監視プログラム、監視装置、および監視方法
【課題】ルータID重複の被疑箇所を容易かつ早期に特定すること。
【解決手段】(A)において、レコードRa,Rbのシーケンス番号を比較すると、連番でなない(54と152)。したがって、レコードRa,RbのリンクIDを比較することとなる。レコードRaのリンクIDは、{nw11,nw12}であり、レコードRbのリンクIDは、{nw98,nw99}であるため、リンクIDは不一致である。したがって、リンクID{nw98,nw99}を管理サーバSiに送信することとなる(リンクデータ{m98,m99}を含めてもよい。)。
【解決手段】(A)において、レコードRa,Rbのシーケンス番号を比較すると、連番でなない(54と152)。したがって、レコードRa,RbのリンクIDを比較することとなる。レコードRaのリンクIDは、{nw11,nw12}であり、レコードRbのリンクIDは、{nw98,nw99}であるため、リンクIDは不一致である。したがって、リンクID{nw98,nw99}を管理サーバSiに送信することとなる(リンクデータ{m98,m99}を含めてもよい。)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを監視する監視プログラム、監視装置、および監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模なIP(Internet Protocol)ネットワークにおいてルーティングの経路を交換するプロトコルにOSPF(Open Shortest Path First)がある。このOSPFプロトコルによりルーティングを行っているIPネットワークにおいて、各ルータのルータIDはOSPFドメイン内において一意でなければならない(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
もし重複して設定してしまうと、各ルータにおいてルーティングが正常に行われなくなる上、ネットワークが不安定となることで各ルータにおけるOSPF経路計算の処理負荷が高くなり、さらにネットワークが不安定になるなど、影響が広範囲に及ぶこともある。
【0004】
ルータIDはネットワークの設計が正しく行われなかったり、設定時に間違えてしまったりすると重複する他、設定後OSPFプロセスの再起動が必要となる場合がほとんどであるため、再起動を忘れてしまうとルータIDが更新されず間違ったまま運用されてしまい重複しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−319962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ルータIDが重複してしまった場合に、重複を見つけ訂正するにはネットワーク管理者に負担がかかり困難である。ルータIDを誤って設定した直後に気付けば良いが、大方はネットワークが不安定になってはじめて何か問題があることに気付く。さらに、このネットワークの不安定はルータID重複が原因である可能性があると判断するまでにはネットワークトラブルシューティングのスキルが必要となる。その上、ネットワークが不安定になっていると各ルータへのアクセスが失敗することもあり、原因箇所特定までに時間を要することとなる。
【0007】
特に、OSPFプロセスの再起動を忘れてしまったためルータIDが重複した場合は、設定と運用中のルータIDが異なるため、ルータIDの重複がネットワーク不安定の原因であるということに気付きにくい。
【0008】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ルータID重複の被疑箇所を容易かつ早期に特定することができる監視プログラム、監視装置、および監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、第1の監視プログラム、監視装置、および監視方法は、領域内の各ルータから配信されたパケットを受信し、受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存し、前記ルータの識別情報ごとに、今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断し、同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信することを要件とする。
【0010】
また、第2の監視プログラム、監視装置、および監視方法は、第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信し、受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存し、保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断し、一致すると判断された場合、保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信することを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
本監視プログラム、監視装置、および監視方法によれば、ルータID重複の被疑箇所を容易かつ早期に特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態にかかるネットワーク構成の一例を示す説明図である。
【図2】図1に示したネットワーク構成の部分拡大図である。
【図3】ルータLSAのデータ構造の一例を示す説明図である。
【図4】ASBRサマリーLSAのデータ構造の一例を示す説明図である。
【図5】実施の形態にかかるコンピュータ(監視装置C、管理サーバSiS)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】監視装置Cが保持する第1のテーブルの記憶内容を示す説明図である。
【図7】実施例1にかかる監視装置Cの機能的構成を示すブロック図である。
【図8】リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その1)である。
【図9】リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その2)である。
【図10】リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その3)である。
【図11】監視装置Cが保持する第2のテーブル1100の記憶内容を示す説明図である。
【図12】実施例2での判断処理内容を示す説明図である。
【図13】本実施の形態にかかる監視処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる監視プログラム、監視装置、および監視方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(ネットワーク構成)
図1は、本実施の形態にかかるネットワーク構成の一例を示す説明図、図2は、図1に示したネットワーク構成の部分拡大図である。図1では、複数(図1では例として2個)の自律システム(Autonomous System)ASi,ASjが相互に接続されたネットワークを示している。以降、自律システムを特定しない場合には、「自律システムAS」と表記する。
【0015】
自律システムASは、複数の監視対象エリアに分割されている。たとえば、自律システムASiには、例として4つの監視対象エリアAi1〜Ai4があり、自律システムASjには、例として2つの監視対象エリアAj1〜Aj2がある。以降、監視対象エリアを特定しない場合は、「監視対象エリアA」と表記し、自律システムASi内のある監視対象エリアを「監視対象エリアAi」と表記し、自律システムASj内のある監視対象エリアを「監視対象エリアAj」と表記する。
【0016】
OSPFドメインとなる監視対象エリアA内には、ルータが存在する。図1中、符号が付されていないルータを「ルータr」とする。また、各監視対象エリアAの境界にあるABR(Area Border Router)はエリア間ルータと呼ばれ、パケットはエリア間ルータABRを経由しないと隣接する監視対象エリアAには送られない。監視対象エリアAでは、OSPFプロトコルによりツーティングされる。監視対象エリアAでは各ルータのルータIDは一意でなければならない。
【0017】
また、自律システムASの境界にあるASBR(Autonomous System Boundary Router)はAS境界ルータと呼ばれ、パケットはAS境界ルータASBRを経由しないと隣接する自律システムASには送られない。
【0018】
また、いずれのルータr(ABR,ASBR含む)も、LSA(Link−State Advertisement)をブロードキャストする。LSAとは、リンクステートプロトコルが使うブロードキャストパケットであり、隣接するルータに関する情報を有する。また、エリア間ルータABR以外の通常のルータrはルータLSAと呼ばれるLSAを配信する(図3を参照。)。一方、エリア間ルータABRは、ASBRサマリーLSAと呼ばれるLSAを配信する(図4を参照。)。
【0019】
また、各監視対象エリアAには、監視装置がある。図1では、たとえば、監視対象エリアAi1には監視装置Ci1がある。以降、ある監視対象エリアA内の監視装置を「監視装置C」と表記する。監視装置Cは、当該監視装置Cを含む監視対象エリアA内でのルータIDの重複を検出する。
【0020】
また、管理サーバSiは、監視装置Cからのデータを受信し、どのルータrが被疑箇所であるかを特定する。管理サーバSiは、自律システムASごとに存在する。たとえば、自律システムASi内には管理サーバSiがあり、自律システムASj内には管理サーバSjがある。以降、ある自律システムAS内の管理サーバを「管理サーバS」と表記する。
【0021】
管理サーバSは、自律システムAS内であれば、どの監視対象エリアA内に存在してもよい。また、管理サーバSiSは、その自律システムS内にある監視対象エリアAにある監視装置Cと接続される。図1(図2も同様)では、説明の簡略化のため、管理サーバSiと監視装置Ci1〜Ci4、管理サーバSjと監視装置Cj1〜Cj2が直接接続されているが、実際には、エリア間ルータABRを介して接続することとしてもよい。
【0022】
(LSAのデータ構造)
つぎに、上述したLSAのデータ構造の一例について、図3および図4を用いて説明する。
【0023】
図3は、ルータLSAのデータ構造の一例を示す説明図である。図3に示したように、ルータLSAは、各種フィールドを有する。フィールド群のうち、「アドバタイジングルータ」フィールドは、そのルータLSAを配信した配信元ルータrのルータIDを記憶するフィールドである。ルータIDとは、OSPFにおいて、ルータrを一意に識別するための識別番号である。
【0024】
「シーケンス番号」フィールドは、そのルータLSAのカウント値を記憶するフィールドである。カウント値とは、ルータrがルータLSAを配信する都度、1インクリメントされる値であり、上限に達すると0にリセットされる。ルータLSAは定期的に配信されるため、あるルータrから順次配信されたルータLSAのシーケンス番号は昇順に連続する。
【0025】
