説明

直接性が改善された口腔ケア用組成物

【課題】初期の施用の後、更なる施用も更なる診療行為も必要とせずに、長期間にわたって口腔ケア効果剤を消費者に送出するための改善された組成物と方法とを提供する。
【解決手段】本発明は、口腔の組織および硬質表面に、かつ、該組織および該硬質表面のために、改善された直接性を提供する口腔ケア用組成物に関する。直接性が改善された口腔ケア用組成物は、有効量の口腔ケア活性成分と、亜麻仁由来多糖ベース化合物、タマリンド種子由来多糖ベース化合物、および、それらの混合物から成る群から選択された、有効量の直接性増強剤とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本発明は、口腔の組織および硬質表面に対して、かつ、該組織および該硬質表面とのために、改善された直接性(substantivity)を提供する口腔ケア用組成物(oral care compositions)に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
口腔衛生を維持する利点は、よく理解されている。消費者は、例えば、歯みがきすること、および、口腔洗浄剤を使用すること、などの、日々の口腔処置の利点を理解している。これらの利点には、虫歯、歯垢および歯肉炎を減少させること;過敏症を処置すること;吐く息をきれいにすること;歯牙を白色化して汚れを除去すること;歯牙に無機成分を補給すること;等が含まれる。消費者の増大しつつある要望は、絶対必要という訳ではないが、彼らの歯牙を一生涯保持する必要性である。消費者は、健康な口腔組織および「さわやかな息(fresh breath)」を、健康な身体および生活様式(lifestyle)と関連付けている。良好な口腔衛生を短期間の間維持するのを助けるために、様々な口腔ケア製品が開発されてきた。これらの製品は、該製品が一般に、消費者の日課の一部の間に消費者自身によって施されるように意図されているような方法で、および/または、投与処置の過程で口腔衛生専門家によって投与されるような方法で、様々な口腔ケア効果剤を口腔の軟質組織および硬質組織に運搬する。
【0003】
西欧諸国で最も頻繁に使用されている口腔ケア処置剤は、消費者自身によって、日課の一部として、一日に1、2回投与される口腔ケア処置剤である。そのような処置剤の例には、例えば、抗菌性歯垢予防活性成分および/または虫歯予防活性成分を含有する歯磨剤、ならびに、抗菌活性成分および/または息さわやか化活性成分(breath freshening actives)を含有する口腔洗浄剤、が包含される。我々の社会における継続的必要性は、継続的に24時間の間、口腔ケアを維持することのできる口腔ケア製品に関連する。上述の諸処置剤の幾種類かは、初期処置の後、長時間の治療の有用性または長期にわたる治療の有用性を求めているが、かなり長い期間続く治療処置、予防処置および/または化粧的処置(cosmetic treatment)の有用性を提供するという点において、それらの処置剤は典型的には、消費者の要求を満たしていない。結果として、活性成分の徐放性(sustained active release)を達成する唯一の方法は、口腔ケア製品を周期的に再使用するか、または、歯科用トレイ(dental tray)等の特殊な送出機構(delivery mechanisms)を使用することであった。更に、例えば、ブラシ研磨、洗浄およびフロッシング(flossing)といった、長時間にわたる日々の経口療法(oral regimens)が一般的に受け入れられ、使用されているにもかかわらず、満足できない朝のマウスフィーリング(mouth feel)および悪臭は、依然として消費者の関心事である。
【0004】
初期の施用の後、更なる施用、あるいは更なる診療行為を必要とすることなく、長期間にわたって口腔ケア効果剤(oral care benefit agents)を消費者に送出するための、改善された組成物および方法の必要性が存在する。
【0005】
加えて、長期間にわたって、口腔内で心地良く、かつ、口腔内に受け入れることのできるマウスフィーリングを有する口腔ケア製品の必要性が存在する。受け入れることのできるマウスフィーリングは、消費者が恒常的に使用するのを促すので、好都合である。長期間にわたるマウスフィーリングは、直接性(substantivity)、粘着性(adherence)、および粘性の間の均衡作用(balancing act)として認識されている。望ましい製品は、口腔に施用されるのを可能にし、口腔組織に付着し、かつ、含有されている口腔ケア効果剤を長期間にわたって放出するのに十分な直接性と粘性と必要とする。しかし、その粘性は、施用時に口腔組織の全面に渡ってあまり広がらなかった、新たに施用された製品の球状部分を、消費者が感じ取ることができるほどには高くないことが望ましい。口腔に容易に施用することができ、口腔組織の全面にわたって薄層を形成することができ、かつ、歯周ポケットおよび裂け傷(fissures)の中に均一に拡散することができる組成物を有することが望ましい。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、直接性(substantivity)が改善された口腔ケア用組成物であって、
a.)有効量の口腔ケア活性成分と、
b.)亜麻仁由来多糖ベース化合物、タマリンド種子由来多糖ベース化合物、および、それらの混合物から成る群から選択された、有効量の直接性増強剤(substantivity enhancing agent)と、
を含有する、口腔ケア用組成物に関する。
【0007】
本発明は、そのような組成物を使用する方法にも関する。
【0008】
〔発明の詳細な記述〕
本願明細書で用いられる用語「〜を含む(comprising)」は、組成物が、該組成物と相溶性である(compatible)他の成分であって、好ましくは本発明の組成物を実質的に崩壊させない他の成分を含有することができることを意味する。その用語は、用語「〜から成る(consisting of)」および「〜から実質的に成る(consisting essentially of)」を包含する。
【0009】
特別の指摘がない限り、本願明細書で用いられる%および比は、全組成物の重量による。重量%は全て、特別の指摘がない限り、活性成分の重量ベースに基づく。特別の指摘がない限り、すべての測定は、25℃で行われるものとする。
【0010】
本願明細書で用いられる用語「口腔ケア活性成分(oral care active)」とは、予防的有用性、治療的有用性または化粧品としての有用性を口腔内部に直接的に有する、あるいは、口腔を介して吸収されるが該活性成分の主要な有用性を他の場所に有する、あらゆる組成物をいう。本願明細書で用いられる用語「処置(treatment)」とは、口腔に物質を施す過程のことを指し、その物質は、予防的有用性、治療的有用性または化粧品としての有用性が達成されるように、口腔ケア活性成分を含有していてもよく、または該活性成分を含有しなくてもよい。
【0011】
本願明細書で称される用語「口腔(oral cavity)」とは、唇から喉頭蓋までの空洞をいう。「硬質組織(hard tissues)」は、歯牙、歯根支持体等の組織を包含し、また、「軟質組織(soft tissues)」は、歯肉、舌、口腔の表面等の組織を包含する。本出願の範囲内で、口腔の硬質組織および軟質組織はまた、該口腔の中で使用される任意の装置(例えば、総義歯、部分義歯、歯列矯正装置および同類のもの)を包含するものと見なされるべきである。
【0012】
本願明細書で用いられる用語「直接性の(substantive)」または「直接性(substantivity)」は、一定の時間が経過した後、組成物および/または口腔ケア活性成分の十分な量が、消費者によって、視覚的にもしくは感触で知覚され得るように、該組成物および/または該口腔ケア活性成分の十分な量が、口腔の中に保持されるか、または口腔の中に滞留し得ることを意味するものと解釈する。
【0013】
本願明細書で称される用語「有効量(efficient amount)」とは、処置されている容態、症状もしくは疾患を少なくとも軽減するか、または取り除くのに十分であるが、あらゆる副作用を回避するのに十分低い、口腔ケア活性剤および/または直接性増強剤の量をいう。
【0014】
<直接性増強剤>
本発明の1つの成分は、直接性増強剤である。直接性増強剤の活性成分は、亜麻仁抽出物、タマリンド種子抽出物、およびそれらの混合物から成る群から選択されるか、あるいは、実質的に亜麻仁抽出物、タマリンド種子抽出物、およびそれらの混合物のみから成る群から選択される。
【0015】
<亜麻仁抽出物または亜麻仁由来多糖ベース化合物>
本発明の1つの実施形態において、直接性増強剤は、亜麻仁中に存在するタイプの抽出物および/または多糖類であって、該直接性増強剤を、直接性にしかつ/もしくは直接性が改善されるのを有用にするレオロジー特性および表面化学特性を有するタイプの抽出物ならびに/または多糖類と関連がある。本発明の幾つかの実施形態は、水溶性の亜麻仁由来多糖類を含有する。
【0016】
これらの多糖類は、亜麻仁から簡単な抽出法によって直接得ることができる。前記多糖類を得る1つの方法は、以下に更に詳細に記述されるが、結果的に、亜麻仁由来多糖類を水で直接溶解することである。しかし、当然ながら、本発明はそのような実施形態に限定されない。一致する組成または本質的に類似する組成を有するあらゆる多糖留分(polysaccharide fraction)であって、他のいずれの方法によっても、たとえ合成によってさえも、得ることのできる多糖留分は、本発明の目的のために有用である。したがって、代替的に、該多糖類またはそれらの大部分は、水と他の溶媒(例えば、エタノール)との組み合わせ物(例えば、水中に70%以下のエタノール)、または、水とは完全に異なる他の溶媒さえも、この組み合わせ物あるいは他の溶媒が水を用いた場合と本質的に同じ多糖類を溶解するという条件下で用いることにより、亜麻仁から抽出することができる。あらゆる過剰の溶媒を除去するためには、従来の方法を使用することができる。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態では、亜麻仁由来多糖類を、1〜30センチポアズ、または、任意的に2〜10センチポアズ[ブルックフィールド回転粘度計(Brookfield RVT),#5RVスピンドル,10rpm,25℃]の範囲内の粘度を有する水溶液の形態で含有する。
【0018】
