直列多重電力変換方法、直列多重電力駆動方法、および多重変圧器
【課題】多数の電動機を使用し、かつ電動機速度(回転速度)を個別に制御する場合において、これらに関連する設備全体の費用が膨大になり、かつこの設備の占有する面積と容積、そして制御する盤数が多大になる。また、これらの台数が増えるにしたがって、信頼性の確保も課題であった。
【解決手段】複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直流ユニットを直列にした直列多重電力変換器と、による電力変換方法において、1台の前記多重変圧器の出力に複数台の前記直列多重電力変換器を接続した。
【解決手段】複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直流ユニットを直列にした直列多重電力変換器と、による電力変換方法において、1台の前記多重変圧器の出力に複数台の前記直列多重電力変換器を接続した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置を用いて、交流電動機を駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機を使用する際において、回転速度の制御が重要になる場合がある。交流電動機の回転速度制御に適した方法として、多重電力変換器、もしくは高圧に適した直列多重電力変換器を用いる方法がある。これにより任意の周波数の近似的な交流を発生し、電動機の回転速度を制御するものである。
従来技術としては、1台の直列多重電力変換器を用いて電動機を駆動する技術が、特許文献1に開示されている。
また、この方法を2台の多重変圧器と直列多重電力変換器とで用いる場合について示したのが図19である。図19においては多重変圧器2から3相交流を直列多重電力変換器30に供給し、直列多重電力変換器30によって任意の周波数の近似的な3相交流電力を生成し、電動機4を駆動している。また、多重変圧器2bから3相交流を直列多重電力変換器130に供給し、直列多重電力変換器130によって任意の周波数の近似的な3相交流電力を生成し、電動機5を駆動している。
この場合は2台の電動機を駆動するために、2台の多重変圧器と2台の直列多重電力変換器が必要となっている。多数の台数を用意すると、その台数分の多重変圧器と直列多重電力変換器が必要となり、設備に多大な費用がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−103766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数の電動機を使用し、かつ電動機速度(回転速度)を個別に制御する場合において、これらに関連する設備全体の費用が膨大になり、かつこの設備の占有する面積と容積、そして制御する盤数が多大になる。また、これらの台数が増えるにしたがって、信頼性の確保も課題となる。
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、多重変圧器に係る設備コストと設備占有面積と容積の低減、および信頼性の向上の図れる直列多重電力変換方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決して、本発明の目的を達成するために、以下のように構成した。
すなわち、複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた直列多重電力変換器と、による直列多重電力変換方法において、1台の前記多重変圧器の出力に複数台の前記直列多重電力変換器を接続した。
【0006】
かかる構成により、1台の前記多重変圧器で複数台の前記直列多重電力変換器が稼動する。
【0007】
また、複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた複数台の直列多重電力変換器と、負荷への供給電力源を切り替える切替器と、によって負荷を駆動する方法において、前記多重変圧器と、前記複数台の直列多重電力変換器とを接続し、複数台の中の1台の直列多重電力変換器を常時使用系、残りの台数の直列多重電力変換器を予備使用系として、複数台の直列多重電力変換器の出力を前記切替器にて常時使用と予備使用とに切り替えて、1台または複数台の負荷を駆動する。
【0008】
かかる構成により、1台の前記多重変圧器で複数台の前記直列多重電力変換器が予備として稼動する。
【0009】
また、複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた直列多重電力変換器と、による電力変換方法において、前記多重変圧器が、主巻線によって主出力となる第1群の複数個の3相交流セル電源と、独立並列巻線を設け部分出力となる第2群の複数個の3相交流セル電源と、を備えた。
【0010】
かかる構成により、前記多重変圧器から主出力と部分出力の3相交流が別々に出力する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多重変圧器に係る設備コストと設備占有面積と容積の低減、および信頼性の向上の図れる直列多重電力変換方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第1の概略の構成図である。
【図2】本発明の実施形態である多重変圧器に備えられる3相交流セル電源の構成を示す図である。
【図3】3相交流の波形例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態である直列多重電力変換器に備えられる直流ユニットの構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態である直列多重電力変換器に備えられる直流ユニットの機能動作を示す図である。
【図6】本発明の実施形態である直列多重電力変換器に備えられる直流ユニットの出力電圧動作波形例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態である直列多重電力変換器の出力電圧波形例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態である直列多重電力変換器の出力電圧波形例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第2の概略の構成図である。
【図10】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第3の概略の構成図である。
【図11】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第4の概略の構成図である。
【図12】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第5の概略の構成図である。
【図13】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第6の概略の構成図である。
【図14】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と、切替器によって電力供給源が切り替えられる電動機との関連を示す第7の概略の構成図である。
【図15】図14に示した第7の概略の構成における直列多重電力変換器と電動機と切替器の動作の関連を示すタイムチャートである。
【図16】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と、切替器によって電力供給源が切り替えられる電動機との関連を示す第8の概略の構成図である。
【図17】図16に示した第8の概略の構成における直列多重電力変換器と電動機と切替器の動作の関連を示すタイムチャートである。
【図18】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と、電力供給源が切り替えられる電動機との関連を示す第9の概略の構成図である。
【図19】従来の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す概略の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施形態(その1))
図1は本発明の第1の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図1において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して、多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源が供給され、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129にそれぞれ3相交流が出力される。この3相交流出力は3相配線群6を経由して、直列多重電力変換器30、130にそれぞれ直列多重電力変換器入力103、203を経て入力する。
直列多重電力変換器30においては、入力した前記3相交流は整流されて、一度、直流に変換された後、周波数や電圧の異なる別の3相の交流として再発生され、直列多重電力変換器出力(Vacm)104から3相の交流電動機(ACM:AC Motor、以下、単に電動機と略すこともある。)4に電力を供給して、駆動する。
また、直列多重電力変換器130においても、入力した前記3相交流は整流されて、一度、直流に変換された後、周波数や電圧の異なる別の3相の交流として再発生され、直列多重電力変換器出力(Vacm)204から電動機5に電力を供給して、駆動する。
【0014】
ここで、図1の第1の実施形態の詳しい機能、動作の説明には、まず本発明の特徴であり、主構成要素である多重変圧器2、直列多重電力変換器30、また、直列多重電力変換器30において用いられる直流ユニット(31〜39)、ダイオード整流器(401(図4))、単相変換器(402(図4))についての理解が必要であるので、それらを先に説明し、その後、(第1の実施形態(その2))として、再度、全体を説明することにする。
【0015】
(多重変圧器)
図1における多重変圧器2は3相交流用の3相の一次側巻線と3相の複数本の二次側巻線を備えた変圧器である。なお、よく知られている3相交流の電圧波形を図3に示す。各相の電圧は正弦波形の交流であって、3相からなる各相(相1、相2、相3)が120度ずつ位相の異なる組み合わせによって構成されている。
【0016】
多重変圧器2は、一次側として、一次側3相交流電源111を、二次側として、9個の3相交流セル電源121〜129を備えている。一次側3相交流電源111により、1次側として、3相交流電力を受け、変圧器としての機能により、2次側で複数個の3相交流セル電源121〜129に電圧と電力が変換される。2次側で複数個の3相交流セル電源121〜129によってそれぞれの3相交流電圧と電力が出力される。3相交流セル電源121〜129は、Δを横にして丸で囲んで表した第1型のΔ結線の3相交流セル電源121〜123を3個と、Δを丸で囲んで表した第2型のΔ結線の3相交流セル電源124〜126を3個と、Yを丸で囲んで表した第3型のY結線の3相交流セル電源127〜129を3個と、を備えている。これらの第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源の概略の内部構造を図2に示す。
【0017】
図2において、第1型の3相交流セル電源121は図2(a)に示すように、二次巻線1211、1212、1213を備え、正三角形状に接続形成され、よく知られた、いわゆるΔ結線(デルタ結線)を構成している。二次巻線1211、1212、1213には位相が120度、異なる正弦波形の交流電圧が誘起されるので、出力端子1214(w)、1215(u)、1216(w)から3相交流電圧と電力が出力される。また、第1型の3相交流セル電源122、123(図1)も3相交流セル電源121と同じ構成である。
【0018】
第2型の3相交流セル電源124は図2(b)に示すように、二次巻線1241、1242、1243を備え、正三角形状に接続形成され、よく知られた、いわゆるΔ結線(デルタ結線)を構成している。二次巻線1241、1242、1243には位相が120度、異なる正弦波形の交流電圧が誘起されるので、出力端子1244、1245、1246から3相交流電圧と電力が出力される。また、第2型の3相交流セル電源125、126(図1)も3相交流セル電源124と同じ構成である。
【0019】
なお、第2型の3相交流セル電源124の各相の構成は、電圧が異なるが位相関係は一次側3相交流電源111の各相の関係と同じである。
また、第1型の3相交流セル電源121の二次巻線1211、1212、1213と第2型の3相交流セル電源124の二次巻線1241、1242、1243は同じ構造で形成し、第2型の3相交流セル電源124の出力端子1244(u)、1245(v)、1246(w)を第1型の3相交流セル電源121の出力端子1215(u)、1216(v)、1214(w)として取り出せば第1型の3相交流セル電源121の各相の関係が得られる。
【0020】