「リンク数」フィールドとは、後述する「リンク情報」の繰り返し数を記憶するフィールドである。リンク数は、そのルータrと直接接続されているデバイスの台数であり、たとえば、あるルータrが3台のルータrと直接接続されている場合は、リンク数は3である。
【0026】
「リンク情報」フィールドとは、そのルータrと直接接続されているデバイスとの接続に関する情報を記憶するフィールドである。具体的には、「リンクタイプ」フィールドと「リンクID」フィールドと「リンクデータ」フィールドといったフィールドを有する。「リンクタイプ」フィールドは、リンクの種類を特定する情報を記憶するフィールドである。リンクタイプによりリンクIDとリンクデータの種類が特定される。リンクタイプはルータrの環境によって予め設定される。
【0027】
「リンクID」フィールドは、リンクタイプに応じて特定される識別情報を記憶するフィールドであり、「リンクデータ」フィールドは、リンクタイプに応じて特定されるデータを記憶するフィールドである。
【0028】
たとえば、リンクタイプ:L1がスタブネットワークへの接続を示す情報である場合、リンクIDはネットワーク番号で、リンクデータはマスクとなる。また、リンクタイプによっては、リンクIDを接続相手のルータrのルータID、リンクデータをルータr(自ルータまたは接続相手)のインターフェースアドレス(またはMIB(Management Information Base) IIのifIndex)としてもよい。また、リンクIDを自ルータrのインターフェースアドレス、リンクデータを255.255.255.255としてもよい。
【0029】
図4は、ASBRサマリーLSAのデータ構造の一例を示す説明図である。図4に示したように、ASBRサマリーLSAは、各種フィールドを有する。フィールド群のうち、「アドバタイジングルータ」は、そのASBRサマリーLSAを配信した配信元のエリア間ルータABRのルータIDを記憶するフィールドである。「リンクステートID」は、そのAS境界ルータASBRのルータIDを記憶するフィールドである。
【0030】
(コンピュータのハードウェア構成)
図5は、実施の形態にかかるコンピュータ(監視装置C、管理サーバSiS)のハードウェア構成を示すブロック図である。図5において、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)501と、記憶装置502と、通信インターフェース(I/F)503と、入力装置504と、表示装置505と、を備えている。また、各構成部はバス500によってそれぞれ接続されている。
【0031】
ここで、CPU501は、コンピュータの全体の制御を司る。記憶装置502は、各種プログラムや各種データ、テーブルを記憶している。また、記憶装置502は、CPU501のワークエリアとして使用される。
【0032】
通信I/F503は、通信回線を通じて他のデバイスに接続され、このネットワーク514を介して他の装置に接続される。入力装置504は、ユーザ操作によりデータ入力をおこなう。表示装置505は、各種データを表示するディスプレイである。
【実施例1】
【0033】
つぎに、実施例1にかかる監視装置について説明する。実施例1は、ルータLSAからルータIDの重複設定を検出する例である。
【0034】
(第1のテーブルの記憶内容)
図6は、監視装置Cが保持する第1のテーブルの記憶内容を示す説明図である。第1のテーブル600は、受信したルータLSAに含まれている情報を記憶するテーブルである。第1のテーブル600は、図5に示した記憶装置に記憶されている。第1のテーブル600は、「アドバタイジングルータ」フィールド、「シーケンス番号」フィールド、「リンクタイプ」フィールド、「リンクID」フィールド、「リンクデータ」フィールドを有する。
【0035】
「アドバタイジングルータ」フィールドは、受信したルータLSAを配信した配信元ルータrのルータIDを記憶するフィールドである。「シーケンス番号」フィールドは、受信したルータLSAのカウント値であるシーケンス番号を記憶するフィールドである。「リンクタイプ」フィールドは、リンクの種類を特定する情報を記憶するフィールドである。リンクタイプによりリンクIDとリンクデータの種類が特定される。「リンクID」フィールドは、受信したルータLSAのリンクIDを記憶するフィールドである。「リンクデータ」フィールドは、受信したルータLSAのリンクデータを記憶するフィールドである。
【0036】
たとえば、先頭のレコードは、受信したルータLSAに含まれているアドバタイジングルータ(ルータID):r1、シーケンス番号:54、リンクタイプ:L1、リンクID:nw11,nw12、リンクデータm11,m12を示している。すなわち、シーケンス番号:54のルータLSAを配信したルータID:r1のルータrは、ネットワーク番号:nw11でマスク:m11のルータrおよびネットワーク番号:nw12でマスクm12のルータrとリンクしていることを示している。
【0037】
(実施例1にかかる監視装置Cの機能的構成)
図7は、実施例1にかかる監視装置Cの機能的構成を示すブロック図である。図7において、監視装置Cは、受信部701と保存部702と判断部703と送信部704とを備える。受信部701と保存部702と判断部703と送信部704は、具体的には、たとえば、図5に示した記憶装置502に記憶されたプログラムをCPU501に実行させることにより、または、通信I/F503により、その機能を実現する。
【0038】
受信部701は、領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する機能を有する。具体的には、たとえば、監視対象エリアA内のルータrから配信されたルータLSAを受信する。
【0039】
保存部702は、受信部701によって受信されたパケットに含まれているルータの識別情報および領域内でのルータの所在特定情報を保存する機能を有する。また、パケットからの配信順を特定する配信番号を保存することとしてもよい。具体的には、たとえば、受信されたパケットがルータLSAである場合、ルータLSAに含まれているアドバタイジングルータ(ルータID)やシーケンス番号、リンク情報(リンクタイプ、リンクID、リンクデータ)を第1のテーブル600に保存する。
【0040】
判断部703は、ルータの識別情報ごとに、保存部702によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する機能を有する。具体的には、たとえば、第1のテーブル600にすでに保存済みのアドバタイジングルータのレコードにあるリンク情報と、そのアドバタイジングルータと同一アドバタイジングルータについて今回あらたに保存されたレコードにあるリンク情報との同一性を判断する。
【0041】
ここで、同一性とは、互いのリンク情報内のリンクIDが一致することをいう。また、リンク情報が複数ある場合も、リンク数が一致し、かつ、リンクIDも一致することをいう。たとえば、あるリンクIDが一致していても他のリンクIDが不一致であれば同一ではないと判断される。また、一方のレコードのリンクIDが他方のレコードに存在していない場合も同一ではないと判断される。なお、どの程度まで同一とみなすかはあらかじめ設定しておく。たとえば、1つでも同一リンクIDがあれば、他のリンクIDが欠落していても同一であるとみなしてもよい。
【0042】
このように、同一アドバタイジングルータでリンクIDに同一性があれば、同じルータからのLSAであることがわかる。一方、同一性がない場合、同一のルータIDが異なるルータrにアドバタイジングルータとして与えられていることとなる。すなわち、同一ルータIDが重複設定されていることがわかる。
【0043】
また、判断部703は、ルータの識別情報ごとに、さらに、今回あらたに保存された配信番号と前回保存された配信番号との連続性とを判断することとしてもよい。具体的には、たとえば、同一アドバタイジングルータの前回保存されたレコードにあるシーケンス番号と今回保存されたレコードにあるシーケンス番号が連番であるか否かを判断する。
【0044】
たとえば、シーケンス番号が昇順で与えられる場合、今回のシーケンス番号が前回のシーケンス番号に1加算された値であるかを判断する。ただし、前回のシーケンス番号が上限値に達している場合、今回のシーケンス番号には0が与えられているため、このようなケースも連続するとみなす。また、シーケンス番号が降順で与えられる場合、今回のシーケンス番号が前回のシーケンス番号に1減算された値であるかを判断する。ただし、前回のシーケンス番号が下限値に達している場合、今回のシーケンス番号には上限値が与えられているため、このようなケースも連続するとみなす。
【0045】
このように、リンクIDの同一性だけでなく、シーケンス番号の連続性も判断することで、シーケンス番号が連続していれば、リンクIDの同一性を判断するまでもなく、ルータIDが重複設定されていないとみなすことができる。仮に、シーケンス番号が連番であるときにルータIDが重複設定されていても、次回受信時のルータLSAのシーケンス番号が1加算されているため、比較しあうシーケンス番号が同一の値となって不連続と検出される。
【0046】
したがって、リンクIDの同一性判断に先立って、シーケンス番号の連続性を判断することにより、シーケンス番号が連番であれば、リンクIDの同一性判断を実行する必要がなくなるため、効率的な運用を図ることができる。
【0047】
送信部704は、判断部703によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する機能を有する。具体的には、たとえば、リンクIDが不一致と判断されたリンクIDを管理サーバSiに送信する。また、リンクIDだけでなく、リンクデータを含めて送信することとしてもよい。また、シーケンス番号の連続性も判断する場合は、さらに、シーケンス番号間に連続性がないと判断された場合に、特定のサーバに送信することとしてもよい。
【0048】
図8は、リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その1)である。(A)は、同一性判断処理前の状態、(B)は同一性判断処理後の状態を示している。図8の例では、アドバタイジングルータ:r1のレコードどうしで同一性を判断することとする。なお、一行目のアドバタイジングルータ:r1のレコードRaを前回受信されたルータLSAについての保存済みのレコードとし、最終行のアドバタイジングルータ:r1のレコードRbを今回あらたに保存されたレコードとする。
【0049】
(A)において、レコードRa,Rbのシーケンス番号を比較すると、連番(54と55)になっている。したがって、(B)において、リンクIDの同一性を判断するまでもなく、レコードRbがアドバタイジングルータr1についての最新のレコードとなり、レコードRaは削除される。
【0050】
図9は、リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その2)である。(A)において、レコードRa,Rbのシーケンス番号を比較すると、連番ではない(54と152)。したがって、レコードRa,RbのリンクIDを比較することとなる。レコードRaのリンクIDは、{nw11,nw12}であり、レコードRbのリンクIDは、{nw98,nw99}であるため、リンクIDは不一致である。したがって、リンクID{nw98,nw99}を管理サーバSiに送信することとなる(リンクデータ{m98,m99}を含めてもよい。)。
