皮膚外用組成物およびUVケア用組成物
【課題】高い紫外線防御能を有する、フラーレン類を用いた皮膚外用組成物およびUVケア用組成物を提供。
【解決手段】C60、C70およびその塩または誘導体が好適であるフラーレン類を、ホスファチジルコリン含有量が70質量%以上であるリン脂質を用いて、リポソームに内包することにより、皮膚に適用した後、経時と共に複合化フラーレンが皮膚細胞内に取り込まれ、その活性酸素消去と、紫外線の吸収および遮蔽能によって、皮膚を紫外線から防御することができるリポソーム複合化フラーレンを含有する組成物。
【解決手段】C60、C70およびその塩または誘導体が好適であるフラーレン類を、ホスファチジルコリン含有量が70質量%以上であるリン脂質を用いて、リポソームに内包することにより、皮膚に適用した後、経時と共に複合化フラーレンが皮膚細胞内に取り込まれ、その活性酸素消去と、紫外線の吸収および遮蔽能によって、皮膚を紫外線から防御することができるリポソーム複合化フラーレンを含有する組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用組成物およびUVケア用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
UVケア用の皮膚外用組成物には、クリーム、乳液、化粧水、オイルなど、種々の剤型があるが、いずれの剤型のものにおいても、紫外線防御を目的として紫外線吸収剤や紫外線散乱剤が配合されている。
【0003】
一方、近年ではナノテクノロジーを利用した化粧品の開発が盛んに行われているが、このうちC60、C70などのフラーレン類を含有する化粧品は、各種の美肌効果を示すことが知られている。たとえば特許文献1には、フラーレンを油分に溶解して得られる化粧品が紫外線吸収作用を示すことが記載されている。
【0004】
また、水に難溶のフラーレンを可溶化する技術も開発されており(特許文献2参照)、化粧品などの皮膚外用組成物への応用も実用化されている。
【0005】
さらに、フラーレン類は活性酸素の消去能力を有するものとして注目されており、外用塗布への安全性も期待できることから、フリーラジカル疾患予防などに使用されるフラーレン類含有の皮膚外用組成物が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−278625号公報
【特許文献2】特開2005−060380号公報
【特許文献3】特開2006−160664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、フラーレン類は、化粧品などの皮膚外用組成物への各種の応用が期待されているが、その開発は未だ発展段階にあり、たとえば紫外線防御作用をより有効に発揮させる技術の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、高い紫外線防御能を有する、フラーレン類を用いた皮膚外用組成物およびUVケア用組成物を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0010】
第1:フラーレン類をリポソームに内包したリポソーム複合化フラーレンを含有することを特徴とする皮膚外用組成物。
【0011】
第2:リポソーム複合化フラーレンを構成するフラーレン類として、C60単独または、C60の60質量%以上含有物であることを特徴とする上記第1の皮膚外用組成物。
【0012】
第3:リポソーム複合化フラーレンを構成するリポソームは、水添リン脂質を含有することを特徴とする上記第1または第2の皮膚外用組成物。
【0013】
第4:上記第1から第3のいずれかの皮膚外用組成物からなることを特徴とするUVケア用組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フラーレン類をリポソームに内包することにより、皮膚に適用した後、経時と共にリポソーム複合化フラーレンが皮膚細胞内に取り込まれて、その活性酸素消去と、紫外線の吸収および遮蔽能によって、皮膚を紫外線から防御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】健常なヒト表皮角化細胞(Control)の倒立型光学顕微鏡写真である。
【図1B】UV-A照射後のヒト表皮角化細胞(リポソーム複合化フラーレン無投与)の倒立型光学顕微鏡写真である。
【図1C】UV-A照射後のヒト表皮角化細胞(リポソームのみ投与)の倒立型光学顕微鏡写真である。
【図1D】UV-A照射後のヒト表皮角化細胞(リポソーム複合化フラーレン投与)の倒立型光学顕微鏡写真である。
【図2】実施例2におけるWST-1アッセイの結果を示すグラフである。
【図3】実施例3におけるヒト皮膚組織モデルの皮膚表面形状のレプリカ像である。
【図4】実施例4におけるヒト皮膚組織モデルの表面および断面のSEM像である。
【図5】実施例5におけるヒト皮膚組織モデル切片の断面の蛍光顕微鏡写真である。
【図6】実施例5におけるヒト皮膚組織モデル切片の断面の蛍光顕微鏡写真である。
【図7】実施例6におけるヒト皮膚組織モデル切片の断面の蛍光顕微鏡写真である。
【図8】実施例7におけるヒト皮膚組織モデル切片の断面の蛍光顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明において使用されるリポソーム複合化フラーレンは、リポソーム内にフラーレン類を包含したものである。フラーレン類としては、C32、C44、C50、C60、C58、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C96および、これらの塩または誘導体などを使用できるが、中でもC60、C70およびその塩または誘導体が好適に用いられ、特に、C60単独または、C60の60質量%以上含有物であることが好ましい。また、これらのフラーレンのうち2種以上の混合物を用いてもよい。
【0018】
リポソーム複合化フラーレンを構成するリポソームとしては、リン脂質を使用することができ、たとえば、ホスファチジルコリン含有量が70質量%以上であるリン脂質、具体的には大豆レシチン、卵黄レシチン、ジパルトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン、ホスファチジルイノシトール等のリン脂質、またはこれらの精製物や水素添加レシチン等の天然リン脂質に水素添加を行ったものを使用することができる。本発明においては、これらを1種単独で、あるいは2種以上を適宜に組み合わせて用いることができる。
【0019】
また、リン脂質の膜安定化を向上するために、さらにステロールまたはその誘導体をリポソームに含有させたものを使用することができる。ステロールまたはその誘導体の具体例としては、コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、及びこれらの混合物であるフィトステロール、並びに、水素添加フィトステロール、ステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、ノナン酸コレステリル、酪酸コレステリル、酪酸ジヒドロコレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリルなどを挙げることができ、これらは1種単独で、あるいは2種以上を適宜に組み合わせて用いることができる。
