説明

皮膚狼瘡の治療又は予防のための4−[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]−2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)イソインドール−1,3−ジオンの使用方法及び組成物

皮膚狼瘡を治療、管理又は予防する方法を開示する。具体的方法は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの、単独での、又は第二活性物質との併用での投与を含む。医薬組成物及び単位剤形も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.関連出願の相互参照)
本願は、2005年5月24日に出願された米国特許仮出願第60/684,499号の利益を主張するものである。
【0002】
(2.発明の分野)
本発明は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを単独で又は他の治療薬との組合せで投与することによって、皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理する方法を提供する。本発明は、皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理する方法において使用するために、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを単独で又は他の治療薬と組合せて含有する医薬組成物及び剤形も提供する。
【背景技術】
【0003】
(3.発明の背景)
(3.1 皮膚狼瘡)
狼瘡又はループス・エリテマトーデスは、体の様々な部分、特に皮膚、関節、血液、及び腎臓において慢性炎症を引き起こし得る自己免疫疾患である。体の免疫系は、通常、抗体と称されるタンパク質を産生し、ウイルス、細菌及び他の外来物質(すなわち抗原)に対し体を保護する。狼瘡などの自己免疫疾患において、免疫系は、抗原と自身の細胞及び組織との間の違いを示す能力を喪失し、自身の細胞及び組織に対する抗体を産生して、免疫複合体を形成することができる。これらの免疫複合体は、組織において増成され、炎症、組織損傷及び/又は疼痛を引き起こし得る。狼瘡の3種の最も一般的な型は、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚ループス・エリテマトーデス(CLE)及び薬剤誘発性狼瘡を含む。狼瘡又はループス・エリテマトーデスのより詳細な説明は、Wallaceの著書「狼瘡:患者とその家族への指針(The Lupus Book: A Guide for Patients and Their Families)」(Oxford University Press, 改訂増補版, 2000年)に認めることができ、これは全体が本明細書に引用により組み込まれている。
【0004】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、臨床的に規定されかつ細胞核に対する抗体に関連した多臓器系が関与する自己免疫疾患である。SLEは、関節、皮膚、肺、心臓、血液、腎臓、又は神経系を含む、体のあらゆる系又は臓器に影響を及ぼし得る。SLEの症状は、軽度の不自由さから、非常に重篤で生命を脅かしさえするまで範囲がある。例えばSLE患者は、(a)特に関節で、無痛又は激痛;(b)皮膚症状発現なし又は外観を損なう発疹;及び/又は、(c)臓器の関与なし又は重度の臓器損傷;を経験することがある。前述のように、SLEの多くの臨床症状発現は、様々な組織又は細胞表面成分上の免疫複合体の作用により引き起こされる。しかし、ポリクローナルB細胞の活性化又は特異的抗原に対する応答が存在するかどうかは、依然不明である。それにもかかわらず、SLEの発症に対する遺伝的素因は存在し得る。SLEのより詳細な説明は、Lahitaの著書「全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus)」(Academic Press, 第3版, 1999年)に認めることができ、これは全体が本明細書に引用により組み込まれている。
【0005】
薬剤誘発性狼瘡は一般に、ある種の処方薬の使用後に発生する。薬剤誘発性狼瘡の症状は、SLEの症状に類似している。薬剤誘発性狼瘡に最もよく関連している薬物は、ヒドララジン(高めの血圧又は高血圧の治療に使用される)及びプロカインアミド(不規則な心調律の治療に使用される)である。しかしこれらの薬物を服用する症例の極わずかな数のみが、顕性の薬剤誘発性狼瘡を発症し得る。この症状は、この投薬が中断されると、通常次第に消える。
【0006】
皮膚狼瘡又は皮膚ループス・エリテマトーデスは、主に皮膚に影響を及ぼし、かつ一般に皮膚炎症、皮膚発疹及び皮内出血を特徴としている。皮膚狼瘡は、毛髪及び粘膜にも影響を及ぼすが、通常SLEのように内臓には関与しない。皮膚狼瘡は、急性皮膚ループス・エリテマトーデス(ACLE)、亜急性皮膚ループス・エリテマトーデス(SCLE)、慢性皮膚ループス・エリテマトーデス(CCLE)又は円板状ループス・エリテマトーデス(DLE)及び新生児ループス・エリテマトーデス(NLE)を含む群に分類することができる。皮膚狼瘡又は皮膚ループス・エリテマトーデスのより詳細な説明は、Kuhnらの著書「皮膚ループス・エリテマトーデス(Cutaneous Lupus Erythematosus)」(Springer、初版、2004年)に認めることができ、これは全体が本明細書に引用により組み込まれている。
【0007】
ACLEは一般に、光感受性皮膚病である。これは、持続性の日焼けに似ているか又は発疹様の外観を有する皮膚発赤の平板化された領域として出現する。ACLEは、顔の中心部分に局在化された蝶形、並びに/又は腕、足及び体などの他の領域を含む全身化された形で発病し得る。ACLEの病因は、多因性であり、遺伝的要因、環境要因及びホルモン性要因が関与していると考えられる。遺伝的素因のある患者において、ACLEは、ウイルス(例えばEBV)及び紫外線への曝露により引き起こされ得る。
【0008】
SCLEは、非-瘢痕性の非萎縮形成性光感受性皮膚病である。一部の症例において、SCLEは、しばしば日光曝露後に、背中上部及び胸にかゆみのない環形の乾燥発疹として出現する。SCLEは、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群及び補体第2成分(C2d)欠乏症の患者において生じることがあり、又はSCLEは、薬物により誘導され得る。SCLEは通常、遺伝的素因のある個人において生じ、最も頻繁には、ヒト白血球抗原B8(HLA-B8)、ヒト白血球抗原DR3(HLA-DR3)、ヒト白血球抗原DRw52(HLA-DRw52)及びヒト白血球抗原DQ1(HLA-DQ1)を有する患者において生じる。SCLEは、抗-Ro(SS-A)自己抗体に強力に関連している。通常SCLEは、紫外線曝露後に顕在化するが、他のトリガー又は誘発因子も関与している。
【0009】
CCLE又はDLEは、慢性の瘢痕性萎縮形成性の光感受性皮膚病である。DLEは、通常赤い鱗屑斑として出現し、これは白色瘢痕を残す。DLEは主に、頬及び鼻に影響を及ぼすが、時には背中上部、首、手の裏側、禿頭領域及び唇に関与する。DLEは、全身性エリテマトーデス(SLE)患者において生じることがある。一部の患者は、SCLEの病変も有し、時には頬部発疹も有することがある。日焼け止め、局所的コルチコステロイド及び抗マラリア薬による療法も、有効である。DLEは恐らく、遺伝的素因のある個人において生じるが、正確な遺伝的関係は決定されていない。DLEの病態生理は、十分にわかっていない。紫外線曝露又はストレスの後に熱ショックタンパク質が角質細胞において誘導され、該タンパク質が、γδT細胞媒介型表皮細胞の細胞傷害の標的として作用し得ることが示唆されている。
【0010】
疣贅状DLE、深在性ループス・エリテマトーデス、粘膜性DLE、手掌-足裏DLE及び肥大性狼瘡は、DLEの特定の型の一部である。疣贅状DLEは、非常に厚い鱗屑へと遊行し得る病変を有するDLEを意味する。深在性ループス・エリテマトーデスは、皮膚の下側の脂肪組織内の固い結節を伴い生じ得る病変を有するDLEを意味する。粘膜性DLEは、時には口、鼻及び眼の粘膜に生じる病変を意味する。手掌-足裏DLEは、時には手及び足に生じる病変を意味する。肥大性狼瘡は、掻痒がありかつ細かい鱗屑を有する、頭部及び頸部に滑らかな光沢のある赤紫色のプラークとして出現する。肥大性狼瘡病変は通常、瘢痕化を伴わずに消失し、それらの当初の分布で再発し得る。
【0011】
NLEは、小児における稀な状態であり、通常瘢痕化せず萎縮非形成性の病変として出現する。一部の症例において、SCLEの母親から生まれた新生児は、一時的に環状又は輪状の発疹を伴うNLEを発症することがある。NLEは、遺伝的素因、ウイルス感染症及び他の未知の要因を含む、様々な要因に関連していると考えられる。NLEは、皮膚、心臓、肝臓、血液-形成要素又は脾臓に影響を及ぼすことがある。
【0012】
小児のループス・エリテマトーデス(LE)は、遺伝因子に関連し、かつ恐らく他の環境的事象に関連しているであろう。小児LEは、皮膚に影響を及ぼし、これは全身性LEとして顕在化し、体内のあらゆる臓器系、最も一般的には腎臓、関節及び血液に影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、皮膚狼瘡の治療又は予防のための4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの使用方法及び組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(4. 発明の要旨)
ひとつの態様において、本発明は、皮膚狼瘡の治療、予防及び/又は管理の方法を提供する。該方法は、治療的又は予防的有効量の4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)もしくは立体異性体を、そのような治療、予防又は管理を必要とする患者に投与することを含む。
【0015】
一部の実施態様において、該方法は更に、少なくとも1つの第二活性物質の治療的又は予防的有効量の投与を含み、ここで該第二活性物質は、免疫調節化合物、非ステロイド系物質(例えばサリチル酸塩)又はコルチコステロイド(例えばデキサメタゾン)などの抗炎症薬、抗マラリア薬、免疫抑制薬、抗生物質、抗ウイルス薬、免疫グロブリン、免疫増強薬又はホルモンである。
【0016】
別の実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体は、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、糊状剤、粉剤、ローション剤、噴霧剤、塗布剤、パップ剤、エアゾール剤、液剤、乳剤、懸濁剤及びそれらの組合せからなる群より選択される剤形で局所的に投与される。
【0017】
更なる実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体は、非経口又は経口又は放出制御様式で投与される。
【0018】
別の態様において、本発明は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を含有する、皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理するための医薬組成物を提供する。
【0019】
一部の実施態様において、本発明は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を含有する、皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理するための単回単位剤形を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(5. 発明の詳細な説明)
本発明の第一の態様は、治療的又は予防的有効量の4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、そのような治療、予防又は管理を必要とする患者へ投与することを含む、皮膚狼瘡の治療、管理及び/又は予防方法を包含している。
【0021】
