説明

直交入力を有する光空洞システム

【課題】光路への入力の法線に平行の方向の光を提供するための光源を備えた閉ループ光路を有する光学システムを提供すること。
【解決手段】光は、回折機構を介して入力に提供することができる。本システムは、空洞リングダウンセンサまたは他の何らかの光デバイスであってもよい。光路は、レーザジャイロスコープ型空洞の中に形成することができる。光源は、空洞の入力の近傍のスポット、標識またはマークと整列したビームを有することができる。スポット、標識またはマークの位置は、回折機構および/または空洞のパラメータに従って決定することができる。光源を保持するためのフィクスチャは、フィクスチャ内の光源の配置によって自動的に光源が整列するように固着することができる。次に、回折機構を挿入し、光学システムの製造をさらに完成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループ様光路を有する光学システムに関し、詳細には、中に標本流体が挿入された光路に関する。より詳細には、本発明は、これらの光学システムの光路への光入力に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、現在は米国特許第7,145,165号である、2004年9月28日に出願した米国特許出願第10/953,174号の一部継続出願である、2006年12月4日に出願した米国特許出願第11/633,872号の一部継続出願である。
【特許文献1】米国特許第7,145,165号
【特許文献2】米国特許出願第11/633,872号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
直交入力を有する光空洞システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ループ様光路を有する光学システムである。光学システムは、光路への入力と光学システムのための光源との間に配置された光回折機構であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1に示すように、同調可能レーザ61は、3ミラー光リングダウン空洞62に結合することができる。これらのミラーのうちの1つ、たとえばミラー72は、安定性を改善し、光ビーム66が空洞から外れないようにするために、若干大きい曲率半径を有することができる。空洞62は、ブロックリング空洞であっても、あるいは別法として、必ずしも2つのレーザを通過させる必要はないが、レーザシステムの空洞と同様のリング空洞であってもよい。空洞62は、様々な可能経路から選択される光路を空洞内の光に提供する2つのミラー、3つのミラー、4つのミラーあるいは他の任意の数のミラーを有することができる。指数的に減衰するリングダウン波形からリングダウン率を引き出すためのアナログ検出回路63を備えることができる。ある技法を使用して、空洞リングダウン分光学セルすなわち空洞62の連続波励起64(CW−CRDS)を使用して、近赤外領域におけるガスの痕跡濃度を測定することができる。空洞リングダウン分光学は、光64が高鮮鋭度光空洞62の中に結合される吸収技法であってもよい。空洞62は、空洞内の、感知され、かつ、定量的に測定されるガスの吸収線に同調させることができる。空洞62は、光66が入射光64と同相になるように同調させることができる。光66の光路長の調整などのこの同調は、2つのミラー、4つのミラー等々を備えた空洞などの他の種類の空洞にも適用することができる。ミラー72で空洞を同調する際、アクチュエータ79を使用した調整77は、調整のための1つの方法であり得る。同様に、光源61は、空洞内のガスの吸収線に同調された出力波長を有することができる。検出器67を備えた検出回路63を使用して空洞内の光66の減衰速度をモニタすることにより、空洞62内の特定のガスの濃度を決定することができる。検出される近赤外光65には、場合によっては、ガスの様々な大気種の振動倍音遷移および禁制電子遷移が含まれている。システム60は、ベールの法則に従うことができ、極めて正確な濃度決定を提供する。空洞内の光66の有効光路長は、高度に反射性の誘電ミラー71、72および73のため、セル62の物理的なサイズより約100倍長くすることができる。ミラー72は、セル62の光路長を光66に同調させるための調整77を有することができる。
【0006】
O、CO、NH、HF、HCl、CHおよびCなどの臨界分子の痕跡ガス不純物を高速で測定することができる。このような測定は数秒で実施することができる。痕跡湿気濃度は、パートパービリオン(ppb)のレベルからパートパートリリオン(ppt)までのレベルで測定することができる。
