説明

目地材固定具

【課題】 目地材を型枠に確実に固定できる目地材固定具を提供する。
【解決手段】 型枠60の内面に上下方向に沿って配置され、型枠60内にコンクリートを打設することによってコンクリート基礎の表面に埋設される目地材70を、コンクリートの打設に際し、型枠60に固定させておくための目地材固定具であって、目地材70と型枠60とを挟持する一対の挟持片2,3と、一対の挟持片2,3間に配置され、一方の挟持片2とにより型枠60を挟持する爪部4とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート基礎の表面に埋設されるべく、型枠の内面に上下方向に沿って配置される目地材を、型枠に固定させる目地材固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート基礎に亀裂を集中させるための溝を形成させるべく、コンクリート基礎の表面に埋設される目地材が知られている。そして、長尺な目地材は、型枠内にコンクリートを打設する際に、型枠の内面に上下方向に沿って配置される。このとき、目地材は、型枠に設けられる上下方向に沿う突条部と嵌合することにより、型枠に保持される(例えば、特許文献1)。
【0003】
ここで、型枠には、特許文献1のように、並設される複数の型枠材と、該型枠材の内面に沿って敷設されるシート材(又は板材)とからなる型枠や、単に、並設される複数の型枠材からなる型枠が存在する。なお、型枠材には、内面が平面状に形成された型枠材や、突条部といった凹凸が内面に一体的に形成された型枠材が存在する。
【0004】
また、目地材は、長手方向に溝状に延設される嵌合部にて、型枠の突条部を外嵌するように構成される。なお、目地材の嵌合部が型枠の突条部を確実に外嵌できない場合、即ち、嵌合部と突条部との間に隙間が生じる場合には、当該隙間を埋めるべく、嵌合部と突条部との間に長手方向に沿って介挿材を挿入することにより、目地材の嵌合部が型枠の突条部に外嵌できる。
【特許文献1】特開2002−115394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンクリートを打設する際には、液状のコンクリートを流し込むことになるため、目地材は、流れるコンクリートから(特に横方向の)大きな外力を受ける。そして、目地材は、型枠の突条部と嵌合することによる保持力よりも、コンクリートから受ける外力の方が大きくなると、型枠から外れ、その状態で(望んでない位置で)コンクリートに埋設することになる。
【0006】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、目地材を型枠に確実に固定できる目地材固定具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る目地材固定具は、型枠の内面に上下方向に沿って配置され、型枠内にコンクリートを打設することによってコンクリート基礎の表面に埋設される目地材を、コンクリートの打設に際し、型枠に固定させておくための目地材固定具であって、目地材と型枠とを挟持する一対の挟持片と、一対の挟持片間に配置され、一方の挟持片とにより型枠を挟持する爪部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、一対の挟持片が目地材と型枠とを挟持し、一対の挟持片間に配置される爪部が一方の挟持片とにより型枠を挟持するため、型枠内にコンクリートを打設する際に、型枠の内面に上下方向に沿って配置される目地材を型枠に固定させることができる。
【0009】
また、本発明に係る目地材固定具においては、爪部は、横並びに一対の爪片を備え、何れか一方の爪片のみでも、一方の挟持片とにより、型枠を挟持可能に構成されてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、爪部が横並びに一対の爪片を備え、何れか一方の爪片のみでも、一方の挟持片とにより、型枠を挟持することができる。したがって、例えば、一方の爪片が目地材又は介挿材或いは型枠に干渉する場合には、一方の爪片を排除(切削、変形)することにより、他方の爪片と一方の挟持片とにより、型枠を挟持することができる。
【0011】