第3型の3相交流セル電源127は図2(c)に示すように、二次巻線1271、1272、1273を備え、Y字状に接続形成され、よく知られた、いわゆるY結線(スター結線)を構成している。二次巻線1271、1272、1273には位相が120度、異なる正弦波形の交流電圧が誘起されるので、出力端子1274、1275、1276から3相交流電圧と電力が出力される。ただし、3相交流セル電源127の出力端子1274と1275の間からは、二次巻線1271、1272の各相の電圧の差が出力される。これは第1型の3相交流セル電源121の出力端子1214と出力端子1215の間から二次巻線1211の相の電圧がそのまま出力されるのとは異なる。二次巻線1271、1272が二次巻線1211と同じ条件で構成されると、出力端子1274と出力端子1275の間からは、よく知られているようにベクトル演算した((3)1/2≒1.73)倍の電圧が出力されるので、同じ相間の出力電圧となるように二次巻線1271、1272、1273は二次巻線1211、1212、1213より、巻数を少なく調整した二次巻線で構成する。また、第3型の3相交流セル電源128、129(図1)も3相交流セル電源127と同じ構成である。
【0021】
なお、第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源121〜129は、以上のようにすべて同じではなく、異なる位相の出力をしているが、後記するように、直列多重電力変換器30のなかの直流ユニットで一度、すべて直流に変換されてしまう。したがって、前記した第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源121〜129の交流としての位相情報は消去されてしまい、直列多重電力変換器30側においては第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を用いる意味は事実上ない。
にもかかわらず、多重変圧器2の二次側に第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を用いるのは、多重変圧器2の一次側における高調波が、前記第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を同じ数だけ揃えたときに、相殺されて、少なくなることが知られているからである。
【0022】
(直列多重電力変換器(その1))
図1において、直列多重電力変換器30は9個の直流ユニット31〜39と各直流ユニットを制御する直流ユニット制御回路40からなっている。直流ユニット31(U11)、34(U12)、37(U13)を直列にしてU相を形成している。また、直流ユニット32(V11)、35(V12)、38(V13)を直列にしてV相を形成している。また、直流ユニット33(W11)、36(W12)、39(W13)を直列にしてW相を形成している。これらのU相、V相、W相は直流ユニット31(U11)、直流ユニット32(V11)、直流ユニット33(W11)のa側の直流ユニット出力端子4025(図4)で接続され、Y結線(スター結線)を構成している。
【0023】
また、U相、V相、W相のそれぞれの直流ユニット37(U13)、直流ユニット38(V13)、直流ユニット39(W13)の各b側の直流ユニット出力端子4026(図4)から直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力(Vacm)104として出力する。
なお、この3相出力は交流電動機(ACM)4に供給されている。
また、後記するように直流ユニット制御回路40は直流ユニット31〜39を制御している。直列多重電力変換器30がどのような機能を持ち、動作するかに直流ユニットの説明が必要であるので、先に直列多重電力変換器30の主構成要素である直流ユニット400(図4)について説明する。
【0024】
(直流ユニット)
図4に示したのが、直流ユニット400(31〜39(図1))の回路構成である。直流ユニット入力端子411(u)、412(v)、413(w)から2次側の3相交流セル電源(121〜129)のどれかひとつの3相交流を入力している。入力した3相交流はヒューズ(遮断器)403を経由してダイオード整流器401に入力する。ダイオード整流器401は、入力した3相交流を全波整流して、交流を直流(平均電圧がVdc)に変換する。ダイオード整流器401の出力は平滑コンデンサ(C)404を経て、単相変換器402に供給され、直流ユニット出力端子4025(a)、4026(b)間に+Vdc、0、−Vdcの直流電圧を直流ユニット制御回路40(図1)の制御状況に応じて出力する。
以下に、直流ユニット400の主構成要素であるダイオード整流器401と単相変換器402について詳しく述べる。
【0025】
(ダイオード整流器)
ダイオード整流器401はダイオード4111、4112、4121、4122、4131、4132から構成されている。ダイオード4111のカソードは正極端子4001に接続され、アノードはダイオード4112のカソードに接続されている。ダイオード4112のアノードは負極端子4002に接続されている。また、ダイオード4111のアノードとダイオード4112のカソードの接続点には、直流ユニット端子411(u)から3相交流の1相分が入力されている。ダイオード4111のアノードとダイオード4112のカソードの接続点に入力した正弦波の電圧が正であればダイオード4111を通り正極端子4001に到達する。また、負であればダイオード4112を通り負極端子4002に到達する。
以上から、直流ユニット端子411(u)から3相交流の1相分の入力はダイオード4111とダイオード4112によって全波整流され正極端子4001と負極端子4002に到達し、かつ平滑コンデンサ(C)404によって蓄積され、かつ平滑化される。
【0026】
ダイオード4121のカソードは正極端子4001に接続され、アノードはダイオード4122のカソードに接続されている。ダイオード4122のアノードは負極端子4002に接続されている。また、ダイオード4121のアノードとダイオード4122のカソードの接続点には、直流ユニット端子412(v)から3相交流の1相分が入力されている。ダイオード4121のアノードとダイオード4122のカソードの接続点に入力した正弦波の電圧が正であればダイオード4121を通り正極端子4001に到達する。また、負であればダイオード4122を通り負極端子4002に到達する。以上から、直流ユニット端子412(v)から3相交流の1相分の入力はダイオード4121とダイオード4122によって全波整流され正極端子4001と負極端子4002に到達し、かつ平滑コンデンサ(C)404によって蓄積され、かつ平滑化される。
【0027】
ダイオード4131のカソードは正極端子4001に接続され、アノードはダイオード4132のカソードに接続されている。ダイオード4132のアノードは負極端子4002に接続されている。また、ダイオード4131のアノードとダイオード4132のカソードの接続点には、直流ユニット端子413(w)から3相交流の1相分が入力されている。ダイオード4131のアノードとダイオード4132のカソードの接続点に入力した正弦波の電圧が正であればダイオード4131を通り正極端子4001に到達する。また、負であればダイオード4132を通り負極端子4002に到達する。以上から、直流ユニット端子413(w)から3相交流の1相分の入力はダイオード4131とダイオード4132によって全波整流され正極端子4001と負極端子4002に到達し、かつ平滑コンデンサ(C)404によって蓄積され、かつ平滑化される。
【0028】
ダイオード整流器401には直流ユニット端子411(u)、412(v)、413(w)から3相交流の位相の異なる各相が入力しているので、さらに平均化され、正極端子4001と負極端子4002の間に接続された平滑コンデンサ404には、より平滑化された直流電力(電圧Vdc)が蓄積される。
【0029】
(単相変換器)
図4において、単相変換器402は半導体スイッチとなる絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor 以下、IGBTと略すこともある。)4021〜4024で構成される。
IGBT(UP)4021はコレクタが正極端子4001に接続され、エミッタは直流ユニット出力端子(a)4025に接続されている。IGBT(UN)4022はエミッタが負極端子4002に接続され、コレクタは直流ユニット出力端子4025(a)に接続されている。IGBT(VP)4023はコレクタが正極端子4001に接続され、エミッタは直流ユニット出力端子4026(b)に接続されている。IGBT(VN)4024はエミッタが負極端子4002に接続され、コレクタは直流ユニット出力端子4026(b)に接続されている。また、IGBT4021〜4024の各ベースには直流ユニット制御回路40(図1)の制御信号がそれぞれ接続されている。
【0030】
このとき、IGBT(UP、UN、VP、VN)のオン(ON)、オフ(OFF)の制御を図5に示したように行うと、ユニット出力端子4025(a)、4026(b)間には+Vdc、0、−Vdcを意図的に発生させることができる。なお、IGBT(UP、UN、VP、VN)のオン(ON)、オフ(OFF)の制御は直流ユニット制御回路40(図1)が一括して行う。
なお、半導体スイッチは必ずしもIGBTで構成する必要はないが、IGBTが比較的に絶縁性と耐圧性に優れ、直流ユニット400(31〜39(図1))、あるいは直列多重電力変換器30(図1)として、高電圧を容易に得やすい。
【0031】
図6は直流ユニット400のユニット出力端子4025(a)、4026(b)間の出力を0と+Vdcとの間に発生させる場合におけるそれぞれの期間による出力電圧の相違を示す図である。
0と+Vdcの発生期間を等しくとった場合の出力電圧波形を示したのが図6(a)であり、0の発生期間よりも、+Vdcの発生期間を長くとった場合の出力電圧波形を示したのが図6(b)である。出力電圧の絶対値としては、ともに0と+Vdcしか出力していないが、出力電圧の平均値としては図6(b)の方が高くなる。
したがって、直流ユニット制御回路40(図1)による直流ユニット400(図4)の制御を単にオン(ON)、オフ(OFF)のみならず、オン(ON)、オフ(OFF)の期間を制御すれば出力電圧の平均値として電圧値を設定する場合には、更に選択の自由度が高まる。
【0032】
(直列多重電力変換器(その2))
図7は図1の直列多重電力変換器30において、直流ユニット31(U11)、34(U12)、37(U13)を直列に接続した状態で、直流ユニット34(U12)、37(U13)はともに+Vdcを発生させ、直流ユニット31(U11)を0と+Vdcの間で出力した場合におけるU相の電圧波形を示したものである。図7においてはU相の電圧波形を+2Vdcと+3Vdcとで発生させることができることを示している。また、0、+Vdc、+2Vdc、+3Vdc、およびこれらの負極性の電圧の階段状の波形(不図示)も発生できる。なお、これらの電圧を発生させる制御は直流ユニット制御回路40(図1)が行う。また、U相のみならずV相(V11、V12、V13)やW相(W11、W12、W13)でも同様に制御し、階段状の波形を発生させることができる。
【0033】
図8は直流ユニットの段数を3段より、更に増やした場合の直列多重電力変換器の出力電圧波形の一例を示すものである。前記したように、直流ユニットの出力は+Vdc、0、−Vdcを選択でき、直列多重電力変換器においては直流ユニット400の直列の段数を3段を超して構成でき、かつ直流ユニット400の出力の期間を直流ユニット制御回路で制御すれば図8(a)に示すような平均値としては曲線に近く、かつ最大値が高電圧の電圧波形を発生することができる。なお、図8(a)がU相やV相、W相の単相の出力電圧波形であり、図8(b)は例えばU相とV相との相間の線間電圧の一例を表したものである。相電圧のみならず線間電圧で考えると自由度が高くなるので、更に刻み幅が細かくなり、より正弦波に近似された電圧波形も形成できる。
【0034】
また、直流ユニット制御回路40(図1)で開閉の周波数を変えれば、これらの近似した三相交流の周波数は変わるので、周波数の可変な3相交流電源が多重変圧器と直列多重電力変換器の組み合わせにより近似的に実現する。
なお、幾ら直流ユニットの段数を増やしても電圧波形の段差は完全には解消されないが、負荷が電動機の場合には電動機を構成する巻線(コイル)のインダクタンスが大きく、電流は滑らかに変化するので電動機の回転は電圧波形の段差の影響をあまり受けない。
【0035】
また、図1において、直列多重電力変換器30における直流ユニット(31〜39)は多重変圧器の3相交流セル電源121〜129から別々に3相交流電力を受けている。これは同じ3相交流だからといって、単に配線を分けて、複数の直流ユニット制御回路に接続すると、直流ユニット制御回路を直列に接続して高い電圧を発生されることが必ずしもできなくなるからである。したがって、それぞれの直流ユニット(31〜39)にはそれぞれ別の3相交流セル電源121〜129を用いる必要がある。
【0036】
(第1の実施形態、(その2))
再び、図1に戻る。以上において、説明した多重変換器2と2台の直列多重電力変換器30、130を図1で用いている。これにより、1台で2台の直列多重電力変換器を駆動しているので、変圧器の設備費(コスト)と、これらの機器の設置場所の占有する面積や容積が減少する。また、これらを制御する盤の数も少なくできる。
【0037】
なお、図1において、直列多重電力変換器30は直列ユニットが直列3段の構成例を示したが、前記したように、段数は一般にn段で構成できる。図9に直列ユニットの直列段数をn段で構成した例を示す。
