説明

監視システム

【課題】進入が許容された移動物体に混在して進入が許容されていない移動物体が侵入する可能性がある監視エリア又は時間帯において、侵入物体の有無を正確に判定する。
【解決手段】監視エリアDEをカメラCMにより撮像してその撮像データから監視エリアDE内に存在する人間の数を人検出装置11で検出する。また、上記監視エリアDEに対し光送信器OC1〜OC3から光信号を送信すると共に、正規の従業員に無線端末TM1〜TM3を所持させ、上記光信号を受信したときに上記無線端末が送信する無線信号を無線基地局BSで受信して端末検出装置12に伝送し、上記監視エリアDE内に存在する無線端末の数を検出する。そして侵入判定装置13において、上記検出された監視エリアDE内に存在する人間の数(A)と、無線端末TM1〜TM3の数(B)とを比較し、(A)>(B)の場合に侵入者有りと判定して警報装置16を動作させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視エリアへの移動物体の侵入を監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホテルやオフィスビル、コンビニエンスストア、金融機関等の商業施設や、ダムや鉄道、道路、学校等の公共施設には、犯罪抑止や事故防止等の目的で映像監視システムが設置されている。映像監視システムは、例えば監視エリアをカメラにより撮像してその映像信号を管理事務所や警備室等の監視センタに伝送し、この映像信号をモニタ装置に表示させることにより監視者が侵入者の有無を目視監視できるように構成されている。また、上記映像信号を録画する設備も設けられ、必要に応じて監視エリアの映像を確認し直すことが可能になっている。
【0003】
一方、画像認識技術を採用して侵入者の自動認識を可能にした監視システムも開発されている。この種のシステムは、例えば映像信号をデジタル化し、映像の各画素が有する輝度や色情報、それらの時系列変化、分布等から、映像に映っている物体の存在やその動き、人数等を認識するものである(例えば、特許文献1を参照。)。このシステムを使用すれば、例えば夜間の警備において監視者の負担を大幅に軽減した上で信頼性の高い監視業務を可能にすることが可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−143016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、侵入監視を目的とする従来の監視システムは、一般に人の出入りが禁止されたエリアや時間帯において監視動作を行うものであり、例えばホテルやオフィスビル、学校等のように頻繁に人の出入りがあるエリアや時間帯の監視には不向きである。
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、進入が許容された移動物体に混在して進入が許容されていない移動物体が侵入する可能性がある監視エリア又は時間帯において、侵入物体の有無を正確に判定できるようにした監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明の一つの観点は、監視エリアへの移動物体の侵入を監視する監視システムにあって、上記監視エリアを撮像してその映像信号を出力する監視カメラと、上記監視カメラから出力された映像信号を画像処理して当該映像信号に含まれる移動物体の画像パターンを検出する画像パターン検出手段と、上記監視エリアに向けて光信号を送信する光信号送信器と、上記監視エリアへの進入が許容された移動物体に取着されて、上記光送信器から送信された光信号を受信したとき当該光信号を受信したことを示す無線信号を送信する端末と、上記端末から送信された無線信号を受信する無線受信機と、予め設定した監視期間に上記画像パターン検出手段により検出された画像パターンの数と、上記監視期間と同一の期間に上記無線受信機により受信された無線信号の数とを比較し、その比較結果をもとに上記監視エリアへの進入が許容されていない移動物体の有無を判定する判定手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
したがってこの発明によれば、監視エリアをカメラで撮像して画像処理することにより検出される移動物体の数と、同時に上記監視エリアに存在する進入が許容された移動物体が所持する端末から送信される無線信号を受信することにより検出される端末の数、つまり進入が許容された移動物体の数とが比較され、その結果をもとに進入が許容されていない移動物体が上記監視エリアに侵入したか否かが判定される。このため、定常的に多くの移動物体が進入する監視エリア又は時間帯においても、進入が許容されていない移動物体、つまり侵入物体を確実に識別することが可能となる。
