説明

皮膚外用剤の製造方法

【課題】 無機ゲルマニウム及びトルマリンが有する皮膚に対して有用な作用を十分に発揮し得る皮膚外用剤の製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】 所定の温度条件で加熱された白色ワセリンに、所定の配合比率で精製ラノリンを投入して攪拌し、基剤を調製する基剤調製工程S1,S2と、蜂蜜に対し、微粉末状の無機ゲルマニウム、及び微粉末状のトルマリンの順序で所定の配合率で混合し、混合物を調製する混合物調製工程S3,S4と、基剤に対し、調製された混合物を投入し、攪拌する攪拌工程S5,S6と、該攪拌工程によって形成された皮膚外用剤を冷却する冷却工程S7とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤の製造方法に関するものであり、詳しくは、粉末状の無機ゲルマニウム及びトルマリンを含有してなる皮膚外用剤の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特に外気に晒されやすく、また水仕事などで皮膚の油脂分が損なわれる部位は、皮膚表面の乾燥による肌荒れが生じやすい。特に、低湿度の状態となることが多い、冬季などが係る傾向が強い。また、炊事や洗濯等の水仕事の多い女性は、肌荒れになることが多い。この肌荒れは、乾燥等の要因の他に、紫外線の照射、血行不良、及び物理的な摩擦等のその他の要因によっても発生し、皮膚表皮を構成する角質層が十分な水分を保持することができないために生じることが知られている。
【0003】
そこで、係る皮膚の乾燥及び肌荒れを予防し、またその改善のために、保湿作用の高いグリセリン、ホオバ油、又はカミツレ等の成分を含有するクリーム状の皮膚外用剤(保湿クリーム等)が一般的に使用されている。係る皮膚外用剤は、上述した角質層内の水分を容易に外部に放出することなく保持することが可能であり、皮膚の乾燥を予防することが可能となる。
【0004】
さらに、近年においては、ゲルマニウムやトルマリン等が皮膚に生じる問題の予防又は改善に有用である作用を有するものとして注目されている。
【0005】
ここで、ゲルマニウムとは、温度が上昇するとともに伝導性を持つ半導体としての性質を発揮する物質であり、高麗人参、田七人参、又は霊芝等の植物に含まれ、新陳代謝の向上作用、及び抗菌作用等を有する有機ゲルマニウムと、石灰等の鉱物に含まれ、血行の促進作用、及び筋肉の凝りの解消作用等を有する無機ゲルマニウムとに大別される。
【0006】
また、トルマリンとは、加熱や加圧によって単体の結晶内に負電極及び正電極を発生させ、人体から発する微弱電流とほぼ同程度の電流を発生する鉱物である。そして、トルマリンは、この微弱電流に起因してマイナスイオン及び遠赤外線を発生する性質を呈し、血行の促進作用、及び抗菌作用等の諸作用を有するものである。
【0007】
上記従来技術は、一般的な事項であり、本出願人は、本出願時において、この従来技術を特定する文献を特に知見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の皮膚外用剤に使用されるゲルマニウムとしては、従来の皮膚外用剤に含有する高麗人参、田七人参、又は霊芝等の植物に含まれる有機ゲルマニウムであり、無機ゲルマニウムはほとんど使用されていなかった。
【0009】
さらに、トルマリン及び無機ゲルマニウムの双方を複合的に使用された皮膚外用剤は開発されていなかった。このため、従来の皮膚外用剤では無機ゲルマニウム及びトルマリンが有する作用を十分に発揮できるものはなかった。
【0010】
また、無機ゲルマニウム及びトルマリンを皮膚外用剤に配合する際には、微粉末状に粉砕した状態で皮膚外用剤の主原料となる基剤に投入して攪拌することによって配合することが一般的に考えられる。
【0011】
しかしながら、鉱物である無機ゲルマニウム及びトルマリンは、油や水等に対して不溶性又は難溶性を呈するため、これらを基剤に均一に分散させることが困難であり、上述の方法では、基剤内の無機ゲルマニウム及びトルマリンの分散にむらが生じ、皮膚外用剤として肌表面に塗布される際に、無機ゲルマニウム及びトルマリンが有する作用を十分に発揮できない可能性がある。
【0012】
