IV、Pentium(登録商標)Pro、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)、ALPHA(登録商標)など、どんな汎用のシングルチップまたはマルチチップのマイクロプロセッサでもよく、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、またはプログラマブルゲートアレイなど、どんな特殊目的のマイクロプロセッサでもよい。当技術分野では従来と同様に、プロセッサ21は、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成されてもよい。オペレーティングシステムを実行するのに加えて、プロセッサは、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、eメールプログラム、または他の任意のソフトウェアアプリケーションを含め、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されてもよい。
【0018】
一実施形態では、プロセッサ21はまた、アレイドライバ22と通信するように構成される。一実施形態では、アレイドライバ22は、ディスプレイアレイまたはパネル30に信号を供給する行ドライバ回路24および列ドライバ回路26を備える。図1に示したアレイの断面図が、図2の線1−1で示してある。MEMS分岐干渉変調器については、行/列の作動プロトコルは、図3に示したこれらの装置のヒステリシス特性を利用してもよい。可動層を弛緩状態から作動状態に変形させるには、たとえば10ボルトの電位差が必要となることがある。しかし、電圧がその値から減少するときには、電圧が10ボルト未満に後退するにつれて、可動層はその状態を維持する。図3の例示的な実施形態では、電圧が2ボルト未満に降下するまで、可動層は完全には弛緩しない。したがって、図3に示した例では、約3〜7ボルトの印加電圧の窓が存在し、その電圧範囲内で、装置は弛緩状態または作動状態のいずれかで安定している。これは、本明細書において「ヒステリシス窓」または「安定性窓」と称される。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイについては、行ストロービング中に、ストロービングされる行の中の作動すべき画素が約10ボルトの電圧差に曝され、弛緩すべき画素がゼロボルトに近い電圧差に曝されるように、行/列の作動プロトコルを設計することができる。ストローブの後に、各画素は、行ストローブによってもたらされたどんな状態にもとどまるように、約5ボルトの定常状態の電圧差に曝される。各画素は、書き込まれた後に、この例では3〜7ボルトの「安定性窓」の範囲内の電位差を知る。この特徴により、図1に示した画素設計は、前から存在する作動状態または弛緩状態のいずれかにおける同じ印加電圧条件下で安定する。分岐干渉変調器の各画素は、作動状態にあっても弛緩状態にあっても、本質的には、固定された反射層および動く反射層によって形成されるコンデンサなので、ほとんど電力を消費することなく、この安定状態をヒステリシス窓内の電圧で保持することができる。本質的に、印加電位が固定されている場合、電流は画素には流れない。
【0019】
典型的な用途では、第1の行における作動中の画素の所望のセットに従って、列電極のセットをアサートすることにより、表示フレームを作成してもよい。次いで、行パルスが行1の電極に加えられ、アサートされた列ラインに対応する各画素を作動させる。次いで、列電極のアサートされたセットは、第2の行における作動中の画素の所望のセットに対応するように変更される。次いで、パルスが行2の電極に加えられ、アサートされた列電極に従って行2内の適切な画素を作動させる。行1の各画素は、行2のパルスには影響されず、行1のパルス期間中に設定された状態にとどまる。フレームを生成するために、一連の行全体に対して順次、これが繰り返されてもよい。一般に、各フレームは、1秒毎のある所望フレーム数でこのプロセスを継続して繰り返すことにより、新規の表示データでリフレッシュおよび/または更新される。画素アレイの行電極および列電極を駆動して表示フレームを生成するための多種多様なプロトコルもよく知られており、本発明と一緒に使用してもよい。
【0020】
図4、5Aおよび5Bには、図2の3×3アレイ上に表示フレームを生成するための、実現可能な1つの作動プロトコルが示してある。図4には、図3のヒステリシスカーブを示す画素向けに使用してもよい、列および行の電圧レベルの実現可能なセットが示してある。図4の実施形態では、画素を作動させるには、適切な列を−Vbiasに設定し、適切な行を+ΔVに設定する必要があり、これらの電圧はそれぞれ−5ボルトおよび+5ボルトに対応してもよい。画素を弛緩させることは、適切な列を+Vbiasに設定し、適切な行を同じ+ΔVに設定し、画素の両端にゼロボルトの電位差を生成することによって達成される。行電圧がゼロボルトに保持されている各行では、列が+Vbiasであれ−Vbiasであれ、各画素は、元々がいかなる状態であったとしても安定である。やはり図4に示すように、上記の電圧とは逆極性の電圧を使用できることが理解されよう。たとえば、画素を作動させるのに、適切な列を+Vbiasに設定し、適切な行を−ΔVに設定することが必要になることがある。この実施形態では、画素を解放することは、適切な列を−Vbiasに設定し、適切な行を同じ−ΔVに設定し、画素の両端にゼロボルトの電位差を生成することによって達成される。