【0008】
また、侵入物体の識別を正確に行うには、監視エリアに対するカメラの撮像範囲と端末が無線信号を送信する範囲とを一致させる必要がある。そこで、この発明では監視エリアに対し光送信器から光信号を送信し、この光信号を受信したときに端末が無線信号を送信するようにしている。一般に光信号は無線信号に比べ指向性が優れており、監視エリアを正確に特定することが可能である。このため、監視エリアに対するカメラの撮像範囲と端末が無線信号を送信する範囲とを高精度に一致させることが可能となり、これにより侵入物体の有無を正確に判定することが可能となる。
【0009】
すなわちこの発明によれば、進入が許容された移動物体に混在して進入が許容されていない移動物体が侵入する可能性がある監視エリア又は時間帯において、侵入物体の有無を正確に判定できるようにした監視システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。
この発明の一実施形態は、オフィスビルの玄関ロビーを監視エリアとして設定し、入館が許可された正規の従業員に混在してオフィスビル内に侵入しようとする部外者を検出するものである。
【0011】
図1は、この発明の一実施形態に係わる監視システムの構成を示すブロック図である。オフィスビルの入り口ENTに隣接する玄関ロビーには、監視エリアDEが設定される。玄関ロビーの天井にはカメラCMが設置される。カメラCMはアナログタイプのビデオカメラであり、撮像部と映像信号出力部とを備える。撮像部は、上記監視エリアDEのみを俯瞰して撮像するように撮像範囲が設定される。映像信号出力部は通信インタフェースを備え、上記撮像部により撮像された監視エリアDEの映像信号を符号化したのち伝送媒体LLを介して監視センタCTへ送信する。伝送媒体LLとしては例えばLAN(Local Area Network)又は無線LANが用いられる。なお、上記カメラCMとしてはステレオカメラを用いてもよい。
【0012】
また上記玄関ロビーには、複数の光送信器(図では3台の場合を例示)OC1〜OC3が並べて設置される。これらの光送信器OC1〜OC3は、例えば赤外線送信器或いはレーザ又はLED(Light Emitting Diode)を光源とする可視光送信器からなる。光送信器OC1〜OC3はそれぞれ、上記監視エリアDEを三分割した各エリアOE1〜OE3に対し光信号を送信するようにその指向性が設定されている。しかして、これら3個の光送信器OC1〜OC3により監視エリアDEの全域が必要十分にカバーされる。上記光送信器OC1〜OC3は、上記各エリアOE1〜OE3に対し自己の設置位置を表す位置情報により変調された光信号を一定周期で間欠的に送信する。
【0013】
一方、入館が許可された正規の従業員H1〜H3の胸ポケット等のように外から見える場所にはそれぞれ無線端末TM1〜TM3が装着されている。無線端末TM1〜TM3は、記憶部、光受信部及び無線送信部を備える。記憶部には自端末固有の識別コード(IDコード)が記憶されている。光受信部は、正規の従業員H1〜H3が上記監視エリアDEに進入した場合に、上記光送信器OC1〜OC3から送信される光信号を受信して位置情報を復調する。無線送信部は、上記光受信部により光信号が受信されたとき、当該復調された位置情報及び上記記憶部に記憶された自端末のIDコードを無線信号に変換して一定周期で間欠的に送信する。
【0014】
なお、光送信器OC1〜OC3が変調する識別情報としては、当該光送信器OC1〜OC3の設置位置を表す情報以外に、例えば光送信器OC1〜OC3の個別識別情報でもよい。また、無線端末TM1〜TM3の無線送信部は、光信号を受信しないときは自端末のIDコードを送信しなくてもよいし、一定周期で送信するようにしてもよい。このようにすると無線端末TM1〜TM3の無線送信部における消費電力を節減できる。さらに無線端末TM1〜TM3の無線送信部が光信号を受信したときに送信する情報は、上記位置情報の他にも、例えば単に光信号を受信したことを示す情報でもよい。さらに、光信号を受信しない無線端末は無線信号を送信しないという前提において、無線端末は光信号を受信したときに自端末のIDコードのみを送信してもよいし、又は自端末のIDコードではなく、例えば単に光信号を受信したことを示す何らかの情報を送信してもよい。
【0015】
さらに、上記玄関ロビーには無線基地局BSが設置されている。無線基地局BSは、上記各無線端末TM1〜TM3から送信された無線信号をそれぞれ受信して、光送信器OC1〜OC3の位置情報及び端末TM1〜TM3のIDコードを復調する。そして、この受信復調された位置情報及びIDコードを伝送媒体LLを介して監視センタCTに向け送信する。伝送媒体LLとしては、上記カメラCMから監視センタCTへ映像データを伝送する伝送媒体LLと同じく、LAN又は無線LANが使用される。