【0020】
コレステロールまたはその誘導体の含有量としては、リポソームの安定性などの点からリン脂質:コレステロールまたはその誘導体の配合重量比が1:0.01〜1:1の範囲が好ましい。
【0021】
本発明の皮膚外用組成物には、その効果を損なわない範囲内において、化粧品、医薬部外品、医薬品などに一般に用いられる各種成分、たとえば水、油脂類、炭化水素類、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子等の高分子、増粘剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、保湿剤、香料、pH調整剤などを配合することができる。その他、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分などを配合することができる。
【0022】
油脂類の具体例としては、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油、トリオクタン酸グリセリン等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ、モクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等のロウ類などが挙げられる。
【0023】
炭化水素類の具体例としては、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
【0024】
高級脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などが挙げられる。
【0025】
高級アルコールの具体例としては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコールなどが挙げられる。
【0026】
シリコーンの具体例としては、鎖状ポリシロキサンのジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ポリシロキサンのデカメチルシクロペンタシロキサンなどが挙げられる。
【0027】
アニオン界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩などが挙げられる。
【0028】
カチオン界面活性剤の具体例としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。
【0029】
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤などが挙げられる。
【0030】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体などが挙げられる。
【0031】
防腐剤の具体例としては、メチルパラベン、エチルパラベンなどが挙げられる。
【0032】
金属イオン封鎖剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩などが挙げられる。
【0033】
高分子の具体例としては、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子などが挙げられる。
【0034】
増粘剤の具体例としては、カラギーナン、トラガカントガム、クインスシード、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、ベントナイトなどが挙げられる。
【0035】
粉体成分の具体例としては、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、無機白色顔料、無機赤色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料、赤色201号、赤色202号等の有機顔料などが挙げられる。
【0036】
紫外線吸収剤の具体例としては、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0037】
紫外線遮蔽剤の具体例としては、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛などが挙げられる。
【0038】
保湿剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0039】
本発明の皮膚外用組成物は、たとえば、水溶液、油剤、乳液、懸濁液等の液剤、ゲル、クリーム等の半固形剤、固形等の固形剤の形態で適用可能である。従来から公知の方法でこれらの形態に調製し、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏、硬膏、ハップ剤、エアゾール剤などの種々の剤型とすることができ、これらを身体に塗布、貼付、噴霧などにより適用することができる。特にこれら剤型の中で、ローション剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤、ハップ剤、エアゾール剤等が皮膚外用組成物に適している。
【0040】
本発明の皮膚外用組成物を化粧料として使用する場合には、化粧水、乳液、クリーム、パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップクリーム、乳液状、クリーム状、または軟膏型のファンデーション、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション等の身体用化粧料等とすることができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、下記において%表示は特に明示しない限り質量%を表す。
<実施例1>
表1の配合組成を有するリポソーム複合化フラーレンAを調製し、これを用いて表2の配合組成を有するリポソーム複合化フラーレン溶液を調製した。なお、リポソームとして水添レシチンとダイズステロールを含有する市販品(Phytopresome、日本精化(株))を使用した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
このリポソーム複合化フラーレン溶液を用いて、次の評価試験を行った。リポソーム複合化フラーレン溶液を培地で1/10に希釈し、200μL(/ウェル、1000μL)をヒト表皮角化細胞に投与した。
【0045】
ヒト表皮角化細胞は、100・dishに80%程度まで増殖したヒト表皮角化細胞HaCaTを使用した。培養は次のようにして行った。培地をアスピレートし、PBS(-)2mLでリンスした。(5min incubate)上清をアスピレートし、0.25%トリプシン溶液1mLで細胞をはがした。(1min incubate)10%FBS含有MEMを4mL加え、トリプシンの反応を停止させた。細胞数の計測はSysmex Cell Counterで行った。10〜20倍希釈した細胞を5%炭酸ガス、37℃インキュベータで培養した。継代数は15〜20代以下で使用した。
