説明

監視制御装置

【課題】監視区域に監視カメラのみを設置する簡素な構成によって、コストを抑え、かつ
設置が容易な監視カメラシステムを実現する。
【解決手段】所定の報知除外パターンに応じて光源132の明滅を行なう報知除外信号出力装置130を報知除外者(関係者)に装着させる。監視制御装置110は、監視カメラ120が撮像した画像データをLAN100を通じて取得し、この画像データの撮像画像から動体を検出し、さらに、その動体に属する光源を検出する。そして、この光源で所定の報知除外パターンに基づく発光が行われているかを確認し、所定の報知除外パターンに基づく発光が行われている場合には、この動体を報知除外者と認定する。一方、所定の報知除外パターンを発光する光源を持っていない動体に関しては、報知対象者(不審者)と認定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の人物を除外して不審者のみを特定・報知するための監視カメラシステムにおける監視制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、災害対策、犯罪対策、あるいはテロ対策のために、監視カメラシステムが重要な社会インフラになりつつあり、特に、ネットワークを応用した監視カメラシステムが構築されてきている。ネットワークを応用した監視カメラシステムの典型的な例としては、LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)に接続された監視カメラが、撮像画像の画像データを例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)符号化又はJPEG(Joint Photographic Experts Group)符号化してLANに出力し、LANに接続されたHDD(Hard Disk Drive)レコーダがその画像データを取得して記録したり、監視画像としてモニタ表示したりするものである。
【0003】
また、単純に記録・表示するのみならず、動き検出などの画像センシング処理により、記録・報知の判断を行う技術も発達してきている。例えば、通路を通る不審者を監視する場合、単純な動き検出では映像中の動きがすべて検知されてしまうため、警備員などの関係者が通る際には、その都度動き検出を停止する設定を行う必要がある。しかしながら、この設定は手作業による操作が必要となり、操作が煩わしいという問題がある。また、動き検出の停止の設定中に不審者が通路を通った場合には、不審者の検出・報知を行うことができず、監視システムとしての機能に悪影響が生じるという問題がある。
【0004】
この問題を解決する技術としては、下記の特許文献1に開示されている技術が存在する。この特許文献1には、関係者を報知対象から除外する監視装置が開示されている。この特許文献1に開示されている技術では、画像データから動体を検知し、動体が大きいか小さいかを判定し、同時に動体である人間が関係者であることを示すICカードを所持していた場合、ICカード受信機が関係者であることを識別し、その監視区域に監視除外の対象者が存在することを判別し、最終的に動き大小判定の結果及びICカードによる監視対象者の判別結果から報知条件を判別し、報知を行うこととしている。これにより、例えば幼稚園や学校での監視において、大人と子供を判別し、さらに、大人の中でICカードの情報に基づいて関係者であることを確認した場合は報知対象から除外することで、誤警報を防ぐことが可能となる。
【特許文献1】特開2005−250903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に開示されている技術では、監視カメラとは別にICカードによる判別も行われるため、監視区域にICカード受信機を設置する必要がある。また、監視区域が広くなり、例えば複数の部屋に渡るような場合には、部屋の数に見合ったICカード受信機を設置する必要がなり、コストアップの要因となってしまう。また、ICカードの受信機を設置するための電源工事やネットワーク工事なども必要となる。
【0006】
上記の問題を解決するため、本発明は、簡易なシステム構成によって、監視カメラによる撮像画像に基づく関係者(本明細書では検出除外者、報知除外者、あるいは承認済みの動体と呼ぶこともある)/不審者(本明細書では検出対象者、報知対象者、あるいは未承認の動体と呼ぶこともある)の特定を行うことが可能な監視制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、ネットワークを介して所定の撮像装置で撮像された画像データを受信する画像データ受信手段と、
前記画像データの撮像画像の中から動体を検出する動体検出手段と、
前記動体検出手段で検出された前記動体と共に移動する光源を前記画像データの撮像画像の中から検出する光源検出手段と、
