説明

監視制御装置

【課題】本発明は、複数種類のネットワークと接続することができるとともに、それぞれのネットワークからの信号を一時的に記憶した後に、その送信元に応じて振り分けて処理ができる監視制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】監視制御装置1は、バスバッファ15を挟んで、バス回線16に接続されたネットワーク処理部13a,13b,14による通信用ブロックと、バス回線17に接続された制御部18、メモリ部19、及びデータメモリ部20a,20b,21による制御用ブロックとを、備える。バスバッファ15は、ネットワーク処理部13a,13b,14で受信された信号を一時的に記憶した後、制御部18に送出する。そして、制御部18は、ネットワーク指定テーブルT1を参照して、バスバッファ15から送出される信号に対して、対応する通信プロトコルに基づく処理を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置や照明器具などの設備機器の監視・制御を行う監視制御装置に関するものであって、特に、管理サーバと上位ネットワークで通信を行うと同時に設備機器と下位ネットワークで通信を行う監視制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、照明装置、空調装置、警報器、及び電気錠などといった設備機器の制御や監視を行う監視制御システムにおいて、通信方式の異なる複数のネットワークで階層化した遠隔監視制御システムが提供されている。この遠隔監視制御システムは、複数の設備機器を監視制御する監視制御装置を備えるとともに、管理サーバが複数の監視制御装置と通信を行う構成とされ、複数の設備機器が、管理サーバから監視制御装置を介して集中的に遠隔制御されるようになっている。このような遠隔監視制御システムの1つとして、監視制御装置となるローカル制御装置と、管理サーバとなるセンターサーバとをネットワークで接続し、被制御機器となる設備機器をセンターサーバにより遠隔制御する遠隔制御システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の遠隔制御システムは、複数の被制御機器と通信を行う伝送線に接続された複数のローカル制御装置が、インターネットなどのネットワークを通じてセンターサーバに接続された構成となっている。この遠隔制御システムでは、センターサーバがローカル制御装置にネットワークを通じて制御コマンドを送信すると、この制御コマンドがローカル制御装置より被制御機器に伝送線を通じて送信されて、被制御機器が制御コマンドによる動作を実行する。即ち、センターサーバによって、ローカル制御装置を通じた被制御機器の動作の遠隔制御が実行される。
【0004】
このような遠隔制御システムを含む、遠隔監視制御システムでは、ローカル制御装置などの監視制御装置が、通信プロトコルの異なる複数のネットワークと接続する。そのため、監視制御装置は、管理サーバと設備機器との間を仲介する通信を行う際、それぞれのネットワークの通信プロトコルに応じた信号に変換して、管理サーバと設備機器との間の通信を行う。又、このような監視制御装置のように、異なる通信プロトコルの複数のネットワークと接続される場合、それぞれのネットワークと接続されるインターフェースを備えた通信制御装置を備えた構成とされる。
【0005】
更に、複数のネットワークと接続する通信制御装置として、空調装置の監視制御を行うためのLAN、及び、照明器具の監視制御を行うためのLANそれぞれと接続されたものが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2の通信制御装置は、接続された異なるLANとの通信制御を行うもので、それぞれのLANと上位CPUとの間での通信を確立するために、通信制御CPUを設けた構成となっている。この通信制御装置は、上位CPUによる処理に基づいて、空調装置又は照明器具を監視制御するために、それぞれが通信を行うLANに接続されるLAN制御CPUが、通信制御CPUにより選択されて、上位CPUと接続され、その通信が確立される。即ち、特許文献2に示す通信制御装置は、異なるLANとの通信を確立するために、通信制御CPUにより、上位CPUと接続されるLAN制御CPUが選択されて接続される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−081582号公報