そこで、本発明は、上記実情に鑑みて、無機ゲルマニウム及びトルマリンが有する皮膚に対して有用な作用を十分に発揮し得る皮膚外用剤の製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために本発明の採った手段は、
「加熱し、溶解させたワセリンに、所定の配合比率でラノリンを投入して攪拌し、基剤を調製する基剤調製工程と、
蜂蜜に対し、微粉末状の無機ゲルマニウム、及び前記微粉末状のトルマリンの順序で所定の配合率で混合し、混合物を調製する混合物調製工程と、
前記基剤に対し、調製された前記混合物を投入し、攪拌する攪拌工程と、
該攪拌工程によって形成された皮膚外用剤を冷却する冷却工程と
を具備することを特徴とする皮膚外用剤の製造方法」
である。
【0014】
ここで、基剤とは、皮膚外用剤の主原料となるものであり、皮膚外用剤は、主にこの基剤と種々の作用を有する成分とによって構成されている。そして、この基剤として用いられるワセリン及び/またはラノリンは、融点が約60℃のロウ状物質であり、保湿作用を有する。
【0015】
また、基剤調製工程とは、基剤に種々の成分を均一に拡散させるために、ロウ状であるワセリン及びラノリンを液状に溶解して基剤を調製するための工程である。このときの加熱温度としては、ワセリン及びラノリンの融点である60℃を超える温度であることが好ましい。
【0016】
そして、混合物調製工程とは、微粉末状の無機ゲルマニウム及びトルマリンを予め蜂蜜内に混合させ、無機ゲルマニウム及びトルマリンが均一に分散した混合物を調製する工程である。なお、微粉末状である無機ゲルマニウム及びトルマリンの粒径の上限としては、蜂蜜内により均一に分散させるため、又は、皮膚外用剤として肌表面に塗布される際に、ざらつき等の使用感を損なうことを防ぐためには、500μm以下、好ましくは400μm以下、さらに好ましくは350μm以下とするのが好ましい。一方、粒径の下限としては、特に限定されるものではないが、例えば、取り扱い中に飛散するのを防止し、取り扱いを容易にするためには、100μm以上、好ましくは200μm以上、さらに好ましくは250μm以上とするのが好ましい。
【0017】
上記構成の皮膚外用剤の製造方法では、蜂蜜、無機ゲルマニウム、及びトルマリンを調製して得られた混合物を、ワセリン及びラノリンを調製して得られた基剤に投入して攪拌し、この混合物及び基剤を冷却することにより、トルマリン及び無機ゲルマニウムの双方を複合的に使用された皮膚外用剤が製造される。ここで、無機ゲルマニウム及びトルマリンは微粉末状のものが使用され、予め蜂蜜中に均一に分散した状態で基剤内に投入される。これによって、無機ゲルマニウム及びトルマリンは基剤中に均一に分散することが可能となる。そして、混合物を投入した基剤を冷却して再度固化させることにより、無機ゲルマニウム及びトルマリンが均一に分散した皮膚外用剤が製造される。したがって、上記構成の皮膚外用剤の製造方法によれば、無機ゲルマニウム及びトルマリンが有する皮膚に対して有用な作用を十分に発揮し得る皮膚外用剤の製造方法とすることができる。
【0018】
なお、製造された皮膚外用剤は、密閉性の蓋付き容器等に充填して保存することにより、長期間有効性を失うことなく使用することが可能である。
【0019】
上述の皮膚外用剤において、
「前記混合物調製工程は、
調製された前記蜂蜜、前記ゲルマニウム、及び前記トルマリンの前記混合物に対し、ウコンから抽出したウコンエキス、ドクダミから抽出したドクダミエキス、田七人参から抽出した田七人参エキス、霊芝から抽出した霊芝エキス、枇杷葉から抽出した枇杷葉エキス、及び、生姜から抽出した生姜エキスを順次投入し、攪拌する植物エキス投入工程をさらに具備することを特徴とする皮膚外用剤の製造方法」
とすることもできる。
【0020】
ここで、ウコンエキス、ドクダミエキス、田七人参エキス、霊芝エキス、枇杷葉エキス、及び生姜エキスは、夫々が、ウコン、ドクダミ、田七人参、霊芝、枇杷葉、又は生姜からアルコール又は水等を用いて抽出したものである。そして、これらには、消炎作用、保湿作用、血行促進作用、殺菌作用、又は温感作用等の皮膚に対して有用な作用を有するビタミンB、サポニン、ショウガオール、タンニン、クロロフィル、トリテルペン、及びビタミンC等が含まれている。なお、有機ゲルマニウムは、上述のように、植物に含有されるものであり、このウコンエキス、ドクダミエキス、及び田七人参エキス等にも含有されている。
