目に見える多層の外観を有する飲料を濃縮液から分配する方法と装置
本発明は適正な希釈比率で濃縮液を希釈することによって得られた目で見える外観の多層を備えた飲料を分配する方法に関するものである。第一の液体層(10)が先ず制御された濃度で送給される。容器において第一の液体層と比較して目で見てはっきりした層を提供するようにより濃度の低い第二の液体層を第一の液体層の空間的に上方に留まるようにさせた安定した層状配置を第一と第二の層が形成するように第二の液体層(12)が第一の液体層の濃度よりも低い濃度まで希釈される。本発明はまた、分配装置と、該分配装置が本発明の方法に従って多層の外観を備えた飲料を送給できるようにする機械で読み取り可能なプログラムとにも関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目に見える多層の液体を飲用容器に提供する、熱いか、あるいは冷たい飲料を手頃に分配することに関するものである。特に、本発明は自動化された分配装置を介して濃縮液から再生した飲料を分配することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
泡状ミルクを上に載せたコーヒから形成されるカプチーノタイプの飲料がある。これらの飲料は、先ずミルクを泡立たせ、カップにその泡を送給し、次いで泡を通して液状コーヒを提供することによって自動分配器において比較的容易につくられる。
【0003】
層状にしたカプチーノタイプの飲料はコーヒ専門店とか、中流から高級のレストランにおいて見出しうる手の込んだ特選コーヒである。「ラッテマチアート」(“Latte Macchiato”)と称される典型的な飲料はミルクと、泡ミルクを上に載せたエスプレッソコーヒとの特有の二つの層から構成されている。見出しうるその他のレシピは「ホワイトモカ」(“White Mocha”)であって、ホワイトチョコレートの底層と、エスプレッソコーヒの上層とからなる飲料、あるいはホットチョコレートの底層と、エスプレッソコーヒの中間層と、上層の泡ミルクとからなるココア/コーヒベースの飲料である。これらの全ての飲料は消費者に対して見た目に訴えるものなので、それらは一般的にグラスのような透明の容器で提供される。それらは通常二つの方法、すなわち、例えば砂糖が加えられる場合その飲み物をかき混ぜるか、あるいはその飲み物を層ごと飲むことによって飲用される。
【0004】
層状としたカプチーノタイプの飲料などの調製は典型的には手作業で行われ、従って適正に調製するには熟練者と極めて慎重な注意とが要求される。更に、調製は時間がかかるもので、通常のコーヒあるいはミルク飲料を提供する場合以上に労力を必要とする。更に、手作業による調製のため、出来上がり品の質はその品ごとに、かつ技量と調製に与えられた時間とに応じて作業者毎に変動しうる。所謂ラッテマチアート(Lattee Macchiato)あるいは層状カプチーノを調製する場合、泡ミルクとエスプレッソコーヒとが別々に準備される。グラスに先ず温かい泡状ミルクが充たされる。泡を安定化させるために若干時間がかかり、最終的にエスプレッソがミルクと泡の上にゆっくりと注がれ、飲用グラスを通して見られるように層状効果を創り出す。調製時間を短縮し、消費者が家庭あるいは事務所で層状の飲料を飲用できるようにするために、コーヒ機械において若干の自動化が導入されてきたが、これらは真性の自動分配性を提供しておらず、手作業による調製乃至掃除作業が必要とされる。
【0005】
「エスプレッソコーヒ機械のための飲料調製および層形成装置」(“Beverage preparation and layering device for an espresso machine”)という名称の米国特許第6,220,147号は二つの別個の層とされた物質からなる飲料を創り出すために下端近傍において出口チューブに取り付けられた層形成手段を記載している。層形成装置はエスプレッソコーヒ機械のための凹型スプーンアタッチメントから構成されている。前記スプーンは層状飲料を手作業で調製するのに擬している。前記スプーンははっきりした層を形成するために第一の成分の頂部に第二の液体を注ぐ。前記凹型スプーンアタッチメントはスプーンを第一の層の飲料の層近くに位置させて飲料容器内に配置させることができる。この層形成方法の欠点は作業者が層状の飲料を調製し、手作業で使用する前に組み立てることを要することである。更に、本装置は飲料と接触するために分配後掃除する必要があり、層状でない飲料を送給する必要がある場合はいつでも取り外すべきである。
【0006】
非混合の層として液体を注ぐための別の道具が(1984年ハーボッツ(Herbots)に対する)ベルギー特許第899988号に記載されている。本装置はそれに沿って垂直方向に運動可能なフロートに接続されている分配開口から構成されている。前記フロートはそれぞれの面レベルにおいて液体を静かに広げる下向きの流体を受け入れうるようにプラットフォームの形状を有している。この装置はカクテル、アイリッシュコーヒ、あるいは濃度差の小さいその他の液体に対して利用しうる。この層形成手段の欠点は、それもまた層状の飲料を調製し、作業者が手作業で使用する前に組み立てることを要することである。更に、本装置はコーヒ機械の一部とはなっていなく、層状の飲料を分配する場合手作業で使用する必要がある。
【0007】
マッコ社(Macco S.p.A),フランケカフェーマシーネン社(Franke Kaffemachinen AG)およびパルックス社(Palux)が現在、コーヒ豆や冷凍した生乳から層状飲料(ラッテマッチアートーLatte Macchiato)を含む各種の製品を分配するコーヒ機械を製造している。ブレーマ(Bremer)コーヒ機械においては、熱いミルクが先ず分配され、それに続いて泡状ミルクが分配される。最後に新しく挽いたコーヒ豆からの蒸気抽出コーヒが前記飲料の上に分配される。送給速度は2.1グラム/秒(g/s)である。
【0008】
この方法の欠点は、層状飲料を分配するのに比較的長時間かかり、かつそれが冷凍ミルクを必要とすることである。これらのコーヒ機械において使用される方法は、コーヒを抽出するのに蒸気が使用され、希釈した濃縮コーヒよりも低い濃度の液体を作り出すため、濃縮液から層状飲料を調製するために使用することができない。さらに、蒸気ベンチュリ系が濃くて、かつ粘性のある濃縮液に対しては機能しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、高速で、利便性があり、自動化され、かつ再現性のある、層状飲料を分配する方法や装置が存在していない。本発明は以下、熱いのと、冷たいのと双方の飲料をつくる新規な方法と装置とを提供する。
【0010】
本発明は、飲用容器において目で見てはっきりし、かつ安定した層を提供するために、外部の機械的な層形成手段(例えば、凹型スプーン、フロートなど)を使用することなく、水で希釈され、かつ混合され、そして送給される少なくとも第一と第二の濃縮液から層状飲料を分配する方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特に、本方法は、少なくとも第一の濃縮液供給源と、少なくとも第二の濃縮液供給源とを提供する段階と、計量された量の第一の濃縮液を汲み出し、第一の液体層を容器中へ送給し、計量された量の第二の濃縮液をその供給源から汲み出し、それを計量された量の水と混合させて第二の濃縮液から第二の希釈された液体層を形成し、前記の希釈された第二の濃縮液を前記容器中と第一の液体層とへ送給して第二の液体層を形成し、前記第一の液体層の後で前記第二の液体層を前記容器へ送給する段階とを含む。前記濃縮液は少なくとも混合室中へ汲み出され、該混合室においてそれぞれの計量された量の水と混合される。第二の液体層は第一の液体層の濃度以下の濃度まで薄められ、そのため第一と第二の層とは濃度のより低い第二の希釈された液体層が前記第一の液体層の空間的に上方に留まるようにして容器において下層の上に目で見てはっきりした上層が位置する飲料を提供するように容器内で安定した層状配置を形成する。
【0012】
第一の液体層は計量された量の第一の濃縮液を計量された量の水と混合することによって得られることが好ましい。第一と第二の液体層の間の濃度変動は第一の液体層の濃縮液対水の希釈比率を第二の液体層の濃縮液対水の希釈比率に対して制御することによって設定されることが好ましい。特に、第一と第二の層の間の濃度差は目で見てはっきりした層を形成するには少なくとも0.1%でなければならない。
【0013】
第一と第二の液体層を形成する送給流速は乱流を低減するために比較的遅い線速度で実行されることが有利である。50から500mL(ミリリットル)の間の容器サイズに対して、送給の流れは120cm/s(センチメートル/秒)以上の線速度を有している。水の流速と濃縮液の流速とも比較的遅いことが重要である。水の流速は20mL/s(ミリリットル/秒)を上回らない。濃縮液の流速もまた、20mL(ミリリットル/秒)を上回らず、更に好ましくは10mL/s(ミリリットル/秒)を上回らない。
【0014】
第一の濃縮液の汲み出しと、第二の濃縮液の汲み出しとの間に休止が許容されることが好ましい。休止が液体の拡散と対流とによる層の混合を阻止するために液体の動きを最小にする。休止の間、第一の層を形成するために第一の濃縮液の適正な希釈比率を保証するように水は送給し続ければよく、あるいはもしも適正な希釈が達成されると停止すればよく、第二の層を送給するために第二の濃縮液が汲み出されるときのみ、かつ第二のはっきりした層を形成するよう第二の濃縮液の適正な希釈比率が完了するまでに再始動すればよい。
【0015】
第一の液体層の送給の間、あるいは送給の後、計量された部分の濃縮液が水と混合され、更に第二の液体層が容器に送給されるときその速度を遅らせるために第一の液体層上に泡を送給すべく強くかき混ぜて泡立たせられる。前記泡立ては送給される前に高速の泡立て手段によって実行されることが好ましい。
【0016】
本発明はまた、はっきりと目に見える多層を備えた飲料を飲用容器に自動的に分配する分配装置にも関する。前記分配装置は少なくとも1個の混合手段と、水供給源と、水を混合手段まで移送し、かつ計量する水移送および計量手段とを含む。前記分配装置は更に、貯蔵手段に個別に入れられた少なくとも第一と第二の濃縮液と、濃縮液用配管と、前記貯蔵手段から前記混合手段まで各濃縮液を個別に移送し、かつ計量する移送および計量手段と、混合され、かつ希釈された濃縮液のある量を飲用容器に排出するための出口を備えた少なくとも1個の排出配管とを含む。
【0017】
また、使用者による入力手段と、該使用者入力手段における使用者が選択した入力に対応するプログラム化されたサイクルに従ってポンプの作動を選択的に制御する制御装置とを含む制御手段も設けられている。前記制御手段は、第一の液体層を形成するために計量された量の第一の濃縮液と計量された量の水とを移送し、かつ混合し、その後第二の液体層を形成するために計量された量の第二の濃縮液と計量された量の水とを移送し、かつ混合する水および濃縮液の移送および計量手段を選択的に作動させる。第一と第二の層の濃縮液対水の希釈比率は、第一の液体層が第二の液体層の下方に、かつ容器において第二の液体層から目で見て区別するよう空間的に留まるようにして安定した層状化した配置を形成するように第一の排出された液体層の濃度を第二の排出された液体層の濃度よりも高くなるよう調整するために相互に対して制御される。
【0018】
本装置は更に、第一の液体層が送給される間あるいはその後で、かつ第二の液体層の排出分が送給される前に計量された量の濃縮液を泡立たせるために制御手段によって起動される泡立ち手段を含むことが好ましい。泡立ち手段の起動によって第一の層の表面に泡を形成し、それが容器内の第二の液体の速度をそれが第一の液体層と接触するようになる前に遅くさせる。
【0019】
代替例として、泡立て手段は容器に液体層が送給された後分配サイクルの終わりにおいて泡を形成することも可能である。
【0020】
本発明の別の局面において、飲用容器にはっきりした見かけの多層を備えた飲料を分配するように分配装置を制御するための指令を含む機械で読み取り可能なプログラムが提供され、分配装置は少なくとも1個の混合手段と、水供給源と、水の送給流速を制御する水送給手段と、貯蔵手段に個別に入れられた第一と第二の濃縮液と、濃縮液の送給流速を制御する濃縮液送給手段と飲用容器にある量の混合され、かつ希釈された濃縮液を排出する出口を備えた少なくとも1個の送給配管と、使用者による入力手段を含むプログラム化可能な制御手段とを含む。
【0021】
機械で読み取り可能なプログラムはプロセッサあるいはマイクロプロセッサにインストール可能であり、かつ
使用者による入力手段を介して使用者によって入力された飲料選択を受信する手段と、
少なくとも一つのプログラム化された水の流速および少なくとも一つのプログラム化された水の相給時間順序の間水送給手段を作動させる手段と、
プログラム化された第一の濃縮液の流速、並びにプログラム化された第一の濃縮液送給時間とにおいて第一の濃縮液送給手段を作動させる手段であって、水の流速と、水の提供時間順序と、第一の濃縮液の流速と、第一の濃縮液送給時間とが第一の濃縮液からの第一の希釈された液体層を所定の第一の濃縮液対水の希釈比率において容器中へ送給するように相互に関連して調整されるパラメータであるような作動手段と、
第二の濃縮液の流速とプログラム化された第二の濃縮液送給時間とにおいて第二の濃縮液送給手段を作動させる手段であって、水の流速と、水の提供時間順序と、第二の濃縮液送給時間と、第二の濃縮液送給時間とは、所定の第二の濃縮液対水の希釈比率において第二の濃縮液からの第二の希釈された液体層を容器中へ送給するために相互に関連して調整されるパラメータであるような作動手段と、
第一の液体層の結果的な濃度が第二の液体層の結果的な濃度よりも高いように所定の値で第一と第二の希釈比率を提供する手段とを含む。
【0022】
機械で読み取り可能なプログラムは更に、プロセッサと信号通信するタイマをアクセスする手段と、プログラム化された水の送給時間順序に従って水送給手段を作動させ、かつ所定の第一と第二の濃縮液対水の希釈比率において第一と第二の液体の層を送給するためにプログラム化された第一と第二の濃縮液送給時間に従って濃縮液送給手段を作動させる手段とを含む。
【0023】
機械で読み取り可能なプログラムは更に、ある量の第一および(または)第二の濃縮液を泡立たせ、泡立った層を送給できるように所定の泡立ち速度で泡立ち装置を作動させる手段を含む。
【0024】
水送給手段は蠕動ポンプ機械、あるいは単に栓圧力あるいは重力と弁との組み合わせでよい。濃縮液送給手段は例えば蠕動ポンプ機械のような移送および投与手段であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、分配装置を介して多層の飲料を自動的に、かつ都合よく送給する新規な方法であって、ある量の少なくとも第一と第二の濃縮液が濃縮液貯蔵手段から計量され、少なくとも第二の濃縮液が希釈液、すなわち好ましくは冷たいか、あるいは熱い水と適正に混合され、その後飲用容器に排出される新規な方法に関するものである。計量された量の第二の濃縮液は、第二の濃縮液と水との混合物から得られた液体層の結果的な濃度が計量された量の第一の濃縮液から得られた第一の液体層のそれよりも薄くなるように水で希釈される。水との適正に制御された希釈を含む液体層の間の相対濃度をこのように正確に制御することによって容器内で安定した層状配置を構築できるようにする。
【0026】
濃縮液は、例えばポンプ装置、あるいは重力の作用と制御弁との組み合わせのような移送および計量手段によって移送および計量することができる。ポンプ手段は粘性の濃縮液を移送することが好ましい。ポンプ手段はその汲み出し速度が正確に制御可能である、蠕動ポンプあるいはその他いずれかのタイプのポンプとしうる。
【0027】
少なくとも二つの液体層が、例えばグラスのような透明な容器を通して、2分以上、好ましくは5分以上、最も好ましくは10分以上の時間に亘って目で見てはっきりしている場合には多層形態飲料に安定性があることが判る。