【0051】
図10は、リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その3)である。(A)において、レコードRa,Rbのシーケンス番号を比較すると、連番(54と55)になっている。レコードRa,RbのリンクIDは不一致であるが、(B)において、リンクIDの同一性を判断せず、レコードRbがアドバタイジングルータr1についての最新のレコードとなり、レコードRaは削除される。
【0052】
(C)において、レコードRcが保存される。レコードRcは、レコードRaに対するルータLSAを送信したルータと同一ルータが正常に配信したルータLSAから得られたレコードである。したがって、レコードRaのシーケンス番号54と連番となるシーケンス番号55を有する。しかしながら、レコードRbのシーケンス番号55とは連番にならないため、リンクIDの同一性判断をおこなう。
【0053】
この場合、レコードRb,RcのリンクIDは不一致であるため、リンクID{nw98,nw99}を管理サーバSiに送信することとなる。なお、この場合、レコードRbは削除される。管理サーバSiに送信するリンクIDは、リンクID{nw11,nw12}でもよい。その場合、レコードRbではなくレコードRcが第1のテーブル600から削除される。
【0054】
なお、管理サーバSiでは、ルータIDが重複している可能性が高いことと、受信データに含まれているリンクIDやリンクデータを画面上に表示する。このリンクIDやリンクデータを手がかりにして、ルータIDが重複しているルータの絞込みや特定をすることができる。
【0055】
このように、ルータID重複時にルータIDの重複と被疑箇所の情報が管理サーバSiに通知されるため、迅速な問題解決が可能となる。また、ルータID重複を検出するトラブルシューティングのスキルが不要となるため、ネットワーク管理者が初めてルータID重複の問題に直面した場合などでも問題解決がし易くなる。
【実施例2】
【0056】
つぎに、実施例2にかかる監視装置Cについて説明する。実施例2は、ASBRサマリーLSAからルータIDの重複設定を検出する例である。
【0057】
(第2のテーブル1100の記憶内容)
図11は、監視装置Cが保持する第2のテーブル1100の記憶内容を示す説明図である。第2のテーブル1100は、受信したASBRサマリーLSAに含まれている情報を記憶するテーブルである。第2のテーブル1100は、図5に示した記憶装置に記憶されている。第2のテーブル1100は、「アドバタイジングルータ」フィールド、「リンクステートID」フィールドを有する。
【0058】
「アドバタイジングルータ」フィールドは、受信したASBRサマリーLSAを配信したエリア間ルータABRのルータIDを記憶するフィールドである。「リンクステートID」フィールドは、受信したASBRサマリーLSAに含まれているリンクステートID(AS境界ルータのルータID)を記憶するフィールドである。
【0059】
たとえば、先頭のレコードは、受信したASBRサマリーLSAに含まれているアドバタイジングルータ(ルータID):abr−i1、リンクステートID:asbr−ijを示している。すなわち、ルータID:abr−i1のエリア間ルータABRから配信されたASBRサマリーLSAは、そのエリア間ルータABRを含む自律システムASの境界に位置するリンクステートID:asbr−ijのAS境界ルータASBRに到達することを示している。
【0060】
(実施例2にかかる監視装置Cの機能的構成)
つぎに、実施例2にかかる監視装置Cの機能的構成について説明する。実施例2にかかる監視装置Cの機能的構成は、図7に示した構成と同一構成であるため、実施例2に特有の処理内容について図7を用いて説明する。
【0061】
受信部701は、第1の領域内の各ルータrから配信された第1のパケットを受信する機能を有する。具体的には、たとえば、監視対象エリアA内のルータrから配信されたルータLSAを受信する。また、第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する機能を有する。具体的には、たとえば、エリア間ルータABRから配信されたASBRサマリーLSAを受信する。
【0062】
保存部702は、受信部701によって受信された第1のパケットに含まれているルータの識別情報およびルータの第1の領域内での所在特定情報を保存する機能を有する。具体的には、たとえば、受信されたパケットがルータLSAである場合、LSAに含まれているアドバタイジングルータ(ルータID)やシーケンス番号、リンク情報(リンクタイプ、リンクID、リンクデータ)を第1のテーブル600に保存する。
【0063】
また、保存部702は、受信部701によって受信された第2のパケットに含まれている領域間ルータの識別情報および第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する機能を有する。具体的には、たとえば、受信したパケットがASBRサマリーLSAである場合、ASBRサマリーLSAに含まれているエリア間ルータABRのルータID、監視対象エリアAi1を含む一方の自律システムASiと他方の自律システムASjとのAS境界ルータASBRのルータIDとを第2のテーブル1100に保存する。
【0064】
判断部703は、保存部702によって保存されたルータの識別情報と境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する機能を有する。具体的には、たとえば、第1のテーブル600のアドバタイジングルータと第2のテーブル1100のリンクステートIDとが一致するか否かを判断する。
【0065】
図12は、実施例2での判断処理内容を示す説明図である。図12において、第1のテーブル600の1行目のレコードRaには、アドバタイジングルータとしてルータID:r1が記憶されている。一方、第2のテーブル1100のレコードRdのリンクステートIDには、ルータID:r1が記憶されている。この場合、両者が一致することとなる。
【0066】
送信部704は、判断部703によって一致すると判断された場合、保存部702によって保存されたルータの第1の領域内での所在特定情報と領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する機能を有する。具体的には、たとえば、図12に示したように、レコードRaのリンクID{nw11,nw12}を管理サーバSiに送信する。この場合、リンクデータ{m11,m12}を含めてもよい。また、第2のテーブル1100のレコードRdのアドバタイジングルータ(ルータID):abr−i3を送信することとしてもよい。
【0067】
なお、管理サーバSiでは、ルータIDが重複している可能性が高いことと、受信データに含まれているルータLSAのリンクIDやリンクデータ、ASBRサマリーLSAのアドバタイジングルータを監視画面上に表示する。ASBRサマリーLSAのアドバタイジングルータにはエリア間ルータABRのルータIDが通知されるため、ルータIDが重複しているAS境界ルータASBRが存在するエリアを特定することができる。
【0068】
このようにして、監視対象エリアAにおいてルータIDの重複が発生している可能性が高いことがネットワーク管理者に通知され、さらに被疑箇所を絞ることが可能となる。また、LSAの監視を監視対象ドメインとは別の自律システムAS(監視用で規模の小さい自律システムAS)で行うことでルータID重複時にネットワーク管理者に対して確実な通知が可能となり、問題検出までの時間をより短縮することが可能となる。
【0069】
(監視処理手順)
図13は、本実施の形態にかかる監視処理手順を示すフローチャートである。図13において、ステップS1301〜ステップS1309までの処理の流れが上述した実施例1に相当する。また、ステップS1302から分岐したステップS1310〜S1313までの処理の流れが上述した実施例2に相当する。
【0070】
まず、監視装置Cは、LSAが受信されるのを待ち受け(ステップS1301:No)、LSAが受信された場合(ステップS1301:Yes)、LSAのヘッダからLSAの種類を判断する(ステップS1302)。受信されたLSAがルータLSAである場合(ステップS1302:ルータLSA)、監視装置Cは、ステップS1303〜S1309を実行する。一方、受信されたLSAがASBRサマリーLSAである場合(ステップS1302:ASBRサマリーLSA)、監視装置Cは、ステップS1310〜S1313を実行する。
【0071】
受信されたLSAがルータLSAである場合(ステップS1302:ルータLSA)、監視装置Cは、今回受信されたルータLSAに含まれている情報(アドバタイジングルータ、シーケンス番号、リンク情報)を第1のテーブル600に新規レコードとして保存する(ステップS1303)。
【0072】
そして、監視装置Cは、保存されたアドバタイジングルータと同一のアドバタイジングルータが第1のテーブル600にあるか否かを判断する(ステップS1304)。ない場合(ステップS1304:No)、ステップS1301に戻る。一方、ある場合(ステップS1304:Yes)、監視装置Cは、そのレコードのシーケンス番号と今回保存されたレコードのシーケンス番号が連続するか否かを判断する(ステップS1305)。
【0073】
連続する場合(ステップS1305:Yes)、ステップS1309に移行する。一方、連続しない場合(ステップS1305:No)、監視装置Cは、リンクIDが同一であるか否かを判断する(ステップS1306)。同一である場合(ステップS1306:Yes)、ルータLSAを2重受信したか、判断対象となったシーケンス番号間のシーケンス番号を有するルータLSAが欠落してしまったと判断する。すなわち、実質的にはルータIDの重複がおきていないと判断し、ステップS1309に移行する。
【0074】
一方、リンクIDが同じでない場合(ステップS1306:No)、監視装置Cは、第1のテーブル600における今回受信したルータLSAのレコードからリンク情報を抽出し(ステップS1307)、抽出したリンク情報を管理サーバSiに送信する(ステップS1308)。ステップS1309では、監視装置Cは、前回保存されたルータLSAのレコードを第1のテーブル600から消去して(ステップS1309)、ステップS1301に戻る。
【0075】
また、ステップS1302において、受信されたLSAがASBRサマリーLSAである場合(ステップS1302:ASBRサマリーLSA)、監視装置Cは、第2のテーブル1100において、ASBRサマリーLSAに含まれている情報(アドバタイジングルータ、リンクステートID)を更新する(ステップS1310)。そして、監視装置Cは、第1のテーブル600のアドバタイジングルータと第2のテーブル1100の今回新規レコードとして保存されたリンクステートIDが一致するか否かを判断する(ステップS1311)。一致しない場合(ステップS1311:No)、ルータIDが重複していないこととなり、ステップS1301に移行する。
【0076】