図9において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源を供給し、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜126、127n、128n、129nによる出力を直列多重電力変換器30に入力し、直列多重電力変換器30から電動機4に電力を供給し、駆動している。
以上の基本的な構成は図1と同じである。しかし、図9では直列多重電力変換器30の直流ユニット(U11〜U1n、V11〜V1n、W11〜W1n)の段数が異なっている。段数nを増やせば、より高電圧、もしくはより滑らかな3相交流波形に近い電圧が交流電動機4に供給できる。
【0038】
また、高出力、高容量の電動機の場合には、直列多重電力変換器30から供給する電圧が高い方が電動機4の設計は容易となる。
また、直列多重電力変換器30からの出力電圧が、同じ高い電圧を発生させる方法として、直流ユニットの1段当たりの電圧を高くする方法と、直流ユニットの1段当たりの電圧はそのままにして、直列の段数を増やす方法がある。直流ユニット400(図4)のなかの単相変換器402(図4)を構成する半導体スイッチのIGBT(4021〜4024(図4))に加わる電圧をIGBTの耐圧以下にする必要があるので、直流ユニットの1段当たりの電圧を高くする方法には限界がある。この場合には図9において、直流ユニット(U11〜U1n、V11〜V1n、W11〜W1n)のnの段数を増やすことで実現する。
なお、図9において、多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜126、127n、128n、129nにおいては、前記した第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を同数個で使用する。これは前記したように多重変圧器2の一次側において、高調波の発生を抑えるためである。
また、図9においては、直列多重電力変換器30の構造を拡大して示すために、直列多重電力変換器130を不図示としたが、多重変圧器2は2台の直列多重電力変換器30、130に電力を供給している。
【0039】
また、図9では直列多重電力変換器は相数が3相の構成例を示したが、相数も一般にm相で構成できる。
図10に直列段数をn段、相をm相とした構成例を示す。図10において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源を供給し、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜126、127n、128n、129nによる出力を直列多重電力変換器30に入力し、直列多重電力変換器30で周波数や電圧の異なる別の3相の交流を再発生して、電動機4に電力を供給し、駆動している。
【0040】
以上の基本的な構成は図9と同じである。しかし、図10では直列多重電力変換器30の直流ユニット(U11〜U1n、V11〜V1n、W11〜W1n、3m〜3m+n)の相数mが異なっている。相数を増やした場合は、電動機の極数を増やすことが必要であるが、それによって、より滑らかな回転をする電動機の動作が可能となる。
また、図10においては、直列多重電力変換器30の構造を拡大して示すために、直列多重電力変換器130を不図示としたが、多重変圧器2は2台の直列多重電力変換器30、130に電力を供給している。
【0041】
(第2の実施形態)
図11は本発明の第2の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図11において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して、多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源が供給され、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129にそれぞれ3相交流が出力される。この3相交流出力は3相配線群6を経由して、直列多重電力変換器30、130にそれぞれ直列多重電力変換器入力103、203を経て入力する。
直列多重電力変換器30においては、入力した前記3相交流は整流されて、一度、直流に変換された後、周波数や電圧の異なる別の3相の交流として再発生され、直列多重電力変換器出力104から3相の交流電動機4に電力を供給して、駆動する。
また、直列多重電力変換器130においても、入力した前記3相交流は整流されて、一度、直流に変換された後、周波数や電圧の異なる別の3相の交流として再発生され、直列多重電力変換器出力204から電動機5に電力を供給して、駆動する。
【0042】
以上の基本的な構成は図1と同じである。しかし、図11では第2の直列多重電力変換器130が直列の段数において、第1の直列多重電力変換器30と異なっている。このため、出力電圧が異なる2台の直列多重電力変換器30、130の電力を1台の多重変圧器2で同時に供給することができる。
【0043】
(第3の実施形態)
図12は本発明の第3の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図12において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源を供給し、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129による出力に直列多重電力変換器30、130、・・・、n30をそれぞれ直列多重電力変換器入力103、203、・・・、n03により接続している。直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力104には電動機4を接続し、直列多重電力変換器130の直列多重電力変換器出力204には電動機5を接続し、一般に直列多重電力変換器n30の直列多重電力変換器出力n04には電動機n+3を接続している。
この構成により、1台の多重変圧器2から、n台の直列多重電力変換器30、130、・・・、n30に電力を供給し、これらの直列多重電力変換器30、130、・・・、n30が電動機4、5、・・・、n+3をそれぞれ駆動している。
【0044】
以上において、1台の多重変圧器2にn台の直列多重電力変換器30、130、・・・、n30が接続され、かつ直列段数も異なる(m、i等)場合を示している。
なお、直列多重電力変換器をn台に拡張した以外、機能、動作などは図1に準じているので、詳細な説明は省略する。
また、3相配線群6は図12において、簡略化をして表示しているが、図1における3相配線群6と同じ意味の構成である。
【0045】
(第4の実施形態)
図13は本発明の第4の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図13において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源を供給し、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の主巻線によって発生する主出力の3相交流セル電源121〜129に直列多重電力変換器30を直列多重電力変換器入力103により接続し、直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力(Vacm)104には電動機4を接続している。
【0046】
また、多重変圧器2の二次側の独立巻線によって発生する部分出力の3相交流セル電源121b、124b、127bに直列多重電力変換器130を直列多重電力変換器入力203により接続し、直列多重電力変換器130の直列多重電力変換器出力204には電動機5を接続している。
一般に多重変圧器2の二次側の独立巻線によって発生する部分出力の3相交流セル電源121n、124n、127nに直列多重電力変換器n30を直列多重電力変換器入力n03により接続し、直列多重電力変換器n30の直列多重電力変換器出力n04には電動機n+3を接続している。
以上の構成により、1台の多重変圧器2から、主出力である3相交流セル電源121〜129による直列多重電力変換器30と電動機4を駆動する以外にも、部分出力である3相交流セル電源121b、124b、127bや3相交流セル電源121n、124n、127n等により、n−1台の直列多重電力変換器130、・・・、n30に電力を供給し、これらの直列多重電力変換器が2台以上の複数台の電動機5、・・・、n+3をそれぞれ駆動している。
【0047】
また、多重変圧器2に接続されたn台の直列多重電力変換器30、130、・・・、n30は直流ユニットの直列段数も異なる(3、m、i等)場合を示している。
なお、図13においては、多重変圧器に巻線を追加して、主出力(3相交流セル電源121〜129)以外に部分出力である3相交流セル電源121b、124b、127b、・・・、121n、124n、127nを設け、そこから得た複数の3相交流セル電源で直列多重電力変換器(130、・・・、n30)と電動機(5、・・・、n+3)を駆動している例を示している。このとき二次側巻線は増加するが、同等の機能、効果となり、かつ、変圧器の一次側配線工数と、多重変圧器の台数が低減できる。さらには設備の占有面積と容積、および制御する盤の低減も図れる。
なお、図13において、多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129、121b、124b、127b、121n、124n、127nにおいては前記した第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を同数個で使用する。これは前記したように多重変圧器2の一次側において、高調波の発生を抑えるためである。
また、直列多重電力変換器をn−1台の部分出力を設けた以外についての機能、動作は図1、図12に準じているので、詳細な説明は省略する。
【0048】
(第5の実施形態)
図14において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して、多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源が供給され、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129にそれぞれ3相交流が出力される。この3相交流出力は3相配線群6を経由して、直列多重電力変換器30、130にそれぞれ直列多重電力変換器入力103、203を経て入力する。直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力104には切替器7を経由して電動機4を接続して駆動する。また、直列多重電力変換器130の出力204には切替器8を経由して、電動機4を接続し、駆動している。
【0049】
以上により、1台の電動機4を多重変圧器2は共通であり、2台の直列多重電力変換器30、130と切替器7、8によって、切り替え駆動する待機二重系方式が構成できる。通常は切替器7がオン(ON)、切替器8がオフ(OFF)であって、A系の直列多重電力変換器30によって、電動機4を運転する。また、A系が故障した場合、切替器7をオフ(OFF)、切替器8をオン(ON)とすることにより、B系に切り替えて、B系の直列多重電力変換器130によって、電動機4を運転する。
なお、3相配線群6は図14において、簡略化をして表示しているが、図1における3相配線群6と同じ意味の構成である。
【0050】
図14を用いて説明した待機二重系方式を、図15のタイムチャートで更に説明する。
A系の直列多重電力変換器30が正常なときには切替器7を経由して電動機4には正常な電圧が印加されていて、電動機4はn0という電動機速度(回転速度)で動作している。ここで時刻t0という時点で何らかの原因、例えば直列多重電力変換器30内の直流ユニットの故障などで、直列多重電力変換器30が故障したと仮定する。A系故障信号(不図示)によりまず切替器7が「入」状態から「切」状態に変移する。そこである一定時間tsw経過後、切替器8が「切」状態から「入」状態に変移する。B系の直列多重電力変換器130はこの時点t1で同期検出動作を開始し、電動機速度(回転速度)n1に見合った同期点(直列多重電力変換器130の出力電圧、および周波数が電動機速度(回転速度)n1に同期)を時刻t2で検出する。時刻t2で直列多重電力変換器130は出力運転を開始し、電動機4の電動機速度(回転速度)は以前のA系の直列多重電力変換器30で運転していた状態の電動機速度(回転速度)n0に復帰する。
【0051】
以上の図14の待機二重系方式の特徴について説明する。この方式においては、1台の多重変圧器2と2台の直列多重電力変換器30、130と2台の切替器7、8を用いて待機二重系化を図れるので、1台分の多重変圧器のコスト低減と、配線工数の低減ができる。更に、一般に変圧器(多重変圧器)は鉄と絶縁体、銅線を主体として構成されているので、パワー半導体やIC類を搭載したプリント基板などの複合部品の組み合わせの直列多重電力変換器より高い信頼性を有する。これは多重変圧器を含む直列多重電力変換器システムとして、多重変圧器は一重のまま、直列多重電力変換器の多重化を図ることが信頼性向上につながる簡便かつ有用な方法であることを示している。
