説明

皮膚洗浄剤組成物

【課題】
手洗い用洗浄剤等として日常的に使用することができ、抗菌・防カビ効果に優れ、体臭を防ぐことのできる新規の皮膚洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】
溶剤である水に、殺菌成分であるトリクロサン0.01〜0.5%及びイソプロピルメチルフェノール0.01〜1.0%、洗浄成分である界面活性剤を配合し、増粘剤、保湿剤、防腐剤、抗酸化剤、金属封鎖剤を加えたローションタイプの皮膚洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌成分を配合し、優れた抗菌・防カビ効果を発揮し、体臭を効果的に防ぐ洗浄剤(薬用せっけん)の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌やカビが皮膚に付着して体臭や不快感の原因となることを防ぐため、殺菌作用を有する使いやすい洗浄剤が求められ、種々の殺菌成分・洗浄成分を組み合わせたものが提供されている。
【0003】
トリクロサン(トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル)及びイソプロピルメチルフェノールは、薬用石鹸など医薬部外品、化粧品に使用される殺菌剤で、いずれも皮膚刺激が少なく安全であることが知られている。トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールは、単独でも広く一般細菌に対して使用されるが、効果を発揮する環境や、特に効果のある細菌の種類が異なるので、特定目的のためこれらを組み合わせて配合することが知られている。
【0004】
特開2006−96719号公報は、トリクロサン0.001〜1.0重量%、イソプロピルメチルフェノール0.001〜1.0重量%、制汗成分及び消臭成分を配合することにより、汗や皮脂の量や比率が異なる様々な肌状態でも優れた防臭効果を発揮する防臭組成物及びデオドラント剤を開示している。また、この防臭組成物に増粘剤、保湿剤、防腐剤、pH調整剤、低級アルコール類、水等を適宜配合して、ローション、エアゾール等の形態で使用することが記載されている。
【特許文献1】特開2006−96719号公報
【0005】
特開平4−74102号公報は、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等から選ばれた一種又は数種の有効成分を含有する外用殺菌剤組成物に加えて、特にアビエチン酸類と特定の界面活性剤を配合したことにより、洗浄時に水等により容易に洗い流されず殺菌効果が長時間持続しうるようにした皮膚洗浄剤組成物を開示している。
【特許文献2】特開平4−74102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献記載の発明によっても、洗浄成分に加えて殺菌成分としてトリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールの両方を配合した洗浄剤組成物に実用性があるかについては不明であった。また、市販の洗浄剤組成物にはトリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールの両方を配合した例がなく、それらの最適な配合量も知られていなかった。
【0007】
本発明は、洗浄剤として日常的に使用することができ、抗菌・防カビ効果に優れまた体臭を防ぐことのできる新規の皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る皮膚洗浄剤組成物は、殺菌成分としてトリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールを含有する、特にローションタイプでの使用に適する洗浄剤組成物である。
【0009】
本発明の請求項2に係る皮膚洗浄剤組成物は、殺菌成分としてトリクロサン0.01〜0.5%及びイソプロピルメチルフェノール0.01〜1.0%を含有する洗浄剤組成物である。
【0010】
本発明の請求項3に係る皮膚洗浄剤組成物は、水に、殺菌成分であるトリクロサン0.01〜0.5%及びイソプロピルメチルフェノール0.01〜1.0%を配合し、さらに中和剤、増粘剤、保湿剤、防腐剤、抗酸化剤、金属封鎖剤を加えてなるローションタイプの洗浄剤組成物である。
【0011】
殺菌成分として特にトリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールの二種の殺菌剤を配合したことにより、特に意識しなくても身体を常に清潔な状態に保ち、また体臭を防ぐことができる。トリクロサンの配合量は0.12〜0.30%であることが好ましい。イソプロピルメチルフェノールの配合量は、0.01〜1.0%の範囲であり、特に0.2〜0.4%とすることが好ましい。
【0012】
洗浄成分としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、及びその他の界面活性剤例えばヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを用いることができ、ラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを配合することが好ましい。また、中和剤として水酸化カリウム及びトリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、ジエタノールアミン等を用いることができる。
【0013】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、ローション状、液体状など様々な剤型とすることができるが特にローション状が好ましく、また、有効成分・洗浄成分・界面活性剤を一定量配合するとともに、洗浄剤組成物に通常用いられる成分、例えば増粘剤、防腐剤、抗酸化剤、金属封鎖剤等を本発明の効果を阻害しない範囲で添加することにより、安価で使いやすく、特に手洗い用洗浄剤としての使用に適する皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
【0014】
増粘剤としては、カルボキシビニルポリマーや多糖類等を用いることができる。防腐剤としてはフェノキシエタノール及びパラオキシ安息香酸エステル等を用いることができ、抗酸化剤としてはジブチルヒドロキシトルエン、ビタミンE等を用いることができ、金属封鎖剤としてはエデト酸を用いることができる。他に着色料として法定色素を適量添加してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
殺菌成分の最適な配合量を決定するために、通常の組成を有する洗浄剤に、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールを様々な比率で配合したサンプル(表1)について、大腸菌・ブドウ球菌・肺炎桿菌・緑膿菌の4種の供試細菌、Aspergillus niger・Penicillium citrinum・Trichophyton mentagrophytes(白癬菌)の3種の供試カビに対する抗菌・防カビ性能の試験を行った。

【0016】
試験方法は、滅菌シャーレに細菌用寒天培地を約30ml分注し、固化する前に直径3cmのリングを寒天培地の中央におき、培地の固化後さらに供試細菌の菌液を含む寒天培地を重層した。重層した培地が固化したらリングを取り除いて中央に穴をあけ、この穴の中に試験試料を流し込み、37℃の恒温器中で24時間培養して得た資料を観察し、発育阻止幅を計測した。(数字は発育阻止幅のmm数、カッコ内は不完全な発育阻止幅のmm数を示す。)

【0017】
また、供試カビについても同様の測定方法により、発育阻止幅のmm数を計測した。

【0018】
上で得られた抗菌・防カビ効果と、原料のコストを考慮して、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールの最適な配合量を、それぞれ0.12〜0.30%及び0.2〜0.4%と決定した。
【0019】
この液剤を容器に充填して洗浄剤として使用したところ、様々な使用環境に対して優れた殺菌力を長時間維持することができ、洗浄力・安全性にも問題がないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の皮膚洗浄剤組成物を使用することにより、安価で実用性の高い薬用せっけんの製造が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌成分としてトリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールを含有する皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
トリクロサンの含有量が0.01〜0.5%であり、イソプロピルメチルフェノールの含有量が0.01〜1.0%である請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
水に、殺菌成分であるトリクロサン0.12〜0.30%及びイソプロピルメチルフェノール0.2〜0.4%、洗浄成分である界面活性剤を配合し、さらに増粘剤、保湿剤、防腐剤、抗酸化剤、金属封鎖剤、着色剤を加えてなるローションタイプの洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−67725(P2009−67725A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238187(P2007−238187)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(500169380)平野油脂株式会社 (1)
【Fターム(参考)】