【0016】
ところで、監視センタCTは次のように構成される。すなわち、監視センタCTは人検出装置11と、端末検出装置12と、侵入者判定装置13と、録画装置14と、監視端末装置15と、警報装置16とを備えている。これらの装置11〜16間はLAN又は無線LAN等の伝送媒体LLを介して接続される。
【0017】
人検出装置11は、画像処理機能を有するコンピュータからなり、映像データ受信部と、画像処理部と、検出データ出力部を備える。映像データ受信部は、前記カメラCMから伝送媒体LLを介して伝送された映像データを受信し復号する。画像処理部は例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)を有し、予め記憶されたアプリケーション・プログラムに従い、上記受信復号された映像データ中から人間に相当する画像パターンを検出して、この検出された画像パターンの数をカウントする処理を実行する。検出データ出力部は、上記画像処理部により得られた人間に相当する画像パターンの数、つまり監視エリアDEに存在する人間の数を表す検出データを、伝送媒体LLを介して侵入者判定装置13へ伝送する。
【0018】
端末検出装置12もコンピュータからなり、無線データ入力部と、データ処理部と、検出データ出力部を備える。無線データ入力部は、上記無線基地局BSから伝送媒体LLを介して伝送された光送信器OC1〜OC3の位置情報及び無線端末TM1〜TM3のIDコードを受信する。データ処理部は例えばCPUとメモリを有する。そして、予め記憶されたアプリケーション・プログラムに従い、上記受信された位置情報及びIDコードを進入履歴情報として上記メモリに格納し、この履歴情報をもとに監視エリアDEに存在する無線端末の数をカウントする処理を実行する。検出データ出力部は、上記データ処理部によりカウントされた無線端末の数を表す検出データを、伝送媒体LLを介して侵入者判定装置13へ伝送する。
【0019】
侵入者判定装置13もコンピュータからなり、検出データ入力部と、データ処理部と、トリガ信号出力部とを備える。検出データ入力部は、上記人検出装置11から伝送された監視エリアDEにおける人間の数を表す検出データと、上記端末検出装置12から伝送された無線端末の数を表す検出データをそれぞれ受信する。データ処理部はCPUを有し、予め記憶されたアプリケーション・プログラムに従い、上記受信された各検出データにより表される監視エリアDEにおける人間の数と無線端末の数とを時間的に対応するもの同士で比較し、侵入者の有無を判定する処理を実行する。トリガ信号出力部は、上記データ処理部により侵入者有りと判定された場合に、データ処理部の指示に従い警報の発生を促すトリガ信号を伝送媒体LLを介して警報装置14へ伝送する。
【0020】
警報装置14は例えばパトライト(登録商標)からなり、トリガ信号入力部と、警報出力部を備える。トリガ信号入力部は、上記侵入者判定装置13から伝送されたトリガ信号を受信する。警報出力部は、上記トリガ信号が受信された場合に、鳴音又は音声からなる警報音を拡声出力する動作と、赤色灯を点灯する動作と、ブザーを鳴動させる動作のうちの少なくとも1つを起動させる。
【0021】
録画装置14は、前記カメラCMから伝送された映像データを受信する映像データ入力部と、上記侵入者判定装置13から送信されるトリガ信号を受信するトリガ信号入力部と、記憶媒体として例えばハードディスク又は光ディスクを使用したメモリを備える。そして、トリガ信号入力部においてトリガ信号が受信された場合に、当該トリガ信号の発生タイミングを含む前後所定期間にわたる映像データをメモリに記憶させる処理を実行する。
【0022】
監視端末装置15は、映像データ入力部と、CRT又はLCDからなる表示部を備え、前記カメラCMから伝送された映像データを映像データ入力部で受信して表示部に表示する。また監視端末装置15は、録画装置14から読み出された映像データを伝送媒体LLを介して受信して表示部に表示する機能も備える。
【0023】
次に、以上のように構成された監視システムの動作を説明する。
システムが監視動作を開始すると、監視エリアDEはカメラCMによって撮像され、その映像信号が監視センタCTの人検出装置11に伝送される。このとき、上記カメラCMの撮像範囲は、先に述べたように上記監視エリアDEが必要十分に含まれるように予め調整されている。このため、カメラCMにより撮像された上記映像信号は監視エリアDE内の様子のみを撮像したものとなる。
【0024】