また、本発明に係る目地材固定具においては、一対の挟持片と爪部とを連結させる本体部を備え、一対の挟持片と爪部とは、本体部から同方向に突出して形成されてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、本体部が一対の挟持片と爪部とを連結し、一対の挟持片と爪部とが本体部から同方向に突出して形成されている。したがって、例えば、目地材が型枠に保持されている状態にて、目地材や型枠に挿入するようにして取り付けることもできる。
【0013】
また、本発明に係る目地材固定具においては、他方の挟持片は、目地材を係止すべく、内方に向けて突出する係止部を備えてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、他方の挟持片が内方に向けて突出する係止部を備えるため、係止部が目地材を係止する。したがって、他方の挟持片が目地材と相対変位するのを防止できるため、より確実に目地材を固定することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の如く、本発明に係る目地材固定具によれば、一対の挟持片が目地材と型枠とを挟持し、爪部が一方の挟持片とにより型枠を挟持するため、目地材を型枠に確実に固定できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る目地材固定具における一実施形態について、図1〜図7を参酌して説明する。
【0017】
図1〜図3に示すように、型枠60は、基礎の中途部を形成すべく、平板状に形成される複数の平板型枠材(以下、単に「型枠材」という)61,61’…と、基礎の角部を形成すべく、屈曲されて(平面視にてL字状に)形成される複数の角部型枠材62,…とを備える。そして、型枠60は、並設される型枠材61,61’や角部型枠材62を連結手段(図示しない)にて連結して構成される。
【0018】
型枠材61は、長尺な矩形状に形成され、長手方向が横方向(水平方向)に、幅方向が上下方向(鉛直方向)に沿うようにして立設される。そして、型枠材61は、コンクリートの基礎に埋設されるための目地材70に嵌合されるべく、内面に、上下方向に沿って延設される突条部61a,61a,61bを備える。
【0019】
また、型枠材61は、基礎の表面に模様を形成すべく、内面に、凹凸状に形成される模様形成部61c,61cを備える。なお、型枠材61は、例えば樹脂により、突条部61a,61b及び模様形成部61cを一体的にして形成される。
【0020】
突条部61a,61bは、型枠材61における横方向の両端部と中央部とに設けられる。そして、中央部の突条部61bは、幅寸法が端部の突条部61aの幅寸法の約2倍の大きさとなるように形成される。
【0021】
また、各突条部61a,61bは、上下方向の長さが型枠材61の上下方向の長さよりも短く形成され、型枠材61の上下方向における中途部に配置される。具体的には、各突条部61a,61bの上端は、型枠材61の上端まで延設されておらず、また、各突条部61a,61bの下端は、型枠材61の下端まで延設されていない。
【0022】
角部型枠材62は、上下方向の長さが型枠材61の上下方向の長さと略同一に形成され、厚み寸法が型枠材61の厚み寸法よりも小さく形成される。また、角部型枠材62の内面は、平面状に形成される。なお、角部型枠材62は、例えば金属で形成される。
【0023】
目地材70は、長尺に形成され、型枠60の内面に上下方向に沿って配置される。そして、目地材70は、長手方向に沿って延設される平板部71を備える。また、目地材70は、平板部71の一方面側に、型枠材61の突条部61a,61bを外嵌すべく、長手方向に沿って溝状に延設される嵌合部72を備える。なお、目地材70は、樹脂で形成され、弾性を有する。
【0024】
平板部71は、他方面側に、複数の溝71a,…を備える。該溝71aは、平板部71の長手方向に亘って形成される。また、溝71aは、互いに並行となるように配置される。
【0025】
嵌合部72は、目地材70が型枠材61の中央部に配置される場合には、型枠材61の中央部の突条部61bを外嵌可能に構成される。また、嵌合部72は、目地材70が連結される二つの型枠材61,61の端部に跨って配置される場合には、各型枠材61の端部の突条部61aをまとめて(一体的にして)外嵌可能に構成される。
【0026】
