説明

発電装置

【課題】作動媒体を用いるランキンサイクルを採用する発電装置において、作動媒体の投入時に循環流路内に空気が混入することを防止する。
【解決手段】循環流路13に作動媒体Yを投入する際に作動媒体Yを一時的に貯留すると共に循環流路13途中に設けられる一時貯留手段5と、一時貯留手段5の最上部位置以上の高さにて循環流路13に接続される作動媒体Yの投入口16と、循環流路13と接続される真空ポンプ18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場や焼却施設等で放出される廃熱エネルギーを回収して発電が行われており、この発電によって得られた電気エネルギーが再利用されることで省エネルギーが図られている。このような工場や施設では、発電機を駆動するため、高圧の蒸気を生成しやすいということから約300℃以上(場合によっては1000℃近く)の廃熱が発電に用いられており、約300℃以下の低温廃熱はその多くが依然として大気中に放出されていた。よって、従来は殆ど回収されていなかった低温廃熱の廃熱エネルギーを回収して発電を行えば、更なる省エネルギーを実現することができると考えられている。
【0003】
以下の特許文献1には、低沸点の作動媒体を用いたランキンサイクルによって、300℃以下の低温廃熱の廃熱エネルギーを用いて発電を行う発電装置が開示されている。
このようなランキンサイクルを用いる発電装置では、特許文献1に示すように、熱媒体と作動媒体との熱交換を行うことにより作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、蒸気の熱エネルギーから電力を生成する発電装置と、発電装置を介した蒸気と冷却媒体との熱交換を行うことにより蒸気を凝縮する凝縮器と、凝縮器で凝縮された作動媒体を蒸発器に向けて送出するポンプとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−110514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の蒸発器、発電装置、凝縮器及びポンプは、作動媒体の循環流路に設けられている。そして、発電装置を稼働させるためには、まず循環流路に対して作動媒体を投入する必要がある。
ところが、循環流路の内部に空気が残存すると、発電効率が低下し、発電装置の性能を十分に高めることができない。
このため、循環流路に対して作動媒体を供給する際には、循環流路に対して空気が混入しないようにすることが求められる。しかしながら、現在のところ、作動媒体を循環流路に供給する際における循環流路への空気の混入を防止するための提案はなされていない。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、作動媒体を用いるランキンサイクルを採用する発電装置において、作動媒体の投入時に循環流路内に空気が混入することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、発電装置に係る第1の解決手段として、熱媒体と作動媒体との熱交換を行うことにより上記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、該蒸気の熱エネルギーから電力を生成する発電装置と、該発電装置を介した上記蒸気と冷却媒体との熱交換を行うことにより上記蒸気を凝縮する凝縮器と、該凝縮器で凝縮された作動媒体を上記蒸発器に向けて送出するポンプとが設けられた上記作動媒体の循環流路を備える発電装置であって、上記循環流路に上記作動媒体を投入する際に上記作動媒体を一時的に貯留すると共に上記循環流路途中に設けられる一時貯留手段と、上記一時貯留手段の最上部位置以上の高さにて上記循環流路に接続される上記作動媒体の投入口と、上記循環流路と接続される真空ポンプとを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明では、発電装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、上記投入口よりも上方に配置されて当該投入口と接続されると共に上記投入口に投入する上記作動媒体を貯留する貯留タンクを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明では、発電装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、上記凝縮器と上記ポンプとの間に配置されるリザーバタンクを上記一時貯留手段とすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明では、発電装置に係る第4の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、上記凝縮器を上記一時貯留手段とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、発電装置に係る第5の解決手段として、上記第1〜第4いずれかの解決手段において、上記循環流路の最下部に当該循環流路から上記作動媒体を排出する開閉可能な排出口を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、作動媒体を一時的に貯留する一時貯留手段と、一時貯留手段の最上部位置以上の高さにて循環流路に接続される投入口と、循環流路と接続される真空ポンプとを備えている。