皮膚狼瘡の例は、急性皮膚ループス・エリテマトーデス(ACLE)、亜急性皮膚ループス・エリテマトーデス(SCLE)、新生児ループス・エリテマトーデス(NLE)、小児ループス・エリテマトーデス並びに、疣贅状DLE、深在性ループス・エリテマトーデス、粘膜性DLE、手掌-足裏DLE及び肥大性狼瘡を含む円板状ループス・エリテマトーデス(DLE)を含むが、これらに限定されるものではない。更に、治療される患者は、哺乳類、特にヒトを含む。小児及び成人は、本明細書に開示された方法及び組成物により治療することができる。免疫低下した患者も、治療することができる。本発明は、他の療法を使用していない患者、他の療法を使用している患者及び前述の皮膚狼瘡などの狼瘡の治療に対して難治性の患者の治療を意図している。
【0022】
(5.1 定義)
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「医薬として許容し得る塩」は、これらに限定されないが、本発明の化合物中に存在することができる酸性又は塩基性の基の塩を意味する。本発明の化合物は、本来塩基性であり、様々な無機酸及び有機酸と多種多様な塩を形成することが可能である。そのような塩基性化合物の医薬として許容し得る塩を調製するために使用することができる酸は、医薬として許容し得る陰イオンを含む塩を形成するものであり、これらは、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、酒石酸水素塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、ヒドロキシナフトエ酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムスカ酸塩(muscate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオジド及びパモ酸塩を含むが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物は、前述の酸に加え、様々なアミノ酸と医薬として許容し得る塩を形成することができるアミノ基を含む。本発明の化合物は、本来酸性でもあり、かつ様々な医薬として許容し得る陽イオンと塩基性塩を形成することが可能である。そのような塩の非限定的な例は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウム及び鉄の塩を含む。
【0023】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「水和物」は、非共有的分子間力により結合された化学量論的量又は非化学量論的量の水を更に含む、本発明の化合物又はそれらの塩を意味する。
【0024】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物への1種以上の溶媒分子の会合から形成された溶媒和物を意味する。用語「溶媒和物」は、水和物(例えば一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)を含む。
【0025】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「多形」は、本発明の化合物又はその錯体の固体結晶性形態を意味する。同じ化合物の異なる多形は、異なる物理的、化学的及び/又は分光学的特徴を示すことができる。
【0026】
本明細書で使用するように、及び他に特定しない限り、用語「生加水分解性カルバミン酸塩」、「生加水分解性炭酸塩」、「生加水分解性ウレイド」及び「生加水分解性リン酸塩」は:1)化合物の生物学的活性に干渉しないが、in vivoにおいてその化合物に有利な特性、例えば取込、作用期間又は作用開始などを付与することができるか;又は、2)生物学的に不活性であるが、in vivoにおいて生物学的に活性のある化合物に転換されるか;のいずれかの化合物の、それぞれカルバミン酸塩、炭酸塩、ウレイド及びリン酸塩を意味する。生加水分解性カルバミン酸塩の非限定的な例は、低級アルキルアミン、置換されたエチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環式及び複素芳香族アミン及びポリエーテルアミンを含む。
【0027】
本明細書で使用するように、及び他に特定しない限り、用語「立体異性体」は、鏡像異性的/立体異性的に純粋でありかつ鏡像異性的/立体異性的にリッチである本発明の化合物全てを包含している。
【0028】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「立体異性的に純粋」又は「鏡像異性的に純粋」は、化合物が、一方の立体異性体を含み、及びその反対の立体異性体又はエナンチオマーを実質的に含まないことを意味する。例えば化合物は、化合物が、80%、90%もしくは95%又はそれよりも多い一方の立体異性体、及び20%、10%もしくは5%又はそれよりも少ない反対の立体異性体を含む場合に、立体異性的又は鏡像異性的に純粋である。場合によっては、本発明の化合物は、該化合物が不斉中心に関して約80%ee(エナンチオ過剰)又はそれよりも大きい、好ましくは特定の不斉中心に関して90%eeと等しいか又はそれよりも大きい、より好ましくは特定の不斉中心に関して95%eeと等しいか又はそれよりも大きい場合に、光学活性があるか又は立体異性的/鏡像異性的に純粋である(すなわち、実質的にR-型又は実質的にS-型)と考えられる。
【0029】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「立体異性的にリッチ」又は「鏡像異性的にリッチ」は、ラセミ混合物、並びに本発明の化合物の立体異性体の他の混合物を包含する(例えば、R/S=30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35及び70/30)。
【0030】
本明細書で使用するように、及び他に特定しない限り、用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、患者が特定の疾患又は障害に罹患している間に生じる作用を意図し、疾患又は障害の重症度又は症状を軽減させるか、もしくは疾患又は障害の症状の進行を妨害又は遅延させる。
【0031】
本明細書で使用するように、及び他に特定しない限り、用語「予防する」、「予防している」及び「予防」は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に生じる作用を意図し、疾患又は障害の重症度又は症状を阻害又は軽減させる。
【0032】
本明細書で使用するように、及び他に示さない限り、用語「管理する」、「管理している」及び「管理」は、既に疾患又は障害に罹患した患者の特定の疾患又は障害の再発を予防すること及び/もしくは疾患又は障害に罹患した患者が寛解であり続ける時間を延長させることを包含している。これらの用語は、疾患もしくは障害の閾値、発症及び/もしくは期間を調節すること、又は患者が疾患もしくは障害に応答する経路を変更することを包含している。
【0033】
本明細書で使用するように、及び他に特定しない限り、用語「増強する」、又は「増強」は、免疫応答と結びつけて使用される場合、抗原性物質又は免疫原性物質が、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンで治療された又は治療されている対象へ投与された場合に、同量の抗原性物質又は免疫原性物質が単独で投与された対象と比べ、当該技術分野において公知の抗体レベル決定の従来の方法のいずれか、例えば、比濁法、免疫電気泳動、放射免疫測定及びELISAなどにより測定された抗体産生が増加することを意味する。一部の実施態様において、本発明の方法が使用される場合、抗体産生は、本発明の方法が使用されない場合に得られる抗体産生とくらべ、約5%、10%、20%、50%もしくは100%又はそれよりも多く増加する。
【0034】
(5.2 治療法及び予防法)
本発明は、皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理する方法を提供する。皮膚狼瘡の非限定的な例は、皮膚エリテマトーデス、亜急性皮膚ループス・エリテマトーデス、慢性皮膚ループス・エリテマトーデス又は円板状ループス・エリテマトーデス、新生児ループス・エリテマトーデス、疣贅状DLE、深在性ループス・エリテマトーデス、粘膜性DLE、手掌-足裏DLE及び肥大性狼瘡を含む。
【0035】
一部の実施態様において、本発明は、ACLEの治療法を提供する。ACLEは一般に、光感受性皮膚病である。これは、持続性の日焼けに似ているか又は発疹様の外観を有する皮膚発赤の平板化領域として出現することができる。ACLEは、顔の中心部分に局在化された蝶形、並びに/又は腕、足及び体などの他の領域を含む全身化された形で発病し得る。ACLEの病因は、多因性であり、遺伝的要因、環境要因及びホルモン性要因が関与していると考えられる。遺伝的素因のある患者において、自然の紫外線照射への曝露が、頻繁なACLEを招く因子である。
【0036】
更なる実施態様において、本発明は、SCLEの治療法を提供する。SCLEは、非-瘢痕性の非萎縮形成性の光感受性皮膚病である。一部の症例においては、SCLEは、しばしば日光曝露後に、背中上部及び胸にかゆみのない環形の乾燥発疹として出現する。SCLEは、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群及び補体第2成分(C2d)欠乏症の患者において生じることがあり、又はこれは、薬物により誘導され得る。SCLEは通常、遺伝的素因のある個人において生じ、最も頻繁には、ヒト白血球抗原B8(HLA-B8)、ヒト白血球抗原DR3(HLA-DR3)、ヒト白血球抗原DRw52(HLA-DRw52)及びヒト白血球抗原DQ1(HLA-DQ1)を有する患者において生じる。SCLEは、抗-Ro(SS-A)自己抗体に強力に関連している。
【0037】
更なる実施態様において、本発明は、CCLE又はDLEの治療法を提供する。CCLE又はDLEは、慢性の瘢痕性萎縮形成性の光感受性皮膚病である。DLEは、通常赤い鱗屑斑として出現し、これは白色瘢痕を残す。DLEは主に、頬及び鼻に影響を及ぼすが、時には背中上部、首、手の裏側、禿頭領域及び唇に関与する。DLEは、全身性エリテマトーデス(SLE)患者において生じることがある。一部の患者は、SCLEの病変も有し、時には頬部発疹も有することがある。日焼け止め、局所的コルチコステロイド及び抗マラリア薬による療法も、有効である。DLEは恐らく、遺伝的素因のある個人において生じるが、正確な遺伝的関係は決定されていない。DLEの病態生理は、十分にわかっていない。紫外線(UV)曝露又はストレスの後に熱ショックタンパク質が角質細胞において誘導され、該タンパク質が、γδT細胞媒介型表皮細胞の細胞傷害の標的として作用し得ることが示唆されている。
【0038】
更なる実施態様において、本発明は、疣贅性DLEの治療法を提供する。疣贅性DLEとは、DLEの特定の型であり、非常に厚い鱗屑へと遊行し得る病変を有するDLEをいう。
更なる実施態様において、本発明は、深在性ループス・エリテマトーデスの治療法を提供する。深在性ループス・エリテマトーデスとは、DLEの特定の型であり、皮膚の下側の脂肪組織内の固い結節を伴い生じ得る病変を有するDLEをいう。
【0039】
更なる実施態様において、本発明は、粘膜性DLEの治療法を提供する。粘膜性DLEは、DLEの特定の型であり、時には口、鼻及び眼の粘膜に生じる病変をいう。
更なる実施態様において、本発明は、手掌-足裏DLEの治療法を提供する。手掌-足裏DLEとは、DLEの特定の型であり、時には手及び足に生じる病変をいう。
【0040】
更なる実施態様において、本発明は、肥大性狼瘡の治療法を提供する。肥大性狼瘡とは、DLEの特定の型であり、掻痒がありかつ細かい鱗屑を有する、頭部及び頸部の滑らかな、光沢のある赤紫色のプラークとして出現する。肥大性狼瘡病変は通常、瘢痕化を伴わずに消失し、それらの当初の分布で再発し得る。
【0041】
更なる実施態様において、本発明は、NLEの治療法を提供する。NLEは、小児における稀な状態であり、通常瘢痕化せず萎縮非形成性の病変として出現する。一部の症例において、SCLEの母親から生まれた新生児は、一時的に環状又は輪状の発疹を伴うNLEを発症することがある。NLEは、遺伝的素因、ウイルス感染症及び他の未知の要因を含む、様々な要因に関連していると考えられる。NLEは、皮膚、心臓、肝臓、血液-形成要素又は脾臓に影響を及ぼすことがある。
【0042】
更なる実施態様において、本発明は、小児ループス・エリテマトーデス(LE)の治療法を提供する。小児ループス・エリテマトーデス(LE)は、遺伝因子に関連し、及び恐らく他の環境的事象に関連している。小児LEは、皮膚に影響を及ぼし、これは全身性LEとして顕在化し、かつ体内のあらゆる臓器系、最も一般的には腎臓、関節及び血液に影響を及ぼす。