したがって、図14に示した本発明の実施形態では1台の多重変圧器2に2台の直列多重電力変換器30、130を接続し、前記2台の直列多重電力変換器30、130を切り替えて使用することによって、2台分の多重変圧器コストを必要とせずに、また、設備占有面積と容積が低減し、信頼性の低下もなく、待機二重系の直列多重電力変換方法を提供できる。
【0052】
(第6の実施形態)
図16は第6の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図16において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して、多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源が供給され、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129にそれぞれ3相交流が出力される。この3相交流出力は3相配線群6を経由して、直列多重電力変換器30、130にそれぞれ直列多重電力変換器入力103、203を経て入力する。直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力104には切替器7を経由して電動機4を接続して駆動する。また、直列多重電力変換器130の出力204には切替器8を経由して、電動機4を接続し、駆動している。
【0053】
以上により、1台の電動機4を多重変圧器2が共通である2台の直列多重電力変換器30、130と切替器7、8によって、切り替え駆動する待機二重系方式が構成できる。通常は切替器7がオン(ON)、切替器8がオフ(OFF)であって、A系の直列多重電力変換器30によって、電動機4を運転する。また、A系が故障した場合、切替器7をオフ(OFF)、切替器8をオン(ON)とすることにより、B系に切り替えて、B系の直列多重電力変換器130によって、電動機4を運転する。
【0054】
以上は図14に示した第5の実施形態とほぼ同じ構成である。異なるのはB系の直列多重電力変換器130における直列ユニット(U11〜1n、V11〜1n、W11〜1n)の各U相、V相、W相における段数である。このため直列の出力電圧が異なる。この直列ユニットの段数nが2以下の場合には、B系に切り替えた後は速度を下げて縮退運転となる。つまり、A系で通常運転操業から、A系が故障後にB系に切り替え、速度を下げて縮退運転をする場合である。このとき、B系の直列多重電力変換器容量は小さくできる。例えば、電動機4の負荷がポンプやファンの場合、電動機速度(回転速度)の3乗に消費電力が比例するので、待機系であるB系は、常用であるA系の50%の速度までしか運転しないものとすると、B系の直列多重電力変換器の容量は0.5(50%)の3乗、すなわち0.125である12.5%のB系の直列多重電力変換器容量ですむ。
【0055】
図16を用いて説明した縮退の待機二重系方式を、図17のタイムチャートで更に説明する。図17において、A系の直列多重電力変換器30が正常なときには切替器7を経由して電動機4には正常な電圧が印加されていて、電動機4はn0という電動機速度(回転速度)で動作している。ここで時刻t0という時点で何らかの原因、例えば直列多重電力変換器30内の直流ユニットの故障などで、直列多重電力変換器30が故障したと仮定する。A系故障信号(不図示)によりまず切替器7が「入」状態から「切」状態に変移する。そこである一定時間tsw経過後、切替器8が「切」状態から「入」状態に変移する。B系の直列多重電力変換器130はこの時点t1で同期検出動作を開始し、電動機速度(回転速度)n1に見合った同期点(直列多重電力変換器130の出力電圧、および周波数が電動機速度(回転速度)n1に同期)を時刻t2で検出する。時刻t2で直列多重電力変換器130は出力運転を開始し、電動機4の電動機速度(回転速度)は以前のA系の直列多重電力変換器30で運転していた状態の電動機速度(回転速度)n0から速度n2に降下し、縮退運転となる。
【0056】
(第7の実施形態)
図18は第7の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図18において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源を供給し、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の主巻線によって発生する主出力の3相交流セル電源121〜129に直列多重電力変換器30を直列多重電力変換器入力103により接続し、直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力104には切替器7を経由して電動機4を接続し、駆動している。
【0057】
また、多重変圧器2の二次側の独立巻線によって発生する部分出力の3相交流セル電源121n、124n、127nに直列多重電力変換器130を直列多重電力変換器入力203により接続し、直列多重電力変換器130の直列多重電力変換器出力204には切替器8を経由して電動機4を接続して駆動する。
【0058】
以上により、1台の電動機4を多重変圧器2は共通である2台の直列多重電力変換器30、130と切替器7、8によって、切り替え駆動する待機二重系方式を構成している。通常は切替器7がオン(ON)、切替器8がオフ(OFF)であって、A系の直列多重電力変換器30によって、電動機4を運転する。また、A系が故障した場合、切替器7をオフ(OFF)、切替器8をオン(ON)とすることにより、B系に切り替えて、B系の直列多重電力変換器130によって、電動機4を運転する。
【0059】
以上は図16に示した第6の実施形態とほぼ同じ構成である。異なるのは前記したように、B系の直列多重電力変換器130が多重変圧器2の二次側の部分出力である3相交流セル電源121n、124n、127nから電力を受けていることである。多重変圧器2の部分出力を取り出すために1台の多重変圧器に巻線を追加したものであり、主出力でA系を駆動し、追加した巻線による部分出力でB系を駆動する。巻線を追加してあるので、2つの直列多重電力変換器30、130の間の相互干渉が少なくなる。
なお、図18において、多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129、121n、124n、127nにおいては前記した第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を同数個で使用する。これは前記したように多重変圧器2の一次側において、高調波の発生を抑えるためである。
【0060】
(その他の実施形態)
多重変圧器の電力容量は複数台の直列多重電力変換器の電力容量の合計値を目安として設定することが一般的である。しかし、前記複数台の直列多重電力変換器に駆動される複数の電動機などの負荷の用途によっては、負荷の電力容量の単純な合計値よりも、少なくてもよい場合や、より多くの電力容量を必要とする場合がともにある。したがって、多重変圧器の電力容量は複数台の直列多重電力変換器の電力容量の合計値よりも小さい場合や、大きい場合にも本発明は適用される。
【0061】
以上において、直列多重電力変換器が駆動する負荷は電動機として説明したが、電動機とは限らず一般的な負荷でもよい。
【0062】
また、図14、図16、図18において常時系(A系)と予備系(B系)との直列多重電力変換器によって切り替えて駆動される電動機もしくは負荷は1台の場合で説明したが、複数台の電動機もしくは負荷であってもよく、また予備系の直列多重電力変換器の台数も1台とは限らず、複数の予備系列を備えてもよい。
【0063】
また、図16においては、B系の直列多重電力変換器の直流ユニットの段数のnは2以下の縮退の場合で説明したが、nは4以上であって、一次的に駆動能力を増加させる場合もある。
【0064】
また、図14、図16、図18において常時系(A系)と予備系(B系)に切り替える切替器7、8は別々の切替器として図示し、かつ説明したが、切替器7、8の機能が一体化した切替器でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
ベルトコンベアが多数配備される製造ラインにおいて、多数の電動機が必要であり、かつ駆動能力や回転速度が異なる。このような工場において、本発明によれば、1台の多重変圧器によって、複数台の直列多重電力変換器を稼動し、複数台の電動機が運転できるので、設備コストと設備占有面積、容積が軽減できる。したがって、この方法は前記した工場の環境において、標準的な手法として広く利用されていく可能性がある。
【符号の説明】
【0066】
1 3相交流電源
111、1111 一次側3相交流電源
121、122、123、124、125、126、127、128、129、121b、124b、127b、121n、124n、127n、128n、129n、1121、1122、1123、1124、1125、1126、1127、1128、1129 3相交流セル電源
1211、1212、1213、1241、1242、1243、1271、1272、1273 二次側巻線
1214、1215、1216、1244、1245、1246、1274、1275、1276 二次側出力端子
103、203、n03 直列多重電力変換器入力
104、204、n04 直列多重電力変換器出力
2、2b 多重変圧器
3 主遮断器
4、5 電動機、交流電動機(ACM)
6 3相配線群
7、8 切替器
30、130、n30 直列多重電力変換器
31、32、33、34、35、36、37、38、39、131、132、133、134、135、136、137、138、139、3n、3m、3m+1、3m+n、U11、U12、U13、U1n、U11〜1m、U11〜1n、U11〜1i、V11、V12、V13、V1n、V11〜1m、V11〜1n、V11〜1i、W11、W12、W13、W1n、W11〜1m、W11〜1n、W11〜1i、400 直流ユニット
40、140、n40 直流ユニット制御回路
4001 正極端子
4002 負極端子
401 ダイオード整流器
402 単相変換器
403 ヒューズ(遮断器)
404 平滑コンデンサ
411(u)、412(v)、413(w) 直流ユニット入力端子
4021(UP)、4022(UN)、4023(VP)、4024(VN) 半導体スイッチ(IGBT)
4111、4112、4121、4122、4131、4132 ダイオード
4025(a)、4026(b) 直流ユニット出力端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置を用いて、交流電動機を駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機を使用する際において、回転速度の制御が重要になる場合がある。交流電動機の回転速度制御に適した方法として、多重電力変換器、もしくは高圧に適した直列多重電力変換器を用いる方法がある。これにより任意の周波数の近似的な交流を発生し、電動機の回転速度を制御するものである。
従来技術としては、1台の直列多重電力変換器を用いて電動機を駆動する技術が、特許文献1に開示されている。
また、この方法を2台の多重変圧器と直列多重電力変換器とで用いる場合について示したのが図19である。図19においては多重変圧器2から3相交流を直列多重電力変換器30に供給し、直列多重電力変換器30によって任意の周波数の近似的な3相交流電力を生成し、電動機4を駆動している。また、多重変圧器2bから3相交流を直列多重電力変換器130に供給し、直列多重電力変換器130によって任意の周波数の近似的な3相交流電力を生成し、電動機5を駆動している。
この場合は2台の電動機を駆動するために、2台の多重変圧器と2台の直列多重電力変換器が必要となっている。多数の台数を用意すると、その台数分の多重変圧器と直列多重電力変換器が必要となり、設備に多大な費用がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−103766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多数の電動機を使用し、かつ電動機速度(回転速度)を個別に制御する場合において、これらに関連する設備全体の費用が膨大になり、かつこの設備の占有する面積と容積、そして制御する盤数が多大になる。また、これらの台数が増えるにしたがって、信頼性の確保も課題となる。
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは、多重変圧器に係る設備コストと設備占有面積と容積の低減、および信頼性の向上の図れる直列多重電力変換方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決して、本発明の目的を達成するために、以下のように構成した。
すなわち、複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた直列多重電力変換器と、による直列多重電力変換方法において、1台の前記多重変圧器の出力に複数台の前記直列多重電力変換器を接続した。
【0006】
かかる構成により、1台の前記多重変圧器で複数台の前記直列多重電力変換器が稼動する。
【0007】