そして、嵌合部72は、目地材70が連結される型枠材61と角部型枠材62との端部に跨って配置される場合には、内部に長尺な介挿材80を上下方向に沿って挿入することにより、型枠材61の端部の突条部61aを嵌合可能に構成される。
【0027】
介挿材80は、幅寸法が型枠材61の端部の突条部61aの幅寸法と略同一に形成される。具体的には、介挿材80は、横方向の断面形状が型枠材61の端部の突条部61aにおける横方向の断面形状と略同一に形成される。
【0028】
また、介挿材80は、上下方法の長さが型枠材61の上下方向の長さと略同一に形成される。そして、介挿材80は、型枠材61の上下方向に亘って配置される。具体的には、介挿材80は、上端が型枠材61の上端と一致し、下端が型枠材61の下端と一致するように配置される。なお、介挿材80は、樹脂で形成され、弾性を有する。
【0029】
そして、本実施形態に係る目地材固定具は、図4〜図7に示すように、本体部1と、目地材70と型枠60とを挟持するための一対の挟持片2,3と、一方の挟持片(以下、「第1挟持片」という)2とにより型枠60を挟持するための爪部4とを備える。なお、目地材固定具は、各目地材70に対して上端と下端との2箇所(目地材70の各端部)に取り付けられて、目地材70を型枠60に固定させる。
【0030】
本体部1は、長尺な平坦状に形成され、一対の挟持片2,3と爪部4とを連結させる。そして、本体部1は、幅方向の寸法が目地材70の幅方向の寸法と略同一に(又は小さく)形成される。また、本体部1は、中央部に、円形状の第1開口部11と、他方の挟持片(以下、「第2挟持片」という)3側に、第1開口部11より大きい矩形状の第2開口部12とを備える。
【0031】
第1挟持片2は、本体部1の長手方向の一端側に連結される。そして、第1挟持片2は、本体部1の一方面側から突出して形成される。具体的には、第1挟持片2は、平板状(本体部1よりも凹凸状)に形成され、本体部1に対して略直交する(やや内方に傾斜する)ようにして配置される。また、第1挟持片2は、幅方向の寸法が本体部1の幅方向の寸法と略同一に形成される。
【0032】
さらに、第1挟持片2は、型枠60(型枠材61の外面)を係止(に圧接)すべく、内方に屈曲して形成される屈曲部21を備える。これにより、第1挟持片2は、先端部が外方に広がって形成される。
【0033】
第2挟持片3は、本体部1の長手方向の他端側に連結される。そして、第2挟持片3は、本体部1の一方面側から突出して形成される。具体的には、第2挟持片3は、平坦状(第1挟持片2よりも真っ直ぐに)に形成され、本体部1から第1挟持片2と同方向に突出し、本体部1に対して直交するようにして配置される。
【0034】
また、第2挟持片3は、幅方向の寸法が本体部1や第1挟持片2の幅方向の寸法と略同一に形成される。そして、第2挟持片3は、本体部1からの突出長さが第1挟持片2における本体部1からの突出長さよりも小さく形成される。さらに、第2挟持片3は、目地材70を係止すべく、内方に向けて突出する係止部31,…を複数(本実施形態においては4つ)備える。
【0035】
各係止部31は、第2挟持片3の幅方向において、それぞれ異なった位置に配置される。具体的には、各係止部31は、目地材70の平板部71に設けられる複数の溝71a,…の位置に対応して配置され、それぞれが異なった溝71aに嵌合又は係合するように構成される。
【0036】
また、各係止部31は、(平坦状の部位に対しての)突出量が、目地材70の各溝71aの凹み量よりも大きく形成されている。そして、各係止部31は、半球状に突出して形成される(図4(b)における四つの円形状は、係止部31,…の形成に伴って形成される凹部である)。
【0037】
爪部4は、本体部1の長手方向の中途部に連結され、一対の挟持片2,3間に配置される。そして、爪部4は、本体部1の一方面側から突出して形成される。具体的には、爪部4は、平板状に形成され、本体部1から一対の挟持片2,3と同方向に突出し、本体部1に対して略直交する(やや第1挟持片2側に傾斜する)ようにして配置される。
【0038】
また、爪部4は、幅方向の寸法が本体部1の幅方向の寸法より小さく形成される。そして、爪部4は、本体部1からの突出長さが一対の挟持片2,3における本体部1からの突出長さよりも小さく形成される。さらに、爪部4は、一対の爪片41,41を備える。
【0039】
