説明

皮膚美白剤、組成物および方法

皮膚美白剤として、一般式I(ここで、Rは、水素原子、C−Cアシル基、またはC−Cアルキル基を表す。)のN−アシルベンゾチアゾロン化合物および誘導体を、単独でまたはその他の皮膚効果剤との組合せにおいて、および化粧品賦形剤と一緒に使用する、化粧品組成物および方法、特に、皮膚美白用化粧品組成物および方法が提供される。好ましくは、この化合物は3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オン、即ち、式IにおいてRがCアルキル基のものである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚美白剤としてN−アシルベンゾチアゾロンおよび誘導体化合物を使用する、更に具体的に言えば、3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オンおよび誘導体化合物を使用する化粧品組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人々は、自分の皮膚の色素沈着の度合いを気にする。例えば、加齢斑またはそばかすを持つ人々は、その様な色素性斑点が少なくなればよいものと願う。別の人は、日光への暴露が原因で黒ずんだ皮膚を減らすことを望み、または彼らの生まれつきの皮膚の色を美白することを望む。この要求を満たすために、メラニン細胞における色素生成を減少させる製品を開発するために多くの試みが為されてきている。しかしながら、これまでに確認された物質は、有効性に欠けるか望ましくない副作用、例えば、毒性または皮膚刺激を有するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、全体的な有効性が改善された、新たな化粧用皮膚美白剤に対する要望が引き続き存在する。
【0004】
例えば、Huらの米国特許第6132740号;Bradleyらの米国特許第6504037号および第6861564号;日本公開特許出願JP2001−010925およびJP2000−327557;およびHarichianらの米国特許第6852310号に開示されている、或種のレゾルシノール誘導体、特に、4−置換レゾルシノール誘導体は、皮膚美白効果のための化粧品組成物において有用である。
【0005】
出願人は、N−アシルベンゾチアゾロン、特に、3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オン、および誘導体化合物が皮膚美白効果を与えることを見出した。これらの化合物の一般的化学式および構造は、以下の本明細書で更に詳細に検討される。3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オンおよび誘導体化合物は化粧用として有効であり、皮膚への刺激がおそらく少ないことが分かった。本発明のこれらの化合物は、化粧品において今までに使用されたことはなく、これらが、特に、皮膚を美白するために使用されたこともない。
【0006】
3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オンの合成は、Ucarら、“Fries−Like Rearrangement:a Novel and Efficient Method for the Synthesis of 6−Acyl−2(3H)−benzoxazolones and 6−Acyl−2(3H)−benzothiazolones,”Tetrahedron、54:1763頁−1771頁(1998年)に記載されている。Ucarら、“Synthesis and Anticonvulsant Activity of 2(3H)−Benzoxaxolone and 2(3H)−benzothiazolone Derivatives,”J.Med.Chem. 41:1138頁−1145頁(1998年)は、抗痙攣活性に対する2(3H)−ベンゾチアゾロン誘導体の評価を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
一般式Iの化合物、およびこれを含む組成物の使用は、潜在的に減少された刺激を伴う皮膚美白効果を与える。本発明は、化粧用として許容される賦形剤に加えて、一般式I:
【0008】
【化6】

(式中、Rは、水素原子、C−Cアシル基、またはC−Cアルキル基を表す。)のN−アシルベンゾチアゾロン化合物約0.000001から約50%を含む組成物を使用する、皮膚を美白する化粧品組成物および方法を提供する。
【0009】
好ましくは、RはCアルキル基を表し、式II:
【0010】
【化7】