【0021】
図5Bは、図2の3×3アレイに加えられる一連の行信号および列信号を示すタイミング図であり、結果として図5Aに示す表示配置になる。ここで、作動中の画素は無反射である。図5Aに示したフレームを書き込む前に、各画素はどんな状態とすることもでき、この例では、すべての行は0ボルトであり、すべての列は+5ボルトである。これらの印加電圧を用いて、すべての画素は、その既存の作動状態または弛緩状態において安定である。
【0022】
図5Aのフレームでは、画素(1,1)、(1,2)、(2,2)、(3,2)および(3,3)が作動中である。これを達成するために、行1に対する「ライン時間」中に、列1および2は−5ボルトに設定され、列3は+5ボルトに設定される。すべての画素は3〜7ボルトの安定性窓内にとどまるので、どんな画素の状態も、これによって変更されることはない。次いで、0ボルトから5ボルトに立ち上がりゼロに戻るパルスで、行1がストローブされる。これにより、(1,1)および(1,2)の画素が作動し、(1,3)の画素が弛緩する。アレイ内の他の画素は影響を受けない。行2を要望通り設定するために、列2は−5ボルトに設定され、列1および3は+5ボルトに設定される。次いで、行2に加えられる同じストローブにより、画素(2,2)が作動し、画素(2,1)および(2,3)が弛緩することになる。この場合も、アレイの他の画素は影響を受けない。列2および3を−5ボルトに設定し、列1を+5ボルトに設定することにより、行3が同様に設定される。行3のストローブにより、行3の画素は、図5Aに示すように設定される。フレームを書き込んだ後、行の電位はゼロになり、列の電位は+5ボルトまたは−5ボルトのいずれかにとどまることができ、次いで表示は図5Aの配置で安定する。数十または数百の、行および列のアレイに対して、同じ手順を使用できることが理解されよう。行および列の作動を実行するために使用される電圧のタイミング、順番、およびレベルは、上述の一般的な原理の範囲内で広く変更することができ、上記の例は単に例示的なものであり、本明細書に記載のシステムおよび方法とともに、いかなる作動電圧の方法をも使用できることが理解されよう。
【0023】
図6Aおよび6Bは、表示装置40の一実施形態を示すシステムブロック図である。表示装置40は、たとえばセルラ電話または携帯電話とすることができる。しかし、表示装置40の同じ構成部品、またはそれをわずかに変更したものは、テレビジョンや携帯用メディアプレーヤなどの様々なタイプの表示装置の実例にもなる。
【0024】
表示装置40は、ハウジング41、ディスプレイ30、アンテナ43、スピーカ45、入力装置48、およびマイクロホン46を備える。一般にハウジング41は、射出成形および真空成形を含め、当業者にはよく知られている様々な製造プロセスのうちの任意のものから形成される。さらに、ハウジング41は、プラスチック、金属、ガラス、ゴム、およびセラミック、またはそれらの組合せを含むが、それだけには限定されない様々な材料のうちの任意のものから作製してもよい。一実施形態では、ハウジング41は取外し可能な部分(図示せず)を備え、この部分は、互いに異なる色の、または様々なロゴ、絵、またはシンボルを含む他の取外し可能な部分と交換してもよい。
【0025】
例示的な表示装置40のディスプレイ30は、本明細書に記載の通り、双安定ディスプレイを含む様々なディスプレイのうちの任意のものでよい。他の実施形態では、ディスプレイ30には、前述のプラズマ、EL、OLED、STN LCD、もしくはTFT LCDなどのフラットパネル表示装置、または、当業者にはよく知られているように、CRTもしくは他の電子管装置などの非フラットパネル表示装置が含まれる。しかし、本実施形態を説明するために、本明細書に記載の通り、ディスプレイ30には、分岐干渉変調器表示装置が含まれる。
【0026】
例示的な表示装置40の一実施形態の各構成部品が、図6Bに概略的に示してある。図示された例示的な表示装置40は、ハウジング41を備え、その中に少なくとも部分的に格納される追加の構成部品を備えることができる。たとえば、一実施形態では、例示的な表示装置40は、アンテナ43を含むネットワークインターフェース27を備え、このアンテナは送受信機47に結合されている。送受信機47はプロセッサ21に接続され、プロセッサはコンディショニングハードウェア52に接続されている。コンディショニングハードウェア52は、信号を調整する(たとえば、信号をフィルタリングする)ように構成してもよい。コンディショニングハードウェア52は、スピーカ45およびマイクロホン46に接続されている。プロセッサ21は、入力装置48およびドライバ制御装置29にも接続されている。ドライバ制御装置29は、フレームバッファ28およびアレイドライバ22に結合され、このアレイドライバは、さらにディスプレイアレイ30に結合されている。特定の例示的な表示装置40の設計の求めにより、電源50は、すべての構成部品に電力を供給する。
【0027】