本発明の口腔ケア組成物の中の亜麻仁由来多糖の濃度は、該口腔ケア組成物の約0.1重量%から約15重量%、または、任意的に約1重量%から約8重量%に及ぶことがある。亜麻仁由来多糖の溶液は、商品名「サリナム(Salinum)」(登録商標)でシンクレア・ファーマ社(Sinclair Pharma)から、または、商品名「センシリン(Sensiline)」(登録商標)でリタ社(Rita Corporation)から、入手することができる。
【0019】
本発明の幾つかの実施形態では、典型的にはヒト唾液中に存在する無機塩(例えば、塩化ナトリウムおよび重炭酸カリウム)を含有する、亜麻仁抽出物/亜麻仁由来多糖類の溶液を含有する。そのような塩の全濃度は、水1ml当り約3mg以下に及ぶ。
【0020】
亜麻仁抽出物/亜麻仁由来多糖類のレオロジー特性(rheological properties)に関する更なる情報は、K.ワーナーバーガー(Wannerberger)(1990年)による、「食品及び飼料のための非従来型源,飼料技術シリーズ(Unconventional Sources for Food and Feed, Feed Technology Series)」ルンド大学(the University of Lund),S−221 00 ルンド(Lund)、に見出だすことができる。亜麻仁抽出物に関する更なる解説は、アトストローム(Attstrom)等に付与された、米国特許第5,260,282号の明細書に見出だすことができる。この米国特許明細書は、参照によって、その内容全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0021】
<タマリンド種子抽出物またはタマリンド種子由来多糖ベース化合物>
本発明の1つの実施形態において、直接性増強剤は、タマリンド種子(タマリンドノキ(Tamarindus indica))中に存在し、かつ、該直接性増強剤を、直接性にする、および/または直接性が改善されるのを有用にする、レオロジー特性および表面化学特性を有するタイプの抽出物、および/または多糖類と関係がある。本発明の幾つかの実施形態は、水溶性のタマリンド種子由来多糖類を含有する。
【0022】
これらの多糖類は、サエットン(Saettone)等に付与された米国特許第6,056,950号の明細書に記述されている、抽出および精製の過程によってタマリンド種子から直接得ることができる。この米国特許明細書は、参照によって、その内容全体が本明細書に組み入れられるものとする。タマリンド種子抽出物は、ゴードン(Gordon)に付与された米国特許第3,399,189号の明細書に更に解説されている。この米国特許明細書は、参照によって、その内容全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0023】
本発明の口腔ケア組成物の中のタマリンド種子由来多糖の濃度は、該口腔ケア組成物の約0.1重量%から約15重量%、または、任意的に約1重量%から約8重量%に及ぶことがある。タマリンド種子由来多糖を含有する製剤は、大日本製薬株式会社の製品、商品名「グリロイド(GLYLOID)(登録商標)」で市販されている。
【0024】
<口腔ケア活性剤>
本発明の組成物は、少なくとも1種の口腔ケア活性剤を含有する。本発明の口腔ケア活性剤は、抗菌剤、減感剤(desensitizing agents)、歯牙白色化活性成分、防汚剤、歯石除去剤、歯垢除去剤、フッ化物イオン源、歯牙強化剤、栄養剤、酸化防止剤、H−2拮抗薬およびそれらの混合物を包含する群から選択されることができる。該口腔ケア活性剤は、キャリアの約0.01重量%〜約15重量%で含有されることがある。下記は、本発明で使用することのできる口腔ケア活性剤の非排他的リストである。
【0025】
1.歯牙白色化活性成分
歯牙白色化活性成分は、本発明の口腔ケア効果剤(oral care benefit agent)の中に含有させることができる。白色化に適した活性成分は、過酸化物、金属亜塩素酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸およびそれらの組合せを包含するが、それらに限定されない。適切な過酸化化合物は、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミドおよびそれらの混合物を包含する。適切な金属亜塩素酸塩は、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウムおよび亜塩素酸カリウムを包含するが、それらに限定されない。更なる白色化活性成分は、次亜塩素酸塩および二酸化塩素である場合がある。上記の歯牙白色化活性成分の混合物もまた、使用することができる。
【0026】
2.歯石除去剤
歯磨剤組成物中で使用されるものとして知られている歯石除去剤は、ピロホスフェート(pyrophosphates)、4以上の繰り返し単位を有する直鎖状ポリホスフェート、ポリホスホネート(polyphosphonates)、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。歯牙に送出されるピロリン酸塩イオンは、ピロリン酸塩から得られる。ピロリン酸塩は、「カークおよびオスマー(Kirk & Othmer)による、「化学技術百科辞典(Encyclopedia of Chemical Technology)」,第3版,第17巻,ウィリー・インターサイエンス(Wily-Interscience)出版社(1982年)」に、更に詳細に記述されている。ピロリン酸塩に代えて、または、ピロリン酸塩と組み合わせて使用することのできる薬剤は、例えば、ガファル(Gaffar)等に付与された米国特許第4,627,977号の明細書に記述されるような、多糖類、および、無水マレイン酸またはマレイン酸とメチルビニルエーテルとの共重合体を包含する合成アニオンポリマーのような既知材料だけでなく、例えば、ポリアミノプロポアンスルホン酸(polyamino propoane sulfonic acid)(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物(zinc citrate trihydrate)、直鎖状ポリホスフェート(例えば、トリポリポリホスフェート、ヘキサメタポリホスフェート)、ジホスホネート(diphosphonates)(例えば、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホネート、1−アザシクロヘプタン−1,1−ジホスホネート)、ポリペプチド(例えば、ポリアスパラギン酸、およびポリグルタミン酸)、ならびに、それらの混合物をも包含するが、それらに限定されない。その米国特許明細書は、参照によって本明細書に組み入れられる。歯石除去剤は更に、ポリカルボキシレート、ポリエポキシサクシネート、エチレンジアミン四酢酸、直鎖状アルキルジホスホネート、直鎖状カルボン酸、クエン酸亜鉛ナトリウム(sodium zinc citrate)、ニトリロ三酢酸および関連化合物、ならびに、それらの混合物を包含する。適切な歯石除去剤に関する更に詳細な解説は、マジェティ(Majeti)に付与された米国特許第6,682,722号の明細書に見出だすことができる。この米国特許明細書は、参照によって、その内容全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0027】
3.フッ化物イオン源
フッ化物イオン源は、口腔ケア組成物中で虫歯予防薬として使用されることは周知である。フッ化物イオンは、この目的のために、多数種の口腔ケア組成物に含有される。様々なフッ化物イオン生成物質を、本水性ゲルの中に可溶性フッ化物源として使用することができる。適切なフッ化物イオン生成物質は、フッ化ナトリウム、フッ化スズ、モノフルオロリン酸ナトリウムおよびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。幾つかの実施形態において、本組成物は、フッ化物イオン約50ppm〜10,000ppm、より好ましくは約100ppm〜3000ppmを提供する。
【0028】
4.抗菌剤
本発明の適切な口腔ケア有用薬剤(oral care benefit agents)は、抗菌剤も更に含有する。抗菌剤は、当業者には知られており、カチオン剤、非カチオン剤および金属イオン塩を包含するが、それらに限定されない。そのような薬剤は、一般にトリクロサン(triclosan)と称され、メルクインデックス(The Merck Index)第11版(1989年),第1529頁(エントリ番号9573)に記述されている、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール(5-chloro-2-(2,4-dichlorophenoxy)- phenol);フタル酸およびそれの塩、置換モノペルオキシフタル酸(substituted monoperthalic acid)、ならびにそれの塩およびエステル、任意的にモノペルオキシフタル酸マグネシウム(magnesium monoperoxyphthalate)、クロルヘキシジン(chlorhexidine)(メルクインデックス、番号2090)、アレキシジン(alexidine)(メルクインデックス、番号222);ヘキセチジン(hexetidine)(メルクインデックス、番号4624);サンギナリン(sanguinarine)(メルクインデックス、番号8320);塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)(メルクインデックス、番号1016);サリチルアニリド(salicylanilide)(メルクインデックス、番号8299);臭化ドミフェン(domiphen bromide)(メルクインデックス、番号3411);塩化セチルピリジニウム(cetylpyridinium chloride)(CPC)(メルクインデックス、番号2024);塩化テトラデシルピリジニウム(tetradecylpyridinium chloride)(TPC);塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム(N-tetradecyl-4-ethylpyridinium chloride)(TDEPC);オクテニジン(octenidine);デルモピノール(delmopinol)、オクタピノール(octapinol)、および他のピペリジノ誘導体;ナイシン(nicin)製剤;亜鉛/スズイオン剤;オウグメンチン(augmentin)、アモキシシリン(amoxicillin)、テトラサイクリン(tetracycline)、ドキシサイクリン(doxycycline)、ミノサイクリン(minocycline)およびメトロニダゾール(metronidazole)のような抗生物質;ならびに、上記物質の類似体および塩;チモール(thymol)、ゲラニオール(geraniol)、カルバクロール(carvacrol)、シトラール(citral)、ヒノキチオール(hinokitiol)、サリチル酸メチル、ユーカリプトール(eucalyptol)、メントール、カテコール(cathechol)(とりわけ、4−アリルカテコール)およびそれらの混合物を包含するエッセンシャルオイル;過酸化水素;ナノキトサン(nanochitosan)、亜塩素酸塩の金属塩、ならびに、上記物質のいずれか、および/または全ての混合物を包含するが、それらに限定されない。幾つかの実施形態において、抗菌剤は、塩化セチルピリジニウム、トリクロサン、およびそれらの混合物を包含する。幾つかの実施形態において、抗菌剤は、口腔ケア活性組成物の約0.05重量%〜約3重量%、任意的に約0.1重量%〜約1.5重量%で含有される。
