説明

監視カメラシステム

【課題】複数のカメラとその映像を記録する記録装置に対してネットワークを介して多画面表示を行う操作装置を有する監視カメラシステムにおいて、操作装置側でのカメラ設置角度やカメラレンズの回転による映像傾き修正を課題とする。
【解決手段】各カメラの映像回転情報を入力する入力端末と、各カメラの映像回転情報を記録するデータベースと、記録装置から入力される各カメラの映像データに対して、データベースに記録された各カメラの映像回転情報に基づいて画素数変換を行う画素数変換演算部と、
画素数変換された映像信号を多画面表示を行う表示部を操作部に具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカメラにて撮像された映像情報をネットワークを通じて画像監視を行う監視カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行や郵便局等の金融機関においては、建物内の要所要所に監視カメラを設置して、撮像された映像を表示装置に表示して不審者の有無をチェックする監視カメラシステムが導入されている。特に、近年は、撮像された映像をネットワークを通じて表示装置に多画面画像表示を行うネットワーク監視システムの普及が進んでいる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、表示装置に表示されるカメラ映像の上下左右の方向は、カメラが向いている方向で決まっており、カメラの設置状況によっては表示される映像が回転した状態で表示される。例えば、横向きに設置されたカメラの映像は、横向きに表示され、首をかしげて見るという動作が必要になる。デジタルスチルカメラでは、カメラを縦長方向で記録して横向きとなった画像を正立像とする為、カメラ部と記録部間に画素数変換部を設ける技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−129999号公報
【特許文献2】特開平10−285452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のカメラを用いた監視カメラシステムでも、カメラの設置状況によっては表示される映像が回転した状態で表示され、特に、多画面画像表示を行うネットワーク監視システムでは、一部の画面領域が横向きに表示されると、その小さな画面領域のみを首を傾げてみるというわけに行かなくなり、その画面領域で問題が生じているか否かの判断が遅れる心配がある。また、カメラの設置状況によっては、表示される映像は横向きとは限らず、傾いた画像となることもある。
【0006】
背景技術で取り上げたデジタルスチルカメラ等にて知られている画素数変換部による画像の正立化を行う技術は、回転角90°を対象としており、カメラの設置状況によって画像の傾きが変わる場合には有効ではない。
【0007】
その一方で、既に設置されている監視カメラはそのまま利用して、多画面画像表示を行う表示装置の多画面全てを正立像とすることも求められている。
【0008】
そこで、本発明では、カメラの表示を適切に正立像にし、不審者等の検出信頼性の高い監視システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為、本発明では、一例として特許請求の範囲記載の構成を用いる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カメラの表示を適切に正立像にすることができ、不審者等の検出信頼性の高い監視システムを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る監視カメラシステムの一実施例を示す構成ブロック図である。
【0012】
この監視カメラシステムは、複数のカメラ01〜0n、複数のカメラ01〜0nと接続して各カメラの映像情報を記録する記録装置21、記録装置21とネットワーク100を介して複数のカメラ01〜0nの映像を多画面表示する操作装置30にて構成されている。
複数のカメラ01〜0nは、各カメラ内に組込まれた光学系、撮像素子を通じて各監視領域の被写体映像11〜1nを、各カメラの映像信号として記録装置21に入力する。
【0013】