例示的な表示装置40が1つまたは複数の装置とネットワーク上で通信できるように、ネットワークインターフェース27は、アンテナ43および送受信機47を備える。一実施形態では、ネットワークインターフェース27はまた、プロセッサ21の要求を軽減するためのいくらかの処理能力を有してもよい。アンテナ43は、信号を送受信するための、当業者に知られている任意のアンテナである。一実施形態では、アンテナは、IEEE 802.11 (a)、(b)、または(g)を含むIEEE 802.11規格に従って、RF信号を送受信する。他の実施形態では、アンテナは、ブルートゥース規格に従って、RF信号を送受信する。セルラ電話の場合、アンテナは、無線携帯電話ネットワーク内で通信するために使用される、CDMA、GSM(登録商標)、AMPSまたは他の知られた信号を受信するように設計される。送受信機47は、アンテナ43から受信される信号が、プロセッサ21によって受信され、さらに処理されてもよいように、その信号を前処理する。送受信機47はまた、プロセッサ21から受信される信号が、例示的な表示装置40からアンテナ43を介して送信されてもよいように、その信号を処理する。
【0028】
一代替実施形態では、送受信機47は、受信機で置き換えることができる。さらに他の代替実施形態では、ネットワークインターフェース27は、プロセッサ21に送る画像データを記憶または生成することができる画像ソースで置き換えることができる。たとえば、画像ソースは、画像データまたは画像データを生成するソフトウェアモジュールを格納するデジタルビデオディスク(DVD)またはハードディスクドライブとすることができる。
【0029】
プロセッサ21は一般に、例示的な表示装置40の総合的な作動を制御する。プロセッサ21は、ネットワークインターフェース27または画像ソースからの圧縮された画像データなどのデータを受信し、このデータを処理して、生画像データまたは容易に処理して生画像データに変換できるフォーマットにする。次いで、プロセッサ21は、記憶するために、ドライバ制御装置29またはフレームバッファ28に処理されたデータを送る。通常、生データとは、画像内の各位置での画像特性を識別する情報を指す。たとえば、このような画像特性には、色、飽和度、およびグレースケールレベルが含まれ得る。
【0030】
一実施形態では、プロセッサ21は、例示的な表示装置40の作動を制御するための、マイクロコントローラ、CPU、または論理演算装置を備える。コンディショニングハードウェア52は、一般に、スピーカ45に信号を送信し、マイクロホン46から信号を受信するための増幅器およびフィルタを備える。コンディショニングハードウェア52は、例示的な表示装置40内の個別の構成部品でもよく、プロセッサ21または他の構成部品内に組み込まれてもよい。
【0031】
ドライバ制御装置29は、プロセッサ21によって生成される生画像データを、プロセッサ21直接またはフレームバッファ28のいずれかから取得し、アレイドライバ22に高速伝送するために、この生画像データを適切に再フォーマットする。具体的には、ドライバ制御装置29は、ディスプレイアレイ30全域を走査するのに適した時間順位を有するように、生画像データを再フォーマットして、ラスタのようなフォーマットを有するデータフローに変換する。次いで、ドライバ制御装置29は、フォーマットされた情報をアレイドライバ22に送る。LCD制御装置などのドライバ制御装置29は、スタンドアロンの集積回路(IC)として、システムプロセッサ21としばしば連携するが、このような制御装置は、多くの方法で実装されてもよい。これらの装置は、ハードウェアとしてプロセッサ21に組み込まれても、ソフトウェアとしてプロセッサ21に組み込まれても、またはアレイドライバ22とともにハードウェア内に完全に集積化されてもよい。
【0032】
通常、アレイドライバ22は、フォーマットされた情報をドライバ制御装置29から受信し、ビデオデータを再フォーマットして波形の並行セットにする。これらの波形は、画素の表示x−y行列からくる、何百ときには何千ものリード線に、1秒間に何度も加えられる。
【0033】
一実施形態では、ドライバ制御装置29、アレイドライバ22、およびディスプレイアレイ30は、本明細書に記載の表示装置のいかなるタイプにも適している。たとえば、一実施形態では、ドライバ制御装置29は、従来のディスプレイ制御装置または双安定ディスプレイ制御装置(たとえば、分岐干渉変調器制御装置)である。他の実施形態では、アレイドライバ22は、従来のドライバまたは双安定ディスプレイドライバ(たとえば、分岐干渉変調器表示装置)である。一実施形態では、ドライバ制御装置29は、アレイドライバ22と一体化している。このような実施形態は、セルラ電話、腕時計、および他の小面積の表示装置など、高度に集積化されたシステムでは一般的である。さらに他の実施形態では、ディスプレイアレイ30は、典型的なディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(たとえば、分岐干渉変調器のアレイを含む表示装置)である。
【0034】
入力装置48により、ユーザは、例示的な表示装置40の作動を制御することができるようになる。一実施形態では、入力装置48には、QWERTYキーボードもしくは電話のキーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、タッチスクリーン、または感圧性もしくは感熱性の膜が含まれる。一実施形態では、マイクロホン46は、例示的な表示装置40用の入力装置である。データを装置に入力するのにマイクロホン46が使用されるとき、例示的な表示装置40の作動を制御するために、音声コマンドはユーザが提供してもよい。
