説明

監視制御装置

【課題】メモリの使用量の増大がシステムの動作に影響を与えることを回避する。
【解決手段】仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量を所定期間ごとに測定する測定部と、前記測定部における測定により前記仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量が閾値を超えていることが所定回数検出されると前記仮想計算機の所定の区画への物理メモリの割当量を増加する変更を行なう制御部とを有する監視制御装置を提供する。前記仮想計算機は、メモリ領域として使用可能な補助記憶領域へとアクセスするページング処理部を有し、ページング処理部を介して補助記憶領域と接続され、前記測定部は、前記補助記憶領域への所定の区画に割り当てられたメモリリソースの補助記憶領域へのアクセス回数を測定してメモリリソースの使用量を測定してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資源を共有しているソフトウェア論理区画のメモリの使用量を監視し、メモリの割り当ての制御を行なう監視制御装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
計算機を仮想化し、仮想化された計算機に対応させてソフトウェア論理区画を動作させる仮想化技術が知られている(例えば、特許文献1−4参照。)。このような仮想化技術においては、1台のハードウェアである計算機上に複数の仮想化された計算機を動作させ、それぞれの仮想化された計算機に対応させてシステムをソフトウェア論理区画として動作させることが可能となる。
【0003】
これにより、システムを個別のハードウェアである計算機で動作させたように、システムを独立させて動作させ、一つのシステムに対する不正侵入などの影響が他のシステムに波及することを防止することができる。また、システムを独立させて動作させつつ、本来であればシステムの数に応じた複数台のハードウェアの導入が必要であったものが、より少ない台数のハードウェアの導入で済ませることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,564,903号明細書
【特許文献2】特開2002−182934号公報
【特許文献3】特開平09−081401号公報
【特許文献4】特開2004−199561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハードウェアの台数よりも多くのシステムを動作させる場合には、それぞれのシステムへのハードウェア資源の割り当てを考慮する必要がある。例えば、あるシステムのメモリの使用量が増大し、メモリの使用量が物理メモリ量を超えると、より速度の遅い外部ストレージなどをページングスペースとして用いることとなり、パフォーマンスが著しく低下することとなる。そのため、十分な物理メモリ量を確保する必要がある。しかし、負荷が最大の場合に備えた物理メモリ量を用意するとなると、コスト高となり、通常は、物理メモリ量に常に余剰が出てしまう状況となってしまう。そのため、近年、複数の論理区画において物理メモリのプールを共用可能である技術が開発されている。この技術により、物理メモリ容量を削減することができるが、メモリの使用量が一定量を超えると、やはりページングスペースが用いられることとなり、パフォーマンスが著しく低下することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態として、仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量を所定期間ごとに測定する測定部と、前記測定部における測定により前記仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量が閾値を超えていることが所定回数検出されると前記仮想計算機の所定の区画への物理メモリの割当量を増加する変更を行なう制御部とを有する監視制御装置を提供する。
【0007】
本発明の一実施形態として、監視制御装置と計算機とを備える計算機システムであって、前記計算機は、前記計算機で動作する仮想計算機の所定の区画へのメモリリソースの割当を制御する区画管理プログラムを有し、前記監視制御装置は、前記計算機における仮想計算機のメモリリソースの使用量を所定期間ごとに測定する測定部と、前記測定部における測定により前記仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量が閾値を超えていることが所定回数検出されると前記仮想計算機の所定の区画への物理メモリの割当量を増加する変更を行なう制御部とを有する計算機システムを提供する。