一対の爪片41,41は、横並びに並設され、何れか一方の爪片41のみでも、第1挟持片2とにより、型枠60(型枠材61)を挟持可能に構成される。そして、一対の爪片41は、略同形状に形成され、本体部1の幅方向に並設される。
【0040】
また、爪片41は、型枠60(型枠材61や角部型枠材62の内面)を係止すべく、第1挟持片2側(内方)に屈曲して形成される屈曲部41aを備える。これにより、爪片41は、先端部が外方に広がって形成され、目地材70に取り付けられた際に、目地材70の嵌合部72を係止可能に構成される。
【0041】
なお、本実施形態に係る目地材固定具は、一枚の金属板から形成される。具体的には、長尺な金属板の長手方向の両端部を屈曲することにより、本体部1の両端に一対の挟持片2,3を形成し、本体部1の一部を切り起こす(打ち抜く)ことにより、爪部4(一対の爪片41,41)を形成する。
【0042】
本実施形態に係る目地材固定具の構成は以上の通りであり、次に、本実施形態に係る目地材固定具の取り付け方法及び固定作用について説明する。
【0043】
まずは、図6を参酌して、連結される二つの型枠材61,61の端部に跨って、目地材70が配置される場合であって、目地材70の上端に取り付ける場合について説明する。かかる場合、目地材70の嵌合部72は、各型枠材61の端部の突条部61aを一体的にして外嵌している。
【0044】
そこで、一対の挟持片2,3と一対の爪片41,41とが本体部1から同方向に突出し、しかも、互いに略並行に配置されているため、目地材70及び各型枠材61の上方から目地材固定具を挿入するようにして取り付ける。このとき、第1挟持片2や各爪片41の先端部が各型枠材61に対して外方に広がっているため、挿入するのが容易であり、また、図示していないが、第2挟持片3の各係止部31が目地材70の各溝71aに沿って案内される。
【0045】
すると、平坦状の本体部1が各型枠材61及び目地材70の上面に沿って配置される。そして、第1挟持片2の屈曲部21が各型枠材61の外面に圧接すると共に、各爪片41の屈曲部41aが各型枠材61の内面に圧接する。これにより、第1挟持片2と一対の爪片41,41とが各型枠材61を挟持するため、目地材固定具が各型枠材61に固定される。
【0046】
このとき、各爪片41は、目地材70の内部で且つ各型枠材61の突条部61aの上方に形成される空間に収容されている。これにより、例えば、目地材固定具と目地材70とが横方向に相対変位しようとしても、各爪片41が目地材70の嵌合部71の内方を係止するため、目地材固定具と目地材70とが横方向に相対変位するのを防止できる。
【0047】
また、第1挟持片2の屈曲部21が各型枠材61の外面に圧接すると共に、第2挟持片3が目地材70の平板部71に圧接することにより、一対の挟持片2,3が目地材70と各型枠材61とを挟持する。これにより、目地材70が各型枠材61に固定される。
【0048】
このとき、第2挟持片3の各係止部31が各溝部71aにより目地材70を係止している。これにより、例えば、目地材固定具と目地材70とが横方向に相対変位しようとしても、各係止部31が目地材70の各溝部71aに係止されているため、目地材固定具と目地材70とが横方向に相対変位するのをさらに防止できる。
【0049】
次に、図7を参酌して、連結される型枠材61と角部型枠材62との端部に跨って、目地材70が配置される場合であって、目地材70の上端に取り付ける場合について説明する。なお、上記の図6を参酌して説明した場合と重複する内容については、説明を省略する。
【0050】
かかる場合、目地材70の嵌合部72は、内部に介挿材80を上下方向に沿って挿入することにより、型枠材61の端部の突条部61aを外嵌している。これにより、介挿材80が角部型枠材62の上端まで配置されているため、このままでは、一方の爪片41が介挿材80に干渉し、その結果、目地材70や各型枠材61,62に目地材固定具を取り付けることができない。
【0051】
そこで、一方の爪片41を本体部1と略面一となるように(本体部1に沿って配置するように)、目地材固定具を変形させた上で、目地材70及び各型枠材61の上方から目地材固定具を挿入するようにして取り付ける。すると、第1挟持片2の屈曲部21が角部型枠材62よりも厚み寸法の大きい型枠材61の外面に圧接すると共に、他方の爪片41の屈曲部41aが型枠材61の内面に圧接する。これにより、第1挟持片2と他方の爪片41とが型枠材61を挟持するため、目地材固定具が型枠材61に固定される。
