説明

皮膚用化粧料

【課題】優れた保存安定性を有するとともに、塗布後のべたつき感がなく使用感に優れる、これら両効果を併せ持つ皮膚用化粧料の提供。
【解決手段】(A)アスコルビン酸グルコシド、(B)室温で固形の高級アルコールおよび/又は室温で固形の高級脂肪酸、(C)分岐脂肪酸とアルキレングリコールのエステル油、並びに(D)油脂を含有してなる皮膚用化粧料とする。所望により、(E)直鎖脂肪酸又は分岐脂肪酸と、分岐アルコールとのエステル油を含有させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸グルコシドは、美白剤などの皮膚用化粧料に配合されている。しかしながら、アスコルビン酸グルコシドを乳化させた剤型に配合すると、粘度上昇、粘度減少やクリーミング、エマルジョンの合一などを引き起こし易く、製剤の保存安定性に劣るといった問題がある。また、アスコルビン酸グルコシド自体にべたつき感あり、塗布後の使用感に劣るといった問題もある。
【0003】
従来より、このような問題点を解決するために、製剤の保存安定性を高め、優れた使用感を付与する試みがなされている。例えば、アスコルビン酸誘導体、特定分子量のカルボキシビニルポリマーを含有するアスコルビン酸含有増粘組成物(例えば、特許文献1を参照)、アスコルビン酸グルコシド、レシチンを含有する化粧料(例えば、特許文献2を参照)、アスコルビン酸誘導体、アルキル化水溶性高分子、pH調整剤および水を含有する外用組成物(例えば、特許文献3を参照)、アスコルビン酸グルコシド、特定分子量のエーテル化合物又はエステル化合物を含有し、特定の油滴平均粒子径を有する水中油型乳化組成物(例えば、特許文献4を参照)、アスコルビン酸グルコシド、ポリアクリルアミド、ベヘニルアルコールを含有する乳化化粧料(例えば、特許文献5を参照)、アスコルビン酸グルコシド、高級脂肪酸、高分子シリコーンを含有し、特定のpHを成す水中油型皮膚外用剤(例えば、特許文献6を参照)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、これら試みに拠っても、製剤の保存安定性を高めた場合には、べたつき感が生じ使用感に劣るといった問題がある。また、逆にべたつき感を抑え使用感を高めた場合には、粘度上昇が起こり製剤の保存安定性に劣るといった問題がある。よって、従来の試みでは、優れた製剤の保存安定性と使用感の両効果を併せ持つには至っておらず、未だ十分に満足しうるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−60315号公報
【特許文献2】特開2002−265344号公報
【特許文献3】特開2003−12498号公報
【特許文献4】特開2005−220029号公報
【特許文献5】特開2006−117534号公報
【特許文献6】特開2007−314455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、優れた保存安定性を有するとともに、塗布後のべたつき感がなく使用感に優れる、これら両効果を併せ持つ皮膚用化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)アスコルビン酸グルコシド、(B)室温で固形の高級アルコールおよび/又は室温で固形の高級脂肪酸、(C)分岐脂肪酸とアルキレングリコールのエステル油、並びに(D)油脂を含有してなる皮膚用化粧料、
〔2〕(C)成分が、イソステアリン酸プロピレングリコールである前記〔1〕に記載の皮膚用化粧料、
〔3〕(D)成分が、植物脂、動物油脂、並びに動植物性脂肪油の水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記〔1〕又は〔2〕に記載の皮膚用化粧料、
〔4〕(B)成分、(C)成分および(D)成分の夫々の含有量が、下記含有量比
((C)+(D))/(B)=0.9〜1.8
を満たすことを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の皮膚用化粧料、並びに
〔5〕更に、(E)直鎖脂肪酸又は分岐脂肪酸と、分岐アルコールとのエステル油を含有してなる前記〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の皮膚用化粧料
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚用化粧料は、保存安定性に優れた効果を奏するとともに、塗布後のべたつき感がなく使用感にも優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の皮膚用化粧料は、(A)アスコルビン酸グルコシド、(B)室温で固形の高級アルコールおよび/又は室温で固形の高級脂肪酸、(C)分岐脂肪酸とアルキレングリコールのエステル油、並びに(D)油脂を含有する。
【0010】
(A)成分のアスコルビン酸グルコシドとしては、安定性の観点から、α−グルコシル−L−アスコルビン酸を用いることが好ましく、2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸を用いることがより好ましい。
【0011】
(A)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、保存安定性の観点から、化粧料中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、使用感の観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
【0012】
(B)成分の室温で固形の高級アルコールとしては、例えば、炭素数12〜22の直鎖アルコールが挙げられる。具体的には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどを例示することができる。また、室温で固形の高級脂肪酸としては、例えば、炭素数12〜22の直鎖脂肪酸が挙げられる。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などを例示することができる。これら(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0013】
(B)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、べたつき感を抑制する観点から、化粧料中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは1.5重量%以上である。また、製剤の保存安定性の観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは4重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1.5〜4重量%である。
【0014】
