説明

目のDNAウイルス感染症の治療用の利尿および/または強心配糖体を含む組成物

目のDNAウイルス感染症は、エタノールのレベルが目にとって許容され得るように調節されている、水/エタノール溶液に溶解された利尿薬および/または強心配糖体からなる組成物を適用することによって治療または予防される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNAウイルス感染症の予防および治療上の処置、特に目のDNAウイルス感染症に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAウイルスは、タンパク質構造内にDNAの中心コアを有する。そのDNAは、ウイルスを再生する遺伝子コードを有する。ウイルスは生きた細胞に感染して再生しなければならないので、一旦細胞の内部に入ると、ウイルス性DNAの複製がウイルスの感染力にとって必須のものとなる。抗ウイルス化学療法の理想的な標的として作用する重要な酵素などの良く特徴付けられている無数のウイルス性タンパク質がある。これらには、DNA複製に必要とされるDNAポリメラーゼおよびチミジンキナーゼが含まれる。
【0003】
本発明者らは、ループ利尿薬および強心配糖体またはリチウム塩が、DNAウイルス感染症の治療に相乗的に作用することを証明した。それゆえ、本発明者らは国際特許出願PCT/GB00/04790(国際公開第01/49300号パンフレット)に、DNAウイルス感染症の治療に相乗的な効果を発揮するループ利尿薬およびリチウムの使用、ならびにループ利尿薬とリチウムとの相乗的な組み合わせを含むDNAウイルス感染症の治療に有用な組成物について記述し、特許請求を行った。国際特許出願PCT/GB00/04793(国際公開第01/49242号パンフレット)には、DNAウイルス感染症の治療に相乗的な効果を発揮するループ利尿薬および強心配糖体の使用、ならびにループ利尿薬と強心配糖体との相乗的な組み合わせを含むDNAウイルス感染症の治療に有用な組成物について記述し、特許請求を行った。これらの書類の双方とも、治療の有効性を立証するインビトロ実験について記述している。
【0004】
強心配糖体は、ジゴキシン、ジギトキシン、メヂゴキシン、ラナトシドC、プロスシラリジン、kストロファンチン、ペルボシド(peruvoside)およびウアバインのいずれか1つまたはそれ以上であり得る。ジギタリス種の植物(例えばジギタリス プルプラ、ジギタリス ラナタ)は、集合的にジギタリスとして知られているジゴキシンおよびジギトキシンなどの強心配糖体を含んでいる。ジギタリス配糖体と化学的に関係がある強心配糖体を含む他の植物もあるが、これらはジギタリスと呼ばれることが多い。それゆえ、ジギタリスの用語は、配糖体(該配糖体は砂糖とカルデノリドとの2つの成分から構成される)の全群を指すために用いられている。ウアバインはアフリカの植物であるストロファンサス・グラタスに由来し(ストロファンチジンGとしても知られている)、静脈内用の形態で利用することができ(経口では吸収されない)、その溶解性が大きいために、配糖体ドの研究において多くの試験室実験用に用いられている。それはジゴキシンと実質的に同一の作用形態を有する。
【0005】
ジゴキシンは化学的には、(3b,5b,12b)−3−[O−2,6−ジデオキシ−b−D−リオブ−ヘキソピラノシル−(1”4)−O−2,6−ジデオキシ−b−D−リボ−ヘキソピラノシル−(1”4)−2,6−ジデオキシ−b−D−リボ−ヘキソピラノシル]オキシ]−12,14−ジヒドロキシ−カルド−20−22)−エノリドと記述される。それはC416414の分子式と、780.95の分子量とを有する。ジゴキシンは230℃より高い温度で分解して溶ける無臭の白色の結晶体として存在する。その薬物は実質的に水とエタノールに不溶であって、希釈された(50%)アルコールおよびクロロホルムにわずかに可溶であり、またピリジンに容易に溶解する。
【0006】