【0029】
5.抗炎症薬
本発明の組成物には、抗炎症薬も存在することができる。そのような薬剤は、ケトロラク(ketorolac)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、ナプロキセン(naproxen)、インドメタシン(indomethacin)、アスピリン(aspirin)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ピロキシカム(piroxicam)およびメクロフェナム酸(meclofenamic acid)のような非ステロイド系抗炎症薬(即ち、NSAIDs)を包含するが、それらに限定されない。ケトロラク等の非ステロイド系抗炎症薬の使用方法は、キャバノー(Cavanaugh)に付与された米国特許第5,626,838号の明細書において特許請求されている。その米国特許明細書には、非ステロイド系抗炎症薬の有効量を口腔または中咽頭に局所性投与することによって、口腔または中咽頭の原発性および再発性の有棘細胞癌(squamous cell carcinoma)の予防ならびに処置を行う方法が開示されている。更に、コックス-2インヒビター(cox-2 inhibiters)[例えば、セレコクシブ(celecoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)、デラコキシブ(deracoxib)、エトリコキシブ(etoricoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、ABT−963(PCT特許出願WO00/24719号明細書に記述されている2−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブトキシ)−5−(4−メチルスルホニル)フェニル−3(2H)−ピリダジノン(pyridazinone))]、即ち、メロキシカム(meloxicam)、ならびに、上記物質のいずれかおよび/または全ての混合物も有用である。その特許出願明細書は、参照によって本明細書に組み入れられる。本発明の化合物はまた、コックス-2(COX-2)の選択インヒビター(例えば、パレコキシブ(parecoxib))のプロドラッグ(prodrug)との治療組み合わせ(therapeutic combination)で都合よく使用することもできる。
【0030】
6.栄養剤
栄養剤によって、口腔の容態を改善することができ、また、本発明の組成物の中に含有させることができる。栄養剤は、無機塩類、ビタミン類、栄養補給剤、およびそれらの混合物を包含する。
【0031】
本発明の組成物に含有させることができる無機塩類は、カルシウム、リン、亜鉛、マンガン、カリウムおよびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。これらの無機塩類は、「薬剤の事実と比較(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ薬剤情報サービス),ミズーリ州セントルイス、ウォルタース・クルーワー社(Wolters Kluer Company),複製品;第10頁〜17頁(1997年)」に開示されている。
【0032】
ビタミン類は、無機塩類と一緒に含有させることができるか、または、別々に使用することができる。ビタミン類は、ビタミンCおよびD;チアミン(thiamine);リボフラビン(riboflavin);パントテン酸カルシウム(calcium pantothenate);ナイアシン(niacin);葉酸(folic acid);ニコチンアミド;ピリドキシン(pyridoxine);シアノコバラミン(cyanocobalamin);p-アミノ安息香酸;バイオフラボノイド(bioflavonoids);およびそれらの混合物を包含する。そのようなビタミン類は、「薬剤の事実と比較(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ薬剤情報サービス),ミズーリ州セントルイス、ウォルタース・クルーワー社,複製品;第3頁〜10頁(1997年)」に開示されている。
【0033】
栄養補給剤は、「薬剤の事実と比較(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ薬剤情報サービス),ミズーリ州セントルイス、ウォルタース・クルーワー社,複製品;第54頁〜54e頁(1997年)」に開示されているような、アミノ酸、リポトロピクス(lipotropics)、魚油、タンパク製品、ブドウ糖ポリマー、トウモロコシ油、べニバナ油、中鎖脂肪(medium chain triglycerides)およびそれらの混合物を包含する。アミノ酸は、L−トリプトファン、L−リシン、メチオニン、トレオニン、レボカルニチン(Levocarnitine)即ちL−カルニチン、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。脂肪親和性物質は、コリン(choline)、イノシトール(inositol)、ベタイン(betaine)、リノール酸、リノレン酸およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。魚油は、多量のオメガ−3(N−3)ポリ不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid)、およびドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid)を含有する。
【0034】
7.酵素
本発明の組成物の中に、個々の相溶性酵素、または、幾種類かの相溶性酵素の組合せを含有させることができる。酵素は、生物系における諸化学反応の生物学的触媒である。酵素は、該酵素が作用する基質(substrates)と結合して、中間酵素−基質複合体(intermediate enzyme-substrate complex)を形成する。この複合体は、次いで、反応生成物、および遊離酵素(liberated enzyme)の特異的酵素機能を持続する該遊離酵素に転化される。
【0035】
酵素は、口腔内で使用されるとき、幾つかの利点を提供する。プロテアーゼ(proteases)は、唾液タンパク質であって、歯牙表面上に吸収され、次いで、ペリクル(pellicle)(歯垢の第1の層)を形成する唾液タンパク質を分解する。プロテアーゼはリパーゼ(lipases)と一緒に、細菌の細胞壁および細胞膜の構造成分(structural component)を形成するタンパク質と脂質とを溶解することによって、細菌を破壊する。デキストラナーゼ(dextranases)は、細菌付着のためのマトリックスを形成する、細菌によって産生された有機的骨格構造(organic skeletal structure)を分解する。プロテアーゼおよびアミラーゼ(amylases)は、歯垢の形成を防止するだけでなく、カルシウムと結合する炭水化物−タンパク質複合体(carbohydrate-protein complex)を分解し、鉱物化(mineralization)を防止することによって、結石(calculus)の成長を防止する。
【0036】
本発明で有用な酵素は、市販されている、プロテアーゼ、グルカノヒドラーゼ(glucanohydrolases)、エンドグリコシダーゼ(endoglycosidases)、アミラーゼ、ムタナーゼ(mutanases)、リパーゼおよびムチナーゼ(mucinases)、または、それらの相溶性混合物、のあらゆるものを包含するが、それらに限定されない。本発明の幾つかの実施形態は、プロテアーゼ、デキストラナーゼ、エンドグリコシダーゼおよびムタナーゼを含有する。他の実施形態は、パパイン(papain)、エンドグリコシダーゼ、または、デキストラナーゼとムタナーゼとの混合物、を含有する。
【0037】
8.酸化防止剤
酸化防止剤は概して、本発明の組成物において有用であると認識される。酸化防止剤は、「キャデナス(Cadenas)およびパッカー(Packer)による、「酸化防止剤ハンドブック(The Handbook of Antioxidants)」,およびその写し,マーセル・デッカー社(Marcel Dekker, Inc.)(1996年)」に開示されている。本発明の組成物に含有させることのできる酸化防止剤は、ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、カロチノイド(carotinoids)、ビタミンA、アベナンスラマイド(avenanthramide)、フラボノイドおよびポリフェノール、ハーバル・アンチオキシダント(herbal antioxidants)、メラトニン、アミノインドール(aminoindoles)、リポ酸およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0038】
9.麻酔薬