(C)成分のエステル油を構成する分岐脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜18の分岐脂肪酸が挙げられる。具体的には、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸などを例示することができる。また、エステル油を構成するアルキレングリコールとしては、例えば、炭素数2〜4のアルキレングリコールが挙げられる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどを例示することができる。上記した分岐脂肪酸とアルキレングリコールからなるエステル油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(C)成分としては、製剤の保存安定性の観点から、イソステアリン酸とアルキレングリコールのエステル油を用いることが好ましく、イソステアリン酸とプロピレングリコールのエステル油であるイソステアリン酸プロピレングリコールを用いることがより好ましい。
【0015】
尚、(C)成分は、市販品をそのまま用いることもできる。イソステアリン酸プロピレングリコールの市販品としては、例えば、イソステアリンサンPG(商品名,青木油脂工業社製)などを例示することができる。
【0016】
(C)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤の保存安定性の観点から、化粧料中、0.5重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、使用感の観点から、4重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
【0017】
(D)成分の油脂の具体例としては、例えば、大豆油、ククイナッツ油、月見草油、ブドウ種子油、ヒマワリ油などの乾性植物油;トウモロコシ油、ナタネ油、綿実油、ゴマ油、小麦胚芽油などの半乾性植物油;オリブ油、ヒマシ油、落花生油、ツバキ油などの不乾性植物油;カカオ脂、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油などの植物脂;牛脂、豚脂、馬脂、羊脂などの動物油脂;硬化油などの動植物性脂肪油の水素添加物などを例示することができる。これら(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(D)成分としては、製剤の保存安定性の観点から、上記した油脂の中でも、室温で液状、若しくは、融点が50℃以下である、植物脂、動物油脂、動植物性脂肪油の水素添加物を用いることが好ましく、中でも、水素添加により融点を調整することができる動植物性脂肪油の水素添加物である硬化油を用いることがより好ましい。
【0018】
尚、(D)成分は、市販品をそのまま用いることもできる。硬化油の市販品としては、例えば、ノムコートPHS(商品名,日清オイリオグループ社製)などを例示することができる。
【0019】
(D)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤の保存安定性の観点から、化粧料中、0.5重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、使用感の観点から、4重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
【0020】
本発明においては、アスコルビン酸グルコシドを安定に含有し、優れた製剤の保存安定性を付与する観点から、上記した(B)成分、(C)成分および(D)成分の夫々の含有量が、下記含有量比
((C)+(D))/(B)=0.9〜1.8
を満たす範囲内で調製されることが好ましい。該含有量比が、0.9未満の場合、経時的に粘度上昇を引き起こし、低温保存時において析出などの問題を生じ易く、また、1.8よりも大きい場合、高温保存時において分離などの問題を生じ易く、何れも場合も製剤の保存安定性に劣るために好ましくない。
【0021】
また、本発明の皮膚用化粧料には、製剤の保存安定性を更に高める観点から、(E)直鎖又は分岐脂肪酸と分岐アルコールのエステル油を含有させることができる。
【0022】
(E)成分のエステル油を構成する直鎖脂肪酸又は分岐脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜22の直鎖脂肪酸又は分岐脂肪酸が挙げられる。具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘニン酸などの直鎖脂肪酸;2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソベヘン酸などの分岐脂肪酸を例示することができる。また、エステル油を構成する分岐アルコールとしては、例えば、炭素数8〜22の分岐アルコールが挙げられる。具体的には、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデシルアルコールなどを例示することができる。上記した直鎖脂肪酸又は分岐脂肪酸と分岐アルコールからなるエステル油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(E)成分としては、製剤の保存安定性の観点から、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニルを用いることが好ましい。
【0023】
(E)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤の保存安定性の観点から、化粧料中、0.5重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、使用感の観点から、8重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、(E)成分の含有量は、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%である。
【0024】
本発明の皮膚用化粧料は、アスコルビン酸グルコシドを安定に含有させ、製剤の保存安定性を優れたものとするために、乳化剤型として調製することが好ましい。用いられる乳化剤は、通常化粧品に用いられる乳化剤であれば特に限定されないが、非イオン性界面活性剤を好適に用いることができる。
【0025】
用いられる非イオン性界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどのソルビット脂肪酸エステル;モノステアリン酸グリセリン、モノカプリル酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリンなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンヒマシ油;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な非イオン性界面活性剤としては、製剤の保存安定性の観点から、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。