一方、一致する場合(ステップS1311:Yes)、監視装置Cは、ルータIDが重複設定されていることとなるため、一致すると判断されたアドバタイジングルータのリンク情報を抽出し、第2のテーブル1100から一致すると判断されたASBRサマリーLSAのアドバタイジングルータのルータIDを抽出する(ステップS1312)。そして、監視装置Cは、抽出された情報を管理サーバSiに送信して(ステップS1313)、ステップS1301に戻る。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態によればルータID重複時にネットワーク管理者へルータIDの重複と被疑箇所の情報が通知されるため、迅速な問題解決を図ることができる。また、ルータID重複を検出するトラブルシューティングのスキルが不要となるため、ネットワーク管理者が初めてルータID重複の問題に直面した場合などでも問題解決の容易化を図ることができる。また、図13に示したフローチャートのようにすることで、実施例1と実施例2の監視処理を1台の監視装置Cで実現することができる。
【0078】
なお、本実施の形態で説明した監視方法は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することにより実現することができる。本監視プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本監視プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0079】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0080】
(付記1)コンピュータを、
領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存手段、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断手段、
前記判断手段によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする監視プログラム。
【0081】
(付記2)前記保存手段は、
さらに、前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記パケットからの配信順を特定する配信番号を保存し、
前記判断手段は、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報と前回保存された所在特定情報との同一性と、前記今回あらたに保存された配信番号と前回保存された配信番号との連続性とを判断し、
前記送信手段は、
前記判断手段によって同一性がなく、かつ、前記配信番号間に連続性がないと判断された所在特定情報を前記特定のサーバに送信することを特徴とする付記1に記載の監視プログラム。
【0082】
(付記3)コンピュータを、
第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信手段によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存手段、
前記保存手段によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断手段、
前記判断手段によって一致すると判断された場合、前記保存手段によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする監視プログラム。
【0083】
(付記4)前記判断手段は、
さらに、前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断し、
前記送信手段は、
前記判断手段によって同一性がないと判断された所在特定情報を前記特定のサーバに送信することを特徴とする付記3に記載の監視プログラム。
【0084】
(付記5)前記保存手段は、
さらに、前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記パケットからの配信順を特定する配信番号を保存し、
前記判断手段は、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報と前回保存された所在特定情報との同一性と、今回あらたに保存された配信番号と前回保存された配信番号との連続性とを判断し、
前記送信手段は、
前記判断手段によって同一性がなく、かつ、前記配信番号間に連続性がないと判断された所在特定情報を前記特定のサーバに送信することを特徴とする付記4に記載の監視プログラム。
【0085】
(付記6)領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存手段と、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断手段と、
前記判断手段によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【0086】
(付記7)第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信手段によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存手段と、
前記保存手段によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって一致すると判断された場合、前記保存手段によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【0087】
(付記8)領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存工程と、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存工程によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断工程と、
前記判断工程によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする監視方法。
【0088】
(付記9)第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信工程によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存工程と、
前記保存工程によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程によって一致すると判断された場合、前記保存工程によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする監視方法。
【符号の説明】
【0089】
A 監視対象エリア
ABR エリア間ルータ
AS 自律システム
ASBR AS境界ルータ
C 監視装置
r ルータ
701 受信部
702 保存部
703 判断部
704 送信部
600 第1のテーブル
1100 第2のテーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを監視する監視プログラム、監視装置、および監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模なIP(Internet Protocol)ネットワークにおいてルーティングの経路を交換するプロトコルにOSPF(Open Shortest Path First)がある。このOSPFプロトコルによりルーティングを行っているIPネットワークにおいて、各ルータのルータIDはOSPFドメイン内において一意でなければならない(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
もし重複して設定してしまうと、各ルータにおいてルーティングが正常に行われなくなる上、ネットワークが不安定となることで各ルータにおけるOSPF経路計算の処理負荷が高くなり、さらにネットワークが不安定になるなど、影響が広範囲に及ぶこともある。
【0004】
ルータIDはネットワークの設計が正しく行われなかったり、設定時に間違えてしまったりすると重複する他、設定後OSPFプロセスの再起動が必要となる場合がほとんどであるため、再起動を忘れてしまうとルータIDが更新されず間違ったまま運用されてしまい重複しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−319962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ルータIDが重複してしまった場合に、重複を見つけ訂正するにはネットワーク管理者に負担がかかり困難である。ルータIDを誤って設定した直後に気付けば良いが、大方はネットワークが不安定になってはじめて何か問題があることに気付く。さらに、このネットワークの不安定はルータID重複が原因である可能性があると判断するまでにはネットワークトラブルシューティングのスキルが必要となる。その上、ネットワークが不安定になっていると各ルータへのアクセスが失敗することもあり、原因箇所特定までに時間を要することとなる。
【0007】
特に、OSPFプロセスの再起動を忘れてしまったためルータIDが重複した場合は、設定と運用中のルータIDが異なるため、ルータIDの重複がネットワーク不安定の原因であるということに気付きにくい。
【0008】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ルータID重複の被疑箇所を容易かつ早期に特定することができる監視プログラム、監視装置、および監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、第1の監視プログラム、監視装置、および監視方法は、領域内の各ルータから配信されたパケットを受信し、受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存し、前記ルータの識別情報ごとに、今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断し、同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信することを要件とする。
【0010】
また、第2の監視プログラム、監視装置、および監視方法は、第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信し、受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存し、保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断し、一致すると判断された場合、保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信することを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
本監視プログラム、監視装置、および監視方法によれば、ルータID重複の被疑箇所を容易かつ早期に特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態にかかるネットワーク構成の一例を示す説明図である。