本発明の実施に使用するのに適した局所麻酔薬は、アミドおよびエステルを包含する。アミドの例は、リドカイン(lidocaine)、プリロカイン(prilocaine)、メピバカイン(mepivacaine)、ブピバカイン(bupivacaine)、ジブカイン(dibucaine)およびエチドカイン(etidicaine)である。エステルは、プロカイン(procaine)、テトラカイン(tetracaine)、プロポキシカイン(propoxycaine)、クロロプロカイン(chloroprocaine)、ベンゾカイン(benzocaine)、ブタンベンピクレート(butamben picrate)、コカイン(cocaine)、ヘキシルカイン(hexylcaine)、ピペロカイン(piperocaine)、オキシプロカイン(oxyprocaine)およびプロパラカイン(proparacaine)を包含する。本発明の実施に使用するのに適した他の局所麻酔薬は、シクロメチカイン(cyclomethycaine)、ジメチソキン(dimethisoquin)、ケトカイン(ketocaine)、ジペロドン(diperodon)、ジクロニン(dyclonine)、およびプラモキシン(pramoxine)を包含し、全ては典型的には、酸添加の塩酸塩または硫酸塩の形態で投与される。
【0039】
本発明に適した、麻酔薬の酸添加塩(acid-addition salts)は、毒性のない薬学的に容認可能な有機塩または無機塩であるあらゆるものを包含する。幾つかの実施形態において、それらの塩は、非サリチル酸塩(non-salicylate)である。典型的な無機塩は、ハロゲン化水素(とりわけ、塩酸塩)、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫化物およびヒ酸塩である。典型的な有機塩は、モノカルボン酸およびポリカルボン酸の塩(例えば、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、ケイ皮酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩およびフタル酸塩)である。本組成物に組み入れられる適切な麻酔薬の基礎形態(base form)、 および塩形態は好ましくは、複合的(combined)麻酔効果の最長持続時間を達成するために、異種の麻酔薬であることが望ましい。用語「異種の(different)」は、麻酔薬に関連して用いられるとき、いずれの組合せの塩形態も所与の組合せで使用される基礎形態の塩ではないことを意味する。
【0040】
上述の諸成分に加えて、本組成物は、次の段落に記述される更なる成分を含有することができる。
【0041】
<口腔用として許容される担体>
口腔用として許容されるキャリア(carrier:担体)は、固体もしくは液体の1種以上の相溶性充填希釈剤または被覆物質(encapsulated substance)であって、局所性経口投与に適しているものを含有する。本願明細書で用いられる「相溶性の(compatible)」は、組成物の諸成分が、該組成物の安定性および/または有効性を実質的に減少させるような相互作用を生じることなく、混合されることが可能であるということを意味する。
【0042】
本発明のキャリアまたは賦形剤は、以下に更に十分に記述されるように、(非研磨ゲルおよび歯肉縁下用途のゲルを包含する)歯磨剤、口腔洗浄剤、口腔スプレー、チューインガム、チュアブル錠(chewable tablets)、歯ごたえのある糖菓(chewy confectionaries)、食用フィルム、および/または生体接着性フィルム、ならびに、(ブレスミント(breath mints)を包含する)薬用キャンデー、の通常の従来の成分を含有することができる。
【0043】
使用すべきキャリアの選定は、基本的には、前記組成物を口腔の中に導入する方法によって決定される。(歯磨きゲル等を包含する)練り歯磨きを使用する場合、例えば、ベネディクト(Benedict)に付与された米国特許第3,988,433号の明細書に開示されるような「練り歯磨き用キャリア(toothpaste carrier)」(例えば、研磨剤、石鹸泡剤(sudsing agents)、結合剤、保湿剤、香味剤および甘味料、等)を選定する。この米国特許明細書は、参照によって、本明細書に組み入れられる。口腔洗浄剤を使用する場合、例えば、ベネディクトに付与された米国特許第3,988,433号の明細書に開示されるような「口腔洗浄剤用キャリア(mouth rinse carrier)」(例えば、水、香味剤および甘味料、等)を選定する。同様に、口腔スプレーを使用する場合、「口腔スプレー用キャリア(mouth spray carrier)」を選定し、または、薬用キャンデーを使用する場合、「薬用キャンデー用キャリア(lozenge carrier)」[例えば、キャンデーベース((例えばグラーベンステター(Grabenstetter)等に付与された米国特許第4,083,955号の明細書に開示されているキャンデーベース))]を選定する。この米国特許明細書は、参照によって、本明細書に組み入れられる。チューインガムを使用する場合、例えばグラーベンステター等ヘの米国特許第4,083,955号の明細書に開示されているような「チューインガム用キャリア(chewing gum carrier)」(例えば、ガムベース、香味剤および甘味料)を選定する。におい袋を使用する場合、「におい袋用キャリア(sachet carrier)」(例えば、におい袋用バッグ、香味剤および甘味料)を選定する。(歯周ポケット(periodontal pockets)の中に、または、歯周ポケットの周りに活性成分を送出するために)歯肉縁下用ゲルを使用する場合、例えばダマニ(Damani)に付与された米国特許第5,198,220号、および同第5,242,910号の明細書に開示されているような、「歯肉縁下用ゲル用キャリア(subgingival gel carrier)」を選定する。それらの米国特許明細書はいずれも、参照によって、本明細書に組み入れられる。本発明の組成物を調製するのに適した諸キャリアは、当該技術分野では周知である。それらの選定は、風味、コスト、貯蔵性、等の二次的考察によって決まるであろう。
【0044】
本発明の組成物は、歯肉縁下用ゲルを包含する、非研磨ゲルの形態である場合がある。それらのゲルは、水性または非水性である場合がある。水性ゲルは通常、増粘剤(約0.1%〜約20%)、保湿剤(約10%〜約55%)、香味剤(約0.04%〜約2%)、甘味料(約0.1%〜約3%)、着色剤(約0.01%〜約0.5%)、および残量の水分を含有する。それら組成物は、虫歯予防薬(フッ化物イオンとして、約0.05%〜約0.3%)、および抗結石剤(anticalculus agent)(約0.1%〜約13%)を含有することができる。
【0045】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物はまた、練り歯磨き、歯磨きゲルおよび歯磨き粉のような歯磨剤の形態であってもよい。そのような練り歯磨きおよび歯磨きゲルの成分には通常、歯科用研磨剤(約6%〜約50%)、界面活性剤(約0.5%〜約10%)、増粘剤(約0.1%〜約5%)、保湿剤(約10%〜約55%)、香味剤(約0.04%〜約2%)、甘味料(約0.1%〜約3%)、着色剤(約0.01%〜約0.5%)および水分(約2%〜約45%)の1種以上が含まれる。そのような練り歯磨きおよび歯磨きゲルは、虫歯予防薬(フッ化物イオンとして、約0.05%〜約0.3%)および抗結石剤(約0.1%〜約13%)の1種以上を更に含有することができる。歯磨き粉は、当然ながら、実質的に全ての非液体成分を含有する。
【0046】
他の実施形態では、口腔スプレーを包含するうがい薬の形態である。そのようなうがい薬および口腔スプレーの成分には典型的には、水分(約45%〜約95%)、エタノール(約0%〜約25%)、保湿剤(約0%〜約50%)、界面活性剤(約0.01%〜約7%)、香味剤(約0.04%〜約2%)、甘味料(約0.1%〜約3%)および着色剤(約0.001%〜約0.5%)の1種以上が含まれる。そのようなうがい薬および口腔スプレーは、虫歯予防薬(フッ化物イオンとして、約0.05%〜約0.3%)、および抗結石剤(約0.1%〜約3%)の1種以上を更に含有することができる。
【0047】
更に他の実施形態では、洗浄流体(irrigation fluids)を包含する歯科溶液(dental solutions)の形態である。そのような歯科溶液の成分には通常、水分(約90%〜約99%)、防腐剤(約0.01%〜約0.5%)、増粘剤(約0%〜約5%)、香味剤(約0.04%〜約2%)、甘味料(約0.1%〜約3%)、および界面活性剤(約0%〜約5%)の1種以上が含まれる。
【0048】
チューインガム組成物の実施形態は典型的には、ガムベース(約50%〜約99%)、香味剤(約0.4%〜約2%)、および甘味料(約0.01%〜約20%)の1種以上を含有する。
【0049】
本願明細書で用いられる用語「薬用キャンデー(lozenge)」には、ブレスミント(breath mints)、トローチ、パステル剤(pastilles)、マイクロカプセル、凍結乾燥形態(ケーキ、ウエハース(wafers)、薄膜、錠剤(tablets))を包含する急速溶解性固形(fast-dissolving solid forms)、および、圧縮錠剤を包含する急速溶解性固形が包含される。本願明細書で用いられる用語「急速溶解性固形」は、固形剤型が口腔に置かれた後、該固形剤型が、約60秒未満で、好ましくは約15秒未満で、更に好ましくは約5秒未満で溶解することを意味する。急速溶解性固形は、デービーズ(Davies)に付与された米国特許第4,642,903号、ブランク(Blank)等に付与された米国特許第4,946,684号、ブレダル(Bredal)に付与された米国特許第4,305,502号、グレゴリー(Gregory)等に付与された米国特許第4,371,516号、アイルズ(Iles)等に付与された米国特許第5,188,825号、ゴレ(Gole)等に付与された米国特許第5,215,756号、ペブリ(Pebly)等に付与された米国特許第5,298,261号、ボンセイ(Boncey)等に付与された米国特許第3,882,228号、ショベル(Schobel)に付与された米国特許第4,687,662号の明細書に開示されている。それらの米国特許明細書はそれぞれ、参照によって、本明細書に組み入れられる。
【0050】