またそれと共に、光送信器OC1〜OC3からは、自己の位置情報により変調された光信号が監視エリアDEに向けて一定の周期で間欠的に送信される。このとき、上記各光送信器OC1〜OC3の指向性はそれぞれ図2に示す範囲OE1〜OE3となるように設定されている。このため、上記各光信号によって監視エリアDEは必要十分にカバーされる。すなわち、上記カメラCMによる監視エリアDEの撮像範囲と、上記光送信器OC1〜OC3による監視エリアDEへの光信号の送信範囲OE1〜OE3は、ほぼ等しくなる。
【0025】
さて、この状態で入り口ENTから監視エリアDEに、入館が許可された複数の従業員H1〜H3に紛れて、入館が許可されていない部外者H5が侵入したとする。そうすると、これらの人間の姿がカメラCMにより撮像されてその映像データが監視センタCT内の人検出装置11に伝送される。人検出装置11では、上記伝送された映像データ中から人間の姿に相当する画像パターンが検出されてその数がカウントされる。すなわち、監視エリアDEに進入したすべての人間の数が検出される。
【0026】
上記画像パターンの検出処理は、例えば背景差分法とパターンマッチング法を使用して以下のように行われる。すなわち、先ず受信された映像データに含まれる背景部分を背景差分法により除去する。背景差分法とは、現在の映像から例えば1秒前の映像を引き算することにより静止している映像を背景部分として除去するものである。次に、上記背景部分の除去の結果残留した動き部分のみを含む映像データに対し、パターンマッチング法を使用して人間の輪郭に相当する画像パターンを検出する。パターンマッチング法とは、予め人間の輪郭に相当する基本画像パターンを記憶しておき、この基本画像パターンを拡大又は縮小しながら上記映像データ中に含まれる画像パターンと比較する。そして、この比較の結果、類似度が所定値以上の画像パターンが上記映像データ中から見付かったときに、これを人間を表す画像パターンとして検出するものである。そして、以上のように検出された画像パターンの数をカウントすれば、映像データに写っている人間の数が検出される。
なお、ここでは、背景差分法とパターンマッチング法を併用した場合を例示したが、他にパターンマッチング法のみを使用して、撮像した1画面の静止画から人数を検出することも可能である。
【0027】
また、上記監視エリアDEに進入した複数の人間のうち、入館が許可された正規の従業員H1〜H3には胸に無線端末TM1〜TM3が装着されており、これらの無線端末TM1〜TM3では光送信器OC1〜OC3から送信された光信号が受信される。光信号が受信されると無線端末TM1〜TM3では、受信された光信号から位置情報が復調され、この復調された位置情報と自端末のIDコードが無線信号に変換されて送信される。この無線端末TM1〜TM3から送信された無線信号は無線基地局BSにより受信されたのち復調され、復調された位置情報及びIDコードが伝送媒体LLを介して監視センタCT内の端末検出装置12に伝送される。端末検出装置12では、上記受信された位置情報及びIDコードが進入履歴情報としてメモリに格納され、これらをもとに監視エリアDEに存在する無線端末の数がカウントされる。
【0028】
なお、このとき無線基地局BSの無線通信エリアREは、例えば図2に示すように監視エリアDEより十分大きく設定されているため、無線基地局BSでは監視エリアDE外に位置する無線端末TM4,TM5から送信された無線信号も受信される。しかし、無線端末TM4,TM5から送信される無線信号には、端末TM4,TM5のIDコードのみで光送信器OC1〜OC3の位置情報は含まれていない。このため、上記無線端末TM4,TM5から送信される無線信号は、端末検出装置12において端末数をカウントする際に監視エリアDE外の無線端末から送信されたものとして除外される。
【0029】
さて、侵入者判定装置13では次のように判定処理が行われる。図3はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、侵入者判定装置13は、ステップS31において監視インターバルとして予め設定された一定時間待機したのち処理を開始する。先ずステップS32において、上記人検出装置11から伝送される検出データ、つまり監視エリアDE内に存在する人間の数を表すデータを受信する。続いて、ステップS33において上記端末検出装置12から伝送される検出データ、つまり監視エリアDE内に存在する無線端末の数を表すデータを受信する。次にステップS34において、上記受信された人間の検出数を表すデータ(A)と、上記受信された無線端末の検出数を表すデータ(B)とを、時間的に対応するもの同士で比較する。そして、その比較の結果(A)>(B)であれば、ステップS35に移行して侵入者有りと判定し、トリガ信号を出力する。これに対し上記比較結果が(A)>(B)以外、つまり(A)≦(B)であれば、ステップS36に移行して侵入者無しと判定し、ステップS31に戻る。