また、複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた複数台の直列多重電力変換器と、負荷への供給電力源を切り替える切替器と、によって負荷を駆動する方法において、前記多重変圧器と、前記複数台の直列多重電力変換器とを接続し、複数台の中の1台の直列多重電力変換器を常時使用系、残りの台数の直列多重電力変換器を予備使用系として、複数台の直列多重電力変換器の出力を前記切替器にて常時使用と予備使用とに切り替えて、1台または複数台の負荷を駆動する。
【0008】
かかる構成により、1台の前記多重変圧器で複数台の前記直列多重電力変換器が予備として稼動する。
【0009】
また、複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた直列多重電力変換器と、による電力変換方法において、前記多重変圧器が、主巻線によって主出力となる第1群の複数個の3相交流セル電源と、独立並列巻線を設け部分出力となる第2群の複数個の3相交流セル電源と、を備えた。
【0010】
かかる構成により、前記多重変圧器から主出力と部分出力の3相交流が別々に出力する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多重変圧器に係る設備コストと設備占有面積と容積の低減、および信頼性の向上の図れる直列多重電力変換方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第1の概略の構成図である。
【図2】本発明の実施形態である多重変圧器に備えられる3相交流セル電源の構成を示す図である。
【図3】3相交流の波形例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態である直列多重電力変換器に備えられる直流ユニットの構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態である直列多重電力変換器に備えられる直流ユニットの機能動作を示す図である。
【図6】本発明の実施形態である直列多重電力変換器に備えられる直流ユニットの出力電圧動作波形例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態である直列多重電力変換器の出力電圧波形例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態である直列多重電力変換器の出力電圧波形例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第2の概略の構成図である。
【図10】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第3の概略の構成図である。
【図11】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第4の概略の構成図である。
【図12】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第5の概略の構成図である。
【図13】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す第6の概略の構成図である。
【図14】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と、切替器によって電力供給源が切り替えられる電動機との関連を示す第7の概略の構成図である。
【図15】図14に示した第7の概略の構成における直列多重電力変換器と電動機と切替器の動作の関連を示すタイムチャートである。
【図16】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と、切替器によって電力供給源が切り替えられる電動機との関連を示す第8の概略の構成図である。
【図17】図16に示した第8の概略の構成における直列多重電力変換器と電動機と切替器の動作の関連を示すタイムチャートである。
【図18】本発明の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と、電力供給源が切り替えられる電動機との関連を示す第9の概略の構成図である。
【図19】従来の実施形態である多重変圧器と直列多重電力変換器と負荷となる電動機との関連を示す概略の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施形態(その1))
図1は本発明の第1の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図1において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して、多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源が供給され、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129にそれぞれ3相交流が出力される。この3相交流出力は3相配線群6を経由して、直列多重電力変換器30、130にそれぞれ直列多重電力変換器入力103、203を経て入力する。
直列多重電力変換器30においては、入力した前記3相交流は整流されて、一度、直流に変換された後、周波数や電圧の異なる別の3相の交流として再発生され、直列多重電力変換器出力(Vacm)104から3相の交流電動機(ACM:AC Motor、以下、単に電動機と略すこともある。)4に電力を供給して、駆動する。
また、直列多重電力変換器130においても、入力した前記3相交流は整流されて、一度、直流に変換された後、周波数や電圧の異なる別の3相の交流として再発生され、直列多重電力変換器出力(Vacm)204から電動機5に電力を供給して、駆動する。
【0014】
ここで、図1の第1の実施形態の詳しい機能、動作の説明には、まず本発明の特徴であり、主構成要素である多重変圧器2、直列多重電力変換器30、また、直列多重電力変換器30において用いられる直流ユニット(31〜39)、ダイオード整流器(401(図4))、単相変換器(402(図4))についての理解が必要であるので、それらを先に説明し、その後、(第1の実施形態(その2))として、再度、全体を説明することにする。
【0015】
(多重変圧器)
図1における多重変圧器2は3相交流用の3相の一次側巻線と3相の複数本の二次側巻線を備えた変圧器である。なお、よく知られている3相交流の電圧波形を図3に示す。各相の電圧は正弦波形の交流であって、3相からなる各相(相1、相2、相3)が120度ずつ位相の異なる組み合わせによって構成されている。
【0016】
多重変圧器2は、一次側として、一次側3相交流電源111を、二次側として、9個の3相交流セル電源121〜129を備えている。一次側3相交流電源111により、1次側として、3相交流電力を受け、変圧器としての機能により、2次側で複数個の3相交流セル電源121〜129に電圧と電力が変換される。2次側で複数個の3相交流セル電源121〜129によってそれぞれの3相交流電圧と電力が出力される。3相交流セル電源121〜129は、Δを横にして丸で囲んで表した第1型のΔ結線の3相交流セル電源121〜123を3個と、Δを丸で囲んで表した第2型のΔ結線の3相交流セル電源124〜126を3個と、Yを丸で囲んで表した第3型のY結線の3相交流セル電源127〜129を3個と、を備えている。これらの第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源の概略の内部構造を図2に示す。
【0017】
図2において、第1型の3相交流セル電源121は図2(a)に示すように、二次巻線1211、1212、1213を備え、正三角形状に接続形成され、よく知られた、いわゆるΔ結線(デルタ結線)を構成している。二次巻線1211、1212、1213には位相が120度、異なる正弦波形の交流電圧が誘起されるので、出力端子1214(w)、1215(u)、1216(w)から3相交流電圧と電力が出力される。また、第1型の3相交流セル電源122、123(図1)も3相交流セル電源121と同じ構成である。
【0018】
第2型の3相交流セル電源124は図2(b)に示すように、二次巻線1241、1242、1243を備え、正三角形状に接続形成され、よく知られた、いわゆるΔ結線(デルタ結線)を構成している。二次巻線1241、1242、1243には位相が120度、異なる正弦波形の交流電圧が誘起されるので、出力端子1244、1245、1246から3相交流電圧と電力が出力される。また、第2型の3相交流セル電源125、126(図1)も3相交流セル電源124と同じ構成である。
【0019】
なお、第2型の3相交流セル電源124の各相の構成は、電圧が異なるが位相関係は一次側3相交流電源111の各相の関係と同じである。
また、第1型の3相交流セル電源121の二次巻線1211、1212、1213と第2型の3相交流セル電源124の二次巻線1241、1242、1243は同じ構造で形成し、第2型の3相交流セル電源124の出力端子1244(u)、1245(v)、1246(w)を第1型の3相交流セル電源121の出力端子1215(u)、1216(v)、1214(w)として取り出せば第1型の3相交流セル電源121の各相の関係が得られる。
【0020】
第3型の3相交流セル電源127は図2(c)に示すように、二次巻線1271、1272、1273を備え、Y字状に接続形成され、よく知られた、いわゆるY結線(スター結線)を構成している。二次巻線1271、1272、1273には位相が120度、異なる正弦波形の交流電圧が誘起されるので、出力端子1274、1275、1276から3相交流電圧と電力が出力される。ただし、3相交流セル電源127の出力端子1274と1275の間からは、二次巻線1271、1272の各相の電圧の差が出力される。これは第1型の3相交流セル電源121の出力端子1214と出力端子1215の間から二次巻線1211の相の電圧がそのまま出力されるのとは異なる。二次巻線1271、1272が二次巻線1211と同じ条件で構成されると、出力端子1274と出力端子1275の間からは、よく知られているようにベクトル演算した((3)1/2≒1.73)倍の電圧が出力されるので、同じ相間の出力電圧となるように二次巻線1271、1272、1273は二次巻線1211、1212、1213より、巻数を少なく調整した二次巻線で構成する。また、第3型の3相交流セル電源128、129(図1)も3相交流セル電源127と同じ構成である。
【0021】
なお、第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源121〜129は、以上のようにすべて同じではなく、異なる位相の出力をしているが、後記するように、直列多重電力変換器30のなかの直流ユニットで一度、すべて直流に変換されてしまう。したがって、前記した第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源121〜129の交流としての位相情報は消去されてしまい、直列多重電力変換器30側においては第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を用いる意味は事実上ない。
にもかかわらず、多重変圧器2の二次側に第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を用いるのは、多重変圧器2の一次側における高調波が、前記第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を同じ数だけ揃えたときに、相殺されて、少なくなることが知られているからである。
【0022】
(直列多重電力変換器(その1))
図1において、直列多重電力変換器30は9個の直流ユニット31〜39と各直流ユニットを制御する直流ユニット制御回路40からなっている。直流ユニット31(U11)、34(U12)、37(U13)を直列にしてU相を形成している。また、直流ユニット32(V11)、35(V12)、38(V13)を直列にしてV相を形成している。また、直流ユニット33(W11)、36(W12)、39(W13)を直列にしてW相を形成している。これらのU相、V相、W相は直流ユニット31(U11)、直流ユニット32(V11)、直流ユニット33(W11)のa側の直流ユニット出力端子4025(図4)で接続され、Y結線(スター結線)を構成している。
【0023】
また、U相、V相、W相のそれぞれの直流ユニット37(U13)、直流ユニット38(V13)、直流ユニット39(W13)の各b側の直流ユニット出力端子4026(図4)から直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力(Vacm)104として出力する。
なお、この3相出力は交流電動機(ACM)4に供給されている。
また、後記するように直流ユニット制御回路40は直流ユニット31〜39を制御している。直列多重電力変換器30がどのような機能を持ち、動作するかに直流ユニットの説明が必要であるので、先に直列多重電力変換器30の主構成要素である直流ユニット400(図4)について説明する。
【0024】
(直流ユニット)