の化合物3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オンで表される。
【0011】
更なる皮膚効果剤が、本発明の化粧品組成物に含まれてもよい。有機および無機日焼け止め剤が含まれてもよい。
【0012】
本発明の化合物および組成物は、全体の皮膚の色素沈着を減少させるため、および個々の色素沈着過度、例えば、斑点およびそばかす等を減少させるため、ならびに刺激性皮膚効果剤、例えば、レチノール等に随伴する刺激を減少させるために使用されてもよい。
【0013】
(発明の詳細な記述)
本明細書で使用される「化粧品組成物」という用語は、ヒトの皮膚への局所適用のための組成物を記載することを目的とする。
【0014】
本明細書で使用される「皮膚」という用語は、顔、首、胸、背中、腕、脇の下、手、足、および頭皮の皮膚を含む。
【0015】
実施例、または別途明示的に示されている場合を除いて、材料または反応の条件、材料の物性および/または使用の量を示すこの記述における全ての数字は、語「約」で修飾されるものと理解されるべきものである。全ての量は、別途特定されない限り、組成物の重量である。
【0016】
濃度の任意の範囲を特定する際に、任意の特定のより高い濃度は任意の特定のより低い濃度を伴い得るものであることに注意されるべきである。
【0017】
「含む」という用語は、本明細書では、通常の意味において使用され、含む(including)、から組成される(made up of)、から構成される(composed of)、からなる(consisting)、および/またはから本質的になる(consisting essentially of)を意味する。換言すれば、この用語は、工程、成分(component)、成分(ingredient)、またはそれが言及する特徴の網羅的ではないものとして定義される。
【0018】
皮膚美白剤
本発明は、以下で示される一般式Iの化合物、および皮膚化粧剤として、特に、皮膚美白剤としてこれを含む組成物の使用に関する。本発明の組成物および方法の特定の利点は、一般式Iの化合物が、知られている皮膚美白化合物よりも皮膚に対して刺激が少ないことである:
【0019】
【化8】