記録装置21は、各カメラの映像信号をエンコードし、エンコードされた各カメラ映像信号のヘッダ部に各カメラのチャンネル情報や撮影日時等の管理情報を盛込んだ映像情報を作成するエンコーダー22、映像情報の保存を行うためエンコード後の映像情報を記録する記録部23、エンコーダー22あるいは記録部23から出力された映像情報を一時的に記録する一時記録部25、一時記録部25の各カメラの映像データをネットワーク100を介して操作装置30に送信する通信部24を具備している。
【0014】
図1では記録装置21及び操作装置30がそれぞれ1台ずつネットワーク100に接続されている例を示したが、それぞれ複数台接続される場合もある。
【0015】
操作装置30から記録装置21に要求された映像情報がリアルタイム映像の場合は、記録装置21の通信部24にてリアルタイム映像要求を受信した後、エンコーダー22にてエンコードされた映像情報は一旦一時記録部25に保存され、その後通信部24に送られる。
【0016】
操作装置30から記録装置21に要求された映像情報が記録部23に記録されている映像情報の場合は、記録部23から映像情報が読み出されて一旦一時記録部25に保存され、その後通信部24に送られる。
【0017】
通信部24に送られた映像情報はネットワーク100を介して操作装置30に送信される。
【0018】
操作装置30は、ネットワーク100を介して各カメラの映像情報を受信する通信部31、ユーザがキーボードやマウスなどを用いて多画面表示内容を操作する入力端末32、ユーザが入力端末32から入力する各カメラのチャンネル情報や映像信号の回転角を記録するデータベース(DB)37、エンコーダー22でエンコードされた映像情報をデコードするデコーダ33、デコーダ33でデコードされた映像情報に対してデータベース(DB)37に記録されている各カメラ映像の回転角に基づいて画素数変換を行う画素数変換演算部34、画素数変換された各カメラの映像信号の画像表示領域のレイアウトを設定するレイアウト設定部35、レイアウト設定後の映像を多画面表示する表示部36を備える。
【0019】
ユーザーは、入力端末32を用いて複数のカメラ11〜1nのうち表示部36で傾けて表示したい映像情報を任意に選択し、選択した映像それぞれについて表示時に映像をどれだけ傾けるかを予め設定する。どのカメラの映像を、どれだけ拡大・縮小するか、どのようにトリミングするかなどの設定も同時に設定する。これらの設定はデータベース(DB)37に記憶される。
【0020】
画素数変換演算部34は、データベース(DB)37に記録されている各カメラ映像の回転角に基づいて映像の回転処理を行なっており、映像の回転処理の方法には、アフィン変換などの画像処理手法がある。
【0021】
レイアウト設定部35におけるレイアウト設定は、ユーザが表示部36を見ながら、表示部36に同時に表示する映像の数や各映像の表示領域のサイズ・位置を、入力端末32から入力して設定を行う。設定した内容は、データベース(DB)37に記憶される。
表示部36にて一部のカメラの映像を回転させて多画面表示を行なった例が、表示例38及び表示例39である。
【0022】
説明の便宜上図示しなかったが、記録装置21も操作装置30も制御部を有し、装置全体の制御を行うこととしてもよい。制御部を有した方が、装置全体の制御が簡便になる等、有利になることもあるからである。
【0023】
監視カメラの設置方法によって映像が回転する事例を図2、監視カメラの設置場所によって映像が回転する事例を図3にて説明する。
【0024】
図2は、ATMなどの装置51の前に直立している人52と車椅子などに座っている人53がおり、装置51に設置されたカメラ04は装置51の前方を撮影しているときの図である。
【0025】
人52と人53が装置51の前方に横に並んでいるとすると、カメラ04が正立で設置されている場合や傾けて設置されている場合、カメラ04の映像は映像14のようになる。
【0026】
映像14は、カメラ04を正立させた場合に一方の人52の顔のみが映し出されることを示し、カメラ04のレンズ部を90度回転することで、人52と人53の両方の顔が映し出されるが横に寝る映像となることを示している。
【0027】
図3は、カメラを傾けて設置するときの図である。垂直でない壁61にカメラ05が設置されており、カメラ05は映像15を映し出している。映像15は、カメラ05で撮影された人62が傾いて映し出されることを示している。
【0028】
カメラ04の横に寝る映像、カメラ05の傾いた映像15を正立像とする回転角度の設定方法として、図2のようにカメラを設置した際にカメラの映像の傾きが予め分かる場合は、操作装置30の入力端末32から直接回転角度を指定する方法を行い、図3のようにカメラの傾きが判り難い場合に、表示される映像を見ながら操作装置30の入力端末32にて回転角度を調整する方法とがある。