【0008】
本発明の一実施形態として、計算機で動作する仮想計算機のメモリリソースの使用量を制御する計算機システムの動作方法であって、仮想計算機のメモリリソースの使用量を所定期間ごとに測定し、前記測定により前記仮想計算機のメモリリソースの使用量が閾値を超えていることが所定回数検出されると前記仮想計算機への物理メモリの割当量を増加する変更を行なうことを含む計算機システムの動作方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メモリの使用量が増大したことを自動で検知し、それに伴い物理メモリの量を増加するので、従来よりもメモリの使用量の増大がシステムの動作に影響を与えることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る計算機システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態においてメモリ監視の方法について説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る計算機システムの変形例の機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る計算機システムの変形例の機能ブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る計算機システムの監視制御装置の処理のフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る計算機システムの監視制御装置の処理のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る計算機システムの監視制御装置の変形例の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について説明を行なう。なお、本発明は以下の説明に限定されることはなく、種々に変形をして実施することが可能である。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る監視制御装置を備える計算機システムの機能ブロック図を示す。計算機システム100は、計算機101と監視制御装置102とを備える。計算機101は、複数の区画として、区画(103−1)、区画(103−2)、…区画(103−M)、区画(103−N)を有する。また、計算機101は、共有メモリ104a及び専有メモリ104bを有する。
【0013】
区画(partition)とは、仮想的な計算機を意味する。すなわち、区画それぞれは、計算機101で動作するプロセスとして実現され、プロセスそれぞれにおいては、仮想化されたオペレーティングシステムが動作し、仮想化されたオペレーティングシステム上で、仮想化されたオペレーティングシステムのプロセスを動作させることができる。区画は、共有メモリ区画と専用メモリ区画とに分類される。共有メモリ区画は、共有メモリ104aを使用するように構成した論理区画であって、他の共有メモリ区画と共有メモリ104aを共有する。専用メモリ区画は、専用メモリ104bを単独で使用するように構成した論理区画である。図1においては、区画から区画は共有メモリ区画であって、区画Nは専用メモリ区画である。
【0014】
計算機101においては、共有メモリ104a及び専用メモリ104bは、メモリプール、すなわち物理メモリ内でそれぞれ確保されたメモリ領域である。共有メモリ104aは共有メモリ区画において使用するメモリプールであって、同一プールを複数の区画が共用するように構成されている。専用メモリ104bは、専用メモリ区画が単独で使用するメモリプールである。物理メモリ中、共有メモリ104a及び専用メモリ104bのいずれにも使用されていない未使用領域を、未使用メモリ領域104cとする。なお、物理メモリはいわゆる主記憶装置である。
【0015】
また、計算機101は、区画管理プログラム105を有する。区画管理プログラム105は、共有メモリ104aを管理し、各区画へと割り当てるメモリの量を決定する。共有メモリを区画それぞれに割り当てる。区画管理プログラム105は共有メモリ104aから各共有メモリ区画に割り当てられるメモリの量を、各区画のワークロードと、各共有メモリ区画のメモリ構成に基づいて決定する。
【0016】
各共有メモリ区画に割り当てるメモリの量の合計は、共有メモリ104aのメモリの量より大きくてもよい。区画管理プログラム105は、共用メモリ104aを仮想化して管理しており、各共用メモリ区画がアクティブに使用していないメモリページを他の共有メモリ区画へと割り当てることができる。計算機101は、通常の動作時においては、各共有メモリ区画がある一時点において使用するメモリの合計量をカバーするのに十分な物理メモリのメモリプールを有する。