【0030】
例えば、いま監視エリアDE内に進入した複数の人間H1〜H5の中に、図1に示すように入館が許可されていない部外者H5が含まれていたとする。この場合、人検出装置11により検出される人間の数は上記部外者を含んだものとなる。これに対し、上記部外者は無線通信端末を所持していないため、端末検出装置12により検出される無線端末の数は正規の従業員数に対応する値となる。したがって、この場合には(A)>(B)となるため、侵入者有りと判定されてトリガ信号が発生される。
【0031】
一方、上記監視エリアDE内に進入した人間が全員正規の従業員だったとすれば、これらの従業員は全員が無線端末を所持しているため、人検出装置11により検出される人間の数と端末検出装置12により検出される無線端末の数は等しくなる。すなわち、(A)=(B)となる。したがって、この場合には侵入者無しと判定されてそのままステップS31に戻る。
以後、同様に一定のインターバル時間が経過するごとに、ステップS32〜ステップ36による侵入者判定処理が繰り返し実行される。
【0032】
上記侵入者判定装置13からトリガ信号が出力されると、警報装置16が動作して鳴音又は音声からなる警報音が拡声出力されるか、又は赤色灯が点灯される。この結果、部外者に入館を思いとどまらせるか、或いは監視員が現場に急行して入館を阻止する等の対応を行うことが可能となる。
【0033】
また、上記トリガ信号が出力されると、録画装置14において当該トリガ信号の発生タイミングを含む前後所定期間の映像データが記憶される。そして、この記憶された映像データは監視担当者の操作により読み出されて監視端末装置15の表示部に表示される。このため、監視担当者等は部外者が入館しようとしたときの状況を上記表示された映像データをもとに再確認することができる。
【0034】
以上述べたようにこの実施形態では、監視エリアDEをカメラCMにより撮像してその撮像データから監視エリアDE内に存在する人間の数を人検出装置11で検出する。また、上記監視エリアDEに対し光送信器OC1〜OC3から光信号を送信すると共に、入館が許可された正規の従業員H1〜H3に無線端末TM1〜TM3を所持させ、上記光信号を受信したときに上記無線端末TM1〜TM3が送信する無線信号を無線基地局BSで受信して端末検出装置12に伝送することにより上記監視エリアDE内に存在する無線端末TM1〜TM3の数を検出する。そして侵入判定装置13において、上記検出された監視エリアDE内に存在する人間の数(A)と、無線端末TM1〜TM3の数(B)とを比較し、(A)>(B)の場合に侵入者有りと判定して警報装置16を動作させるようにしている。
したがって、オフィスビルの玄関ロビーに、入館が許可された正規の従業員に紛れて入館が許可されていない部外者が進入した場合でも、上記部外者を確実に検出し警報を発生することができる。
【0035】
また、監視エリアDEに対し光送信器OC1〜OC3から光信号を送信するようにしているので、監視エリアDEを正確に特定することができ、これにより上記光送信器OC1〜OC3による監視エリアDEへの光信号の送信範囲OE1〜OE3をカメラCMによる監視エリアDEの撮像範囲とほぼ一致させることができる。このため、侵入物体の有無を正確に判定することができる。
【0036】
さらに、端末検出装置12では無線基地局BSから伝送された光送信器の位置情報と無線端末のIDコードとを対にしてこれを進入履歴情報として記憶し、この履歴情報をもとに無線端末の数をカウントするようにしている。このため、例えば1個の無線端末が異なる複数の光送信器からの光信号を受信して、これにより複数の無線信号を送信したとしても、これらの無線信号のIDコードは同一であることから、当該複数の無線信号を1個の無線端末としてカウントすることができる。
【0037】
また、無線端末TM1〜TM3から送信される無線信号には、当該端末のIDコードだけではなく、受信した光送信器OC1〜OC3の位置情報を含めるようにしている。このため、監視エリアDEに進入していない無線端末TM4,TM5から送信される無線信号を無線基地局BSが受信したとしても、端末検出装置12ではこれらの無線信号をカウント対象から除外することができ、これにより監視エリアDE内に存在する無線端末の数をより正確にカウントすることができる。
【0038】
さらに、侵入判定装置13では、監視エリアDE内に存在する人間の数(A)と無線端末TM1〜TM3の数(B)とを比較して、(A)=(B)だった場合だけでなく(A)<(B)だった場合にも侵入者無しと判定するようにしている。このようにすると、人検出装置11が従業員の重なり等により映像データ中の人間の数を実際よりも少なくカウントしてしまった場合において、誤報が発生しないようにすることができる。