図4に示したのが、直流ユニット400(31〜39(図1))の回路構成である。直流ユニット入力端子411(u)、412(v)、413(w)から2次側の3相交流セル電源(121〜129)のどれかひとつの3相交流を入力している。入力した3相交流はヒューズ(遮断器)403を経由してダイオード整流器401に入力する。ダイオード整流器401は、入力した3相交流を全波整流して、交流を直流(平均電圧がVdc)に変換する。ダイオード整流器401の出力は平滑コンデンサ(C)404を経て、単相変換器402に供給され、直流ユニット出力端子4025(a)、4026(b)間に+Vdc、0、−Vdcの直流電圧を直流ユニット制御回路40(図1)の制御状況に応じて出力する。
以下に、直流ユニット400の主構成要素であるダイオード整流器401と単相変換器402について詳しく述べる。
【0025】
(ダイオード整流器)
ダイオード整流器401はダイオード4111、4112、4121、4122、4131、4132から構成されている。ダイオード4111のカソードは正極端子4001に接続され、アノードはダイオード4112のカソードに接続されている。ダイオード4112のアノードは負極端子4002に接続されている。また、ダイオード4111のアノードとダイオード4112のカソードの接続点には、直流ユニット端子411(u)から3相交流の1相分が入力されている。ダイオード4111のアノードとダイオード4112のカソードの接続点に入力した正弦波の電圧が正であればダイオード4111を通り正極端子4001に到達する。また、負であればダイオード4112を通り負極端子4002に到達する。
以上から、直流ユニット端子411(u)から3相交流の1相分の入力はダイオード4111とダイオード4112によって全波整流され正極端子4001と負極端子4002に到達し、かつ平滑コンデンサ(C)404によって蓄積され、かつ平滑化される。
【0026】
ダイオード4121のカソードは正極端子4001に接続され、アノードはダイオード4122のカソードに接続されている。ダイオード4122のアノードは負極端子4002に接続されている。また、ダイオード4121のアノードとダイオード4122のカソードの接続点には、直流ユニット端子412(v)から3相交流の1相分が入力されている。ダイオード4121のアノードとダイオード4122のカソードの接続点に入力した正弦波の電圧が正であればダイオード4121を通り正極端子4001に到達する。また、負であればダイオード4122を通り負極端子4002に到達する。以上から、直流ユニット端子412(v)から3相交流の1相分の入力はダイオード4121とダイオード4122によって全波整流され正極端子4001と負極端子4002に到達し、かつ平滑コンデンサ(C)404によって蓄積され、かつ平滑化される。
【0027】
ダイオード4131のカソードは正極端子4001に接続され、アノードはダイオード4132のカソードに接続されている。ダイオード4132のアノードは負極端子4002に接続されている。また、ダイオード4131のアノードとダイオード4132のカソードの接続点には、直流ユニット端子413(w)から3相交流の1相分が入力されている。ダイオード4131のアノードとダイオード4132のカソードの接続点に入力した正弦波の電圧が正であればダイオード4131を通り正極端子4001に到達する。また、負であればダイオード4132を通り負極端子4002に到達する。以上から、直流ユニット端子413(w)から3相交流の1相分の入力はダイオード4131とダイオード4132によって全波整流され正極端子4001と負極端子4002に到達し、かつ平滑コンデンサ(C)404によって蓄積され、かつ平滑化される。
【0028】
ダイオード整流器401には直流ユニット端子411(u)、412(v)、413(w)から3相交流の位相の異なる各相が入力しているので、さらに平均化され、正極端子4001と負極端子4002の間に接続された平滑コンデンサ404には、より平滑化された直流電力(電圧Vdc)が蓄積される。
【0029】
(単相変換器)
図4において、単相変換器402は半導体スイッチとなる絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor 以下、IGBTと略すこともある。)4021〜4024で構成される。
IGBT(UP)4021はコレクタが正極端子4001に接続され、エミッタは直流ユニット出力端子(a)4025に接続されている。IGBT(UN)4022はエミッタが負極端子4002に接続され、コレクタは直流ユニット出力端子4025(a)に接続されている。IGBT(VP)4023はコレクタが正極端子4001に接続され、エミッタは直流ユニット出力端子4026(b)に接続されている。IGBT(VN)4024はエミッタが負極端子4002に接続され、コレクタは直流ユニット出力端子4026(b)に接続されている。また、IGBT4021〜4024の各ベースには直流ユニット制御回路40(図1)の制御信号がそれぞれ接続されている。
【0030】
このとき、IGBT(UP、UN、VP、VN)のオン(ON)、オフ(OFF)の制御を図5に示したように行うと、ユニット出力端子4025(a)、4026(b)間には+Vdc、0、−Vdcを意図的に発生させることができる。なお、IGBT(UP、UN、VP、VN)のオン(ON)、オフ(OFF)の制御は直流ユニット制御回路40(図1)が一括して行う。
なお、半導体スイッチは必ずしもIGBTで構成する必要はないが、IGBTが比較的に絶縁性と耐圧性に優れ、直流ユニット400(31〜39(図1))、あるいは直列多重電力変換器30(図1)として、高電圧を容易に得やすい。
【0031】
図6は直流ユニット400のユニット出力端子4025(a)、4026(b)間の出力を0と+Vdcとの間に発生させる場合におけるそれぞれの期間による出力電圧の相違を示す図である。
0と+Vdcの発生期間を等しくとった場合の出力電圧波形を示したのが図6(a)であり、0の発生期間よりも、+Vdcの発生期間を長くとった場合の出力電圧波形を示したのが図6(b)である。出力電圧の絶対値としては、ともに0と+Vdcしか出力していないが、出力電圧の平均値としては図6(b)の方が高くなる。
したがって、直流ユニット制御回路40(図1)による直流ユニット400(図4)の制御を単にオン(ON)、オフ(OFF)のみならず、オン(ON)、オフ(OFF)の期間を制御すれば出力電圧の平均値として電圧値を設定する場合には、更に選択の自由度が高まる。
【0032】
(直列多重電力変換器(その2))
図7は図1の直列多重電力変換器30において、直流ユニット31(U11)、34(U12)、37(U13)を直列に接続した状態で、直流ユニット34(U12)、37(U13)はともに+Vdcを発生させ、直流ユニット31(U11)を0と+Vdcの間で出力した場合におけるU相の電圧波形を示したものである。図7においてはU相の電圧波形を+2Vdcと+3Vdcとで発生させることができることを示している。また、0、+Vdc、+2Vdc、+3Vdc、およびこれらの負極性の電圧の階段状の波形(不図示)も発生できる。なお、これらの電圧を発生させる制御は直流ユニット制御回路40(図1)が行う。また、U相のみならずV相(V11、V12、V13)やW相(W11、W12、W13)でも同様に制御し、階段状の波形を発生させることができる。
【0033】
図8は直流ユニットの段数を3段より、更に増やした場合の直列多重電力変換器の出力電圧波形の一例を示すものである。前記したように、直流ユニットの出力は+Vdc、0、−Vdcを選択でき、直列多重電力変換器においては直流ユニット400の直列の段数を3段を超して構成でき、かつ直流ユニット400の出力の期間を直流ユニット制御回路で制御すれば図8(a)に示すような平均値としては曲線に近く、かつ最大値が高電圧の電圧波形を発生することができる。なお、図8(a)がU相やV相、W相の単相の出力電圧波形であり、図8(b)は例えばU相とV相との相間の線間電圧の一例を表したものである。相電圧のみならず線間電圧で考えると自由度が高くなるので、更に刻み幅が細かくなり、より正弦波に近似された電圧波形も形成できる。
【0034】
また、直流ユニット制御回路40(図1)で開閉の周波数を変えれば、これらの近似した三相交流の周波数は変わるので、周波数の可変な3相交流電源が多重変圧器と直列多重電力変換器の組み合わせにより近似的に実現する。
なお、幾ら直流ユニットの段数を増やしても電圧波形の段差は完全には解消されないが、負荷が電動機の場合には電動機を構成する巻線(コイル)のインダクタンスが大きく、電流は滑らかに変化するので電動機の回転は電圧波形の段差の影響をあまり受けない。
【0035】
また、図1において、直列多重電力変換器30における直流ユニット(31〜39)は多重変圧器の3相交流セル電源121〜129から別々に3相交流電力を受けている。これは同じ3相交流だからといって、単に配線を分けて、複数の直流ユニット制御回路に接続すると、直流ユニット制御回路を直列に接続して高い電圧を発生されることが必ずしもできなくなるからである。したがって、それぞれの直流ユニット(31〜39)にはそれぞれ別の3相交流セル電源121〜129を用いる必要がある。
【0036】
(第1の実施形態、(その2))
再び、図1に戻る。以上において、説明した多重変換器2と2台の直列多重電力変換器30、130を図1で用いている。これにより、1台で2台の直列多重電力変換器を駆動しているので、変圧器の設備費(コスト)と、これらの機器の設置場所の占有する面積や容積が減少する。また、これらを制御する盤の数も少なくできる。
【0037】
なお、図1において、直列多重電力変換器30は直列ユニットが直列3段の構成例を示したが、前記したように、段数は一般にn段で構成できる。図9に直列ユニットの直列段数をn段で構成した例を示す。
図9において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源を供給し、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜126、127n、128n、129nによる出力を直列多重電力変換器30に入力し、直列多重電力変換器30から電動機4に電力を供給し、駆動している。
以上の基本的な構成は図1と同じである。しかし、図9では直列多重電力変換器30の直流ユニット(U11〜U1n、V11〜V1n、W11〜W1n)の段数が異なっている。段数nを増やせば、より高電圧、もしくはより滑らかな3相交流波形に近い電圧が交流電動機4に供給できる。
【0038】
また、高出力、高容量の電動機の場合には、直列多重電力変換器30から供給する電圧が高い方が電動機4の設計は容易となる。
また、直列多重電力変換器30からの出力電圧が、同じ高い電圧を発生させる方法として、直流ユニットの1段当たりの電圧を高くする方法と、直流ユニットの1段当たりの電圧はそのままにして、直列の段数を増やす方法がある。直流ユニット400(図4)のなかの単相変換器402(図4)を構成する半導体スイッチのIGBT(4021〜4024(図4))に加わる電圧をIGBTの耐圧以下にする必要があるので、直流ユニットの1段当たりの電圧を高くする方法には限界がある。この場合には図9において、直流ユニット(U11〜U1n、V11〜V1n、W11〜W1n)のnの段数を増やすことで実現する。
なお、図9において、多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜126、127n、128n、129nにおいては、前記した第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を同数個で使用する。これは前記したように多重変圧器2の一次側において、高調波の発生を抑えるためである。
また、図9においては、直列多重電力変換器30の構造を拡大して示すために、直列多重電力変換器130を不図示としたが、多重変圧器2は2台の直列多重電力変換器30、130に電力を供給している。
【0039】
また、図9では直列多重電力変換器は相数が3相の構成例を示したが、相数も一般にm相で構成できる。
図10に直列段数をn段、相をm相とした構成例を示す。図10において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源を供給し、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜126、127n、128n、129nによる出力を直列多重電力変換器30に入力し、直列多重電力変換器30で周波数や電圧の異なる別の3相の交流を再発生して、電動機4に電力を供給し、駆動している。
【0040】
以上の基本的な構成は図9と同じである。しかし、図10では直列多重電力変換器30の直流ユニット(U11〜U1n、V11〜V1n、W11〜W1n、3m〜3m+n)の相数mが異なっている。相数を増やした場合は、電動機の極数を増やすことが必要であるが、それによって、より滑らかな回転をする電動機の動作が可能となる。
また、図10においては、直列多重電力変換器30の構造を拡大して示すために、直列多重電力変換器130を不図示としたが、多重変圧器2は2台の直列多重電力変換器30、130に電力を供給している。
【0041】
(第2の実施形態)
図11は本発明の第2の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図11において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して、多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源が供給され、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129にそれぞれ3相交流が出力される。この3相交流出力は3相配線群6を経由して、直列多重電力変換器30、130にそれぞれ直列多重電力変換器入力103、203を経て入力する。