【0021】
上記構成の皮膚外用剤の製造方法では、混合物調製工程は、無機ゲルマニウム及びトルマリンに加え、ウコンエキス、ドクダミエキス、田七人参エキス、霊芝エキス、枇杷葉エキス、及び生姜エキスを蜂蜜に投入し、攪拌する植物エキス投入工程を含んで構成されている。これにより、ウコンエキス、ドクダミエキス、田七人参エキス、霊芝エキス、枇杷葉エキス、及び生姜エキスをさらに含有する皮膚外用剤が製造される。その結果、皮膚外用剤には、抗菌作用、又は消炎作用等の皮膚に対して有用な作用が付与される。したがって、上記構成の皮膚外用剤の製造方法によれば、皮膚に生じる種々の問題に対して、より有用性の高い皮膚外用剤を製造することができる。なお、各エキスは上記順序で個々に投入されることにより、混合物中に夫々のエキスが均一に分散することとなる。
【0022】
上述の皮膚外用剤において、
「前記攪拌工程は、
攪拌された前記基剤及び前記混合物に対し、トウガラシから抽出したトウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールを順次投入し、攪拌する精油攪拌工程をさらに具備することを特徴とする皮膚外用剤の製造方法」
とすることもできる。
【0023】
トウガラシエキスとは、トウガラシの果実をアルコール又は水等を用いて抽出して得られたエキスであり、温熱作用を得るための刺激剤としても使用されるカプサイシンを主成分とするものである。また、ラベンダー油とは、鎮痛作用及び鎮静作用等を有する酢酸リナリルを含むものであり、l−メントールとは、ハッカ油やスペアミント油に含まれ、消炎作用及び痒みの抑制作用等を有するものであり、共に高い芳香性を有するものである。そして、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールは、何れも揮発性を有している。
【0024】
上記構成の皮膚外用剤の製造方法では、攪拌工程は、混合物が投入された基剤に、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールを所定の配合比率で順次投入して攪拌する精油攪拌工程を含んで構成される。これにより、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールをさらに含有する皮膚外用剤が製造される。その結果、皮膚外用剤に、温熱作用、鎮痛作用、鎮静作用、鎮痙作用、及び消炎作用等が付与される。したがって、上記構成の皮膚外用剤の製造方法によれば、皮膚に生じる種々の問題に対して、より有用性の高い皮膚外用剤を製造することができる。
【0025】
また、上記構成の皮膚外用剤の製造方法では、混合物を予め基剤に分散させた状態で、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールが投入される。これにより、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールを長時間攪拌する必要がなくなる。その結果、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールを投入した状態での攪拌時間を短時間にすることによって、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールの空気中への揮散が防止される。したがって、上記構成の皮膚外用剤の製造方法によれば、優れた芳香性を有する皮膚外用剤を製造することができる。
【0026】
上述の皮膚外用剤において、
「前記基剤調製工程は、
前記ワセリンを70℃以上、90℃以下の温度下で30分間攪拌した後に前記ラノリンを投入し、前記ワセリン及び前記ラノリンを70℃以上、90℃以下の温度下で15分間攪拌することを特徴とする皮膚外用剤の製造方法」
とすることもできる。
【0027】
