説明

目地構造

【課題】シーリング材による撥水汚染を防止する目地構造を得る。
【解決手段】長方形状の目地カバー36を横目地24に取付け可能としている。この目地カバー36は、長方形状の取付部38及び保護片40を備えており、取付部38と保護片40の間には、可倒性のヒンジ部42が設けられている。目地カバー36の取付部38を上部外壁パネル20の下面小口34に固定させた状態で、横目地24内へシーリング材25を充填した後、シーリング材25を乾燥させる。シーリング材25の乾燥後、ヒンジ部42を屈曲させると、保護片40はシーリング材25の表面を覆った状態で横目地24内に嵌め込まれる。つまり、目地カバー36の保護片40によってシーリング材25の表面が覆われる。これにより、シーリング材25の表面に雨水が付き難くなり、シーリング材25による撥水汚染を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の目地に用いられる目地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、建物の外壁の目地にはシーリング材が設けられ、部材間で生じる隙間をシーリングしている。例えば、特許文献1では、建物の屋上に設けられたパラペットの張り出し部と建物の外装板との間の目地を埋めるため防水層が設けられるが、ここでは、外装板の上端部を挟み込んだ状態で保持する水切り金物を設け、パラペットの側面に取付けている。そして、この水切り金物とパラペットの張り出し部との間に防水層を設けている。
【0003】
一方、防水層を形成するため、シリコン系のシーリング材が使用されるが、このシーリング材を用いた場合、雨水などにより当該シーリング材の成分が析出して建物の外壁材が薄黒く汚れてしまうという、いわゆる撥水汚染の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−231659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、シーリング材による撥水汚染を防止する目地構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の目地構造は、建物の高さ方向に沿って設けられた上部外壁材の下面小口又は下部外壁材の上面小口に取付けられ、前記上部外壁材と前記下部外壁材の間に設けられた横目地をシールする不定形シールの表面を覆う撥水汚染防止手段が設けられている。
【0007】
不定形シールとして、パテ状のシーリング材が使用されるが、このようなシーリング材を用いた場合、雨水などにより当該シーリング材の成分が析出して建物の外壁材が薄黒く汚れてしまうという、いわゆる撥水汚染の問題が生じる。
【0008】
このため、請求項1に記載の目地構造では、建物の高さ方向に沿って設けられた上部外壁材と下部外壁材の間に設けられた小口、つまり上部外壁材の下面小口又は下部外壁材の上面小口から撥水汚染防止手段が取付けられている。そして、この撥水汚染防止手段が、上部外壁材と下部外壁材の間の横目地をシールする不定形シールの表面を覆っている。
【0009】
これにより、不定形シールの表面に雨水が付き難くなり、不定形シールによる撥水汚染の問題が抑制される。ここで、「覆う」とは、不定形シールの表面を外部へ露出させないようにすることであり、不定形シールの表面と撥水汚染防止手段とが非接触の状態も含まれる。
【0010】
請求項2に記載の目地構造は、請求項1に記載の目地構造において、前記撥水汚染防止手段が、前記上部外壁材の下面小口又は前記下部外壁材の上面小口に固定された取付部と、前記取付部の取付面に対して略直交して設けられ、前記不定形シールの表面を覆う保護片と、を含んで構成されている。
【0011】
請求項2に記載の目地構造では、撥水汚染防止手段が、取付部及び保護片を含んで構成されており、取付部が上部外壁材の下面小口又は下部外壁材の上面小口に固定される。保護片は、取付部の取付面に対して略直交して設けられており、取付部が上部外壁材の下面小口又は下部外壁材の上面小口に固定された状態で、保護片は不定形シールの表面を覆う。つまり、簡単な構成で不定形シールの表面を覆うことができる。
【0012】
請求項3に記載の目地構造は、請求項2に記載の目地構造において、前記保護片の高さと前記横目地の幅が略同一であり、当該保護片が横目地に嵌め込まれている。