【0007】
トンネルレーザ61は、連続波(または場合によってはパルス波)光信号をセル62に送信することができる。信号64は、ミラー71からミラー72へ、ミラー72からミラー73へ、ミラー73からミラー71へ、等々、信号66が減衰するまでセル62内をぐるぐると反射する信号66と見なすことができる。場合によっては光65の一部がセル62から射出し、検出器67に衝突する。検出器67は、光信号65を電気信号68に変換することができる。変換された電気信号68は、データ収集および解析ユニット69に送られる。制御電子機器74は、制御信号75、76および77をそれぞれ同調可能レーザ61、検出器67およびデータ収集および解析ユニット69に送信することができる。また、ミラー72の可動サポート79に制御信号90を送信し、光66に対する経路の同調可能性を提供している。サポート79は、セル62の光路長の同調および変調を可能にする圧電変換器であってもよい。
【0008】
特定の周波数に近い遷移帯に同調されたレーザを使用して特定の流体を検出することができる。システム62を使用して、何らかの媒体中の流体の濃度を測定することができる。特定の流体および関連する媒体をポート78から流入させ、かつ、ポート79から流出させることができる。ポート81は、ポンプに接続するためのポートであってもよい。ポート82は、ゲージ用に使用することができる。リング空洞への、また、リング空洞からの1本または複数本の中空光ファイバを使用して、リング空洞からガスを取り出すためのガスを提供することができる。ガスは、ブルースター窓を使用して空洞内で区分けすることができる。
【0009】
システム60を提供することにより、吸収を本質的に測定することができる。CRDSの感度は、場合によっては、
(Δt/t)(Lopt/Lcav)(1/Facq1/2
に等しい。他の関係は、場合によっては、
opt〜Lcav/[nmirror(1−R)]〜10cav
であってもよい。通常、感度は、多モード光の場合、約10−6cm−1ないし10−10cm−1にすることができ、また、単一モード光の場合、約10−9cm−1ないし10−12cm−1にすることができる。
【0010】
システム62は、MEMSエタロンの強度、様々なレーザシステム技術およびVCSELに基づくことができる。
図2は、リング空洞711を有するセンサシステム710を示したものである。この空洞は、一片または複数片の固体材料から製造し、形成し、あるいは機械加工等々することができる。光源712は、空洞711の中に光713のビームを放出することができる。この光のビームは、空洞711の経路714を追従することができる。ここでは、光は、図面の平面に向かって反時計方向に伝搬することができる。検出器715は、光713が光源712から空洞711に入射する位置の直ぐ近くに配置することができる。光源712は、たとえば同調可能レーザであってもよい。
【0011】
空洞711の隅にミラー716、717および718を備えることができる。ミラー716は、空洞内の光713の一部を反射させることができ、したがって検出器715は、空洞内の光の一部を検出して解析することができる。ミラー716は、その上に、光713を入力し、かつ、出力するための小さい孔を有することができる。その場合、ミラー716は、完全に反射型にすることができる。光713の検出は、時間、周波数および必要な他のパラメータに対する強度であることに留意されたい。検出器またはモニタ715の出力は、空洞711内の標本流体に関する情報を得るために、収集、解析および他の目的でデータ収集および解析回路719に送信することができる。目的の1つは、レーザ712を標本の吸収線に同調させることであってもよい。読出しおよび制御電子機器721への検出器の出力は、二重JFET増幅器を使用して改善することができる。他の回路は、検出器の出力を処理するために利用することができる。読出しおよび制御電子機器721は、光源712を励起し、かつ、制御することができる。入力および出力は、プロセッサ722と、読出しおよび制御電子機器721と、データ収集および解析回路719との間の接続に対して、プロセッサ722へ、また、プロセッサ722から提供することができる。プロセッサ722は、システム710に送信され、また、システム710から出力される外部723信号に接続することも可能である。読出しおよび制御電子機器721および/または外部723を使用してユーザインタフェースを実現することができる。読出しおよび制御電子機器721、データ収集および解析回路719およびプロセッサ722は、電子機器モジュール724を構成することができる。電子機器モジュール724は、他のコンポーネントを有することができる。標本流体を空洞711に流入させ、また、空洞711から流出させるためのポート725を提供することができる。
