説明

盗難防止システムで用いられる車両検出装置、および車両検出方法

【課題】駐車場に停めている車両の異変をより的確に検知できる、盗難防止システムに用いられる車両検出装置、および車両検出方法を提供すること。
【解決手段】車両の側面ガラスに向けて光を出射可能な高さに設置された発光部から光を出射する。発光部から少なくとも車両1台分の距離をおいた位置に配置された受光部で発光部から出射される光を受光する。そして、受光部が受光した光の強さを基準光強度として設定する。その後、受光部で受光している光の強さが当該基準光強度と一致するか否かを単位時間毎に判定する。受光部で受光している光の強さが基準光強度と一致していないと判定されたとき、車両に異変が生じていることを示すための情報である警戒情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両盗難防止システムで用いられる車両検出装置、および検出方法に関し、より特定的には、光の受光状態に基づいて車両の有無を検出する車両検出装置、および車両検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駐車場等において車両盗難が多発している。このような車両盗難においては、その車両の持ち主が、駐車場の車両が駐車してあるところに戻ってくるまで、車両盗難を発見することができない。
【0003】
したがって、実際に車両盗難が発生してから、長い時間が経過してから車両が盗難されたことがわかり、その旨の届出を警察等に行っても、犯人を検挙することができない、或いは、検挙できたとしても多大な時間と労力を費やすことになり困難である。このことは、通常、車両盗難だけに限らず、犯罪が発生してから時間が経過するほど、犯人の検挙は困難である。
【0004】
上記のような事情に鑑みて、より早く盗難を発見できることが要望されている。そして、従来から、赤外線監視装置と画像監視装置とを組み合わせて使用した監視装置が開示されている(例えば、特許文献1)。当該監視装置では、発光手段の赤外線LEDから監視カメラへ赤外線ビームを送光している。また、監視カメラは監視エリア内に駐車している車を撮像するとともに赤外線ビームを受光する。そして、車が駐車している状態では、赤外線ビームは遮光されている状態となり、この状態を正常な状態(車が盗難されておらず、駐車されている状態)としており、遮光状態が解除された場合に、監視カメラで取得した画像の変化(赤外線を受光した位置に対応する画素の輝度の変化)に基づいて、異常が発生したと判定する。
【0005】
また、上記のような監視装置の他に、駐車場の車両出入口に、透過型の光電スイッチの投光器と受光器とを配置する車両盗難検出装置も開示されている(例えば、特許文献2)。この車両盗難検出装置では、投光器と受光器とで形成される光軸が遮光されることに基づいて出力される遮光検出信号が、第1判別時間以内であるか否かを判別する判別手段が備えられている。そして、上記車両出入口における車両の通過に応じて、上記光軸が遮光される時間が、所定の第1判別時間以下となるときに、車両盗難信号を出力する。
【特許文献1】特開平9−247651号公報
【特許文献2】特開2003−296826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような上記特許文献に開示された装置においては、以下に示す問題点があった。まず、特許文献1に開示されている監視装置では、遮光されている状態を正常な状態として扱うため、例えば、犯人が発光手段を何らかの手段で覆い隠すようにし、作為的に遮光状態を作り出せば、車両が移動されても異常が検出できないという問題がある。また特許文献1の監視装置では監視カメラが備えられているが、夜間等、周囲が暗い状況で上記のような行為が行われると、監視カメラの画像では画像の変化が検出しきれずに、異常が検出できないという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に開示されている車両盗難検出装置では、受光されている状態を正常な状態として扱っている。しかし、例えば車両を盗難する意図を持った者が、自前で受光器に相当するような機器を持参し、投光器の近傍に配置して投光器からの光を受光する。そして、投光器と受光器とを結ぶ配線の間にこのような機器を接続し、受光していることを示す信号を直接、車両盗難検出装置に通知するように細工することが考えられる。つまり、投光器の近傍に光を受けるところを人為的に作り出すことによって、本来の受光器では光が受光されていないにもかかわらず、受光されているという状態を作り出すことができる。その結果、上記車両盗難検出装置が無効化されてしまうという問題もあった。
【0008】