フロセミドとしても知られているフルセミドは、アントラニル酸誘導体、化学的には4−クロロ−N−フルフリル−5−スルファモイルアントラニル酸である。それは中性pHでは実質的に水に不溶性であるが、アルカリには溶け易い。フロセミドは細胞膜を横切る塩化物イオンの輸送の阻害によって、その生理学的効果を発揮する。フロセミドは短い作用時間を有するループ利尿薬である。それは肝不全、腎不全または心不全による浮腫を治療するため、および高血圧症を治療するために用いられる。フロセミドのバイオアベイラビリティーは60%から70%までのあいだであり、そしてそれは主に変化しない薬物としてろ過と分泌とによって排泄される。フロセミドはNa+/K+/2Cl−共輸送体上で作用する。その利尿効果については、その主要な作用は腎臓のヘンレループの上昇する縁にある。ループ利尿薬は細胞内カリウムを消費した細胞を残して、K+の排泄を促進させる。これによって、長期的な全身的フロセミドの使用のきわめて重大な合併症、即ち、血清カリウムの低下を来すことがある。本発明者らは、ループ利尿薬をDNAウイルスに対抗する助剤として有用にするのは、この作用であると仮定する。
【0007】
フロセミドの主要な生体内変化の産物はグルクロニドであることを証拠は示唆している。フロセミドは血漿タンパク質、主としてアルブミンに広範囲に結合する。1から400μg/mlまでの範囲の血漿濃度が、健康な人では91〜99%結合している。非結合分画は、治療濃度で2.3〜4.1%のあいだにわたる。フロセミドの終端半減期は約2時間であって、それは主として尿中に排泄される。
【0008】
国際公開第01/49242号パンフレットの組成物は、外用または内用投与に供することができる。局部および全身的に適用することが、最も有用なようだと言われている。組成物が局部的適用用に調製されることが、本発明の非常に好ましい特徴であると言われている。他の成分、例えば保存剤のようなものも、それらが抗ウイルス活性に悪影響を及ぼさないならば、存在してもよい。
【0009】
本発明者らは以前の出願において、その発明の好ましい治療態様は、目のウイルス感染症に効果的な治療をするためにループ利尿薬および強心配糖体の局所的濃度を使用することであると述べた。人の角膜の再発性ヘルペス感染は、最も一般的な盲目のウイルス要因である。
【0010】
本発明者らは、ループ利尿薬および強心配糖体を有する(例えばそれに含浸させた)コンタクトレンズは、疾患を予防または治療するための細胞内高濃度を生じさせるための安全で効率的な方法であろうと述べた。本発明者らはまた、眼内に適用されたループ利尿薬および強心配糖体を持続性薬剤として適用することは、エイズを罹っている患者の失明の主要な原因であるサイトメガロウイルス性網膜炎の治療のための適切な方法であろうと述べた。さらに、発明は目の角膜の感染症の治療用に緩衝生理食塩水製剤に局部適用としてフルセミドとジゴキシンとの組み合わせを提供することを述べている。
【0011】
しかし、これまで、ループ利尿薬およびフロセミドの溶解性および目の感受性のために、目にまたはその周りに局部的に適用できる薬剤を調製することは不可能であった。
【0012】
よく知られているように、目は低水準の汚染物だけしか許容しない、きわめて敏感な器官である。もし正常の応答機構(涙の生成および/または瞬き等)が汚染物を除去するのに十分でないならば、相当の損傷が起こる可能性がある。
【0013】
目がそれに対して特別に敏感な物質の1つに、エタノールがある。エタノール溶液はレーザー屈折矯正角膜切除術およびレーザー角膜上皮屈折矯正術(LASEK)の前に角膜上皮を創面切除するのに使用される。また、エタノールは間質たんぱく質に対して直接毒性を有することも立証された(Grutersら, Opthalmologe, 2002; 99(4), 266-269参照)。したがって、目の局部治療用への濃縮エタノール溶液の使用は阻止される。
【発明の開示】
【0014】
局部に適用されるか、または持続的に適用され、DNAウイルス感染症を治療または予防に充分な活性成分を含む目のDNAウイルス感染症の治療用製剤を提供することが、本発明の1つの目的である。
【0015】
驚くべきことに、目に使用するために相乗作用のある量の利尿薬および/または強心配糖体の製剤を、エタノール溶液に調製できることが見出された。
【0016】
したがって、本発明の第1の側面では、目のDNAウイルス感染症の治療または予防用組成物の製造方法であって、該方法はエタノールを含む溶媒に利尿薬および/または強心配糖体を溶解し、そのようにして調製した溶液を水で希釈して、目の中またはその近辺での使用に許容され得る量のエタノールを含んだ組成物を調製することを含む方法を提供するものである。