【特許文献2】特開平09−130874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の通信制御装置に代表される、従来の通信制御装置を有する監視制御装置とした場合、その通信制御装置により、ネットワークが切り換えられて、監視制御装置が通信を行う。そのため、通信の対象となるネットワークと接続されるインターフェースを切り換えるための通信制御CPUなどによる処理装置が必要となり、その装置構成が複雑なものとなる。又、複数のインターフェースのうちの1つを選択して通信を行う構成であるため、その通信が完了するまで、選択されていないインターフェースによる通信が停止されることとなり、通信にかかる時間が長くなってしまう。
【0008】
このような問題を鑑みて、本発明は、複数種類のネットワークと接続することができるとともに、それぞれのネットワークからの信号を一時的に記憶した後に、その送信元に応じて振り分けて処理ができる監視制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の監視制御装置は、異なる通信プロトコルによる複数のネットワークと接続して、該複数のネットワークそれぞれと通信を行う監視制御装置であって、前記複数のネットワークのそれぞれに送受する信号を処理する複数のネットワーク処理部と、該複数のネットワーク処理部それぞれで受信された後に処理された信号を一時的に記憶するバッファと、前記ネットワーク処理部それぞれで受信される信号の送信元となる機器のアドレスと、該機器が属するネットワークとの関係を記憶したネットワーク指定テーブルと、前記バッファに一時的に記憶された信号を読み出した後、前記ネットワーク指定テーブルを参照して、送信元の機器のアドレスより当該信号が送信されたネットワークを確認し、確認したネットワークの通信プロトコルに基づいて当該信号を処理する制御部と、該制御部で処理された信号を、その信号が伝送されたネットワーク毎に記憶するデータメモリ部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このような監視制御装置において、前記制御部は、前記ネットワークそれぞれへ送信する信号を生成し、生成した当該信号を前記バッファに一時的に記憶させ、前記バッファに一時的に記憶された当該信号を、その送信先となるネットワークに対応したネットワーク処理部に送出して処理した後、当該ネットワークに送信する。
【0011】
更に、前記ネットワーク処理部が、設備機器と通信を行う下位ネットワークに接続される第1ネットワーク処理部と、前記設備機器を遠隔監視制御する管理サーバと通信を行う上位ネットワークに接続される第2ネットワーク処理部とであり、前記第1ネットワーク処理部が、前記設備機器の動作状態を示す監視用信号を受信したとき、該監視用信号を前記制御部で処理した後に、前記第2ネットワーク処理部が該監視用信号を前記管理サーバに送信する一方で、前記第2ネットワーク処理部が、設備機器を制御する制御信号を受信したとき、該制御信号を前記制御部で処理した後に、前記第1ネットワーク処理部より対象となる設備機器に該制御信号を送信するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、異なる通信プロトコルを利用する複数のネットワークと通信する際、それぞれのネットワークから受信した信号をバッファに一時的に記憶した後に制御部に送出し、制御部では、ネットワーク指定テーブルを参照して、その信号の送信元のアドレスより、対応する通信プロトコルを確認する。これにより、各ネットワークから受信した信号を一度にバッファに記憶させた後、制御部において、ネットワーク毎に応じた信号処理を施すことができる。よって、監視制御装置の装置構成を簡単化できるとともに、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】は、本発明の監視制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】は、図1に示す監視制御装置を備えた遠隔監視制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】は、図1に示す監視制御装置のメモリに記憶された、ネットワーク指定テーブルの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。図1は、本実施形態の監視制御装置の内部構成を示すブロック図である。図2は、図1に示す監視制御装置を備えた遠隔監視制御システムの構成を示すブロック図である。尚、監視制御装置について、図1に示すように、2つの下位ネットワークに接続される構成のものを例に挙げて説明するが、1つの下位ネットワークと接続する構成であってもよいし、3つ以上の下位ネットワークと接続する構成であってもよい。