所定の光源発光パターンを特定する情報を格納する光源発光パターン情報格納手段と、
時間と共に変化する前記光源の発光パターンを特定し、前記所定の光源発光パターンと比較する発光パターン比較手段と、
前記光源の発光パターンと前記所定の光源発光パターンとが一致した場合に、前記光源と共に移動する前記動体を承認済みの動体と判断する承認済み動体判断手段と、
前記光源の発光パターンと前記所定の光源発光パターンとが一致しない場合、あるいは前記動体検出手段で検出された前記動体と共に移動する光源が前記光源検出手段によって検出できなかった場合に、前記光源と共に移動する前記動体を未承認の動体と判断する未承認動体判断手段とを、
有する監視制御装置が提供される。
【0008】
さらに、本発明によれば、上記の構成に加えて、前記所定の光源発光パターンの情報に対応する暗号化キーを生成する暗号化キー生成手段と、
前記暗号化キーから前記所定の光源発光パターンを生成して、前記所定の光源発光パターン格納手段に格納する光源発光パターン生成手段と、
前記光源で前記所定の光源発光パターンの発光が行われるように、前記光源に供給するための可搬性記録媒体に前記暗号化キーを格納する暗号化キー格納手段とを、
有する監視制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記の構成を有しており、監視区域には監視装置のみを設置すればよく、コストを抑え、設置を容易にするという利点がある。また、関係者を特定することも可能であるため、関係者の検出を停止する設定を行う必要がなくなり、自動化が可能となるとともに、監視システムの機能が損なわれる期間を設ける必要がないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態における監視制御装置及び監視カメラシステム全体の構成の一例を示す図である。なお、図1では、各装置が保持している機能がブロックによって表されているが、これらの各ブロックは、ハードウェア及び/又はソフトウェア(プログラム)によって実現可能である。
【0011】
図1には、監視制御装置110と監視カメラ120とが、LAN(Local Area Network)100を介して接続されている状態が図示されている。
【0012】
監視制御装置110と監視カメラ120と監視制御装置を接続するLAN100は、監視制御装置110と監視カメラ120との間において制御データや監視画像データを交換するための伝送路であり、例えばイーサネット(登録商標)によって実現可能である。なお、本発明では、監視制御装置110と監視カメラ120との間の通信に任意の通信技術を採用することが可能である。
【0013】
図1に図示されている監視制御装置110は、ネットワークインタフェース111、制御部112、監視画像マトリクス生成部113、動き検出部114、報知除外光源検出部115、報知除外光源明滅検出部116、報知判別部117を有している。
【0014】
ネットワークインタフェース111は、監視制御装置110をLAN100に接続して、同じくLAN100に接続されている他の通信装置(例えば、監視カメラ120)との通信を可能にする機能を有する。ネットワークインタフェース111は、例えば、監視カメラ120から画像データ(監視画像データ)を受信することが可能である。
【0015】
また、制御部112は、ネットワークインタフェース111におけるネットワーク処理の制御や、監視制御装置110における各内部処理の制御を行う機能を有する。なお、制御部112では、ネットワークインタフェース111で受信した画像データの復号処理などの画像処理も行われる。
【0016】
また、監視画像マトリクス生成部113は、監視カメラ120から受信して制御部112で処理された画像データから、動き検出用の2次元テーブルを生成する機能を有する。また、動き検出部114は、監視画像マトリクス生成部113で生成された動き検出用の2次元テーブルに基づいて、画像データの画像内に存在する動体の動きを検出し、その動き検出ブロックを抽出する機能を有する。
【0017】
また、報知除外光源検出部115は、動き検出部114で抽出された動き検出ブロックから報知除外光源を検出し、その報知除外光源を含む報知除外光源ブロックを抽出する機能を有する。また、報知除外光源明滅検出部116は、報知除外光源検出部115で抽出された報知除外光源ブロックから報知除外光源の明滅を検出する機能を有する。また、報知判別部117は、所定の報知除外パターンに関する情報(報知除外パターン情報)を有しており、この報知除外パターン情報と、報知除外光源明滅検出部116によって検出された報知除外光源の明滅の検出情報とを照合する機能を有する。
【0018】
一方、監視カメラ120はいわゆるネットワークカメラであり、ある撮像範囲を撮像し、撮像された画像データ(監視画像データ)をLAN100を介して監視制御装置110に送信する機能を有している。図1に図示されている監視カメラ120は、ネットワークインタフェース121、撮像部122を有している。