【0012】
図3は、システム312のビーム経路アライメントのためのミラーモニタリングデバイス310および手法を一括して示したものである。システム312は、システムフレームすなわちブロック314を備えている。ブロック314は、概ね三角形の形をしており、六角形の外周を備えている。この形は、正方形のような形、五角形のような形あるいは他の形にすることも可能であり、また、その周囲も様々な形にすることができる。六角形の外周には、それぞれ第1、第2および第3のミラー取付け表面316、318および320を形成している、隣接していない3つの平らな側面が含まれており、また、それらとは別に、隣接していない3つの平らな側面321、322および323がそれぞれ含まれている。取付け表面316、318、320および側面321、322、323は、それぞれブロック314の平らな頂部表面324および底部表面326の縁を形成している。ブロック314は、ブロック314の円形の内部境界330内の入力軸328(頂部表面324および底部表面326に対して直角をなしている)を中心にして心出しされている。ブロック314は、ガラスセラミックまたは同様の材料で形成されている。適切なブロック材料には、「Cervit」および「Zerodur」(登録商標)の商標で販売されているガラスセラミック材料がある。適切なガラス材料は、「BK−7」の商標で販売されている。
【0013】
図3から分かるように、ブロック314の内部光空洞332は、それぞれ3つの円筒形状の井戸340、342および344によって取付け表面316、318および320で相互接続されている、実質的に真直ぐな3つのボア334、336および338をそれぞれ備えている。ブロック314は、固形体であってもよく、その固形体を機械加工して、様々な形状、通路、孔、ボアおよび空間を動作面またはコンポーネントの配置に適応させることができる。ボア334および336は、それぞれ、所望の閉ループ光路を画定している開口335および337を備えている。ボア334、336、338および井戸340、342、344は、ブロック314内に穿たれており、三角形の形の閉ループ光路を形成している。取付け表面316、318および320は、この光路の隅に配置されている。
【0014】
図3から分かるように、それぞれ平らな反射表面361および362を有している2つの平らなミラー358および360の各々は、それぞれ第2および第3のミラー取付け表面318および320に固着されている(たとえばオプティカルコンタクト、エポキシ結合またはフリッティングによって)。凹面反射表面364を有している湾曲したミラー363は、第1のミラー取付け表面316に結合されたミラー取付けデバイス310に固着されている(エポキシ結合またはフリッティングによって)。ミラー358、360および363の各々の反射表面361、362および364は、光空洞332によって画定された閉ループ光路のその個々の隅で1つまたは複数の光ビーム346を反射させている。ミラー358および/またはミラー360は、部分反射表面を有することができ、したがって、説明のための例の空洞リングダウンセンサのようなアプリケーションのためにその個々のポートを入力および/または出力として使用することができる。
【0015】
極めて高い感度での痕跡ガスの検出および識別は、費用有効性の高い製造性を達成するためにリングレーザジャイロ製造およびアライメント技法と共に実施される空洞リングダウン技法を使用して達成することができる。
【0016】
リングレーザジャイロ製造方法(レーザブロック、ミラー製造、アタッチメントおよびアライメント等々)を適合させる利点により、空洞リングダウンガス検出のための費用有効性の高いシステムを達成することができる。このシステムは、光をリング空洞の中に結合し、また、リング空洞から射出させるための手法を有している。詳細には、この手法によれば、空洞に対する光源のアライメントを容易にするために、光源からの光がリング空洞の光入力ポートに直角に入射するように導かれ、次に、光をリング空洞の中に導くためのプリズム結合モジュールを通過する。この手法の変形形態には、空洞内の光が同じく外部検出器に結合されるよう、光入力ポートの前段に導入された結合プリズムの修正が含まれており、したがって、反射光を光源に帰還させることなく、同じ空洞ポートを入力ポートおよび出力ポートの両方にすることができる。
【0017】