【0015】
図1に示す監視制御装置1は、設備機器である空調装置3a(図2参照)を監視制御するための下位ネットワークの伝送線L1aと接続されるコネクタ部11aと、設備機器である照明機器3b(図2参照)を監視制御するための下位ネットワークの伝送線L1bと接続されるコネクタ部11bと、遠隔監視制御システム全体を集中的に管理する管理サーバ2(図2参照)と通信を行う上位ネットワークの伝送線L2と接得されるコネクタ部12とを備える。そして、監視制御装置1は、コネクタ部11a,11b,12それぞれと接続されるネットワーク処理部13a,13b,14と、バス回線16を介してネットワーク処理部13a,13b,14それぞれと信号の送受を行うバスバッファ15と、バス回線17を介してバスバッファ15と信号の送受を行う制御部18と、制御部18による信号処理動作を実行するためのプログラムやネットワーク指定テーブルT1などを記憶するメモリ部19と、制御部18で処理された信号を記憶するデータメモリ部20a,20b,21とを備える。
【0016】
この監視制御装置1は、バスバッファ15を挟んで、バス回線16に接続されたネットワーク処理部13a,13b,14による通信用ブロックと、バス回線17に接続された制御部18、メモリ部19、及びデータメモリ部20a,20b,21による制御用ブロックとが、設けられた構成となる。即ち、通信用ブロックで受信された信号は、バス回線16を通じてバスバッファ15に与えられて、バスバッファ15で一時的に格納された後、バス回線17を介して制御用ブロックに送出される。一方、通信用ブロックより送信される信号は、制御用ブロックからバス回線16を通じてバスバッファ15に与えられて、バスバッファ15で一時的に格納された後、バス回線16を介して通信用ブロックに送出される。
【0017】
図2に示す遠隔監視制御システムは、図1に示す構成の監視制御装置1を複数備えるとともに、複数の監視制御装置1と上位ネットワークNT2を介して通信を行う管理サーバ2と、監視制御装置1のそれぞれと下位ネットワークNT1を介して通信を行う設備機器である、空調装置3a、照明機器3b、警報器3c、及び電気錠3dと、を備える。下位ネットワークNT1それぞれには、1つの監視制御装置1に対して、複数の設備機器(空調装置3a、照明機器3b、警報器3c、及び電気錠3dに相当する)が接続され、その動作が、監視制御装置1により監視制御される。
【0018】
尚、図2に示す遠隔監視制御システムでは、その説明を簡単にするために、下位ネットワークNT1それぞれには、空調装置3a、照明機器3b、警報器3c、及び電気錠3dのそれぞれが設置されるのみの構成としているが、例えば、空調装置3aについては、温水又は冷水の流量を制御する制御弁、熱交換後の温風又は冷風を排出するファン、ダクトを流れる温風又は冷風を室内に流入させるダンパーなどを有するとともに、室内温度を設定温度に調整するために、制御弁やダンパーの開度及びファンによる送風量を制御するコントローラを有している。そして、この空調装置3aのコントローラは、下位ネットワークNT1に接続されて、監視制御装置1と通信を行う。又、照明機器3bを監視制御するネットワークNT1については、照明機器3bをON/OFFを行うリレーを有する制御端末装置や、照明装置3bのON/OFF操作を受け付ける操作端末が接続される。
【0019】
このような遠隔監視制御システムは、監視制御装置1が、下位ネットワークNT1に接続される設備機器(空調装置3a、照明機器3b、警報器3c、及び電気錠3dに相当する)に制御信号を送信して、その動作を制御するとともに、設備機器から信号を受信して、その設備機器の動作状態を監視する。このとき、下位ネットワークNT1に接続される監視制御装置1、空調装置3a、照明機器3b、警報器3c、及び電気錠3dのそれぞれには、アドレスが割り付けられ、下位ネットワークNT1上で伝送される信号には、送信先となる機器のアドレスと、送信元となる機器のアドレスが含まれる。この監視制御装置1、空調装置3a、照明機器3b、警報器3c、及び電気錠3dのそれぞれに割り当てられるアドレスは、その下位ネットワークNT1における通信プロトコルに応じた方式に従って設定される。
【0020】