【0026】
非イオン性界面活性剤の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤の保存安定性の観点から、化粧料中、0.5重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、使用感の観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下である。これらの観点から、非イオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
【0027】
更に、本発明の皮膚用化粧料には、製剤の保存安定性を向上させ、優れた使用感とする観点から、増粘性高分子を含有させることができる。増粘性高分子としては、例えば、水溶性を有する天然高分子、半合成高分子、合成高分子などが挙げられる。具体的には、アラビアゴム、トラガントガム、グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、アイリスモス、クインスシード、ゼラチン、セラック、ロジン、カゼインなどの天然高分子;カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセロース、アルギン酸ナトリウム、エステルガム、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロースなどの半合成高分子;アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸・ポリオキシエチレンアルキルイタコン酸共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体、アクリル酸・アクリル酸ヒドロキシアルキル共重合体、アクリル酸・メタクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマー、アクリル酸・ネオデカン酸ビニルクロスポリマーなどのアクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルセルロース、ポリアミド樹脂などの合成高分子などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0028】
尚、増粘性高分子としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体などのアクリル酸アルキル共重合体やカルボキシビニルポリマーを用いる場合は、通常、塩基性物質で中和して用いられる。塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが例示される。また、塩基性物質の添加量は、アクリル酸アルキル共重合体やカルボキシビニルポリマーを中和するのに充分な量であり、これら成分の種類や使用量に応じて適宜配合すればよい。
【0029】
増粘性高分子の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤の保存安定性の観点から、化粧料中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.2重量%以上である。また、使用感の観点から、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.8重量%以下である。これらの観点から、増粘性高分子の含有量は、好ましくは0.1〜1重量%、より好ましくは0.2〜0.8重量%である。
【0030】
尚、本発明の皮膚用化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどの多価アルコール;スクワラン、ワセリンなどの炭化水素油;ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸塩などの酸化防止剤;フェノキエタノール、オクトキシグリセリン、パラベンなどの防腐成分;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルなどの紫外線吸収剤;無機顔料、パール化剤、植物抽出エキス、香料、pH調整剤などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0031】
本発明の皮膚用化粧料を乳化剤型とするには、前記各構成成分を混合し、公知の方法、例えばホモミキサーを用いた転相乳化法などにより乳化することにより製造することができる。また、混合と乳化は別々に行っても同時に行ってもよい。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。また、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0033】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1〜4および比較例1〜4の各皮膚用化粧料を常法に準じて調製し、下記評価に供した。結果を表1および表2に併記する。
【0034】
(試験例1:保存安定性の評価)
各実施例および各比較例で得られた皮膚用化粧料を、50mL容のジャー容器にそれぞれ封入し、5℃の恒温槽、45℃の恒温槽、並びに、5℃から45℃を24時間サイクルで変温する恒温槽に夫々4週間保存したときの乳化系の状態を目視観察して以下の評価基準に従って評価した。
【0035】
<保存安定性の評価基準>
◎:製造直後と全く変化が認められない
○:製造直後とほとんど変化が認められない
△:僅かな析出・分離が認められる
×:明らかな析出・分離が認められる
【0036】
(試験例2:使用感の評価)
女性専門パネル20名により、各実施例および各比較例で得られた皮膚用化粧料を顔面へ塗布して使用試験を行い、塗布5分後の「べたつき感のなさ」に関し、以下の5段階の評価基準に従って官能評価した。尚、評価は、下記評価基準により算出された平均点から下記判定基準にしたがって判定を行った。
【0037】
<評価基準>
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
【0038】
<使用感の判定基準>
◎:平均4.0点以上
○:平均3.0点以上4.0点未満
△:平均2.0点以上3.0点未満
×:平均2.0点未満
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