それ故に、本発明の目的は、駐車場に停めている車両の異変をより的確に検知できる、盗難防止システムに用いられる車両検出装置、および車両検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係の一例を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0010】
第1の発明は、盗難防止システムで用いられる車両検出装置であって、発光部(11)と、受光部(21)と、基準値設定部(22)と、判定部(22)と、警戒情報出力部(22)とを備える。発光部は、車両の側面ガラスに向けて光を出射可能な高さに設置され、光を出射する。受光部は、発光部から少なくとも車両1台分の距離をおいた位置に配置され、発光部から出射される光を受光する。基準値設定部は、受光部が受光した光の強さを示す値を算出して基準光強度として設定する。判定部は、基準値設定部が基準光強度を設定した後、受光部で受光している光の強さが当該基準光強度と一致するか否かを単位時間毎に判定する。警戒情報出力部は、受光部で受光している光の強さが基準光強度と一致していないと判定部が判定したとき、車両に異変が生じていることを示すための情報である警戒情報を出力する。
【0011】
第1の発明によれば、強固な車両盗難防止システムを構築することが可能となる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、受光部は、発光部から出射され、当該発光部と当該受光部の間に駐車された車両の側面ガラスを通過した光を受光する。そして、基準値設定部は、側面ガラスを通過した光の強さを基準光強度として設定する。
【0013】
第2の発明によれば、盗難者に回避されにくい強固な車両盗難防止システムを構築することが可能となる。
【0014】
第3の発明は、第1の発明において、車両検出装置は、警戒情報出力部から出力された警戒情報を予め設定されている連絡先に送信するための通信部(23)を更に備える。
【0015】
第3の発明によれば、駐車中の車両に異変が生じたことを速やかに外部に通知、連絡することができる。
【0016】
第4の発明は、第1の発明において、基準値設定部は、光強度検出部が検出した光の強さを基準とする光の強さの一定の範囲である正常範囲を算出し、当該正常範囲を前記基準光強度として設定する。また、判定部は、受光部で受光している光の強さが正常範囲に含まれるか否かを単位時間毎に判定する。そして、警戒情報出力部は、受光部で受光している光の強さが正常範囲に含まれていないと判定部が判定したときに警戒情報を出力する。
【0017】
第4の発明によれば、大気の状態等による僅かな光の強さの変化については正常範囲とするため、車両の異変の発生が過剰に検出されることを減らし、ユーザにとっての利便性を高めることができる。
【0018】
第5の発明は、第1の発明において、前記車両検出装置は、複数の発光部と、複数の発光部にそれぞれ対応して光を受光する複数の受光部とを更に備える。また、基準値設定部は、各受光部毎に基準光強度を算出して設定する。判定部は、受光部毎に受光した光の強さが当該受光部について算出された基準光強度と一致するか否かを単位時間毎に判定する。そして、警戒情報出力部は、いずれか一つの受光部が受光した光の強さが当該受光部について算出された基準光強度と一致しないと判定されたときに警戒情報を出力する。
【0019】
第5の発明によれば、駐車位置が多少前後にずれていても、車両検出装置を正常に動作させることが可能となり、ユーザの利便性をより高めることが可能となる。
【0020】
第6の発明は、盗難防止システムで用いられる車両検出方法であって、発光ステップ(S11)と、受光ステップ(S12)と、基準値設定ステップ(S13,S14,S15)と、判定部(S32)と、警戒情報出力部(S33,S34)とを備える。発光ステップでは、所定の発光部を用いて車両の側面ガラスに向けて光を出射する。受光ステップでは、発光部から少なくとも車両1台分の距離をおいた位置で前記発光ステップで出射された光を受光する。基準値設定ステップでは、受光ステップにおいて受光された光の強さを算出して基準光強度として設定する。判定ステップでは、基準値設定ステップにおいて基準光強度が設定された後、受光ステップにおいて受光している光の強さが当該基準光強度と一致するか否かを単位時間毎に判定する。警戒情報出力部は、受光ステップにおいて受光している光の強さが基準光強度と一致していないと判定ステップにおいて判定されたとき、車両に異変が生じていることを示すための情報である警戒情報を出力する。
【0021】
第6の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、強固な盗難防止システムを構築することができ、車両が盗難される危険性をより減らすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【0024】