【0017】
利尿薬および強心配糖体は、エタノールの約60〜約95v/v%水溶液に溶解し得る。
【0018】
最も好ましくは、利尿薬および強心配糖体を、エタノールの約90v/v%水溶液に溶解する。
【0019】
エタノール含有量を、最終製剤において例えば約2〜約2.5v/v%まで下げるために、充分な量の水を添加し得る。
【0020】
本発明の第2の側面は、目のDNAウイルス感染症の治療または予防用組成物であって、水/エタノール溶液に溶解した相乗作用のある量の利尿薬と強心配糖体とを含んでなり、そのエタノール含量が目の中またはその近辺に使用するのに適するように調節されている組成物を提供する。
【0021】
上記における水は、水中にさらに別の物質が溶解していることもあると理解され、水は生理食塩水、例えば、緩衝された生理食塩水、溶液などであってもよい。
【0022】
そのように形成した強心配糖体と利尿薬とのエタノール/水の溶液は、さらに他の物質と組み合わせて、例えば、目の中またはその近辺に使用するためのローションまたはクリームを形成するか、またはそれを点眼剤として用いることもできる。また保存剤および/または安定剤を用いてもよい。
【0023】
本発明の更なる側面では、利尿薬または強心配糖体をエタノールに溶解し、その中に活性種が1つだけ存在する目のDNAウイルス感染症を治療するための組成物を形成するように隔離して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本明細書中で、「目許容性の」および「目に許容され得る」という用語(ならびにこれと同様の用語)は、催涙効果が見られないこと、および/または目の表面(角膜)および/または目の周囲(瞼、涙管など)および/または目の中のより深部の構造体(水晶体、筋肉など)に炎症および/または損傷が見られないことを意味するものとする。
【0025】
使用する特定のまたは各々の活性成分の量は、DNAウイルス感染症、またはその余病が治療されるべきかどうか、または組成物が予防策として用いられるべきかどうかにしたがって決定される。いずれかまたは全ての場合において、投与量は、当業者の通常の技術水準によって、個別に経験に基づいて決定される。2つ以上の活性物がある場合は、成分の割合を調節して相乗効果を与える配慮も行う。
【0026】
利尿薬は、スルホンアミドおよびチアジドのような様々なループ利尿薬から選定すればよい。本明細書においては、スルホニルウレアも含まれる。
【0027】
ループ利尿薬は腎臓中のヘンレループの上昇ループに作用する物質である。それらはスルホンアミドであるが、他の物質であってもよい。典型的な例としては下記を含む:

【0028】
チアジド利尿薬はチアジドとしても知られているベンゾチアドリアジンを含む。
【0029】
典型的な例としては下記のものがある:

【0030】
スルホニルウレアは細胞膜を横切るイオン輸送に影響を与える抗糖尿病薬である。
【0031】
それらは下記のものによって代表される:

【0032】
好ましくは、利尿薬はループ利尿薬であって、フルセミド、ブメタニド、エタクリン酸またはトラセミドのいずれか1つまたはそれ以上とする。本発明者らの研究によれば、ループ利尿薬はイオンの細胞濃度、細胞のイオン平衡、細胞のイオン環境および電気的ポテンシャルの変化に応じて、それらの抗ウイルス効力を調節する。
【0033】
強心配糖体は、ナトリウム−カリウムアデノシントリホスフェート(Na/K−ATPase)の阻害によって媒介される陽性強心作用(positive inotropic activity)を示す。この範疇に入る物質は下記のものを含む:

【0034】
好ましくは、強心配糖体はジゴキシン、ジギトキシンおよびウアバインのいずれか1つまたはそれ以上のものであってよい。
【0035】
本発明者らの以前の特許出願(国際公開第01/49242号パンフレット)に述べたように、細胞のレベルではジギタリスはナトリウム輸送酵素、ナトリウム−カリウムアデノシントリホスフェート(Na/K ATPase)の阻害によって、その主な効果を発揮する;これは心筋の電気生理学的な効果と、本発明者らの理解するところによればDNAウイルスに対する活性にも直接に関与する。この活性はまた、細胞内カルシウムの二次的変化により心筋収縮能に対する効果も有する。ジギタリスの非常に低い細胞内濃度では、ジギタリスがNa/K ATPaseを刺激するので心収縮能が低下して、反対の効果を認めることができる。