好ましくは、RはCアルキル基を表し、式II:
【0020】
【化9】

の化合物3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オンで表される。
【0021】
更なる皮膚効果剤が、本発明の化粧品組成物に含まれてもよい。有機および無機日焼け止め剤が含まれてもよい。
【0022】
本発明の化粧品組成物および方法は有効な皮膚美白性を有し、皮膚への刺激が少ないものであり得る。
【0023】
組成物は、一般に、一般式Iの化合物約0.000001から約50%を含む。式IIの化合物が好ましい。一般式Iまたは式IIの化合物の量は、好ましくは、化粧品組成物の合計量の約0.00001%から約10%、更に好ましくは、約0.001から約7%、最も好ましくは、0.01から約5%の範囲である。
【0024】
任意の皮膚効果剤
好ましい化粧品組成物は、本発明の方法によりヒトの皮膚への適用に適したものであり、場合により、好ましくは、更なる皮膚効果剤を含む。
【0025】
適当な更なる皮膚効果剤としては、老化防止剤、皺低減剤、皮膚美白剤、にきび防止剤および皮脂低減剤が挙げられる。これらの例としては、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、ヒアルロン酸、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、ビタミンB誘導体、ビタミンC誘導体、アラントイン(胎盤抽出物)、二酸、レチノイドおよびレゾルシノール誘導体が挙げられる。
【0026】
化粧用として許容される担体
化粧用として許容される賦形剤は、組成物における皮膚効果成分のための希釈剤、分散剤または担体として作用してもよく、そうすることにより、組成物が皮膚へ適用された場合にこれらの分布を促進する。
【0027】
賦形剤は水性、無水またはエマルションであってもよい。好ましくは、組成物は水性またはエマルション、特に、油中水または水中油エマルションであり、好ましくは、水中油エマルションである。水は、存在する場合、5から99重量%、好ましくは、20から70重量%、最適には40および70重量%の間の範囲であってもよい量である。
【0028】
水に加えて、比較的に揮発性の溶剤も、また本発明の組成物内で担体として役立ち得る。最も好ましいのは1価C−Cアルカノールである。これらは、エチルアルコール、メチルアルコールおよびイソプロピルアルコールを含む。1価アルカノールの量は、1から70重量%、好ましくは、10から50重量%、最適には15および40重量%の間の範囲であってもよい。
【0029】
皮膚軟化剤材料もまた化粧用として許容される担体として役立ち得る。これらは、シリコーン油および合成エステルの形態であってもよい。皮膚軟化剤の量は0.1から50重量%、好ましくは、1および20重量%の間の範囲であってもよい。
【0030】
シリコーン油は揮発性および非揮発性の種類に分けられる。本明細書で使用される「揮発性」という用語は、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有する材料を意味する。揮発性シリコーン油は、好ましくは、3から9個、好ましくは、4から5個のケイ素原子を含む環状または直鎖ポリジメチルシロキサンから選択される。直鎖揮発性シリコーン材料は、一般に、25℃で約5センチストークス未満の粘度を有し、一方、環状材料は、一般に、約10センチストークス未満の粘度を有する。皮膚軟化剤材料として有用な非揮発性シリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。本明細書において有用な本質的に非揮発性ポリアルキルシロキサンとしては、例えば、25℃で約5から約2500万センチストークスの粘度を持つポリジメチルシロキサンが挙げられる。本組成物において有用な好ましい非揮発性皮膚軟化剤には、25℃で約10から約400センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサンがある。
【0031】
このエステル皮膚軟化剤には次のものがある:
(1)10から20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル。この例としては、イソアラキジルネオペンタノエート、イソノニルイソナノノエート、オレイルミリステート、オレイルステアレート、およびオレイルオレエートが挙げられる。
(2)エトキシル化脂肪族アルコールの脂肪酸エステル等のエーテル−エステル。
(3)多価アルコールエステル。エチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノ−およびジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ−脂肪酸エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは満足できる多価アルコールエステルである。
(4)蜜蝋、鯨蝋、ミリスチルミリステート、ステアリルステアレートおよびアラキジルベヘネート等のワックスエステル。
(5)ステロールエステル。この例はコレステロール脂肪酸エステルである。
【0032】
10から30個の炭素原子を有する脂肪酸は、また、本発明の組成物に対して、化粧用として許容される担体として含まれてもよい。この範疇の例示は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸およびエルカ酸である。
【0033】
多価アルコールタイプの湿潤剤も、また、本発明の組成物において化粧用として許容される担体として使用され得る。湿潤剤は、皮膚軟化剤の有効性を増加することにおいて助けとなり、鱗片を減少させ、積層した鱗片の除去を促し、皮膚感覚を改善する。一般的な多価アルコールとしては、グリセロール、ポリアルキレングリコールが挙げられ、更に好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびこれらの誘導体を含めたアルキレンポリオールおよびこの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロールおよびこれらの混合物が挙げられる。最良の結果に対する湿潤剤は、好ましくは、プロピレングリコールまたはヒアルロン酸ナトリウムである。湿潤剤の量は、組成物0.5から30重量%、好ましくは、1および15重量%の間の範囲であってもよい。
【0034】
増粘剤も、本発明による組成物の、化粧用として許容される担体の一部として利用され得る。一般的な増粘剤としては、架橋アクリレート(例えば、Carbopol 982)、疎水的に変性されたアクリレート(例えば、Carbopol 1382)、セルロース誘導体、および天然ガムが挙げられる。有用なセルロース誘導体には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースがある。本発明にとって適当な天然ガムとしては、グアー、キサンタン、スクレロチウム、カラゲナン、ペクチンおよびこれらのガムの組合せが挙げられる。増粘剤の量は、0.0001から5重量%、通常、0.001から1重量%、最適には0.01から0.5重量%の範囲であってもよい。
【0035】
集合的に、水、溶剤、シリコーン、エステル、脂肪酸、湿潤剤および/または増粘剤が、1から99.9重量%、好ましくは、80から99重量%の量において化粧用として許容される担体を構成する。
【0036】
油または油性材料は、使用される乳化剤の平均親水性−親油性バランス(HLB)に主として依存する、油中水エマルションまたは水中油エマルションを与えるための乳化剤と一緒に存在してもよい。
【0037】
界面活性剤もまた、本発明の化粧品組成物に存在してもよい。界面活性剤の合計濃度は、組成物0.1から40重量%、好ましくは、1から20重量%、最適には1から5重量%の範囲である。界面活性剤は、アニオン、ノニオン、カチオンおよび両性活性剤からなる群から選択されてもよい。特に好ましいノニオン界面活性剤は、疎水性物質の1モル当たりエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの2から100モルと縮合した、C10−C20脂肪族アルコールまたは酸疎水性物質;アルキレンオキシドの2から20モルと縮合したC−C10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノ−およびジ−脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノ−およびジ−C−C20脂肪酸;ブロックコポリマー(エチレンオキシド/プロピレンオキシド);およびポリオキシエチレンソルビタンならびにこれらの組合せを伴うものである。アルキルポリグリコシドおよび糖類脂肪族アミド(例えば、メチルグルコンアミド)は、また、適当なノニオン界面活性剤である。
【0038】
好ましいアニオン界面活性剤としては、石鹸、アルキルエーテルスルフェートおよびスルホネート、アルキルスルフェートおよびスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルおよびジアルキルスルホスクシネート、C−C20アシルイセチオネート、アシルグルタメート、C−C20アルキルエーテルホスフェートおよびこれらの組合せが挙げられる。
【0039】
任意成分
その他の添加少量成分も、化粧品組成物中へ導入されてもよい。これらの成分としては、着色剤および/または顔料;乳白剤、香水、その他の増粘剤、可塑剤;カラミン;抗酸化剤;キレート剤;ならびに更なる日焼け止め剤、例えば、有機日焼け止め剤等が挙げられ得る。これらのその他の添加物少量成分の量は、組成物0.001重量%から20重量%までの範囲でもよい。
【0040】
日焼け止め剤として使用するための金属酸化物は、単独でまたは混合物において、および/または有機日焼け止め剤との組合せで使用されてもよい。有機日焼け止め剤の例としては、以下の表において示されるものが挙げられるがこれらに限定されない:
【0041】
【表1】