【0035】
電源50には、当技術分野でよく知られた様々なエネルギー貯蔵装置が含まれ得る。たとえば、一実施形態では、電源50は、ニッケルカドミウム電池またはリチウムイオン電池などの充電式電池である。他の実施形態では、電源50は、再生可能なエネルギー源、コンデンサ、または、プラスチック太陽電池および太陽電池塗料を含む太陽電池である。他の実施形態では、電源50は、壁面コンセントから電力を受け取るように構成されている。
【0036】
実施形態によっては、制御プログラミング機能は、前述の通り、電子表示システム内のいくつかの場所に配置することができるドライバ制御装置内にある。実施形態によっては、制御プログラミング機能は、アレイドライバ22内にある。前述の最適化は、いかなる数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成部品、ならびに様々な構成で実施されてもよいことが、当業者には理解されよう。
【0037】
上述の原理に従って作動する分岐干渉変調器の構造の詳細は、変化に富んでもよい。たとえば、図7A〜7Eには、可動反射層14およびその支持構造物の5つの異なる実施形態が示してある。図7Aは、図1の実施形態の断面図であり、ここでは、金属材料のストリップ14が、直交して延びる支持体18の上に堆積している。図7Bでは、可動反射層14が、コーナーにおいてのみ、つなぎ32でつながれて支持物に取り付けられている。図7Cでは、可動反射層14は、変形可能な層34からつり下げられており、この層は、柔軟性のある金属を含んでもよい。変形可能な層34は、変形可能な層34の周辺部の回りで、直接または間接に、基板20に接続されている。これらの接続は、本明細書においては支柱と呼ばれている。図7Dに示す実施形態は、変形可能な層34がその上に位置する支柱プラグ42を有する。可動反射層14は、図7A〜7Cの場合のように、ギャップの上につり下げられた状態にあるが、変形可能な層34は、変形可能な層34と光学スタック16との間の穴を満たすことによって支柱を形成することはない。そうではなく、支柱は、支柱プラグ42を形成するのに使用される平坦化材料から形成される。図7Eに示す実施形態は、図7Dに示す実施形態に基づいているが、図7A〜7Cに示す各実施形態、ならびに示していない追加実施形態のうちの任意のものを扱うようになされてもよい。図7Eに示す実施形態では、金属または他の導体材料の追加の層が、バス構造44を形成するために使用されてきた。これにより、分岐干渉変調器の背後に沿った信号の経路指定が可能になり、基板20上に他の方法で形成しなければならなかった可能性がある数多くの電極がなくなる。
【0038】
図7に示すような実施形態では、分岐干渉変調器は、直視型装置の役割を果たし、この装置では、透明基板20の前側、すなわち変調器が配置される側の反対側から画像を見る。これらの実施形態では、反射層14は、変形可能な層34を含め、基板20の反対側の反射層側で、分岐干渉変調器の各部分を光学的に遮へいする。これにより、画像品質に悪影響を及ぼすことなく、遮へいされた領域を構成し、作動させることができる。こうした遮へいにより、図7Eでのバス構造44が可能となり、これにより、変調器の光学特性を、アドレッシングや、そのアドレッシングの結果として生じる動きなどの、変調器の電気機械的特性から分離することができる。この分離可能な変調器のアーキテクチャにより、変調器の電気機械的な態様および光学的な態様に対して使用される構造設計および材料を、互いに独立して選択し、機能させることができる。さらに、図7C〜7Eに示す各実施形態は、反射層14の光学特性をその機械的特性から分離することによって得られる追加の利点を有し、これらの利点は、変形可能な層34によって実行される。これにより、反射層14向けに使用される構造設計および材料を、光学特性に対して最適化することができ、変形可能な層34向けに使用される構造設計および材料を、所望の機械的特性に対して最適化することができる。
【0039】
図8Aおよび8Bには、ブラックマスクを組み込むことのできるディスプレイ素子を有する表示装置の一部分の例が示してある。図8Aおよび8Bには、分岐干渉変調器のアレイを備える表示装置の一部分の例が示してある。ブラックマスクは、図8Aおよび8Bに示すアレイにおいて使用することができ、また表示装置のある領域を周辺光からマスクすることが有用な任意のタイプの表示装置において使用することができる。図8Aには、アレイの複数の画素12が示してある。図8Bには、マスクして表示装置の光応答を改善することのできる、分岐干渉変調器のアレイの複数の画素上に配置された支持体18の一例が、表示装置の目に触れる「表」側とは反対の基板の「裏」側から示してある。表示装置の光応答(たとえばコントラスト)を改善するためには、アレイのある領域から反射される光を最小限に抑えることが望ましいことがある。暗状態における表示装置の反射率を増大させる分岐干渉変調器の任意の領域は、コントラスト比を増大させるためのブラックマスクを使用して、(たとえば、構造体と分岐干渉変調器に入る光との間にマスクを堆積させることによって)マスクすることができる。