【0017】
もっとも、各共有メモリ区画において、予期しない負荷が発生し、各共有メモリ区画が使用するメモリの合計量が物理メモリのメモリプールのメモリ量を超える、物理的にオーバーコミットした状態が生じることがある。この場合には、区画管理プログラム105は、ページング処理部106を介して補助記憶領域300へとアクセスし、補助記憶領域300を物理メモリのメモリプールとともに、共有メモリ区画の論理メモリとして用いる。補助記憶領域は、例えば外部ストレージや、ページングスペースであって、主記憶装置を補助する記憶装置である。主記憶装置である物理メモリ及び補助記憶領域を総称して、ここではメモリリソースと呼ぶ。ページング処理部106は例えば論理区画であり、仮想化された入出力インターフェースである。物理的にオーバーコミットした状態が生じると、計算機101において、ページング処理部106を介して、共有メモリ104aの補助記憶領域300へのページアウトが行われる。ページング処理部106は2つの論理区画により構成されてもよく、これにより冗長化されていてもよい。
【0018】
なお、図1において、区画が複数示されているが、区画が一つである場合もある。また、複数の共有メモリや専用メモリを有する場合もある。
【0019】
監視制御装置102からの要求に応じて、区画管理プログラム105またはページング処理部106より、区画によるメモリの使用状況は監視制御装置102に伝達される。例えば監視制御装置102の測定部108から要求を受けると、区画管理プログラム105またはページング処理部106から、メモリの使用状況として、ページアウトなどの補助記憶領域300へのアクセスの発生が監視制御装置102へと伝達されてもよい。
【0020】
監視制御装置102は、パラメータ記憶部107を有する。パラメータ記憶部107は、物理メモリのメモリプールの共有メモリ104aまたは専用メモリ104bのそれぞれへの割当量を記憶する。また、パラメータ記憶部107は、後述する測定部108から計算機101へとメモリリソースの使用量を確認するための命令を送信するタイミングを記憶し、測定部108からメモリ割当制御部109や表示部111へと通知を行う処理の起点となるメモリ使用量の閾値も記憶する。
【0021】
監視制御装置102は、また、測定部108と、メモリ割当制御部109と、メモリ割当部110とを有する。測定部108は、計算機101へとメモリリソースの使用量を確認するための命令を送信し、メモリリソースの使用量を所定期間ごとに測定する。より詳しくは、計算機101の区画管理プログラム105やページング処理部106へと計算機101内における、共有メモリ104aのメモリ使用状況を確認するための命令を送信し、メモリ使用状況を測定する。例えば、ページアウトの発生回数を確認するための命令を送信し、ページング処理部106よりページアウト発生回数を受信することにより測定する。メモリ使用状況の測定は、連続的に行なわれてもよいし、時間間隔を置いて行なわれてもよい。例えば、1分毎に測定が行なわれてもよい。測定するタイミングは、パラメータ記憶部107に記憶された、メモリ使用状況を確認するための命令を送信するタイミングに応じたものとなる。メモリ使用状況を確認するために計算機101へと送信する命令は、計算機101のオペレーティングシステムの種類に応じて異なってよい。
【0022】
また、測定部108は、測定したメモリ使用状況およびパラメータ記憶部107に記憶されたメモリ使用量の閾値を超えた場合に、メモリ割当制御部109へと、その動作を制御するための通知を行う。例えば、測定部108は、所定期間におけるページアウト発生回数が閾値を所定回数超えた場合に、物理メモリのオーバーコミット状態が継続しているものと判定して、メモリ割当制御部109へと、その動作を制御するための通知を行ってもよい。なお、ページアウト回数は、補助記憶領域300へのアクセス回数の例示であって、ページインの回数等その他の補助記憶領域300に対するアクセス回数を測定してもよく、測定したアクセス回数が閾値を所定回数超えたか否かにより動作を制御するための通知を行ってよい。
【0023】
メモリ割当制御部109は、測定部108が測定した消費量およびパラメータ記憶部107に記憶されたパラメータ値に応じて、共有メモリ104aまたは専用メモリ104bのそれぞれに割り当てられるメモリ量を制御する。メモリ量の制御として、例えば、共有メモリ104aまたは専用メモリ104bのそれぞれに割り当てられる物理メモリのメモリプールのメモリ量を増減させる。計算機101においては、あらかじめ物理メモリについて、共有メモリ104aまたは専用メモリ104bのいずれにおいても使用されていない未使用メモリ領域104cを確保しておき、共有メモリ104aまたは専用メモリ104bのそれぞれに割り当てられるメモリプールのメモリ量の増減に対応できるようにしておく。