【0028】
第一の液体層は計量された第一の濃縮液を計量された水と混合することによっても得られることが好ましい。その結果、第一と第二の液体層の間の濃度差は第一の液体層の濃縮液対水の希釈比率を第二の液体層の濃縮液対水の希釈比率に対して制御することによって設定することができる。
【0029】
濃縮液の初期濃度は、例えばコーヒ、ココア、ミルクその他のような送給される製品のタイプによって変動しうる。しかしながら、容器中における層の所望の相対的な位置に関して少なくとも二つの液体層の最終的な濃度を調整することによって、すなわち前述のように濃度のより低い層の前により高い濃度の液体が排出されるようにすることによって、驚くべきことに広範囲の安定した多層飲料の調製を達成しうることが判明した。
【0030】
「濃縮液対水の希釈率」は以下の方式をいう。
(濃縮液の流量に濃縮液の送給時間を掛けたもの)を(水の流量に水の送給時間を掛けたもの)で割ったもの。
【0031】
水の相給時間は特に、過剰の流量および線速度を低減させるが、但し第一の濃縮液による第二の濃縮液の交差汚損を阻止するためにも濃縮液の送給時間を上回りうる。第一の濃縮液に対して、水の相給時間は水分配の開始時間から水分配が停止される時間まで、あるいは少なくとも水分配が先に停止されない場合次の濃縮液が分配開始されるまでの時間までの測定された時間である。第二の濃縮液に対しては、水の相給時間は第二の濃縮液の送給開始から、水の送給が停止される時間、あるいは少なくとも水の送給が先に停止されない場合、次の濃縮液が分配開始されるまでの測定された時間である。
【0032】
濃縮液対水の希釈比率を制御することによって濃縮液の初期濃度を修正し、その結果容器において空間的にはっきりしたな層を維持するに十分な濃度差が液体の二つの層の間で形成されるように容器に送給される液体層の濃度を調整することができる。濃縮液対水の希釈比率は固体の希釈度を増すことによって液体の濃度に影響を与えるが、その結果できた液体の温度にも影響を与える。
【0033】
典型的には、水溶濃縮液は水の他にある量の固体を含有するので水よりも濃度が高い。従って、濃縮液に水が加えられれば加えられるほど、濃度が下げられる。同様に、熱水あるいは冷水で濃縮液を希釈することもその結果の液体の濃度を修正する。液体層は異なる温度で送給することができるが、そうすることによってもそれらの濃度に相応に影響を与える。典型的には、より冷たい濃縮液、例えば大気温度の、あるいは冷却した濃縮液に対して熱い水を添加することによってより熱い液体がつくられ、その結果濃度はより低くなる。層の温度は、水の温度を少なくとも第一と第二の濃縮液との混合に対して同じままとするか、あるいは代替的に排出すべき層に応じて水の温度を異なる値に設定して、冷たい、あるいは大気温度の濃縮液の希釈比率を熱い水で制御することによって調整することができる。
【0034】
従って、少なくとも第一と第二の層の間の濃度の変動は安定し、かつはっきりした層を形成する上で重要であることが判明した。特に、容器内での第一と第二の液体層の間の濃度変動は0.1%と等しいか、あるいはそれより高く制御されることが好ましい。0.1%より低い濃度変動は数秒後に層を破壊に導いた。
【0035】
容器内での第一と第二の液体層の間の濃度変動は0.1から40%の間、より好ましくは0.5から10%の間、最も好ましくは1から4%の間となるように制御されることが更に好ましい。40%以上の濃度変動は通常望ましくなく肌理および(または)風味をもたらす。
【0036】
第一の層の濃度d1と第二の層の濃度d2との間の濃度変動は式(d1−d2).100/d2によって得られる。
【0037】
好適な例において、第一の濃縮液はミルクベースの濃縮液であり、第二の濃縮液はコーヒベースの濃縮液である。コーヒベースの濃縮液は典型的には、含有する全体の固体がはるかに多いためミルクベースの濃縮液よりも濃度が高く、このためミルクベースの濃縮液を希釈するための濃縮液対水の流量比よりも比較的低くコーヒベースの濃縮液対水の希釈比率を調整することを要する。
【0038】
ミルクベースの濃縮液は14から33重量%の間の全体固形と、1.01から1.15g/mLの間の比重を有することが好ましい。
【0039】
コーヒベースの濃縮液は好ましくは45から65重量%の間の、より好ましくは50から55重量%の間の全体固体と、1.05から1.28g/mLの間の比重とを有する。
【0040】
層のコップ内での品質に基づいて、ミルク濃縮液の水に対する希釈比率は1:3を上回るべきでなく、好ましくは1:0.5から1:2.8の間であるべきで、一方コーヒ濃縮液対水の比率は1:5を下回るべきでなく、好ましくは1:6から1:20の間であるべきである。ミルク濃縮液対水の比率が1:2.5で、コーヒ濃縮液対水の比率が1:8で、一方ミルク濃縮液が30重量%の全体固体を、コーヒ濃縮液が55重量%の全体固体を有する場合に(ミルクの層の頂部にコーヒの層がある)鮮明なはっきりした層を有する優れた結果が得られた。
【0041】
別の例においては、第一の濃縮液はミルクベースの濃縮液であり、第二の濃縮液がココアベースの濃縮液である。
【0042】
ココアベースの濃縮液は65から80重量%の全体の固体と1.20から1.38g/mLの濃度とを有することが好ましい。ミルク濃縮液の水に対する比率が1:2.5でチョコレート濃縮液の水に対する比率が1:10から1:3.2の間、好ましくは1:1.5であり、ミルク濃縮液が30重量%の全体の固体を有し、ココア濃縮液が72重量%の全体の固体を有している場合に鮮明なはっきりした層を有する優れた結果が得られた。
【0043】
第一と第二の液体層は容器内で著しい乱流がない静かな状態で送給されることが重要である。液体層を送給する場合に乱流を最小にすることははっきりした層を形成し、かつ保持する上で重要である。このことは、主として送給装置からの希釈された濃縮液の流量と線速度とを比較的低く維持することによって制御することができる。このことはまた、温度勾配を発生させるために送給温度を調整することによって更に制御可能とされる。第一と第二の液体層のための濃縮液と希釈用水とは第二の層が第一の層よりも高い温度として容器内の第一と第二の層の間で少なくとも5%の温度差を提供するために相互に対して調整可能でもある濃縮液対水の希釈比率を形成する。
【0044】
流量は濃縮液を希釈し、そして層の濃度を調整するために使用されるので適正に制御することが重要である。水の流量は1から20mL/sの間、好ましくは5から20mL/sの間に維持することが好ましい。水の流量が20mL/s以上であると層を破壊することが判明した。5から10mL/sの間の水の流量ははっきりして安定した層を形成することができる。前記層の縁部は流量を5mL/s以下まで下げることによってより鮮明となるが、これは送給時間が長くなりすぎることとの妥協の問題である。
【0045】
濃縮液の流量もまた、20mL/s以下、好ましくは0.1から10mL/sとの間の範囲、最も好ましくは0.5から5mL/sの間に維持される。
【0046】
全体の送給時間は好ましくは60秒以下、最も好ましくは45秒以下に維持されるべきである。送給時間とは、釦を押すことから飲料が容器に分配される時間までの全体のサイクル時間のこと指す。
【0047】
目で見てはっきりした様相と安定性とを備えた層を形成するために、液体層を送給する場合の流れの線速度は50から500mLの容器サイズに対して120cm/sを上回らないように制御する必要がある。速度が速すぎると容器内で乱流をつくり過ぎる嫌いがある。流れの線速度とは液体の流れ、例えば分配装置の出口あるいはノズルから出て行く希釈した濃縮液あるいは純水の流量を意味する。
【0048】
流れの線速度は30から120cm/sまでの範囲、最も好ましくは50から100cm/sの範囲内にあるべきである。30cm/s以下の流れ線速度もまた、60秒を越えうる全体の送給速度との妥協の問題である。120cm/s以上の流れ線速度においては、層は容器内で破壊され、液層は急速に相互に混合してしまう。第一の層を送給する100から120cm/sの間の流れ線速度において、泡が容器内で十分崩壊するようにさせるために第二の層を送給する前に休止時間が必要とされることが好ましい。休止時間は2から25秒が好ましく、より好ましくは5から10秒である。休止時間とは二つの濃縮液の送給サイクルの間で残されている時間を指す。
【0049】
層の厚さは消費者の好みによって修正することができる。液体層の間の厚さの比率は9:1から1:9までとしうる。このような柔軟性は投与設定、すなわち流量と投与時間とを変更することによって達成することができる。
【0050】
層の間で明白な濃度変動を設定する上で温度勾配も重要である。より低い温度は乱流と拡散とを低減し、従って層の安定化に貢献する。従って、層の温度は熱い飲料に対してはより重大であり、従ってより高い温度勾配を必要とする。層の温度は希釈比率と、熱い、冷たいおよび(または)大気温度の水と濃縮液との組合わせとによって制御することができる。下側の層が上側の層よりも冷たくて、第一の層と第二の層との間で少なくとも10%の温度勾配が好ましい。温度勾配は、上側の層と比較して下側の層がより冷たくて20から35%の間が最適である。
【0051】
本発明の重要な局面において、第一の層の頂部に第二の層を形成する第二の希釈した濃縮液の流れ線速度を顕著に低下させやすくする泡の層が形成される。
【0052】
このために、図1に示すように、第一の液体の層10を送給する間、あるいはその後で、但し好ましくはより濃度の低い第二の液体の層12を容器へ送給する直前に計量された部分の濃縮液が水と混合され、更に泡11を前記第一の液体の層の上に送給するために泡立たされる。泡は容器に送給される第二の液体の層の速度を遅くさせるよう作用する。
【0053】
その結果、第二の液層が、泡の層が何ら形成されない場合よりもより高い流量で、かつ第一の液層と混合する危険性なしに送給可能であるので、送給時間もまた顕著に減少することも可能である。
【実施例】
【0054】
図3に示すように、第二の液層12が容器に送給される時点で、より高い濃度の層10の上に形成されていた泡11が第二の液層12の速度を低下させるように作用する。従って、その後の濃度のより低い層12が泡11の層を通過し、かつそこを通して拡散し、一方その速度は底の液層10の表面と接触するにつれて徐々に減少する。従って、二つの液層10,12の間での乱流は排除され、それが密度勾配および好ましくは温度勾配と関連して最終的に図2か明らかなように明瞭で、安定した液体と液体との非混合層10−12を最終的に形成することがきるようにする。
【0055】
泡の層はある量の第一の濃縮液を泡立たせ泡の層を形成することによってつくられ、第一の液層上に送給される。次いで、第二の層を送給した後、他の二つの層の濃度と比較すれば濃度が極めて低い泡の層は相対的に濃度がより高い第二の層によって容器の表面まで押し上げられ、飲料の泡状の表面を形成する。泡立たされる第一の濃縮液の量は飲料に対して必要とされる泡の量によって決まる。
【0056】
泡の層はまた、ある量の濃縮液、例えばミルク濃縮液を飲料の送給の終わりにおいて一部の水と共に泡立たせることによってもつくることができる。しかしながら、この泡の層はそこを通して液体層を分配する場合、液体の速度を低減するという利点は提供しない。
【0057】
更に、図4から図6までにおいて明らかなように、本発明による方法は区別が鮮明な多層を備えた飲料を形成するために液体の二層以上の層を送給することを網羅しうる。そのため、本発明による方法は更に計量された量の第三の濃縮液を汲み出すことと、前記の計量された量の濃縮液を水と混合させること、および第三の、すなわち中間の液体層を容器に送給することも網羅でき、第三の層の濃度は第一の層の濃度よりも高いが、第二の層の濃度よりも低く設定される。
【0058】
好適な例において、典型的には再生された液体ミルクであり、濃度がd1である第一の液層10は第一のミルク濃縮液C1と水とからつくられている。濃度d1は前述のように当該濃縮液対水の比率を制御することによって設定される。水と濃縮液とは同じ時間だけ、かつ同時に送給しうる。より好ましくは、水は過多の乱流が形成されるある限度を上回ることがないように調整されたある流速で連続的に送給される。例えば、水は5から10mL/sの間の流速で送給しうる。水はまた、間欠的に送給してもよい。好ましくは、第一の濃縮液の残留部分は水と共に泡立たされ、泡の層11を形成し、該泡層が第一の液体層の頂部に送給される。次の段階において、典型的にはソース濃縮液C3からのソース層である液体層13が濃度d3で送給されるが、前記濃度d3は濃度d1よりも低い値であるが泡の層11の濃度よりもはるかに高い濃度に留まるよう水によって適正に希釈することによって制御される。再び、水は5から10mLの流量に絶えず維持することができる。適正な希釈比率は第三の濃縮液、例えば液体蔗糖の投与分を送給することによって得ることができ、そのため水で希釈されると、第一の層の濃度よりも低い濃度が達成される。
【0059】
泡の層11は希釈された蔗糖層13の速度を低下させるよう作用し、前記層は第一の層の表面の上方で静かに定着する。最終的には、濃度d2でコーヒ濃縮液C2と水との混合物から典型的にはコーヒである液体層12が容器へ排出される。濃度d2も液体層の三つの濃度d1からd3までの中最も低くなるように制御される。泡の層もまた液体層12が減速した速度で中間層13の表面と衝突するように該液体層12を緩衝するよう作用する。コーヒ濃縮液C2が送給されている間、水の送給は、層12の適正な希釈流量比が達成され、従って濃縮液C2自体の送給時間を上回ることができるまで設定された流量に維持される。
【0060】
層を形成するために使用できる濃縮液は限定されるのでなく、例えばミルクとミルク濃縮液、コーヒリカー、ココア濃縮液、例えば果糖、ブドウ糖、蔗糖、コーンシロップ、あるいはそれらの混合物のような砂糖シロップ、着色剤および(または)香味料で風味をつけた液体、例えばティー濃縮液、果物ジュースおよび濃縮液、および(または)それらの混合物のような植物液のような多数の食用液体でよい。最も好ましい液体はミルク、コーヒ、ココア、および蔗糖濃縮液である。ミルクとは広義にいずれかの種類の酪農あるいは非酪農のどこにでもある濃縮液を意味する。好ましくは生乳あるいは粉末牛乳から得られる酪農牛乳である。
【0061】
液体層はまた一つ以上の濃縮液からも形成しうることに注目すべきである。例えば、コーヒと蔗糖の濃縮液を組み合わせて、容器内において他の層から区別して見える甘味のある液状コーヒを送給することができる。
【0062】
典型的には同様の濃度を有する果物ジュースを加工する場合、添加した溶質が品物の流量と休止時間以上に重要な役目を果たす。従って、果物ジュースにおいける濃度の変更は主として、例えば砂糖濃縮液のような可変量の溶質を添加することによって行うことができる。pHをミルクのたんぱく質の等電子点以上になるよう調整することによって、果物ジュースの濃縮液はミルクのたんぱく質の凝固を避けるようにミルクの層の上に分配することも可能である。
【0063】
「濃縮液」とは典型的に、比較的低濃度、すなわち低比重で、高固体含有分で、水活性度の低い液状品を意味し、それは大気温度であるいは長時間に亘っては冷却温度で貯蔵できることが好ましい。本発明における濃縮液は典型的には10重量%以上の固体を含有し、少なくとも1.05g/mLの濃度を有している。
【0064】
図7を参照すれば、本発明による好適装置2は濃縮液C1,C2,C3,Cnを貯蔵しておくための一連の貯蔵容器20,21,22,23および各貯蔵容器を共通の混合室4に接続する濃縮液用配管30,31,32,33を含む。各濃縮液用配管は特定の1個の貯蔵容器の底側に接続され、混合室における濃縮液を計量する機能を有する本装置のポンプ50,51,52,53と作動係合している。例えば蠕動ポンプのような容積式ポンプを使用することが好ましい。濃縮液は箱内袋(バッグインボックス)タイプの包装あるいはポーチなどのような取り外し可能な容器に貯蔵されることが好ましい。