【0046】
ヒト表皮角化細胞の投与から16時間後、細胞外のリポソーム複合化フラーレンを洗浄除去し、次いでウェル内のヒト表皮角化細胞に12J/cm2のUV-Aを照射した後、ヒト表皮角化細胞を倒立型光学顕微鏡写真で観察した。図1Aは健常な細胞(Control)、図1Bはリポソーム複合化フラーレン溶液を投与しなかった場合、図1Cはリポソームのみを投与した場合、図1Dはリポソーム複合化フラーレン溶液を投与した場合を示している。
【0047】
図1Dに示されるように、リポソーム複合化フラーレン溶液を投与することによってUV-Aによるヒト表皮角化細胞の細胞死を著滅させることができた。また、図1Cに示されるように、リポソーム単独ではヒト表皮角化細胞の細胞死抑制にほとんど効果を示さなかった。このことから、紫外線照射前に細胞内に取り込まれたリポソーム複合化フラーレンが紫外線由来の活性酸素を消去してヒト表皮角化細胞の細胞死を抑制したと考えられる。
<実施例2>
実施例1のリポソーム複合化フラーレン溶液を用いて、次の評価試験を行った。リポソーム包含フラーレン溶液を培地で1/10に希釈し、200μL(/ウェル、1000μL)をヒト表皮角化細胞に投与した。
【0048】
投与から3時間後または16時間後に、細胞外のリポソーム複合化フラーレンを洗浄除去し、次いでウェル内のヒト表皮角化細胞に10J/cm2または12J/cm2のUV-Aを照射した後、WST-1アッセイにより細胞生存率を測定した。
【0049】
WST-1アッセイの詳細は次のとおりである。24ウェルマイクロプレートの1ウェルごとにPR-free MEM培地(10% FBS含有) 300μLとWST-1試薬 30μLを加えた。3時間インキュベートし(37 ℃)、96ウェルプレートに100μLずつ移してオプティマ吸光プレートリーダーで吸光度(450nm)を測定した。
【0050】
培養時間は、細胞播種後の前培養を24〜48時間とし、UV照射までの時間は、1〜24時間(通常は3時間)とし、UV照射時間は、5〜240秒(通常は20秒)とし、アッセイ開始までの時間は、UV照射後24〜48時間(通常は24時間)とした。
【0051】
WST-1アッセイの結果を図2に示す。10J/cm2のUV-A照射と12J/cm2のUV-A照射のいずれの場合においても、リポソーム複合化フラーレンの投与によって、リポソーム複合化フラーレン無投与およびリポソームのみ投与の場合に比べて細胞生存率が顕著に増加した。また、投与からUV-A照射までの時間が3時間後の場合に比べて16時間後の場合ではさらに細胞生存率が増加した。このことから、紫外線照射前に経時とともに徐々に細胞内に取り込まれたリポソーム複合化フラーレンが紫外線由来の活性酸素を消去してヒト表皮角化細胞の細胞死を抑制したと考えられる。
<実施例3>
真皮、基底膜、表皮、および角質層を有する直径24mmのヒト皮膚組織モデルを次の手順にて作製した。
【0052】
コラーゲンゲル培養キット(新田ゼラチン(株))を用いて、コラーゲンゲルの培養を、新田ゼラチン(株)のプロトコル(http://www.nitta-gelatin.co.jp/products/labo/column_1.html参照)に準拠して行った。遠心回収した繊維芽細胞OUMS-36 5×105/wellを含むペレットに、冷却したI型コラーゲンゲル混合溶液を加え、均一になるように混合した。この繊維芽細胞OUMS-36を含んだI型コラーゲン混合溶液を培養皿に分注し、インキュベータ中で37℃、30分間静置しゲル化した。
【0053】
次に、培地(DMEM/10%FCS)中でI型コラーゲンゲルを液相培養した。5日後にはゲルが収縮した。
【0054】
次に、I型コラーゲンゲルの上にIV型コラーゲン、ラミニン、およびエンタクチンを含有する基底膜形成用ゲルを重層した。
【0055】
次に、基底膜形成用ゲル上にヒト皮膚角化細胞(HaCaT)5×105/wellを播種し、これを培地(DMEM/Ham’s F12(1:1)+5%FBS+15% Knock out serum replacement(SR、Introgen Inc.))中で1日間液相培養した。
【0056】
次に、培地(DMEM/Ham’s F12(1:1)+1%FBS+15% Knock out serum replacement)に交換して4日間液相培養した。
【0057】
次に、ヒト皮膚角化細胞を重層したゲルを培地(DMEM/Ham’s F12(1:1)+15% Knock out serum replacement)に漬けた濾紙上に置き、ヒト皮膚角化細胞を空気暴露し14日間培養した。これにより基底膜上に表皮と角質層が形成された。
【0058】
このようにして得られたヒト皮膚組織モデルを用いて、UVA起因性シワ防御効果の試験を行った。実施例1のリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームA(0.5%リポソーム化粧水、日本精化(株)研究所、PBS(-)で0.25-0.075%に希釈)をヒト皮膚組織モデルに150μL/well(φ 24mm)投与した。1.5hrおきにリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをアスピレートし、PBS(-)150μLを加えてUVA照射(4J/cm2)を行い、照射後にリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAを再投与した。これによりUVAを合計で4J/cm2, 87sec×19回=76J/cm2)照射した。
【0059】
その後、ヒト皮膚組織モデルの皮膚表面形状をレプリカによる3次元像で検証した。その結果を図3に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンA、LiposomeはリポソームAを示す)。リポソーム複合化フラーレンA 0.025%の投与によりUVA起因性シワ防御効果が認められた。
<実施例4>
実施例3と同様の試料を用い、UVA起因性シワ防御効果として、ヒト皮膚組織モデルの表面の鱗片度および断面の層間剥離度をSEMイメージにより解析した。リポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをヒト皮膚組織モデルに30μL/well(φ 12mm)投与した。45minおきにリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをアスピレートし、PBS(-)30μLを加えてUVA照射(4J/cm2)を行い、照射後にリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAを再投与した。これによりUVAを合計で4J/cm2, 87sec×19回=76J/cm2)照射した。
【0060】