薬用キャンデーは、風味付けされたベース(flavored base)の中に治療薬を含有する盤状固体を包含する。該ベースは、シュガーキャンディー、グリセリンゼラチン(glycerinated gelatin)、または、糖と該糖に形状を与えるのに十分な粘液(mulcilage)との組合せである場合がある。これらの投与形態は一般的に、「レミングトン(Remington)による「薬学の化学と実務(The Science and Practice of Pharmacy)」,第19版,第11巻,第92章(1995年)」に記述されている。薬用キャンデー組成物(圧縮錠剤タイプ)は典型的には、充填剤(圧縮可能な糖)、香味剤および潤滑剤の1種以上を含有する。本発明で意図されているマイクロカプセルは、ピーターソン(Peterson)等に付与された米国特許第5,370,864号の明細書に開示されている。
【0051】
食用フィルムまたは生体接着性フィルムの実施形態は、レオン(Leung)等への米国特許第6,596,298号、スー(Xu)等に付与された米国特許第6,419,903号およびジージャ(Dzija)等に付与された米国特許第6,656,493号の明細書に記述されているフィルムのようなフィルムの実施形態を包含するが、それらに限定されない。これらの米国特許明細書はそれぞれ、参照によって、その内容全体が本明細書に組み入れられる。
【0052】
本発明の組成物の中に含有させることのできる、キャリアまたは口腔用賦形剤の種類は、特定の非限定的例と一緒に、次の段落に解説される。
【0053】
<研磨剤>
本発明の組成物の局所性経口キャリアの中で有用な歯科用研磨剤は、多くの異なる物質を包含する。選択される物質は、関心ある組成物の内部で相溶性である物質であって、象牙質を過度に摩滅しない物質でなければならない。適切な研磨剤は、ゲルシリカおよび沈降シリカを包含するシリカ、不溶性ポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、炭酸カルシウム、オルトリン酸二カルシウム二水和物(dicalcium orthophosphate dihydrare)、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、ならびに、樹脂性研磨物質(例えば、尿素とホルムアルデヒドとの微粒子状縮合生成物)、を包含するが、それらに限定されない。本発明の組成物で使用されるもう1つのタイプの研磨剤は、クーリー(Cooley)およびグラーベンシュテター(Grabenstetter)に付与された米国特許第3,070,510号の明細書に記述されるような微粒子状の熱硬化性重合樹脂である。この米国特許明細書は、参照によって、本明細書に組み入れられる。適切な樹脂は、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン−尿素樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂、架橋エポキシド樹脂および架橋ポリエステル樹脂を包含する。様々なタイプの歯科用シリカ研磨剤は、歯のエナメル質および象牙質を過度に研磨することなく、優れた歯牙清掃・研磨性能というユニークな利点を有するため、それらシリカ研磨剤は好ましい。本明細書に記載のシリカ研磨物質は、他の研磨剤と同様、通常、約0.1〜約30μmの間、好ましくは約5〜約15μmの間の範囲の平均粒度を有する。該研磨剤は、沈降シリカまたはシリカゲル[例えば、ペイダー(Pader)等に付与された米国特許第3,538,230号およびジ・ジュリオ(DiGiulio)に付与された米国特許第3,862,307号の明細書に記述されるシリカキセロゲル(silica xerogels)]である場合がある。それらの米国特許明細書はそれぞれ、参照によって、本明細書に組み入れられる。幾つかの実施形態では、デヴィソン化学(Davison Chemical)の部門であるW.R.グレイス・アンド・カンパニー(Grace & Company)によって、商品名「サイロイド(Syloid)」で市販されている、シリカキセロゲルが組み入れられる。他の実施形態では、沈降シリカ物質[例えば、J.M.ヒューバー社(Huber Corporation)によって、商品名「ゼオデント(Zeodent)」(登録商標)で市販されているもの、とりわけ、名称「ゼオデント(登録商標)119」、「ゼオデント(登録商標)118」、「ゼオデント(登録商標)109」および「ゼオデント(登録商標)129」を有するシリカ]が組み入れられる。本発明の練り歯磨きで有用な歯科用シリカ研磨剤のタイプは更に、ワッソン(Wason)に付与された米国特許第4,340,583号、同一出願人による米国特許第5,603,920号、米国特許第5,589,160号、米国特許第5,658,553号、および、ライス(Rice)に付与された米国特許第5,651,958号の明細書に更に詳細に記述されている。それらの米国特許明細書はそれぞれ、参照によって、本明細書に組み入れられる。
【0054】
上記諸研磨剤の混合物[例えば、上記の様々な等級のゼオデント(登録商標)シリカ研磨剤の混合物]もまた、使用することができる。本発明の歯磨剤組成物の中の研磨剤の総量は任意的に、該組成物の約6重量%〜約70重量%の範囲である場合がある。練り歯磨きは任意的に、研磨剤を該組成物の約10重量%〜約50重量%含有する。本発明の、ある種の溶液、口腔スプレー、うがい薬および非研磨剤ゲル組成物の実施形態において、研磨剤は典型的には存在しない。
【0055】
<界面活性剤>
本組成物は、(通常、石鹸泡剤または洗浄剤とも称される)界面活性剤を更に含有することができる。適切な界面活性剤は、広範囲のpHにわたって適度に安定で泡状であるものである。該界面活性剤は、アニオン系、非イオン系、両性系、両性イオン系、カチオン系、または、それらの混合物である場合がある。
【0056】
本発明において有用なアニオン系界面活性剤は、アルキル基中に8〜20個の炭素原子を有するアルキル硫酸塩の水溶性塩(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)、および、8〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩を包含するが、それらに限定されない。ラウリル硫酸ナトリウムおよびココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウム(sodium coconut monoglyceride sulfonates)は、このタイプのアニオン系界面活性剤の例である。他の適切なアニオン系界面活性剤は、サルコシン酸塩(例えば、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム)、タウリン塩、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム(sodium laureth carboxylate)およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。複数種のアニオン系界面活性剤の混合物もまた、使用することができる。多数種の適切なアニオン系界面活性剤は、(Agricola)等に付与された米国特許第3,959,458号の明細書に開示されている。この米国特許明細書は、参照によって、本明細書に組み入れられる。本組成物は典型的には、アニオン系界面活性剤を約0.025%〜約9%、任意的に約0.05%〜約5%、または、任意的に約0.1%〜約1%の濃度で含有する。
【0057】
本発明の幾つかの実施形態は、サルコシネート系(sarcosinate)界面活性剤、イセチオネート系(isethionate)界面活性剤、タウレート系(taurate)界面活性剤、およびそれらの混合物から成る群から選択された界面活性剤を含有する。これらの界面活性剤のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩は、任意的に使用することができる。本発明の幾つかの実施形態は、ラウロイルサルコシネート(lauroyl sarcosinate)、ミリストイルサルコシネート(myristoyl sarcosinate)、パルミトイルサルコシネート(palmitoyl sarcosinate)、ステアロイルサルコシネート(stearoyl sarcosinate)およびオレオイルサルコシネート(oleoyl sarcosinate)のナトリウム塩ならびにカリウム塩を含有する。該界面活性剤は、本発明の組成物の中に、該組成物全体の約0.1%〜約2.5%、任意的に約0.3%〜約2.5%、または、任意的に約0.5%〜約2.0%で存在することができる。
【0058】
有用なカチオン系界面活性剤は概して、約8〜18個の炭素原子を有する1本のアルキル長鎖を有する脂肪族第四級アンモニウム化合物の誘導体[例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化(ジイソブチルフェノキシエチル)、塩化ジメチルベンジルアンモニウム、亜硝酸ココナッツアルキルトリメチルアンモニウム(coconut alkyltrimetylammonium nitrite)、フッ化セチルピリジニウム、等]として定義されている。適切な化合物は、1970年10月20日に、ブライナー(Briner)等に付与された米国特許第3,535,421号の明細書に記述されている、洗浄特性を有するフッ化第四級アンモニウムである。この米国特許明細書は、参照によって、本明細書に組み入れられる。幾種類かのカチオン系界面活性剤はまた、本願明細書に開示される組成物において殺菌剤として作用することができる。クロルヘキシジンのようなカチオン系界面活性剤は、本発明で使用するのに適しているが、幾つかの実施形態には含有されない。
【0059】
本発明の組成物に使用するのに適した非イオン系界面活性剤は概して、(自然界においては、親水性の)アルキレンオキシド基と、自然界においては、脂肪族またはアルキル芳香族である場合がある疎水性有機化合物との縮合によって生成された化合物として定義されている。適切な非イオン系界面活性剤の例は、プルロニック類(Pluronics)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドの、プロピレンオキシドとエチレンジアミンとの反応生成物との縮合によって得られた生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖の第三級アミンオキシド、長鎖の第三級ホスフィンオキシド、長鎖のジアルキルスルホキシド、および、そのような諸物質の混合物、を包含するが、それらに限定されない。