【0043】
本発明に包含される方法は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、本明細書に説明されるような皮膚狼瘡に罹患しているもしくは罹患する可能性のある患者(例えばヒト)へ投与することを含む。
【0044】
本発明は、免疫系が不均衡状態にならないように、並びに患者における狼瘡のような炎症及び自己免疫疾患を生じないように、免疫系を調節することにおける、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの使用も包含している。従って別の実施態様において、本発明は、免疫原に対する免疫応答を増強する方法を包含し、治療的又は予防的有効量の4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、そのような増強を必要とする患者へ投与することを含む。4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、患者の免疫原への曝露前、曝露時、又は曝露後に投与することができる。
【0045】
一部の実施態様において、患者は、皮膚狼瘡患者である。別の実施態様において、患者は女性である。更なる実施態様において、患者は男性である。更なる実施態様において、患者は小児である。
【0046】
更なる実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、これらに限定されないが、病原性障害、癌及び自己免疫疾患に対するワクチンなどの、ワクチンの作用を増強させるために使用することができる。本発明は、患者において免疫原への免疫応答を増強させる方法も包含しており、これはそのような増強を必要とする患者に、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン及び該免疫原を含むワクチンを投与することを含む。4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、ワクチン投与の前、同時及びその後に投与することができる。一部の実施態様において、患者は、皮膚狼瘡患者である。別の実施態様において、患者は女性である。更なる実施態様において、患者は男性である。更なる実施態様において、患者は小児である。更なる実施態様において、患者は18歳未満である。
【0047】
4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンと共に使用することができる好適なワクチンの非限定的な例は、動物、植物、細菌、原虫、寄生体、ウイルス由来の抗原、又はそれらの組合せを含有するものである。抗原性又は免疫原性物質は、ウイルス由来のウイルス性ペプチド、タンパク質、ポリペプチド又はそれらの断片のいずれかであることができ、これらは:RSV-ウイルスタンパク質、例えばRSV F糖タンパク質、RSV G糖タンパク質;インフルエンザウイルスタンパク質、例えばインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ、インフルエンザウイルス赤血球凝集素;単純ヘルペスウイルスタンパク質、例えばgB、gC、gD及びgEを含む単純ヘルペスウイルス糖タンパク質;を含むが、これらに限定されるものではない。本発明の組成物の使用のための抗原性又は免疫原性物質は、アデノウイルス科(例えばマストアデノウイルス及びアヴィアデノウイルス)、ヘルペスウイルス科(例えば単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、単純ヘルペスウイルス5及び単純ヘルペスウイルス6)、レビウイルス科(例えばレビウイルス、腸内細菌相MS2、アロレウイルス(allolevirus))、ポックスウイルス科(例えばコルドポックスウイルス科、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、モラシポックスウイルス及びエントモポックスウイルス科)、パポバウイルス科(例えばポリオーマウイルス及びパピローマウイルス)、パラミクソウイルス科(例えば、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス1、モビリウイルス(例えば麻疹ウイルス)、ルブラウイルス(例えばムンプスウイルス)、肺のウイルス科(例えばトリ肺炎ウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス)、メタニューモウイルス(例えば肺炎ウイルス及びヒトメタニューモウイルス)、ピコルナウイルス科(例えばエンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパトウイルス(例えばヒトA型肝炎ウイルス)、カルジオウイルス及びアプトウイルス)、レオウイルス科(例えばオルトレオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、サイポウイルス、フィジウイルス、ファイトレオウイルス及びオリザウイルス)、レトロウイルス科(例えば、哺乳類B型レトロウイルス、哺乳類C型レトロウイルス、トリC型レトロウイルス、D型レトロウイルス群、BLV-HTLVレトロウイルス)、レンチウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス1型及びヒト免疫不全ウイルス2型)、スプマウイルス、フラビウイルス科(例えばC型肝炎ウイルス)、ヘパドナウイルス科(例えばB型肝炎ウイルス)、トガウイルス科(例えばアルファウイルス(例えばシンドビスウイルス)及びルビウイルス(例えば風疹ウイルス)、ラブドウイルス科(例えばベシクロウイルス、リッサウイルス、エファメロウイルス、サイトラブドウイルス及びネクレオルハブドウイルス(necleorhabdovirus))、アレナウイルス科(例えばアレナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イッピイウイルス及びラッサ熱ウイルス)並びにコロナウイルス科(例えばコロナウイルス及びトロウイルス)、の抗原などの、病原性ウイルスの抗原であり得る。
【0048】
ワクチンに使用するための免疫原は、適切な条件下で、対象における免疫応答をもたらす全ての物質であることができ、該免疫原は、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、脂質、核酸及び多糖を含むが、これらに限定されない。ワクチン中の免疫原の濃度は、当業者に公知である標準的な方法を使用して決定することができ、免疫原の効能及び性質に依存する。
【0049】
体液性免疫の追加抗原投与が必要な患者は、人口統計学、遺伝因子及び作業環境を含むが、これらに限定されるものではない、様々な要因を基に決定することができる。病原体への高レベルの曝露がありそうな地域に居住するか又は旅行する人は、そのような患者の一例である。遺伝的子孫に免疫障害の家族歴のある人は、別の例である。更に、典型的には高レベルの病原体に曝露される人(例えば医療従事者)は、そのような患者の更に別の例である。
【0050】
(5.2.1第二活性物質又は療法との併用療法)
この実施態様に包含された特定の方法において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、皮膚狼瘡を治療、管理及び/もしくは予防する別の薬物(「第二活性物質」)又は方法と組合せて投与される。第二活性物質は、その例が本明細書に提供されている小分子及び巨大分子(例えばタンパク質及び抗体)、更には幹細胞を含む。4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの投与との併用において使用することができる方法又は療法の非限定的な例は、抗体注射又は注入及び幹細胞移植を含む。
【0051】
4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、本発明の方法において少なくとも1つの第二活性物質と組合せることができる。本発明は、皮膚狼瘡の治療、予防及び/又は管理のための相乗的組合せを包含している。4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを、一部の第二活性物質に関連した有害又は不特定の作用を緩和させるために使用することもでき、並びに逆に一部の第二活性物質を、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンに関連した有害又は不特定の作用を緩和させるために使用することもできる。
【0052】
1種以上の第二活性物質を、本発明の方法において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンと一緒に使用することができる。この第二活性物質は、大型分子(例えば、治療用ペプチド、タンパク質、抗体、抗原もしくはワクチン)、又は小分子(例えば1000未満の分子量を有する無機分子、有機金属分子もしくは有機分子)であることができる。本発明は、未変性タンパク質、天然タンパク質及び組換えタンパク質の使用も包含する。
【0053】
本発明は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの投与に関連し得る有害又は不特定の作用を緩和するための小分子である、第二活性物質の使用を包含している。本発明は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンと、皮膚狼瘡を治療、予防及び/又は管理するための小さな第二活性物質との相乗的組合せを包含している。第二活性物質は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの前、後又は同時に投与することができる。
【0054】
関心対象の一部の実施態様において、第二活性物質は、非限定的に、アセトアミノフェン(例えばタイレノール(登録商標))、5-アミノサリチル酸誘導体、サリチル酸塩、コルチコステロイド及び非ステロイド性抗炎症薬などの抗炎症薬を含むが、これらに限定されるものではない。5-アミノサリチル酸誘導体の非限定的な例は、スルファサラジン(例えばアズルフィジン(登録商標))である。サリチル酸塩の非限定的な例は、アセチルサリチル酸(例えばアスピリン(登録商標))である。
【0055】
コルチコステロイドの非限定的な例は、デキサメタゾン(例えばAZIUM(登録商標)又はVOREN(登録商標))、ヒドロコルチゾン(例えばCETACORT(登録商標)、HYTONE(登録商標)又はNUTRACORT(登録商標))、ベクロメタゾン(例えばVANCERIL(登録商標))、ブデソニド(例えばPULMICORT(登録商標))、フルチカゾン(例えばFLONASE(登録商標)又はFLOVENT(登録商標))、メチルプレドニゾロン(例えばDEPO-MEDROL(登録商標)、SOLU-MEDROL(登録商標)又はMEDROL(登録商標))、フロ酸モメタゾン(例えばNASONE(登録商標)又はELOCON(登録商標))、プレドニソン(例えばDELTASON(登録商標)、ORASON(登録商標)、PREDNICEN-M(登録商標)又はLIQUID PRED(登録商標))及びトリアムシノロン(例えばAZMACORT(登録商標))を含む。
【0056】
コルチコステロイドの非限定的な例は、ジクロフェナク(例えばARTHROTEC(登録商標))、ジフルニサル(例えばDOLOBID(登録商標))、エトドラク(例えばLODINE(登録商標))、フェノプロフェン(例えばNALFON(登録商標))、イブプロフェン(例えばアドビル、小児用アドビル/モトリン、MEDIPREN、MOTRIN、NUPRIN又はPEDIACARE FEVER(登録商標))、インドメタシン(例えばARTHREXIN(登録商標))、ケトプロフェン(例えばORUVAIL(登録商標))、ケトロラク(例えばTORADOL(登録商標))、ホスホマイシントロメタミン(例えばMONURAL(登録商標))、メクロフェナメイト(例えばMeclomen(登録商標))、ナブメトン(例えばRELAFEN(登録商標))、ナプロキセン(例えばANAPROX(登録商標)、ANAPROX(登録商標)DS、EC-NAPROS YN(登録商標)、NAPRELAN(登録商標)又はNAPROSYN(登録商標))、オキサプロジン(例えばDAYPRO(登録商標))、ピロキシカム(例えばFELDENE(登録商標))、スリンダク(例えばCLINORIL(登録商標))、及びトルメチン(例えばTOLECTIN(登録商標)DS又はTOLECTIN(登録商標))を含む。
【0057】
