説明

発電装置

【課題】コンバインドサイクル型発電装置は従来の火力発電装置と比較すると発電効率が高いが、蒸気タービンで2次利用してもなお余った余剰エネルギーを大気中や海中に廃棄していた。また、リサイクル型発電装置は発酵槽で生成されたメタンガスを主な燃料としているため燃料の供給量が少なく、発電量と発酵槽を加温する熱エネルギーの量が著しく少なかった。
【解決手段】課題を解決するためコンバインドサイクル型発電装置またはガス複合発電装置において、蒸気タービンを駆動させた蒸気を復水する復水器において蒸気の熱エネルギーを吸収した排熱水または排気が流れる配管の一部に熱交換器あるいは熱交換構造を設けて、前記熱交換器あるいは熱交換構造により加温されてメタン等を発酵する発酵槽を設けて、メタンを前記発酵槽から前記ガスタービンに送る配管等を設けた。また、石炭や石油を燃料とする火力発電装置に発酵槽と発酵槽で生成したメタンガスを燃料とするガス発電装置を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせることにより発電効率を向上させるコンバインドサイクル型発電装置があった。また、発酵槽で生成されたメタンガスを主な燃料として発電して発電時に生じた熱で発酵槽を加温するリサイクル型発電装置があった。また、石炭等をガス化してコンバインドサイクル発電を行うガス化複合発電装置があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンバインドサイクル型発電装置は従来の火力発電装置と比較すると発電効率が高いが、蒸気タービンで2次利用してもなお余った余剰エネルギーを大気中や海中に廃棄していた。また、リサイクル型発電装置は発酵槽で生成されたメタンガスを主な燃料としているため燃料の供給量が少なく、発電量と発酵槽を加温する熱エネルギーの量が著しく少なかった。また、発酵槽における発酵が発電に先行するために稼働初期の発電効率が著しく低かった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は前記課題を解決するために、コンバインドサイクル型発電装置の蒸気タービンを駆動させた蒸気を復水する復水器に、蒸気の熱エネルギーを吸収した排熱水または排気が流れる配管の一部に熱交換器あるいは熱交換構造を設けて、前記熱交換器あるいは熱交換構造により加温されてメタン等を発酵する発酵槽を設け、メタン等を前記発酵槽から前記ガスタービンや燃焼器に送る送達手段を設けたコンバインドサイクル型発電装置である。
【0005】
または前記発電装置においてガス化させた石炭等を燃料とするガス化複合発電装置である。
【0006】
または石炭や石油を燃焼させる火力発電装置の蒸気タービンを駆動させた蒸気を復水する復水器において、蒸気の熱エネルギーを吸収した排熱水または排気が流れる配管の一部に熱交換器あるいは熱交換構造を設けて前記熱交換器あるいは熱交換構造により加温されてメタン等を発酵する発酵槽を設けて、前記メタン等を燃焼させることにより発電するガス発電装置を設けた火力発電装置である。または前記火力発電装置におけるガス発電装置が、コンバインドサイクル型発電装置である火力発電装置である。または前記ガス発電装置が、本発明のコンバインドサイクル型発電装置であることを特徴とする火力発電装置である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は請求項1における本発明の火力発電装置の実施形態に係る発電装置の構成図である。空気圧縮機1で圧縮された空気と液化天然ガスが燃焼室2で燃焼した後ガスタービン3を回転させて発電機4が駆動する。その後ガスタービン3から排出された排ガスが排熱回収ボイラー5へ送られて、排熱回収ボイラー5の内部を通る配管を流れる水を沸騰させる。
【0008】
排熱回収ボイラー5で生成された水蒸気は蒸気タービン6を回転させて蒸気タービン6が発電機4を駆動させる。その後水蒸気は復水器7へ送られて復水器7を通る配管を流れる海水で冷やされて水となった後、再び排熱回収ボイラー5へ送られて再度水蒸気となる。
【0009】
復水器7で蒸気の熱を吸収して温度が上がった海水は発酵槽8へ送られて、熱交換器9を介して発酵槽8の温度を上昇させて、発酵槽8におけるメタンガス等の生成効率を高める。
【0010】
発酵槽8で生成されたメタンガス等はガスタンク10を経てガス混合器11へ送られて、液化天然ガスと混合された後、燃焼器2へ送られて燃焼してガスタービン3を駆動させる。
【0011】
なお、前記実施形態における液化天然ガスの代わりにガス化した石炭等を用いてもよい。
【0012】
また、請求項1においてメタン等を発酵槽から燃焼器あるいはガスタービンに送達させるための送達手段とは、前記実施形態において発酵槽で生成されたメタン等がガス混合器に送られて液化天然ガスと混合された後燃焼器へ送られるように、発酵槽と液化天然ガスの配管を配管等でつなぐことでメタン等を間接的に燃焼器に送達させる構造であってもよい。
【0013】
図2は請求項3における本発明の火力発電装置の実施形態に係る発電装置の構成図である。石炭や石油を燃焼させたエネルギーを回収する排熱回収ボイラー5で生成された水蒸気が蒸気タービン6を回転させて、蒸気タービン6が発電機4を駆動させる。その後水蒸気は復水器7を通る配管を流れる海水で冷やされた後、再び排熱回収ボイラー5へ送られる。