このため、まず真空ポンプにより循環流路内部の空気を排気し、その後投入口から作動媒体を循環流路に投入して一時貯留手段に必要量を貯留することによって、外部の空気が循環流路に入り込むことなく、循環流路への作動媒体の投入を完了することができる。
したがって、本発明によれば、作動媒体を用いるランキンサイクルを採用する発電装置において、作動媒体の投入時に循環流路内に空気が混入することを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における発電装置の全体構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における発電装置の一部の外観を示す斜視図である。
【図3】図2における流路配管を省略した斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態における発電装置における作動媒体の投入の様子を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態における発電装置における作動媒体の排出の様子を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る発電装置の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による発電装置Gの全体構成の概要を示すブロック図である。また、図2は、本発明の一実施形態による発電装置Gの一部の外観を示す斜視図である。また、図3は、図2における流路配管を省略した斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態の発電装置Gは、蒸発器1、タービン発電機2(発電装置)、凝縮器3、ポンプ4及びリザーバタンク5(一時貯留手段)を備えるランキンサイクルを利用した発電装置であり、工場や焼却施設等から放出される約300℃以下の熱媒体(温水X)の熱エネルギーを用いて発電を行う。なお、熱媒体は、温水Xに限られるものではなく、工場や焼却施設等から放出されるガスを用いることもできる。
【0015】
蒸発器1は、工場等から放出される温水Xとポンプ4から送出される作動媒体Yとが別経路にて供給され、内部にて熱交換を行うことで作動媒体Yの蒸気を生成するものである。
蒸発器1は、図2に示すように、複数(本実施形態では2つ)設けられおり、架台6によって支持されて配置されている。
各蒸発器1は、図3に示すように、水平方向を向く正面1Aと当該正面1Aの裏側に位置する背面1Bとを有する箱型に形状設定されている。そして、各蒸発器1においては、温水Xと作動媒体Yとの出入口が正面1Aに集約されて設けられている。より詳細には、各蒸発器1には、温水Xの入口1aと、温水Xの出口1bと、作動媒体Yの入口1cと、作動媒体Yの出口1dとが上述の出入口として設けられている。また、温水Xの入口1aと作動媒体Yの出口1dとが蒸発器1の上部に並んで配置されており、温水Xの出口1bと作動媒体Yの入口1cとが蒸発器1の下部に並んで配置されている。
【0016】
また、図2に示すように、発電装置Gは、蒸発器1に温水Xを供給するための温水供給配管11と、蒸発器1から温水Xを回収するための温水回収配管12とを備えている。
【0017】
そして、2つの蒸発器1における温水Xの入口1aは、温水供給配管11に対して並列に接続されている。また、2つの蒸発器1における温水Xの出口1bは、温水回収配管12に対して並列に接続されている。つまり、2つの蒸発器1は、温水Xの流路配管に対して並列接続されている。
【0018】
また、図2に示すように、発電装置Gは、作動媒体Yを循環する循環配管13を備えている。
そして、図2に示すように、2つの蒸発器1における作動媒体Yの入口1cは、作動媒体Yの出口1dよりも上流側において循環配管13に対して並列に接続されている。また、2つの蒸発器1における作動媒体Yの出口1dは、作動媒体Yの入口1cよりも下流側において循環配管13に対して並列に接続されている。つまり、2つの蒸発器1は、作動媒体Yの流路配管に対して並列接続されている。
【0019】
タービン発電機2は、蒸発器1で生成された蒸気を膨張させつつ発電を行うものであり、図2に示すように、循環配管13の途中部位に配置されている。より詳細には、タービン発電機2は、作動媒体Yの流れ方向において、蒸発器1と凝縮器3との間に配置されている。
そして、このタービン発電機2は、架台6に支持されることによって、蒸発器1及び凝縮器3よりも僅かに上方に配置されている。これによって、循環配管13内で作動媒体Yが凝集しても、液体の状態で作動媒体Yがタービン発電機2に供給されることを防止できる。
【0020】
凝縮器3は、冷却水Z(冷却媒体)とタービン発電機2を介した後の蒸気(作動媒体Y)とが別経路にて供給され、内部にて熱交換を行うことで作動媒体Yを凝縮させるものである。
凝縮器3は、図2に示すように、複数(本実施形態では4つ)設けられており、架台6によって支持されて配置されている。