上記構成の皮膚外用剤の製造方法では、初めに、ワセリンは70℃以上、90℃以下、好ましくは75℃以上、85℃以下の温度下で30分間攪拌され、その後、係るワセリンにラノリンが投入され、70℃以上、90℃以下、好ましくは75℃以上、85℃以下の温度下で15分間攪拌される。すなわち、70℃以上の温度下で攪拌を行うように設定されることにより、融点が約60℃であるワセリン及びラノリンは完全に溶解し、均一に混合させた基剤を調製することが可能となる。一方、90℃以下の温度下で攪拌を行うように設定されることにより、高温の加熱攪拌を行うことによって生じ得るワセリン及びラノリンの変色や熱分解等を回避することが可能となる。したがって、上記構成の皮膚外用によれば、皮膚外用剤の品質の低下から回避することができる。
【0028】
上述の皮膚外用剤において、
「前記攪拌工程は、
前記基剤及び該基剤に投入された前記混合物を120分間攪拌し、
前記精油攪拌工程では、
前記基剤、及び該基剤に投入された前記混合物、トウガラシエキス、ラベンダー油、並びにl−メントールを40℃以上、60℃以下の温度下で10分間攪拌する
ことを特徴とする皮膚外用剤の製造方法」
とすることもできる。
【0029】
上記構成の皮膚外用剤の製造方法では、基剤は、混合物が投入され、120分間攪拌された後に、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールがさらに投入され、10分間攪拌される。これにより、揮発性を有するトウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールを基剤に投入する前に、基剤内の混合物を確実且つ均一に分散させることとなる。その結果、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールを投入した後の攪拌時間を短縮することが可能となり、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールが高温又は長時間の攪拌によって空気中に揮散することが防止される。
【0030】
また、上記構成の皮膚外用剤の製造方法では、基剤にトウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールを投入した後の攪拌は、40℃以上、60℃以下、好ましくは45℃以上55℃以下の温度下で行うように設定される。すなわち、60℃以下の温度下で攪拌を行うように設定されることにより、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールが高温によって空気中に揮散することが防止される。一方、40℃以上の温度下で攪拌を行うように設定されることにより、基剤の溶解状態を保持し、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールを基剤内に良好に分散させることが可能となる。
【0031】
したがって、上記構成の皮膚外用剤の製造方法によれば、各々の物質及び成分が有する作用を保った皮膚外用剤を製造することができる。
【発明の効果】
【0032】
上述の通り、本発明の皮膚外用剤の製造方法によれば、各種成分を含有することにより、抗菌作用や血行の促進作用等の複数の優れた作用を有する皮膚外用剤を製造することができる。特に、微粉末状の無機ゲルマニウム及びトルマリンを予め蜂蜜内に分散させた状態で基剤内に投入することによって、無機ゲルマニウム及びトルマリンは基剤内にも均一に分散させることが可能となり、無機ゲルマニウム及びトルマリンの双方が有する作用を十分に発揮し得る皮膚外用剤を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態である皮膚外用剤の製造方法について、図1に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の皮膚外用剤の製造方法1を示すフローチャートである。
【0034】
本実施形態の皮膚外用剤の製造方法1で製造される皮膚外用剤は、白色ワセリン及び精製ラノリンを含む基剤と、蜂蜜と、無機ゲルマニウム、トルマリン、枇杷葉エキス、生姜エキス、霊芝エキス、ウコンエキス、田七人参エキス、ドクダミエキス、トウガラシエキス、l−メントール、及びラベンダー油を後述する配合比率で、加熱、混合及び攪拌をしたものである。なお、白色ワセリン及び精製ラノリンは、常温(約20〜35℃)ではロウ状を呈するものであり、これらを基剤として製造される皮膚外用剤は軟膏として一般に使用される周知の素材である。