【図2】図1に示したネットワーク構成の部分拡大図である。
【図3】ルータLSAのデータ構造の一例を示す説明図である。
【図4】ASBRサマリーLSAのデータ構造の一例を示す説明図である。
【図5】実施の形態にかかるコンピュータ(監視装置C、管理サーバSiS)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図6】監視装置Cが保持する第1のテーブルの記憶内容を示す説明図である。
【図7】実施例1にかかる監視装置Cの機能的構成を示すブロック図である。
【図8】リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その1)である。
【図9】リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その2)である。
【図10】リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その3)である。
【図11】監視装置Cが保持する第2のテーブル1100の記憶内容を示す説明図である。
【図12】実施例2での判断処理内容を示す説明図である。
【図13】本実施の形態にかかる監視処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる監視プログラム、監視装置、および監視方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(ネットワーク構成)
図1は、本実施の形態にかかるネットワーク構成の一例を示す説明図、図2は、図1に示したネットワーク構成の部分拡大図である。図1では、複数(図1では例として2個)の自律システム(Autonomous System)ASi,ASjが相互に接続されたネットワークを示している。以降、自律システムを特定しない場合には、「自律システムAS」と表記する。
【0015】
自律システムASは、複数の監視対象エリアに分割されている。たとえば、自律システムASiには、例として4つの監視対象エリアAi1〜Ai4があり、自律システムASjには、例として2つの監視対象エリアAj1〜Aj2がある。以降、監視対象エリアを特定しない場合は、「監視対象エリアA」と表記し、自律システムASi内のある監視対象エリアを「監視対象エリアAi」と表記し、自律システムASj内のある監視対象エリアを「監視対象エリアAj」と表記する。
【0016】
OSPFドメインとなる監視対象エリアA内には、ルータが存在する。図1中、符号が付されていないルータを「ルータr」とする。また、各監視対象エリアAの境界にあるABR(Area Border Router)はエリア間ルータと呼ばれ、パケットはエリア間ルータABRを経由しないと隣接する監視対象エリアAには送られない。監視対象エリアAでは、OSPFプロトコルによりツーティングされる。監視対象エリアAでは各ルータのルータIDは一意でなければならない。
【0017】
また、自律システムASの境界にあるASBR(Autonomous System Boundary Router)はAS境界ルータと呼ばれ、パケットはAS境界ルータASBRを経由しないと隣接する自律システムASには送られない。
【0018】
また、いずれのルータr(ABR,ASBR含む)も、LSA(Link−State Advertisement)をブロードキャストする。LSAとは、リンクステートプロトコルが使うブロードキャストパケットであり、隣接するルータに関する情報を有する。また、エリア間ルータABR以外の通常のルータrはルータLSAと呼ばれるLSAを配信する(図3を参照。)。一方、エリア間ルータABRは、ASBRサマリーLSAと呼ばれるLSAを配信する(図4を参照。)。
【0019】
また、各監視対象エリアAには、監視装置がある。図1では、たとえば、監視対象エリアAi1には監視装置Ci1がある。以降、ある監視対象エリアA内の監視装置を「監視装置C」と表記する。監視装置Cは、当該監視装置Cを含む監視対象エリアA内でのルータIDの重複を検出する。
【0020】
また、管理サーバSiは、監視装置Cからのデータを受信し、どのルータrが被疑箇所であるかを特定する。管理サーバSiは、自律システムASごとに存在する。たとえば、自律システムASi内には管理サーバSiがあり、自律システムASj内には管理サーバSjがある。以降、ある自律システムAS内の管理サーバを「管理サーバS」と表記する。
【0021】
管理サーバSは、自律システムAS内であれば、どの監視対象エリアA内に存在してもよい。また、管理サーバSiSは、その自律システムS内にある監視対象エリアAにある監視装置Cと接続される。図1(図2も同様)では、説明の簡略化のため、管理サーバSiと監視装置Ci1〜Ci4、管理サーバSjと監視装置Cj1〜Cj2が直接接続されているが、実際には、エリア間ルータABRを介して接続することとしてもよい。
【0022】
(LSAのデータ構造)
つぎに、上述したLSAのデータ構造の一例について、図3および図4を用いて説明する。
【0023】
図3は、ルータLSAのデータ構造の一例を示す説明図である。図3に示したように、ルータLSAは、各種フィールドを有する。フィールド群のうち、「アドバタイジングルータ」フィールドは、そのルータLSAを配信した配信元ルータrのルータIDを記憶するフィールドである。ルータIDとは、OSPFにおいて、ルータrを一意に識別するための識別番号である。
【0024】
「シーケンス番号」フィールドは、そのルータLSAのカウント値を記憶するフィールドである。カウント値とは、ルータrがルータLSAを配信する都度、1インクリメントされる値であり、上限に達すると0にリセットされる。ルータLSAは定期的に配信されるため、あるルータrから順次配信されたルータLSAのシーケンス番号は昇順に連続する。
【0025】
「リンク数」フィールドとは、後述する「リンク情報」の繰り返し数を記憶するフィールドである。リンク数は、そのルータrと直接接続されているデバイスの台数であり、たとえば、あるルータrが3台のルータrと直接接続されている場合は、リンク数は3である。
【0026】
「リンク情報」フィールドとは、そのルータrと直接接続されているデバイスとの接続に関する情報を記憶するフィールドである。具体的には、「リンクタイプ」フィールドと「リンクID」フィールドと「リンクデータ」フィールドといったフィールドを有する。「リンクタイプ」フィールドは、リンクの種類を特定する情報を記憶するフィールドである。リンクタイプによりリンクIDとリンクデータの種類が特定される。リンクタイプはルータrの環境によって予め設定される。
【0027】
「リンクID」フィールドは、リンクタイプに応じて特定される識別情報を記憶するフィールドであり、「リンクデータ」フィールドは、リンクタイプに応じて特定されるデータを記憶するフィールドである。
【0028】
たとえば、リンクタイプ:L1がスタブネットワークへの接続を示す情報である場合、リンクIDはネットワーク番号で、リンクデータはマスクとなる。また、リンクタイプによっては、リンクIDを接続相手のルータrのルータID、リンクデータをルータr(自ルータまたは接続相手)のインターフェースアドレス(またはMIB(Management Information Base) IIのifIndex)としてもよい。また、リンクIDを自ルータrのインターフェースアドレス、リンクデータを255.255.255.255としてもよい。
【0029】
図4は、ASBRサマリーLSAのデータ構造の一例を示す説明図である。図4に示したように、ASBRサマリーLSAは、各種フィールドを有する。フィールド群のうち、「アドバタイジングルータ」は、そのASBRサマリーLSAを配信した配信元のエリア間ルータABRのルータIDを記憶するフィールドである。「リンクステートID」は、そのAS境界ルータASBRのルータIDを記憶するフィールドである。
【0030】
(コンピュータのハードウェア構成)
図5は、実施の形態にかかるコンピュータ(監視装置C、管理サーバSiS)のハードウェア構成を示すブロック図である。図5において、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)501と、記憶装置502と、通信インターフェース(I/F)503と、入力装置504と、表示装置505と、を備えている。また、各構成部はバス500によってそれぞれ接続されている。
【0031】
ここで、CPU501は、コンピュータの全体の制御を司る。記憶装置502は、各種プログラムや各種データ、テーブルを記憶している。また、記憶装置502は、CPU501のワークエリアとして使用される。
【0032】
通信I/F503は、通信回線を通じて他のデバイスに接続され、このネットワーク514を介して他の装置に接続される。入力装置504は、ユーザ操作によりデータ入力をおこなう。表示装置505は、各種データを表示するディスプレイである。
【実施例1】
【0033】
つぎに、実施例1にかかる監視装置について説明する。実施例1は、ルータLSAからルータIDの重複設定を検出する例である。
【0034】
(第1のテーブルの記憶内容)
図6は、監視装置Cが保持する第1のテーブルの記憶内容を示す説明図である。第1のテーブル600は、受信したルータLSAに含まれている情報を記憶するテーブルである。第1のテーブル600は、図5に示した記憶装置に記憶されている。第1のテーブル600は、「アドバタイジングルータ」フィールド、「シーケンス番号」フィールド、「リンクタイプ」フィールド、「リンクID」フィールド、「リンクデータ」フィールドを有する。
【0035】
「アドバタイジングルータ」フィールドは、受信したルータLSAを配信した配信元ルータrのルータIDを記憶するフィールドである。「シーケンス番号」フィールドは、受信したルータLSAのカウント値であるシーケンス番号を記憶するフィールドである。「リンクタイプ」フィールドは、リンクの種類を特定する情報を記憶するフィールドである。リンクタイプによりリンクIDとリンクデータの種類が特定される。「リンクID」フィールドは、受信したルータLSAのリンクIDを記憶するフィールドである。「リンクデータ」フィールドは、受信したルータLSAのリンクデータを記憶するフィールドである。
【0036】
たとえば、先頭のレコードは、受信したルータLSAに含まれているアドバタイジングルータ(ルータID):r1、シーケンス番号:54、リンクタイプ:L1、リンクID:nw11,nw12、リンクデータm11,m12を示している。すなわち、シーケンス番号:54のルータLSAを配信したルータID:r1のルータrは、ネットワーク番号:nw11でマスク:m11のルータrおよびネットワーク番号:nw12でマスクm12のルータrとリンクしていることを示している。
【0037】
(実施例1にかかる監視装置Cの機能的構成)
図7は、実施例1にかかる監視装置Cの機能的構成を示すブロック図である。図7において、監視装置Cは、受信部701と保存部702と判断部703と送信部704とを備える。受信部701と保存部702と判断部703と送信部704は、具体的には、たとえば、図5に示した記憶装置502に記憶されたプログラムをCPU501に実行させることにより、または、通信I/F503により、その機能を実現する。
【0038】