【0019】
ネットワークインタフェース121は、監視カメラ120をLAN100に接続して、同じくLAN100に接続されている他の通信装置(例えば、監視制御装置110)との通信を可能にする機能を有する。ネットワークインタフェース121は、例えば、撮像部122で撮像された撮像画像(画像データ)を監視制御装置110に送信することが可能である。
【0020】
また、撮像部122は、ある撮像範囲を撮像し、その撮像画像を加工して画像データを生成する機能を有している。撮像部122で生成された画像データは、ネットワークインタフェース121に供給されて、所定の通信装置(例えば、監視制御装置110)に送信される。なお、撮像部122で撮像される画像は、動画像(映像)であってもよく、また、静止画像であってもよい。すなわち、撮像部122によって撮像された画像は、例えばMPEG圧縮又はJPEG圧縮されて、LAN100に出力される。
【0021】
また、図1には、報知除外パターン設定部131及び光源132を有する報知除外信号出力装置130が図示されている。
【0022】
報知除外パターン設定部131は、光源132による発光制御を行う機能を有している。特に、報知除外パターン設定部131は、所定の報知除外明滅パターンに関する情報を有しており、この報知除外明滅パターンに基づいて、光源132の発光制御(明滅制御)を行う機能を有している。また、光源132は、光を発する任意の発光体であり、高輝度LED(Light Emitting Diode)などが用いられる。
【0023】
なお、本明細書では、報知除外パターンとして、主に、光源132が光を発する場合と、光を消す場合とを時間に応じて変化させる報知除外明滅パターンを一例に挙げて説明する。しかしながら、報知除外パターンは、この光源132の明滅を規定する報知除外明滅パターンに限定されるものではなく、例えば、光源132からの発光の強弱や発光色の変化など、光源132による発光の態様を任意に変化させることによって定まるパターンを利用することが可能である。
【0024】
また、光源132が発光の態様を変化させる周期は、監視カメラ120が撮像する画像データのフレーム数(周期)に同期されていることが望ましい。例えば、監視カメラ120において一般的な1/30秒のフレームで動画が撮像されていると仮定し、光源132が発光の態様を変化させる周期を、この1/30秒の整数倍とすることが望ましい。これにより、光源132が報知除外パターンに基づいて発光の態様を変化させている状態が、監視カメラ120の撮像画像から容易に判別できるようになる。
【0025】
また、図2は、本実施の形態である監視カメラシステムにおいて、監視カメラ120と報知除外信号出力装置130の物理的な配置位置の関係の一例を示す図である。
【0026】
図2において、監視カメラ120は通路の天井に設置されており、この通路の一部を撮像することによって、通路を往来する物体(人物)を撮像することが可能である。また、図2には、報知除外者210と報知対象者(不審者)220が図示されている。報知除外者210は、この通路を通ることを許可された人物であり、報知除外信号出力装置130を身に付ける必要がある。なお、図2では、報知除外者210は、報知除外信号出力装置130が取り付けられたヘルメットを頭に装着している。
【0027】
一方、報知対象者220は、報知除外者210を除くすべての人物であり、本実施の形態による動作によれば、報知除外信号を出力する報知除外信号出力装置130を身に付けていない人物は、報知対象者220とみなされることになる。
【0028】
次に、図1に図示されている監視制御装置110、監視カメラ120、報知除外信号出力装置130のそれぞれにおける処理について説明する。
【0029】
まず、報知除外信号出力装置130における処理の一例について説明する。報知除外信号出力装置130は、報知除外パターン設定部131による設定(報知除外パターンに関する情報による設定)に基づいて、光源132から特定の報知除外パターンに基づく発光を行うことが可能である。
【0030】
図2に図示されているように、報知除外者210は、報知除外信号出力装置130を有しており、特定の報知除外パターンに基づく発光を行いながら、移動している。一方、報知対象者220は、報知除外信号出力装置130を有しておらず、特定の報知除外パターンの発光を行うことができない。
【0031】
こうした報知除外パターン設定部131によって設定される報知除外パターンに関する情報としては、例えば、図3に図示されているような報知除外明滅パターンに関する情報が挙げられる。図3には、本発明の実施の形態において、報知除外信号出力装置130から出力される報知除外信号の報知除外パターン(報知除外明滅パターン)の一例が図示されている。
【0032】