【0036】
好ましい組み合わせはループ利尿薬のフルセミドおよび強心配糖体のジゴキシンである。好ましい濃度の1つはフルセミド7mg/mlおよびジゴキシン62μg/mlである。2つの活性成分の適用を短期間分離しておくことも本発明の範囲内である。
【0037】
研究(X線微細分析など)は、本発明の組成物の抗ウイルス性DNA効果が細胞内カリウムイオンの消耗に依存することを証明した。
【0038】
これらの研究は簡潔に言えば下記のことを証明している:
* カリウムの置換によりDNAの合成が回復され得る;
* フルセミドとジゴキシンとを組み合わせて使用すると、カリウムの消耗に匹敵す る効果がある;
* カリウムの消耗のレベルは正常な細胞機能を保たせるのに充分である;
* カリウムが消耗しても細胞毒性効果はない。
【0039】
それゆえ、ループ利尿薬および強心配糖体の適用によりイオンの細胞濃度、細胞イオン平衡、細胞イオン環境、および細胞の電気的ポテンシャルを変えることによって、細胞に悪影響を及ぼすことなく、しかしウイルスの複製は阻害されるように、細胞の代謝作用を変えることが可能となる。したがって、本発明者らは、ループ利尿薬および強心配糖体の使用はウイルス性DNAの複製を阻止することにより、ウイルスの複製を防止または制御する上で有益であるという見解を確信した。
【0040】
眼内に適用されるエタノール溶液に入った強心配糖体およびループ利尿薬を適用することは、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎並びに他の目のDNAウイルス感染症の治療に適した方法である。
【0041】
エタノールに溶解されたループ利尿薬と強心配糖体を含む点眼剤を適用することは、アデノウイルス性角結膜炎の治療に適する方法である。
【0042】
治療できるいくつかの他のウイルス感染源としては、単純ヘルペス1型および2型、およびヴァリセラゾスラーウイルスがあり、それらは全て表皮細胞に感染して視力を脅かす疾病を引き起こすことができる。
【0043】
本発明は一般的に人間または家畜用に意図されているので、人または動物、例えば猫、犬、豚、牛、羊、馬、家禽、魚、野生動物などのDNAウイルス感染症を治療する上で価値あるものである。
【0044】
エタノール2.5v/v%が、眼内および目にとって許容され得る最大濃度であることが見出されている。
【0045】
評価において、62.5μg/mlのジゴキシンと7.5mg/mlのフルセミドの強度を有する0.4mlの単回投与単位が下記の処方で作成された:
【0046】
【表1】

【0047】
アデノウイルス性角結膜炎に対する治療の有効性を評価するために、二重盲検試験を12名の患者について実施した。
【0048】
試験例1で点眼剤として試験的投薬を行った。上記の処方にしたがって作られた点眼剤を無作為に選ばれた目に二重盲検方式で投与して、プラシーボを反対側の目に投与した。投与量は4滴(1滴は26μlを含んでいた)とし、それぞれの目に2時間毎に10時間の期間にわたるものであった。全部合わせて、同一の目に常に処方薬とプラシーボとを6回適用したことになる。試験投薬は両眼内に続いて滴下させなければならない。薬壜“R”の4滴を右目に、薬壜“L”の4滴を左目に滴下させなければならなかった。
【0049】
6回の適用後に、この試験で投与されるべき用量は1日当りジゴキシン39μgとフロセミド4.68mgと計画された。kg当りmgの基準では、人間について試験されるべく計画された用量はジゴキシン0.78μg/kgおよびフロセミド93.6μg/kg(50kgの個人を想定)と同じであり、またジゴキシン0.56μg/kgおよびフロセミド66.9μg/kg(70kgの個人を想定)と同じであった。
【0050】
この試験での投与量は人間の場合、下記の経口剤形から計算された;
【0051】
ジゴキシン:
経口剤形から算出;バイオアベイラビリティーは約80%;平均治療用プラズマ濃度=1.5μg/l;日割低減(daily reduction quote)は20%、そして半減期は42時間である。
【0052】