その結果を図4に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンA、LiposomeはリポソームAを示す)。無投与、0.025% リポソームA投与では表面が細かく破砕し、断裂した断面構造を示した。これに対し0.025% リポソーム複合化フラーレンA投与ではコントロールと同レベルの平滑な表面と断面構造を示した。
<実施例5>
実施例3と同様の試料を用い、リポソーム複合化フラーレンAによる真皮保持I型コラーゲンに対するUVA防御効果(繊維分断度)を、免疫染色を用いた蛍光顕微鏡測定により調べた。0.025% リポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームA 150μLをヒト皮膚組織モデル(φ 24mm)に投与してインキュベート(5hr, 37℃)後、UVA(4J/cm2)を1.5hrおきに繰り返し照射した。UVA照射中はリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをアスピレートし、PBS(-)を加えて皮膚表面の乾燥を防いだ。UVA照射後、すぐにリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAを再投与した。これによりUVAを合計で4J/cm2, 87sec×19回=76J/cm2)照射した。
【0061】
真皮(コラーゲンI)の免疫染色は次の手順で行った。
【0062】
【表3】
【0063】
ヒト皮膚組織モデル切片(厚さ5μm)の断面の蛍光顕微鏡写真を図5に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンA、LiposomeはリポソームAを示す)。コントロールでは、真皮はコラーゲン繊維に特徴的な弾力構造(健常な状態)であった。無投与、0.025% リポソームA投与では、真皮はコラーゲン繊維がUVA照射により断裂していた。一方、0.025% リポソーム複合化フラーレンA投与では、真皮はコラーゲン繊維の構造が保持されていた。
【0064】
また、リポソーム複合化フラーレンAによる真皮保持IV型コラーゲンに対するUVA防御効果(破綻度)を、免疫染色を用いた蛍光顕微鏡測定により調べた。0.025% リポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームA 150μLをヒト皮膚組織モデル(φ 24mm)に投与してインキュベート(5hr, 37℃)後、UVA(4J/cm2)を1.5hrおきに繰り返し照射した。UVA照射中はリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをアスピレートし、PBS(-)を加えて皮膚表面の乾燥を防いだ。UVA照射後、すぐにリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAを再投与した。これによりUVAを合計で4J/cm2, 87sec×19回=76J/cm2)照射した。
【0065】
基底膜(コラーゲンIV)の免疫染色は、1次抗体反応において抗ヒトコラーゲンI型抗体の代わりに抗ヒトコラーゲンIV型抗体(第一ファインケミカル株式会社)、二次抗体としてGoat Anti Mouse IgG FITC(Santa Cruz)を用いた以外は表1と同様の手順で行った。
【0066】
ヒト皮膚組織モデル切片(厚さ5μm)の断面の蛍光顕微鏡写真を図6に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンA、LiposomeはリポソームAを示す)。コントロールでは、基底膜部分にコラーゲン繊維が認められた。無投与、0.025% リポソームA投与では、基底膜部分のコラーゲン繊維がUVA照射により断裂していた。一方、0.025% リポソーム複合化フラーレンA投与では、基底膜を構成するコラーゲン繊維の弾力構造がほぼ保持されていた。
<実施例6>
実施例3と同様の試料を用い、リポソーム複合化フラーレンAによるUVA防御効果(細胞核保持効果)を、Hoechst33342核染色を用いた蛍光顕微鏡測定により調べた。0.025% リポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームA 150μLをヒト皮膚組織モデル(φ 24mm)に投与してインキュベート(5hr, 37℃)後、UVA(4J/cm2)を1.5hrおきに繰り返し照射した。UVA照射は4-6回/日で夜間を除いて4日間行った。UVA照射中はリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをアスピレートし、PBS(-)を加えて皮膚表面の乾燥を防いだ。UVA照射後、すぐにリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAを再投与した。これによりUVAを合計で4J/cm2, 87sec×19回=76J/cm2)照射した。
【0067】
ヒト皮膚組織モデルの核染色は次の手順で行った。
【0068】
【表4】
【0069】
ヒト皮膚組織モデル切片(厚さ5μm)の断面の蛍光顕微鏡写真を図7に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンA、LiposomeはリポソームAを示す)。コントロールでは、細胞核は健常な状態であった。無投与、0.025% リポソームA投与では、UVA照射により基底膜付近でアポトーシス症状の一つである、DNA断裂、核凝縮および変形が起こっていた。一方、0.025% リポソーム複合化フラーレンA投与では、細胞核の状態はほぼ健常な状態に維持されていた。
<実施例7>
実施例3と同様の試料を用い、リポソーム複合化フラーレンAによる皮膚浸透性を免疫染色を用いた蛍光顕微鏡測定により調べた。0.5% リポソーム複合化フラーレンA 150μL/wellをヒト皮膚組織モデル(φ 24mm)に0.5-24hr投与し、アスピレート、リンス(PBS(-)、1mm×2回)を行った。
【0070】
リポソーム複合化フラーレンAの染色は次の手順で行った。
【0071】
【表5】
【0072】
ヒト皮膚組織モデル切片(厚さ4μm)の断面の蛍光顕微鏡写真を図8に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンAを示す)。リポソーム複合化フラーレンAの0.5-24hr投与により、リポソーム複合化フラーレンAは表皮まで浸透することが確認された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用組成物およびUVケア用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
UVケア用の皮膚外用組成物には、クリーム、乳液、化粧水、オイルなど、種々の剤型があるが、いずれの剤型のものにおいても、紫外線防御を目的として紫外線吸収剤や紫外線散乱剤が配合されている。
【0003】
一方、近年ではナノテクノロジーを利用した化粧品の開発が盛んに行われているが、このうちC60、C70などのフラーレン類を含有する化粧品は、各種の美肌効果を示すことが知られている。たとえば特許文献1には、フラーレンを油分に溶解して得られる化粧品が紫外線吸収作用を示すことが記載されている。