【0042】
化粧品組成物における有機日焼け止め剤の量は、好ましくは、約0.1重量%から約10重量%、更に好ましくは、約1重量%から5重量%の範囲である。
【0043】
好ましい有機日焼け止め剤は、これらの有効性および入手可能なことから、Parsol MCXおよびParsol 1789である。
【0044】
組成物の使用
本発明による方法は、皮膚を美白することを含むがこれに限定されない化粧効果のためにヒトの皮膚への局所適用のためのパーソナルケア製品を使用することを主たる目的とする。
【0045】
本発明の化合物および組成物は、全体の皮膚の色素沈着を減少させるため、および個々の色素沈着過度、例えば、斑点およびそばかす等を減少させるため、ならびに刺激性皮膚効果剤、例えば、レチノール等に随伴する刺激を減少させるために使用されてもよい。
【0046】
使用において、少量の組成物、例えば、1から5mlが、適当な容器またはアプリケータから皮膚の領域へ適用され、必要に応じて、次に、手または指または適当な装置を使用して皮膚全体に広げられ、および/または皮膚にすり込む。
【0047】
製品形態およびパッケージ
本発明方法にとって有用な化粧品組成物は、4,000から10,000mPaの粘度を有するローション、10,000から20,000mPaの粘度を有する液体クリームまたは20,000から100,000mPa以上の粘度を有するクリームとして配合することができる。組成物は、その粘度および消費者の意図する使用に適した適当な容器に詰めることができる。例えば、ローションまたは液体クリームは、瓶またはロール−ボールアプリケータまたは推進剤駆動エアロゾル装置または指操作に適した、ポンプを備えた容器に詰めることができる。組成物がクリームである場合は、変形しない瓶または高圧容器、例えば、チューブもしくは蓋付瓶等において簡単に貯蔵することができる。組成物が固体または半固体スティックである場合は、組成物を手でまたは機械的に押し出す(pushing out)、即ち押し出す(extruding)のに適した容器に詰められてもよい。
【0048】
本発明は、したがって、また、本明細書で定義されている化粧用として許容される組成物を含む密閉容器を提供する。
【実施例】
【0049】
次の実施例は、本発明を実施する最良の方式を例示するために、本発明の本質の例示を目的とするものであって、限定を目的とするものではない。
【0050】
実施例1
本発明の範囲内の化粧品組成物を調製した。3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オンは、参照として本明細書に組み込まれる、Ucarら、“Fries−Like Rearrangement:a Novel and Efficient Method for the Synthesis of 6−Acyl−2(3H)−benzoxazolones and 6−Acyl−2(3H)−benzothiazolones,”Tetrahedron、54:1763頁−1771頁(1998年)の方法に従って合成した。
【0051】
以下の表において示される基本配合物は、相A成分を、撹拌しながら70から85℃まで加熱することにより作製した。相B成分は、別の容器において、撹拌しながら70から85℃まで加熱した。次いで、両方の相を70から85℃に保持して相Aを相Bへ添加した。混合物を少なくとも15分間、70から85℃で撹拌し、次いで、冷却した。
【0052】
【表2】