【0035】
さらに詳しく説明すると、白色ワセリン及び精製ラノリンは、肌に塗布されることにより、その油分によって肌表面の水分の蒸発を防ぐ保湿作用を有するものである。そして、蜂蜜は、上述の白色ワセリン及び精製ラノリンと同様に水分の蒸発を防ぐ保湿作用を皮膚外用剤に付与するものである。さらに、無機ゲルマニウムは、血行の促進作用、及び筋肉の凝りの解消作用等を有するものである。
【0036】
そして、トルマリンは、血行の促進作用、及び抗菌作用等を有するものである。なお、無機ゲルマニウム及びトルマリンは、皮膚外用剤として肌表面に塗布される際に、ざらつき等の使用感を損なうことを防ぐため、夫々が平均粒径300μm程度の粉状に粉砕されたものが利用される。これにより、使用時に使用者に対して不快な感覚を与えることがない。
【0037】
ここで、ウコンエキス、ドクダミエキス、田七人参エキス、霊芝エキス、枇杷葉エキス、生姜エキス及びトウガラシエキスは、何れも血行の促進作用、新陳代謝の向上作用、抗菌作用、消炎作用、又は温感作用等の皮膚に対して有用な作用を奏するものである。
【0038】
また、ラベンダー油及びl−メントールは、鎮痛作用、鎮静作用、消炎作用、又は痒みの抑制作用等の皮膚に対して有用な作用を奏するものであり、共に高い芳香性を有するものである。すなわち、上述の基剤、蜂蜜、無機ゲルマニウム、トルマリン、ウコンエキス、ドクダミエキス、田七人参エキス、霊芝エキス、枇杷葉エキス、生姜エキス、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールは、夫々が皮膚に対して有用な種々の作用を有するものである。
【0039】
また、主に生姜、霊芝、ウコン、及び田七人参には有機ゲルマニウムも含まれており、新陳代謝の向上作用、及び抗菌作用等も有するものである。係る有機ゲルマニウムによる作用は、従来の皮膚外用剤にも利用される周知のものである。
【0040】
次に、本実施形態の皮膚外用剤の製造方法1について説明する。なお、ここで各原料の後に記載されている重量は、使用する各原料の配合比率の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0041】
まず、基剤の調製を行う。具体的には、内部の温度を任意に設定可能であると共に、収容物を攪拌可能な調製釜に白色ワセリン(1900g)を入れ、80℃で30分間加熱して溶解させる(第一攪拌工程S1)。すると、融点が約60℃である白色ワセリンは透明な液状に溶解する。そして、調製釜内の温度を80℃の加熱温度に保った状態で精製ラノリン(60g)を調製釜に投入し、さらに15分間攪拌する(第二攪拌工程S2)。すると、白色ワセリンと同様に融点が約60℃である精製ラノリンは溶解して液状になり、白色ワセリンに混合される。これにより、液状に溶解した状態の基剤が得られる。なお、本実施形態における第一攪拌工程S1及び第二攪拌工程S2が、本発明における基剤調製工程に相当する。
【0042】
一方、上述した基剤の調製と並行して、基剤に投入するための混合物の調製を行う。具体的には、まず、蜂蜜(120g)を上述の調製釜とは別の容器に入れ、攪拌しながら無機ゲルマニウム(15g)及びトルマリン(20g)を順次投入して攪拌し(無機物投入工程S3)、さらに、ウコンエキス(20g)、ドクダミエキス(20g)、田七人参エキス(20g)、霊芝エキス(20g)、枇杷葉エキス(5g)、及び生姜エキス(5g)を順次投入し、攪拌する(植物エキス投入工程S4)。これにより、無機ゲルマニウム、トルマリン、ウコンエキス、ドクダミエキス、田七人参エキス、霊芝エキス、枇杷葉エキス、及び生姜エキスが均一に分散した混合物が得られる。なお、上記の無機物投入工程S3及び植物エキス投入工程S4は、無機ゲルマニウム、トルマリン、及びウコンエキス等を蜂蜜中に分散させることを目的とするものであり、加熱を必要としない。
【0043】
なお、本実施形態では、無機ゲルマニウム及びトルマリンは、粉砕機により粒径が250μm以上、350μm以下、好ましくは300μm前後の粉状または粒状に粉砕したものを使用する。また、本実施形態における無機物投入工程S3及び植物エキス投入工程S4が、本発明における混合物調製工程に相当する。