【0004】
また、水に難溶のフラーレンを可溶化する技術も開発されており(特許文献2参照)、化粧品などの皮膚外用組成物への応用も実用化されている。
【0005】
さらに、フラーレン類は活性酸素の消去能力を有するものとして注目されており、外用塗布への安全性も期待できることから、フリーラジカル疾患予防などに使用されるフラーレン類含有の皮膚外用組成物が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−278625号公報
【特許文献2】特開2005−060380号公報
【特許文献3】特開2006−160664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、フラーレン類は、化粧品などの皮膚外用組成物への各種の応用が期待されているが、その開発は未だ発展段階にあり、たとえば紫外線防御作用をより有効に発揮させる技術の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、高い紫外線防御能を有する、フラーレン類を用いた皮膚外用組成物およびUVケア用組成物を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0010】
第1:フラーレン類をリポソームに内包したリポソーム複合化フラーレンを含有することを特徴とする皮膚外用組成物。
【0011】
第2:リポソーム複合化フラーレンを構成するフラーレン類として、C60単独または、C60の60質量%以上含有物であることを特徴とする上記第1の皮膚外用組成物。
【0012】
第3:リポソーム複合化フラーレンを構成するリポソームは、水添リン脂質を含有することを特徴とする上記第1または第2の皮膚外用組成物。
【0013】
第4:上記第1から第3のいずれかの皮膚外用組成物からなることを特徴とするUVケア用組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フラーレン類をリポソームに内包することにより、皮膚に適用した後、経時と共にリポソーム複合化フラーレンが皮膚細胞内に取り込まれて、その活性酸素消去と、紫外線の吸収および遮蔽能によって、皮膚を紫外線から防御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】健常なヒト表皮角化細胞(Control)の倒立型光学顕微鏡写真である。
【図1B】UV-A照射後のヒト表皮角化細胞(リポソーム複合化フラーレン無投与)の倒立型光学顕微鏡写真である。
【図1C】UV-A照射後のヒト表皮角化細胞(リポソームのみ投与)の倒立型光学顕微鏡写真である。
【図1D】UV-A照射後のヒト表皮角化細胞(リポソーム複合化フラーレン投与)の倒立型光学顕微鏡写真である。
【図2】実施例2におけるWST-1アッセイの結果を示すグラフである。
【図3】実施例3におけるヒト皮膚組織モデルの皮膚表面形状のレプリカ像である。
【図4】実施例4におけるヒト皮膚組織モデルの表面および断面のSEM像である。
【図5】実施例5におけるヒト皮膚組織モデル切片の断面の蛍光顕微鏡写真である。
【図6】実施例5におけるヒト皮膚組織モデル切片の断面の蛍光顕微鏡写真である。
【図7】実施例6におけるヒト皮膚組織モデル切片の断面の蛍光顕微鏡写真である。
【図8】実施例7におけるヒト皮膚組織モデル切片の断面の蛍光顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明において使用されるリポソーム複合化フラーレンは、リポソーム内にフラーレン類を包含したものである。フラーレン類としては、C32、C44、C50、C60、C58、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C96および、これらの塩または誘導体などを使用できるが、中でもC60、C70およびその塩または誘導体が好適に用いられ、特に、C60単独または、C60の60質量%以上含有物であることが好ましい。また、これらのフラーレンのうち2種以上の混合物を用いてもよい。
【0018】
リポソーム複合化フラーレンを構成するリポソームとしては、リン脂質を使用することができ、たとえば、ホスファチジルコリン含有量が70質量%以上であるリン脂質、具体的には大豆レシチン、卵黄レシチン、ジパルトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン、ホスファチジルイノシトール等のリン脂質、またはこれらの精製物や水素添加レシチン等の天然リン脂質に水素添加を行ったものを使用することができる。本発明においては、これらを1種単独で、あるいは2種以上を適宜に組み合わせて用いることができる。
【0019】
また、リン脂質の膜安定化を向上するために、さらにステロールまたはその誘導体をリポソームに含有させたものを使用することができる。ステロールまたはその誘導体の具体例としては、コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、及びこれらの混合物であるフィトステロール、並びに、水素添加フィトステロール、ステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、ノナン酸コレステリル、酪酸コレステリル、酪酸ジヒドロコレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリルなどを挙げることができ、これらは1種単独で、あるいは2種以上を適宜に組み合わせて用いることができる。
【0020】
コレステロールまたはその誘導体の含有量としては、リポソームの安定性などの点からリン脂質:コレステロールまたはその誘導体の配合重量比が1:0.01〜1:1の範囲が好ましい。
【0021】
本発明の皮膚外用組成物には、その効果を損なわない範囲内において、化粧品、医薬部外品、医薬品などに一般に用いられる各種成分、たとえば水、油脂類、炭化水素類、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子等の高分子、増粘剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、保湿剤、香料、pH調整剤などを配合することができる。その他、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分などを配合することができる。
【0022】
油脂類の具体例としては、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油、トリオクタン酸グリセリン等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ、モクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等のロウ類などが挙げられる。
【0023】
