説明

皮膚外用剤

【課題】
アルギン酸及び/又はその塩を含有する皮膚外用剤において、皮膚への保湿性の付与効果の持続性に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とした。
【解決手段】
1)アルギン酸及び/又はその塩と、2)N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)のようなアシル化アミノ酸のエステルを含有させることにより、皮膚への保湿性の付与効果の持続性に優れた皮膚外用剤を提供することができた。さらに、本発明においては、アルギン酸を含有する皮膚外用剤の使用感を向上させることもできた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には皮膚への保湿性付与効果の持続性に優れた皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アルギン酸は海藻などから抽出される天然の多糖類であり、主としてマンヌロン酸とグルロン酸の2種の糖から構成されている。このアルギン酸は、カルシウムイオンなどの多価イオンにより、不溶性の皮膜などを形成し易い性質を有している。この性質を利用して、パック化粧料を得る技術(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)やこの皮膜をカプセル材とした利用した化粧料を得る技術(例えば、特許文献3を参照)は知られていた。また、アルギン酸を低分子量化して、そのベタツキ感を軽減する技術(例えば、特許文献4を参照)も知られている。さらに、アルギン酸及びその多価アルコールエステルを用いて乳化組成物を得る技術(例えば、特許文献5を参照)に関しても知られている。この技術は、界面活性剤を使用せずに、安定な乳化物を得るユニークな技術であるが、スキンケア等に用いる化粧料等の特性として、この皮膚外用剤の皮膚への保湿性付与効果の持続時間を延ばし、保湿効果を更に向上させることが望まれている。
【0003】
一方、アシル化アミノ酸のエステルは極性を有する油剤として、そのエモリエント感を活かしてこれを化粧料に配合する技術(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9を参照)は知られていた。しかし、アルギン酸と、アシル化アミノ酸のエステルを含有する皮膚外用剤は知られていないし、アルギン酸とアシル化アミノ酸のエステルを組み合わせて用いることにより、皮膚への保湿性付与効果の持続性に優れた皮膚外用剤が得られることは全く知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平06−65048号公報
【特許文献2】特開2004−182637号公報
【特許文献3】特開平06−116117号公報
【特許文献4】特開2004−75635号公報
【特許文献5】特開2004−196728号公報
【特許文献6】特開平03−275697号公報
【特許文献7】特開平05−112514号公報
【特許文献8】特開平11−189522号公報
【特許文献9】特開平11−240828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、皮膚への保湿性付与効果の持続性に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような状況に鑑みて、本発明者らはアルギン酸及び/又はその塩を含有した皮膚外用剤において、皮膚の保湿性を長時間保持させる皮膚外用剤を提供することを目的として、鋭意研究努力を重ねた結果、アルギン酸及び/又はその塩を含有する皮膚外用剤において、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステイル/2−オクチルドデシル)などのアシル化アミノ酸のエステルを含有させることにより、皮膚への保湿性付与効果の持続性に優れた皮膚外用剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下に示す通りである。
【0007】
(1) 1)アルギン酸の及び/又はその塩と、2)アシル化アミノ酸のエステルとを含有する皮膚外用剤。
(2) アシル化アミノ酸のエステルが、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)であることを特徴とする(1)に記載の皮膚外用剤。
(3) さらに、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルを含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4) ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルが、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)であることを特徴とする(1)〜(3)何れかに記載の皮膚外用剤。
(5) さらに、アルギン酸の多価アルコールエステル及び/又はその塩を含有することを特徴とする(1)〜(4)何れかに記載の皮膚外用剤。