表1および表2に示された結果から、各実施例で得られた皮膚用化粧料は、各比較例で得られた皮膚用化粧料と対比して、アスコルビン酸グルコシドが含有しているにもかかわらず、製剤の保存安定性に優れた効果を奏していることが分かる。また、塗布後のべたつき感がなく、使用感においても優れた効果を奏していることが分かる。尚、比較例1および4の((C)+(D))/(B)比は、算出できないため、記載していない。
【0042】
以下、本発明に係る皮膚用化粧料の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0043】
(処方例1)
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
アスコルビン酸グルコシド 2.0
キサンタンガム 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.4
水酸化カリウム 適 量
ベヘニルアルコール 1.0
ステアリン酸 1.0
イソステアリン酸プロピレングリコール 1.5
硬化油 1.0
イソノナン酸イソトリデシル 0.5
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0
ステアリン酸グリセリル 0.5
防腐剤 適 量
金属キレート剤 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0044】
(処方例2)
グリセリン 10.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
1,2−ペンタンジオール 2.0
オクトキシグリセリン 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
アスコルビン酸グルコシド 2.0
キサンタンガム 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.4
水酸化カリウム 適 量
ベヘニルアルコール 1.5
ステアリン酸 0.5
イソステアリン酸プロピレングリコール 1.0
硬化油 0.8
イソノナン酸イソトリデシル 3.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0
ステアリン酸グリセリル 0.5
金属キレート剤 適 量
dl−α−トコフェロール 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0045】
(処方例3)
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
トリメチルグリシン 3.0
1,2−オクタンジオール 0.2
オクトキシグリセリン 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
アスコルビン酸グルコシド 2.0
キサンタンガム 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.4
水酸化カリウム 適 量
ベヘニルアルコール 1.0
ステアリン酸 1.0
イソステアリン酸プロピレングリコール 1.5
硬化油 2.0
イソノナン酸イソトリデシル 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0
ステアリン酸グリセリル 0.5
金属キレート剤 適 量
dl−α−トコフェロール 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0046】
(処方例4)
グリセリン 10.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
1,2−ペンタンジオール 2.0
オクトキシグリセリン 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
アスコルビン酸グルコシド 1.0
キサンタンガム 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.4
水酸化カリウム 適 量
ベヘニルアルコール 0.5
ステアリン酸 0.5
イソステアリン酸プロピレングリコール 0.5
硬化油 1.0
イソノナン酸イソトリデシル 3.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0
ステアリン酸グリセリル 0.5
金属キレート剤 適 量
dl−α−トコフェロール 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
【0047】
(処方例5)
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
トリメチルグリシン 3.0
1,2−オクタンジオール 0.2
オクトキシグリセリン 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
アスコルビン酸グルコシド 3.0
キサンタンガム 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.4
水酸化カリウム 適 量
ベヘニルアルコール 1.0
ステアリン酸 1.5
イソステアリン酸プロピレングリコール 1.5
硬化油 2.0
イソノナン酸イソトリデシル 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0
ステアリン酸グリセリル 0.5
金属キレート剤 適 量
dl−α−トコフェロール 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アスコルビン酸グルコシド、(B)室温で固形の高級アルコールおよび/又は室温で固形の高級脂肪酸、(C)分岐脂肪酸とアルキレングリコールのエステル油、並びに(D)油脂を含有してなる皮膚用化粧料。
【請求項2】
(C)成分が、イソステアリン酸プロピレングリコールである請求項1に記載の皮膚用化粧料。
【請求項3】
(D)成分が、植物脂、動物油脂、並びに動植物性脂肪油の水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の皮膚用化粧料。
【請求項4】
(B)成分、(C)成分および(D)成分の夫々の含有量が、下記含有量比
((C)+(D))/(B)=0.9〜1.8
を満たすことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の皮膚用化粧料。
【請求項5】
更に、(E)直鎖脂肪酸又は分岐脂肪酸と、分岐アルコールとのエステル油を含有してなる請求項1〜4の何れかに記載の皮膚用化粧料。

【公開番号】特開2011−136918(P2011−136918A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296510(P2009−296510)
【出願日】平成21年12月26日(2009.12.26)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】