図1は、本実施形態にかかる盗難防止システム1を模式的に示した図である。本実施形態では、当該盗難防止システム1がユーザの個人宅のガレージで使用される場合を想定して説明する。図1において、盗難防止システム1は発光ユニット10と受光ユニット20とから構成されている。また、発光ユニット10と受光ユニット20は、その間に車両40が1台停められる程度のスペースを有するように設置されている。また、発光ユニット10と受光ユニット20とは電気的に接続されている。
【0025】
発光ユニット10は、発光部11を備えている。発光部11は、受光部21に向けて継続的に光を照射するためのものであり、例えば赤外線LEDである。なお、発光部21から照射される光は、盗難防止の効果をより高める観点から、赤外線ビームなどの不可視光であることが好ましい。また、発光部11の高さについては、図2に示すように、駐車する車両の側面ガラスと対向するような高さになるよう設置される。つまり、発光部11から照射された光が車両40の側面ガラスを透過するような高さとなるように設置される。また、発光ユニット10は、図示は省略するが、赤外線ビームの照射を開始するための操作手段等も備えている。
【0026】
受光ユニット20は、発光ユニット10から車両1台分の距離(駐車スペース)をおいた位置に配置されており、受光部21と制御部22と通信部23と記憶部24とから構成されている。受光部21(例えば、フォトダイオード等の受光素子)は、発光部11からの光を受光し、受光信号を制御部22に出力する。そのため、受光部21の高さについても、図2に示すように、発光部11の高さに対応するように設置される。制御部22は、例えばマイクロコンピュータを含む回路であり、上記発光部11や受光部21、通信部23等の制御を行う。また、制御部22は、受光部21で受光した光の強さ(入射光の強度。以下、受光値と呼ぶ)を検出する。更に、制御部22は、当該受光値に基づき、後述するような処理を実行する。通信部23は、制御部22の制御に基づいて、予め登録されている通信先(例えばユーザの携帯電話やセキュリティ会社等)との通信を行う。記憶部24は、制御部22が後述するような処理において適宜参照するメモリである。
【0027】
次に、本発明の原理について説明する。本発明は、上記のような構成において、車両を駐車した状態で発光部11から光51を照射する。照射された光は、車両の左側面ガラス41および右側面ガラス42を透過して受光部21で受光される。この受光部21で受光された透過光53は、ガラスを2枚通過する際に、反射・屈折等で減衰している。そして、この「側面ガラス2枚分減衰した光」を受光している状態を正常状態として初期設定しておき、当該初期設定後、受光している光の強さに変化がおきたときに、駐車している車両に異変が発生していると判断する。つまり、「側面ガラス2枚分減衰した光(透過光53)」の強さを基準として、受光した光の強さの変化を検知する。そして、例えば、受光した光の強さがこの基準より上回っている場合は、発光部11からの光が車両のガラスを通らずに受光部21に届いている状態と考えられるため、車両が移動された状態であると考えられる。また、受光した光の強さがこの基準より下回っている場合は、発光部11〜受光部21の光軸が妨害されている状態と考えられるため、何者かがガレージに侵入している等で、車両が盗難される危険性が高いと考えられる。このように、本発明は、「側面ガラス2枚分減衰された光」を受光しているか否かを判定することで車両の有無、ひいては車両の異変の発生を検知するものである。
【0028】
次に、本実施形態にかかる盗難防止システム1で行われる監視処理の概要を説明する。まず、ユーザは、図1に示したように、発光ユニット10と受光ユニット20との間に車両40を停める。そして、例えば発光ユニット10に設けられている起動スイッチを操作する等して、盗難防止システム1を起動させる。
【0029】
盗難防止システム1が起動すると、発光部11から光の照射が開始される。その結果、車両の左側面ガラス41に光51が照射されることになる。当該照射された光51は、上述のように、その強さが反射・屈折等で減衰しながら、左側面ガラス41、右側面ガラス42を透過する。その結果、受光部21は、透過光53(2枚の側面ガラスを透過した光)を受光することになる。
【0030】
次に、制御部22は、受光部21で受光した透過光53の受光値を検出する。そして、当該受光値に基づき、後述するような正常受光範囲を算出する。また、制御部22は、単位時間毎に、上記受光値が正常受光範囲内に収まっているか否かを判定する。また、制御部22は、受光値が正常受光範囲内に収まっていないと判定したときに、警戒情報を生成して通信部23に出力する。通信部23は、当該警戒情報を、予め登録されている連絡先(例えばユーザの携帯電話等)に送信する。これにより、駐車している車両に異変(盗難されそうな状態)が発生したときに、このことを速やかにユーザ等に通報することが可能となる。