【0044】
次に、基剤が調製された調製釜の加熱を停止し、調製釜内の温度を65℃前後まで低下させた後に、無機物投入工程S3及び植物エキス投入工程S4で調製した混合物を、調製釜に投入して120分間攪拌する(混合物攪拌工程S5)。これにより、調製釜内で基剤及び混合物が混合される。このとき、攪拌を長時間行うことによって、基剤内に混合物が均一に分散した状態にすることができる。なお、本実施形態において調製釜内の温度が65℃前後で混合物を投入するものを示したが、これは、種々の植物から抽出されるウコンエキス及び枇杷葉エキス等が80℃以上の高温で変性し、皮膚に対して有用な作用を損なうおそれがあるためである。
【0045】
そして、調製釜内を50℃まで低下させた後に、トウガラシエキス(20g)、ラベンダー油(20g)、及びl−メントール(30g)を調製釜に順次投入して10分間攪拌する(精油攪拌工程S6)。このとき、調製釜の設定温度を50℃に低下させると共に攪拌時間を比較的短時間の10分間に設定することにより、揮発性を有するトウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールの空気中への揮散を防止することができる。なお、本実施形態における混合物攪拌工程S5及び精油攪拌工程S6が、本発明における攪拌工程に相当する。
【0046】
次に、混合物攪拌工程S5及び精油攪拌工程S6によって攪拌した基剤及び混合物を冷却する(冷却工程S7)。具体的には、基剤及び混合物の温度が常温(18℃〜30℃)になるまで自然冷却を行う。これにより、基剤として使用されている白色ワセリン及び精製ラノリンがロウ状に固化し、軟膏状の皮膚外用剤に形成される。
【0047】
その後、冷却工程S7によって固化した皮膚外用剤を複数の所定の容器に小分けして充填する(充填工程S8)。以上の工程によって、蜂蜜、無機ゲルマニウム、トルマリン、ウコンエキス、ドクダミエキス、田七人参エキス、霊芝エキス、枇杷葉エキス、生姜エキス、トウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールを含有する皮膚外用剤が製造される。この製造方法1によれば、種々の成分を有効に作用させ、皮膚に生じる問題の予防及び改善に優れた皮膚外用剤を製造することができる。
【0048】
特に、本実施形態の皮膚外用剤の製造方法1によれば、従来の皮膚外用剤にはない無機ゲルマニウム及びトルマリンの双方を含有し、無機ゲルマニウム及びトルマリンが有する作用を十分に発揮し得る皮膚外用剤を製造することができる。
【0049】
すなわち、本実施形態の皮膚外用剤の製造方法1によって製造した皮膚外用剤を、皮膚の乾燥や痒み等の問題がある箇所に塗布し、経皮吸収させることによって、皮膚外用剤に含まれる上述の種々の成分を皮膚の問題に直接作用させることができる。例えば、基剤及び蜂蜜等が有する保湿作用によって、皮膚の角質層内の水分を容易に外部に放出することなく保持することが可能であり、皮膚表面の乾燥を予防することが可能となる。また、トルマリン及び無機ゲルマニウム等が有する血行促進作用によって、冷え症、むくみ、又は凝り等を改善することが可能となる。さらに、トルマリン、ウコンエキス、及びドクダミエキス等が有する抗菌作用によって、水虫の予防又は消臭等が可能となる。さらに、ラベンダー油及びl−メントールによって皮膚外用剤に芳香を付与することが可能となる。
【0050】
さらに、本実施形態の皮膚外用剤の製造方法1によって製造した皮膚外用剤は、非常に微細粒状の無機ゲルマニウム及びトルマリンを含有するため、使用に際して使用者が違和感を覚えることなく、通常の保湿クリームとして利用することができる。また、本実施形態の皮膚外用剤の製造方法1によれば、皮膚外用剤を天然素材及び植物性原料を主として製造するため、化学物質アレルギーのような体質の人に対しても安心して使用する可能性が高くなる。また、合成された化学品や自然環境に悪影響を及ぼす薬品等を使用することがないため、地球環境に対する十分な配慮が示されている。さらに、使用後に一部が残存した場合であっても、そのまま焼却したり、或いは埋め立て処分などをすることができ、自然環境を汚染する必要がない皮膚外用剤を製造することができる。