直列多重電力変換器30においては、入力した前記3相交流は整流されて、一度、直流に変換された後、周波数や電圧の異なる別の3相の交流として再発生され、直列多重電力変換器出力104から3相の交流電動機4に電力を供給して、駆動する。
また、直列多重電力変換器130においても、入力した前記3相交流は整流されて、一度、直流に変換された後、周波数や電圧の異なる別の3相の交流として再発生され、直列多重電力変換器出力204から電動機5に電力を供給して、駆動する。
【0042】
以上の基本的な構成は図1と同じである。しかし、図11では第2の直列多重電力変換器130が直列の段数において、第1の直列多重電力変換器30と異なっている。このため、出力電圧が異なる2台の直列多重電力変換器30、130の電力を1台の多重変圧器2で同時に供給することができる。
【0043】
(第3の実施形態)
図12は本発明の第3の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図12において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源を供給し、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129による出力に直列多重電力変換器30、130、・・・、n30をそれぞれ直列多重電力変換器入力103、203、・・・、n03により接続している。直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力104には電動機4を接続し、直列多重電力変換器130の直列多重電力変換器出力204には電動機5を接続し、一般に直列多重電力変換器n30の直列多重電力変換器出力n04には電動機n+3を接続している。
この構成により、1台の多重変圧器2から、n台の直列多重電力変換器30、130、・・・、n30に電力を供給し、これらの直列多重電力変換器30、130、・・・、n30が電動機4、5、・・・、n+3をそれぞれ駆動している。
【0044】
以上において、1台の多重変圧器2にn台の直列多重電力変換器30、130、・・・、n30が接続され、かつ直列段数も異なる(m、i等)場合を示している。
なお、直列多重電力変換器をn台に拡張した以外、機能、動作などは図1に準じているので、詳細な説明は省略する。
また、3相配線群6は図12において、簡略化をして表示しているが、図1における3相配線群6と同じ意味の構成である。
【0045】
(第4の実施形態)
図13は本発明の第4の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図13において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源を供給し、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の主巻線によって発生する主出力の3相交流セル電源121〜129に直列多重電力変換器30を直列多重電力変換器入力103により接続し、直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力(Vacm)104には電動機4を接続している。
【0046】
また、多重変圧器2の二次側の独立巻線によって発生する部分出力の3相交流セル電源121b、124b、127bに直列多重電力変換器130を直列多重電力変換器入力203により接続し、直列多重電力変換器130の直列多重電力変換器出力204には電動機5を接続している。
一般に多重変圧器2の二次側の独立巻線によって発生する部分出力の3相交流セル電源121n、124n、127nに直列多重電力変換器n30を直列多重電力変換器入力n03により接続し、直列多重電力変換器n30の直列多重電力変換器出力n04には電動機n+3を接続している。
以上の構成により、1台の多重変圧器2から、主出力である3相交流セル電源121〜129による直列多重電力変換器30と電動機4を駆動する以外にも、部分出力である3相交流セル電源121b、124b、127bや3相交流セル電源121n、124n、127n等により、n−1台の直列多重電力変換器130、・・・、n30に電力を供給し、これらの直列多重電力変換器が2台以上の複数台の電動機5、・・・、n+3をそれぞれ駆動している。
【0047】
また、多重変圧器2に接続されたn台の直列多重電力変換器30、130、・・・、n30は直流ユニットの直列段数も異なる(3、m、i等)場合を示している。
なお、図13においては、多重変圧器に巻線を追加して、主出力(3相交流セル電源121〜129)以外に部分出力である3相交流セル電源121b、124b、127b、・・・、121n、124n、127nを設け、そこから得た複数の3相交流セル電源で直列多重電力変換器(130、・・・、n30)と電動機(5、・・・、n+3)を駆動している例を示している。このとき二次側巻線は増加するが、同等の機能、効果となり、かつ、変圧器の一次側配線工数と、多重変圧器の台数が低減できる。さらには設備の占有面積と容積、および制御する盤の低減も図れる。
なお、図13において、多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129、121b、124b、127b、121n、124n、127nにおいては前記した第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を同数個で使用する。これは前記したように多重変圧器2の一次側において、高調波の発生を抑えるためである。
また、直列多重電力変換器をn−1台の部分出力を設けた以外についての機能、動作は図1、図12に準じているので、詳細な説明は省略する。
【0048】
(第5の実施形態)
図14において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して、多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源が供給され、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129にそれぞれ3相交流が出力される。この3相交流出力は3相配線群6を経由して、直列多重電力変換器30、130にそれぞれ直列多重電力変換器入力103、203を経て入力する。直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力104には切替器7を経由して電動機4を接続して駆動する。また、直列多重電力変換器130の出力204には切替器8を経由して、電動機4を接続し、駆動している。
【0049】
以上により、1台の電動機4を多重変圧器2は共通であり、2台の直列多重電力変換器30、130と切替器7、8によって、切り替え駆動する待機二重系方式が構成できる。通常は切替器7がオン(ON)、切替器8がオフ(OFF)であって、A系の直列多重電力変換器30によって、電動機4を運転する。また、A系が故障した場合、切替器7をオフ(OFF)、切替器8をオン(ON)とすることにより、B系に切り替えて、B系の直列多重電力変換器130によって、電動機4を運転する。
なお、3相配線群6は図14において、簡略化をして表示しているが、図1における3相配線群6と同じ意味の構成である。
【0050】
図14を用いて説明した待機二重系方式を、図15のタイムチャートで更に説明する。
A系の直列多重電力変換器30が正常なときには切替器7を経由して電動機4には正常な電圧が印加されていて、電動機4はn0という電動機速度(回転速度)で動作している。ここで時刻t0という時点で何らかの原因、例えば直列多重電力変換器30内の直流ユニットの故障などで、直列多重電力変換器30が故障したと仮定する。A系故障信号(不図示)によりまず切替器7が「入」状態から「切」状態に変移する。そこである一定時間tsw経過後、切替器8が「切」状態から「入」状態に変移する。B系の直列多重電力変換器130はこの時点t1で同期検出動作を開始し、電動機速度(回転速度)n1に見合った同期点(直列多重電力変換器130の出力電圧、および周波数が電動機速度(回転速度)n1に同期)を時刻t2で検出する。時刻t2で直列多重電力変換器130は出力運転を開始し、電動機4の電動機速度(回転速度)は以前のA系の直列多重電力変換器30で運転していた状態の電動機速度(回転速度)n0に復帰する。
【0051】
以上の図14の待機二重系方式の特徴について説明する。この方式においては、1台の多重変圧器2と2台の直列多重電力変換器30、130と2台の切替器7、8を用いて待機二重系化を図れるので、1台分の多重変圧器のコスト低減と、配線工数の低減ができる。更に、一般に変圧器(多重変圧器)は鉄と絶縁体、銅線を主体として構成されているので、パワー半導体やIC類を搭載したプリント基板などの複合部品の組み合わせの直列多重電力変換器より高い信頼性を有する。これは多重変圧器を含む直列多重電力変換器システムとして、多重変圧器は一重のまま、直列多重電力変換器の多重化を図ることが信頼性向上につながる簡便かつ有用な方法であることを示している。
したがって、図14に示した本発明の実施形態では1台の多重変圧器2に2台の直列多重電力変換器30、130を接続し、前記2台の直列多重電力変換器30、130を切り替えて使用することによって、2台分の多重変圧器コストを必要とせずに、また、設備占有面積と容積が低減し、信頼性の低下もなく、待機二重系の直列多重電力変換方法を提供できる。
【0052】
(第6の実施形態)
図16は第6の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図16において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して、多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源が供給され、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129にそれぞれ3相交流が出力される。この3相交流出力は3相配線群6を経由して、直列多重電力変換器30、130にそれぞれ直列多重電力変換器入力103、203を経て入力する。直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力104には切替器7を経由して電動機4を接続して駆動する。また、直列多重電力変換器130の出力204には切替器8を経由して、電動機4を接続し、駆動している。
【0053】
以上により、1台の電動機4を多重変圧器2が共通である2台の直列多重電力変換器30、130と切替器7、8によって、切り替え駆動する待機二重系方式が構成できる。通常は切替器7がオン(ON)、切替器8がオフ(OFF)であって、A系の直列多重電力変換器30によって、電動機4を運転する。また、A系が故障した場合、切替器7をオフ(OFF)、切替器8をオン(ON)とすることにより、B系に切り替えて、B系の直列多重電力変換器130によって、電動機4を運転する。
【0054】
以上は図14に示した第5の実施形態とほぼ同じ構成である。異なるのはB系の直列多重電力変換器130における直列ユニット(U11〜1n、V11〜1n、W11〜1n)の各U相、V相、W相における段数である。このため直列の出力電圧が異なる。この直列ユニットの段数nが2以下の場合には、B系に切り替えた後は速度を下げて縮退運転となる。つまり、A系で通常運転操業から、A系が故障後にB系に切り替え、速度を下げて縮退運転をする場合である。このとき、B系の直列多重電力変換器容量は小さくできる。例えば、電動機4の負荷がポンプやファンの場合、電動機速度(回転速度)の3乗に消費電力が比例するので、待機系であるB系は、常用であるA系の50%の速度までしか運転しないものとすると、B系の直列多重電力変換器の容量は0.5(50%)の3乗、すなわち0.125である12.5%のB系の直列多重電力変換器容量ですむ。
【0055】
図16を用いて説明した縮退の待機二重系方式を、図17のタイムチャートで更に説明する。図17において、A系の直列多重電力変換器30が正常なときには切替器7を経由して電動機4には正常な電圧が印加されていて、電動機4はn0という電動機速度(回転速度)で動作している。ここで時刻t0という時点で何らかの原因、例えば直列多重電力変換器30内の直流ユニットの故障などで、直列多重電力変換器30が故障したと仮定する。A系故障信号(不図示)によりまず切替器7が「入」状態から「切」状態に変移する。そこである一定時間tsw経過後、切替器8が「切」状態から「入」状態に変移する。B系の直列多重電力変換器130はこの時点t1で同期検出動作を開始し、電動機速度(回転速度)n1に見合った同期点(直列多重電力変換器130の出力電圧、および周波数が電動機速度(回転速度)n1に同期)を時刻t2で検出する。時刻t2で直列多重電力変換器130は出力運転を開始し、電動機4の電動機速度(回転速度)は以前のA系の直列多重電力変換器30で運転していた状態の電動機速度(回転速度)n0から速度n2に降下し、縮退運転となる。
【0056】