【0029】
どちらの方法で回転角度を指定するかはユーザが選ぶものとする。
【0030】
表示部36に表示するレイアウト例を図4に示す。
【0031】
表示部36の表示領域を縦横i×jに分割し、一つの映像に対してk×l(k≦i、l≦j)の領域を表示領域として割り当てており、そのレイアウト例として、レイアウト81〜83を示す。図1の表示例38は、縦横2×2に分割し、一つの分割領域(1×1の領域)に対して一つの映像を表示させた例である。
【0032】
また、レイアウト84のように、一つの映像に対して任意のサイズの表示領域を割り当て、表示部36の任意の位置に配置する方法もある。図1の表示例39が、この例である。
【0033】
図5は、レイアウトにて割り当てられた表示領域に対する映像の表示例を示す。
【0034】
図5の映像表示例91〜93において、背景白の枠内を映像領域、太線枠内を映像表示領域とする。
【0035】
映像表示例91は、映像領域と映像表示領域のサイズが同一で、映像領域が全て表示されるように配置する例である。
【0036】
映像表示例92は、映像領域と映像表示領域のサイズが異なり、映像領域が全て表示され、映像表示領域の映像領域が表示されない部分については色を塗りつぶすまたは透過するように配置する例である。
【0037】
映像表示例93は、表示する映像領域を切り出し、映像表示領域の映像が表示されない部分があれば色を塗りつぶすまたは透過するように配置する例である。
【0038】
次に、図1に示す本監視カメラシステムにおけるカメラ映像の回転制御を含む多画面表示制御を行う際の流れを示すフローチャートを図6に示す。
【0039】
まず、ステップ201にて、操作装置30の入力端末32からの入力情報に基づいて表示部36の画面に図4で示す映像表示領域のレイアウトを設定する。
【0040】
ステップ202にて、入力端末32からの入力情報に基づいて表示部36の画面に表示されたレイアウトの各映像表示領域に対応するカメラとそのカメラ映像の回転情報を割り当てる。表示されたレイアウトの各映像表示領域に対応するカメラとそのカメラ映像の回転情報を保持したい場合は、データベース(DB)37に記録する。予めデータベース(DB)37にレイアウトの各映像表示領域に表示するカメラの設定とカメラ映像の回転情報が記憶されている場合は、設定内容をデータベース(DB)から読み込んで、各表示領域に対応するカメラ映像の回転情報の変更有無を確認する。
【0041】
ステップ203にて、データベース(DB)37から指定したカメラ映像の回転設定情報を読み込む。
【0042】
ステップ204にて、記録装置21に対してレイアウトの各映像表示領域に表示するカメラの映像情報を順次要求する。
【0043】
ステップ205にて、操作装置30から記録装置21への要求により、順次、記録装置21から操作装置30に映像情報を送信し、操作装置30にてレイアウトの各映像表示領域に表示するカメラの映像情報を順次受信する。
【0044】
ステップ206にて、デコーダ33にて受信した映像情報をデコードする。
【0045】
ステップ207にて、受信した映像データのヘッダからカメラ情報を読み込んで、どのカメラの映像であるかを判別する。
【0046】
ステップ208にて、ステップ207にて判別したカメラ情報と、203で読み込んだ各カメラの回転情報を基に、デコードされた映像信号を回転するかどうかを判断する。
回転情報にデコードされた映像信号を回転するという設定がされている場合はステップ209に進み、回転しない設定の場合はステップ210に進む。
【0047】
ステップ209にて、画素数変換演算部34で各カメラの回転情報を基に映像の回転処理に伴う画素数変換を演算し、デコードされた映像信号の回転処理を行なった後、ステップ210に進む。
【0048】
ステップ210にて、表示部36内のメモリに多画面表示レイアウトの各カメラに対応する映像表示領域に回転処理された映像信号を順次記録し、記録された各カメラの回転処理された映像信号を基に多画面表示を行う。
【0049】
ステップ211にて、多画面表示された各カメラ映像のうち、一部のカメラ映像の回転角を変更するか否か判断する。一部のカメラ映像の回転角変更が必要な場合は、ステップ212に進み、カメラ映像の回転角変更の必要がない場合はステップ210に戻る。
【0050】
ステップ212にて、カメラの回転角度設定の修正を行い、ステップ203に戻る。