【0051】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良が可能である。
【0052】
すなわち、本実施形態で示した皮膚外用剤を製造するために用いた基剤等の種々の原料の配合比は一例であり、これに限定されるものでない。これらは、使用する原料の性質等の条件によって適宜調製しても構わない。
【0053】
また、本実施形態の皮膚外用剤の製造方法1において、第一攪拌工程S1及び第二攪拌工程S2における設定温度を80℃、混合物攪拌工程S5における設定温度を65℃前後、精油攪拌工程S6における設定温度が50℃に設定するものを例示したが、これに限定されるものではない。各工程の温度条件は、基剤及び混合物の配合比又は状態等によって、所定の範囲内において変更しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態の皮膚外用剤の製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 皮膚外用剤の製造方法
S1 第一攪拌工程(基剤調製工程)
S2 第二攪拌工程(基剤調製工程)
S3 無機物投入工程(混合物調製工程)
S4 植物エキス投入工程(混合物調製工程)
S5 混合物攪拌工程(攪拌工程)
S6 精油攪拌工程(攪拌工程)
S7 冷却工程
S8 充填工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱し、溶解させたワセリンに、所定の配合比率でラノリンを投入して攪拌し、基剤を調製する基剤調製工程と、
蜂蜜に対し、微粉末状の無機ゲルマニウム、及び前記微粉末状のトルマリンの順序で所定の配合率で混合し、混合物を調製する混合物調製工程と、
前記基剤に対し、調製された前記混合物を投入し、攪拌する攪拌工程と、
該攪拌工程によって形成された皮膚外用剤を冷却する冷却工程と
を具備することを特徴とする皮膚外用剤の製造方法。
【請求項2】
前記混合物調製工程は、
調製された前記蜂蜜、前記ゲルマニウム、及び前記トルマリンの前記混合物に対し、ウコンから抽出したウコンエキス、ドクダミから抽出したドクダミエキス、田七人参から抽出した田七人参エキス、霊芝から抽出した霊芝エキス、枇杷葉から抽出した枇杷葉エキス、及び、生姜から抽出した生姜エキスを順次投入し、攪拌する植物エキス投入工程をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤の製造方法。
【請求項3】
前記攪拌工程は、
攪拌された前記基剤及び前記混合物に対し、トウガラシから抽出したトウガラシエキス、ラベンダー油、及びl−メントールを順次投入し、攪拌する精油攪拌工程をさらに具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の皮膚外用剤の製造方法。
【請求項4】
前記基剤調製工程は、
前記ワセリンを70℃以上、90℃以下の温度下で30分間攪拌した後、前記ラノリンを投入し、前記ワセリン及び前記ラノリンを70℃以上、90℃以下の温度下で15分間攪拌することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の皮膚外用剤の製造方法。
【請求項5】
前記攪拌工程は、
前記基剤及び該基剤に投入された前記混合物を120分間攪拌し、
前記精油攪拌工程は、
前記基剤、及び該基剤に投入された前記混合物、トウガラシエキス、ラベンダー油、並びにl−メントールを40℃以上、60℃以下の温度下で10分間攪拌することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の皮膚外用剤の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−335681(P2006−335681A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162174(P2005−162174)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(397056352)合資会社下呂膏社 (2)
【Fターム(参考)】