(6) アルギン酸の多価アルコールエステルがアルギン酸プロピレングリコールエステルであることを特徴とする、(5)に記載の皮膚外用剤。
(7) 水中油型の乳化剤型であることを特徴とする、(1)〜(6)何れかに記載の皮膚外用剤。
(8) 化粧料であることを特徴とする、(1)〜(7)何れかに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、皮膚への保湿性付与効果の持続性に優れた皮膚外用剤を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるアルギン酸及び/又はその塩
本発明の皮膚外用剤は、アルギン酸及び/又はその塩を含有していることを特徴としている。本発明の皮膚外用剤に使用されるアルギン酸としては、皮膚外用剤などで使用されているものであれば特段の限定無く使用することができるが、低粘度品であることがより好ましい。この様な低粘度品としては、例えば、株式会社キミカより、粘度違いで、1%水溶液の粘度が20〜50mPa・sの「キミカアルギンIL−2」、50〜80mPa・sの「キミカアルギンIL−6」、80〜200mPa・sの「キミカアルギンI−1」、300〜400mPa・sの「キミカアルギンI−3」、500〜600mPa・sの「キミカアルギンI−5」、700〜800mPa・sの「キミカアルギンI−7」、950〜1100mPa・sの「キミカアルギンI−S」など、さらに、10%水溶液の粘度が20〜50mPa・sの「キミカアルギンULV−L3」、30〜60mPa・sの「キミカアルギンULV−L5」、100〜200mPa・sの「キミカアルギンULV−1」、300〜400mPa・sの「キミカアルギンULV−3」、500〜600mPa・sの「キミカアルギンULV−5」、2000〜2100mPa・sの「キミカアルギンULV−20」などの超低粘度品が、市販されており、これらを購入して使用することができ、好ましい。これらの中では、1%水溶液の粘度が10〜100mPa・sに該当するもの或いは10%水溶液の粘度が10〜600mPa・sに該当するものを用いるのが好ましく、10%水溶液の粘度が10〜600mPa・sに該当するものを用いるのがより好ましい。また、これらの粘度違い品から選択される1種乃至は2種以上を組み合わせて使用することも好ましい形態である。本発明に使用されるアルギン酸及び/又はその塩に用いられる塩としては、一価の塩であれば問題なく使用できるが、アルカリ金属塩であるナトリウム塩、カリウム塩が好ましく例示できる。このようなアルギン酸及び/又はその塩の好ましい含有量は、皮膚外用剤全体の0.1〜2質量%が好ましく。0.2〜1質量%がより好ましい。これは、これより少ないと本発明の効果が得られにくくなる場合があり、多すぎると硬度が高くなりすぎて使用性を損なう場合があるからである。
【0010】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるアシル化アミノ酸のエステル
本発明の皮膚外用剤は、アシル化アミノ酸のエステルを含有していることを特徴としている。アシル化アミノ酸のエステルとは、アミノ酸のアミノ基に長鎖脂肪酸がアミド結合をしており、残りのカルボン酸部分に種々のアルコールがエステル結合をしている構造を有している。グルタミン酸やアスパラギン酸のような酸性アミノ酸を用いた場合には、カルボン酸基を2つ有しているので、性質の異なるアルコールをそれぞれ、あるいは混合して結合させることも可能である。このような、アシル化アミノ酸のエステルとしては、味の素株式会社よりN−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)が「エルデュウPS203」、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)が「エルデュウPS304」、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル)が「エルデュウCL202」、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)が「エルデュウCL301」、N−ラウロイル−サルコシン−イソプロピルが「エルデュウSL205」として、市販されており、これらのものを購入して使用することができ、好ましい。これらの中では、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)を用いるのが、特に好ましい。このような、アシル化アミノ酸のエステルの皮膚外用剤中における含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜2質量%がより好ましい。これより少ないと本発明の効果が得られにくい場合があり、多すぎると使用性を損なう場合があるからである。
【0011】