(第7の実施形態)
図18は第7の実施形態を示す機能ブロックの構成図である。図18において、3相交流電源1から主遮断器3を経由して多重変圧器2の一次側3相交流電源111に3相交流電源を供給し、電圧と位相を変換した多重変圧器2の二次側の主巻線によって発生する主出力の3相交流セル電源121〜129に直列多重電力変換器30を直列多重電力変換器入力103により接続し、直列多重電力変換器30の直列多重電力変換器出力104には切替器7を経由して電動機4を接続し、駆動している。
【0057】
また、多重変圧器2の二次側の独立巻線によって発生する部分出力の3相交流セル電源121n、124n、127nに直列多重電力変換器130を直列多重電力変換器入力203により接続し、直列多重電力変換器130の直列多重電力変換器出力204には切替器8を経由して電動機4を接続して駆動する。
【0058】
以上により、1台の電動機4を多重変圧器2は共通である2台の直列多重電力変換器30、130と切替器7、8によって、切り替え駆動する待機二重系方式を構成している。通常は切替器7がオン(ON)、切替器8がオフ(OFF)であって、A系の直列多重電力変換器30によって、電動機4を運転する。また、A系が故障した場合、切替器7をオフ(OFF)、切替器8をオン(ON)とすることにより、B系に切り替えて、B系の直列多重電力変換器130によって、電動機4を運転する。
【0059】
以上は図16に示した第6の実施形態とほぼ同じ構成である。異なるのは前記したように、B系の直列多重電力変換器130が多重変圧器2の二次側の部分出力である3相交流セル電源121n、124n、127nから電力を受けていることである。多重変圧器2の部分出力を取り出すために1台の多重変圧器に巻線を追加したものであり、主出力でA系を駆動し、追加した巻線による部分出力でB系を駆動する。巻線を追加してあるので、2つの直列多重電力変換器30、130の間の相互干渉が少なくなる。
なお、図18において、多重変圧器2の二次側の3相交流セル電源121〜129、121n、124n、127nにおいては前記した第1型、第2型、第3型の3相交流セル電源を同数個で使用する。これは前記したように多重変圧器2の一次側において、高調波の発生を抑えるためである。
【0060】
(その他の実施形態)
多重変圧器の電力容量は複数台の直列多重電力変換器の電力容量の合計値を目安として設定することが一般的である。しかし、前記複数台の直列多重電力変換器に駆動される複数の電動機などの負荷の用途によっては、負荷の電力容量の単純な合計値よりも、少なくてもよい場合や、より多くの電力容量を必要とする場合がともにある。したがって、多重変圧器の電力容量は複数台の直列多重電力変換器の電力容量の合計値よりも小さい場合や、大きい場合にも本発明は適用される。
【0061】
以上において、直列多重電力変換器が駆動する負荷は電動機として説明したが、電動機とは限らず一般的な負荷でもよい。
【0062】
また、図14、図16、図18において常時系(A系)と予備系(B系)との直列多重電力変換器によって切り替えて駆動される電動機もしくは負荷は1台の場合で説明したが、複数台の電動機もしくは負荷であってもよく、また予備系の直列多重電力変換器の台数も1台とは限らず、複数の予備系列を備えてもよい。
【0063】
また、図16においては、B系の直列多重電力変換器の直流ユニットの段数のnは2以下の縮退の場合で説明したが、nは4以上であって、一次的に駆動能力を増加させる場合もある。
【0064】
また、図14、図16、図18において常時系(A系)と予備系(B系)に切り替える切替器7、8は別々の切替器として図示し、かつ説明したが、切替器7、8の機能が一体化した切替器でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
ベルトコンベアが多数配備される製造ラインにおいて、多数の電動機が必要であり、かつ駆動能力や回転速度が異なる。このような工場において、本発明によれば、1台の多重変圧器によって、複数台の直列多重電力変換器を稼動し、複数台の電動機が運転できるので、設備コストと設備占有面積、容積が軽減できる。したがって、この方法は前記した工場の環境において、標準的な手法として広く利用されていく可能性がある。
【符号の説明】
【0066】
1 3相交流電源
111、1111 一次側3相交流電源
121、122、123、124、125、126、127、128、129、121b、124b、127b、121n、124n、127n、128n、129n、1121、1122、1123、1124、1125、1126、1127、1128、1129 3相交流セル電源
1211、1212、1213、1241、1242、1243、1271、1272、1273 二次側巻線
1214、1215、1216、1244、1245、1246、1274、1275、1276 二次側出力端子
103、203、n03 直列多重電力変換器入力
104、204、n04 直列多重電力変換器出力
2、2b 多重変圧器
3 主遮断器
4、5 電動機、交流電動機(ACM)
6 3相配線群
7、8 切替器
30、130、n30 直列多重電力変換器
31、32、33、34、35、36、37、38、39、131、132、133、134、135、136、137、138、139、3n、3m、3m+1、3m+n、U11、U12、U13、U1n、U11〜1m、U11〜1n、U11〜1i、V11、V12、V13、V1n、V11〜1m、V11〜1n、V11〜1i、W11、W12、W13、W1n、W11〜1m、W11〜1n、W11〜1i、400 直流ユニット
40、140、n40 直流ユニット制御回路
4001 正極端子
4002 負極端子
401 ダイオード整流器
402 単相変換器
403 ヒューズ(遮断器)
404 平滑コンデンサ
411(u)、412(v)、413(w) 直流ユニット入力端子
4021(UP)、4022(UN)、4023(VP)、4024(VN) 半導体スイッチ(IGBT)
4111、4112、4121、4122、4131、4132 ダイオード
4025(a)、4026(b) 直流ユニット出力端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた直列多重電力変換器と、による直列多重電力変換方法において、
1台の前記多重変圧器の出力に複数台の前記直列多重電力変換器を接続したことを特徴とする直列多重電力変換方法。
【請求項2】
複数台の前記直列多重電力変換器の相互間において、前記直流ユニットの直列接続された段数が異なるものがあることを特徴とする請求項1に記載の直列多重電力変換方法。
【請求項3】
前記直列多重電力変換器において、前記複数個の直列接続された直流ユニットからなる出力線が3相からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直列多重電力変換方法。
【請求項4】
前記直列多重電力変換器において、前記複数個の直列接続された直流ユニットからなる出力線が4相以上からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直列多重電力変換方法。
【請求項5】
主巻線によって主出力となる第1群の複数個の3相交流セル電源と独立並列巻線によって部分出力となる第2群の複数個の3相交流セル電源とを備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた直列多重電力変換器と、による直列多重電力変換方法において、
1台の前記多重変圧器の前記主出力に1台の前記直列多重電力変換器を接続し、前記部分出力に他の直列多重電力変換器を接続したことを特徴とする直列多重電力変換方法。
【請求項6】
複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた複数台の直列多重電力変換器と、負荷への供給電力源を切り替える切替器と、によって負荷を駆動する方法において、
前記多重変圧器と、前記複数台の直列多重電力変換器とを接続し、複数台の中の1台の直列多重電力変換器を常時使用系、残りの台数の直列多重電力変換器を予備使用系として、複数台の直列多重電力変換器の出力を前記切替器にて常時使用と予備使用とに切り替えて、1台または複数台の負荷を駆動することを特徴とする直列多重電力駆動方法。
【請求項7】
主巻線によって主出力となる第1群の複数個の3相交流セル電源と独立並列巻線を設け部分出力となる第2群の複数個の3相交流セル電源とを備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた複数台の直列多重電力変換器と、負荷への供給電力源を切り替える切替器と、によって負荷を駆動する方法において、
1台の前記多重変圧器の前記主出力に1台の前記直列多重電力変換器を接続し、前記部分出力に他の直列多重電力変換器を接続し、前記主出力に接続された1台の前記直列多重電力変換器を常時使用系、前記部分出力に接続された他の前記直列多重電力変換器を予備使用系として、複数台の直列多重電力変換器の出力を前記切替器によって常時使用と予備使用とに切り替えて、1台または複数台の負荷を駆動することを特徴とする直列多重電力駆動方法。
【請求項8】
複数個の直列接続された直流ユニットを備えた直列多重電力変換器に接続される多重変圧器であって、
主巻線によって主出力となる第1群の複数個の3相交流セル電源と、
独立並列巻線を設け部分出力となる第2群の複数個の3相交流セル電源と、
を備えたことを特徴とする多重変圧器。
【請求項1】
複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた直列多重電力変換器と、による直列多重電力変換方法において、
1台の前記多重変圧器の出力に複数台の前記直列多重電力変換器を接続したことを特徴とする直列多重電力変換方法。
【請求項2】
複数台の前記直列多重電力変換器の相互間において、前記直流ユニットの直列接続された段数が異なるものがあることを特徴とする請求項1に記載の直列多重電力変換方法。
【請求項3】
前記直列多重電力変換器において、前記複数個の直列接続された直流ユニットからなる出力線が3相からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直列多重電力変換方法。
【請求項4】
前記直列多重電力変換器において、前記複数個の直列接続された直流ユニットからなる出力線が4相以上からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直列多重電力変換方法。
【請求項5】
主巻線によって主出力となる第1群の複数個の3相交流セル電源と独立並列巻線によって部分出力となる第2群の複数個の3相交流セル電源とを備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた直列多重電力変換器と、による直列多重電力変換方法において、
1台の前記多重変圧器の前記主出力に1台の前記直列多重電力変換器を接続し、前記部分出力に他の直列多重電力変換器を接続したことを特徴とする直列多重電力変換方法。
【請求項6】
複数個の3相交流セル電源を備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた複数台の直列多重電力変換器と、負荷への供給電力源を切り替える切替器と、によって負荷を駆動する方法において、
前記多重変圧器と、前記複数台の直列多重電力変換器とを接続し、複数台の中の1台の直列多重電力変換器を常時使用系、残りの台数の直列多重電力変換器を予備使用系として、複数台の直列多重電力変換器の出力を前記切替器にて常時使用と予備使用とに切り替えて、1台または複数台の負荷を駆動することを特徴とする直列多重電力駆動方法。
【請求項7】
主巻線によって主出力となる第1群の複数個の3相交流セル電源と独立並列巻線を設け部分出力となる第2群の複数個の3相交流セル電源とを備えた多重変圧器と、複数個の直列接続された直流ユニットを備えた複数台の直列多重電力変換器と、負荷への供給電力源を切り替える切替器と、によって負荷を駆動する方法において、
1台の前記多重変圧器の前記主出力に1台の前記直列多重電力変換器を接続し、前記部分出力に他の直列多重電力変換器を接続し、前記主出力に接続された1台の前記直列多重電力変換器を常時使用系、前記部分出力に接続された他の前記直列多重電力変換器を予備使用系として、複数台の直列多重電力変換器の出力を前記切替器によって常時使用と予備使用とに切り替えて、1台または複数台の負荷を駆動することを特徴とする直列多重電力駆動方法。
【請求項8】
複数個の直列接続された直流ユニットを備えた直列多重電力変換器に接続される多重変圧器であって、
主巻線によって主出力となる第1群の複数個の3相交流セル電源と、
独立並列巻線を設け部分出力となる第2群の複数個の3相交流セル電源と、
を備えたことを特徴とする多重変圧器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−130567(P2011−130567A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286016(P2009−286016)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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