【0065】
混合室4はまた、該混合室4と連通する水供給配管34と流体連通している。
【0066】
水供給配管における水は、必然ではないが、濃縮液用ポンプと同じ種類のものが好ましい水ポンプ54によって移送され、かつ計量される。水は1個以上の水容器60,61,62から、あるいは代替的に水道から供給しうる。水容器60は熱水を、容器61は冷水を、そして容器62は正に常温の水を入れればよい。水用容器からの熱水、冷水あるいは常温水の選択的な供給は制御装置によって制御されて三方弁によって実行される。熱水は所定の温度範囲まで加熱装置(図示せず)によって加熱することができる。そのような加熱装置は、例えば水用容器自体60における電気抵抗要素でよく、あるいは瞬間加熱装置を水供給配管に沿って装着してもよい。混合室4自体は、泡立たせ可能で、従って飲料の泡状部分を生成することができる泡立て装置7まで延在している。泡立て装置は例えば円錐状羽根あるいはディスクのような諸々の種類のものでよい。分配配管の終端にはノズル8を備えた排出配管が見られる。ノズルはまた、そこを通過する液体の流量を抑制し、制御装置によって制御されるピンチ弁から構成してもよい。このように、ピンチ弁は一連の層を形成するように排出される液体の線流速を好適な範囲内で調整することができる。ピンチ弁は必須ではなく、ノズルは必要な流量において低い線速度で送給するようなサイズとしうる。
【0067】
本装置は更に、制御装置9を含む。前記制御装置は一般にタイマあるいはその他の周期的に付勢する装置を含む。制御装置はまた、例えばスイッチボードのような使用者による入力装置91を含む。制御装置は、濃縮液用ポンプ50−53、水ポンプ54、泡立て装置7、弁55,63(およびその他のもの)と、そして最終的に加熱装置を信号で通信するように配置され、これら諸々の要素を単純なオン/オフモードあるいは代替的に比例モードで制御する。
【0068】
濃縮液用配管30−33および水用配管34は更に、ポンプがオンとされると、流量を制御するようなサイズとされている。特に、濃縮液用配管と水用配管の内径は層間での必要な濃縮液の濃度の変動に従って、但しポンプの速度を必ずしも調整する必要なく濃縮液と水との濃度を制御するように異なるサイズとされている。従って、濃縮液を希釈したり、あるいは単に容器に水を添加するのに必要なある時間一定の速度で作動するようにオン/オフモードの制御装置で単純にサイクルするようなDCあるいはAC駆動のポンプを利用することができる。例えば、ミルク濃縮液、コーヒ濃縮液およびココア濃縮液に対しては、配管はそれぞれ内径が3から12ミリメートルの間のサイズとされている。
【0069】
水および濃縮液の投与はいずれかの手段によって行いうるが、ポンプと投与媒体との間に何ら接触がなきため、高度な衛生状態で濃縮液を投与するには蠕動ポンプによる投与が好ましい。水はまた、ポンプを使用することなく水道水で投与することも可能である。
【0070】
制御装置9はプログラム化可能な制御装置すなわちプロセッサ90と前記プロセッサと信号通信している使用者入力手段91とを有しており、それにより使用者は各種諸々の多層特性を備えた各種飲料を選択できる。プログラム化可能なプロセッサはまた、例えばプロセッサに常駐のソフトウエアのような機械で読み取り可能なプログラムを含みうる。機械読み取りプログラムは各種の多層飲料を送給する投与設定を制御する指令であって、典型的には例えばポンプを作動させる特定の時間シーケンス、水と濃縮液の流量と線速度とを決定するポンプ速度、泡立て装置の速度、水温およびその他の変動要素のようなポンプと泡立て装置のセッティングを含む指令を含む。
【0071】
構成要素の組立て、制御装置、タイミングおよびプログラム化については、飲料分配の技術分野においては典型的な既知の技術であるのでここではそれ以上詳しく説明する必要はない。
【0072】
図1、図2および図7は、二つの液体層を備えた見た目に魅力的は泡状多層飲料を自動的に送給するための第一の実施例を示す。入力信号は、例えばタッチスクリーン、スイッチボードあるいはそれらと同等のもののような使用者による入力手段91を介して使用者によって入力される。使用者入力手段は複数の飲料の選択メニューからの選択した飲料に関する関連の信号をプログラム化可能制御装置90に伝送する。この信号に応答して、かつ識別されたプログラム化セッティングに従って、制御装置90はミルク濃縮液C1と水とを混合室4においてそれぞれ計量するために第一の濃縮液ポンプ、例えばミルク用ポンプ50と水用ポンプ54とを同時に作動させる。前記濃縮液と水との流量はそれぞれ、プログラム化された選択によって決められ、第一の濃縮液からの液体の第一の層、例えば再生された液状ミルクの層を飲用容器に送給する。前記の液体の層を分配している間は、液体の層において不必要な乱流をつくらないように泡立て装置は制御装置によって作動されない。
【0073】
液体の層の送給に続いて少量の泡の層が送給される。このために、第一の濃縮液用ポンプ50が制御装置によってオフとされる前に、泡立て装置7が制御装置によって起動させられ、混合室へ流れ続けている水によって濃縮液の残留部分を泡立たせる。泡立て装置の速度は所望の選択に対してプログラム化された所望の速度にセットされる。ミルクを泡立たせるための最適な泡立て装置の速度は10,000から20,000rpmの間であることが好ましい。このように図1に示すように、泡の層が第一の液体層の上に送給される。泡の層11は本装置のどの濃縮液からもつくることができるが、第一の液体層10、例えば再生ミルクをつくるために供されるのと同じ濃縮液C1からつくることが好ましい。泡立て装置がオンとされると、泡の層をつくるための濃縮液C1の水に対する希釈比は第一の液体層をつくるための濃縮液C1の水に対する希釈比よりも相対的により低いように設定される。すなわち、5から10秒の間は濃縮液の量は少量、例えば約5から5.5mL/sで、泡立てが高速で持続されている間、15から20秒の間に大量の水、例えば7−8mL/sと混合される。
【0074】
次の段階において、水用ポンプ54が第二の濃縮液C2を混合するために作動状態に留まっている間、制御装置は第二の濃縮液用ポンプ、例えばコーヒ用ポンプ51を作動させる。泡立て装置は依然として作動し続けているか、あるいは代替的に乱流を減少させるために非作動とすればよい。
【0075】
本発明の方法および装置に対して付加的な改良を提供しうる。例えば、ノズルと飲料用容器との間の距離は、飛散とか大きな乱流を排除するために特定範囲内にあるべきである。前記の距離と容器の直径とがノズルと容器の縁との間の角度を決める。この角度は10から120度、好ましくは20から60度、そして最も好ましくは25から35度の間で変動しうる。
【0076】
例
以下の例において、ミルク濃縮液は約28重量%の全体の固体を含有し、1.07g/cm3の濃度を有し、コーヒ濃縮液は約55重量%の全体の固体を含有し、1.25g/cm3の濃度を有し、ココア濃縮液は約72重量%の全体の固体を含有し、1.35g/cm3の濃度を有し、最後に蔗糖溶液(50重量%)は1.23g/cm3の濃度を有している。
【0077】
例 1
ミルクおよびコーヒ濃縮液から図7に示す分配装置を使用してカプチーノタイプの飲料が調製された。以下の手順を使用してはっきりした二層を有するカプチーノが調製された。使用した水の温度は85℃で、濃縮液は大気温(15−25℃)で分配された。前記成分の流量はノズルから測定して60cm/sであった。
【0078】
流量5.3mL/sで10秒間ミルク濃縮液を6.9mL/sの流量の水と同時に分配した。サイクルの終わりで泡を形成するため泡立て装置がオンとされた。この段階に続いて水と配管に残っていた残留ミルクとを分配し、70℃において層を形成した。流量2mL/sでコーヒ濃縮液を第一の濃縮液と同じ流量(6.9mL/s、但し2秒間)で最後に水と共に分配した。ミルク(55℃において1.024g/cm3 )とコーヒ(77℃において0.996g/cm3)の層の間の濃度と温度の差によってそれらが分離され、目で見てはっきりした層(図11参照)を形成することが可能となった。製品の流量は7.5mL/sであった。更に、層は時間の経過と共に極めて安定した。
【0079】
例 2
ミルク、コーヒおよび砂糖(50重量%)の濃縮液から例1と同様に分配装置を使用してカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0080】
ミルクは例1のように分配され、続いて蔗糖シロップが11秒の後5秒間で3.8mL/sの流量で分配され、最終的に水とコーヒ濃縮液とが混合された。水と蔗糖濃縮液が濃度変化(1.024(ミルク層)>1.019(砂糖層)>0.981(コーヒ))を形成し、それによりコーヒが多層において部分的に分配されうるようにした。送給速度は7.5mL/sであった。
【0081】
出来上がったものに砂糖を添加することによって製品に甘味を加え、さらに飲料において層形成を促進した(図12)。
【0082】
例 3
例1と同様に、カプチーノタイプの飲料が調製された。泡立て装置が直ちにオンとされた(初期遅延なし)。
【0083】
カップの底におけるミルク層は例1におけるよりも著しく薄かった。泡立て装置をオンモードとすることによって、より多くの乱流を形成し、(より多くの空気を取り入れることにより)ミルクとコーヒ部分との間の濃度勾配を小さくした(図13)。
【0084】
例 4
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。コーヒ部分(コーヒと水)は1.2mL/sの低い流量で分配された。分配時間は250mLの飲料に対して約32秒であった。
【0085】
鮮明で狭いコーヒ層が形成された(図14)。
【0086】
例 5
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。水と濃縮液との温度は大気温度(約23℃)であった。
【0087】
層状の飲料が得られた(図15)。
【0088】
例 6
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。しかしながら、ミルクとコーヒとは連続して二回循環された。
【0089】
多層の飲料が得られた。
【0090】
例 7
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。しかしながら、(25秒の後)コーヒを分配する前に泡立て装置はオフとされた(図8参照)。
【0091】
層状のカプチーノが少量の泡と共に分配された。
【0092】
鮮明な多層の飲料が得られた。
【0093】
例 8
例2と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。しかしながら、ミルクが同じ時間(10秒)汲み上げられたが、図9に示すように連続して三回循環された。
【0094】
鮮明で、狭いコーヒ層が形成された。
【0095】
例 9
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。使用された水の温度は4℃で、濃縮液の温度は大気温(約23℃)であった。
【0096】
層状のカプチーノが分配された。
【0097】
例 10
カプチーノタイプの飲料が以下の状態で調整された。ミルクは(0.84mL/sの流量で)0から38秒まで分配され、コーヒは(0.24mL/sの流量で)43から52秒まで分配され、水は2.6mL/sの流量で10から38秒までと、43から52秒まで分配された。投与セッティングが図10に示されている。
【0098】
コーヒ層がミルクの上に形成された。
【0099】
例 11
水およびミルクとチョコレートの濃縮液(コーヒ濃縮液に代わるチョコレート濃縮液)と共に例5によって提供された条件の下にチョコレート飲料が調製された。チョコレート濃縮液は0.22mL/sの流量を有し、46から52秒まで分配された。泡立て装置はオフモードとされた。
【0100】
チョコレートの層がミルクの上に形成された。
【0101】
例 12
ミルク、コーヒおよびコーヒは、0.84mL/s、0.22mL/sおよび0.24mL/sの流量で分配され、2.6mL/sの流量の水と混合された。
【0102】
多層の飲料が分配された。
【0103】
例 13
果物ジュース#1(グリーンポンチ)が(30秒間)0.9mL/sの流量で分配され、5%の蔗糖0溶液が(20秒間)そして果物ジュース#2(ルビーレッドのグレープフルーツジュース)が0.3mL/sの流量で(15秒間)分配された。果物ジュースの平均濃度は1.06g/cm3であった(図16)。
【0104】
ジュース#1の濃度を増すことによって果物ジュース間で明確な層が形成された。
【0105】
例 14
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。しかしながら、水の流量は20mL/s以上であった。
【0106】
十分混合されたカプチーノが得られた。カップには層は何ら形成されなかった。
【0107】
例 15
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。しかしながら、水の流量は120mL/s以上であった。
【0108】
十分混合されたカプチーノが得られた。飲料には何ら層は形成されなかった。
【0109】
例 16
ミルクおよびコーヒ濃縮液から、例1と同様に分配装置を使用してカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0110】
水が時間t0=0から時間30秒まで(t0は(0秒での)開始時間である)、ミルクが時間0秒から時間10秒まで(すなわちt0からt0+10秒まで)、そして最後にコーヒ濃縮液が時間26秒から時間30秒まで(すなわち、t0+26秒からt0+26秒まで)分配された。泡立て装置が時間10秒から時間26秒まで(すなわちt0+10秒からt0+26秒まで)オンとされた。層状の飲料のための合計送給時間は32秒であった。
【0111】
見た目にはっきりした層が形成され、層が時間の経過と共に極めて安定した。
【0112】
例 17
ミルクとコーヒの濃縮液から、例1と同様に分配装置を使用してカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0113】
水が時間0秒から28秒まで(すなわち、t0からt0+28秒まで)分配され、ミルクが時間0秒から10秒まで(すなわち、t0からt0+10秒まで)分配され、最後にコーヒ濃縮液が22秒から28秒まで(すなわち、t0+22秒からt0+28秒まで)分配された。泡立て装置が11秒から20秒まで(すなわち、t0+11秒からt0+20秒まで)オンとされた。層状の飲料のための送給時間は30秒であった。
【0114】
見た目にはっきりした層が形成され、前記層は時間の経過と共に極めて安定した。
【0115】
例 18
ミルクおよびコーヒ濃縮液から、例16と同様に分配装置を使用して、但し泡立て装置を5秒から26秒までオンさせてカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0116】
例16におけるものと比較して大量の泡が生成され、目で見てはっきりした層が形成された。更に、層は時間と共に極めて安定した。
【0117】
例 19
ミルクおよびコーヒ濃縮液から、例16と同様に分配装置を使用して、但し泡立て装置を0秒から26秒までオンとさせてカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0118】
例16および18におけるものと比較して大量の泡が生成され、目で見てはっきりした層が形成された。更に、前記層は時間と共に極めて安定した。
【0119】
例 20
ミルクとコーヒの濃縮液から、例16と同様に分配装置を使用して、但し泡立て装置を0秒から10秒までオンとして、カプチーノタイプの飲料が調製された。
【0120】
例16におけるものと比較してより少量の泡が生成され、目で見てはっきりした層が形成された。更に、前記層は時間と共に極めて安定した。