【0052】
このとき、他方の爪片41は、目地材70の内部で且つ型枠材61の突条部61aの上方に形成される空間に収容されている。これにより、例えば、目地材固定具と目地材70とが横方向に相対変位しようとしても、各爪片41が目地材70の嵌合部71の内方や介挿材80の側方を係止するため、目地材固定具と目地材70とが横方向に相対変位するのを防止できる。
【0053】
また、第1挟持片2の屈曲部21が型枠材61の外面に圧接すると共に、第2挟持片3が目地材70の平板部71に圧接することにより、一対の挟持片2,3が目地材70と型枠材61とを挟持する。これにより、目地材70が各型枠材61,62に固定される。
【0054】
以上より、本実施形態に係る目地材固定具は、一対の挟持片2,3が目地材70と型枠60(型枠材61)とを挟持し、一対の挟持片2,3間に配置される爪部4(爪片41)が第1挟持片2とにより型枠60(型枠材61)を挟持するため、型枠60(型枠材61)の内面に上下方向に沿って配置される目地材70を型枠60(型枠材61)に確実に固定させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る目地材固定具は、爪部4が一対の爪片41,41を備え、一つの爪片41のみでも、第1挟持片2とにより、型枠60(型枠材61)を挟持することができるため、一方の爪片41が介挿材80に干渉する場合であっても、一方の爪片41を排除するように変形されることで、他方の爪片41と第1挟持片2とにより、型枠60(型枠材61)を挟持することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る目地材固定具は、本体部1が一対の挟持片2,3と爪部4(各爪片41)とを連結し、一対の挟持片2,3と爪部4(各爪片41)とが本体部1から同方向に突出して形成されている。したがって、目地材70が型枠60に保持されている状態にて、目地材70や型枠60に上方から挿入するようにして取り付けることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る目地固定具は、第2挟持片3が内方に向けて突出する係止部31,…を備えるため、係止部31,…が目地材70を係止する。したがって、第2挟持片3が目地材70と相対変位するのを防止でき、より確実に目地材70を固定することができる。
【0058】
なお、本発明に係る目地材固定具は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0059】
例えば、上記実施形態に係る目地材固定具においては、型枠60が型枠材61や角部型枠材62から構成される場合を説明したが、かかる場合に限られず、例えば、特許文献1のように、型枠材と、型枠材の内面に沿って敷設されるシート材(又は板材)とから構成される場合でもよい。
【0060】
また、上記実施形態に係る目地材固定具においては、第1挟持片2が屈曲部21を備える場合を説明したが、かかる場合に限られない。例えば、図8(a)に示すように、第1挟持片は、内方に湾曲する湾曲部22を備える場合でもよく、また、図8(b)に示すように、第1挟持片は、先端部がフック状に屈曲されて形成される掛止部23を備える場合でもよく、さらには、図8(c)に示すように、第1挟持片2’は、内方に傾斜して平坦状に形成される場合でもよい。
【0061】
また、上記実施形態に係る目地材固定具においては、第1挟持片2が一つの片から構成される場合を説明したが、かかる場合に限られず、図8(d)に示すように、第1挟持片は、一対の片24,24を備えて構成される場合でもよい。かかる構成によれば、厚み寸法の異なる型枠材61と角部型枠材62との端部に跨って、目地材70が配置される場合においても、より効果的に対応することができる。
【0062】
また、上記実施形態に係る目地材固定具においては、第2挟持片3が平坦状に形成され、本体部1と直交するように連結される場合を説明したが、かかる場合に限られない。例えば、上記実施形態の第1挟持片2の場合と同様に、屈曲部(図4の符号21参照)を備える場合でもよく、または、湾曲部(図8(a)参照)や、掛止部(図8(b)参照)を備える場合でもよく、さらに、内方に傾斜する場合(図8(c)参照)でもよい。