経口投与量によって治療用プラズマレベルに到達するためには、1日当り0.5〜0.75mgの初期用量を3〜5日にわたって投与する。この濃度を保つためには1日当り0.25〜0.375mgの維持用量を投与する。バイオアベイラビリティーを念頭において、最初の3〜5日間は初期用量を身体において1日当り0.4〜0.6mg、維持用量を身体において1日当り0.2〜0.3mgとする。
【0053】
製剤内におけるジゴキシンの濃度は62.5μg/mlであった。1つの目での4×26μl=104μlを計算することによって、1つの目では1適用当り6.5μgの用量が達せられた。1日に6回の適用をした後には、39μgの日用量が達成された。
【0054】
これは初期用量(400μg)よりも10倍低く、そして経口服用の維持用量(200μg)よりも5倍低い。
【0055】
フロセミド:
経口剤形から算出;バイオアベイラビリティーは70%;1日当り14〜28mgの血清レベルに到達するためには通常用量は1日当たり20〜40mgである。
【0056】
製剤内におけるフロセミドの濃度は7.5mg/mlであった。1つの目での4×26μl=104μlの滴を計算することによって、1つの目では1適用当り0.78mgの用量が達せられた。1日6回の適用後には、4.68mgの日用量が達成された。
【0057】
これは経口服用の後に血清に対して計算された日毎の治療量(14mg)よりも3倍低い。
【0058】
各被験者の実際に治療するための目(右または左)は二重盲検法で固有の無作為数を割り当てることによって決定した。
【0059】
スクリーニング後、資格を得た被験者は2時間毎に1回、10時間にわたって試験薬の投与を6回受ける1日治療期間(試験例1)へ進んだ。12被験者全員が、無作為に選ばれた目に4滴の処方薬の投与を受け、また反対側の目に4滴のプラシーボの投与を受けた。試験投薬の各投与の前にバイタルサインの評価および目の検査を行った。試験投薬の最初の投与から11.75、24、36、48および72時間後に、追加の検査を行った。
【0060】
各被験者に対する全ての評価は、できる限り、1日の同時刻に行った。
【0061】
試験例1
スクリーニング/登録試験例の後2週間以内に試験例1が行われた。
【0062】
10時間の期間にわたって、2時間毎に無作為に選ばれた目に4滴の処方薬を滴下し、また反対側の目に4滴のプラシーボの滴下をした。全部合わせて処方薬とプラシーボとで6回の滴下があった。
【0063】
最初の滴下の前に、被験者は下記のように評価された。
【0064】
− 有害反応
− 併用薬
− バイタルサイン(血圧、脈拍)
− 視覚の鋭敏性
− 眼内圧
− 検眼鏡検査
− スリットランプ検査
− 角膜のフルオレセイン染色
− ジゴキシンとカリウムのレベル検査のための採血
− 無作為選択
各滴注後1.75時間経って、被験者を下記のように評価した。
【0065】
− 有害反応
− バイタルサイン(血圧、脈拍)
− 視覚の鋭敏性
− 眼内圧
− 検眼鏡検査
− スリットランプ検査
− 角膜のフルオレセイン染色
最後の滴注後1.75時間経って、被験者を下記のように評価した。
【0066】
− 有害反応
− バイタルサイン(血圧、脈拍)
− 視覚の鋭敏性
− 眼内圧
− 検眼鏡検査
− スリットランプ検査
− 角膜のフルオレセイン染色
− ジゴキシンとカリウムのレベル検査のための採血
【0067】
試験例2
試験例2は、試験投薬の最初の滴注から24時間後に行われた。試験例2では、被験者を最初の滴注後と同様に評価した。
【0068】
試験例3
試験例3は、試験投薬の最初の滴注から36時間後に行われた。試験例3では、被験者を試験例2通りに評価した。
【0069】
試験例4
試験例4は、試験投薬の最初の滴注から48時間後に行われた。試験例4では、被験者を試験例2通りに評価した。
【0070】
試験例5(終了試験例)
試験例5は、試験投薬の最初の滴注から72時間後に行われた。試験例5では、被験者を下記のように評価した。
【0071】
− 有害反応
− 併用薬
− バイタルサイン(血圧、脈拍)
− 視覚の鋭敏性
− 眼内圧
− 検眼鏡検査
− スリットランプ検査
− 角膜のフルオレセイン染色
− 安全試験室試験のための採血
− ジゴキシンとカリウムのレベル検査のための採血
− 尿検査
− 身体検査
− ECG
− 目の症状についての質問書
【0072】
安全性追跡試験例