【0013】
請求項3に記載の目地構造では、保護片の高さと横目地の幅を略同一とし、保護片を横目地内へ嵌め込み可能としている。このため、当該保護片の表面と外壁材の表面を面一にすることができ、保護片を目立たなくすることができる。
【0014】
請求項4に記載の目地構造は、請求項2、3に記載の目地構造において、前記保護片の表面上端部は前記上部外壁材の表面よりも若干奥側に位置し、当該保護片の表面下端部は前記下部外壁材の表面から僅かに突出している。
【0015】
請求項4に記載の目地構造では、保護片の表面上端部が上部外壁材の表面よりも若干奥側となるように保護片を配置し、当該保護片の表面下端部を下部外壁材の表面から僅かに突出させる。これにより、保護片の表面に当たった雨水の横目地内への浸入を防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の目地構造は、請求項2〜4の何れか1項に記載の目地構造において、前記取付部と前記保護片とはヒンジ部によって一体的に接続され、当該保護片が前記ヒンジ部を中心に取付部に対して回動可能となっている。
【0017】
請求項5に記載の目地構造では、撥水汚染防止手段にヒンジ部を設け、取付部と保護片とを当該ヒンジ部によって一体的に接続させて、保護片がヒンジ部を中心に取付部に対して回動可能となるようにしている。
【0018】
ここで、横目地内のシーリング材が乾燥した後、取付部の取付面と保護片とが略直交となるようにすれば良いため、取付部が外壁材の下面小口に固定される前の状態では、取付部と保護片とが同一平面上に設けられていても良いし、取付部と保護片とが重なった状態であっても良い。このため、撥水汚染防止手段を保管する際は、撥水汚染防止手段は平板状の状態で積載することができるため、撥水汚染防止手段の積載スペースを小さくすることができる。
【0019】
取付部の取付面と保護片とが同一平面上に設けられている場合、取付部を上部外壁材の下面小口に固定した後、横目地内へシーリング材を充填させ、シーリング材の乾燥後、ヒンジ部を中心に保護片を下方へ向かって回動させて、保護片でシーリング材の表面を覆う。また、取付部と保護片とをヒンジ部によって回動可能に接続させることで、横目地にシーリング材を充填させる際、保護片を邪魔にならない位置に退避させることができる。
【0020】
請求項6に記載の目地構造は、請求項5に記載の目地構造において、前記ヒンジ部がインテグラルヒンジである。
【0021】
請求項6に記載の目地構造では、ヒンジ部をインテグラルヒンジとしてすることで、当該ヒンジ部、取付部及び保護片を同じ金型で一体成形することができる。これにより、ヒンジ部、取付部及び保護片が1部品で済むため、ヒンジ部を介して取付部と保護片とを取付ける取付け作業もなく、コストダウンを図ることができる。
【0022】
請求項7に記載の目地構造は、請求項2〜4の何れか1項に記載の目地構造において、前記取付部が前記上部外壁材の下面小口に固定され、前記取付部の前記上部外壁材の表面側に設けられた被係合部と、前記保護片の上部に設けられ前記被係合部と係合する係合部と、を有している。
【0023】
請求項7に記載の目地構造では、取付部が上部外壁材の下面小口に固定されている。取付部の上外壁材の表面側には被係合部が設けられ、保護片の上部には係合部が設けられている、この係合部が被係合部と係合することで、取付部と係合部とが一体となるようにしている。
【0024】
これにより、取付部を上部外壁材の下面小口に固定した後、横目地内へシーリング材を充填させ、シーリング材の乾燥後、取付部の被係合部に保護片の係合部を係合させ、保護片によってシーリング材の表面を覆う。つまり、横目地内へシーリング材を充填させる際、保護片は存在しないため、保護片が邪魔になることはない。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、請求項1に記載の目地構造によれば、シーリング材による撥水汚染を防止することができるという優れた効果を有する。
【0026】
請求項2に記載の目地構造によれば、建物の外壁材からの突出量を低減して建物の外観を損なわないようにすることができるという優れた効果を有する。
【0027】
請求項3に記載の目地構造によれば、建物の外壁材と一体化させることもでき、建物の外観におけるデザイン性の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