図4は、光を空洞内をぐるぐると反射させるための3つの隅102および108を備えたリング空洞103の基本レイアウトを示したものである。これらの隅の各々は、研磨された外部表面106を有している。空洞103の内側の部分128は不要である。図に示されている光源101は、光105を有する入力として隅102と整列している。この光105は、入力102の法線にほぼ平行の方向に伝搬している。図5は、光源101(同調可能レーザなど)とリング空洞103の光入力ポート102とを整列させるための手法、および直角に入射する光を空洞に導くためのプリズム結合モジュール104を挿入するための手法を線図で示したものである。
【0018】
図7〜11は、特定の設計の例を示したものである。図8は、一組の特定の設計要求事項(つまりプリズム材料、空洞角度、プリズム角度等々)に合致する手法の確立を容易にすることができる、様々な媒体に対する光方位角を示したものである。
【0019】
この手法およびシステムは、外部光源101(同調可能レーザなど)、入射光を速やかに消滅させるための機構、外部検出器、および反射率が大きいミラーを備えたリング空洞103から構成することができる。リング空洞は、光入力ポート、光出力ポート、ガス入口ポートおよびガス出口ポートを有していなければならない。光入力ポートおよび光出力ポートは、空洞内の同じ物理ポートであってもよい。空洞内の個々の入力ポートおよび出力ポートは、反射率が大きいミラーを使用して終端させることができる。リング空洞の光路には、反射率が大きい少なくとも1つのミラーを追加することができる。リング空洞は、複数のミラーを有することができる。
【0020】
このシステムは、入力−出力プリズム104を使用して、リングダウン空洞光およびレーザ101から単一検出器への入力光の両方を感知することができる。このシステムは、場合によっては、とりわけ、光源によって放出される光101を空洞の光入力ポート102に対して直角にする必要がある。この機能を発揮することにより、空洞103に対するレーザ101のアライメントを容易に、かつ、正確に実施することができ、したがって総合コストが削減され、また、性能が改善される。アライメントが得られると、プリズム結合器104を空洞に取り付け、入射光105を空洞の中へ導くことができる。
【0021】
空洞ブロックの表面106は、点線で示すことができ、ポート102および108の各々のための光学的に完成した(研磨された)平面を有している。光源101は、反射した光が光源に向かって反対方向に導かれるよう、空洞ポート102の表面106に直角にビームが入射するように設置し、かつ、調整することができる。光源101および空洞103が所定の位置に整列して固定されると、空洞ポート103の上にプリズム結合器104を設置することができる(それにより空洞ポート103が光入力ポートになる)。プリズム結合器104の内面は、表面106に隣接し、かつ、表面106に平行の、反射率が大きい光コーティング107を有することができる。次に、反射率が大きいミラー110を残りの空洞ポートに取り付けることができる。これらの複数のミラー110のうちの1つまたは複数は、空洞103の光安定性を促進するために若干の曲率半径を有することができる。これらの複数のミラー110のうちの1つまたは複数は、空洞を光共振に同調させるための変換器(圧電駆動変換器または他の変換器)を統合することができる。
【0022】
図6は、屈折率「n」に対する角度「α」の関係を示すグラフ115である。この角度は、図7に示されているように、入力ポート102の表面106に対するプリズムの外部表面109の角度であるか、あるいはプリズム104の外部表面109の法線111に対する入射光105の角度である。入射光105は、入力ポート102の表面106の法線112に平行であってもよい。光105は、光コーティング107に対して直角であってもよく、また、入力ポート102の表面106に対向し、かつ、隣接しているプリズム104の内部表面すなわち内面113に対して直角であってもよい。それは、光105のビームがポート102の表面106の法線112に平行であることを保障する問題にすぎない。ビーム105は、常に、法線112に平行のビームとして、つまり表面106、113および光コーティング107に対して直角のビームとして維持されるため、ビーム105を法線112に対して調整する必要はない。経路114を通過するように光ビームを整列させるための調整可能なファクタには、プリズム104の屈折率nおよびプリズム104の内部表面113に対する外部表面109の角度αを含めることができる。
【0023】