関心対象の他の実施態様において、第二活性物質は:抗マラリア薬、例えばクロロキン(例えばARALEN(登録商標))及びヒドロキシクロロキン(例えばPLAQUENIL(登録商標));免疫抑制薬、例えばアザチオプリン(例えばIMURAN(登録商標))、シクロホスファミド(例えばCYTOXAN(登録商標))、クロラムブシル(例えばLEUKERAN(登録商標))及びメルファラン(例えばALKERAN(登録商標));並びに、免疫調節化合物、例えばサリドマイド(例えばTHALOMID(登録商標))、アザチオプリン(例えばIMURAN(登録商標))、シクロホスファミド(例えばCYTOXAN(登録商標))、メトトレキセート(例えばRHEUMATREX(登録商標))及びシクロスポリン(例えばNEORAL(登録商標)又はSANDIMMUNE(登録商標));を含むが、これらに限定されるものではない。
【0058】
関心対象の更なる実施態様において、第二活性物質は:抗生物質(治療的又は予防薬)、例えば非限定的に、アンピシリン(例えばUNASYN(登録商標))、テトラサイクリン(例えばACHROMYCIN(登録商標)又はSUMYCIN(登録商標))、ペニシリン(例えばAMOXIL(登録商標)、POLYMOX(登録商標)、TRIMOX(登録商標)、SPECTROBID(登録商標)又はGEOCILLIN(登録商標))、セファロスポリン(例えばOMNICEF(登録商標)、SPECTRACEF(登録商標)、SUPRAX(登録商標)、VANTIN(登録商標)、CEFZIL(登録商標)又はCEDAX(登録商標))、ストレプトマイシン(例えばZANOSAR(登録商標))、カナマイシン(例えばKANTREX(登録商標))及びエリスロマイシン(例えばE.E.S.(登録商標)、E-MYCIN(登録商標)、ERYC(登録商標)、ERY-TAB(登録商標)、ERYTHROCIN(登録商標)又はPCE(登録商標));抗ウイルス薬、例えば非限定的に、アマンタジン(例えばSYMMETREL(登録商標))、リマンタジン(例えばFLUMADINE(登録商標))、アシクロビル(例えばZOVIRAX(登録商標))及びリバビリン(例えばVIRAZOLE(登録商標));免疫グロブリン;免疫増強薬、例えば非限定的に、レバミソール(例えばERGAMISOL(登録商標))及びイノシンプラノベクス(イソプリノシン(登録商標));生物製剤、例えば非限定的に、γグロブリン、転写因子、インターロイキン及びインターフェロン;ホルモン、例えば非限定的に、胸腺ホルモン;並びに、他の免疫学的物質、例えば非限定的に、B細胞刺激剤(例えばBAFF/BlyS)、サイトカイン(例えばIL-2、IL-4及びIL-5)、増殖因子(例えば、TGF-β)、抗体(例えば抗-CD40及びIgM)、メチル化されないCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド(例えばTCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT)及びワクチン(例えば、ウイルス及び腫瘍ペプチドワクチン);を含むが、これらに限定されるものではない。
【0059】
別の実施態様において、本発明の方法を、皮膚狼瘡の治療、予防及び/又は管理に使用される別の方法と組合せて使用することができる。他の方法の例は、幹細胞移植、例えばポリエチレングリコールに結合したウシアデノシンデアミナーゼ(PEG-ADA)を使用する酵素交換療法、胎児胸腺移植、培養された新生児胸腺移植、胸腺上皮細胞移植及び胎児肝臓移植を含むが、これらに限定されるものではない。
【0060】
本発明の具体的方法は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、少なくとも1つの第二活性物質又は別の療法と組合せて投与することを含む。
【0061】
患者への4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メエチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン及び少なくとも1つの第二活性物質の投与は、同じ又は異なる投与経路により同時に又は連続して行うことができる。特定の第二活性物質について使用される特定の投与経路の適性は、第二活性物質それ自身(例えば血流へ侵入する前に分解することなく、局所的又は経口的に投与され得るかどうか)及び治療される疾患によって決まる。4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの特定の投与経路は、局所的投与である。本発明の第二活性物質又は成分の特定の投与経路は、当業者に公知である。例えば「メルクマニュアル(The Merck Manual)1023-1041頁(第17版, 1999)を参照されたい。
【0062】
投与される第二活性物質の量は:使用される具体的物質、治療又は管理される疾患の種類;疾患の重症度及び病期;並びに患者へ同時投与される4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン及び任意に添加される第二活性物質の量;を基に決定される。当業者は、当該技術分野において公知の従来の手順に従い、具体的量を決定することができる。開始時には、その療法において従来使用されている第二活性物質の量から出発して、先に説明された要因に従い量を調節する。例えば「医家向け医薬品便覧(Physician's Desk Reference)」(第56版, 2004)を参照されたい。
【0063】
本発明の一実施態様において、第二活性物質を、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg又は約50〜約200mgの量で、1日に1又は2回、静脈内又は皮下に投与する。第二活性物質の具体的量は:使用される具体的物質;治療又は管理される疾患の種類;疾患の重症度及び病期;並びに患者へ同時投与される4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン及び任意に添加される第二活性物質の量;を基に決定される。一実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、従来の療法の前、療法時又は療法後に、単独で、又は本明細書に開示された第二活性物質との併用で、経口的に毎日、約0.1〜約150mg、好ましくは約1〜約25mg、より好ましくは約2〜約10mgの量で投与され得る。
【0064】
(5.2.2 循環療法)
一部の実施態様において、本発明の予防薬又は治療薬は、循環して患者へ投与することができる。循環療法には、一定期間の第二活性物質の投与と、それに続く休薬期間及びこの逐次投与の繰り返しが関与する。循環療法は、1種以上の療法に対する耐性の発生を減少させ、療法の一方の副作用を回避又は軽減させ、及び/又は治療の有効性を改善させることができる。
【0065】
結果的に、本発明のひとつの具体的実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを、約1又は2週間の休薬期間を伴う4〜6週間サイクルの間、毎日単回投与量又は分割投与量で投与する。本発明は更に、投与サイクルの頻度、回数及び長さを増加させることができる。従って、本発明の別の具体的実施態様は、単独で投与される場合の典型よりも、より多くのサイクルに関する4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの投与を包含している。本発明の更に別の具体的実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを、典型的には第二の活性成分も投与されない患者において投与量規定毒性をもたらす、より多くのサイクル回数投与する。
【0066】
一実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを、約0.1〜約150mg/日の投与量で、3又は4週間毎日連続して投与した後、1又は2週間休薬する。別の実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを、療法が許容される限りにおいて、初回投与量0.1〜5mg/日で、1〜10mg/日の漸増量(毎週)を伴い、最大量50mg/日まで毎日連続して投与する。特定の実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを、4又は6週間のサイクルにおいて、約1、5、10又は25mg/日の量で、好ましくは約10mg/日の量で、3〜4週間投与した後、引き続き1又は2週間休薬する。
【0067】
本発明の別の実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン及び第二の活性成分を、経口的に投与し、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの投与は、4〜6週間のサイクルの間、第二の活性成分投与前の30〜60分間で行われる。本発明の別の実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンと第二の活性成分との組合せを、全てのサイクルで、約90分かけて静脈内注入により投与される。具体的実施態様において、1サイクルは、3〜4週間にわたり毎日、約1〜約25mg/日の4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン及び約50〜約200mg/m2/日の第二の活性成分の投与、並びにその後の1又は2週間の休薬を含む。別の具体的実施態様において、各サイクルは、3〜4週間にわたる、約5〜約10mg/日の、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン及び約50〜約200mg/m2/日の第二の活性成分の投与、並びにその後の1又は2週間の休薬を含む。典型的には、該併用療法が患者へ投与される間のサイクル数は、約1〜約24サイクルであり、より典型的には約2〜約16サイクルであり、更により典型的には約4〜約3サイクルである。
【0068】
(5.3 4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン)
本発明は、皮膚狼瘡を治療、管理又は予防する方法を提供し、該方法は、治療的又は予防的有効量の下記式を有する4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、そのような治療、管理又は予防を必要とする患者へ投与することを含む:
【化1】


【0069】
4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、米国特許出願第2003/0096841号に開示された方法に従い調製することができ、この出願は本明細書に引用により組み込まれている。
【0070】
一実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、鏡像異性的に純粋である。更なる実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、(+)-エナンチオマーである。更なる実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、(-)-エナンチオマーである。更なる実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、ラセミ混合物である。
【0071】
(5.4 医薬組成物及び剤形)
医薬組成物を、個々の単回単位剤形の調製に使用することができる。本発明の医薬組成物及び剤形は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体、及び第二活性物質を含有する。本発明の医薬組成物及び剤形は更に、1種以上の担体、賦形剤又は希釈剤を含有することができる。
【0072】
本発明の医薬組成物及び剤形は、1種以上の追加の活性物質又は成分も含有することができる。結果として、本発明の医薬組成物及び剤形は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン及び少なくとも1つの第二活性物質を含有してよい。任意の第二活性物質の例は、本明細書に開示されている。
【0073】