又、管理サーバ2は、上位ネットワークNT2を通じて、複数の監視制御装置1と通信を行うことによって、下位ネットワークNT1に接続されている設備機器それぞれが、監視制御装置1を介して、管理サーバ2により遠隔監視制御される。即ち、管理サーバ2により設備機器を遠隔制御する場合は、管理サーバ2からの制御信号が、上位ネットワークNT2を通じて監視制御装置1に送信される。又、監視制御装置1は、設備機器それぞれの動作状態を示す監視用信号を、上位ネットワークNT2を通じて管理サーバ2に送信する。この上位ネットワークNT2は、使用する通信プロトコルとして、例えば、BACnetプロトコルが利用される。そして、上位ネットワークNT2に接続される監視制御装置1及び管理サーバ2それぞれは、上位ネットワークNT2の通信プロトコルに従った、IPアドレスなどによるアドレスが割り付けられる。この上位ネットワークNT2上で伝送される信号についても、送信先となる機器のアドレスと、送信元となる機器のアドレスが含まれる。
【0021】
即ち、図2に示す遠隔監視制御システムにおいて、管理サーバ2が、特定の設備機器を所定の動作状態で動作させるための制御信号を生成すると、この制御信号を、その設備機器を監視制御する監視制御装置1に対して、上位ネットワークNT2を通じて送信する。よって、制御信号を管理サーバ2から受信した監視制御装置1は、受信した制御信号に対して信号処理を施し、制御対象となる設備機器と、制御する動作状態とを確認する。そして、監視制御装置1は、制御対象となる設備機器を指定された動作状態とする制御信号を生成し、この制御信号を、制御対象となる設備機器に対して、下位ネットワークNT1を通じて送信する。この制御信号を受信した設備機器は、管理サーバ2により指定された動作状態となるように制御される。
【0022】
一方、設備機器からその動作状態を示す監視用信号が、下位ネットワークNT1を通じて、監視制御装置1に送信されると、監視制御装置1は、受信した監視用信号に対して信号処理を施すことによって、設備機器の動作状態を確認する。そして、監視制御装置1は、確認した設備機器の動作状態を示す監視用信号を生成して、この生成した監視用信号を、管理サーバ2に対して、上位ネットワークNT2を通じて送信する。よって、管理サーバ2は、監視制御装置1からの監視用信号を受信して、その信号の内容を解析することで、設備機器の動作状態を確認し、設備機器の遠隔監視を行う。
【0023】
この管理サーバ2による遠隔監視制御を実現するために設置された監視制御装置1の動作について、図1に示す構成のものを例に挙げて、以下に説明する。監視制御装置1は、メモリ部19内に、コネクタ部11a,11b,12それぞれに接続された下位ネットワーク及び上位ネットワークそれぞれの通信プロトコルに応じた信号処理動作のためのプログラム以外に、図3に示すような構成のネットワーク指定テーブルT1を記憶している。このメモリ部19に記憶されるネットワーク指定テーブルT1は、設備機器である空調装置3a及び照明機器3bそれぞれのアドレスと管理サーバ2のアドレスに対して、その通信に利用するネットワークを指定する構成となっている。
【0024】
尚、図3のネットワーク指定テーブルT1では、空調装置3aが接続される下位ネットワークを「NT1a」とし、照明機器3bが接続される下位ネットワークを「NT1b」とし、管理サーバ2が接続される上位ネットワークを「NT2」としている。又、図3のネットワーク指定テーブルT1では、空調装置3aのアドレスを「A1」〜「A3」とし、照明機器3bのアドレスを「B1」〜「B5」とし、管理サーバ2のアドレスを「C1」とする。よって、ネットワーク指定テーブルT1において、アドレス「A1」〜「A3」に対して、空調装置3aが接続される下位ネットワーク「NT1a」が、アドレス「B1」〜「B5」に対して、照明機器3bが接続される下位ネットワーク「NT1b」が、アドレス「C1」に対して、管理サーバ2が接続される上位ネットワーク「NT2」が、それぞれ関連づけられて記憶される。
【0025】
このようなネットワーク指定テーブルT1を有する監視制御装置1は、ネットワーク処理部13a,13b,14のそれぞれにおいて、コネクタ部11a,11b,12それぞれに接続された伝送線L1a,L1b,L2より送信された信号を受信する。ネットワーク処理部13a,13b,14はそれぞれ、受信した信号に対して復号処理を施した後、バス回線16を介してバスバッファ15に送出する。即ち、バスバッファ15は、ネットワーク処理部13a,13b,14それぞれで受信した信号を、その受信した順番に受けて、一時的に記憶する。このとき、ネットワーク処理部13a,13b,14のそれぞれからバスバッファ15に送出される信号には、制御部18を送出先とするデータが含まれる。よって、ネットワーク処理部13a,13b,14のそれぞれから送出されてバスバッファ15に記憶された信号は、順番に制御部18に送信される。
【0026】