【0028】
請求項4に記載の目地構造によれば、シーリング材による撥水汚染をさらに防止することができるという優れた効果を有する。
【0029】
請求項5に記載の目地構造によれば、撥水汚染防止手段の品質安定性及び作業性が向上するという優れた効果を有する。
【0030】
請求項6に記載の目地構造によれば、撥水汚染防止手段のコストダウンを図ることができるという優れた効果を有する。
【0031】
請求項7に記載の目地構造によれば、横目地内へシーリング材を充填させる際、横目地が開放された状態となり、作業性が向上するという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】建物の概略正面図である。
【図2】第1の実施形態に係る建物の目地構造を示す斜視図である。
【図3】(A)〜(D)は、第1の実施形態に係る建物の目地構造の取付け手順を示す概略工程図である。
【図4】第1の実施形態に係る建物の目地構造の変形例1を示す断面図である。
【図5】(A)〜(D)は、第1の実施形態に係る建物の目地構造の変形例2の取付け手順を示す概略工程図である。
【図6】第2の実施形態に係る建物の目地構造を示す斜視図である。
【図7】(A)〜(D)は、第2の実施形態に係る建物の目地構造の取付け手順を示す概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る目地構造の一実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
(目地構造の構成)
まず、第1の実施形態に係る目地構造について説明する。
【0034】
図1には、建物の概略正面図が示されている。図1に示されるように、この建物10は一階部分12と、一階部分12の上に据付けられた二階部分14と、二階部分14の上に据付けられた屋根部分16と、を含んで構成されている。建物10の一階部分12と二階部分14の接合部には、化粧部材18が設けられており、一階部分12及び二階部分14の外周部には、所定枚数の外壁パネル(外壁材)20、21が設けられている。なお、ここでの外壁パネルはサイディング材であっても良い。
【0035】
水平方向で隣接する外壁パネル20と外壁パネル20、及び外壁パネル21と外壁パネル21の間には、それぞれ縦目地22が形成されており、当該縦目地22には後述する定形シールが設けられている。また、高さ方向で隣接する外壁パネル20(以下、「上部外壁パネル20」という)と外壁パネル21(以下、「下部外壁パネル21」という)の間には、それぞれ横目地24が形成されており、当該横目地24には後述する不定形シールが設けられている。
【0036】
また、建物10の一階部分12には、シャッター装置23及び換気扇フード26が設けられており、二階部分14には、サッシ28が設けられている。シャッター装置23、換気扇フード26及びサッシ28の周りには、外壁パネル20、21との間にそれぞれ縦目地22及び横目地24が形成されている。
【0037】
一般的に、目地30では、ガスケットなどの定形シール(乾式シール)を用いる場合と、シーリング材などの不定形シール(湿式シール)を用いる場合とがあり、定形シールは主に縦目地22に使用され、不定形シールは主に横目地24に使用される。
【0038】
不定形シールの場合、シーリング材25に含有された可塑剤やシリコンオイルが、大気中の汚れ(粉塵や塵埃)を吸着し、粉塵や塵埃が撥水性を帯びて目地30周辺が薄黒く汚れたり、撥水性を帯びた粉塵や塵埃が雨で流れると目地30周辺がスジ状に汚れたりする(いわゆる撥水汚染)。
【0039】
このため、本実施形態では、図2及び図3(A)に示されるように、上部外壁パネル20の下面小口34に長方形状の目地カバー(撥水汚染防止手段)36が取付け可能とされている。目地カバー36は幅方向に沿って取付部38と保護片40とに二分されており、取付部38と保護片40の間には、ヒンジ部42が取付部38及び保護片40の長手方向に沿って連続的に設けられている。
【0040】
取付部38、保護片40及びヒンジ部42は一体成形されており、ヒンジ部42は屈曲し易くする(可倒性を得る)ため、長手方向に沿って三角形状の切込み部42Aが形成され薄肉となっている(いわゆるインテグラルヒンジ)。取付部38と保護片40とで成す角が略直角となるようにヒンジ部42を屈曲させると、当該ヒンジ部42は塑性変形し、屈曲した状態が維持される(図3(D)参照)。