【0053】
実施例2
本発明の範囲内の更なる化粧品組成物を調製した。
【0054】
【表3】

【0055】
この実施例の組成物は次の通りに調製した:
1.相Aを80℃に加熱する。
2.別の容器において相Bを75℃に加熱する。
3.相Bを相Aへ添加し、熱を放出しながら30分間混合する。
4.50℃で相Cを添加し、10分間混合する。
【0056】
実施例3−10
本発明の方法において有用な更なる組成物の1組を、本発明の範囲内で調製したものが、以下の表において列挙される。
【0057】
【表4】

【0058】
実施例11
この実施例は、本発明方法により、皮膚美白剤として3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オンの使用の皮膚美白効果を示す。この実験は、MatTek Corporation MelanoDerm培養液を使用して行った。3−D皮膚モデルのメラニン化の度合いを評価するために、色度計を使用して発光を測定した。
【0059】
MelanoDerm培養液に対する方法
MelanoDerm培養液は、MatTek Corporation、Ashland、Massachusettsから得た。このMelanoDermを、製造業者の指示により維持した。MelanoDerm培養液の維持のために使用された基礎培地は、抗真菌剤および抗生物質に加えて、上皮成長因子、インスリン、ヒドロコルチゾン、および特許の上皮分化化合物の不特定量を補給されたダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)であった。
【0060】
MelanoDermの長期間維持のために、基礎培地に、基礎線維芽細胞増殖因子(bFGF)ならびにメラニン細胞増殖およびメラニン形成の刺激剤である化合物のαメラニン細胞刺激ホルモン(a−MSH)の両方を補給した。この培養液を合計2週間、1日置きに供給した。ジメチルスルホキシド(DMSO)または培養液培地において調製した新鮮な活性製剤も、供給が行われる場合にMelanoDermへ適用した。各処理条件を2回行い、全体の色素沈着を評価するために、MelanoDerm培養液のデジタル写真を撮った。ケラチン生成細胞およびメラニン細胞の細胞生死判別を評価するためにMelanoDermの顕微鏡画像を撮った。この処理が細胞毒性のものであったかなかったかを更に証明するために、乳酸脱水素酵素(LDH)分析(Promega、Madison、WI)を、24時間後処理培養液からの上澄み液について行った。
【0061】
可溶性メラニンアッセイ
分析用組織の調製:
通常処理後、組織を、実験の完了まで凍結する。一度に少量ずつ組織を解凍し、培養液媒体および残りのテスト品から過剰のフェノールレッドを除去するためにDulbeccoリン酸緩衝溶液(D−PBS)に入れる。インサートから単一組織を除去する。ブロット乾燥し、1.7ml小型遠心分離管に入れる。全てのサンプルに対して繰り返す。250μlのSolvable(商標)(Tissue and Gel Solubilizer 0.5 M−Packard BioScience Co.Catalogue No.6NE9100(NEF910))を添加する。管を密閉し、組織が完全に表面下に沈んだかを確かめる。標準と一緒に60℃で一晩中培養する。朝、サンプルをボルテックスに掛ける。時に、厚い組織は溶液プロセスを完了するために更なる時間を必要とする。
【0062】
標準の調製:
1mg/mlで、Solvable(商標)においてメラニン(Sigma cat.M 8631)を溶解する。溶液を、37℃で、15分間、穏やかに加温してもよい。溶液を暗所に貯蔵する。
【0063】
標準曲線の準備:
合計250μlのSolvable(商標)にメラニンの0μgから250μgを含む標準から、希釈液を調製する。希釈液をサンプルと一緒に培養する。
【0064】
分析を読み取る:
サンプルおよび標準を冷却する。13,000rpmで5分間、遠心分離に掛けてペレットにする。マイクロウエルプレート(C−96)を、サンプルおよび標準のそれぞれ200μlで充たす。ピペットで取る場合にサンプルの幾らかの発泡がある。サンプル全体にわたって穏やかに送風して、プレートを読み取る前に泡を壊す。490nmでプレートを読み取る。結果は以下の表に示す。
【0065】
【表5】