【0060】
本発明で有用な両性イオン性合成界面活性剤は概して、脂肪族第四級アンモニウム化合物、脂肪族第四級ホスホニウム化合物および脂肪族第四級スルホニウム化合物の誘導体であって、脂肪族基が、直鎖または枝分かれである場合があり、しかも、脂肪族置換基の1つが約8〜18個の炭素原子を有し、かつ、脂肪族置換基の1つが、アニオン性の水溶性基(カルボキシ基、スルホン酸塩基、硫酸塩基、リン酸塩基またはホスホン酸塩基)を含有する該誘導体として記述することができる。適切なベタイン(betaine)界面活性剤は、ポレフカ(Polefka)等に付与された米国特許第5,180,577号明細書に開示されている。この米国特許明細書は、参照によって、本明細書に組み入れられる。典型的なアルキルジメチルベタインは、デシルベタイン(decyl betaine)、即ち、2−(N−デシル−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン(coco betaine)、即ち、2−(N−ココ(coc)−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン(myristyl betaine)、パルミチルベタイン(palmityl betaine)、ラウリルベタイン(lauryl betaine)、セチルベタイン(cetyl betaine)、ステアリルベタイン(stearyl betaine)、等およびそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。アミドベタイン(amidobetaines)は、ココアミドエチルベタイン(cocoamidoethyl betaine)、ココアミドプロピルベタイン(cocoamidopropyl betaine)、ラウラミドプロピルベタイン(lauramidopropyl betaine)および同類のもの、ならびに、それらの混合物によって例示される。本発明の幾つかの実施形態には、ココアミドプロピルベタインまたはラウラミドプロピルベタイン、または、それらの混合物を含有する。
【0061】
<キレート化剤>
もう1つの任意的に有用な薬剤は、キレート化剤(例えば、酒石酸、薬学的に許容される酒石酸塩、クエン酸、アルカリ金属クエン酸塩、および、それらの混合物)である。
【0062】
幾つかの実施形態には、アルカリ金属クエン酸塩としてクエン酸ナトリウム、および/または、クエン酸カリウムが組み込まれている。クエン酸/アルカリ金属クエン酸塩の組合せも有用である。他の実施形態には、酒石酸のアルカリ金属塩が組み込まれている。本発明で使用するのに適切であるのは、酒石酸二ナトリウム、酒石酸二カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸水素カリウム、およびそれらの混合物である。本発明で使用するのに適切なキレート化剤の量は、約0.1%〜約2.5%、好ましくは約0.5%〜約2.5%、更に好ましくは約1.0%〜約2.5%である。酒石酸塩のキレート化剤は、単独で、または、他の任意的なキレート化剤と組み合わせて使用することができる。
【0063】
他の任意的なキレート化剤を使用することができる。これらのキレート化剤は、約10(1)〜10(5)のカルシウム結合定数(calcium binding constant)を有することができ、清浄化(cleaning)を改善して歯垢および結石の形成を減少させる。
【0064】
本発明で使用するのに適したキレート化剤の、更にもう1つの利用可能な群は、アニオン系高分子量ポリカルボキシレートである。そのような材料は、当該技術分野では周知であり、それらの遊離酸の形態、または、部分的にもしくは完全に中性化した水溶性のアルカリ金属塩(例えば、カリウム塩、および、好ましくはナトリウム塩)もしくはアンモニウム塩の形態で使用される。本発明で有用であるのは、無水マレイン酸またはマレイン酸と、もう1つの重合可能なエチレン性(ethylenically)不飽和モノマー[好ましくは、約30,000〜約1,000,000の分子量(M.W.)を有するメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)]との1:4〜4:1共重合体である。これらの共重合体は、例えば、GAFケミカルズ社(Chemicals Corporation)のガントレツ(Gantrez)AN139(分子量500,000)、AN119(分子量250,000)、および、好ましくはS−97医薬品等級(分子量70,000)として入手可能である。
【0065】
他の有効な高分子量ポリカルボキシレートは、無水マレイン酸と、アクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、N−ビニル−2−ピロリドン、または、エチレンとの1:1共重合体[後者は、例えば、モンサント(Monsanto)EMA第1103号,分子量10,000、および、EMA等級61として入手可能である]、および、アクリル酸と、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、イソブチルビニルエーテル、または、N−ビニル−2−ピロリドンとの1:1共重合体、のような高分子量ポリカルボキシレートを包含する。
【0066】
更なる有効な高分子量ポリカルボキシレートは、ガファル(Gaffar)に付与された米国特許第4,138,477号、および、ガファル等に付与された米国特許第4,183,914号の明細書に開示されており、無水マレイン酸と、スチレン、イソブチレンまたはエチルビニルエーテルとの共重合体、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸およびポリマレイン酸、ならびに、ユニロイヤル(Uniroyal)ND−2として入手可能な、1,000程も低い分子量のスルホアクリルオリゴマー(sulfoacrylic oligomers)、を包含する。それらの米国特許明細書はそれぞれ、参照によって、本明細書に組み入れられる。
【0067】
増粘剤
本発明の組成物の中には、必要に応じて、増粘剤を更に組み込むことができる。適切な増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン(carrageenan)、ヒドロキシエチルセルロース、(laponite)、ならびに、セルロースエーテルの水溶性塩(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム、および、それらの混合物)、を包含するが、それらに限定されない。天然ゴム[ガムカラヤ(gum karaya)、キサンタンガム、アラビアガム(gum Arabic)、トランガカントゴム(gum tragacanth)、および、それらの混合物]もまた使用することができる。増粘剤の一部として、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムまたは超微粒子状シリカを使用して、テクスチャー(texture)を更に改善することができる。
【0068】
有用な増粘剤またはゲル化剤は、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル、もしくは、スクロースのアルキルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー、または、カルボマー類(carbomers)の類を更に包含する。カルボマー類は、カルボポール(Carbopol)[R]シリーズとして、B.F.グッドリッチ社(Goodrich)から市販されている。幾つかの実施形態は、カルボポール934、940、941、956およびそれらの混合物を包含するカルボポール類を含有する。
【0069】
約1,000〜約120,000(数平均)の範囲の分子量を有する、ラクチドとグリコリドモノマーとの共重合体は、「歯肉縁下用ゲル・キャリア(subgingival gel carrier)」として、歯周ポケット(periodontal pockets)の中に、または、歯周ポケットの周辺に活性成分を送出するのに有用である。これらのポリマーは、ダマニ(Damani)に付与された米国特許第5,198,220号、ダマニに付与された米国特許第5,242,910号、マッテイ(Mattei)に付与された米国特許第4,443,430号の明細書に記述されている。これらの米国特許明細書はそれぞれ、参照によって、本明細書に組み入れられる。
【0070】
増粘剤は、全練り歯磨きまたは全ゲル組成物の約0.1重量%〜約15重量%、任意的に約2重量%〜約10重量%、または任意的に約4重量%〜約8重量%の量で使用することができる。チューインガム、(ブレスミントを包含する)薬用キャンデー、におい袋(sachets)、非研磨性ゲルおよび歯肉縁下用ゲルに対しては、より高い濃度で使用することができる。
【0071】
<保湿剤>
本発明の組成物の局所性経口キャリアのもう1つの任意的成分は、保湿剤である。保湿剤は、純粋な保湿剤ベースで、通常、本発明の組成物の約0重量%〜約70重量%、任意的に約5重量%〜約25重量%で含有される。本発明の組成物に使用するのに適した保湿剤は、食用多価アルコール(例えば、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらの混合物)を包含する。
【0072】
<香味剤および甘味剤>
前記組成物に、香味剤(Flavoring agents)を更に添加することができる。適切な香味剤は、ウインターグリーン油(oil of wintergreen)、ハッカ油(oil of peppermint)、スペアミント油(oil of spearmint)、クローブバットオイル(clove bud oil)、メントール、アネトール(anethole)、サリチル酸メチル、ユーカリプトール(eucalyptol)、カッシア(cassia)、1−メンチルアセテート、セージ(sage)、オイゲノール、オランダセリ油(parsley oil)、オキサノン(oxanone)、α−イリソン(alpha-irisone)、マジョラム(marjoram)、レモン、オレンジ、プロペニルグアエトール(propenyl guaethol)、シナモン(cinnamon)、バニリン(vanillin)、チモール(thymol)、リナロール(linalool)、CGAとして知られているケイ皮アルデヒド・グリセロール・アセタール(cinnamaldehyde glycerol acetal)、および、それらの混合物を包含する。香味剤は、前記組成物中で、通常、該組成物の約0.001重量%〜約5重量%の濃度で使用される。幾つかの実施形態では、混合物の抗菌性の観点から、メントールとサリチル酸メチルとユーカリプトールとチモールとのエッセンシャルオイル混合物(essential oil mixture)を含有する。これらのエッセンシャルオイルに関する更に詳細な解説は、ナイル(Nair)等に付与された米国特許第6,121,315号の明細書に見出すことができる。この米国特許明細書は、参照によって、その内容全体が本明細書に組み入れられる。