【0041】
取付部38の幅寸法は、上部外壁パネル20の下面小口34の奥行き以下の寸法とされており、取付部38の取付面38Aは、接着により又はネジなどの締結具により、上部外壁パネル20の下面小口34に面接触された状態で固定されるようになっている。また、保護片40の幅寸法は、横目地24の高さと略同一とされており、横目地24内に嵌め込み可能とされている。
【0042】
(目地構造の作用・効果)
図2及び図3(A)に示されるように、本実施形態では、長方形状の目地カバー36を横目地24に取付け可能としている。この目地カバー36は、長方形状の取付部38及び保護片40を備えており、取付部38と保護片40の間には、可倒性のヒンジ部42が設けられている。
【0043】
ここで、目地カバー36の取付け手順について説明する。まず、図3(A)に示されるように、目地カバー36のヒンジ部42が、上部外壁パネル20の表面よりも奥側となるように、目地カバー36の取付部38を上部外壁パネル20の下面小口34に固定させる。この状態では、図3(B)に示されるように、保護片40は上部外壁パネル20の下面小口34から延出し、上部外壁パネル20の表面から張出した状態となっている。
【0044】
この状態で、コーキングガン35によって横目地24内へシーリング材25を充填する。図3(C)に示されるように、シーリング材25が乾燥すると、目地カバー36のヒンジ部42を中心に保護片40を下方へ回転させ、図3(D)に示されるように、ヒンジ部42を屈曲させる。これにより、ヒンジ部42が塑性変形して、保護片40は取付部38に対して略直角に配置された状態が維持される。
【0045】
ここで、前述したように、目地カバー36のヒンジ部42が上部外壁パネル20の表面よりも奥側となるように、目地カバー36の取付部38が上部外壁パネル20の下面小口34に固定され、また、保護片40は横目地24の高さと略同一の幅寸法とされている。
【0046】
このため、ヒンジ部42を屈曲させると、保護片40はシーリング材25の表面を覆った状態で横目地24内に嵌め込まれる。つまり、目地カバー36の保護片40によってシーリング材25の表面が覆われる。これにより、シーリング材25の表面に雨水が付き難くなり、シーリング材25による撥水汚染を防止することができる。
【0047】
建物10の性能・機能・デザイン等を保つためには適切なメンテナンスが必要となるが、シーリング材25による撥水汚染を防止することで、メンテナンスのスパンを長くすることができ、ランニングコストを低減することができる。
【0048】
また、保護片40を横目地24内へ嵌め込むことで、当該保護片40の表面と上部外壁パネル20及び下部外壁パネル21の表面を面一とすることができ、保護片40を目立たなくすることができる。したがって、上部外壁パネル20及び下部外壁パネル21と一体化させることもでき、建物10の外観におけるデザイン性の向上を図ることができる。
【0049】
一方、本実施形態では、図3(A)に示されるように、ヒンジ部42を薄肉にして可倒可能とし、ヒンジ部42、取付部38及び保護片40を同じ金型で一体成形により形成している。これによると、ヒンジ部42、取付部38及び保護片40が1部品で済むため、ヒンジ部42を介して取付部38と保護片40とを取付ける取付け作業もなく、コストダウンを図ることができる。
【0050】
また、本実施形態では、図3(A)に示されるように、目地カバー36は、取付部38が上部外壁パネル20の下面小口34に固定される前の状態では、取付部38と保護片40とが同一平面上に設けられている。このため、目地カバー36を保管する際は、目地カバー36は平板状の状態で積載することができるため、目地カバー36の積載スペースを小さくすることができる。
【0051】
(その他の実施形態)
本実施形態では、図3(D)に示されるように、保護片40が横目地24内に嵌め込まれた状態で、当該保護片40の表面と上部外壁パネル20及び下部外壁パネル21の表面が面一となるようにしたが、保護片40の表面と上部外壁パネル20及び下部外壁パネル21の表面を必ずしも面一とする必要はない。
【0052】