【0031】
以下、図3〜図5を用いて、本実施形態において実行される監視処理の詳細を説明する。図3は、制御部22で実行される監視処理のフローチャートである。盗難防止システム1がユーザによって起動されると、図3において、まず、正常範囲設定処理が行われる(ステップS1)。この処理では、上述したような「側面ガラス2枚分減衰した光」の強さに基づいて、正常状態と判定されるべき光の強さを設定するための処理が実行される。
【0032】
図4は、上記ステップS1で示した正常範囲設定処理の詳細を示すフローチャートである。図4において、まず、制御部22は、発光部11に光の照射を開始させる(ステップS11)。次に、処理部は、受光部21に、発光部11からの光の受光を開始させる(ステップS12)。受光部21は、受光を開始し、光の強さを示す受光信号を制御部22に出力する。
【0033】
次に、制御部22は、上記受光信号に基づいて受光値を検出する(ステップS13)。ここで検出された受光値は、上述したような透過光53(側面ガラス2枚分減衰した光)の強さを示すものとなる。
【0034】
次に、制御部22は、ステップS13で検出された受光値に幅を持たせて「正常状態」と判定される値の範囲を決定する(ステップS14)。ここで、このように受光値に幅を持たせるのは、大気の状態や周囲光のわずかな変動による受光値の変動については許容させるためである。例えば、湿度の変化で空気中の水分の割合に変化が生じると、これに伴って、空気を通過する光の強さにもわずかではあるが、変動が生じる。このようなときに、上記受光値と一致するか否かで判定するようにした場合、実際は車両には異変は起こっていないにもかかわらず、このようなわずかな変動について車両の異常と判定してしまうことが考えられ、逆にユーザにとって不便な結果となる。そのため、公差や余裕度を考慮して許容範囲としての一定の幅を持たせている。例えば、制御部22は、ステップS13で検出された受光値の+2%〜−2%の範囲を正常範囲の値として算出する。つまり、受光値に+2%した値を正常範囲の上限値、受光値に−2%した値を正常範囲の下限値として算出する。そして、当該算出した正常範囲を示す値を、記憶部24に記憶する(ステップS15)。以上で、正常範囲設定処理は終了する。
【0035】
図3に戻り、ステップS1の処理が終われば、続いて、警戒処理が実行される(ステップS2)。この処理では、単位時間毎に、受光部21で受光した光(受光値)が上記正常範囲内に収まっているか否かを判定する処理が行われる。図5は、上記ステップS2で示した警戒処理の詳細を示すフローチャートである。図5においては、ステップS31〜S35の処理ループが1/60秒毎に繰り返されるものとする。まず、制御部22は、受光値を検出する(ステップS31)。
【0036】
次に、制御部22は、ステップS21で検出した受光値が上記記憶部24に記憶されている正常範囲内に収まっているか否かを判定する(ステップS32)。当該判定の結果、受光値が正常範囲内に収まっていれば(ステップS32でYES)、制御部22は、後述のステップS35へ処理を進める。
【0037】
一方、受光値が正常範囲内に収まっていないときは(ステップS32でNO)、制御部22は、車両に異変が生じていることを示すための情報である警戒情報を生成する(ステップS23)。
【0038】
次に、制御部22は、通信部23を介して当該警戒情報をユーザの携帯電話等、予め設定されている連絡先に送信する(ステップS34)。これにより、ユーザは、車両に異変が発生していることを速やかに知ることができる。
【0039】
次に、制御部22は、盗難防止システム1の停止指示が出されたか否かを判定する(ステップS35)。例えば、ユーザは車両を出庫するに際して、盗難防止システム1の停止ボタンを押すこと等で、当該指示が出される。停止指示が出されていないときは(ステップS35でNO)、上記ステップS31に戻り、処理を繰り返す。一方、停止指示が出されたときは(ステップS35でYES)、制御部22は、盗難防止システム1を停止するための処理を行う。以上で、警戒処理は終了し、本実施形態にかかる監視処理も終了する。
【0040】