【0073】
使用することのできる甘味剤は、スクロース、スクラロース、グルコース、サッカリン(例えば、サッカリンナトリウム)、ブドウ糖、果糖、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、マルトース、キシリトール、サッカリン塩(saccharin salts)、タウマチン(thaumatin)、アスパルテーム (aspartame)、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン(dihydrochalcones)、アセサルフェーム(acesulfame)、およびシクラメート(cyclamate)の塩[例えば、シクラミン酸ナトリウム(sodium cyclamate)]、ならびに、それらの混合物を包含する。組成物は好ましくは、これらの薬剤を、該組成物の約0.1重量%〜約10重量%、任意的に約0.1重量%〜約1重量%含有する。
【0074】
本発明の組成物の中の任意原料として、香味剤および甘味剤の他に、冷却剤(coolant)、唾液分泌剤(salivating agents)、加温剤(warming agents)、および麻痺薬(numbing agents)を使用することができる。これらの薬剤は、前記組成物中に、該組成物の約0.001重量%〜約10重量%、任意的に約0.1重量%〜約1重量%の濃度で存在する。
【0075】
冷却剤は、様々な物質のいかなるものであってもよい。そのような物質には、カルボキシアミド、メントール、ケタール(ketals)、ジオール、およびそれらの混合物が包含される。適切な冷却剤は、パラメンタン・カルボキシアミド剤(paramenthan carboxyamide agents)[例えば、商業的には「WS−3」として知られている、N−エチル−p−メタン−3−カルボキシアミド(N-ethyl-p- menthan-3-carboxamide)、「WS−23」として知られている、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド(N,2,3-trimethyl-2- isopropylbutanamide)、および、それらの混合物を包含するが、それらに限定されない。更なる好ましい冷却剤は、メントール、タカサゴ社によって製造されたTK−10として知られている、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール(3-l-menthoxypropane-l,2- diol)、ハールマン・アンド・ライマー社(Haarmann and Reimer)によって製造されたMGAとして知られている、メントン・グリセロール・アセタール(menthone glycerol acetal)、および、ハールマン・アンド・ライマー社によって製造された、フレスコラット(Frescolat)(登録商標)として知られているメンチルラクテート(menthyl lactate)、から成る群から選択される。本願明細書で用いられる用語「メントール(menthol)」および「メンチル(menthyl)」は、これらの化合物およびそれらのラセミ混合物の右旋性異性体ならびに左旋性異性体を包含する。TK−10は、アマノ(Amano)等に付与された米国特許第4,459,425号の明細書に記述されている。WS−3および他の薬剤は、ワトソン(Watson)等に付与された米国特許第4,136,163号の明細書に記述されている。これらの米国特許明細書は、参照によって、本明細書に組み入れられる。
【0076】
本発明の唾液分泌剤は、タカサゴ社によって製造されたジャンブー(Jambu)(登録商標)を包含することができる。加温剤は、トウガラシ(capsicum)、およびニコチン酸エステル(nicotinate esters)(例えば、ベンジルニコチン酸(benzyl nicotinate)]を包含する。麻痺薬は、ベンゾカイン(benzocaine)、リドカイン(lidocaine)、クローブバットオイル(clove bud oil)およびエタノールを包含する。上記薬剤のいずれの混合物も使用することができる。
【0077】
<様々なキャリア>
商業的に適した経口組成物を調製するときに使用される水は、好ましくは、低イオン量であり、かつ、有機不純物を含有しない水であることが望ましい。水分は通常、本発明の水性組成物の約5重量%〜約70重量%、好ましくは約20重量%〜約50重量%を構成する。これらの量の水分は、他の物質と一緒に(例えば、ソルビトールと一緒に)導入されている水分に加えて添加されている遊離水を含む。
【0078】
本組成物のpHは、好ましくは、緩衝剤を使用することによって調整される。本願明細書で用いられる「緩衝剤」とは、前記組成物のpHを約4.0〜約10.0の範囲に調整するために使用することのできる薬剤をいう。緩衝剤は、安息香酸、安息香酸塩(例えば、安息香酸ナトリウム)、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム(sodium acid pyrophosphate)、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびそれらの混合物を包含する。緩衝剤は、本組成物の約0.5重量%〜約10重量%の濃度で投与することができる。
【0079】
〔実施例〕
次の諸実施例では、本発明の範囲内の好ましい実施形態が更に記述され、実証される。それら実施例は単に説明の目的のために与えられており、また、本発明は、それの範囲から逸脱することなく多くの変形が可能であることから、それら実施例は、本発明を限定するものではないと解釈されるべきである。
【0080】
<実施例1>
亜麻仁由来薬剤を含有するチューインガム
下記のものは、本発明のチューインガム組成物の例である。従来のチューインガム技術を用いて、各々の欄の諸原料を組み合わせて混合することによって、該組成物を形成する。
【0081】
【表1】

【0082】
<実施例2>
亜麻仁由来薬剤を含有するスプレー組成物
下記のものは、本発明のスプレー組成物の例である。従来のスプレー製剤技術を用いて、各々の欄の諸原料を組み合わせて混合することによって、該スプレー組成物を形成する。
【0083】
【表2】

【0084】
<実施例3>
タマリンド種子由来薬剤を含有するスプレー組成物
下記のものは、本発明のスプレー組成物の例である。従来のスプレー製剤技術を用いて、各々の欄の諸原料を組み合わせて混合することによって、該スプレー組成物を形成する。
【0085】
【表3】

【0086】
<実施例4>
タマリンド種子由来および亜麻仁由来の薬剤を含有するスプレー組成物
下記のものは、本発明のスプレー組成物の例である。従来のスプレー製剤技術を用いて、各々の欄の諸原料を組み合わせて混合することによって、該スプレー組成物を形成する。
【0087】
【表4】

【0088】
<実施例5>
亜麻仁由来薬剤を含有する口腔洗浄用組成物
下記のものは、本発明の口腔洗浄用組成物の例である。従来の混合およびスプレー製剤技術を用いて、各々の欄の諸原料を組み合わせて混合することによって、該口腔洗浄用組成物を形成する。
【0089】
【表5】

【0090】
<実施例6>
亜麻仁由来薬剤を含有する歯磨剤組成物
下記のものは、本発明の歯磨剤組成物の例である。従来の混合およびスプレー製剤技術を用いて、各々の欄の諸原料を組み合わせて混合することによって、該歯磨剤組成物を形成する。
【0091】
【表6】

【0092】
<実施例7>
中心部充填物中に亜麻仁抽出物およびメントールを含有する、抗菌性の中心部充填薬用キャンデー
上記の調製方法に従って、亜麻仁抽出物およびメントールを含有する芯を有する、抗菌性の中心部充填薬用キャンデーを調製する。該薬用キャンデーは、下に特定される配合を有した。
【0093】
【表7】

【0094】
・調製方法
・殻の調製
イソマルト(Isomalt)および水を、適切な容器に入れて混合し、約165℃に加熱しながらキャンディーベース(candy base)を形成する。次いで、適切な酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、等)を該容器に添加する。次いで、該キャンディーベースを約145℃に冷却する。適切な甘味料(例えば、アセスファム(acesufame)K、アスパルテーム(aspartame)、ネオテーム(neotame)等、またはそれらの混合物のような高強度甘味料)を、メントール、亜麻仁抽出物、香料、および残りの原料と一緒に添加することができる。
【0095】
・中心部充填物(芯)の調製
マルチトールシロップ(maltitol syrup)[ロケット・アメリカ社(Roquette America)からのリカシン(Lycasin)80/55]と、代用唾液または代替の薬剤と、所望により、着色剤とを適切な容器の中で加熱しながら混合して、キャンディーベースを形成することによって、芯材料を調製する。該キャンディーベースは、次いで、βカロチン、適切な粘度調節剤(例えば、グリセリン)、甘味料(例えば、高強度甘味料)、メントール、亜麻仁抽出物、および残りの原料を添加することができるように、約70℃以下に冷却する。
【0096】
次いで、前記の各々の殻材料および芯材料を分離ホッパー(separate hoppers)に入れる。それらの材料は、次いで、混合されて、該芯原料の割込み可能な流れ(interruptible flow)と該芯を取り囲む該殻原料の連続流とに対応できるマニホールド(manifold)まで、各々の材料の流れとして送出される。結果として得られた生成物は、該薬用キャンデーの所望の重量と寸法とに対応する別々の単位体(units)で注入し、次いで、該薬用キャンデーが周囲温度に冷却されるまで、該薬用キャンデーを保管するための個々の分室(compartments)を有するトレイの中に置く。