【0024】
メモリ割当部110は、メモリ割当制御部109の制御に応じて、共有メモリ104aまたは専用メモリ104bのそれぞれに割り当てられるメモリの量を制御する。具体的には、監視制御装置102と計算機101との通信経路を通じて、計算機101に制御信号を送信し、共有メモリ104aに新たに物理メモリの未使用メモリ領域104cを割り当てて共有メモリ104aのメモリ量を増加させ、または共有メモリ104aへの一部のメモリプールの割り当てを中止し、未使用メモリ領域104cメモリ量を増加させ、メモリ使用量を制御する。
【0025】
例えば、測定部108において、共用メモリ104aにつき過去1分の1秒間あたりのページアウト回数を1分ごとに測定する。1秒間あたりのページアウトの発生回数について100回を閾値とする。そして、例えば5分の間、すなわち5回の測定において連続して閾値を超えたか否かをメモリ割当制御部109への通知基準とした場合を図2を参照して説明する。aの期間においては、ページアウトの発生回数が、1回閾値を超えているが、その1分後の測定においては閾値を超えなかった。そのため、測定部108においては、aの期間では、メモリ割当制御部109への通知を行わない。bの期間においては、ページアウトの発生回数が、5分間の測定において連続して閾値を超えている。そのため、測定部108においては、連続5回目に閾値を超えたことを測定した時点において、物理メモリ量の不足をメモリ割当制御部109に通知する。通知を受信したメモリ割当制御部109は、共用メモリ104aへのメモリの割り当て量の増加をメモリ割当部110へと命令する。命令を受信したメモリ割当部110は、未使用メモリ領域104cの一部または全部を共用メモリ104aのメモリプールとして使用するよう計算機101へと制御信号を送信する。計算機101において、共有メモリ104aに物理メモリの未使用メモリ領域104cを割り当てて共有メモリ104aのメモリ量を増加させる。メモリ量の増加を確認後、パラメータ記憶部107は、増加後のメモリ量及び使用しているメモリ領域を記憶する。メモリ量の割当量を増加させたため、cの時点においては、共用メモリ104aとして十分なメモリの量が割り当てられているため、ページアウトが発生しない。
【0026】
メモリ割当量の増加後、所定の期間を経過すると、物理メモリの共有メモリ104aへの割当量の増加の解除が行われる。例えば、メモリ割当量の増加後、測定部108が、所定期間ごとにページアウト回数を測定し、閾値を超えない状態が継続し、その後予め設定した所定の期間が経過すると、測定部108は、メモリ割当制御部109へとページアウト回数が、閾値を超えない旨の通知を行う。通知を受信したメモリ割当制御部109は、共用メモリ104aへのメモリの割当量を予め定めた所定の量へと戻すよう、メモリ割当部110へと命令する。命令を受信したメモリ割当部110は、共用メモリ104aのメモリプールの一部を未使用メモリ領域104cへと戻すよう計算機101へと制御信号を送信する。計算機101において、共有メモリ104aのメモリプールの一部を物理メモリの未使用メモリ領域104cへと変更して共有メモリ104aのメモリ量を所定の量へと変更する。メモリ量の変更を確認後、パラメータ記憶部107は、変更後のメモリ量及び未使用メモリ領域104cとなった領域を記憶する。
【0027】
なお、ページアウト回数が閾値を超えないことが所定回数確認されたことを条件として、物理メモリの共有メモリ104aへの割当量の増加の解除を行ってもよい。
【0028】
本実施形態によれば、メモリの使用量が増大したことを自動で検知し、それに伴い物理メモリの割当量を増加するので、従来よりもメモリの使用量の増大がシステムの動作に影響を与えることを回避することができる。また、その後メモリの使用量を自動で元に戻すため、必要以上のメモリを割り当てることがなく、コストパフォーマンスに優れたリソース管理を行うことができる。
【0029】
なお、本実施形態に係る監視制御装置は、計算機を用いて実現することが可能である。計算機はCPU、メモリ、二次記憶装置、入出力装置などを有する。そこで、パラメータ記憶部107は、メモリあるいは二次記憶装置に対応させ、測定部108は、入出力装置を介して計算機101より資源の消費量を受信するプログラムをCPUにより実行することに対応させることができる。メモリ割当制御部109は、測定部108に対応するプログラムより測定の結果を表す情報を取得するプログラムをCPUにより実行することに対応させることができる。また、メモリ割当部110は、メモリ割当制御部109に対応するプログラムより制御情報を取得し、入出力装置を介してメモリの割当量を制御する制御命令を送信するプログラムをCPUにより実行させることに対応させることができる。