【0121】
例 21
ミルクとコーヒの濃縮液から、例16と同様に分配装置を使用して、但し泡立て装置を12秒から20秒までオンとしてカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0122】
例16と18とにおけるものと比較して極めて少量の泡が生成され、目で見てはっきりした層が形成された。更に、前記層は時間と共に極めて安定した。
【0123】
判明したところによれば、泡の量は顧客の好みに応じて特製とすることができた。同じことが液体層の色や容積についてもいえる。
【0124】
前記例では、安定した層を備えた飲料をつくるには、a)濃縮液を適正に希釈することによって層の濃度勾配を、b)特定の液体の流れの線速度および分配手順、すなわち、遅れ、休止時間、重なりなどを設定することによって液体層の運動を、そしてc)所定の流量を重視することが重要であることが判明した。
【0125】
更に、熱い飲料に対しては、乱流を低減し、濃度勾配を有し、そして層を安定化するために温度勾配も所望される。このように、はっきりした液体層を形成するために液体の運動を最小化するには、流線速度(高流量には低線速度が必要)、(拡散、対流などによる層の混ざりを阻止するために液体の運動を最小にするための)層間の休止時間と、(次の液体の線速度を更に低減させるために)第一の液体層とその後の液体層との間に泡を形成することも重要な役割を演ずることも判明した。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】二つの濃縮液から得られた泡状の二層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図2】二つの濃縮液から得られた泡状の二層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図3】二つの濃縮液から得られた泡状の二層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図4】三つの濃縮液から得られた泡状の多層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図5】三つの濃縮液から得られた泡状の多層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図6】三つの濃縮液から得られた泡状の多層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図7】本発明による装置を示す概略全体図である。
【図8】それぞれ例7に対応する投与設定の例である。
【図9】それぞれ例2に対応する投与設定の例である。
【図10】それぞれ例10に対応する投与設定の例である。
【図11】本発明によって得られ、例1に対応する多層飲料の写真である。
【図12】本発明によって得られ、例2に対応する多層飲料の写真である。
【図13】本発明によって得られ、例3に対応する多層飲料の写真である。
【図14】本発明によって得られ、例4に対応する多層飲料の写真である。
【図15】本発明によって得られ、例5に対応する多層飲料の写真である。
【図16】本発明によって得られ、例6に対応する多層飲料の写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、目に見える多層の液体を飲用容器に提供する、熱いか、あるいは冷たい飲料を手頃に分配することに関するものである。特に、本発明は自動化された分配装置を介して濃縮液から再生した飲料を分配することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
泡状ミルクを上に載せたコーヒから形成されるカプチーノタイプの飲料がある。これらの飲料は、先ずミルクを泡立たせ、カップにその泡を送給し、次いで泡を通して液状コーヒを提供することによって自動分配器において比較的容易につくられる。
【0003】
層状にしたカプチーノタイプの飲料はコーヒ専門店とか、中流から高級のレストランにおいて見出しうる手の込んだ特選コーヒである。「ラッテマチアート」(“Latte Macchiato”)と称される典型的な飲料はミルクと、泡ミルクを上に載せたエスプレッソコーヒとの特有の二つの層から構成されている。見出しうるその他のレシピは「ホワイトモカ」(“White Mocha”)であって、ホワイトチョコレートの底層と、エスプレッソコーヒの上層とからなる飲料、あるいはホットチョコレートの底層と、エスプレッソコーヒの中間層と、上層の泡ミルクとからなるココア/コーヒベースの飲料である。これらの全ての飲料は消費者に対して見た目に訴えるものなので、それらは一般的にグラスのような透明の容器で提供される。それらは通常二つの方法、すなわち、例えば砂糖が加えられる場合その飲み物をかき混ぜるか、あるいはその飲み物を層ごと飲むことによって飲用される。
【0004】
層状としたカプチーノタイプの飲料などの調製は典型的には手作業で行われ、従って適正に調製するには熟練者と極めて慎重な注意とが要求される。更に、調製は時間がかかるもので、通常のコーヒあるいはミルク飲料を提供する場合以上に労力を必要とする。更に、手作業による調製のため、出来上がり品の質はその品ごとに、かつ技量と調製に与えられた時間とに応じて作業者毎に変動しうる。所謂ラッテマチアート(Lattee Macchiato)あるいは層状カプチーノを調製する場合、泡ミルクとエスプレッソコーヒとが別々に準備される。グラスに先ず温かい泡状ミルクが充たされる。泡を安定化させるために若干時間がかかり、最終的にエスプレッソがミルクと泡の上にゆっくりと注がれ、飲用グラスを通して見られるように層状効果を創り出す。調製時間を短縮し、消費者が家庭あるいは事務所で層状の飲料を飲用できるようにするために、コーヒ機械において若干の自動化が導入されてきたが、これらは真性の自動分配性を提供しておらず、手作業による調製乃至掃除作業が必要とされる。
【0005】
「エスプレッソコーヒ機械のための飲料調製および層形成装置」(“Beverage preparation and layering device for an espresso machine”)という名称の米国特許第6,220,147号は二つの別個の層とされた物質からなる飲料を創り出すために下端近傍において出口チューブに取り付けられた層形成手段を記載している。層形成装置はエスプレッソコーヒ機械のための凹型スプーンアタッチメントから構成されている。前記スプーンは層状飲料を手作業で調製するのに擬している。前記スプーンははっきりした層を形成するために第一の成分の頂部に第二の液体を注ぐ。前記凹型スプーンアタッチメントはスプーンを第一の層の飲料の層近くに位置させて飲料容器内に配置させることができる。この層形成方法の欠点は作業者が層状の飲料を調製し、手作業で使用する前に組み立てることを要することである。更に、本装置は飲料と接触するために分配後掃除する必要があり、層状でない飲料を送給する必要がある場合はいつでも取り外すべきである。
【0006】
非混合の層として液体を注ぐための別の道具が(1984年ハーボッツ(Herbots)に対する)ベルギー特許第899988号に記載されている。本装置はそれに沿って垂直方向に運動可能なフロートに接続されている分配開口から構成されている。前記フロートはそれぞれの面レベルにおいて液体を静かに広げる下向きの流体を受け入れうるようにプラットフォームの形状を有している。この装置はカクテル、アイリッシュコーヒ、あるいは濃度差の小さいその他の液体に対して利用しうる。この層形成手段の欠点は、それもまた層状の飲料を調製し、作業者が手作業で使用する前に組み立てることを要することである。更に、本装置はコーヒ機械の一部とはなっていなく、層状の飲料を分配する場合手作業で使用する必要がある。
【0007】
マッコ社(Macco S.p.A),フランケカフェーマシーネン社(Franke Kaffemachinen AG)およびパルックス社(Palux)が現在、コーヒ豆や冷凍した生乳から層状飲料(ラッテマッチアートーLatte Macchiato)を含む各種の製品を分配するコーヒ機械を製造している。ブレーマ(Bremer)コーヒ機械においては、熱いミルクが先ず分配され、それに続いて泡状ミルクが分配される。最後に新しく挽いたコーヒ豆からの蒸気抽出コーヒが前記飲料の上に分配される。送給速度は2.1グラム/秒(g/s)である。
【0008】
この方法の欠点は、層状飲料を分配するのに比較的長時間かかり、かつそれが冷凍ミルクを必要とすることである。これらのコーヒ機械において使用される方法は、コーヒを抽出するのに蒸気が使用され、希釈した濃縮コーヒよりも低い濃度の液体を作り出すため、濃縮液から層状飲料を調製するために使用することができない。さらに、蒸気ベンチュリ系が濃くて、かつ粘性のある濃縮液に対しては機能しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、高速で、利便性があり、自動化され、かつ再現性のある、層状飲料を分配する方法や装置が存在していない。本発明は以下、熱いのと、冷たいのと双方の飲料をつくる新規な方法と装置とを提供する。
【0010】
本発明は、飲用容器において目で見てはっきりし、かつ安定した層を提供するために、外部の機械的な層形成手段(例えば、凹型スプーン、フロートなど)を使用することなく、水で希釈され、かつ混合され、そして送給される少なくとも第一と第二の濃縮液から層状飲料を分配する方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特に、本方法は、少なくとも第一の濃縮液供給源と、少なくとも第二の濃縮液供給源とを提供する段階と、計量された量の第一の濃縮液を汲み出し、第一の液体層を容器中へ送給し、計量された量の第二の濃縮液をその供給源から汲み出し、それを計量された量の水と混合させて第二の濃縮液から第二の希釈された液体層を形成し、前記の希釈された第二の濃縮液を前記容器中と第一の液体層とへ送給して第二の液体層を形成し、前記第一の液体層の後で前記第二の液体層を前記容器へ送給する段階とを含む。前記濃縮液は少なくとも混合室中へ汲み出され、該混合室においてそれぞれの計量された量の水と混合される。第二の液体層は第一の液体層の濃度以下の濃度まで薄められ、そのため第一と第二の層とは濃度のより低い第二の希釈された液体層が前記第一の液体層の空間的に上方に留まるようにして容器において下層の上に目で見てはっきりした上層が位置する飲料を提供するように容器内で安定した層状配置を形成する。
【0012】
第一の液体層は計量された量の第一の濃縮液を計量された量の水と混合することによって得られることが好ましい。第一と第二の液体層の間の濃度変動は第一の液体層の濃縮液対水の希釈比率を第二の液体層の濃縮液対水の希釈比率に対して制御することによって設定されることが好ましい。特に、第一と第二の層の間の濃度差は目で見てはっきりした層を形成するには少なくとも0.1%でなければならない。
【0013】
第一と第二の液体層を形成する送給流速は乱流を低減するために比較的遅い線速度で実行されることが有利である。50から500mL(ミリリットル)の間の容器サイズに対して、送給の流れは120cm/s(センチメートル/秒)以上の線速度を有している。水の流速と濃縮液の流速とも比較的遅いことが重要である。水の流速は20mL/s(ミリリットル/秒)を上回らない。濃縮液の流速もまた、20mL(ミリリットル/秒)を上回らず、更に好ましくは10mL/s(ミリリットル/秒)を上回らない。
【0014】
第一の濃縮液の汲み出しと、第二の濃縮液の汲み出しとの間に休止が許容されることが好ましい。休止が液体の拡散と対流とによる層の混合を阻止するために液体の動きを最小にする。休止の間、第一の層を形成するために第一の濃縮液の適正な希釈比率を保証するように水は送給し続ければよく、あるいはもしも適正な希釈が達成されると停止すればよく、第二の層を送給するために第二の濃縮液が汲み出されるときのみ、かつ第二のはっきりした層を形成するよう第二の濃縮液の適正な希釈比率が完了するまでに再始動すればよい。
【0015】
第一の液体層の送給の間、あるいは送給の後、計量された部分の濃縮液が水と混合され、更に第二の液体層が容器に送給されるときその速度を遅らせるために第一の液体層上に泡を送給すべく強くかき混ぜて泡立たせられる。前記泡立ては送給される前に高速の泡立て手段によって実行されることが好ましい。
【0016】
本発明はまた、はっきりと目に見える多層を備えた飲料を飲用容器に自動的に分配する分配装置にも関する。前記分配装置は少なくとも1個の混合手段と、水供給源と、水を混合手段まで移送し、かつ計量する水移送および計量手段とを含む。前記分配装置は更に、貯蔵手段に個別に入れられた少なくとも第一と第二の濃縮液と、濃縮液用配管と、前記貯蔵手段から前記混合手段まで各濃縮液を個別に移送し、かつ計量する移送および計量手段と、混合され、かつ希釈された濃縮液のある量を飲用容器に排出するための出口を備えた少なくとも1個の排出配管とを含む。
【0017】
また、使用者による入力手段と、該使用者入力手段における使用者が選択した入力に対応するプログラム化されたサイクルに従ってポンプの作動を選択的に制御する制御装置とを含む制御手段も設けられている。前記制御手段は、第一の液体層を形成するために計量された量の第一の濃縮液と計量された量の水とを移送し、かつ混合し、その後第二の液体層を形成するために計量された量の第二の濃縮液と計量された量の水とを移送し、かつ混合する水および濃縮液の移送および計量手段を選択的に作動させる。第一と第二の層の濃縮液対水の希釈比率は、第一の液体層が第二の液体層の下方に、かつ容器において第二の液体層から目で見て区別するよう空間的に留まるようにして安定した層状化した配置を形成するように第一の排出された液体層の濃度を第二の排出された液体層の濃度よりも高くなるよう調整するために相互に対して制御される。
【0018】
本装置は更に、第一の液体層が送給される間あるいはその後で、かつ第二の液体層の排出分が送給される前に計量された量の濃縮液を泡立たせるために制御手段によって起動される泡立ち手段を含むことが好ましい。泡立ち手段の起動によって第一の層の表面に泡を形成し、それが容器内の第二の液体の速度をそれが第一の液体層と接触するようになる前に遅くさせる。
【0019】
代替例として、泡立て手段は容器に液体層が送給された後分配サイクルの終わりにおいて泡を形成することも可能である。
【0020】
本発明の別の局面において、飲用容器にはっきりした見かけの多層を備えた飲料を分配するように分配装置を制御するための指令を含む機械で読み取り可能なプログラムが提供され、分配装置は少なくとも1個の混合手段と、水供給源と、水の送給流速を制御する水送給手段と、貯蔵手段に個別に入れられた第一と第二の濃縮液と、濃縮液の送給流速を制御する濃縮液送給手段と飲用容器にある量の混合され、かつ希釈された濃縮液を排出する出口を備えた少なくとも1個の送給配管と、使用者による入力手段を含むプログラム化可能な制御手段とを含む。
【0021】
機械で読み取り可能なプログラムはプロセッサあるいはマイクロプロセッサにインストール可能であり、かつ
使用者による入力手段を介して使用者によって入力された飲料選択を受信する手段と、
少なくとも一つのプログラム化された水の流速および少なくとも一つのプログラム化された水の相給時間順序の間水送給手段を作動させる手段と、
プログラム化された第一の濃縮液の流速、並びにプログラム化された第一の濃縮液送給時間とにおいて第一の濃縮液送給手段を作動させる手段であって、水の流速と、水の提供時間順序と、第一の濃縮液の流速と、第一の濃縮液送給時間とが第一の濃縮液からの第一の希釈された液体層を所定の第一の濃縮液対水の希釈比率において容器中へ送給するように相互に関連して調整されるパラメータであるような作動手段と、