表示装置に有利な影響を及ぼすようにマスクすることのできる領域の中には、それだけには限らないが、分岐干渉変調器72(図8A)間の行カット、支持体18、表示装置の目に触れる側から見える支持体18に接続された、かつ/またはその周りの可動ミラー層の曲げ領域、ならびに隣接する分岐干渉変調器76(図8A)の可動ミラー層の間の領域が含まれる。そうした領域にマスクを配置し、それにより、分岐干渉変調器の可動ミラーからマスクが離隔され、たとえば周辺光が可動ミラーにまで伝搬し、そこから反射することができるが、可動ミラー以外の領域はマスクされ、したがって周辺光がマスクされた領域内の他のどんな構造体からも反射するのを妨げるようにすることができる。マスクされたこれらの領域は、静的であり、または光変調を実現するものではなく、たとえば可動ミラーを備えていないので、「非作動領域」と呼ぶことができる。実施形態によっては、分岐干渉変調器に入る光がマスクされた領域か可動ミラーのいずれかに当たるようにマスクを配置することができる。他の実施形態では、非作動領域の少なくとも一部分がマスクされる。
【0040】
図9には、一実施形態による、複数素子の表示装置100の2つの素子の簡略化された表示での横断面図が示してある。この表示装置は、2つの光学構成部品を備え(明確にするために、他の光学構成部品は図示せず)、それらは、この実施形態では分岐干渉変調器104である。前述の通り、分岐干渉変調器デバイス104は、反射型および/または透過型の膜の構成を備え、基板102に向けて矢印106で示す方向に可動の作動領域が駆動されるときに、これらの膜が所望の光応答をもたらす。図9では、参照番号108は、分岐干渉変調器104の非作動領域を示す。通常、視聴方向を示す矢印110によって示した方向から視聴者が表示装置100を見るときに、非作動領域108からの周辺光の反射により、分岐干渉変調器デバイス104によってもたらされる光応答が低下しないように、非作動領域108が光を吸収し、またはブラックマスクの役割を果たすことが望ましい。他の実施形態では、黒以外のカラーマスク(たとえば、緑、赤、青、黄など)で非作動領域108をマスクすることが望ましいことがある。
【0041】
非作動領域108用のマスクは、光を吸収または減衰させる光応答を有するように選択された材料から製造してもよい。マスクを製造するのに使用される材料は、導電性を有してもよい。本明細書における実施形態によれば、各非作動領域108用のマスクは、積み重ねた薄膜として製造することができる。たとえば、一実施形態では、積み重ねた薄膜は、光を吸収しない誘電体層上に配置された吸収層の上に配置されている反射器層を備えてもよい。他の実施形態では、非作動領域108は、光を減衰もしくは吸収する、有機材料または無機材料の単一層、および、クロムまたはアルミニウムなどの導体材料の層を備えてもよい。
【0042】
図10には、一実施形態による発電ブラックマスク1024が示してある。発電ブラックマスク1024は、基板1004、この基板1004上に配置された反射防止層1008、この反射防止層1008の上に配置された第1の電極層1012、この第1の電極層1012の上に配置された半導体層1016、およびこの半導体層1016の上に配置された第2の電極層1020を含む。ブラックマスクは、表示装置の表示品位を改善する。この改善は、ブラックマスクの様々な特徴によってもたらされる。たとえば、ブラックマスクは、表示装置内でのさらなる受動または非作動の光学的な内容物の量を最小限に抑える。さらに、ブラックマスクは、周辺光または迷光を吸収し、コントラスト比を増大させることにより表示装置の光応答を改善する。一実施形態による発電ブラックマスクは、上記に掲載された利益のすべてを提供し、さらなる利益を提供する。ブラックマスクの発電構成部品により、装置の使用する電力がより少なくて済むようになることがある。さらに、ブラックマスクの発電構成部品を使用して、装置内の少なくとも1つの構成部品を充電するための電力を生成することができる。たとえば、発電ブラックマスクは、十分な電力を生成して、装置が使用する電池を充電することができる。または、発電ブラックマスクは、装置内の他の構成部品に電力を供給することができる。
【0043】
図11A〜11Gには、一実施形態による発電ブラックマスク1128を製造する方法が示してある。この実施形態では、発電ブラックマスク1128は、表示装置で使用するために製造される。図11Aでは、この方法が基板1104で開始する。基板1104は、基板として使用するのに適したガラスまたは他のどんな材料を含んでもよい。図11Bでは、反射防止層1108が基板1104上に配置される。反射防止層1108は、基板1104と後に続く層1112とを光学的にマッチングさせることにより、装置から反射して戻る入射光の量を低減させる。反射防止層1108は、屈折率が交互に高くなったり低くなったりする複数の層を含んでもよい。さらに、反射防止層は、SiO2、SiNx、MgF2、ITO、Al2O3、Yi2O3、ZnO、または反射防止層として使用するのに適した他のどんな材料を含んでもよい。図11Cでは、第1の電極層1112が、反射防止層1108上に配置される。