バスバッファ15に一時的に記憶された制御部18への信号は、バス回線17を通じて、制御部18に与えられると、制御部18は、バスバッファ15より送出された信号に含まれる送信元アドレスを確認する。そして、制御部18は、メモリ部19内のネットワーク指定テーブルT1を参照して、バスバッファ15からの信号が、いずれのネットワークを通じて受信した信号であるかを認識する。そして、制御部18は、認識したネットワークに応じた通信プロトコルによるプログラムをメモリ部19より読み出し、このプログラムに従って、信号処理を行った後、処理した信号をデータメモリ部20a,20b,21のいずれかに格納する。
【0027】
即ち、制御部18は、バスバッファ15からの信吾に含まれる送信元アドレスが、「A1」〜「A3」のいずれかである場合は、下位ネットワークNT1aから送信された信号であることを認識するため、この下位ネットワークNT1aにおける通信プロトコルに基づいて信号処理を行った後、バス回線17を通じて、データメモリ20aに格納する。同様に、送信元アドレスが「B1」〜「B5」のいずれかである場合は、制御部18は、下位ネットワークNT1bにおける通信プロトコルに基づいて信号処理を行った後、バス回線17を通じて、データメモリ20bに格納し、送信元アドレスが「C1」である場合は、制御部18は、上位ネットワークNT2における通信プロトコルに基づいて信号処理を行った後、バス回線17を通じて、データメモリ21に格納する。これによって、制御部18は、下位ネットワークNT1a,NT1b及び上位ネットワークNT2それぞれより受信した信号毎に、信号処理を施した後、処理後のそれぞれの信号をデータメモリ20a,20b,21に振り分けることができる。
【0028】
制御部18で処理された信号が上位ネットワークNT2からの制御信号の場合、制御部18は、再び、バス回線17を通じて、データメモリ21から読み出し、その制御信号の内容を解析して、空調機器3a及び照明機器3bのいずれを制御するための信号であるかを確認する。そして、空調機器3aに対する制御信号である場合は、制御部18は、下位ネットワークNT1aに送信するための制御信号に変換し、バス回線17を通じて、バスバッファ15に送出する。一方、照明機器3bに対する制御信号である場合は、制御部18は、下位ネットワークNT1bに送信するための制御信号に変換し、バス回線17を通じて、バスバッファ15に送出する。このようにバスバッファ15に送出する際、下位ネットワークNT1aに送信する制御信号に、ネットワーク処理部13aを送出先とするデータを付随させる一方で、下位ネットワークNT1bに送信する制御信号に、ネットワーク処理部13bを送出先とするデータを付随させる。
【0029】
その後、バスバッファ17に一時的に記憶された制御信号は、付随された送信先を示すデータに応じて、バス回線16を通じて、ネットワーク処理部13a,13bに送出される。即ち、空調装置3aに対する制御信号は、ネットワーク処理部13aで下位ネットワークNT1aの通信プロトコルに応じた信号に変換された後、コネクタ部11aより伝送線L1aに送信される。これにより、制御対象とされる空調装置3aに対して、下位ネットワークNT1aを通じて、その制御信号が監視制御装置1より送信される。又、照明機器3bに対する制御信号は、ネットワーク処理部13bで下位ネットワークNT1bの通信プロトコルに応じた信号に変換された後、コネクタ部11bより伝送線L1bに送信されて、制御対象とされる照明機器3bに対して、下位ネットワークNT1bを通じて送信される。この制御信号それぞれには、送信先となる制御対象の空調装置3a又は照明機器3bのアドレスと、送信元である監視制御装置1のアドレスとが、情報として含まれている。
【0030】
又、制御部18で処理された信号が下位ネットワークNT1a,NT1bそれぞれからの監視用信号である場合、制御部18は、再び、バス回線17を通じて、データメモリ20a,20bのそれぞれから読み出す。このとき、制御部18は、データメモリ20aから読み出した監視用信号を解析することで、空調装置3aの動作状態を確認するとともに、データメモリ20bから読み出した監視用信号を解析することで、空調機器3bの動作状態を確認する。そして、制御部18は、空調装置3a及び照明機器3bそれぞれの動作状態を示す監視用信号を生成して、バス回線17を通じて、バスバッファ15に送出する。このようにバスバッファ15に送出する際、その監視用信号に、ネットワーク処理部14を送出先とするデータを付随させる。
【0031】