このように、本実施形態では、駐車した車両の側面ガラスを透過させた状態の光の強さを、正常状態の基準値として設定する。そして、受光部21で受光している光の強さが基準値を上回った、あるいは下回ったときに、車両に異変が発生したと判定するようにしている。これにより、例えば発光部11からの光が何者かによって意図的に遮られた場合や、車両の盗難を試みる者が車両のドアをこじ開けて運転席に座ったときに、当該車両の盗難を試みる者の頭部によって光軸が遮られたような場合は、異変が発生していると判定することができる。また、車両の側面ガラス2枚分を透過した光の強さを正常状態の基準として用いているため、仮に、車両の盗難を試みる者が、発光部11の近傍に自前で用意した受光部に相当する機器を設置して、正常な受光状態を作為的に作り出そうとしても、上記のような、車両の側面ガラス2枚分を透過した光の強さ(正常範囲値)を予め正確に把握しておくことは非常に困難であるため、このような盗難行為を抑制することが可能となる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、発光部11と受光部21を1組だけ用いていた。これに限らず、2組以上の発光部と受光部を用いるようにしても良い。図6および図7は、2組の発光部と受光部を用いた場合の盗難防止システムの一例を示した模式図である。発光部と受光部が1組だけの場合、車両を停止する位置によっては、発光部から受光部への光軸が車両40のセンターピラーで妨害される状態となる場合がある。このような場合でも、図6に示すように、隣接するように配置されている2組の発光部と受光部を用いるようにすれば、いずれか一方の組の光軸がセンターピラーで妨害されても、他方の組の光軸は、上述したような側面ガラス2枚を透過する状態となる。そして、上述の正常範囲設定処理において、受光できている側の受光部の受光値に基づいて正常範囲を設定しておき、監視処理における判定では、当該受光できている側の受光部における光の強さの変化のみを判定するようにすればよい。つまり、発光部からの光を受光している受光部のみを用いて判定するようにしてもよい。
【0042】
また、この他、上述の正解範囲設定処理において、それぞれの受光部毎に正常範囲を設定しておき、いずれか一方の受光部の受光値が正常範囲外となれば、異変が発生したと判定するようにしてもよい。つまり、双方の受光部を用いて判定するようにしても良い。換言すると、センターピラーで妨害されて受光できていない側の受光部については、受光できていない状態を正常であるものとして扱う。この場合も、他方の受光部については、側面ガラス2枚分の減衰がされた透過光を用いて正常範囲が設定、および判定がなされるため、上述したのと同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、車両を停止する位置によっては、発光部11から受光部21への光軸が車両のフロントガラスの前を通ってしまい、光軸が側面ガラスを通らない状態となる場合もある。このような場合でも、図7に示したように、2組の発光部と受光部を用いることで、一方の組の光軸は側面ガラス2枚を透過する状態が維持できる。このような場合は、正常範囲設定処理において、発光部の光が減衰されずに受光しているかどうかを判定するようにする。そして、側面ガラスを透過して受光している側の受光部のみを用いて正常範囲の設定やその後の判定をおこなうようにすればよい。つまり、上記のセンターピラーによる光軸の妨害の場合も考慮すると、正常範囲設定処理において、各受光部で受光した光の強さが所定値以下(センターピラーで妨害されて受光できていない状態)であるか否かと、所定値以上(発光部からの光が側面ガラスを通過せずに、そのまま受光部で受光されている状態)であるか否かとを判定するようにする。そして、この条件に合致した側の受光部については、それ以降の処理に用いないようにすればよい。
【0044】
また、このような場合においても、上述の正常範囲設定処理において、それぞれの受光部毎に正常範囲を設定しておき、いずれか一方の受光部の受光値が正常範囲外となれば、異変が発生したと判定するようにしてもよい。つまり、双方の受光部を用いて判定するようにしても良い。換言すると、側面ガラスを通過していない光を受光している側の受光部についても、その状態を正常であるものとして扱う。この場合でも、他方の受光部については、側面ガラス2枚分の減衰がされた透過光を用いて正常範囲が設定、および判定がなされるため、上述したのと同様の効果を得ることができる。このように、発光部と受光部の組を複数用いるようにすることで、ユーザにとってより使い勝手のよい盗難防止システムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明にかかる車両検出装置および車両検出方法は、駐車中の車両に発生した異変を適切に検知することができ、駐車場における車両盗難防止システム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態にかかる盗難防止システム1を模式的に示した図
【図2】本実施形態にかかる盗難防止システム1を模式的に示した図