炭化水素類の具体例としては、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
【0024】
高級脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などが挙げられる。
【0025】
高級アルコールの具体例としては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコールなどが挙げられる。
【0026】
シリコーンの具体例としては、鎖状ポリシロキサンのジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ポリシロキサンのデカメチルシクロペンタシロキサンなどが挙げられる。
【0027】
アニオン界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩などが挙げられる。
【0028】
カチオン界面活性剤の具体例としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。
【0029】
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤などが挙げられる。
【0030】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体などが挙げられる。
【0031】
防腐剤の具体例としては、メチルパラベン、エチルパラベンなどが挙げられる。
【0032】
金属イオン封鎖剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩などが挙げられる。
【0033】
高分子の具体例としては、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子などが挙げられる。
【0034】
増粘剤の具体例としては、カラギーナン、トラガカントガム、クインスシード、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、ベントナイトなどが挙げられる。
【0035】
粉体成分の具体例としては、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、無機白色顔料、無機赤色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料、赤色201号、赤色202号等の有機顔料などが挙げられる。
【0036】
紫外線吸収剤の具体例としては、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0037】
紫外線遮蔽剤の具体例としては、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛などが挙げられる。
【0038】
保湿剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0039】
本発明の皮膚外用組成物は、たとえば、水溶液、油剤、乳液、懸濁液等の液剤、ゲル、クリーム等の半固形剤、固形等の固形剤の形態で適用可能である。従来から公知の方法でこれらの形態に調製し、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏、硬膏、ハップ剤、エアゾール剤などの種々の剤型とすることができ、これらを身体に塗布、貼付、噴霧などにより適用することができる。特にこれら剤型の中で、ローション剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤、ハップ剤、エアゾール剤等が皮膚外用組成物に適している。
【0040】
本発明の皮膚外用組成物を化粧料として使用する場合には、化粧水、乳液、クリーム、パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップクリーム、乳液状、クリーム状、または軟膏型のファンデーション、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション等の身体用化粧料等とすることができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、下記において%表示は特に明示しない限り質量%を表す。
<実施例1>
表1の配合組成を有するリポソーム複合化フラーレンAを調製し、これを用いて表2の配合組成を有するリポソーム複合化フラーレン溶液を調製した。なお、リポソームとして水添レシチンとダイズステロールを含有する市販品(Phytopresome、日本精化(株))を使用した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
このリポソーム複合化フラーレン溶液を用いて、次の評価試験を行った。リポソーム複合化フラーレン溶液を培地で1/10に希釈し、200μL(/ウェル、1000μL)をヒト表皮角化細胞に投与した。
【0045】
ヒト表皮角化細胞は、100・dishに80%程度まで増殖したヒト表皮角化細胞HaCaTを使用した。培養は次のようにして行った。培地をアスピレートし、PBS(-)2mLでリンスした。(5min incubate)上清をアスピレートし、0.25%トリプシン溶液1mLで細胞をはがした。(1min incubate)10%FBS含有MEMを4mL加え、トリプシンの反応を停止させた。細胞数の計測はSysmex Cell Counterで行った。10〜20倍希釈した細胞を5%炭酸ガス、37℃インキュベータで培養した。継代数は15〜20代以下で使用した。
【0046】
ヒト表皮角化細胞の投与から16時間後、細胞外のリポソーム複合化フラーレンを洗浄除去し、次いでウェル内のヒト表皮角化細胞に12J/cm2のUV-Aを照射した後、ヒト表皮角化細胞を倒立型光学顕微鏡写真で観察した。図1Aは健常な細胞(Control)、図1Bはリポソーム複合化フラーレン溶液を投与しなかった場合、図1Cはリポソームのみを投与した場合、図1Dはリポソーム複合化フラーレン溶液を投与した場合を示している。
【0047】
図1Dに示されるように、リポソーム複合化フラーレン溶液を投与することによってUV-Aによるヒト表皮角化細胞の細胞死を著滅させることができた。また、図1Cに示されるように、リポソーム単独ではヒト表皮角化細胞の細胞死抑制にほとんど効果を示さなかった。このことから、紫外線照射前に細胞内に取り込まれたリポソーム複合化フラーレンが紫外線由来の活性酸素を消去してヒト表皮角化細胞の細胞死を抑制したと考えられる。
<実施例2>
実施例1のリポソーム複合化フラーレン溶液を用いて、次の評価試験を行った。リポソーム包含フラーレン溶液を培地で1/10に希釈し、200μL(/ウェル、1000μL)をヒト表皮角化細胞に投与した。
【0048】
投与から3時間後または16時間後に、細胞外のリポソーム複合化フラーレンを洗浄除去し、次いでウェル内のヒト表皮角化細胞に10J/cm2または12J/cm2のUV-Aを照射した後、WST-1アッセイにより細胞生存率を測定した。
【0049】