受信部701は、領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する機能を有する。具体的には、たとえば、監視対象エリアA内のルータrから配信されたルータLSAを受信する。
【0039】
保存部702は、受信部701によって受信されたパケットに含まれているルータの識別情報および領域内でのルータの所在特定情報を保存する機能を有する。また、パケットからの配信順を特定する配信番号を保存することとしてもよい。具体的には、たとえば、受信されたパケットがルータLSAである場合、ルータLSAに含まれているアドバタイジングルータ(ルータID)やシーケンス番号、リンク情報(リンクタイプ、リンクID、リンクデータ)を第1のテーブル600に保存する。
【0040】
判断部703は、ルータの識別情報ごとに、保存部702によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する機能を有する。具体的には、たとえば、第1のテーブル600にすでに保存済みのアドバタイジングルータのレコードにあるリンク情報と、そのアドバタイジングルータと同一アドバタイジングルータについて今回あらたに保存されたレコードにあるリンク情報との同一性を判断する。
【0041】
ここで、同一性とは、互いのリンク情報内のリンクIDが一致することをいう。また、リンク情報が複数ある場合も、リンク数が一致し、かつ、リンクIDも一致することをいう。たとえば、あるリンクIDが一致していても他のリンクIDが不一致であれば同一ではないと判断される。また、一方のレコードのリンクIDが他方のレコードに存在していない場合も同一ではないと判断される。なお、どの程度まで同一とみなすかはあらかじめ設定しておく。たとえば、1つでも同一リンクIDがあれば、他のリンクIDが欠落していても同一であるとみなしてもよい。
【0042】
このように、同一アドバタイジングルータでリンクIDに同一性があれば、同じルータからのLSAであることがわかる。一方、同一性がない場合、同一のルータIDが異なるルータrにアドバタイジングルータとして与えられていることとなる。すなわち、同一ルータIDが重複設定されていることがわかる。
【0043】
また、判断部703は、ルータの識別情報ごとに、さらに、今回あらたに保存された配信番号と前回保存された配信番号との連続性とを判断することとしてもよい。具体的には、たとえば、同一アドバタイジングルータの前回保存されたレコードにあるシーケンス番号と今回保存されたレコードにあるシーケンス番号が連番であるか否かを判断する。
【0044】
たとえば、シーケンス番号が昇順で与えられる場合、今回のシーケンス番号が前回のシーケンス番号に1加算された値であるかを判断する。ただし、前回のシーケンス番号が上限値に達している場合、今回のシーケンス番号には0が与えられているため、このようなケースも連続するとみなす。また、シーケンス番号が降順で与えられる場合、今回のシーケンス番号が前回のシーケンス番号に1減算された値であるかを判断する。ただし、前回のシーケンス番号が下限値に達している場合、今回のシーケンス番号には上限値が与えられているため、このようなケースも連続するとみなす。
【0045】
このように、リンクIDの同一性だけでなく、シーケンス番号の連続性も判断することで、シーケンス番号が連続していれば、リンクIDの同一性を判断するまでもなく、ルータIDが重複設定されていないとみなすことができる。仮に、シーケンス番号が連番であるときにルータIDが重複設定されていても、次回受信時のルータLSAのシーケンス番号が1加算されているため、比較しあうシーケンス番号が同一の値となって不連続と検出される。
【0046】
したがって、リンクIDの同一性判断に先立って、シーケンス番号の連続性を判断することにより、シーケンス番号が連番であれば、リンクIDの同一性判断を実行する必要がなくなるため、効率的な運用を図ることができる。
【0047】
送信部704は、判断部703によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する機能を有する。具体的には、たとえば、リンクIDが不一致と判断されたリンクIDを管理サーバSiに送信する。また、リンクIDだけでなく、リンクデータを含めて送信することとしてもよい。また、シーケンス番号の連続性も判断する場合は、さらに、シーケンス番号間に連続性がないと判断された場合に、特定のサーバに送信することとしてもよい。
【0048】
図8は、リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その1)である。(A)は、同一性判断処理前の状態、(B)は同一性判断処理後の状態を示している。図8の例では、アドバタイジングルータ:r1のレコードどうしで同一性を判断することとする。なお、一行目のアドバタイジングルータ:r1のレコードRaを前回受信されたルータLSAについての保存済みのレコードとし、最終行のアドバタイジングルータ:r1のレコードRbを今回あらたに保存されたレコードとする。
【0049】
(A)において、レコードRa,Rbのシーケンス番号を比較すると、連番(54と55)になっている。したがって、(B)において、リンクIDの同一性を判断するまでもなく、レコードRbがアドバタイジングルータr1についての最新のレコードとなり、レコードRaは削除される。
【0050】
図9は、リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その2)である。(A)において、レコードRa,Rbのシーケンス番号を比較すると、連番ではない(54と152)。したがって、レコードRa,RbのリンクIDを比較することとなる。レコードRaのリンクIDは、{nw11,nw12}であり、レコードRbのリンクIDは、{nw98,nw99}であるため、リンクIDは不一致である。したがって、リンクID{nw98,nw99}を管理サーバSiに送信することとなる(リンクデータ{m98,m99}を含めてもよい。)。
【0051】
図10は、リンク情報の同一性判断処理前後の第1のテーブル600の記憶内容を示す説明図(その3)である。(A)において、レコードRa,Rbのシーケンス番号を比較すると、連番(54と55)になっている。レコードRa,RbのリンクIDは不一致であるが、(B)において、リンクIDの同一性を判断せず、レコードRbがアドバタイジングルータr1についての最新のレコードとなり、レコードRaは削除される。
【0052】
(C)において、レコードRcが保存される。レコードRcは、レコードRaに対するルータLSAを送信したルータと同一ルータが正常に配信したルータLSAから得られたレコードである。したがって、レコードRaのシーケンス番号54と連番となるシーケンス番号55を有する。しかしながら、レコードRbのシーケンス番号55とは連番にならないため、リンクIDの同一性判断をおこなう。
【0053】
この場合、レコードRb,RcのリンクIDは不一致であるため、リンクID{nw98,nw99}を管理サーバSiに送信することとなる。なお、この場合、レコードRbは削除される。管理サーバSiに送信するリンクIDは、リンクID{nw11,nw12}でもよい。その場合、レコードRbではなくレコードRcが第1のテーブル600から削除される。
【0054】
なお、管理サーバSiでは、ルータIDが重複している可能性が高いことと、受信データに含まれているリンクIDやリンクデータを画面上に表示する。このリンクIDやリンクデータを手がかりにして、ルータIDが重複しているルータの絞込みや特定をすることができる。
【0055】
このように、ルータID重複時にルータIDの重複と被疑箇所の情報が管理サーバSiに通知されるため、迅速な問題解決が可能となる。また、ルータID重複を検出するトラブルシューティングのスキルが不要となるため、ネットワーク管理者が初めてルータID重複の問題に直面した場合などでも問題解決がし易くなる。
【実施例2】
【0056】
つぎに、実施例2にかかる監視装置Cについて説明する。実施例2は、ASBRサマリーLSAからルータIDの重複設定を検出する例である。
【0057】
(第2のテーブル1100の記憶内容)
図11は、監視装置Cが保持する第2のテーブル1100の記憶内容を示す説明図である。第2のテーブル1100は、受信したASBRサマリーLSAに含まれている情報を記憶するテーブルである。第2のテーブル1100は、図5に示した記憶装置に記憶されている。第2のテーブル1100は、「アドバタイジングルータ」フィールド、「リンクステートID」フィールドを有する。
【0058】
「アドバタイジングルータ」フィールドは、受信したASBRサマリーLSAを配信したエリア間ルータABRのルータIDを記憶するフィールドである。「リンクステートID」フィールドは、受信したASBRサマリーLSAに含まれているリンクステートID(AS境界ルータのルータID)を記憶するフィールドである。
【0059】
たとえば、先頭のレコードは、受信したASBRサマリーLSAに含まれているアドバタイジングルータ(ルータID):abr−i1、リンクステートID:asbr−ijを示している。すなわち、ルータID:abr−i1のエリア間ルータABRから配信されたASBRサマリーLSAは、そのエリア間ルータABRを含む自律システムASの境界に位置するリンクステートID:asbr−ijのAS境界ルータASBRに到達することを示している。
【0060】
(実施例2にかかる監視装置Cの機能的構成)
つぎに、実施例2にかかる監視装置Cの機能的構成について説明する。実施例2にかかる監視装置Cの機能的構成は、図7に示した構成と同一構成であるため、実施例2に特有の処理内容について図7を用いて説明する。
【0061】
受信部701は、第1の領域内の各ルータrから配信された第1のパケットを受信する機能を有する。具体的には、たとえば、監視対象エリアA内のルータrから配信されたルータLSAを受信する。また、第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する機能を有する。具体的には、たとえば、エリア間ルータABRから配信されたASBRサマリーLSAを受信する。
【0062】
保存部702は、受信部701によって受信された第1のパケットに含まれているルータの識別情報およびルータの第1の領域内での所在特定情報を保存する機能を有する。具体的には、たとえば、受信されたパケットがルータLSAである場合、LSAに含まれているアドバタイジングルータ(ルータID)やシーケンス番号、リンク情報(リンクタイプ、リンクID、リンクデータ)を第1のテーブル600に保存する。
【0063】
また、保存部702は、受信部701によって受信された第2のパケットに含まれている領域間ルータの識別情報および第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する機能を有する。具体的には、たとえば、受信したパケットがASBRサマリーLSAである場合、ASBRサマリーLSAに含まれているエリア間ルータABRのルータID、監視対象エリアAi1を含む一方の自律システムASiと他方の自律システムASjとのAS境界ルータASBRのルータIDとを第2のテーブル1100に保存する。
【0064】