第二の濃縮液の流速とプログラム化された第二の濃縮液送給時間とにおいて第二の濃縮液送給手段を作動させる手段であって、水の流速と、水の提供時間順序と、第二の濃縮液送給時間と、第二の濃縮液送給時間とは、所定の第二の濃縮液対水の希釈比率において第二の濃縮液からの第二の希釈された液体層を容器中へ送給するために相互に関連して調整されるパラメータであるような作動手段と、
第一の液体層の結果的な濃度が第二の液体層の結果的な濃度よりも高いように所定の値で第一と第二の希釈比率を提供する手段とを含む。
【0022】
機械で読み取り可能なプログラムは更に、プロセッサと信号通信するタイマをアクセスする手段と、プログラム化された水の送給時間順序に従って水送給手段を作動させ、かつ所定の第一と第二の濃縮液対水の希釈比率において第一と第二の液体の層を送給するためにプログラム化された第一と第二の濃縮液送給時間に従って濃縮液送給手段を作動させる手段とを含む。
【0023】
機械で読み取り可能なプログラムは更に、ある量の第一および(または)第二の濃縮液を泡立たせ、泡立った層を送給できるように所定の泡立ち速度で泡立ち装置を作動させる手段を含む。
【0024】
水送給手段は蠕動ポンプ機械、あるいは単に栓圧力あるいは重力と弁との組み合わせでよい。濃縮液送給手段は例えば蠕動ポンプ機械のような移送および投与手段であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、分配装置を介して多層の飲料を自動的に、かつ都合よく送給する新規な方法であって、ある量の少なくとも第一と第二の濃縮液が濃縮液貯蔵手段から計量され、少なくとも第二の濃縮液が希釈液、すなわち好ましくは冷たいか、あるいは熱い水と適正に混合され、その後飲用容器に排出される新規な方法に関するものである。計量された量の第二の濃縮液は、第二の濃縮液と水との混合物から得られた液体層の結果的な濃度が計量された量の第一の濃縮液から得られた第一の液体層のそれよりも薄くなるように水で希釈される。水との適正に制御された希釈を含む液体層の間の相対濃度をこのように正確に制御することによって容器内で安定した層状配置を構築できるようにする。
【0026】
濃縮液は、例えばポンプ装置、あるいは重力の作用と制御弁との組み合わせのような移送および計量手段によって移送および計量することができる。ポンプ手段は粘性の濃縮液を移送することが好ましい。ポンプ手段はその汲み出し速度が正確に制御可能である、蠕動ポンプあるいはその他いずれかのタイプのポンプとしうる。
【0027】
少なくとも二つの液体層が、例えばグラスのような透明な容器を通して、2分以上、好ましくは5分以上、最も好ましくは10分以上の時間に亘って目で見てはっきりしている場合には多層形態飲料に安定性があることが判る。
【0028】
第一の液体層は計量された第一の濃縮液を計量された水と混合することによっても得られることが好ましい。その結果、第一と第二の液体層の間の濃度差は第一の液体層の濃縮液対水の希釈比率を第二の液体層の濃縮液対水の希釈比率に対して制御することによって設定することができる。
【0029】
濃縮液の初期濃度は、例えばコーヒ、ココア、ミルクその他のような送給される製品のタイプによって変動しうる。しかしながら、容器中における層の所望の相対的な位置に関して少なくとも二つの液体層の最終的な濃度を調整することによって、すなわち前述のように濃度のより低い層の前により高い濃度の液体が排出されるようにすることによって、驚くべきことに広範囲の安定した多層飲料の調製を達成しうることが判明した。
【0030】
「濃縮液対水の希釈率」は以下の方式をいう。
(濃縮液の流量に濃縮液の送給時間を掛けたもの)を(水の流量に水の送給時間を掛けたもの)で割ったもの。
【0031】
水の相給時間は特に、過剰の流量および線速度を低減させるが、但し第一の濃縮液による第二の濃縮液の交差汚損を阻止するためにも濃縮液の送給時間を上回りうる。第一の濃縮液に対して、水の相給時間は水分配の開始時間から水分配が停止される時間まで、あるいは少なくとも水分配が先に停止されない場合次の濃縮液が分配開始されるまでの時間までの測定された時間である。第二の濃縮液に対しては、水の相給時間は第二の濃縮液の送給開始から、水の送給が停止される時間、あるいは少なくとも水の送給が先に停止されない場合、次の濃縮液が分配開始されるまでの測定された時間である。
【0032】
濃縮液対水の希釈比率を制御することによって濃縮液の初期濃度を修正し、その結果容器において空間的にはっきりしたな層を維持するに十分な濃度差が液体の二つの層の間で形成されるように容器に送給される液体層の濃度を調整することができる。濃縮液対水の希釈比率は固体の希釈度を増すことによって液体の濃度に影響を与えるが、その結果できた液体の温度にも影響を与える。
【0033】
典型的には、水溶濃縮液は水の他にある量の固体を含有するので水よりも濃度が高い。従って、濃縮液に水が加えられれば加えられるほど、濃度が下げられる。同様に、熱水あるいは冷水で濃縮液を希釈することもその結果の液体の濃度を修正する。液体層は異なる温度で送給することができるが、そうすることによってもそれらの濃度に相応に影響を与える。典型的には、より冷たい濃縮液、例えば大気温度の、あるいは冷却した濃縮液に対して熱い水を添加することによってより熱い液体がつくられ、その結果濃度はより低くなる。層の温度は、水の温度を少なくとも第一と第二の濃縮液との混合に対して同じままとするか、あるいは代替的に排出すべき層に応じて水の温度を異なる値に設定して、冷たい、あるいは大気温度の濃縮液の希釈比率を熱い水で制御することによって調整することができる。
【0034】
従って、少なくとも第一と第二の層の間の濃度の変動は安定し、かつはっきりした層を形成する上で重要であることが判明した。特に、容器内での第一と第二の液体層の間の濃度変動は0.1%と等しいか、あるいはそれより高く制御されることが好ましい。0.1%より低い濃度変動は数秒後に層を破壊に導いた。
【0035】
容器内での第一と第二の液体層の間の濃度変動は0.1から40%の間、より好ましくは0.5から10%の間、最も好ましくは1から4%の間となるように制御されることが更に好ましい。40%以上の濃度変動は通常望ましくなく肌理および(または)風味をもたらす。
【0036】
第一の層の濃度d1と第二の層の濃度d2との間の濃度変動は式(d1−d2).100/d2によって得られる。
【0037】
好適な例において、第一の濃縮液はミルクベースの濃縮液であり、第二の濃縮液はコーヒベースの濃縮液である。コーヒベースの濃縮液は典型的には、含有する全体の固体がはるかに多いためミルクベースの濃縮液よりも濃度が高く、このためミルクベースの濃縮液を希釈するための濃縮液対水の流量比よりも比較的低くコーヒベースの濃縮液対水の希釈比率を調整することを要する。
【0038】
ミルクベースの濃縮液は14から33重量%の間の全体固形と、1.01から1.15g/mLの間の比重を有することが好ましい。
【0039】
コーヒベースの濃縮液は好ましくは45から65重量%の間の、より好ましくは50から55重量%の間の全体固体と、1.05から1.28g/mLの間の比重とを有する。
【0040】
層のコップ内での品質に基づいて、ミルク濃縮液の水に対する希釈比率は1:3を上回るべきでなく、好ましくは1:0.5から1:2.8の間であるべきで、一方コーヒ濃縮液対水の比率は1:5を下回るべきでなく、好ましくは1:6から1:20の間であるべきである。ミルク濃縮液対水の比率が1:2.5で、コーヒ濃縮液対水の比率が1:8で、一方ミルク濃縮液が30重量%の全体固体を、コーヒ濃縮液が55重量%の全体固体を有する場合に(ミルクの層の頂部にコーヒの層がある)鮮明なはっきりした層を有する優れた結果が得られた。
【0041】
別の例においては、第一の濃縮液はミルクベースの濃縮液であり、第二の濃縮液がココアベースの濃縮液である。
【0042】
ココアベースの濃縮液は65から80重量%の全体の固体と1.20から1.38g/mLの濃度とを有することが好ましい。ミルク濃縮液の水に対する比率が1:2.5でチョコレート濃縮液の水に対する比率が1:10から1:3.2の間、好ましくは1:1.5であり、ミルク濃縮液が30重量%の全体の固体を有し、ココア濃縮液が72重量%の全体の固体を有している場合に鮮明なはっきりした層を有する優れた結果が得られた。
【0043】
第一と第二の液体層は容器内で著しい乱流がない静かな状態で送給されることが重要である。液体層を送給する場合に乱流を最小にすることははっきりした層を形成し、かつ保持する上で重要である。このことは、主として送給装置からの希釈された濃縮液の流量と線速度とを比較的低く維持することによって制御することができる。このことはまた、温度勾配を発生させるために送給温度を調整することによって更に制御可能とされる。第一と第二の液体層のための濃縮液と希釈用水とは第二の層が第一の層よりも高い温度として容器内の第一と第二の層の間で少なくとも5%の温度差を提供するために相互に対して調整可能でもある濃縮液対水の希釈比率を形成する。
【0044】
流量は濃縮液を希釈し、そして層の濃度を調整するために使用されるので適正に制御することが重要である。水の流量は1から20mL/sの間、好ましくは5から20mL/sの間に維持することが好ましい。水の流量が20mL/s以上であると層を破壊することが判明した。5から10mL/sの間の水の流量ははっきりして安定した層を形成することができる。前記層の縁部は流量を5mL/s以下まで下げることによってより鮮明となるが、これは送給時間が長くなりすぎることとの妥協の問題である。
【0045】
濃縮液の流量もまた、20mL/s以下、好ましくは0.1から10mL/sとの間の範囲、最も好ましくは0.5から5mL/sの間に維持される。
【0046】
全体の送給時間は好ましくは60秒以下、最も好ましくは45秒以下に維持されるべきである。送給時間とは、釦を押すことから飲料が容器に分配される時間までの全体のサイクル時間のこと指す。
【0047】
目で見てはっきりした様相と安定性とを備えた層を形成するために、液体層を送給する場合の流れの線速度は50から500mLの容器サイズに対して120cm/sを上回らないように制御する必要がある。速度が速すぎると容器内で乱流をつくり過ぎる嫌いがある。流れの線速度とは液体の流れ、例えば分配装置の出口あるいはノズルから出て行く希釈した濃縮液あるいは純水の流量を意味する。
【0048】
流れの線速度は30から120cm/sまでの範囲、最も好ましくは50から100cm/sの範囲内にあるべきである。30cm/s以下の流れ線速度もまた、60秒を越えうる全体の送給速度との妥協の問題である。120cm/s以上の流れ線速度においては、層は容器内で破壊され、液層は急速に相互に混合してしまう。第一の層を送給する100から120cm/sの間の流れ線速度において、泡が容器内で十分崩壊するようにさせるために第二の層を送給する前に休止時間が必要とされることが好ましい。休止時間は2から25秒が好ましく、より好ましくは5から10秒である。休止時間とは二つの濃縮液の送給サイクルの間で残されている時間を指す。
【0049】
層の厚さは消費者の好みによって修正することができる。液体層の間の厚さの比率は9:1から1:9までとしうる。このような柔軟性は投与設定、すなわち流量と投与時間とを変更することによって達成することができる。
【0050】
層の間で明白な濃度変動を設定する上で温度勾配も重要である。より低い温度は乱流と拡散とを低減し、従って層の安定化に貢献する。従って、層の温度は熱い飲料に対してはより重大であり、従ってより高い温度勾配を必要とする。層の温度は希釈比率と、熱い、冷たいおよび(または)大気温度の水と濃縮液との組合わせとによって制御することができる。下側の層が上側の層よりも冷たくて、第一の層と第二の層との間で少なくとも10%の温度勾配が好ましい。温度勾配は、上側の層と比較して下側の層がより冷たくて20から35%の間が最適である。
【0051】
本発明の重要な局面において、第一の層の頂部に第二の層を形成する第二の希釈した濃縮液の流れ線速度を顕著に低下させやすくする泡の層が形成される。
【0052】
このために、図1に示すように、第一の液体の層10を送給する間、あるいはその後で、但し好ましくはより濃度の低い第二の液体の層12を容器へ送給する直前に計量された部分の濃縮液が水と混合され、更に泡11を前記第一の液体の層の上に送給するために泡立たされる。泡は容器に送給される第二の液体の層の速度を遅くさせるよう作用する。
【0053】
その結果、第二の液層が、泡の層が何ら形成されない場合よりもより高い流量で、かつ第一の液層と混合する危険性なしに送給可能であるので、送給時間もまた顕著に減少することも可能である。
【実施例】
【0054】
図3に示すように、第二の液層12が容器に送給される時点で、より高い濃度の層10の上に形成されていた泡11が第二の液層12の速度を低下させるように作用する。従って、その後の濃度のより低い層12が泡11の層を通過し、かつそこを通して拡散し、一方その速度は底の液層10の表面と接触するにつれて徐々に減少する。従って、二つの液層10,12の間での乱流は排除され、それが密度勾配および好ましくは温度勾配と関連して最終的に図2か明らかなように明瞭で、安定した液体と液体との非混合層10−12を最終的に形成することがきるようにする。
【0055】
泡の層はある量の第一の濃縮液を泡立たせ泡の層を形成することによってつくられ、第一の液層上に送給される。次いで、第二の層を送給した後、他の二つの層の濃度と比較すれば濃度が極めて低い泡の層は相対的に濃度がより高い第二の層によって容器の表面まで押し上げられ、飲料の泡状の表面を形成する。泡立たされる第一の濃縮液の量は飲料に対して必要とされる泡の量によって決まる。
【0056】
泡の層はまた、ある量の濃縮液、例えばミルク濃縮液を飲料の送給の終わりにおいて一部の水と共に泡立たせることによってもつくることができる。しかしながら、この泡の層はそこを通して液体層を分配する場合、液体の速度を低減するという利点は提供しない。
【0057】
更に、図4から図6までにおいて明らかなように、本発明による方法は区別が鮮明な多層を備えた飲料を形成するために液体の二層以上の層を送給することを網羅しうる。そのため、本発明による方法は更に計量された量の第三の濃縮液を汲み出すことと、前記の計量された量の濃縮液を水と混合させること、および第三の、すなわち中間の液体層を容器に送給することも網羅でき、第三の層の濃度は第一の層の濃度よりも高いが、第二の層の濃度よりも低く設定される。
【0058】
好適な例において、典型的には再生された液体ミルクであり、濃度がd1である第一の液層10は第一のミルク濃縮液C1と水とからつくられている。濃度d1は前述のように当該濃縮液対水の比率を制御することによって設定される。水と濃縮液とは同じ時間だけ、かつ同時に送給しうる。より好ましくは、水は過多の乱流が形成されるある限度を上回ることがないように調整されたある流速で連続的に送給される。例えば、水は5から10mL/sの間の流速で送給しうる。水はまた、間欠的に送給してもよい。好ましくは、第一の濃縮液の残留部分は水と共に泡立たされ、泡の層11を形成し、該泡層が第一の液体層の頂部に送給される。次の段階において、典型的にはソース濃縮液C3からのソース層である液体層13が濃度d3で送給されるが、前記濃度d3は濃度d1よりも低い値であるが泡の層11の濃度よりもはるかに高い濃度に留まるよう水によって適正に希釈することによって制御される。再び、水は5から10mLの流量に絶えず維持することができる。適正な希釈比率は第三の濃縮液、例えば液体蔗糖の投与分を送給することによって得ることができ、そのため水で希釈されると、第一の層の濃度よりも低い濃度が達成される。
【0059】
泡の層11は希釈された蔗糖層13の速度を低下させるよう作用し、前記層は第一の層の表面の上方で静かに定着する。最終的には、濃度d2でコーヒ濃縮液C2と水との混合物から典型的にはコーヒである液体層12が容器へ排出される。濃度d2も液体層の三つの濃度d1からd3までの中最も低くなるように制御される。泡の層もまた液体層12が減速した速度で中間層13の表面と衝突するように該液体層12を緩衝するよう作用する。コーヒ濃縮液C2が送給されている間、水の送給は、層12の適正な希釈流量比が達成され、従って濃縮液C2自体の送給時間を上回ることができるまで設定された流量に維持される。