図8は、複数のコンポーネントの幾何学上の関係および物理的な関係を線図で示したものである。θ=αを取ることができる。入射光105は、ポート102の表面106に対して直角にプリズムに入射することができる。プリズム104の表面109に対する法線111が存在していてもよい。入射光105の経路は、法線111に対して角度θにすることができる。入射光105がプリズム104に入射すると、入射光105は、法線111に対して角度θで位置している経路を取る光116になることができる。この角度は、スネルの法則を使用して、式、nsinθ=nsinθによって計算することができる。nは、空気またはある種の真空であってもよい媒体118の屈折率であり、また、nは、プリズム104の材料の屈折率である。光116の経路は、ポートの表面106の法線112に対して角度θを有することができる。θ=θ+θであることに留意されたい。光116は、プリズムの表面113でプリズム104から射出し、ポートの表面106でポート102に入射し、光117として、法線112に対して角度θを有する経路114を通って空洞103に入ることができる。角度θは、式、nsinθ=nsinθを使用して計算することができる。nは、空洞103内の媒体の屈折率である。図7に示されているポート102の表面106に位置している表面113の反射コーティングが、nまたはnとは異なる屈折率を有している場合であっても、反射コーティングの厚さが極端に薄いため、事実上、屈折率の相違が空洞103内における光117の経路に影響を及ぼすことはほとんどない。入射光をポート102の表面106に対して直角に入射させるためのこの手法の設計は、空洞103内を廻る経路を光117が追従するように光117を空洞103に入射させる角度と見なすことができる。図7に示されている説明のための例では、この角度は約30度にすることができる。経路114が存在している空洞103媒体のn、プリズム材料の屈折率nおよび光105の周囲環境の屈折率nを始めとする図7および8の情報を使用して、プリズムの表面113に対する表面109の角度θを一覧表に作成することができる。
【0024】
また、入力ポート102は、図9に示されているように、空洞103の出力ポートであってもよい。入力および出力は、共通の光結合器またはポートの中に統合することができる。プリズムの表面113に施された高度に反射性のコーティング107は、空洞リング経路114を廻って移動する光117の大部分を維持することができる。しかしながら、光117の一部は、光119として、ポート102およびプリズム104を通過して空洞103から射出することができる。光119は、プリズム104の表面に隣接する検出器121に向かって直接移動することができる。光119は、プリズムから射出した後、検出器121によって感知される前に一定の距離だけ伝搬することができるため、検出器121は、プリズムから一定の距離を隔てて配置することも可能である。空洞から射出することができた光は、たとえ入射光105がリング空洞103のポート102の表面に対して直角の方向を有することができるとしても、事実上、空洞から光源131に向かって移動する光ではない。
【0025】
図9では、プリズム104がない場合、光源131からの光ビーム105は、ポート102の表面106に対して直角の方向を維持することができる。ビーム105は、表面106の領域132に衝突することになる。ビーム105は、表面109でプリズム104を通り越したポイントでは、領域132の表面で反射したビームを含んだビーム133と見なすことができる。ビーム133は、プリズム104が存在しない場合、反射して光源131へ戻ることができる。光ビーム105および/または133がポート102の開口である領域134に入射しても、表面106は、開口領域134の上方まで展開することができるため、光105/133は、依然として反射して光源131に向かって戻ることができる。光ビーム105の距離135は、光105/133が134の外側の領域に衝突することができるよう、十分な距離でなければならない。領域132は、領域134の十分に外側にすることができる。光ビーム105/133は、開口領域134からほぼ距離136だけ離れた表面106に衝突させることができる。
【0026】