図3に図示されている報知除外明滅パターンでは、各フレームにおける光源132の発光状態(光源132を点灯する場合は“1”、消灯する場合は“0”で表されている)が規定されている。ここで、基本信号パターンとして、パターンa=“1100”、パターンb=“111100”、パターンc=“11110000”、パターンd=“11111100”、パターンe=“111111000000”と表記した場合、図3に図示されている報知除外明滅パターンは、“aaaaaaaabcdeaaaaaaaa”と表される。
【0033】
報知除外パターン設定部131は、この報知除外明滅パターン(98フレーム)を1周期として、光源132の発光状態(点灯/消灯)の制御を繰り返し行うことによって、光源132が特定の報知除外明滅パターンに従って明滅を繰り返し行うようになる。
【0034】
一方、監視カメラ120は、図2に図示されているように、所定の撮像範囲を撮像し続けており、その撮像画像の画像データを監視制御装置110に送信し続けている。このとき、報知除外者210や報知対象者220が監視カメラ120の撮像範囲内に入ると、撮像画像内に報知除外者210や報知対象者220が写り込むことになる。
【0035】
次に、監視カメラ120で撮像された撮像画像の画像データを受信する監視制御装置110における処理について説明する。なお、監視制御装置110の処理は、例えば、時系列的に受信する画像データ(フレーム)に含まれる撮像画像に動体が撮像されている場合に、この動体に光源が存在しているかを確認する処理と、光源が存在している場合に、この光源が特定の報知除外パターンの発光を行っているかを確認する処理の2つの処理に大別される。
【0036】
図4には、本発明の実施の形態における監視制御装置110によって行われる撮像画像に関する処理の一例を示すフローチャートが図示されており、図5には、本発明の実施の形態における監視制御装置110によって行われる発光パターンの照合処理の一例を示すフローチャートが図示されている。
【0037】
図4において、監視制御装置110は、定期的に(常に)LAN100を通じて監視カメラ120から画像データを受信しており(ステップS401)、この画像データに基づいて、撮像画像内の動体(動いている物体)を検出する(ステップS403)。なお、動体が検出されない場合には、次の画像データ(フレーム)が入力されるまで待機状態となる。
【0038】
このステップS403における動体の検出処理では、例えば、まず監視画像マトリクス生成部113において、図6に図示されているような動き検出用の2次元テーブルが画像データから生成される。次に、動き検出部114が、監視画像マトリクス生成部113によって生成された動き検出用の2次元テーブルを用いて撮像画像内の動体の動きを検出し、動き検出ブロックを検出する。なお、図6には、報知除外者210が撮像された撮像画像が一例として図示されており、上記の動き検出ブロックの検出によって、報知除外者210が含まれる検出枠Aが抽出される。
【0039】
次に、監視制御装置110は、ステップS403で検出された撮像画像内の動体に基づいて、光源を検出する(ステップS405)。このステップS405における光源の検出処理では、例えば、報知除外光源検出部115が、動き検出部114によって抽出された動き検出ブロック(すなわち、図6の検出枠A)の中から、光源を含む光源検出ブロック(すなわち、図6の検出枠B)を抽出する。
【0040】
なお、光源検出の原理の一例として、あらかじめ輝度信号のピーク閾値を決めておき、その閾値を超えたブロックを光源ブロックとみなす方法が挙げられるが、その他の方法を採用することも可能である。その他の方法の例としては、各ブロックにおいて、所定時間分の時系列的な明滅の変化を検出する方法がある。また、抽出する光源検出ブロックは、光源が検出された1ブロックを中心として、その周囲ブロックを含む範囲とすることが望ましい。このような範囲に設定することによって、次の撮像画像(次のフレーム)で動体の移動に伴って光源の位置が移動した場合でも、前の撮影画像に含まれる動体と同一の動体に属する光源であることが判断できるようになる。
【0041】
ステップS405で光源が検出された場合には、監視制御装置110の報知除外光源明滅検出部116が、報知除外光源検出部115によって抽出された光源検出ブロックから光源の明滅状態(点灯/消灯状態)を検出し、その状態を報知判別部117に渡す(ステップS407)。例えば、光源が点灯している場合には検出値=1、光源が消灯している場合には検出値=0とする。
【0042】
なお、光源が消灯状態の場合には、ステップS405において、報知除外光源検出部115は、その撮像画像だけからでは光源検出ブロックを抽出できない。しかしながら、前の撮像画像で光源検出ブロックを抽出できていれば、報知除外光源検出部115は、前の撮像画像の光源検出ブロックに関する情報を報知除外光源明滅検出部116に渡し、報知除外光源明滅検出部116は、その光源検出ブロック(さらには、動体の移動を考慮した範囲のブロック)中で光源が見つからない(消灯している)場合に、検出値=0を報知判別部117に渡すことができる。