本発明の単回単位剤形は、経口的、経粘膜的(例えば舌下、経鼻、経膣、嚢胞内、経直腸、経包皮、眼内、頬内又は耳内)、非経口的(例えば皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内又は動脈内)、局所的(例えば、点眼又は他の眼科用調合薬)、経皮的又は経表皮的な患者への投与に適している。剤形の非限定的な例は、錠剤;カプレット;カプセル剤、例えば弾性のある軟ゼラチンカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;舐剤;分散剤;坐剤;散剤;エアゾール剤(例えば経鼻噴霧剤又は吸入剤);ゲル剤;懸濁剤(例えば、水性又は非水性液体懸濁剤、水中油型乳剤又は油中水型液体乳剤)、液剤及びエリキシル剤を含む、患者への経口又は経粘膜投与に適した液体剤形;患者への非経口的投与に適した液体剤形;点眼剤又は他の局所性投与に適した眼科用調合薬;並びに、患者への非経口的投与に適している液体剤形を提供するために、再構成することができる、無菌の固形物(例えば晶質又は非晶質固形物);を含む。
【0074】
本発明の剤形の組成、形状及び種類は、典型的にはそれらの用途に応じて変動するであろう。例えば疾患の迅速治療に使用される剤形は、1種以上の活性成分を大量に含んでいてよく、これは同疾患の慢性治療において使用される剤形よりも多くを含有する。同様に非経口剤形は、より少ない量の1種以上の活性成分を含んでよく、これは同疾患の治療において使用される経口剤形よりも少なく含有する。本発明に包含される具体的剤形が互いに変動するこれら及びその他の方法は、当業者には容易に明らかであろう。例えば「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第18版、Mack Publishing、イーストン, PA(1990)を参照されたい。
【0075】
典型的医薬組成物及び剤形は、1種以上の賦形剤を含有する。好適な賦形剤は、製薬業者に周知であり、かつ好適な賦形剤の非限定的な例が本明細書において提供されている。特定の賦形剤が医薬組成物又は剤形への組込みに適しているかどうかは、これらに限定されるものではないが、剤形が患者へ投与される経路を含む、周知の様々な要因によって決まる。例えば錠剤などの経口剤形は、非経口剤形での使用には適さない賦形剤を含有してもよい。特定の賦形剤の適性は、剤形中の特定の活性成分に応じても決まるであろう。例えば、一部の活性成分の分解は、乳糖のような一部の賦形剤によるか又は水へ曝露された場合に促進させることができる。第1級又は第2級アミンを含む活性成分は、特にそのような促進された分解を受けやすい。従って本発明は、含むとしても、乳糖、他の単糖又は二糖はほとんど含まない医薬組成物及び剤形を包含している。本明細書において使用される用語「乳糖-非含有」とは、存在するとしても、存在する乳糖の量は、活性成分の崩壊速度を実質的に増大させるには不充分であることを意味する。
【0076】
本発明の乳糖-非含有組成物は、当該技術分野において周知であり、かつ例えば米国薬局方(USP) 25-NF20 (2002)に列記されたような、賦形剤を含むことができる。概して乳糖-非含有組成物は、医薬として適合性がありかつ医薬として許容し得る量の、活性成分、結合剤/充填剤及び滑沢剤を含有する。特定の乳糖-非含有剤形は、活性成分、微晶質セルロース、予めゲル化されたデンプン及びステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0077】
水は一部の化合物の崩壊を促進することができるので、本発明は更に、活性成分を含有する無水の医薬組成物及び剤形を包含している。例えば水の添加(例えば5%)は、長期にわたる製剤の製品寿命又は安定性などの特徴を決定するために、長期貯蔵を模倣する手段として、医薬技術分野において広く受け入れられている。例えばJens T. Carstensenの「薬物安定性:原理と実践(Drug Stability: Principles & Practice)」(第2版、Marcel Dekker, ニューヨーク, NY, 1995年, pp.379-80)を参照されたい。実際に、水及び熱は、一部の化合物の分解を促進する。それゆえ、製剤の製造、取り扱い、包装、貯蔵、出荷及び使用時には、水分及び/又は湿分に普通に遭遇するので、製剤における水の作用は、非常に重要であり得る。
【0078】
本発明の無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低い水分を含有する成分及び低水分又は低湿分条件を用い、調製することができる。製造、包装及び/又は貯蔵時の水分及び/又は湿分との実質的な接触が予想される場合には、乳糖、及び第1級又は第2級アミンを含む少なくとも1種の活性成分を含有する医薬組成物及び剤形は、無水であることが好ましい。
【0079】
無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように、調製及び貯蔵すべきである。従って無水組成物は、水への曝露を防止することが公知である材料を使用して、包装されることが好ましく、その結果これらは、好適な処方キット(formulary kit)に含まれ得る。好適な包装の非限定的な例は、密封のシールフォイル、プラスチック、単位用量用容器(例えばバイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックである。
【0080】
本発明は更に、活性成分を分解する速度を低下させる1種以上の化合物を含有する医薬組成物及び剤形を含む。そのような化合物は、本明細書において「安定剤」と称され、これらはアスコルビン酸のような抗酸化剤、pH緩衝剤又は塩緩衝剤を含むが、これらに限定されるものではない。同様に剤形中の賦形剤の量及び種類のような、活性成分の量及び具体的種類は、限定ではないが、患者へ投与される経路などの要因に応じて異なり得る。しかし、本発明の典型的剤形は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、約0.10〜約150mgの量で含む。典型的剤形は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150又は200mgの量で含有する。特定の実施態様において、剤形は、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンを、約1、2、5、10、25又は50mgの量で含有する。具体的実施態様において、剤形は、賦形剤を約5、10、25又は50mgの量で含有する。典型的剤形は、第二の活性成分を、1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、又は約50〜約200mgの量で含有する。当然、該物質の具体量は、使用される具体的物質、治療又は管理される疾患又は障害の種類、並びに患者へ同時投与される4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン及び任意の追加の第二活性物質の量により左右されるであろう。
【0081】
(5.4.1 経口剤形)
経口投与に適している本発明の医薬組成物は、限定ではないが、錠剤(例えばチュアブル錠)、カプレット、カプセル剤及び液剤(例えば風味付けシロップ剤)などの、個別の剤形として提示することができる。このような剤形は、限定量の活性成分を含有し、当業者に周知の調剤法により調製することができる。一般に「レミントンの薬学」(第18版、Mack Publishing, イーストン PA(1990))を参照されたい。
【0082】
本発明の典型的な経口剤形は、通常の医薬配合技術に従い、少なくとも1種の賦形剤との密な混合剤中に活性成分を混合することより調製される。賦形剤は、投与に望ましい調製形態に応じ、多種多様な形をとることができる。経口の液剤又はエアゾール剤の剤形における使用に適した賦形剤の非限定的な例は、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、保存剤及び着色剤を含む。固形経口剤形(例えば散剤、錠剤、カプセル剤及びカプレット)における使用に適した賦形剤の非限定的な例は、デンプン、糖類、微晶質セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤を含む。
【0083】
投与の容易さのために、錠剤及びカプセル剤は、最も有利な経口投与単位剤形を表し、それらの場合固形賦形剤が使用される。所望であれば、錠剤を、標準の水性又は非水性技術により被覆することができる。そのような剤形は、調剤法のいずれかにより調製することができる。一般に医薬組成物及び剤形は、活性成分を、液体担体、細分された固形担体又は両方と均質かつ密に混合することによって調整し、必要ならばその後に該生成物を所望の外形(presentation)へ造形するる。
【0084】
例えば、錠剤は、圧縮又は成形により調製することができる。圧縮錠は、粉末又は顆粒などの自在に流動する形の活性成分を、任意に賦形剤と混合し、好適な機械において圧縮することにより、調製することができる。成形錠は、不活性液体希釈剤で湿潤された粉末化化合物の混合物を、好適な機械において成形することにより、製造することができる。
【0085】
本発明の経口剤形において使用することができる賦形剤の非限定的な例は、結合剤、充填剤、崩壊剤及び滑沢剤を含む。医薬組成物及び剤形における使用に適した結合剤の非限定的な例は、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン又は他のデンプン、ゼラチン、天然及び合成のゴム、例えばアカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、トラガント末、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、予めゲル化されたデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、番号 2208、2906、2910)、微晶質セルロース及びそれらの混合物である。
【0086】
微晶質セルロースの好適な形態の非限定的な例は、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC社、American Viscose Division、Avicel Sales、マーカスフック、PAから入手可能)として販売されている物質及びそれらの混合物を含む。具体的結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている、微晶質セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。好適な無水又は低水分の賦形剤又は添加剤は、AVICEL-PH-103(商標)及びデンプン1500 LMを含む。
【0087】
本明細書に開示された医薬組成物及び剤形において使用するために適した充填剤の非限定的な例は、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微晶質セルロース、粉末化されたセルロース、デキストラン、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、予めゲル化されたデンプン及びそれらの混合物を含む。本発明の医薬組成物中の結合剤又は充填剤は、典型的には、医薬組成物又は剤形の約50〜約99質量%で存在する。
【0088】
水性環境に曝された場合に崩壊する錠剤を提供するために、崩壊剤を本発明の組成物において使用する。多すぎる崩壊剤を含有する錠剤は、貯蔵時に崩壊するが、少なすぎるものを含有する錠剤は、望ましい速度又は望ましい条件下で崩壊しないことがある。従って、活性成分の放出を有害に変更しないよう多すぎも少なすぎもしない十分量の崩壊剤を使用して、本発明の固形経口剤形を成形する。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に応じて変動し、当業者には容易に認識可能である。典型的医薬組成物は、約0.5〜約15質量%の崩壊剤、好ましくは約1〜約5質量%の崩壊剤を含有する。
【0089】
本発明の医薬組成物及び剤形において使用することができる崩壊剤の非限定的な例は、アガーアガー、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、他のデンプン、予めゲル化されたデンプン、他のデンプン、クレー、他のアルギン、他のセルロース、ガム及びそれらの混合物を含む。
【0090】