判断部703は、保存部702によって保存されたルータの識別情報と境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する機能を有する。具体的には、たとえば、第1のテーブル600のアドバタイジングルータと第2のテーブル1100のリンクステートIDとが一致するか否かを判断する。
【0065】
図12は、実施例2での判断処理内容を示す説明図である。図12において、第1のテーブル600の1行目のレコードRaには、アドバタイジングルータとしてルータID:r1が記憶されている。一方、第2のテーブル1100のレコードRdのリンクステートIDには、ルータID:r1が記憶されている。この場合、両者が一致することとなる。
【0066】
送信部704は、判断部703によって一致すると判断された場合、保存部702によって保存されたルータの第1の領域内での所在特定情報と領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する機能を有する。具体的には、たとえば、図12に示したように、レコードRaのリンクID{nw11,nw12}を管理サーバSiに送信する。この場合、リンクデータ{m11,m12}を含めてもよい。また、第2のテーブル1100のレコードRdのアドバタイジングルータ(ルータID):abr−i3を送信することとしてもよい。
【0067】
なお、管理サーバSiでは、ルータIDが重複している可能性が高いことと、受信データに含まれているルータLSAのリンクIDやリンクデータ、ASBRサマリーLSAのアドバタイジングルータを監視画面上に表示する。ASBRサマリーLSAのアドバタイジングルータにはエリア間ルータABRのルータIDが通知されるため、ルータIDが重複しているAS境界ルータASBRが存在するエリアを特定することができる。
【0068】
このようにして、監視対象エリアAにおいてルータIDの重複が発生している可能性が高いことがネットワーク管理者に通知され、さらに被疑箇所を絞ることが可能となる。また、LSAの監視を監視対象ドメインとは別の自律システムAS(監視用で規模の小さい自律システムAS)で行うことでルータID重複時にネットワーク管理者に対して確実な通知が可能となり、問題検出までの時間をより短縮することが可能となる。
【0069】
(監視処理手順)
図13は、本実施の形態にかかる監視処理手順を示すフローチャートである。図13において、ステップS1301〜ステップS1309までの処理の流れが上述した実施例1に相当する。また、ステップS1302から分岐したステップS1310〜S1313までの処理の流れが上述した実施例2に相当する。
【0070】
まず、監視装置Cは、LSAが受信されるのを待ち受け(ステップS1301:No)、LSAが受信された場合(ステップS1301:Yes)、LSAのヘッダからLSAの種類を判断する(ステップS1302)。受信されたLSAがルータLSAである場合(ステップS1302:ルータLSA)、監視装置Cは、ステップS1303〜S1309を実行する。一方、受信されたLSAがASBRサマリーLSAである場合(ステップS1302:ASBRサマリーLSA)、監視装置Cは、ステップS1310〜S1313を実行する。
【0071】
受信されたLSAがルータLSAである場合(ステップS1302:ルータLSA)、監視装置Cは、今回受信されたルータLSAに含まれている情報(アドバタイジングルータ、シーケンス番号、リンク情報)を第1のテーブル600に新規レコードとして保存する(ステップS1303)。
【0072】
そして、監視装置Cは、保存されたアドバタイジングルータと同一のアドバタイジングルータが第1のテーブル600にあるか否かを判断する(ステップS1304)。ない場合(ステップS1304:No)、ステップS1301に戻る。一方、ある場合(ステップS1304:Yes)、監視装置Cは、そのレコードのシーケンス番号と今回保存されたレコードのシーケンス番号が連続するか否かを判断する(ステップS1305)。
【0073】
連続する場合(ステップS1305:Yes)、ステップS1309に移行する。一方、連続しない場合(ステップS1305:No)、監視装置Cは、リンクIDが同一であるか否かを判断する(ステップS1306)。同一である場合(ステップS1306:Yes)、ルータLSAを2重受信したか、判断対象となったシーケンス番号間のシーケンス番号を有するルータLSAが欠落してしまったと判断する。すなわち、実質的にはルータIDの重複がおきていないと判断し、ステップS1309に移行する。
【0074】
一方、リンクIDが同じでない場合(ステップS1306:No)、監視装置Cは、第1のテーブル600における今回受信したルータLSAのレコードからリンク情報を抽出し(ステップS1307)、抽出したリンク情報を管理サーバSiに送信する(ステップS1308)。ステップS1309では、監視装置Cは、前回保存されたルータLSAのレコードを第1のテーブル600から消去して(ステップS1309)、ステップS1301に戻る。
【0075】
また、ステップS1302において、受信されたLSAがASBRサマリーLSAである場合(ステップS1302:ASBRサマリーLSA)、監視装置Cは、第2のテーブル1100において、ASBRサマリーLSAに含まれている情報(アドバタイジングルータ、リンクステートID)を更新する(ステップS1310)。そして、監視装置Cは、第1のテーブル600のアドバタイジングルータと第2のテーブル1100の今回新規レコードとして保存されたリンクステートIDが一致するか否かを判断する(ステップS1311)。一致しない場合(ステップS1311:No)、ルータIDが重複していないこととなり、ステップS1301に移行する。
【0076】
一方、一致する場合(ステップS1311:Yes)、監視装置Cは、ルータIDが重複設定されていることとなるため、一致すると判断されたアドバタイジングルータのリンク情報を抽出し、第2のテーブル1100から一致すると判断されたASBRサマリーLSAのアドバタイジングルータのルータIDを抽出する(ステップS1312)。そして、監視装置Cは、抽出された情報を管理サーバSiに送信して(ステップS1313)、ステップS1301に戻る。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態によればルータID重複時にネットワーク管理者へルータIDの重複と被疑箇所の情報が通知されるため、迅速な問題解決を図ることができる。また、ルータID重複を検出するトラブルシューティングのスキルが不要となるため、ネットワーク管理者が初めてルータID重複の問題に直面した場合などでも問題解決の容易化を図ることができる。また、図13に示したフローチャートのようにすることで、実施例1と実施例2の監視処理を1台の監視装置Cで実現することができる。
【0078】
なお、本実施の形態で説明した監視方法は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することにより実現することができる。本監視プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本監視プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0079】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0080】
(付記1)コンピュータを、
領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存手段、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断手段、
前記判断手段によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする監視プログラム。
【0081】
(付記2)前記保存手段は、
さらに、前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記パケットからの配信順を特定する配信番号を保存し、
前記判断手段は、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報と前回保存された所在特定情報との同一性と、前記今回あらたに保存された配信番号と前回保存された配信番号との連続性とを判断し、
前記送信手段は、
前記判断手段によって同一性がなく、かつ、前記配信番号間に連続性がないと判断された所在特定情報を前記特定のサーバに送信することを特徴とする付記1に記載の監視プログラム。
【0082】
(付記3)コンピュータを、
第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信手段によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存手段、
前記保存手段によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断手段、
前記判断手段によって一致すると判断された場合、前記保存手段によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする監視プログラム。
【0083】
(付記4)前記判断手段は、
さらに、前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断し、
前記送信手段は、
前記判断手段によって同一性がないと判断された所在特定情報を前記特定のサーバに送信することを特徴とする付記3に記載の監視プログラム。
【0084】
(付記5)前記保存手段は、
さらに、前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記パケットからの配信順を特定する配信番号を保存し、
前記判断手段は、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報と前回保存された所在特定情報との同一性と、今回あらたに保存された配信番号と前回保存された配信番号との連続性とを判断し、
前記送信手段は、
前記判断手段によって同一性がなく、かつ、前記配信番号間に連続性がないと判断された所在特定情報を前記特定のサーバに送信することを特徴とする付記4に記載の監視プログラム。
【0085】
(付記6)領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存手段と、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断手段と、
前記判断手段によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【0086】
(付記7)第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信手段によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存手段と、
前記保存手段によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって一致すると判断された場合、前記保存手段によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【0087】