【0030】
本実施形態に係る監視制御装置の変形例として、図3に示すように、計算機システムの管理者等の監視制御装置102の利用者へとアラートを表示する表示部111を有してもよい。測定部108は、ページアウト発生回数が閾値を所定回数超えた場合に、物理メモリのオーバーコミット状態が継続していると判定し、表示部111へと、その動作を制御するための通知を行う。表示部111は、通知を受信すると、アラートを表示し、監視制御装置102の利用者へと物理メモリのオーバーコミット状態が継続していることを通知する。表示部111は、アラートの表示を監視モニターへと表示により行ってもよいし、また警告音を発して行ってもよい。
【0031】
なお、さらに本実施形態に係る監視制御装置他の変形例として、図4に示すように、メモリ割当制御部109及びメモリ割当部110を有さず、表示部111を有する簡便な構成としてもよい。
【0032】
次に、図5及び図6を参照して、本発明の一実施形態に係る計算機システムの動作方法を説明する。
【0033】
図5は、本発明の一実施形態に係る計算機システムの監視制御装置の処理のフローチャートである。図5を参照して、監視制御装置102の処理のうち、共有メモリ104aへのメモリ割当量を増加させる処理を説明する。
【0034】
まず、所定期間が経過した時点(S101)、例えば1分間隔で監視を行う設定とした場合には1分が経過すると、測定部108により、計算機101へとメモリ使用状況を確認する命令を送信し、所定の間における、例えば1秒間あたりの、共有メモリ104aのページアウト回数を測定する(S102)。
【0035】
次に、測定部108より、ページアウト回数が予め設定した閾値を超えるかを判断する(S103)。例えば閾値が100である場合、測定部108は、ページアウト回数が100回を超えたかを判断する。閾値を超えなかった場合は、再度、ステップS101から処理を繰りかえす。
【0036】
ページアウト回数が閾値を超えた場合、ページアウト回数が、所定回数を超えたかを判断する(S104)。ここで、所定回数は、単純にページアウト回数が閾値を超えた回数でもよく、また、連続して閾値を超えた回数や、所定期間内に閾値を超えた回数でもよい。所定回数を超えなかった場合は、再度、ステップS101から処理を繰りかえす。
【0037】
閾値を超えた回数が、所定回数に達した場合、測定部108は、上述のとおりメモリ割当制御部109へと通知を行い、メモリ割当制御部109がパラメータ記憶部107を参照し、メモリ割当量を増やすための制御信号をメモリ割当部110へと送り、メモリ割当部110から計算機101へと、共用メモリ104aへのメモリ割当量を増やすための制御信号を送信する。これにより、共用メモリ104aへのメモリ割当量が増加する(S105)。
【0038】
なお、図7に示すように、図5に示した実施形態の変形例として、メモリ割当量を自動で増やすステップS105に代えて、ページアウト回数が所定回数閾値を超えたことを示すアラートをシステム管理者などの監視制御装置の利用者へと表示してもよい(S106)。また、メモリ割当量を増やすステップS105を行うとともに、アラートを表示するステップS106を行ってもよい。
【0039】
次に、図6を参照して、共有メモリ104aのメモリ割当量の増加を解除する処理を説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る計算機システムの監視制御装置の処理のフローチャートである。
【0040】
測定部108は、計算機101へとメモリ使用状況を確認する命令を送信し、共有メモリ104aの所定期間における所定単位あたりのページアウト回数を測定する(S201)。測定部108は、ページアウト回数が予め定めた閾値以下であるかを判定する(S202)。閾値は、メモリの割当量を増加させる際の閾値よりも低い値とするなど、異なる値を設定してもよい。ページアウト回数が閾値を超える場合には、所定期間経過後、S201から処理を繰り返す。
【0041】
ページアウト回数が閾値以下である場合、測定部108は、予め定めた期間が経過したかを判定する(S203)。例えば、メモリ割当量増加処理後から1時間という期間を定めた場合、メモリ割当量増加処理後から1時間を経過しているかを判定する。ページアウト回数が閾値を超える場合には、所定期間経過後、S201から処理を繰り返す。
【0042】