【図3】本実施形態にかかる監視処理のフローチャート
【図4】図3のステップS1で示した正常範囲設定処理の詳細を示すフローチャート
【図5】図3のステップS2で示した警戒処理の詳細を示すフローチャート
【図6】2組の発光部と受光部を用いた場合の盗難防止システムの一例
【図7】2組の発光部と受光部を用いた場合の盗難防止システムの一例
【符号の説明】
【0047】
1 盗難防止システム
10 発光ユニット
11 発光部
20 受光ユニット
21 受光部
22 制御部
23 通信部
24 記憶部
40 車両
41 左側面ガラス
42 右側面ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
盗難防止システムで用いられる車両検出装置であって、
車両の側面ガラスに向けて光を出射可能な高さに設置された発光部と、
前記発光部から少なくとも車両1台分の距離をおいた位置に配置され、前記発光部から出射される光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した光の強さを示す値を算出して基準光強度として設定する基準値設定部と、
前記基準値設定部が前記基準光強度を設定した後、前記受光部で受光している光の強さが当該基準光強度と一致するか否かを単位時間毎に判定するための判定部と、
前記受光部で受光している光の強さが前記基準光強度と一致していないと前記判定部が判定したとき、車両に異変が生じていることを示すための情報である警戒情報を出力する警戒情報出力部とを備える、車両検出装置。
【請求項2】
前記受光部は、前記発光部から出射され、当該発光部と当該受光部の間に駐車された車両の側面ガラスを通過した光を受光し、
前記基準値設定部は、前記側面ガラスを通過した光の強さを前記基準光強度として設定する、請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項3】
前記車両検出装置は、前記警戒情報出力部から出力された前記警戒情報を予め設定されている連絡先に送信するための通信部を更に備える、請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項4】
前記基準値設定部は、前記光強度検出部が検出した光の強さを基準とする光の強さの一定の範囲である正常範囲を算出し、当該正常範囲を前記基準光強度として設定し、
前記判定部は、前記受光部で受光している光の強さが前記正常範囲に含まれるか否かを単位時間毎に判定し、
前記警戒情報出力部は、前記受光部で受光している光の強さが前記正常範囲に含まれていないと前記判定部が判定したときに前記警戒情報を出力する、請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項5】
前記車両検出装置は、
複数の前記発光部と、
前記複数の発光部にそれぞれ対応して光を受光する複数の前記受光部とを更に備え、
前記基準値設定部は、各受光部毎に前記基準光強度を算出して設定し、
前記判定部は、受光部毎に受光した光の強さが当該受光部について算出された基準光強度と一致するか否かを単位時間毎に判定し、
前記警戒情報出力部は、いずれか一つの受光部が受光した光の強さが当該受光部について算出された基準光強度と一致しないと判定されたときに前記警戒情報を出力する、請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項6】
盗難防止システムで用いられる車両検出方法であって、
所定の発光部を用いて車両の側面ガラスに向けて光を出射する発光ステップと、
前記発光部から少なくとも車両1台分の距離をおいた位置で前記発光ステップで出射された光を受光する受光ステップと、
前記受光ステップにおいて受光された光の強さを基準光強度として設定する基準値設定ステップと、
前記基準値設定ステップにおいて前記基準光強度が設定された後、前記受光ステップにおいて受光している光の強さが当該基準光強度と一致するか否かを単位時間毎に判定するための判定ステップと、
前記受光ステップにおいて受光している光の強さが前記基準光強度と一致していないと前記判定ステップにおいて判定されたとき、車両に異変が生じていることを示すための情報である警戒情報を出力する警戒情報出力ステップとを備える、車両検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−123111(P2009−123111A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298579(P2007−298579)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】