第1の電極層1112は、ITOまたは電極として使用するのに適した他の実質的に透明な材料を含んでもよい。図11Dでは、半導体層スタック1116が、第1の電極層1112上に配置される。半導体層スタック1116は、通常のSi、CdTe、または光電池に適した他の任意の半導体材料のセットに対応するp−nジャンクションまたはp−i−nジャンクションのセットの層を含んでもよい。図11Eでは、第2の電極層1120が、半導体層1116上に配置される。第2の電極層1120は、ITO、Al、または電極として使用するのに適した他のどんな材料を含んでもよい。第2の電極層1120は、透明でもよく、また反射してもよい。発電ブラックマスク1128は、反射防止層1108、第1の電極層1112、半導体層1116および第2の電極層1120を含む。図11Fでは、発電ブラックマスク1128にパターン形成される。この実施形態では、発電ブラックマスク1128にパターン形成されて、発電ブラックマスク1128内のギャップ上に表示装置の画素素子を配置することができるようになる。図11Gに示すように、パターン形成された発電ブラックマスク1128上に平坦化層1124を堆積させてもよい。この平坦化層1124により、パターン形成された発電ブラックマスク1128を、他の製造プロセスにおけるエンジニアリング基板1132として使用することができるようになる。製造プロセスにより、ガラス、プラスチックなどの平坦な基板上に直接製造する場合と同様に、エンジニアリング基板1132の上に構造体を製造してもよい。たとえば、IMODを備える表示装置は、エンジニアリング基板1132の表面上に製造してもよい。
【0044】
図12Aには、他の実施形態による発電ブラックマスクが示してある。この実施形態では、製造方法は、図11A〜11Eに類似している。絶縁体層1224が、発電ブラックマスク1228上に堆積される。次いで、絶縁体1224にパターン形成され、それにより第2の電極層1220に開口が形成される。これにより、第2の電極層1220が曝され、他の構造体が第2の電極層1220に接続することができるようになる。
【0045】
図12Bには、さらに他の実施形態による発電ブラックマスクが示してある。この実施形態では、製造方法は、図11A〜11Eに類似している。発電ブラックマスク1228にパターン形成され、それにより第1の電極層1212に開口が形成される。絶縁体層1224が、第1の電極層に対して形成された開口上に堆積される。次いで、絶縁体層1224にパターン形成され、それにより第1の電極層1212に開口が形成される。これにより、第1の電極層1212が曝され、他の構造体が第1の電極層1212に接続することができるようになる。
【0046】
図13には、他の実施形態による発電ブラックマスキングが示してある。この実施形態は、図12A〜12Bで説明した実施形態を使用する。発電ブラックマスク1300が上面から示してある。発電ブラックマスク1300は、開口1320の周りに配置された画素素子に対応するようにパターン形成され、個別のセクション1304、1308、1312、および1316に分割される。各セクション1304、1308、1312、および1316は、図12Bに示すように第1の電極層1212を曝すように構成してもよく、また図12Aに示すように第2の電極層1220を曝すように構成してもよい。または、各セクション1304、1308、1312、および1316は、セクションの一部分が第1の電極層を曝し、セクション1312の一部分が第2の電極層を曝すように構成してもよい。これにより、各セクションを直列または並列に接続することができるようになる。図13では、セクション1312が、列の対によって直列に接続されている。セクション1316は、セクション1312に直列に接続され、セクション1308とセクション1304は直列に接続される。本明細書では、各接続の構成または曝される電極層の構成を、決して限定してはいない。発電ブラックマスクの各セクション1304、1308、1312、および1316は、直列、並列、またはその両方の組合せで接続してもよい。発電ブラックマスクの各セクションは、第1の電極層1212、第2の電極層1330、またはその両方の組合せを曝してもよい。各セクションおよび各電極層の構成は、発電ブラックマスク1300を使用する装置に特有のものでもよい。たとえば、より高い電圧を必要とする装置は、図13に示すように、各セクション1304、1308、1312、および1316を直列に接続し、各電極層を接続してもよい。
【0047】
以下は、一実施形態による発電ブラックマスクが生成する電力の量についての控えめな推定である。発電ブラックマスクは、対角1.8インチのIMOD表示装置の表示領域のほぼ10%を含む。表示装置の幅は0.035メートルであり、表示装置の高さは0.040メートルであり、結果として、表示面積は0.0014平方メートルになる。ブラックマスクは、表示面積のほぼ10%をカバーし、0.00014平方メートルになる。発電ブラックマスクの電気効率は10%である。入射する太陽光の量は1000W/mであり、控えめに推定すると、入射する太陽光の50%のみが発電ブラックマスクに到達するものと想定される。1000W/mは、最適な条件下で受ける太陽光の量である。最適な条件には、真昼に、赤道により近い領域で、雲または霧がない領域で太陽光を受けることが含まれ得る。