本発明の医薬組成物及び剤形において使用することができる滑沢剤の非限定的な例は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、アガー及びそれらの混合物を含む。追加の滑沢剤は、例えば、シロイドシリカゲル(AEROSIL200、W.R. Grace Co.( ボルチモア、MD)製造)、合成シリカの凝固したエーロゾル(Degussa 社.( ピアノ、TX)から販売)、CAB-O-SIL(パイロジェン性二酸化ケイ素製品、Cabot 社.(ボストン、MA)から販売)及びそれらの混合物を含む。滑沢剤は、仮にも使用される場合には、典型的にはそれらが組み込まれる医薬組成物又は剤形の約1質量%未満の量で使用される。
【0091】
本発明の特定の固形経口剤形は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン、無水乳糖、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ及びゼラチンを含有する。
【0092】
(5.4.2 遅延放出型剤形)
本発明の活性成分は、放出制御手段によるか、又は当業者に周知である送達装置より投与することができる。放出制御手段又は送達装置の非限定的な例は、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;及び、第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号及び第5,733,566号に開示されたものを含み、これらは本明細書に引用により組み込まれている。そのような剤形を使用し、様々な割合で望ましい放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、透過膜、浸透圧システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェア又はそれらの組合せを用いる、1種以上の活性成分の遅延放出又は放出制御を提供することができる。本明細書に開示されたものを含む、当業者に公知である好適な放出制御製剤は、本発明の活性成分と共に使用するために容易に選択することができる。従って本発明は、これらに限定されないが、放出制御に適合化された、非限定的に錠剤、カプセル剤、ジェルキャップ及びカプレットなどの経口投与に適した単位剤形を包含している。
【0093】
全ての放出制御型医薬製品は、それらの制御されない放出の対応物により実現されるものに勝る薬物療法を向上させるという共通の目的を有する。理想的には、医療において最適にデザインされた放出制御調製物の使用は、最短の時間で当該状態を治癒又は制御するために使用される最小の薬物により特徴付けられる。放出制御製剤の利点は、拡大された薬物の活性、低下された投与頻度、及び増大した患者の服薬遵守を含む。加えて放出制御製剤を使用して、作用の開始時点又は他の特徴、例えば薬物の血中レベルに影響を及ぼすことができ、その結果副作用(例えば有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0094】
ほとんどの放出制御製剤は、望ましい治療的作用を即座に生じる量の薬物(活性成分)を最初に放出し、長期間にわたりその治療的又は予防的作用のレベルを維持するための別の量の薬物を徐々に継続して放出するようにデザインされる。体内でこの一定レベルの薬物を維持するために、該薬物は、代謝されて体から排泄される薬物の量と置き換わる速度でその剤形から放出されなければならない。活性成分の放出制御は、pH、温度、酵素、水もしくは他の生理的条件又は化合物を含むが、これらに限定されるものではない様々な条件により刺激することができる。
【0095】
(5.4.3 非経口剤形)
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内及び動脈内を含むが、これらに限定されるものではない様々な経路により、患者へ投与することができる。それらの投与は典型的には、汚染物質に対する患者の自然の防御を迂回するので、非経口剤形は、無菌であるか又は患者への投与前に滅菌可能であることが好ましい。非経口剤形の非限定的な例は、そのまま注射できる液剤、注射のために医薬として許容し得るビヒクル中に容易に溶解又は懸濁される乾燥製品、そのまま注射できる懸濁剤及び乳剤を含む。
【0096】
本発明の非経口剤形を提供するために使用することができる好適なビヒクルは、当業者に周知である。好適なビヒクルの非限定的な例は、注射用水(米局方);水性ビヒクル、例えば非限定的に、注射用塩化ナトリウム液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液並びに乳酸リンゲル注射液など;水混和性ビヒクル、例えば非限定的に、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなど;並びに、非水性ビヒクル、例えば非限定的に、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルなど;を含む。
【0097】
本明細書に開示された1種以上の活性成分の溶解度を増加する化合物は、本発明の非経口剤形に混入することもできる。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体を使用し、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン及びその誘導体の溶解度を増加させることができる。
【0098】
(5.4.4 局所的及び経粘膜剤形)
薬物は、皮膚及びその付属器へ又は様々な粘膜へ局所的に適用することができる。使用することができる経路は、舌下、経鼻、経膣、嚢胞内、経直腸、経包皮、眼内、頬内又は耳内を含む。多くの剤形が、局所作用を生じるための適用部位へ活性主薬を送達するために開発されている。本発明の局所的及び粘膜用剤形の非限定的な例は、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、糊状剤、粉剤、ローション剤、噴霧剤、塗布剤、パップ剤、エアゾール剤、液剤、乳剤、懸濁剤、点眼剤もしくは他の眼科用調製物又は当業者に公知の他の剤形を含む。例えば「レミントンの薬学」第16版及び第18版(Mack Publishing, イーストン PA (1980及び1990年));及び「医薬剤形への手引き(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)」第4版(Lea & Febiger, フィラデルフィア(1985年))を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した剤形は、含嗽剤又は経口ゲル剤として製剤することができる。
【0099】
本発明に包含される局所的及び粘膜用剤形を提供するために使用することができる好適な賦形剤(例えば担体及び希釈剤)及び他の材料は、医薬分野の業者に周知であり、並びに所定の医薬組成物又は剤形が適用される具体的組織に応じて決まる。液剤、乳剤又はゲル剤を形成するための、典型的賦形剤の非限定的な例は、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油及びそれらの混合物を含み、これらは無毒でありかつ医薬として許容し得るものである。
【0100】
閉鎖剤(occlusive)、保湿剤、緩和剤及びタンパク質若返り剤(rejuvenator)などの湿潤剤も、所望であれば医薬組成物及び剤形へ添加することができる。そのような追加成分の例は、当該技術分野において周知である。例えば「レミントン薬学」第16版及び第18版(Mack Publishing, イーストン PA (1980及び1990年))を参照されたい。
【0101】
閉鎖剤は、角質層内の水分の喪失を物理的にブロックする物質である。閉鎖剤の非限定的な例は、ワセリン、ラノリン、鉱油、ジメチコーンのようなシリコーン、酸化亜鉛及びそれらの組合せを含む。好ましい閉鎖剤は、ワセリン及びラノリンであり、より好ましくは最少濃度5%のワセリンである。
【0102】
保湿剤は、皮膚へ適用された場合に、水を皮膚へ引きつけ、かつ理論的には角質層の水和を改善する物質である。しかし皮膚に引きつけられた水は、他の細胞由来の水であり、大気中の水ではない。この種の保湿剤によっては、皮膚からの蒸発は継続し、実際には乾燥は増悪し得る。保湿剤の非限定的な例は、グリセリン、ソルビトール、尿素、アルファヒドロキシ酸、糖類及びそれらの組合せを含む。好ましい保湿剤は、アルファヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸及び酒石酸などである。
【0103】
緩和剤は、油滴により皮膚薄片間の空間を満たすことにより、皮膚を滑らかにする物質であり、通常厚く適用されない限りは、閉塞しない。乳化剤と併用される場合は、これらは、角質層内の油分及び水分の保持を補助することができる。ビタミンEは、緩和剤として以外は、作用はないようである、一般的添加剤である。同様に他のビタミン類、例えばビタミンA及びビタミンDも添加されるが、それらの作用は疑問の余地がある。緩和剤の非限定的な例は、鉱油、ラノリン、脂肪酸、コレステロール、スクワレン、構造脂質及びそれらの組合せを含む。
【0104】
タンパク質若返り剤は、必須タンパク質の補給により、皮膚を若返らせる物質である。タンパク質若返り剤の非限定的な例は、コラーゲン、ケラチン、エラスチン及びそれらの組合せを含む。
【0105】
医薬組成物又は剤形のpHを調整し、1種以上の活性成分の送達を改善させることができる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度又は張性も、送達を改善するために調節することができる。例えば皮膚を介した吸収は、閉鎖性包帯、塗油(inunction)又は担体としてのジメチルスルホキシドの使用により増強することもできる。ステアリン酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウムなど)などの化合物を、医薬組成物又は剤形へ添加して、送達を改善するために、1種以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変更することができる。これに関して、ステアリン酸塩は、製剤のための脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、並びに送達増強剤又は浸透増強剤として役立つ。活性成分の様々な塩、水和物又は溶媒和物を使用して、結果的に得られる組成物の特性を更に調節することができる。
【0106】
(5.5 用量)
そのような化合物の毒性及び治療有効性は、例えばLD50(集団の50%が致命的である投与量)及びED50(集団の50%が治療的に有効である投与量)を測定することによる、培養細胞又は実験動物における標準の医薬手順により決定することができる。毒性作用と治療作用の間の用量比が、治療係数であり、これは比LD50/ED5Oとして表すことができる。大きい治療係数を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物を使用することができるが、非感染細胞への可能性のある損傷を最小化し、それにより副作用を減少させるために、そのような化合物を罹患組織部位へ標的化する送達システムのデザインは慎重に行われなければならないであろう。
【0107】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用のための用量範囲の処方に使用することができる。そのような化合物の用量は、毒性をほとんど又は全く伴わない、ED50を含む循環濃度の範囲内であることが好ましい。用量は、使用される剤形及び利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動してよい。本発明の方法において使用される化合物に関して、治療的に十分な投与量は、最初に細胞培養アッセイから概算することができる。細胞培養において決定されたIC50(すなわち、症状の最大阻害の半分を実現する被験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を実現する用量を動物モデルにおいて処方することができる。そのような情報を使用し、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0108】