各凝縮器3は、図3に示すように、水平方向を向く正面3Aと当該正面3Aの裏側に位置する背面3Bとを有する箱型に形状設定されている。そして、各凝縮器3においては、冷却水Zと作動媒体Yとの出入口が正面3Aに集約されて設けられている。より詳細には、各凝縮器3には、冷却水Zの入口3aと、冷却水Zの出口3bと、作動媒体Yの入口3cと、作動媒体Yの出口3dとが上述の出入口として設けられている。また、冷却水Zの入口3aと、作動媒体Yの出口3dとが凝縮器3の下部に並んで配置されており、冷却水Zの出口3bと、作動媒体Yの入口3cとが凝縮器3の上部に並んで配置されている。
【0021】
また、図2に示すように、発電装置Gは、凝縮器3に冷却水Zを供給するための冷却水供給配管14と、凝縮器3から冷却水Zを回収するための冷却水回収配管15とを備えている。
【0022】
そして、4つの凝縮器3における冷却水Zの入口3aは、冷却水供給配管14に対して並列に接続されている。また、4つの凝縮器3における冷却水Zの出口3bは、冷却水回収配管15に対して並列に接続されている。つまり、4つの凝縮器3は、冷却水Zの流路配管に対して並列に接続されている。
【0023】
また、4つの凝縮器3における作動媒体Yの入口3cは、作動媒体Yの出口1dよりも上流側において循環配管13に対して並列に接続されている。また、4つの蒸発器1における作動媒体Yの出口3dは、作動媒体Yの入口3cよりも下流側において循環配管13に対して並列に接続されている。つまり、4つの凝縮器3は、作動媒体Yの流路配管に対して並列接続されている。
【0024】
そして、本実施形態の発電装置Gにおいては、図2及び図3に示すように、蒸発器1の背面1Bと凝縮器3の背面3Bとが対向するように、蒸発器1と凝縮器3とが対向配置されている。
【0025】
ポンプ4は、凝縮器3で凝縮された作動媒体Yを加圧して蒸発器1に向けて送出するものであり、架台6によって支持されて配置されている。
このポンプ4は、図2に示すように、循環配管13の最下部に配置されており、具体的には作動媒体Yの流れ方向においてリザーバタンク5と蒸発器1との間に配置されている。
【0026】
リザーバタンク5は、常にポンプ4に対して作動媒体Yが供給されるように、作動媒体Yを一時的に貯留するものであり、作動媒体Yの流れ方向において凝縮器3とポンプ4との間に配置されている。このリザーバタンク5は、循環配管13の途中部位に接続されており、凝縮器3の下方に配置されるように架台6によって支持されている。
なお、後に詳説するが、本実施形態においてリザーバタンク5は、循環配管13に作動媒体Yを投入する際に当該作動媒体Yを一時的に貯留する一時貯留手段として機能する。
【0027】
上述のように、本実施形態においては、循環配管13に対して、蒸発器1、タービン発電機2、凝縮器3、ポンプ4及びリザーバタンク5が順に設けられている。そして、これらの循環配管13、蒸発器1、タービン発電機2、凝縮器3、ポンプ4及びリザーバタンク5によって本発明の循環流路が形成されている。
【0028】
また、本実施形態の発電装置Gは、遮断弁7、バイパス流路8及びバイパス弁9を備えている。
遮断弁7は、緊急時等にタービン発電機2への作動媒体Yの供給を停止するものであり、タービン発電機2の上流側において循環配管13に対して設けられている。
バイパス流路8は、遮断弁7によって循環配管13が閉鎖された際に作動媒体Yをタービン発電機2を回避させて流すための流路であり、タービン発電機2を挟んで循環配管13に対して接続されている。
バイパス弁9は、バイパス流路8に対して設けられており、遮断弁7が循環配管13を開放している状態においてバイパス流路8を閉鎖し、遮断弁7が循環配管13を閉鎖している状態においてバイパス流路8を開放する。
【0029】
そして、本実施形態の発電装置Gは、図1に示すように、投入口16と、貯留タンク17と、真空ポンプ18と、排出口19とを備えている。
【0030】
投入口16は、循環配管13に作動媒体Yを投入する際に用いられるものであり、図2に示すように、循環配管13の最上部に接続されている。つまり、投入口16は、リザーバタンク5の最上部位置以上の高さに配置されている。
この投入口16は、開閉可能に構成されており、開放することによって循環配管13の内部に作動媒体Yを投入可能となる。
【0031】
貯留タンク17は、投入口16に投入する作動媒体Yを貯留するものであり、投入口16よりも上方に配置されて当該投入口16と接続されている。
なお、貯留タンク17と投入口16との間には開閉バルブ20が設置されており、当該開閉バルブ20を開放することによって貯留タンク17に貯留された作動媒体Yが投入口16に供給される。
【0032】
真空ポンプ18は、循環配管13の内部を真空引きするものであり、投入口16を介して循環配管13と接続されている。
なお、真空ポンプ18と投入口16との間には開閉バルブ21が設置されており、当該開閉バルブ21を閉鎖することによって、作動媒体Yの投入時に当該作動媒体Yが真空ポンプ18に流入することを防止することができる。
【0033】
排出口19は、メンテナンス等のタイミングで循環配管13から作動媒体Yを排出するためのものであり、図2に示すように、循環配管13の最下部に配置されている。
なお、排出口19は、開閉可能に構成されており、開放することによって循環配管13の内部の作動媒体Yの排出が可能となる。
【0034】