(3)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、上記アルギン酸及び/又はその塩と、アシル化アミノ酸のエステルとを含有することを特徴とする皮膚外用剤に関するものである。さらに詳しくは、アルギン酸及び/又はその塩を含有する皮膚外用剤において、さらにN−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)などのアシル化アミノ酸のエステルを含有させることによる、皮膚への保湿性付与効果の持続性に優れた皮膚外用剤に関するものである。
【0012】
本発明の皮膚外用剤においては、前記成分以外に、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルのような極性油剤を含有させるのも好ましい形態である。アシル化アミノ酸のエステルがその分子中にエステル結合とアミド結合を有する極性の高い油剤であるであるのと類似して、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルもその分子中にエステル結合を2個以上有する極性の高い油剤である。ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルのような極性の高い油剤をさらに含有させることにより、本発明の皮膚外用剤における皮膚への保湿性付与効果の持続性がより向上する。本発明の皮膚外用剤に用いるダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルは、モノ−或いはジ−不飽和脂肪酸を2量体化させた後、必要に応じて水素添加して得られるダイマー酸と種々のアルコールとのエステル体、さらにはダイマー酸を還元して得られるダイマージオールと種々の脂肪酸とのエステル、ダイマー酸とダイマージオールとのエステルなどを指し、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイルなどが例示できる。これらの化合物は日本精化株式会社より、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル・フィトステリル)が「LUSPLAN PI−DA」として、ダイマージリノール酸ジリノレイルが「LUSPLAN DD−DA」として、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイルが「LUSPLAN DD−IS」として、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)が「Plandool−H」などとして市販されており、これらのものを購入して使用することができ、好ましい。これらのダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルはつや出し効果やエモリエント効果に優れており、口紅やエモリエントクリームなどに使用されている。本発明の皮膚外用剤においては、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)を用いた時に効果が高く、これを用いることが特に好ましい。このような、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルの皮膚外用剤中における含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。これは、これより少ないと本発明の効果が得られにくくなる場合があり、多すぎると硬度が高くなりすぎて使用性を損なう場合があるからである。
【0013】
本発明の皮膚外用剤においては、上記成分に加えて、アルギン酸の多価アルコールエステル及び/又はその塩を含有することによっても、本発明の効果が向上する。これらのアルギン酸の多価アルコールエステルを構成する多価アルコールとしては、皮膚外用剤などで使用されているものあれば特段の限定無く使用することができ、炭素数2〜4のものが好ましい。具体的には、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール等が好ましく例示できる。これらの中でも、親水性と疎水性のバランスからプロピレングリコールが特に好ましく例示できる。このようなアルギン酸の多価アルコールエステルとしては、すでに市販されているものがあり、これらを購入して使用することができる。例えば、株式会社キミカより、エステル化度や粘度違いで「キミロイドLLV」、「キミロイドNLS−K」、「キミロイドLV」、「キミロイドBF」などが、市販されており、これらを購入して使用することができ、好ましい。これらの内では、「キミロイドBF」が特に好ましい。このようなアルギン酸の多価アルコールエステルの好ましい含有量は、皮膚外用剤全体の0.1〜2質量%が好ましく。0.2〜1質量%がより好ましい。これより少ないと本発明の効果が得られにくい場合があり、多すぎると使用性を損なう場合があるからである。
【0014】