【0060】
層を形成するために使用できる濃縮液は限定されるのでなく、例えばミルクとミルク濃縮液、コーヒリカー、ココア濃縮液、例えば果糖、ブドウ糖、蔗糖、コーンシロップ、あるいはそれらの混合物のような砂糖シロップ、着色剤および(または)香味料で風味をつけた液体、例えばティー濃縮液、果物ジュースおよび濃縮液、および(または)それらの混合物のような植物液のような多数の食用液体でよい。最も好ましい液体はミルク、コーヒ、ココア、および蔗糖濃縮液である。ミルクとは広義にいずれかの種類の酪農あるいは非酪農のどこにでもある濃縮液を意味する。好ましくは生乳あるいは粉末牛乳から得られる酪農牛乳である。
【0061】
液体層はまた一つ以上の濃縮液からも形成しうることに注目すべきである。例えば、コーヒと蔗糖の濃縮液を組み合わせて、容器内において他の層から区別して見える甘味のある液状コーヒを送給することができる。
【0062】
典型的には同様の濃度を有する果物ジュースを加工する場合、添加した溶質が品物の流量と休止時間以上に重要な役目を果たす。従って、果物ジュースにおいける濃度の変更は主として、例えば砂糖濃縮液のような可変量の溶質を添加することによって行うことができる。pHをミルクのたんぱく質の等電子点以上になるよう調整することによって、果物ジュースの濃縮液はミルクのたんぱく質の凝固を避けるようにミルクの層の上に分配することも可能である。
【0063】
「濃縮液」とは典型的に、比較的低濃度、すなわち低比重で、高固体含有分で、水活性度の低い液状品を意味し、それは大気温度であるいは長時間に亘っては冷却温度で貯蔵できることが好ましい。本発明における濃縮液は典型的には10重量%以上の固体を含有し、少なくとも1.05g/mLの濃度を有している。
【0064】
図7を参照すれば、本発明による好適装置2は濃縮液C1,C2,C3,Cnを貯蔵しておくための一連の貯蔵容器20,21,22,23および各貯蔵容器を共通の混合室4に接続する濃縮液用配管30,31,32,33を含む。各濃縮液用配管は特定の1個の貯蔵容器の底側に接続され、混合室における濃縮液を計量する機能を有する本装置のポンプ50,51,52,53と作動係合している。例えば蠕動ポンプのような容積式ポンプを使用することが好ましい。濃縮液は箱内袋(バッグインボックス)タイプの包装あるいはポーチなどのような取り外し可能な容器に貯蔵されることが好ましい。
【0065】
混合室4はまた、該混合室4と連通する水供給配管34と流体連通している。
【0066】
水供給配管における水は、必然ではないが、濃縮液用ポンプと同じ種類のものが好ましい水ポンプ54によって移送され、かつ計量される。水は1個以上の水容器60,61,62から、あるいは代替的に水道から供給しうる。水容器60は熱水を、容器61は冷水を、そして容器62は正に常温の水を入れればよい。水用容器からの熱水、冷水あるいは常温水の選択的な供給は制御装置によって制御されて三方弁によって実行される。熱水は所定の温度範囲まで加熱装置(図示せず)によって加熱することができる。そのような加熱装置は、例えば水用容器自体60における電気抵抗要素でよく、あるいは瞬間加熱装置を水供給配管に沿って装着してもよい。混合室4自体は、泡立たせ可能で、従って飲料の泡状部分を生成することができる泡立て装置7まで延在している。泡立て装置は例えば円錐状羽根あるいはディスクのような諸々の種類のものでよい。分配配管の終端にはノズル8を備えた排出配管が見られる。ノズルはまた、そこを通過する液体の流量を抑制し、制御装置によって制御されるピンチ弁から構成してもよい。このように、ピンチ弁は一連の層を形成するように排出される液体の線流速を好適な範囲内で調整することができる。ピンチ弁は必須ではなく、ノズルは必要な流量において低い線速度で送給するようなサイズとしうる。
【0067】
本装置は更に、制御装置9を含む。前記制御装置は一般にタイマあるいはその他の周期的に付勢する装置を含む。制御装置はまた、例えばスイッチボードのような使用者による入力装置91を含む。制御装置は、濃縮液用ポンプ50−53、水ポンプ54、泡立て装置7、弁55,63(およびその他のもの)と、そして最終的に加熱装置を信号で通信するように配置され、これら諸々の要素を単純なオン/オフモードあるいは代替的に比例モードで制御する。
【0068】
濃縮液用配管30−33および水用配管34は更に、ポンプがオンとされると、流量を制御するようなサイズとされている。特に、濃縮液用配管と水用配管の内径は層間での必要な濃縮液の濃度の変動に従って、但しポンプの速度を必ずしも調整する必要なく濃縮液と水との濃度を制御するように異なるサイズとされている。従って、濃縮液を希釈したり、あるいは単に容器に水を添加するのに必要なある時間一定の速度で作動するようにオン/オフモードの制御装置で単純にサイクルするようなDCあるいはAC駆動のポンプを利用することができる。例えば、ミルク濃縮液、コーヒ濃縮液およびココア濃縮液に対しては、配管はそれぞれ内径が3から12ミリメートルの間のサイズとされている。
【0069】
水および濃縮液の投与はいずれかの手段によって行いうるが、ポンプと投与媒体との間に何ら接触がなきため、高度な衛生状態で濃縮液を投与するには蠕動ポンプによる投与が好ましい。水はまた、ポンプを使用することなく水道水で投与することも可能である。
【0070】
制御装置9はプログラム化可能な制御装置すなわちプロセッサ90と前記プロセッサと信号通信している使用者入力手段91とを有しており、それにより使用者は各種諸々の多層特性を備えた各種飲料を選択できる。プログラム化可能なプロセッサはまた、例えばプロセッサに常駐のソフトウエアのような機械で読み取り可能なプログラムを含みうる。機械読み取りプログラムは各種の多層飲料を送給する投与設定を制御する指令であって、典型的には例えばポンプを作動させる特定の時間シーケンス、水と濃縮液の流量と線速度とを決定するポンプ速度、泡立て装置の速度、水温およびその他の変動要素のようなポンプと泡立て装置のセッティングを含む指令を含む。
【0071】
構成要素の組立て、制御装置、タイミングおよびプログラム化については、飲料分配の技術分野においては典型的な既知の技術であるのでここではそれ以上詳しく説明する必要はない。
【0072】
図1、図2および図7は、二つの液体層を備えた見た目に魅力的は泡状多層飲料を自動的に送給するための第一の実施例を示す。入力信号は、例えばタッチスクリーン、スイッチボードあるいはそれらと同等のもののような使用者による入力手段91を介して使用者によって入力される。使用者入力手段は複数の飲料の選択メニューからの選択した飲料に関する関連の信号をプログラム化可能制御装置90に伝送する。この信号に応答して、かつ識別されたプログラム化セッティングに従って、制御装置90はミルク濃縮液C1と水とを混合室4においてそれぞれ計量するために第一の濃縮液ポンプ、例えばミルク用ポンプ50と水用ポンプ54とを同時に作動させる。前記濃縮液と水との流量はそれぞれ、プログラム化された選択によって決められ、第一の濃縮液からの液体の第一の層、例えば再生された液状ミルクの層を飲用容器に送給する。前記の液体の層を分配している間は、液体の層において不必要な乱流をつくらないように泡立て装置は制御装置によって作動されない。
【0073】
液体の層の送給に続いて少量の泡の層が送給される。このために、第一の濃縮液用ポンプ50が制御装置によってオフとされる前に、泡立て装置7が制御装置によって起動させられ、混合室へ流れ続けている水によって濃縮液の残留部分を泡立たせる。泡立て装置の速度は所望の選択に対してプログラム化された所望の速度にセットされる。ミルクを泡立たせるための最適な泡立て装置の速度は10,000から20,000rpmの間であることが好ましい。このように図1に示すように、泡の層が第一の液体層の上に送給される。泡の層11は本装置のどの濃縮液からもつくることができるが、第一の液体層10、例えば再生ミルクをつくるために供されるのと同じ濃縮液C1からつくることが好ましい。泡立て装置がオンとされると、泡の層をつくるための濃縮液C1の水に対する希釈比は第一の液体層をつくるための濃縮液C1の水に対する希釈比よりも相対的により低いように設定される。すなわち、5から10秒の間は濃縮液の量は少量、例えば約5から5.5mL/sで、泡立てが高速で持続されている間、15から20秒の間に大量の水、例えば7−8mL/sと混合される。
【0074】
次の段階において、水用ポンプ54が第二の濃縮液C2を混合するために作動状態に留まっている間、制御装置は第二の濃縮液用ポンプ、例えばコーヒ用ポンプ51を作動させる。泡立て装置は依然として作動し続けているか、あるいは代替的に乱流を減少させるために非作動とすればよい。
【0075】
本発明の方法および装置に対して付加的な改良を提供しうる。例えば、ノズルと飲料用容器との間の距離は、飛散とか大きな乱流を排除するために特定範囲内にあるべきである。前記の距離と容器の直径とがノズルと容器の縁との間の角度を決める。この角度は10から120度、好ましくは20から60度、そして最も好ましくは25から35度の間で変動しうる。
【0076】
例
以下の例において、ミルク濃縮液は約28重量%の全体の固体を含有し、1.07g/cm3の濃度を有し、コーヒ濃縮液は約55重量%の全体の固体を含有し、1.25g/cm3の濃度を有し、ココア濃縮液は約72重量%の全体の固体を含有し、1.35g/cm3の濃度を有し、最後に蔗糖溶液(50重量%)は1.23g/cm3の濃度を有している。
【0077】
例 1
ミルクおよびコーヒ濃縮液から図7に示す分配装置を使用してカプチーノタイプの飲料が調製された。以下の手順を使用してはっきりした二層を有するカプチーノが調製された。使用した水の温度は85℃で、濃縮液は大気温(15−25℃)で分配された。前記成分の流量はノズルから測定して60cm/sであった。
【0078】
流量5.3mL/sで10秒間ミルク濃縮液を6.9mL/sの流量の水と同時に分配した。サイクルの終わりで泡を形成するため泡立て装置がオンとされた。この段階に続いて水と配管に残っていた残留ミルクとを分配し、70℃において層を形成した。流量2mL/sでコーヒ濃縮液を第一の濃縮液と同じ流量(6.9mL/s、但し2秒間)で最後に水と共に分配した。ミルク(55℃において1.024g/cm3 )とコーヒ(77℃において0.996g/cm3)の層の間の濃度と温度の差によってそれらが分離され、目で見てはっきりした層(図11参照)を形成することが可能となった。製品の流量は7.5mL/sであった。更に、層は時間の経過と共に極めて安定した。
【0079】
例 2
ミルク、コーヒおよび砂糖(50重量%)の濃縮液から例1と同様に分配装置を使用してカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0080】
ミルクは例1のように分配され、続いて蔗糖シロップが11秒の後5秒間で3.8mL/sの流量で分配され、最終的に水とコーヒ濃縮液とが混合された。水と蔗糖濃縮液が濃度変化(1.024(ミルク層)>1.019(砂糖層)>0.981(コーヒ))を形成し、それによりコーヒが多層において部分的に分配されうるようにした。送給速度は7.5mL/sであった。
【0081】
出来上がったものに砂糖を添加することによって製品に甘味を加え、さらに飲料において層形成を促進した(図12)。
【0082】
例 3
例1と同様に、カプチーノタイプの飲料が調製された。泡立て装置が直ちにオンとされた(初期遅延なし)。
【0083】
カップの底におけるミルク層は例1におけるよりも著しく薄かった。泡立て装置をオンモードとすることによって、より多くの乱流を形成し、(より多くの空気を取り入れることにより)ミルクとコーヒ部分との間の濃度勾配を小さくした(図13)。
【0084】
例 4
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。コーヒ部分(コーヒと水)は1.2mL/sの低い流量で分配された。分配時間は250mLの飲料に対して約32秒であった。
【0085】
鮮明で狭いコーヒ層が形成された(図14)。
【0086】
例 5
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。水と濃縮液との温度は大気温度(約23℃)であった。
【0087】
層状の飲料が得られた(図15)。
【0088】
例 6
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。しかしながら、ミルクとコーヒとは連続して二回循環された。
【0089】
多層の飲料が得られた。
【0090】
例 7
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。しかしながら、(25秒の後)コーヒを分配する前に泡立て装置はオフとされた(図8参照)。
【0091】
層状のカプチーノが少量の泡と共に分配された。
【0092】
鮮明な多層の飲料が得られた。
【0093】
例 8
例2と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。しかしながら、ミルクが同じ時間(10秒)汲み上げられたが、図9に示すように連続して三回循環された。
【0094】
鮮明で、狭いコーヒ層が形成された。
【0095】
例 9
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。使用された水の温度は4℃で、濃縮液の温度は大気温(約23℃)であった。
【0096】
層状のカプチーノが分配された。
【0097】
例 10
カプチーノタイプの飲料が以下の状態で調整された。ミルクは(0.84mL/sの流量で)0から38秒まで分配され、コーヒは(0.24mL/sの流量で)43から52秒まで分配され、水は2.6mL/sの流量で10から38秒までと、43から52秒まで分配された。投与セッティングが図10に示されている。
【0098】
コーヒ層がミルクの上に形成された。
【0099】
例 11
水およびミルクとチョコレートの濃縮液(コーヒ濃縮液に代わるチョコレート濃縮液)と共に例5によって提供された条件の下にチョコレート飲料が調製された。チョコレート濃縮液は0.22mL/sの流量を有し、46から52秒まで分配された。泡立て装置はオフモードとされた。
【0100】
チョコレートの層がミルクの上に形成された。
【0101】
例 12
ミルク、コーヒおよびコーヒは、0.84mL/s、0.22mL/sおよび0.24mL/sの流量で分配され、2.6mL/sの流量の水と混合された。
【0102】
多層の飲料が分配された。
【0103】
例 13
果物ジュース#1(グリーンポンチ)が(30秒間)0.9mL/sの流量で分配され、5%の蔗糖0溶液が(20秒間)そして果物ジュース#2(ルビーレッドのグレープフルーツジュース)が0.3mL/sの流量で(15秒間)分配された。果物ジュースの平均濃度は1.06g/cm3であった(図16)。
【0104】
ジュース#1の濃度を増すことによって果物ジュース間で明確な層が形成された。
【0105】
例 14
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。しかしながら、水の流量は20mL/s以上であった。
【0106】
十分混合されたカプチーノが得られた。カップには層は何ら形成されなかった。
【0107】
例 15
例1と同様にカプチーノタイプの飲料が調製された。しかしながら、水の流量は120mL/s以上であった。
【0108】
十分混合されたカプチーノが得られた。飲料には何ら層は形成されなかった。
【0109】
例 16
ミルクおよびコーヒ濃縮液から、例1と同様に分配装置を使用してカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0110】