【0039】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では人検出装置11、端末検出装置12、侵入者判定装置13、録画装置14、監視端末装置15及び警報装置16をそれぞれ独立して設け、これらの装置11〜16をLAN又は無線LANにより接続することにより監視システムCTを構成した。しかし、それに限らず上記各装置11〜16を任意の組み合わせで一つのコンピュータ装置により共用するようにしてもよい。
【0040】
また、カメラCMとしてネットワークカメラを用いてもよく、さらにカメラCMに人検出装置11の機能を設けるようにしてもよい。さらに、カメラCMにパン、チルト、ズームを制御するいわゆるPTZ制御機能を設け、この制御機能により監視エリアDEに対する撮像範囲が常に最適になるように調整できるようにしてもよい。
【0041】
また、前記実施形態では3台の光送信器OC1〜OC3により監視エリアDEを分担してカバーするようにしたが、1台の光送信器で監視エリアDEの全域をカバーするようにしてもよい。さらに、2組の光送信器又は光送信器群を監視エリアDEの相直交する2辺に設置し、これにより監視エリアDEに進入した人間に対しその正面方向からだけでなく側面方向からも光信号を送信するようにしてもよい。このようにすると、例えば複数の従業員が接近した状態で相前後して進入した場合でも、側面方向から送信される光信号により後方の従業員の無線端末に光信号を受信させることができる。
【0042】
さらに、前記実施形態では監視エリアDEに進入した人間をその正面方向のみから撮像するようにした。しかしそれに限らず、正面方向ばかりでなく側面方向からも撮像し、この正面方向から撮像した映像データと側面方向から撮像した映像データの両方をもとに監視エリアDE内の人数をカウントするようにしてもよい。また、複数方向から撮像する以外に、監視エリアDEの垂直上方に全方位カメラを設置し、この全方位カメラにより監視エリアDEを撮像して監視エリアDE内の人数をカウントするようにしてもよい。
【0043】
その他、監視エリアの設定場所や監視センタの構成、人間の数をカウントするための画像処理手段、侵入判定処理の手順とその処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の一実施形態に係わる監視システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示した監視システムにおける光信号送信エリアの一例を示す図である。
【図3】図1に示した監視システム中の侵入者判定装置による処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
ENT…オフィスビルの入り口、DE…監視エリア、H1〜H3…入館が許可された従業員、H5…入館が許可されていない部外者、TM1〜TM3…無線端末、OC1〜OC3…光送信器、BS…無線基地局、CM…カメラ、CT…監視センタ、11…人検出装置、12…端末検出装置、13…侵入者判定装置、14…録画装置、15…監視端末装置、16…警報装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視エリアへの移動物体の侵入を監視する監視システムであって、
前記監視エリアを撮像してその映像信号を出力する監視カメラと、
前記監視カメラから出力された映像信号を画像処理して当該映像信号に含まれる移動物体の画像パターンを検出する画像パターン検出手段と、
前記監視エリアに向けて光信号を送信する光信号送信器と、
前記監視エリアへの進入が許容された移動物体に取着され、前記光送信器から送信された光信号を受信したとき無線信号を送信する端末と、
前記端末から送信された無線信号を受信する無線受信機と、
前記画像パターン検出手段により検出された画像パターンの数と前記無線受信機により受信された無線信号の数とを比較し、その比較結果をもとに前記監視エリアへの進入が許容されていない移動物体の有無を判定する判定手段と
を具備することを特徴とする監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−148138(P2008−148138A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334840(P2006−334840)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】