また、本発明の皮膚外用剤は、アルギン酸及び/又はその塩を含有し、さらにアシル化アミノ酸のエステルを含有する皮膚外用剤であるが、アルギン酸及び/又はその塩が水溶性であり、アシル化アミノ酸のエステルが油溶性であることから、本発明の皮膚外用剤は乳化剤型、特に水中油型の乳化剤型であることが好ましい。水中油型の乳化剤型において、外水相中のアルギン酸のネットワーク構造を強化するために、多価金属塩を含有していることも好ましい形態である。本発明に使用される多価金属塩の金属根としては、化粧料などに使用可能な多価の金属根であれば使用可能であるが、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、銅、鉄などが好ましく例示でき、その中でもカルシウム、アルミニウム、亜鉛がより好ましい。これらの多価金属塩の金属根の対イオンとしては、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオンなど何れでも使用でき、好ましい。これらの多価金属塩は、前記アルギン酸及び/又はその塩のカルボン酸部分に配位し、カルボン酸間のイオン的な架橋に関与し、製剤系のネットワーク構造の維持に寄与する。
【0015】
天然のアルギン酸は、分子量が数万〜数百万といわれる非常に大きな多糖類である。アルギン酸自身が皮膜を形成し易いことから、アルギン酸を含有する化粧料においては、ベタツキ感や皮膜感が感触的な特徴となっており、パック化粧料においては、この皮膜感はパック感そのものであるとも言える。アルギン酸を低分子量化することにより、ベタツキ感や皮膜感をある程度軽減することは可能である。また、一般の化粧料にアルギン酸を使用する場合には、個人の感触上の好みの問題ではあるが、この皮膜感が使用実感として好まれる面でもあれば、逆に疎まれる面でもあり、化粧料にアルギン酸を使用する際の処方上の工夫が必要となる所でもあった。逆に言えば、アルギン酸自身の皮膜感をさらに軽減することができれば、アルギン酸の処方化における自由度が高くなり、保湿素材としてのアルギン酸の有用性がより向上すると言える。本発明においては、アルギン酸とアシル化アミノ酸のエステルを組み合わせて使用することにより、皮膚に対する保湿性付与効果の持続性が向上するのに加えて、アルギン酸を含有する製剤系の使用感が向上しており、アルギン酸の使い勝手をより向上させる効果も有していると言える。
【0016】
本発明の皮膚外用剤では、本発明の効果を妨げない範囲において、前記の成分以外に、通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、グリセリン、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、イソプレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。これらを常法に従って処理することにより、本発明の皮膚外用剤は製造することが出来る。
【0017】
かくして得られた本発明の皮膚外用剤は、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸アルキル及びそれらの塩などの抗炎症剤、ビタミンE及び/又はその誘導体などの血行促進剤、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド、コウジ酸などの美白剤から選択される1種乃至は2種以上の医薬部外品の有効成分を含有させて医薬部外品とすることも本発明の効果的な使用法である。これらの抗炎症剤や美白剤を含有する場合には、医薬部外品の有効成分としての性格を利用して、抗炎症作用の医薬部外品、又は、美白作用を有する医薬部外品とすることも可能であり、好ましい。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、これらの成分を常法に従って処理することにより得ることができる。本発明の皮膚外用剤の製品形態は、水中油型の乳化系で使用することが好ましく、その製品形態としては特に限定されるものではないが、具体的には、クリーム、乳液、エッセンスミルク、ミルクローションなどが例示できる。
【0019】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0020】
下記に示す処方に従い、イ)を混合後70℃に加熱し、これにロ)を混合後70℃に加熱したものを添加して、ホモミキサーにて撹拌、乳化した。さらに、ハ)、ニ)を70℃に加熱したものを撹拌しながら順次添加した。撹拌しながら冷却して本発明のクリーム1を作製した。さらに、実施例1において、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(ファイトステリル/2−オクチルドデシル):「エルデュウPS203」を水に置換した比較例1,アルギン酸ナトリウム:「キミカアルギン1L−6」を水に置換した比較例2,N−ラウロイルグルタミン酸ジ(ファイトステリル/2−オクチルドデシル):「エルデュウPS203」とアルギン酸ナトリウム:「キミカアルギン1L−6」とを水に置換した比較例3も作製した。
【0021】
イ)
アルギン酸ナトリウム
・・・「キミカアルギンIL−6」(株式会社キミカ製) 0.8 質量%
アルギン酸プロピレングリコールエステル
・・・「キミロイドBF」(株式会社キミカ製) 0.5 質量%
1,3−ブタンジオール 6.0 質量%
グリセリン 5.0 質量%
フェノキシエタノール 0.3 質量%
純水 38.0 質量%
ロ)
2−エチルヘキサン酸トリグリセライド 8.0 質量%
イソステアリン酸 1.0 質量%
ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)・・・「Plandool−H」(日本精化株式会社製) 0.5 質量%
ソルボンS60A 0.5 質量%
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25EO) 0.5 質量%
トリ(カプリル/カプリン/ミリスチン/ステアリン酸)トリグリセライド
・・・「サラコス334」(日清オイリオ株式会社製) 2.8 質量%
ベヘニルアルコール 0.3 質量%
スクワラン 1.0 質量%
N−ラウロイルグルタミン酸ジ(ファイトステリル/2−オクチルドデシル)
・・・「エルデュウPS203」(味の素株式会社製) 0.5 質量%
メチルポリシロキサン 1.0 質量%
ハ)
塩化カルシウム 0.05質量%
純水 3.5 質量%
ニ)
水酸化カリウム 0.1 質量%
純水 29.65質量%
【0022】
<試験例1> 皮膚の保湿性の評価試験1
20名のパネラーを対象として、皮膚の保湿性の持続性に関しての試験を実施した。測定に際しては、20℃、相対湿度50%の部屋で実施し、測定値は平均した。各パネラーに、顔面を37℃の温水を用いて、クレンジング料、水性洗顔料を使用して洗浄してもらい、その後15分間安静にしてもらった後、測定を行った。頬部を対象として、皮膚の保湿性を「SKICON−200EX」(アイ・ビイ・エス株式会社製)にて測定した。皮膚の保湿性の値の平均がほぼ同等となるように、5名ずつにグループ分けし、それぞれのグループに、実施例1にて作成したクリーム1及び比較例1,比較例2,比較例3のサンプルを塗布してもらって、30分後に皮膚の保湿性を測定した(各サンプル塗布時を0時間とし、塗布前の初期値の測定時を−0.5時間、塗布直後の測定時を0.5時間とした)。3時間、6時間後にも15分の安静後に、皮膚の保湿性の測定を行い、皮膚の保湿性の経時的変化を追跡した。評価結果を図1に示した。
【0023】
図1において、「キミカアルギンIL−6」と「エルデュウPS203」をいずれも含有しない比較例3と比べて、「エルデュウPS203」のみを含有する比較例2では皮膚の保湿性付与効果の持続性にそれほどの違いは見られないが、「キミカアルギンIL−6」のみを含有する比較例1では、若干の持続延長効果が見られた。これら対して、「キミカアルギンIL−6」と「エルデュウPS203」を共に含有するクリーム1では、塗布後数時間に渡り、皮膚の保湿性付与効果の長時間にわたる持続効果が認められた。
【0024】
<試験例2> 皮膜感の官能評価
5名の専門評価者によって、実施例1のクリーム、比較例1、比較例2、比較例3のサンプルに関して、各サンプルを塗布した後の皮膜感に関して、以下の評点で評価してもらった。5名の評価値を平均し、評価結果を表1に示した。
皮膜感を感じる :1
皮膜感をやや感じるが問題のないレベル :2
皮膜感をほとんど感じない :3
皮膜感を感じない :4
【0025】
【表1】

【0026】
表1の結果より、いずれのサンプルも実用的には皮膜感は全く問題のないレベルであるが、比較例3と比較例2を比較すると、比較例3に「エルデュウPS203」を加えた比較例2でも皮膜感はほとんど変わらなかった。しかし、比較例3に「キミカアルギンIL−6」を添加した比較例1では、かなりの評価者が皮膜感を認識していた。この比較例1に、「エルデュウPS203」を添加したクリーム1では、皮膜感を感じる評価者が減少し、「エルデュウPS203」は、「キミカアルギンIL−6」を含有する製剤の使用感を更に高めていると言える。
【実施例2】
【0027】
下記に示す処方に従い、イ)を混合後70℃に加熱し、これにロ)を混合後70℃に加熱したものを添加して、ホモミキサーにて撹拌、乳化した。さらに、ハ)、ニ)を70℃に加熱したものを撹拌しながら順次添加した。これを撹拌しながら冷却して、本発明のクリーム2を作製した。実施例2のクリーム2において、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル):「エルデュウPS304」をN−ラウロイル−グルタミン酸ジ(コレステリル/2−オクチルドデシル):「エルデュウCL202」に置換したクリーム3、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル):「エルデュウCL301」に置換したクリーム4、N−ラウロイル−サルコシン−イソプロピル:「エルデュウSL205」に置換したクリーム5を作製した。さらにクリーム2において、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル/セチル/ステアリル/ベヘニル):「Plandool−H」を水に置換したクリーム6、アルギン酸プロピレングリコールエステル:「キミロイドBF」を水に置換したクリーム7を作製した。
【0028】
イ)
アルギン酸ナトリウム
・・・「キミカアルギンIL−6」(株式会社キミカ製) 0.2 質量%
アルギン酸ナトリウム
・・・「キミカアルギンULV−L3」(株式会社キミカ製) 0.3 質量%
アルギン酸プロピレングリコールエステル
・・・「キミロイドBF」(株式会社キミカ製) 0.2 質量%