水が時間t0=0から時間30秒まで(t0は(0秒での)開始時間である)、ミルクが時間0秒から時間10秒まで(すなわちt0からt0+10秒まで)、そして最後にコーヒ濃縮液が時間26秒から時間30秒まで(すなわち、t0+26秒からt0+26秒まで)分配された。泡立て装置が時間10秒から時間26秒まで(すなわちt0+10秒からt0+26秒まで)オンとされた。層状の飲料のための合計送給時間は32秒であった。
【0111】
見た目にはっきりした層が形成され、層が時間の経過と共に極めて安定した。
【0112】
例 17
ミルクとコーヒの濃縮液から、例1と同様に分配装置を使用してカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0113】
水が時間0秒から28秒まで(すなわち、t0からt0+28秒まで)分配され、ミルクが時間0秒から10秒まで(すなわち、t0からt0+10秒まで)分配され、最後にコーヒ濃縮液が22秒から28秒まで(すなわち、t0+22秒からt0+28秒まで)分配された。泡立て装置が11秒から20秒まで(すなわち、t0+11秒からt0+20秒まで)オンとされた。層状の飲料のための送給時間は30秒であった。
【0114】
見た目にはっきりした層が形成され、前記層は時間の経過と共に極めて安定した。
【0115】
例 18
ミルクおよびコーヒ濃縮液から、例16と同様に分配装置を使用して、但し泡立て装置を5秒から26秒までオンさせてカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0116】
例16におけるものと比較して大量の泡が生成され、目で見てはっきりした層が形成された。更に、層は時間と共に極めて安定した。
【0117】
例 19
ミルクおよびコーヒ濃縮液から、例16と同様に分配装置を使用して、但し泡立て装置を0秒から26秒までオンとさせてカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0118】
例16および18におけるものと比較して大量の泡が生成され、目で見てはっきりした層が形成された。更に、前記層は時間と共に極めて安定した。
【0119】
例 20
ミルクとコーヒの濃縮液から、例16と同様に分配装置を使用して、但し泡立て装置を0秒から10秒までオンとして、カプチーノタイプの飲料が調製された。
【0120】
例16におけるものと比較してより少量の泡が生成され、目で見てはっきりした層が形成された。更に、前記層は時間と共に極めて安定した。
【0121】
例 21
ミルクとコーヒの濃縮液から、例16と同様に分配装置を使用して、但し泡立て装置を12秒から20秒までオンとしてカプチーノタイプの飲料が調製された。
【0122】
例16と18とにおけるものと比較して極めて少量の泡が生成され、目で見てはっきりした層が形成された。更に、前記層は時間と共に極めて安定した。
【0123】
判明したところによれば、泡の量は顧客の好みに応じて特製とすることができた。同じことが液体層の色や容積についてもいえる。
【0124】
前記例では、安定した層を備えた飲料をつくるには、a)濃縮液を適正に希釈することによって層の濃度勾配を、b)特定の液体の流れの線速度および分配手順、すなわち、遅れ、休止時間、重なりなどを設定することによって液体層の運動を、そしてc)所定の流量を重視することが重要であることが判明した。
【0125】
更に、熱い飲料に対しては、乱流を低減し、濃度勾配を有し、そして層を安定化するために温度勾配も所望される。このように、はっきりした液体層を形成するために液体の運動を最小化するには、流線速度(高流量には低線速度が必要)、(拡散、対流などによる層の混ざりを阻止するために液体の運動を最小にするための)層間の休止時間と、(次の液体の線速度を更に低減させるために)第一の液体層とその後の液体層との間に泡を形成することも重要な役割を演ずることも判明した。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】二つの濃縮液から得られた泡状の二層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図2】二つの濃縮液から得られた泡状の二層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図3】二つの濃縮液から得られた泡状の二層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図4】三つの濃縮液から得られた泡状の多層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図5】三つの濃縮液から得られた泡状の多層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図6】三つの濃縮液から得られた泡状の多層の液体飲料を送給する段階を示す概略図である。
【図7】本発明による装置を示す概略全体図である。
【図8】それぞれ例7に対応する投与設定の例である。
【図9】それぞれ例2に対応する投与設定の例である。
【図10】それぞれ例10に対応する投与設定の例である。
【図11】本発明によって得られ、例1に対応する多層飲料の写真である。
【図12】本発明によって得られ、例2に対応する多層飲料の写真である。
【図13】本発明によって得られ、例3に対応する多層飲料の写真である。
【図14】本発明によって得られ、例4に対応する多層飲料の写真である。
【図15】本発明によって得られ、例5に対応する多層飲料の写真である。
【図16】本発明によって得られ、例6に対応する多層飲料の写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に、二つ以上の重ねられた液体の層を備えた飲料を分配する方法において、
第一の濃縮液の少なくとも1個の供給源と、第二の濃縮液の少なくとも1個の供給源とを提供し、
前記供給源から計量された量の前記第一の濃縮液を汲み上げ、それを容器中へ送給し、その中に第一の液体の層を提供し、
前記供給源から計量された量の前記第二の濃縮液を汲み上げ、それを計量された量の水と混合して第二の濃縮液から第二の希釈した液体層を形成し、希釈された第二の濃縮液を容器と第一の液体層中へ送給して第二の液体層を形成し、
前記第二の液体層が前記第一の液体層の濃度よりも低い濃度まで希釈され、そのためより低い濃度の第二の希釈された液体層が第一の液体層の空間的に上方に留まり容器内で下側の層の上に目で見てはっきりした上側の層を有する飲料を提供することを含むことを特徴とする二つ以上の重ねられた層を備えた飲料を分配する方法。
【請求項2】
前記第一の液体層が計量された量の第一の濃縮液を計量された量の水と混合することによって得られ、前記第一と第二の液体層の間の濃度変動が第二の液体層の濃縮液対水の希釈比率に対して第一の液体層の濃縮液対水の希釈比率を制御することによって設定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一と第二の液体層の間の濃度変動が0.1%と等しいか、あるいはそれ以上になるよう制御されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一と第二の液体層の間の濃度変動が0.1から40%の間にとなるように制御されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第一と第二の液体層が容器内で著しい乱流を起こすことなく静かに送給されることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第一と第二の濃縮液をそれぞれ希釈し、かつ混合する流量を提供する計量された量の希釈用水が、50から500mlの間の容器サイズに対して20mL/sを上回らないように各々設定されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
水の流量が5から10mL/sの間のであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第一と第二の濃縮液の量を希釈し、それぞれ混合する希釈用水がそれぞれ120cm/sを上回らない流線速度を有するように設定されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
流線速度が30から100cm/sの間であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第一の濃縮液の汲み上げと第二の濃縮液の汲み上げとの間に休止時間が設けられていることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
第一の液体層を送給している間あるいはその後で、容器までの第二の液体層の送給を遅くするために濃縮液の計量された部分が水と混合され、更に第一の液体層の上に泡を直接送給するように泡立てられることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
第一と第二の液体層のための濃縮液と希釈用水とが、第二の層が第一の層よりも温度が高いようにして容器内での第一と第二の層の間の温度差が少なくとも5%となるように相互に対して調整される濃縮液対水の希釈比率を形成することを特徴とする請求項2、3または4に記載の方法。
【請求項13】
前記第一と第二の濃縮液とが異なる外見および風味特性を有することを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第一と第二の濃縮液が異なる固有の濃度と異なる初期固体含有量とを有していることを特徴とする請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の濃縮液が、15から33重量%の全体の固体と1.01から1.15g/mLの比重とを有するミルクベースの濃縮液であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第二の濃縮液が45から60重量%の全体の固体と、1.05から1.28g/mLの間の比重を有することを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
水に対するミルク濃縮液の量が1:3を上回らない比率で存在し、水に対するコーヒ濃縮液の量が1:5に等しいか、あるいはそれ以上である比率で存在することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
供給源から計量された量の第三の濃縮液を汲み出し、前記の計量された量の濃縮液を水と混合させ、第三の希釈された液体の層を容器中へ送給することを更に含み、前記第三の層の濃度が第一の層の濃度よりも低いが第二の層の濃度よりも高くに設定されることを特徴とする請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
希釈された第三の濃縮液の混合および送給が希釈された第一および(または)第二の濃縮液の送給と少なくとも部分的に重なるように制御されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第三の濃縮液の送給が第一の濃縮液からの第一の層の送給に続くが、希釈された第二の濃縮液の送給には先行するように制御されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第三の濃縮液が液状の甘味料であることを特徴とする請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも第一と第二の濃縮液が、コーヒ、ミルク、ココア、砂糖、微量養分、果物、植物エキスおよびそれらの組合わせとから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
目で見てはっきりした外観の多層を有する飲料を飲用容器に自動的に分配する分配装置であって、
少なくとも1個の混合手段と、
水を前記混合手段まで移送し、かつ計量する水供給、水移送および計量手段と、
貯蔵手段に個別に入れられた少なくとも第一と第二の濃縮液と、
各濃縮液を個別に前記貯蔵手段から前記混合手段まで移送し、かつ計量するように構成された濃縮液配管と、移送および計量手段と、
ある量の混合され、かつ希釈された濃縮液を飲用容器に排出するための出口を備えた少なくとも1個の送給配管と、
使用者による入力手段と、使用者によって起動された特定使用者による入力手段に対応するプログラム化されたサイクルに従って前記移送および計量手段の作動を選択的に制御する制御装置とを含む制御手段と
を含む分配装置において、
第一の液体層を形成するために計量された量の第一の濃縮液を計量された量の水と混合し、かつ送給し、その後第二の液体層を形成するために計量された量の第二の濃縮液を計量された量の水と混合し、かつ送給するように前記水および濃縮液移送および混合手段を前記制御手段が選択的に作動させ、
飲用容器内で下側の層の上に目で見てはっきりした上側の層を有する飲料を提供するために、濃度のより低い第二の、希釈された液体層が第一の液体層の空間的に上方に留まるようにして容器内で安定した層状配置を第一と第二の層が形成するように第一の液体層の濃度を第二の液体際の濃度よりも高い値であるよう調整する仕方で相互に対して制御される濃縮液対水の希釈比率を水と、第一および第二に液体層が有することを特徴とする飲用容器に見た目にはっきりした外観の多層を有する飲料を自動的に分配する装置。
【請求項24】
前記第一と第二の液体層の濃縮液対水の希釈比率の変動を0.1%に等しいか、あるいはそれ以上となるよう調整するよう前記容器内での前記第一と第二の液体層との濃縮液対水の希釈比率が制御されることを特徴とする請求項23に記載の分配装置。
【請求項25】
前記第一と第二の液体層が50から500mlの間の容器サイズに対して120cm/sあるいはそれ以下の線速度で出口を通して排出されることを特徴とする請求項23または24に記載の分配装置。
【請求項26】
第二の液体層が第一の液体層と接触するようになる前に容器において第二の液体層の送給を遅らせる表面が泡状の層を第一の層の上に生成するために前記第一の液体層が送給される間あるいはその後であって、前記第二の層が送給される前に計量された濃縮液を泡立たせるよう前記制御手段によって起動される泡立て装置を更に含むことを特徴とする請求項23、24または25に記載の分配装置。
【請求項27】
泡立った層を送給するために前記泡立て装置が水で希釈された第一の濃縮液の量の中の終わり部分を泡立たせるよう起動させられることを特徴とする請求項26に記載の分配装置。
【請求項28】
前記泡立て装置が10,000から50,000rpmの間で回転するように起動させられること特徴とする請求項26または27に記載の分配装置。
【請求項29】
安定した液体層を形成するのに要する第一と第二の層の濃縮液濃度差に従って濃縮液と水との流量を制御するために差をつけたサイズとされている内径を前記濃縮液配管と水配管とが有していることを特徴とする請求項24から28までのいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項30】
前記第一の濃縮液がミルク濃縮液であることを特徴とする請求項24から29までのいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項31】
前記第二の濃縮液がコーヒ濃縮液であることを特徴とする請求項24から30までのいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項32】
間に2から10秒までの間の休止時間をおいて前記第一の濃縮液と第二の濃縮液とを順次汲み上げることによって第一と第二の液体層の送給を順序立てるように制御手段がプログラム化されていることを特徴とする請求項24から31までのいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項33】