なお、本実施形態の発電装置Gにおいて、作動媒体Yとしては、約300℃以下の低温廃熱の廃熱エネルギーを利用した発電を可能とすべく、沸点が低いものを用いることが好ましい。ただし、作動媒体Yの沸点は、少なくとも、常温よりも高くかつ温水Xの温度よりも低い温度とされている。
具体的には、作動媒体Yとして、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、フルオロカーボン、フルオロケトン、パーフルオロポリエーテル等を用いることができる。
【0035】
次に、本実施形態の発電装置Gの動作について説明する。
ポンプ4が駆動されると、ポンプ4によって圧送されることで作動媒体Yが循環配管13中を循環する。より詳細には、作動媒体Yは、ポンプ4から、蒸発器1、タービン発電機2、凝縮器3、リザーバタンク5の順に圧送されて再びポンプ4に戻る。
一方で、温水供給配管11を介して蒸発器1に温水Xが供給され、冷却水供給配管14を介して凝縮器3に冷却水Zが供給される。このため、蒸発器1において作動媒体Yが蒸気とされ、凝縮器3において作動媒体Yが凝縮される。
【0036】
そして、ポンプ4から圧送された作動媒体Yは、蒸発器1で蒸発され、蒸気としてタービン発電機2に供給される。タービン発電機2に供給された作動媒体Yは、膨張しつつタービン発電機2を駆動する。この結果、タービン発電機2で発電が行われる。タービン発電機2を介した蒸気の作動媒体Yは凝縮器3で冷却されることにより凝縮する。凝縮器3によって凝縮された作動媒体Yは、ポンプ4によって加圧されて再び蒸発器1に向けて送出される。
【0037】
このように、本実施形態の発電装置Gにおいては、作動媒体Yの蒸発及び凝縮が繰り返されることにより、低温廃熱の廃熱エネルギーを用いた発電が行われる。
【0038】
次に、本実施形態の発電装置Gへの作動媒体Yの投入方法、また本実施形態の発電装置Gからの作動媒体Yの抜き取り方法について説明する。
【0039】
本実施形態の発電装置Gへ作動媒体Yを投入する際には、まず図4(a)に示すように、投入口16及び開閉バルブ21を開放すると共に開閉バルブ20及び排出口19を閉鎖し、真空ポンプ18を稼働させる。
これによって、循環配管13及び当該循環配管13に設けられた蒸発器1、タービン発電機2、凝縮器3、ポンプ4及びリザーバタンク5から空気Aが排出される。
【0040】
循環配管13等の内部が予め定められた所定の真空度となったところで、図4(b)に示すように、真空ポンプ18を停止して開閉バルブ20を閉鎖すると共に開閉バルブ20を開放する。
これによって、貯留タンク17の貯留された作動媒体Yが重力の作用によって投入口16を介して循環配管13内に投入される。
【0041】
作動媒体Yの投入初期は、循環配管13内部の圧力が低いため、投入された作動媒体Yは、循環配管13内において気化する。そして、作動媒体Yの投入が続けられ、循環配管13の内部圧力が作動媒体Yの飽和蒸気圧となると、投入された作動媒体Yは気化されず液体のまま循環配管13に投入され、循環配管13の一部及びリザーバタンク5に一時的に貯留される。
【0042】
なお、貯留タンク17における作動媒体Yの貯留量は、循環配管13に投入される作動媒体Yの必要量よりも多くすることが好ましい。
これによって、貯留タンク17に常に作動媒体Yが貯留されていることとなり、貯留タンク17に残存する作動媒体Yによって貯留タンク17を介して循環配管13内に空気が入り込むことを防止することができる。
【0043】
循環配管13への作動媒体Yの投入量が予め定められた必要量に到達すると、投入口16及び開閉バルブ20を閉鎖する。
これによって、必要量の作動媒体Yがリザーバタンク5等に貯留されると共に循環配管13が密閉され、作動媒体Yの投入が完了する。
【0044】
また、本実施形態の発電装置Gから作動媒体Yを抜き取る際には、図5に示すように、排出口19を開放する。
これによって、重力作用により循環配管13内の作動媒体Yが外部に排出される。なお、排出口19から排出される作動媒体Yは、例えば不図示の排液タンクに貯留されて回収される。
【0045】
なお、排出口19から作動媒体Yを排出する際には、貯留タンク17を空にした状態で投入口16を開放することが好ましい。
これによって、投入口16から空気Aが循環配管13内に流入可能となり、排出口19からスムーズに作動媒体Yを排出することが可能となる。
なお、投入口16を外気と連通するための配管を別途設ける場合には、貯留タンク17に作動媒体Yが貯留された状態であっても、投入口16に空気を流入させることができる。
【0046】
次に、以上のような本実施形態の発電装置Gの効果について説明する。
以上のような本実施形態の発電装置Gは、作動媒体Yを一時的に貯留するリザーバタンク5と、リザーバタンク5の最上部位置以上の高さにて循環配管13に接続される投入口16と、循環配管13と接続される真空ポンプ18とを備えている。
このため、まず真空ポンプ18により循環配管13内部の空気Aを排気し、その後投入口16から作動媒体Yを循環配管13に投入してリザーバタンク5に必要量を貯留することによって、外部の空気が循環配管13に入り込むことなく、循環配管13への作動媒体Yの投入を完了することができる。