以下の例で与えられる条件の場合、対角1.8インチの表示装置が生成する電力の推定量は、7ミリワットすなわち0.007ワットである。これは、500W/mにブラックマスクの面積0.00014mを乗算し、次いで発電ブラックマスクの電気効率10%を乗算することで計算される。ブラックマスクは、表示面積のほぼ10%〜30%をカバーしてもよい。発電ブラックマスクの電気効率は、5%〜20%の範囲でよい。発電ブラックマスクに到達する入射光の量は、一日のうちの時間帯、天候(すなわち、雲または霧)、地理的な位置、および装置に到達することのできる太陽光の量に影響を及ぼすことがある様々な他の条件に依存することがある。以下の例は、発電ブラックマスクが生成する電力の量の控えめな推定値を単に例示したものに過ぎず、決して発電ブラックマスクが生成することのできる電力の量を制限するものではない。生成される電力の量は、様々な実施形態においては異なることがある。
【0048】
図14Aは、発電ブラックマスクによって反射および吸収される光の量を示すグラフである。グラフのx軸は、入射光の様々な波長を表す。y軸は百分率を表す。y軸は1のスケール上にあり、0.10では百分率が10%であることを意味する。グラフに示すように、発電ブラックマスクは一般に、入射光のうちわずかな量を反射し、その大半を吸収する。たとえば、波長が550nmの光では、入射光のうちほぼ0.5%が反射され、入射光のうち99.5%が吸収される。
【0049】
図14Bは、一実施形態による発電ブラックマスクの電極層および半導体層で使用される材料と厚さを示す表である。第1の電極層は透明であり、ITOを含み、厚さがほぼ72nmである。半導体層はa−Siを含み、厚さがほぼ15nmである。第2の電極層は反射し、Crを含み、厚さがほぼ100nmである。この実施形態で示す発電ブラックマスクは、入射光のうちほぼ0.5%を反射する。
【0050】
前述の各実施形態は、ブラックマスクの機能を提供するが、さらなる利益も提供する。一実施形態による発電ブラックマスクにより、ブラックマスクを使用する装置は電力効率が高くなり、入射光の1%未満しか反射しない。発電ブラックマスクを使用して、発電ブラックマスクを使用する装置が使用する電力の量を低減させることができる。さらに、発電ブラックマスクを使用して、発電ブラックマスクを使用する装置の少なくとも1つの構成部品を作動させるまたは充電するための電力を生成することができる。他の実施形態では、発電ブラックマスクにパターン形成して、第1もしくは第2の電極層のいずれか、またはその両方に開口を設けることができる。他の実施形態では、発電ブラックマスクは個別のセクションに分割することができ、また各セクションは、直列もしくは並列、またはその両方で接続することができる。本明細書に記載の様々な実施形態は、MEMSまたは表示装置に関係するが、この開示はそうした装置での使用に限定されるものではないことが理解されよう。ブラックマスクを使用する任意の装置は、本発明の各実施形態を使用してもよい。
【0051】
そうした前述の実施形態から数多くの様々な修正形態を実施できること、および、本明細書に記載の本発明の各形態は例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されよう。ある実施形態の詳細な説明が、本発明の具体的な実施形態の様々な説明を提示する。しかし、本発明は、特許請求の範囲で定義およびカバーされる多くの異なる方法で実施することができる。
【0052】
本明細書において提示される説明の中で使用されている専門用語は、単に、本発明のある具体的な実施形態の詳細な説明とともに使用されているだけなので、いかなる限定的または制限的な解釈をもすべきものではない。さらに、本発明の各実施形態は、いくつかの新規な特徴を含んでもよく、そのどれ1つとして、その望ましい属性に対してもっぱら責を負うものではなく、または、本明細書において説明した本発明を実施することに不可欠なものでもない。
【符号の説明】
【0053】
12 画素
12a 分岐干渉変調器
12b 分岐干渉変調器
14 可動反射層
14a 可動反射層
14b 可動反射層
16 光学スタック
16a 光学スタック
16b 光学スタック
18 支柱
19 ギャップ
20 基板
21 プロセッサ
22 アレイドライバ
24 行ドライバ回路
26 列ドライバ回路
27 ネットワークインターフェース
28 フレームバッファ
29 ドライバ制御装置
30 ディスプレイ
32 つなぎ
34 変形可能な層
40 表示装置
41 ハウジング
42 支柱プラグ
43 アンテナ
44 バス構造
45 スピーカ
46 マイクロホン
47 送受信機
48 入力装置
50 電源
52 コンディショニングハードウェア
72 分岐干渉変調器
76 分岐干渉変調器
100 複数素子の表示装置
102 基板
104 分岐干渉変調器
106 矢印
108 非作動領域
110 視聴方向を示す矢印
102 基板
1004 基板
1008 反射防止層
1012 第1の電極層
1016 半導体層
1020 第2の電極層
1024 発電ブラックマスク
1104 基板
1108 反射防止層
1112 第1の電極層
1116 半導体層スタック
1120 第2の電極層
1124 平坦化層
1128 発電ブラックマスク
1132 エンジニアリング基板