【0051】
また、記録装置21に記録された映像を操作装置30にダウンロードしてデータベース(DB)37に記録し、データベース(DB)37に記録された各カメラの映像データと回転角度情報に基づいて表示部に多画面表示を行うことも可能である。この場合の多画面表示動作は、図6のフローチャートのステップ204、ステップ205において、データベースDBから表示する映像を読み込む。後は上記の手順と同様に映像を表示する。
【0052】
以上、本発明の好適な実施例を説明した。本発明によれば、複数のカメラにて撮像された映像情報を多画面表示するネットワーク監視カメラシステムにて、各カメラの設置状況に係らず、監視員のいる操作部側で全ての領域画面表示を正立像とする多画面表示を可能とし、不審者等の検出信頼性の高いネットワーク監視システムを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る監視カメラシステムの一実施例を示す構成ブロック図。
【図2】カメラを設置する方向による映像が回転する事例を示す図。
【図3】カメラを傾けて設置したことによる映像が傾く事例を示す図。
【図4】表示部34に表示するレイアウト例を示す図。
【図5】各映像に割り当てた表示領域において映像を表示する例を示す図。
【図6】本発明の監視カメラシステムにおける映像回転制御を加えた動作フローチャート。
【符号の説明】
【0054】
01,02,03,04,05,0n カメラ
11,12,13,14,15,1n 被写体映像
21 記録装置
22 エンコーダー
23 記録部
24 一時記録部
24,31 通信部
30 操作装置
32 入力端末
33 デコーダ
34 画素数変換演算部
35 レイアウト設定部
36 表示部
37 データベース(DB)
100 ネットワーク
38,39,63,91,92,93 表示部36に表示する映像
81,82,83,84 レイアウト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を取得する複数のカメラと、
前記複数のカメラの、各カメラの映像信号と各カメラの管理情報を、映像情報として記録する記録装置と、
操作装置を有する監視カメラシステムであって、
前記各カメラの管理情報は前記各カメラのカメラチャンネル情報を有し、
前記操作装置は、表示部と、入力端末と、データベースと、画素数変換演算部を有し、
前記入力端末は、前記表示部における前記各カメラの映像信号の表示領域を設定し、
前記データベースは、前記入力端末の入力に基づいて前記各カメラの映像信号の回転情報を記録し、
前記画素数変換演算部は、前記各カメラのカメラチャンネル情報に基づいて、前記各カメラの映像信号の回転情報を選択して前記映像情報を画素数変換し、
前記表示部は、前記画素数変換演算部から出力される各カメラの映像信号を多画面表示することを特徴とする監視カメラシステム。
【請求項2】
請求項1記載の監視カメラシステムであって、
前記表示部に多画面表示された各カメラの映像信号に対し、前記入力端末の入力に基づいて前記回転情報が前記画素数変換演算部に与えられることを特徴とする監視カメラシステム。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2いずれか一項記載の監視カメラシステムであって、
前記記録装置はエンコーダと一時記録部と記録部と第一の通信部を有し、
前記操作装置はデコーダと第二の通信部を有し、
前記記録装置と前記操作装置は前記第一と第二の通信手段で接続され、
リアルタイム表示を行う場合は、前記エンコーダにてエンコードされた各カメラの映像信号と各カメラチャンネル情報を映像情報として前記一時記録部に保存した後、前記第一の通信部から前記操作装置に送信し、
記録映像表示を行う場合は、前記記録装置の前記映像情報を前記第一の通信部から前記操作装置に送信し、
前記操作装置の前記第二の通信手段にて前記映像情報を受信した後、前記デコーダにて前記映像情報をデコードし、前記表示部に表示することを特徴とする監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−28401(P2010−28401A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186652(P2008−186652)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】