1,3−ブタンジオール 6.0 質量%
グリセリン 5.0 質量%
フェノキシエタノール 0.3 質量%
純水 38.0 質量%
ロ)
2−エチルヘキサン酸トリグリセライド 8.0 質量%
イソステアリン酸 1.0 質量%
ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)・・・「Plandool−H」(日本精化株式会社製) 2.0 質量%
ソルボンS60A 0.5 質量%
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25EO) 0.5 質量%
トリ(カプリル/カプリン/ミリスチン/ステアリン酸)トリグリセライド
・・・「サラコス334」(日清オイリオ株式会社製) 2.8 質量%
ベヘニルアルコール 0.3 質量%
スクワラン 1.0 質量%
N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2−オクチルドデシル)・・・「エルデュウPS304」(味の素株式会社製) 0.5 質量%
メチルポリシロキサン 1.0 質量%
ハ)
塩化カルシウム 0.05質量%
純水 3.5 質量%
ニ)
水酸化カリウム 0.1 質量%
純水 28.75質量%
【0029】
<試験例3> 皮膚の保湿性の評価試験2
35名のパネラーを対象として、試験例1に示した方法とほぼ同様にして皮膚の保湿性の持続性に関しての試験を実施した。まず、初期状態の皮膚の保湿性を測定し、保湿性の値の平均がほぼ同等となるように、5名ずつにグループ分けし、それぞれのグループに、実施例2にて作製したクリーム2及びクリーム3,クリーム4、クリーム5、クリーム6、クリーム7、実施例1の比較例3のサンプルを塗布してもらって、試験例1と同様に皮膚の保湿性の測定を行い、その経時的変化を追跡した。評価結果を図2に示した。
【0030】
図2の結果より、実施例1で作製した比較例3のサンプルと比べて、実施例2において作製した「エルデュウPS304」を用いたクリーム2、「エルデュウPS304」を「エルデュウCL202」に置換したクリーム3、「エルデュウCL301」に置換したクリーム4、「エルデュウSL205」に置換したクリーム5では、実施例1で作製したクリーム1と同様に皮膚への保湿性の付与効果の持続性が優れていることが判った。さらに、クリーム2の処方において、「Plandool−H」を水に置換したクリーム6、「キミロイドBF」を水に置換したクリーム7においてもかなりの効果は認められるものの、効果はクリーム2の方が顕著であり、「Plandool−H」のようなダイマー酸のエステルや「キミロイドBF」のようなアルギン酸の多価アルコールエステルも本発明の効果を増強する作用を有していることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、皮膚への保湿性付与効果の持続性に優れた皮膚外用剤に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】試験例1の結果を示す図である。
【図2】試験例3の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)アルギン酸及び/又はその塩と、2)アシル化アミノ酸のエステルとを含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
アシル化アミノ酸のエステルが、N−ラウロイル−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
さらに、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステルが、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)であることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
さらに、アルギン酸の多価アルコールエステル及び/又はその塩を含有することを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
アルギン酸の多価アルコールエステルがアルギン酸プロピレングリコールエステルであることを特徴とする、請求項5に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
水中油型の乳化剤型であることを特徴とする、請求項1〜6何れかに記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
化粧料であることを特徴とする、請求項1〜7何れかに記載の皮膚外用剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−161616(P2007−161616A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357285(P2005−357285)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】