その後、バスバッファ17に一時的に記憶された監視用信号は、バス回線16を通じて、ネットワーク処理部14に送出されて、上位ネットワークNT2の通信プロトコルに応じた信号に変換された後、コネクタ部12より伝送線L2に送信される。これにより、管理サーバ2に対して、下位ネットワークNT2を通じて、設備機器それぞれの動作状態を示す監視用信号が監視制御装置1より送信される。この監視用信号には、送信先となる管理サーバ2のアドレスと、送信元である監視制御装置1のアドレスとが、情報として含まれている。
【0032】
又、監視用制御装置1は、メモリ部19に、下位ネットワークNT1の空調装置3a及び上位ネットワークNT2の照明機器3bそれぞれに対して、所定時刻に所定の動作状態とするタイムスケジュール情報や、連動させる設備機器の関係を示す連動機器情報を記憶している。制御部18は、メモリ部19のタイムスケジュール情報又は連動機器情報を参照することによって、所定の時刻又は所定の設備機器の動作の認知をトリガとして、このトリガによって動作する設備機器とその動作状態を認識する。そして、制御部18は、制御対象とする設備機器を所定の動作状態に制御するための制御信号を生成して、バスバッファ15にバス回線17を介して送出する。そして、バスバッファ15に一時的に記憶された制御信号は、空調装置3aを制御対象とする信号である場合、ネットワーク処理部13aに送出される一方で、照明機器3bを制御対象とする信号である場合、ネットワーク処理部13bに送出される。その後、コネクタ11a,11bそれぞれか下位ネットワークNT1a,NT1bそれぞれの伝送線L1a,L1bに送信されることで、目的とする空調装置3a又は照明機器3bを制御する。
【符号の説明】
【0033】
1 監視制御装置
2 管理サーバ
3a 空調装置
3b 照明機器
3c 警報器
3D 電気錠
11a,11b コネクタ部
12 コネクタ部
13a,13b ネットワーク処理部
14 ネットワーク処理部
15 バスバッファ
16,17 バス回線
18 制御部
19 メモリ部
20a,20b データメモリ部
21 データメモリ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる通信プロトコルによる複数のネットワークと接続して、該複数のネットワークそれぞれと通信を行う監視制御装置であって、
前記複数のネットワークのそれぞれに送受する信号を処理する複数のネットワーク処理部と、
該複数のネットワーク処理部それぞれで受信された後に処理された信号を一時的に記憶するバッファと、
前記ネットワーク処理部それぞれで受信される信号の送信元となる機器のアドレスと、該機器が属するネットワークとの関係を記憶したネットワーク指定テーブルと、
前記バッファに一時的に記憶された信号を読み出した後、前記ネットワーク指定テーブルを参照して、送信元の機器のアドレスより当該信号が送信されたネットワークを確認し、確認したネットワークの通信プロトコルに基づいて当該信号を処理する制御部と、
該制御部で処理された信号を、その信号が伝送されたネットワーク毎に記憶するデータメモリ部と、
を備えることを特徴とする監視制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記ネットワークそれぞれへ送信する信号を生成し、生成した当該信号を前記バッファに一時的に記憶させ、
前記バッファに一時的に記憶された当該信号を、その送信先となるネットワークに対応したネットワーク処理部に送出して処理した後、当該ネットワークに送信することを特徴とする監視制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記ネットワーク処理部が、設備機器と通信を行う下位ネットワークに接続される第1ネットワーク処理部と、前記設備機器を遠隔監視制御する管理サーバと通信を行う上位ネットワークに接続される第2ネットワーク処理部とであり、
前記第1ネットワーク処理部が、前記設備機器の動作状態を示す監視用信号を受信したとき、該監視用信号を前記制御部で処理した後に、前記第2ネットワーク処理部が該監視用信号を前記管理サーバに送信する一方で、
前記第2ネットワーク処理部が、設備機器を制御する制御信号を受信したとき、該制御信号を前記制御部で処理した後に、前記第1ネットワーク処理部より対象となる設備機器に該制御信号を送信することを特徴とする監視制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−28571(P2011−28571A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174547(P2009−174547)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】