(付記8)領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存工程と、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存工程によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断工程と、
前記判断工程によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする監視方法。
【0088】
(付記9)第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信工程によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存工程と、
前記保存工程によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程によって一致すると判断された場合、前記保存工程によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする監視方法。
【符号の説明】
【0089】
A 監視対象エリア
ABR エリア間ルータ
AS 自律システム
ASBR AS境界ルータ
C 監視装置
r ルータ
701 受信部
702 保存部
703 判断部
704 送信部
600 第1のテーブル
1100 第2のテーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存手段、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断手段、
前記判断手段によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする監視プログラム。
【請求項2】
前記保存手段は、
さらに、前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記パケットからの配信順を特定する配信番号を保存し、
前記判断手段は、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報と前回保存された所在特定情報との同一性と、前記今回あらたに保存された配信番号と前回保存された配信番号との連続性とを判断し、
前記送信手段は、
前記判断手段によって同一性がなく、かつ、前記配信番号間に連続性がないと判断された所在特定情報を前記特定のサーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の監視プログラム。
【請求項3】
コンピュータを、
第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信手段によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存手段、
前記保存手段によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断手段、
前記判断手段によって一致すると判断された場合、前記保存手段によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする監視プログラム。
【請求項4】
領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存手段と、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断手段と、
前記判断手段によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項5】
第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信手段によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存手段と、
前記保存手段によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって一致すると判断された場合、前記保存手段によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項6】
領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存工程と、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存工程によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断工程と、
前記判断工程によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする監視方法。
【請求項7】
第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信工程によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存工程と、
前記保存工程によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程によって一致すると判断された場合、前記保存工程によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする監視方法。
【請求項1】
コンピュータを、
領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存手段、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断手段、
前記判断手段によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする監視プログラム。
【請求項2】
前記保存手段は、
さらに、前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記パケットからの配信順を特定する配信番号を保存し、
前記判断手段は、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報と前回保存された所在特定情報との同一性と、前記今回あらたに保存された配信番号と前回保存された配信番号との連続性とを判断し、
前記送信手段は、
前記判断手段によって同一性がなく、かつ、前記配信番号間に連続性がないと判断された所在特定情報を前記特定のサーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の監視プログラム。
【請求項3】
コンピュータを、
第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信手段、
前記受信手段によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信手段によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存手段、
前記保存手段によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断手段、
前記判断手段によって一致すると判断された場合、前記保存手段によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする監視プログラム。
【請求項4】
領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存手段と、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存手段によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断手段と、
前記判断手段によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項5】
第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信手段によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存手段と、
前記保存手段によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって一致すると判断された場合、前記保存手段によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項6】
領域内の各ルータから配信されたパケットを受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信されたパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記領域内での前記ルータの所在特定情報を保存する保存工程と、
前記ルータの識別情報ごとに、前記保存工程によって今回あらたに保存された所在特定情報とすでに保存された所在特定情報との同一性を判断する判断工程と、
前記判断工程によって同一性がないと判断された所在特定情報を特定のサーバに送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする監視方法。
【請求項7】
第1の領域内の各ルータから配信された第1のパケットを受信するとともに、前記第1の領域と第2の領域との間の領域間ルータから配信された第2のパケットを受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された第1のパケットに含まれている前記ルータの識別情報および前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報を保存するとともに、前記受信工程によって受信された第2のパケットに含まれている前記領域間ルータの識別情報および前記第1の領域を含む一方の自律システムと他方の自律システムとの境界ルータの識別情報とを保存する保存工程と、
前記保存工程によって保存された前記ルータの識別情報と前記境界ルータの識別情報とが一致するか否かを判断する判断工程と、
前記判断工程によって一致すると判断された場合、前記保存工程によって保存された前記ルータの前記第1の領域内での所在特定情報と前記領域間ルータの識別情報とのうち少なくともいずれか一方の情報を特定のサーバに送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする監視方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−130201(P2011−130201A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286878(P2009−286878)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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