本発明の一実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、経口的にかつ約0.10〜約150mg/日の単回の又は分割した1日量で投与することができる。特定の実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、約0.1〜約1mg/日、あるいは1日おきに約0.1〜約5mgの量で投与することができる。別の実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、約1〜約25mg/日、あるいは1日おきに約10〜約50mgの量で投与することができる。ある実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、約50mg/日の量で投与することができる。別の実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、約25mg/日の量で投与することができる。別の実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、約10mg/日の量で投与することができる。
【0109】
本発明の方法で投与される医薬組成物の量は、治療される対象、障害又は障害の症状の重症度、投与法、投与頻度及び医師の判断に応じて決まるであろう。
投与頻度は、ほぼ毎時間の投与量から毎月の投与量までの範囲内である。具体的実施態様において、投与は、1日8回から1日おきに1回まで、又は1〜3回/日である。具体的実施態様において、本発明の医薬組成物は、慢性的に、例えば毎日投与される。
【0110】
(5.6 投与経路)
本発明の治療的組成物の単独又は複数の成分は、非経口的、局所的又は経粘膜的、例えば経鼻、経口、経直腸又は経皮的に導入することができる。一部の実施態様において、投与は、非経口的、例えば静脈内注射によるか、又は動脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内及び頭蓋内投与を含むが、これらに限定されるものではない。ある実施態様において、本発明の治療的組成物の単独又は複数の成分は、経口、経鼻又は吸入もしくは吹送により導入される。別の実施態様において、本発明の治療的組成物の単独又は複数の成分は、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、糊状剤、粉剤、ローション剤、噴霧剤、塗布剤、パップ剤、エアゾール剤、液剤、乳剤及び懸濁剤を含む形で、局所的に導入される。
【0111】
本明細書において使用するように治療的組成物の成分の投与は、各成分の同時投与又は逐次投与のいずれかを意味することができる。
本発明の一実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンは、局所的に投与することができる。本発明の更なる実施態様において、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、糊状剤、粉剤、ローション剤、噴霧剤、塗布剤、パップ剤、エアゾール剤、液剤、乳剤及び懸濁剤からなる群より選択された剤形で局所的に導入することができる。
【実施例】
【0112】
(6. 実施例)
本発明の一部の実施態様は、以下の非限定的実施例により例証される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付された「特許請求の範囲」によってのみ規定される。
【0113】
(実施例1:4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの調製)
(工程1:4-[(N,N-ジメチルヒドラゾノ)メチル]イソベンゾフラン-1,3-ジオンの調製)
無水マレイン酸(2)(277.5g, 2.83mole, Aldrich Chemicals社, ミルウォーキー, WI)及び酢酸エチル(1050ml)を、室温、窒素下で5Lの三つ口フラスコへ充填した。酢酸エチル(450ml)中の2-フルアルデヒド N,N-ジメチルヒドラゾン(300g, 2. 2mole, Aldrich Chemicals社, ミルウォーキー, WI)の溶液を、該フラスコに充填した。該反応混合物を、5〜10分間攪拌した後、トリフルオロ酢酸(12.4g, 0.11mole, 5mol%, Aldrich Chemicals社, ミルウォーキー, WI)を、このフラスコに15〜20分間かけて充填した。潜熱(室温を〜15-25℃上回る)を認めた。発熱が静まった後、反応混合物を、45〜55℃で6時間加熱するか、あるいは反応混合物を、室温で8時間攪拌した。各反応期間の最後に(室温反応については8時間又は加熱反応については6時間)、必要ならば、反応混合物を室温に冷却した。反応混合物を、室温、真空下で濾過した後、濾過された固形物を、酢酸エチル600ml、脱イオン水2.4L、及びヘプタン600mlで逐次洗浄した。固形物を、トレイ上、55〜60℃、真空下で8〜12時間乾燥させた。4-[(N,N-ジメチルヒドラゾノ)メチル]イソベンゾフラン-1,3-ジオンの収量は、400g(84%)であることがわかった。
【0114】
(工程2:4-[(N,N-ジメチルヒドラゾノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの調製)
4-[(N,N-ジメチルヒドラゾノ)メチル]イソベンゾフラン-1,3-ジオン(300g, 1. 38mole, 予め調製)を、5Lの三つ口フラスコに充填した後、α-アミノグルタルイミド塩酸塩(189g, 1. 15mol, Evotec OAI, Oxfordshire, 英国)、イミダゾール(780g, 11.5mol, Aldrich Chemicals社製, ミルウォーキー, WI)及びアセトニトリル(2.28L, Fisher Scientific社, ピッツバーグ, PA)を、室温、窒素下で添加し、溶液を形成した。酢酸(688g, 11.5mol, Fisher Scientific, ピッツバーグ, PA)をこの溶液に室温で充填した後、反応混合物を、10〜15分間攪拌した。発熱(室温を〜10〜15℃上回る)を認めた。発熱が静まった後、反応混合物を、75〜82℃で2〜3時間加熱しながら、この反応時に形成されたH2Oを、アセトニトリル/水共沸溶液378mlの蒸留により除去した。次に反応混合物を、65℃に冷却し、室温で攪拌しながら、水(756ml)で希釈した。反応混合物を真空下で濾過した後、濾過された固形物を、脱イオン水(1512ml)及びヘプタン(378ml)で逐次洗浄した。固形物を、トレイ上、55〜60℃、真空下で8〜12時間乾燥させた。4-[(N,N-ジメチルヒドラゾノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの収量は、311g(83%)であることがわかった。
【0115】
(工程3:4-アミノメチル-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン塩酸塩の調製)
4-[(N,N-ジメチルヒドラゾノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン(100g, 0.304mol, 先に調製)を、5LのParr-容器に充填した後、10%Pd/C(50%湿潤, 4g, 4重量%, Johnson Matthey社製, ロンドン, 英国)、メタノール及び水の容積比2:1の混合液(1500ml)、並びにメタンスルホン酸(58.5g, 0.609mol, Aldrich Chemicals社製, ミルウォーキー, WI)を、室温、窒素下で添加した。この反応混合物を、窒素(3回)及び水素(3回)で逐次掃流した。反応混合物を、圧力40〜50psiに維持された水素と共に、室温で18〜20時間攪拌した。あるいは、反応混合物を、圧力40〜50psiに維持された水素と共に、40℃で6〜8時間攪拌した。次に反応物を、セライト床(厚さ1インチ)を通して濾過し、このセライト床を、メタノール及び水の容積比2:1の混合液(200ml)で洗浄した。反応混合物を、必要ならば、室温に冷却し、その後濾過した。濾液を、減圧下(15〜20torr)、35〜45℃で、メタノール及び水の混合液1.36L(80%)が収集されるまで、濃縮した。濃縮後、濾液を、アセトン(500ml)で希釈して、0〜5℃の氷浴で冷却し、12N塩酸(102ml, 1.22mol)を、反応温度が0〜5℃に維持される速度で添加した。次に、アセトン溶液を、室温に温めた。アセトン溶液に濁りが認められた時点で、4-[(N,N-ジメチルヒドラゾノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン2g(2重量%)を添加した。この混合物を、室温で15時間攪拌する間に、4-[(N,N-ジメチルヒドラゾノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンが、アセトン溶液から沈殿した。この混合物に、酢酸エチル(300ml)を充填し、更に2時間室温で攪拌した。この混合物を濾過し、アセトニトリル(100ml)、酢酸エチル(100ml)及びヘプタン(100ml)で逐次洗浄した。濾過した固形物を、トレイ上、55〜60℃、真空下で12時間乾燥させた。4-アミノメチル-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン塩酸塩の収量は、77g(78%)であることがわかった。
【0116】
(工程4:4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン塩酸塩の調製)
4-アミノメチル-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン塩酸塩(100.0g, 0.31mole, 予め調製)及びアセトニトリル(1.0L)を、5Lの三つ口フラスコに充填し、反応混合物を、0〜5℃に冷却した。次にシクロプロパンカルボニルクロリド(35.5g, 30.8ml, 0.34mole, Aldrich Chemicals社製, ミルウォーキー, WI)を、この冷却した反応混合物へ20〜30分間にわたり、0〜5℃で攪拌しながら添加した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(79.9g, 107.7ml, 0.62mole, Aldrich Chemicals社製, ミルウォーキー, WI)を、45〜60分間かけて反応混合物へ添加しながら、温度0〜5℃で維持した。反応混合物を、18〜22℃に温め、反応が完了するまで、更に3時間攪拌した。反応混合物を、0〜5℃に冷却した後、2N塩酸水溶液(1.0L)を、20〜30分間かけて添加しながら、温度を0〜5℃に維持した。反応混合物を、1時間攪拌しながら、反応混合物を次第に18〜22℃に温めた。白色固形物を沈殿させ、真空下で収集し、脱イオン水1.0Lで洗浄した。白色固形物を、トレイ上、50〜55℃、100-125mmHgの圧力下で乾燥させた。4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン塩酸塩の収量は、100.95g(92%)であることがわかった。
【0117】
4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンのラセミ化合物を所望する場合、ラセミα-アミノグルタルイミド塩酸塩を、工程2において使用することができる。逆に、鏡像異性的に純粋な式(I)の化合物が望ましい場合には、鏡像異性的に純粋なα-アミノグルタルイミド塩酸塩を、工程2において使用することができる。あるいは、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンの鏡像異性的に純粋な化合物を所望する場合には、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンのラセミ混合物を調製し、その後このラセミ混合物を、生物学的分割及び化学的分割などの通常の分割技術により、エナンチオマーへ分割することができる。一般に、生物学的分割は、一方の特定のエナンチオマーを代謝し、他方のみを残存する微生物を使用する。化学分割においては、ラセミ混合物を、分別晶出及びクロマトグラフィーのような通常の技術により分離可能な2種のジアステレオマーに転換する。一旦分離されると、ジアステレオマー型は、それらのエナンチオマーへと別々に転換される。
【0118】
下記実施例2-11の活性成分は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体である。
【0119】
(実施例2)
各々活性成分50mgを含有する錠剤を、下記の様式で調製することができる:
【表1】

【0120】