例えば、図4に示されるように、ヒンジ部42から離間する方向へ行くにしたがって保護片40の板厚を厚くしている。そして、横目地24内に嵌め込まれた状態で、保護片40の表面上端部を、上部外壁パネル20の表面から突出しないように上部外壁パネル20の表面よりも若干奥側に位置し、当該保護片40の表面下端部を、保護片40の板厚の範囲内で、下部外壁パネル21の表面から僅かに突出させるようにしても良い(変形例1)。
【0053】
これによると、保護片40の表面に当たった雨水を横目地24内へ浸入しないようにすることができるため、シーリング材25による撥水汚染をさらに防止することができる。なお、保護片40の板厚は同じであっても良く、この場合、保護片40自体を外壁パネル20、21に対して傾斜させるようにする。
【0054】
また、本実施形態では、目地カバー36の取付部38が上部外壁パネル20の下面小口34に固定されるようにしたが、図5(A)に示されるように、目地カバー36の取付部38を下部外壁パネル21の上面小口44に固定しても良い(変形例2)。
【0055】
この場合、目地カバー36の取付部38が下部外壁パネル21の上面小口44に固定された状態で、図5(B)に示されるように、保護片40は下部外壁パネル21の上面小口44から延出し、下部外壁パネル21の表面から張出した状態となる。そして、横目地24内へシーリング材25を充填し乾燥させた後、図5(C)に示されるように、目地カバー36のヒンジ部42を中心に保護片40を上方へ回転させ、ヒンジ部42を屈曲させて、図5(D)に示されるように、保護片40を横目地24内に嵌め込む。
【0056】
ここで、図3(B)に示されるように、横目地24の上部から保護片40が延出する場合、横目地24内へシーリング材25を充填させる際、保護片40が邪魔になる場合もあるが、図5(B)に示されるように、横目地24の下部から保護片40が延出する場合は、横目地24内へシーリング材25を充填させる際、作業者から見て横目地24は開放された状態となっているため、保護片40が邪魔にならず作業性が良い。
【0057】
さらに、本実施形態では、インテグラルヒンジにより、ヒンジ部42、取付部38及び保護片40を一体成形し、当該ヒンジ部42の塑性変形により、取付部38の取付面38Aと保護片40とが略直交となるようにしたが、取付部38に対して保護片40が回動可能であれば良いため、この構成に限るものではない。
【0058】
例えば、図示はしないが、保護片40とヒンジ部42を別部品とし、保護片40とヒンジ部42の間で摺動抵抗或いは突起などのストッパを設けるなどによって、保護片40の回動角度を所定位置で停止させるようにしても良い。これにより、取付部38が上部外壁パネル20の下面小口34に固定された状態で横目地24にシーリング材25を充填させる際、保護片40を邪魔にならない位置に退避させることができる。
【0059】
<第2の実施形態>
(目地構造の構成)
次に、第2の実施形態に係る目地構造について説明する。
【0060】
第1の実施形態では、図2に示されるように、目地カバー36のヒンジ部42、取付部38及び保護片40を一体成形により形成すると共に、保護片40が横目地24内へ嵌め込まれることで、当該保護片40によってシーリング材25の表面が覆われるようにしている。しかし、ヒンジ部42、取付部38及び保護片40は、必ずしも一体成形品である必要はなく、また、横目地24の表面と保護片40とが非接触の状態であっても良い。
【0061】
このため、本実施形態では、図6に示されるように、目地カバー50の取付部52及び保護片54をそれぞれ単体で設け、互いに係合可能としている。そして、取付部52と保護片54とが互いに係合された状態で、保護片54が、横目地24内のシーリング材25と非接触の状態で当該シーリング材25の表面を覆う。
【0062】
具体的には、長方形状の取付部52の幅方向の一端部には、略円柱状の被係合部56が取付部52の長手方向に沿って連続的に形成されている。取付部52の幅寸法は、上部外壁パネル20の下面小口34の奥行きよりも長くされており、取付部38が当該下面小口34に固定された状態で、被係合部56は、上部外壁パネル20の表面から突出する。
【0063】
一方、長方形状の保護片54の裏面側の幅方向の一端部には、略角柱状の係合部58が突設され保護片54の長手方向に沿って連続的に形成されている。当該係合部58には、被係合部56へ係合可能な略円柱状の係合凹部(係合部)60が、係合部58の長手方向に沿って連続的に凹設されている。また、保護片54は横目地24の高さ以上の幅寸法とされており、横目地24内のシーリング材25と非接触の状態で当該シーリング材25の表面を覆う。なお、取付部52の被係合部56は、取付部52の長手方向に沿って断続的に形成されても良い。