試験例(試験例5)の終わりに未解決の有害反応があった場合には、試験例5の後7日から14日のうちに安全性追跡試験が行われた。安全性追跡試験では、被験者は下記のように評価された。
【0073】
− 有害反応
− 併用薬
− バイタルサイン(血圧、脈拍)
− 視覚の鋭敏性
− 眼内圧
− 検眼鏡検査
− スリットランプ検査
− 角膜のフルオレセイン染色
全ての場合において、特徴的な角膜炎は治療の期間にわたって減少し、また全ての感染は3週間以内に消えていた。
【0074】
本製剤はいわゆるヴィトラサート(Vitrasert)インプラントとして提供することもできる。これはCMV角膜炎の治療のために、外科的に眼内へ入れて製剤がCMV角膜炎の症状を治療することができるようにするものである。
【0075】
利尿薬はループ利尿薬、チアジドまたはスルホニルウレアのいずれにでも変換することができる。強心配糖体は、前記開示した群のどれからでも選択することができる。
【0076】
全ての場合に、エタノールの溶液中での強心配糖体および/または利尿薬の製剤は、目にとって受容可能であると認められた。
【0077】
本発明の組成物は目以外のDNAウイルス感染症の治療にも有用であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目のDNAウイルス感染症の治療または予防用組成物の製造方法であって、利尿薬および/または強心配糖体をエタノールを含む溶媒に溶解し、そのようにして調製した溶液を水で希釈して、目の中またはその近辺での使用に許容され得る量のエタノールを含んだ組成物を調製することを含む方法。
【請求項2】
利尿薬および/または強心配糖体を、エタノールの約60〜約95v/v%水溶液を含む溶媒に溶解することからなる請求項1記載の方法。
【請求項3】
溶媒がエタノールの95v/v%水溶液を含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
そのようにして調製した溶液を水で希釈してエタノール含量を約2〜約2.5v/v%まで下げることを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
利尿薬がループ利尿薬、スルホンアミドまたはチアジドの1つまたはそれ以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
目のDNAウイルス感染症の治療または予防用組成物であって、相乗作用のある割合で水/エタノール溶液に溶解した利尿薬と強心配糖体とを含んでなり、そのエタノール含量が目の中またはその近辺に使用するのに適するように調節されている組成物。
【請求項7】
目のDNAウイルス感染症の治療または予防のための組成物であって、水/エタノール溶液に溶解した利尿薬または強心配糖体を含んでなり、そのエタノール含量が目の中またはその近辺に使用するのに適するように調節されている組成物。
【請求項8】
エタノール含量が約2〜約2.5v/v%である請求項6または7記載の組成物。
【請求項9】
組成物が点眼液を構成するかまたはローションまたはクリームとして提供される請求項7または8記載の組成物。
【請求項10】
眼内へ注入するための持続性薬剤として提供される請求項7または8記載の組成物。
【請求項11】
利尿薬が存在する場合、該利尿薬がループ利尿薬、スルホニルウレアまたはチアジドの1つまたはそれ以上である請求項6〜10記載の組成物。
【請求項12】
強心配糖体が存在する場合、該強心配糖体がジゴキシン、ジギトキシン、ウアバイン、またはストロファンチンである請求項6〜11のいずれか1項に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−533721(P2007−533721A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508979(P2007−508979)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001570
【国際公開番号】WO2005/102351
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506353806)ヘンダーソン モーリー パブリック リミテッド カンパニー (1)
【Fターム(参考)】