固形成分を最初に、0.6mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。次に活性成分、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びデンプン半量を混合する。先に記したように、活性成分は、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体である。デンプンの残り半量を水40ml中に懸濁し、この懸濁液を水100ml中のポリエチレングリコールの沸騰溶液に添加する。結果として得られるペーストを粉体物質に添加し、必要ならば該混合物を、水を添加して、造粒する。顆粒を35℃で一晩乾燥させ、1.2mmメッシュ幅の篩に強制的に通し、圧縮し、両側が窪んでいる直径約6mmの錠剤に成形する。
【0121】
(実施例3)
各々活性成分100mgを含有する錠剤を、下記の様式で調製することができる:
【表2】

【0122】
全ての固形成分を最初に、0.6mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。次に活性成分、乳糖、ステアリン酸マグネシウム及びデンプン半量を混合する。デンプンの残り半量を水40ml中に懸濁し、この懸濁液を沸騰水100mlに添加する。結果として得られるペーストを粉体物質に添加し、必要ならば該混合物を、水を添加して、造粒する。顆粒を35℃で一晩乾燥させ、1.2mmメッシュ幅の篩に強制的に通し、圧縮し、両側が窪んでいる直径約6mmの錠剤を成形する。
【0123】
(実施例4)
各々活性成分75mgを含有する咀嚼用錠剤を、下記の様式で調製することができる:
【表3】

【0124】
全ての固形成分を最初に、0.25mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。マンニトール及び乳糖を混合し、ゼラチン溶液を添加して、造粒し、2mmメッシュ幅の篩を強制的に通し、50℃で乾燥させ、再度1.7mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。活性成分、グリシン及びサッカリンを慎重に混合する。マンニトール、乳糖顆粒、ステアリン酸及びタルクを添加し、全体を完全に混合し、圧縮し、両側が窪み及び上側に刻み目の入った、直径約10mmの錠剤を成形する。
【0125】
(実施例5)
各々活性成分10mgを含有する錠剤を、下記の様式で調製することができる:
【表4】

【0126】
固形成分を最初に、0.6mmメッシュ幅の篩に強制的に通す。その後活性成分、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びデンプンの半量を、密に混合する。残りのデンプンの半量を水65ml中に懸濁し、この懸濁液を、水260ml中のポリエチレングリコールの沸騰溶液に添加した。結果として得られるペーストを粉体物質に添加し、全体を混合し、必要ならば水を添加して、造粒する。顆粒を、35℃で一晩乾燥させ、1.2mmメッシュ幅の篩に強制的に通し、圧縮し、両側が窪み及び上側に刻み目の入った、直径約10mmの錠剤を成形する。
【0127】
(実施例6)
各々活性成分100mgを含有するゼラチン乾燥-充填カプセル剤を、下記の様式で調製することができる:
【表5】

【0128】
ラウリル硫酸ナトリウムを、活性成分へと0.2mmメッシュ幅の篩を強制的に通し篩にかけ、これらふたつの成分を、10分間密に混合する。その後微晶質セルロースを、0.9mmメッシュ幅の篩に強制的に通して添加し、全体を再度10分間密に混合する。最後に、ステアリン酸マグネシウムを、0.8mmメッシュ幅の篩に強制的に通して添加し、更に3分間混合した後、この混合物を、サイズ0(長い)ゼラチン乾燥-充填カプセルへ各々140mg部分を導入する。
【0129】
(実施例7)
0.2%注射用又は注入用液剤を、例えば下記の様式で調製することができる:
【表6】

【0130】
活性成分を、水1000mlに溶解し、ミクロフィルターを通して濾過した。緩衝溶液を添加し、全体を、水で2500mlとした。単位剤形の調製のために、1.0又は2.5ml部分を、各々、ガラス製アンプルへ入れた(各々、活性成分2.0又は5.0mgを含有する)。
【0131】
(実施例8)
局所使用のための軟膏剤を、例えば下記の様式で調製することができる:
【表7】

【0132】
前記成分を均質に混合し、通常のミキサー又はホモジナイザーを使用し、振盪又は超音波エネルギーにより、軟膏剤を成形する。
【0133】
(実施例9)
局所使用のためのゲル剤を、例えば下記の様式で調製することができる:
【表8】

前記成分を均質に混合し、通常のミキサー又はホモジナイザーを使用し、振盪又は超音波エネルギーにより、ゲル剤を成形する。
【0134】
(実施例10)
局所使用のための粘状剤を、例えば下記の様式で調製することができる:
【表9】

前記成分を均質に混合し、通常のミキサー又はホモジナイザーを使用し、振盪又は超音波エネルギーにより、糊状剤を成形する。
【0135】
(実施例11)
局所使用のための液体組成物を、例えば下記の様式で調製することができる:
【表10】

固形成分を液体成分中に均質に分散/溶解し、通常のミキサー又はホモジナイザーを使用し、振盪又は超音波エネルギーにより、液体を成形する。
【0136】
(実施例12)
局所使用のための噴霧剤を、例えば下記の様式で調製することができる:
【表11】

液体組成物及びフレオン114を、テフロン-コートされたアルミニウム製噴霧容器に充填する。
【0137】
本明細書に引用された参考文献の全ては、それらの全体が本明細書に引用により組み込まれる。本発明は、特定の実施態様に関して説明されているが、当業者には、添付された「特許請求の範囲」に列記された本発明の精神及び範囲から逸脱しない限りは、様々な変更及び修飾を行うことができることは明らかであろう。
【0138】
先に説明した本発明の実施態様は、単なる例証を意図し、当業者は、慣習的実験を超えないものを用い、具体的な化合物、材料及び手順の多くの同等物を認めるか又は確定することができるであろう。そのような同等物は全て、本発明の範囲内であると考えられ、添付された「特許請求の範囲」に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚狼瘡を治療、管理又は予防するための医薬品を調製するための、4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体の使用。
【請求項2】
前記4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンが、ラセミ混合物である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンが、その反対のエナンチオマーを実質的に含まない(+)-エナンチオマーである、請求項1記載の使用。
【請求項4】
前記4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンが、その反対のエナンチオマーを実質的に含まない(-)-エナンチオマーである、請求項1記載の使用。
【請求項5】
前記4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンが、医薬として許容し得る塩である、請求項1記載の使用。
【請求項6】
前記4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンが、医薬として許容し得る溶媒和物である、請求項1記載の使用。
【請求項7】
前記4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンが、医薬として許容し得る立体異性体である、請求項1記載の使用。
【請求項8】
前記皮膚狼瘡が、急性皮膚ループス・エリテマトーデスである、請求項1記載の使用。
【請求項9】
前記皮膚狼瘡が、亜急性皮膚ループス・エリテマトーデスである、請求項1記載の使用。
【請求項10】
前記皮膚狼瘡が、円板状ループス・エリテマトーデスである、請求項1記載の使用。
【請求項11】
前記皮膚狼瘡が、新生児ループス・エリテマトーデスである、請求項1記載の使用。
【請求項12】
前記皮膚狼瘡が、小児のループス・エリテマトーデスである、請求項1記載の使用。
【請求項13】
前記医薬品が、少なくとも1つの第二活性物質を更に含有する、請求項1記載の使用。
【請求項14】
前記第二活性物質が、抗炎症薬、免疫調節化合物、抗マラリア薬、免疫抑制薬、抗生物質、抗ウイルス薬、免疫グロブリン、免疫増強薬又はホルモンである、請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記抗炎症薬が、アセトアミノフェン、5-アミノサリチル酸誘導体、サリチル酸塩、コルチコステロイド又は非ステロイド系抗炎症薬である、請求項14記載の使用。
【請求項16】
前記免疫調節化合物が、サリドマイド、アザチオプリン、シクロホスファミド、メトトレキセート又はシクロスポリンである、請求項14記載の使用。
【請求項17】
前記抗生物質が、アンピシリン、テトラサイクリン、ペニシリン、セファロスポリン、ストレプトマイシン、カナマイシン又はエリスロマイシンである、請求項14記載の使用。
【請求項18】
前記抗ウイルス薬が、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル又はリバビリンである、請求項14記載の使用。
【請求項19】
前記免疫増強薬が、レバミソール又はイソプリノシンである、請求項14記載の使用。
【請求項20】
前記生物製剤が、転移因子、インターロイキン又はインターフェロンである、請求項14記載の使用。
【請求項21】
前記ホルモンが、胸腺ホルモンである、請求項14記載の使用。
【請求項22】
前記医薬品が、経口剤形である、請求項1記載の使用。
【請求項23】
前記医薬品が、非経口剤形である、請求項1記載の使用。
【請求項24】
前記医薬品が、局所用剤形である、請求項1記載の使用。
【請求項25】
前記局所用剤形が、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、糊状剤、粉剤、ローション剤、噴霧剤、塗布剤、パップ剤、エアゾール剤、液剤、乳剤、懸濁剤及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項24記載の使用。
【請求項26】
皮膚狼瘡を治療、管理又は予防するための、治療的又は予防的有効量の4-[(シクロプロパンカルボニルアミノ)メチル]-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を含有する、医薬組成物。
【請求項27】
少なくとも1つの第二活性物質を更に含有する請求項26記載の医薬組成物であって、該第二活性物質が、免疫調節化合物、抗炎症薬、抗マラリア薬、免疫抑制薬、抗生物質、抗ウイルス薬、免疫グロブリン、免疫増強薬又はホルモンである、前記医薬組成物。
【請求項28】
賦形剤、保湿剤、担体、希釈剤、ステアリン酸金属塩及びそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの成分を更に含有する、請求項26記載の医薬組成物。
【請求項29】
単回単位剤形である、請求項26記載の医薬組成物。
【請求項30】
経口投与に適した単回単位剤形である、請求項26記載の医薬組成物。
【請求項31】
非経口的投与に適した単回単位剤形である、請求項26記載の医薬組成物。
【請求項32】
局所性投与に適した単回単位剤形である、請求項26記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記単回単位剤形が、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、糊状剤、粉剤、ローション剤、噴霧剤、塗布剤、パップ剤、エアゾール剤、液剤、乳剤、懸濁剤及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項33記載の医薬組成物。
【請求項34】
賦形剤、保湿剤、担体、希釈剤、ステアリン酸金属塩及びそれらの組合せからなる群より選択される成分を更に含有する、請求項34記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2008−542290(P2008−542290A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513723(P2008−513723)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/020311
【国際公開番号】WO2006/127938
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】