WST-1アッセイの詳細は次のとおりである。24ウェルマイクロプレートの1ウェルごとにPR-free MEM培地(10% FBS含有) 300μLとWST-1試薬 30μLを加えた。3時間インキュベートし(37 ℃)、96ウェルプレートに100μLずつ移してオプティマ吸光プレートリーダーで吸光度(450nm)を測定した。
【0050】
培養時間は、細胞播種後の前培養を24〜48時間とし、UV照射までの時間は、1〜24時間(通常は3時間)とし、UV照射時間は、5〜240秒(通常は20秒)とし、アッセイ開始までの時間は、UV照射後24〜48時間(通常は24時間)とした。
【0051】
WST-1アッセイの結果を図2に示す。10J/cm2のUV-A照射と12J/cm2のUV-A照射のいずれの場合においても、リポソーム複合化フラーレンの投与によって、リポソーム複合化フラーレン無投与およびリポソームのみ投与の場合に比べて細胞生存率が顕著に増加した。また、投与からUV-A照射までの時間が3時間後の場合に比べて16時間後の場合ではさらに細胞生存率が増加した。このことから、紫外線照射前に経時とともに徐々に細胞内に取り込まれたリポソーム複合化フラーレンが紫外線由来の活性酸素を消去してヒト表皮角化細胞の細胞死を抑制したと考えられる。
<実施例3>
真皮、基底膜、表皮、および角質層を有する直径24mmのヒト皮膚組織モデルを次の手順にて作製した。
【0052】
コラーゲンゲル培養キット(新田ゼラチン(株))を用いて、コラーゲンゲルの培養を、新田ゼラチン(株)のプロトコル(http://www.nitta-gelatin.co.jp/products/labo/column_1.html参照)に準拠して行った。遠心回収した繊維芽細胞OUMS-36 5×105/wellを含むペレットに、冷却したI型コラーゲンゲル混合溶液を加え、均一になるように混合した。この繊維芽細胞OUMS-36を含んだI型コラーゲン混合溶液を培養皿に分注し、インキュベータ中で37℃、30分間静置しゲル化した。
【0053】
次に、培地(DMEM/10%FCS)中でI型コラーゲンゲルを液相培養した。5日後にはゲルが収縮した。
【0054】
次に、I型コラーゲンゲルの上にIV型コラーゲン、ラミニン、およびエンタクチンを含有する基底膜形成用ゲルを重層した。
【0055】
次に、基底膜形成用ゲル上にヒト皮膚角化細胞(HaCaT)5×105/wellを播種し、これを培地(DMEM/Ham’s F12(1:1)+5%FBS+15% Knock out serum replacement(SR、Introgen Inc.))中で1日間液相培養した。
【0056】
次に、培地(DMEM/Ham’s F12(1:1)+1%FBS+15% Knock out serum replacement)に交換して4日間液相培養した。
【0057】
次に、ヒト皮膚角化細胞を重層したゲルを培地(DMEM/Ham’s F12(1:1)+15% Knock out serum replacement)に漬けた濾紙上に置き、ヒト皮膚角化細胞を空気暴露し14日間培養した。これにより基底膜上に表皮と角質層が形成された。
【0058】
このようにして得られたヒト皮膚組織モデルを用いて、UVA起因性シワ防御効果の試験を行った。実施例1のリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームA(0.5%リポソーム化粧水、日本精化(株)研究所、PBS(-)で0.25-0.075%に希釈)をヒト皮膚組織モデルに150μL/well(φ 24mm)投与した。1.5hrおきにリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをアスピレートし、PBS(-)150μLを加えてUVA照射(4J/cm2)を行い、照射後にリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAを再投与した。これによりUVAを合計で4J/cm2, 87sec×19回=76J/cm2)照射した。
【0059】
その後、ヒト皮膚組織モデルの皮膚表面形状をレプリカによる3次元像で検証した。その結果を図3に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンA、LiposomeはリポソームAを示す)。リポソーム複合化フラーレンA 0.025%の投与によりUVA起因性シワ防御効果が認められた。
<実施例4>
実施例3と同様の試料を用い、UVA起因性シワ防御効果として、ヒト皮膚組織モデルの表面の鱗片度および断面の層間剥離度をSEMイメージにより解析した。リポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをヒト皮膚組織モデルに30μL/well(φ 12mm)投与した。45minおきにリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをアスピレートし、PBS(-)30μLを加えてUVA照射(4J/cm2)を行い、照射後にリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAを再投与した。これによりUVAを合計で4J/cm2, 87sec×19回=76J/cm2)照射した。
【0060】
その結果を図4に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンA、LiposomeはリポソームAを示す)。無投与、0.025% リポソームA投与では表面が細かく破砕し、断裂した断面構造を示した。これに対し0.025% リポソーム複合化フラーレンA投与ではコントロールと同レベルの平滑な表面と断面構造を示した。
<実施例5>
実施例3と同様の試料を用い、リポソーム複合化フラーレンAによる真皮保持I型コラーゲンに対するUVA防御効果(繊維分断度)を、免疫染色を用いた蛍光顕微鏡測定により調べた。0.025% リポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームA 150μLをヒト皮膚組織モデル(φ 24mm)に投与してインキュベート(5hr, 37℃)後、UVA(4J/cm2)を1.5hrおきに繰り返し照射した。UVA照射中はリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをアスピレートし、PBS(-)を加えて皮膚表面の乾燥を防いだ。UVA照射後、すぐにリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAを再投与した。これによりUVAを合計で4J/cm2, 87sec×19回=76J/cm2)照射した。
【0061】
真皮(コラーゲンI)の免疫染色は次の手順で行った。
【0062】
【表3】
【0063】
ヒト皮膚組織モデル切片(厚さ5μm)の断面の蛍光顕微鏡写真を図5に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンA、LiposomeはリポソームAを示す)。コントロールでは、真皮はコラーゲン繊維に特徴的な弾力構造(健常な状態)であった。無投与、0.025% リポソームA投与では、真皮はコラーゲン繊維がUVA照射により断裂していた。一方、0.025% リポソーム複合化フラーレンA投与では、真皮はコラーゲン繊維の構造が保持されていた。