1212 第1の電極層
1220 第2の電極層
1224 絶縁体層
1228 発電ブラックマスク
1300 発電ブラックマスク
1304 セクション
1308 セクション
1312 セクション
1316 セクション
1320 開口
1330 第2の電極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学ディスプレイ素子を含む表示領域と、
前記表示領域の前記光学ディスプレイ素子間の領域内に堆積され、基板と前記光学ディスプレイ素子との間に配置された光起電性ブラックマスクと、を備えている電子装置であって、
前記光起電性ブラックマスクが、
光を吸収するように構成された少なくとも1つの層、および
電力を生成するように構成された少なくとも1つの層、を備えている電子装置。
【請求項2】
前記光起電性ブラックマスクが、前記表示領域の少なくとも10%を備えている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記光起電性ブラックマスクが、基板上に堆積された反射防止層を備えている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記反射防止層は、少なくとも1つの材料層を備えている、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
第2の電極層と半導体層を通って第1の電極層に至る開口が形成されるように、前記光起電性ブラックマスクがパターン形成され、
前記第1の電極層が、前記反射防止層上に堆積され、
前記半導体層が、前記第1の電極層に堆積され、
前記第2の電極層が、前記半導体層上に堆積された、請求項3に記載の電子装置。
【請求項6】
前記光起電性ブラックマスクがパターン形成されて個別のセクションになる、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記セクション内の電極が直列または並列に接続された、請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記複数の光学ディスプレイ素子と通信するように構成され、画像データを処理するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサと通信するように構成された記憶装置と、をさらに備えている、請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
前記複数の光学ディスプレイ素子に少なくとも1つの信号を送信するように構成されたドライバ回路をさらに備えている、請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記ドライバ回路に前記画像データの少なくとも一部を送信するように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記プロセッサに前記画像データを送信するように構成された画像ソースモジュールをさらに備えている、請求項8に記載の電子装置。
【請求項12】
前記画像ソースモジュールが、少なくとも受信機、送受信機及び送信機のうちの1つを含む請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
前記入力データを受信し、前記入力データを前記プロセッサに通信するように構成された入力装置をさらに備えている、請求項8に記載の電子装置。
【請求項14】
複数の光学ディスプレイ素子を含む表示領域と、
光を吸収する手段と、
電力を生成する手段と、を備え、
前記吸収手段及び前記電力生成手段が、前記表示領域の前記光学ディスプレイ素子間の領域に堆積され、基板と前記光学ディスプレイ素子との間に配置された、電子装置。
【請求項15】
前記吸収手段及び前記電力生成手段が、前記表示領域の少なくとも10%を備えている、請求項14に記載の電子装置。
【請求項16】
基板上に堆積された反射防止層をさらに備える、請求項14に記載の電子装置。
【請求項17】
前記反射防止層が、少なくとも1つの材料層を備えている、請求項16に記載の電子装置。
【請求項18】
前記吸収手段及び前記電力生成手段がパターン形成されて個別のセクションになる、請求項14に記載の電子装置。
【請求項19】
前記セクション内の電極が直列または並列に接続された、請求項18に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【公開番号】特開2013−80244(P2013−80244A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−268179(P2012−268179)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2010−546833(P2010−546833)の分割
【原出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(508095337)クォルコム・メムズ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (133)
【Fターム(参考)】