【0014】
復水器7で蒸気の熱を吸収して温度が上がった海水は発酵槽8へ送られて、熱交換器9を介して発酵槽8の温度を上昇させて、発酵槽8におけるメタンガス等の生成効率を高める。
【0015】
発酵槽8で生成されたメタンガス等は液化天然ガスと混合された後、ガス発電装置12へ送られて燃焼されて、ガス発電装置12内に設置されているガスタービンを回転させる。
【0016】
なお、前記ガス発電装置12は本発明におけるコンバインドサイクル型発電装置でもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるコンバインドサイクル型発電装置ならびにガス化複合発電装置においては、ガスタービンにおいて余った余剰エネルギーを蒸気タービンで2次利用するばかりでなく、さらに蒸気タービンで余った余剰エネルギーを発酵槽で3次利用することにより効率的に生成したメタンガス等を燃焼させることで、火力発電の発電効率の一層の向上を実現する。その結果、火力発電における同一発電量当たりの実質的な二酸化炭素排出量を低減させる。また、従来のリサイクル発電において発酵が発電に先行している構造とは異なり、発電が発酵に先行する構造であるため、リサイクル発電を大幅に上回る強い熱エネルギーによる発酵槽の加温が可能となり、リサイクル発電の発酵槽を大幅に上回る大型の発酵槽を加温できるようになるため、従来は不可能であった大規模なメタンガス等の生産が可能になる。
【0018】
上記のように本発明では、従来火力発電装置で廃棄されていた余剰エネルギーを活用してメタンガス等を効率的に生成して活用することによって、産業部門における最大の二酸化炭素排出部門である火力発電による環境負荷の低減ならびに地球温暖化の抑制に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1は請求項1における本発明の火力発電装置の実施形態に係る発電装置の構成図である。
図2は請求項3における本発明の火力発電装置の実施形態に係る発電装置の構成図である。
【符号の説明】
1空気圧縮機
2燃焼器
3ガスタービン
4発電機
5排熱回収ボイラー
6蒸気タービン
7復水器
8発酵槽
9熱交換器
10ガスタンク
11ガス混合器
12ガス発電装置
13メタン等用の配管
14LNG用の配管
15取水路
16排水路
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル型発電装置であって、前記蒸気タービンを駆動させた蒸気を復水する復水器において前記蒸気の熱エネルギーを吸収した排熱水または排気が流れる配管の一部に熱交換器あるいは熱交換構造を設けて、前記熱交換器あるいは熱交換構造により加温されてメタン等を発酵する発酵槽を設けて、前記メタン等を前記発酵槽から燃焼器あるいは前記ガスタービンに直接的または間接的に送達させるための送達手段を設けたことを特徴とする、コンバインドサイクル型発電装置。
【請求項2】
ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル型発電装置において、石炭等から生成したガスをガスタービンにおいて燃焼させるガス化複合発電装置であって、前記蒸気タービンを駆動させた蒸気を復水する復水器において前記蒸気の熱エネルギーを吸収した排熱水または排気が流れる配管の一部に熱交換器あるいは熱交換構造を設けて、前記熱交換器あるいは熱交換構造により加温されてメタン等を発酵する発酵槽を設けて、前記メタン等を前記発酵槽から燃焼器あるいは前記ガスタービンに直接的または間接的に送達させるための送達手段を設けたことを特徴とする、ガス化複合発電装置。
【請求項3】
石炭または石油を燃焼させて蒸気タービンを駆動させて発電する火力発電装置であって、前記蒸気タービンを駆動させた蒸気を復水する復水器において前記蒸気の熱エネルギーを吸収した排熱水または排気が流れる配管の一部に熱交換器あるいは熱交換構造を設けて、前記熱交換器あるいは熱交換構造により加温されてメタン等を発酵する発酵槽を設けて、前記メタン等を燃焼させることにより発電するガス発電装置を設けたことを特徴とする、火力発電装置。
【請求項4】
請求項3に記載した火力発電装置であって、
前記ガス発電装置がガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル型発電装置であることを特徴とする、火力発電装置。
【請求項4】
請求項3に記載した火力発電装置であって、
請求項3に記載したガス発電装置が請求項1に記載したコンバインドサイクル型発電装置であることを特徴とする、火力発電装置。
【請求項5】
請求項3に記載した火力発電装置であって、
請求項3に記載したガス発電装置が請求項2に記載したガス化複合発電装置であることを特徴とする、火力発電装置。

【公開番号】特開2010−276013(P2010−276013A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−39351(P2010−39351)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(598018063)
【Fターム(参考)】