したがって、本実施形態の発電装置Gによれば、作動媒体Yを用いるランキンサイクルを採用する発電装置において、作動媒体Yの投入時に循環配管13内に空気が混入することを防止することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態の発電装置Gにおいては、投入口16よりも上方に配置されて当該投入口16と接続されると共に投入口16に投入する作動媒体Yを貯留する貯留タンク17を備える。
このため、重力作用によって容易に投入口16に作動媒体Yを供給することができ、投入時に作動媒体Yを圧送する必要がなくなる。
【0048】
また、本実施形態の発電装置Gにおいては、凝縮器3とポンプ4との間に配置されるリザーバタンク5を本発明の一時貯留手段とする構成について説明した。
このような構成を採用することによって、別途一時貯留手段を設ける必要がなくなるため、装置構成を簡素化することができると共に装置コストを削減することができる。
【0049】
また、本実施形態の発電装置Gにおいては、循環配管13の最下部に当該循環配管13から作動媒体Yを排出する開閉可能な排出口19を備える。
このため、排出口19を開放することのみで、重力の作用によって容易に作動媒体Yの排出を行うことができる。
【0050】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態においては、本発明における一時貯留手段としてリザーバタンク5を用いる構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、凝縮器3を本発明における一時貯留手段として用いる構成を採用することも可能である。
このような場合でも、別途一時貯留手段を設ける必要がなくなるため、装置構成を簡素化することができると共に装置コストを削減することができる。
【0052】
また、上記実施形態においては、投入口16よりも貯留タンク17を上方に配置することで、重力の作用によって貯留タンク17から投入口16に作動媒体Yを流す構成を採用した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばポンプ等によって作動媒体Yを投入口16まで流す構成を採用しても良い。
【0053】
また、上記実施形態においては、投入口16を凝縮器3よりも上方に配置する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、リザーバタンク5の最上部に接続され、当該リザーバタンク5を介して循環配管13と接続されるようにしても良い。
【0054】
また、上記実施形態においては、温水Xを生成するための熱源が廃熱である構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、他の熱源を用いて温水Xを生成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0055】
1……蒸発器、2……タービン発電機(発電装置)、3……凝縮器、4……ポンプ、5……リザーバタンク(一時貯留手段)、6……架台、7……遮断弁、8……バイパス流路、9……バイパス弁、11……温水供給配管、12……温水回収配管、13……循環配管、14……冷却水供給配管、15……冷却水回収配管、16……投入口、17……貯留タンク、18……真空ポンプ、19……排出口、A……空気、G……発電装置、X……温水(熱媒体)、Y……作動媒体、Z……冷却水(冷却媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体と作動媒体との熱交換を行うことにより前記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、該蒸気の熱エネルギーから電力を生成する発電装置と、該発電装置を介した前記蒸気と冷却媒体との熱交換を行うことにより前記蒸気を凝縮する凝縮器と、該凝縮器で凝縮された作動媒体を前記蒸発器に向けて送出するポンプとが設けられた前記作動媒体の循環流路を備える発電装置であって、
前記循環流路に前記作動媒体を投入する際に前記作動媒体を一時的に貯留すると共に前記循環流路途中に設けられる一時貯留手段と、
前記一時貯留手段の最上部位置以上の高さにて前記循環流路に接続される前記作動媒体の投入口と、
前記循環流路と接続される真空ポンプと
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記投入口よりも上方に配置されて当該投入口と接続されると共に前記投入口に投入する前記作動媒体を貯留する貯留タンクを備えることを特徴とする請求項1記載の発電装置。
【請求項3】
前記凝縮器と前記ポンプとの間に配置されるリザーバタンクを前記一時貯留手段とすることを特徴とする請求項1または2記載の発電装置。
【請求項4】
前記凝縮器を前記一時貯留手段とすることを特徴とする請求項1または2記載の発電装置。
【請求項5】
前記循環流路の最下部に当該循環流路から前記作動媒体を排出する開閉可能な排出口を備えることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−32725(P2013−32725A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168576(P2011−168576)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】