予め定めた期間が経過していると判定された場合、測定部108は、上述のとおりメモリ割当制御部109へと通知を行い、メモリ割当制御部109がパラメータ記憶部107を参照し、メモリ割当量を所定の量へ戻すための制御信号をメモリ割当部110へと送り、メモリ割当部110から計算機101へと、共用メモリ104aへのメモリ割当量を所定の量へ戻すための制御信号を送信する。これにより、共用メモリ104aへのメモリ割当量が所定の量へと戻る(S204)。
【0043】
本実施形態によれば、メモリの使用量が増大したことを自動で検知し、それに伴い物理メモリの割当量を増加するので、従来よりもメモリの使用量の増大がシステムの動作に影響を与えることを回避することができる。また、その後メモリの使用量を自動で元に戻すため、必要以上のメモリを割り当てることがなく、コストパフォーマンスに優れたリソース管理を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量を所定期間ごとに測定する測定部と、
前記測定部における測定により前記仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量が閾値を超えていることが所定回数検出されると前記仮想計算機の所定の区画への物理メモリの割当量を増加する変更を行なう制御部と
を有する監視制御装置。
【請求項2】
前記仮想計算機は、メモリ領域として使用可能な補助記憶領域へとアクセスするページング処理部を有し、ページング処理部を介して補助記憶領域と接続され、
前記測定部は、前記補助記憶領域への所定の区画に割り当てられたメモリリソースの補助記憶領域へのアクセス回数を測定してメモリリソースの使用量を測定する
ことを特徴とする請求項1に記載の監視制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記仮想計算機の所定の区画への物理メモリの割当量の増加後、所定の期間を経過すると、前記物理メモリへの割当量の増加の解除を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の監視制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記仮想計算機の所定の区画への物理メモリの割当量の増加後、前記測定部が、メモリリソースの使用量が閾値を超えないことを所定回数確認すると、前記物理メモリへの割当量の増加の解除を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の監視制御装置。
【請求項5】
前記測定部における測定により前記仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量が閾値を超えていることが所定回数検出されるとアラートを表示する表示部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の監視制御装置。
【請求項6】
仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量を所定期間ごとに測定する測定部と、
前記測定部における測定により前記仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量が閾値を超えていることが所定回数検出されるとアラートを表示する表示部と
を有する監視制御装置。
【請求項7】
監視制御装置と計算機とを備える計算機システムであって、
前記計算機は、
前記計算機で動作する仮想計算機の所定の区画へのメモリリソースの割当を制御する区画管理プログラムを有し、
前記監視制御装置は、
前記計算機における仮想計算機のメモリリソースの使用量を所定期間ごとに測定する測定部と、
前記測定部における測定により前記仮想計算機の所定の区画におけるメモリリソースの使用量が閾値を超えていることが所定回数検出されると前記仮想計算機の所定の区画への物理メモリの割当量を増加する変更を行なう制御部と
を有する計算機システム。
【請求項8】
計算機で動作する仮想計算機のメモリリソースの使用量を制御する計算機システムの動作方法であって、
仮想計算機のメモリリソースの使用量を所定期間ごとに測定し、
前記測定により前記仮想計算機のメモリリソースの使用量が閾値を超えていることが所定回数検出されると前記仮想計算機への物理メモリの割当量を増加する変更を行なうことを含む計算機システムの動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−109556(P2013−109556A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253679(P2011−253679)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(598049322)株式会社三菱東京UFJ銀行 (200)
【Fターム(参考)】