【0064】
(目地構造の作用・効果)
図7(A)に示されるように、まず、目地カバー36の取付部52を上部外壁パネル20の下面小口34に固定させると、上部外壁パネル20の表面から取付部52の被係合部56が突出する。次に、図7(B)に示されるように、横目地24内へシーリング材25を充填した後、シーリング材25を乾燥させる。シーリング材25が乾燥すると、図7(C)に示されるように、保護片54の係合凹部60を取付部52の被係合部56へ係合させる。これにより、図7(D)に示されるように、保護片54と取付部52とが一体となる。
【0065】
ここでは、保護片54の係合凹部60を取付部52の被係合部56へ係合させるという作業が伴うが、横目地24内へシーリング材25を充填させる際、保護片54は存在しないため、保護片54が邪魔になることはない。このため、横目地24内へシーリング材25を充填させる際の作業性を向上させることができる。なお、横目地24内へシーリング材25を充填させる際の作業性を考慮すると、取付部52の被係合部56の上部外壁パネル20の表面からの突出量は少ない方が良い。
【0066】
また、ここでは、横目地24内のシーリング材25と非接触の状態で当該シーリング材25の表面を覆うため、保護片54を横目地24内へ嵌め込む必要がない。このため、本実施形態では、保護片54と横目地24の寸法精度をラフにすることができ、目地カバー50の歩留まりが良い。なお、ここでは、保護片54と取付部52とが係合可能となっていれば良いため、その形状については特に規定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
10 建物
20 上部外壁パネル(外壁材)
21 下部外壁パネル(外壁材)
24 横目地
25 シーリング材(不定形シール)
30 目地
34 下面小口
36 目地カバー(撥水汚染防止手段)
38 取付部(撥水汚染防止手段)
40 保護片(撥水汚染防止手段)
42 ヒンジ部(撥水汚染防止手段)
44 上面小口
50 目地カバー(撥水汚染防止手段)
52 取付部(撥水汚染防止手段)
54 保護片(撥水汚染防止手段)
56 被係合部
58 係合部
60 係合凹部(係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の高さ方向に沿って設けられた上部外壁材の下面小口又は下部外壁材の上面小口に取付けられ、前記上部外壁材と前記下部外壁材の間に設けられた横目地をシールする不定形シールの表面を覆う撥水汚染防止手段が設けられた目地構造。
【請求項2】
前記撥水汚染防止手段が、
前記上部外壁材の下面小口又は前記下部外壁材の上面小口に固定された取付部と、
前記取付部の取付面に対して略直交して設けられ、前記不定形シールの表面を覆う保護片と、
を含んで構成された請求項1に記載の目地構造。
【請求項3】
前記保護片の高さと前記横目地の幅が略同一であり、当該保護片が横目地に嵌め込まれている請求項2に記載の目地構造。
【請求項4】
前記保護片の表面上端部は前記上部外壁材の表面よりも若干奥側に位置し、当該保護片の表面下端部は前記下部外壁材の表面から僅かに突出している請求項2、3に記載の目地構造。
【請求項5】
前記取付部と前記保護片とはヒンジ部によって一体的に接続され、当該保護片が前記ヒンジ部を中心に取付部に対して回動可能となっている請求項2〜4の何れか1項に記載の目地構造。
【請求項6】
前記ヒンジ部がインテグラルヒンジである請求項5に記載の目地構造。
【請求項7】
前記取付部が前記上部外壁材の下面小口に固定され、
前記取付部の前記上部外壁材の表面側に設けられた被係合部と、前記保護片の上部に設けられ前記被係合部と係合する係合部と、を有する請求項2〜4の何れか1項に記載の目地構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−202487(P2011−202487A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73528(P2010−73528)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】