【0097】
〔実施の態様〕
(1)直接性(substantivity)が改善された口腔ケア用組成物において、
a.有効量の口腔ケア活性成分と、
b.亜麻仁由来多糖ベース化合物(linseed polysaccharide base compound)、タマリンド種子由来多糖ベース化合物(tamarind seed polysaccharide base compound)、および、それらの混合物から成る群から選択された、有効量の直接性増強剤(substantivity enhancing agent)と、
を含有する、口腔ケア用組成物。
(2)実施態様1に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、抗菌剤、減感剤(desensitizing agents)、歯牙白色化活性成分(tooth whitening actives)、防汚剤(anti-stain agents)、歯石除去剤(anti-tartar agents)、歯垢除去剤、フッ化物イオン源、歯牙強化剤、栄養剤、酸化防止剤、麻酔薬、およびそれらの混合物から成る群から選択される、口腔ケア用組成物。
(3)実施態様2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、抗菌剤である、口腔ケア用組成物。
(4)実施態様2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、歯牙白色化活性成分である、口腔ケア用組成物。
(5)実施態様4に記載の口腔ケア用組成物において、
前記歯牙白色化活性成分は、過酸化物である、口腔ケア用組成物。
(6)実施態様5に記載の口腔ケア用組成物において、
前記過酸化物は、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、およびそれらの混合物から成る群から選択される、口腔ケア用組成物。
(7)実施態様2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、歯石除去剤である、口腔ケア用組成物。
(8)実施態様2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、フッ化物イオン源である、口腔ケア用組成物。
(9)実施態様2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、抗炎症薬である、口腔ケア用組成物。
(10)実施態様2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、酸化防止剤である、口腔ケア用組成物。
【0098】
(11)実施態様2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、栄養剤である、口腔ケア用組成物。
(12)実施態様11に記載の口腔ケア用組成物において、
前記栄養剤は、無機塩類、ビタミン類、栄養補給剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される、口腔ケア用組成物。
(13)実施態様2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、酵素である、口腔ケア用組成物。
(14)実施態様2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、麻酔薬である、口腔ケア用組成物。
(15)実施態様1に記載の口腔ケア用組成物において、
有効量で、チモール(thymol)、サリチル酸メチル、メントール(menthol)、およびユーカリプトール(eucalyptol)の少なくとも1種、
を更に含有している、口腔ケア用組成物。
(16)実施態様1に記載の口腔ケア用組成物において、
少なくとも1種の糖アルコール、
を更に含有している、口腔ケア用組成物。
(17)実施態様16に記載の口腔ケア用組成物において、
前記糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール(lactitol)、マンニトール(mannitol)、マルチトール、水素化デンプン加水分解物、エリトリトール(erythritol)、還元パラチノース(reducing paratinose)、およびそれらの混合物から成る群から選択される、口腔ケア用組成物。
(18)実施態様1に記載の口腔ケア用組成物において、
練り歯磨き、うがい薬、ゲル、歯磨き粉、可食性フィルム、フィルム形成性歯磨剤(film forming dentifrices)、チューインガム、錠剤、カプセル、口腔スプレー(mouth sprays)、および薬用キャンデーから成る群から選択された形態である、口腔ケア用組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接性が改善された口腔ケア用組成物において、
a.有効量の口腔ケア活性成分と、
b.亜麻仁由来多糖ベース化合物、タマリンド種子由来多糖ベース化合物、および、それらの混合物から成る群から選択された、有効量の直接性増強剤と、
を含有する、口腔ケア用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、抗菌剤、減感剤、歯牙白色化活性成分、防汚剤、歯石除去剤、歯垢除去剤、フッ化物イオン源、歯牙強化剤、栄養剤、酸化防止剤、麻酔薬、およびそれらの混合物から成る群から選択される、口腔ケア用組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、抗菌剤である、口腔ケア用組成物。
【請求項4】
請求項2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、歯牙白色化活性成分である、口腔ケア用組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の口腔ケア用組成物において、
前記歯牙白色化活性成分は、過酸化物である、口腔ケア用組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の口腔ケア用組成物において、
前記過酸化物は、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、およびそれらの混合物から成る群から選択される、口腔ケア用組成物。
【請求項7】
請求項2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、歯石除去剤である、口腔ケア用組成物。
【請求項8】
請求項2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、フッ化物イオン源である、口腔ケア用組成物。
【請求項9】
請求項2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、抗炎症薬である、口腔ケア用組成物。
【請求項10】
請求項2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、酸化防止剤である、口腔ケア用組成物。
【請求項11】
請求項2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、栄養剤である、口腔ケア用組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の口腔ケア用組成物において、
前記栄養剤は、無機塩類、ビタミン類、栄養補給剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される、口腔ケア用組成物。
【請求項13】
請求項2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、酵素である、口腔ケア用組成物。
【請求項14】
請求項2に記載の口腔ケア用組成物において、
前記口腔ケア活性成分は、麻酔薬である、口腔ケア用組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の口腔ケア用組成物において、
有効量で、チモール、サリチル酸メチル、メントール、およびユーカリプトールの少なくとも1種、
を更に含有している、口腔ケア用組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の口腔ケア用組成物において、
少なくとも1種の糖アルコール、
を更に含有している、口腔ケア用組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の口腔ケア用組成物において、
前記糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、マルチトール、水素化デンプン加水分解物、エリトリトール、還元パラチノース、およびそれらの混合物から成る群から選択される、口腔ケア用組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の口腔ケア用組成物において、
練り歯磨き、うがい薬、ゲル、歯磨き粉、可食性フィルム、フィルム形成性歯磨剤、チューインガム、錠剤、カプセル、口腔スプレー、および薬用キャンデーから成る群から選択された形態である、口腔ケア用組成物。

【公表番号】特表2008−540631(P2008−540631A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511813(P2008−511813)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/IB2006/001319
【国際公開番号】WO2006/123234
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(308015577)マクニール−ピーピーシー・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】McNeil−PPC,Inc.
【住所又は居所原語表記】One Johnson & Johnson Plaza,New Brunswick,NJ 08933−7003,United States of America
【Fターム(参考)】