プロセッサあるいはマイクロプロセッサにインストール可能である機械で読み取り可能なプログラムにおいて、
使用者による入力手段を介して使用者によって入力された飲料選択を受け取る手段と、
少なくとも1個のプログラム化された水の流量において、かつ少なくとも1個の水の送給時間順序の間に水送給手段を起動させる手段と、
プログラム化された第一の濃縮液の流量において、かつプログラム化された第一の濃縮液送給時間において第一の濃縮液送給手段を起動させる手段であって、水の流量、水を提供する時間順序、第一の濃縮液の流量、および第一の濃縮液の送給時間とが第一の濃縮液からの第一の希釈された液体層を所定の第一の濃縮液対水の希釈比率で容器中へ送給するように、相互に関連して調整されるパラメータである、第一の濃縮液送給手段を起動させる手段と、
第二の濃縮液の流量と、プログラム化された第二の濃縮液送給時間において、第二の濃縮液送給手段を起動させる手段であって、水の流量、水の送給時間順序、第二の濃縮液流量、および第二の濃縮液送給時間が所定の第二の濃縮液対水の希釈比率において第二の濃縮液から第二の希釈された液体層を容器中へ送給するために相互に関連して調整されるパラメータである第二の濃縮液送給手段を起動させる手段と、
第一の液体層の結果的な濃度が第二の液体層の結果的な濃度よりも高くなるように所定の値で第一と第二の希釈比率を提供する手段とを含むことを特徴とするプロセッサあるいはマイクロプロセッサにインストール可能な機械で読み取り可能なプログラム。
【請求項34】
プロセッサあるいはマイクロプロセッサと信号通信するタイマにアクセスする手段と、プログラム化された水送給時間順序に従って水送給手段を起動させ、かつ所定の第一および第二の濃縮液対水の比率において第一と第二の層を送給するためにプログラム化された第一と第二の濃縮液送給時間に従って濃縮液送給手段を起動させる手段とを更に含むことを特徴とする請求項33に記載の機械で読み取り可能なプログラム。
【請求項35】
ある量の第一および(または)第二の濃縮液を泡立たせ、泡だった層を送給できるようにするために所定の泡立て速度で泡立て装置を起動させる手段を更に含むことを特徴とする請求項33または34に記載の機械で読み取り可能なプログラム。
【請求項1】
容器内に、二つ以上の重ねられた液体の層を備えた飲料を分配する方法において、
第一の濃縮液の少なくとも1個の供給源と、第二の濃縮液の少なくとも1個の供給源とを提供し、
前記供給源から計量された量の前記第一の濃縮液を汲み上げ、それを容器中へ送給し、その中に第一の液体の層を提供し、
前記供給源から計量された量の前記第二の濃縮液を汲み上げ、それを計量された量の水と混合して第二の濃縮液から第二の希釈した液体層を形成し、希釈された第二の濃縮液を容器と第一の液体層中へ送給して第二の液体層を形成し、
前記第二の液体層が前記第一の液体層の濃度よりも低い濃度まで希釈され、そのためより低い濃度の第二の希釈された液体層が第一の液体層の空間的に上方に留まり容器内で下側の層の上に目で見てはっきりした上側の層を有する飲料を提供することを含むことを特徴とする二つ以上の重ねられた層を備えた飲料を分配する方法。
【請求項2】
前記第一の液体層が計量された量の第一の濃縮液を計量された量の水と混合することによって得られ、前記第一と第二の液体層の間の濃度変動が第二の液体層の濃縮液対水の希釈比率に対して第一の液体層の濃縮液対水の希釈比率を制御することによって設定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一と第二の液体層の間の濃度変動が0.1%と等しいか、あるいはそれ以上になるよう制御されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一と第二の液体層の間の濃度変動が0.1から40%の間にとなるように制御されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第一と第二の液体層が容器内で著しい乱流を起こすことなく静かに送給されることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第一と第二の濃縮液をそれぞれ希釈し、かつ混合する流量を提供する計量された量の希釈用水が、50から500mlの間の容器サイズに対して20mL/sを上回らないように各々設定されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
水の流量が5から10mL/sの間のであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第一と第二の濃縮液の量を希釈し、それぞれ混合する希釈用水がそれぞれ120cm/sを上回らない流線速度を有するように設定されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
流線速度が30から100cm/sの間であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第一の濃縮液の汲み上げと第二の濃縮液の汲み上げとの間に休止時間が設けられていることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
第一の液体層を送給している間あるいはその後で、容器までの第二の液体層の送給を遅くするために濃縮液の計量された部分が水と混合され、更に第一の液体層の上に泡を直接送給するように泡立てられることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
第一と第二の液体層のための濃縮液と希釈用水とが、第二の層が第一の層よりも温度が高いようにして容器内での第一と第二の層の間の温度差が少なくとも5%となるように相互に対して調整される濃縮液対水の希釈比率を形成することを特徴とする請求項2、3または4に記載の方法。
【請求項13】
前記第一と第二の濃縮液とが異なる外見および風味特性を有することを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第一と第二の濃縮液が異なる固有の濃度と異なる初期固体含有量とを有していることを特徴とする請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の濃縮液が、15から33重量%の全体の固体と1.01から1.15g/mLの比重とを有するミルクベースの濃縮液であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第二の濃縮液が45から60重量%の全体の固体と、1.05から1.28g/mLの間の比重を有することを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
水に対するミルク濃縮液の量が1:3を上回らない比率で存在し、水に対するコーヒ濃縮液の量が1:5に等しいか、あるいはそれ以上である比率で存在することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
供給源から計量された量の第三の濃縮液を汲み出し、前記の計量された量の濃縮液を水と混合させ、第三の希釈された液体の層を容器中へ送給することを更に含み、前記第三の層の濃度が第一の層の濃度よりも低いが第二の層の濃度よりも高くに設定されることを特徴とする請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
希釈された第三の濃縮液の混合および送給が希釈された第一および(または)第二の濃縮液の送給と少なくとも部分的に重なるように制御されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第三の濃縮液の送給が第一の濃縮液からの第一の層の送給に続くが、希釈された第二の濃縮液の送給には先行するように制御されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第三の濃縮液が液状の甘味料であることを特徴とする請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも第一と第二の濃縮液が、コーヒ、ミルク、ココア、砂糖、微量養分、果物、植物エキスおよびそれらの組合わせとから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
目で見てはっきりした外観の多層を有する飲料を飲用容器に自動的に分配する分配装置であって、
少なくとも1個の混合手段と、
水を前記混合手段まで移送し、かつ計量する水供給、水移送および計量手段と、
貯蔵手段に個別に入れられた少なくとも第一と第二の濃縮液と、
各濃縮液を個別に前記貯蔵手段から前記混合手段まで移送し、かつ計量するように構成された濃縮液配管と、移送および計量手段と、
ある量の混合され、かつ希釈された濃縮液を飲用容器に排出するための出口を備えた少なくとも1個の送給配管と、
使用者による入力手段と、使用者によって起動された特定使用者による入力手段に対応するプログラム化されたサイクルに従って前記移送および計量手段の作動を選択的に制御する制御装置とを含む制御手段と
を含む分配装置において、
第一の液体層を形成するために計量された量の第一の濃縮液を計量された量の水と混合し、かつ送給し、その後第二の液体層を形成するために計量された量の第二の濃縮液を計量された量の水と混合し、かつ送給するように前記水および濃縮液移送および混合手段を前記制御手段が選択的に作動させ、
飲用容器内で下側の層の上に目で見てはっきりした上側の層を有する飲料を提供するために、濃度のより低い第二の、希釈された液体層が第一の液体層の空間的に上方に留まるようにして容器内で安定した層状配置を第一と第二の層が形成するように第一の液体層の濃度を第二の液体際の濃度よりも高い値であるよう調整する仕方で相互に対して制御される濃縮液対水の希釈比率を水と、第一および第二に液体層が有することを特徴とする飲用容器に見た目にはっきりした外観の多層を有する飲料を自動的に分配する装置。
【請求項24】
前記第一と第二の液体層の濃縮液対水の希釈比率の変動を0.1%に等しいか、あるいはそれ以上となるよう調整するよう前記容器内での前記第一と第二の液体層との濃縮液対水の希釈比率が制御されることを特徴とする請求項23に記載の分配装置。
【請求項25】
前記第一と第二の液体層が50から500mlの間の容器サイズに対して120cm/sあるいはそれ以下の線速度で出口を通して排出されることを特徴とする請求項23または24に記載の分配装置。
【請求項26】
第二の液体層が第一の液体層と接触するようになる前に容器において第二の液体層の送給を遅らせる表面が泡状の層を第一の層の上に生成するために前記第一の液体層が送給される間あるいはその後であって、前記第二の層が送給される前に計量された濃縮液を泡立たせるよう前記制御手段によって起動される泡立て装置を更に含むことを特徴とする請求項23、24または25に記載の分配装置。
【請求項27】
泡立った層を送給するために前記泡立て装置が水で希釈された第一の濃縮液の量の中の終わり部分を泡立たせるよう起動させられることを特徴とする請求項26に記載の分配装置。
【請求項28】
前記泡立て装置が10,000から50,000rpmの間で回転するように起動させられること特徴とする請求項26または27に記載の分配装置。
【請求項29】
安定した液体層を形成するのに要する第一と第二の層の濃縮液濃度差に従って濃縮液と水との流量を制御するために差をつけたサイズとされている内径を前記濃縮液配管と水配管とが有していることを特徴とする請求項24から28までのいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項30】
前記第一の濃縮液がミルク濃縮液であることを特徴とする請求項24から29までのいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項31】
前記第二の濃縮液がコーヒ濃縮液であることを特徴とする請求項24から30までのいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項32】
間に2から10秒までの間の休止時間をおいて前記第一の濃縮液と第二の濃縮液とを順次汲み上げることによって第一と第二の液体層の送給を順序立てるように制御手段がプログラム化されていることを特徴とする請求項24から31までのいずれか1項に記載の分配装置。
【請求項33】
プロセッサあるいはマイクロプロセッサにインストール可能である機械で読み取り可能なプログラムにおいて、
使用者による入力手段を介して使用者によって入力された飲料選択を受け取る手段と、
少なくとも1個のプログラム化された水の流量において、かつ少なくとも1個の水の送給時間順序の間に水送給手段を起動させる手段と、
プログラム化された第一の濃縮液の流量において、かつプログラム化された第一の濃縮液送給時間において第一の濃縮液送給手段を起動させる手段であって、水の流量、水を提供する時間順序、第一の濃縮液の流量、および第一の濃縮液の送給時間とが第一の濃縮液からの第一の希釈された液体層を所定の第一の濃縮液対水の希釈比率で容器中へ送給するように、相互に関連して調整されるパラメータである、第一の濃縮液送給手段を起動させる手段と、
第二の濃縮液の流量と、プログラム化された第二の濃縮液送給時間において、第二の濃縮液送給手段を起動させる手段であって、水の流量、水の送給時間順序、第二の濃縮液流量、および第二の濃縮液送給時間が所定の第二の濃縮液対水の希釈比率において第二の濃縮液から第二の希釈された液体層を容器中へ送給するために相互に関連して調整されるパラメータである第二の濃縮液送給手段を起動させる手段と、
第一の液体層の結果的な濃度が第二の液体層の結果的な濃度よりも高くなるように所定の値で第一と第二の希釈比率を提供する手段とを含むことを特徴とするプロセッサあるいはマイクロプロセッサにインストール可能な機械で読み取り可能なプログラム。
【請求項34】
プロセッサあるいはマイクロプロセッサと信号通信するタイマにアクセスする手段と、プログラム化された水送給時間順序に従って水送給手段を起動させ、かつ所定の第一および第二の濃縮液対水の比率において第一と第二の層を送給するためにプログラム化された第一と第二の濃縮液送給時間に従って濃縮液送給手段を起動させる手段とを更に含むことを特徴とする請求項33に記載の機械で読み取り可能なプログラム。
【請求項35】
ある量の第一および(または)第二の濃縮液を泡立たせ、泡だった層を送給できるようにするために所定の泡立て速度で泡立て装置を起動させる手段を更に含むことを特徴とする請求項33または34に記載の機械で読み取り可能なプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図10】
【図11】
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【図15】
【図16】
【公表番号】特表2007−513838(P2007−513838A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537093(P2006−537093)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010908
【国際公開番号】WO2005/046409
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010908
【国際公開番号】WO2005/046409
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
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