【0064】
また、リポソーム複合化フラーレンAによる真皮保持IV型コラーゲンに対するUVA防御効果(破綻度)を、免疫染色を用いた蛍光顕微鏡測定により調べた。0.025% リポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームA 150μLをヒト皮膚組織モデル(φ 24mm)に投与してインキュベート(5hr, 37℃)後、UVA(4J/cm2)を1.5hrおきに繰り返し照射した。UVA照射中はリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをアスピレートし、PBS(-)を加えて皮膚表面の乾燥を防いだ。UVA照射後、すぐにリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAを再投与した。これによりUVAを合計で4J/cm2, 87sec×19回=76J/cm2)照射した。
【0065】
基底膜(コラーゲンIV)の免疫染色は、1次抗体反応において抗ヒトコラーゲンI型抗体の代わりに抗ヒトコラーゲンIV型抗体(第一ファインケミカル株式会社)、二次抗体としてGoat Anti Mouse IgG FITC(Santa Cruz)を用いた以外は表1と同様の手順で行った。
【0066】
ヒト皮膚組織モデル切片(厚さ5μm)の断面の蛍光顕微鏡写真を図6に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンA、LiposomeはリポソームAを示す)。コントロールでは、基底膜部分にコラーゲン繊維が認められた。無投与、0.025% リポソームA投与では、基底膜部分のコラーゲン繊維がUVA照射により断裂していた。一方、0.025% リポソーム複合化フラーレンA投与では、基底膜を構成するコラーゲン繊維の弾力構造がほぼ保持されていた。
<実施例6>
実施例3と同様の試料を用い、リポソーム複合化フラーレンAによるUVA防御効果(細胞核保持効果)を、Hoechst33342核染色を用いた蛍光顕微鏡測定により調べた。0.025% リポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームA 150μLをヒト皮膚組織モデル(φ 24mm)に投与してインキュベート(5hr, 37℃)後、UVA(4J/cm2)を1.5hrおきに繰り返し照射した。UVA照射は4-6回/日で夜間を除いて4日間行った。UVA照射中はリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAをアスピレートし、PBS(-)を加えて皮膚表面の乾燥を防いだ。UVA照射後、すぐにリポソーム複合化フラーレンAまたはリポソームAを再投与した。これによりUVAを合計で4J/cm2, 87sec×19回=76J/cm2)照射した。
【0067】
ヒト皮膚組織モデルの核染色は次の手順で行った。
【0068】
【表4】
【0069】
ヒト皮膚組織モデル切片(厚さ5μm)の断面の蛍光顕微鏡写真を図7に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンA、LiposomeはリポソームAを示す)。コントロールでは、細胞核は健常な状態であった。無投与、0.025% リポソームA投与では、UVA照射により基底膜付近でアポトーシス症状の一つである、DNA断裂、核凝縮および変形が起こっていた。一方、0.025% リポソーム複合化フラーレンA投与では、細胞核の状態はほぼ健常な状態に維持されていた。
<実施例7>
実施例3と同様の試料を用い、リポソーム複合化フラーレンAによる皮膚浸透性を免疫染色を用いた蛍光顕微鏡測定により調べた。0.5% リポソーム複合化フラーレンA 150μL/wellをヒト皮膚組織モデル(φ 24mm)に0.5-24hr投与し、アスピレート、リンス(PBS(-)、1mm×2回)を行った。
【0070】
リポソーム複合化フラーレンAの染色は次の手順で行った。
【0071】
【表5】
【0072】
ヒト皮膚組織モデル切片(厚さ4μm)の断面の蛍光顕微鏡写真を図8に示す(同図中、Liposome-C60はリポソーム複合化フラーレンAを示す)。リポソーム複合化フラーレンAの0.5-24hr投与により、リポソーム複合化フラーレンAは表皮まで浸透することが確認された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラーレン類をリポソームに内包したリポソーム複合化フラーレンを含有することを特徴とする皮膚外用組成物。
【請求項2】
リポソーム複合化フラーレンを構成するフラーレン類は、C60単独または、C60の60質量%以上含有物であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【請求項3】
リポソーム複合化フラーレンを構成するリポソームは、水添リン脂質を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚外用組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の皮膚外用組成物からなることを特徴とするUVケア用組成物。
【請求項1】
フラーレン類をリポソームに内包したリポソーム複合化フラーレンを含有することを特徴とする皮膚外用組成物。
【請求項2】
リポソーム複合化フラーレンを構成するフラーレン類は、C60単独または、C60の60質量%以上含有物であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【請求項3】
リポソーム複合化フラーレンを構成するリポソームは、水添リン脂質を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚外用組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の皮膚外用組成物からなることを特徴とするUVケア用組成物。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2009−242380(P2009−242380A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49769(P2009−49769)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(803000104)財団法人ひろしま産業振興機構 (70)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(803000104)財団法人ひろしま産業振興機構 (70)
【Fターム(参考)】
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