光源131は、概ね空洞103を製造する時点で、あるいは空洞103が製造された後に所定の位置に整列して配置することができるが、プリズム104がポート102の表面106の所定の位置に配置されるのは、その後である。光源131のアライメントの次のステップは、法線軸112からのビーム105/133の距離である距離135の量を指示することであってもよい。距離135を決定するファクタには、プリズム104の屈折率、ビーム105がプリズムに入射する表面に対する表面109の角度α、ビーム105が法線112に平行の方向から表面109でプリズム104に入射するポイントと表面106との間の距離である距離137、空洞103内の物質の屈折率、および光ビーム117がプリズム104から射出し、ポート102を介して空洞に入射する、法線112に対する角度を含めることができる。ビーム105およびその後続するビーム116がプリズム104を通過して開口領域134のほぼ中心で表面106のラインに到達する場合、距離137を長くすることによって距離135を長くすることができる。空洞103の経路114の屈折率とプリズム104の屈折率が同じである場合、ビーム116は直線を維持し、ビーム経路138を取ることになる。しかしながら、独自の屈折率を有するプリズム104からビーム116が空洞103の空洞経路114に向かって射出すると、ビーム116は、空気の屈折率と同様の異なる屈折率を有する空洞103内のビーム117になることができる。経路114には、同じく空気の屈折率と同様の屈折率をもたらす標本ガスが存在していてもよい。したがって、空洞103内の様々な標本によって空洞内の屈折率が大きく変化することは全くない。
【0027】
光源131を空洞103に対して整列させるために、所定のスポット、マークまたは他の何らかの標識を空洞103のポート102の表面106に提供することができる。光ビーム105/133が法線112に平行であるため、光源131は、表面106に平行の運動であるx方向および/またはy方向に移動させることができ、それにより領域132内のスポットにビーム105/133を衝突させることができる。そのスポットに衝突すると、ビーム133は、逆反射して光源131に向かって戻り、そのために光源がその影響を受け、あるいは光源の位置または光源131の内部に配置することができる何らかの種類の検出器がその影響を受けることになる。また、光源へのビーム105の経路に沿った光133の戻りは、光源の性能にも著しく影響することがあり、したがって適切なアライメントの必要性を示している。表面106の領域132内のスポットは、ミラーであっても、あるいは他の何らかの反射機構であってもよい。この領域は、光源131をその所定の位置に固定する前に光ビーム105を集束させることができる領域の中にノッチを有することができる。領域132内のアライメントスポットは、ミラーまたは他の何らかの反射機構の代わりに、何らかの種類の検出器であってもよい。光源131および/またはそのビーム105を整列させるための他の方法も可能である。光源131は、光源131を設置する際に自動的に整列させることができる予め準備済みのフィクスチャを有することができる。
【0028】
光源131の所定のアライメントを達成することにより、この光空洞システムの費用有効性の高い製造性が提供される。また、リングレーザジャイロスコープのコンポーネントまたは製造を空洞103に使用することにより、このシステムを製造するための費用有効性を改善することも可能である。
【0029】
プリズム104が所定の位置に配置され、また、ビーム105、116および117が、ほぼそれらの経路に沿って進行すると、反射性の光コーティング、膜またはミラー107の半透過性特性によって空洞103からプリズム104へ戻るビーム117の一部を、プリズム104を通過して空洞103から離れ、表面139を介してプリズム104から射出するビーム119として得ることができる。ビーム119は、ビーム141として出現することができる。ビーム141は、検出器121によって検出することができる。検出器121の出力は、この出力を解析し、計算し、解釈し、等々のためにプロセッサ(図示せず)などに接続することができる。
【0030】
プリズム104は、ある角度で製造され、形状化され、あるいは切断された面すなわちプリズム104の表面139を有することができ、その結果ビーム119は表面139に直角に衝突する。したがってビーム141は、表面139の法線に平行にプリズム104から射出することができる。
【0031】
図10の場合、図9と比較すると、プリズム104をより薄くすることによって距離137が短くなると、距離135が短くなることに留意されたい。光源131のセットアップアライメントにおいてプリズム104が存在しない場合、光ビーム105/133は、ポート102の開口領域134に存在することになるため、図10の場合、必ずしも図9に示されているセットアップの場合と同じようにアライメントを実施する必要はなく、表面106に依存して、プリズム104を設置する前に、反射体、マーク、検出器などに光源131のアライメントに対するビーム105/133を認知させることができる。しかしながら、プリズム104がより分厚くなって距離137が長くなると、距離135が長くなり、したがってアライメントビーム105/133は、開口領域134の外側の領域の空洞103ブロックの一部に衝突することになる。