【0063】
また、上記実施形態に係る目地材固定具においては、爪部4が一対の爪片41,41を備え、各爪片41が屈曲部41aを備える場合を説明したが、かかる場合に限られない。例えば、爪部は、一つの片から構成される場合でもよく、また、爪部は、湾曲部(図8(a)参照)や、掛止部(図8(b)参照)を備える場合でもよく、さらには、爪部は、平坦状に形成される場合でもよい。
【0064】
また、上記実施形態に係る目地材固定具においては、一方の爪片41を変形することにより、介挿材80と干渉するのを防止する場合を説明したが、かかる場合に限られず、例えば、一方の爪片41を削除(切断)する場合でもよい。かかる場合においては、爪片41を切断するのを容易にすべく、爪片41の基端部に切溝を設ける場合でもよい。
【0065】
また、上記実施形態に係る目地材固定具においては、一枚の金属板から形成される場合を説明したが、かかる場合に限られない。具体的には、樹脂から形成される場合でもよく、また一体形成されるのではなく、各部が組み立てられて一体的に形成される場合でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る目地材固定具が取り付けられる型枠の要部概要図であって、目地材が取り付けられている状態の平面図を示す。
【図2】同実施形態に係る目地材固定具が取り付けられる型枠の要部概要図であって、目地材が取り付けられている状態の斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係る目地材固定具が取り付けられる型枠の要部概要図であって、目地材が取り付けられていない状態の斜視図を示す。
【図4】同実施形態に係る目地材固定具における全体図であって、(a)は平面図、(b)は正面図を示す。
【図5】同実施形態に係る目地材固定具における全体図であって、(a)は図4のA−A線における断面図、(b)は図4のB矢印方向の側面図、(c)は図4のC矢印方向の側面図を示す。
【図6】同実施形態に係る目地材固定具における、型枠及び目地材に取り付けられた状態の全体図であって、(a)は平面図、(b)はD−D線における断面図を示す。
【図7】同実施形態に係る目地材固定具における、型枠及び目地材に取り付けられた状態の全体図であって、(a)は平面図、(b)はE−E線における断面図を示す。
【図8】本発明の他の実施形態に係る目地材固定具における、(a)〜(c)は要部正面図、(d)は図4のC矢印方向の全体側面図を示す。
【符号の説明】
【0067】
1…本体部、2…(第1)挟持片、3…(第2)挟持片、31…係止部、4…爪部、41…爪片、60…型枠、70…目地材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠の内面に上下方向に沿って配置され、型枠内にコンクリートを打設することによってコンクリート基礎の表面に埋設される目地材を、コンクリートの打設に際し、型枠に固定させておくための目地材固定具であって、
目地材と型枠とを挟持する一対の挟持片と、一対の挟持片間に配置され、一方の挟持片とにより型枠を挟持する爪部とを備えることを特徴とする目地材固定具。
【請求項2】
爪部は、横並びに一対の爪片を備え、何れか一方の爪片のみでも、一方の挟持片とにより、型枠を挟持可能に構成される請求項1に記載の目地材固定具。
【請求項3】
一対の挟持片と爪部とを連結させる本体部を備え、一対の挟持片と爪部とは、本体部から同方向に突出して形成される請求項1又は2に記載の目地材固定具。
【請求項4】
他方の挟持片は、目地材を係止すべく、内方に向けて突出する係止部を備える請求項1〜3の何れか1項に記載の目地材固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−133113(P2010−133113A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308440(P2008−308440)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【出願人】(000108638)タカヤマ金属工業株式会社 (24)
【Fターム(参考)】