【0043】
また、ステップS405で光源が検出されなかった場合には、この動体は報知除外光源出力装置130を着用しておらず、報知対象者であるとみなすことができる(ステップS409)。ただし、上述のように光源が消灯している場合などには光源が検出できない可能性があるので、複数枚の撮像画像(フレーム)を検証して、光源の存在の有無を判断する必要がある。
【0044】
以上の処理を、監視カメラ120から供給される撮像画像(フレーム)ごとに行うことによって、報知判別部117には時系列的に光源の明滅パターンが供給される。なお、複数の光源が検出された場合には、各光源の明滅パターンが供給されることが望ましい。
【0045】
また、光源が特定の報知除外パターンの発光を行っているかを確認するために、図5に図示されているような光源の明滅パターンの照合処理が行われる。
【0046】
図5において、報知判別部117は、報知除外光源明滅検出部116によって検出された光源の明滅パターンと、自身があらかじめ保持している報知除外パターンとを照合する(ステップS501)。例えば、報知判別部117では、パターン比較回路又はパターン比較ソフトウェアによって、報知除外光源明滅検出部116から渡された時系列の1/0パターン(検出値)が、自身が保持する報知除外パターンと一致しているか否かが判断される。
【0047】
例えば、図3に図示されている報知除外パターンが設定されている場合、報知判別部117は、報知除外光源明滅検出部116から渡される検出値の時系列的な配列が、報知除外パターン“aaaaaaaabcdeaaaaaaaa”と一致するか否かが判断される。
【0048】
なお、ステップS501における照合の原理としては、例えば、基本信号パターンaを照合同期パターンとして、パターン比較回路又はパターン比較ソフトウェアにおいて、報知除外光源明滅検出部116から供給される明滅検出の時系列の1/0パターンと報知除外パターンのテーブルを同期化し、パターン“bcde”について照合する手法が挙げられるが、パターン照合の原理は特に限定されるものではない。
【0049】
ステップS501で明滅パターンの一致が確認された場合には、報知判別部117は、その光源が属する動体が報知除外者である旨を制御部112に通知する。制御部112は、例えば、動体が報知除外者であるという通知を一定期間連続的に受けると、その動体が報知対象者であると認定する(ステップS503)。その結果、この動体(報知除外者)は不審者として報知されない。
【0050】
一方、ステップS501で明滅パターンの一致が確認されなかった場合には、報知判別部117は、その光源が報知除外信号出力装置130によるものではないか、あるいは、あらかじめ監視制御装置110で設定されている報知除外パターンとは異なる明滅パターンを出力していると判断し、その光源が属する動体が報知対象者である旨を制御部112に通知する。制御部112は、例えば、動体が報知対象者であるという通知を一定期間連続的に受けると、その動体が報知対象者であると認定する(ステップS505)。その結果、この動体(報知対象者)は不審者として報知される。
【0051】
なお、複数の光源が1つの動体に属していることが検出されている場合には、複数の光源の少なくとも1つから報知除外パターンが出力されていることが確認されると、その動体が報知除外者として認定される。
【0052】
以上の処理によって、監視制御装置110は、遠隔に設置されている監視カメラ120からの映像を解析することによって、特定の発光パターンを出力している動体(特定の発光パターンを出力する報知除外信号出力装置を保持している報知除外者)とそれ以外の動体(報知対象者)とを識別することが可能となる。これによって、監視カメラ120の映像に撮像された不審者のみを特定し、不審者の存在を報知することができるようになる。
【0053】
なお、光源から発せられる報知除外パターンが固定されていると、その報知除外パターンが盗まれてしまう可能性がある。すなわち、光源の報知除外パターンがビデオカメラなどで撮像されてそのパターンが解析されてしまうと、その報知除外パターンを出力する光源が模倣され、第3者が関係者(報知除外者)になりすます不正が行われてしまう危険性がある。
【0054】
このような危険性に対処するため、暗号化キーを生成する機能を監視制御装置110に追加するとともに、この暗号化キーをパラメータとして報知除外パターンを生成する機能を監視制御装置110及び報知除外信号出力装置130に追加する。監視制御装置110は、メモリカードが装着されると、新たな暗号化キーを生成してこの暗号化キーに対応した報知除外パターンを生成するとともに、この暗号化キーをメモリカード(可搬性記録媒体)にコピーする。そして、このメモリカードが報知除外信号出力装置130に装着されると、報知除外信号出力装置130は、メモリカード内の暗号化キーに対応した報知除外パターンを生成し、この報知除外パターンに基づいて光源132が発光を行うことで、報知除外パターンが容易に変更可能となり、不正を防ぐことが可能となる。