【0032】
図10および図11に示す線図は、互いに類似しているように見えるが、図10のプリズム104の角度αは、図11のプリズム104の角度αより小さいように見える。図10のプリズムはケイ素であってもよく、一方、図11のプリズムはガラスであってもよく、それぞれ約4.0および約1.5の屈折率を有している。角度αは、それぞれ約11.3度および約50.5度にすることができる。図6のグラフ115は、角度αとプリズムの屈折率nの間の関係を示したものである。
【0033】
図12および13は、それぞれ図10および11に示されているプリズム104の実施態様であってもよい回折機構122および123の例を線図で示したものである。機構122または123は、図3に示されている機械加工ブロック空洞312などの空洞の入力に接着することができる。様々な種類の製造技法を使用して、空洞312の一部である機構122または123を製造することができる。
【0034】
図14は、空洞リングダウンセンサとして利用されている、本明細書において説明されているいくつかの図に示されているデバイスの空洞の一アプリケーションのグラフ124である。このグラフには振幅対時間が示されている。図9に示されているセットアップの検出器121は、多機能検出器であってもよく、そのうちの1つの機能を使用して、グラフ124の部分125で示されているように、空洞103に対する光の強度が感知される。検出器121の他の機能には、部分126で空洞に結合する機能、および結合部分126で空洞への光の供給が停止した後の部分127の後で、空洞内の光信号を測定する機能を含めることができる。部分127は、空洞リングダウンデバイスの空洞光振幅の減衰を示している。リングダウンの振幅および時間は、空洞103内に存在し得る標本流体に関する情報を提供することができる。また、光の波長および標本の吸収特性も場合によっては有用である。プロセッサ(たとえば、それぞれ図1および2に示されているプロセッサ63または722)は、テーブルおよびアルゴリズムなどの他のアイテムと共に、標本に関する情報の決定を補助することができる。
【0035】
本明細書においては、いくつかの内容は、他の方法または時制で記述されているが、場合によっては仮説的または予言的性質の内容になっている。
以上、本発明について、少なくとも1つの説明のための例に関連して説明したが、当業者には、本明細書を読めば多くの変形形態および改変が明らかになるであろう。したがって、特許請求の範囲は、従来技術に鑑みて、このようなすべての変形形態および改変を包含するべく、可能な限り広義に解釈されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】リングダウン空洞を示す線図である。
【図2】一片または複数片の固体材料から製造し、形成し、機械加工等々することができるリング空洞を有するセンサシステムを示す線図である。
【図3】リング空洞のための機械加工様ブロックを組み込んだセンサシステムを示す線図である。
【図4】本発明の説明のための例に基づくことができるセンサの基本レイアウトを示す線図である。
【図5】光を導くための回折機構を備えた形態のセンサを示す線図である。
【図6】空洞のための光源から入射する光が法線入力の場合における、回折機構の材料の屈折率に対する、センサ空洞への入力表面に対する回折機構の表面の入射角を示すグラフである。
【図7】光源から回折機構を介した空洞内への光路を示す、センサ空洞への入力を示す線図である。
【図8】光源から回折機構を介したセンサ空洞内への光路の相対角を示す、図7と同様の線図である。
【図9】回折機構および検出器を組み込んだ入力および出力を示す線図である。
【図10】屈折率が大きく異なり、かつ、入射光および空洞光路角が同じであるプリズムを有する入力を示す図である。
【図11】屈折率が大きく異なり、かつ、入射光および空洞光路角が同じであるプリズムを有する入力を示す図である。
【図12】図3に示す機械加工様ブロックと同様の機械加工ブロック空洞の入力上に形成することができる回折機構の例を示す線図である。
【図13】図3に示す機械加工様ブロックと同様の機械加工ブロック空洞の入力上に形成することができる回折機構の例を示す線図である。
【図14】空洞リングダウンセンサとして利用されているデバイスの空洞の一アプリケーションのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部ループ光路(114)を有し、かつ、前記光路(114)に結合された入力(102)を有する空洞(103)と、