【0066】
上記の表にされた結果から、本発明の3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オン化合物はメラニン合成を減少させることが明らかである。
【0067】
本明細書で例示され説明された本発明の特定の形態は代表的なものだけであることが意図されることを理解されたい。本明細書で示唆されたものを含むがこれらに限定されない変更は、この開示の明確な教示から逸脱することなく例示の実施形態において為し得る。したがって、本発明の完全な範囲を決定することにおいて、以下に添付の特許請求の範囲を参照すべきである。この出願全体を通して、種々の刊行物が引用された。これらの刊行物のそれぞれの全体は参照として本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.一般式I:
【化1】

(式中、Rは、水素原子、C−Cアシル基、またはC−Cアルキル基を表す。)のN−アシルベンゾチアゾロン化合物0.000001から50%、および
b.化粧用として許容される担体
を含む組成物を皮膚へ適用することを含む、皮膚美白の化粧方法。
【請求項2】
前記化合物が、式II:
【化2】

の3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オンである、請求項1の化粧方法。
【請求項3】
前記組成物が日焼け止め剤を更に含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記日焼け止め剤が微粉化金属酸化物である、請求項3の方法。
【請求項5】
前記組成物が、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、ベツリン酸、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、ビタミンC誘導体、二酸、レチノイド、レゾルシノール誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択される皮膚効果剤を更に含む、請求項1に記載の化粧方法。
【請求項6】
前記組成物が、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−8、DEAメトキシシンナメート、エチルジヒドロキシプロピル−PABA、グリセリルPABA、ホモサレート、メチルアントラニレート、オクトクリレン、オクチルジメチルPABA、オクチルメトキシシンナメート(Parsol MCX)、オクチルサリチレート、PABA、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、TEAサリチレート、3−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−12、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、エトクリレンおよびこれらの混合物からなる群から選択される有機日焼け止め剤を更に含む、請求項1の化粧方法。
【請求項7】
a.一般式I:
【化3】

(式中、Rは、水素原子、C−Cアシル基、またはC−Cアルキル基を表す。)のN−アシルベンゾチアゾロン化合物0.000001から50%、および
b.化粧用として許容される担体
を含む化粧品組成物。
【請求項8】
前記化合物が、式II:
【化4】

の3−プロピオニルベンゾチアゾール−2−オンである、請求項7の化粧品組成物。
【請求項9】
前記化合物が、前記組成物の0.00001%から10%を構成する、請求項7または8に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
前記化合物が、前記組成物の0.001%から7%を構成する、請求項7または8に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記化合物が、前記組成物の0.01%から5%を構成する、請求項7または8に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
a.一般式I:
【化5】

(式中、Rは、水素原子、C−Cアシル基、またはC−Cアルキル基を表す。)のN−アシルベンゾチアゾロン化合物0.000001から50%、および
b.化粧用として許容される担体
を含む、皮膚美白用化粧品組成物。

【公表番号】特表2009−531354(P2009−531354A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501910(P2009−501910)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002443
【国際公開番号】WO2007/112854
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】