【0055】
また、上述の説明では、報知除外パターンによって、報知除外者と報知対象者との識別を行っている場合について説明しているが、さらに、各関係者(あるいは各報知除外信号出力装置)に対してそれぞれ異なる報知除外パターンを割り当てることによって、監視制御装置110は、報知除外者がどの関係者なのか(あるいは、光源がどの報知除外信号出力装置から出力されているか)を特定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、監視区域には監視カメラのみを設置すればよく、コストを抑え、設置を容易にするという効果を有しており、特定の人物を除外して不審者のみを特定・報知するための監視技術に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態における監視制御装置及び監視カメラシステム全体の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る監視カメラシステムにおいて、監視カメラと報知除外信号出力装置の物理的な配置位置の関係の一例を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施の形態において、報知除外信号出力装置から出力される報知除外信号のパターンの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における監視制御装置110によって行われる撮像画像に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における監視制御装置110によって行われる発光パターンの照合処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態において、撮像画像から抽出された動体を含む動き検出ブロック(検出枠A)と、光源を含む光源検出ブロック(図6の検出枠B)との位置関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
100 LAN
110 監視制御装置
111、121 ネットワークインタフェース
112 制御部
113 監視画像マトリクス生成部
114 動き検出部
115 報知除外光源検出部
116 報知除外光源明滅検出部
117 報知判別部
120 監視カメラ
122 撮像部
130 報知除外信号出力装置
131 報知除外パターン設定部
132 光源
210 報知除外者(関係者)
220 報知対象者(不審者)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して所定の撮像装置で撮像された画像データを受信する画像データ受信手段と、
前記画像データの撮像画像の中から動体を検出する動体検出手段と、
前記動体検出手段で検出された前記動体と共に移動する光源を前記画像データの撮像画像の中から検出する光源検出手段と、
所定の光源発光パターンを特定する情報を格納する光源発光パターン情報格納手段と、
時間と共に変化する前記光源の発光パターンを特定し、前記所定の光源発光パターンと比較する発光パターン比較手段と、
前記光源の発光パターンと前記所定の光源発光パターンとが一致した場合に、前記光源と共に移動する前記動体を承認済みの動体と判断する承認済み動体判断手段と、
前記光源の発光パターンと前記所定の光源発光パターンとが一致しない場合、あるいは前記動体検出手段で検出された前記動体と共に移動する光源が前記光源検出手段によって検出できなかった場合に、前記光源と共に移動する前記動体を未承認の動体と判断する未承認動体判断手段とを、
有する監視制御装置。
【請求項2】
前記所定の光源発光パターンの情報に対応する暗号化キーを生成する暗号化キー生成手段と、
前記暗号化キーから前記所定の光源発光パターンを生成して、前記所定の光源発光パターン格納手段に格納する光源発光パターン生成手段と、
前記光源で前記所定の光源発光パターンの発光が行われるように、前記光源に供給するための可搬性記録媒体に前記暗号化キーを格納する暗号化キー格納手段とを、
有する請求項1に記載の監視制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−250898(P2008−250898A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94517(P2007−94517)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】