前記入力(102)の法線(112)にほぼ平行の方向の光(105)を提供するための光源(101、131)と、
前記光源(101、131)と前記入力(102)の間に光学的に結合された光回折機構(104)と
を備えた光学システム。
【請求項2】
前記光源(101、131)が、前記入力(102)の近傍の前記空洞(103)上に位置しているアライメント標識(132)に対して整列された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アライメント標識(132)の位置が前記回折機構(104)のパラメータに従って決定され、また、
前記光源(101、131)が前記回折機構(104)の配置に先だって整列される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記光路(114)に結合された出力(102)と、
前記出力(102)に光学的に接続された光検出器(121)と、
前記空洞(103)に接続された、流体標本を前記空洞(103)の中に入れるためのポート(78)と、
前記光検出器(121)に接続された、前記光源(101、131)が光(105)の提供を停止した後に、前記光路(114)の光(117)の強度の減衰を測定するためのプロセッサと
をさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記空洞(103)が材料の固まりの中に位置し、かつ、末端間接続された複数のボアを前記固まりの中に備え、
ボアから他のボアまでの前記光路(114)が、前記ボアとボアとの間に位置している反射機構(110)に接続され、
前記反射機構(110)が、前記光路(114)の長さを調整して前記光路(114)を特定の波長に同調させるように移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
感知するための方法であって、
光源から閉光路(114)を有するチャンバ(103)の入力(102)まで、前記入力(102)の法線(112)に平行の方向に光(105)を提供するステップと、
前記チャンバ(103)の出力(102)を介して前記光路(114)からの光(117、119、141)を検出するステップと、を含み、
前記光(105)が回折光学系(104)および前記入力(102)を介して前記チャンバ(103)に提供される方法。
【請求項7】
前記入力(102)に対する前記光(105)の位置が前記入力(102)の近傍のアライメント標識(132)に従って決定され、かつ、
前記アライメント標識(132)が、前記回折光学系(104)の少なくとも1つまたは複数のパラメータに従って、前記入力(102)に対して位置決めされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
流体標本を前記チャンバ(103)に注入するステップと、
前記チャンバ(103)の前記出力(102)から、前記流体標本の特性を示す前記光(117、119、141)の少なくとも1つのパラメータを測定するステップと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記回折光学系(104)が、光(105)が入射する第1の表面(109)および前記光(105)が前記チャンバの前記入力(102)に向かって射出する第2の表面(113)を有するプリズムであり、
前記第1の表面(109)と第2の表面(113)の間の第1の角度(α)が、前記光(105)が、前記チャンバ(103)の前記入力(102)から入射する際に前記光路(114)と整列する前記第2の表面(113)から前記光路(114)に入射するように設定された大きさを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
光(117)が伝搬するリング様経路(114)を有する空洞(103)と、
前記空洞(103)に接続された光入力(102)と、
前記入力(102)に光学的に接続された光回折プリズム(104)と、
前記入力(102)の法線(112)にほぼ平行の方向を有する光(105)を前記プリズム(104)に提供するための光源(101、131)と
を備えたセンサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−25298(P2009−25298A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−170820(P2008−170820)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】